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- 2026年3月12日 第28回 健康・医療・介護情報利活用検討会医療等情報利活用WG 議事録
2026年3月12日 第28回 健康・医療・介護情報利活用検討会医療等情報利活用WG 議事録
日時
令和8年3月12日(木)13:00~14:00
場所
WEB会議
厚生労働省共用第8会議室(事務局、報道関係者のみ)
厚生労働省共用第8会議室(事務局、報道関係者のみ)
出席者
- 構成員(五十音順、敬称略)
-
- 秋山 祐治
- 小尾 高史
- 澤 智博(座長)
- 高倉 弘喜
- 武田 理宏
- 田宮 菜奈子
- 長島 公之
- オブザーバー(五十音順、敬称略)
-
- 安藤 公一
- 岩津 聖二
- 喜多 紘一
- 小泉 立志
- 高野 博明
- 高橋 肇
- 田河 慶太
議題
(1) 電子カルテの普及について
(2) その他
(2) その他
議事内容
開会
【田中推進官】 事務局です。定刻になりましたので、ただいまより「第28回健康・医療・介護情報利活用検討会 医療等情報利活用ワーキンググループ」を開催いたします。皆様におかれましては、ご多用のところ、本ワーキンググループにご出席いただきましてありがとうございます。本日は、構成員の皆様はオンラインによる開催とし、会場での傍聴は報道関係者のみとしています。その他の傍聴希望者は、傍聴用 Zoom ウェビナーから傍聴しています。また、議事録作成やいただいたご意見の整理を事務局で正確に行うため、録画させていただくことをご承知おきください。
次に資料の確認をさせていただきます。議事次第、資料1、参考資料1の計3点を事前にメールで送付しております。Web 会議の画面上で見えにくい時は、お手元の当該資料をご覧ください。
次に本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は印南構成員、小野寺構成員、笠木構成員、利光構成員、山口構成員、橋本構成員、山田構成員から欠席、武田構成員からは遅れての参加又は欠席の可能性もあるとのご連絡をいただいております。渡邊構成員につきましては、代理として日本薬剤師会より田中様にご出席いただいております。
会議中ご発言の際は「手を挙げる」ボタンをクリックし、澤主査の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、ご発言ください。ご発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。事務局からは以上となります。
それでは、澤主査、議事進行をよろしくお願いいたします。
議事
(1)電子カルテの普及について
【澤主査】 本日の議題は2つです。(1)電子カルテの普及について
(2)その他
です。議題1は報告事項となっています。まず議題1「電子カルテの普及について」、資料1にて事務局から説明をお願いします。
【田中推進官】 事務局です。資料についてご説明します。「電子カルテの普及について」です。昨年12月に開催された第26回医療等情報利活用ワーキンググループにて、現在の政府の電子カルテの普及に関する方針、また、電子カルテの標準仕様の策定を検討しているという内容についてご説明しました。その後、厚生労働省、デジタル庁、関係者の皆様と意見交換をさせていただき、現在、電子カルテの標準仕様の案について、ベンダーの皆様から意見を伺っている状況です。標準仕様の案、また、現在厚生労働省で検討しているその後の認証制度の具体的な内容について、本日お示しし、議論させていただければと思います。
資料の具体的な説明に入ります。3頁をご覧ください。まず「電子カルテシステムの普及状況の推移」として、現状の確認です。従前からご説明しているとおり、令和5年の電子カルテシステムの導入率は、一般診療所は55.0%、一般病院は65.6%となっていますが、200床未満の病院の数がそもそも多く、電子カルテ未導入の施設のうち9割近くが200床未満の病院というのが実態です。
資料4頁をご覧ください。こちらは日本医師会の「紙カルテ利用の診療所の電子化対応可能性に関する調査」というアンケート調査の結果をお示ししています。左下に記載のとおり、電子カルテの導入が難しい理由として、主に「IT に不慣れ(電子カルテの操作に時間がかかる)」、「導入費用が高額」といった内容が挙げられています。
資料5頁をご覧ください。従前から申し上げているとおり、医療 DX の推進に関する工程表の中で、「遅くとも2030年には概ねすべての医療機関において必要な患者の医療情報を共有するための電子カルテの導入を目指す」という目標を掲げています。加えて、先の臨時国会にて医療法の改正についてご審議いただきましたが、その際の国会修正によって、「地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律(地域医療介護総合確保法)」に第12条の3第4項の規定が設けられました。「政府は、令和12年12月31日までに、電子カルテの普及率が約100%となることを達成するよう、情報の電子化を実現しなければならない」という規定が設けられています。その際、下線部のとおり「クラウド・コンピューティング・サービス関連技術、その他の先端的な技術の活用を含め」検討すると規定されています。
資料6頁をご覧ください。こちらは昨年7月に開催した第7回「医療 DX 令和ビジョン2030」厚生労働省推進チームでお示しした内容です。資料中央の赤字の部分をご覧いただければと思います。電子カルテについて、オンプレミス型から、いわゆるクラウドネイティブを基本とする廉価なものへの移行という大きな方針を掲げています。
資料7頁をご覧ください。これまでの電子カルテシステムの普及に向けた取組の全体像をお示ししています。診療所と病院に大きく分けており、診療所については資料左上に記載のとおり、ここ数年でクラウドネイティブの電子カルテベンダーのシェアが拡大しています。こういった状況も受けて、中央の四角にあるとおり、診療所向け電子カルテの標準仕様の中で、クラウドネイティブ型であることや、政府の電子カルテ情報共有サービスに接続できることを定めて、その標準仕様に準拠した製品を今後認証して、普及を図っていきたいと考えています。また現在デジタル庁と共同し、標準型電子カルテの開発を進めているため、今後普及させていきたいと考えています。また、病院については、資料左下に記載していますが、皆様もご承知のとおりクラウドネイティブの製品も若干出てきているものの、提供するベンダーの数や製品の数がまだあまり多くない状況です。このようなことも受けて、病院についても今後、電子カルテの標準仕様をデジタル庁と共同して作成した上で、標準仕様に即した製品を認証し普及させていくことを考えたいと思っています。
資料8頁をご覧ください。今申し上げた標準型電子カルテの導入版についてです。こちらは昨年12月の第26回ワーキンググループでもご説明しましたが、先ほどのアンケート結果にもあるとおり、電子カルテの操作や IT に不慣れで活用が難しい、という声をいただいています。こうしたことから、クリック操作を主とする感覚的に使いやすいシンプルな画面設計とし、また、これを導入すれば、電子カルテ情報共有サービス等の政府の医療 DX サービスの利用が可能となります。そのようなコンセプトで、2026年度中の完成を目指し、現在開発を進めています。8頁下部に記載のとおり、標準型電子カルテ(導入版)の完成後は、通常の電子カルテの導入と同様に、地域の医科診療所の電子カルテ等のシステム提供事業者と連携し、それぞれの医科診療所への導入、具体的なセッティング、さらにはその後のフォローアップを行っていく必要があると考えています。システム事業者との連携のもと、医科診療所における一体的な普及を推進したいと考えています。
資料9頁をご覧ください。病院向け電子カルテの標準仕様の検討について、大きく3つの頁に分けて議論しています。「病院向け情報システム(電子カルテ・医事会計)のイメージ」の図の中央の赤枠で囲った部分のとおり、電子カルテ本体の標準仕様について検討を進めていることが、まず一つです。右上の赤枠部分のとおり、病院には多くの部門システムがあり、それらを電子カルテと連携させる必要があります。現状では、ほとんどハウスコードでそれぞれの部門システムと電子カルテを接続しているため、この部分の効率化のご要望を多くいただいています。今後、電子カルテと各部門システムの連携の標準インターフェイスを議論し、定めていきたいと考えています。さらにその下の赤枠部分のとおり、業務効率化アプリが最近かなり多く出てきています。こちらも標準 API、標準インターフェイスを策定し、効率的に連携していけるように考えているところです。
資料10頁をご覧ください。病院向けカルテの標準仕様作成の協議会(病院情報システム等の刷新に向けた協議会)として、分科会 A、B、Cについて記載しています。分科会 A では先ほど申し上げた電子カルテ本体の標準仕様について、分科会 B では部門システムとの連携について、分科会 C では業務効率化サービスとのインターフェイスについて議論しています。
資料11頁をご覧ください。こちらは後ほど詳細にご説明するため、ここでは簡単にお示しします。昨年12月の第26回ワーキンググループにてご説明した標準仕様の具体的な内容についてです。①政府の医療 DX サービスに対応していること、②クラウドネイティブ型の電子カルテであること等を中心に議論しています。
資料12頁をご覧ください。今後の大きな流れについてです。先ほどからご説明している診療所と病院の電子カルテ・電子カルテ情報共有サービスの普及について、基本的に2026年夏に電子カルテ・電子カルテ情報共有サービスの普及計画を策定することとしています。先ほど申し上げたような対策の内容について議論させていただいた上で、普及計画に盛り込んでいきたいと考えています。以上が全体像になります。
資料14頁をご覧ください。ここから、先ほど申し上げた電子カルテの標準仕様、その他の部分について、具体的な制度の内容のご説明になります。まず赤枠のとおり、今般、標準仕様を策定する範囲として、基本的には電子カルテ本体に関する標準仕様をお示ししています。右側の各部門システムとの連携については、先ほど申し上げたとおり議論を進めているところです。ただ現在、標準仕様を検討している協議会は、中小病院向けの標準仕様に関する議論を中心的に取り扱っており、今後、大病院も含めて標準仕様の議論をしていくにあたっては、右上の青枠に記載のとおり、令和8年度以降、関係団体、学会、ベンダーの皆様にもご参画いただき、引き続き検討を進めていきたいと考えています。
資料15頁をご覧ください。今申し上げたインターフェイスの議論について、事務局として、今後の進め方をこのように考えているというご説明です。先ほど申し上げたとおり、現場のシステム接続の効率化の観点から、標準インターフェイスを定めるべきとのお話を多くいただいています。先ほど申し上げたとおり、2025年度現在、病院情報システム等の刷新に向けた協議会で電子カルテ・レセコン・部門システムの連携仕様について議論しています。2026年度以降、改めて標準化を進めている関係団体・学会・ベンダー各社にも参画いただき、部門ごとに部会を立ち上げ、標準インターフェイスの構築について議論を進めたいと思っています。最終的なアウトプットとしては、それぞれ部門システムの接続に必要なコード・マスタ、交換規約、インターフェイス仕様書、記録条件仕様書等を具体的に策定し、2028年度以降、各製品への実装を目指していきたいと考えています。
本日ご欠席の利光構成員から、こちらの内容についてコメントをいただいています。病院のシステムをしっかりと動かしてしていく必要がある、例えば栄養関係のシステムも病院にあるため、議論のスコープに入れて、標準仕様と標準インターフェイスの議論も進めていくべきだ、というお声をいただいています。事務局としてもその辺りは強く認識していますので、栄養関係のシステムも含めて、この部会を構成し、関係学会にもご相談しながら議論を進めていきたいと思っています。この点を補足させていただきます。
続いて、資料16頁をご覧ください。標準インターフェイスの議論状況は、今申し上げたとおりで、こちらが本日の本題となる、電子カルテ本体の標準仕様(案)です。資料が少し細かいですが、左側の青色の部分をご覧ください。機能要件、非機能要件、アーキテクチャ、インターフェイス、その他と、大きく項目を区切っています。まず機能要件について、各電子カルテの UI や UX を統一化する趣旨ではありません。資料に記載しているとおり、政府の医療 DX サービス群に対応していることを機能要件に入れています。第26回ワーキンググループでもご指摘いただきましたが、電子カルテはクラウドを前提とした仕組みになっており、ここに掲げている政府の医療 DX サービス群もクラウドで構築しています。そういったことも含めてクラウド間連携が今後重要になってくると考えているので、具体的な内容については今後事務局で検討し、詳細についてお示ししたいと思っています。クラウド間連携が実現してから一定期間内での実装を前提に経過措置を設けることを考えています。非機能要件については、可用性として稼働率の実績が99.9%、いわゆるスリーナイン以上であること、セキュリティとして ISMAP 又は ISMS 認証を取得していること、また、ガバメントクラウドでも規定されていますが、ペネトレーションテストや脆弱性診断を実施し脆弱性に対する適切な対応を講じていること等を遵守項目として設けています。次がアーキテクチャです。アーキテクチャを規定しているのが、本標準仕様(案)の特徴的なところかと思いますが、先ほどから申し上げているとおり、クラウドネイティブ型であること、具体的には①から⑤に記載のとおり、現在ガバメントクラウドで指定されているパブリッククラウド環境で稼働することや、当然ながら SaaS 型、マルチテナント方式であること等を盛り込んでいます。インターフェイスについては、先ほど申し上げたとおり、一部検討中のところがあるため、検討が進みましたら、加えていきたいと思っています。その他の情報提供・公開の部分について、ベンダーのWebサイト上で、オプション機能を含めて電子カルテの価格を公開済であること等を盛り込んでいます。以上が標準仕様(案)の内容です。
資料17頁をご覧ください。標準仕様を具体的に決めて、今後どうしていくのかということをご説明します。先ほど申し上げたとおり、今後、標準仕様に準拠した製品を認証する仕組みを設けたいと考えています。具体的な認証のスキームについて、現段階でのイメージ(検討のたたき台)をお示ししています。17頁に記載のとおり、基本的に認証制度自体は厚生労働省が運営することを考えています。右側の①にあるとおり、標準仕様を策定し、厚生労働省の HP に掲載し、その後、標準仕様の要求事項への対応を各ベンダーで行っていただいた上で、厚生労働省に申請いただく流れを想定しています。申請内容を厚生労働省が審査した上で、具体的な認証を行っていくことを考えています。その後、基本的に標準仕様は順次更新されますので、ベンダーの皆様には更新された内容へ都度対応いただいた上で、更新の申請を上げていただくことを考えています。
標準仕様の更新も含めた今後の長期的な認証制度の運用のイメージについて、資料18頁をご覧ください。厚生労働省が標準仕様を定めた後、どのような形で認証制度が運用されることを想定しているのかを記載しています。例えば、X 年度で標準仕様を定めて、X+1年度から具体的な申請の受付と認証審査、X+2年度から具体的な認証有効期間のスタートと考えた場合、その後、政府の医療 DX サービスが順次構築された上でリリースされて、電子カルテとの接続が必要になってくるものもあります。例えば予防接種や、介護保険の要介護認定申請時に必要となる主治医意見書、感染症法に基づく医師の届出などが議論されているところです。こちらは電子カルテで対応していただく必要があれば、順次、標準仕様に盛り込み、現場の先生方にサービスを使っていただけるようにしたいと考えています。一方、追加の機能がばらばらと出てくるとベンダーの対応が難しくなるため、現在の想定としては、左下の四角の一番上に記載のとおり、政府の医療 DX サービスに対応が必要な機能が追加される時には、基本的に、まずは推奨要件として設定することを考えています。その後1年かけて、それぞれのベンダーに必要な対応を取っていただいた上で、次のバージョンから必須要件にすることをルール化し、ベンダーの皆様の予見可能性も高めていきたいと考えています。
資料19頁は、事務局が現在想定している認証要件のイメージです。最も重要なことは、Ⅰ標準仕様に準拠した電子カルテであることで、これを認証要件の基本要件にしたいと考えています。先ほど申し上げたとおり、標準仕様への準拠状況は厚生労働省が審査をさせていただきます。Ⅱのガバメントクラウドとの関係が、よく議論になるところです。ガバメントクラウドを利用することになると、デジタル庁でアーキテクチャがモダンかどうか、詳細な審査が入ります。事務局としても認証製品についてアーキテクチャがモダンかどうかを確認することは重要だと考えているので、基本的に厚生労働省が申請を受けた時点で、デジタル庁が実施するガバメントクラウド利用に関する事前相談は受けていただきたいと考えています。一方、それぞれのベンダーがガバメントクラウドを利用せずにシステム構築を行うと判断される場合もあると思います。例えば、既にクラウドネイティブ型の製品をリリースしており、病院や診療所で一定数稼働している場合は、2つのシステムを並行して運用することが難しかったり、移行の手続きが難しかったりすることが想定されます。そのような場合は、厚生労働省にその理由を提出していただき、ガバメントクラウドの事前相談における技術的指摘に対する対応計画等を厚生労働省に提出していただいた上で、認証の審査を進めていきたいと考えています。最後に、Ⅲについて、特に新規でクラウドネイティブ型の電子カルテ製品をリリースされる場合は、安定稼働が実際にされるのか、一定程度確認する必要があると考えていますので、直近1年間で一定数以上の医療機関での稼働実績があることを認証要件に入れていきたいと考えています。一方、ガバメントクラウドで構築する場合には、アーキテクチャに関する相当詳細な審査が入るので、このような稼働要件は問わなくてもよいと考えています。資料下部の記載にあるとおり、今申し上げた認証制度は、現段階での事務局のイメージであり、認証制度の仕組み・運用、認証要件、認証された製品の普及方針等、具体的な内容については、改めてベンダーや関係者の皆様と議論した上で、今後、2026年夏を目途に明らかにしていきたいと考えています。
最後に資料20頁をご覧ください。こちらは、よくご質問いただきますので、補足資料として挙げています。先ほどから申し上げているとおり、今後、標準仕様に準拠した廉価なクラウドネイティブ型の電子カルテへの移行を進めていく方針です。一方、例えば病院でクラウドネイティブ型の製品が限られている現状や、医療機関の規模や地域における役割は様々であることから、個々の医療機関の判断で、オンプレミス型等の電子カルテが活用されることも想定されると考えています。基本的にはクラウドネイティブ型を推進していく方針ですが、当然ながら(クラウドネイティブ型でない)オンプレミス型の電子カルテについても、政府の医療 DX サービスに対応していく必要があると考えていますので、引き続き取組は進めていきたいと考えています。
全体像について、事務局からの説明は以上になります。これまでも本ワーキンググルーブにおいて、電子カルテ情報共有サービスについて、議論をしていただいてきました。電子カルテの普及は、電子カルテ情報共有サービスの活用が前提となるため、ぜひ本ワーキンググルーブにおいて議論いただき、ご意見をいただければと思っています。
【澤主査】 それでは、今のご説明についてご意見、コメント等、ございますか。事務局からの回答については、ある程度まとめてご回答いただくようお願いします。長島構成員、お願いします。
《意見交換》
【長島構成員】 日本医師会の長島です。資料4頁に日本医師会が行ったアンケート調査の概要を掲載いただきました。一般診療所における電子カルテの普及率が55.0%、一般病院においても200床未満では59.0%と、普及率は低いです。電子カルテが始まって20年以上たっても導入されていないのは、そもそも導入ができない、あるいは極めて困難であるという、しかるべき理由があると思います。そこを明らかにするために行った調査ですが、特に高齢の医師などでは、そもそも IT が使えない、使ったとしても極めて困難である、また導入費用が高額、特に医師が高齢だと導入しても数年しか使えないといった理由が多いことが明らかになりました。
「導入不可能(紙カルテのまま)」という回答が、過半数の54.2%です。もし今後カルテの電子化が強制義務化される場合、地方の地域医療を守っているこれらの診療所は医療を継続できなくなり、地域医療が崩壊します。そのような観点から、地域医療を守るためにもカルテの電子化の義務化や強制化はあってはならないと思います。
一方、資料4頁の円グラフの黄色い部分、「紙カルテのまま+情報共有機能併用」という回答も22.8%いらっしゃいました。まさにこれが今回ご紹介いただいた標準型電子カルテの導入版ではないかと思っています。資料8頁を見ると、クリック操作を主とするということで、IT に不慣れな医師でも使えて、医療 DX で提供される情報の共有、例えば診療情報提供書や検査データ、あるいは電子処方箋が活用できることは極めて重要かと思います。しかし、これでも導入できない病院・診療所があることは、十分ご承知おきいただく必要があると思います。
このような導入版は非常に重要だと思います。なぜかと申しますと、資料5頁の「電子カルテの普及に関する政府目標」の上部に記載のとおり、「必要な患者の医療情報を共有するための電子カルテ」なので、目的あるいは必要なことは、患者の医療情報を共有することです。そのための手段として電子カルテがあることは見失ってはいけません。電子カルテが目的ではなく、情報の共有ができること、そして、情報を共有することで医療の質や安全性を上げて、国民・患者の利益に資することが重要だと思います。その点から事務局に質問です。標準型電子カルテの導入版が明確になっていますが、今後、本格版も開発提供されるのでしょうか。つまりカルテ(診療録)の記録そのものができるものは、導入版に対応させれば、本格版とでも呼ばれるものかと思います。資料7頁によると、未導入の診療所には標準型電子カルテ(導入版)、オンプレミス型の診療所には標準仕様に即した低価格のクラウド型電子カルテとなっていますが、標準型電子カルテのいわば本格版というものは、今後どのような方針になっているのか、教えていただければと思います。
これに関連して2つ目の質問です。標準型電子カルテは無床の診療所、つまり外来機能にだけ対応していると思われますが、診療所には入院も扱う有床診療所があり、これは病院と診療所の狭間にあると思います。有床診療所には標準型電子カルテで対応するのか、もしくは標準仕様に即したクラウド型電子カルテの対象となるのか、有床診療所の先生方は非常に不安に思っているので、分かる範囲で教えていただければと思います。
また、資料6頁の中段の「2.電子カルテ/共有サービスの普及策」に、「いわゆるクラウドネイティブを基本とする廉価なもの」とあり、クラウドネイティブのメリットが廉価なことだけと受け取られかねないと思います。まずは政府の医療 DX の各種サービスとしっかりと連携できること、サイバーセキュリティにも非常に対応しやすくなること、生成 AI などを含めた先進的な技術にも対応しやすくなること、医療機関側は診療報酬改定等への対応が楽になることなど、明確なメリットが幾つかあると思うので、一度きちんとまとめていただけるとありがたいと思っています。
次に、資料16頁の電子カルテの標準仕様(案)には、診療報酬改定 DX で提供される共通算定モジュールや標準型レセコンが含まれていません。これらも医療 DX の一環だと思いますが、標準仕様に含まれないのでしょうか。共通算定モジュールを使うことや標準型レセコンの利用が望ましいなど、事務局の考えを教えてください。
最後の20頁に関して、理想は理想としても、現実的に丁寧に医療現場の混乱が起こらないように進めていくことが重要かと思います。日本医師会が以前から申し上げていることですが、スピード感は重要であるものの、拙速に進めることで混乱や支障が生じては本末転倒です。特に大規模な病院の電子カルテをクラウドネイティブなものに移行するには、様々な解決すべき課題もありますので、まずは診療所あるいは小規模の病院からステップを踏みながら、しかし最終的には大規模な病院も検討スコープに入れて、丁寧に進めていく必要があると思っています。私からは以上です。
【澤主査】 続きまして小泉オブザーバー、お願いします。
【小泉オブザーバー】 初歩的な意見で大変恐縮ですが、今、長島構成員からも意見があった、資料4頁の「紙カルテ利用の診療所の電子化対応可能性に関する調査」についてです。介護老人福祉施設でも、記録が電子媒体でない事業所がいまだ15%ほどあり、通所介護や訪問介護、グループホーム等の小規模事業所では、さらに割合が増すと考えます。電子媒体が導入されていない事業所の導入できない理由は、当該調査の結果と同様に「IT に不慣れ」もしくは「導入費用が高額」と考えられます。介護業界の状況を鑑みても非常に共感できる結果だと思います。当該調査の結果について、想定された結果であり、対応策もいろいろとお考えであるとは思いますが、最終的にどうしてもベンダー任せになってしまうと思います。私たちの経験から考えると、使い方を丁寧に教えてくれる人が必要です。一つの用語が分からないだけで前に進まないことがあるので、専門用語を使わない分かりやすいマニュアルを整備することが一番ではないかと思います。私たちの経験を踏まえ、このような意見を申し上げたいと思います。以上です。
【澤主査】 続きまして高倉構成員、お願いします。
【高倉構成員】 私からはセキュリティ関連で幾つかコメントします。まず資料16頁で可用性として稼働率が99.9%以上との記載がありますが、これは SaaS の部分なのか、それともクラウド全体を含めた話なのか、99.9%がどこに係るかによってコスト感が全く異なりますので、そこははっきりとしていただきたいと思います。
そして複数の頁にまたがりますが、まず16頁に「ISMAP、又は、ISMS 認証及び ISMS クラウドセキュリティ認証を取得したものであること」との記載があります。皆様もご存知だと思いますが、ISMAP への登録はハードルが非常に高いので、ISMS のクラウドセキュリティ認証でも置き換えることができるという話だと思います。しかし、取得の難易度に大きな差があるセキュリティ認証を両方並べて、どちらでもよいと言われたら、誰も ISMAP に登録しないという方向に流れてしまう気がします。次に資料19頁について、ガバメントクラウドを前提とする一方で、ガバメントクラウドが使えない場合はパブリッククラウドを使うことを求めるわけですが、この時にガバメントクラウド相当と言うのであれば、当然 ISMAP の基準を満たす必要があり、ISMS 認証でもよいとなると、求めているセキュリティ要件がかなりずれてしまうと思います。
それを踏まえた上で資料12頁の線表を見ると、おそらく ISMS 認証を取得しているベンダーが多いと思いますが、ISMAP への登録を考えると、1年以上かかる場合もあります。その時間がどこにも考慮されていないため、事実上 ISMAP に登録できないという話になりかねない点が、非常に気になります。長くなりましたが、要はセキュリティ認証の取得を要件とするのであれば、12頁の時間軸ではかなりタイトではないかという意見です。
最後に資料14頁について、電子カルテの周りにいろいろなシステムがぶら下がっていて、データを共有する形になるわけですが、この図に表現されていないと思われるのが、診断画像はどうするのかということです。テキストデータであれば、API を呼び出して電子カルテに引っ張っていくのは容易だと思いますが、MRI やマンモグラフィなどの画像データを、クラウドに送るわけではないでしょう。もちろんそうなれば理想ですが、超未来的なネットワーク技術はまだ実現していません。どこまではクラウドに乗せるのか、どこまでは今のところ技術的にもコスト的にも無理があるのでオンプレミス型での稼働を想定するのか、線をうまく引いておかないと、話だけが独り歩きして、全てクラウドに乗ると想像してしまう方々が出てくるので、そこは注意していただきたいと思います。以上です。
【澤主査】 続きまして田河オブザーバー、お願いします。
【田河オブザーバー】 健保連の田河です。電子カルテの普及は医療 DX の重要な課題だと思いますが、資料12頁に関連して、標準型電子カルテについて質問とコメントをしたいと思っています。
まず質問は、診療所の電子カルテ未導入の欄を見ると、標準型電子カルテについてはモデル事業を実施されているようですが、実施状況はどうなっているのかということです。標準型電子カルテについては、電子カルテの導入が難しい診療所への対応案だと思いますが、従来、紙カルテを使用していた診療所で使っていただき、使いやすいかどうか、あるいは、情報共有がうまくされているのかどうか、そうした確認はされているのか、あるいは今後される予定なのか、お伺いしたいと思います。
次にコメントです。資料12頁や7頁で、標準型電子カルテと標準仕様に即した電子カルテが並列に記載されています。電子カルテ未導入の診療所では、標準型電子カルテを導入される場合も当然あると思いますが、状況に応じてどちらかを選択していただくようになるのではないかとも思います。名称が似ていて、両者の区別がつきにくいと感じます。資料8頁によると、標準型電子カルテはカルテ機能がなく、情報共有機能に特化したシンプルなものとされており、標準仕様に即した電子カルテとは機能も異なるので、区別をつける意味で、もう少し名称を考えてもよいのではないかと思いました。以上です。
【澤主査】 続きまして小尾構成員、お願いします。
【小尾構成員】 以前お願いしたクラウド間連携の話も入れていただいていますし、クラウドをベースにした電子カルテの導入を進めることについて特に異論はありません。しかし、医療機関がどのようなネットワークを使うかについても並行して検討いただきたいというお願いです。ガバメントクラウドを前提とすることとしていますが、ガバメントクラウドを前提とすると、医療機関からガバメントクラウド上の電子カルテにどのように接続するのか、足場のネットワークをどうするのかについての検討が必要になるかと思います。
また、ガバメントクラウド以外の既にサービスを提供しているクラウド版電子カルテも認めるという方針についても、オンライン資格確認等システムや電子カルテ情報共有サービスなど、様々なサービスが増えてきている中でネットワークの共有ができるのか、それとも、別のネットワークを引く必要があるのかも明らかにすることが必要かと思います。
一方で、医療機関が外部の接続経路を複数持つことを狙った攻撃が増えていることを考えると、例えば英国の HSCのように保健サービスや自治体、その他の関連機関など、医療介護分野の情報連携を行う組織が専用のネットワークを作っている例もあります。この事例のように、インターネット接続も含めて医療機関から対外的に接続する場合には、1本のネットワークに全部まとめてしまうことを検討する必要もあるかと思います。今後、医療機関のクラウド利用の検討にあたっては、どのように医療機関がネットワークを引くべきか、足回りについての検討も並行して行っていただきたいと思います。
【澤主査】 田中構成員代理、お願いします。
【田中様(渡邊構成員代理)】 日本薬剤師会の田中です。資料5頁の下部に「電子カルテの普及率が約100%となることを達成するよう」とあります。先ほどから他の委員のコメントにあるように、どうしても紙カルテを利用する医療機関は残ってしまうことを前提に、どこに落としどころを持っていくのかも考慮しながら進めていただきたいと思います。電子カルテが導入できない医師がいらっしゃるのが実情だと思うので、その辺りもしっかりと並行して議論していただきたいと思います。
また、標準型電子カルテにおいても医療 DX サービスに対応できることが条件に入るとのご説明でしたが、100%電子カルテに限定するのではなく、紙カルテで対応しなければいけない医療機関に対しても、しっかりと配慮した対応を前提としていただかなければ、薬局側から見た時に、全て電子カルテに統一することができない医療機関に対して、複数の運用を並行して行わなければいけないことになり、現場が混乱すると考えられます。その辺りも考慮しながら進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。以上です。
【澤主査】 喜多オブザーバー、お願いします。
【喜多オブザーバー】 具体的な認証制度については今後検討していくということですが、期末に認証のフェーズをそろえると、医療機関側が最終認証をもって検収とする契約とした場合、期末に認証が完了しないとベンダー側はその年度に売上を計上できないということになり、予算が執行できず、医療機関側は購入できないことになります。また、診療報酬の点数改正への対応実施時期が期末であったのを変更することとなったように、この時期はベンダー側も大変忙しい時期になり、認証対応と重なるのは避けたいところです。認証の時期は期末に一律にそろえるのではない方式を、今後検討いただきたいと思います。
また、1年ごとに認証の基準を切り替えるというご説明でしたが、最低2年程度は認証有効期間を取る、あるいは古い基準による認証のものとオーバーラップする時期を設けるほうがよいと思います。他の認証の場合でも、一般的に新しい規定が出てから何年間は古い規定対応でも有効ということがあります。現在、私の関係している一般社団法人保健医療福祉情報安全管理適合性評価協会で適合性の評価を行っていますが、期末期限で複数の評価申請を出されると、同時に間に合わせるのに、大変苦労をしています。認証時期や有効期間のことは医療機関、ベンダー、認証基準作成者および評価組織等のステークホルダーの状況をご配慮いただきたいと思います。
もう一点は、先ほど高倉構成員も触れられた資料16頁のセキュリティの件です。①について、ISMAP はサービスに対する評価で、ISMS は組織に対する認証です。①の文章では、認証の対象を表す形式名詞の表現が「もの」となっており、ISMAP については「もの」でもよいですが、ISMS は「認証を取得した組織のサービスであること」等の表現に変えていただかないと誤解が出るかと思います。例えば1案ですが「 ISMAPに登録された、又は、ISMS認証及びISMSクラウドセキュリティ認証を取得した組織が提供するサービスであること。」ご検討よろしくお願い致します。以上です。
【澤主査】 それでは、事務局よりお願いします。
【田中推進官】 事務局です。順次お答えさせていただきます。
まず長島構成員からいただいた1点目、現在、標準型電子カルテ(導入版)の形で進めているが、本格版について検討しているのか、また、それはどのようなスケジュールかというご指摘についてです。標準型電子カルテの導入版については、先ほど長島構成員からご指摘いただいたように、また日本医師会のアンケートにもあるとおり、電子カルテ情報共有サービスへの対応があったとしても、現状、市販で出ているような電子カルテに乗り換えるのは難しいというお声は、事務局でもよくいただいています。まさにこのような声を受けて、電子カルテ導入版のようなものが必要だと考えています。また、民間からこのような簡素な製品を提供する動きもないので、医療機関のニーズに対応する形で標準型電子カルテ(導入版)の議論をさせていただいているところです。今後、本格版を作っていくかどうかは、現場のニーズ次第と考えています。現在、認証制度も検討していますし、特に診療所については、かなり幅のあるクラウドネイティブ型の電子カルテのラインナップが出てきています。それらの状況も見ながら、診療所向けのものとして導入版の次の本格版が必要か、もしくは、それ以外の医療機関で医療情報の共有を念頭に置いた導入版のようなものにニーズがあるのか、現場のニーズを踏まえながら判断したいと思います。その際にはスケジュールもしっかりとお示ししたいと考えています。
長島構成員からの2点目の有床診療所についてのご指摘は、非常に重要だと考えています。まさに今考えている標準型電子カルテ(導入版)、診療所向けの標準仕様に準拠した電子カルテ、それから中小病院も標準仕様に準拠した電子カルテを考えていますが、有床診療所はそれらの間の部分に落ちているのではないかというのは、ご指摘のとおりかと思います。今後、有床診療所で活用いただく場合に、どのようなサービスがあるとよいかをよく検討した上で、診療所向けを拡充するのがよいのか、それとも病院向けのものを使っていただくのがよいのか、その辺りを含めて議論したいと思っています。
長島構成員からの3点目は、クラウドネイティブ型のメリットとして廉価であることしか記載されていないのは不適切ではないかというご指摘であり、全くそのとおりだと認識しています。クラウドネイティブ型のメリットは、長島構成員が挙げられたとおり、政府の医療 DX サービスへの対応が容易である、AI のような最新技術にも対応しやすい、サイバーセキュリティの強化にもなる、このようなところだと考えています。今後政府から出す文書を含め、ご指摘の内容をしっかりと盛り込めるように考えていきたいと思います。
また、現在保険局で進めている診療報酬改定 DX との関係です。こちらも政府の医療 DX サービスとしては、全くおっしゃるとおりかと思います。今、保険局でレセコンの標準仕様の検討が進められていますので、特に診療報酬改定 DX、共通算定モジュールに対応しているレセコンとの接続は非常に重要になってくると思います。こちらをどのように仕様に取り込んでいくか、保険局とよく調整したいと思いますし、ご指摘を踏まえて対応していきたいと考えています。
全体として医療 DX の進め方についてご指摘をいただいたところです。他の皆様のご指摘にも関連しますが、今回、地域医療介護総合確保法に盛り込まれた規定においても、政府は電子カルテの普及率100%の実現に向けて必要な対応をしなければならないと記載されています。標準型電子カルテの内容にも関係しますが、基本的に現場の方々に使っていただけるもの、電子カルテの導入や電子カルテ情報共有サービスへの対応をしていただけるものを、政府としてニーズに応える形で検討していきたいと思っています。そのような認識で事務局が対応していくということです。
続けさせていただきます。オブザーバーの小泉様からの、介護の例を含めて、特に標準型電子カルテ(導入版)のようなものは、使い方を丁寧に現場で周知していく必要があり、マニュアルをしっかり整備していく必要があるとのご指摘についてです。こちらも全くおっしゃるとおりかと思います。先ほど申し上げたとおり、こういった製品を普及させていくのであれば、やはり現場でしっかりとした丁寧なサポートが必要かと思います。先ほど申し上げたとおり、現場のシステム提供事業者と連携することが重要になると思いますし、マニュアルもしっかり整備していく必要があると思います。この辺りはしっかりと対応させていただきたいと思っています。
高倉構成員のご質問の1点目について、稼働率99.9%の対象は、基本的には電子カルテ本体、それからこれはクラウドネイティブ型の電子カルテベンダーの仕様ですので、クラウドのアプリケーションの部分の可用性として99.9%と考えています。具体的に運用していくにあたって、ベンダーの方々からも様々なご質問が出ると思いますので、必要に応じて Q&A 等で具体的にご回答していけたらと思っています。
高倉構成員からの2点目、ISMAP と ISMS について、こちらもご指摘のとおりだと思っています。まずは ISMS の認証を取得しているベンダーも一定程度あると理解していますが、それぞれの組織の運用面について、セキュリティの対応が行われているかを確認する必要があると思いますので、まずは ISMS 認証取得を確認させていただきたいと思っています。認証制度を今後運用していく中で、またクラウドネイティブ型の電子カルテの普及が進んでいく中で、セキュリティは極力しっかり担保していきたいと思っていますので、この辺りの要件について、少し長い目で見た時にどのようにしていくか、引き続き議論と検討をしていきたいと思います。
高倉構成員からの3点目について、特に病院の話になりますが、画像データも含めてクラウドに上げていくのかというご指摘をいただきました。こちらは資料14頁右上の青枠部分に記載している、デジタル庁の協議会で議論しているところですが、同じようにクラウド化を病院全体で推進していくのであれば、アーキテクチャの部分について、例えば画像のキャッシュをどう置くのか、本当に全てのデータをクラウドに上げてクラウド間連携させるのか、そのような内容をしっかりとあらかじめ見定めて、電子カルテベンダーと部門システムベンダーできちんと目線を合わせて開発を進めないと、有象無象の形になってしまう、というご指摘をいただいています。この辺りは協議会の中で、また事務局にて今後、病院のクラウドネイティブを議論していくにあたっては、さすがにクラウドに全部上げる方針だと現場が回らないと認識していますので、どこまでをクラウドで対応するのか、クラウドで対応するにしてもキャッシュなどはどうするのか、そういった内容をしっかりと検討した上で、開発に関する議論に入っていきたいと考えています。
続きまして田河オブザーバーからは、標準型電子カルテと標準仕様に準拠した電子カルテの区別がつきにくいというご指摘をいただきました。この辺りはご指摘のとおりだと思います。資料12頁の全体の線表では、電子カルテが未導入で標準仕様に準拠した電子カルテが既に導入されているような矢印の見え方にもなっていますが、基本的にはそれぞれの診療所のニーズに応じて選択していただくことになると思いますし、そのニーズに対応できる製品を考えているところです。事務局でもこの辺りは、用語の使い方を含めてしっかりと考えていきたいと思います。
小尾構成員からはネットワークについてのご指摘がありましたが、こちらも非常に重要なご指摘だと思います。最近特にセキュリティの関係でネットワークの脆弱性を突くという話も増えています。クラウドベースのシステムを目指す時に、ネットワークも、例えばゲートウェイをどのように設けるかも併せて議論しないと、システムネットワークがかなり煩雑になってくるため、その辺りも含めて検討していきたいと考えています。小尾構成員にご指摘いただいたように、ネットワークを政府側から提供する、あるいはこちらで基盤となる部分を整備するところまでは、今の段階ではなかなか申し上げることが難しい状況です。ただ、ネットワークについては重要性もしっかりと認識しているので、どのようにしていくのかをきちんと議論した上で、クラウドの議論を進めていきたいと考えています。
田中構成員代理からは、紙カルテがやはり一定程度残る、電子カルテを導入できないところが最終的に残るのではないか、というご指摘をいただきました。標準型電子カルテのニーズは一定程度あると考えています。事務局としては、電子カルテ普及の義務が政府にかかっているという認識ですので、対応が難しいと考えられている医療機関にも極力お使いいただける製品、そして導入いただきやすいサービスの形をしっかりと考えていきたいと思っています。
最後に喜多オブザーバーからは、認証の時期について、期末では難しいのではないかというご指摘をいただきました。今お話を伺って、全くそのとおりだと思ったところです。今後、制度運用を考えていきますので、どの時期に認証するのがよいのか、また、必ずしも1年ごとに認証を実施すると決めているわけではないので、ベンダーや現場の負担を考えて、どのような形で進めていくのがよいのか、予見可能性もしっかりある形で示していきたいと思っています。またセキュリティの関係で、用語のご指摘をいただきましたので、そちらも検討させていただきたいと思います。
回答が漏れているところがあったら大変恐縮ですが、以上です。
【澤主査】 長島構成員、お願いします。
【長島構成員】 事務局の回答、ありがとうございました。標準型電子カルテ(導入版)の次のステップとなる本格版が必要になるかどうかは、標準仕様に即した低価格のクラウド型電子カルテの普及にかかっていると思います。こちらがしっかりと普及すれば、本格版に対するニーズは下がると思いますので、こちらをしっかりと進めていただけるようにお願いします。
最後になりますが、資料5頁に記載の、例えば地域医療介護総合確保法に記載されている「電子カルテの普及率」について、この普及率は、電子化された医療情報が利用できることを含んだ定義になっていたかと思います。標準型電子カルテ(導入版)において、医療 DX で提供される医療情報が活用できるとなれば、まさにこの「電子カルテの普及率」に該当するものと考えています。私からは以上です。
【澤主査】 高倉構成員、お願いします。
【高倉構成員】 今のご説明のうち、資料16頁の ISMS の件について、ISMS 認証だけであれば確かに組織に対する認証ですが、認証を取った組織がさらに自ら運営するクラウドに対してセキュリティ認証を取るという、アンドの記載になっているのでおそらく問題ないかと思います。これは事務局をサポートする発言になります。
もう一つは、資料19頁のⅢで「認証を受けようとする電子カルテ製品について、認証の申請時点で、直近1年間で一定数以上の医療機関での稼働実績があること」とありますが、これは不可能ではないでしょうか。いわゆる「鶏が先か、卵が先か」という状態になっていないかが気になりますので、そうではないと読める文面に修正されたほうが良いかと思います。以上です。
【田中推進官】 長島構成員のご指摘は全くそのとおりだと思っていますし、基本的に医療情報が共有できることが重要だと思っていますので、それを踏まえてしっかり対応していきたいと思います。
高倉構成員からコメントをいただいた、ISMS 認証の件について、事務局としても同様の認識で考えていますので、理解は合っていると思います。
最後に、認証要件の稼働実績の部分について、新規製品の場合に稼働実績を全く確認せずに認証することは難しいと思っています。「鶏が先か、卵が先か」になるかどうかは、「一定数」をどう設定するかにも関連すると思いますので、今後ベンダーの皆様や委員の皆様も含めて議論させていただきたいと思います。
最後に、申し訳ありません。田河オブザーバーからのご指摘に対する回答が漏れていました。モデル事業を実施したのかというご質問ですが、モデル事業は一定実施させていただいており、既にそこから上がってきた意見を踏まえて、開発を行っています。今後もモデル事業のような形で、いろいろな現場のニーズを取り込んでいきたいと考えています。以上です。
【澤主査】 本件は報告事項となりますので、以上で本日の議題は終了となります。
(2)その他
【澤主査】 最後に、その他、又は全体を通して、何かご意見はございますか。それでは議事を事務局にお返しします。閉会
【田中推進官】 本日も活発なご議論をいただき、誠にありがとうございました。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。本日の議事録については、作成次第、ご発言者の皆様にご確認いただき、その後公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上となります。それでは本日は閉会となります。誠にありがとうございました。以上

