保険医療機関の管理者の要件・責務について

適切な管理能力を有する医師を各保険医療機関において確保するため、保険医療機関の管理者に要件を満たすことを求め、管理・運営に関する責務を担っていただくこととなりました。
1.改正の経緯
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【医師偏在対策に関するとりまとめ(令和6年12月18日)】(医師偏在対策に関するとりまとめ)
・2040 年頃に向けて、複数疾患や医療・介護の複合ニーズを抱えた高齢者の増加及びこれによる医療費の増加が見込まれるところ、このような高齢者を支える中心となる保険医療機関において、適切な管理能力を有する医師を各保険医療機関に確保するために、保険医療機関の運営管理の責任者として管理者を設け、この管理者に要件を求め、管理や運営に関する責務を課すことが考えられることが示されました。
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【社会保障審議会医療保険部会における議論(令和6年12月19日)】(社会保障審議会医療保険部会資料|厚生労働省)
・「医師偏在対策に関するとりまとめ」(令和6年12月18日新たな地域医療構想等に関する検討会)を踏まえ、これは「歯科においても必要であることから、同様に歯科の保険医療機関についても適切な管理能力を有する歯科医師を管理者として置くこととし、併せて検討する」ことが示されました。
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【医療法等の一部を改正する法律(令和7年法律第87号)の成立】
・医師偏在対策に関するとりまとめ等を踏まえ、第217回常会・第219回臨時会に医療法等の一部を改正する法律案が提出され、令和7年12月に成立しました。
・同法案において、保険医療機関の管理者に係る規定については、令和8年4月1日に施行することとされました。
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【中央社会保険医療協議会における議論(令和8年1月14日・16日)】(中央社会保険医療協議会 総会(第641回) 議事次第|厚生労働省)(中央社会保険医療協議会 総会(第642回) 議事次第|厚生労働省)
・法案成立を踏まえ、中央社会保険医療協議会において、保険医療機関の管理者の要件や責務に関する療養担当規則等の見直しについて議論を行い、見直しについて中央社会保険医療協議会から答申されました。
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【社会保障審議会医療保険部会における議論(令和8年2月12日)】(社会保障審議会医療保険部会資料|厚生労働省)
・社会保障審議会医療保険部会においても、保険医療機関の管理者に係る届出に関する見直しに関する議論がなされ、了承されました。
2.要件(健康保険法第70条の2第1項に掲げる管理者の要件)
○ 令和8年4月1日から、保険医療機関の管理者となるためには次の要件を満たす必要があります。
○ ただし、令和8年4月1日時点で管理者である方は、同一保険医療機関の管理者である限り、3年間は引き続き管理者であり続けることができます。
【基本的な要件】
【令和8年4月1日時点で臨床研修を終えていない方】
①保険医であること。
②臨床研修修了後、病院または診療所(医師の場合は病院に限る)において3年以上保険診療に従事した経験を持つこと。
【令和8年4月1日時点で臨床研修を終えている方】
①保険医であること。
②臨床研修期間を含め、病院または診療所において3年以上保険診療やその他の業務に従事した経験を持つこと。
【その他の要件】
上記のほか、次を満たす場合も管理者となることができます。
・地域枠で入学した医師、自治医科大を卒業した医師などのキャリア形成プログラムの適用を受けている者または適用後3年以内であること。
・一般社団法人 日本専門医機構が認定する専門医の資格を持つこと、専門研修プログラムの修了後3年以内であることまたは産業医科大学の専門産業医コースⅠ若しくは専門産業医コースⅡを修了した者であること。
・医師または歯科医師としての専門知識を活用して公務員として5年以上の勤務経験があること。
・保険医としての3年の診療従事要件や医師・歯科医師である公務員としての5年の勤務経験について、転職等で複数の経験のある場合は、合計5年を超える経験があること。
・緊急に保険医療機関を承継するなど、やむを得ない理由のある者であること。
3.勤務要件
○ 保険医としての3年の診療従事経験等は、一定の経験を担保するため、週4日以上常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週31時間以上であることを基本とします。
○ また、これを1か月単位で満たすか否かを判断します。このため、3年の診療従事経験の場合は、これを36か月満たすことが原則必要です。
【配慮措置】
上記の勤務要件については、次のとおり配慮を行うこととしています。
① 所属する医局や法人の人事の都合により、1週間に複数の保険医療機関で勤務する必要がある方の勤務要件については、1つの保険医療機関において週2日以上常態として勤務、かつ、勤務する保険医療機関における診療に従事する時間の合計が週31時間以上とすること。
② 育児・介護により所定労働時間が短縮された方については、週4日以上の常態としての勤務要件を求めず、所定労働時間が週30時間以上であることのみとすること。
③ 大学や大学院等に在籍しており、学業や研究等が本業である上で、診療に従事している方については、週2日以上常態として勤務、かつ、診療に従事する時間が週16時間以上である場合は、当該期間の1/2を経験年数に算入可能とすること。
4.責務
保険医療機関の管理者は、健康保険法・療担規則等に基づき、次の責務を果たすことが求められます。
① 保険医療機関に勤務する医師、歯科医師、薬剤師その他の従業者を監督するとともに、当該保険医療機関の管理及び運営につき、必要な注意をすること。
② 保険医療機関内の保険医が、保険診療を行うに当たって遵守する事項を定めた療担規則を遵守するよう監督すること。
③ 保険医療機関内における、診療報酬の請求や施設基準の届出などの手続が適正に行われるよう監督すること。
④ 保険医療機関内の診療録の整備、帳簿などの書類の保存が適正に行われるよう監督すること。
⑤ 保険医療機関内の医師、歯科医師、薬剤師その他の従業者の連携を図るとともに、地域の病院や診療所などとの連携を図ること。
※ 管理者が故意または重大な過失により、これらの責務を怠り、不正または不当な診療または診療報酬の請求が行われた場合は、管理者の保険医の資格を取り消すことがあり得ます。
5.手続
○ 保険医療機関の管理者については、従来から、保険医療機関の新規指定又は管理者の変更の際に、その氏名等を届け出ることとされていることから、施行日以降、保険医療機関の新規指定又は管理者を変更する場合には、従来どおり手続を行ってください。
○ 一方で、手続の際には、従来から以下の変更点があります。
- 保険医療機関の管理者についての届出をしていただくときには、あわせて、添付書類の添付をお願いします。様式はこちら(準備中)。
- 書面により申請を行う場合には、従来の申請様式に「健康保険法第70条の2第1項に掲げる管理者の要件を満たしている旨」の欄が追加されていますので、当HPの「2.要件」をご確認の上、満たしている場合は□にチェックをしていただき、あわせて、上記1の書類の添付をお願いします(管理者の要件を満たしていない場合、管理者となることはできません)。
- 保険医療機関等電子申請・届出システムにより電子申請を行う際も同様に、上記1の書類を同システム上で添付をお願いします。
- 電子申請画面で、「健康保険法第70条の2第1項に掲げる管理者の要件を満たした場合は、要件を満たすことを確認することができる書類を添付して申請をお願いします」とあるのは、上記1の書類の添付をお願いします。
6.Q&A
Q1.保険医となって10年目の医師ですが、病院での勤務経験は臨床研修中の2年間のみです。この場合、管理者になることができますか。
A1.管理者になることができます。令和8年4月1日時点で臨床研修を修了されていますので、病院・診療所を問わず保険診療その他の業務に従事した経験が3年以上ある場合は管理者の要件を満たします。
Q2.現在歯科診療所の管理者をしていますが、臨床研修修了後すぐに開業したため、過去に要件を満たす期間の経験がありません。令和8年4月1日に管理者を辞めなければいけないのでしょうか。
A2.令和8年4月1日時点で管理者である方は、その時点で要件を満たしていなくとも、令和11年3月31日までの間は、同じ診療所の管理者として勤務することが可能です。他の保険医療機関において管理者として勤務する場合や、令和11年4月1日以降に管理者として勤務する場合は、臨床研修中の経験を含めて、病院・診療所を問わず保険診療その他の業務に従事した経験が3年以上必要となります。
Q3.今年(令和8年)の3月31日に臨床研修を修了しますが、管理者になるためには、あと何年働く必要がありますか。
A3.令和8年4月1日時点で臨床研修を修了されていますので、臨床研修中の経験を含めて、病院・診療所を問わず保険診療その他の業務に従事した経験が3年以上となれば、管理者の要件を満たせます。従って、医師の方はあと1年、歯科医師の方はあと2年の経験が必要です。
この他の事例については、7.関連資料に掲載しているQ&Aをご参照ください。
7.関連資料
審議会資料
通知
施行通知(準備中)
リーフレット
リーフレット(準備中)

