第99回 厚生科学審議会感染症部会 議事録

日時

  • 令和7年10月22日(水)9:30~12:00

場所

航空会館ビジネスフォーラム(5階)

議題

  1. (1)後天性免疫不全症候群及び性感染症に関する特定感染症予防指針の改正について
  2. (2)急性呼吸器感染症(ARI)に関する特定感染症予防指針について
  3. (3)匿名感染症関連情報における新たな連結先について
  4. (4)危機対応医薬品等(MCM)の利用可能性確保に関する検討について(報告)
  5. (5)AMR対策における抗菌薬分類の活用について(報告)
  6. (6)抗微生物薬適正使用の手引き第4版について(報告)
  7. (7)風しんの排除認定について(報告)

議事

○小谷エイズ対策推進室長 ただいまから、第99回「厚生科学審議会感染症部会」を開催します。
 構成員の皆様方におかれましては、御多忙にもかかわらず、御出席いただき誠にありがとうございます。
 本日議事進行を務めさせていただきます、感染症対策部感染症対策課の小谷と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の議事は公開となります。また、これまでと同様、議事の様子をユーチューブで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。なお、事務局で用意しておりますユーチューブ撮影用以外のカメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
 また、傍聴の方は「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
 本日は、ウェブ会議で開催することとしております。ウェブ会議を開催するに当たり、会議の進め方について御連絡させていただきます。
 御発言される場合は、まず、挙手機能を用いて挙手していただくか、チャットに発言される旨のコメントを記載していただき、部会長から御指名されてから御発言をお願いいたします。なお、ウェブ会議ですのでタイムラグが生じますが、御了承願います。
 会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、あらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
 続きまして、委員の出欠状況について御報告いたします。
 御出席の委員につきましては、通信の確認も踏まえて、委員のお名前をこちらから申し上げますので、一言お返事をいただければと思います。
 五十音順で、今村委員。
○今村委員 今村です。よろしくお願いします。
○小谷エイズ対策推進室長 大曲委員。
○大曲委員 大曲です。よろしくお願いします。
○小谷エイズ対策推進室長 越田委員。
○越田委員 越田です。おはようございます。よろしくお願いします。
○小谷エイズ対策推進室長 小西委員。
○小西委員 小西でございます。よろしくお願いいたします。
○小谷エイズ対策推進室長 坂本委員。
○坂本委員 坂本です。よろしくお願いいたします。
○小谷エイズ対策推進室長 笹本委員。
○笹本委員 笹本です。よろしくお願いいたします。
○小谷エイズ対策推進室長 四宮委員。
○四宮委員 四宮です。よろしくお願いいたします。
○小谷エイズ対策推進室長 白井委員。
○白井委員 白井です。よろしくお願いします。
○小谷エイズ対策推進室長 島田委員。
○島田委員 島田です。よろしくお願いいたします。
○小谷エイズ対策推進室長 戸部委員。
○戸部委員 戸部です。よろしくお願いいたします。
○小谷エイズ対策推進室長 成田委員。
○成田委員 成田です。よろしくお願いいたします。
○小谷エイズ対策推進室長 藤田委員。
○藤田委員 藤田です。よろしくお願いします。
○小谷エイズ対策推進室長 三﨑委員。
○三﨑委員 三﨑です。よろしくお願いいたします。
○小谷エイズ対策推進室長 森川委員。
○森川委員 森川です。よろしくお願いします。
○小谷エイズ対策推進室長 四柳委員。
○四柳委員 四柳です。よろしくお願いいたします。
○小谷エイズ対策推進室長 脇田委員。
○脇田部会長 脇田です。よろしくお願いします。
○小谷エイズ対策推進室長 皆様、よろしくお願いいたします。
 なお、土井委員、原委員、宮﨑委員、森田委員から御欠席の連絡をいただいております。
 また、本日は参考人として、国立健康危機管理研究機構より俣野様、齋藤様の御参加をいただいております。
 俣野様、よろしくお願いいたします。
 齋藤様、よろしくお願いいたします。
 以上、現在、感染症部会委員20名のうち16名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令に基づき、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。なお、これ以降は写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので御留意ください。
 それでは、議事に入る前に資料の確認をさせていただきます。本日は非常に議題が多くなっておりますので、資料のほうも若干、画面投映は割愛させていただきます。議事次第、委員名簿、座席図、資料1~6、参考資料1~2-5となります。もし不備等がございましたら、事務局にお申し出ください。
 それでは、ここからの進行は脇田部会長にお願いいたします。
○脇田部会長 それでは、今日も感染症部会、どうぞよろしくお願いします。
 先ほど御紹介ありましたけれども、今日は議題が7つということで、非常に多くなっています。時間は2時間半取っていますけれども、どうぞ、円滑な会議の進行に御協力をよろしくお願いいたします。
 早速、議事に入ってまいります。議事次第を御覧ください。
 まず「(1)後天性免疫不全症候群及び性感染症に関する特定感染症予防指針の改正について」、それから、併せて議題の「(2)急性呼吸器感染症(ARI)に関する特定感染症予防指針について」について、まとめて審議をしてまいります。資料1について、事務局から説明をしていただきます。よろしくお願いします。
○小谷エイズ対策推進室長 事務局でございます。議題(1)及び(2)の特定感染症予防指針案について、まとめて御説明させていただきます。
 資料1については、諮問書と付議書、別紙として3指針の案を用意しております。
 後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針、性感染症に関する特定感染症予防指針、急性呼吸器感染症に関する特定感染症予防指針の3指針については、過去2回の感染症部会において御議論いただき、方針について御了承いただいたところでございます。また、これまでいただいた御意見を勘案し、必要に応じて指針案に反映してきております。本日は、これらの交付のための手続として、感染症部会に諮問いたします。
 なお、簡単ではございますが、改正内容について御説明いたします。
 後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針については、基本的人権のさらなる尊重や複合的な対策の記載といった改正を行い、HIV流行終息に向けて、国連エイズ合同計画(UNAIDS)にて掲げている「偏見・差別、新規感染者、エイズ関連死をなくす」ことを念頭に、将来的にはケアカスケードにおける95-95-95目標の達成を目指して、取り組むべき各種施策の方向性をお示ししております。
 性感染症に関する特定感染症予防指針については、梅毒報告数の増加等を踏まえ、指針の対象者の拡大、ハイリスク層についての記載、実態把握の強化等の改正を行っております。
 急性呼吸器感染症に関する特定感染症予防指針については、4月よりARIサーベイランスを開始したことなどに踏まえ、インフルエンザ予防指針を廃止し、ARI全体を対象として、関係者が取り組むべき包括的な対策を整理しております。
 事務局からの説明は以上となります。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 ただいま御説明がありましたけれども、この特定感染症予防指針の改正については、これまでも議論をしてまいりました。それで、委員の皆様からも御意見をいただいて、それも織り込んで修正をしていただいて、今回、諮問があったということになりますので、答申をしたいということになろうかと思います。
 それで、今回、御意見をまた伺っていきたいと思いますので、委員の皆様から御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
 先ほど御説明があったとおり、性感染症に関する特定感染症予防指針、後天性免疫不全症候群(HIV/AIDS)に関する特定感染症予防指針、それから、急性呼吸器感染症(ARI)に関する特定感染症予防指針というところで、様々、御意見をいただいて、既にそれは修正をしていただいているというところで、かなり御意見をいただいたところですが、今回、諮問がありまして、そして、この感染症部会として答申をするということになりますが、いかがでしょうか。
 越田委員、お願いします。
 ミュートになっているようです。
○越田委員 失礼いたしました。
 3つの予防指針の作成と改定、ありがとうございました。改めて読み込ませていただきました。
 まず、性感染症に関する特定感染症予防指針につきましては、保健所の役割・立ち位置が明確にされて、プレコンセプションケアや学習指導要領までも踏み込んだ記載の上に、地域や家庭と連動した普及啓発に努める趣旨が明確にされています。保健所を中心とした自治体からのボトムアップの対応が期待されているのではないかと思いました。
 しかしながら、あえて申し上げるとすれば、義務教育の段階からの子供たちへの性感染症に対する正しい啓発、また、教育現場でのHPVワクチンの接種や接種勧奨を、この指針を後ろ盾に、教育関係者の御理解の下に、今後とも進めてまいりたいと思っております。
 2点目、後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針に関しましては、検査の外部委託、郵送検査の提言もなされています。これらの御提言は検査への戸惑いのない手法であって、早期把握の観点から否定的ではありません。
 しかし、検査前の不安、検査判明後の落ち込みに寄り添う、ぬくもりのある専門職の介入。こういったものは大きな役割を果たしているのではないかと思っております。コーディネーターさんや保健師等がどの段階で、どのように関与するかの検討は今後必要ではないかと思います。
 急性呼吸器感染症に関する特定感染症予防指針案には多くのパブリックコメントがあったようで、お送りいただいた概要を拝見いたしました。くみせねばならない御意見もたくさんあったと思いましたが、パンデミックになり得る疾患群としてしっかりと、かつ一般の方々にも分かりやすく定義を提示した上で、このような包括的な予防指針は絶対必要であると私は思っております。
 また、疾患の範囲が広く、好発年齢、重症度も様々ですので、特に学校保健法との関係とワクチン接種による予防ができるか否かについては丁寧な解釈と説明が必要かと思いました。
 以上、意見を述べさせていただきました。
○脇田部会長 越田委員、ありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。取りあえず、大丈夫ですか。
 今、越田委員から3つの指針に対する御意見をいただきました。大きな修正という意見ではないと思いますけれども、事務局から何かレスポンスありますか。
○小谷エイズ対策推進室長 ありがとうございます。
 越田委員のほうから、STI、HIV、ARI、それぞれについて、必要な要素が盛り込まれているが、基本的にはこれでつくって終わりではなくて、継続的に政策を進めていきながらフォローアップしていくものであるという御指摘だと認識しておりますので、引き続き、皆様方との議論を進めながら、我々としての施策を進めていけたらと思っております。よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。
 今村委員、お願いいたします。
○今村委員 今村です。改定の報告、どうもありがとうございました。後天性免疫不全症候群及び性感染症に関する特定感染症予防指針の改定に関しては、かなり丁寧な議論が繰り返されていましたので、こちらとして全く異論はございません。
 今回、間にパンデミックもあったということもあり、5年での改定ではなくて、さらに機関が延びてしまいました。これからも背景は変化していくので、次回のときも議論を重ねて、時代に合わせた変更をやっていけばいいのかなと思っております。
 それに加えて、急性呼吸器感染症(ARI)に関しては、今回初めて作成するものですので、今後、どのようにこの中身をブラッシュアップしていけばいいのか。専門的ないろいろな解釈あるいは反省を基に、中身を変えていく必要はあると思うのです。しっかり今後も議論を行いながら、より良いものに修正していく必要があるかなと思っております。
 以上です。
○脇田部会長 今村委員、ありがとうございました。
 それでは、続けて、白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。ありがとうございます。
 私も、この改定までにかなり時間を要したということで、今村委員と同じように、パンデミックの影響もあったかとは思いますが、それ以前からの課題が次の5年を待たなくてもやはり検証していただきたいなと思いますし、性感染症に関しても、梅毒の動向というものは毎年、状況を把握する必要があるかなと思っておりますので、次の改定に向けても遅れのないようにということでお願いしたいと思います。
 よろしくお願いします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 そのほかは大丈夫ですか。
 今村委員、白井委員からも、次の5年後の検証を待たずに、必要なところはさらに議論を進めていただきたいという話がありました。事務局から何かございますか。
○小谷エイズ対策推進室長 御意見ありがとうございます。
 基本的に、いずれの疾患もサーベイランスを基調としながら、必要な条件を踏まえつつ、社会的環境もどんどん変わってきておりますので、その中で、タイミングを逃さずに検討したりだとか、5年という特定の縛りに、基本は5年単位だと認識しておりますけれども、必要に応じて検討を進めていくということは我々として必要だと考えておりますので、引き続き連携させていただければと思います。
 よろしくお願いたします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 いかがでしょうか。さらに御意見ございますでしょうか。
 追加の御意見、コメント等ございませんようでしたら、この件は既に2回の議論を経て、そして今回、諮問・答申ということであります。今日いただいた御意見も、今回の改定についてはおおむね異論はないということだったと思います。
 ただ、感染症という性格上、社会の背景等が変わっていけば、当然、感染症の実態というものも変わってくることが十分あり得るということですので、そういった点も踏まえながら、今後、さらに議論あるいは検証ということを進めてほしいといった委員の皆様の御意見だったと思います。
 今回、資料1にございますような諮問書が出ておりますので、当部会としましては、これは妥当とお認めをして、厚生科学審議会から厚生労働大臣に答申をするということにしたいと思いますが、委員の皆様、お認めいただけますでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○脇田部会長 おおむね、皆様から首肯していただいたと思いますので、そのようにさせていただきたいと思います。事務局におかれましては、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 それでは、次の議事に参りたいと思います。
 議題の「(3)匿名感染症関連情報における新たな連結先について」ということでございます。資料2を御覧ください。こちらは事務局から御説明いただきます。よろしくお願いします。
○大塚感染症情報管理室長 事務局の大塚より御説明させていただきます。本日は、匿名感染症関連情報における新たな連結先について御審議いただきたく思います。
 投映のほう、どうでしょうか。資料2をお願いします。
 まず、2ページ目から御説明さしあげます。
 令和6年4月1日に開始された匿名感染症関連情報、iDBデータの第三者提供は、厚生労働省が感染症法に基づき、医師の届出に関して国が報告を受けた内容などについて、個人の特定ができない形で匿名化した情報を、医療分野の研究開発、適正な保健医療サービスの提供に資する施策の企画及び立案に関する調査等に利用する目的で、大学や研究機関等へ提供を行う仕組みです。現時点で格納されている感染症は新型コロナウイルス感染症のみです。
 情報の提供に当たっては、本部会に設置した「匿名感染症関連情報の第三者提供に関する小委員会」において専門的観点から、審査を年4回実施しております。
 次に、3ページ目に移ります。
 匿名感染症関連情報の第三者提供の仕組みを開始する前に設けられた「匿名感染症関連情報の第三者提供に関する有識者会議」の提言において、iDBの連結先については「制度開始当初は、具体的なニーズが確認されているNDB・DPCDB・介護DB・予防接種DBといった立法趣旨に応えられる公的DBが連結先候補として考えられる」とされていたところです。そのため、施行後は、まだ整備されていない予防接種DBを除いた、NDB・DPCDB・介護DBとの連結を行ってまいりました。また、同提言において「連結先の拡大の際には、具体的なニーズを把握したうえで、個別に検討すべき」とされていたところです。
 下の表は現在のiDBと公的DBとの連結状況をお示ししたものであり、赤枠になっている部分、障害福祉DB、難病DB、小慢DB、次世代DBに関しては、現在、連結先になってはおりません。
 おめくりいただいて、4ページ目に移ります。
 本日は、新たな連結先として、障害福祉DBと難病DB・小慢DB及び次世代DBを追加することについて御審議いただきたく存じます。今般、障害福祉DBと難病DB・小慢DBについて連結解析を可能とする体制が整備されることを踏まえまして、これらのDBを新たな連結先として加えてはどうかと考えております。また、次世代DBにおいては第三者提供の実績が上がっていること、また、NDB等の公的DBとの連結も可能となっていることを踏まえ、次世代DBについても新たな連結先として加えてはどうかと考えております。なお、他の公的DBにおいても、これらのDBを新たな連結先とする方向で検討が進められております。
 本日、委員の皆様に御承諾いただける場合には、来年のiDB小委員会にて審査を開始する予定でございます。
 次に、5ページ目に移ります。続いて、こちらは審査体制についてでございます。
 障害福祉DB、難病DB・小慢DB及び次世代DBとの連結が可能となっても、これまでどおり、各DBにひもづく全ての委員会や小委員会において審査を行います。連結を予定するDBの全ての委員会や小委員会において承諾された場合にデータが提供されることとなります。
 なお、本方針についても、9月11日に開催されたiDB小委員会においても御審議いただいており、御了承いただいております。
 6ページ目から17ページ目につきましては、参考資料となります。障害福祉DB、難病DB・小慢DB及び次世代DBに格納されている項目、また、連結を可能とするに当たり必要な感染症法施行規則の改正箇所等についてお示ししております。
 御説明は以上でございます。
○脇田部会長 御説明ありがとうございました。
 匿名感染症関連情報データベース(iDB)、感染症データベースと呼ばせていただきますけれども、そこの連結先のデータベースとして、既にNDBとか介護DB、そして、DPCDBというものがありますが、それに加えて、そのほかの、今、御紹介いただいたデータベースにも連結をしてはどうかというところで、小委員会で議論をしていただいた内容についての議論をこちらの部会でもしていくということでございます。
 それでは、今回は障害福祉サービスデータベース、難病データベース、そして、小慢DB。これが小児慢性特定疾病児童等データベースというところへの連結。そして、次世代データベースというところであります。
 皆様、御意見ございましたらお願いをいたします。
 こういった新しい連結先による新たな解析の可能性というところも想定されるというところで、4ページ目に御紹介をいただいたところだと思います。
 四宮委員、お願いいたします。
○四宮委員 連結先に関することではないのですが、先ほど御説明があったように、このiDBは今のところ、新型コロナウイルス感染症のHER-SYSを介して入力されたデータベースのみと伺っていますが、今後、感染症に関する臨床的なデータベースの拡充についてはどういう予定でしょうか。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 今のところ、ほかに手が挙がっていませんので、事務局にお伺いしようと思います。感染症データベースのほうの入力が、現在のデータからさらに展開していくという予定があるかどうかというところはいかがでしょうか。
○大塚感染症情報管理室長 お答えいたします。
 次の感染症危機に備え、平時から運用経験を蓄積していくために、また、大規模にデータが蓄積されて、結果として個人特定のリスクが比較的小さくなっているCOVID-19について、まずは提供を開始したところでございます。提供対象疾患の範囲の拡大につきましては、運用実績、また、具体的なニーズ等を踏まえて検討すると考えております。やはり中期的には、そういった運用実績、具体的なニーズ等を踏まえ、平時から発生数の多い疾病に提供の範囲の拡大を検討することとなるかと考えております。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 四宮先生、大丈夫ですか。
○四宮委員 現在、発生動向調査としてはNESIDがあります。もちろん、NESIDは臨床的な情報という点では足りないところもあると思いますが、そうすると、大規模感染症が発生したような場合には、NESIDとHER-SYSが並行して運用されたように、感染症の特に臨床の情報をより詳細に収集するような、そういうものが緊急的に必要があれば立ち上がると考えてよろしいのでしょうか。
○脇田部会長 ここも続けて事務局にお伺いしていきましょう。現在、NESIDが走っていますけれども、新たな大規模感染症が発生したときの情報収集として、前回、HER-SYSのようなものがあったわけですが、そういったものが立ち上がるということなのか。それとも、どのように、NESIDを活用していくのかと考えるか。そちらはいかがでしょうか。
○大塚感染症情報管理室長 現時点で、こういう方向性ですと決定したものはございません。感染症サーベイランスシステムが、現在のもので、運用が可能なものであれば、もちろん、そこの運用ということになりますでしょうし、また、その状況に応じて何らかの形ということも検討の対象になるかもしれないということで、現時点でそういった方向性は決まっていないものと承知しています。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、次に進んでいきたいと思います。白井委員、森川委員の順番でお願いします。
○白井委員 白井です。
 3ページに現在のiDBと公的DB等との連結状況の表がありますけれども、実際、今、NDBと介護DBとDPCDBと、いろいろ分析、状況の把握に資すると書いてありますけれども、具体的には何か、そのような分析として形になっているものというものがもしあれば教えていただきたいのですけれども、これからの連結するものについても、感染症が起こったときといいますか、今、新型コロナの話になっていると思うのですが、分析といいますか、そういうような後づけの検証に使われるのか、また、予防的にも何か利用できるのかということの見通しなどがあれば教えていただきたいと思います。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 予防的といいますか、むしろ、リアルタイムにモニタリングするような、予防接種データベースとの連結というところであればあるかなと思いますが、そこは確認をしてみましょう。
 森川先生、お願いいたします。
○森川委員 データベースの連結は非常にいいことなのですけれども、AMEDのコロナウイルスに対するワクチン開発の事業が令和6年に終了していますけれども、その中で九州大学の福田先生らが、自治体が保有する予防接種データとか医療レセプトデータ、介護レセプトデータとか、先ほどお話がありましたHER-SYS等のデータを個人単位で、この人がこれとこれというデータベースの連結が、個人ベースでは実は連結が自治体ごとには全くされていなかったので、それを行う研究が行われたのですけれども、非常に大変な作業をされていたのですけれども、今回のデータベースの連結では個人単位での統合可能なデータベースの連結になっているのかどうかということに関してお聞きしたいです。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、今、白井委員からは、これまでのこのデータベース連結による解析等の実績、それから、今後の検証において、事後の検証のみなのか、事前に、あるいはリアルタイムでといったところの解析ができるのかというお話。それから、森川委員からは、個人単位での連結が可能になっているかというところです。こちらは事務局からお答えください。よろしくお願いします。
○大塚感染症情報管理室長 まず、白井委員からの御質問につきましてお答えさせていただきます。まだ提供を開始したばかりで、分析結果につきましては未公表となっており、この場で具体的な内容についてお答えすることは難しいと考えております。また、事後検証については可能と考えております。
 あとは、リアルタイムというところは、すみません。現在、どういったものがというものを具体的にイメージがつかずというところで考えております。
○脇田部会長 ごめんなさい。大塚さんの音声が悪くて聞こえにくいのです。
○大塚感染症情報管理室長 失礼いたしました。
 事後検証については可能と考えておりますが、リアルタイムでのデータの検証というものは、現在のデータベースの連結というところでは、そこは少し想定がしにくいのかなというような印象を持っております。もしかしたらあるかもしれないですがというところです。
○脇田部会長 本当にリアルタイムというものは難しいかもしれないのですけれども、予防接種データベース等で連結されれば、ワクチンの有効性とか安全性が比較的早く方針が、予防接種が実施されれば、そのデータによって分析が可能になってくるというようなところは私としては想定できるのかなと思って、私のほうから白井委員の御質問に口を挟んで、そういったお話をしましたというところです。
○大塚感染症情報管理室長 その点についてはおっしゃるとおりかと考えております。ありがとうございます。
 次に、森川委員の御質問でございます。こちらは、個人単位でのというところについては、NDB等において個人単位での連結が可能となっております。
○脇田部会長 それは匿名化をした上で連結が可能ということですね。
○大塚感染症情報管理室長 そうです。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 白井委員、お願いします。
○白井委員 すみません。御質問に答えていただいてありがとうございました。
 まだ分析の結果が公表できないということで了解しておりますけれども、ぜひ公表できるものについては公開していただきたいなと思いますし、そのような方向性として、この連結のアウトプットといいますか、そのメリットをぜひお示しいただきたいなと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたしたいと思います。
 その辺については、JIHSの役割と、連結といいますか、連携するのではないかなと思いますので、そこの分析についてはまた期待したいと思います。よろしくお願いします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 事務局に確認ですけれども、現在、公表できるものはないという、具体的な案件はないということですけれども、実際には申請があって、解析が進んでいる案件があるという理解でよろしいですか。これは何か前に御報告があったような気もするのですけれども、記憶が曖昧なので。
○大塚感染症情報管理室長 おっしゃるとおり、進んではおります。まだ公表には至っていないという段階でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、そのほか、いかがでしょうか。
 越田委員、三﨑委員の順番でお願いします。
○越田委員 この作業については、大変期待するところであります。
 それで、いきなり各論で申し上げるのは恐縮ですが、新たな連結先として小児慢性特定疾患が掲げられていますが、自治体としましては、最近、乳幼児医療助成の年齢枠が徐々に拡大しておりまして、必ずしも小児慢性特定疾患医療費助成制度を利用されない、つまり、登録しない。保護者にとってみると、医療費助成の意味が大きいので、研究事業というよりは、利を取って、小児慢性特定疾患助成制度に登録をしないで、自治体が独自に行っている乳幼児医療助成を受けるというケースが増えています。このようなバイアスがかかっているということをお伝えしておきたいと思います。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 三﨑委員、お願いします。
○三﨑委員 連結については、今後いろいろなデータが集まってくることを考えると、非常にいいことだと思うのですけれども、現在、コロナに関するデータベースに、障害福祉ですとか難病、小慢を連結させる目的といいますか、その意味が私は少し分からなかったので、教えていただければありがたいのが一点。
 あと、次世代データベースというものが具体的にどのようなものかよく分からないので、それも御説明願えるとありがたいです。
 よろしくお願いします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 坂本委員、お願いします。
○坂本委員 ありがとうございます。
 私のほうからは1つお尋ねしたいことがありまして、その前に、データの共有とか解析がデータベースの連結で進むというのは非常に有益であると思います。
 一方で懸念点として、例えば非常にまれな疾患であるとか、地域における疾患を持っていらっしゃる方が限られるような状況で個人特定のリスクというものが生じてしまう懸念があるかと思うのですが、既に様々なデータベースを連結されて活用されていますけれども、これまでにそういった個人特定のリスクとか、あるいは審査体制上のリスクで明らかになった課題があるのかどうか。これまで、それにどのように取り組まれてきたのか。また今後、新たなデータベースと連結を行うに当たって、今後の運用にそうした課題や、その課題に対する取組をどのように反映される予定なのかといったことを分かれば教えていただきたいと思います。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、今、越田先生、三﨑先生、坂本先生から御意見あったところをもし事務局からレスポンスいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○大塚感染症情報管理室長 ありがとうございます。
 越田委員、御意見ありがとうございました。承りました。
 次に、三﨑委員からの御質問でございます。意義というところにつきましては、障害福祉DBにつきましては、想定されるユースケースといたしまして、COVID-19罹患後の重度の障害者に対する支援の提供実態に基づく分析などが想定されると考えております。また、難病DB・小慢DBにつきましては、COVID-19罹患後の難病患者の障害福祉サービスの利用状況、また、小児慢性特定疾病児童の障害児支援の利用状況の分析。こういったものが想定されるユースケースとして考えております。また、次世代DBにつきましては、COVID-19罹患後の心電図等の画像データを含む、より詳細な臨床情報に基づく分析等といったことが想定されるユースケースとして考えております。
 次に、坂本委員からの御質問でございます。連結先が増えることによる個人が特定されるリスクというところでございますが、御指摘のとおり、やはり連結先が増えることによって個人または個別の医療機関の特定のリスクは高まると考えております。匿名感染症関連情報の第三者提供における提供前の審査及び公表前の確認においては、成果物を見て、一般の方が個人または個別の医療機関を特定できるかどうかについて判断するとともに、特定の都道府県のみを対象とする申請ですとか特定の時期のみを対象とした申請の場合には特に丁寧な審査が必要であると考えています。
 iDB小委員会において、匿名感染症関連情報の第三者提供や公表の可否等について、専門的な観点から審査を行っていただけるように、構成員の皆様とともに、引き続き、iDBの利活用の促進に向け、体制を整備していきたいと考えております。現時点で、何かこういったリスクの課題が実際に生じたというようなところは承知はしておりません。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 三﨑委員からの御質問で1点、次世代データベースの詳細といいますか、概要が分からないので教えてほしいといったところがありましたが、その点について何か情報をいただけるとありがたいと思います。
○大塚感染症情報管理室長 お手元の資料の10ページ目を御覧ください。民間事業者の3事業者が提供している事業となりまして、具体的には、こちらの資料の10ページ目に書かれているような内容となっております。こちらでお答えになっておりますでしょうか。
 項目の全部の一覧というものはなくて、お示しできる範囲がこちらの内容になっております。
○脇田部会長 ここには、内容といいますか、提供されるデータが書いてはあるのですけれども、次世代データベースそのものがどういったデータを集積しているものなのかというところが御質問ではないかなと思うのですけれども、どうでしょうか。これだと分かりにくいですね。
○大塚感染症情報管理室長 お時間を要して申し訳ございません。後ほどお答えさせていただきます。
○脇田部会長 よろしくお願いします。
 3ページには、民間の医療機関の診療情報とは書いてあるというところですね。
 大曲委員、お願いします。
○大曲委員 脇田部会長、申し訳ありません。先ほどの次世代DBの話なのですが、使う側の観点から、役に立つかもしれないので申し上げると、これは実は電子カルテから引っ張ってきたデータなので、検査値もあります。先ほどお話があったように心電図の結果が、心電図の結果を見られるのだというのは僕も驚きだったのですけれども、そういうことで、これまでの公的なデータベースですと行政的な目的で集められるものが中心で、医療に関する情報はないわけではないのですが、患者さんの具体的な状態とか行われた治療ですとか検査値等は入っていないと理解しています。
 そうすると、主に臨床という観点から研究をしようとするとやはり足りないということになりますので、このような次世代DBがあって、電子カルテから取られてきているようなデータがあると、もっと臨床に迫った形での研究あるいは調査ということができるので、使う側としては大変ありがたいと思って見ております。
 以上でございます。
○脇田部会長 大曲委員、情報提供、どうもありがとうございます。
 そういうことなので、より詳細な臨床の情報、診療情報がそこに搭載されているという理解でよろしいですか。
○大曲委員 はい。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 では、私のほうから1点、こういったデータベースの連結によって様々な解析が可能になるということなのですけれども、そういった解析・研究を促進するような取組を何かお考えになっているか。例えば厚生労働科研費等でそういった課題を採択するとか、そういった取組はなされているでしょうかというものが1点質問です。よろしくお願いします。
○大塚感染症情報管理室長 御質問につきましては、厚生労働科学研究でもこういった課題を支援しているという状況で、促進をしております。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 ぜひ、このデータベースがせっかくあり、そして、それを連結して、さらに分析を可能にするということですので、その解析・研究を促進するような取組というものもしていただきたいと思って質問させていただきました。ありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。大丈夫ですか。
 そうしましたら、今、委員の皆様から様々御意見いただきましたので、事務局におかれましては、この取組をさらに進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 また情報が出てくれば、この部会でも御提供いただければと思います。よろしくお願いします。
 それでは、次に進めてまいります。
 議題の「(4)危機対応医薬品等(MCM)の利用可能性確保に関する検討について(報告)」になります。資料3を御覧ください。事務局から御説明をいただきます。よろしくお願いします。
○小谷エイズ対策推進室長 では、事務局から御説明させていただきます。「危機対応医薬品等(MCM)の利用可能性確保に関する検討について(報告)」になります。
 1枚おめくりください。
 こちらにつきましては、令和7年2月18日の閣議決定された「健康・医療戦略」等の中において、感染症協議会において、ワクチン戦略の見直し・強化を行うとともに、ワクチン・治療薬・診断薬を含む感染症に対するMCMに関する対応の検討が開始されております。これを受けて、第94回の厚生科学審議会感染症部会において、見直した重点感染症に対して、MCMの利用可能性確保に関する具体の検討を行い、研究開発の方針等について、当部会等に適宜報告を行うこととなっております。今回はその報告となると御認識ください。
 3ページ目を御覧ください。各小委員会の中で議論させていただいていたものについての御説明になっています。
 MCMに関して、基本的には、まず、公衆衛生的指標(健康への影響・感染性・伝播性など)及び戦略的指標(既存のMCM、研究開発の状況など)を踏まえた上で【研究開発の優先度】及び【確保】の方向性を検討するというプロセスを踏んでおります。MCMというものは、平時においても、感染症の発生時期・規模等が予測できないなどの市場原理が非常に働きにくい分野になるため、企業にとっては、事業の予見可能性が乏しく、感染症の発生状況等に応じたプッシュ型研究開発支援、プル型研究開発支援や有事に迅速な研究開発・確保等を促すための一連の支援が必要であるということを前提と置きながら、この方向性で議論を進めてきたところでございます。
 続いてのページを御覧ください。4ページ目です。こちらは、MCM研究開発環境等の整備・検討における一連の流れをお示ししたものになります。
 MCM利用可能性を高めるためには、平時から迅速に研究開発・確保できる体制を整備するとともに、感染症危機発生時にMCMエコシステムの一貫した取組・支援を行うための事前準備が重要になってきます。
 その観点で、研究開発の方向性を定めつつ、基礎研究、応用研究、開発研究、その上での承認申請、上市という形になっております。それぞれのフェーズにおいて、基礎研究、応用研究、開発研究の段階においてはプッシュ型の研究開発支援、それ以降についてはプル型の研究開発支援というものを持ちながら、MCM研究開発の促進及び確保に努めていくというものが現状の取組になっております。
 踏まえまして、5ページ目を御覧ください。こちらにつきまして、現在、第10回のMCM小委員会において、幾つか、診断技術・診断薬及び治療薬・ワクチンについての基本的な考え方が小委員会の場で了承されましたので、御報告させていただきます。
 診断技術・診断薬については、感染症対策の初動において最も早期に整備・開発されるべき基盤技術であり、迅速かつ的確な感染症対策の実現に不可欠であるとされております。
 それを踏まえまして、MCM研究開発における診断技術の基本的な考え方については、以下の3項目を優先的に研究開発を支援するとしております。飛沫感染などのヒト-ヒト感染が容易に起こり得る感染経路を有する、または、早期の診断によって適切な治療やワクチン等による感染予防策・感染拡大防止策を実現するべき重点感染症であって、簡便・迅速に診断できるもの。地方衛生研究所等において、迅速かつ正確に検査実施可能数を増加(拡充)可能なもの。Group C(AMR)については、各種病原菌での薬剤感受性検査を簡便・迅速に実施できるもの。こちらの3項目について、診断技術について優先的に研究開発を支援することとしております。
 おめくりください。6ページ目は治療薬・ワクチンになります。
 治療薬・ワクチンについては、国内において、研究開発のパイプラインが進んでいる重点感染症に対して、重点的・戦略的な支援を行うことで、平時からの段階的な研究開発体制の底上げに加えて、感染症発生時にも即応性の観点も含めた総合的な対応力の強化を図っていくことと考えております。
 それを踏まえまして、基本的な考え方の中においては【治療薬・ワクチン】の4つの●の視点を持ち、即応可能な研究開発体制の整備を進めるということの論点から、平時において治療薬・ワクチンについては、特に救命・重症化予防、感染予防、感染拡大予防のために必要なものについて、以下の条件を踏まえ、優先的に研究開発を支援することとしております。大きく3つの項目として、国内に臨床試験段階に進められる程度のパイプラインが存在している。新規の医薬品または既存薬と異なるモダリティ/作用機序等である。国内/国際共同治験等が実施可能である。こういった治療薬・ワクチンについて、優先的に研究開発を支援するということで、小委員会で承認を得ております。こちらを御報告させていただきます。
 以上が研究開発についての方向性でしたが、続きまして、MCM確保についての基本的な考え方についても第10回で議論させていただいておりますので、7ページ目を御覧ください。こちらはMCM確保の基本的な考え方についての案になります。
 平時においては、先ほども述べましたとおり、重点感染症に対するMCMについては、平時においては市場原理がなかなか発揮されにくい部分ではございますので、重点感染症に対するMCMの確保(未承認薬のアクセスの改善、承認薬の備蓄)については、政策的な対応が必要となってくるものと考えております。一方、そのため、第8回のMCM小委でこちらを議論させていただいたところでございますが、未承認薬のアクセスの改善という点については大きく2つ、感染症対策上の必要性の高い医薬品の承認申請等を活用し、薬事承認を取得し、国内供給体制を整備すること。2つ目として、市場規模が小さいなど、現時点では薬事承認取得が極めて困難な重点感染症であっても、MCMの有効性・安全性を確保するための特定臨床研究・医師主導治験等の体制を構築することを未承認薬のアクセスの改善の方向性としております。
 続いて、承認薬の備蓄(買上げ)につきましては、現状、こちらはまだ検討中の段階ではございますが、備蓄(買上げ)の目的として、救命、重症化予防、発症予防の目的を満たすMCMにおいて検討すること。その評価項目については、以下の7項目について評価項目としてはどうかという形で提示させていただいておりました。
 こちらについては、まだ現在、小委の中でも検討中の段階ではございますけれども、8ページ目を御覧ください。備蓄(買上げ)の基本的な考え方について、現在、こちらは小委員会の中でも議論させていただいているところではございますが、御報告させていただきます。
 感染症危機発生時や生物テロ等を含む人為的脅威に備え、迅速かつ確実にMCMを提供する体制を整備することは、安全保障上も重要であるとされております。その上で、効率的かつ実効性のある備蓄を行うため、具体的な考え方を以下のとおり整理することを検討しております。
 備蓄の目的としましては、先ほど述べましたとおり、公衆衛生上及び国家安全保障上の観点から実施するものになります。感染拡大の速度、致死率の高さなどによる社会的機能への影響や生物テロなどの人為的発生の可能性を含めた安全保障の観点を踏まえて、国内外の関係機関等からの情報を集約し、判断していくこと、選定することを考えております。
 その上で、備蓄対象とするMCMの検討における優先順位としましては、基本的には、幾つもの項目がございますが、まず、救命が第1目的。続いて、重症化予防。3つ目として、発症予防。こういった優先順位に基づき検討を加えることとしてはどうかと考えております。
 こちらは、その視点に立った上で、MCMの評価項目として、上記優先に沿って、以下の観点から各MCMの「備蓄適性」を評価し、備蓄対象とするMCMを選定していくということについて、現在、検討が進んでいるところでございます。
 なお、MCM開発目標を設定することというものは、研究開発・承認・備蓄までのプロセスを戦略的に連携させる上でも、また、TPPをはじめとする開発目標に関して他国や国際機関等と連携を図る上でも重要であるということについても小委員会の中でも議論されているところでございます。
 最後に、9ページ目でございますが、MCMのプッシュ型・プル型研究開発支援の検討についてもまとめさせていただいているところでございます。
 厚労省においては、重点感染症に対するプッシュ型研究開発支援として、AMEDを通じた研究開発支援やMCM開発支援事業、データ等提供支援としてのiCROWN事業を実施しております。プル型インセンティブとしては、AMRに対する抗菌薬確保支援事業、備蓄(買上げ)や規制の合理化等を実施しているところでございます。企業の開発を促すためのプル型インセンティブの重要性等については各種機会において御意見いただいているところであり、MCM研究開発目標を設定し、重点的・戦略的にプッシュ型研究開発支援を行うこと。平時におけるプル型研究開発支援については、既存の抗菌薬確保支援事業や備蓄(買上げ)の活用、規制の合理化等を検討すること。感染症危機発生時には、研究開発から生産体制整備・調達・流通等に係る一連の支援を行うことを基本とし、引き続き検討を行うことという形で現在も議論が進んでいるところでございます。
 10ページ目におきましては、国内におけるプル型・プッシュ型研究開発支援の例という形で提示させていただいておりますので、こちらは御参考として御覧いただければと思います。
 以上、資料3について御説明させていただきました。御議論のほうをどうぞよろしくお願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございました。MCMの利用可能性確保に関する検討の進め方ということで、小委員会のほうで議論を進めていただいている内容についての御報告をしていただいたところだと思います。
 それで、今日は齋藤参考人がいらっしゃいますので、もし何か追加で御説明、あるいは何かコメント等あればいただければとは思いますが、齋藤参考人、いかがでしょうか。
○齋藤参考人 脇田先生、どうもありがとうございます。
 私から特段、今の御説明に追加することはございません。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 そうしましたら、委員、そして、参考人の皆様から御意見、御質問等をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 なかなか重点感染症に対するMCMの確保というものは、経済合理性の観点から考えて難しいところがありますので、様々な取組を進める必要があるということだとは思いますが、森川委員、お願いします。
○森川委員 ありがとうございます。
 重点感染症のMCMで、ワクチン開発に関しては、AMED SCARDAの事業で非常に多額の予算が計上されていて、製薬会社・ワクチン会社等の臨床治験の2.相試験までカバーするというようなことが行われていますけれども、治療薬に関しては、今日の御説明で重点感染症のMCM開発支援事業があるということだったのですけれども、予算規模がワクチン開発に比べて十分なのかなという懸念があると思うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 今のところ、ほかに手が挙がっていないので、まず、事務局に今の森川委員の御指摘にレスポンスいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○小谷エイズ対策推進室長 ありがとうございます。貴重な御指摘だと思っております。
 我々としても、MCMについては治療薬・診断薬・ワクチンというものが大きな3本柱、VTDという表現をしながらしっかりと確保していくということが重要だと認識しておりますので、どういった支援ができるかということは現在も関係省庁を含めて検討中の段階ではございますので、我々としてもしっかりと支援できる体制というものは考えていけたらと思っているところでございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 ここの場だけではなくて、この件に関して、文科省の有識者委員会であったり、それから、内閣府の感染症協議会といったところで、このMCMの開発戦略をどうしていくのかということも議論されているというところで、やはり感染症対策においては、ワクチンだけではなくて、診断薬・治療薬、そして、ワクチン・予防薬。こういったものを総合的に確保していくということは非常に重要だという議論がされていますから、今、森川先生の御指摘のようなことは非常に重要なポイントだというところだと私も思っておるところです。その点、厚労省におかれましてもぜひよろしくお願いいたします。
 そういうところだと思います。
 そのほか、いかがでしょうか。
 森川委員、お願いします。
○森川委員 では、もう一つ御質問させてください。MCMの備蓄に関してなのですけれども、御説明の中で、生物テロに用いられた場合の云々という話があったのですけれども、そういう場合、備蓄が恐らく国民全員に行き渡る分はないと思いますので、その場合のどういう方がMCMの備蓄しているものを優先的に使えるかという、例えば天然痘とかがあると思うのですけれども、その場合のどういう人が優先的に行ける、例えば臨床医の先生とか政治家とか治安関係の方とかがあると思うのですけれども、その辺は何か個別の感染症ごとにスキームができているのでしょうか。
○脇田部会長 重要な御指摘だと思いますけれども、もし事務局でレスポンスいただければと思います。
○小谷エイズ対策推進室長 ありがとうございます。
 御指摘いただいた生物テロであるとか、そういった際にどんなお薬をどう使っていくのかということに関しては結構、公表できる内容ではない部分もございますので、国民保護的な視点であるとか事態対処時の対応という切り口にもなってまいりますので、この場でお答えすることは難しいのですが、少なくとも、ここでももともと、いわゆるどういう備蓄をして、それを、例えば生物テロの場合、どれぐらいの量をどう使うのかということについては、基本的には厚生労働省で定めるという形で進められておりますので、またそれについては我々のほうでも引き続き検討させていただければと思っております。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 なかなか難しいポイントではありますが、そこは実際に非常に十分に考慮していかなければいけないといった御指摘だったかと思います。
 四柳委員、お願いいたします。
○四柳委員 どうもありがとうございます。この議論であまり出てこなかった点を一言申し上げておきたいと思います。
 このMCMの議論は、海外からの持ち込みを中心とした感染症に備えて、国内での体制をどう築くかということに限定されていました。もちろん、それは優先すべきことであり、異存はございません。
 ただ、ワクチンにしても、国産のLC16が海外で用いられている事例もあるように、日本で作ったものを海外に導出する、あるいは海外で作られたものを日本に持ってくるといったような視点がこれから必要になってくると思いますし、経済のことを考える上でも海外のファンドを利用するなどの視点が必要かと思います。その他という箇所に含まれるところかと思いますけれども、海外でのいろいろな状況等を考慮してMCMの開発を行うことを考慮しておく必要があるかなと思って、一言コメントさせていただきました。
 以上です。
○脇田部会長 四柳委員、どうもありがとうございます。今の御意見は事務局において考慮していただきたいと思います。よろしくお願いします。
 そのほか、いかがでしょうか。
 私のほうからも1つだけ意見を言わせていただきますと、この研究会、MCM研究開発の環境整備といったところが4ページにありました。それで、やはり平時ではなかなか開発が民間では進められないようなMCM研究開発ですから、JIHSの役割は非常に重要だと思います。基礎研究から応用研究のところにJIHSとアカデミアの連携というところが書いていただいているわけですけれども、開発研究、臨床開発のところにおいても、JIHSの役割というものが非常に期待をされているというところでありまして、それがまだ、今、十分にできているかどうかというものは、我々も努力をしているところではありますけれども、そこのところも、基礎から臨床開発まで、JIHSとしてはしっかり担っていくということが必要だと考えておりますというところを一言述べさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、今のレスポンスは結構です。私のコメントです。
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 そうしましたら、ただいま、委員の先生方からも御意見がありましたので、それに基づいて進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、次の議事に入ってまいります。
 議題の「(5)AMR対策における抗菌薬分類の活用について(報告)」です。こちらは資料4の御説明をお願いいたします。
○小谷エイズ対策推進室長 資料4「AMR対策における抗菌薬分類の活用について(報告)」、AMR小委員会で議論されてきたことについての御報告になります。
 資料の1枚目をおめくりください。これまでの経緯でございます。現状及び課題についてでございます。
 これまでAMR対策アクションプランの目標・戦略に沿って、目標1~6と、様々な項目について取組が実施されてきたところではございます。今回はその中で、目標2(動向調査・監視)という観点において、感染対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE)による抗菌薬の使用状況等のモニタリング等について御報告させていただきたいと思います。
 この動向調査・監視や適正使用の推進の観点からは、WHOが抗菌薬適正使用の指標としてAWaRe分類を使うことを推奨しております。J-SIPHEにおいてAWaRe分類に基づく集計自体は実施されているものの、医学的には適正な抗菌薬の使用も含めて集計されているという可能性があるということが言われております。
 その上で、第10回のAMR小委員会においては、この目標2(動向調査・監視)や目標4(抗微生物薬の適正使用)をさらに推進するためにAWaRe分類を活用することとした上で、AWaRe分類を用いた評価を含め、その活用方法について、日本の診療の実態に即した効果的なものとなるよう検討する必要があるということについて議論を行ってきたところでございます。
 3ページ目を御覧ください。こちらは、日本の診療の実態に即したAWaRe分類に基づく効果的な評価及び活用方法の検討に際してのデータになります。
 2019年のデータになりますが、抗菌薬の使用量全体に対して14日以上の処方が約3割強を占めていたということがこのデータからは読み取れることになっております。
 4ページ目を御覧ください。その内訳等について、こちらは細かく示させていただいております。
 こちらは、14日未満と14日以上に分けて、抗菌薬の種類別に見たところ、AMR対策アクションプランにおける成果指標に位置づけられている経口第3世代セファロスポリン系、フルオロキノロン系。これはいずれもWatchに当たるものになりますが、14日未満の処方が大半でありました。他方で、同じく成果指標に位置づけられているマクロライド系処方薬。こちらもWatchになるのですけれども、こちらは14日未満の処方の場合と14日以上の処方の場合が同程度という状況になっておりました。
 14日以上の処方についてはマクロライド系、テトラサイクリン系、スルファメトキサゾール/トリメトプリム、リファキシミンといった特定の抗菌薬に多く見られ、これらについては、皆様御存じのとおり、COPDであるとかDPBに対するマクロライド系抗菌薬や、肝性脳症における高アンモニア血症に対するリファキシミンの処方など、治療ガイドライン等において推奨されている抗菌薬の投与である可能性があるということがこのデータからも読み取れるのではないかと考えております。
 ですので、こちらについて、より精査させていただいたものが次の5ページでございますけれども、第12回のAMR小委員会で議論されたものになります。
 こちらは、まず、14日以上の処方が行われている場合の分析結果になります。医科診療における外来で処方された内服抗菌薬の使用量を分母とし、そのうち集計対象の傷病名がつけられている処方の占める割合を算出したものになっております。この中で、14日以上の処方が行われる傷病名について、こちらに述べさせていただいておりますが、赤背景はガイドラインで推奨されている傷病名になっております。
 これらを踏まえますと、マクロライド系、フルオロキノロン系については、気管支拡張症や肺MAC症等、同薬を14日以上投与することが推奨され得る傷病名が含まれているということが分かります。テトラサイクリン系については、尋常性ざ瘡に対する同薬の投与は、一律には正当化されないものの、難治性症例等に対しては14日以上の投与が推奨されることがあるとされております。ST合剤については、ニューモシスチス肺炎が最上位となっており、基本的には適正に処方されていると考えられると思っております。リファキシミンについては、そのほとんどが肝性脳症・高アンモニア血症関連の処方と考えられ、基本的に適正に処方されているものと考えられます。その他の抗菌薬については、明確な傾向は見られないと判断しております。
 これらを踏まえまして、14日以上の処方について、一部の抗菌薬においては、治療ガイドライン等において14日以上の同薬の処方が推奨されている傷病名であるとか、14日以上の同薬の処方が不適正とは言い切れない傷病名が一定の割合で含まれているということがこのデータから確認できたと考えております。
 一方で、6ページ目は14日未満の処方が行われる場合の分析結果になっております。
 確認すると、大半が急性気管支炎や咽頭炎、上気道炎の名目で処方されており、抗菌薬適正使用の観点から、やはり不適正であるという処方が多く含まれる可能性が高いと考えております。一方で、ST合剤については、14日未満の処方については膀胱炎も含まれており傷病名からはその適正性が評価できないと考えております。リファキシミンについては、そのほとんどが肝性脳症・高アンモニア血症関連の処方と考えられ、むしろ14日未満の処方からも含めて集計からは除外したほうがAWaRe分類に基づく正確な評価につながるのではないかと考えているところでございます。
 このデータを分析した結果としましては、14日未満の処方が行われる際につけられている傷病名を考えると、急性気管支炎や咽頭炎、上気道炎等の、抗菌薬の使用がそもそも適当ではない可能性のある傷病名が多く含まれていたということになっております。一方で、リファキシミンについては、同薬の処方が適当と考えられる傷病名が大半の処方に含まれていたことが分かります。
 これらを踏まえまして、7ページ目を御覧ください。こちらは結果のまとめになります。
 基本的に、2019年において、抗菌薬の使用量全体に対して14日以上の処方が約3割強を占めていたということ。14日以上の処方においては、一部の抗菌薬においては、14日以上の同薬の処方が推奨されている傷病名や、14日以上の同薬の処方が不適正とは言い切れない傷病名が一定の割合で含まれていることが確認されました。リファキシミンについては、処方日数にかかわらず同薬の処方が適当と考えられる傷病名が大半の処方に含まれていたということが結果として分かりました。
 リミテーションとして、考慮すべき点としましては、14日以上の処方においても、医学的に不適正な使用が含まれる可能性は当然否定できず、14日以上の処方を一律に集計・評価の対象から除外することは、以下の2つの➢のような懸念が想定されると考えております。懸念としては、特定の傷病名を一律に除外するということは、傷病名の消し忘れ等により本来除くべきではない処方が誤って除かれたり、集計結果をコントロールする目的で傷病名が恣意的につけられる可能性があるということ。14日以上の処方を一律に除外すると、集計結果をコントロールする目的で、本来14日未満の処方で十分な場合もあえて14日以上の処方を行うといった、抗菌薬の不適正使用が誘導される可能性があるといった懸念が想定されるということから、評価及び活用方法について、AMR小委員会で議論された案としましては以下のものとなっております。
 ウイルス性上気道炎や急性下痢症に対する抗菌薬の使用状況を重点的にモニタリングする観点から、また、各医療機関ごとの抗菌薬適正使用状況を比較する観点から、J-SIPHEを用いたAWaRe分類に基づく集計・評価に当たっては、マクロライド系、フルオロキノロン系、テトラサイクリン系、ST合剤については、処方日数が14日以上の処方を14日分とみなして集計することで、処方量全体においての14日以上の処方が占める割合を相対的に減少させることで、14日未満の処方に重点を置いて集計・評価することとしてはどうかというところについて御意見をいただき、一応、小委員会の中では了承を得たところでございます。なお、リファキシミンについては処方日数にかかわらず集計・評価の対象外としてはどうかということについても御理解いただいたところでございます。
 また、こういったAWaRe分類を用いた集計・評価に関して、今後の暫定的な目標としましては、2030年までにAccessに分類される抗菌薬の使用比率を70%以上にすることを目指しながら、今後のサーベイランス結果等を踏まえて、次期AMR対策アクションプランの策定に当たっての検討を進めていくということをAMR小委員会の中で議論し、今回、感染症部会のほうで報告させていただく形としております。
 以下のものにつきましては、いずれも参考となりますので、御参考いただければと思います。
 事務局からの御報告は以上となります。
○脇田部会長 御説明ありがとうございました。抗菌薬の分類の活用に係る課題といったところで御説明いただいたと思いますけれども、特にAWaRe分類を活用して解析・評価をする等、セファロスポリン、マクロライド、テトラサイクリン等々において、リファキシミンは非常にはっきりとしていて、肝疾患に伴うような高アンモニア血症に長期の処方で使われている。短期においてもということで、除外をしてはどうか。そのほか、マクロライド系等々には長期のところ、短期のところで、まだ不適正とは言い切れないものが一定程度あるというようなところを、ごめんなさい。十分に私のほうでは説明し切れないところなのですけれども、非常に興味深いデータをお示しいただいたと思います。
 それで、最後のところで今後の方針について御説明をいただいたというところでありますので、委員の皆様から、また御意見、御質問等いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず、笹本委員、お願いいたします。
○笹本委員 御説明ありがとうございました。日本医師会の笹本でございます。
 抗菌薬分類の活用は十分進めるべきだと思っております。一方で、このサーベイランスの結果の公表や活用をする際には、データが独り歩きしないように、十分にデータを収集した条件や留意事項を示すようにしていただきたいと思います。
 抗菌薬の投与につきまして、医学的に適正とされていても、不適切な使用と判断されることは現場での医療行為を萎縮させる可能性があると考えております。資料4の9ページの3つ目のポツを見ますと、WHOは、AWaRe分類の活用を推奨し、Accessに分類される抗菌薬の使用割合を70%以上にすることを目標としておりますが、※3の小さい資料がありますので、そこを拝見したところ、AWaRe分類を各国の状況に合わせて適用または適応すると書かれておりました。各国ごとに医療政策や医薬品の供給状況が異なるため、当然だと思われますけれども、日本とほかの国と分類や集計方法を違う方法で取っている可能性が十分ありますので、各国ごとの達成率では分類ごとの使用割合の単純な比較は誤った理解を招く可能性があります。ぜひともサーベイランスで得られたデータは、資料に示されました収集条件とか一定の留意事項があることは、ほかの国との比較は単純にできないことを十分にお知らせいただきたいと思います。
 以上でございます。
○脇田部会長 笹本委員、ありがとうございました。
 続いて、成田委員、お願いします。
○成田委員 御説明ありがとうございます。東京都の成田です。AMR対策における抗菌薬分類の活用について、方向性に特に異論はございません。
 都におきましても、東京iCDCにおきましてAMRタスクフォースを設置し、専門家の方々と議論しながら対策を検討しております。様々な課題はありますが、例えばAWaRe分類の評価に当たりましては、今年のように、百日せきの流行に伴い、マクロライドの使用が増えるなど、こうした抗菌剤の使用状況への影響にも考慮していただけるとよいのではないかと思います。
 また、医療機関で抗菌薬の処方を求める患者さんもいると聞いておりますし、国民の皆様への普及啓発も重要と考えます。こうした現場の状況を踏まえながら、国や自治体が連携して対策を進める必要があると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上となります。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 そのほか、よろしいですか。
 それでは、事務局に、今、笹本委員、成田委員からの御意見がありましたが、何かレスポンスございますでしょうか。
○小谷エイズ対策推進室長 ありがとうございます。
 笹本委員、成田委員、いずれもいただいた御意見としては、サーベイランスは重要であるが、その解釈であるとか示し方には十分な注意が必要であるとか、あるいは時期によっては、感染流行状況によっては使用状況が変わってくる可能性があるので、一律的な評価をするのではなく、しっかりとした情報を持った評価をして解釈していくべきであるという御認識、御意見だと伺っておりますので、事務局としてもしっかり受け止めて対策を検討していきたいと思っております。
 また、いただきました、特に成田委員からいただきました、一般の方へのAMRに関する周知ということに関して、私も医者ですので、以前、臨床しているときにはどうしても抗菌薬を欲しがる方というものはいらっしゃることも重々承知しておりますので、そういった方に対してどう周知していくのかということはAMRアクションプランの中にも明確に書かれているところでございますし、基本的に政府であるとか自治体だけではなく、一般の国民の方にも知ってもらうというところが重要な論点だと思っておりますので、引き続き、我々と皆様方と連携しながら取り組んでいけたらと思っております。
 御意見ありがとうございました。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。
 四柳委員、お願いします。
○四柳委員 どうもありがとうございます。AMR対策の議論ですので、主に水色の部分に関してコメントがあったかと思いますけれども、私は3枚目を見ていて、だいだい色の部分、即ち14日以上の処方量が確実にゆっくり増えつつあるのが非常に気になって、それに対して質問とコメントをさせていただきます。
 7枚目の2番目のポツのところで14日以上のところを、結局、14日に合わせて算定をしようというのは、人数を正確に把握しようということだと私は理解をしておりますし、それは適切なことだと思います。
 もう一つ、お聞きしたいのは、性と年齢の補正を結局しているのかどうかです。高齢化が進んでいく状況を考えると、このだいだい色の部分は多くの場合、年長者、あるいは基礎疾患がはっきりしている人に出されているものではないかなと推定できるかと思いますがいかがでしょうか。
 水色の部分を評価していく上でも、この年齢と性に関する評価が大切だと思います。これからの課題なのかなということにも思いますけれども、お聞かせいただければと思ってコメントさせていただきます。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 年齢、性等の補正がされているかというところ、それから、ひょっとするとガイドラインの周知等が進んで、そういった使い方がより広くされてきたというところもあるかもしれません。事務局に伺ってみたいと思います。
 まず、その前に、四宮委員、お願いします。
○四宮委員 御説明ありがとうございます。14日以上の集計を14日に丸め込んで行うというのは、集計上の空白をなくすという点で賛成です。
 それと、AWaRe分類等を導入するのは、日本における耐性菌の頻度を低下させるところに目標があると思いますが、第一次ナショナルアクションプランに関する検討会委員を担当しまして、当初の目標値が理想主義的であった面もあると思いますが、例えばMRSAでは2020年に20%以下という設定でしたが、5年間で50%前後の横ばい状態で、改善された耐性菌種もありますが、かなりの部分は目標値からは遠いという結論だったと思います。今度のAWaRe分類の導入で、Watchと呼ばれる広域のものを減らして、Accessを増やすということで、現在、日本ではAccessが23%程度で、それを60%以上にするという目標示されていますが、例えばMRSAで50%前後として横ばい状態のものを、Accessを23%から60%に上げた場合、耐性率は理論的なシミュレーションとしてはどの程度下がると考えられているのでしょうか。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。後ほど確認したいと思います。
 大曲委員、お願いします。
○大曲委員 脇田部会長、ありがとうございます。小委員会の議論に加わった者としてのコメントを少ししておきたいと思います。
 まず1点目、この議論の出てきた背景には、このAWaRe分類を使ったことで結局、Accessの比率が非常に低い医療機関が出てきてしまったというところがあります。そのような医療機関の先生方が調べてみられたところ、特に非結核性抗酸菌症等の、本来、極めて長期間、治療が必要な感染症の治療に使用した抗菌薬が非常に多いということが分かってきました。適切な治療をしているのに、それをやるがゆえにAccessの比率が低くなって、それは不適切といいますか、フェアではないのではないかという声が上がってきて、まさにそのとおりだと思っています。そこに対応する方法として、今、生み出せるものとしては、私もこれがやはりいいと思って見ております。これが1点目です。
 あとは、四柳先生がおっしゃった点が非常に重要だと思っています。これは技術的なところで僕のほうからコメントしてしまいますが、抗菌薬のほうの使用量・販売量に関しては、現在、リファレンスセンターから出しているものは年齢ですとか性別の調整をしておりませんので、販売量・使用量は全て実数値であります。ただ、年齢ごとですとか、年齢階級ごと、あるいは性別ごとの販売量・使用量に関しては層別化して算出はしています。一部はウェブサイトにも載せていますし、一部は論文として載せています。そうすると、やはり四柳先生がおっしゃっているところの年齢階級ごとの特性というものは出てきます。当然、使用量が多いのは子供と高齢者なのですが、実は小さい波が20代、30代にありまして、そこは実はテトラサイクリンが多かったりします。にきびの治療なのかなとかがありますし、そこは増えていたりもしますので、その辺り、変化を見るときにはそこまでブレークダウンして見る必要があると思います。
 もうちょっと言いますと、先ほど変化を捉えてということで御議論があったと思いますが、それもそうでして、実は2023年以降は抗菌薬の処方量は、販売量は増えました。あと、一方で診療報酬のレセプトデータ等を見ると、急性気道感染症による受診者数が増えていたりしますので、それが影響している可能性もあるだろう。もうちょっと具体的に言えば、マイコプラズマが流行した影響、百日せきが流行した影響というものは恐らく確実に反映されていると思いますので、そういったところを見た上で、細かい状況を見た上で全体量の評価をしていくということは私も大事だと思いました。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。大曲委員からは情報も提供していただきましてありがとうございます。
 それでは、ただいまの委員からの御質問、御意見に関して、事務局からレスポンスいただければと思います。
○小谷エイズ対策推進室長 ありがとうございます。四柳委員、四宮委員、大曲委員からコメント、御意見、情報提供いただきました。
 四柳委員からのコメントについては、大曲委員からも御回答いただいたところでございますけれども、年齢と性別とか、もしくは性別に関しての話というものは、必要性を含めて検討は必要かなと思っています。技術的な要素が多々出てくるかなと思っています。
 もう一点の、四宮委員からいただきました、いわゆるアクションプランにおいての、やはりなかなかAMRのアクションプラン自身の目標設定値が高過ぎるのではないかといったところの御意見だったと思います。それに対して、AWaRe分類をしっかりとした、この使用量を変えることによって、どの程度変わるのかという数理学的シミュレーション自身は実際、まだ現状、行ってはいないところなのですけれども、必要性を含めて、今後検討かなと思っています。
 アクションプラン自身は2027年までで、2028年から新たなAMRアクションプランが策定されていくことということは皆様御承知のところだと思うのですけれども、今後、どのような形が適切なのかということ。昨今、WHOからも提示されましたが、やはり日本は結構、それでもまだ成績はいいほうで、例えば東南アジア等では非常に高いAMRの率が報告されていたりとかという観点において、どういった形で世界的に、もしくはさらに日本の中でもAMRをどう取り組んでいくのかというものは大きな課題なのではないかなと考えているところでございます。
 その中で、このAWaReという取組自身もしっかりと進めていけたらというもので、今回、サーベイランスのベースの下側ではございますけれども、事務局として、AMR小委の中でも重要性を指摘されたものだと認識しております。
 すみません。コメントも入ってしまいましたが、事務局からは以上になります。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 さらにいかがでしょうか。御意見、御質問等あればお願いしたいと思いますが、大丈夫そうですか。
 それでは、今日も委員の皆様から御意見いただきましたので、さらに小委員会での議論は進むものと思います。ぜひよろしくお願いいたします。
 では、次の議事に入ってまいります。
 「(6)抗微生物薬適正使用の手引き第4版について(報告)」です。資料5になります。事務局から説明をよろしくお願いいたします。
○小谷エイズ対策推進室長 よろしくお願いいたします。「抗微生物薬適正使用の手引き第4版について(報告)」となります。資料5を御覧ください。こちらにつきましても、AMR小委員会で御報告させていただいたものになります。
 1枚おめくりください。一番大きな変更点を述べさせていただいておりますが、今回、歯科領域の抗菌薬適正使用における手引を追加でつくらせていただいているということになっております。歯科領域の抗菌薬適正使用における現状と課題という形で、第9回のAMR小委員会で御報告させていただいております。
 歯科領域においても、種々の症例において抗菌薬を投与することがあり、その使用については、当然のことながら、抗菌薬の適正使用の観点を考慮することが望ましいと考えております。全国抗菌薬使用量調査によると、医科領域における内部抗菌薬は90%以上、歯科領域では99%が内服抗菌薬であるということ。さらに、歯科領域においてはペニシリン以外のβラクタム系抗菌薬が半数で、その中でも第3世代セファロスポリン系が大部分を占めているということがこちらのデータからも分かります。必ずしもガイドラインに準じた処方になっていない可能性もあると考えております。
 そういった観点に対して、AMRアクションプランにおける戦略4.1、適正使用の観点を基に、歯性感染症に対する治療薬や術後感染予防抗菌薬適正使用等の歯科領域の適正使用に向けた包括的な手引を策定してはどうかといったAMR小委の意見を踏まえまして、3ページ目、AMR小委の第9回を踏まえて、抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会を種々開催させていただいております。持ち回り審議を含めて、第9回まで開催させていただいております。
 踏まえまして、第12回のAMR小委員会において、抗微生物薬適正使用の手引第4版の御報告をし、審議を受けた結果、AMR小委員会において了承されたものになっております。
 実際の手引については、お手元の資料等でお送りしております。これは大量のページになっていますので、当然、この資料全部の説明は割愛させていただきますが、主な改訂内容について、4ページ目で御説明させていただきます。
 概要としましては、構成の整理で、外来編・入院編・薬剤耐性菌感染症の抗菌薬適正使用編・歯科編の4部構成としております。手引の「主な対象者」に対しての表を作成し、ぜひ、この方に読んでもらいたい、見ていただきたいというものをあらかじめ示している形にしております。「患者・家族への説明」については、当課ホームページであるとかAMR臨床リファレンスセンターのホームページ上に掲載する形としております。
 内容としましては、新規項目として、外来編・入院編の中での、先ほど議論もございました、抗菌薬のAWaRe分類等についての追加がございますし、薬剤耐性菌感染症の抗菌薬適正使用編の中では、診断・治療のフローチャートを作成しております。また、歯科編におきましては、歯科における「抗菌薬の処方の現状」をまとめるとともに、抗菌薬の「予防的投与」や「治療的投与」「腎機能低下患者への対応」「抗菌薬のアレルギー」等について記載し、また、抗微生物薬適正使用の手引第4版歯科編の要約版というものを作成し、いわゆる外来等で使っていただきやすいような形のものを提示し、AMR抗菌薬の適正使用に進めていければという形で作成されたものをAMR小委員会で御審議いただいたという形になっております。
 事務局から、状況などの御報告は以上となります。
○脇田部会長 ありがとうございました。抗微生物薬適正使用の手引第4版が小委員会のほうで確認をされたということで、今回、部会のほうにも御報告という形になりました。
 特に目玉と言うとあれなのですけれども、特徴としては、今、御説明があったとおり、歯科編がつくられたというところで、歯科における抗微生物薬の適正使用に向けたガイドライン。そういったものが含まれているということだと思います。
 委員の皆様から御質問等いただければと思いますが、いかがでしょうか。
 その本編に関しては参考資料のほうにあるということで、こちらは大部なので資料にはなっていないのですが、参考資料として御覧いただけるという形です。
 事務局に伺いますけれども、これは、この部会で御報告いただいて、参考資料にまだ(案)とついているのですけれども、これは確定がされるということでよろしいですか。
○小谷エイズ対策推進室長 はい。感染症部会のほうにお諮りして、御了承いただければ案取りの形で、様々な媒体を用いながら周知していくという形になると思っております。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 それでは、いかがでしょうか。小委員会、あるいは議論に御参加いただいた委員の先生もいらっしゃると思うのですけれども、何かコメント等をいただければ。
 大曲委員、お願いします。
○大曲委員 脇田部会長、ありがとうございます。小委員会で議論してきました内容は小谷さんから御説明いただいたとおりです。
 ちょっとだけコメントしますと、歯科のところは非常に重要だと思っています。全体の医療領域の抗菌薬の使用量・販売量の実は1割が歯科なのです。結構多いのです。多くは、実は診療所等で使われている内服のお薬ですので、この適正化をするというものは非常に実は大きいと思っています。先ほどの議論にもつながって、不必要な抗菌薬使用の削減という意味で非常に重要だと思っていますし、こちらに関しては、歯科の医師会の先生方、関係学会の先生方も非常に問題意識をお持ちになっていて、前向きに取り組んでおられるので、これがちゃんと手引に入るというのは非常に重要だと思ったのが一点です。
 あとは関連して、4ページ目の概要のところに、手引の「主な対象者」の表を作成したというところがあります。実は、僕は議論を聞きながら、非常に重要だと思いました。というのも、要は小委員会の中で、この対象者に自分のところの領域のこの職種、例えば歯大生の専門の方にもこれは見てもらうべきだというような、かなり具体的な要望といいますか、御意見がたくさん出てきました。要は、御自身の領域の専門の方々に広く、こういう知識を得ていただいて実践していただきたいという思いの現れだと思って、それは非常に重要なことだと思ったのが一点と、要は、それでレベルが上がるということです。
 もう一点は、実は抗菌薬治療等に関して、一般の方々が一番当てにしているものの情報先の一つは、例えば一番重要なのはやはり医療従事者なので、医療従事者に説明されたことを聞いて行動しているということを考えますと、こういう手引の内容を御存じの各職種の方々が増えて、目の前にいらっしゃる患者さん方とコミュニケーションを取っていただいて、不必要使用を抑えるといったところに御貢献いただけるとかなり効果があるのではないかと思っております。そのような意味で、我々としても、そういった多職種、各職種への教育・啓発というところも御協力いただければと思っているところです。
 以上でございます。
○脇田部会長 大曲委員、御説明、情報提供、どうもありがとうございました。大変よく分かりました。
 そのほか、いかがでしょうか。
 こういったガイドラインが出ていくということは非常に重要でありますし、今、大曲委員から御説明があったとおり、広く医療従事者に周知をして、一般の患者さんといいますか、一般の方々にも情報提供していくことが非常に重要だということになります。
 特に御意見ないですか。
 それでは、どうもありがとうございました。今日、この手引、第4版の発行といいますか、周知に関しては、ぜひ進めていただけるようによろしくお願いをいたします。
 それでは、次に進みたいと思います。
 最後の議題になります。こちらはうれしいお話なのですけれども「(7)風しんの排除認定について(報告)」でございます。これは資料6ですか。よろしくお願いします。
○小谷エイズ対策推進室長 事務局より、資料6、風しんの排除認定について、感染症部会の皆様方に御報告させていただきます。
 1枚おめくりください。
 先日、報道等でも御認識いただいたところがあるかと思いますけれども、今年9月26日に、WHOにより日本の風しん排除が認定されました。
 風しん排除の認定要件については「土着株による風しんの事例」が最後に認められた後、36か月以上「土着株の感染伝播」がないことの証明であるとか、国内事例・輸入事例の発見に十分な感度と特異度を持つ質の高い動向調査の仕組みの存在、「土着株の風しんの感染伝播」が断ち切られたことを示す遺伝子型上の根拠の存在などございますが、こちらについて、いずれも満たしたということで認定を受けたという形になっております。
 本当に、これに当たりましては、皆様方、関係者の多くの方々の御尽力、また同時に、ワクチン等について追加的対策を含めた国民の皆様の御協力の結果だと思っております。
 それを踏まえまして、3ページ目を御覧ください。
 平成26年には、この時点で「風しんに関する特定感染症予防指針」の中で、風しんの排除を達成することを目標としておりました。それに当たって、定期予防接種の実施であるとか、追加的対策であるとか、もちろん、自治体に対する技術支援であるとか、感染症発生動向調査など、様々な多側面の観点から取り組んでいただき、今回、風しんの排除認定に至ったという大きな喜ばしい結果だと思っております。
 ただ、排除認定後も引き続き、風しんの排除状態を確実に維持するために、勝って兜の緒を締めよというような姿勢で、今後も継続した風しん対策の推進に努めていくということが重要だと考えておりますので、引き続き、我々としても皆様方と連携しながら進めていきたいと考えているところです。
 以上、簡単ではございますが、排除認定についての御報告とさせていただきます。
 以上になります。
○脇田部会長 ありがとうございました。風しんについては、なかなか症例数が増えた時期もあったわけですけれども、追加の対策もやりまして、それで今回、排除認定に至ったというところであります。
 ただ、この状況を維持していかなければいけないということなので、先ほど勝って兜の緒を締めよというようなお話もありましたけれども、これで終わりではなくて、引き続き風しん対策を進めていく必要があると思いますので、ぜひ皆様にも御意見等いただければと思います。いかがでしょうか。
 それでは、坂本委員、今村委員、白井委員の順番にお願いします。坂本委員、お願いします。
○坂本委員 ありがとうございます。風しんの排除認定を受けられたということは非常にすばらしいことであると思います。
 課題として、参考資料にありますように、接種率がやはりコロナ禍を境に低下して、第2期を見ますと、自治体によっては、低いところですと8585%未満のところが出てきていて、あとは90%未満の地域もそれなりにある。こういった地域差が生じている状況に対しまして、例えば国として何か自治体に対する助言あるいは支援をされるような御予定があるのかといったこと、もし分かれば教えていただきたいです。
○脇田部会長 ありがとうございます。後ほど伺ってみたいと思います。
 まず、今村委員、お願いします。
○今村委員 今村です。御報告、どうもありがとうございます。今回の風しんの排除の情報を聞いて、非常にうれしく思っています。
 特に、2013年には1万人を超える大きな流行がありましたので、現場でもいろいろ啓発活動もしました。麻しんが排除になったのが2015年であり、10年かかって風疹排除に到達したことになります。非常に大切な、この大切な排除状態を維持するということが、これからの最大のポイントになってくると思います。
 例えば周りを見ても、今年は米国でも麻しんが非常に多くなっています。ワクチンへの忌避などが非常に起こりやすい社会環境も起きていますし、先進国といえども排除状態を維持できずに流行を起こしてしまうということがあり得る世の中になってきているのだと思います。そこも含めて、これを日本においては、しっかり排除状態を保って、良好な環境を維持してほしいと思っております。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。ありがとうございます。本当に喜ばしい情報かなと思います。
 これがやはりVPDとして、ワクチンで排除できる疾患だということを維持していくことが重要だと思いますし、日本で土着のウイルスのものではないということにはなりましたけれども、やはり海外で流入してくるということもありますので、海外とのサーベイランスの比較といいますか、そういうこともぜひ注視していく必要があるかなとは思います。
 また、いろいろなマスギャザリングなどでも強化サーベイランス、大阪・関西万博などでもやっていたと思いますけれども、もし海外からそういう流入があったときに、場合によってはワクチンを緊急に打ちたい人たちもいると思うのです。そういう場合に、定期接種の維持をしながら、ワクチンを安定供給していただくということをお願いしたいと思いますので、そういう臨時的なものがもし必要な場合にも定期のワクチンの安定供給を確保していただきますよう、海外でのサーベイランスと定期のワクチンの安定供給ということをこれからもお願いしたいと思います。
 よろしくお願いします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、成田委員、お願いします。
○成田委員 成田です。国内の風しん排除が認定されましたことは、医療機関をはじめ、そして、都民の皆様、国民の皆様にも御協力いただきながら予防接種の取組を推進した成果であると思います。とてもすばらしいことだと思います。
 しかしながら、今、皆様からもお話があったように、最近の都内の麻しんの発生状況を見ますと海外輸入例が中心となっておりますし、また、ほかの皆様方がおっしゃっていたとおり、麻しん・風しんワクチンの接種率が全国でも年々低下している状況を踏まえますと、今後も風しんの排除認定を維持するためには、国と自治体が連携して、より一層、普及啓発の取組を行っていく必要があると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続いて、越田委員、お願いします。
○越田委員 私も大変すばらしいことだと思っております。
 ただ、小児科の観点から申し上げますと、やはりCRSが今後全くなくなるという保証があるわけではないので、引き続き、手綱を緩めないで、きちんと啓発をしていかなくてはいけないのではないかなと思っております。
 たまたまですけれども、この3月で風しんの第5期が終了したということもあったので、抗体検査とかワクチンに対する今後の啓発というものは、我々はみんなで盛り上げていかないといけないのかなと改めて思った次第です。
 ありがとうございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。今、越田委員御指摘のとおり、CRS、先天性風しん症候群の発生というものが、やはり風しんが幾ら軽症が多いとはいえ、大流行が起これば、2ページの表に示されているとおり、当然、先天性風しん症候群の症例数が増えてくるということがありますので、日本でこういった大流行を今後起こさないといったことも非常に重要な観点だと思っております。
 それから、こういった、今後、海外からの流入というものが重要視されてくるということで、そこではJIHSにおけるサーベイランスというものも非常に重要で、その症例の追跡とか、そういったところも重要になってきますが、JIHSから島田委員に参加してもらっていますけれども、何か、ここの風しん対策、今後の風しん対策でコメントあったらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○島田委員 恐れ入ります。JIHSの島田です。ここは、委員の方々からの御指摘もあったように、維持というものは重要課題となってくると思います。
 また、コメントにもありましたとおり、ポケットになり得るワクチン忌避の方々、もしくは宗教上の理由でワクチンを打たない、打てないという方々への普及啓発、あと、ワクチン忌避に偏っているわけではないけれども、すごく迷っている人たち、アウトリーチではない方々へのリスクコミュニケーションというものもこれから大事になるのかなと思います。
 今後、恐らく麻しん・風しんの特定予防指針の改正も今度あると思うので、そちらのほうにまたそういうことを入れ込んでいけたらなと思っております。
 以上です。
○脇田部会長 急に振ってごめんなさい。ありがとうございました。
 ほかに御意見いかがでしょうか。大丈夫そうですか。
 それでは、今、委員の皆様から御意見等もあったところですけれども、事務局から何かレスポンスあればお願いいたします。
○小谷エイズ対策推進室長 皆様方、大変喜ばしいニュースであるということのコメント等もいただき誠にありがとうございます。
 1点、御質問という形でいただいていた、坂本委員からの、地域、自治体に対する支援をどのように考えているのかということに関しては、MRワクチンを接種できるような環境を維持するということが重要ですので、いわゆる厚生労働省からも各製造販売企業へ卸売などに対する供給の調整を行うとともに、自治体に対して定期接種が可能となるような接種勧奨通知を行うというところも進めてはいきたいと考えております。
 そういった取組もございますが、総じて皆様方からいただいた意見としましては大きく分けると3つかなと思ってはおります。一つは、しっかりとこれを維持していくことが重要であるということ。ワクチンをしっかりと流通を確保しながら、この定期接種率を維持していくということを努めていかないといけないということ。
 同時に、海外から流入してくる方々、どうしても我々の国が排除という状況になってくるのであれば、当然、海外から入ってくる可能性もあるということの中において、しっかりとしたサーベイランスであるとかの対策を打っていくことが重要であるということと同時に、昨今のワクチン忌避感であるとか、先ほどもお伝えしましたが、これは排除の認定になったのだったら、ワクチンは要らないのではないかみたいな、そういう空気感を、そうではなく、きちんとしていかないといけないのであるというリスクコミュニケーションについての重要性。こういったところについて、我々としましても、また、この感染症部会の小委員会の中に設置されます麻しん・風しんに対する小委員会の中でも、指針の改正を通じながら、また、国民であるとか自治体であるとか、その他、もろもろの関係者に対して周知できるような、方向性を示せるような指針の改正に努めていけたらなと思っておりますので、また引き続き、皆様方の御意見であるとか御知見を頂戴できますと幸いでございます。
 事務局からは、コメントっぽくなってしまいましたが、以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、そのほかはいかがでしょうか。大丈夫ですか。
 風しん対策は、我々としても感染症対策として非常に学びが多い対策であったと思います。ワクチンの使い方にしても、やはりその時代の対策があるわけですけれども、それだけでは十分ではないというところもあって、今回、第5期の接種もありましたけれども、そういったもので対応してきたというところですから、今後のほかの感染症の対策にもそういった観点を活かしていければと思います。ありがとうございました。
 議題は以上となりますが、このほか、委員の皆様から何かございましたら伺いたいと思いますが、大丈夫ですか。
 それでは、一旦、議事は事務局にお返しをしたいと思います。
○小谷エイズ対策推進室長 多くの議題に対して、皆様方から貴重なお声、御意見をいただきありがとうございます。
 本日の委員、参考人の皆様の御意見を踏まえ、進めさせていただきたいと思います。
 この後、当方で、記者ブリーフィングとして議事の概要を御説明させていただく予定としております。
 次回につきましては、事務局より改めて御連絡させていただきます。
 本日は、お忙しい中、御出席いただき誠にありがとうございました。
○脇田部会長 それでは、これで終了です。どうもありがとうございました。