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第216回労働政策審議会職業安定分科会 議事録
日時
令和7年10月17日(金)10:00~12:00
場所
- 会場
- 厚生労働省 職業安定局第1会議室及びオンライン
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 12階公園側)
- 傍聴会場
- 厚生労働省 職業安定局第2会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階公園側)
議事
2025-10-17 労働政策審議会職業安定分科会(第216回)
○阿部分科会長 おはようございます。
定刻になりましたので、ただいまから第216回「労働政策審議会職業安定分科会」を開催いたします。
皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございます。
議事に先立ちまして、職業安定分科会に、新たに労働者代表委員として、日本郵政グループ労働組合書記長の千葉浩司委員が就任されましたので、御紹介いたします。
千葉委員、一言御挨拶をお願いいたします。
○千葉委員 皆さん、おはようございます。
このたび、前任の山田に代わりまして、職業安定分科会委員に御指名いただきました、日本郵政グループ労働組合の千葉と申します。
本日は、ウェブでの参加となります。
労政審は初めての経験となりますので、何分、不慣れなところもあろうかと思いますが、前任者同様、どうぞよろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 よろしくお願いいたします。
本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の黒澤委員、原昌登委員、
労働者代表の平山委員、
使用者代表の清田委員、久保委員、馬渡委員が御欠席と伺っております。
なお、清田委員の代理として、日本商工会議所産業政策第二部課長の佐藤様が代理出席されております。
また、事務局である職業安定局の幹部に異動がございましたので、御報告いたします。
古舘職業安定、労働市場政策担当審議官が就任しております。
○古舘審議官 古舘でございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 それでは、カメラの撮影はここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
(カメラ退室)
○阿部分科会長 本日の分科会は、Zoomによるオンラインと会場での開催となります。オンラインでの発言方法等につきましては、事前に事務局より送付しております「職業安定分科会の開催・参加方法について」に沿って操作いただきますよう、よろしくお願いいたします。
また、オンラインで御参加いただいている委員の皆様におかれましては、原則として、画面をオンにしていただくよう、お願いいたします。
初めに1点、事務局から御連絡があります。
○澁谷総務課長 事務局でございます。
参考資料1として、2025年度の年度目標に対します第1四半期の実績につきまして、机上に配付しておりますので、お知らせ申し上げます。
○阿部分科会長 それでは、議事に入りたいと思います。
議題1は「令和6年能登半島地震等後雇用調整助成金・産業雇用安定助成金の活用状況等及び今後の対応方針について」です。
では、まず、事務局から説明をお願いいたします。
○立石雇用開発企画課長 事務局でございます。
それでは、議題1につきまして、資料1に基づきまして御説明させていただきます。
1ページ目をお開きください。
能登半島特例の概要につきまして、制度の概要につきまして御説明させていただきます。
2のスキーム図を御覧いただければと存じます。
令和6年1月に地震が発災したことを受けまして、まず、雇用調整助成金の能登半島地震特例を実施いたしました。
当初、令和6年末までの予定の特例でございましたが、9月に豪雨災害が発生するという極めて特異な被災状況となったことから、豪雨被害の大きかったハローワーク輪島及び七尾の管内の9つの市町を対象といたしまして、令和7年から令和7年末まで新たな特例を実施することといたしまして、まずは在籍型出向支援のための産業雇用安定助成金の災害特例コースの新設。
さらに、在籍出向が困難な場合の支援といたしまして、雇用調整助成金の新特例を実施するとしたものでございます。
2ページ目をお開きください。
雇用調整助成金の特例措置の活用状況についてでございます。
まず、左側のグラフを御覧いただきますと、令和7年の新たな特例の対象であるハローワーク七尾・輪島管内での雇用調整助成金の特例措置を活用した事業所数の推移でございます。
令和6年1月の発災時が658の事業所、令和7年の新特例への切替えが186事業所ございましたが、令和7年1月以降もずっと、5月まで載せておりますが、減ってきておりまして、5月には140事業所ということで、発災当初の21%にまで減少してきております。
また、右側のグラフでございますが、雇調金の活用事業所における労働者の休業の状況別の割合でございます。
ほぼ全部休業の方が、右側の3割でございます。
ほかの一部休業の方は、残りの7割となってございます。
その下の円グラフでございますが、全部休業の方の年齢構成となっておりまして「60歳以上」の方が59.7%となってございます。
3ページ目をお開きいただければと存じます。
こちらは、在籍出向と産業雇用安定助成金の特例のデータになってございます。
左側の表でございますが「産業雇用安定センターによる在籍型出向の成立実績」についてでございます。
令和6年度に引き続きまして、令和7年度9月末の実績におきましても、石川県内につきましては、全国と比較しても、出向成立実績の前年同期比の増加率が高くなっている状況でございます。
また、右側の表につきましては、産業雇用安定助成金の災害特例コースの計画認定の実績の推移となっております。
令和7年1月、2月につきましては、制度が始まったばかりということで、活用実績がございませんでしたが、3月から実績が出てまいりまして、以降、9月までの間に11事業所、また、出向者数は98人ということで推移しているところでございます。
その下の円グラフにつきましては、出向者の年齢層となっておりまして、こちらは「40~50代」が54.5%と一番多くなっておりまして、次に「20~30代」が27.3%となっているところでございます。
4ページ目でございます。
ここからは、雇用調整助成金の特例の利用実態などにつきまして、石川県と厚労省が共同で本年6~7月に行いましたアンケート調査結果の概要の御説明となっております。
調査方法といたしましては、ウェブアンケートと郵送による調査票の配布・回収でございます。
また、調査対象としましては、雇調金の令和7年新特例の対象となっている186の事業所と、当該事業所に雇用されている労働者でございます。
有効回答数につきましては、事業所は、186の事業所に配布して、有効回答数が162。
労働者は、事業所から労働者に周知いただきまして、有効回答数は244名、回答は事業所を通さず直接送っていただく形となってございます。
5ページ目をお開きいただければと思います。
まず、事業主の産業別・地域別の事業所数、休業の状況についてでございます。
左側の円グラフにつきましては、回答事業所の産業別の割合となってございます。
産業別に見ますと「製造業」が25.3%と最も多く、次に「宿泊業、飲食サービス業」が17.3%「卸売業、小売業」が15.4%と続いてございます。
右側は、対象となっている地域の地域別の活用事業所数と労働者の休業の状況でございます。
新特例の対象は、9つの市町の事業所でございますが、うち七尾市について、事業所数、休業者数ともに最も多くなっておりまして、全部休業者の約9割が七尾市の事業所となってございます。
七尾市につきましては、皆様御承知のとおり、地震によりまして七尾湾の護岸が崩壊いたしまして、海沿いに立ち並ぶ和倉温泉旅館が甚大な被害を受けられたと承知しております。
能登半島の観光拠点でありますことから、護岸工事など、国が支援を行い、復旧に向けた取組が行われておりますが、客室数の多い大型旅館が多く、工事も大規模になることから、復旧・営業再開までに多くの期間を要する見通しであると承知しておりまして、雇調金を活用する事業所数、労働者数ともに多くなっているものと承知しております。
6ページ目をお開きください。
事業主のアンケートの回答時点における、出向に係る取組状況についてでございます。
左側のグラフでございますが「事業再開の目安と出向に係る取組状況」でございます。
青が出向に係る取組を行っている事業所、赤が行っていない事業所となってございます。
全体的に取組を行っていない事業所が少し多くなっているところでございますが、令和7年中、直近にも事業を再開するような事業所については、取組を行っていないところが特に多くなっております。
また、再開目安が不明の事業所についても多くなっているところでございます。
一方、令和9年以降再開見込みの事業所につきましては、取組を行っている数が多くなっているところでございます。
その下のグラフにつきましては「出向に係る取組を行っていない」と回答した事業所に対して、その理由を聞いたものとなっております。
最も多いのが「全部休業ではなく部分休業なので出向の調整が難しい」でありまして、82.4%を占めているところでございます。
次に「出向後に労働者が戻ってくるか不安」が13.5%。
また「出向対象の労働者から理解が得られない、労働者の希望に添った出向先が見つからない」が12.2%となっているところでございます。
次に、右側のグラフでございます。
こちらは、出向に係る取組を行っている事業所に聞いたものでございます。
出向に係る取組の内容でございますが、最も多いのが「出向に係るあっせんを行う機関に登録・相談している」が60%。
次に「事業所内で協議・調整を行っている」が49%。
また「令和7年1月以降、労働者を出向させた」が29%となってございます。
その下のグラフでございますが、今御説明いたしましたあっせん機関への登録とか、事業所内での協議や調整といった取組を行っているにもかかわらず、出向に結びついていない事業所につきまして、その取組が出向に結びつかない要因について回答していただいたものでございます。
一番多いのが「条件にマッチする候補先企業が少ない」が57%。
「出向に向けて事業所内での協議・調整が進んでいない」が29%。
「出向対象の労働者から理解が得られない」が21%となっているところでございます。
7ページをお開きいただければと存じます。
こちらにつきましては、出向の影響、産業別の休業の状況でございますが、一番上のグラフは、出向に取り組んだ事業所に、出向してどのような影響があったか、聞いたものでございます。
「良い影響があった」が84.6%ということで、非常に高くなっているところでございます。
その下のグラフでございますが、その具体的な影響につきまして、複数回答でございますが「事業所における休業手当、賃金等の経済的負担が減った」が76.9%。
また「労働者のスキル・モチベーションを維持できた」が69.2%と高くなっているところでございます。
一番下のグラフでございますが、こちらは、従業員の休業の状況ごとにどのような産業が多いのかを表したグラフとなっております。
全部休業の従業員が属している産業につきましては「宿泊業、飲食サービス業」が70.9%。
次に「運輸業」が18.6%となっておりますが、その下の部分休業、休業していない従業員が多く属する産業について見てみますと「宿泊業、飲食サービス業」につきましても、36.1%、31.6%と、引き続き多くなっておりますが「製造業」につきましても、それぞれ約3割。
また「建設業」がそれぞれ約1割近くとなっております。
全部休業に「宿泊業、飲食サービス業」が多いのは、先ほど申し上げたように、七尾市の和倉温泉旅館などにおいて、建物が壊れて、復旧に時間がかかっていることがあるのではないかと考えております。
8ページをお開きいただければと存じます。
ここからは、労働者アンケートとなっております。
左側の円グラフでございますが、アンケートに回答いただきました労働者の年齢層になっております。
「60代以上」が34%「50代」が33.6%「40代」が15.6%となっておりまして、中高年の割合が多くなっているかと存じます。
右側のグラフでございますが、休業者が困っていることについて、全部休業者と部分休業者に分けてグラフを作っております。
「働くモチベーションが低下している」につきましては、全部休業者は56.5%、部分休業者の方は21.2%が困っていると回答されております。
また「働いている時より収入が低下した」につきましては、全部休業者の52.2%、部分休業者の21.9%の方が回答しているところでございます。
一方「特に困っていることはない」につきましては、全部休業の方は0%、部分休業者は43.8%となっているところでございます。
また、その下につきましては、早期復帰の希望について聞いておりますが、全部休業者は「早く復帰したい」が73.9%。
部分休業者は、38%となっているところでございます。
9ページをお開きいただければと存じます。
出向・休業状況に関する労働者へのアンケートでございますが、左側のグラフについては、出向していない労働者に対して、その理由を尋ねたものとなっております。
赤色が全部休業者、緑色が部分休業者となっております。
「会社から出向について特に話を聞いていない」と回答しておられますのは、全部休業者が9%に対しまして、部分休業者が30%と多くなっております。
一方「職種や業務内容が特殊なので出向先が見つからない」とか「日によって働く場所を変えたくない」につきましては、全部休業者のほうが部分休業者よりも割合が高くなっている状況でございます。
右側のグラフにつきましては、出向している労働者に対しまして「出向して良かったこと」を聞いているものでございます。
「新たな業務を経験できた」が70%。
また「新たな人脈を築けた」が48%と高くなっているところでございます。
下は、逆に「出向して困っていること」でございますが「慣れない業務を行っている」が43%。
「出向元の会社に戻れるか不安だ」が39%となっております。
以上、アンケート調査の概要でございます。
引き続き、10ページをお開きいただければと存じます。
こちらは、石川県、ハローワーク輪島所、ハローワーク七尾所管内の就業地別の有効求人倍率についてでございます。
青が全国平均、赤が石川県、緑がハローワーク輪島所、ピンクが七尾所管内になってございます。
令和6年1月に地震が発生いたしまして、石川県内の有効求人倍率は大きく落ち込んだところでございます。
その後、回復しようとしていたところで、また9月に豪雨が発生いたしまして、特に輪島所管内で再び落ち込んだところでございますが、その後、回復の傾向にあると見てとれるところでございます。
そして、直近の本年8月でございますが、輪島所管内につきましては2.3倍、七尾所管内につきましては1.83倍となってございまして、全国の1.2倍と比較いたしまして、有効求人倍率が非常に高くなっておりまして、被災地につきまして、人手不足の状況にあることが考えられるところでございます。
11ページをお開きいただければと存じます。
9月29日でございますが、石川県知事から厚生労働大臣に対しまして、今回の雇用調整助成金及び産業雇用安定助成金等につきまして、要望が行われたところでございまして、その要望事項の概要を記載した資料となってございます。
石川県からは、七尾市和倉温泉の状況なども踏まえて要望いただいておりますところ、その内容といたしましては、こちらに記載の大きく5点あるところでございます。
1点目は「モラルハザードを引き起こさない形での雇用調整助成金の特例措置の延長」。
2点目は「産業雇用安定助成金の特例措置の令和9年度までの支援期間の延長」。
3点目は「産業雇用安定助成金の特例措置の申請手続きの簡素化」。具体的には「添付書類の削減や記載項目の簡略化など」。
4点目は「産業雇用安定助成金の特例措置の交付要件の緩和」。具体的には「少ない日数や時間単位での出向等の部分出向の拡充など」。
5点目につきましては「県が市町と共に取り組む施策に対する支援」となってございます。
12ページ目をお開きください。
能登半島地震等に係る今後の雇用対策の在り方についての方針案を記載させていただいております。
これまで御説明してまいりましたデータ類、また、地元、石川県からいただきました御要望等を踏まえまして方針案を検討いたしまして、記載させていただいております。
「(1)雇用調整助成金能登半島地震豪雨・半島過疎臨時特例について」でございます。
雇調金の特例措置につきましては、対象地域における有効求人倍率が高いこと、アンケート結果による休業者の状況、休業の長期化は働く方の仕事への意欲やスキルの維持に影響を及ぼすおそれがあることなどを踏まえ、令和7年12月末をもって終了と書かせていただいております。
「(2)産業雇用安定助成金(災害特例人材確保支援コース)について」につきましては、1つ目、産業雇用安定助成金の特例措置につきましては、詳細については、次ページ以降、改めて御説明させていただきますが、部分出向に係る要件を緩和した上で、令和8年も実施すると記載しております。
2つ目の申請手続の簡素化につきましては、これまで石川県などから御要望を伺っておりまして、何ができるかについて早速検討いたしまして、本年10月1日付で実施済みとさせていただいたところでございます。
「(3)併せて講じる事項」についてでございますが、出向に移行される方々につきましては、(2)で御説明いたしました産業雇用安定助成金の特例コースによる支援などとなってございますが、高齢であったり、御事情があって出向を望まない方など、出向への移行が困難な方々に対しましては、1点目、求職者のニーズ等を踏まえたハローワークにおける職業訓練の受講あっせんなどを含みますきめ細かい再就職支援。
2点目、全部休業していた方は、先ほど御覧いただいたように、高齢者の方が多くなっているところでございますが、復興推進のための地域活動、例えば災害ごみの回収や介護、家事援助などのニーズが高いとお聞きしているところでございましたが、そういった地元でできる地域活動に対しまして、シルバー人材センターによる就業体験、技能講習等を通じた手厚いマッチング支援を行うこと。
3点目、石川県では、地震発生後、企業の雇用維持や仕事確保のサポートのため、ILAC能登が設置されているところでございますが、厚労省におきましては、地域活性化雇用創造プロジェクト事業を通じまして、ILAC能登で行う被災企業のニーズ把握や人材確保等の雇用創出の支援を行うこととしております。
こういった石川県をはじめ、地元自治体と連携しながら支援を行うとさせていただいているところでございます。
引き続き、(2)の産業雇用安定助成金の関係につきまして、13ページにつきまして、詳細を御説明させていただければと存じます。
○向山労働移動支援室長 労働移動支援室長の向山と申します。
私からは、産業雇用安定助成金の災害特例人材確保支援コースの今後の方針案について御説明申し上げます。
13ページの真ん中辺りの図を御覧いただきたいのですが、本コースにつきましては、令和7年1月からの雇用調整助成金の新たな特例と併せまして、在籍型出向を中心に雇用維持策を進めていくことといたしまして、1年間の特例措置として設けたものでございます。
その内容といたしましては、能登半島地震等の影響を受けました事業主が、在籍型出向により雇用の維持を図る場合に、出向元・出向先を問わず、支払った賃金の5分の4または3分の2を助成するものでございます。
具体的な見直しの内容は、資料の下の表を御覧いただきたいと思いますが、1番目の「支給対象期間の延長」についてでございます。
本助成金は、本年末で期限が到来するものでございますが、現在におきましても休業している方が一定数おられる中で、雇調金の特例が本年末で終了するという方針案を先ほど御説明いたしましたが、これを踏まえれば、来年もより一層、休業から出向への移行支援が必要になると考えておりますことから、この助成金の期限を令和8年12月31日まで1年間延長したいと考えております。
なお、石川県からは、令和9年度末までの延長の要望がございましたが、本助成金自体が本年1年間の特例として措置したものであることや、今般の雇用調整助成金の特例、コロナ禍での同じく在籍型出向の助成金なども1年間単位ということで措置してきたこともあり、今回についても1年間の延長を考えているところでございます。
2番目の「部分出向」についてでございます。
部分出向と申しますのは、御承知かと思いますが、労働者が1つの出向期間の間に、出向元と出向先の両方で勤務する形態をいうものでございます。
現在の部分出向に対する助成要件といたしましては、月の所定労働日数のうち、半分以上を出向先で勤務することを必要としております。例えば所定労働日数が週5日の会社であれば、そのうちの3日は出向先での勤務が必要というものでございます。
これまで石川県や能登の地元などとのやり取りの過程で、復興が進んで、少しずつ事業活動が再開されていく中で、出向元としては、フルタイムの仕事量の確保まではいかないけれども、例えば週1日などの短い期間を出向させたいという声や、反対に出向の受入先となり得る企業からは、毎日受け入れることは難しいけれども、短期間であれば受入れを検討するといった声などもお伺いしているところでございます。
こうした出向形態の新たなニーズが出てきていることもございまして、これに対応して、この助成金を使いやすくするという観点から、週1日以上の出向に対する助成を可能とするために、月の所定労働日数のうち半分以上という要件を5分の1以上に緩和したいと考えてございます。
また、部分出向に関しましては、時間単位の出向に対しても助成金の対象としてほしいという要望がございました。
時間単位と申しますのは、一日のうちの全ての時間ではなくて、例えば1日2時間や4時間など、一部の時間を出向先で勤務するようなものをいうわけでございますが、現行制度では、出向は一日単位となっておりますが、その一日に必要な労働時間を何時間以上と規定しているわけではございません。このため、一日の労働時間が短い場合であっても、一定の要件の下で助成対象となり得るものでございます。
この点につきましては、これまで明確化してこなかったところでございますので、今後作成するガイドブックやホームページなどで明確化を図ってまいりたいと考えております。
他方で、時間単位のもう一つの考え方といたしまして、例えば一日のうちで、午前中は出向元、午後は出向先というような、一日で2社をまたがるような形態も考えられるところでございますが、現行制度におきましては、これは助成の対象外となっております。
これにつきましては、在籍型出向といいます特殊な雇用関係の下におきまして、労働時間の通算とか移動時間はどちらにカウントするのか、賃金の支払いをどうするのか、あるいは労働災害が起こった場合はどちらの責任なのかのように、雇用管理責任の面で懸念があるためでございまして、ここを緩和して助成対象にするところまでは困難と考えておりますので、今回の見直し案には含めておりません。
3番目の「申請手続きの簡素化」でございますが、先ほども説明がございましたとおり、石川県や労働局などを通じまして状況をお伺いしつつ、その上で、できるものから速やかにという方針の下で、今月1日付で申請書類の項目の簡素化や、添付書類自体の削減、2回目以降の届出の簡略化といった簡素化を実施して、実行に移しているところでございます。
以上のような産業雇用安定助成金の見直し、延長を行いまして、能登地域の復興状況や雇用状況に応じた、より一層の休業から出向への移行を支援してまいりたいと考えております。
説明は以上でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
それでは、本件につきまして、御質問、御意見がございましたら、挙手または「手を挙げる」ボタンをクリックし、私が指名した後に、お名前を名のってから御発言いただきますよう、お願いいたします。
いかがでしょうか。
それでは、オンラインで新田委員、お願いいたします。
○新田委員 御指名ありがとうございます。
経団連の新田でございます。
丁寧な御説明、どうもありがとうございました。
石川県における雇用調整助成金や産業雇用安定助成金の活用状況、併せて地元の事業主、あるいは労働者の方々の実態を詳細に理解することができました。
加えて、石川県知事からの厚生労働大臣への要望は、こうした実態に基づいたものと認識しました。
事務方から御説明がございました今回の厚生労働省案を拝見いたしますと、雇用調整助成金の特例を終了する一方で、産業雇用安定助成金の特例は延長し、被災地の労働者の方々がスキルを維持しながら活躍できるよう支援していく内容であると受け止めておるところでございます。
したがいまして、今回の雇用調整助成金、産業雇用安定助成金の活用状況と地元の実態を踏まえた方針になっていると考えており、異論はございません。
今後につきましては、有効求人倍率が全国と比べれば非常に高いということで、能登地域の雇用情勢も十分に踏まえながら、ハローワーク等で再就職支援をさらに強化するなど、厚生労働省の施策を総動員しながら、雇用の面から復興支援に万全を期していただくよう要望いたします。
私からは以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで代理出席されています佐藤様、お願いいたします。
○佐藤代理 日本商工会議所の佐藤でございます。
まずもって、能登半島地域の雇用対策に当たっては、厚労省の皆様におかれましても現地を訪問されたと伺っております。現地の声を丁寧に酌み取りながら施策の検討をいただいていることに改めて感謝申し上げます。
先ほど御説明もありましたが、現地の商工会議所からも、旅館業をはじめ、多くの事業者が営業再開にさらに数年かかることが見通されると聞いております。
また、地域人口の減少、人材流出に悩む声が非常に多いと聞いてございます。
こうした中、特に七尾地域において、雇用調整助成金の特例措置の延長を望む声は多くございます。
事業再開後の人材確保に不安を抱えていることは十分に理解できますが、約2年の特例措置の継続の中、働く意欲の低下、スキル維持に不安を抱える労働者の意見があることを踏まえると、特例措置の終了は、日商としてもやむを得ないと受け止めております。
他方、地域の雇用を維持する上で、産業雇用安定助成金の特例措置の見直しを通じて、同制度の実効性を高めていくことは大変重要と考えます。期間の延長に加えまして、部分出向の緩和、手続書類の簡素化など、現場からも同様の要望を受けていることから、ぜひ進めていただきたいと思います。
産雇金の特例措置の延長期間につきまして、現時点では令和8年12月末までの1年間を御提示いただいておりますが、1年では事業再開の見通しが立たない事業者も多数いることから、複数年の延長を望む声もございます。事業者の中長期的な経営計画、雇用計画の策定のためにも、現地の状況を見極めながら、さらなる延長についても、できるだけ早いタイミングで御検討いただければ幸いです。
産雇金の活用に向けては、マッチングの強化も不可欠であると思います。産雇センターの体制強化、ハローワーク、あるいはシルバー人材センターなどとの連携により受入れ企業の拡大に取り組み、より一層の成約に御尽力いただきたいと存じます。
また、七尾市においては、市が主体となり、商工団体などと連携して、地元で新たな雇用を創出する事業を行う事業推進組合の立上げを検討していると伺っております。厚労省におかれましては、こうした取組に対しても全面的に支援・協力をいただきたいと思います。
最後に、今回御提示いただきました産雇金延長を含む支援策が施行される際には、不安を抱える現地の事業者に確実に届くように、丁寧に周知いただきますよう、お願い申し上げます。
商工会議所といたしましても、厚労省、支援機関の皆様と緊密に連携させていただき、現地の支援に引き続き尽力してまいります。
私からは以上でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
では、冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
現地の実態把握も含めた御報告をいただきまして、ありがとうございました。
石川県から雇調金の特例措置の延長などに関する要望がある一方で、今回取りまとめていただいた出向・休業状況に関するアンケート結果からは、休業による労働者のモチベーションの低下や早期復職を希望するような声があることを踏まえると、12ページで示されている今後の対応の方向性については、私どもも異論はございません。
雇調金に関する特例措置の終了に当たりましては、受給している事業者に対して、産業雇用安定助成金の活用促進なども含めた相談・支援などを実施していただき、それによって、被災地で働く労働者の雇用の安定が図られるようお願いしたいと思います。加えて、今回の見直しの内容についての周知徹底もお願いします。
また、(3)にございます再就職支援や雇用創出の支援などの「併せて講じる事項」も非常に重要と考えておりますので、職業訓練の実施も含めて、厚生労働省、石川県とで連携しながら復興に向けたきめ細やかな支援を講じていただくよう、お願いしたいと思います。
以上でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございます。
ほかに御質問、御意見はございませんでしょうか。
それでは、3名の委員から御意見がございましたが、事務局で何か御発言はありますか。
特によろしいですか。
では、お願いします。
○立石雇用開発企画課長 委員の皆様に御意見を頂戴しまして、ありがとうございました。
その中でも、雇用調整助成金の終了と産業雇用安定助成金の延長、要件の緩和につきましては、しっかりと石川労働局、石川県庁など地元の自治体と連携いたしまして、周知に努めてまいりたいと思っております。
また、12ページの「(3)併せて講じる事項」についても重要との御指摘を頂戴したところでございます。
ハローワークにおけるきめ細かい職業訓練の受講あっせんを含む再就職支援をしっかりとやってまいりたいと思っておりますし、私どもが持っております様々な施策を通じて地元の自治体と連携させていただきながら、きめ細かな支援をさせていただければと存じております。
また、佐藤様からありました七尾市の新たな事業につきましても、七尾市、また石川県などから御相談がございましたら、私どもが所管しております施策、ツールなども御紹介させていただきながら、できる限りの連携・協力をさせていただければと存じております。
以上でございます。
○阿部分科会長 もし委員から何か御発言がなければ、本議題につきましては、本日出た意見を踏まえて事務局に対応いただきたいということとさせていただきまして、この対応方針で進めていただきたいということにしたいと思いますが、そのような形でよろしいでしょうか。
(異議なし)
○阿部分科会長 ありがとうございます。
それでは、そのようにさせていただきたいと思います。
本日の議題はこれで以上となりますが、この際、委員から御発言があれば、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
特段ないようですので、本日の分科会はこれで終了したいと思います。
ありがとうございました。
○阿部分科会長 おはようございます。
定刻になりましたので、ただいまから第216回「労働政策審議会職業安定分科会」を開催いたします。
皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございます。
議事に先立ちまして、職業安定分科会に、新たに労働者代表委員として、日本郵政グループ労働組合書記長の千葉浩司委員が就任されましたので、御紹介いたします。
千葉委員、一言御挨拶をお願いいたします。
○千葉委員 皆さん、おはようございます。
このたび、前任の山田に代わりまして、職業安定分科会委員に御指名いただきました、日本郵政グループ労働組合の千葉と申します。
本日は、ウェブでの参加となります。
労政審は初めての経験となりますので、何分、不慣れなところもあろうかと思いますが、前任者同様、どうぞよろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 よろしくお願いいたします。
本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の黒澤委員、原昌登委員、
労働者代表の平山委員、
使用者代表の清田委員、久保委員、馬渡委員が御欠席と伺っております。
なお、清田委員の代理として、日本商工会議所産業政策第二部課長の佐藤様が代理出席されております。
また、事務局である職業安定局の幹部に異動がございましたので、御報告いたします。
古舘職業安定、労働市場政策担当審議官が就任しております。
○古舘審議官 古舘でございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 それでは、カメラの撮影はここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
(カメラ退室)
○阿部分科会長 本日の分科会は、Zoomによるオンラインと会場での開催となります。オンラインでの発言方法等につきましては、事前に事務局より送付しております「職業安定分科会の開催・参加方法について」に沿って操作いただきますよう、よろしくお願いいたします。
また、オンラインで御参加いただいている委員の皆様におかれましては、原則として、画面をオンにしていただくよう、お願いいたします。
初めに1点、事務局から御連絡があります。
○澁谷総務課長 事務局でございます。
参考資料1として、2025年度の年度目標に対します第1四半期の実績につきまして、机上に配付しておりますので、お知らせ申し上げます。
○阿部分科会長 それでは、議事に入りたいと思います。
議題1は「令和6年能登半島地震等後雇用調整助成金・産業雇用安定助成金の活用状況等及び今後の対応方針について」です。
では、まず、事務局から説明をお願いいたします。
○立石雇用開発企画課長 事務局でございます。
それでは、議題1につきまして、資料1に基づきまして御説明させていただきます。
1ページ目をお開きください。
能登半島特例の概要につきまして、制度の概要につきまして御説明させていただきます。
2のスキーム図を御覧いただければと存じます。
令和6年1月に地震が発災したことを受けまして、まず、雇用調整助成金の能登半島地震特例を実施いたしました。
当初、令和6年末までの予定の特例でございましたが、9月に豪雨災害が発生するという極めて特異な被災状況となったことから、豪雨被害の大きかったハローワーク輪島及び七尾の管内の9つの市町を対象といたしまして、令和7年から令和7年末まで新たな特例を実施することといたしまして、まずは在籍型出向支援のための産業雇用安定助成金の災害特例コースの新設。
さらに、在籍出向が困難な場合の支援といたしまして、雇用調整助成金の新特例を実施するとしたものでございます。
2ページ目をお開きください。
雇用調整助成金の特例措置の活用状況についてでございます。
まず、左側のグラフを御覧いただきますと、令和7年の新たな特例の対象であるハローワーク七尾・輪島管内での雇用調整助成金の特例措置を活用した事業所数の推移でございます。
令和6年1月の発災時が658の事業所、令和7年の新特例への切替えが186事業所ございましたが、令和7年1月以降もずっと、5月まで載せておりますが、減ってきておりまして、5月には140事業所ということで、発災当初の21%にまで減少してきております。
また、右側のグラフでございますが、雇調金の活用事業所における労働者の休業の状況別の割合でございます。
ほぼ全部休業の方が、右側の3割でございます。
ほかの一部休業の方は、残りの7割となってございます。
その下の円グラフでございますが、全部休業の方の年齢構成となっておりまして「60歳以上」の方が59.7%となってございます。
3ページ目をお開きいただければと存じます。
こちらは、在籍出向と産業雇用安定助成金の特例のデータになってございます。
左側の表でございますが「産業雇用安定センターによる在籍型出向の成立実績」についてでございます。
令和6年度に引き続きまして、令和7年度9月末の実績におきましても、石川県内につきましては、全国と比較しても、出向成立実績の前年同期比の増加率が高くなっている状況でございます。
また、右側の表につきましては、産業雇用安定助成金の災害特例コースの計画認定の実績の推移となっております。
令和7年1月、2月につきましては、制度が始まったばかりということで、活用実績がございませんでしたが、3月から実績が出てまいりまして、以降、9月までの間に11事業所、また、出向者数は98人ということで推移しているところでございます。
その下の円グラフにつきましては、出向者の年齢層となっておりまして、こちらは「40~50代」が54.5%と一番多くなっておりまして、次に「20~30代」が27.3%となっているところでございます。
4ページ目でございます。
ここからは、雇用調整助成金の特例の利用実態などにつきまして、石川県と厚労省が共同で本年6~7月に行いましたアンケート調査結果の概要の御説明となっております。
調査方法といたしましては、ウェブアンケートと郵送による調査票の配布・回収でございます。
また、調査対象としましては、雇調金の令和7年新特例の対象となっている186の事業所と、当該事業所に雇用されている労働者でございます。
有効回答数につきましては、事業所は、186の事業所に配布して、有効回答数が162。
労働者は、事業所から労働者に周知いただきまして、有効回答数は244名、回答は事業所を通さず直接送っていただく形となってございます。
5ページ目をお開きいただければと思います。
まず、事業主の産業別・地域別の事業所数、休業の状況についてでございます。
左側の円グラフにつきましては、回答事業所の産業別の割合となってございます。
産業別に見ますと「製造業」が25.3%と最も多く、次に「宿泊業、飲食サービス業」が17.3%「卸売業、小売業」が15.4%と続いてございます。
右側は、対象となっている地域の地域別の活用事業所数と労働者の休業の状況でございます。
新特例の対象は、9つの市町の事業所でございますが、うち七尾市について、事業所数、休業者数ともに最も多くなっておりまして、全部休業者の約9割が七尾市の事業所となってございます。
七尾市につきましては、皆様御承知のとおり、地震によりまして七尾湾の護岸が崩壊いたしまして、海沿いに立ち並ぶ和倉温泉旅館が甚大な被害を受けられたと承知しております。
能登半島の観光拠点でありますことから、護岸工事など、国が支援を行い、復旧に向けた取組が行われておりますが、客室数の多い大型旅館が多く、工事も大規模になることから、復旧・営業再開までに多くの期間を要する見通しであると承知しておりまして、雇調金を活用する事業所数、労働者数ともに多くなっているものと承知しております。
6ページ目をお開きください。
事業主のアンケートの回答時点における、出向に係る取組状況についてでございます。
左側のグラフでございますが「事業再開の目安と出向に係る取組状況」でございます。
青が出向に係る取組を行っている事業所、赤が行っていない事業所となってございます。
全体的に取組を行っていない事業所が少し多くなっているところでございますが、令和7年中、直近にも事業を再開するような事業所については、取組を行っていないところが特に多くなっております。
また、再開目安が不明の事業所についても多くなっているところでございます。
一方、令和9年以降再開見込みの事業所につきましては、取組を行っている数が多くなっているところでございます。
その下のグラフにつきましては「出向に係る取組を行っていない」と回答した事業所に対して、その理由を聞いたものとなっております。
最も多いのが「全部休業ではなく部分休業なので出向の調整が難しい」でありまして、82.4%を占めているところでございます。
次に「出向後に労働者が戻ってくるか不安」が13.5%。
また「出向対象の労働者から理解が得られない、労働者の希望に添った出向先が見つからない」が12.2%となっているところでございます。
次に、右側のグラフでございます。
こちらは、出向に係る取組を行っている事業所に聞いたものでございます。
出向に係る取組の内容でございますが、最も多いのが「出向に係るあっせんを行う機関に登録・相談している」が60%。
次に「事業所内で協議・調整を行っている」が49%。
また「令和7年1月以降、労働者を出向させた」が29%となってございます。
その下のグラフでございますが、今御説明いたしましたあっせん機関への登録とか、事業所内での協議や調整といった取組を行っているにもかかわらず、出向に結びついていない事業所につきまして、その取組が出向に結びつかない要因について回答していただいたものでございます。
一番多いのが「条件にマッチする候補先企業が少ない」が57%。
「出向に向けて事業所内での協議・調整が進んでいない」が29%。
「出向対象の労働者から理解が得られない」が21%となっているところでございます。
7ページをお開きいただければと存じます。
こちらにつきましては、出向の影響、産業別の休業の状況でございますが、一番上のグラフは、出向に取り組んだ事業所に、出向してどのような影響があったか、聞いたものでございます。
「良い影響があった」が84.6%ということで、非常に高くなっているところでございます。
その下のグラフでございますが、その具体的な影響につきまして、複数回答でございますが「事業所における休業手当、賃金等の経済的負担が減った」が76.9%。
また「労働者のスキル・モチベーションを維持できた」が69.2%と高くなっているところでございます。
一番下のグラフでございますが、こちらは、従業員の休業の状況ごとにどのような産業が多いのかを表したグラフとなっております。
全部休業の従業員が属している産業につきましては「宿泊業、飲食サービス業」が70.9%。
次に「運輸業」が18.6%となっておりますが、その下の部分休業、休業していない従業員が多く属する産業について見てみますと「宿泊業、飲食サービス業」につきましても、36.1%、31.6%と、引き続き多くなっておりますが「製造業」につきましても、それぞれ約3割。
また「建設業」がそれぞれ約1割近くとなっております。
全部休業に「宿泊業、飲食サービス業」が多いのは、先ほど申し上げたように、七尾市の和倉温泉旅館などにおいて、建物が壊れて、復旧に時間がかかっていることがあるのではないかと考えております。
8ページをお開きいただければと存じます。
ここからは、労働者アンケートとなっております。
左側の円グラフでございますが、アンケートに回答いただきました労働者の年齢層になっております。
「60代以上」が34%「50代」が33.6%「40代」が15.6%となっておりまして、中高年の割合が多くなっているかと存じます。
右側のグラフでございますが、休業者が困っていることについて、全部休業者と部分休業者に分けてグラフを作っております。
「働くモチベーションが低下している」につきましては、全部休業者は56.5%、部分休業者の方は21.2%が困っていると回答されております。
また「働いている時より収入が低下した」につきましては、全部休業者の52.2%、部分休業者の21.9%の方が回答しているところでございます。
一方「特に困っていることはない」につきましては、全部休業の方は0%、部分休業者は43.8%となっているところでございます。
また、その下につきましては、早期復帰の希望について聞いておりますが、全部休業者は「早く復帰したい」が73.9%。
部分休業者は、38%となっているところでございます。
9ページをお開きいただければと存じます。
出向・休業状況に関する労働者へのアンケートでございますが、左側のグラフについては、出向していない労働者に対して、その理由を尋ねたものとなっております。
赤色が全部休業者、緑色が部分休業者となっております。
「会社から出向について特に話を聞いていない」と回答しておられますのは、全部休業者が9%に対しまして、部分休業者が30%と多くなっております。
一方「職種や業務内容が特殊なので出向先が見つからない」とか「日によって働く場所を変えたくない」につきましては、全部休業者のほうが部分休業者よりも割合が高くなっている状況でございます。
右側のグラフにつきましては、出向している労働者に対しまして「出向して良かったこと」を聞いているものでございます。
「新たな業務を経験できた」が70%。
また「新たな人脈を築けた」が48%と高くなっているところでございます。
下は、逆に「出向して困っていること」でございますが「慣れない業務を行っている」が43%。
「出向元の会社に戻れるか不安だ」が39%となっております。
以上、アンケート調査の概要でございます。
引き続き、10ページをお開きいただければと存じます。
こちらは、石川県、ハローワーク輪島所、ハローワーク七尾所管内の就業地別の有効求人倍率についてでございます。
青が全国平均、赤が石川県、緑がハローワーク輪島所、ピンクが七尾所管内になってございます。
令和6年1月に地震が発生いたしまして、石川県内の有効求人倍率は大きく落ち込んだところでございます。
その後、回復しようとしていたところで、また9月に豪雨が発生いたしまして、特に輪島所管内で再び落ち込んだところでございますが、その後、回復の傾向にあると見てとれるところでございます。
そして、直近の本年8月でございますが、輪島所管内につきましては2.3倍、七尾所管内につきましては1.83倍となってございまして、全国の1.2倍と比較いたしまして、有効求人倍率が非常に高くなっておりまして、被災地につきまして、人手不足の状況にあることが考えられるところでございます。
11ページをお開きいただければと存じます。
9月29日でございますが、石川県知事から厚生労働大臣に対しまして、今回の雇用調整助成金及び産業雇用安定助成金等につきまして、要望が行われたところでございまして、その要望事項の概要を記載した資料となってございます。
石川県からは、七尾市和倉温泉の状況なども踏まえて要望いただいておりますところ、その内容といたしましては、こちらに記載の大きく5点あるところでございます。
1点目は「モラルハザードを引き起こさない形での雇用調整助成金の特例措置の延長」。
2点目は「産業雇用安定助成金の特例措置の令和9年度までの支援期間の延長」。
3点目は「産業雇用安定助成金の特例措置の申請手続きの簡素化」。具体的には「添付書類の削減や記載項目の簡略化など」。
4点目は「産業雇用安定助成金の特例措置の交付要件の緩和」。具体的には「少ない日数や時間単位での出向等の部分出向の拡充など」。
5点目につきましては「県が市町と共に取り組む施策に対する支援」となってございます。
12ページ目をお開きください。
能登半島地震等に係る今後の雇用対策の在り方についての方針案を記載させていただいております。
これまで御説明してまいりましたデータ類、また、地元、石川県からいただきました御要望等を踏まえまして方針案を検討いたしまして、記載させていただいております。
「(1)雇用調整助成金能登半島地震豪雨・半島過疎臨時特例について」でございます。
雇調金の特例措置につきましては、対象地域における有効求人倍率が高いこと、アンケート結果による休業者の状況、休業の長期化は働く方の仕事への意欲やスキルの維持に影響を及ぼすおそれがあることなどを踏まえ、令和7年12月末をもって終了と書かせていただいております。
「(2)産業雇用安定助成金(災害特例人材確保支援コース)について」につきましては、1つ目、産業雇用安定助成金の特例措置につきましては、詳細については、次ページ以降、改めて御説明させていただきますが、部分出向に係る要件を緩和した上で、令和8年も実施すると記載しております。
2つ目の申請手続の簡素化につきましては、これまで石川県などから御要望を伺っておりまして、何ができるかについて早速検討いたしまして、本年10月1日付で実施済みとさせていただいたところでございます。
「(3)併せて講じる事項」についてでございますが、出向に移行される方々につきましては、(2)で御説明いたしました産業雇用安定助成金の特例コースによる支援などとなってございますが、高齢であったり、御事情があって出向を望まない方など、出向への移行が困難な方々に対しましては、1点目、求職者のニーズ等を踏まえたハローワークにおける職業訓練の受講あっせんなどを含みますきめ細かい再就職支援。
2点目、全部休業していた方は、先ほど御覧いただいたように、高齢者の方が多くなっているところでございますが、復興推進のための地域活動、例えば災害ごみの回収や介護、家事援助などのニーズが高いとお聞きしているところでございましたが、そういった地元でできる地域活動に対しまして、シルバー人材センターによる就業体験、技能講習等を通じた手厚いマッチング支援を行うこと。
3点目、石川県では、地震発生後、企業の雇用維持や仕事確保のサポートのため、ILAC能登が設置されているところでございますが、厚労省におきましては、地域活性化雇用創造プロジェクト事業を通じまして、ILAC能登で行う被災企業のニーズ把握や人材確保等の雇用創出の支援を行うこととしております。
こういった石川県をはじめ、地元自治体と連携しながら支援を行うとさせていただいているところでございます。
引き続き、(2)の産業雇用安定助成金の関係につきまして、13ページにつきまして、詳細を御説明させていただければと存じます。
○向山労働移動支援室長 労働移動支援室長の向山と申します。
私からは、産業雇用安定助成金の災害特例人材確保支援コースの今後の方針案について御説明申し上げます。
13ページの真ん中辺りの図を御覧いただきたいのですが、本コースにつきましては、令和7年1月からの雇用調整助成金の新たな特例と併せまして、在籍型出向を中心に雇用維持策を進めていくことといたしまして、1年間の特例措置として設けたものでございます。
その内容といたしましては、能登半島地震等の影響を受けました事業主が、在籍型出向により雇用の維持を図る場合に、出向元・出向先を問わず、支払った賃金の5分の4または3分の2を助成するものでございます。
具体的な見直しの内容は、資料の下の表を御覧いただきたいと思いますが、1番目の「支給対象期間の延長」についてでございます。
本助成金は、本年末で期限が到来するものでございますが、現在におきましても休業している方が一定数おられる中で、雇調金の特例が本年末で終了するという方針案を先ほど御説明いたしましたが、これを踏まえれば、来年もより一層、休業から出向への移行支援が必要になると考えておりますことから、この助成金の期限を令和8年12月31日まで1年間延長したいと考えております。
なお、石川県からは、令和9年度末までの延長の要望がございましたが、本助成金自体が本年1年間の特例として措置したものであることや、今般の雇用調整助成金の特例、コロナ禍での同じく在籍型出向の助成金なども1年間単位ということで措置してきたこともあり、今回についても1年間の延長を考えているところでございます。
2番目の「部分出向」についてでございます。
部分出向と申しますのは、御承知かと思いますが、労働者が1つの出向期間の間に、出向元と出向先の両方で勤務する形態をいうものでございます。
現在の部分出向に対する助成要件といたしましては、月の所定労働日数のうち、半分以上を出向先で勤務することを必要としております。例えば所定労働日数が週5日の会社であれば、そのうちの3日は出向先での勤務が必要というものでございます。
これまで石川県や能登の地元などとのやり取りの過程で、復興が進んで、少しずつ事業活動が再開されていく中で、出向元としては、フルタイムの仕事量の確保まではいかないけれども、例えば週1日などの短い期間を出向させたいという声や、反対に出向の受入先となり得る企業からは、毎日受け入れることは難しいけれども、短期間であれば受入れを検討するといった声などもお伺いしているところでございます。
こうした出向形態の新たなニーズが出てきていることもございまして、これに対応して、この助成金を使いやすくするという観点から、週1日以上の出向に対する助成を可能とするために、月の所定労働日数のうち半分以上という要件を5分の1以上に緩和したいと考えてございます。
また、部分出向に関しましては、時間単位の出向に対しても助成金の対象としてほしいという要望がございました。
時間単位と申しますのは、一日のうちの全ての時間ではなくて、例えば1日2時間や4時間など、一部の時間を出向先で勤務するようなものをいうわけでございますが、現行制度では、出向は一日単位となっておりますが、その一日に必要な労働時間を何時間以上と規定しているわけではございません。このため、一日の労働時間が短い場合であっても、一定の要件の下で助成対象となり得るものでございます。
この点につきましては、これまで明確化してこなかったところでございますので、今後作成するガイドブックやホームページなどで明確化を図ってまいりたいと考えております。
他方で、時間単位のもう一つの考え方といたしまして、例えば一日のうちで、午前中は出向元、午後は出向先というような、一日で2社をまたがるような形態も考えられるところでございますが、現行制度におきましては、これは助成の対象外となっております。
これにつきましては、在籍型出向といいます特殊な雇用関係の下におきまして、労働時間の通算とか移動時間はどちらにカウントするのか、賃金の支払いをどうするのか、あるいは労働災害が起こった場合はどちらの責任なのかのように、雇用管理責任の面で懸念があるためでございまして、ここを緩和して助成対象にするところまでは困難と考えておりますので、今回の見直し案には含めておりません。
3番目の「申請手続きの簡素化」でございますが、先ほども説明がございましたとおり、石川県や労働局などを通じまして状況をお伺いしつつ、その上で、できるものから速やかにという方針の下で、今月1日付で申請書類の項目の簡素化や、添付書類自体の削減、2回目以降の届出の簡略化といった簡素化を実施して、実行に移しているところでございます。
以上のような産業雇用安定助成金の見直し、延長を行いまして、能登地域の復興状況や雇用状況に応じた、より一層の休業から出向への移行を支援してまいりたいと考えております。
説明は以上でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
それでは、本件につきまして、御質問、御意見がございましたら、挙手または「手を挙げる」ボタンをクリックし、私が指名した後に、お名前を名のってから御発言いただきますよう、お願いいたします。
いかがでしょうか。
それでは、オンラインで新田委員、お願いいたします。
○新田委員 御指名ありがとうございます。
経団連の新田でございます。
丁寧な御説明、どうもありがとうございました。
石川県における雇用調整助成金や産業雇用安定助成金の活用状況、併せて地元の事業主、あるいは労働者の方々の実態を詳細に理解することができました。
加えて、石川県知事からの厚生労働大臣への要望は、こうした実態に基づいたものと認識しました。
事務方から御説明がございました今回の厚生労働省案を拝見いたしますと、雇用調整助成金の特例を終了する一方で、産業雇用安定助成金の特例は延長し、被災地の労働者の方々がスキルを維持しながら活躍できるよう支援していく内容であると受け止めておるところでございます。
したがいまして、今回の雇用調整助成金、産業雇用安定助成金の活用状況と地元の実態を踏まえた方針になっていると考えており、異論はございません。
今後につきましては、有効求人倍率が全国と比べれば非常に高いということで、能登地域の雇用情勢も十分に踏まえながら、ハローワーク等で再就職支援をさらに強化するなど、厚生労働省の施策を総動員しながら、雇用の面から復興支援に万全を期していただくよう要望いたします。
私からは以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで代理出席されています佐藤様、お願いいたします。
○佐藤代理 日本商工会議所の佐藤でございます。
まずもって、能登半島地域の雇用対策に当たっては、厚労省の皆様におかれましても現地を訪問されたと伺っております。現地の声を丁寧に酌み取りながら施策の検討をいただいていることに改めて感謝申し上げます。
先ほど御説明もありましたが、現地の商工会議所からも、旅館業をはじめ、多くの事業者が営業再開にさらに数年かかることが見通されると聞いております。
また、地域人口の減少、人材流出に悩む声が非常に多いと聞いてございます。
こうした中、特に七尾地域において、雇用調整助成金の特例措置の延長を望む声は多くございます。
事業再開後の人材確保に不安を抱えていることは十分に理解できますが、約2年の特例措置の継続の中、働く意欲の低下、スキル維持に不安を抱える労働者の意見があることを踏まえると、特例措置の終了は、日商としてもやむを得ないと受け止めております。
他方、地域の雇用を維持する上で、産業雇用安定助成金の特例措置の見直しを通じて、同制度の実効性を高めていくことは大変重要と考えます。期間の延長に加えまして、部分出向の緩和、手続書類の簡素化など、現場からも同様の要望を受けていることから、ぜひ進めていただきたいと思います。
産雇金の特例措置の延長期間につきまして、現時点では令和8年12月末までの1年間を御提示いただいておりますが、1年では事業再開の見通しが立たない事業者も多数いることから、複数年の延長を望む声もございます。事業者の中長期的な経営計画、雇用計画の策定のためにも、現地の状況を見極めながら、さらなる延長についても、できるだけ早いタイミングで御検討いただければ幸いです。
産雇金の活用に向けては、マッチングの強化も不可欠であると思います。産雇センターの体制強化、ハローワーク、あるいはシルバー人材センターなどとの連携により受入れ企業の拡大に取り組み、より一層の成約に御尽力いただきたいと存じます。
また、七尾市においては、市が主体となり、商工団体などと連携して、地元で新たな雇用を創出する事業を行う事業推進組合の立上げを検討していると伺っております。厚労省におかれましては、こうした取組に対しても全面的に支援・協力をいただきたいと思います。
最後に、今回御提示いただきました産雇金延長を含む支援策が施行される際には、不安を抱える現地の事業者に確実に届くように、丁寧に周知いただきますよう、お願い申し上げます。
商工会議所といたしましても、厚労省、支援機関の皆様と緊密に連携させていただき、現地の支援に引き続き尽力してまいります。
私からは以上でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
では、冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
現地の実態把握も含めた御報告をいただきまして、ありがとうございました。
石川県から雇調金の特例措置の延長などに関する要望がある一方で、今回取りまとめていただいた出向・休業状況に関するアンケート結果からは、休業による労働者のモチベーションの低下や早期復職を希望するような声があることを踏まえると、12ページで示されている今後の対応の方向性については、私どもも異論はございません。
雇調金に関する特例措置の終了に当たりましては、受給している事業者に対して、産業雇用安定助成金の活用促進なども含めた相談・支援などを実施していただき、それによって、被災地で働く労働者の雇用の安定が図られるようお願いしたいと思います。加えて、今回の見直しの内容についての周知徹底もお願いします。
また、(3)にございます再就職支援や雇用創出の支援などの「併せて講じる事項」も非常に重要と考えておりますので、職業訓練の実施も含めて、厚生労働省、石川県とで連携しながら復興に向けたきめ細やかな支援を講じていただくよう、お願いしたいと思います。
以上でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございます。
ほかに御質問、御意見はございませんでしょうか。
それでは、3名の委員から御意見がございましたが、事務局で何か御発言はありますか。
特によろしいですか。
では、お願いします。
○立石雇用開発企画課長 委員の皆様に御意見を頂戴しまして、ありがとうございました。
その中でも、雇用調整助成金の終了と産業雇用安定助成金の延長、要件の緩和につきましては、しっかりと石川労働局、石川県庁など地元の自治体と連携いたしまして、周知に努めてまいりたいと思っております。
また、12ページの「(3)併せて講じる事項」についても重要との御指摘を頂戴したところでございます。
ハローワークにおけるきめ細かい職業訓練の受講あっせんを含む再就職支援をしっかりとやってまいりたいと思っておりますし、私どもが持っております様々な施策を通じて地元の自治体と連携させていただきながら、きめ細かな支援をさせていただければと存じております。
また、佐藤様からありました七尾市の新たな事業につきましても、七尾市、また石川県などから御相談がございましたら、私どもが所管しております施策、ツールなども御紹介させていただきながら、できる限りの連携・協力をさせていただければと存じております。
以上でございます。
○阿部分科会長 もし委員から何か御発言がなければ、本議題につきましては、本日出た意見を踏まえて事務局に対応いただきたいということとさせていただきまして、この対応方針で進めていただきたいということにしたいと思いますが、そのような形でよろしいでしょうか。
(異議なし)
○阿部分科会長 ありがとうございます。
それでは、そのようにさせていただきたいと思います。
本日の議題はこれで以上となりますが、この際、委員から御発言があれば、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
特段ないようですので、本日の分科会はこれで終了したいと思います。
ありがとうございました。

