第6回 特定技能制度及び育成就労制度の技能評価に関する専門家会議 議事要旨

日時:令和7年10月6日(月) 10:30~12:00
場所:Web会議
出席者:花山座長、堀座長代理、漆原委員、後藤委員、佐久間委員、武雄委員
厚生労働省人材開発統括官付海外人材育成担当参事官室、出入国在留管理庁政策課、外務省領事局外国人課、外国人技能実習機構
 
議題
(1)工業製品製造業分野(機械金属加工業務区分、電気電子機器組立て業務区分、金属表面処理業務区分、陶磁器製品製造業務区分、紡織製品製造業務区分、縫製業務区分、電線・ケーブル製造業務区分、プレハブ住宅製品製造業務区分、家具製造業務区分、定形・不定形耐火物製造業務区分、生コンクリート製造業務区分、ゴム製品製造業務区分、かばん製造業務区分)について
 
概要
 議題に示す業務区分で活用する特定技能評価試験、育成就労評価試験等について分野所管行政機関から説明があり、委員から主として以下のような意見があった。委員意見を踏まえて、各分野所管行政機関において試験の改善を検討することとなった。
 
【各分野共通事項】
○ 特定技能外国人や育成就労外国人が従事できる業務から危険な業務を除外する場合、個社にまかせるのではなく、分野所管行政機等の公的機関や分野別協議会により徹底させることや従事させない業務について公的な文書として公表する取組が必要ではないか。仮に特定技能外国人や育成就労外国人に危険な業務に従事させるのであれば、労働安全衛生に係る教育を十分に行った上で、その理解度を確認する等して、教育の結果・成果を担保することを分野所管行政機関が検討すべきではないか。
○ 特定技能評価試験の実技試験(製作等作業試験)を海外で実施できない理由として、試験実施のコストが高いことをあげることが多い。分野所管行政機関、業界団体の反発はあるかもしれないが、よりよい実技試験の導入を行っていただきたい。
○ 特定技能評価試験の学科試験と実技試験の差異を明確にしていただきたい。特定技能評価試験の実技試験をCBT方式でやらざるを得ないのであれば、例えば、映像や写真を用意して、正しい作業手順、危険箇所を判定させる問題、作業動画を途中で止めて次にとるべき行動を問う問題、提示した工程群の中から工程を並べかえ不要なものを除く問題、現場で起こりうるトラブル対応を問う問題などを出題してはどうか。製作等作業試験に比べてコストを下げられ、かつ、学科試験とは異なり、作業の理解や現場での判断能力を測ることができる。
○ 特定技能1号評価試験の合格証明書の有効期限について、10年を設定している試験が多い。特定技能1号として5年間在留でき、特定技能2号評価試験に不合格だった場合1年在留期間を延長できることを踏まえると、合格証明書の有効期限は5年、6年程度でよいのではないか。また、育成就労評価試験について合格証明書の有効期限を設けるのであれば、初級で3年、専門級で5年程度でよいのではないか。
 
【工業製品製造業分野に係る事項】
○ 特定技能評価試験の実技試験について、計画立案等作業試験を含めて行うよう改善するとの説明があったが、手を動かす試験(製作等作業試験)の実施を引き続き検討すべき。例えば、製造業では、異音、異臭などで危険を感じとる必要があり、画像で異常を判断するような判断等試験では不十分である。
○ 特定技能1号評価試験の実技試験は学科試験と同じに見えるCBT方式となっている。外国人材が即戦力となる技能を持っているか十分測られないのではないか。技能検定3級、育成就労評価試験専門級では製作等作業試験を実技試験として実施している。
○ 金属熱処理、溶接、陶磁器工業製品製造、タオル縫製、電線・ケーブル製造、定形・不定形耐火物製造、生コンクリート製造等に係る育成就労評価試験の合格証明書については、有効期限を設けないと試験実施要領に記載されている。有効期限を設けないのであれば、試験実施要領に記載する必要はない。なお、有効期限を設けないことも一案であると考える一方、育成就労評価試験が業界団体の資格ではなく、国家資格に該当するということであれば、有効期限を設けるべきとも考える。
○ 育成就労評価試験の合格証明書の有効期限について、ビーズ法発砲スチロール成形では、初級3年、専門級5年としている。また、プラスチック成形材料製造、紡績運転、織じゅうたん製造、下着類製造、自動車シート縫製、かばん製造は、いずれも5年、染色(捺染)は3年と有効期限を設定している。いずれもよいと考える。
 
【機械金属加工業務区分に係る事項】
○ 特定技能評価試験問題の中に学科試験問題のようにみえる実技試験問題が含まれており、学科試験と実技試験の区別がつかない。
○ アルミニウム圧延・押出製品製造に係る育成就労評価試験に相当する技能実習評価試験の合格率が高いため、難易度を調整すべきではないか。
 
【陶磁器製品製造業務区分に係る事項】
○ 育成就労外国人に素焼き、釉薬、本焼きに関与させないという分野所管行政機関の説明は理解するが、分野所管行政機関等の公的機関が周知し、徹底することが必要ではないか。また、育成就労期間中に教育、訓練を実施していない作業について、特定技能に移行後、外国人が従事することになった場合、労働安全衛生法上、安全衛生教育は義務付けられるが、労働者が不安全行動をしないことなど、当該作業に特化した労働安全衛生の技能を身につけることをどのように担保していくのか。
 
【紡織製品製造業務区分に係る事項】
○ 紡績運転に関する育成就労評価試験では、実技試験のうち、労働安全衛生に関する課題として、KYTシートを利用している。中央労働災害防止協会が作成している業種共通のものを使用しているのか、それとも、業界独自のものを試験実施機関が作成しているのか。業界内で統一的な内容とする一方、内容のマンネリ化を防止する取組が必要であると考える。
○ 紡織製品製造業務区分の染色(捺染)の育成就労評価試験問題の難易度は比較的妥当と考える。同一の業務区分内の他の育成就労評価試験との難易度を揃える必要があるのではないか。
 
【縫製業務区分に係る事項】
○ 特定技能1号評価試験について、学科試験と実技試験の問題の差がないように見える。
○ 自動車シート縫製の育成就労評価試験について、現行の技能実習評価試験では、会員と非会員で受検料に差があった。育成就労評価試験ではどのようにするのか。
 
【電線・ケーブル製造業務区分に係る事項】
○ 特定技能1号評価試験の実技試験について、次の作業を予測させる試験問題とすることはできないか。
○ 育成就労評価試験の試験基準のうち、労働安全衛生に関する試験範囲として「防具」という用語が使用されている。作業員に着用させるものを指すのであれば、「保護具」とすべきではないか。
 
【生コンクリート製造業務区分に係る事項】
○ 特定技能評価試験について、実技試験(製作等作業試験)の実施を検討すべき。
 
【ゴム製品製造業務区分に係る事項】
○ 特定技能1号評価試験の実技試験については、育成就労評価試験専門級のような現場作業に即した実技試験となっており、よいと考える。
 
【かばん製造業務区分に係る事項】
○ 育成就労評価試験専門級と特定技能1号評価試験の学科試験が同レベルのように見える。特定技能1号の外国人が育成就労外国人よりも技能レベルが高いのであれば、育成就労評価試験専門級よりも特定技能1号評価試験のレベルを上げるべき。育成就労評価試験専門級の実技試験では、試験監督者が作業手順と製品の仕上がりを評価している。一方、特定技能1号評価試験では手順のみを確認しているため、手順どおり業務できるのかは確認できるが、出荷可能な製品が製造できるかは確認できないのではないか。
 
(以上)