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第125回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録
1.日時
令和7年12月4日(木) 9時30分~10時45分
2.場所
厚生労働省専用第22~24会議室(※一部オンライン)
(東京都千代田区霞ヶ関1-2-2 中央合同庁舎第5号館 18階)
(東京都千代田区霞ヶ関1-2-2 中央合同庁舎第5号館 18階)
3.出席委員
- 公益代表委員
-
- 京都大学大学院人間・環境学研究科教授 小畑 史子
- 名古屋大学大学院法学研究科教授 中野 妙子
- 読売新聞マリクレールデジタル編集室長 宮智 泉
- 労働者代表委員
-
- 日本化学エネルギー産業労働組合連合会副事務局長 金井 一久
- 日本食品関連産業労働組合総連合会副会長 白山 友美子
- 日本労働組合総連合会副事務局長 冨髙 裕子
- 全国建設労働組合総連合書記次長 松尾 慎一郎
- 使用者代表委員
-
- 三菱マテリアル(株)イノベーションセンター長 足立 美紀
- 一般社団法人日本経済団体連合会労働法制本部統括主幹 笠井 清美
- 東京海上ホールディングス株式会社人事部シニアマイスター 砂原 和仁
- 日本通運(株)人財戦略部次長 武知 紘子
- 日本製鉄株式会社人事労政部部長 福田 寛
- 西松建設株式会社安全環境本部安全部担当部長 最川 隆由
4.議題
(1)労災保険制度の在り方について
(2)労働保険関連手続及び労災保険特別加入関連手続に係る電子申請の状況について(報告)
(2)労働保険関連手続及び労災保険特別加入関連手続に係る電子申請の状況について(報告)
5.議事
○小畑部会長 定刻となりましたので、ただいまから「第125回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会」を開催いたします。本日の部会は会場及びオンラインの両方で実施いたします。
本日の委員の出欠状況ですが、小西委員、武林委員、水島委員、岩﨑委員、立川委員が御欠席と伺っております。また、最川委員が途中での御退席と伺っております。出席者は現在13名でございますが、公益代表、労働者代表、使用者代表、それぞれ3分の1以上の出席がございますので定足数を満たしていることを御報告いたします。カメラ撮影等はここまでとしますので、御協力をお願いいたします。
それでは、議題に入ります。本日、1つ目の議題は「労災保険制度の在り方について」です。前回の労災保険部会における御意見を踏まえ、追加の議論を行うこととしました。事務局にてそのための資料を作成いただいています。まずは事務局から資料の御説明をお願いいたします。
○労災管理課長 それでは資料1を御覧ください。労災保険制度の具体的な課題について、引き続き議論が必要な事項をまとめています。
1ページを御覧ください。メリット制についてです。論点の①は、11月12日の第123回部会と同じ論点を記載しております。論点の②ですが、第123回部会の論点では後半について「報復行為や不利益取扱いにつながるといった懸念について、どのように対応すべきか」と記載しておりましたが、「報復行為や不利益取扱いにつながるといった懸念について、その実態を把握し、その結果に基づき必要な検討を行うことについてどのように考えるか」に修正して提示させていただいております。
1ページの中ほどから3ページまではこれまでの部会における各委員の御意見を、4ページは研究会中間報告書における該当部分を記載しています。
続いて5ページを御覧ください。労災保険給付が及ぼす徴収手続の課題についてです。論点の①から④までは、11月12日の第123回部会の論点と同じ論点を記載しております。論点⑤は追加の論点となりますが、P1、論点②の実態把握の結果に基づき、「事業主に対する支給決定に関する情報の提供の在り方について、必要な検討を行うことについてどのように考えるか」を新たに記載しております。情報の提供の在り方とは提供される情報や方法を意味しております。
5ページの下半分から11ページまではこれまでの部会における各委員の御意見を、12ページは研究会中間報告書における該当部分を記載しております。事務局からの説明は以上です。
○小畑部会長 ありがとうございました。それでは、議論を進めたいと思います。今回のテーマはメリット制と労災保険給付が及ぼす徴収手続の課題の2つですが、相互に関連すると思いますので、まとめて議論いただくことといたします。御意見、御質問等ございましたら、会場の委員におかれましては挙手を、オンラインで御参加の委員におかれましてはチャットのメッセージから「発言希望」と入力いただくか、挙手ボタンで御連絡をお願いいたします。御意見、御質問等ございましたらよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。白山委員、お願いいたします。
○白山委員 私からは、メリット制について意見を申し上げます。論点②の後半に記載いただいたとおり、労災かくしや事業主からの報復行為や不利益取扱いに関する懸念についてまずは実態把握を行い、その結果も踏まえて制度の在り方について議論していくことは必要であると思います。
併せて、前回部会で労働側の岩﨑委員からお願いしましたが、諸外国におけるメリット制の効果や課題についても調査・分析を進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○小畑部会長 ありがとうございます。他にはいかがでしょうか。笠井委員、お願いいたします。
○笠井委員 3回目の議論の場を御用意いただいたこと厚くお礼申し上げます。まず、メリット制の論点①について発言いたします。これまでの意見の繰り返しとなりますが、研究会で示された効果検証は、メリット制の目的である事業主の自主的な災害防止努力の促進と事業主の負担の公平性について一定の効果を裏付けるものと認識しています。効果検証の継続に反対はいたしませんが、制度を存続させて適切に運用すべきであると考えます。
次に、論点②です。これまで労働者代表委員から主張されてきたメリット制に伴う懸念につきまして、研究会中間報告書では制度の意義を損なうほどの影響は確認できないとされています。可能性やおそれにとどまり、エビデンスが伴わない懸念を議論の前提とすることは適切とは言えません。その意味で、実態を把握することは重要だと考えます。その際には具体的にどのような行為があったのか、その行為が事業主による報復行為や不利益取扱いと言えるものか、その原因は何か、メリット制との間に因果関係があり得るのかを含め、正確に事案を確認し分析する必要があります。研究会に示された労災かくしの動機に係る調査では、メリット制を理由とした事例は1つもなかったことを念頭に置き、議論に適切にいかせるような実態把握に努めていただきたいと思います。
そのほか、メリット制に関する部分は他の使用者代表委員の方々に御発言をお願いしたいと思います。私からは以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他はいかがでしょうか。福田委員、お願いいたします。
○福田委員 私からメリット制の論点①と②につきまして発言させていただきたいと思います。まず、メリット制につきましては、研究会での検証でも明らかになったように災害の抑止効果が一定程度認められている。また、少なくとも災害を助長するようなことが確認されていない以上、これまで同様に適切に運用していくのは当然ではないかと考えています。
これまでも我々のほうから繰り返し発言してまいりましたけれども、そもそも保険という形を取る以上、災害の発生率・発生件数に応じて料率を設定するという考え方は、産業別の料率算定にも入れられておりますし、これを企業別にも適用するのは保険として当然だろうというように理解しています。そういう意味では、そもそもメリット制という名前について、企業側が何かメリットを得るような、そういう仕組みであるかのような印象を受けますけれども、これは本来メリット、即ち得とか損とかということではなくて、労災保険財政に与える影響の度合いに応じて負担をしているというだけに過ぎない。そういう仕組みなのだろうと考えております。
続いて論点②も関わるところですけれども、このようにメリット制については保険として当然に含まれるべき考え方であって、これを廃するかどうかという議論については災害を助長するであるとか、労災かくしや事業主による報復行為につながっているという明確なエビデンスがあって初めて議論の俎上に上るべき話ではないかなと考えます。そうした調査を行うという今回の論点については、そのこと自体をあえて否定するものではないと考えています。以前、私の方からも申し上げさせていただきましたとおり、これまで弊社の関連のこうした事案においてメリット制を理由に労災かくしに及んだ、こういう調査結果は1件もなかったということを改めて申し添えさせていただきたいと思います。
最後に、今回の論点とは関わりないかもしれませんけれども、これまでも申し上げてまいりました通り、企業として災害の防止に取り組んでいるというのは、こうしたメリット制による何かを得たい。こういうことではなく、やはり安全で健康な職場を実現するということ、それがまたサステナブルな企業であり、職場であるための条件であると考えているからこそであると申し述べさせていただきます。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。オンラインで砂原委員からお手が挙がっているということですのでお願いいたします。
○砂原委員 私の方からも少しお話をさせていただきたいと思います。まず論点①について、繰り返しの発言になってしまって申し訳ございません。研究会の中間報告を踏まえると、メリット制の目的である事業主の自主的な災害防止の促進と事業主の負担の公平確保について一定の効果が認められています。そもそも労災保険は保険事業ですので、リスクに見合う保険料の設定というのが原則であるべきと考えます。自動車保険等、民間保険においても事故が多い場合、保険料も高くなるし、そもそも事故を起こすと保険料が増えると思えば、より一層事故を起こさないようにするのが一般的だと考えます。先日の部会の資料でお示しいただいたように、労働政策研究・研修機構の調査によれば諸外国、ドイツ、フランス、アメリカといった国の労災保険政策においてもメリット制が導入されております。メリット制の効果検証を継続することは否定しませんけれども、制度を存続させ、適切に運用することが重要かなと思います。
○小畑部会長 ありがとうございます。オンラインで最川委員からもお手が挙がっていらっしゃると思いますのでお願いいたします。
○最川委員 今、笠井委員、福田委員、砂原委員から発言があったとおりですけれども、私も福田委員の意見と同じで、このメリット制によりプレッシャーがかかるとか、そういうことは今まで感じたこともありません。もし、プレッシャーがかかるとすれば、支給決定の時よりも、給付申請、例えば5号様式とか、23号様式を提出する段階です。そういうところで可能性はあるとしても、メリット制による減額を適用されなかったとして、プレッシャーがかかるという事例はない。研究会報告でもそのような回答はないと調査結果が出ています。実際に具体的な事例を出していただいて、それを解決していくように持っていってはどうかなと思っています。
このプレッシャーのかかるというところは、全くメリット制対象事業所以外で、当社の事例でいくと、私が安全担当になって10年ぐらいになりますが、最初の頃、二次、三次下請から報告が上がってこないという事例が確かにあったのです。それを受けて全国の安全大会ですとか、そのような所で、どのような小さいけがでも必ず報告してくださいと伝えて回りました。それとどのような小さいけがでも必ず報告してくださいという社長メッセージのビデオを作成して、新規入場時に全員にみていただくということをやってきました。今ではほとんどなくなりましたが、二次、三次以降の下請から適切に報告がくるようになるには4、5年かかりました。変にプレッシャーがかかっているような忖度を自分たちでしてしまって、全員が新規入場時に必ず見るようなビデオで社長からメッセージを出しているにもかかわらず、それでも数年かかってしまった。そういうことがもしあれば具体的にどういうことでプレッシャーがかかるというのを出していただいて、それを労働者側と一緒に解決していくのがいいと思っています。特にメリット制に対してはそういうことはないと感じていますので、もしあれば具体的に出していただきたいというのが私の意見です。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他はいかがでしょうか。松尾委員、お願いします。
○松尾委員 論点②について、メリット制の関連で労災かくしの関係です。今、使用者側の委員からおっしゃったように、建設の関係では、いわゆる働き先によってはまだ十分ではない。確かに、委員のおっしゃったゼネコン現場で徹底されてきているというのは、私も事実だというように思っていますが、建設現場はそれだけではありません。違う所に関しては、労災かくしはあると思います。圧倒的に労働者の方たちはきちんと言えない、主張できないという不利益な立場にあります。弱い者の立場を運用上尊重していくというのは大事だと思います。
その中で、メリット制のためにそういうことになるのかということは、逆に言えば、払っている使用者側から見れば、そういうことはないのですという話になりますけれども、結果的にそういうこともあるかもしれませんし、この根拠についても、私はメリット制について、直接労働者の立場としては、そこは違うのではないかというように、この間の私が取り組んでいる中での経験から申し上げるところなので、決して根拠があるということではないのですが、感じとして受け取っているということで御理解いただきたいと思います。
その上で、この論点②の「その実態を把握し、その結果に基づき必要な検討を行う」というのは、以降やっていただきたいと思っております。以上です。
○小畑部会長 他にいかがでしょうか。冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 先ほど、使用者側委員から「エビデンスがない」といった点や「煙がない所にあえて火の元を探すようなもの」という話もございましたが、これまでの部会でも申し上げてきたように、メリット制によって保険料が上がった事業主による、被災労働者に対する報復行為や不利益取扱いを行う懸念の検証は、研究会でなされていません。我々が現場から聞く中では、労災申請を行った者の不当な配転や、申請協力者に対しても力関係の差を利用して会社の意に添う発言をさせるという事案もあると聞いております。そういった点をしっかりと実態把握をすることが必要であると思います。以上です。
○小畑部会長 他にございますでしょうか。笠井委員、お願いいたします。
○笠井委員 労働者側の委員の皆様からも、実態把握を進めてほしいというような御要望がありました。私どもも是非そのようにと思っております。具体的にどのような行為があったのか、それが事業主にとって解雇権や人事権といった権利の濫用にあたるものか、あるいはその範囲なのかも含めて、正確な把握と分析が必要だと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
そうしましたら、次に、労災保険給付が及ぼす徴収手続の課題について、前々回の部会で申し上げたことに関連し、質問も含めて発言させていただきます。
私から、使用者代表委員が重視する「手続保障の観点」という表現が各論点で一言も登場しないことについて、あんしん財団事件の最高裁判決や研究会中間報告書を踏まえて違和感があると申し上げました。最高裁判決で明確化された手続保障の観点、労働基準法の災害補償責任に基づく保険料負担者であるという観点からは、研究会に参加する公益代表委員の水島先生や中野先生からも、これらの観点で見ると情報提供の範囲は論点の中身では十分でない旨の御意見があったと記憶しております。
このような経緯があったにもかかわらず、本日の資料における論点の記載ぶりに変更はなく、研究会の中間報告書や当部会におけるこれまでの議論にはない、「労災保険率決定に係る事業主の納得度を高める観点」という表現が残っていることを残念に思います。
使用者代表委員としての納得感はないと申し上げた意見が省みられることはなく、情報提供の趣旨・目的として掲げられても効果は期待できないと考えます。
私どもの意見は、これまで再三にわたり申し上げたとおり、個々の事案の支給金額を含めて、請求人と同じ情報を同じタイミングで事業主に通知するとともに、事業主が監督署に照会した場合には、労災の認定理由を請求人に対してと同様に、可能な範囲で開示することです。このことを改めて要望するとともに、議論を深める機会を頂きましたので、その前提となる現状を確認する趣旨で、事務局に5点質問させていただきたいと思います。
1点目です。事業主に労災保険の給付請求手続への協力を求めながら、保険給付の支給・不支給決定の事実が事業主に提供されていないという現状について、改めて、その理由や背景をお伺いします。
2点目です。保険給付の請求書において、事業主は平均賃金を含む一定の事項を証明する義務があります。事業主が証明した平均賃金の額と異なる額に基づき、給付基礎日額が決定される場合、監督署から事業主に対して訂正の事実や訂正後の金額は通知されているのでしょうか。その場合、どのような理由でしょうか。
3点目です。第123回の当部会で示された、請求人に対する支給決定通知や不支給決定通知には、「この決定理由の詳細についてお聞きになりたい点があれば、当署まで照会してください」との一文があります。この文言に基づき、請求人が監督署に支給決定、あるいは不支給決定の理由を問い合わせた場合、どの程度の情報が開示されているのでしょうか。例えば精神障害事案における不支給決定について、監督署が判断の根拠とした出来事が複数存在すると仮定した場合、それぞれの出来事に対する評価やその理由について、請求人に開示しているのでしょうか。
4点目です。古い通達ですが、労働省が昭和62年3月30日に発出した「労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律の施行(第2次分)等について」によれば、労災則第23条の2第1項に基づき、事業主が所轄労働基準監督署長に対して保険給付の請求に関する意見を申し出た場合、「保険給付の請求について決定を行った後、意見書を提出した事業主から照会があった場合には、当該決定の結果について説明を行うものとする」とされています。こちらの通達に沿って、どのような運用がなされているか、また、現状について教えていただきたいと思います。
5点目です。論点①、論点②では、同一事故に対する給付種別ごとの初回の支給・不支給決定に限り、一定の情報を事業主に提供することが提案されています。このことを前提に、仮に請求人が審査請求や再審査請求を行い、行政処分の内容が変更になった場合には、改めて、確定した内容を事業主に情報提供することを想定されているのでしょうか。以上です。よろしくお願いいたします。
○小畑部会長 御質問ですので、事務局からお願いいたします。
○労災管理課長 5点の質問を頂きました。まず1点目です。保険給付の支給決定や不支給決定の事実が事業主に提供されていない現状について、その理由や背景を改めて伺いたいということでした。
これについては、労災保険法施行規則第19条において、「所轄労働基準監督署長は保険給付に関する処分を行ったときは、遅滞なく文書でその内容を請求人、申請人又は受給権者若しくは受給権者であった者に通知しなければならない」と定められております。この規定から請求人に通知をしているものです。
2点目です。「保険給付請求書において、監督署から給付基礎日額が訂正された事実や訂正後の金額は通知されているのか」という御質問でした。
休業補償等給付請求においては、請求書に記載された平均賃金の算定結果に不備がある場合には、事業場に事実関係を確認の上、請求書を補正しております。補正後の金額は通知していないという取扱いになっております。
3点目です。「第123回の部会で示された不支給決定通知に基づいて、照会に対してどのような回答をしているのか。請求人に開示しているのか」という御質問でした。
こちらについては、労災給付事務取扱い手引きというものを定めており、その中で「請求人から所轄署長に対して不支給決定等の処分の理由について説明を求められた場合には、法律上の根拠及びその解釈並びに医学的判断理由を説明し、請求人が当該処分理由を理解し得るよう努めること」とされております。こういったことを踏まえまして、事案に応じて決定内容を説明しております。
例示いただいた精神障害事案に関しては、例えば御主張いただいた出来事のうち、出来事A、出来事B、出来事Cについて、認定基準に基づいて総合的に判断しましたが、心理的負荷は「中」と判断され、認定基準を満たさないものとして不支給となったもの、このように説明していると承知しております。
4点目です。労働省の昭和62年3月30日に発出した通知に関してです。「事業主から照会があった場合、当該決定の結果について説明を行うものとするとされているが、この運用についてどうなっているのか」という御質問でした。
御指摘の通達においては、「事業主から意見の申出のあった保険給付の請求について決定を行った後、意見書を提出した事業主から照会があった場合には、当該決定の結果について説明を行うものとする」とされております。その後、平成15年に個人情報の保護に関する法律が成立しましたが、この法律にのっとり、請求人の同意を得られた場合には、可能な範囲で決定結果の説明を行うこととしていると承知しております。
5点目です。論点①、論点②で、初回の支給決定に限り情報提供するということを提案させていただいていますが、これを前提にして審査請求、再審査請求を行い「行政処分の内容が変更になった場合、改めて確定した内容を事業主に情報提供することを想定しているのか」という御質問でした。これについては想定しているところです。
頂いた質問に対する回答は以上です。
○小畑部会長 笠井委員、よろしいでしょうか。
○笠井委員 御回答ありがとうございます。
1番目の、情報提供をしないことに関する背景の質問については、私の理解が間違っていれば御指摘いただきたいのですが、施行規則上の対象である請求人に提供することを根拠としており、事業主に情報を提供しないという積極的な判断があったわけではない、あるいは確認できていないということだと理解いたしました。
それから、2番目の質問について、事業主が証明した平均賃金の中身が補正されても、証明した事実が違っていることについて、事業主には提供されない、補正後の金額が提供されないことになると、事業主が個別の支給額を正確に算定することは困難です。もしメリット制の適用事業主の保険料の増額があった場合に、個別の給付額がどの程度寄与しているのか、具体的に把握できないことになり、労災保険率の算定基礎に含めるべきでない給付があるかどうか、行政訴訟などの際に事業主の側が判断し、立証することは困難です。仮に、給付の総額が開示されることになっても、最高裁で明確化された手続保障が実質的に担保されるとは言えないと考えます。このような状況は早期に解消されるべきです。
4番目に質問した、通達に基づいて事業主が意見を提出した場合、保険給付決定の結果については一定程度説明が行われていると理解いたしました。そのことは、事業主への情報提供を行う妥当性が行政としても認識されていることの表れであると捉えています。
3番目に質問した理由の請求人に対する説明ですが、現状でも、請求人に対して一定の理由の開示ができる、しているという御説明でした。
先ほどの通達では、意見申出制度の趣旨として、事業主は労働安全衛生法等に基づき、労働者の健康管理に責任を有する立場にあり、労災事故の一方の当事者でもあることが指摘されています。そのような立場にある事業主の照会に応じて、請求人に対するものしてと同様の情報を提供することは、バランスを取る観点からも適切と考えます。その際に、現状では個人情報保護法に則り運用されているとのことですが、留意すべき点があれば、エビデンスに基づくものかを確認した上で、個人情報保護法や情報提供を制限するという方法を所与、あるいは前提とすることなく、労災保険制度の性質や事業者の立場、役割に照らし、対応が必要かどうかを検討することが適切であると考えます。私からは以上です。
○小畑部会長 他にございますでしょうか。足立委員、お願いします。
○足立委員 私からも論点①から論点④の所と、最後に論点⑤の所についてのコメントを申し上げたいと思います。特に、情報提供の範囲について申し上げたいと思います。
論点①、論点②においては、労災保険給付の支給決定、不支給決定の事実を同一事項に対する給付種別ごとの初回の支給決定、あるいは不支給決定に限って事業主に提供することとなっていて、その際の情報として、被災労働者等に通知している項目の中から、支給決定金額、算定基礎金額理由等を除くことを御提案されています。
また、論点③、論点④においては、メリット制の適用を受ける事業主に対して、労災保険料の算定の基礎となった労災保険給付に関する情報を提供すること、その際の情報として、メリット制算入期間における保険給付、特別支給金及び特別遺族給付金の合計金額とすることを御提案されています。
情報提供の範囲についてですが、研究会の中間報告では、特に限定されてはいないという認識で、当部会でも個別の項目に関する十分な議論がなされたとは私は認識しておりません。
論点②、論点④で示された項目には唐突感があります。本来、事業主に対しても請求人と同じタイミングで、同じ情報を提供することを前提として議論されてきたのではないかと思っておりますし、仮に不適当と考えられる情報があるのであれば、労災保険制度における事業主の役割とか、立場を前提に情報提供による不利益など、どのような留意点があるのか、どの項目に課題があるのかといった点を議論して、事業主に情報提供しないという結論とするといったことがなされ、具体的に精査していくことが必要なのではないかと考えております。
また、個人情報や機微情報として保護すべきなのかというところも、特にこの部会でも、細かい議論はされていないという認識ですので、事業主の手続保障に着目しない形で情報提供の範囲を絞るという御提案が出ていることについては、少し違和感を感じております。
中間報告を踏まえると、事業主に提供される情報の内容は、まず1つ目として、早期の災害防止に取り組む上で必要であるということです。2つ目に、労災保険の保険料負担が、労働基準法の災害補償責任を基礎としていること。3つ目として、労働保険料の認定決定処分の取消訴訟等における手続保障を確保する。この3点がありますので、この部分をしっかり議論して、項目を検討するべきではないかと考えておりまして、ここがきちんと議論されたのかという点では、先ほどから申し上げているとおり、不十分なのではないかと考えております。
さらに、論点⑤の所です。先ほどのメリット制とも絡みますが、これらの懸念点の実態を把握した上で、その結果に基づいて事業主に対する支給決定に関する情報の提供の在り方を検討することを御提案されておりますが、先ほどの3つの観点に照らして、論点②や論点④で示された情報では、まだ不十分ではないかと考えますので、しっかりと早期に実態を把握した上で、情報提供を原則とする方向での検討が行われること、さらに項目の検討、これは中間報告をきちんと踏まえた上での検討がされることを希望いたします。以上です。
○小畑部会長 武知委員、お願いします。
○武知委員 私からは、支給決定の理由が提供させられる必要について、これまでの発言の繰り返しとなりますが、改めて申し上げます。
労働災害が発生した事業場において、再発防止対策に取り組むことは当然の対応ですが、研究会で御意見があったとおり、脳・心臓疾患や精神障害等の疾病を含めて、業務上か否かの判断が難しい事案が存在します。労働者代表委員からは、事業場の事故は事業主として、原因分析、再発防止は当然の責務であるとの発言もありました。
挟まれ、巻き込まれ、転倒のような事案であれば、業務災害であることが明確であり、対応もできますが、業務起因性の判断が難しい事案では、業務起因性のある災害であることの確認なくして、事業主が適切・有効な対策を検討、実施することは困難です。
また、業務起因性があったとしても、長時間労働なのか、ハラスメントなのか、どのようなハラスメントなのか。原因によって、当該職場に適した対策は異なってきます。
事業場において、真に実効性のある再発防止対策に注力し、類似の災害を早期に防止するために、事業主が監督署に問い合わせた場合には、労災の認定理由について、請求人に対する説明と同じ程度で結構ですので、開示いただきますよう要望いたします。
なお、労働者代表委員からは、労災保険の給付請求手続において、「事業主が協力しない場合もある」との御指摘がありました。事業主証明を行わない背景として、労災保険の正当な請求手続を妨害する意図があるケースばかりではありません。例えば精神障害の事案において、事業主が調査を尽くしても災害の発生原因となった事実を確認できないケースもあろうかと存じます。
また、災害発生が業務上であったかや、発生状況等への認識が異なる場合などに、証明を行わない判断をせざるを得ない場合が考えられます。その場合でも労災申請は可能であり、その後の労基署の調査に誠実に対応することは事業主の責任であると考えています。そのような過程での事業主の説明や事業主が提出する意見書などを踏まえ、労基署においては支給要件を満たす請求かどうか、客観的に判断がなされると理解しております。私からは以上です。
○小畑部会長 砂原委員、お願いいたします。
○砂原委員 情報の関連について、今までの発言の繰り返しとなりますが、基本的な考え方を改めて申し上げたいと思います。
使用者は労働基準法上の災害補償を負い、それを基礎とした労災保険料の全額を負担しております。労災事故が発生すれば、再発防止策を講じる必要がありますし、仮に過失がある場合には、民事裁判を経て損害賠償を行うこともございます。
このような事業主の果たす役割を踏まえますと、請求人と同じ情報を同じタイミングで事業主が得るべきだと考えます。このことを議論の出発点とすべきではないかなと考えておりまして、事業主に情報提供してよい範囲について、限定的に検討するという論点の設定自体に若干疑問を感じております。
通常、損害賠償においては、損害額の立証責任が被害者側に求められることからも、推して知るべしだと考えます。そして、何よりせっかく有識者の先生方に御参集いただき、様々な観点から制度変更について御議論いただいた中間報告があるのですから、それと異なる論点設定をすることに疑問を抱きます。やはり、研究会の中間報告を踏まえた論点で検討していくことが重要ではないかと考えた次第です。以上です。
○小畑部会長 ほかにいかがでしょうか。福田委員、お願いいたします。
○福田委員 私からも2、3申し上げます。これまで被災された労働者の御家族などに対して、会社として補償させていただくために、支給決定の事実等を確認することについて、その実情を申し上げさせていただきましたが、この点について若干誤解もあるように受け止めましたので、改めて発言した趣旨を申し上げます。
私は、単に会社側の担当者がそうしたことを御家族などに質問することが、非常に聞きづらいということ、それが心理的な負担になっているということを言っているわけではございません。それは、我々事業主側内部の話であって、全く問題にしているつもりはございません。何があろうと、何と言われようと、会社として御家族にしっかりと向き合うというのは当然のことだと考えております。
私が申し上げたのは、大切な御家族が被災された御心痛がまだ癒えぬうちに、会社からの補償の算定に必要だと、そういう金銭面のことのために、国からの補償の有無、あるいはその額等について答えなければならない、こういう御家族の御心情もあろうかと思いますが、これを強いることになることについて、疑念を申し上げたということです。
その上で、我々企業として補償金の算定、そして支給といった事務を行うというにあたって、恐らく我々が提出した平均賃金がそのまま使われているのであろうと、こういう想定のみに基づいて、重要な補償金の算定をしていくことは、通常の会社における事務の執行という手順としては、非常に違和感があるところでして、支給決定金額などについても、我々企業側に通知されるべきものであると考えるところです。
また、労災補償の支給や不支給にかかわらず、災害防止に努めることが会社の責務という話も、これまでも何度もあったところですが、これは当然の話だというように、我々も考えているところです。ただ、それはあくまでも労働災害の撲滅に向けてというものであって、そもそもけがや病気が業務上の理由によるものなのかどうか、それもどのような観点において、それが業務上あるいは会社側の落ち度があってのものというように判定されたのかということが明らかになってこその責務というように考えています。
これまでも申し上げましたとおり、被災者の生活習慣、あるいは本人特性が主因となるようなけがや疾病がある以上、それが業務上か否かの区別を事業主側が勝手に行うということではなくて、業務上災害であれば、どのような点において我々事業主側に落ち度があったのかということも含めて、明確にお伝えいただくということが的確かつ効果的な災害防止対策のスタートということになると考えております。
これをされないということは、その他の労働者の安全な就労環境を確保するという観点において、決して十分な状態にない、こういう状態が継続しているというように考えるところです。以上です。
○小畑部会長 ほかにいかがでしょうか。冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 これまでの部会でも意見として申し上げているところですが、労働側としては、事業主への労災支給決定情報も、メリット制適用事業主への労災保険料算定情報も、提供不要であると考えている点は改めて申し上げておきます。
使用者側委員からは、本日も含めて幾度となく「再発防止を講じるためにも、請求人と同じタイミングで同じ情報を提供してほしい」という意見が述べられておりますが、これも繰り返しになりますが、労災支給決定情報の有無にかかわらず、事業場で何らかの事故が起こった際に再発防止を講じるということは、事業主としては当然の責務であるということを改めて申し上げておきたいと思います。加えて、前回部会だけでなく、先ほども使用者側委員から意見がありましたが、労災認定の理由などについて、事業主が監督署に照会した場合には可能な範囲で開示いただきたいというような意見もございましたが、これは輪をかけて認められないと考えております。そうしたことを認めれば、労災申請に非協力的な事業主などが労災支給決定に至ったのかということを根掘り葉掘り聞き出して、その情報を基に被災労働者や証言者への不当な圧力などをかけるということは容易に想像ができ、まさに百害あって一利なしと考えているところです。
その上で、今回論点⑤として、メリット制に関わる不利益取扱いなどの実態把握の結果に基づいて、情報提供の在り方について必要な検討を行うということが提案されております。調査に基づく議論自体は否定しませんが、実態把握の結果として、問題が生じていることが明らかになった場合は論点①から論点④の情報を含めて、事業主への提供をしないことも視野に入れた検討とするべきであることは指摘しておきたいと思います。以上です。
○小畑部会長 他はいかがでしょうか。松尾委員、お願いいたします。
○松尾委員 今、冨髙委員がおっしゃったように、5ページの下にあるように、私もこの主張については実態も経験していますから、そのように思います。
いわゆる使用者側と労働者側との観点が、見る点が違うので、それは相当プレッシャーもかかっていますし、長期間になるということだけでも、家族の生活も含めて、大きなプレッシャーになるということは、被災者の方も含めて、あることは間違いないということです。労働者側の観点から見ると、危険だと認識せざるを得ないと思います。
その上で、論点⑤の関係です。双方意見が割れておりますので、そうは言っても実態把握をきちんと行うということは、この間の議論の中では必要ではないかと。ですので、その結果に基づきながら、どういう在り方が必要なのかということは、議論をやることについては否定もしませんし、この間の議論からすれば、こういうことも含めてどうなのかということは検討する必要があるかなと思っております。以上です。
○小畑部会長 最川委員、お願いいたします。
○最川委員 冨髙委員、松尾委員からありました、事業者側が、災害が起きたときに対策を講じる、それはもちろん当たり前だと思っていますし、使用者側委員も同じ意見だと思っています。
ただ、事業者が講じるべきことだけでは、災害は絶対になくならないですし、労働安全衛生法26条にあるように措置を講じるルールも労働者にはありますし、実態を把握して、両者が同じような災害防止に努めるというところから災害防止が始まるので、事業者だけがやれば事故がなくなるわけではなくて、労働者だけがしていくことでもないです。支給に関して事業主に隠しながらやるというのは、絶対にうまくいかない、事故はなくならないわけです。
支給決定に関して事業主に教えたくない内容もあるのかもしれませんけれども、プレッシャーをかけられるということをなくすということに注力すべきであり、保険給付とか、決定事項を教えないということの議論ではないと思うのです。
目指しているところは一緒だと思うのですが、違う方向に意見がいっている。隠しながら事故が減るかといったら、それは絶対にないと思うので、お互い一緒に事実を共有しながら決めていきませんかということにならないかなというのは、私が個人的に思うのですが。目指しているところは一緒なのに、言い合いになっている。隠すことは正義というのは納得できない。是非、同じ起きた内容を共有して、業務起因性があったのか、どこが悪かったのか、お互い気を付けることは何なのかというのを目指していけることになればいいなと思います。よろしくお願いいたします。
○小畑部会長 他にいかがでしょうか。武知委員、お願いいたします。
○武知委員 今お話が出ているような、メリット制の報復関係の実態調査について、行うことには私も異存はございません。もし、それで報復行為が事実として判明した場合には、私もそれはよいことではないと思っておりますし、事業場では労災保険制度の趣旨に沿った運用が行われているべきだと考えております。
ただし、それぞれの事案には個別の事情がありまして、仮に調査をした中で、報復行為と疑わしいケースが出てきた場合であっても片方の言い分のみで判断できない点は留意が必要です。また、ごく少数の該当があったこと、それのみでこの場で議論しているような、大局的な観点での懸念の裏付けに直接つながるかどうかというのは、どうかなと思っております。それらは結果を見ながら慎重に検討する必要があると思います。
また、たとえそのような報復行為があるという調査結果が出たとしても、それはメリット制の運用を行う上での課題であり、メリット制自体を否定するような議論にはならないと私は考えておりますので、改めてお伝えしておきたいと思います。以上です。
○小畑部会長 他はいかがでしょうか。笠井委員、お願いいたします。
○笠井委員 これまで使用者側委員からは、論点の立て方、検討の仕方について、事業主の情報提供を原則とすべきこと、その理由は災害補償責任に基づく保険料負担者である事業主の手続保障の確保であり、これは最高裁判決でも明確化されていること、また、労災防止対策としても、情報提供が重要な役割を持つことを、重ねて指摘いたしました。
労働者側委員からは、事業主の情報提供に伴う懸念、不当なプレッシャーにつながり得るということが指摘されてきたところですが、労災請求手続の過程では、災害に伴い労働者の心身に障害を生じたことについて、事業主が知ることが前提の制度となっています。
支給要件を満たしていることを監督署が判断するために、請求人の主張だけではなく、労災事故の一方の当事者である事業主に対しても、証明調査への協力を必要とし、また、事業主の意見申出制度も設けられております。事業主へ決定の結果も説明されるという通達も発出されています。
国の制度である労災保険給付が適切になされるためには、これは保険財政の規律や労働者間の公平性の確保という観点からも重要だと思いますが、この労働基準監督官の調査には、事業主、労働者ともに真摯に協力する必要があるということも、改めて申し上げたいと思います。
御案内のとおり、労基署の尋問に対しては、虚偽の陳述や供述拒否には罰則も設けられております。当該事業所等での類似の事故の再発を防ぐという観点からは、労働安全衛生法上、事業者が安全・健康確保義務を負うとともに、労働者も必要事項の遵守や事業者等の措置への協力義務を負っています。私生活や事業者が予見可能でない身体の脆弱性が原因となる場合、実効性のある対策を講じることは困難です。適切な安全対策が講じられていない場合、作業等の過程で、他の労働者にも予期せぬ危険が及ぶおそれもあります。このことは使用者側委員から繰り返し申し上げたとおりです。労使一体で、是非取り組んでいきたいと考えており、このことが重要であることも改めて申し上げます。
労災であれば、請求をためらわずに行い、適正な補償を受けられるような環境を構築することこそが、本質であると思います。プレッシャーの負担があるという御指摘も重ねてございましたけれども、これを情報提供の可否という点のみに限定することもなく、懸念の解消方法を含め、実態把握を行い、どのような対応が必要かの議論をともに行っていければと考えております。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございました。本日議題としました各テーマにつきまして、御意見、御指摘など様々な貴重なお話を頂戴したところでございます。そうした委員の皆様方からの御意見、御指摘を踏まえまして、事務局におかれましては、本日の議論を整理して次回以降の議論に備えていただくようにお願いをいたします。
それでは次の議題は「労働保険関連手続及び労災保険特別加入関連手続に係る電子申請の状況について」でございます。事務局から御説明をお願いいたします。
○労働保険徴収課長 まず私からは、議題2の労働保険関連手続及び労災保険特別加入関連手続に係る電子申請の状況のうち、労働保険関連手続について御報告いたします。
資料2-1の1ページを御覧ください。まずオンライン利用率引上げに係る基本計画について御説明いたします。厚生労働省では令和3年度に規制改革実施計画に基づき、年間10万件以上の手続について、オンライン利用率を引き上げるための基本計画を策定いたしました。基本計画においては、手続ごとにオンライン利用率の目標値、オンライン利用率引上げに向けた課題、課題解決に向けたアクションプランを定めております。このうち労働保険関連手続については、対象手続に記載した労働保険料の申告等5つの手続について、令和8年度末までにオンライン利用率を、全体として30%に引き上げることを目標として定め、課題解決のためのアクションプランに記載したaからeの取組を行うこととしております。
基本計画については、少なくとも年に1回、利用者目線での第三者チェックを受け、その結果を踏まえて見直しを行うこととしております。このため毎年基本計画に係る実績を労災保険部会に御報告し、委員の方々から御意見を頂くこととしているところです。
資料の2ページを御覧ください。オンライン利用率の状況について御報告いたします。表には電子申請件数、これはオンラインという言葉を先ほどから使っておりますが、私ども政府全体として、このオンラインを利用した申請等々の行為を電子申請と総称しております。このため以下、電子申請という用語を使わせていただきます。
電子申請件数と利用率について、昨年度の実績と今年度上期の速報値を記載しております。対象手続①~⑤までの合計で、利用率は昨年度の実績は25.9%、今年度上期の速報値では29.5%となっております。グラフには昨年度までの過去5年度の推移を記載しております。直近の傾向から、令和8年度末までに利用率を30%にするという目標値を達成することは、十分可能であると見込んでおります。
資料の3ページを御覧ください。労働保険関連手続におけるアクションプランの履行状況について御報告いたします。aからeまでに記載したとおり、事業主への周知や支援の取組を継続的に実施しております。今後も引き続きオンライン利用率の進捗及びアクションプランの履行状況を踏まえ、効果的な取組方法等を検討し、オンライン利用率の引上げに取り組むこととしております。
また令和2年4月から、一定規模以上の法人の事業主に対しては、年度更新の手続を電子申請で行うことを義務付けています。電子申請の利用の一層の促進に向けた新たな取組として、電子申請が義務化されている事業主に対しては、令和8年度の年度更新からは、紙の申告書の事前送付は行わないこととしています。紙の申告書を送付しないことにより、電子申請を選択するよう強く促していこうというものです。今後その効果等を見極めながら、紙の申告書の事前送付を行わない事業主を更に拡大していくことを検討していくこととしております。私からの御報告は以上です。よろしくお願いいたします。
○補償課長 続いて補償課の関係です。資料2-2の特別加入の手続に関する電子申請です。1ページを御覧ください。基本計画の部分については同様の説明ですので割愛し、特別加入については1ページの真ん中です。対象手続として①~⑤が書かれており、特別加入に関する変更届は中小事業主と一人親方の関係、そして②として、これも変更届ですが、海外派遣の関係、そして③として、特別加入申請、これは設立時の関係です。そして④として、特別加入の脱退の申請。そして最後の⑤として、給付基礎日額の変更申請となっております。この5種類について説明をいたします。
アクションプランは後で説明するとして、2ページです。過去5か年の電子申請利用率の推移として下のほうにグラフで書かれております。目標値が50%のものと20%のものと2種類あります。①と②は50%を目標としており、③、④、⑤が20%を目標にしております。令和6年度までのものがここにグラフで書いておりますが、上の表で行くと、令和7年度のものが右のほうに書いております。これは上期の暫定値ですが、①と②の変更届の関係は、既にその暫定値で電子申請利用率は50%を超えております。③~⑤は、目標値が20%のものですが、特別加入の申請があと少し、そして脱退の申請は目標値を超えているという状況ですが、気になるのが給付基礎日額の変更申請の点です。この点については、実はその給付基礎日額の変更申請ですが、これは基本的に1年間同じにしてくださいということで、年度途中における申請は認めていないということです。
申請については2通りあり、翌年度の給付基礎日額の変更について、前年度末に申請をするか、当該年度中でも年度更新期間中に限って変更を認めております。年度更新期間中の変更申請については、年度更新の手続の際に提出される書類に所定様式を併せて添付することで変更手続ができてしまうので、実際こちらのほうが簡潔にできる形になっており、その結果が変更申請が電子申請としては少なくなっている要因かと思っております。ただ厚生労働省のホームページであるとか、あるいは特別加入のパンフレットなど、まだまだ工夫する余地はあろうかと思いますので、そういった取組を行ってまいりたいと思います。
最後にアクションプランです。3ページです。a、b、cとあり、令和4年度中のもの、令和6年度中のものということで、一番最後が令和7年度中です。これまでGビズIDの周知であるとか、申請の入力支援機能の拡充とかをやってきましたが、令和7年度中に労働基準行政システムと特別加入システムをより連携させる予定です。今まで申請は電子で受け付けていましたが、ただ申請者への通知は、打ち出した紙で送っているというような状況でした。そこは連結させて、電子で申請する通知が返せるような形の取組をしてまいりたいと思います。重ねてホームページであるとか、あるいはパンフレット等を工夫して、より一層、電子申請のニーズが高まるように工夫してまいりたいと思います。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、御意見等ございましたらお伺いできればと思います。御意見、いかがでしょうか。笠井委員、お願いいたします。
○笠井委員 御説明ありがとうございました。資料2-1と2-2の2ページを拝見しまして、電子申請の利用率が着実に上昇していることを認識いたしました。行政手続の電子化は、我が国が実現を目指すデジタル社会の基盤となる重要な取組です。3ページに記載のアクションプランの履行をはじめ、この間の厚生労働省の御尽力に敬意を表したいと思います。
その上で2点御質問したいと思います。1点目は、資料2-1の3ページの一番下の矢印に、今後、申告書送付廃止の対象拡大についても検討していくという記載がございます。この記載は、年度更新の電子申請を義務付ける法人の事業所を拡大する方向で検討するという理解でよろしいでしょうか。
2点目は、資料2-2の2ページの電子申請の件数と利用率、これを見ますと、給付基礎日額の変更申請について、令和7年度の電子申請の利用率が大幅に減少しています。先ほど理由の御説明も頂きましたけれども、この減少という点について、4月から9月の暫定値ですので、今後、上昇の可能性もあるのかもしれませんが、今年の値の要因について、もし何か分析をされていましたら、追加で教えていただければと思います。以上です。
○小畑部会長 御質問でございますので、事務局からお答えをお願いいたします。
○労働保険徴収課長 資料2-1の3ページの一番下に書いております義務付けに関することですが、今後、申告書送付廃止の対象拡大について検討していくということについては、御指摘のとおり、義務化の対象を拡大するということは、選択肢としてあり得ると考えております。
ただ、この義務化の範囲というのは、もともとは法人税や消費税に倣い、そしてさらに、厚生労働省内でも他の手続に倣っているところがありますので、労働保険だけでその義務化の対象を拡大するということが適当なのか、可能なのかということについては、慎重な検討が必要であると考えております。
ただ、では義務化の対象を今のままにずっとしておけば、申告書送付廃止もそのままなのかというと、そのような姿勢は取るつもりはなく、実際にこの義務化されている法人について、まず申告書の送付を行わないということをやってみて、それによって年度更新手続が円滑に行く、あるいは混乱が生ずるのか、そういったことを見極めながら、厚生労働省の判断として、申告書の送り方について更に検討していくということはあり得ると考えております。
○補償課長 続いて補償課です。資料2-2の2ページの給付基礎日額の変更申請の部分です。これは実は昨年度も同じような傾向であり、実はその給付基礎日額の変更について電子申請は前年度末に申請をするということになっています。そういう意味で、傾向として前半は少なくて、後半になると増えてくるという傾向があり、今年度も同じような傾向なのかと思っています。以上です。
○小畑部会長 笠井委員、いかがでしょうか。
○笠井委員 御回答それぞれありがとうございました。1点目の対象拡大につきましては、御検討を慎重にされるということ。もちろんできるだけ多くの事業主が電子申請を利用することは重要だと思っております。義務化という形で強制力を伴うアプローチを取る、その前提としては電子申請ツールの周知・広報や、使い勝手の向上が不可欠だと思います。そのことを通じて普及促進を図ることが、より効果的ではないかと考えております。
それから、2点目の御回答もありがとうございます。引き続き課題の分析や、克服を通じて利用率の向上を図っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○小畑部会長 ほかにいかがでしょうか。足立委員、お願いいたします。
○足立委員 御説明ありがとうございました。ただいまの2-2の資料のところなのですけれども、③の特別加入の申請が、令和5年度が14.3%で、令和6年度が一旦横ばいというか、若干下がったように見えております。令和7年度の上期の暫定値では17.3%に上がっているのですけれども、逆にここは上期はいいけれども、下期と合算すると下がってしまうといった要因はあるのか、懸念があるのか、それとも、そういうことはないのかという点について教えていただけますか。
○小畑部会長 事務局のほうで御回答お願いいたします。
○補償課長 ありがとうございます。補償課です。これは設立時の申請ですので、そもそも件数が、ものすごい多いわけではなくて、たまたま傾向として減る部分もありますので、ただ前提としては右肩上がり、徐々にですが上がっていますので、引き続き努力をしたいと思っています。実はこの部分は非常に難しくて、変更届ですと1枚だけで申請できるのですが、設立時はいろいろな資料を出していただいて、窓口でいろいろ情報交換したり、確認しながら、それがいいのか悪いのかというのを聞き取りをしなければいけないので、なかなかそこが申請に結び付いていないという分析をしています。事前に設立したいという団体の方からは、相談があって、そこからいろいろスタートするわけですので、そういった事情があって、なかなか伸び悩みもありますが、できるだけ電子申請をしていただけるように、今後とも取り組んでいきたいと思います。以上です。
○足立委員 ありがとうございました。
○小畑部会長 続きまして最川委員、お願いいたします。
○最川委員 最川です。私のほうは資料2-1と2-2の5か年計画ですかね。その電子申請利用率の推移が今、目標線が資料2-1でいくと、2ページですと30%、資料2のとおりいくと、それぞれ30と50ですかね、2つあると思うのですけれども。これは将来的に100%にいつまでにするというのは目標があるのか、逆に何年までに5割達成等の長中期的な目標というのがあった上で、今回30%と決めたのか、現在の上昇率で決めているのかというところをお伺いしたいというのと、今は結局ダブルスタンダードになっていて、しばらくは、電子申請するための費用などが余分にかかっているのですね。一旦、費用でいけば、その電子申請にするのは利用率の向上ですとか、あとはその経費を削減など、そういう具体的な目標があって、何年度までにはその費用を削減へもっていこうという希望があると思うのですけれども、そういうお考えがあるのでしたら、少しお聞きしたいと思います。○小畑部会長 御質問に対しまして、事務局のほうからお答えをお願いいたします。
○労働保険徴収課長 ありがとうございます。両方にまたがることですが、労働保険徴収課長からお答えをさせていただきます。まずこの目標値の在り方ですが、この30%というのが、令和3年度に定めた目標値でありまして、5年後を見据えたものであって、令和8年度の30%というのが当面の目標となっております。
その先については、当然更にオンライン利用というものを普及させていこうという考えはあって、そのための短期的な目標として5年間というものを定めたと理解しておりますが、ではその先に将来的に何%を目指すというようなことを明示しているものではございません。
あと、その費用の観点、なかなか回答するのが難しいのですけれども、電子申請が普及することになれば、事業主の方、社会保険労務士の方、労働保険事務組合などの事務負担の軽減につながり、利便性の向上が図られる、これが大きな目標としてありますが、その効果として、都道府県労働局の事務も効率化される。予算が幾ら削減されるというようなことを見込んでいるものではございませんが、都道府県労働局の事務が効率化されていくということが期待されるのではないかと考えております。
そうしたことも視野に入れまして、私どもは電子申請の普及に努めるとともに、さらに、行政事務の効率化という観点から、労働局の事務を電子申請を基本とするという理念の下で、業務プロセスであるとか、システムであるとかを最適化していく、こういうことを考えているところです。直接の回答にはなっていませんけれども、回答させていただきました。
○小畑部会長 最川委員、いかがでしょうか。
○最川委員 ありがとうございます。資料2-1の2ページの所で、例えば今までこの4年間の伸び率は、平均すると大体3.15%ぐらいと。それを仮に100%になるまでに何年かかるかというと、23.5年ぐらいかかってしまうのですね。だから、このまま20年間同じような伸び率を見据えた目標値にということではなくて、少なくとも10年後ぐらいまでには完全に移行してやりましょうというところがあって、次の目標値を決めていただくとか、そういうことにならないと、社会復帰促進等事業の費用が相当増えてきている。このままずっと20年間増え続けて、利便性も余り上がらない、ダブルスタンダードのまま費用もかかっていくということにならないように、ある程度プラスに転じることを見据えた政策にしていただけると、大分助かるかなと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。これは要望です。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。ありがとうございました。
それでは本日予定した議題は以上ということになりますので、部会は終了といたします。事務局から次回日程について、お知らせをお願いいたします。
○労災管理課長 次回の日程につきましては、事務局から追って連絡いたします。
○小畑部会長 本日は以上といたします。皆様、お忙しい中、誠にありがとうございました。
本日の委員の出欠状況ですが、小西委員、武林委員、水島委員、岩﨑委員、立川委員が御欠席と伺っております。また、最川委員が途中での御退席と伺っております。出席者は現在13名でございますが、公益代表、労働者代表、使用者代表、それぞれ3分の1以上の出席がございますので定足数を満たしていることを御報告いたします。カメラ撮影等はここまでとしますので、御協力をお願いいたします。
それでは、議題に入ります。本日、1つ目の議題は「労災保険制度の在り方について」です。前回の労災保険部会における御意見を踏まえ、追加の議論を行うこととしました。事務局にてそのための資料を作成いただいています。まずは事務局から資料の御説明をお願いいたします。
○労災管理課長 それでは資料1を御覧ください。労災保険制度の具体的な課題について、引き続き議論が必要な事項をまとめています。
1ページを御覧ください。メリット制についてです。論点の①は、11月12日の第123回部会と同じ論点を記載しております。論点の②ですが、第123回部会の論点では後半について「報復行為や不利益取扱いにつながるといった懸念について、どのように対応すべきか」と記載しておりましたが、「報復行為や不利益取扱いにつながるといった懸念について、その実態を把握し、その結果に基づき必要な検討を行うことについてどのように考えるか」に修正して提示させていただいております。
1ページの中ほどから3ページまではこれまでの部会における各委員の御意見を、4ページは研究会中間報告書における該当部分を記載しています。
続いて5ページを御覧ください。労災保険給付が及ぼす徴収手続の課題についてです。論点の①から④までは、11月12日の第123回部会の論点と同じ論点を記載しております。論点⑤は追加の論点となりますが、P1、論点②の実態把握の結果に基づき、「事業主に対する支給決定に関する情報の提供の在り方について、必要な検討を行うことについてどのように考えるか」を新たに記載しております。情報の提供の在り方とは提供される情報や方法を意味しております。
5ページの下半分から11ページまではこれまでの部会における各委員の御意見を、12ページは研究会中間報告書における該当部分を記載しております。事務局からの説明は以上です。
○小畑部会長 ありがとうございました。それでは、議論を進めたいと思います。今回のテーマはメリット制と労災保険給付が及ぼす徴収手続の課題の2つですが、相互に関連すると思いますので、まとめて議論いただくことといたします。御意見、御質問等ございましたら、会場の委員におかれましては挙手を、オンラインで御参加の委員におかれましてはチャットのメッセージから「発言希望」と入力いただくか、挙手ボタンで御連絡をお願いいたします。御意見、御質問等ございましたらよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。白山委員、お願いいたします。
○白山委員 私からは、メリット制について意見を申し上げます。論点②の後半に記載いただいたとおり、労災かくしや事業主からの報復行為や不利益取扱いに関する懸念についてまずは実態把握を行い、その結果も踏まえて制度の在り方について議論していくことは必要であると思います。
併せて、前回部会で労働側の岩﨑委員からお願いしましたが、諸外国におけるメリット制の効果や課題についても調査・分析を進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○小畑部会長 ありがとうございます。他にはいかがでしょうか。笠井委員、お願いいたします。
○笠井委員 3回目の議論の場を御用意いただいたこと厚くお礼申し上げます。まず、メリット制の論点①について発言いたします。これまでの意見の繰り返しとなりますが、研究会で示された効果検証は、メリット制の目的である事業主の自主的な災害防止努力の促進と事業主の負担の公平性について一定の効果を裏付けるものと認識しています。効果検証の継続に反対はいたしませんが、制度を存続させて適切に運用すべきであると考えます。
次に、論点②です。これまで労働者代表委員から主張されてきたメリット制に伴う懸念につきまして、研究会中間報告書では制度の意義を損なうほどの影響は確認できないとされています。可能性やおそれにとどまり、エビデンスが伴わない懸念を議論の前提とすることは適切とは言えません。その意味で、実態を把握することは重要だと考えます。その際には具体的にどのような行為があったのか、その行為が事業主による報復行為や不利益取扱いと言えるものか、その原因は何か、メリット制との間に因果関係があり得るのかを含め、正確に事案を確認し分析する必要があります。研究会に示された労災かくしの動機に係る調査では、メリット制を理由とした事例は1つもなかったことを念頭に置き、議論に適切にいかせるような実態把握に努めていただきたいと思います。
そのほか、メリット制に関する部分は他の使用者代表委員の方々に御発言をお願いしたいと思います。私からは以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他はいかがでしょうか。福田委員、お願いいたします。
○福田委員 私からメリット制の論点①と②につきまして発言させていただきたいと思います。まず、メリット制につきましては、研究会での検証でも明らかになったように災害の抑止効果が一定程度認められている。また、少なくとも災害を助長するようなことが確認されていない以上、これまで同様に適切に運用していくのは当然ではないかと考えています。
これまでも我々のほうから繰り返し発言してまいりましたけれども、そもそも保険という形を取る以上、災害の発生率・発生件数に応じて料率を設定するという考え方は、産業別の料率算定にも入れられておりますし、これを企業別にも適用するのは保険として当然だろうというように理解しています。そういう意味では、そもそもメリット制という名前について、企業側が何かメリットを得るような、そういう仕組みであるかのような印象を受けますけれども、これは本来メリット、即ち得とか損とかということではなくて、労災保険財政に与える影響の度合いに応じて負担をしているというだけに過ぎない。そういう仕組みなのだろうと考えております。
続いて論点②も関わるところですけれども、このようにメリット制については保険として当然に含まれるべき考え方であって、これを廃するかどうかという議論については災害を助長するであるとか、労災かくしや事業主による報復行為につながっているという明確なエビデンスがあって初めて議論の俎上に上るべき話ではないかなと考えます。そうした調査を行うという今回の論点については、そのこと自体をあえて否定するものではないと考えています。以前、私の方からも申し上げさせていただきましたとおり、これまで弊社の関連のこうした事案においてメリット制を理由に労災かくしに及んだ、こういう調査結果は1件もなかったということを改めて申し添えさせていただきたいと思います。
最後に、今回の論点とは関わりないかもしれませんけれども、これまでも申し上げてまいりました通り、企業として災害の防止に取り組んでいるというのは、こうしたメリット制による何かを得たい。こういうことではなく、やはり安全で健康な職場を実現するということ、それがまたサステナブルな企業であり、職場であるための条件であると考えているからこそであると申し述べさせていただきます。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。オンラインで砂原委員からお手が挙がっているということですのでお願いいたします。
○砂原委員 私の方からも少しお話をさせていただきたいと思います。まず論点①について、繰り返しの発言になってしまって申し訳ございません。研究会の中間報告を踏まえると、メリット制の目的である事業主の自主的な災害防止の促進と事業主の負担の公平確保について一定の効果が認められています。そもそも労災保険は保険事業ですので、リスクに見合う保険料の設定というのが原則であるべきと考えます。自動車保険等、民間保険においても事故が多い場合、保険料も高くなるし、そもそも事故を起こすと保険料が増えると思えば、より一層事故を起こさないようにするのが一般的だと考えます。先日の部会の資料でお示しいただいたように、労働政策研究・研修機構の調査によれば諸外国、ドイツ、フランス、アメリカといった国の労災保険政策においてもメリット制が導入されております。メリット制の効果検証を継続することは否定しませんけれども、制度を存続させ、適切に運用することが重要かなと思います。
○小畑部会長 ありがとうございます。オンラインで最川委員からもお手が挙がっていらっしゃると思いますのでお願いいたします。
○最川委員 今、笠井委員、福田委員、砂原委員から発言があったとおりですけれども、私も福田委員の意見と同じで、このメリット制によりプレッシャーがかかるとか、そういうことは今まで感じたこともありません。もし、プレッシャーがかかるとすれば、支給決定の時よりも、給付申請、例えば5号様式とか、23号様式を提出する段階です。そういうところで可能性はあるとしても、メリット制による減額を適用されなかったとして、プレッシャーがかかるという事例はない。研究会報告でもそのような回答はないと調査結果が出ています。実際に具体的な事例を出していただいて、それを解決していくように持っていってはどうかなと思っています。
このプレッシャーのかかるというところは、全くメリット制対象事業所以外で、当社の事例でいくと、私が安全担当になって10年ぐらいになりますが、最初の頃、二次、三次下請から報告が上がってこないという事例が確かにあったのです。それを受けて全国の安全大会ですとか、そのような所で、どのような小さいけがでも必ず報告してくださいと伝えて回りました。それとどのような小さいけがでも必ず報告してくださいという社長メッセージのビデオを作成して、新規入場時に全員にみていただくということをやってきました。今ではほとんどなくなりましたが、二次、三次以降の下請から適切に報告がくるようになるには4、5年かかりました。変にプレッシャーがかかっているような忖度を自分たちでしてしまって、全員が新規入場時に必ず見るようなビデオで社長からメッセージを出しているにもかかわらず、それでも数年かかってしまった。そういうことがもしあれば具体的にどういうことでプレッシャーがかかるというのを出していただいて、それを労働者側と一緒に解決していくのがいいと思っています。特にメリット制に対してはそういうことはないと感じていますので、もしあれば具体的に出していただきたいというのが私の意見です。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他はいかがでしょうか。松尾委員、お願いします。
○松尾委員 論点②について、メリット制の関連で労災かくしの関係です。今、使用者側の委員からおっしゃったように、建設の関係では、いわゆる働き先によってはまだ十分ではない。確かに、委員のおっしゃったゼネコン現場で徹底されてきているというのは、私も事実だというように思っていますが、建設現場はそれだけではありません。違う所に関しては、労災かくしはあると思います。圧倒的に労働者の方たちはきちんと言えない、主張できないという不利益な立場にあります。弱い者の立場を運用上尊重していくというのは大事だと思います。
その中で、メリット制のためにそういうことになるのかということは、逆に言えば、払っている使用者側から見れば、そういうことはないのですという話になりますけれども、結果的にそういうこともあるかもしれませんし、この根拠についても、私はメリット制について、直接労働者の立場としては、そこは違うのではないかというように、この間の私が取り組んでいる中での経験から申し上げるところなので、決して根拠があるということではないのですが、感じとして受け取っているということで御理解いただきたいと思います。
その上で、この論点②の「その実態を把握し、その結果に基づき必要な検討を行う」というのは、以降やっていただきたいと思っております。以上です。
○小畑部会長 他にいかがでしょうか。冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 先ほど、使用者側委員から「エビデンスがない」といった点や「煙がない所にあえて火の元を探すようなもの」という話もございましたが、これまでの部会でも申し上げてきたように、メリット制によって保険料が上がった事業主による、被災労働者に対する報復行為や不利益取扱いを行う懸念の検証は、研究会でなされていません。我々が現場から聞く中では、労災申請を行った者の不当な配転や、申請協力者に対しても力関係の差を利用して会社の意に添う発言をさせるという事案もあると聞いております。そういった点をしっかりと実態把握をすることが必要であると思います。以上です。
○小畑部会長 他にございますでしょうか。笠井委員、お願いいたします。
○笠井委員 労働者側の委員の皆様からも、実態把握を進めてほしいというような御要望がありました。私どもも是非そのようにと思っております。具体的にどのような行為があったのか、それが事業主にとって解雇権や人事権といった権利の濫用にあたるものか、あるいはその範囲なのかも含めて、正確な把握と分析が必要だと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
そうしましたら、次に、労災保険給付が及ぼす徴収手続の課題について、前々回の部会で申し上げたことに関連し、質問も含めて発言させていただきます。
私から、使用者代表委員が重視する「手続保障の観点」という表現が各論点で一言も登場しないことについて、あんしん財団事件の最高裁判決や研究会中間報告書を踏まえて違和感があると申し上げました。最高裁判決で明確化された手続保障の観点、労働基準法の災害補償責任に基づく保険料負担者であるという観点からは、研究会に参加する公益代表委員の水島先生や中野先生からも、これらの観点で見ると情報提供の範囲は論点の中身では十分でない旨の御意見があったと記憶しております。
このような経緯があったにもかかわらず、本日の資料における論点の記載ぶりに変更はなく、研究会の中間報告書や当部会におけるこれまでの議論にはない、「労災保険率決定に係る事業主の納得度を高める観点」という表現が残っていることを残念に思います。
使用者代表委員としての納得感はないと申し上げた意見が省みられることはなく、情報提供の趣旨・目的として掲げられても効果は期待できないと考えます。
私どもの意見は、これまで再三にわたり申し上げたとおり、個々の事案の支給金額を含めて、請求人と同じ情報を同じタイミングで事業主に通知するとともに、事業主が監督署に照会した場合には、労災の認定理由を請求人に対してと同様に、可能な範囲で開示することです。このことを改めて要望するとともに、議論を深める機会を頂きましたので、その前提となる現状を確認する趣旨で、事務局に5点質問させていただきたいと思います。
1点目です。事業主に労災保険の給付請求手続への協力を求めながら、保険給付の支給・不支給決定の事実が事業主に提供されていないという現状について、改めて、その理由や背景をお伺いします。
2点目です。保険給付の請求書において、事業主は平均賃金を含む一定の事項を証明する義務があります。事業主が証明した平均賃金の額と異なる額に基づき、給付基礎日額が決定される場合、監督署から事業主に対して訂正の事実や訂正後の金額は通知されているのでしょうか。その場合、どのような理由でしょうか。
3点目です。第123回の当部会で示された、請求人に対する支給決定通知や不支給決定通知には、「この決定理由の詳細についてお聞きになりたい点があれば、当署まで照会してください」との一文があります。この文言に基づき、請求人が監督署に支給決定、あるいは不支給決定の理由を問い合わせた場合、どの程度の情報が開示されているのでしょうか。例えば精神障害事案における不支給決定について、監督署が判断の根拠とした出来事が複数存在すると仮定した場合、それぞれの出来事に対する評価やその理由について、請求人に開示しているのでしょうか。
4点目です。古い通達ですが、労働省が昭和62年3月30日に発出した「労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律の施行(第2次分)等について」によれば、労災則第23条の2第1項に基づき、事業主が所轄労働基準監督署長に対して保険給付の請求に関する意見を申し出た場合、「保険給付の請求について決定を行った後、意見書を提出した事業主から照会があった場合には、当該決定の結果について説明を行うものとする」とされています。こちらの通達に沿って、どのような運用がなされているか、また、現状について教えていただきたいと思います。
5点目です。論点①、論点②では、同一事故に対する給付種別ごとの初回の支給・不支給決定に限り、一定の情報を事業主に提供することが提案されています。このことを前提に、仮に請求人が審査請求や再審査請求を行い、行政処分の内容が変更になった場合には、改めて、確定した内容を事業主に情報提供することを想定されているのでしょうか。以上です。よろしくお願いいたします。
○小畑部会長 御質問ですので、事務局からお願いいたします。
○労災管理課長 5点の質問を頂きました。まず1点目です。保険給付の支給決定や不支給決定の事実が事業主に提供されていない現状について、その理由や背景を改めて伺いたいということでした。
これについては、労災保険法施行規則第19条において、「所轄労働基準監督署長は保険給付に関する処分を行ったときは、遅滞なく文書でその内容を請求人、申請人又は受給権者若しくは受給権者であった者に通知しなければならない」と定められております。この規定から請求人に通知をしているものです。
2点目です。「保険給付請求書において、監督署から給付基礎日額が訂正された事実や訂正後の金額は通知されているのか」という御質問でした。
休業補償等給付請求においては、請求書に記載された平均賃金の算定結果に不備がある場合には、事業場に事実関係を確認の上、請求書を補正しております。補正後の金額は通知していないという取扱いになっております。
3点目です。「第123回の部会で示された不支給決定通知に基づいて、照会に対してどのような回答をしているのか。請求人に開示しているのか」という御質問でした。
こちらについては、労災給付事務取扱い手引きというものを定めており、その中で「請求人から所轄署長に対して不支給決定等の処分の理由について説明を求められた場合には、法律上の根拠及びその解釈並びに医学的判断理由を説明し、請求人が当該処分理由を理解し得るよう努めること」とされております。こういったことを踏まえまして、事案に応じて決定内容を説明しております。
例示いただいた精神障害事案に関しては、例えば御主張いただいた出来事のうち、出来事A、出来事B、出来事Cについて、認定基準に基づいて総合的に判断しましたが、心理的負荷は「中」と判断され、認定基準を満たさないものとして不支給となったもの、このように説明していると承知しております。
4点目です。労働省の昭和62年3月30日に発出した通知に関してです。「事業主から照会があった場合、当該決定の結果について説明を行うものとするとされているが、この運用についてどうなっているのか」という御質問でした。
御指摘の通達においては、「事業主から意見の申出のあった保険給付の請求について決定を行った後、意見書を提出した事業主から照会があった場合には、当該決定の結果について説明を行うものとする」とされております。その後、平成15年に個人情報の保護に関する法律が成立しましたが、この法律にのっとり、請求人の同意を得られた場合には、可能な範囲で決定結果の説明を行うこととしていると承知しております。
5点目です。論点①、論点②で、初回の支給決定に限り情報提供するということを提案させていただいていますが、これを前提にして審査請求、再審査請求を行い「行政処分の内容が変更になった場合、改めて確定した内容を事業主に情報提供することを想定しているのか」という御質問でした。これについては想定しているところです。
頂いた質問に対する回答は以上です。
○小畑部会長 笠井委員、よろしいでしょうか。
○笠井委員 御回答ありがとうございます。
1番目の、情報提供をしないことに関する背景の質問については、私の理解が間違っていれば御指摘いただきたいのですが、施行規則上の対象である請求人に提供することを根拠としており、事業主に情報を提供しないという積極的な判断があったわけではない、あるいは確認できていないということだと理解いたしました。
それから、2番目の質問について、事業主が証明した平均賃金の中身が補正されても、証明した事実が違っていることについて、事業主には提供されない、補正後の金額が提供されないことになると、事業主が個別の支給額を正確に算定することは困難です。もしメリット制の適用事業主の保険料の増額があった場合に、個別の給付額がどの程度寄与しているのか、具体的に把握できないことになり、労災保険率の算定基礎に含めるべきでない給付があるかどうか、行政訴訟などの際に事業主の側が判断し、立証することは困難です。仮に、給付の総額が開示されることになっても、最高裁で明確化された手続保障が実質的に担保されるとは言えないと考えます。このような状況は早期に解消されるべきです。
4番目に質問した、通達に基づいて事業主が意見を提出した場合、保険給付決定の結果については一定程度説明が行われていると理解いたしました。そのことは、事業主への情報提供を行う妥当性が行政としても認識されていることの表れであると捉えています。
3番目に質問した理由の請求人に対する説明ですが、現状でも、請求人に対して一定の理由の開示ができる、しているという御説明でした。
先ほどの通達では、意見申出制度の趣旨として、事業主は労働安全衛生法等に基づき、労働者の健康管理に責任を有する立場にあり、労災事故の一方の当事者でもあることが指摘されています。そのような立場にある事業主の照会に応じて、請求人に対するものしてと同様の情報を提供することは、バランスを取る観点からも適切と考えます。その際に、現状では個人情報保護法に則り運用されているとのことですが、留意すべき点があれば、エビデンスに基づくものかを確認した上で、個人情報保護法や情報提供を制限するという方法を所与、あるいは前提とすることなく、労災保険制度の性質や事業者の立場、役割に照らし、対応が必要かどうかを検討することが適切であると考えます。私からは以上です。
○小畑部会長 他にございますでしょうか。足立委員、お願いします。
○足立委員 私からも論点①から論点④の所と、最後に論点⑤の所についてのコメントを申し上げたいと思います。特に、情報提供の範囲について申し上げたいと思います。
論点①、論点②においては、労災保険給付の支給決定、不支給決定の事実を同一事項に対する給付種別ごとの初回の支給決定、あるいは不支給決定に限って事業主に提供することとなっていて、その際の情報として、被災労働者等に通知している項目の中から、支給決定金額、算定基礎金額理由等を除くことを御提案されています。
また、論点③、論点④においては、メリット制の適用を受ける事業主に対して、労災保険料の算定の基礎となった労災保険給付に関する情報を提供すること、その際の情報として、メリット制算入期間における保険給付、特別支給金及び特別遺族給付金の合計金額とすることを御提案されています。
情報提供の範囲についてですが、研究会の中間報告では、特に限定されてはいないという認識で、当部会でも個別の項目に関する十分な議論がなされたとは私は認識しておりません。
論点②、論点④で示された項目には唐突感があります。本来、事業主に対しても請求人と同じタイミングで、同じ情報を提供することを前提として議論されてきたのではないかと思っておりますし、仮に不適当と考えられる情報があるのであれば、労災保険制度における事業主の役割とか、立場を前提に情報提供による不利益など、どのような留意点があるのか、どの項目に課題があるのかといった点を議論して、事業主に情報提供しないという結論とするといったことがなされ、具体的に精査していくことが必要なのではないかと考えております。
また、個人情報や機微情報として保護すべきなのかというところも、特にこの部会でも、細かい議論はされていないという認識ですので、事業主の手続保障に着目しない形で情報提供の範囲を絞るという御提案が出ていることについては、少し違和感を感じております。
中間報告を踏まえると、事業主に提供される情報の内容は、まず1つ目として、早期の災害防止に取り組む上で必要であるということです。2つ目に、労災保険の保険料負担が、労働基準法の災害補償責任を基礎としていること。3つ目として、労働保険料の認定決定処分の取消訴訟等における手続保障を確保する。この3点がありますので、この部分をしっかり議論して、項目を検討するべきではないかと考えておりまして、ここがきちんと議論されたのかという点では、先ほどから申し上げているとおり、不十分なのではないかと考えております。
さらに、論点⑤の所です。先ほどのメリット制とも絡みますが、これらの懸念点の実態を把握した上で、その結果に基づいて事業主に対する支給決定に関する情報の提供の在り方を検討することを御提案されておりますが、先ほどの3つの観点に照らして、論点②や論点④で示された情報では、まだ不十分ではないかと考えますので、しっかりと早期に実態を把握した上で、情報提供を原則とする方向での検討が行われること、さらに項目の検討、これは中間報告をきちんと踏まえた上での検討がされることを希望いたします。以上です。
○小畑部会長 武知委員、お願いします。
○武知委員 私からは、支給決定の理由が提供させられる必要について、これまでの発言の繰り返しとなりますが、改めて申し上げます。
労働災害が発生した事業場において、再発防止対策に取り組むことは当然の対応ですが、研究会で御意見があったとおり、脳・心臓疾患や精神障害等の疾病を含めて、業務上か否かの判断が難しい事案が存在します。労働者代表委員からは、事業場の事故は事業主として、原因分析、再発防止は当然の責務であるとの発言もありました。
挟まれ、巻き込まれ、転倒のような事案であれば、業務災害であることが明確であり、対応もできますが、業務起因性の判断が難しい事案では、業務起因性のある災害であることの確認なくして、事業主が適切・有効な対策を検討、実施することは困難です。
また、業務起因性があったとしても、長時間労働なのか、ハラスメントなのか、どのようなハラスメントなのか。原因によって、当該職場に適した対策は異なってきます。
事業場において、真に実効性のある再発防止対策に注力し、類似の災害を早期に防止するために、事業主が監督署に問い合わせた場合には、労災の認定理由について、請求人に対する説明と同じ程度で結構ですので、開示いただきますよう要望いたします。
なお、労働者代表委員からは、労災保険の給付請求手続において、「事業主が協力しない場合もある」との御指摘がありました。事業主証明を行わない背景として、労災保険の正当な請求手続を妨害する意図があるケースばかりではありません。例えば精神障害の事案において、事業主が調査を尽くしても災害の発生原因となった事実を確認できないケースもあろうかと存じます。
また、災害発生が業務上であったかや、発生状況等への認識が異なる場合などに、証明を行わない判断をせざるを得ない場合が考えられます。その場合でも労災申請は可能であり、その後の労基署の調査に誠実に対応することは事業主の責任であると考えています。そのような過程での事業主の説明や事業主が提出する意見書などを踏まえ、労基署においては支給要件を満たす請求かどうか、客観的に判断がなされると理解しております。私からは以上です。
○小畑部会長 砂原委員、お願いいたします。
○砂原委員 情報の関連について、今までの発言の繰り返しとなりますが、基本的な考え方を改めて申し上げたいと思います。
使用者は労働基準法上の災害補償を負い、それを基礎とした労災保険料の全額を負担しております。労災事故が発生すれば、再発防止策を講じる必要がありますし、仮に過失がある場合には、民事裁判を経て損害賠償を行うこともございます。
このような事業主の果たす役割を踏まえますと、請求人と同じ情報を同じタイミングで事業主が得るべきだと考えます。このことを議論の出発点とすべきではないかなと考えておりまして、事業主に情報提供してよい範囲について、限定的に検討するという論点の設定自体に若干疑問を感じております。
通常、損害賠償においては、損害額の立証責任が被害者側に求められることからも、推して知るべしだと考えます。そして、何よりせっかく有識者の先生方に御参集いただき、様々な観点から制度変更について御議論いただいた中間報告があるのですから、それと異なる論点設定をすることに疑問を抱きます。やはり、研究会の中間報告を踏まえた論点で検討していくことが重要ではないかと考えた次第です。以上です。
○小畑部会長 ほかにいかがでしょうか。福田委員、お願いいたします。
○福田委員 私からも2、3申し上げます。これまで被災された労働者の御家族などに対して、会社として補償させていただくために、支給決定の事実等を確認することについて、その実情を申し上げさせていただきましたが、この点について若干誤解もあるように受け止めましたので、改めて発言した趣旨を申し上げます。
私は、単に会社側の担当者がそうしたことを御家族などに質問することが、非常に聞きづらいということ、それが心理的な負担になっているということを言っているわけではございません。それは、我々事業主側内部の話であって、全く問題にしているつもりはございません。何があろうと、何と言われようと、会社として御家族にしっかりと向き合うというのは当然のことだと考えております。
私が申し上げたのは、大切な御家族が被災された御心痛がまだ癒えぬうちに、会社からの補償の算定に必要だと、そういう金銭面のことのために、国からの補償の有無、あるいはその額等について答えなければならない、こういう御家族の御心情もあろうかと思いますが、これを強いることになることについて、疑念を申し上げたということです。
その上で、我々企業として補償金の算定、そして支給といった事務を行うというにあたって、恐らく我々が提出した平均賃金がそのまま使われているのであろうと、こういう想定のみに基づいて、重要な補償金の算定をしていくことは、通常の会社における事務の執行という手順としては、非常に違和感があるところでして、支給決定金額などについても、我々企業側に通知されるべきものであると考えるところです。
また、労災補償の支給や不支給にかかわらず、災害防止に努めることが会社の責務という話も、これまでも何度もあったところですが、これは当然の話だというように、我々も考えているところです。ただ、それはあくまでも労働災害の撲滅に向けてというものであって、そもそもけがや病気が業務上の理由によるものなのかどうか、それもどのような観点において、それが業務上あるいは会社側の落ち度があってのものというように判定されたのかということが明らかになってこその責務というように考えています。
これまでも申し上げましたとおり、被災者の生活習慣、あるいは本人特性が主因となるようなけがや疾病がある以上、それが業務上か否かの区別を事業主側が勝手に行うということではなくて、業務上災害であれば、どのような点において我々事業主側に落ち度があったのかということも含めて、明確にお伝えいただくということが的確かつ効果的な災害防止対策のスタートということになると考えております。
これをされないということは、その他の労働者の安全な就労環境を確保するという観点において、決して十分な状態にない、こういう状態が継続しているというように考えるところです。以上です。
○小畑部会長 ほかにいかがでしょうか。冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 これまでの部会でも意見として申し上げているところですが、労働側としては、事業主への労災支給決定情報も、メリット制適用事業主への労災保険料算定情報も、提供不要であると考えている点は改めて申し上げておきます。
使用者側委員からは、本日も含めて幾度となく「再発防止を講じるためにも、請求人と同じタイミングで同じ情報を提供してほしい」という意見が述べられておりますが、これも繰り返しになりますが、労災支給決定情報の有無にかかわらず、事業場で何らかの事故が起こった際に再発防止を講じるということは、事業主としては当然の責務であるということを改めて申し上げておきたいと思います。加えて、前回部会だけでなく、先ほども使用者側委員から意見がありましたが、労災認定の理由などについて、事業主が監督署に照会した場合には可能な範囲で開示いただきたいというような意見もございましたが、これは輪をかけて認められないと考えております。そうしたことを認めれば、労災申請に非協力的な事業主などが労災支給決定に至ったのかということを根掘り葉掘り聞き出して、その情報を基に被災労働者や証言者への不当な圧力などをかけるということは容易に想像ができ、まさに百害あって一利なしと考えているところです。
その上で、今回論点⑤として、メリット制に関わる不利益取扱いなどの実態把握の結果に基づいて、情報提供の在り方について必要な検討を行うということが提案されております。調査に基づく議論自体は否定しませんが、実態把握の結果として、問題が生じていることが明らかになった場合は論点①から論点④の情報を含めて、事業主への提供をしないことも視野に入れた検討とするべきであることは指摘しておきたいと思います。以上です。
○小畑部会長 他はいかがでしょうか。松尾委員、お願いいたします。
○松尾委員 今、冨髙委員がおっしゃったように、5ページの下にあるように、私もこの主張については実態も経験していますから、そのように思います。
いわゆる使用者側と労働者側との観点が、見る点が違うので、それは相当プレッシャーもかかっていますし、長期間になるということだけでも、家族の生活も含めて、大きなプレッシャーになるということは、被災者の方も含めて、あることは間違いないということです。労働者側の観点から見ると、危険だと認識せざるを得ないと思います。
その上で、論点⑤の関係です。双方意見が割れておりますので、そうは言っても実態把握をきちんと行うということは、この間の議論の中では必要ではないかと。ですので、その結果に基づきながら、どういう在り方が必要なのかということは、議論をやることについては否定もしませんし、この間の議論からすれば、こういうことも含めてどうなのかということは検討する必要があるかなと思っております。以上です。
○小畑部会長 最川委員、お願いいたします。
○最川委員 冨髙委員、松尾委員からありました、事業者側が、災害が起きたときに対策を講じる、それはもちろん当たり前だと思っていますし、使用者側委員も同じ意見だと思っています。
ただ、事業者が講じるべきことだけでは、災害は絶対になくならないですし、労働安全衛生法26条にあるように措置を講じるルールも労働者にはありますし、実態を把握して、両者が同じような災害防止に努めるというところから災害防止が始まるので、事業者だけがやれば事故がなくなるわけではなくて、労働者だけがしていくことでもないです。支給に関して事業主に隠しながらやるというのは、絶対にうまくいかない、事故はなくならないわけです。
支給決定に関して事業主に教えたくない内容もあるのかもしれませんけれども、プレッシャーをかけられるということをなくすということに注力すべきであり、保険給付とか、決定事項を教えないということの議論ではないと思うのです。
目指しているところは一緒だと思うのですが、違う方向に意見がいっている。隠しながら事故が減るかといったら、それは絶対にないと思うので、お互い一緒に事実を共有しながら決めていきませんかということにならないかなというのは、私が個人的に思うのですが。目指しているところは一緒なのに、言い合いになっている。隠すことは正義というのは納得できない。是非、同じ起きた内容を共有して、業務起因性があったのか、どこが悪かったのか、お互い気を付けることは何なのかというのを目指していけることになればいいなと思います。よろしくお願いいたします。
○小畑部会長 他にいかがでしょうか。武知委員、お願いいたします。
○武知委員 今お話が出ているような、メリット制の報復関係の実態調査について、行うことには私も異存はございません。もし、それで報復行為が事実として判明した場合には、私もそれはよいことではないと思っておりますし、事業場では労災保険制度の趣旨に沿った運用が行われているべきだと考えております。
ただし、それぞれの事案には個別の事情がありまして、仮に調査をした中で、報復行為と疑わしいケースが出てきた場合であっても片方の言い分のみで判断できない点は留意が必要です。また、ごく少数の該当があったこと、それのみでこの場で議論しているような、大局的な観点での懸念の裏付けに直接つながるかどうかというのは、どうかなと思っております。それらは結果を見ながら慎重に検討する必要があると思います。
また、たとえそのような報復行為があるという調査結果が出たとしても、それはメリット制の運用を行う上での課題であり、メリット制自体を否定するような議論にはならないと私は考えておりますので、改めてお伝えしておきたいと思います。以上です。
○小畑部会長 他はいかがでしょうか。笠井委員、お願いいたします。
○笠井委員 これまで使用者側委員からは、論点の立て方、検討の仕方について、事業主の情報提供を原則とすべきこと、その理由は災害補償責任に基づく保険料負担者である事業主の手続保障の確保であり、これは最高裁判決でも明確化されていること、また、労災防止対策としても、情報提供が重要な役割を持つことを、重ねて指摘いたしました。
労働者側委員からは、事業主の情報提供に伴う懸念、不当なプレッシャーにつながり得るということが指摘されてきたところですが、労災請求手続の過程では、災害に伴い労働者の心身に障害を生じたことについて、事業主が知ることが前提の制度となっています。
支給要件を満たしていることを監督署が判断するために、請求人の主張だけではなく、労災事故の一方の当事者である事業主に対しても、証明調査への協力を必要とし、また、事業主の意見申出制度も設けられております。事業主へ決定の結果も説明されるという通達も発出されています。
国の制度である労災保険給付が適切になされるためには、これは保険財政の規律や労働者間の公平性の確保という観点からも重要だと思いますが、この労働基準監督官の調査には、事業主、労働者ともに真摯に協力する必要があるということも、改めて申し上げたいと思います。
御案内のとおり、労基署の尋問に対しては、虚偽の陳述や供述拒否には罰則も設けられております。当該事業所等での類似の事故の再発を防ぐという観点からは、労働安全衛生法上、事業者が安全・健康確保義務を負うとともに、労働者も必要事項の遵守や事業者等の措置への協力義務を負っています。私生活や事業者が予見可能でない身体の脆弱性が原因となる場合、実効性のある対策を講じることは困難です。適切な安全対策が講じられていない場合、作業等の過程で、他の労働者にも予期せぬ危険が及ぶおそれもあります。このことは使用者側委員から繰り返し申し上げたとおりです。労使一体で、是非取り組んでいきたいと考えており、このことが重要であることも改めて申し上げます。
労災であれば、請求をためらわずに行い、適正な補償を受けられるような環境を構築することこそが、本質であると思います。プレッシャーの負担があるという御指摘も重ねてございましたけれども、これを情報提供の可否という点のみに限定することもなく、懸念の解消方法を含め、実態把握を行い、どのような対応が必要かの議論をともに行っていければと考えております。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございました。本日議題としました各テーマにつきまして、御意見、御指摘など様々な貴重なお話を頂戴したところでございます。そうした委員の皆様方からの御意見、御指摘を踏まえまして、事務局におかれましては、本日の議論を整理して次回以降の議論に備えていただくようにお願いをいたします。
それでは次の議題は「労働保険関連手続及び労災保険特別加入関連手続に係る電子申請の状況について」でございます。事務局から御説明をお願いいたします。
○労働保険徴収課長 まず私からは、議題2の労働保険関連手続及び労災保険特別加入関連手続に係る電子申請の状況のうち、労働保険関連手続について御報告いたします。
資料2-1の1ページを御覧ください。まずオンライン利用率引上げに係る基本計画について御説明いたします。厚生労働省では令和3年度に規制改革実施計画に基づき、年間10万件以上の手続について、オンライン利用率を引き上げるための基本計画を策定いたしました。基本計画においては、手続ごとにオンライン利用率の目標値、オンライン利用率引上げに向けた課題、課題解決に向けたアクションプランを定めております。このうち労働保険関連手続については、対象手続に記載した労働保険料の申告等5つの手続について、令和8年度末までにオンライン利用率を、全体として30%に引き上げることを目標として定め、課題解決のためのアクションプランに記載したaからeの取組を行うこととしております。
基本計画については、少なくとも年に1回、利用者目線での第三者チェックを受け、その結果を踏まえて見直しを行うこととしております。このため毎年基本計画に係る実績を労災保険部会に御報告し、委員の方々から御意見を頂くこととしているところです。
資料の2ページを御覧ください。オンライン利用率の状況について御報告いたします。表には電子申請件数、これはオンラインという言葉を先ほどから使っておりますが、私ども政府全体として、このオンラインを利用した申請等々の行為を電子申請と総称しております。このため以下、電子申請という用語を使わせていただきます。
電子申請件数と利用率について、昨年度の実績と今年度上期の速報値を記載しております。対象手続①~⑤までの合計で、利用率は昨年度の実績は25.9%、今年度上期の速報値では29.5%となっております。グラフには昨年度までの過去5年度の推移を記載しております。直近の傾向から、令和8年度末までに利用率を30%にするという目標値を達成することは、十分可能であると見込んでおります。
資料の3ページを御覧ください。労働保険関連手続におけるアクションプランの履行状況について御報告いたします。aからeまでに記載したとおり、事業主への周知や支援の取組を継続的に実施しております。今後も引き続きオンライン利用率の進捗及びアクションプランの履行状況を踏まえ、効果的な取組方法等を検討し、オンライン利用率の引上げに取り組むこととしております。
また令和2年4月から、一定規模以上の法人の事業主に対しては、年度更新の手続を電子申請で行うことを義務付けています。電子申請の利用の一層の促進に向けた新たな取組として、電子申請が義務化されている事業主に対しては、令和8年度の年度更新からは、紙の申告書の事前送付は行わないこととしています。紙の申告書を送付しないことにより、電子申請を選択するよう強く促していこうというものです。今後その効果等を見極めながら、紙の申告書の事前送付を行わない事業主を更に拡大していくことを検討していくこととしております。私からの御報告は以上です。よろしくお願いいたします。
○補償課長 続いて補償課の関係です。資料2-2の特別加入の手続に関する電子申請です。1ページを御覧ください。基本計画の部分については同様の説明ですので割愛し、特別加入については1ページの真ん中です。対象手続として①~⑤が書かれており、特別加入に関する変更届は中小事業主と一人親方の関係、そして②として、これも変更届ですが、海外派遣の関係、そして③として、特別加入申請、これは設立時の関係です。そして④として、特別加入の脱退の申請。そして最後の⑤として、給付基礎日額の変更申請となっております。この5種類について説明をいたします。
アクションプランは後で説明するとして、2ページです。過去5か年の電子申請利用率の推移として下のほうにグラフで書かれております。目標値が50%のものと20%のものと2種類あります。①と②は50%を目標としており、③、④、⑤が20%を目標にしております。令和6年度までのものがここにグラフで書いておりますが、上の表で行くと、令和7年度のものが右のほうに書いております。これは上期の暫定値ですが、①と②の変更届の関係は、既にその暫定値で電子申請利用率は50%を超えております。③~⑤は、目標値が20%のものですが、特別加入の申請があと少し、そして脱退の申請は目標値を超えているという状況ですが、気になるのが給付基礎日額の変更申請の点です。この点については、実はその給付基礎日額の変更申請ですが、これは基本的に1年間同じにしてくださいということで、年度途中における申請は認めていないということです。
申請については2通りあり、翌年度の給付基礎日額の変更について、前年度末に申請をするか、当該年度中でも年度更新期間中に限って変更を認めております。年度更新期間中の変更申請については、年度更新の手続の際に提出される書類に所定様式を併せて添付することで変更手続ができてしまうので、実際こちらのほうが簡潔にできる形になっており、その結果が変更申請が電子申請としては少なくなっている要因かと思っております。ただ厚生労働省のホームページであるとか、あるいは特別加入のパンフレットなど、まだまだ工夫する余地はあろうかと思いますので、そういった取組を行ってまいりたいと思います。
最後にアクションプランです。3ページです。a、b、cとあり、令和4年度中のもの、令和6年度中のものということで、一番最後が令和7年度中です。これまでGビズIDの周知であるとか、申請の入力支援機能の拡充とかをやってきましたが、令和7年度中に労働基準行政システムと特別加入システムをより連携させる予定です。今まで申請は電子で受け付けていましたが、ただ申請者への通知は、打ち出した紙で送っているというような状況でした。そこは連結させて、電子で申請する通知が返せるような形の取組をしてまいりたいと思います。重ねてホームページであるとか、あるいはパンフレット等を工夫して、より一層、電子申請のニーズが高まるように工夫してまいりたいと思います。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、御意見等ございましたらお伺いできればと思います。御意見、いかがでしょうか。笠井委員、お願いいたします。
○笠井委員 御説明ありがとうございました。資料2-1と2-2の2ページを拝見しまして、電子申請の利用率が着実に上昇していることを認識いたしました。行政手続の電子化は、我が国が実現を目指すデジタル社会の基盤となる重要な取組です。3ページに記載のアクションプランの履行をはじめ、この間の厚生労働省の御尽力に敬意を表したいと思います。
その上で2点御質問したいと思います。1点目は、資料2-1の3ページの一番下の矢印に、今後、申告書送付廃止の対象拡大についても検討していくという記載がございます。この記載は、年度更新の電子申請を義務付ける法人の事業所を拡大する方向で検討するという理解でよろしいでしょうか。
2点目は、資料2-2の2ページの電子申請の件数と利用率、これを見ますと、給付基礎日額の変更申請について、令和7年度の電子申請の利用率が大幅に減少しています。先ほど理由の御説明も頂きましたけれども、この減少という点について、4月から9月の暫定値ですので、今後、上昇の可能性もあるのかもしれませんが、今年の値の要因について、もし何か分析をされていましたら、追加で教えていただければと思います。以上です。
○小畑部会長 御質問でございますので、事務局からお答えをお願いいたします。
○労働保険徴収課長 資料2-1の3ページの一番下に書いております義務付けに関することですが、今後、申告書送付廃止の対象拡大について検討していくということについては、御指摘のとおり、義務化の対象を拡大するということは、選択肢としてあり得ると考えております。
ただ、この義務化の範囲というのは、もともとは法人税や消費税に倣い、そしてさらに、厚生労働省内でも他の手続に倣っているところがありますので、労働保険だけでその義務化の対象を拡大するということが適当なのか、可能なのかということについては、慎重な検討が必要であると考えております。
ただ、では義務化の対象を今のままにずっとしておけば、申告書送付廃止もそのままなのかというと、そのような姿勢は取るつもりはなく、実際にこの義務化されている法人について、まず申告書の送付を行わないということをやってみて、それによって年度更新手続が円滑に行く、あるいは混乱が生ずるのか、そういったことを見極めながら、厚生労働省の判断として、申告書の送り方について更に検討していくということはあり得ると考えております。
○補償課長 続いて補償課です。資料2-2の2ページの給付基礎日額の変更申請の部分です。これは実は昨年度も同じような傾向であり、実はその給付基礎日額の変更について電子申請は前年度末に申請をするということになっています。そういう意味で、傾向として前半は少なくて、後半になると増えてくるという傾向があり、今年度も同じような傾向なのかと思っています。以上です。
○小畑部会長 笠井委員、いかがでしょうか。
○笠井委員 御回答それぞれありがとうございました。1点目の対象拡大につきましては、御検討を慎重にされるということ。もちろんできるだけ多くの事業主が電子申請を利用することは重要だと思っております。義務化という形で強制力を伴うアプローチを取る、その前提としては電子申請ツールの周知・広報や、使い勝手の向上が不可欠だと思います。そのことを通じて普及促進を図ることが、より効果的ではないかと考えております。
それから、2点目の御回答もありがとうございます。引き続き課題の分析や、克服を通じて利用率の向上を図っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○小畑部会長 ほかにいかがでしょうか。足立委員、お願いいたします。
○足立委員 御説明ありがとうございました。ただいまの2-2の資料のところなのですけれども、③の特別加入の申請が、令和5年度が14.3%で、令和6年度が一旦横ばいというか、若干下がったように見えております。令和7年度の上期の暫定値では17.3%に上がっているのですけれども、逆にここは上期はいいけれども、下期と合算すると下がってしまうといった要因はあるのか、懸念があるのか、それとも、そういうことはないのかという点について教えていただけますか。
○小畑部会長 事務局のほうで御回答お願いいたします。
○補償課長 ありがとうございます。補償課です。これは設立時の申請ですので、そもそも件数が、ものすごい多いわけではなくて、たまたま傾向として減る部分もありますので、ただ前提としては右肩上がり、徐々にですが上がっていますので、引き続き努力をしたいと思っています。実はこの部分は非常に難しくて、変更届ですと1枚だけで申請できるのですが、設立時はいろいろな資料を出していただいて、窓口でいろいろ情報交換したり、確認しながら、それがいいのか悪いのかというのを聞き取りをしなければいけないので、なかなかそこが申請に結び付いていないという分析をしています。事前に設立したいという団体の方からは、相談があって、そこからいろいろスタートするわけですので、そういった事情があって、なかなか伸び悩みもありますが、できるだけ電子申請をしていただけるように、今後とも取り組んでいきたいと思います。以上です。
○足立委員 ありがとうございました。
○小畑部会長 続きまして最川委員、お願いいたします。
○最川委員 最川です。私のほうは資料2-1と2-2の5か年計画ですかね。その電子申請利用率の推移が今、目標線が資料2-1でいくと、2ページですと30%、資料2のとおりいくと、それぞれ30と50ですかね、2つあると思うのですけれども。これは将来的に100%にいつまでにするというのは目標があるのか、逆に何年までに5割達成等の長中期的な目標というのがあった上で、今回30%と決めたのか、現在の上昇率で決めているのかというところをお伺いしたいというのと、今は結局ダブルスタンダードになっていて、しばらくは、電子申請するための費用などが余分にかかっているのですね。一旦、費用でいけば、その電子申請にするのは利用率の向上ですとか、あとはその経費を削減など、そういう具体的な目標があって、何年度までにはその費用を削減へもっていこうという希望があると思うのですけれども、そういうお考えがあるのでしたら、少しお聞きしたいと思います。○小畑部会長 御質問に対しまして、事務局のほうからお答えをお願いいたします。
○労働保険徴収課長 ありがとうございます。両方にまたがることですが、労働保険徴収課長からお答えをさせていただきます。まずこの目標値の在り方ですが、この30%というのが、令和3年度に定めた目標値でありまして、5年後を見据えたものであって、令和8年度の30%というのが当面の目標となっております。
その先については、当然更にオンライン利用というものを普及させていこうという考えはあって、そのための短期的な目標として5年間というものを定めたと理解しておりますが、ではその先に将来的に何%を目指すというようなことを明示しているものではございません。
あと、その費用の観点、なかなか回答するのが難しいのですけれども、電子申請が普及することになれば、事業主の方、社会保険労務士の方、労働保険事務組合などの事務負担の軽減につながり、利便性の向上が図られる、これが大きな目標としてありますが、その効果として、都道府県労働局の事務も効率化される。予算が幾ら削減されるというようなことを見込んでいるものではございませんが、都道府県労働局の事務が効率化されていくということが期待されるのではないかと考えております。
そうしたことも視野に入れまして、私どもは電子申請の普及に努めるとともに、さらに、行政事務の効率化という観点から、労働局の事務を電子申請を基本とするという理念の下で、業務プロセスであるとか、システムであるとかを最適化していく、こういうことを考えているところです。直接の回答にはなっていませんけれども、回答させていただきました。
○小畑部会長 最川委員、いかがでしょうか。
○最川委員 ありがとうございます。資料2-1の2ページの所で、例えば今までこの4年間の伸び率は、平均すると大体3.15%ぐらいと。それを仮に100%になるまでに何年かかるかというと、23.5年ぐらいかかってしまうのですね。だから、このまま20年間同じような伸び率を見据えた目標値にということではなくて、少なくとも10年後ぐらいまでには完全に移行してやりましょうというところがあって、次の目標値を決めていただくとか、そういうことにならないと、社会復帰促進等事業の費用が相当増えてきている。このままずっと20年間増え続けて、利便性も余り上がらない、ダブルスタンダードのまま費用もかかっていくということにならないように、ある程度プラスに転じることを見据えた政策にしていただけると、大分助かるかなと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。これは要望です。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。ありがとうございました。
それでは本日予定した議題は以上ということになりますので、部会は終了といたします。事務局から次回日程について、お知らせをお願いいたします。
○労災管理課長 次回の日程につきましては、事務局から追って連絡いたします。
○小畑部会長 本日は以上といたします。皆様、お忙しい中、誠にありがとうございました。

