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第90回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会 議事録
日時
令和7年10月23日(木)10:00~12:00
場所
会議会場及び傍聴会場 厚生労働省共用第6会議室
(千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館3階)
出席者
【公益代表委員】
山本(眞)部会長、清水委員、高木委員、藤澤委員、山本(陽)委員
【労働者代表委員】
奥委員、奥山委員、木村委員、南部委員、長谷部委員
【使用者代表委員】
石井委員、佐藤委員、丸山委員、山田委員
【事務局】
田中雇用環境・均等局長、大隈大臣官房審議官(雇用環境、均等担当)、安達勤労者生活課長、折口勤労者生活課長補佐
山本(眞)部会長、清水委員、高木委員、藤澤委員、山本(陽)委員
【労働者代表委員】
奥委員、奥山委員、木村委員、南部委員、長谷部委員
【使用者代表委員】
石井委員、佐藤委員、丸山委員、山田委員
【事務局】
田中雇用環境・均等局長、大隈大臣官房審議官(雇用環境、均等担当)、安達勤労者生活課長、折口勤労者生活課長補佐
議題
(1)部会長及び部会長代理の選任
(2)中小企業退職金共済制度の現況及び令和6事業年度決算について
(3)その他
(2)中小企業退職金共済制度の現況及び令和6事業年度決算について
(3)その他
議事
- 議事内容
- ○安達勤労者生活課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、第90回「労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会」を開催いたします。
本年7月に着任いたしました、勤労者生活課長の安達と申します。よろしくお願いいたします。
本日は、委員の皆様の改選後、初めての部会でございますので、部会長が選出されるまでの間、私が議事進行役を務めさせていただきます。
本日の部会は、対面のほか、Zoomによるオンライン形式でも御出席いただいておりますので、開催に当たりまして、簡単に操作方法について御説明いたします。オンラインの方は、事前にお送りしております「会議の開催・参加方法について」も併せて御参照ください。
部会の進行中は、皆様のマイクをオフにしていただくようお願いいたします。また、御発言される場合には、会場内の皆様におかれては挙手を、オンライン参加の方は「手を挙げる」ボタンを押していただき、部会長から指名があった後に、マイクをオンにしていただき、お名前を名乗っていただいた上で御発言ください。御発言が終わりましたら、オフに戻してください。
なお、会議進行中に音声が途切れる等の通信トラブルが発生した場合は、事前にお知らせしております電話番号までお電話いただくか、Zoomのチャット機能を利用いただき、事務局まで御連絡ください。
また、本日は対面参加の方とオンライン参加の方と両方いらっしゃいます関係で、指名の順番については前後することがあるかと思います。なるべく挙手の順番となるように配慮したいと思いますが、その点、御了承いただければと思います。
それでは、本日はよろしくお願いいたします。
今回は委員改選後初の部会となりますので、委員の方々全員を御紹介させていただきます。
お手元の資料1として委員名簿をおつけしておりますので、こちらの名簿順に御紹介させていただきます。
まず、公益代表委員でございます。
学習院大学経済学部教授、清水順子委員。
敬愛大学経済学部教授、高木朋代委員。
早稲田大学大学院客員教授、藤澤陽介委員。
アルク法律事務所弁護士、山本眞弓委員。
名古屋市立大学大学院経済学研究科教授、山本陽子委員。
なお、清水委員と高木委員と藤澤委員と山本陽子委員につきましては、オンラインで御出席いただいております。
次に、労働者代表委員でございます。
JAM総務グループ副グループ長、奥千穂委員。
JAM組織グループ全国オルグ、奥山義彦委員。
奥山委員は、先日まで日本労働組合総連合会労働条件・中小地域対策局長でいらっしゃいました。
日本紙パルプ紙加工産業労働組合連合会中央執行委員長、木村丈博委員。
労働者福祉中央協議会事務局長、南部美智代委員。
全国建設労働組合総連合賃金対策部長、長谷部康幸委員。
なお、奥委員と木村委員につきましては、オンラインで御出席いただいております。
次に、使用者代表委員でございます。
社会保険労務士法人総合労務コンサルタント石井清香事務所代表、石井清香委員。
日本商工会議所産業政策第二部労働担当課長、佐藤弘太委員。
名古屋エアゾール株式会社取締役専務、丸山洋子委員。
一般社団法人日本経済団体連合会労働政策本部統括主幹、山田佑委員。
また、本日は御欠席ですが、一般社団法人福岡県建設業協会会長、松山孝義委員がいらっしゃいます。
丸山委員と山田委員につきましては、オンラインで御出席いただいております。
また、本日は、全委員の3分の2以上及び公労使委員の各3分の1以上の御出席を賜り、労働政策審議会令第9条の規定による開催に必要な定足数を満たしておりますことを御報告させていただきます。
続いて、事務局の紹介を行います。
雇用環境・均等局長の田中でございます。
なお、田中でございますけれども、所用のため、途中で中座させていただきますことをあらかじめ御容赦いただければと思います。
続きまして、大臣官房審議官の大隈でございます。
勤労者生活課長補佐の折口でございます。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
なお、頭撮りはここまでとさせていただきますので、カメラをお持ちの方は撮影を終了いただければと思います。
続きまして、議題1「部会長及び部会長代理の選任」に入ります。本日は、部会委員改選後初めての部会となりますので、部会長を選任する必要がございます。部会長についてですが、労働政策審議会令第7条第4項の規定により、部会に属する公益を代表する本審の委員から、当該部会に所属する本審の委員が選挙することとされております。
当部会におきまして、公益を代表する本審の委員でいらっしゃるのは山本眞弓委員となりますので、事前に事務局から御相談させていただいておりますが、山本眞弓委員に部会長をお願いさせていただきたいと考えております。皆様、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○安達勤労者生活課長 ありがとうございます。
それでは、以降の議事進行につきましては山本部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○山本(眞)部会長 ただいま、中小企業退職金共済部会長に選任いただきました山本と申します。よろしくお願いいたします。
次に、部会長代理の指名をさせていただきます。労働政策審議会令第7条第6項により、部会長代理は部会長が指名することになっておりますので、私から指名させていただきます。
高木委員にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。高木委員、よろしいでしょうか。
○高木委員 承りました。よろしくお願いいたします。
○山本(眞)部会長 よろしくお願いいたします。
それでは続いて、本日の議題に入ります。議題2「中小企業退職金共済制度の現況及び令和6事業年度決算について」に入ります。
事務局からまず説明をしていただいて、その後、委員の皆様から御意見等をいただければと思います。それでは、事務局、よろしくお願いいたします。
○安達勤労者生活課長 事務局でございます。
お手元にございます資料2を御覧いただければと思います。「中小企業退職金共済制度の現況」ということでございますが、まず、新規の加入状況というところでございます。左側が共済契約者(事業主)の数でございまして、右側が被共済者(従業員)の方ということになっております。
令和6年度のところが、15,165件というのが事業主の数でありまして、被共済者数(従業員)の数が453,644人ということになっております。この5年間で漸減傾向にあるところになりまして、特に数が多い一般・建設業においても同様の傾向になっているところでございます。
これにつきましては、この5年間で見ても、中小企業全体の数、またそれに雇用される従業員の数というのが減少傾向にあるという中で同様の傾向にあるというところが大きな要因かなと思っております。
下は在籍状況というところでございまして、同じように、一番下の令和6年の数字でございますけれども、557,279件というのが事業主数であり、被共済者数が5,701,889人とありまして、ともに前年より緩やかな減少ということで、この5年間で見ると概ね横ばいという状況になっております。
新規加入状況については、母数全体が減っていく中で数が減っているというところではございますが、依然として、中退共制度に入っておられない事業主の方、被共済者の方が多くいらっしゃいます。今月、加入促進強化月間というものを実施していますが、こうした加入促進の取組もしっかりと行ってまいりたいと考えているところでございます。
続きまして2ページの退職金等支給状況でございます。同じように、令和6年度の数字が欄の一番下となっておりまして、支給件数、約36万件となっており、支給総額等含め前年度と比べてやや増加となっているところでございます。
これに関連して、(注2)に書いてありますけれども、平均掛金納付月数、いわゆる在籍期間につきまして、中小企業退職金共済制度は概ね10年程度が平均在籍期間とされておりますけれども、一般の中退共が129月、建退共が110月、清退共が149月、林退共が130月となっておりまして、この数年間で見るとやや期間が伸びているというところでございます。
こうした平均掛金納付月数(在籍期間)の伸びが、支給件数の増加、支給総額の増加に多少効いているかというところも含めて、内容については今後よく分析していきたいと考えております。
3ページでございます。一般の中小企業退職金共済制度については、5千円から3万円までの間で事業主の掛金月額を選択できるとなっておりますけれども、平均の掛金の月数をご覧いただくと、令和6年度が9,772円ということで、この5年間で見てもやや増加しているというところで、これも在籍の共済者の方の年齢が相対的に上がっているのではないか、先ほど申し上げた在籍期間が伸びていることも含めて影響も考えられるところでございますけれども、ここも今後よく分析していきたいと思っているところでございます。
下段が運用資産残高でございますけれども、特に一般の中退共・建退共は運用資産が多い状況になりますけれども、前年度よりは減っているものの、この数年間で見ると漸増の傾向が続いているという状況でございます。
続きまして、運用状況の御説明でございます。4ページでございます。まず、一般の中退共で、この運用については、まず令和4年度に財政検証が行われて、それに基づいて今の計画的な資産運用が行われているというところでございますけれども、令和6年度末の数字が一番右で、委託運用の数字が、下から2つ目でございます。こちらの数値は運用会社に運用を委託している資産でございまして、様々なものの運用をお願いしながら運用しているところですが、その委託運用の利回りがマイナス2.09%になっているということもあり、自家運用も合わせた合計の利回りがマイナス0.75%ということで、前年から一転してマイナスが立っている状況でございます。
これに関して、この間の経済状況を御説明するために、参考資料2というものをお手元に置いていただければと思います。
参考資料2は主な経済指標を時系列で整理させていただいているものでございますけれども、例えば、一番左の日経平均の数字で見ますと、令和6年の4月は約3万8,400円で来ていたところ、令和7年の3月は約3万5,600円と下がっているところでございまして、こうした点がマイナスとなっている主な要因と考えております。
このときに何があったかということになりますと、世界的にいわゆるトランプ関税の問題というのが結構大きな話題になったタイミングでありまして、世界的に株価が大きく下がっていたという状況もあり、全体としてはこういう状況になったというところでございます。
なお、令和7年に入って株式市場については急速に値を戻しているということで、こちらに令和7年の9月の数字が続いておりますが、約4万4,900円となり、今朝、数字を見たところ、4万8,000円台になっているところでございますので、令和7年度の値についてはかなり持ち直しが見られるのではないかと考えております。
また、10年国債の利回りでございますけれども、こちらも昨今大きく状況が変わっておりまして、令和6年の4月が0.870%という水準だったものが、最近、利回りが大きく上昇しておりまして、令和7年の3月時点で1.485%、9月時点で1.645%となっております。
1つ飛んで円ドルの話でありますけれども、為替もこの間非常に大きく変動しておりまして、足元で申しますと150円を超える水準になっているところでございます。
このように足元の金融環境が非常に大きく変化しているところでございますけれども、独立行政法人勤労者退職金共済機構においてはそうした金融環境の変化に応じて適切に資産運用を行うという観点から、専門家からなる資産運用委員会を組織し、議論を行っております。
この間の議論の様子を議事要旨という形で参考資料3を配付させていただいておりますが、この議事要旨で見てお分かりになるとおり、足元の環境に応じて専門家から様々な御審議をいただいているところでございますけれども、こういう環境でございますので、引き続きしっかりと運用についても取り組んでいただければと思っているところでございます。
資料2の4ページに戻りまして、令和6年度末の利回りがマイナス0.75%となっておりますが、この財政検証の期間トータルで見ますと、令和4年度末がマイナス0.68%で、昨年度がマイナス0.75%となっており、令和5年度末がプラス4.50%ということで大幅なプラスになっているところでもありますので、財政検証期間全体で見ると、運用状況については大きな問題はないものと考えているところでございます。
5ページが建退共でございますが、近年、運用については合同で運用しているというところもあり、傾向は一般の中退共と同様でございます。建退共の給付の経理で申しますと、上の欄の委託運用の利回りというところがマイナス2.22%となっており、自家運用との合計の利回りがマイナス0.49%。中小企業の方以外の方を対象に行っている事業に係る、いわゆる特別給付計については下の欄でまとめさせていただいているところでございます。
6ページの清退共でございますが、委託運用の利回りがマイナス2.37%で、自家運用との合計の利回りがマイナス0.48%という結果になっているところでございます。
続いて7ページの林退共でございますけれども、同様に委託運用の利回りがマイナス2.37%になっているというところで、自家運用との合計の利回りはマイナス0.86%という結果になっているところでございます。
以上、運用状況でございました。
続きまして、今度は令和6年度の独立行政法人勤務者退職金共済機構における決算の概要を御説明させていただきたいと思います。
参考資料1の方に貸借対照表をつけておりますけれども、基本的に資料3にあります要旨で御説明させていただきたいと思います。
まず、全体の数字を冒頭につけておりますけれども、各事業に先ほどと同様の説明をさせていただきたいと思っておりますので、2ページを御覧いただければと思います。
まず、一般の中小企業退職金共済事業勘定でございますけれども、ページ中央付近に資産のところがございます。ここの利益剰余金というところをご覧いただければと思いますけれども、前中期目標期間の積立金というのが約4,485億円ということになりまして、昨年度の損失分というのが約872億円と、マイナスが立っているところでございます。
それを踏まえて利益剰余金というのが右側にありますけれども、約5,517億円となっております。
この一般の中退共については、令和4年度の財政検証において、目標の積立金を5,400億円ということで設定して取り組んできているところ、今の足元の段階で既にこの約5,500億円ということで達成しているところでもあり、財政状況としては特段の問題はないのではないかと考えているところでございます。
3ページは、建退共でございます。こちらにつきましても同様に、昨年度でございますけれども、約136億円のマイナスが立っておりますけれども、6年度末における利益剰余金としては約880億円という状況になっているところであります。
続きまして清退共でございます。清酒製造業の退職金共済につきましては、ここは過去からの積立金が非常に多いという特性を持つ勘定でございますけれども、同様に、足元の剰余金が約26億円となっているということで、こちらについても財政状況については特段の問題はないものと考えておるところでございます。
続きまして林退共でございます。この林退共については、かねてこの部会においても御指摘いただいたとおり、財政状況が非常に厳しいという中で様々な議論がなされてきたところでございます。
令和5年度末にいわゆる累積の欠損金が水面下から浮かんだということで、約1億1,000万円のプラスが立ったところでございますけれども、先ほどより申し上げている運用環境により、令和6年度末における当期の損失が2億5,000万円余りあったというところであり、年度末については、繰り越しの欠損金が約1億5,000万円となっているという状況でございます。
なお、令和7年度については、現在、運用の途上でございますけれども、今のところ、令和6年度よりも運用としてはプラスの環境で推移しているところでございます。
6ページ、こちらは御参考でございますけれども、この勤労者退職金共済機構の決算が確定するまでの流れでございます。これについては、独立行政法人通則法第38条第1項に基づいて、事業年度の終了後3か月以内に主務大臣に提出し承認を得る、となっているところ、本年度でございますけれども、本年6月30日に財務諸表を提出いただき、7月16日に財務諸表を承認する通知をしたところでございます。
御説明が長くなり恐縮ですけれども、事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○山本(眞)部会長 ただいま事務局から議題2について説明がありましたが、御質問や御意見がございましたら、挙手にてお知らせください。オンライン参加の方は「手を挙げる」ボタンを押していただければと思います。私の方から指名させていただきますので、オンラインの方はマイクをオンにしていただき、お名前を名乗ってから御発言を、ここにいる委員の皆様も指名をさせていただきますので、マイクをオンにしていただき、お名前を名乗っていただき、御発言をお願いいたします。それでは、よろしくお願いいたします。
それでは、オンラインで参加していただいている高木委員、お願いいたします。
○高木委員 ありがとうございます。高木です。
先ほど御説明いただいた内容について確認したいことが1点と、あと、私の方からコメント1点ということになります。
1点目ですが、委託運用における利回りにマイナスが出ているということですけれども、これは運用の方法が間違っていたということではなくて、世の中的な金融市場の状況によってこのようなマイナスが出たと思ってよろしいでしょうか。
あともう1点が、林退共の件です。これは私がこの部会に参加した当初から、加入者数の減少であるとか、財政の状況であるとかが問題になっていました。長きにわたってこの部会で見てきたのですけれども、何か大きな手を打たない限り、なかなか改善ということが今後見られないのではないかと考えています。
ですので、これは少し積極的な踏み込んだ改革、制度改革であるとか、全体の変革というものが必要とされていると考えています。ただ、どういった手を打つかということについては、私もまだ特にアイデアがないのですけれども、この辺りについて真剣に今後検討いただければと考えている次第です。よろしくお願いいたします。
○山本(眞)部会長 ありがとうございます。それでは、事務局から今の2点について御回答をお願いいたします。
○安達勤労者生活課長 ありがとうございます。まず、御質問の1点目でございます。この制度の運用については、いわば効率的かつ安全に運用するという中で、中期的な期間を見通して運用を行うということで、先ほど申しましたとおり、株式等を通じた運用等を行うということも含めてやっておりますので、短期的にはマイナスが出るということはあり得るところでございます。
一般的なベースとなるような指数と比べて特に勤労者退職金共済機構の運用がまずかったということではありませんけれども、先ほど申し上げたような金融環境の変化の中で、昨年度はマイナスが立っているという状況にあると認識しております。
ただし、この金融環境というのは時々刻々と変化するものでございますので、これも先ほど少し申し上げましたけれども、勤労者退職金共済機構においては、資産運用委員会等、専門家の知見も活用いただきながら、その時々の運用をどうするかというところについてはしっかり検討の上で行っていると認識しておりますので、厚生労働省としてもその部分についてはしっかりチェックをさせていただくとともに、もし部会の中で何かコメントがあれば、勤労者退職金共済機構の方にもしっかり伝えさせていただこうと思っております。こちらが1点目でございます。
2点目の林退共の加入のあり方についてというところでございます。まさに高木委員に先ほどおっしゃっていただいたとおり、かねて林退共については非常に状況が厳しいという中で、これも長年、この部会において、そのあり方について御指摘、御意見等をいただき、また、この制度の中でも、典型的に申し上げますと、例えば運用利回りを下げて財政再建に取り組むとか、加入促進に取り組むということで、今も繰越欠損金はある状況ではございますけれども、実はこれは10年、15年のスパンで見ると、この欠損金というのは減ってきている状況にあることは間違いないというところではございます。
ただし、加入者が減ってきているという中で、この林退共制度をそもそも制度としてどうするかというところについては、昨年度の部会の御報告の中でも、制度のあり方についてしっかりと検討することという意見を取りまとめていただいたという中で、現在、業界の皆様を中心に、この制度のあり方について検討がなされているところと承知しているところでございます。
その中で、具体的に制度の見直しも含めてご意見をいただいた場合には、またこの部会にも御報告をさせていただきながら今後議論を進めていくということで、まさに高木委員におっしゃっていただいたように、この林退共制度を巡る環境が厳しい中で、抜本的な制度のあり方の見直しというところも含めて検討がなされていくものと承知しております。その検討においては、厚生労働省としても関係者としっかりと協力をさせていただきながら対応させていただきたいと考えております。
以上です。
○山本(眞)部会長 高木委員、よろしいでしょうか。
○高木委員 はい。ありがとうございます。了解いたしました。引き続きよろしくお願いいたします。
○山本(眞)部会長 ありがとうございます。それでは、続いてオンラインで御参加いただいている清水委員、お願いいたします。
○清水委員 学習院大学の清水です。よろしくお願いいたします。
私も、運用のところで御質問というか、お願いがございます。この数年、株式市場が上昇し、欠損金が減ってきたというのはとても良い傾向にあると思います。委託運用でまとめて運用しているという成果が出ているのだと思っております。
一方で、特に令和6年度末で一般の中退共の資産額の自家運用のところの国債の運用の構成費が30%であり、その利回りが0.69%と低いです。最近は金利も上がってきておりまして、国債の表面利率も1.7%近辺までは来ております。国債が満期保有だということで価格の下落は気にしないといった御意見もございますが、昨今、物価上昇率が2.5~3%とかなり高くなっているということに鑑みますと、この国債の1%台の表面利率での運用というのは実質的にはマイナスになってしまいます。
これも何回も申し上げているのですが、同じ時期のGPIFの運用を見ますと、2024年で3.99%という利回りになっています。もちろん、考え方とかサイズなどが違うといった御意見もございますが、運用の方々の御意見の中に、ぜひそういった物価上昇率も鑑みた上で、より利回りが高くなるような運用というものも御検討いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○山本(眞)部会長 ありがとうございます。それでは、その点について事務局の方から回答をお願いします。
○安達勤労者生活課長 ありがとうございます。これもまさに清水委員におっしゃっていただいたように、足元の運用環境、非常に大きく変わっているという中で、その中でどう対応するのかというのは非常に重要な課題だと思っております。まず、清水委員よりいただいた今の御指摘についてしっかりと、勤労者退職金共済機構、また資産運用委員会にも伝えるようにしていきたいというところが1点でございます。
もう1点、これは御案内のとおりだと思いますけれども、中小企業退職金共済制度については、先ほど申し上げたとおり、平均在籍期間が約10年というところもあり、いわゆる運用の期間というのも、そういう退職金の特性に合った運用をするという必要もあります。そのような面で申し上げますと、GPIFと必ずしも同じ部分と同じでない部分というのは峻別して議論しなければいけないというのは清水委員の御案内のとおりです。
そういう中で、まさに物価の話、国債の利回りの話、また、先ほど申し上げた株式市場を巡る動向、また、ドル円等、為替市場を巡る動向、様々な状況の変化がありますので、そういうところも含めてしっかりと議論がなされるよう、繰り返しとなりますけれども、勤労者退職金共済機構及び資産運用委員会の方に私の方からも伝えるようにしていきたいと思います。ありがとうございます。
○清水委員 どうぞよろしくお願いいたします。
○山本(眞)部会長 ありがとうございます。ほかに御意見、御質問ある方、いらっしゃいますか。
長谷部委員、お願いします。
○長谷部委員 全建総連の長谷部と申します。建退共制度に関しまして発言をさせていただきたいと思います。
建退共制度では、本年4月から9月にかけまして建退共制度検討会議を開催し、今後の建退共制度のあり方等につきまして検討会としての報告書がまとめられました。建設技能労働者、一人親方等の処遇改善等のためには、技能や経験等に応じてより充実した退職金を受給することができるようにすることが重要とされ、他産業と比較して遜色ない、魅力ある退職金制度として、最低でも退職金1,000万円超を目指すことが示されました。
そのために、複数掛金制度の導入、また、本日資料4でお示しいただいておりますけれども、建設キャリアアップシステム、CCUSと連携した電子ポイント方式の積極的な活用、建退共の掛金についても確保すべき必要経費として、下請と元請が見積書に明記するように位置づけること、民間工事における建退共の掛金についても、元請による納付の一括代行を推進すること、また、住宅分野での普及促進、CCUS登録技能者向けスマートフォンアプリ、建キャリの活用による見える化や加入者データの共同利用によるワンストップ化、外国人労働者に対する建退共制度の周知徹底及び加入推奨の強化、勧奨の強化など進めていくとしています。
所管の厚労省におかれましても、建退共制度検討会での論議、報告書に基づきまして、魅力ある退職金制度として、最低でも退職金1,000万円超を実現していくための施策の推進、制度の安定的な運用、また、特退共制度全般の改善等につきまして引き続きの御検討を、本部会を中心に論議頂きますようよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○山本(眞)部会長 ありがとうございます。それでは、今の点について事務局よりコメントをお願いいたします。
○安達勤労者生活課長 ありがとうございます。建設業の退職金共済制度については、これも昨年度の財政検証の中で、資産の状況等を踏まえて、予定運用利回りの引上げというのをまず行うという話がありまして、これについては、今、実現すべく調整しているところでございます。
あわせて、この建設業の退職金共済制度を、より魅力のある制度とするために、制度のあり方について検討するという話になっており、その点も踏まえまして、先ほど長谷部委員からお話いただいたとおり、業界の関係者で精力的に検討を行い、様々な取組に関する提言がなされたというところでありまして、まず、この点について敬意を表したいと思います。
この中で、例えば制度を実際に実施している勤労者退職金共済機構において取り組む事項でもありますけれども、それ以外に、例えば掛金の複数化等々、制度の見直しが必要なものの御意見についてもいただいているものと承っております。
そうした部分については、様々な課題を整理の上、一定の整理ができた段階で、またこの部会において御審議等いただきながら、どういう形で対応するのが良いか、真摯に検討していければと考えております。
いずれにせよ、昨年度の部会において、意見書を踏まえて様々な業界において検討がなされているところ、承知しておりますので、その意見も踏まえながら、制度の安定性、制度の魅力を高める様々な角度から取り得るべき対策をしっかりと行ってまいりたいと思います。ありがとうございます。
○山本(眞)部会長 それでは、オンラインで御参加いただいている丸山委員、よろしくお願いいたします。
○丸山委員 初めまして、今回から参加させていただきます丸山です。
御質問させていただきます。新規加入の状況について、令和元年度より減少傾向が続いております。特に令和6年度は前年比と比較して減少度が大きいかなというお話を伺いました。要因としては、先ほどお話された企業数減少以外に何か考えられることはありますでしょうか。
また、加入者側の立場として、安定的な制度維持のために新規加入の促進には引き続き力を入れて取り組んでいただきたいと思っております。
御回答の方、よろしくお願いいたします。
○山本(眞)部会長 それでは、今の御質問について事務局より回答をお願いいたします。
○安達勤労者生活課長 御質問ありがとうございます。率直に申し上げますと、昨年度だけというよりも、経年的に減っているという中で、新規加入についてこういう数字になっていると思っておるところでございますけれども、ただ、これをもう母数全体が減っているからしようがないというのではなく、先ほど少し触れましたけれども、いわゆる中小企業の労働者の方で、まだこの中小企業退職金共済制度について知らないがために、知っていれば入ったのにと思っている方が結構いるのではないかと我々も思っているところでございます。
今月がまさに加入促進強化月間なので、こういう機会を活かして、加入促進、また制度の魅力を高めて入っていただくために、場合によっては様々な関係省庁とも協力をさせていただきながらしっかりと取り組んでいきたいと思っておりますので、今後とも御協力、また御示唆あればいただければと思います。ありがとうございます。
○山本(眞)部会長 丸山委員、よろしいでしょうか。
○丸山委員 はい。ありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。
○山本(眞)部会長 ほかに御意見、御質問ある方、いらっしゃいますか。
よろしいですか。
それでは、本件については以上にさせていただきたいと思います。
続きまして、議題3「その他」につきましても事務局から説明をお願いして、同じように御意見があればいただきたいと思います。事務局の方、よろしくお願いいたします。
○安達勤労者生活課長 「その他」ということで、本日、資料4というものを準備させていただいております。建退共制度においては、特定業種の退職金共済制度でございますので、もともと手帳に証紙を貼るという方式がとられてきたわけですけれども、事業主の皆様、被共済者の皆様の利便性等々の観点から、電子化を様々な面で進めていこうということで、特定業種退職金共済の中でも規模の大きい建設業の中で、業界の皆様を巻き込みながら、この電子化を進めてきたところでございます。この10月に電子化の関連で様々なリニューアルを行ったということでございますので、その御報告でございます。
大きく3点ありまして、まず1点目でございますけれども、1ページめくっていただき、「電子申請システムのリニューアルについて」ということでまとめてありますけれども、建設業退職金共済制度の電子申請専用サイトを新画面に見直しまして、今まで、建設業退職金共済制度の様々な手続の中で、数種類の手続しかオンライン申請ができなかったのですけれども、このリニューアルによって、全ての手続においてオンライン申請が可能になったというところでございます。それを可能にするために、電子申請専用サイトを見直させていただいたというところでございます。
また、このシステムを活用して、いわゆる掛金を電子ポイントという形で購入いただいておりましたが、これが今まで、就労実績の報告ツール、電子申請専用サイト、要は2つのシステムを活用しながら登録をしていた状況の中で、このシステムが煩雑であるだとか、この就労実績を報告するときには、建設業の特性ですけれども、元請、下請の構造がある中で、元請と下請のやり取りや確認に時間を要するというお声があったというところも踏まえて、専用サイトで一本化して、そのサイト内で全ての手続が完結し、元請や下請もリアルタイムでそれぞれの作業の状況を確認できるように見直しをさせていただいたというところでございます。
3点目ですけれども、今、建設業の現場では、CCUS、建設キャリアアップシステムというものの導入が進んでおりまして、そこで現場などに入った労働者の記録をカード等で記録するといったシステムがあるわけですけれども、このシステムと電子申請の連携というのを強化することによって、申請の際の手続を簡素化するというような取組を行ったところでございます。
こうした様々なリニューアルを行ったということで、さらにこの電子ポイント方式の普及を図るために、今年の10月から来年の3月末までの時限的な取組ですけれども、退職金のポイント還元キャンペーンというものを行っておりまして、この期間に退職金ポイントを購入いただいた共済契約者に対して、購入した退職金ポイントの2~5%のポイント還元を行っているところでございます。
1ページおめくりいただいたところが、先ほど申し上げたものの中の電子申請専用サイトの新しい画面のイメージとなっておりまして、一つの画面で手続ができ、また、スマホでも見やすいようなものになっているところでございます。
もう1ページおめくりいただきますと、CCUSとの連携というところでございますけれども、技能労働者の方が、工事現場においてカードをタッチ又は顔認証をすることにより、就業情報が建設キャリアアップシステムに記録される仕組みになっている中で、この記録を使いながら、建退共に自動連携することで掛金納付の手続の簡素化を図るというものでございます。
3ページの左下にございますが、建退共の方では、いわゆる掛金の積立状況というのをスマホで見られるようにしております。これで掛金の積立状況とか退職金の見込額をスマホで確認ができるということも現在進めていまして、このように退職金が幾らもらえるという見込みが立てば、より建退共に入りやすい、続けやすいということもあろうかと思いますので、こういう形の取組を進めながら、かねてこの部会でも御指摘いただいている電子化の推進を進めて、事業主の方にとっても労働者の方にとっても手続が簡便となるような取組を、勤労者退職金共済機構や国土交通省等とも連携しながら進めていきたいと考えております。
事務局からの説明は以上でございます。
○山本(眞)部会長 ありがとうございます。今の御報告について、御意見や御質問ありましたらお願いいたします。先ほどと同様に御質問や御意見がございましたら、挙手にてお知らせください。オンライン参加の方は「手を挙げる」ボタンを押していただければと思います。
高木委員、よろしくお願いします。
○高木委員 ありがとうございます。建退共で電子申請システムを進めるという件についてですが、建設産業関係においては様々なものについて電子化を進めるという議論はかなり前から行われておりまして、私は以前、国土交通省の建設産業政策会議に出ていたのですけれども、ここで議論されたのが2016年でした。今後10年間にわたる建設産業の様々な取組について議論するという会議だったのですが、その中で既に、例えば就業実績を正確に把握するために電子化を進めるということが議論されており、導入と適切な運用について検討が進められておりました。
2016年に議論されて進められていたことを考えると、実際にこの電子申請システムが稼働し始めるのにこれだけのタイムラグが生じるのだということを改めて知ったわけでございます。ですから、何を申し上げたいかというと、電子化され、利用者がきちんと使いこなせるツールとなれば、様々な利点があると思うのですけれども、なかなか時間がかかるのだなということを改めて実感した次第なのです。大変だとは思うのですが、速やかにこういった、加入者の方たちやこの業界の利益になることは積極的にスピードを上げて進めていただきたいと改めて思いましたので、意見させていただきました。恐れ入ります。
○山本(眞)部会長 ありがとうございます。そのような時間経過だったということは知りませんでしたが、事務局からコメントしていただきます。
○安達勤労者生活課長 ありがとうございます。この前の電子申請なり就業履歴の確認との連携というのは一定今でも、この前からあったわけですけれども、今、多分2つのことをおっしゃられたと思っておりまして、まず1つは、現場でこういう電子化に向けた取組が浸透するには結構時間がかかるというのはおっしゃるとおりでございます。これは国土交通省ともよくお話しておりますが、この現場に関わる皆様と粘り強く話しながら導入を図っていくということになるわけですけれども、拙速にすぐできるというわけにはなかなかいかず、現場の理解も得ながら進めなければいけないので大変なところではありますけれども、導入いただいたところからはやはり便利だという声も聞くところもありますので、そこはしっかりとやっていきたいというところが1つでございます。
もう1つは、このシステムを導入いただくと、導入いただいた後に、もっと使いやすくしてくれという声を多数いただきます。ですから、そういういただいた声を踏まえて、大規模なリニューアルというのをさせていただいたというのが今回でございますけれども、こういう形で、要はシステムを入れて終わりというのではなく、導入いただいた後も、様々なお声を今後もまた色々なステークホルダーの皆様からいただくことがあろうかと思っておりますので、このお声を踏まえて関係者と連携しながら、さらに使いやすい制度に変えていく、また、せっかくこのようにリニューアルをしたので、今後、これを機にさらに普及を進めていくというところにも取り組んでいきたいと考えております。
今日は長谷部委員も来ていただいておりますけれども、様々な関係者のお声を聞きながら取り組んでいきたいと思っております。ありがとうございます。
○高木委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○山本(眞)部会長 ありがとうございました。ほかにどなたか御意見等ありますでしょうか。
よろしいでしょうか。
大丈夫そうですので、それでは、「その他」の議題も終了させていただきます。
それでは、本日の予定はこれで終わりとなりますが、何か特別に御発言いただきたいことがあるようでしたらぜひお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
では奥山委員、お願いいたします。
○奥山委員 奥山でございます。今日はありがとうございました。
この度、私ごとでありますけれども、連合から異動しまして、同じ組織が2人のメンバーになってしまうことになりますので、今回で最後ということでございます。2年間本当にお世話になりましたので、また連合からも新しい人間が来ますので、また引き続きどうぞよろしくお願いしたいと思います。お世話になりました。
○山本(眞)部会長 様々御協力いただきまして本当にありがとうございます。引き続き、いろいろ御意見があればぜひ寄せていただければと思いますので、お願いいたします。
あと、よろしいでしょうか。
最後に事務局よりご連絡がございます。
○安達勤労者生活課長 ありがとうございます。次回の部会の日程でございますけれども、また改めて御案内させていただきますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○山本(眞)部会長 それでは、本日の部会はこれで終了とさせていただきます。ありがとうございました。



