第126回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録

1.日時

令和7年12月18日(木) 10時00分~11時21分

2.場所

厚生労働省専用第22~24会議室(※一部オンライン)
(東京都千代田区霞ヶ関1-2-2 中央合同庁舎第5号館 18階)

3.出席委員

公益代表委員
  • 京都大学大学院人間・環境学研究科教授 小畑 史子
  • 明治大学法学部教授 小西 康之
  • 名古屋大学大学院法学研究科教授 中野 妙子
  • 読売新聞マリクレールデジタル編集室長 宮智 泉
労働者代表委員
  • 日本基幹産業労働組合連合会中央執行委員 岩﨑 優弥
  • 日本化学エネルギー産業労働組合連合会副事務局長 金井 一久
  • 日本食品関連産業労働組合総連合会副会長 白山 友美子
  • 全日本海員組合政策局長 立川 博行
  • 日本労働組合総連合会副事務局長 冨髙 裕子
  • 全国建設労働組合総連合書記次長 松尾 慎一郎
使用者代表委員
  • 一般社団法人日本経済団体連合会労働法制本部統括主幹 笠井 清美
  • 東京海上ホールディングス株式会社人事部シニアマイスター 砂原 和仁
  • 日本通運(株)人財戦略部次長 武知 紘子
  • 日本製鉄株式会社人事労政部部長 福田 寛

4.議題

(1)労災保険制度の在り方について
(2)令和7年度第2回社会復帰促進等事業に関する検討会について(報告)

5.議事

○小畑部会長 定刻となりましたので、ただいまから「第126回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会」を開催いたします。本日の部会は、会場及びオンラインの両方で実施いたします。
本日の委員の出欠状況ですが、武林委員、水島委員、足立委員、最川委員が御欠席と伺っております。また、小西委員が遅れての御出席と途中での御退席と伺っております。出席者は現在14名ですが、公益代表、労働者代表、使用者代表、それぞれ3分の1以上の御出席がありますので、定足数を満たしていることを御報告いたします。カメラ撮影等はここまでといたしますので、御協力をお願いいたします。
それでは、議題に入ります。本日の1つ目の議題は「労災保険制度の在り方について」です。まず事務局から、資料の御説明をお願いいたします。
○労災管理課長 それでは、資料1を御覧ください。労災保険制度の見直しについて、これまでの論点整理についてです。労災保険制度の在り方に関する研究会が、7月に取りまとめた中間報告書を受け、9月から当部会において7回にわたり御議論いただいた論点について一覧にしたものです。全体の構成は、1.目的、2.適用関係、3.給付関係、4.徴収関係の順番でまとめております。
まず1.目的です。就業構造の変化や働き方の多様化等を踏まえ、労働災害に対するセーフティネットを整備するとしております。
次に、2の適用関係です。
論点1は、暫定任意適用事業についてです。暫定任意適用事業は廃止し、労災保険法を順次、強制適用することが適当。強制適用に当たっては、零細な事業主の事務負担の軽減等の対応を農林水産省と連携しつつ検討するとともに、施行までに十分な期間を設けることが適当とまとめております。
論点2は、特別加入制度についてです。まず、特別加入団体は、労働保険事務の処理等の重要な役割を担っていることから、その適格性を確保するため、特別加入団体の保険関係の承認や消滅の要件を法令上に明記することが適当。具体的な承認要件の内容は、災害防止に関わる役割や実施すべき措置事項その他当該団体の業務の適切な運営に資する事項(団体等の性格、事務処理体制、財政基盤に関する事項等)とすることが適当。保険関係の消滅に当たっては、先だって改善を要求する等、段階的な手続を設けるとともに、特別加入者の不利益を軽減するための工夫を行うことが適当。労働基準法が適用されておらず、現在、労災保険法の特別加入対象でない事業等について、特別加入の対象を拡大し、労災保険法を適用することについて随時検討することが適当とまとめております。4つ目の○については、11月20日の第124回、当部会における公益委員からの御意見を受けたものとなっております。
続いて論点3は、家事使用人についてです。災害補償責任も含め労働基準法が家事使用人に適用されることになった場合には、労災保険法を強制適用することが適当。強制適用に当たっては、保険関係成立の届出や保険料の納付のような運用面の課題について、対応を検討することが適当とまとめております。
続いて2ページを御覧ください。3.給付関係です。
論点1は、遺族(補償)等年金についてです。遺族(補償)等年金における夫と妻の支給要件の差は解消することが適当。解消するに当たっては、被扶養利益の喪失の補填という観点を踏まえ、夫にのみ課せられた支給要件を撤廃することが適当。石綿健康被害救済法における特別遺族年金についても同様に、夫と妻の支給要件の差を解消し、夫にのみ課せられた支給要件を撤廃することが適当。遺族(補償)等年金の給付期間については、現行の長期給付を維持することが適当。高齢や障害のある妻のみ特別に給付水準に差を設ける合理性はないことから、特別加算を廃止し、遺族の数に応じた給付水準にするという考え方から、遺族1人の場合における給付基礎日額を175日分とすることが適当とまとめております。
論点2は、消滅時効についてです。労災保険は他の社会保険と異なり、業務起因性を明らかにする必要があることから、外形的な事実だけでは給付を受けられるかどうかの予測が容易にはできない点において、特有の事情を有するものとすることが適当。労災保険給付請求権のうち、療養補償給付、休業補償給付、葬祭料、介護補償給付等、消滅時効期間が2年である給付について、発症後の迅速な保険給付請求が困難な場合があると考えられる疾病を原因として請求する場合には、消滅時効期間を5年に延長することとし、まずは、脳・心臓疾患、精神疾患、石綿関連疾病等について、対象とすることが適当。労働基準法の災害補償請求権についても、労災保険給付請求権と同様に、消滅時効期間を延長することが適当。労災保険制度の不知や手続の失念等により時効期間を徒過して請求された事案も存在することから、周知を工夫することや運用を改善することが適当とまとめております。
論点3は、社会復帰促進等事業についてです。社会復帰促進等事業として実施されている給付について、特別支給金も含めて処分性も認め、審査請求や取消訴訟の対象とすることが適当。労働者等に対する給付的な社会復帰促進等事業に対する不服申立てについては、保険給付と同様に労働保険審査官及び労働保険審査会法の対象とすることが適当とまとめております。
3ページを御覧ください。論点4は、遅発性疾病に係る労災保険給付の給付基礎日額についてです。論点1~論点3までは法律改正による対応を予定しておりますが、本論点は法律改正による対応を予定していないため、論点4に位置付けております。有害業務に従事した最終の事業場を退職した後、別の事業場で有害業務以外の業務に就業中に発症した場合における給付基礎日額の算定に当たっては、疾病の発症時の賃金が、疾病発生のおそれのある作業に従事した最後の事業場を離職した日以前3か月間の賃金を基礎として、現行の取扱いにのっとり算定した平均賃金より高くなる場合は、発症時賃金を用いることが適当。有害業務に従事した事業場を退職した後、就業していない期間に発症した場合における給付基礎日額の算定に当たっては、現行の取扱いを維持しつつ、引き続き、専門的な見地から検討を行うことが適当とまとめております。
続いて4.徴収関係です。
論点1は、メリット制についてです。メリット制には一定の災害防止効果があり、また、事業主の負担の公平性の観点からも一定の意義が認められることから、メリット制を存続させ適切に運用することが適当であるが、継続的にその効果等の検証を行うことが適当。有害業務に従事した最終の事業場を退職した後、別の事業場で有害業務以外の業務に就業中に発症した場合における給付基礎日額の算定について、発症時賃金を用いるに当たっては、ばく露時賃金を基に算定した保険給付額に相当する額に限り、疾病の発症原因となった有害業務への従事が行われた最終事業場のメリット収支率に反映させることが適当。メリット制が、労災かくし及び労災保険給付を受給した労働者等に対する事業主による報復行為や不利益取扱いにつながるといった懸念について、その実態を把握し、その結果に基づき必要な検討を行うことが適当とまとめております。
論点2は、労災保険給付が及ぼす徴収手続の課題についてです。事業主に早期の災害防止努力を促す等の観点から、労災保険給付の支給決定(不支給決定)の事実を、同一事故に対する給付種別ごとの初回の支給決定(不支給決定)に限り、労働保険の年度更新手続を電子申請で行っている事業主に対して情報提供することが適当。その際、提供する情報は、現行において被災労働者等に対して通知している項目のうち、支給決定金額、算定基礎、減額理由等を除いた項目(支給(不支給)決定の有無、処分決定年月日、処分者名、処分名(=給付種別))及び被災労働者名とすることが適当。
4ページに続きます。これらの情報は、原則として、当該災害に係る災害防止措置を講ずべきと考えられる事業主に対してのみ提供することが適当。事業主が自ら負担する保険料が増減した理由を把握できるようにする観点から、メリット制の適用を受け、労働保険の年度更新手続を電子申請で行っている事業主に対して、メリット収支率の算定の基礎となった労災保険給付に関する情報を提供することが適当。その際、提供する情報は、当該事業場のメリット収支率に反映された保険給付に係る当該メリット算入期間における保険給付、特別支給金及び特別遺族給付金の合計金額とすることが適当。実態把握の結果に基づき、事業主に対する支給決定に関する情報の提供の在り方について、必要な検討を行うことが適当とまとめております。
1つ目の○と4つ目の○に関して、労働保険の年度更新手続を電子化している事業主に対してという記載がありますが、これは情報提供を正確かつ効率的に行う観点から、電子的に情報提供することを考えているところ、正確かつ効率的に労働保険を運用するため記載しているものです。
また4つ目の○に関しては、これまでの当部会における論点では、労災保険率決定に係る事業主の納得度を高める観点からとしておりましたが、労災保険の在り方に関する研究会中間報告書の「事業主が自ら負担する保険料が、なぜ増減したのかが分かる情報を知り得る仕組みが設けられることが適当」という記述を参考に、事業主が自ら負担する保険料が増減した理由を把握できるようにする観点からとしております。
なお参考資料として、第119回~第125回までの当部会における委員の主な御意見をまとめております。事務局からの説明は以上です。
○小畑部会長 ありがとうございました。それでは議論を進めたいと思います。ただいまの御説明について、御意見、御質問等がありましたら、会場の委員におかれましては挙手を、オンラインで御参加の委員におかれましてはチャットのメッセージから発言希望と入力いただくか、挙手ボタンで御連絡をお願いいたします。それでは、御意見、御質問をよろしくお願いいたします。白山委員、お願いいたします。
○白山委員 ありがとうございます。私からは「適用関係」の部分について、2つ意見を申し上げます。
1つ目が論点1の「暫定任意適用事業について」です。これまでの部会でも述べてきましたが、農林水産業の労働実態は近代化してきているとともに労災発生時の保護の必要性も高いことがヒアリングでも明らかになっています。また、農林水産業を魅力あるものにしていくためには、安心して働くことができる環境づくりが必要です。これらの点を踏まえると、暫定任意適用を廃止し、小規模な農林水産業についても労災保険を強制適用することが必要であると考えています。
その上で論点整理を見ますと、2つ目の○の所に「施行までに十分な期間を設けることが適当」とされています。現実的に適用を進めていくことは必要ですが、施行までの期間を例えば5年などとすることはあまりに長いと考えていますので、この点は今後、報告書をまとめるにあたって是非、加筆いただきたいと考えています。
もう一点、特別加入団体の承認要件についてです。論点2の「特別加入制度について」の○の1つ目と2つ目にありますが、特別加入団体は特別加入制度の運営上重要な役割を担っています。この重要性を踏まえて、承認取消し要件を法令に根拠を置いた上で、適切に指導監督していくことが必要と考えています。
その上で、これまでの部会で労働側から指摘してきたところですが、法令に明記する要件は既存の通達の5要件を単純に格上げするということではなく、内容を厳格化していく必要があると考えています。特に加入時の審査をきちんと行うことができる体制や、財政基盤の安定性などの視点が重要であると考えています。細かい点は、どこまで法律に書くのか、省令に書くのかというのは検討する必要があると考えていますが、少なくとも具体的な要件の中身が議論できるように、次回以降の部会で承認・取消要件のイメージを出していただけると有り難いと考えています。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。笠井委員、お願いいたします。
○笠井委員 ありがとうございます。お示しいただいた論点整理は9月2日の第119回から今月4日の第125回までの7回にわたる当部会の議論を経て作成されたものです。適用、給付、徴収という3つの視点から多岐にわたるテーマを議論する中で、労使で意見が相反する場面も少なからず見られましたが、本日、このような形で論点整理の提示に至ったことを評価したいと思います。
その上で、私からはまず適用と給付の各論点について、質問と意見を申し述べます。1点目は、1ページの適用関係の論点2、特別加入制度です。4つ目の○に「労災保険法の特別加入対象でない事業等について、特別加入の対象を拡大し」とあります。この「等」に何が含まれるのか教えていただければと思います。
2つ目です。2ページ、給付関係の論点1、遺族(補償)等年金のうち特別加算制度です。5つ目の○の前段のとおり、本制度は合理性を失っており廃止することが適当と考えます。その一方、後段の遺族1人の場合における給付基礎日額を175日分とすることについては、前回の議論でも唐突感がある旨を発言しました。現行の153日分という給付水準をなぜ見直す必要があるのか、理由をお示しいただきたいと思います。遺族の数に応じた給付水準にするとの趣旨の記載がありますが、現行の給付水準を設定したときに、遺族の数に応じた給付水準としなかったのは、なぜでしょうか。こうした疑問に対する十分な説明が必要だと考えます。私からの質問は以上です。他の御質問は他の使用者代表委員からお願いできればと思います。
○小畑部会長 御質問ですので事務局からお答えをお願いいたします。
○労災管理課長 まず特別加入制度についての御質問で、4つ目の○の事業等の「等」に何が含まれるのかということでした。第2種特別加入の対象ですが、事業又は作業のいずれにも分類される可能性があるということから、事業だけではなく作業も読めるように事業等としたものです。
それから、給付関係の論点1、遺族(補償)等年金の5つ目の○である遺族1人の場合に175日分を受給している者が9割を超えている。2022年度末時点ですが、そういった状況にあることや、石綿健康被害救済法に基づく特別遺族給付金の年金額の遺族数に応じた年金額も踏まえて、遺族数に応じた給付水準にするという考え方に基づくものです。なお、昭和40年の制度創設時にも遺族の数に応じた給付水準としてきたところですが、昭和45年の改正時には子などを扶養しなければならない妻については、若年であれ、高齢者、障害者であれ、就労が困難であるということはさほど違いはない点を考慮しまして、遺族が2人以上の場合の年金額を特に手厚くしているという経緯があります。回答は以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。笠井委員、いかがでしょうか。
○笠井委員 御回答ありがとうございました。まず、特別加入制度の御回答について、労災保険の特別加入の対象とするためには、業務の実態や災害の発生状況から見て、労働者に準じて保護することがふさわしいものであると整理される必要があります。特別加入制度は、災害補償責任を基礎とする労災保険制度の趣旨を損なわない範囲で認められる特例であると理解しています。今後の検討に際しては、対象拡大に足りるエビデンスがあるのか、当部会としてしっかり確認していく必要があると考えます。
それから、2点目の御回答に関しましては、制度の創設時には遺族の数に応じた給付水準という考え方に立っていたこと、それから遺族1人の場合に175日分の受給者が9割を超えているという実態を踏まえた見直しということで理解しました。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。それでは、金井委員、お願いいたします。
○金井委員 私からは「適用関係」の論点2「特別加入制度について」に関して2つ意見を申し上げたいと思います。
1点目は、特別加入団体の承認取消し時に加入者が不利益を被ることのないような措置の必要性についてです。この点については2回前の部会で私から発言をさせていただきましたが、論点2の3つ目の○の所を見ますと、「特別加入者の不利益を軽減するための工夫を行うことが適当」とされています。「軽減」や「工夫」という表現では、加入者保護の観点では十分ではないと考えられますが、なぜこのような表現となっているのか疑問を感じています。これまでの部会でも申し上げたように、特別加入団体の取消しなどがあった場合でも、保険料を納めた期間内は特別加入者とみなすなどして、確実に保険関係が継続するような措置を講じるべきであり、報告書上の表現もその趣旨が明確となるようなものとしていただきたいと考えています。
2点目ですが、論点2の4つ目の○に関連した意見になります。ここを見ますと、「労災保険法の特別加入対象ではない事業について、特別加入の対象を拡大」するとありますが、特別加入の範囲を広げていくという以前に、労基法の労働者概念を拡大して労災保険法本体の保護の範囲を拡大していくということが重要であると考えます。こうした課題感についても、最終報告書で言及しておくべきと考えています。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。砂原委員、お願いいたします。
○砂原委員 御説明ありがとうございました。消滅時効のことで、3点、発言をさせていただきたいと考えています。まず1つ目ですが、2つ目の○の中で消滅時効期間を5年に延長する対象となる疾病として、脳・心臓疾患、精神疾患、石綿関連疾病等という形で挙げられています。この「等」には何が含まれるのかというところを、まず教えていただければと思います。これが1点目。
それから、2点目ですが、仮に一部の疾病を対象に短期給付の請求権の消滅時効を5年に延長したとしても、業務起因性の立証は時間の経過とともに困難となるということからも、早期に請求を行って、被災労働者の権利の実現を目指すことの必要性は何ら変わるわけではないと認識しています。厚生労働省におかれましては、事業主や労働者、医療機関など労災保険給付の請求手続の関係者に対して、時効期間の長さにかかわらず、早期の請求が重要である旨を周知、広報していただくことが重要ではないかなと考えます。
3点目ですが、4つ目の○にある運用を改善するという言葉ですが、これは具体的にどのような取組を行うのかということについて、御教授いただければと思います。以上です。
○小畑部会長 それでは、御回答をお願いいたします。
○労災管理課長 まず2つ目の○の「等」について、何が含まれるのかという御質問ですが、こちらについては発症後の迅速な保険給付請求が困難な場合があると考えられる疾病に該当するものがあれば、対象になり得るものと考えています。今、提示させていただいている疾病以外については精査中で、精査をした上で改めて部会にお諮りしたいと考えています。
それから、4つ目の○にあります運用を改善するとは具体的にどのような取組を行うのかという御質問でした。各給付の請求書の様式を見直しまして、消滅時効に関する記載を盛り込み、請求期限を徒過しないよう注意喚起を行うことや、介護補償給付のように障害保償給付の支給決定があって、初めてその支給要件が生じる給付については、一連のものとして障害補償給付の請求書と同時に介護補償給付の請求書をお渡しするといったことなどを考えているところです。回答は以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。砂原委員、いかがでしょうか。
○砂原委員 ありがとうございました。最初のほうですが、仮に対象となる疾病を追加するということであれば、今、課長からもそういう形でお話いただいいたと認識していますが、事由別、休業補償給付に係る請求に要した期間の資料のように、最初の休業の日から2年を徒過した後に、休業補償給付の請求がなされた件数などの割合がどのぐらいあるかというようなことなど、消滅時効期間の延長に必要なエビデンスの確認を行ったうえで対象に追加することになると考えていますので、部会で論議をする際には、そういうものも御提示いただければと思います。よろしくお願いいたします。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。岩﨑委員、お願いいたします。
○岩﨑委員 ありがとうございます。私からは給付関係の論点1の「遺族(補償)等年金について」に関して、意見を述べさせていただきます。まず、○の1つ目と2つ目にあるように、夫に課せられている支給要件を撤廃する形で夫婦間の支給要件の差を解消すること。そして、4つ目の○にあるように現行の長期給付を維持することについては、妥当であると考えます。
その上で、5つ目の○にある特別加算についてです。この点についても、高齢や障害のある妻という点に着目するのではなく、遺族1人の場合の給付基礎日額を一律に引き上げる形で見直すことが必要であると考えています。具体的な給付日数については、先ほどの笠井委員の質問の答弁とも少し重複する部分もあるかと思いますが、論点整理にあるように、現在の特別加算後の日数と同様の175日とすることも妥当であると考えます。現在、遺族補償年金の給付日数については、遺族が1人の場合が153日、2人の場合が201日、3人が223日、4人以上245日と、遺族1人の場合と2人以上の場合で大きなギャップが生じています。遺族の数に応じてバランスの取れた給付水準にするという考え方からも、175日とすることが適切であると思いますので、この点を意見として申し上げさせていただきます。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。武知委員、お願いいたします。
○武知委員 私からは徴収関係について、論点1のメリット制の関係を申し上げたいと思います。3つ目の○に記載のとおり、メリット制の存在が、労災かくしや被災労働者等への報復行為・不利益取扱いにつながるといった懸念について、エビデンスに基づく議論を行う観点から実態を把握することが重要です。実態把握の具体的な方法は今後の検討だと思いますが、何らかの調査を通じて、事業主による不利益な取扱いに該当する行為が確認できたとしても、それが報復行為と言えるのか、メリット制や労災支給との間に因果関係があるのか、ヒアリングなどによる丁寧な実態調査と事案の十分な分析が不可欠と考えます。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。立川委員、お願いいたします。
○立川委員 私からは論点2の「消滅時効について」に関して、意見を述べます。2つ目の○にあるように、「まずは」脳・心臓疾患、精神疾患、石綿関連疾病等の消滅時効期間を5年とすることが適当とされているわけですが、これまでも繰り返し申し上げてきたとおり、労働側としては疾病の違いにかかわらず消滅時効の期間は一律に5年にすべきであると考えています。そういう意味で今回の論点整理には納得していないということを、まず申し上げておきたいと思います。
その上で、論点整理上の言葉として、「まずは」という修飾語を使っていますが、事務局としては消滅時効を5年に延長する対象を段階的に拡大していくことも検討しているという理解でよいのかということを、お答えいただければと思います。
○小畑部会長 御質問ですので、事務局よりお答えをお願いいたします。
○労災管理課長 今、御質問いただいた点ですが、現時点では論点整理に列挙されています脳・心臓疾患、精神疾患、石綿関連疾病について、時効期間を5年とすることが適当と考えているものです。時効の規定が改正された場合には、その施行状況等を見ながら検討していきたいと考えています。
○小畑部会長 立川委員、いかがでしょうか。
○立川委員 繰り返しになりますが、労働側としては、疾病の違いにかかわらず一律に5年に延長すべきだと考えています。それが大前提です。仮に論点整理の方向とするとしても、今、いただいた答弁のように将来的にしっかりと見直すということについて確認をさせていただければと思います。これが1点目です。
続いて、メリット制に関して1つお願いをしておきたいと思いますので、発言をさせていただきます。メリット制については、災害防止効果があるのかといった点や、労災かくし等の懸念も指摘されているところから、1つ目の○にありますように継続的に効果検証すること。そして、3つ目の○にありますように、労災かくしや事業主による報復行為など、不利益取扱いについて実態を把握することが適当であると考えています。
その上で、使用者側の委員からはメリット制が労災かくしを助長しているという指摘についてエビデンスを示すべきという意見もありましたが、そもそも証拠を廃棄したり、隠蔽するといった行動を取るのは事業主です。そういった事業主の行動について、労働側に数字的な根拠、証拠を出すことを迫るような姿勢には違和感を覚えるところです。エビデンスに基づく論議を行うためにも、実態把握を行うことは有効であると思いますので、その点を重ねて申し上げておきたいと思います。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございました。他はいかがでしょうか。松尾委員、お願いいたします。
○松尾委員 私から給付関係の論点4です。遅発性疾病に関わる給付基礎日額について。2番目にあります事業場を退職した後、就業していない間に発症した場合におけるということで、この間、この部会でも申し上げたとおりアスベスト疾患は、発症するまで、10年の方もいますし、20年、30年と発症までに時間が経過するということもありまして、その年齢がいわゆる一般的な年齢を、定年を超えて発症するケースというのはあるわけで、現行の取扱いを維持しつつ、専門的な見地から検討を行うことが適当ということが書いてありますけれども、今後も引き続ききちっとそうした、認定された方々が生活できる十分な給付が受けられるように、是非、検討をお願いしたいと思います。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他はいかがでしょうか。福田委員、お願いいたします。
○福田委員 ありがとうございます。私からは徴収関係の論点2について、1点、御質問させていただきたいと思います。この中で、当該災害に係る災害防止措置を講ずべきと考えられる事業主に対してのみ情報の提供を行うということで記載されていますが、特に建設現場などにおいては、労災給付請求に関しては元方事業者がその証明を行うということにされていますが、今回のこの論点整理に従った場合、この行政処分に関する情報はその元方事業者に提供されるのか、それとも直接労働者を雇用している事業者のどちらに提供されることになるのかを、まず1点確認をさせていただきたいと思います。
○小畑部会長 御質問ですので、事務局よりお答えをお願いいたします。
○労災管理課長 御質問いただいた件ですが、建設事業において数次の請負が行われている場合には、元請事業主に対してのみ情報提供を行い、下請事業主に対しては元請事業主から必要な情報を共有していただくことになると考えています。
○小畑部会長 福田委員、いかがでしょうか。
○福田委員 ありがとうございます。そうした場合、この下請事業者に対して行政機関から直接、そういった情報提供が行われないというふうにした理由がありましたら、お尋ねしたいと思います。
○小畑部会長 お願いいたします。
○労災管理課長 建設事業において、数次の請負が行われている場合には、元請事業主が当該事業の事業主として労働保険関係手続を行うということから、下請事業主への直接的な情報提供は困難であると考えています。
○小畑部会長 福田委員、いかがでしょうか。
○福田委員 ありがとうございます。では、下請の事業者に対しては、元方から情報を提供するということと理解しましたが、今回、この論点整理に従えば、労災保険給付の支給、不支給の決定内容とこれまで扱うことのなかった情報を元方、そして下請事業者間で共有して取り扱うということになるかと思います。こうした情報のやり取りを有効かつ円滑に、また適切に行うことができるように、必要な環境の整備を是非お願いしたいと思います。
あと1点、関連してですが、この元方事業者は安衛法で混在作業場における統括的な労働災害防止措置の義務、これを負っているということにされていますが、個別労働者に対して、より直接的に災害防止の義務を負いますのが各事業者となると理解をしています。今回、この災害防止措置を講ずべき事業主のみに情報提供を行うと、こういう論点整理になっていますが、現場の安全管理においては元方事業者、直接雇用する事業者、この両者の連携、協力関係が不可欠であると、こういうことに関して十分留意をされた上で、具体的な措置が図られますようお願いしたいと思います。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 ありがとうございます。「給付関係」について、2点、申し上げたいと思います。1点目は、先ほど立川委員からもありました消滅時効の件です。労働側としても、先ほどもありましたように、原因となる疾病の違いにかかわらず、消滅時効は5年に延長すべきということが基本的な考え方です。その上で使用者側委員から2020年の労基法改正時の建議にも言及して、早期に権利を確定させて、被災労働者の救済を図る必要性の観点から2年に据え置くべきという趣旨のご意見がありましたが、早期に労災を請求することと、早期に被災労働者の請求権を消滅させることというのは全く違う話です。早期の請求が、早期の権利確定も含めて労災保険給付を受けることができる可能性を高めるということは、そのとおりだと思っています。しかし、それは早期の請求に向けてアナウンスを強化することで対応すべきであり、労働者の権利を早く消滅させるということとは全く別もの、別次元です。改めて、民法における一般債権の時効より短い労災保険給付請求権、災害補償請求権の消滅時効は一律に5年に延長すべきであるということは申し上げておきたいと思います。
それから○の4つ目の所に、時効徒過防止に向けた周知の工夫や運用改善の必要性をお示しいただいています。これも以前の部会で指摘していますが、特に介護補償等給付は現在でも時効を過ぎた請求件数や割合が高いという事実がありますので、この点も踏まえて具体的な改善に努めていただきたいと思います。これがまず1点目です。
2点目は、論点4の「遅発性疾病に係る労災保険給付の給付基礎日額について」です。1つ目の○を見ると、原則はばく露時賃金とし、例外的に発症時賃金がばく露時より高い場合は発症時賃金を用いるという整理になっています。しかし、研究会の中間報告書では、原則が発症時賃金、発症時賃金がばく露時賃金より低い場合は例外的にばく露時賃金を用いると整理されており、部会でもそのような方向で議論をしてきたと認識しています。この点、なぜ論点整理では、原則と例外を入れ替えたのか、また、両者その中身としては同じであると受け止めていますが、その理解でよいかを確認したいと思います。
加えて意見となりますが、労働側からは、遅発性疾病の発症時に無職の場合に、数十年も前のばく露時賃金で労災保険給付を計算するということは、被災労働者の生活保障の面で十分ではないため、発症時賃金の推認などの具体的な方法も含めて見直しの必要性について意見を申し上げてきました。この点、論点整理では、先ほど松尾委員からもありましたが、2つ目の○で「現行の取扱いを維持しつつ、専門的な見地から検討を行う」とされています。この項目は法改正を伴うものではないと思いますので、速やかに専門的な見地での検討をはじめ、早急に対応を図っていただきたいと思います。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。それでは、事務局からお願いいたします。
○労災管理課長 論点4の1つ目の○の書き方ですが、こちらの表現ぶりは原則と例外を入れ替えておりますが、言わんとすることは在り方研究会の内容、またこれまで労災保険部会で議論してきた内容と同じものということです。
○小畑部会長 冨髙委員、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。他に、いかがでしょうか。笠井委員、お願いします。
○笠井委員 徴収関係の質問を申し上げる前に、先ほど労働者側から御指摘があった点について、発言させていただきたいと思います。まず、金井委員から労働者性の範囲の拡大について、特別加入の論点の部分で御発言がありました。こちらは、現行の労災保険制度が労働基準法上の災害補償責任を基礎としていることとの関係、すなわち強制適用の範囲の在り方に関わってくる中身であると考えます。中間報告書では、強制適用の範囲の在り方について、専門的な見地から引き続き議論を行う必要があると結論付けております。本件については、学識経験者による議論の蓄積を待つべきだと考えていることを、改めて申し上げます。
それから、冨髙委員から時効について御発言を頂きました。使用者側委員からも先ほど御発言があったとおりですが、短期給付の消滅時効を5年に延長したとしても、業務起因性の立証は時間の経過とともに困難となることからも、早期に請求を行い、被災労働者の権利の実現を目指すことの必要性は何ら変わらないということを、改めて申し上げます。先ほど砂原委員から御発言もあったとおりですが、事業者や労働者、医療機関など、労災保険給付の請求手続の関係者に対する周知、広報が非常に重要であると考えておりますので、改めて申し上げます。
そのうえで、徴収関係の質問と意見を申し上げます。まず質問です。1つ目の○に、「労働保険の年度更新手続を電子申請で行っている事業主に対して情報提供することが適当」とあります。こちらについて、3点質問いたします。1点目です。電子申請で行う事業主を情報影響の対象とするこちらの文言は、前回の資料にはなかったものです。冒頭に記載の早期の災害防止努力を促すことの必要性は、労働災害が発生した全ての事業場の事業主に当てはまりますので、先ほど情報提供を正確かつ効率的に行う観点からという御説明もありましたが、改めてこのような限定を設ける理由について御説明をお願いできればと思います。
2点目です。御案内のとおり、2020年4月より資本金の額が1億円を超えるなど、特定の法人を対象に労働保険の年度更新手続の電子申請が義務化されています。労働保険の年度更新手続を電子申請で行っている事業主とは、義務化の対象となる法人の事業所の事業主を指すのでしょうか。あるいは、e-Gov等を通じて電子申請を行う全ての事業主が対象になるのでしょうか。
3点目です。年度更新手続を電子申請で行っている事業主が対象となるということは、行政機関から事業主に対する情報提供も電子的に行うことを想定されているのでしょうか。質問は以上です。よろしくお願いいたします。
○小畑部会長 御質問に対して、事務局よりお願いいたします。
○労災管理課長 1つ目の質問の限定を設ける理由ですが、冒頭の説明の際に補足させていただきました。繰り返しになりますが、情報提供を正確かつ効率的に行う観点から、電子的に情報提供をすることを考えております。この情報提供を受ける事業主においては、正確かつ効率的に労働保険を運用するため、電子申請についても御協力いただきたいと考えております。
2つ目の点についてですが、年度更新の電子申請について、義務化の対象となる法人の事業所の事業主のほか、e-Gov等を通じて年度更新を電子申請している全ての事業主が対象となると考えております。
また3つ目の点ですが、行政機関から事業主に対する情報提供についても、電子的に行うことを考えております。回答は以上です。
○小畑部会長 笠井委員、いかがですか。
○笠井委員 御回答ありがとうございました。行政手続の電子化は、我が国が目指すデジタル社会の基盤となる取組だと認識しており、労働保険の年度更新手続を電子化している事業主を対象に情報提供を行うということは理解できます。厚労省におかれましては、より多くの事業主が情報提供を受けられるよう、電子申請の利便性向上や普及促進に努めていただければと思います。
最後に、情報提供の必要性について、一部ウェブの報道では、労働保険料の認定決定処分に対する不服を申し立てる場合に備えて早い段階での情報提供が必要というのが経営者側の主張との記載がありました。伝わりにくい部分もあったかもしれませんので、正確を期すために、繰り返しとなりますが私どもの考えを申し上げます。情報提供を求める理由として、労使一体で災害防止対策に取り組む観点を、重ねて使用者側から訴え議論されてきました。業務起因性のない災害にまで適切かつ有効な災害防止対策を講じることは困難です。労災保険の支給決定は、労働基準監督署が客観的な立場から業務起因性を肯定したものであり、その情報を提供することで事業主が類似災害の早期の再発防止に向け、実効性ある取組を行うことが期待できます。このことが、早期の情報提供を求める最大の理由です。
手続保障に関して申し上げれば、国の制度である以上、労災保険給付が適正に行われることは、事業主のみならず、労働者にとっても重要な前提です。保険料を全額負担する立場にある事業主が制度運用の適正さを求めることは当然ですが、保険財政の規律の維持、支給の公平性という観点は、労働者にとっても意義があるのではないかと考えます。実際に不服を申し立てるか否かにかかわらず、事業主に対しそのような手続を保障することそのものが制度運用の適正さの確保に寄与します。このような機能を有する手続が確保されてこそ、法治国家といえるのではないでしょうか。そのような機能を発揮するためには、これまで申し上げてきたとおり、仮に支給要件に該当しないと思われる保険給付があった場合には、支給を受けた被災労働者の法的地位の安定性を確保しつつ、不利益を被る事業主が保険料の認定決定の不服申立てや取消訴訟において、その旨を主張立証できる仕組みとしておくことが必要であり、そのため、事業主にも情報提供がなされるべきということです。
この情報提供や労災請求というプロセスにも、労働者側に心理的な負担があることは、使用者と労働者の関係性や立場の違いから、十分理解できます。労災が起きた場合に会社が対応してくれるのか、不安に思うこともあると思います。そのような中でも、安全対策の実効性の向上、制度運用の適正性の確保という目的は、労使共通であると思います。情報提供の在り方について、必要な検討を行う上では、実態調査も踏まえ、適正な労災申請がしやすい環境を整備するにはどのような政策が適切かという広い観点に立つことが重要であると考えます。使用者としても、労災とその原因、対策に真摯に向き合うべきだと思います。労使が同じ方向を向いて、公益委員の知見を得ながら、当部会で議論させていただきたいと考えております。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございました。他にいかがでしょうか。松尾委員、お願いいたします。
○松尾委員 議論の経過がありましたので、少しコメントをさせていただきたいと思います。適用関係の論点2の特別加入制度についてです。建設業においては、戦前は、労働者としての保険の対象になかなかならないという状況が続きました。労災保険においては、文章は正確ではないのですが、労働者災害扶助法ということで、現在言われている一人親方も対象でした。ただし、大規模な工事も含めた一定の基準がありましたので、全てが今の労災の適用にならなかったということだと思います。
戦後に、先ほどの労働基準法も含めて整備がされる中で、労災保険法ができ、その中で特別加入と二種の加入という制度ができたと理解をしております。ですので、擬制適用の関係で事業主と見立てて、このような経過があったと考えております。そのような中で、労働者性の問題は建設業ではいろいろ歴史的にもありますし、この間は労基研報告に基づいた労働者性の認定については、ケースによってまちまちで、労働者として認定される場合と違う場合ということで、建設業においては非常にグレーな働き方で、認定される場合と認定する場合と。しかも、それがどこに差異があるのかと、こちらとしては理解できないようなことが歴史的になってきたということです。そのような中で、現行も特別加入制度がありますので、現状の範囲の中で何ができるかということは、きちんと進めていく必要があると。
労基法の関係は、これはまた別途議論されるべきところではないかと。この労災保険制度においては、そういう経緯がある中で、今の特別加入制度があるのだと私たちは理解をしております。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他はいかがでしょうか。白山委員、お願いいたします。
○白山委員 私からは、「徴収関係」の論点2の「労災保険給付が及ぼす徴収手続き上の課題について」に関し、事業主への情報提供について意見を申し上げます。まず、この点は労働側として明確に反対であるということを、改めて申し上げておきます。労災保険給付の支給決定事実などを事業主に情報提供するとなると、事業主はメリット制適用で保険料が上がることを見据えて、「将来、保険料が上がるのは労災認定されたからだ」として、被災労働者や遺族、更には被災労働者に協力する資料提供者や証言者などに不当なプレッシャーを与えることが懸念されます。手続保障と引き替えに、こうしたことが横行しては、労災申請の萎縮にもつながりかねないと考えます。
また、これも繰り返し述べていることなのですが、労災支給情報の有無にかかわらず、事業場で事故などが生じた場合、事業主として原因分析をしたうえで再発防止策を講じることは当然の責務です。労災保険給付の情報がなければ対策ができないというのであれば、そのほうが問題であるということを、改めて指摘しておきたいと思います。
その上で改めて考えますと、労災の不支給決定の情報について言えば、再発防止という点でわざわざ提供する必要があるのかが理解できません。例えば、先ほど笠井委員からも御発言があり、参考資料31ページの一番下の○、32ページにかけても記載がありますが、「脳・心臓疾患、精神障害については業務起因性の判断が難しく」という点です。こういった業務起因性の判断が難しい場合では、仮に労災認定されなかったとしても、仕事上の負荷などが一定程度寄与している場合ということがあります。そういった事案について、労災不支給の結果を明示的に伝えれば、一部に起因性などがあったとしても事業主は対策不要と考えるだけになってしまうので、抑止効果はなく、むしろ逆効果ではないかと懸念します。こうした点も含めて、改めて事業主への情報提供については、労働側としては反対であるということを述べておきます。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございました。他にいかがでしょうか。笠井委員、お願いいたします。
○笠井委員 白山委員から御発言いただいた点について、私どもの考え方はこれまでの部会で申し上げてきたとおりですので、改めて繰り返すことはいたしませんが、是非御指摘を踏まえて、今後の部会で議論させていただきたいと思います。
○小畑部会長 ありがとうございます。冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 私も、論点2の「労災保険給付が及ぼす徴収手続の課題について」に関し、事業主への情報提供について発言したいと思います。今回の事務局の提案は、提供する情報の範囲を全部ではなくて一定絞っています。使用者側からは恐らくこれでは手続保障の点では不十分というような意見もあるかとも思いますが、労働側としてはむしろ逆で、たとえ提供すべき情報をどんなに限定したとしても、それを糸口に情報提供を受けた事業主からの不当なプレッシャーなどを受ける懸念は拭えないため、提供すべきではないと考えているところです。
再発防止のために情報が必要という点については、これも繰り返しになりますが、事業主は請求時の事業主証明や監督署の調査協力といったものを通じて、請求があること自体は把握をしているはずです。そうした情報を基に、社内で事故内容を調査して再発防止に努めることができますし、それが筋だと考えているところです。
また、使用者側からは、労災保険給付の金額的な情報が分からないと、企業としての上乗せ給付を行う際に、遺族に「労災保険から幾ら給付されたか」を問わなければならないという意見もありました。前回部会で被災労働者が亡くなった場合、沈痛な思いをしている遺族にそうしたことを問わなければいけないことに対する事業主や答える側の心情についての発言もあったところです。しかし、そういったことがあったとしても、遺族と真摯に向き合って話し合いをすることが、労災事故などを生じさせた事業主としての当然の責務だと思っております。そういったことも含めて、事業主への情報提供は改めて反対であるということを強く申し上げておきたいと思います。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。笠井委員、お願いいたします。
○笠井委員 冨髙委員からも、情報提供についてご発言をいただきました。社内で事故が起こった場合にどのような対応をするか、それから被災労働者の遺族に真摯に向き合うにはどうすればよいかということも含めて、是非、今後の労災保険部会で議論させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○小畑部会長 他はいかがでしょうか。ありませんか。ありがとうございました。今回示された論点整理について、大筋としては御異論がないということであったかと思います。次回は、これまでの議論を踏まえて、当部会の報告書をまとめるというところに進んでいきたいと考えております。事務局におかれましては、本日の論点整理をベースとして、今日の議論も踏まえて、部会報告書(案)の作成をお願いいたします。
次の議題は「令和7年度第2回社会復帰促進等事業に関する検討会について(報告)」です。事務局から御説明をお願いいたします。
○労災管理課長 それでは、まず初めにお手元にお配りしているインデックスが付いた参考資料2を御覧いただければと思います。12月3日に開催した「令和7年度第2回社会復帰促進等事業に関する検討会」の資料です。会議では1の議題に記載がありますとおり、令和8年度概算要求の概要及び労災保険経済概況等や令和8年度要求における主な新規・拡充事項について御説明し、委員の皆様から様々な御意見を頂いたところです。
当日の資料のポイントのみ御説明したいと思います。まず、資料1を御覧ください。労働保険特別会計労災勘定の令和8年度の概算要求についてです。労災勘定における歳入が1兆2,978億円、前年度比で376億円の増、歳出が1兆1,182億円で前年度比117億円の増となっています。主な増減の内訳は、左側の歳入については雇用者所得の伸び等による保険料収入見込みの増や運用収入の増等が主な要因となっています。右側の歳出については、短期給付や特別遺族給付金の支給実績を踏まえた増や相談員等の経費等、事務費の増等が主な要因となっています。
続いて、資料2は平成26年度予算から令和8年度要求までの社会復帰促進等事業費の推移、資料3は過去5年間における社会復帰促進等事業費の事業別予算額・決算額の推移、資料4は社会復帰促進等事業費と省令で規定されております限度額との関係の推移、資料5は労災保険の経済状況についての資料です。
資料6は、企業の倒産により賃金が支払われないまま退職を余儀なくされた労働者に対し、未払賃金の一定の範囲について、国が事業主に代わって立て替えるという未払賃金立替事業を実施しており、その状況についてです。2ページ目に今年度上半期と対前年同期の比較資料がありますが、今年度は倒産企業数、支給者数、立替払額、いずれも前年度より少ないという状況になっております。
資料7は、令和6年度にD、B、Aと評価された事業が予算額等、令和8年度の概算要求でどのように反映したか、その状況についての資料になります。評価Dの事業は、事業廃止又は厳格な見直しが求められる事業ですが、減額要求を行っている事業は3事業となっております。また、事業Bの事業は、施策は継続するが予算額又は手法等の見直しが求められる事業ですが、増額要求を行っている事業が3事業、減額要求している事業が1事業となっています。評価Aの事業は、予算額は適切な水準であり継続する事業ですが、増額要求している事業が15事業、減額要求している事業が20事業となっています。次ページ以降が各事業の詳細です。
資料8は、令和8年度概算要求における主な新規・拡充施策についての資料です。10の施策を記載していますが、1ページ以降、各施策について事業概要、社会復帰促進等事業で実施する必要性等をまとめています。以上が当日の資料です。
続いて、本日の部会の資料の2を御覧ください。検討会の議事要旨です。1ページは総論的な御意見をまとめています。1つ目の○では、昨今の物価高騰の外的要因の存在も理解するが、真に必要なものに絞り込み、平成25年度の水準を目指してほしい、各事業についてPDCAサイクルによる不断の見直しを行い、無駄の削減・効率化を図るべき、2つ目の○では、法改正対応という理由だけで野放図に予算を拡大してよいわけではないこと、3つ目の○では、未払賃金立替事業費について回収状況をチェックしていく必要があるので、回収率のデータを提示することを要望すること、4つ目の○では、事業内容を再検討し、労災保険の本体給付としてもよいものがないか検証し、全体を見直し、社会復帰促進等事業にふさわしい事業を再定義すべき、5つ目の○では、政府全体の他施策に照らしながら、大局的に検討していくことが必要、6つ目の○では、法改正に関連した体制整備が重要で、体制整備にはその予算を投じる必要があるのでメリハリのある予算配分をお願いしたいこと、7つ目の○では、雇用保険二事業との区分けが分かりにくいので、それぞれで支出するものの基準を明確にしてほしいといった御意見を頂きました。また、2ページの上段ですが、緊張感を持った予算事業の策定・執行をお願いしたい、積み上げ型ではない、重要度・優先度に応じて事業を厳選し、予算が膨らまないようにすることといった御意見を頂きました。
2ページの中段以降ですが、個別事業についての御意見です。№13の労災特別介護施設運営費・設置経費については、令和8年度から施設運営費により予算が増額となったが、社会復帰促進等事業として継続していくことについて疑問、労災保険で本当に必要な施設なのか検討いただきたいという御意見を頂きました。
№20の職場における化学物質管理のための総合対策については、執行実績等を踏まえて所要額を精査して減額となったところですが、リスクアセスメントマニュアルの作成支援について、新たな化学物質規制の普及定着に向け、必要な予算を措置していただきたいという御意見を頂いたところです。
№21の産業保険活動総合支援事業については、労働安全衛生法の改正に伴い、地域産業保健総合支援センターにおけるその円滑な施行のために必要な経費として増額となったところですが、地域産業保健総合支援センターの地域差の解消やストレスチェックの義務化施行に向け、限られた予算で効果が出るようなPDCAサイクルの実施等について御意見を頂きました。
№22の働き方改革の実現に向けた労働時間の上限規制の定着による長時間労働の抑制等のための取組については、今年度第1回の社復検討会で、リーフレット配布に係るアウトプット目標について指摘があったが、同じ指摘を受けて指標を変更した他の事業がある一方、本事業では変更されていないことは残念だという御意見を頂きました。
3ページを御覧ください。№24の治療と職業生活の両立支援事業については、指針の原案作成に係る検討会の費用は一般会計で賄うべき、№25の職場におけるハラスメントの総合的な対応等労働者健康啓発等経費については、雇用保険二事業のほうがなじむのではないかという御意見を頂きました。
№30の自動車運転車のための労働時間の改善のための環境整備事業については、令和8年度は所要額を精査した結果、減額となったところですが、自動車運転者の労働環境改善は重要であることから、単年度の評価にとらわれることなく、継続的な支援をお願いしたいという御意見を頂きました。
№33の外国人技能実習機構交付金については、令和8年度から育成就労制度の申請が始まる中、予算が減額となっているが、監査等の人員も必要となるのでオンライン整備を含めて充実を図っていただきたいという御意見を頂きました。
№35の産業医学振興経費については、産業医の離脱者が減少しているのは良いことと考えるので、今後とも産業医が増えていくようにお願いしたいという御意見を頂きました。
№37の過重労働の解消及び仕事と生活の調和の実現に向けた働き方・休み方の見直しについては、不妊治療のための休暇制度等環境整備事業は、社復事業の趣旨・目的にそぐわないのではないか、事業の規模の縮小を要求してきたが増額となっている、社復事業として実施する理由を示してほしい、割増賃金率を引き上げた場合における助成金の加算について制度趣旨から外れるものと考えるという御意見を頂きました。一方、中小企業団体の立場としては、重要な事業と考える、事業の維持継続、必要に応じて増額をお願いしたいという御意見を頂きました。4ページですが、働き方改革推進支援センターについても、引き続き体制強化に取り組んでいただきたいという御意見もございました。また、助成金の勤務間インターバルコースや団体推進コースについて資料記載の御意見を頂きました。
№41の独立行政法人労働政策研究・研修機構運営費・施設整備費については、新規事業の共同浄化槽設備廃止に係る清掃砂埋め工事と研修用タブレットの更新について、社復事業として必要性は薄いという御意見を頂いたところです。事務局からの報告は以上です。
○小畑部会長 ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問がございましたらお伺いできればと思います。なお、個別の事業に関して事務局に御意見等がある場合は、「事務局に質問です」と前置きをいただいて、事業番号及び事業名を御発言いただいてから、御意見等をいただければ有難く存じます。よろしくお願いいたします。それでは、御意見はいかがでしょうか。金井委員お願いいたします。
○金井委員 私からは、事業番号36の未払賃金立替払事業について質問と意見を申し上げます。この事業は令和6年度は支給件数が多く、当初予算ではショートしそうであったため、補正予算で積み増しが行われたと認識をしております。この経験を踏まえまして、今年度は昨年度から増額予算を組み、151億円を確保したと理解をしております。
その上で、今年度の執行状況としましては、参考資料2の資料6の2ページ目に記載がありますが、昨年度並みで推移しており、今年度は補正で積み増すという状況にはないと理解をしております。まず、この点はその認識で間違いないかを確認させていただきたいと思います。その上で、未払賃金立替払制度は、企業倒産などで賃金未払のまま退職を余儀なくされた労働者の生活を守るという重要なセーフティネットです。次年度以降も適切に予算を確保して、安定的な制度運営を行っていただきたいと考えております。以上です。
○小畑部会長 事務局から御回答をお願いいたします。
○労災管理課長 それでは、監督課お願いします。
○監督課 監督課です。御質問ありがとうございます。予算の確保につきましては、昨年度の実績を踏まえて要求しておりますので、私どもとしては十分確保をしているという考えでおります。引き続き、予算の確保につきましても、このセーフティーネットという制度ですので、しっかり確保してまいりたいと考えております。私からは以上です。
○小畑部会長 金井委員いかがでしょうか。
○金井委員 安定的な制度運営を行っていただくようお願いいたします。
○監督課 ありがとうございます。
○小畑部会長 ありがとうございました。他はいかがでしょうか。岩﨑委員お願いいたします。
○岩﨑委員 ありがとうございます。私からは事業番号21の産業保健活動支援事業について意見を述べさせていただきます。社復検討会でも意見があったようですが、今年の春の労働安全衛生法改正によって、今後、50人未満の事業場にもストレスチェックの義務化が行われます。この点、50人未満の事業場においては産業医の選任義務がないため、産業医がいない場合も少なくありません。したがって、地域産業保健総合支援センター、いわゆる「地産保」が重要になってくると考えております。この「地産保」の活動を支える産業保健活動総合支援事業の予算につきましては、令和7年度予算の49億円から、令和8年度の概算要求で52億円と増額要求をなされております。しっかりと予算を確保した上で、ストレスチェックの義務化とともに「地産保」の活用についても周知をお願いしたいということを意見として述べさせていただきます。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。冨髙委員お願いいたします。
○冨髙委員 事業番号37の「過重労働解消及び仕事と生活の調和の実現に向けた働き方の見直し」について意見を申し上げたいと思います。この事業については、社復検でも様々な意見があったようですが、「働き方改革」から5年が経過したものの、依然として長時間労働や過労死の問題は解消していません。次年度の概算要求上は約9億円ほど増額要求がされていますが、しっかり予算を確保して「働き方改革」を一層前進させる取組を進めていただきたいと思います。
なお、資料2の社復検におけるコメントを見ておりますと、割増賃金率を引き上げた場合の助成金の加算効果がないという意見もあったようです。しかし、労働側としてはそうは思っていません。割増賃金規制というものは、言うまでもなく使用者に経済的な負担を課すということで長時間労働を抑制する趣旨の規制です。仮に効果がないとか、効果が薄いということであれば、それは単に割増率が低いことがあるのではないかと考えているところです。割増賃金については、労働条件分科会でも均衡割増賃金率を試算していただきましたが、44.3%でした。要はこの水準よりも現行の法定割増率25%が低いということは、新規に人を雇うより、今の労働者で残業で対応したほうが、労働費用が安いということを示していると考えております。割増率を引き上げていくということが長時間労働の是正につながるということは意見として申し上げておきます。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。ございませんでしょうか。ありがとうございます。それでは、本日、予定した議題は以上ということになりますので、部会を終了したいと思います。事務局から、次回の日程につきましてお知らせをお願いいたします。
○労災管理課長 次回の日程につきましては、事務局から追って連絡いたしたいと思います。
○小畑部会長 本日は以上といたします。皆様、お忙しい中、誠にありがとうございました。