第220回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

日時

令和8年1月26日(月)16:00~18:00

場所

会場
厚生労働省 職業安定局第1会議室及びオンライン
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 12階公園側)
傍聴会場
厚生労働省 職業安定局第2会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階公園側)

議事

2026-1-26 労働政策審議会職業安定分科会(第220回)
 
○阿部分科会長 それではただいまから、第220回「労働政策審議会職業安定分科会」を開催いたします。
 皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席をいただきまして誠にありがとうございます。
 本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の橋本委員、堀委員、労働者代表の石橋委員、伊藤委員、原健二委員、平山委員、使用者代表の久保委員が御欠席と伺っております。
 本日の分科会は、Zoomによるオンラインと会場での開催となります。オンラインでの発言方法等につきましては、事前に事務局より送付している「職業安定分科会の開催・参加方法について」に沿って操作いただきますようよろしくお願いいたします。
 当会議においては、原則ペーパーレスとしております。また、オンラインで御参加いただいている委員の皆様におかれましては、原則として画面をオンにしていただいて参加していただくようお願い申し上げます。
 それでは、議事に入りたいと思います。
 議題1ですが、「雇用調整助成金の緊急時の在り方について」です。それでは、事務局より説明をお願いいたします。
○立石雇用開発企画課長 事務局でございます。
 雇用調整助成金の緊急時の在り方につきましては、以前の分科会におきまして委員より危機時における雇用の維持・安定への支援については平時から検討しておく必要があるなどの御指摘があったことを踏まえまして、本日御議論を開始いただき、今後そのお考え方についてお取りまとめいただきたいと考えております。
 それでは、資料1-1を御覧ください。資料1-1におきましては、過去の緊急時の特例の対応やその実績、また研究分析等の資料を大まかに、経済変動時の対応、自然災害等での対応、感染症での対応についてそれぞれまとめたものとなっております。
 3ページ目をお開きください。雇用調整助成金の支給実績について、1975年の制度の創設時から現在までの完全失業率や景気後退期などと併せてまとめたものとなっております。青い棒グラフが支給の実績、赤い折れ線が失業率、黄色い帯が景気後退期を示しているというものでございます。
 4ページ目を御覧ください。ここから過去の経済変動の特例についてでございます。リーマンショック時の措置を取り上げております。雇調金の原則の制度、これは当時でなくて現行の制度を置いておりますが、それとリーマンショック時の特例の制度を並べて比較できるようにしております。特例措置の内容といたしましては、リーマンショック時は生産量要件の緩和や、それから支給日数期間の拡充、柔軟化、それからクーリング要件の撤廃、それから助成率の拡充といったような対応がなされているということが御覧いただけるかと思っております。
 5ページ目を御覧ください。リーマン時の特例措置につきましては、一気に行われたというよりは段階的になされていたということを示すものでございます。最初に平成20年の12月1日というところですけれども、中小企業を対象に生産量要件の緩和ですとか助成率、支給日数の拡充等ということを行った後、少し間を置いて、大企業についても生産量要件の緩和を実施しております。また、その後数か月ごとぐらいに助成率や支給日数の拡充などを行っていたということが見て取れるかと思っております。
 その次の6ページ目を御覧いただければと存じます。こちらはリーマンショック期の月別支給決定額の推移でございます。最初に大きな山が来てから2年ほど経過して、支給決定額が落ち着いてきておりましたが、東日本大震災が発生して、また小さな山ができているといった状況が見て取れるかと思います。
 続きまして7ページ目を御覧ください。こちらは平成13年の10月に、雇調金以前は業種指定方式が取られておりましたが、それが廃止されまして、現在の制度になってから以降の特例措置を行った自然災害の一覧をお示ししているものでございます。
 表を御覧いただきますと、激甚災害法の12条の指定状況、それから災害救助法対象地域を含む都道府県、それから特例措置の実施状況といった表となってございます。この激甚災害法について、恐縮ですが、少し飛んで10ページのほうを御覧いただきますと、激甚災害法は、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律と言いますけれども、災害復旧に係る地方財政の負担の緩和ですとか被災者に対する特別の助成措置について規定しているものでございます。
 その中で中小企業の被害に対する支援につきまして、12条に規定されているところ、全国的に影響のある本激という指定と、局地的な局激の指定ということがありまして、各市町村長、都道府県知事などから所管省庁経由で内閣府に報告された中小企業の被害額を踏まえ、内閣府において基準をもとに指定手続を行うというような仕組みとなっているところでございます。
 お戻りいただいて8ページのほうを御覧いただきます。この自然災害における雇調金の特例措置の実施に当たりましては、これまでは、この激甚法による指定の状況に加えまして、政府全体の動き、例えば本部が設置されるといったような動きですとか、また雇用への状況、労働局への相談状況など、このような3つの要件を見て対応してきたというところでございます。
 本激指定の場合には、助成率、支給日数引上げ等による特例を検討し、局激の指定の場合、雇用への影響が大きい場合には生産量要件等の緩和による特例を検討するというような対応をしてきた経緯がございます。
 また、7ページにお戻りいただければと存じます。この3つの要件が最初からしっかりと確立していたかというと、例えば平成23年の霧島山の噴火ですとか、26年の御嶽山の噴火、27年の箱根山火山活動などにつきましては、本激、局激指定もない中で、右側のほうでございますが、要件緩和ということで生産量要件の緩和ということを行っております。ただ、その後、支給実績などに鑑みると、やはり激甚指定などを基準にしまして中小企業の被害額を客観的に見ていくといったようなことが確立してまいりまして、28年以降は、先ほどの3要件に基づき特例対応を行ってきているという状況でございます。
 また、特例措置の実施の状況でございます。生産量要件の緩和、一番右側のところでございますが、これは局激指定の場合にもなされ、また本激の場合にもなされるものですけれども、それにつきましてはサプライチェーンで影響を受ける全国の事業主を対象に実施していく。さらに、助成率引上げ等といった手厚い措置につきましては、災害救助法の対象地域ですとか、直接の被害を受けた被災地の事業主を対象に実施しているものでございます。
 下の※印の1番目のところですけれども、リーマン期の東日本大震災を除きまして、中小企業につきましては、2/3から4/5、大企業については1/2~2/3の助成率の引上げをしておりますし、また支給日数の欄を御覧いただきますと、本激指定がなされた災害への特例対応といたしましては、支給日数が引き上げられて1年300日となっております。また、局激など、本激指定がない場合には、こちらも欄外の※の2番目のところでございますが、原則どおり1年100日という支給期間、支給日数ということで対応しているものでございます。
 9ページを御覧いただければと思います。こちらは今申し上げたような局激指定の場合と本激指定の場合の具体例でございまして、局激指定であった令和元年の9月台風15号と本激指定でありました令和6年能登地震の際における特例の内容の比較でございます。局激の場合には緑の枠で囲まれている部分となっておりまして、本激の場合は赤い枠になっているところでございます。
 11ページを御覧いただければと思います。こちらは昨年、当分科会でも御議論いただきました能登半島の特例の場合の実績についてお付けさせていただいております。
 また、12ページにつきましても同様に能登の特例についてでございますが、こちらは雇調金の特例の終了に当たりまして産業雇用安定助成金を充実させまして、休業から出向へという対応を行った例という趣旨で掲載させていただいております。
 13ページのほうを御覧いただければと存じます。家畜伝染病に係る特例についての資料でございます。平成22年に口蹄疫、平成23年に高病原性鳥インフルエンザにつきまして生産量要件の緩和ということを行った例が過去にございました。しかし、その後、鳥インフルエンザについては例年発生しておりますけれども、特例というものは実施しておらず、豚コレラやBSEといった際にも特例は実施していないという状況でございます。
 14ページでございます。こちらから感染症というところに入ってまいります。この14ページの表につきましては、コロナのときの特例と現行制度の比較となってございます。コロナ禍におきましては、御承知のとおり、人命のために政府が経済活動や人的接触を徹底的に制限した結果、事業活動が急激に縮小した事態、そういうことに対応するために異例の対応が取られたというところでございます。
 生産量要件の緩和、支給日数上限の撤廃、それから特例利用前のクーリング要件の撤廃、それから助成率につきましては、解雇がない場合には最大10/10となるといったようなかなり手厚い措置がなされたというところでございます。
 15ページ目につきましてはその特例の措置の推移でございます。こちらにつきましてもリーマン期と同様でございますけれども、段階的に拡充、また縮小していったということをお示しするものでございます。
 16ページでございます。コロナ以前の感染症についての例でございます。平成15年にSARS、それから平成21年に新型インフルエンザというものが発生したところでございますが、この際には生産量要件の緩和が行われていたということでございます。
 続きまして17ページを御覧いただければと思います。ここからは過去の特例に係る調査・分析等についての資料となっております。まず、こちらの17ページでございますけれども、リーマンショック期とコロナ期の雇調金の受給事業所の支給日数割合について並べたものとなってございます。
 こちらを御覧いただきますと、それぞれの支給日数、支給日数割合について、コロナ期とリーマンショック期で顕著に大きな差があるという状況では必ずしもございませんけれども、300日超の割合というものが、リーマン期2%となっているのがコロナ期は9%となっているのが少し大きな差ではないかと思っております。
 また、リーマン期の支給決定額は1.3兆円ほど、またコロナ期は6.5兆円ほどとなっていることを考えますと、コロナ期は総額が非常に大きいために、割合の差以上に支給額の差は大きくなることにも留意することが必要かと考えられます。
 18ページでございますが、産業別割合の比較でございます。左側、リーマン期につきましては、製造業は53%と半分以上を占めておりまして、ほかに建設業が13%、卸売・小売業が10%と続いております。
 一方、右側のコロナ期におきましては多様な業種が受給しているということが分かりますが、中でもリーマン期にはそれぞれ1%ということであった宿泊業・飲食サービス業、それから生活関連サービス業・娯楽業といったものがそれぞれ15%、8%となっているということがございます。
 続きまして19ページでございます。ここからはリーマンショック期とコロナ期の特例に係るJILPTさんの研究分析から要点をまとめさせていただいております。少しポイントのほうを絞って御説明できればと存じますけれども、まず2つ目の箱の平成26年雇用調整の実施と雇用調整助成金の活用に関する調査につきまして、リーマンショック期につきましては、2つ目のポツですけれども、累積受給期間を見ると、受給期間が1年以内の事業所が42.7%であり、7割の事業所は2年以内の受給であったこと。また、3つ目のポツ、調整方法について、受給事業所では、より労働時間削減に重点が置かれていたが、未受給事業所ではより人員削減に重点を置かれている傾向が見られ、雇調金の趣旨が生かされた活用と効果が確認されたということ。また、4つ目のポツ、雇調金受給事業所と非受給事業所との間で廃止率を試算して比較したところ、廃止率は受給事業所のほうが低くなっているということなどが指摘をされてございます。
 続きまして20ページでございます。こちらもリーマン期についての分析でございますが、平成29年の雇用調整助成金の政策効果に関する研究におきまして、2つ目のポツ、雇調金の受給事業所は非受給事業所に比べて雇用が低調ないし減少に推移している中で、受給期間中を中心として入職率を相対的に低く抑えるとともに、総じて離職率も相対的に低く抑えているということが指摘された。同時に、雇調金のネガティブ面として、受給終了後に大きな離職が生じている、受給事業所の廃業が受給終了後に集中することが指摘されたとされております。
 また、3つ目のポツですが、雇調金はいたずらに無駄な雇用を温存する、さらには、いわゆるゾンビ企業の延命に手を貸している、産業構造の転換を遅らせている等の批判に通じる面もあると考えられるが、むしろ雇調金によって雇用・失業情勢の最も厳しい時期を後ろに分散化させるとともに、雇用・失業情勢が少し落ち着いた状態で円滑な再就職を促進する効果を持つという前向きの効果として捉えることが適当であるというような分析、指摘をしていただいております。
 21ページでございます。こちらは昨年5月の分科会で速報として御報告をさせていただきました雇用調整助成金のコロナ特例に関する効果検証の結果でございます。
 判明した事実のマル2のところでございますが、雇調金は一定の雇用維持効果を発揮した。特に初期の段階において雇用維持効果が確認されるが、反面、利用が長期に及んだ場合、その効果は失われる傾向がある。また、マル4、離職者の再就職にはおおむね受給事業所の離職者のほうが非受給事業所の離職者よりも時間がかかった。また、政策的示唆のマル1のところですが、雇調金は緊急避難的効果を有しており、ショック発生時には期待されるような雇用維持効果を発揮したが、その効果は受給期間が長期化するにつれ失われる傾向がある。こうした点を考慮すると、制度そのものには意義があるが、反面、利用期間が長期に及ばないようにしておくことが考えられるといったような御示唆をしていただいております。
 22ページでございます。こちらは令和6年の雇用調整助成金のコロナ特例の活用等に関する調査で、ここでは休業中の課題について事業所に尋ねたところ、従業員のモチベーション・働きがいの低下、従業員の生産性の低下を課題と感じた事業所の割合については、非受給事業所よりも受給事業所のほうで高く、雇調金受給や休業が長期化した事業所ほどその割合がおおむね高くなる傾向が見られたと分析がなされているところでございます。
 続きまして23ページでございます。こちらはリーマン期とコロナ期の雇用調整助成金の失業率に与えた影響について試算したものでございます。計算方法がそれぞれで異なることに留意が必要でございますが、JILPTさんの平成29年の雇用調整助成金の政策効果に関する研究と、それから厚生労働省の令和3年版労働経済白書を並べているものでございます。いずれも、雇調金によりまして失業率を一定程度抑制する効果があったという試算が示されているものでございます。
 24ページでございます。こちらにつきましては、諸外国におけるコロナ期の雇用維持スキームについて整理させていただいております。ドイツ、フランス、イギリス、アメリカ、日本と並べてございますけれども、ドイツ、フランス、日本につきましては、雇用保険財源による既存の雇用維持スキームを活用した対応を行っており、またイギリス、アメリカにつきましては一般財源による新たなスキームによる対応がなされているというところでございます。
 また、特例の終了時期につきましては、アメリカ、イギリスにつきましては、それぞれ2021年の5月末、9月末と比較的早期に終了し、ドイツにつきましては2022年の6月末、フランス、日本はそれぞれ2023年の1月末、3月末に終了という形で、各国によってばらつきが出ているという状況でございます。
 25ページは各国の失業率の比較でございます。リーマンショック期、それからコロナ期ともに日本は比較的失業率が低く抑えられているというところでございます。また、リーマン期、コロナ期ともに、ドイツ、日本については比較的失業率の上昇を抑え込んでいるということが見て取れるかと思っております。
 26ページでございます。こちらにつきましては、コロナ禍における各国の社会制限措置の厳格度を、オックスフォード新型コロナウイルス感染症政府対応トラッカーと言います9つの分野についての指標、これを厳格度指数と呼んでおりますけれども、比較をしてみたというものでございます。
 厳格度指数で見てみますと、イギリス、ドイツ、フランスは初期に強い制限をかけておりますけれども、2021年の春以降、ワクチン接種の進展等を踏まえて社会制限措置を緩和して、2022年の4月以降にはかなり厳格度が下がっていっているという状況でございます。
 対して日本につきましては、初期は厳格度については比較的高くはなかったという状況ですが、それ以降余り数値が下がらないという形で、各国と比較するとかなりなだらかな形となっているというところでございます。
 それについてが左側のグラフでございますけれども、右側のグラフにつきましては、この厳格度指数につきまして、さらに宿泊・飲食に影響が大きいと思われる分野に絞り込んだものについてコア厳格度指数といたしまして、その推移と宿泊・飲食業における雇用維持スキームの適用者数の推移の各国についてのグラフということになってございます。コア厳格度指数の上昇につきましては、この宿泊・飲食業における雇用維持スキームの適用者数を増加させているということが分かるかと思います。
 なお、灰色のラインにつきましては事業主負担を足している時期を表しておりますけれども、事業主負担の上昇につきましては、適用労働者数をおおむね減少させる方向で影響を及ぼしていたのではないかと考えられます。
 27ページでございます。こちらは日本の全産業と宿泊・飲食業につきまして、青線の雇調金の休業者数と緑点線のコア厳格度指数、赤点線の緊急事態・まん延防止重点措置対象事業所割合の推移を見たものでございます。
 上のほうのグラフの全産業につきましては、厳格度指数やまん延防止措置にかかわらず、最初、休業者数がぐっと増えた後はなだらかに減少傾向となってございますけれども、宿泊・飲食業では、この休業者数と、特にまん延防止措置適用事業所割合とが整合的に推移して、休業者数が増減を繰り返していることが分かるかと考えております。
 最後のページでございますが、こちらにつきましては昨年の分科会でも御覧いただきましたが、能登の労働者アンケート調査で、休業者の困り事として、モチベーションの低下や収入の低下等が挙げられていたというものでございます。
 駆け足で大変恐縮でございますが、事務局資料についての御説明については以上でございます。よろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
 本日はJILPTの高橋主任研究員にお越しいただいており、雇用調整助成金特例の分析について御報告をお願いしております。ついては、ただいまの事務局の説明についての質問、御意見につきましては、高橋主任研究員の報告を伺った後、併せて皆様から御質問、御意見を承りたいと思います。
 それでは、JILPTの高橋主任統括研究員から分析結果の考察について御報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○高橋JILPT主任研究員 労働政策研究研修機構、JILPT主任研究員の高橋康二と申します。
 資料1-2を御覧ください。雇用調整助成金の緊急時の雇用維持効果に関する分析結果の考察という御報告をさせていただきます。
 スライドの3ページ目を御覧ください。先ほど厚労省から総括的な資料の御説明がありましたが、その中で一部ありましたように、私どもJILPTでは、この雇用調整助成金、雇調金の受給による雇用維持効果というものについて、リーマン・震災期とコロナ期の2度にわたりまして研究会を組織して検証してまいりました。
 ここで言います雇用維持効果というものでございますが、雇調金に関わるデータというのは多種多様あるわけですが、雇調金を受給した事業所と受給しなかった事業所と比べて、その受給した事業所のほうにおいてより雇用が維持できたですとか、その後の回復が顕著であったというような、その差をもって、受給事業所と非受給事業所とのその後の雇用への変化の違いをもって雇用維持効果と今日の報告では呼んでおります。そして、2回の研究会どちらでも報告書等でその時々の検証課題について一定の結論を示しております。それにつきましては先ほど立石課長のほうから御説明がありました。
 ですが、とりわけ雇用維持効果というものにつきましては、これから申し上げますように、廃業の確率を見るかですとか、存続している事業所の量の雇用の変化を見るかと様々な角度があります。執筆者によって分析しているモデルが異なっておりまして、また、リーマン・震災期とコロナ期とで分析結果が異なる点もございます。それらにつきましてこの報告では総合的に考察いたしまして、雇調金の雇用維持効果について、より一般的な将来の備えとなる知見を示したいと考えております。
 結論を先取り的に申し上げますと、当然この結果には、リーマン・震災期とコロナ期とで共通しているものと違うものとがあります。それぞれ分析結果を丁寧に見た上で、その雇調金の効果として確実に言えることと、またその時々で強弱が表れる可能性があるものとを弁別しまして、強弱あるとしたら、それはどういう要因によって違いが出てくるのかといった内容についてお話しさせていただくことになります。
 4ページ目と5ページ目が、それぞれの時期の研究会、研究体制についてまとめてあります。先ほど申し上げましたように、JILPTの研究員ですとか外部有識者の先生方含めてたくさんの参加者が分析をしているということになります。また、厚労省雇用開発企画課のほうから業務データも御提供いただきまして、大規模なデータに基づく効果検証をしてまいりました。
 6ページ目がその報告書等になります。それぞれの研究会で3つずつの報告書を出しております。今日引用しますのは主として一番右側のJILPT編(2017)という報告書とJILPT編(2015)という報告書になります。
 7ページを御覧ください。リーマン・震災期とコロナ期とで何を対比させていくかということですが、まず1つ目に雇調金受給事業所の特性を対比する必要があります。次に受給有無によるその後の廃業率の違いというものについて比べます。そして3番目に受給有無による雇用の量の変化、廃業するかしないかというのはゼロイチなわけですが、雇用量の変化というのはもう少しそれが何%減ったとか増えたといったような話になります。それを記述的にグラフの形で見るものと、さらに計量モデルを使って、様々な要因、変数を、共変量をコントロールした上で見るものとに分けていきたいと思います。
 8ページを御覧ください。雇調金受給事業所の特性でございますが、先ほど厚労省からの説明にもありましたように、リーマン・震災期は製造業において受給率が高かったと、またコロナ期は飲食サービス・宿泊などにおいて受給率が高かったわけであります。また、両時期とも事業活動の水準がその危機の前と比べた落ち込みが大きい事業所ほど受給率が高いということは明確になっております。
 ちなみに、コロナの時期に宿泊・飲食などで受給率が高かったわけですが、それはなぜかというと、事業活動の水準の落ち込みが大きかったからであるということが大まかに分析結果として出ております。
 9ページ目は産業別の雇調金受給率になります。先ほど厚労省さんからの資料にありましたものとはその集計の縦横が異なっているわけですが、これはそれぞれの産業別の事業所数全体を分母とした受給事業所のパーセンテージを示したものです。リーマン・震災期は製造業、情報通信業で受給率が高く、コロナのときは宿泊・飲食、生活関連などで高かったということがはっきりと表れております。
 そして、10ページを御覧ください。こちらが廃業率の違いということになります。このグラフの読み方ですが、縦軸、パーセンテージというのが累積の廃業率になります。グラフの細かな読み方は、リーマン・震災期とコロナ期とでグラフのつくり方が若干異なるのですが、ある出発点において存在した事業所のうち何%が後々廃業に至っているかということを線で示したものとなっています。
 このリーマン・震災期の左側のほうを御覧いただきますと、点線が非受給事業所、実線が受給事業所です。実線の受給事業所のほうが低いわけですので、廃業率が低く抑えられているという読み方になります。コロナ期のほう、右側のグラフは、いつの時点を開始点と見るか、いつの時点の受給、非受給をシグナルとするかというのが、3つのタイミングが混ざっておりますのでちょっと読み方が複雑になるのですが、形は同じでして、やはり点線、非受給の事業所のほうが累積廃業率が高く、実線、受給事業所のほうが低いというような結果になっております。このように廃業を抑制するという効果は両時期に共通しております。
 11ページを御覧ください。雇調金受給有無と雇用量変化についての記述的分析の結果を対比させております。
 12ページがそのリーマン・震災期になるわけですが、左側のグラフが全産業で、右側のグラフがそのとき、特にリーマンショックのときに大きな打撃を受けた、自動車産業を含む輸送用機械器具製造業について見たものです。
 まず、この左側の全産業のほうを見ますと、受給事業所のほうがその後減るという結果になっております。これはある意味当然でして、この受給事業所の中には、打撃を受けた製造業、輸送用機械器具などは高い確率で含まれているわけですので、このように2つの群に分けて比較すると当然受給事業所のほうがその後雇用が減っているという結果になるわけです。
 それでは、その輸送用機械器具、大きな打撃を受けた産業の中で、そこに限定して受給した事業所と受給しなかった事業所に分けてみるとどうなるかというのが12ページ、右側のグラフであります。そうしますと、受給事業所のほうがショック時の減り方が少ない。ほぼ100か98、99ぐらいで保っておりまして、またその後の回復というものが見て取れるということになっております。
 同じような作業をコロナ期についてもいたしております。13ページ、14ページのグラフになります。まず、13ページのほうが全産業で見たものでして、これがやはりリーマンのときと同じで、全産業について見ると、受給事業所のほうが当然強い打撃を受けた産業が多く含まれておりますので、その後マイナス、雇用量が減りやすくなっているという結果が読み取れます。
 他方、コロナ期マル2としまして14ページのほうのスライドを御覧ください。これはそのときの宿泊・飲食、娯楽、生活関連といったコロナの影響を強く受けた産業に限定して、従業員の増減を要因分解する形で見ているものでございます。
 そうしますと、グラフの真ん中、左上のほうに小さく点線で楕円を囲ってありますが、この部分は、コロナ初期において、主にその時期に従業員数を減らしていたのは非受給事業所である。受給事業所ではそれほど雇用を減らさないで済んでいるということが表れております。この部分は、先ほどリーマン期の輸送用機械器具で見たのと同様に、高い影響を受けた、強い影響を受けた産業の中で、受給していたほうが雇用が維持できているということを示すものとなっております。
 しかし、その後の、大きく点線で囲ってありますところでございますが、2020年の秋以降になりますと、雇調金受給事業所のほうが従業者を減らしているという結果が出ております。この辺りなどは、雇調金の受給の効果というものがリーマンショックのときとは異なっていたことを示唆するものでございます。
 15ページを御覧ください。15ページ以降は計量モデルによる分析結果を対比させたものとなっております。
 まず16ページのほうでございますが、傾向スコア・マッチングという手法で、様々な産業ですとか企業、事業所の規模ですとか、そのときの打撃を受けた程度などをコントロールした、統制した上での受給事業所と非受給事業所のその後の違いを分析したものになっております。
 この結果について申し上げますと、まず、リーマン・震災期では受給事業所のほうが雇用量の増加率が小さい。つまり、相対的にネガティブである。また、コロナ期におきましても、受給事業所のほうが雇用量の減少率が大きい、減少幅が大きいということで、やはりネガティブであるという結果が出ております。これにつきましては、ここで用いている共変量、コントロール変数というものが十分であったか不十分であったかという問題が残ります。
 いずれにせよ、ここで強調したいのは、どちらのモデルで見ても、この手法で見るとネガティブな結果が表れているということで、共通の結果が出ているというメッセージを読み取っております。これがなぜネガティブになるのかということについての確たることはこの分析結果からは申し上げられないのですが、ここで用いた共変量だけではコントロール、統制できていないものがあるのではないかというのが研究者としての私の解釈でございます。
 そして、17ページのほうは、先ほどの傾向スコア・マッチングよりも、より様々な要因、事業所特性を厳密に統制、コントロールしたモデルと位置づけられます。これを見ますと、受給終了後の純雇用成長率というものを比較しているわけですが、受給開始前と比べた受給終了後の純雇用成長率は、リーマン・震災期はプラスだったが、コロナのときはマイナスであるという読み取り方をすることになります。大まかに言いまして、リーマン・震災期のときはポジティブだったが、コロナのときはネガティブと出ているということでございます。
 ただ、この後、18ページに詳細な計量モデルについての説明を述べてありますが、そこにありますように、このモデルというのは、言ってみれば純雇用成長率の差を求めるという形を取っておりますので、実際には雇用は増加していても、増加するペースが落ちればマイナスとして検出されるというモデルの特性を持っておりますので、これが本当にコロナのときにもらった事業所のほうが、雇調金受給事業所のほうが雇用の量を減らしていたかどうかは分かりません。それはまた、このモデルでは厳密にコントロールしたがゆえにこの部分が分からなくなってしまうのですけれども、いずれにせよ、リーマン・震災期と比べてネガティブだったという結果が出ていると捉えております。
 19ページを御覧ください。様々な論点を一枚の表にまとめたものでございます。まず、一番上のマクロ的環境というところにつきましては、厚労省さんからの資料にありましたように、リーマン・震災期のときは、もともと失業率は4%程度の水準でありました。これに対してコロナのときは2%台前半、ショックが起きる前に2%台前半だったわけでありまして、そういった違いがあります。
 また、その受給事業所の特性として業績悪化事業所であるという点は共通しているけれども、主たる受給事業所が、リーマンのときは製造業、コロナのときは宿泊・飲食だったというような違いがあるという形でまとめてあります。
 ここでは緑色の字のところが共通傾向でありまして、青い字のところがリーマン・震災期に特徴的だった部分で、赤い字で示してある部分がコロナ期に特徴的だった部分として整理してあります。
 これらの共通点と差異から結論を申し上げますと、それが20ページ、21ページになります。20ページで、まず雇調金の雇用維持効果として、両時期に共通して確実に言えますのは、廃業率を低く抑えたことである。また、高影響業種において、少なくとも危機の初期において雇用維持を可能にしたということは共通に言えるのではないかと考えます。
 ただし、業績悪化事業所ほど雇調金を受給しやすいため、業種、産業を特定せずに雇用量変化を記述すると受給事業所ほどネガティブな結果になるということもやはり共通しております。また、存続事業所に限定して傾向スコア・マッチングにより雇用量の変化率を分析した際も、受給事業所のほうがネガティブな結果となると、この部分も共通しております。
 他方で、時期による違いもあります。リーマン・震災期には、高影響業種において危機発生からほぼ一貫して受給事業所のほうが、雇用が維持・回復する傾向にありました。非説明変数を純雇用成長率とした固定効果モデルにおきましても、受給事業所のほうがポジティブな結果が表れておりました。
 これに対しコロナ期には、高影響業種、宿泊・飲食などになりますが、高影響業種において2020年秋以降は受給事業所のほうが雇用が減少しているという結果が見られました。また、固定効果モデルでも雇用維持効果はネガティブな結果が出たということでございます。
 このように、総じてコロナ期は効果がリーマン・震災期と比べると弱かったのではないかという全体的な結論になりますが、21ページに続きまして、そういった違いが表れたのはなぜかということです。これについては、影響を受けた業種の違いと需給環境の違い、需給というのは労働市場のデマンドサプライという意味ですが、需給環境の違いが考えられます。
 その業種という論点について言いますと、リーマン・震災期は製造業が中心に影響を受けました。製造業というのは次の22ページの資料と併せて御説明いたしますと、もともと離職率が低いわけであります。ですので、危機に際して雇用継続を図る事業所というのは、そのもともとの低い水準にまで抑えようと試みるわけですので、人員削減を図る非受給事業所との間で離職率に大きな違いが生じたのではないかと私のほうで考察しております。
 他方、コロナのときは宿泊・飲食が中心だったわけですが、もともと高離職率の産業ですので、雇調金受給の有無によって離職率に大きな違いが生じなかった可能性があると考えられます。
 また、そのこととも関係しますが、宿泊・飲食サービスでは長期勤続により技能形成をする傾向がもともと弱いですので、休業によるモチベーション低下というものが顕著に表れたということが考えられます。この点はJILPTのアンケート調査からも得られるところです。
 さらに需給環境による異質性としまして、もともと高失業率だったリーマン・震災期では、雇調金を事業主がもらっている場合に、そこの労働者が自発的に離職するということが余り考えにくかったわけですが、コロナ期はもともと人手不足でしたので、受給事業所からも多くの自発的な離職者が生じたのではないか。さらには、その他コロナ期特殊の現象として家族ケアや感染回避のための離職者が多かった。そういった離職者というのは事業所が雇調金を受給していたかしていなかったかにかかわらず発生するわけですので、そういった形で受給、非受給による離職率の差というものが表れにくかったのではないかと考察しております。
 このように考えますと、(6)のところでございますが、雇調金の雇用維持効果についての真値といったものを求めることの意義よりも、むしろ様々な分析結果に横串・縦串を刺して、その時々の危機の特性ですとか人事労務管理等の知見を踏まえて、そのような効果になった理由を考察することが研究サイドとして重要ではないかと考えております。そのような視点からの御報告でございます。
 以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
 それでは、冒頭の事務局の御説明と併せて、ただいまの御報告に御質問、御意見ございましたら、挙手又は「手を挙げる」ボタンをクリックし、私が指名した後にお名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。いかがでしょうか。
 ではまず、千葉委員、手が挙がっておりましたので、お願いいたします。
○千葉委員 事務局から御説明いただきました資料1-1について質問させていただきたいと思います。4ページ目では経済変動についての過去の例としてリーマンショック時について記載されておりますが、3ページには、リーマンショック以外にも、例えば1986年の円高不況や1993年のバブル崩壊等にも助成率の引上げがなされたようですが、それぞれの変動時に、通算どのぐらいの期間にわたり特例措置が講じられていたのか伺いたいと思います。
 以上でございます。
○阿部分科会長 では、お願いします。
○立石雇用開発企画課長 事務局でございます。
 今回、リーマン期についてお示ししておりましたのは、業種指定方式の廃止以後の現行制度になってからの危機ということでリーマンショックについて記載させていただいていたところでございます。今お尋ねがあったそれより前の助成率などの引上げ期間、特例措置についてのお尋ねでございますけれども、例えば1986年から1989年までの期間につきまして特例措置を行っておりまして、そこの期間につきましては2年半にわたって助成率の引上げを行っておりましたり、また、1993年から1995年までの間でございますけれども、ここも助成率の引上げを行っておりまして、約2年1か月ほどやってございます。また、1998年6月から1999年9月までの1年4か月の間についても助成率引上げといったようなことをやってございまして、その助成率の引上げの状況については中小企業2/3、大企業1/2のところを中小企業3/4、大企業2/3というような形で助成を行っております。
 なので、1975年の創設以降全てということではなくて、今の3つのところでございますけれども、約6年ぐらい、助成率の引上げということを過去にも実施していたということになるかと思っております。ざっくりとで大変恐縮でございます。
○阿部分科会長 千葉委員、よろしいですか。
○千葉委員 ありがとうございました。
○阿部分科会長 それでは、馬渡委員、お願いいたします。
○馬渡委員 全国中央会の馬渡でございます。
 御説明ありがとうございました。私も中小事業者でありますので、コロナ特例の折には、仲間でも大変助けられた事業者がおり、大切なことは分かるのですけれども、雇用保険が失業した際の生活を守るためや事業者が雇用を維持できるようにするために役には立っていると思いながら、2点ほど意見を述べさせていただきたいと思います。
 1点目は、特例そのものの是非を今回このようにして振り返りという形で皆さん議論をされているということで、多分いろんな方がもう雇用保険部会でもおっしゃったかもしれませんけれども、払うほうからすると、保険料を負担する段階では想定していなかった特別な給付とか条件変更とか、そういうものが後出しであると、いかに緊急だとはいえ、非常に違和感がございます。あらかじめこのようにという想定はなかなか難しいのかもしれませんけれども、先ほどの分析の結果等も、震災などのいろんな場合の数値、それから傾向というのが出ておりますので、いつも言っているのですけれども、あらかじめこのように使えますよという周知がない場合については、国のほうでも、ちゃんと予備費を備えておいていただきたいと思います。これからも、南海トラフとかいろんな大規模災害があったときに、「前にも雇調金使ったから雇調金使うからね」と言われるのはものすごく困るなあと思っています。
 2点目は、我々、物流事業者なのですけれども、特例における支払事由というのがありまして、例えば九州辺りで鳥インフルエンザというのがたまに起こります。直接鳥インフルで影響があった方々には早急に手当てがされるのですけれども、運べるものがなくなった場合の運送業者みたいなところは、実は今まで毎日100%運んでいたのが、次の日から5%しかないとか、そのようにして甚大な影響を受けることもあります。ぜひ間接的に損害をこうむる事業者についても緊急時に御配慮いただきたいと思いまして、せっかくの議論の中でございますので披露させていただきました。ありがとうございます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは、事務局から何かあればお願いします。
○立石雇用開発企画課長 御意見頂戴いたしましてありがとうございます。
 まず1つ目の特例そのものの是非につきまして御指摘を頂戴いたしましてありがとうございます。この後、資料1-3に関連しまして、今後の取りまとめに向けた議論のたたき台のほうを事務局で御用意させていただいておりますけれども、その際にも少し、例えば震災などについて一定程度こういう方向で使ってはどうかというような案も御用意させていただいているところでございます。改めてそこで御議論いただけると大変ありがたく存じます。
 また、2番目の特例に係る事由のところで、直接鳥インフルエンザということで具体例いただきましたけれども、影響があったという事業者には早急に手当てがあるというようなこと。ただ、間接的な影響をこうむる場合にも配慮していただきたいというような御指摘をいただきました。ありがとうございます。
 鳥インフルエンザで直接影響を受けて、例えば鳥インフルが発生してしまった農場なんかにつきましては、実は雇調金は、通常措置、もう使えないということにはなってございます。ただ、間接的に影響を受ける場合には、経済上の取引の問題として、通常制度については使えるというような対応をさせていただいているかと思います。
 いずれにしましても、様々な危機の際に影響を受ける事業所あると思っておりますので、分科会の場で御相談をしながら、また必要性について政府内、厚労省内でも検討しながら対応させていただければと存じます。
○阿部分科会長 馬渡委員、よろしいでしょうか。
○馬渡委員 はい。ありがとうございました。
○阿部分科会長 それでは、そのほかに御質問、御意見ございませんでしょうか。
 では、黒澤委員、お願いします。
○黒澤委員 ありがとうございます。分析のほうで御質問3つあります。
JILPTの高橋様の資料の12枚目右側です。これは21年ファーストクォーターから1年にわたって受給された事業所の雇用量の推移だと思うのですが、右側はちょうど3年たった24年度のファーストクォーターのところでがくんと下がっているのが見て取れるのですが、それはどういう状況を示すのでしょうか。
 最長受給期間が3年であったということで、その受給期間が終わったときに雇用量が減ったことを示すのかどうか、そしてそれと同時に、もし雇用量のドラスティックな減少が起こったのであれば、10枚目のスライドの廃業率にもそれが反映されるはずではないかと思ったのですけれども、廃業率にそのような影響は見られません。ですのでその辺りについて御説明いただきたいというのが2点目です。
 もう一つは、今回、支給期間が長くなると雇用量維持の効果が薄まるという知見が得られたわけですが、今回の雇調金特例では、期間を長くしただけでなく、生産量要件の緩和ですとか雇用量要件の撤廃も同時に実施したわけですね。そうした要件の緩和自体が、そもそもそのショックが起こる前からだらだらとだめになってきた企業の延命につながっていたのかどうかという観点で、何か知見が得られたのかどうかについても教えてください。
 以上です。ありがとうございます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
○高橋JILPT主任研究員 JILPTの高橋です。
 まず1つ目のほうでございますが、特に輸送用機械のほうでグラフの形状がそのようになっておりますが、これは同じ報告書の中で、受給時期がこの21年のときだけでなく、22年に受給していた場合とか、21年からいついつまでの通算の中で受給していたなど様々な分析を、表を載せております。その中で、このグラフを選びましたのは、21年に受給していて、その時期、あるいはその後の維持回復が非常にはっきりしているグラフとしてお示ししております。
 確かにこのグラフにおいて24年のところで大きく減っている形になっているのですが、これはかなりこのグラフで特殊なものとなっていますので、特段これがその後に、23年、24年になって下がったということを読み取る目的で提示したものではございません。その点の解釈については留保させていただきたいと思います。
 そしてもう一つの要件の緩和についてどう見るかでございますが、コロナのときは、もともと10%のものだったというものが、すみません、詳細は厚労省さんの資料にあるかと思いますが、要件緩和の仕方がほぼ全体的な時期を通じて同じだった、コロナ禍においてこの時期に要件を大きく緩和したとか、また厳しくしたというタイミングがなかったということもありまして、雇用量要件の程度によって効果がどう違うかという明確な分析はしていないというのが実態でございます。
○黒澤委員 ありがとうございます。
○阿部分科会長 ほかに御意見、御質問ございませんでしょうか。
 よろしいですか。
 では、特にないようでしたら、最後に事務局説明、それからJILPT説明も踏まえて、資料1-3の報告書のたたき台を事務局で作成いただきましたので、説明をお願いしたいと思います。
○立石雇用開発企画課長 事務局でございます。
 それでは、資料1-3を御覧いただければと存じます。本日お示しした事務局資料やJILPTさんからの調査・分析等を踏まえまして、今後の雇用調整助成金の緊急時の在り方につきまして、報告書の取りまとめに向けて事務局においてたたき台を作成させていただいております。本日このたたき台で御議論いただきまして、その御議論などを踏まえまして、次の議論の機会に、分科会長とも御相談をしながら報告書案を作成し、また本分科会で御議論をお願いできればと存じております。
 それでは、資料1-3でございます。まず、1の「はじめに」においてでございます。ここで雇調金の意義や、それから今般御議論いただく経緯、意義などについて記載させていただいております。今般御議論いただく経緯、意義につきましては、2つ目のポツでございますけれども、緊急時における雇用の維持・安定への支援について平時に検討を行う必要について指摘がなされたことを踏まえ、過去の特例対応の具体例や調査・研究等の結果を踏まえつつ今後の緊急時の在り方について検討と記載をさせていただいております。
 また、2の雇用調整助成金の主な支給要件等とその考え方でございます。雇調金の主な支給要件のうち、資料1-1で御説明しておりました生産量要件ですとか支給日数、期間、またクーリング要件、助成率などにつきまして、特にこういった特例の内容となるような要件につきまして、その内容や考え方について、まずここで整理してはどうかということで記載をさせていただいております。
 また、3の過去の特例措置に関する事例の整理と4の過去の特例措置に関する調査研究等の整理では、先ほど事務局から、またJILPTさんから御説明いただいた過去の特例対応やその実績、それから調査・研究、それから諸外国の例、そういったものをここで整理をしてはどうかと考えてございます。
 次に、過去の特例措置、調査・研究等を踏まえた今後の緊急時の雇調金の在り方の項目でございます。こちらにつきましては、過去の特例措置や研究分析等における示唆を踏まえて、今後の在り方について方針を整理してはどうかと考えております。
 それに当たりまして、まず、なぜ通常時の制度があるにもかかわらず、さらに特例措置を講じる必要があるのかという点につきまして、先ほど御意見もございましたけれども、その意義を確認するために御議論いただければと思ってございます。
 (1)の緊急時の特例措置の意義についてということで、事務局のほうからその意義について整理させていただいた案といたしまして、1つ目のポツ、緊急時には一定規模の範囲に急激な経済情勢や雇用環境の悪化が発生し、社会インフラやサプライチェーン等が広範かつ一斉にダメージを受け、個々の事業主、労働者の努力での状況改善は困難。2つ目のポツ、通常時の支援内容よりも手厚い特例措置を講じることは、一定期間強力に雇用維持を促し、その間に必要に応じて事業主の経営改善や労働者の再就職の準備期間の確保を図る緊急避難的措置であり、個々の事業主、労働者のみならず、社会全体としても合理的と、一旦事務局のほうでそのように整理させていただいております。
 次に(2)の経済変動についてでございます。ここでは、先ほど御説明した資料で前例となるのはリーマンショックとなっておりますけれども、特例の対象としてはリーマンのときのような一定程度大きな経済危機時において特例措置を実施するということ、それから、先ほど資料1-1で御説明したとおり、特例の対応については、一気に全てやる場合ばかりとは限らず、まずは生産量要件の緩和、状況を見極めて、さらなる助成率や支給日数の引上げといったように、段階的な対応を行うことも必要ではないかということで、そのような記載をしてございます。
 また、特例の内容や特例期間につきましては経済変動の状況にもよることから、経済変動の影響の大きさとか労働市場の状況等によるということもございますので、今回の議論で決め切るということではなくて、そういったことを見ていくとともに、先ほどの調査研究等で得られた分析結果等も踏まえながら、その時々において、当分科会においてデータ等を踏まえ、現場を熟知する公労使が議論を行って適切に判断すると書かせていただいております。
 また、その際、過去の特例においても、段階的にその内容を変更、見直しをしており、政策効果を適切に発揮するために定期的な状況判断を行って特例の内容や期間を適切な水準とすることが重要と記載させていただいております。
 (3)の自然災害等についてでございます。ここでは、災害についてはその数も非常に多く規模も様々ということでございますので、ここは一定の基準を事前に定めておくことも重要なのではないかということでそのように記載をさせていただいております。
 先ほど資料1-1でも御説明のとおり、かなり前例が積み上がっておりまして、一定の対応パターンができているところではございますが、改めてこの分科会においてその発動基準や特例の内容を確認して、基本的な方針を定めて迅速な対応が図れるようにすることが重要ではないかということで記載をさせていただいております。
 発動の要件につきましては、直近の10年ほどで確立してきました、3つの資料にもございました政府全体の本部の設置等の動きですとか、それから企業活動への影響として激甚災害法第12条の中小企業の被害ということを参照させていただくということ、それから、重要な雇用への影響、そういったことを参照して発動の要件としてはどうかということで記載させていただいております。
 また、その特例の内容につきましては、激甚災害法による局激指定の場合には、雇用への一定の影響があると認められる場合には、これまで生産量要件の緩和ということで対応してまいりました。また、本激の場合につきましては、それに加えて、被災地などについて手厚い支援ということで、助成率、支給日数の引上げまで行うということで対応してまいりましたので、そういった方向で記載させていただいております。
 また、特例の期間につきまして、自然災害につきましては、過去の例として支給期間についてはほぼ1年間ということになっておりますので、まずは基本的に1年間とした上で、能登のような事例もございますので、特殊な事例もあると思いますので、そういった場合には、個々の事例の判断に当たって、被災地の労働市場や被災、復興の状況、現地労使の状況等を踏まえつつ、当分科会において公労使が議論を行って適切に判断と記載をさせていただいております。
 次に、(4)のコロナ禍類似の危機についてでございます。ここでは、項目、「コロナ禍類似の危機」としておりまして、少し表現ぶりが分かりにくくなっているかもしれませんが、ここで想定している内容といたしましては感染症だけということではなくて、先般のコロナ禍のように、一部地域や産業にとどまらず、全国的に長期間にわたり経済活動に多大な影響を与え、特例の水準や支給期間など支給規模が極めて大規模になるような場合には、コロナ禍類似の危機と整理できるのではないかということで、このように項目立てをさせていただいております。
 また、コロナ禍においては政府による行動制限という異例の事態の中で雇調金の支給決定額は6.5兆円に及んだということを踏まえまして、1つ目のポツでございますけれども、コロナ禍時の対応は、人命のために政府が経済活動及び人的接触を徹底的に制限した結果、事業活動が急激に縮小した事態に迅速に対応するため、既存施策である雇用調整助成金により対応を行った異例のものとした上で、このため、今後、コロナ禍と状況が類似するような危機が発生した場合の対応の在り方につきましては、(2)の経済変動や(3)の自然災害等とは対応の在り方が異なることも考えられるが、ここでは仮に雇調金の特例対応が求められる場合について検討するというような記載にさせていただいております。
 その上で特例措置の実施としては、まずは生産量要件の緩和を行い、影響を見極めた上で助成率や支給日数の引上げ等を行う、危機の状況に応じた対応。また、特例の内容、特例期間については経済への影響の大きさや労働市場の状況に加えて、これまでの調査・研究結果等も踏まえ当分科会において公労使が議論を行って適切に判断。その際、政策効果を適切に発揮するために定期的に状況判断を行って、特例の内容や期間を適切な水準とすることが重要といったような、経済変動の場合と同趣旨の記載ぶりとさせていただいたものでございます。
 資料1-3につきまして御説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして御質問、御意見がございましたら、挙手又は「手を挙げる」ボタンをクリックし、私が指名した後にお名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。
 ではまず、新田委員からお願いします。
○新田委員 経団連、新田でございます。音声は大丈夫でしょうか。
○阿部分科会長 はい、大丈夫です。
○新田委員 まず、「資料1-1 雇用調整助成金の緊急時の在り方の検討について」「資料1-2 雇用調整助成金の緊急時の雇用維持効果に関する分析結果の考察」の内容を、適切に配する形で、「雇用調整助成金の緊急時の在り方について」のたたき台をまとめていただいたことに感謝申し上げます。
 たたき台を見ますと、「1 はじめに」「2 雇用調整助成金の主な支給要件等とその考え方」「3 過去の特例措置に関する事例の整理」「4 過去の特例措置に関する調査・研究等の整理」とあって、今回のたたき台のメインは「5 過去の特例措置、調査・研究等を踏まえた今後の緊急時の雇調金の在り方」だと承知しております。その「今後の緊急時の雇調金の在り方」は、(2)で経済変動について、(3)で自然災害について、そして(4)でコロナ禍類似の危機についてまとめられていると理解しております。
 (2)の経済変動につきましては、まず生産性要件の緩和を行った上で助成率とか支給日数の引上げで対応していくという、段階的な対応とすることについては一定の合理性があると感じております。加えて、当分科会において公労使がしっかり議論を行って適正に判断すると言及されていることも非常に重要なことだと考えております。
 (3)の自然災害等につきましては、これまで様々なケースがあり、一定の対応パターンが形成されており、それに準じ、例えば特例期間について、過去の実績を踏まえて1年間を基本とするとあります。これについても一定の合理性があり、この内容で進めていただければと考えているところでございます。
 このたたき台の肝は(4)コロナ禍類似の危機についてだと思っております。まさに資料5の2ページの最後に「異例のもの」と書いてあるとおり、コロナ禍類似の危機の扱いについてどうするかが非常に重要なことだと承知しております。全体的には(2)の経済変動に準じた対応ということかと思っております。(4)のコロナ禍類似の危機の記述に関連して、これまで何度もこの分科会で申し上げておりますが、改めて雇用調整助成金に関しての考え方を申し上げておきたいと思います。
 雇用調整助成金は、本来、事業活動縮小を余儀なくされた場合の失業予防、あるいはその他雇用の安定を図ることを目的に実施されるものと考えております。先般のコロナ禍において非常に長期間にわたり特例措置を講じて大幅な支給がなされたことは、その趣旨、範囲を超えたものではなかったかと思っています。
 とりわけ、雇調金の財源である雇用保険二事業は全額事業主支出であるにもかかわらず、コロナ禍において、当分科会での議論を十分に経ないままで特例の延長が事実上決定された時期があったことについては非常に遺憾に思っているところでございます。こうしたコロナ禍における一連の対応に対する評価につきまして、今回、このたたき台にも示されておりますが、しっかりとまとめて、教訓としてきちんと記述しておく必要があると考えています。
 特にコロナ禍類似の危機への対応について、政府の判断による迅速な対応の実施について何ら否定するものではございません。しかし、仮に特例措置を実施する場合には、その特例の内容や期間、特に財源について、この分科会の場でしっかりと議論した上で決定していくことを原則とする旨を、取りまとめの際には明記していただきたいと思います。
 加えて、失業等給付の積立金から多額の資金を借り入れている結果、現在も雇用安定資金の残高は非常に厳しい状況に置かれており、雇用保険二事業が有する機能が十分発揮できない可能性がいまだあると考えているところでございます。
 したがいまして、今後こういった危機がないことを切に願っておりますが、コロナ禍類似のような事態が発生し、今後、大規模かつ緊急な対応が必要な場合には、やはり一般財源の投入を含めた検討が必要であることをぜひ盛り込んでいただきたいと思っております。その際には、これまでの類似ケースを教訓にして、どのような規模感で行うか、緊急性の度合いやその程度、影響を受けている業種・労働者についてしっかりと整理・分析をした上で考えていく必要があるということも併せて記述していただきたいと思っております。
 長くなりましたが、私からは以上でございます。
 ○阿部分科会長 ありがとうございました。事務局から何かありますか。いいですか。
○立石雇用開発企画課長 ありがとうございます。非常に重要な御指摘を頂戴したと思いますので、本日の御議論を踏まえて、分科会長とも御相談しながら、次に向けての報告書案のほうを作成し、また当分科会において御議論いただければと存じます。
○阿部分科会長 新田委員、よろしいですかね。
 ありがとうございます。では、清田委員、お願いします。
○清田委員 ありがとうございます。まず、こうした雇調金の在り方に関する議論の場を設けていただいたことについて改めてお礼を申し上げます。加えて、過去の類型等含めて資料の整理をいただきありがとうございます。
 雇調金について、JILPT様の研究結果からは、原則として、景気の変動等の経済上の理由で事業者の事業活動が縮小される場合に、雇用維持のための一時的な支援策として活用するべきである一方、随時雇用状況等を含めて見極めていくことが重要である点を御示唆いただいたものと受け止めております。
 その上で、過去特例措置を行った大規模な経済変動、自然災害、コロナ禍類似の大規模な危機の3類型に整理して提示をいただいたことに対し、今後の在り方を検討するに当たっての意見を申し上げたいと思います。
 ただいまの新田委員の意見と重複するところが大変多くございますが、まず、経済変動いわゆるリーマンショック時の特例措置に関しましては、そもそもの雇調金の目的と一致していることから、特例措置を設けたことは妥当であると思う一方、大規模な経済変動がどの程度のものを指すのかについて、随時議論するということではございますが、予見可能性を高めるためにももう一歩踏み込んだ整理があってもよいのではと考えます。
 続いて自然災害につきましては、景気の変動が直接的な影響ではない一方で、激甚法への指定を要件とする整理を行うことによって、特例措置を設けることも妥当であると考えます。他方、JILPT様の研究結果を踏まえますと、期間については1年を基本とするということも妥当であるとは思いますが、記載のとおり、能登半島等のような地理的な要因などで特殊な影響がある場合については随時検討していくことが必要であると捉えております。
 最後に、コロナ禍類似の大規模な危機について、記載にもございますが、コロナ禍の特徴として、景気、経済への影響が広範囲かつ長期間にわたった点や、国からの活動自粛要請が大いに影響したという点が特徴でございます。
 この影響の大きさを考えますと、支援が必要であったという点は間違いございませんが、雇調金での支援の範囲を大いに超えていたものと受け止めております。今後同様の事態が起きた場合においては、何をもってコロナ禍類似の大規模な危機とするのかについては整理が必要ですが、少なくとも、感染症に限らず、非常に大規模な経済変動、自然災害を含めて、その影響が極めて強く、広範囲、長期にわたるとみなされた場合においては、二事業の予算による支援ではなく、一般財源を用いた支援とすることが適当という点を改めて申し上げたいと思います。
 私からは以上です。
 ○阿部分科会長 ありがとうございました。では、宮田委員、お願いいたします。
○宮田委員 ANAの宮田でございます。
 今回このような取りまとめをいただき、ありがとうございます。新田委員、清田委員と重なるところが多いですけれども、特に今回、雇調金に関しては、コロナ禍の今まで想定しないような対応の中で、ここは改めて平時の中できちっと整理するということは大きな意味があるかと思っております。
 コロナ禍に関しては、両委員からもありましたように、これまで経験したことがないような大規模かつ長期にわたったということで、その中でできる対応ということで進めてきたと思っておりますし、特に私ども航空会社にとっても、まさに雇調金がなければ厳しい状況がずっと続いていた中で大変ありがたく思っております。
 そういう意味で、今回、様々な調査の中で、長規模にわたったことによってのデメリットというところも出されておりましたし、そういう側面もあるかとは思っているのですけれども、ただ、雇調金の目的が一時的な支援策ということだけではなく、今回、コロナを経て身にしみて思ったのが、雇用を維持していたからこそ、コロナからの復興のときに、社会インフラである航空であったり輸送がきちっと機能したということは、諸外国では、雇用を切ったためになかなか航空輸送も戻らなかったという状況もありまして、まさにこの雇調金というものに値するかどうかは別としても、そういうぐらいの大きな規模の支援が必要な事態だったのかなあと思っています。
 そういう意味では、雇調金が今回、コロナの中で大変大きく寄与していただいたというところが1つと、そういう意味では、長きにわたっていくと、その状況であったり業種によってその雇調金に対するデメリット、メリットの状況も変わってくるということですので、より丁寧な検討をしていくことが必要かと思っています。
 あとは、これだけの支援が必要だという状況はあるものの、やはり財源を含めてこの形でいいのかどうかということは、このような大きな影響あることが起きるということも十分想定されますので、この中でしっかり議論していくことができればと考えております。
 私のほうからは以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。事務局から何か。
○立石雇用開発企画課長 先ほどの繰り返しになりますが、御意見をしっかり踏まえて、次回の準備のほう、分科会長と御相談させていただければと存じます。
○阿部分科会長 では、冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。まず、ご説明と、資料の整理等いただいたことに、感謝申し上げたいと思います。その上で、毎年のように大規模な自然災害が発生している状況の中で、今回のような検討を行うことは大変意義があると思っており、その観点から3つ意見を申し上げます。
 まず1点、資料1-3の5の(1)緊急時の特例措置の意義についてです。2つ目のポツのところに、一定期間強力に雇用維持を促し、その間に必要に応じて事業主の経営改善、労働者の再就職の準備期間の確保を図るという記載がございます。これはあくまで緊急時における対応ということで、そのこと自体は一定理解できます。しかし、コロナ禍においては、「雇調金がいたずらに無駄な雇用を温存する」あるいは「産業構造の転換を遅らせている」など、平時の場合にもそうしたことがあるような、緊急時と平時とを混同させた発言をされている方もおられた印象を受けていました。雇用の維持が依然として本来の雇調金の主たる目的の一つであるということについては、誤解のないように記載いただくことが重要ではないかと思っております。
 また、(2)から(4)の記載につきまして、要件等の方向性は大きな違和感はございません。いずれも基本的には、災害の規模や地域の実情等により異なってくると思いますので、本分科会において公労使が議論を行って適切に判断するとされていることは非常に重要と考えています。
 なお、措置の内容等を議論する際には、資料1-1の28ページに労働者アンケート結果がございますが、雇用先の会社に戻れるか不安である、あるいはモチベーションの低下といったような労働者の声も踏まえつつ適切な期間等も含めて検討していくことが必要と思っております。
 それから財源についてですが、十分な財源の確保は非常に重要です。特に資料1-3(4)の中で、仮に雇用調整助成金の特例対応が求められる場合について検討とあります。先ほど清田委員からもございましたが、今後、コロナ禍類似の大規模な危機に際して、国を挙げた対策を実施するという局面では、どこまで雇用調整助成金という趣旨の中でやるべきかについては、よく考えなければならないと思います。原則的には、雇用保険財源ではなく一般財源による措置とすることが重要であり、その上で、危機の状況に応じた対応を本分科会で議論し合意形成していくべきと考えますので、その点も含めて議論を深められればと思っています。
 以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
 よろしいですか。
 もし皆さんのほうからなければ、私から最後に一言だけ発言させていただきたいと思います。
 本日、事務局から取りまとめいただきまして、皆さんも御指摘いただいたとおり、なぜ緊急時に特例措置が必要なのかというのを整理していただいて、その緊急時というのは経済変動、自然災害、そしてコロナ禍類似の危機と整理していただきました。皆さんのほうからもコロナ禍類似のところで御議論があったと思いますが、私も、この点については、少しエビデンスを前提にしながら事務局のほうで取りまとめいただきたいなと思っております。
 先ほど冨髙委員からも、コロナ禍の際に、雇用維持ということと、対してマーケットをゆがめるような役割が雇用調整助成金にあったのではないかと、そういう議論がごちゃ混ぜになっていたというような話もあったと思いますが、確かにそのとおりではないかと思っていまして、というのは、高橋主任研究員の御発表でありましたように、リーマンショック期の効果とコロナ期の効果が相当違っているのではないか。特に受給事業所の雇用成長率が、リーマンショック期はプラスでしたが、コロナ期はマイナスだったということは、コロナ期とリーマンショック期で何が違っていたのかというのがあったように思います。
 黒澤委員からも御発言ありましたが、多分、コロナ期の緩和措置がリーマンショック期に比べてより緩和されていたとか、あるいは支給上限額が1万5,000円という高額であったとかいうことで、本来、我々が望むような事業所ではなくて、先ほど出てきたようなゾンビ企業のようなところまでも支給対象になっていた可能性はあるのではないか。そういったところがもう少し整理されてくると、清田委員がおっしゃっていたと思いますが、予見可能性というのですか、こういう場合にはこういう緩和をする、こういう場合にはこの程度までの緩和にしていくということをある程度見せていけるのではないかと思いましたので、その辺りも事務局等で少しお考えいただければいいかなあと思いました。
 私からは以上です。その他皆様から御質問、御意見がなければ。
 中窪委員、お願いいたします。
○中窪委員 追加で申し訳ありません。私もやはりコロナについてはちょっと違うというイメージがございまして、たたき台では、過去の事例について3つ、経済変動、自然災害等、感染症と分けていて、将来に向けてもそれぞれに対応する3つになっていると思うのですが、経済変動と、自然災害等はいいのですけれども、最後の「コロナ禍類似の危機」というのが引っかかりました。事務局のほうでも言葉について若干、分かりにくいかもというお話がありましたけれども、コロナ禍は本当に特別、唯一無二といいますか、少なくとも過去になかったような規模の、直接に人命に関わるようなことであり、かつ、それがまたいつどういう形でおさまるか分からないという意味では、非常に特殊なケースだったと思うのですね。
 ですから、そういう予想外の危機が将来またあり得るかもしれないけれども、これって、コロナ禍類似となるかどうか分からないと思います。コロナ禍のような、従来の類型には当たらないような、しかし、特別の対応が必要な、そういう大きな危機といいますか、カテゴリーとしてはそういうものになると思いますので、ちょっと類似という言葉について再検討いただければと思います。
○阿部分科会長 ありがとうございます。では、どうぞ。
○村山局長 職業安定局長、村山でございます。本日は、公労使各側の委員の皆様から、本当に踏み込んだ、また様々な御知見を踏まえた御意見をいただきましてありがとうございました。
 最後、各委員の皆様からの深い御意見を踏まえて、分科会長と中窪委員におまとめいただいたところは大変重要なポイントだと思います。御指摘いただいたように、類型としては経済変動、自然災害、感染症という類型があり、それとは別な観点で、分科会長からおまとめいただきましたように、単に規模だけではなくて、その期間とか対応等も含めて予見可能性の観点から、全く今までなかったような新しい課題がコロナへの対応でした。そこから何を将来に向けて学び取り、また共通の理解としていくのかということをきちんとまとめるようにというのが本日の議論における御示唆だったと思います。
 事務局といたしましても、様々御指導いただいた内容を踏まえ、次回に向けて、分科会長と御相談の上、たたき台を一歩前へ進めていきたいと思っているところです。本日は本当に良い議論をいただきましてありがとうございました。お礼でございます。
○阿部分科会長 ほかに御発言ございますでしょうか。
 よろしいですか。
 では、特にないようでしたら、本議題は以上とさせていただきます。本日予定されている議題は以上で終了いたしました。この際、委員から御発言ありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでございましょう。
 ありがとうございます。それでは、予定されている議題は以上で終了いたしましたので、本日の分科会はこれで終了とさせていただきます。ありがとうございました。