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- 第124回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録
第124回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録
1.日時
令和7年11月20日(木) 10時00分~11時43分
2.場所
AP虎ノ門ルームC+D(※一部オンライン)
(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル 11階)
(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル 11階)
3.出席委員
- 公益代表委員
-
- 京都大学大学院人間・環境学研究科教授 小畑 史子
- 明治大学法学部教授 小西 康之
- 名古屋大学大学院法学研究科教授 中野 妙子
- 大阪大学大学院高等司法研究科教授 水島 郁子
- 読売新聞マリクレールデジタル編集室長 宮智 泉
- 労働者代表委員
-
- 日本基幹産業労働組合連合会中央執行委員 岩﨑 優弥
- 日本化学エネルギー産業労働組合連合会副事務局長 金井 一久
- 日本食品関連産業労働組合総連合会副会長 白山 友美子
- 全日本海員組合政策局長 立川 博行
- 日本労働組合総連合会副事務局長 冨髙 裕子
- 全国建設労働組合総連合書記次長 松尾 慎一郎
- 使用者代表委員
-
- 一般社団法人日本経済団体連合会労働法制本部統括主幹 笠井 清美
- 東京海上ホールディングス株式会社人事部シニアマイスター 砂原 和仁
- 日本通運(株)人財戦略部次長 武知 紘子
- 日本製鉄株式会社人事労政部部長 福田 寛
- 西松建設株式会社安全環境本部安全部担当部長 最川 隆由
4.議題
(1)暫定任意適用事業に係る業界団体等のヒアリング
(2)労災保険制度の在り方について
(2)労災保険制度の在り方について
5.議事
○小畑部会長 定刻となりましたので、ただいまから「第124回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会」を開催いたします。本日の部会は会場及びオンラインの両方で実施いたします。本日の委員の出欠状況ですが、武林委員、足立委員が御欠席と伺っております。また、小西委員が途中退席と伺っております。出席者は現在16名ですが、公益代表、労働者代表、使用者代表、それぞれ3分の1以上の出席がありますので定足数を満たしていることを御報告いたします。カメラ撮影等はここまでとさせていただきます。御協力をお願いいたします。
それでは、議題に入ります。本日の1つ目の議題は「暫定任意適用事業に係る業界団体等のヒアリング」です。暫定任意適用についてですが、前回までの労災保険部会において農林水産業界の団体へのヒアリングを要望する御意見がありました。そちらを受けまして、今回、農業、林業、水産業、それぞれの業界の所管省庁及び業界団体として、農林水産省、一般社団法人全国農業協同組合中央会、一般社団法人全国農業会議所、林野庁、一般社団法人日本林業経営者協会、水産庁、全国漁業協同組合連合会の皆様にお越しいただいております。
まずは、御紹介しました順に各省庁、団体から御説明を頂き、その後まとめて質疑応答の時間とさせていただきます。それでは、まずは農林水産省の齋賀様から御説明をお願いいたします。
○農林水産省 ただいま御紹介にあずかりました農林水産省就農・女性課長の齋賀と申します。今日はよろしくお願いいたします。まずは、農業をめぐる状況について御説明したいと思います。農林水産省のクレジットの資料を御覧ください。1ページですが、新規就農者数、最近は減少傾向にありますが、このうち、法人等に雇われる形で就農した雇用就農者、下のグラフの濃い部分ですけれども、雇用就農者が1万人前後とほぼ同水準で推移し、49歳以下に限って見ますと、その割合は近年増加傾向にあります。今後、雇用就農による人材確保が更に重要となることから、他産業並みの労働環境を整えていくことが必要となると考えております。
2ページを御覧ください。農業における労働災害の状況について御説明いたします。農業における就業者10万人当たりの死亡事故者数は、他産業に比べて高い状況が継続しております。また、労働者数5人未満の小規模経営体においても、死亡事故等の労働災害が一定程度発生していることが確認されております。このような状況に鑑みましても、経営リスクへの備えとして労災保険への加入が必要であると考えております。
3ページを御覧ください。農林業センサスによりますと、常雇いが1~4人の個人経営体は最大で約2万で、臨時雇いが1人以上の個人経営体が約12万となっております。データの重複関係については留意する必要がありますが、暫定任意適用を受けている経営体は最大で14万となる可能性があります。なお、このうち任意で保険に加入しているのは約2.3万経営体となっております。
4ページを御覧ください。農業の雇用環境の整備に向けた検討を進めるために、農林水産省では昨年10月から、農業の労働環境改善に向けた政策の在り方に関する検討会を設置し、開催しております。労災保険制度に関しては、これまで2回、議題として取り上げまして議論していただいております。
5ページを御覧ください。先ほど御紹介した検討会での労災保険に関する主な意見を御紹介いたします。1点目としては、暫定任意適用事業の見直しについて、労働者保護の必要性、また、経営者にとってもメリットがあるということから賛成であると御意見を頂いております。2点目としては、農業経営体の把握・制度周知という観点では、周知にはしっかりと時間をかける必要があるということや、契約関係のない曖昧な労働提供の実態があること等も踏まえて、労働者としての性格を明確にして進めていくことが必要であるといった御意見を頂いております。最後に3点目、加入する経営体の事務負担の軽減については、社労士との連携等による加入手続きのバックアップへの支援が必要といった御意見を頂いております。
これらを踏まえて農林水産省としましては、多数かつ全国に広く存在すると考えられる対象経営体に対し、労災の意義の理解、加入の要否の判断等に資する分かりやすい制度周知、こういったことを行うことによりまして、強制適用にするに当たり、課題とされていた経営体の把握等への対応も含め、新たに保険に加入することとなる経営体の事務負担の軽減など、厚生労働省及び農林水産省が連携して施行までに準備を進めることが必要と考えております。私からは以上です。ありがとうございました。
○小畑部会長 どうもありがとうございました。続きまして、一般社団法人全国農業会議所の佐藤様、お願いいたします。
○全国農業会議所 全国農業会議所の佐藤と申します。お手元の資料1-2に沿って御説明をさせていただきます。こちらの資料は本日一緒に来ておりますJA全中さんと一緒に作成したものとなっております。
それでは、1ページを御覧ください。こちらは我々の自己紹介のページとなっておりますので説明は割愛させていただきます。2ページを御覧ください。(1)の所が暫定任意適用事業の見直しの方向性についてです。強制適用に向けた検討を進めることについては、労働環境整備や雇用労働者の保護だけでなく、農業経営者が使用者責任を全うするという観点からも賛成でございます。一方で、検討を進めるに当たっては、多様な農業者を包含する農業現場の実態や厳しい農業経営の環境についても、十分に御配慮を頂ければと考えております。
(2)が農業分野について検討いただく上での課題です。一番上の矢印の所ですが、農業は家業をベースとした産業のため、多様な就労形態があります。労働者としての境界が必ずしも明確となっていないという事案も見受けられます。また、本部会でも御指摘いただきましたように、ゆいや手間替えといった慣習も残っております。そのため、労働者性の判断に迷うケースが今後多く出てくると考えられますので、所管官庁より、明確に御指導いただきまして、そして、できればQ&A等の分かりやすい形でお示しいただけると大変有り難いと考えております。
2つ目の矢印ですが、労災保険の加入に際しては、10万以上の経営体が慣れない手続をするということがありますので、手続の混乱や時間が掛かるといったことが懸念されます。こうしたことをスムーズに進めるためには、労務管理から支援していくことが必要ではないかと考えております。そのため、3つ目の矢印の所ですが、施行に当たっては、農業者への制度の周知にかかる期間として相応の年数が必要であると考えております。制度改正、即施行とならないように御配慮いただければと考えております。
3ページを御覧ください。課題の続きです。農業者の加入、給付請求に係る事務負担については、社会保険労務士の体制や労働保険事務組合の実態の把握を行った上で、実情を踏まえた支援を行っていく必要があると考えております。農協さんでも事務組合をやられておりまして有力な受皿として考えられておりますが、現状は農協さんの事務組合は特別加入の支援を主としておりまして、多くの組合で人的、財政的に困難な状況にありますので、10万以上の新規加入の受皿とはなかなかなり得ないのが実情です。そのため、社会保険労務士を中心に地域全体で支える体制を新たに構築していくことが必要ではないかと考えております。農業団体からの意見としては以上でございます。
○小畑部会長 どうもありがとうございました。続きまして、林野庁の谷本様、お願いいたします。
○林野庁 林野庁の経営課林業労働・経営対策室長の谷本と申します。よろしくお願いします。
資料1-3に沿って御説明いたします。1ページは林業における従事者、労働災害の状況です。林業従事者数ですが、左のグラフにありますとおり減少傾向にありまして、一方で、森林組合や林業経営体といったところに雇用されている従事者の方の割合は約7割と高い水準にあります。真ん中のグラフは林業における労働災害の発生状況になっていまして、死亡、死傷災害ともに長期的には減少傾向にはありますが、近年は横這いの状況になっております。右上は林業における死亡災害の発生を経営体の規模別に分けたものになりますが、小規模な経営体に災害が多いという状況、傾向が見られるところです。右下はどういう作業で死亡災害が発生しているかというものになりますが、その多くが伐木、木を伐採する作業の際に発生しているという状況です。
2ページを御覧ください。林業における労災保険の適用拡大について、どういった者が対象になり得るかです。左上の図が農林業センサスから臨時雇いを雇用した経営体数をその人数で分けたグラフになりますが、左側は個人経営体で臨時雇いを1名以上雇っているという、今回の暫定任意適用の要件に該当し得る対象としては約1,000経営体程度となっています。ただ、暫定任意適用ながら、約600の経営体が任意で労災保険に加入しているということですので、今回、強制適用になった場合、新たに保険に加入する対象はこの1,000経営体の中の一部になると考えております。先ほど林業の労働災害件数を御説明いたしましたが、左下の表の死傷年千人率で見ますと、全産業が2.3というところで、林業はその10倍の23.3と高い数値になっています。非常に多くの労働災害が発生する業種となっていますことから、労災保険に加入する意義は大きいと考えております。ただ、強制適用で新たに対象となる経営体はなかなか行政との接点も少ないということも考えられますので、施行までは十分な周知期間ということと、また加入に係る手続についても配慮が必要になるかと考えております。
3ページはこういった労働安全に対して、林業で、林野庁で講じている対策を紹介したものになっています。雇用者側、また、現場レベルの従事する方の双方への対策が必要と考えております。こちらも御参考にしていただければと思います。以上で林野庁からの説明を終わります。ありがとうございました。
○小畑部会長 どうもありがとうございました。続きまして、一般社団法人日本林業経営者協会の黒田様、お願いいたします。
○日本林業経営者協会 日本林業経営者協会副会長の黒田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、最初は私たちの団体の紹介ですので割愛させていただきます。今回の暫定任意適用事業の撤廃に関しては、林業は先ほどもあったように、非常に重大事故の発生する確率が高い事業となっていることから、今回の撤廃というか、それに関しても大いに賛同するところであります。ただしですが、この後ですけれども、先ほど農業のほうからもありましたように、周知期間の確保というものが重要ではないかと。今、要は労災保険などに入ってない経営体というものは業界団体などにも未加入の形になっておりまして、まずそれを把握すること自体が相当苦労するという事態でもあります。そういうところというのは行政ともつながりが弱いために、周知するのに相当苦労をするのではないかと考えます。この点を御配慮いただければと思います。
また、安全教育の徹底の所で、先ほどもあったように、少人数の事業体のほうが、事故が多いということは、やはり雇用主自体が安全教育を受けていない、まずその人たちに十分理解してもらわないと従業者に対する安全教育はできないということで、今回、加入することによって、ただでさえ重大事故が多い私たちの保険料が上がっていくということで、今までやっていた真面目な事業体の負担増になることは避けていただきたいと考えております。
3つ目ですけれども、事務手続、申請手続などが非常に煩雑で、ちょっと分かりにくいところがあるということも聞いているところです。オンラインなども特に分かりにくいという話も聞きますので、そういったことへの丁寧な継続的な指導、支援体制というものをつくっていただきたい。また、分かりやすいマニュアルというものも整備していただければと考えております。
あと加入手続に関わる地域格差の是正です。事務組合を利用して申請する形が多いのですけれども、地域格差が、事務局自体がいろいろな地域に偏在することから、なかなかそれを活用できない場合もあったりするということなどもちょっと問題かと考えております。小規模の事業者というのはなかなか把握しづらいことがありますので、まずそこから始めなければいけないので、十分な期間をお願いしたいということです。私からは以上です。
○小畑部会長 どうもありがとうございました。続きまして、水産庁の清水様、お願いいたします。
○水産庁 水産庁企画部長の清水と申します。資料1-5に基づきまして、漁業における労災保険の現状について御説明させていただきます。1ページです。まず、暫定任意適用を受けていると考えられる経営体の、今回の義務化になった場合には、その加入推進が必要となる周知対象についておおよその数を推定したものです。この棒グラフが3つ並んでいてややこしいのですけれども、左側が海上作業者雇用で、真ん中が陸上作業者雇用となっていまして、これは統計の関係で別々に出ているのですけれども、これを両方足すとダブルカウントしてしまっている部分が多いと見込まれるのですが、それとこの右側の内水面漁業・養殖業の経営体数の部分を足しても最大で1万8,000経営体で、暫定任意適用事業の対象となっているのは、最大でも1万8,000経営体ぐらいではないかと考えております。その中で、任意で加入しているのは約2,000経営体と伺っております。この棒グラフは下のほうが既に加入が義務化されていて、上のほうが個人経営体で雇用がない、つまり加入対象外として整理したもので、今、暫定任意適用となっていて今回の新たな措置がなされれば、新たに対象になってくるであろうというところが、この緑色で赤の四角で囲った部分ではないかと推定しているところです。
左下には想定される労災保険料の負担と、右下のほうに現行の漁業における労災保険率を載せています。漁業のほうですが、海面漁業と定置網漁業・海面魚類養殖業、そして海面漁業以外の漁業又は農業ということで、3つに分かれていまして、それぞれの保険料率も別途このように3つに分けて定められているところです。
2ページを御覧ください。労災保険の適用について、水産庁の現時点の考え方となりますけれども、まず、全体の状況としては、漁業就業者は全体的に減少傾向ですが、全体に占める法人等の雇用型漁業者の割合は増えている傾向にあります。また、その水産業における労働災害事故発生率は、他産業の平均に比べて3倍以上で高い水準にありますし、小規模経営体においても、死亡事故等の労働災害が発生しているという状況です。真ん中の所に、左が漁業就業者数の推移と雇用漁業者、自営漁業者の推移、労働災害発生率などを載せております。これらの状況に鑑みますと、下のほうに〇が3つありますけれども、私どもの考えとしては、労働者保護・経営安定の両方の観点から労災保険への加入は重要であると考えております。また、漁業もやはり就業者の高齢化や、担い手の減少という問題を抱えていますので、人材確保(労働者の採用・定着)のためには、労働災害防止の取組に合わせて、労災保険等による補償措置も確保し、労働者の方が安心して働ける環境づくり、これも重要だと考えております。使用者側、事業主のほうとしても、労働者の方が業務上負傷、又は疾病にかかった場合の補償を行うという観点からも、急な災害補償にも対応した上で、漁業の経営を持続的に行っていくという観点から、この労災保険の加入によって、労働災害に対する補償への備えをしていただく、これも重要であろうと考えております。
最後、3ページです。暫定任意適用事業の廃止における、私どもの考える留意事項です。今回の検討に当たり、地方公共団体の水産部局や漁業関係の団体、漁協など、幾つかいろいろ声を聞いてみたのですけれども、以下のようなお話がありました。まず、漁業経営体の把握・制度周知についてとして、他の農業、林業でも出てきていますけれども、なかなか対象となる経営体を特定することが難しいことや、団体等に属してない個人経営体の方もいらっしゃいますし、現在加入されていない方は制度を御存じでない方、理解されてない方も多いと考えられますので、漁業団体、漁協のみならず、厚生労働省や現場の労働基準監督署からの働きかけも必要だろうと考えております。2つ目、漁業における特殊性として、漁期に合わせて仕事をするという、季節ごとに異なる種類の漁業を行う方が多いなど、実態がつかみにくいところも考慮する必要があると考えております。したがいまして、十分な周知や制度の施行への対応の準備のために、相応の期間を頂くことが必要ではないかと考えております。
また、事務負担の軽減につきまして、こちらは農業、林業と同じような課題ですけれども、やはり労働基準監督署などの協力を得て、丁寧かつ継続的な対応が必要ではないかと考えております。また、漁村と言うと離島などかなりありますし、漁協も人手不足というところがありますので、漁協が対応できない場合には商工会の活用など、地域全体で支える体制もつくっていく必要があるのではないかと考えております。また、手続の簡素化、分かりやすい案内なども重要だと思っております。
3つ目は、労災保険料についてです。ここについてはやはり最も重要かと思いますが、漁業における労働災害発生率を下げることが重要だと思いますので、私ども水産庁をはじめ、関連の多くの機関が連携して労働災害を減らしていく対策を引き続き行っていきたいと考えております。水産庁からは以上です。
○小畑部会長 どうもありがとうございました。続きまして、全国漁業協同組合連合会の田中様、お願いいたします。
○全国漁業協同組合連合会 全漁連の田中と申します。資料1-6としてお配りしていただいています。組織の紹介は少し割愛させていただきますが、この1の右側に漁協の行う事業を列記しております。いわゆるセリや産地で水揚げが行われたときの販売事業や購買事業、また、信用事業等様々な事業を行っていますが、職員が5人以下の所が5割、半数を占めるというところの中で、非常にぎりぎりの状態で組合も運営されているということを御念頭においていただければ有り難いと思います。
2として、今回の暫定任意適用事業の見直しに当たりましては、労働者保護や人材確保の観点から、労災保険の加入の意義は大きいと考えておりまして、漁業においてもこれからまた更に魅力的な産業にしていくためにも、この適用事業を廃止することにつきましては、全漁連として反対するものではなく、国として制度改正が決定されれば、厚労省や水産庁と連携して、組合に対して周知を図ってまいりたいと考えております。その際、厚労省におかれましては、漁業者が分かりやすいような資料やQ&Aなどを作成していただければ有り難いと存じます。また漁業の特徴ですが、皆様御承知のように、漁業は絶えず変化する海を相手にする生業であり、産業ですので、漁法や雇用、就業時間といった就業形態も合わせていろいろ変化していくという特殊性があります。こういった実態を捉えて、零細漁家への、いわゆる周知や事務負担に配慮しつつ進めていくために、十分な施行までの期間を設けていただければと考えております。
次のページは漁業における課題ですが、特殊性は今申し上げたとおりですけれども、特に近年、地球温暖化に伴う海洋環境の変化が激しく、青森や岩手からサケがいなくなってしまったり、あるいはシイラやグルクンのような魚が北海道で獲れたり、来遊する魚の変動が激しく、それに伴って操業機会なども激しく変わっております。また、魚種・漁法の切り替えや、あるいは獲る漁業から育てる養殖への転換など、様々な変化が始まっております。こうしたことから、新たに実態をつかんでいくことも必要になるということが特徴としてあります。
(2)労災保険の事務手続における現状としましては、漁協で現在対応している場合もあれば、あるいは商工会議所等の保険事務組合を利用する場合や、個人で行っているケースなど様々です。他方で、先ほど申しましたとおり、漁協ごとに規模や事情も異なりまして、零細な漁協が過半を占める中では、なかなかこの辺りの増える部分を賄うことが物理的に難しいという点も御理解いただければと思います。
こうした中で、漁業者が取り残されないように対応していくためには、周知や加入、また給付請求の事務手続について、労基署等における丁寧かつ継続的な対応を求めてまいりたいと考えております。特に一番困ったときとして、事故が起こったとき、労働事故発生時については、給付請求事務が遅滞なく円滑に行えるような体制サポートをお願いできればというところです。また、労働保険事務組合の御紹介や、労働基準監督署の職員にJFを訪問していただいて、指導いただくような場面も想定されるところですが、そういう場面では、漁協の会議室に漁業者に集まっていただきお話をしてもらうなど、そういう協力も考えられるかと思います。
一方で、(3)の自助共済とのすみ分けとして、現状危険も伴う漁業ということですので、漁業における事業主が、JF共水連という共済の団体が行うJF共済をはじめとした、他の保険もあるのですけれども、民間保険に自助的に加入して労災に備えているという現状も多くあります。これから制度改正が行われるということになりましたら、あらかじめその準備をしておくということで、国におかれましては、こういった団体とも情報共有を図っていただいた上で、必要な準備期間を設けていただければと考えております。場合によっては、民間保険のシステムを組み替えたりしてすみ分けることも必要になってくるのではないかということを、共済の団体とも話をしているところです。
(4)として、労災保険率について、先ほど水産庁からも話がありましたが、労災保険率の引き下げも重要ということになっております。これまで漁業者は、安全面でライフジャケットを着用するなど、水産庁や船の管轄である国交省と連携して、安全対策にも取り組んできたわけですが、厚労省からも安全対策の推進について、漁業に是非コミットしていただければというようなことを希望しております。以上、縷々申し上げてまいりましたが、漁業の変化を見極めながら、漁業の特殊性の中で労働の実態をつかむこと、また、事務負担や既存の取組とのすみ分けなどに十分な期間を設けていただく必要がありまして、例えば5年程度といった、そういう期間を設けながら丁寧にお進めいただければ有り難いと思っております。委員の皆様方、先生方におかれましては、事情を御賢察の上で取り組んでいただければと思っております。以上です。
○小畑部会長 どうもありがとうございました。各業界の所管省庁と、業界団体の皆様より御説明を賜りました。ただいまの御説明について御意見、御質問等がありましたら、会場からの委員におかれましては挙手を、オンラインから御参加の委員におかれましてはチャットのメッセージから、「発言希望」と入力いただくか、挙手ボタンで御連絡をお願いいたします。なお、御質問を頂く際には、例えば「農林水産省に御質問です」といった形で、前置きしてお話を始めていただきますと有り難く存じます。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。立川委員、お願いいたします。
○立川委員 御説明ありがとうございました。基本的に農業、林業、漁業の3業種全てにおいて、労災保険の強制加入の適用は賛成であると理解いたしました。そのような中で農業と漁業に関して農業会議所様、JA全中様と全漁連様に質問をしたいと思います。林業については資料1-4の林業経営者協会様のプレゼンの最後の部分で、暫定任意適用事業の廃止を円滑に進めるためにも、任意加入制度の課題も踏まえた改善が不可欠であるという説明があり、具体的には地域間格差の解消の必要性が挙げられていました。この点、農業においては任意加入が2万3,000経営体、漁業においても任意加入が2,000経営体に及んでいるということがありますが、農業や漁業において、任意加入制度の加入状況から見えている課題などがあれば御教示をお願いしたいと思います。
○小畑部会長 それでは順番に、農業のほうからお願いできればと思います。
○全国農業会議所 御質問、ありがとうございます。任意加入の状況を我々が直接知る立場にはないので、分かりかねるところもあるのですが、やはり今後、暫定任意適用事業の強制適用を進めるに当たっては、労働者保護ということで、従業員の労災保険加入が非常に大切になります。一方で農業は少人数でやっている産業なので、経営者の保護も必要かと思っておりますので、暫定任意適用事業の強制適用に当たっては、労災加入と同時に特別加入も、これまで以上に力を入れていく必要があるかと考えているところです。
○小畑部会長 続いて、漁業に関してお願いいたします。
○全国漁業協同組合連合会 御質問、ありがとうございます。全漁連の田中です。任意加入の中身の詳細については、実態をつまびらかに承知していないため、なかなか申し上げるところがないのですが、意識の高い所は加入しているという意味であろうかと思います。別途、現在の特別加入制度については、一人親方が加入できる制度を設けていただいているところですが、現在はいわゆる獲る漁業、採捕の事業のみが対象となっており、養殖の場合、一部を除き加入することができないという現状となっております。この間、そういった部分も解消されていくのであれば、更に加入意識が高まって、制度が義務化される前でも、いろいろな労働の補償の取組が進んでいくのではないかと期待をしておりますので、その点もよろしくお願いいたします。
○小畑部会長 立川委員、よろしいですか。
○立川委員 ありがとうございました。
○小畑部会長 他にいかがでしょうか。松尾委員、お願いいたします。
○松尾委員 農林水産省にお聞きしたいと思います。1つは、技能実習生の関係は、この件数に入っているのかということをお聞きしたいと思います。続いて、加入している方のものは、3ページの受けている経営体についてという所に、「常雇い」と書いてあって、年間7か月以上で口頭の契約でもよいとなっているのです。口頭の契約でも賃金台帳などは付けていらっしゃるのですか。これが給付になったときに幾らなのか。我々の業界で言うと、日給・月極め払いみたいなものですから、こういう方の関係で、こういうところでもきちんと整備がされているのかをお聞きしたいと思います。
○小畑部会長 それでは、農林水産省からお答えをお願いいたします。
○農林水産省 御質問、ありがとうございます。最初の技能実習生が含まれているかという点については、内訳がしっかり分かってないところがあります。ちなみに、厚生労働省が発表している外国人労働者の労働災害の発生状況を見ますと、令和6年の農業、畜産、水産業合わせての数字は、技能実習生で117人となっております。それほど多くはないかなと思いますが、我々も詳しい状況が把握できていないところではあります。あと、口頭の契約でもよいというところですが、おっしゃるとおり給付を考えた際には、賃金台帳などの整備は非常に重要になってきます。今回、強制加入の適用に当たっては、賃金台帳の整備などのバックアップというか、その支援や指導も我々は考えていきたいと考えております。
○小畑部会長 松尾委員、いかがでしょうか。
○松尾委員 口頭契約というのは、我々も止めるように取り組んでおります。なるべくそういうことはなくしたいというように考えているのですよね。それは労働者とのトラブルの元になると考えておりますので、是非お願いしたいと思います。
○小畑部会長 ありがとうございました。続いて中野委員、御質問をお願いいたします。
○中野委員 農林水産省と水産庁に、1つずつお尋ねさせてください。まず農林水産省からお示しいただいている資料1-1の2ページで、農業においては他の産業と比較して、死亡事故が増加しているというデータが示されております。死亡事故が増加している理由や背景がお分かりになりましたら、教えていただきたいと思います。
また、水産庁には資料1-5の2ページで、漁業における直近の災害発生率や発生件数のデータをお示しいただいているのですけれども、農業や林業の資料と比較しますと、経年変化のデータがありません。経年変化の傾向が分かるようでしたら、教えていただきたいと思います。以上です。
○小畑部会長 それでは順番にお願いできますか。
○農林水産省 最初に農林水産省から回答させていただきます。就業者10万人当たりの死亡事故者数が、農業では増加傾向にあるという我々の分析ですけれども、その隣の円グラフを見ていただくと赤い所、「農業機械作業に係る事故」というのが前年の6割を占めています。特に乗用型のトラクターなどが多い割合を占めております。また青い部分、機械・施設以外の作業の中で大きなウエイトを占めているのが熱中症となっております。これらを見ますと、例えば、今は農業従事者数が減っているのに農地の面積はそれほど減っていないので、1人当たりの耕作面積が非常に大きくなっています。つまり、機械に乗って作業をすることが増えてきているということから鑑みますと、機械作業で事故が多く発生しているということがまず1つです。
あと、やはり最近は高温が続く時間が長いということもあります。特に農作業は、炎天下若しくは高温のハウスの中での作業となりますので、熱中症のリスクが高まっているということが原因かと考えております。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○水産庁 水産庁です。漁業における直近の災害発生率や発生件数のデータの経年変化ですけれども、グラフを付けていなくて失礼しました。直近10年の推移をお話しますと、水産業(船員法適用事業除く)における労働災害発生件数については減少傾向にあります。具体的には平成27年で552件だったものが、令和6年には380件に減少しております。他方で、労働災害発生率で見ますと、近年は横ばいで推移しております。平成27年に起きた発生率は千人率で7.9だったものが、令和6年は7.6です。漁業就業者が減っていますので、率で見るとそれほど減ってないという状況です。なお、労働災害のうち死亡災害については、件数・発生率とも近年は減少傾向にあります。そういうことで私ども水産庁としては、国交省さんや厚労省さんと連携しながら、引き続き水産業における労働災害を減らすように取り組んでいきたいと考えております。
○小畑部会長 中野委員、いかがでしょうか。
○中野委員 大変よく分かりました。ありがとうございました。
○小畑部会長 続いて宮智委員、御質問をお願いいたします。
○宮智委員 農水省と水産庁の方に御質問があります。林野庁のほうを拝見していると、労働安全確保に向けた取組が具体的に示されていて、雇用主の意識改革など、いろいろ書かれているのです。安全確保というのはとても重要な問題であると思いますので、農水省と水産庁も具体的に何をやっているかを教えていただければ幸いです。よろしくお願いします。
○小畑部会長 それでは、また順番にお願いいたします。
○農林水産省 農林水産省です。すみません。我々の資料から農作業安全の取組が抜け落ちておりまして、大変恐縮でございます。我々は年に1回、今日お集まりの全中さんや法人協会さんなどの関係団体が一堂に会して、農作業安全対策全国推進会議をやっております。その中で従業員への労働安全衛生法上の教育や、機械事故が多いということで機械メーカーにも参加いただいて、機械の安全な使用に関する講習の実施状況の確認もさせていただいております。また、ポスターなどを作成して普及啓発の取組も進めております。これは毎年やっており、できるだけ労働安全を進めるように取り組んでいるところです。
○小畑部会長 ありがとうございます。お願いいたします。
○水産庁 水産庁です。資料1-5の右下に、3ページとある最後のページの一番下を御覧いただければと思います。「参考」ということで、「水産庁における労働災害防止のための取り組み(一例)」と書いており、ここでは3つ記載しています。まず、漁船の安全操業や航行について知識を有する安全推進員を養成するための「漁業カイゼン講習会」等を全国各地で開催しております。また、現場の事業者や事業者団体の方が取り組むべき事項を整理した作業規範の策定、それを動画にして水産庁のWebサイトに載せて、いつでも見られるような作業安全学習教材の作成なども行っております。補助事業としては、AIS(船舶自動識別装置)の普及促進も行っております。これによって漁船の衝突事故を減らせれば、それに伴って生じる労働災害も防げるという形で取組を進めております。
○小畑部会長 宮智委員、いかがでしょうか。
○宮智委員 分かりました。ありがとうございました。
○小畑部会長 他に御意見、御質問などはありますか。白山委員、お願いいたします。
○白山委員 私からは農業会議所様とJA全中様に質問させていただきたいと思います。御説明を伺う限り、強制適用の方向性には賛同されており、その上で現実的に課題をクリアしていく必要があるというご意見であると理解しました。そうした中で、資料1-2の2ページの(2)の2つ目の矢羽根で、「適切な労務管理がなされるように支援措置を講じる必要がある」とありますが、労務管理面で具体的にどういう支援が必要とお考えなのかを教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○小畑部会長 よろしくお願いいたします。
○全国農業会議所 御質問、ありがとうございます。労務管理面で必要な支援ですけれども、やはり今回の対象は小規模の経営体ということで、なかなか雇用の意識が浸透してないということがありますし、賃金台帳や労働者名簿、雇用契約書など、いわゆる法定帳簿のようなものが、必ずしもそろっている状況ではないというところです。今後、労災保険の加入申請を進めるに当たり、そういった証憑書類が必要だと思いますので、そういったことから支援していく必要があるかと思っているところです。
○小畑部会長 白山委員、いかがでしょうか。
○白山委員 ありがとうございます。理解できました。よろしくお願いします。
○小畑部会長 他にいかがでしょうか。笠井委員、お願いいたします。
○笠井委員 ご説明ありがとうございました。まず、日本林業経営者協会の黒田様、次に全国漁業協同組合連合会の田中様にお伺いします。まず日本林業経営者協会へのお尋ねです。資料1-4の2ページに「加入手続きに係る地域格差の是正」として、「近隣地域に事務組合が存在しないため利用できないといった手続きに関する地域格差が存在している」と記載いただいております。御案内のとおり、2020年4月1日から、労働保険事務組合の主たる事務所の所在地とは異なる都道府県の事業主であっても、当該事務組合に労働保険事務を委託できるようになったと承知しております。近隣地域に事務組合が存在しなくても、制度上は遠方の事務組合に労働保険事務を委託できると理解しています。遠方の事務組合に労働保険事務を委託できる一方で、近隣地域に事務組合が存在しないため利用できないという御指摘について、詳しく教えていただければと思います。
それから、全漁連へのお尋ねです。資料1-6の3ページに、「労災保険への加入をスムーズに進めるためには、漁業における労働安全教育や災害発生率を下げることによる労災保険率の引下げも重要」と記載いただいております。水産庁さんの御説明にもあったように、水産業の労災発生率は他の産業の平均に比べて高く、経年的にもそれほど減っていないということでした。小規模経営体においても死亡事故等の労災が発生しています。暫定任意適用事業の見直しの有無にかかわらず、小規模経営体も含めて水産業における安全衛生対策や労災防止対策は重要だと考えています。各事業者における対策を促すために、全漁連としてどのような取組をされているのか教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○小畑部会長 それでは、また順番にお願いできますか。
○日本林業経営者協会 林経協の黒田です。今のお話は、おっしゃったことは私たちも理解しているのです。例えば、私は宮崎ですけれども、極端に言うと、宮崎の業者が北海道で申請できるということも確かにあるのです。例えば、熊本などで申請できる。しかし十分なサポートをしてもらえないということもある。地域格差というのは、どうしてもそこにいないと指導が弱いという面が1つあります。
あと、林災防の支部が各県にあります。宮崎県で数百社あると言われている中で、3人とか4人とかでカバーしているものですから、今やっている業者だけはカバーできるけれども、これに新たにというのはとてもできない、無理だというお話を伺っております。私たちには森林組合という組織もあります。これは全農さんや漁連さんとは違って、実際に現場で働く人を雇用する立場でもあるのです。ですので、そこが受皿になりにくいのです。要は自分たちが雇用している所で指導に入って、そこが事故を起こしていた場合に、「お前のところが事故しているのに」という話もあり得なくもないということもあって、森林組合はなかなかそういった受皿になりにくいというのも、大きな問題であるという状況です。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○全国漁業協同組合連合会 全漁連の田中です。事故に至る前のいろいろな安全対策の御質問で、どういう取組を行っているかという御質問を頂戴しました。昔から「板子一枚下は地獄」という言い方で、危険を伴う産業であることを踏まえ、やはり出航前にきちんとした点検を行うなどの取組は常々行うほか、近年では近代化が進んでいる中で、AISといった自動でその場所が分かる装置を装着するような形で、漁船への設備を整えるとともに、人の面においては先ほど申し上げたライフジャケットを必ず着用する。これは義務化となっておりますが、その中で特に漁村の家庭においてお母さん方が、旦那さんが出て行くときに、「ちゃんと着用しなさいよ」といったことで呼び掛けたり、例えばある地域では、お母さん方がライフジャケットレディースというような組織を結成して、大々的にキャンペーンを行ったりしています。お母さんの言うことはお父さんもよく聞くということもありますので、そういったことも地元ごとでいろいろ行いながら、安全対策をしているところです。
○小畑部会長 笠井委員、いかがでしょうか。
○笠井委員 よく分かりました。ありがとうございます。是非、全漁連さんには対策を引き続き進めていただければと思います。
○小畑部会長 他にありますか。よろしいでしょうか。農林水産業の各業界の所管省庁と業界団体の皆様におかれましては、大変お忙しい中御説明を賜りまして、誠にありがとうございました。御質問に対してのお答えなど、大変参考になりました。本当にありがとうございました。この後は御退室いただいても差し支えありませんので、よろしくお願いいたします。
それでは、続いて議題2に移りたいと存じます。議題2は「労災保険制度の在り方について」です。事務局より御説明をお願いいたします。
○労災管理課長 それでは、資料2を御覧ください。労災保険制度の具体的課題について、これまでの部会における議論を踏まえ、前回取り上げた事項以外の事項のうち、引き続き議論が必要なものをまとめています。1ページを御覧ください。暫定任意適用についてです。論点として、①「暫定任意適用は廃止し、労災保険法を順次、強制適用することについてどのように考えるか」、②「強制適用する場合には、零細な事業主の事務負担の軽減等の対応を農林水産省の協力も得つつ検討するとともに、施行までに十分な期間を設けることについてどのように考えるか」の2つを記載しています。1ページの中ほどから2ページの上半分までは、これまでの部会における各委員の御意見を、2ページの下半分は、研究会中間報告書における該当部分を記載しています。
続いて、3ページを御覧ください。特別加入制度についてです。論点として、①「特別加入団体の承認や取消しの要件を法令上に明記する場合、具体的な承認要件の内容を、災害防止に関わる役割や実施すべき措置事項その他当該団体の業務の適切な運営に資する事項(団体等の性格、事務処理体制、財政基盤に関する事項等)とすることについてどのように考えるか」、②「承認の取消し(保険関係の消滅)に当たっては、先だって改善を要求する等、段階的な手続きを設けることについてどのように考えるか。また、特別加入者の保護のため、どのような仕組みを設けることが必要と考えるか」の2つを記載しています。3ページの下半分から5ページの上半分までは、これまでの部会における各委員の御意見を、5ページの下半分は、研究会中間報告書における該当部分を記載しております。
6ページは、第119回の部会に提出した特別加入団体の要件についての資料です。労災保険法の規定による特別加入団体の承認に当たっては、一人親方等、又は特定作業従事者の相当数を構成員とする単一団体であることなど、現状に記載のアからオまでの5つの要件を満たす必要があることが、昭和40年の通達により定められています。最近の見直しでは、この5つの要件のうち、オの地域要件について、令和3年4月から、近隣の都道府県の区域を超えるブロックにおいて、災害防止等に関する研修会等を実施する場合には、当該ブロックにおいて事務処理を認めることとし、事務処理区域の柔軟化を行いました。また、特定フリーランス事業に係る特別加入団体については、先ほどの5つの要件に加え、特別加入団体になろうとする者が特定の業種に関わらない、フリーランス全般の支援のための活動実績を有していることなど、資料記載の①から④までの4つも要件としております。
続いて、7ページは新規の資料ですが、特別加入団体に係る保険関係の消滅についてです。特別加入団体が労災保険法令や労働保険徴収法令の規定に違反した時は、政府は労災保険法の規定に基づき、保険関係を消滅させることができます。この場合、所轄都道府県労働局長は遅滞なく、文書で、その旨を当該団体に通知しなければならないことが省令で規定されています。また、特別加入者の地位も、保険関係の消滅時に消滅することが、昭和40年の通達により定められています。
左下に、保険関係が消滅した場合の流れの図を、右下に、その根拠である徴収法の規定を記載しています。保険関係が消滅した場合には、図の②のとおり、特別加入団体は確定保険料の申告及び保険料の還付請求を行います。これを受け、③のとおり、政府は法令で定めるところにより、労働保険料等への充当、又は還付を行います。なお、④の、特別加入団体から、一人親方等に対する保険料相当額の還付は特別加入団体の定款等によることになります。
続いて、8ページを御覧ください。消滅事項についてです。論点として、①「労災保険は他の社会保険と異なり、業務起因性を明らかにする必要があることから、外形的な事実だけでは給付を受けられるかどうかの予測が容易にはできない点において、特有の事情を有するものとすることについてどのように考えるか」、②「労災保険給付請求権のうち、療養補償給付、休業補償給付、葬祭料、介護補償給付等、消滅時効期間が2年である給付について、脳・心臓疾患、精神疾患、石綿関連疾病等、発症後の迅速な保険給付請求が困難な場合があると考えられる疾病を原因として請求する場合には、消滅時効期間を5年に延長することについてどのように考えるか」、③「労働基準法の災害補償請求権についても、労災保険給付請求権と同様に、消滅時効期間を延長することについてどのように考えるか」、この3つを記載しています。8ページの下半分から10ページの上半分までは、これまでの部会における各委員の御意見を、10ページの下半分から12ページは、研究会中間報告書における該当部分を記載しています。
13ページは新規の資料ですが、休業補償給付に係る請求に要した期間についてです。令和5年度に請求がなされた休業補償給付のうち、最初の休業の日から2年を徒過した後に請求がなされた件数を表とグラフでまとめています。骨折は0.1%と、ほぼ2年以下で請求がなされていますが、脳・心臓疾患では5.7%、精神障害では2.6%、石綿関連疾病では8.3%が2年徒過後に請求がなされています。
14ページはその他の論点についてです。家事使用人と社会復帰促進等事業については、これまでの部会における議論を踏まえ、前回も今回も引き続き議論が必要な事項として取り上げていませんが、それぞれ部会における論点として記載しています。まず家事使用人についてですが、①「災害補償責任も含め労働基準法が家事使用人に適用されることになった場合には、労災保険法を強制適用することについてどのように考えるか」、②「強制適用する場合には、私家庭の私人による保険関係成立の届出や保険料の納付のような運用面の課題に対して、労働保険事務組合等の仕組みも活用し、対応を検討することについてどのように考えるか」の2つを記載しています。
次に、社会復帰促進等事業についてです。論点として、①「社会復帰促進等事業として実施されている給付について、特別支給金も含めて処分性を認め、審査請求や取消訴訟の対象とすることについてどのように考えるか」、②「労働者等に対する給付的な社会復帰促進等事業に対する不服申立てについては、保険給付と同様に労働保険審査官及び労働保険審査会法の対象とすることについてどのように考えるか」の2つを記載しております。事務局からの説明は以上でございます。
○小畑部会長 どうもありがとうございました。それでは、各テーマについて議論を進めたいと思います。多岐にわたるテーマがありますので、暫定任意適用、特別加入制度、消滅事項の3つに区切りたいと思います。まずは、暫定任意適用につきまして、資料2の1ページにある論点に沿って、御意見をお伺いできればと思います。御意見、御質問等がございましたら、会場の委員におかれましては挙手を、オンラインから御参加の委員におかれましては、チャットのメッセージから発言希望と入力いただくか、「挙手ボタン」で御連絡をお願いいたします。いかがでしょうか。白山委員、お願いいたします。
○白山委員 私からは、論点①②両方について意見を申し上げたいと思います。
まず、論点①に関しては、これまでも申し上げてきたとおり、労働側としては、暫定任意適用を廃止して、強制適用を図っていくべきであると考えております。理由は資料に記載のとおりではありますが、労災保険制度は全ての労働者に等しく適用、補償されるべきですし、農林水産業の労働実態も現代化してきております。さらに、本日のヒアリングでも御説明がありましたが、農業、林業、それから漁業や養殖業等の水産業、いずれの分野でも労災事故の発生率は高く、保護の必要性も高いと考えております。こういった点から、暫定任意適用は速やかに廃止して、労災保険法の保護を及ぼしていくことが重要と考えております。
その上で、論点②についてです。業界団体の皆様があげられた課題を解決するための支援措置を講じていくことも含めまして、現実的に強制適用を進めていくということは必要であると考えております。ただ、施行までの期間をむやみに長くすることは適当ではないと考えております。暫定任意適用を廃止するとなれば法改正が必要となりますけれども、法案提出から成立までの時間なども含めれば、施行準備期間はそれ相応に取ることができるのではないかと思っております。労働力不足が深刻な農林水産業において、魅力ある労働環境の整備が急務の課題となっていることを踏まえると、労災保険法の強制適用をできる限り早く実現していくということが必要であるということを、意見として述べさせていただきます。
○小畑部会長 ありがとうございます。他はいかがでしょうか。笠井委員、お願いいたします。
○笠井委員 論点①②の双方について、まとめて発言いたします。先ほど、農水省、林野庁、水産庁より御説明がありましたとおり、暫定任意適用事業の対象となる小規模な経営体においても、死亡事故等の重大な労働災害が発生しています。どのような職場で働く労働者であっても、業務上の負傷、疾病に関して適切な保険給付が受けられるよう、暫定任意適用事業を廃止し、労災保険を強制適用することに賛同いたします。強制適用に当たっては、小規模な経営体の実態把握や行政手続に伴う事業主の事務負担の軽減、施行までの十分な周知期間の確保、労働災害防止対策の推進など、所管省庁や関係団体から示された課題や要望に対応していく必要があると考えます。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他はございますか。特にございませんか。それでは、続きまして、特別加入について議論してまいりたいと思います。資料2の3ページにある論点に沿いまして、意見をお伺いできればと思います。御意見いかがでしょうか。笠井委員、お願いいたします。
○笠井委員 論点①について発言いたします。3ページの労働者代表委員の意見によれば、4,000を超える特別加入団体の中には、誇大広告や加入者へのサポートが不十分な団体があるようです。また、4ページの使用者代表委員の意見のとおり、毎年、一定数の特別加入団体が消滅してしまっています。特別加入団体において、団体の健全、透明、安定的な運営はもとより、加入者の災害防止等、期待される役割を果たしていくためには、論点①に記載のような、災害防止に関わる役割や実施すべき措置事項、事務処理体制、財政基盤に関する事項等を承認要件の内容とすべきと考えます。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 まず、論点①です。特別加入団体の承認、取消要件を法令で定めるということについては適当であると考えております。資料の6ページに、現在通達で定められている特別加入団体の5つの要件をお示しいただいておりますが、特別加入団体は、加入手続や加入後のフォローも含めて極めて重要な役割を担っていることからすれば、通達ではなく法令に根拠を置いて、適切に監督、指導を行っていくということは欠かせません。また、論点にありますように、特定フリーランス事業以外の特別加入団体も災害防止の役割を担うことは非常に重要だと思っております。そういった新たな役割を担わせるのであれば、その観点からも特別加入団体の役割や要件について法令に根拠を置くということは当然であると考えます。
さらに、承認や取消し要件の法令への格上げに際しては、現行通達の5つの要件を単純に格上げするのではなく、内容を厳格化して法令に明記することが必要であると思います。この間、本部会では、特定フリーランス事業に限定したものですけれども、特別加入団体のヒアリングを行ってきましたが、残念ながら、加入者の相談体制やその団体の財政見通しといった点についてもう少し精度を高めたほうが良いのではないかという印象を受けるようなケースもありました。また、資料4ページの一番下の○に記載もありますが、労働側としては、加入時の審査を適切に行うということが重要であると思っており、そのための特別加入団体の審査体制の確認も欠かせないと考えています。こうした点を踏まえますと、加入時の審査や相談を適切に行い得る体制、それから、財政見通しも含めて安定的な財政基盤を担保していくための要件が必要です。特別加入団体の要件の法令への格上げに際しては、今指摘した体制面などの要件を明示的に示して、行政としてその適合性を丁寧に確認していくことが必要であると考えております。
最後に、これまでも申し上げてきておりますけれども、特定フリーランス事業の特別加入団体に課せられている事務所要件についてです。この点は、緩和前の要件に戻すべきであるということは今までも申し上げてきているところです。使用者側からは、物理的なスペースの確保の必須化というのは過剰な対応ではないかという御意見もありましたが、繰り返し申し上げているとおり、もともとの貸し会議室を認めずに原則相談対応のための占有スペースを保有するという事務所要件は、対面相談の確実性を担保するということに加えて、全国的に相談窓口を設置し得る能力や体制がきちんと確保できる、また、安定的な団体としての運営を担保するという側面もあり、要件として設定されていたものと理解しております。この要件を行政解釈だからということで、公の議論も得ずに引き下げになっているということ、しかも、制度がスタートして余り時間もたっていないタイミングで引き下げが行われたということは問題であると思っております。労働側としては、改めて以前の要件に戻すべきと考えていることは、改めて申し上げておきたいと思います。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。中野委員、お願いいたします。
○中野委員 特別加入制度の論点に関連して、少し発言をさせてください。労災保険の見直しをめぐる本部会の議論では、例えば前回の部会で扱われた遺族補償等年金の在り方や遅発性疾病に係る給付基礎日額の問題のように、労災保険給付が社会保障的性格を有することを前提とした議論がしばしばなされています。私個人としては、研究会でも申し上げたことですが、労災保険の社会保障的性格を強調するのであれば、労働基準法上の労働者に限らず、報酬を得て働く人は全て労災保険に強制加入する制度へと見直していくこともあり得ると考えています。もちろん、これは労働基準法の災害補償責任と結び付いた現在の法制度を根幹から見直すことを意味し、短期的にできる改革ではありませんので、長期的な検討課題として申し上げています。その上で、短期的には、引き続き社会のニーズに応じて、特別加入制度を柔軟かつ迅速に拡大していく形で対応していくことが必要であると考えています。
本日は、資料の論点に基づき、特別加入制度の改善が議論されましたが、現行制度の下で特別加入の対象にすらなっていない事業はまだまだ残されており、それらの事業を特別加入の対象にすることについても随時検討していくべきであると考えます。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございました。他にございますか。金井委員、お願いいたします。
○金井委員 私からは、論点②の承認取消し時の対応に関連し、特別加入者が不利益を被らないような対応が必要であるという点について、意見をさせていただきます。特別加入団体の承認取消し時に際して、段階的な手続を設けるということについて異論はありませんが、資料3ページの労働者代表委員の意見の上から3つ目の○にありますように、承認取消しによって、特別加入者が突如無保険になるといった不利益を被らないようにする対策が欠かせないと考えております。
この点については、資料7ページの左下の図の中で保険関係の消滅があった場合の流れが説明されています。この部分を見るに、特別加入団体が法令違反などを犯して保険関係が消滅した場合、下のピンク色の背景の所の①’にあるとおり、特別加入者の地位の喪失、つまり、一度、無保険となって、別の特別加入団体を自分で探す必要があると理解をしており、この状況では特別加入者の保護の点から問題であると考えております。承認取消しに至った場合においても、例えば年間で保険料を納めていた場合はその期間は特別加入者としてみなすなど、特別加入者が引き続き保険関係を継続できるような仕組みが必要であると思っております。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。笠井委員、お願いいたします。
○笠井委員 冨髙委員から、特定フリーランス事業の特別加入団体に関する承認要件の関連で、物理的な専有スペースの確保を必須とすべきとの御発言がありました。前回の議論の際にも申し上げましたとおり、私といたしましては、特別加入団体において、特定フリーランス事業を行う方が適時適切に訪問し、相談できる環境を整えるということが重要であり、物理的な専有スペースの確保を必須とすることまでは過剰な対応と考えております。厚労省の解釈の変更は理解できると考えていることを改めて申し上げます。
それから、先ほど中野委員から強制加入の拡大について御発言があったかと存じます。御指摘のとおり、長期的な課題として専門的な見地から御検討を深めていただきたいと考えます。仮に、労働基準法の労働者以外を強制加入とした場合には、特別加入制度との関係も議論の対象になってくるかと思います。また、特別加入制度の対象拡大についてもご指摘がありましたが、特別加入制度の対象とするためには、業務の実態や災害の発生状況から見て、労働者に準じて保護することがふさわしいものであると整理される必要があります。対象拡大にあたっては、特別加入制度の趣旨、目的などに合致するかについて、慎重に検討していくことが必要ではないかと考えます。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他にございますか。特段ございませんか。それでは、消滅事項について議論してまいりたいと思います。資料2の7ページにある論点に沿いまして、御意見をお伺いできればと思います。御意見いかがでしょうか。中野委員、お願いいたします。
○中野委員 本日の資料で示されました論点では、他の社会保険と比較した労災保険の特殊性を認めた上で、一部の疾病に関わる場合にのみ療養補償給付等の消滅時効を5年に延長するという提案がなされていますが、このような変則的な対応をすることによって、労働者にとってかえって分かりにくい制度とならないか。また、労働者がり患した疾病が2年と5年のどちらの時効に係るのかという、新たな紛争を引き起こすのではないかといったことを懸念いたします。
私見としては、療養補償給付等について、その支給原因となる傷病を問わず、労働基準法の賃金と同じように5年の消滅時効としていくことが望ましいと考えています。同時に、他の社会保険制度とも足並みをそろえることが望ましく、これは制度横断的な検討をすべき問題だと考えています。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他はいかがでしょうか。立川委員、お願いいたします。
○立川委員 消滅時効について意見を申し上げてよいですか。
○小畑部会長 はい。
○立川委員 それでは、論点①~③全般についての意見を申し述べたいと思います。まず、論点①です。前々回の部会でも私から発言しておりますが、労災保険は、他の社会保険とは異なり保険証がなく、被災労働者自身が労働保険制度の適用対象であるか明確に意識しておりません。したがって、事故に遭ったとしても、自身が労災保険給付の対象であることに直ちに気付かないことがあります。また、労災保険については、他の社会保険である厚生年金や雇用保険とは異なり、外形的な事実だけで給付を受けられるか不明であることなどを踏まえれば、特有の事情があると考えているところです。だからこそ、論点②にも関連しますが、消滅時効を他の社会保険と合わせる必要はなく、5年へ延長すべきであると考えております。
その上で、論点②では、脳・心臓疾患や精神疾患、石綿関連など、発症後の迅速な保険給付請求が困難な場合であると考えられる疾病に限って5年に延長することは、理解できません。一般原則である民法の消滅時効は5年であり、それよりも労災保険給付の消滅時効を短く設定する合理的理由はありませんし、疾病の種類で時効期間に差を付けるものでもないと考えております。労災保険給付請求権の消滅時効は、論点③にある労働基準法の災害補償請求権とともに、一律に5年へ延長すべきであると思います。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他はいかがでしょうか。松尾委員、お願いいたします。
○松尾委員 消滅時効の関係では、建設業の場合、労働者性を争う申請があります。一人親方労災に加入しているが、働き方が労働者だとして申請している場合があり2年以上掛かることもある。不支給が出た場合審査請求となってくる事例もありました。その際2年の療養給付の補償が切れるということで、申請を下げて一人親方労災での申請をして判断をしてしまう。、、時効の中断というものが周知される必要があると考えます。
○小畑部会長 ありがとうございます。他にございますか。笠井委員、お願いいたします。
○笠井委員 先ほど来、労働者側委員の方々から、一部の疾病のみの延長でも足りないという御発言があったところですが、使用者側として論点①~③について、まとめて発言いたします。
まず、論点①ですが、業務起因性を明らかにする必要があることから、外形的な事実だけでは給付を受けられるかどうかの予測が容易にはできないという点は、確かに労災保険の特徴的な事情と言えるかもしれません。ただし、そのことが直ちに消滅時効期間を延長する理由になるとは思いません。以前の部会で申し上げたように、2020年の労基法改正時に災害補償請求権の2年間を維持した理由は、早期に権利を確定させて被災労働者の救済を図る必要性、早期の労災保険給付請求を通じて、事業主の安全衛生対策、再発防止対策を促進するということです。これらの必要性は、今も何ら変わりませんので、災害補償請求権と同じく労災保険の短期給付の消滅時効期間が2年間であることは、合理性があると考えます。
論点②です。資料の13ページに、休業補償給付に係る請求に要した期間が示されています。確かに骨折と比較すれば、脳・心臓疾患や精神障害、石綿関連疾患において、最初の休業の日から2年を徒過した後に請求がなされた件数の割合は高くなっています。しかしながら、2年を超える請求件数は、絶対数としては少なく、このデータだけをもって特定の疾病に関する労災請求の消滅時効期間を延長すべきとの結論を導くべきではないと考えます。なぜ時効期間を徒過しての請求がなされたのか本日のデータからは明らかではありませんが、第120回の当部会の資料では、請求人の制度の不知・誤解、請求人が手続を失念していた、事業主の手続漏れ、書類の不ぞろい、紛失等のための手続遅怠といった理由が挙げられています。これらの理由を踏まえると、まずは事業主や労働者、医療機関など、労災保険給付の請求手続の関係者に対して、現行制度の周知広報に注力することが先決だと考えます。
最後に、論点③です。現時点で私は、労災保険給付請求権を延長すべき立法事実はないと考えていますので、労働基準法の災害補償請求権の消滅時効期間を延長する必要もないと考えます。私からは以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他はいかがでしょうか。冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 先ほど立川委員も述べられていましたが、労災保険給付請求権と労基法の災害補償請求権の消滅時効は、疾病の種類に関わらず一律5年に延長することが当然であると考えております。その上で、論点②に関して、脳・心臓疾患、精神障害、石綿関連疾患などの特定の疾病のみ消滅時効を5年に延長する論拠として、資料13ページにデータをお示しいただいております。右側の帯のグラフを見ると、確かに脳・心臓疾患、精神障害、石綿関連疾患の3疾病に関する給付については、2年以上の徒過事案が多い一方、一番左の骨折の事案については、2年を超える徒過割合が少ない状況にあります。しかし、左側の表を見ると、件数で見れば骨折であっても2年超の徒過請求事案は68件もあり、決して無視してよい数字ではありません。脳・心臓疾患などの特定の疾病に係る労災請求の時効は5年、それ以外の骨折などの労災請求の時効は2年と異ならせることは、こういった事実を無視すると考えますし、先ほど中野委員からも、労働者にとっても分かりにくいのではないかという意見もあったことを踏まえれば、原因となる疾病で時効期間に差を設けるべきではないと考えるところです。
それから、なぜ徒過したかという理由もきちんと踏まえた上でという御意見もありましたが、今日の資料にはないのですけれども、第120回部会で休業給付、療養給付、介護給付といった給付種別ごとの時効徒過件数と割合をお示しいただきました。その資料を見ると、介護補償給付は時効が過ぎたことで不支給となったものが件数も割合も非常に高いということが示されていました。実際、労災請求に関わる弁護士などの関係者とも意見交換をしておりますが、被災労働者の中には自費で介護費用を払っていたけれども、後から介護補償給付の対象であることに気付いて労災請求を行うことも少なくないという話も聞いているところです。正に今申し上げた数値は、その実態を示しているものではないかと考えるところです。
以上の点を踏まえると、脳・心臓疾患などの特定の疾病に着目して時効に差を設けることは適切ではなく、原因となる疾病の種別に関わらず、時効期間は一律に5年に延長することは適当であると考えます。先ほど、使用者側委員からは、「早期に権利を確定させることは、被災労働者の救済のためにもよいのではないか」という趣旨の御意見もありましたが、そもそも業務上の災害によって病気やけがをしてしまった労働者の請求権を早く時効を到来させて消滅させることが、なぜ被災労働者の救済につながるのかが理解できません。それは余りにも不合理であると考えておりますので、労働側としては、時効期間は一律に5年に延長することは適当であると考えております。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございました。他はいかがでしょうか。宮智委員が挙手されていますか。されていないですよね。水島委員が挙手されていますね。申し訳ございません。水島委員、お願いいたします。
○水島委員 論点②について意見を申し上げます。一部の疾病について消滅時効期間を異ならせることは、私も好ましくないと思いますが、仮に異ならせるとした場合、消滅時効を2年にするとしても5年にするとしても種々の御意見があり、一部の疾病に限り消滅時効期間を異ならせるとする事務局の御提案は苦肉の策であるように思いましたが、一応は理解いたします。石綿関連疾病の時効を5年にすることは、スライド13からも適切であると思いますが、脳・心臓疾患と精神障害については、特別に5年とすることが適切であるかの判断は、私には困難です。
特に精神障害について、その原因がハラスメントにあるような場合は、時間が経過することにより、業務上認定が難しくなるのではないかと懸念いたします。確かに、被災者が労災申請というアクションを取ることができないほどメンタルヘルス疾患が著しく悪化しているケースもあろうと思います。しかし、そうではないケースで被災者が労災申請を行わないことは、迅速な補償の観点から望ましくないですし、被災者の遅い申請の結果ハラスメントがあったことを確認できず、業務外と判断されることがないかを懸念いたします。仮に精神障害について時効期間を5年に延ばすとしても、時効が延びたからといって申請を遅らせる、申請はいつでもよいとするのではなく、速やかな申請を行うのが原則であることを厚生労働省、また労使双方には御認識いただきたいと思います。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他にありますか。他にないようでしたら、2巡目で御議論いただく予定でした論点については、以上とさせていただきますが、前回、11月12日に御議論いただいた論点も含めて、補足等の御意見がありましたらお伺いしたいと思います。御意見はいかがでしょうか。岩﨑委員、お願いいたします。
○岩﨑委員 私からは、その他の論点にあります、家事使用人について意見を述べさせていただきます。論点①では「労働基準法が家事使用人に適用されることとなった場合には、労災保険法を強制適用する」と記載されておりますが、この点については、労災保険部会として積極的に労災保険制度の適用の対象としていく姿勢を見せていくことが重要と考えます。労災保険の保護をしっかりと及ぼすことは、家事使用人の保護の観点からも最も重要であると言っても過言ではございません。今回を逃すといつ強制適用できるか分からないため、しっかりと強制適用の道筋を示していくべきであるということを意見として述べさせていただきます。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。笠井委員、お願いいたします。
○笠井委員 労災保険給付が及ぼす徴収手続の課題について申し上げます。これまでの部会において、公労使いずれからも様々な御意見が出たところですが、議論が十分に深まっていないと認識しています。こうしたことから、次回以降の部会において、改めて議論する機会を設けていただきたいと考えます。どうぞよろしくお願いいたします。
○小畑部会長 ありがとうございます。ただいま、労災保険給付が及ぼす徴収手続の課題に関する更なる議論についての御意見が出ました。当該テーマについて追加で議論を行うことについて、何か御意見はありますか。冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 積み残し課題について議論すること自体は、私どもとしては否定いたしません。ただし、事業主への情報提供については、これまで労働側から申し上げてきたとおり、労災支給の情報の有無に関わらず、事業主として再発防止を講じることは当然の責務であると考えております。また、情報提供を受けた事業主から被災労働者や労災申請の協力者に報復行為、また不利益取扱が行われる懸念が大きいことからすれば、むしろその必要性は全くないと考えていることは申し上げておきたいと思います。次回もし議論するのであれば、その方向で発言させていただきたいと思います。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。ただいまの事柄について、他に何かありますか。今、追加の議論を行うこと自体については、反対というわけではないということでしたが、事務局から次回以降の部会についてどのようにお考えか御説明いただけますか。
○労災管理課長 事務局です。当該テーマの追加議論については、部会長に御相談しながら所要の調整を行い、皆様に御連絡いたしたいと存じます。
○小畑部会長 ありがとうございます。今、事務局から御発言がありましたが、そのような方向でお任せいただくということでよろしいですか。ありがとうございます。続いて、中野委員からお手が挙がっておりますね。中野委員、お願いいたします。
○中野委員 その他の論点の家事使用人に関して発言させていただきます。家事使用人に労災保険を強制適用する場合の課題として、私家庭の私人が負う手続上の負担を軽減するための仕組みが必要であることは、既にこれまでの部会の議論でも指摘されているところです。そのことに関連して、家事使用人を使用する家庭の状況は様々であり、中には高齢や障害のために、判断能力の不十分な方が家事使用人を雇用していることもあるという点に留意が必要だと考えております。JILPTの2023年の調査でも、家事使用人がふだん行う業務として、複数回答ですが、46%が高齢者介護、認知症介護と回答しているというデータが示されています。高齢者や障害者の方々が、介護保険や障害者総合支援制度ではカバーされない生活援助や介護のニーズを、家事使用人を自費で雇うことによって補うということは、少子高齢化の進行によって今後も増えていくと思われます。
特に、家族からの援助を得られない単身の高齢者や障害者が家事使用人を雇用する場合については、労災保険制度内での手続負担軽減の取組だけでは必ずしも十分とは言えず、例えば、日常生活自立支援事業などの社会福祉制度による支援との連携も視野に入れて議論する必要があるのではないかと考えています。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他にありますか。水島委員、お願いいたします。
○水島委員 社会復帰促進等事業の論点について、本部会で公益委員が意見を述べていないようですので、発言させていただきます。研究会中間報告書のとおり、特別支給金も含めて処分性を認め、審査請求や取消訴訟の対象とすることが適当と考えます。また、給付的な社会復帰促進等事業に対する不服申立てについては、保険給付と同様に労働保険審査官及び労働保険審査会法の対象とすべきと考えます。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。他はありませんか。ありがとうございました。本日、議題といたしました各テーマについて、委員の皆様方から様々な御意見や御指摘を頂戴いたしました。事務局におかれましては、本日の議論を踏まえて整理していただいて、次回以降の資料に反映していただくようにお願いしたいと思います。
それでは、本日予定いたしました議題は以上ですので、部会は終了といたします。事務局から次回の日程について、お知らせをお願いいたします。
○労災管理課長 次回の日程については、追って連絡させていただきます。
○小畑部会長 ありがとうございます。本日は、以上といたします。お忙しい中、誠にありがとうございました。
それでは、議題に入ります。本日の1つ目の議題は「暫定任意適用事業に係る業界団体等のヒアリング」です。暫定任意適用についてですが、前回までの労災保険部会において農林水産業界の団体へのヒアリングを要望する御意見がありました。そちらを受けまして、今回、農業、林業、水産業、それぞれの業界の所管省庁及び業界団体として、農林水産省、一般社団法人全国農業協同組合中央会、一般社団法人全国農業会議所、林野庁、一般社団法人日本林業経営者協会、水産庁、全国漁業協同組合連合会の皆様にお越しいただいております。
まずは、御紹介しました順に各省庁、団体から御説明を頂き、その後まとめて質疑応答の時間とさせていただきます。それでは、まずは農林水産省の齋賀様から御説明をお願いいたします。
○農林水産省 ただいま御紹介にあずかりました農林水産省就農・女性課長の齋賀と申します。今日はよろしくお願いいたします。まずは、農業をめぐる状況について御説明したいと思います。農林水産省のクレジットの資料を御覧ください。1ページですが、新規就農者数、最近は減少傾向にありますが、このうち、法人等に雇われる形で就農した雇用就農者、下のグラフの濃い部分ですけれども、雇用就農者が1万人前後とほぼ同水準で推移し、49歳以下に限って見ますと、その割合は近年増加傾向にあります。今後、雇用就農による人材確保が更に重要となることから、他産業並みの労働環境を整えていくことが必要となると考えております。
2ページを御覧ください。農業における労働災害の状況について御説明いたします。農業における就業者10万人当たりの死亡事故者数は、他産業に比べて高い状況が継続しております。また、労働者数5人未満の小規模経営体においても、死亡事故等の労働災害が一定程度発生していることが確認されております。このような状況に鑑みましても、経営リスクへの備えとして労災保険への加入が必要であると考えております。
3ページを御覧ください。農林業センサスによりますと、常雇いが1~4人の個人経営体は最大で約2万で、臨時雇いが1人以上の個人経営体が約12万となっております。データの重複関係については留意する必要がありますが、暫定任意適用を受けている経営体は最大で14万となる可能性があります。なお、このうち任意で保険に加入しているのは約2.3万経営体となっております。
4ページを御覧ください。農業の雇用環境の整備に向けた検討を進めるために、農林水産省では昨年10月から、農業の労働環境改善に向けた政策の在り方に関する検討会を設置し、開催しております。労災保険制度に関しては、これまで2回、議題として取り上げまして議論していただいております。
5ページを御覧ください。先ほど御紹介した検討会での労災保険に関する主な意見を御紹介いたします。1点目としては、暫定任意適用事業の見直しについて、労働者保護の必要性、また、経営者にとってもメリットがあるということから賛成であると御意見を頂いております。2点目としては、農業経営体の把握・制度周知という観点では、周知にはしっかりと時間をかける必要があるということや、契約関係のない曖昧な労働提供の実態があること等も踏まえて、労働者としての性格を明確にして進めていくことが必要であるといった御意見を頂いております。最後に3点目、加入する経営体の事務負担の軽減については、社労士との連携等による加入手続きのバックアップへの支援が必要といった御意見を頂いております。
これらを踏まえて農林水産省としましては、多数かつ全国に広く存在すると考えられる対象経営体に対し、労災の意義の理解、加入の要否の判断等に資する分かりやすい制度周知、こういったことを行うことによりまして、強制適用にするに当たり、課題とされていた経営体の把握等への対応も含め、新たに保険に加入することとなる経営体の事務負担の軽減など、厚生労働省及び農林水産省が連携して施行までに準備を進めることが必要と考えております。私からは以上です。ありがとうございました。
○小畑部会長 どうもありがとうございました。続きまして、一般社団法人全国農業会議所の佐藤様、お願いいたします。
○全国農業会議所 全国農業会議所の佐藤と申します。お手元の資料1-2に沿って御説明をさせていただきます。こちらの資料は本日一緒に来ておりますJA全中さんと一緒に作成したものとなっております。
それでは、1ページを御覧ください。こちらは我々の自己紹介のページとなっておりますので説明は割愛させていただきます。2ページを御覧ください。(1)の所が暫定任意適用事業の見直しの方向性についてです。強制適用に向けた検討を進めることについては、労働環境整備や雇用労働者の保護だけでなく、農業経営者が使用者責任を全うするという観点からも賛成でございます。一方で、検討を進めるに当たっては、多様な農業者を包含する農業現場の実態や厳しい農業経営の環境についても、十分に御配慮を頂ければと考えております。
(2)が農業分野について検討いただく上での課題です。一番上の矢印の所ですが、農業は家業をベースとした産業のため、多様な就労形態があります。労働者としての境界が必ずしも明確となっていないという事案も見受けられます。また、本部会でも御指摘いただきましたように、ゆいや手間替えといった慣習も残っております。そのため、労働者性の判断に迷うケースが今後多く出てくると考えられますので、所管官庁より、明確に御指導いただきまして、そして、できればQ&A等の分かりやすい形でお示しいただけると大変有り難いと考えております。
2つ目の矢印ですが、労災保険の加入に際しては、10万以上の経営体が慣れない手続をするということがありますので、手続の混乱や時間が掛かるといったことが懸念されます。こうしたことをスムーズに進めるためには、労務管理から支援していくことが必要ではないかと考えております。そのため、3つ目の矢印の所ですが、施行に当たっては、農業者への制度の周知にかかる期間として相応の年数が必要であると考えております。制度改正、即施行とならないように御配慮いただければと考えております。
3ページを御覧ください。課題の続きです。農業者の加入、給付請求に係る事務負担については、社会保険労務士の体制や労働保険事務組合の実態の把握を行った上で、実情を踏まえた支援を行っていく必要があると考えております。農協さんでも事務組合をやられておりまして有力な受皿として考えられておりますが、現状は農協さんの事務組合は特別加入の支援を主としておりまして、多くの組合で人的、財政的に困難な状況にありますので、10万以上の新規加入の受皿とはなかなかなり得ないのが実情です。そのため、社会保険労務士を中心に地域全体で支える体制を新たに構築していくことが必要ではないかと考えております。農業団体からの意見としては以上でございます。
○小畑部会長 どうもありがとうございました。続きまして、林野庁の谷本様、お願いいたします。
○林野庁 林野庁の経営課林業労働・経営対策室長の谷本と申します。よろしくお願いします。
資料1-3に沿って御説明いたします。1ページは林業における従事者、労働災害の状況です。林業従事者数ですが、左のグラフにありますとおり減少傾向にありまして、一方で、森林組合や林業経営体といったところに雇用されている従事者の方の割合は約7割と高い水準にあります。真ん中のグラフは林業における労働災害の発生状況になっていまして、死亡、死傷災害ともに長期的には減少傾向にはありますが、近年は横這いの状況になっております。右上は林業における死亡災害の発生を経営体の規模別に分けたものになりますが、小規模な経営体に災害が多いという状況、傾向が見られるところです。右下はどういう作業で死亡災害が発生しているかというものになりますが、その多くが伐木、木を伐採する作業の際に発生しているという状況です。
2ページを御覧ください。林業における労災保険の適用拡大について、どういった者が対象になり得るかです。左上の図が農林業センサスから臨時雇いを雇用した経営体数をその人数で分けたグラフになりますが、左側は個人経営体で臨時雇いを1名以上雇っているという、今回の暫定任意適用の要件に該当し得る対象としては約1,000経営体程度となっています。ただ、暫定任意適用ながら、約600の経営体が任意で労災保険に加入しているということですので、今回、強制適用になった場合、新たに保険に加入する対象はこの1,000経営体の中の一部になると考えております。先ほど林業の労働災害件数を御説明いたしましたが、左下の表の死傷年千人率で見ますと、全産業が2.3というところで、林業はその10倍の23.3と高い数値になっています。非常に多くの労働災害が発生する業種となっていますことから、労災保険に加入する意義は大きいと考えております。ただ、強制適用で新たに対象となる経営体はなかなか行政との接点も少ないということも考えられますので、施行までは十分な周知期間ということと、また加入に係る手続についても配慮が必要になるかと考えております。
3ページはこういった労働安全に対して、林業で、林野庁で講じている対策を紹介したものになっています。雇用者側、また、現場レベルの従事する方の双方への対策が必要と考えております。こちらも御参考にしていただければと思います。以上で林野庁からの説明を終わります。ありがとうございました。
○小畑部会長 どうもありがとうございました。続きまして、一般社団法人日本林業経営者協会の黒田様、お願いいたします。
○日本林業経営者協会 日本林業経営者協会副会長の黒田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、最初は私たちの団体の紹介ですので割愛させていただきます。今回の暫定任意適用事業の撤廃に関しては、林業は先ほどもあったように、非常に重大事故の発生する確率が高い事業となっていることから、今回の撤廃というか、それに関しても大いに賛同するところであります。ただしですが、この後ですけれども、先ほど農業のほうからもありましたように、周知期間の確保というものが重要ではないかと。今、要は労災保険などに入ってない経営体というものは業界団体などにも未加入の形になっておりまして、まずそれを把握すること自体が相当苦労するという事態でもあります。そういうところというのは行政ともつながりが弱いために、周知するのに相当苦労をするのではないかと考えます。この点を御配慮いただければと思います。
また、安全教育の徹底の所で、先ほどもあったように、少人数の事業体のほうが、事故が多いということは、やはり雇用主自体が安全教育を受けていない、まずその人たちに十分理解してもらわないと従業者に対する安全教育はできないということで、今回、加入することによって、ただでさえ重大事故が多い私たちの保険料が上がっていくということで、今までやっていた真面目な事業体の負担増になることは避けていただきたいと考えております。
3つ目ですけれども、事務手続、申請手続などが非常に煩雑で、ちょっと分かりにくいところがあるということも聞いているところです。オンラインなども特に分かりにくいという話も聞きますので、そういったことへの丁寧な継続的な指導、支援体制というものをつくっていただきたい。また、分かりやすいマニュアルというものも整備していただければと考えております。
あと加入手続に関わる地域格差の是正です。事務組合を利用して申請する形が多いのですけれども、地域格差が、事務局自体がいろいろな地域に偏在することから、なかなかそれを活用できない場合もあったりするということなどもちょっと問題かと考えております。小規模の事業者というのはなかなか把握しづらいことがありますので、まずそこから始めなければいけないので、十分な期間をお願いしたいということです。私からは以上です。
○小畑部会長 どうもありがとうございました。続きまして、水産庁の清水様、お願いいたします。
○水産庁 水産庁企画部長の清水と申します。資料1-5に基づきまして、漁業における労災保険の現状について御説明させていただきます。1ページです。まず、暫定任意適用を受けていると考えられる経営体の、今回の義務化になった場合には、その加入推進が必要となる周知対象についておおよその数を推定したものです。この棒グラフが3つ並んでいてややこしいのですけれども、左側が海上作業者雇用で、真ん中が陸上作業者雇用となっていまして、これは統計の関係で別々に出ているのですけれども、これを両方足すとダブルカウントしてしまっている部分が多いと見込まれるのですが、それとこの右側の内水面漁業・養殖業の経営体数の部分を足しても最大で1万8,000経営体で、暫定任意適用事業の対象となっているのは、最大でも1万8,000経営体ぐらいではないかと考えております。その中で、任意で加入しているのは約2,000経営体と伺っております。この棒グラフは下のほうが既に加入が義務化されていて、上のほうが個人経営体で雇用がない、つまり加入対象外として整理したもので、今、暫定任意適用となっていて今回の新たな措置がなされれば、新たに対象になってくるであろうというところが、この緑色で赤の四角で囲った部分ではないかと推定しているところです。
左下には想定される労災保険料の負担と、右下のほうに現行の漁業における労災保険率を載せています。漁業のほうですが、海面漁業と定置網漁業・海面魚類養殖業、そして海面漁業以外の漁業又は農業ということで、3つに分かれていまして、それぞれの保険料率も別途このように3つに分けて定められているところです。
2ページを御覧ください。労災保険の適用について、水産庁の現時点の考え方となりますけれども、まず、全体の状況としては、漁業就業者は全体的に減少傾向ですが、全体に占める法人等の雇用型漁業者の割合は増えている傾向にあります。また、その水産業における労働災害事故発生率は、他産業の平均に比べて3倍以上で高い水準にありますし、小規模経営体においても、死亡事故等の労働災害が発生しているという状況です。真ん中の所に、左が漁業就業者数の推移と雇用漁業者、自営漁業者の推移、労働災害発生率などを載せております。これらの状況に鑑みますと、下のほうに〇が3つありますけれども、私どもの考えとしては、労働者保護・経営安定の両方の観点から労災保険への加入は重要であると考えております。また、漁業もやはり就業者の高齢化や、担い手の減少という問題を抱えていますので、人材確保(労働者の採用・定着)のためには、労働災害防止の取組に合わせて、労災保険等による補償措置も確保し、労働者の方が安心して働ける環境づくり、これも重要だと考えております。使用者側、事業主のほうとしても、労働者の方が業務上負傷、又は疾病にかかった場合の補償を行うという観点からも、急な災害補償にも対応した上で、漁業の経営を持続的に行っていくという観点から、この労災保険の加入によって、労働災害に対する補償への備えをしていただく、これも重要であろうと考えております。
最後、3ページです。暫定任意適用事業の廃止における、私どもの考える留意事項です。今回の検討に当たり、地方公共団体の水産部局や漁業関係の団体、漁協など、幾つかいろいろ声を聞いてみたのですけれども、以下のようなお話がありました。まず、漁業経営体の把握・制度周知についてとして、他の農業、林業でも出てきていますけれども、なかなか対象となる経営体を特定することが難しいことや、団体等に属してない個人経営体の方もいらっしゃいますし、現在加入されていない方は制度を御存じでない方、理解されてない方も多いと考えられますので、漁業団体、漁協のみならず、厚生労働省や現場の労働基準監督署からの働きかけも必要だろうと考えております。2つ目、漁業における特殊性として、漁期に合わせて仕事をするという、季節ごとに異なる種類の漁業を行う方が多いなど、実態がつかみにくいところも考慮する必要があると考えております。したがいまして、十分な周知や制度の施行への対応の準備のために、相応の期間を頂くことが必要ではないかと考えております。
また、事務負担の軽減につきまして、こちらは農業、林業と同じような課題ですけれども、やはり労働基準監督署などの協力を得て、丁寧かつ継続的な対応が必要ではないかと考えております。また、漁村と言うと離島などかなりありますし、漁協も人手不足というところがありますので、漁協が対応できない場合には商工会の活用など、地域全体で支える体制もつくっていく必要があるのではないかと考えております。また、手続の簡素化、分かりやすい案内なども重要だと思っております。
3つ目は、労災保険料についてです。ここについてはやはり最も重要かと思いますが、漁業における労働災害発生率を下げることが重要だと思いますので、私ども水産庁をはじめ、関連の多くの機関が連携して労働災害を減らしていく対策を引き続き行っていきたいと考えております。水産庁からは以上です。
○小畑部会長 どうもありがとうございました。続きまして、全国漁業協同組合連合会の田中様、お願いいたします。
○全国漁業協同組合連合会 全漁連の田中と申します。資料1-6としてお配りしていただいています。組織の紹介は少し割愛させていただきますが、この1の右側に漁協の行う事業を列記しております。いわゆるセリや産地で水揚げが行われたときの販売事業や購買事業、また、信用事業等様々な事業を行っていますが、職員が5人以下の所が5割、半数を占めるというところの中で、非常にぎりぎりの状態で組合も運営されているということを御念頭においていただければ有り難いと思います。
2として、今回の暫定任意適用事業の見直しに当たりましては、労働者保護や人材確保の観点から、労災保険の加入の意義は大きいと考えておりまして、漁業においてもこれからまた更に魅力的な産業にしていくためにも、この適用事業を廃止することにつきましては、全漁連として反対するものではなく、国として制度改正が決定されれば、厚労省や水産庁と連携して、組合に対して周知を図ってまいりたいと考えております。その際、厚労省におかれましては、漁業者が分かりやすいような資料やQ&Aなどを作成していただければ有り難いと存じます。また漁業の特徴ですが、皆様御承知のように、漁業は絶えず変化する海を相手にする生業であり、産業ですので、漁法や雇用、就業時間といった就業形態も合わせていろいろ変化していくという特殊性があります。こういった実態を捉えて、零細漁家への、いわゆる周知や事務負担に配慮しつつ進めていくために、十分な施行までの期間を設けていただければと考えております。
次のページは漁業における課題ですが、特殊性は今申し上げたとおりですけれども、特に近年、地球温暖化に伴う海洋環境の変化が激しく、青森や岩手からサケがいなくなってしまったり、あるいはシイラやグルクンのような魚が北海道で獲れたり、来遊する魚の変動が激しく、それに伴って操業機会なども激しく変わっております。また、魚種・漁法の切り替えや、あるいは獲る漁業から育てる養殖への転換など、様々な変化が始まっております。こうしたことから、新たに実態をつかんでいくことも必要になるということが特徴としてあります。
(2)労災保険の事務手続における現状としましては、漁協で現在対応している場合もあれば、あるいは商工会議所等の保険事務組合を利用する場合や、個人で行っているケースなど様々です。他方で、先ほど申しましたとおり、漁協ごとに規模や事情も異なりまして、零細な漁協が過半を占める中では、なかなかこの辺りの増える部分を賄うことが物理的に難しいという点も御理解いただければと思います。
こうした中で、漁業者が取り残されないように対応していくためには、周知や加入、また給付請求の事務手続について、労基署等における丁寧かつ継続的な対応を求めてまいりたいと考えております。特に一番困ったときとして、事故が起こったとき、労働事故発生時については、給付請求事務が遅滞なく円滑に行えるような体制サポートをお願いできればというところです。また、労働保険事務組合の御紹介や、労働基準監督署の職員にJFを訪問していただいて、指導いただくような場面も想定されるところですが、そういう場面では、漁協の会議室に漁業者に集まっていただきお話をしてもらうなど、そういう協力も考えられるかと思います。
一方で、(3)の自助共済とのすみ分けとして、現状危険も伴う漁業ということですので、漁業における事業主が、JF共水連という共済の団体が行うJF共済をはじめとした、他の保険もあるのですけれども、民間保険に自助的に加入して労災に備えているという現状も多くあります。これから制度改正が行われるということになりましたら、あらかじめその準備をしておくということで、国におかれましては、こういった団体とも情報共有を図っていただいた上で、必要な準備期間を設けていただければと考えております。場合によっては、民間保険のシステムを組み替えたりしてすみ分けることも必要になってくるのではないかということを、共済の団体とも話をしているところです。
(4)として、労災保険率について、先ほど水産庁からも話がありましたが、労災保険率の引き下げも重要ということになっております。これまで漁業者は、安全面でライフジャケットを着用するなど、水産庁や船の管轄である国交省と連携して、安全対策にも取り組んできたわけですが、厚労省からも安全対策の推進について、漁業に是非コミットしていただければというようなことを希望しております。以上、縷々申し上げてまいりましたが、漁業の変化を見極めながら、漁業の特殊性の中で労働の実態をつかむこと、また、事務負担や既存の取組とのすみ分けなどに十分な期間を設けていただく必要がありまして、例えば5年程度といった、そういう期間を設けながら丁寧にお進めいただければ有り難いと思っております。委員の皆様方、先生方におかれましては、事情を御賢察の上で取り組んでいただければと思っております。以上です。
○小畑部会長 どうもありがとうございました。各業界の所管省庁と、業界団体の皆様より御説明を賜りました。ただいまの御説明について御意見、御質問等がありましたら、会場からの委員におかれましては挙手を、オンラインから御参加の委員におかれましてはチャットのメッセージから、「発言希望」と入力いただくか、挙手ボタンで御連絡をお願いいたします。なお、御質問を頂く際には、例えば「農林水産省に御質問です」といった形で、前置きしてお話を始めていただきますと有り難く存じます。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。立川委員、お願いいたします。
○立川委員 御説明ありがとうございました。基本的に農業、林業、漁業の3業種全てにおいて、労災保険の強制加入の適用は賛成であると理解いたしました。そのような中で農業と漁業に関して農業会議所様、JA全中様と全漁連様に質問をしたいと思います。林業については資料1-4の林業経営者協会様のプレゼンの最後の部分で、暫定任意適用事業の廃止を円滑に進めるためにも、任意加入制度の課題も踏まえた改善が不可欠であるという説明があり、具体的には地域間格差の解消の必要性が挙げられていました。この点、農業においては任意加入が2万3,000経営体、漁業においても任意加入が2,000経営体に及んでいるということがありますが、農業や漁業において、任意加入制度の加入状況から見えている課題などがあれば御教示をお願いしたいと思います。
○小畑部会長 それでは順番に、農業のほうからお願いできればと思います。
○全国農業会議所 御質問、ありがとうございます。任意加入の状況を我々が直接知る立場にはないので、分かりかねるところもあるのですが、やはり今後、暫定任意適用事業の強制適用を進めるに当たっては、労働者保護ということで、従業員の労災保険加入が非常に大切になります。一方で農業は少人数でやっている産業なので、経営者の保護も必要かと思っておりますので、暫定任意適用事業の強制適用に当たっては、労災加入と同時に特別加入も、これまで以上に力を入れていく必要があるかと考えているところです。
○小畑部会長 続いて、漁業に関してお願いいたします。
○全国漁業協同組合連合会 御質問、ありがとうございます。全漁連の田中です。任意加入の中身の詳細については、実態をつまびらかに承知していないため、なかなか申し上げるところがないのですが、意識の高い所は加入しているという意味であろうかと思います。別途、現在の特別加入制度については、一人親方が加入できる制度を設けていただいているところですが、現在はいわゆる獲る漁業、採捕の事業のみが対象となっており、養殖の場合、一部を除き加入することができないという現状となっております。この間、そういった部分も解消されていくのであれば、更に加入意識が高まって、制度が義務化される前でも、いろいろな労働の補償の取組が進んでいくのではないかと期待をしておりますので、その点もよろしくお願いいたします。
○小畑部会長 立川委員、よろしいですか。
○立川委員 ありがとうございました。
○小畑部会長 他にいかがでしょうか。松尾委員、お願いいたします。
○松尾委員 農林水産省にお聞きしたいと思います。1つは、技能実習生の関係は、この件数に入っているのかということをお聞きしたいと思います。続いて、加入している方のものは、3ページの受けている経営体についてという所に、「常雇い」と書いてあって、年間7か月以上で口頭の契約でもよいとなっているのです。口頭の契約でも賃金台帳などは付けていらっしゃるのですか。これが給付になったときに幾らなのか。我々の業界で言うと、日給・月極め払いみたいなものですから、こういう方の関係で、こういうところでもきちんと整備がされているのかをお聞きしたいと思います。
○小畑部会長 それでは、農林水産省からお答えをお願いいたします。
○農林水産省 御質問、ありがとうございます。最初の技能実習生が含まれているかという点については、内訳がしっかり分かってないところがあります。ちなみに、厚生労働省が発表している外国人労働者の労働災害の発生状況を見ますと、令和6年の農業、畜産、水産業合わせての数字は、技能実習生で117人となっております。それほど多くはないかなと思いますが、我々も詳しい状況が把握できていないところではあります。あと、口頭の契約でもよいというところですが、おっしゃるとおり給付を考えた際には、賃金台帳などの整備は非常に重要になってきます。今回、強制加入の適用に当たっては、賃金台帳の整備などのバックアップというか、その支援や指導も我々は考えていきたいと考えております。
○小畑部会長 松尾委員、いかがでしょうか。
○松尾委員 口頭契約というのは、我々も止めるように取り組んでおります。なるべくそういうことはなくしたいというように考えているのですよね。それは労働者とのトラブルの元になると考えておりますので、是非お願いしたいと思います。
○小畑部会長 ありがとうございました。続いて中野委員、御質問をお願いいたします。
○中野委員 農林水産省と水産庁に、1つずつお尋ねさせてください。まず農林水産省からお示しいただいている資料1-1の2ページで、農業においては他の産業と比較して、死亡事故が増加しているというデータが示されております。死亡事故が増加している理由や背景がお分かりになりましたら、教えていただきたいと思います。
また、水産庁には資料1-5の2ページで、漁業における直近の災害発生率や発生件数のデータをお示しいただいているのですけれども、農業や林業の資料と比較しますと、経年変化のデータがありません。経年変化の傾向が分かるようでしたら、教えていただきたいと思います。以上です。
○小畑部会長 それでは順番にお願いできますか。
○農林水産省 最初に農林水産省から回答させていただきます。就業者10万人当たりの死亡事故者数が、農業では増加傾向にあるという我々の分析ですけれども、その隣の円グラフを見ていただくと赤い所、「農業機械作業に係る事故」というのが前年の6割を占めています。特に乗用型のトラクターなどが多い割合を占めております。また青い部分、機械・施設以外の作業の中で大きなウエイトを占めているのが熱中症となっております。これらを見ますと、例えば、今は農業従事者数が減っているのに農地の面積はそれほど減っていないので、1人当たりの耕作面積が非常に大きくなっています。つまり、機械に乗って作業をすることが増えてきているということから鑑みますと、機械作業で事故が多く発生しているということがまず1つです。
あと、やはり最近は高温が続く時間が長いということもあります。特に農作業は、炎天下若しくは高温のハウスの中での作業となりますので、熱中症のリスクが高まっているということが原因かと考えております。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○水産庁 水産庁です。漁業における直近の災害発生率や発生件数のデータの経年変化ですけれども、グラフを付けていなくて失礼しました。直近10年の推移をお話しますと、水産業(船員法適用事業除く)における労働災害発生件数については減少傾向にあります。具体的には平成27年で552件だったものが、令和6年には380件に減少しております。他方で、労働災害発生率で見ますと、近年は横ばいで推移しております。平成27年に起きた発生率は千人率で7.9だったものが、令和6年は7.6です。漁業就業者が減っていますので、率で見るとそれほど減ってないという状況です。なお、労働災害のうち死亡災害については、件数・発生率とも近年は減少傾向にあります。そういうことで私ども水産庁としては、国交省さんや厚労省さんと連携しながら、引き続き水産業における労働災害を減らすように取り組んでいきたいと考えております。
○小畑部会長 中野委員、いかがでしょうか。
○中野委員 大変よく分かりました。ありがとうございました。
○小畑部会長 続いて宮智委員、御質問をお願いいたします。
○宮智委員 農水省と水産庁の方に御質問があります。林野庁のほうを拝見していると、労働安全確保に向けた取組が具体的に示されていて、雇用主の意識改革など、いろいろ書かれているのです。安全確保というのはとても重要な問題であると思いますので、農水省と水産庁も具体的に何をやっているかを教えていただければ幸いです。よろしくお願いします。
○小畑部会長 それでは、また順番にお願いいたします。
○農林水産省 農林水産省です。すみません。我々の資料から農作業安全の取組が抜け落ちておりまして、大変恐縮でございます。我々は年に1回、今日お集まりの全中さんや法人協会さんなどの関係団体が一堂に会して、農作業安全対策全国推進会議をやっております。その中で従業員への労働安全衛生法上の教育や、機械事故が多いということで機械メーカーにも参加いただいて、機械の安全な使用に関する講習の実施状況の確認もさせていただいております。また、ポスターなどを作成して普及啓発の取組も進めております。これは毎年やっており、できるだけ労働安全を進めるように取り組んでいるところです。
○小畑部会長 ありがとうございます。お願いいたします。
○水産庁 水産庁です。資料1-5の右下に、3ページとある最後のページの一番下を御覧いただければと思います。「参考」ということで、「水産庁における労働災害防止のための取り組み(一例)」と書いており、ここでは3つ記載しています。まず、漁船の安全操業や航行について知識を有する安全推進員を養成するための「漁業カイゼン講習会」等を全国各地で開催しております。また、現場の事業者や事業者団体の方が取り組むべき事項を整理した作業規範の策定、それを動画にして水産庁のWebサイトに載せて、いつでも見られるような作業安全学習教材の作成なども行っております。補助事業としては、AIS(船舶自動識別装置)の普及促進も行っております。これによって漁船の衝突事故を減らせれば、それに伴って生じる労働災害も防げるという形で取組を進めております。
○小畑部会長 宮智委員、いかがでしょうか。
○宮智委員 分かりました。ありがとうございました。
○小畑部会長 他に御意見、御質問などはありますか。白山委員、お願いいたします。
○白山委員 私からは農業会議所様とJA全中様に質問させていただきたいと思います。御説明を伺う限り、強制適用の方向性には賛同されており、その上で現実的に課題をクリアしていく必要があるというご意見であると理解しました。そうした中で、資料1-2の2ページの(2)の2つ目の矢羽根で、「適切な労務管理がなされるように支援措置を講じる必要がある」とありますが、労務管理面で具体的にどういう支援が必要とお考えなのかを教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○小畑部会長 よろしくお願いいたします。
○全国農業会議所 御質問、ありがとうございます。労務管理面で必要な支援ですけれども、やはり今回の対象は小規模の経営体ということで、なかなか雇用の意識が浸透してないということがありますし、賃金台帳や労働者名簿、雇用契約書など、いわゆる法定帳簿のようなものが、必ずしもそろっている状況ではないというところです。今後、労災保険の加入申請を進めるに当たり、そういった証憑書類が必要だと思いますので、そういったことから支援していく必要があるかと思っているところです。
○小畑部会長 白山委員、いかがでしょうか。
○白山委員 ありがとうございます。理解できました。よろしくお願いします。
○小畑部会長 他にいかがでしょうか。笠井委員、お願いいたします。
○笠井委員 ご説明ありがとうございました。まず、日本林業経営者協会の黒田様、次に全国漁業協同組合連合会の田中様にお伺いします。まず日本林業経営者協会へのお尋ねです。資料1-4の2ページに「加入手続きに係る地域格差の是正」として、「近隣地域に事務組合が存在しないため利用できないといった手続きに関する地域格差が存在している」と記載いただいております。御案内のとおり、2020年4月1日から、労働保険事務組合の主たる事務所の所在地とは異なる都道府県の事業主であっても、当該事務組合に労働保険事務を委託できるようになったと承知しております。近隣地域に事務組合が存在しなくても、制度上は遠方の事務組合に労働保険事務を委託できると理解しています。遠方の事務組合に労働保険事務を委託できる一方で、近隣地域に事務組合が存在しないため利用できないという御指摘について、詳しく教えていただければと思います。
それから、全漁連へのお尋ねです。資料1-6の3ページに、「労災保険への加入をスムーズに進めるためには、漁業における労働安全教育や災害発生率を下げることによる労災保険率の引下げも重要」と記載いただいております。水産庁さんの御説明にもあったように、水産業の労災発生率は他の産業の平均に比べて高く、経年的にもそれほど減っていないということでした。小規模経営体においても死亡事故等の労災が発生しています。暫定任意適用事業の見直しの有無にかかわらず、小規模経営体も含めて水産業における安全衛生対策や労災防止対策は重要だと考えています。各事業者における対策を促すために、全漁連としてどのような取組をされているのか教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○小畑部会長 それでは、また順番にお願いできますか。
○日本林業経営者協会 林経協の黒田です。今のお話は、おっしゃったことは私たちも理解しているのです。例えば、私は宮崎ですけれども、極端に言うと、宮崎の業者が北海道で申請できるということも確かにあるのです。例えば、熊本などで申請できる。しかし十分なサポートをしてもらえないということもある。地域格差というのは、どうしてもそこにいないと指導が弱いという面が1つあります。
あと、林災防の支部が各県にあります。宮崎県で数百社あると言われている中で、3人とか4人とかでカバーしているものですから、今やっている業者だけはカバーできるけれども、これに新たにというのはとてもできない、無理だというお話を伺っております。私たちには森林組合という組織もあります。これは全農さんや漁連さんとは違って、実際に現場で働く人を雇用する立場でもあるのです。ですので、そこが受皿になりにくいのです。要は自分たちが雇用している所で指導に入って、そこが事故を起こしていた場合に、「お前のところが事故しているのに」という話もあり得なくもないということもあって、森林組合はなかなかそういった受皿になりにくいというのも、大きな問題であるという状況です。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○全国漁業協同組合連合会 全漁連の田中です。事故に至る前のいろいろな安全対策の御質問で、どういう取組を行っているかという御質問を頂戴しました。昔から「板子一枚下は地獄」という言い方で、危険を伴う産業であることを踏まえ、やはり出航前にきちんとした点検を行うなどの取組は常々行うほか、近年では近代化が進んでいる中で、AISといった自動でその場所が分かる装置を装着するような形で、漁船への設備を整えるとともに、人の面においては先ほど申し上げたライフジャケットを必ず着用する。これは義務化となっておりますが、その中で特に漁村の家庭においてお母さん方が、旦那さんが出て行くときに、「ちゃんと着用しなさいよ」といったことで呼び掛けたり、例えばある地域では、お母さん方がライフジャケットレディースというような組織を結成して、大々的にキャンペーンを行ったりしています。お母さんの言うことはお父さんもよく聞くということもありますので、そういったことも地元ごとでいろいろ行いながら、安全対策をしているところです。
○小畑部会長 笠井委員、いかがでしょうか。
○笠井委員 よく分かりました。ありがとうございます。是非、全漁連さんには対策を引き続き進めていただければと思います。
○小畑部会長 他にありますか。よろしいでしょうか。農林水産業の各業界の所管省庁と業界団体の皆様におかれましては、大変お忙しい中御説明を賜りまして、誠にありがとうございました。御質問に対してのお答えなど、大変参考になりました。本当にありがとうございました。この後は御退室いただいても差し支えありませんので、よろしくお願いいたします。
それでは、続いて議題2に移りたいと存じます。議題2は「労災保険制度の在り方について」です。事務局より御説明をお願いいたします。
○労災管理課長 それでは、資料2を御覧ください。労災保険制度の具体的課題について、これまでの部会における議論を踏まえ、前回取り上げた事項以外の事項のうち、引き続き議論が必要なものをまとめています。1ページを御覧ください。暫定任意適用についてです。論点として、①「暫定任意適用は廃止し、労災保険法を順次、強制適用することについてどのように考えるか」、②「強制適用する場合には、零細な事業主の事務負担の軽減等の対応を農林水産省の協力も得つつ検討するとともに、施行までに十分な期間を設けることについてどのように考えるか」の2つを記載しています。1ページの中ほどから2ページの上半分までは、これまでの部会における各委員の御意見を、2ページの下半分は、研究会中間報告書における該当部分を記載しています。
続いて、3ページを御覧ください。特別加入制度についてです。論点として、①「特別加入団体の承認や取消しの要件を法令上に明記する場合、具体的な承認要件の内容を、災害防止に関わる役割や実施すべき措置事項その他当該団体の業務の適切な運営に資する事項(団体等の性格、事務処理体制、財政基盤に関する事項等)とすることについてどのように考えるか」、②「承認の取消し(保険関係の消滅)に当たっては、先だって改善を要求する等、段階的な手続きを設けることについてどのように考えるか。また、特別加入者の保護のため、どのような仕組みを設けることが必要と考えるか」の2つを記載しています。3ページの下半分から5ページの上半分までは、これまでの部会における各委員の御意見を、5ページの下半分は、研究会中間報告書における該当部分を記載しております。
6ページは、第119回の部会に提出した特別加入団体の要件についての資料です。労災保険法の規定による特別加入団体の承認に当たっては、一人親方等、又は特定作業従事者の相当数を構成員とする単一団体であることなど、現状に記載のアからオまでの5つの要件を満たす必要があることが、昭和40年の通達により定められています。最近の見直しでは、この5つの要件のうち、オの地域要件について、令和3年4月から、近隣の都道府県の区域を超えるブロックにおいて、災害防止等に関する研修会等を実施する場合には、当該ブロックにおいて事務処理を認めることとし、事務処理区域の柔軟化を行いました。また、特定フリーランス事業に係る特別加入団体については、先ほどの5つの要件に加え、特別加入団体になろうとする者が特定の業種に関わらない、フリーランス全般の支援のための活動実績を有していることなど、資料記載の①から④までの4つも要件としております。
続いて、7ページは新規の資料ですが、特別加入団体に係る保険関係の消滅についてです。特別加入団体が労災保険法令や労働保険徴収法令の規定に違反した時は、政府は労災保険法の規定に基づき、保険関係を消滅させることができます。この場合、所轄都道府県労働局長は遅滞なく、文書で、その旨を当該団体に通知しなければならないことが省令で規定されています。また、特別加入者の地位も、保険関係の消滅時に消滅することが、昭和40年の通達により定められています。
左下に、保険関係が消滅した場合の流れの図を、右下に、その根拠である徴収法の規定を記載しています。保険関係が消滅した場合には、図の②のとおり、特別加入団体は確定保険料の申告及び保険料の還付請求を行います。これを受け、③のとおり、政府は法令で定めるところにより、労働保険料等への充当、又は還付を行います。なお、④の、特別加入団体から、一人親方等に対する保険料相当額の還付は特別加入団体の定款等によることになります。
続いて、8ページを御覧ください。消滅事項についてです。論点として、①「労災保険は他の社会保険と異なり、業務起因性を明らかにする必要があることから、外形的な事実だけでは給付を受けられるかどうかの予測が容易にはできない点において、特有の事情を有するものとすることについてどのように考えるか」、②「労災保険給付請求権のうち、療養補償給付、休業補償給付、葬祭料、介護補償給付等、消滅時効期間が2年である給付について、脳・心臓疾患、精神疾患、石綿関連疾病等、発症後の迅速な保険給付請求が困難な場合があると考えられる疾病を原因として請求する場合には、消滅時効期間を5年に延長することについてどのように考えるか」、③「労働基準法の災害補償請求権についても、労災保険給付請求権と同様に、消滅時効期間を延長することについてどのように考えるか」、この3つを記載しています。8ページの下半分から10ページの上半分までは、これまでの部会における各委員の御意見を、10ページの下半分から12ページは、研究会中間報告書における該当部分を記載しています。
13ページは新規の資料ですが、休業補償給付に係る請求に要した期間についてです。令和5年度に請求がなされた休業補償給付のうち、最初の休業の日から2年を徒過した後に請求がなされた件数を表とグラフでまとめています。骨折は0.1%と、ほぼ2年以下で請求がなされていますが、脳・心臓疾患では5.7%、精神障害では2.6%、石綿関連疾病では8.3%が2年徒過後に請求がなされています。
14ページはその他の論点についてです。家事使用人と社会復帰促進等事業については、これまでの部会における議論を踏まえ、前回も今回も引き続き議論が必要な事項として取り上げていませんが、それぞれ部会における論点として記載しています。まず家事使用人についてですが、①「災害補償責任も含め労働基準法が家事使用人に適用されることになった場合には、労災保険法を強制適用することについてどのように考えるか」、②「強制適用する場合には、私家庭の私人による保険関係成立の届出や保険料の納付のような運用面の課題に対して、労働保険事務組合等の仕組みも活用し、対応を検討することについてどのように考えるか」の2つを記載しています。
次に、社会復帰促進等事業についてです。論点として、①「社会復帰促進等事業として実施されている給付について、特別支給金も含めて処分性を認め、審査請求や取消訴訟の対象とすることについてどのように考えるか」、②「労働者等に対する給付的な社会復帰促進等事業に対する不服申立てについては、保険給付と同様に労働保険審査官及び労働保険審査会法の対象とすることについてどのように考えるか」の2つを記載しております。事務局からの説明は以上でございます。
○小畑部会長 どうもありがとうございました。それでは、各テーマについて議論を進めたいと思います。多岐にわたるテーマがありますので、暫定任意適用、特別加入制度、消滅事項の3つに区切りたいと思います。まずは、暫定任意適用につきまして、資料2の1ページにある論点に沿って、御意見をお伺いできればと思います。御意見、御質問等がございましたら、会場の委員におかれましては挙手を、オンラインから御参加の委員におかれましては、チャットのメッセージから発言希望と入力いただくか、「挙手ボタン」で御連絡をお願いいたします。いかがでしょうか。白山委員、お願いいたします。
○白山委員 私からは、論点①②両方について意見を申し上げたいと思います。
まず、論点①に関しては、これまでも申し上げてきたとおり、労働側としては、暫定任意適用を廃止して、強制適用を図っていくべきであると考えております。理由は資料に記載のとおりではありますが、労災保険制度は全ての労働者に等しく適用、補償されるべきですし、農林水産業の労働実態も現代化してきております。さらに、本日のヒアリングでも御説明がありましたが、農業、林業、それから漁業や養殖業等の水産業、いずれの分野でも労災事故の発生率は高く、保護の必要性も高いと考えております。こういった点から、暫定任意適用は速やかに廃止して、労災保険法の保護を及ぼしていくことが重要と考えております。
その上で、論点②についてです。業界団体の皆様があげられた課題を解決するための支援措置を講じていくことも含めまして、現実的に強制適用を進めていくということは必要であると考えております。ただ、施行までの期間をむやみに長くすることは適当ではないと考えております。暫定任意適用を廃止するとなれば法改正が必要となりますけれども、法案提出から成立までの時間なども含めれば、施行準備期間はそれ相応に取ることができるのではないかと思っております。労働力不足が深刻な農林水産業において、魅力ある労働環境の整備が急務の課題となっていることを踏まえると、労災保険法の強制適用をできる限り早く実現していくということが必要であるということを、意見として述べさせていただきます。
○小畑部会長 ありがとうございます。他はいかがでしょうか。笠井委員、お願いいたします。
○笠井委員 論点①②の双方について、まとめて発言いたします。先ほど、農水省、林野庁、水産庁より御説明がありましたとおり、暫定任意適用事業の対象となる小規模な経営体においても、死亡事故等の重大な労働災害が発生しています。どのような職場で働く労働者であっても、業務上の負傷、疾病に関して適切な保険給付が受けられるよう、暫定任意適用事業を廃止し、労災保険を強制適用することに賛同いたします。強制適用に当たっては、小規模な経営体の実態把握や行政手続に伴う事業主の事務負担の軽減、施行までの十分な周知期間の確保、労働災害防止対策の推進など、所管省庁や関係団体から示された課題や要望に対応していく必要があると考えます。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他はございますか。特にございませんか。それでは、続きまして、特別加入について議論してまいりたいと思います。資料2の3ページにある論点に沿いまして、意見をお伺いできればと思います。御意見いかがでしょうか。笠井委員、お願いいたします。
○笠井委員 論点①について発言いたします。3ページの労働者代表委員の意見によれば、4,000を超える特別加入団体の中には、誇大広告や加入者へのサポートが不十分な団体があるようです。また、4ページの使用者代表委員の意見のとおり、毎年、一定数の特別加入団体が消滅してしまっています。特別加入団体において、団体の健全、透明、安定的な運営はもとより、加入者の災害防止等、期待される役割を果たしていくためには、論点①に記載のような、災害防止に関わる役割や実施すべき措置事項、事務処理体制、財政基盤に関する事項等を承認要件の内容とすべきと考えます。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 まず、論点①です。特別加入団体の承認、取消要件を法令で定めるということについては適当であると考えております。資料の6ページに、現在通達で定められている特別加入団体の5つの要件をお示しいただいておりますが、特別加入団体は、加入手続や加入後のフォローも含めて極めて重要な役割を担っていることからすれば、通達ではなく法令に根拠を置いて、適切に監督、指導を行っていくということは欠かせません。また、論点にありますように、特定フリーランス事業以外の特別加入団体も災害防止の役割を担うことは非常に重要だと思っております。そういった新たな役割を担わせるのであれば、その観点からも特別加入団体の役割や要件について法令に根拠を置くということは当然であると考えます。
さらに、承認や取消し要件の法令への格上げに際しては、現行通達の5つの要件を単純に格上げするのではなく、内容を厳格化して法令に明記することが必要であると思います。この間、本部会では、特定フリーランス事業に限定したものですけれども、特別加入団体のヒアリングを行ってきましたが、残念ながら、加入者の相談体制やその団体の財政見通しといった点についてもう少し精度を高めたほうが良いのではないかという印象を受けるようなケースもありました。また、資料4ページの一番下の○に記載もありますが、労働側としては、加入時の審査を適切に行うということが重要であると思っており、そのための特別加入団体の審査体制の確認も欠かせないと考えています。こうした点を踏まえますと、加入時の審査や相談を適切に行い得る体制、それから、財政見通しも含めて安定的な財政基盤を担保していくための要件が必要です。特別加入団体の要件の法令への格上げに際しては、今指摘した体制面などの要件を明示的に示して、行政としてその適合性を丁寧に確認していくことが必要であると考えております。
最後に、これまでも申し上げてきておりますけれども、特定フリーランス事業の特別加入団体に課せられている事務所要件についてです。この点は、緩和前の要件に戻すべきであるということは今までも申し上げてきているところです。使用者側からは、物理的なスペースの確保の必須化というのは過剰な対応ではないかという御意見もありましたが、繰り返し申し上げているとおり、もともとの貸し会議室を認めずに原則相談対応のための占有スペースを保有するという事務所要件は、対面相談の確実性を担保するということに加えて、全国的に相談窓口を設置し得る能力や体制がきちんと確保できる、また、安定的な団体としての運営を担保するという側面もあり、要件として設定されていたものと理解しております。この要件を行政解釈だからということで、公の議論も得ずに引き下げになっているということ、しかも、制度がスタートして余り時間もたっていないタイミングで引き下げが行われたということは問題であると思っております。労働側としては、改めて以前の要件に戻すべきと考えていることは、改めて申し上げておきたいと思います。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。中野委員、お願いいたします。
○中野委員 特別加入制度の論点に関連して、少し発言をさせてください。労災保険の見直しをめぐる本部会の議論では、例えば前回の部会で扱われた遺族補償等年金の在り方や遅発性疾病に係る給付基礎日額の問題のように、労災保険給付が社会保障的性格を有することを前提とした議論がしばしばなされています。私個人としては、研究会でも申し上げたことですが、労災保険の社会保障的性格を強調するのであれば、労働基準法上の労働者に限らず、報酬を得て働く人は全て労災保険に強制加入する制度へと見直していくこともあり得ると考えています。もちろん、これは労働基準法の災害補償責任と結び付いた現在の法制度を根幹から見直すことを意味し、短期的にできる改革ではありませんので、長期的な検討課題として申し上げています。その上で、短期的には、引き続き社会のニーズに応じて、特別加入制度を柔軟かつ迅速に拡大していく形で対応していくことが必要であると考えています。
本日は、資料の論点に基づき、特別加入制度の改善が議論されましたが、現行制度の下で特別加入の対象にすらなっていない事業はまだまだ残されており、それらの事業を特別加入の対象にすることについても随時検討していくべきであると考えます。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございました。他にございますか。金井委員、お願いいたします。
○金井委員 私からは、論点②の承認取消し時の対応に関連し、特別加入者が不利益を被らないような対応が必要であるという点について、意見をさせていただきます。特別加入団体の承認取消し時に際して、段階的な手続を設けるということについて異論はありませんが、資料3ページの労働者代表委員の意見の上から3つ目の○にありますように、承認取消しによって、特別加入者が突如無保険になるといった不利益を被らないようにする対策が欠かせないと考えております。
この点については、資料7ページの左下の図の中で保険関係の消滅があった場合の流れが説明されています。この部分を見るに、特別加入団体が法令違反などを犯して保険関係が消滅した場合、下のピンク色の背景の所の①’にあるとおり、特別加入者の地位の喪失、つまり、一度、無保険となって、別の特別加入団体を自分で探す必要があると理解をしており、この状況では特別加入者の保護の点から問題であると考えております。承認取消しに至った場合においても、例えば年間で保険料を納めていた場合はその期間は特別加入者としてみなすなど、特別加入者が引き続き保険関係を継続できるような仕組みが必要であると思っております。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。笠井委員、お願いいたします。
○笠井委員 冨髙委員から、特定フリーランス事業の特別加入団体に関する承認要件の関連で、物理的な専有スペースの確保を必須とすべきとの御発言がありました。前回の議論の際にも申し上げましたとおり、私といたしましては、特別加入団体において、特定フリーランス事業を行う方が適時適切に訪問し、相談できる環境を整えるということが重要であり、物理的な専有スペースの確保を必須とすることまでは過剰な対応と考えております。厚労省の解釈の変更は理解できると考えていることを改めて申し上げます。
それから、先ほど中野委員から強制加入の拡大について御発言があったかと存じます。御指摘のとおり、長期的な課題として専門的な見地から御検討を深めていただきたいと考えます。仮に、労働基準法の労働者以外を強制加入とした場合には、特別加入制度との関係も議論の対象になってくるかと思います。また、特別加入制度の対象拡大についてもご指摘がありましたが、特別加入制度の対象とするためには、業務の実態や災害の発生状況から見て、労働者に準じて保護することがふさわしいものであると整理される必要があります。対象拡大にあたっては、特別加入制度の趣旨、目的などに合致するかについて、慎重に検討していくことが必要ではないかと考えます。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他にございますか。特段ございませんか。それでは、消滅事項について議論してまいりたいと思います。資料2の7ページにある論点に沿いまして、御意見をお伺いできればと思います。御意見いかがでしょうか。中野委員、お願いいたします。
○中野委員 本日の資料で示されました論点では、他の社会保険と比較した労災保険の特殊性を認めた上で、一部の疾病に関わる場合にのみ療養補償給付等の消滅時効を5年に延長するという提案がなされていますが、このような変則的な対応をすることによって、労働者にとってかえって分かりにくい制度とならないか。また、労働者がり患した疾病が2年と5年のどちらの時効に係るのかという、新たな紛争を引き起こすのではないかといったことを懸念いたします。
私見としては、療養補償給付等について、その支給原因となる傷病を問わず、労働基準法の賃金と同じように5年の消滅時効としていくことが望ましいと考えています。同時に、他の社会保険制度とも足並みをそろえることが望ましく、これは制度横断的な検討をすべき問題だと考えています。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他はいかがでしょうか。立川委員、お願いいたします。
○立川委員 消滅時効について意見を申し上げてよいですか。
○小畑部会長 はい。
○立川委員 それでは、論点①~③全般についての意見を申し述べたいと思います。まず、論点①です。前々回の部会でも私から発言しておりますが、労災保険は、他の社会保険とは異なり保険証がなく、被災労働者自身が労働保険制度の適用対象であるか明確に意識しておりません。したがって、事故に遭ったとしても、自身が労災保険給付の対象であることに直ちに気付かないことがあります。また、労災保険については、他の社会保険である厚生年金や雇用保険とは異なり、外形的な事実だけで給付を受けられるか不明であることなどを踏まえれば、特有の事情があると考えているところです。だからこそ、論点②にも関連しますが、消滅時効を他の社会保険と合わせる必要はなく、5年へ延長すべきであると考えております。
その上で、論点②では、脳・心臓疾患や精神疾患、石綿関連など、発症後の迅速な保険給付請求が困難な場合であると考えられる疾病に限って5年に延長することは、理解できません。一般原則である民法の消滅時効は5年であり、それよりも労災保険給付の消滅時効を短く設定する合理的理由はありませんし、疾病の種類で時効期間に差を付けるものでもないと考えております。労災保険給付請求権の消滅時効は、論点③にある労働基準法の災害補償請求権とともに、一律に5年へ延長すべきであると思います。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他はいかがでしょうか。松尾委員、お願いいたします。
○松尾委員 消滅時効の関係では、建設業の場合、労働者性を争う申請があります。一人親方労災に加入しているが、働き方が労働者だとして申請している場合があり2年以上掛かることもある。不支給が出た場合審査請求となってくる事例もありました。その際2年の療養給付の補償が切れるということで、申請を下げて一人親方労災での申請をして判断をしてしまう。、、時効の中断というものが周知される必要があると考えます。
○小畑部会長 ありがとうございます。他にございますか。笠井委員、お願いいたします。
○笠井委員 先ほど来、労働者側委員の方々から、一部の疾病のみの延長でも足りないという御発言があったところですが、使用者側として論点①~③について、まとめて発言いたします。
まず、論点①ですが、業務起因性を明らかにする必要があることから、外形的な事実だけでは給付を受けられるかどうかの予測が容易にはできないという点は、確かに労災保険の特徴的な事情と言えるかもしれません。ただし、そのことが直ちに消滅時効期間を延長する理由になるとは思いません。以前の部会で申し上げたように、2020年の労基法改正時に災害補償請求権の2年間を維持した理由は、早期に権利を確定させて被災労働者の救済を図る必要性、早期の労災保険給付請求を通じて、事業主の安全衛生対策、再発防止対策を促進するということです。これらの必要性は、今も何ら変わりませんので、災害補償請求権と同じく労災保険の短期給付の消滅時効期間が2年間であることは、合理性があると考えます。
論点②です。資料の13ページに、休業補償給付に係る請求に要した期間が示されています。確かに骨折と比較すれば、脳・心臓疾患や精神障害、石綿関連疾患において、最初の休業の日から2年を徒過した後に請求がなされた件数の割合は高くなっています。しかしながら、2年を超える請求件数は、絶対数としては少なく、このデータだけをもって特定の疾病に関する労災請求の消滅時効期間を延長すべきとの結論を導くべきではないと考えます。なぜ時効期間を徒過しての請求がなされたのか本日のデータからは明らかではありませんが、第120回の当部会の資料では、請求人の制度の不知・誤解、請求人が手続を失念していた、事業主の手続漏れ、書類の不ぞろい、紛失等のための手続遅怠といった理由が挙げられています。これらの理由を踏まえると、まずは事業主や労働者、医療機関など、労災保険給付の請求手続の関係者に対して、現行制度の周知広報に注力することが先決だと考えます。
最後に、論点③です。現時点で私は、労災保険給付請求権を延長すべき立法事実はないと考えていますので、労働基準法の災害補償請求権の消滅時効期間を延長する必要もないと考えます。私からは以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他はいかがでしょうか。冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 先ほど立川委員も述べられていましたが、労災保険給付請求権と労基法の災害補償請求権の消滅時効は、疾病の種類に関わらず一律5年に延長することが当然であると考えております。その上で、論点②に関して、脳・心臓疾患、精神障害、石綿関連疾患などの特定の疾病のみ消滅時効を5年に延長する論拠として、資料13ページにデータをお示しいただいております。右側の帯のグラフを見ると、確かに脳・心臓疾患、精神障害、石綿関連疾患の3疾病に関する給付については、2年以上の徒過事案が多い一方、一番左の骨折の事案については、2年を超える徒過割合が少ない状況にあります。しかし、左側の表を見ると、件数で見れば骨折であっても2年超の徒過請求事案は68件もあり、決して無視してよい数字ではありません。脳・心臓疾患などの特定の疾病に係る労災請求の時効は5年、それ以外の骨折などの労災請求の時効は2年と異ならせることは、こういった事実を無視すると考えますし、先ほど中野委員からも、労働者にとっても分かりにくいのではないかという意見もあったことを踏まえれば、原因となる疾病で時効期間に差を設けるべきではないと考えるところです。
それから、なぜ徒過したかという理由もきちんと踏まえた上でという御意見もありましたが、今日の資料にはないのですけれども、第120回部会で休業給付、療養給付、介護給付といった給付種別ごとの時効徒過件数と割合をお示しいただきました。その資料を見ると、介護補償給付は時効が過ぎたことで不支給となったものが件数も割合も非常に高いということが示されていました。実際、労災請求に関わる弁護士などの関係者とも意見交換をしておりますが、被災労働者の中には自費で介護費用を払っていたけれども、後から介護補償給付の対象であることに気付いて労災請求を行うことも少なくないという話も聞いているところです。正に今申し上げた数値は、その実態を示しているものではないかと考えるところです。
以上の点を踏まえると、脳・心臓疾患などの特定の疾病に着目して時効に差を設けることは適切ではなく、原因となる疾病の種別に関わらず、時効期間は一律に5年に延長することは適当であると考えます。先ほど、使用者側委員からは、「早期に権利を確定させることは、被災労働者の救済のためにもよいのではないか」という趣旨の御意見もありましたが、そもそも業務上の災害によって病気やけがをしてしまった労働者の請求権を早く時効を到来させて消滅させることが、なぜ被災労働者の救済につながるのかが理解できません。それは余りにも不合理であると考えておりますので、労働側としては、時効期間は一律に5年に延長することは適当であると考えております。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございました。他はいかがでしょうか。宮智委員が挙手されていますか。されていないですよね。水島委員が挙手されていますね。申し訳ございません。水島委員、お願いいたします。
○水島委員 論点②について意見を申し上げます。一部の疾病について消滅時効期間を異ならせることは、私も好ましくないと思いますが、仮に異ならせるとした場合、消滅時効を2年にするとしても5年にするとしても種々の御意見があり、一部の疾病に限り消滅時効期間を異ならせるとする事務局の御提案は苦肉の策であるように思いましたが、一応は理解いたします。石綿関連疾病の時効を5年にすることは、スライド13からも適切であると思いますが、脳・心臓疾患と精神障害については、特別に5年とすることが適切であるかの判断は、私には困難です。
特に精神障害について、その原因がハラスメントにあるような場合は、時間が経過することにより、業務上認定が難しくなるのではないかと懸念いたします。確かに、被災者が労災申請というアクションを取ることができないほどメンタルヘルス疾患が著しく悪化しているケースもあろうと思います。しかし、そうではないケースで被災者が労災申請を行わないことは、迅速な補償の観点から望ましくないですし、被災者の遅い申請の結果ハラスメントがあったことを確認できず、業務外と判断されることがないかを懸念いたします。仮に精神障害について時効期間を5年に延ばすとしても、時効が延びたからといって申請を遅らせる、申請はいつでもよいとするのではなく、速やかな申請を行うのが原則であることを厚生労働省、また労使双方には御認識いただきたいと思います。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他にありますか。他にないようでしたら、2巡目で御議論いただく予定でした論点については、以上とさせていただきますが、前回、11月12日に御議論いただいた論点も含めて、補足等の御意見がありましたらお伺いしたいと思います。御意見はいかがでしょうか。岩﨑委員、お願いいたします。
○岩﨑委員 私からは、その他の論点にあります、家事使用人について意見を述べさせていただきます。論点①では「労働基準法が家事使用人に適用されることとなった場合には、労災保険法を強制適用する」と記載されておりますが、この点については、労災保険部会として積極的に労災保険制度の適用の対象としていく姿勢を見せていくことが重要と考えます。労災保険の保護をしっかりと及ぼすことは、家事使用人の保護の観点からも最も重要であると言っても過言ではございません。今回を逃すといつ強制適用できるか分からないため、しっかりと強制適用の道筋を示していくべきであるということを意見として述べさせていただきます。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。笠井委員、お願いいたします。
○笠井委員 労災保険給付が及ぼす徴収手続の課題について申し上げます。これまでの部会において、公労使いずれからも様々な御意見が出たところですが、議論が十分に深まっていないと認識しています。こうしたことから、次回以降の部会において、改めて議論する機会を設けていただきたいと考えます。どうぞよろしくお願いいたします。
○小畑部会長 ありがとうございます。ただいま、労災保険給付が及ぼす徴収手続の課題に関する更なる議論についての御意見が出ました。当該テーマについて追加で議論を行うことについて、何か御意見はありますか。冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 積み残し課題について議論すること自体は、私どもとしては否定いたしません。ただし、事業主への情報提供については、これまで労働側から申し上げてきたとおり、労災支給の情報の有無に関わらず、事業主として再発防止を講じることは当然の責務であると考えております。また、情報提供を受けた事業主から被災労働者や労災申請の協力者に報復行為、また不利益取扱が行われる懸念が大きいことからすれば、むしろその必要性は全くないと考えていることは申し上げておきたいと思います。次回もし議論するのであれば、その方向で発言させていただきたいと思います。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。ただいまの事柄について、他に何かありますか。今、追加の議論を行うこと自体については、反対というわけではないということでしたが、事務局から次回以降の部会についてどのようにお考えか御説明いただけますか。
○労災管理課長 事務局です。当該テーマの追加議論については、部会長に御相談しながら所要の調整を行い、皆様に御連絡いたしたいと存じます。
○小畑部会長 ありがとうございます。今、事務局から御発言がありましたが、そのような方向でお任せいただくということでよろしいですか。ありがとうございます。続いて、中野委員からお手が挙がっておりますね。中野委員、お願いいたします。
○中野委員 その他の論点の家事使用人に関して発言させていただきます。家事使用人に労災保険を強制適用する場合の課題として、私家庭の私人が負う手続上の負担を軽減するための仕組みが必要であることは、既にこれまでの部会の議論でも指摘されているところです。そのことに関連して、家事使用人を使用する家庭の状況は様々であり、中には高齢や障害のために、判断能力の不十分な方が家事使用人を雇用していることもあるという点に留意が必要だと考えております。JILPTの2023年の調査でも、家事使用人がふだん行う業務として、複数回答ですが、46%が高齢者介護、認知症介護と回答しているというデータが示されています。高齢者や障害者の方々が、介護保険や障害者総合支援制度ではカバーされない生活援助や介護のニーズを、家事使用人を自費で雇うことによって補うということは、少子高齢化の進行によって今後も増えていくと思われます。
特に、家族からの援助を得られない単身の高齢者や障害者が家事使用人を雇用する場合については、労災保険制度内での手続負担軽減の取組だけでは必ずしも十分とは言えず、例えば、日常生活自立支援事業などの社会福祉制度による支援との連携も視野に入れて議論する必要があるのではないかと考えています。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他にありますか。水島委員、お願いいたします。
○水島委員 社会復帰促進等事業の論点について、本部会で公益委員が意見を述べていないようですので、発言させていただきます。研究会中間報告書のとおり、特別支給金も含めて処分性を認め、審査請求や取消訴訟の対象とすることが適当と考えます。また、給付的な社会復帰促進等事業に対する不服申立てについては、保険給付と同様に労働保険審査官及び労働保険審査会法の対象とすべきと考えます。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。他はありませんか。ありがとうございました。本日、議題といたしました各テーマについて、委員の皆様方から様々な御意見や御指摘を頂戴いたしました。事務局におかれましては、本日の議論を踏まえて整理していただいて、次回以降の資料に反映していただくようにお願いしたいと思います。
それでは、本日予定いたしました議題は以上ですので、部会は終了といたします。事務局から次回の日程について、お知らせをお願いいたします。
○労災管理課長 次回の日程については、追って連絡させていただきます。
○小畑部会長 ありがとうございます。本日は、以上といたします。お忙しい中、誠にありがとうございました。

