第43回厚生科学審議会臨床研究部会 議事録

日時

令和7年6月12日(木) 16:00~18:00

場所

AP虎ノ門
(オンラインとのハイブリッド開催)

議題

  1. 1.臨床研究・治験の推進に係る今後の方向性について
  2. 2.その他

資料

議事


○医政局研究開発政策課室長補佐 定刻になりましたので、ただいまから「第43回厚生科学審議会臨床研究部会」を開催いたします。本日は、前回から引き続き、Webで開催いたします。
 会議全体でのお願いとなりますが、Webで参加されております委員の皆様におかれましては、御発言される前に画面下部の「挙手ボタン」をクリックしてください。部会長の指名を受けてからマイクのミュートを解除して、御発言いただくようお願いいたします。また、御発言終了後は、再度マイクをミュートにするとともに、「手を下げる」をクリックし、手を下げた状態にしてくださいますようお願いいたします。会議中に接続トラブル等が発生しましたら、事務局まで御連絡ください。注意事項は以上です。
 本日は、山口委員から御欠席との連絡を受けております。部会の定数15名に対して14名の委員に御出席いただいておりますので、定足数に達していることを報告申し上げます。また、新谷委員から17時で退室される旨、承っております。
 続いて、本日の会議資料についてです。会場参加の委員の皆様におかれましては、お手元の資料を御覧いただきますようお願いいたします。Webで参加されている委員の皆様におかれましては、事前に送付しております資料、あるいはWeb上で資料を投影いたしますので、御覧ください。資料は資料1となっており、参考資料は参考資料1~4となっております。お手元で不足等がありましたら、事務局宛てお申し付けください。円滑な議事進行のため、撮影はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
 以後の進行は、楠岡部会長にお願いいたします。
○楠岡部会長 楠岡です。本日もお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。それでは、お手元に配布されております議事次第により、議事を進めていきます。まず最初は、議題1「臨床研究・治験の推進に係る今後の方向性について」について、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課室長補佐 資料1、治験・臨床試験の推進に係る今後の方向性について 2025年版とりまとめ(案)について説明いたします。資料1を御覧ください。本とりまとめについては、前回5月8日の臨床研究部会において骨子案を御議論いただき、頂いた内容も踏まえて文章としたものになっております。改めて全体について説明いたします。
 2ページの目次を御覧ください。大項目として6項目、国際競争力のある治験・臨床試験体制の強化、症例集積力の向上、治験・臨床試験手続の効率化、治験コストの透明性の向上、研究従事者や研究支援人材の育成・インセンティブ、治験・臨床試験に対する国民・患者の理解・参画促進の6項目を掲げております。それぞれについて、取り組むべき内容を記載いたしました。
 3ページです。まず、「はじめに」として、これまでの治験・臨床試験に関する経緯について、簡単にまとめております。2019年版のとりまとめからの差異として、4ページに記載の新たな臨床試験の手法に関する点、AI関連技術に関する点、対象を「治験・臨床試験」に絞ったとりまとめとする点について触れております。
 5ページです。全体として複数の項目にまたがる特に重要な論点について、3点取り上げております。まず、治験・臨床試験DXとして、診療録をはじめとする記録の電子化やデータの標準化、AIの活用等を通じた効率化により、日本国内の治験・臨床試験の活性化をする必要があるということを記載いたしました。続いて、治験・臨床試験の扱う対象やモダリティの違い、手法によって、留意する点が細かく変わってくること、それによって、画一的な手法を取るのではなく、柔軟に対応できるようにすることで、これまでにない新規のモダリティを対象とするような治験・臨床試験を推進できるようにしていく必要があるということを記載しております。最後に、治験・臨床試験が必要不可欠な医療の一部であるという認識を、国民・患者・医療や研究に関わる全ての関係者に広く啓発する必要がある点と、国民の治験・臨床試験に対する理解度を把握した上で、実態に合わせて広く国民に向けて治験・臨床試験に対する認識やその重要性を広報する取組が重要であるということを記載いたしました。
 6ページは、国際競争力のある治験・臨床試験体制の強化です。まずは、国際共同治験・臨床試験を主導できる人材の育成ということで、臨床研究中核病院から欧米等の先端的な治験・臨床試験を実施する医療機関等への人材派遣を継続すること。国際共同治験を受け入れる体制の整備として、研究計画の立案、契約・調整、治験・臨床試験の実施、治験審査委員会での審査等が英語で対応可能な人材育成について記載いたしました。
 続いて、ドラッグ・ロスへの対応です。令和6年度厚生労働科学特別研究事業「ドラッグ・ロスの実態調査と解決手段の構築」において分析が行われたこと、令和7年度に医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議での検討を進めることを記載した上で、引き続き厚生労働省において我が国に必要な医薬品等の調査を行うとともに、製薬団体等と連携した治験の誘致について、後述するワンストップ相談窓口等との連携も含めた方策を検討し、ドラッグ・ロスの解消を図るということを記載いたしました。
 続いて、国際共同治験のためのワンストップ相談窓口の設置についてです。海外のスタートアップが英語で完結した相談を行えるワンストップ相談窓口を、国立がん研究センターが中心となって設置し、国立高度専門医療研究センター・国立健康危機管理研究機構が連携して、臨床研究中核病院にも協力していただいた上で、国際共同治験の呼び込みを図ることをしております。具体的な取組としては、日本の薬事・医療保険制度の強み、各種支援制度を海外に向けて発信するほかに、直接海外スタートアップへの接触を行い、日本での開発や日本市場への導出を呼びかけることを並行して行うことを記載いたしました。また、独立行政法人医薬品医療機器総合機構との連携についても記載しております。
 続いて、7ページです。革新的モダリティに対応したヒト初回投与試験の体制整備についてです。FIH試験実施施設の整備を進めることで革新的新薬候補の国内での研究開発を促進するために、令和6年度の補正予算事業の「新規モダリティ対応ヒト初回投与試験体制整備等事業」により、国立がん研究センターにおいて、FIH試験体制、GMP準拠治験薬製造機能、研究機能を一体的に推進できる創薬拠点の整備に向けた仕様設計を行い、国内のFIH試験の中核的な役割を担う体制の整備を進めることについて記載いたしました。また、国立成育医療研究センター及びJIHSにおいてFIH試験体制を併せて整備すること、スタートアップ等が行うFIH試験の実施について、各臨床研究中核病院が支援する体制の構築を図ることについても記載しております。さらに、FIH試験における用量探索においては、革新的なデザインを積極的に開発・適用し、開発の効率化と加速化を実現することが望ましいということ、前段等の再掲になりますが、種々の業務について英語で対応可能な人材を育成することを記載いたしました。
 続いて、7ページから8ページにかけてです。臨床研究中核病院以外の施設の治験・臨床試験のレベルの向上についてです。国際共同治験・臨床試験が主流となる中で、治験・臨床試験の受入れを拡大するに当たり、多施設共同試験やDCTの受入れのため、臨床研究中核病院以外の医療機関においても、知識や能力を有することが重要であるということを記載いたしました。具体的な取組としては、臨床研究中核病院以外の医療機関の臨床試験従事者等への研修についても取組を拡大していくことで、チームとしての治験・臨床試験の実施能力の向上を図ること、治験・臨床試験を行うに当たり、通常の医療機関の業務とは異なる対応が必要な事項について認識の共有を図ることについて記載いたしました。
 続いて、大項目Ⅱ.症例集積力の向上についてです。まず、レジストリ・リアルワールドデータの利活用の促進として、レジストリやリアルワールドデータの現状についての指摘をまとめました。その上で、今後の取組としては、まず、電子カルテのデータを精度の高いリアルワールドデータとして治験・臨床試験に活用するために、電子カルテ情報の標準化を図ること。それから、大規模なデータベースの取組を進めること。遺伝子治療薬や分子標的薬等の治験・臨床試験の実施においては、ゲノム情報を含んだデータベースの活用が有用であるため、ゲノム情報の収集やデータベースの構築を図ること。それから、既に学会や民間主導で整備されているレジストリやデータベースがあることから、患者・アカデミア・医療機関が一体となるネットワークを構築し、リアルワールドデータの活用に対しての課題の検証や活用事例の集積を行うなど、引き続きその利活用の促進を図ることについて記載いたしました。
 続いて10ページです。クリニカル・イノベーション・ネットワーク構想の進展についてです。CIN構想の成果として、レジストリの改修や構築の支援、レジストリを活用した治験・臨床試験の推進のための取組、ガイドラインの作成等を行っているものの、それらの成果が周知されておらず、まずは現状の把握から改めて行うべきという指摘を踏まえ、現状の課題について改めて整理を行い、CIN構想や関連した取組の周知を行うとともに、質の高いレジストリの構築・改修及びレジストリを活用した治験・臨床試験に対する支援を継続的に行うことについて記載しております。
 続いて、DCTを実施可能な体制の整備と効率的な適用・運用方法の模索についてです。DCTに関する各指摘をまとめた上で、具体的な取組としては、日本医療研究開発機構においてDCTを用いた研究を支援していくとともに、これまでに得られたDCTの実施における留意点・手順の周知を行い、DCTの実施体制の向上を図ることを記載しております。
 臨床研究中核病院、NC、JIHS、国立病院機構等間での連携強化についてです。ここまで記載した取組に加え、各臨床研究中核病院、NC、JIHSの体制・機能を強化し、それぞれが優位性を持つ分野でハブとなり、NHO等とともにネットワークを構築して、症例集積力の強化を図ること。ネットワークが国際的に魅力的な開発拠点となるよう、ネットワークごとの症例集積の実績や症例集積力の向上を図ること。診療の最適化に資するような臨床試験等についても、NHOを含めたネットワークの構築を図ることについて記載いたしました。また、製薬企業や医療機器メーカー等の業界団体や患者団体との連携強化についても言及しております。
 11ページです。治験・臨床試験DXの推進については、治験・臨床試験の効率化のために重要であるということを記載し、今後の取組の例としては、症例データの二重入力の解消を図るべく、医療DXの取組とも連携して、治験・臨床試験に必要なデータの標準化の推進に取り組むこと。患者の疾患等の情報と医療機関の治験・臨床試験の情報をマッチングするといった仕組みの検討を行うことを記載しております。
 続いて、12ページです。大項目Ⅲ.治験・臨床試験手続の効率化についてです。まず、AI関連技術の症例分析への利活用の促進として、例えば「過去に行われた治験・臨床試験の情報を用いた治験・臨床試験デザインの策定支援」、「当該治験・臨床試験結果の症例分析」や「報告書素案の作成」等、実施者の負担軽減が期待できるシーンでの事例蓄積のための検討を行いつつ、AI関連技術自体の向上と活用の普及を図ることを記載しております。
続いて、一括審査を進めるためのSingle IRB化の推進についてです。我が国での国際共同治験を推進し、審査の質を向上させるためにも、我が国での治験においてSingle IRBによる審査を原則化することとし、そのための規制・手続上の課題解決を図る旨、記載しております。
 続いて、ICH-E6 GCPの改定を踏まえた治験手続等の運用の見直しについてです。ICH-E6 GCPのR3の考え方として、研究参加者の保護及び治験の科学的な質の確保を前提としつつ、試験の管理については、試験目的等に応じた柔軟な考え方を導入することを記載いたしました。具体的な取組としては、必要以上の品質を追求した治験をしないことを意識した計画及び運用ができるように、関係者の間で意識醸成を図ること、特定臨床研究等と治験の実施基準や手続等について、可能な限り整合性を図るということについて記載しております。また、医薬品以外の治験については、例えば医療機器の開発特性に応じた柔軟な手法など、別の基準が適用されることに留意が必要であるという点について記載しております。
 13ページに移ります。電子カルテ情報を含む治験・臨床試験に必要なデータの標準化の推進、説明文書・同意文書・契約書等の書類の標準化の推進についてです。医療DXの推進による電子カルテ情報の標準化を足がかりとして、治験でのみ行う検査等の情報も標準的なデータとしてやり取りが可能になるように、既に運用されているシステムの活用も含めた取組を進めていくこと。ICFについては、統一テンプレートの活用を進めること。契約書等の書類については、統一的な書式の実現に向けて業界や研究機関との意見交換を行うことを記載しております。
 続いて、14ページです。大項目Ⅳ.治験コストの透明化の向上についてです。まず、現状についての指摘をまとめております。その上で、Fair Market Valueに基づく費用算定方法の推進及びモデル事業等を通じたタスクベース型の費用算定方法の検討については、国際整合の観点から考えると、FMVに基づくタスクベース型の費用算定が重要であるという指摘がある一方で、単に機械的な導入をするのではなく、各ステークホルダーが納得できる形で、個別のタスク項目もできるだけ勘案できるようにする必要があるとの指摘があることを記載しております。具体的な取組としては、FMVに基づくタスクベース型の費用算定の国内導入に向けた課題を解決するために、引き続き産官学での議論を進めていくこと。その際に留意すべき点としては、アーリーフェイズと第三相試験、試験の新規性や複雑性などによる違いをコストに反映する必要があること。国際競争力の観点から、日本の特殊性は最低限に抑える必要があるということについて記載しております。また、臨床研究中核病院が中心となって、実際のタスクベース型での治験費用算定の方法についてモデル事業を実施し、ノウハウの集積・課題の抽出・解決策の検証を行うことを記載しております。
 続いて15ページは、研究従事者や研究支援人材の育成・インセンティブの項目です。まず、臨床研究総合促進事業等を通じた人材育成です。医師・歯科医師、臨床研究コーディネーター、データマネージャー、モニター、監査担当者、プロジェクトマネージャー、倫理審査委員会/IRB委員・事務局、研究に関わる事務職員等の臨床試験従事者を対象とした養成研修を実施していること。それから、国際共同治験・臨床試験の実施を見据え、治験・臨床試験の方法論の教育や研究計画の立案、契約・調整、治験・臨床試験の実施、IRBでの審査等が英語で対応可能な人材の育成を実施していること。国際共同治験・臨床試験を担う人材育成を目的として、海外の先進的医療機関への人材派遣を実施していること。生物統計家の育成を継続して行い、今後は企業への人材供給も検討することを記載いたしました。これらの事業を通じて、引き続き人材面からも国際共同治験・臨床試験の受入体制の強化を図ることとしています。
 続いて、15ページから16ページにかけてです。研究従事者や研究支援人材のキャリアパス構築、インセンティブ付与に向けた検討の項目についてです。まず現状の指摘として、育成した人材の定着が課題になっているという指摘や、業務に従事した後のキャリアパスが十分に整備されていないといった指摘があり、研究従事者が長く研究を続けるインセンティブの部分に課題が存在していること、「健康・医療戦略」においても、治験・臨床試験などに従事する者のインセンティブの設計や、処遇やキャリアアップの構築が明言されていることを踏まえ、具体的な方向性や方策について示すことが求められていることを記載いたしました。具体的な取組としては、インセンティブ設計や人材育成には、例えば治験・臨床試験の中核となる臨床研究中核病院やNC等においては、研究従事者や研究支援人材からなる多職種チームを安定して雇用し、役割や能力に応じた適切な処遇やキャリアパス構築を行うための体制が必要だと考えられるので、今期の「健康・医療戦略」の間に検討を行うということを記載しております。
 また、研究従事者や研究支援人材のキャリアパス構築については、臨床研究中核病院の要件として雇用の安定化の取組を評価するなど、まずは臨床研究中核病院での取組を行った上で、ほかの機関への横展開を行うことを検討すること。大学においては、医学研究に携わる人材育成が推進されるように、治験・臨床試験の実施実績も含めて、研究従事者の処遇改善や研究に専念できる環境の整備を通じて、大学や大学病院において研究に携わる魅力が向上できるように、文部科学省と連携して検討を行うことを記載しております。
 続いて、17ページです。大項目Ⅵ.治験・臨床試験に対する国民・患者の理解・参画促進についてです。まず、現状に関する指摘や過去の調査についてまとめております。その上で、PPIのガイドラインや広報資料の作成等による啓発・推進については、国民の治験・臨床試験への理解や参画を促す取組として、治験・臨床試験に関わる普及啓発を図ることを記載いたしました。併せて、研究者側の意識を醸成する目的で、例えばAMEDにおいて作成した研究者向けの「患者・市民参画ガイドブック」の更なる普及や、好事例の周知について必要な方法を検討すること。リアルワールドデータの活用については、医療情報の二次利用に対するプライバシー等の適切な保護を前提としつつ、積極的な活用が阻害されることのないよう、活用推進に向けた環境整備や周知広報を図ることについて記載いたしました。
 18ページです。jRCTをユーザーフレンドリーなデータベースとするための大規模改修、及びjRCTにスマートフォンでアクセスしやすくするなど、患者が扱いやすい情報提供の推進についてです。jRCTについては、検索精度に問題があることや、よりユーザーフレンドリーなデータベースとすることの重要性、アクセスしやすい環境づくりとして、スマートフォンで扱いやすいシステムにすべきであるという指摘があることを記載しております。
 具体的な取組としては、令和7年度よりjRCTの抜本的な改修を行っており、まずは検索機能の改善等に取り組んでいくこと。jRCTからのデータの二次利用を促進するため、データ連携や民間サービスの活用等を図ること。jRCTの改修に合わせて、スマートフォンでのjRCTの活用に適したデザインなど、患者が扱いやすい情報提供の方法について検討を行うことについて記載いたしました。
 それから、治験・臨床試験の実施に関する情報公開です。前提として、国民の治験・臨床試験に対する理解や参加を促進するために、治験・臨床試験の実施状況や内容、プロトコルの改定の状況や試験結果等についての情報公開が必要であることを記載いたしました。具体的な取組としては、公的資金を用いた治験・臨床試験について、治験・臨床試験がほかの研究等と区別できるように、成果報告書等へのjRCT等の臨床試験番号の記載を必須とすること。研究成果の検索サイトの更新頻度の向上等、情報公開の内容や方法について調整を行っていくこと。各臨床研究中核病院に設置している治験・臨床試験に関する一般的な相談窓口について周知を図ることを記載しております。
 19ページ、その他の事項です。国民の治験・臨床試験に対する理解については、コロナ禍を経て一定の変化がある可能性があり、改めて現状の治験・臨床試験に対する国民・患者の理解度について必要な調査を検討し、実態及び課題について把握した上で、適切な普及啓発を図ること。疾病名や疾病部位など、一定の患者情報に基づき、患者が研究参加者となり得る治験・臨床試験に係る情報について、プッシュ型で患者等に情報提供を可能とする方策について、患者団体、製薬企業及び有識者の意見を踏まえて検討を行った上で実装を目指すという2点を記載いたしました。
 最後に20ページからは、大項目には入らないものの重要と考えられる取組を、その他としてまとめております。まず、2019年版とりまとめの後の社会情勢を踏まえた方策、及び生成AI等の新たな技術や手法による、医療環境や海外での治験・臨床試験の変化への備えです。2019年版とりまとめ直後から発生した新型コロナウイルス感染症の影響や、生成AI等の技術革新が、医療全体に大きな影響を与えることについて記載しております。このような状況を踏まえて、継続的に情報収集を行うことや、重大な状況の変化があった場合には、本とりまとめの見直しも含めて検討を行うこと。技術革新や新たな手法の登場により、世界での治験・臨床試験の動向に変化が生じることも考えられるため、革新的な技術・手法を積極的に政策に取り入れることについて記載いたしました。
 続いて、認定臨床研究審査委員会やIRBの質の確保です。委員会の委員及び事務局職員に向けた研修や、ウェブサイトにおける委員会の議事録等の情報の公開、CRB間での意見交換、業務審査の相互評価を行うことで、審査の質の向上を図ること。また、必要に応じて「臨床研究法」や「薬機法」に基づく指導を行うことにより、質の確保を行うことについて記載しております。
 続いて、21ページに移ります。特定臨床研究における保険外併用療養費制度の周知です。未承認薬、又は適応外の医薬品等を用いる特定臨床研究において、保険診療上の解釈が医療機関ごとに異なっているという指摘があったことを受け、研究者への保険外併用療養費制度の周知及びAMED研究事業への申請時のチェックリストの提出を検討するなど、保険外併用療養費制度の適正化を図ることを記載いたしました。
 最後に、治験・臨床試験以外の臨床研究等についての本とりまとめを踏まえた種々の取組についてです。治験・臨床試験以外の疫学研究等の臨床研究について、リアルワールドデータの活用や電子カルテ情報の標準化、医療DXの推進、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の見直し、生物統計家の育成など、治験・臨床試験以外の臨床研究等の推進にもつながる種々の取組を行っていくことについて記載いたしました。
 前段の治験の推進に関する部分については以上です。続いて、臨床研究中核病院の部分については、大湖から説明いたします。
○医政局研究開発政策課課長補佐 それでは、22ページ目を御覧ください。臨床研究中核病院のあり方に関してですが、全体として三部構成になっています。22ページ目からの大項目Ⅰ.背景・課題、そして大項目Ⅱ.臨床研究中核病院に係るこれまでの議論、そして後から触れますが、24ページ目からのⅢ.臨床研究中核病院の今後のあり方から構成されています。
 まず、最初の大項目Ⅰ.背景・課題からです。我が国の臨床研究の拠点については、平成23年から「早期・探索的臨床試験拠点」を、平成24年から「臨床研究品質確保体制整備病院」を選定する事業を実施しました。平成27年4月からは、同事業を発展させ、日本発の革新的医薬品・医療機器の開発などに必要となる質の高い臨床研究を推進するため、国際水準の臨床研究や医師主導治験の中心的役割を担う病院として「臨床研究中核病院」を「医療法」上に位置付け、その体制整備等を進めてきました。臨床研究中核病院に対しては、質の高い治験・臨床試験の実施、人材育成、他施設支援等の役割が求められ、それに対応した要件を設定してきました。
 2019年版とりまとめでは、臨床研究中核病院の役割及び機能の整理、それを踏まえた承認要件の見直し等について策定し、継続して治験・臨床試験の活性化に取り組んできており、その後の臨床試験を取り巻く環境の変化や、「創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議」等の指摘などを踏まえ、臨床研究中核病院のあり方を再度検討することとしました。今般、本部会において今後の臨床研究中核病院のあり方について議論を頂いており、基本的な考え方や今後の対応等について整理を行っています。以上が背景・課題となります。
 続きまして、大項目Ⅱ.臨床研究中核病院に係るこれまでの議論になりますが、(1)臨床研究中核病院の役割・機能です。各拠点の特色をいかした治験・臨床試験の実施及び「イノベーション」と「診療の最適化」につながる研究の実施になります。臨床研究中核病院を含む拠点のあり方については、各拠点がそれぞれの拠点の特色をいかし、治験・臨床試験の実施を推進し、薬事承認につながった臨床試験を評価するとともに、承認を目的としない試験でガイドラインに反映され診療の最適化につながった研究も評価するべきとの御意見を頂いています。また、新たな治験・臨床試験のデザイン・手法の開発や、その実践に取り組むほか、他の医療機関向けに教育研修を行うことが望まれるという意見を頂きました。さらに、臨床研究中核病院の中でも、ナショナルセンターは専門病院の強みをいかした治験・臨床試験を推進し、総合病院は領域横断や診療科連携、例えば複数疾患を合併する患者での試験など、総合大学の附属病院は医工連携などによる開発に強みを発揮することを期待するとの御意見もありました。
 続きまして、人員配置・構造設備の体制整備、専門性と実績に相応しいキャリア・インセンティブの用意です。臨床研究中核病院には、治験・臨床試験を推進するための人員配置・構造設備が求められ、さらに、専門性と実績に相応しいキャリアパスや待遇等におけるインセンティブを提供できることが求められるとの御意見を頂きました。
 続いて、他の医療機関との連携です。研究を進めるに当たり、臨床研究中核病院間や、非臨床研究中核病院とのネットワーク形成において、NC、JIHS及びNHOとの連携も必要であるとの御意見を頂きました。
 続きまして、(2)国際競争力が高く、優れた臨床開発力を有する臨床研究中核病院に係る議論です。治験・臨床試験領域で世界をリードする病院として、臨床研究中核病院のうち、世界をリードするような国際競争力が高い病院を特に評価すべきとの御意見を頂きました。さらに、国際共同治験を含むFIH試験の実施体制として、国際競争力が高い病院は、革新的モダリティに対応可能なFIH試験を実施できる体制を持つ必要があるとの御意見を頂きました。薬事承認への貢献としては、国際共同試験を積極的に実施し、薬事承認への貢献実績を評価するべきとの御意見を頂きました。
 続いて、24ページ目です。「国際競争力」や「臨床開発力」の評価方法の検討、適切な評価指標や評価期間の検討です。国際競争力が高く、優れた臨床開発力を有する臨床研究中核病院が有すべき国際競争力・臨床開発力を評価するための適切な評価指標・長期的な評価期間の検討が求められるとの御意見を頂きました。
 続きまして、(3)特定領域における臨床研究中核病院に係る議論です。1つ目として、疾患領域ごとのネットワーク構築、ハブとしての役割、2つ目として、NC等の特定領域を専門とする医療・研究機関との連携による治験・臨床試験の立案・実施支援です。小児領域、感染症領域、神経・精神疾患、循環器領域、高齢者医療領域等の特定領域について、臨床研究中核病院はハブとしての役割が求められ、特定領域における治験・臨床試験実施では、NC等の特定領域を専門とする医療・研究機関との連携が必要であるとの御意見がありました。しかしながら、特定領域型の臨床研究中核病院の承認実績がないことが課題であるとの御意見もありました。
 以上、臨床研究中核病院の役割の整理及び求める機能についての議論を進め、本部会として臨床研究中核病院の今後の方向性を大項目Ⅲのとおりまとめています。
 まず、最初ですが、(1)臨床研究中核病院の役割・機能を踏まえた承認要件の見直しです。1つ目、「創薬」、「医療機器開発」及び「診療の最適化」への貢献として、現行の治験・臨床試験の件数のみでの評価ではなく、「薬事承認」や「診療ガイドラインの作成・改定」に至った治験・臨床試験をより重みのある評価を行うための要件を検討します。また、現行の基準では、医師主導治験のみを評価していますが、企業治験についても一定の評価を検討します。
 続きまして、各拠点の特徴を評価できるポイント制を導入です。25ページですが、医工連携等の各拠点の特色や、「薬事承認」や「診療ガイドラインの作成・改定」に至った実績を、適切かつ柔軟に評価するためのポイント制の導入を検討します。
 続きまして、実績の要件を評価する期間(年数)の検討です。現行の治験・臨床試験の実施件数の要件に係る3年という評価期間を更に延長することが適切かを検討します。
 続きまして、専門性と実績に相応しいキャリア・インセンティブの実践です。長期的に雇用を安定させることで、優れた人材の持続的な育成が望まれます。キャリアプランの構築と実践を臨床研究中核病院の承認要件に盛り込むことも検討します。
 続きまして、承認の取消等基準の明確化です。例えば、組織的な研究不正、研究における重大な医療事故に対する不適切な対応(隠蔽、放置、虚偽説明等)、研究関連での不正請求、悪質な虚偽の実績報告、複数年に及ぶ承認要件未達等を、臨床研究中核病院の承認の取消し等を行う基準として検討します。
 続いて、(2)「国際拠点型臨床研究中核病院」(仮称)の新設についてです。臨床研究中核病院の中でも、国際共同治験・臨床試験実施の主導及び海外から依頼される国際共同治験・臨床試験にも対応できる優れた拠点として、「国際拠点型臨床研究中核病院」の新設を検討します。
 続きまして、(3)特定領域に係る臨床研究中核病院の見直しです。特定領域の治験・臨床試験については、NC及びJIHSの役割を踏まえ、既存の治験・臨床試験ネットワークも活用しながら、NC及びJIHSが、政策医療領域の治験・臨床試験のネットワークのハブとなるよう、施設の体制面・機能面を強化することにより推進して行くべきという方向性ですが、特定領域に関しては、これまで臨床研究中核病院の承認実績がなかったことを踏まえ、上記ハブの強化と併せて、廃止を含めた制度の見直しを検討します。
 26ページ、(4)その他の役割です。臨床研究中核病院が果たす役割として、下記の事項も求められるため、承認要件の見直しの検討に当たって考慮します。まず、1つ目ですが、レジストリやRWDの収集・抽出、大規模疫学研究の実施です。臨床研究中核病院が、レジストリの構築・運営やRWDの収集・抽出を行い、それらを活用した研究を進めること、また、レジストリやRWDを活用するための体制整備及び他の研究機関への診療データの提供への協力は重要と記載しています。
 続きまして、他の研究機関との連携です。臨床研究中核病院は、我が国の治験・臨床試験レベルの更なる引上げに向けて、臨床研究中核病院間や、NC、JIHS、NHO等の非臨床研究中核病院とのネットワークを形成し、他の医療機関の支援を行い、治験・臨床試験ネットワークにおける中心的な役割を果たす必要があると記載しました。
 続きまして、治験・臨床試験のデザイン・手法の開発及び教育です。新たなモダリティやRWDの活用等に対応した、新しい治験・臨床試験のデザインや手法を開発することも、臨床研究中核病院の重要な役割であり、このため、革新的アプローチの研究開発を行うとともに、自ら実践し、新しいデザイン・手法のノウハウや留意点・手順等を整理した上で、研究従事者向けの教育研修を行うと記載しています。
 続きまして、病院内外を対象にした教育セミナーや講習会等による人材育成です。臨床研究中核病院は率先して、病院内外を対象とした治験・臨床試験に関する教育セミナーや講習会による人材育成に取り組むべきであると記載しました。
 続いて、PPIの啓発・推進です。臨床研究中核病院は、全ての研究に従事する者へのPPIの理解を高める取組を行うべきで、また、臨床研究中核病院は、PPI活動に率先して取り組み、周辺病院の模範となるべきであると記載しました。
 続きまして、27ページ目です。以上を踏まえまして、臨床研究中核病院の新たな具体的な承認要件については、令和7年度の厚生科学特別研究班において検討をしていきます。関係法令の改正については、令和8年度前半をめどに公布、令和8年度中をめどに施行を目指すこととします。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に関して御意見等を頂いていこうと思いますが、全体の分量としても結構多いので、区切って進めさせていただきたいと思います。まず、一番最初の第1の「はじめに」の所に関して、もし何か御意見がありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。ここは専らこれまでの経緯等を説明した所ですので、もしお気付きの点があれば、また後ほど御指摘いただければと思います。
 それでは、具体的な内容に入っていく所になりますが、第2「各項目の背景・課題及び今後の対応等」のⅠ.国際競争力のある治験・臨床試験体制の強化に関して、御意見があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。佐原委員、お願いいたします。
○佐原委員 日本医師会の佐原です。7ページ目の一番最後の○の所なのですが、臨床研究中核病院以外の施設の治験・臨床試験レベルの向上、これは非常に重要な項目ではあるのですが、この内容を見てみますと、国際競争力について述べられていないので、これはこのⅠの節の中に記載するのは違和感を覚えるのですが、いかがでしょうか。
○楠岡部会長 今の点は事務局はいかがですか。
○医政局研究開発政策課室長補佐 佐原先生、御指摘ありがとうございます。こちらの項目については、直接的に国際競争力の話は書いていないのですが、国際共同治験や臨床試験を行うに当たって、例えばDCTへの対応など、そういったことをしなければならないというところで、チームとしての治験・臨床試験の実施能力を向上することで、そういった国際共同治験・臨床試験の誘致を目指すといった趣旨で書かせていただいていて、この項目に置いておくのが一番適切かなと思うのですが、いかがでしょうか。
○佐原委員 この項目自体は非常に重要であって、臨床研究中核病院以外の施設で大事な部分ではあるかと思うので、これを国際競争力に関するⅠの節の中で書かれていることに違和感を覚え、意見をさせていただきました。
○医政局研究開発政策課室長補佐 ありがとうございます。どこの項目に入れるかについては、改めて検討をさせていただければと思います。意見を頂きまして、ありがとうございます。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ほかに御意見はいかがでしょうか。花井委員、どうぞ。
○花井委員 意見というか質問なのですが、7ページのいわゆるファースト・イン・ヒューマン試験の実施について、各臨床研究中核病院が支援する体制の構築を図る中で、「FIH試験における用量探索では、ベイズ流アプローチ等の革新的デザイン」と、例として「ベイズ流アプローチ等」と特出ししてるのですが、それほどまでのものなのでしょうか。統計の専門家もおられると思うのですが、あえて出しているということは、これはかなりFIHにおいて世界的にすごく重要になっているという理解なのでしょうか。
○医政局研究開発政策課室長補佐 ありがとうございます。一応、こういった新しい手法としては期待されている部分のうちの1つかなと思いまして、いろいろ今後変わっていく手法等、これから出てくると思いますが、1つ挙げるとして、取りあえずこれを挙げさせていただいたということになります。
○楠岡部会長 新谷委員、何か御意見はありますか。
○新谷委員 私も、いきなりここにベイズ流アプローチが出てきたのは、会議でそういう話になったことがないのにどうしてかなとは思いました。FIH試験以外の試験でも、統計解析の革新的な手法を用いることというのは重要ではありますので、特にここのFIH試験におけるベイズ流アプローチは書かなくてもいいのではないかという気はしました。
○医政局研究開発政策課室長補佐 ありがとうございました。ここの記載については、また検討させていただきます。
○楠岡部会長 ほかに御意見はいかがでしょうか。なければ、次に9ページの症例集積力の向上の所に関して、御意見があれば、藤原委員、手を挙げておられますか。
○藤原委員 楠岡先生、藤原ですが、手が挙がる機能が壊れているので。10ページの症例集積力の向上の所の下から3行目、症例集積の実績や症例集積力向上を図るということが書いてあるのですが、最近は国際共同治験も多くて、日本の弱いところは、症例集積力が結構あるにもかかわらず、それが海外の企業などに伝わっていないということがあります。是非、ここに、症例集積力の向上を図るとともに、海外に能力を発信するなど、そういう表現を入れていただければと思います。
○医政局研究開発政策課室長補佐 藤原先生、ありがとうございました。こちらの部分に海外への発信についての記載も入れることという意見を承りましたので、修正させていただければと思います。
○楠岡部会長 ありがとうございます。ほかに御意見はいかがでしょうか。花井委員、どうぞ。
○花井委員 また若干細かいのですが、9ページのリアルワールドデータについてです。NDBについてもう少し何とかしようという記載はいいと思いますが、PMDAのMID-NETというのは、どちらかというと安全対策というか、PMSというか、そういう文脈のシステムで、リアルワールドデータというものと親和性はどうかなと思いますが、藤原委員、どうですか。このMID-NETというシステム自体が、いわゆる臨床研究上のRWDとはちょっとかけ離れているような気もするのですが、いかがでしょう。
○藤原委員 藤原です。花井委員のおっしゃるとおりで、確かに工夫は要るかなと思います。
○楠岡部会長 MID-NETはもともとは、今、花井委員の指摘されたような目的で作り出してはいるのですが、拡張はできるというところがあることと、現に今、実はMID-NETと国立病院機構で連携して調査するということもやっているので、従来よりもかなり幅広くいろいろなことに対応できるようになってきているかと思います。ですから、その辺りを含めてということで、検討していただければと思います。よろしくお願いいたします。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、次にⅢ.治験・臨床試験手続の効率化に関して、御意見があればお願いしたいと思います。藤原委員、どうぞ。
○藤原委員 12ページのSingle IRB化の推進の所なのですが、これから導入されていくに向けて、規制・手続上の課題解消を図るだけではなくて、これは私も前回どこかで言ったかもしれませんが、Single IRBを入れると、いろいろな機関のシステムとの整合を取ったり、それから契約書類の整合を取ったりなど、ものすごい手間が掛かって、人を増やしたり、システムの改修をしたりという要件があるので、どうしても体制整備を一緒に進めないと進まないだろうなとなります。お金を確保するのは大変なのですが、「体制整備も一緒に図る」とできれば入れていただきたいなと思います。それが1点目です。
 2つ目は12ページの下から2行目の所で、「医薬品以外の治験については」と書いてあるのですが、ほかの箇所は全部「治験・臨床試験」と書いてありますので、整合性を取って、ここも「治験・臨床試験」としていただければと思います。以上です。
○医政局研究開発政策課室長補佐 藤原先生、ありがとうございます。1点目の体制整備の話については、ちょっと記載の仕方を検討させていただければと思います。
 2点目なのですが、ICH-E6 GCPの項目であるということを踏まえて、ここはあえて治験に限定させていただいたのですが、ICH-E6 GCPの対象が基本的には治験に限定されているのかなと思って、このような記載にしたところですが、いかがでしょうか。
○藤原委員 ICH-E6 GCPは別に、「治験」というのは単に日本の用語なので、ICH-E6 GCPは「Clinical trial」なので全部入るので、もし、やるのだったら「臨床試験だけ」と書いたほうがいいかもしれないですが、それだと、なかなか日本の今までの運用とちょっと乖離があるので。今回、例えばR3で大きく変わっているのは、ICH-E6のR3は、確か医薬品などだけに限っていて、医療機器は対象にしませんと明示してあるのですが、それを言い出すと混乱するので、ここはぼやっと「治験・臨床試験」としておいたほうがいいかなと、今は思います。
○医政局研究開発政策課室長補佐 御指摘ありがとうございました。今、頂いた意見を踏まえて修文させていただければと思います。
○楠岡部会長 それでは、谷岡委員、お願いいたします。
○谷岡委員 13ページ目の最後のほうなのですが、こちらの「合わせて」という後で、統一テンプレートの活用や書式の整合ということが書かれています。これは確かに重要ではあると思いますが、前回の議論の中では、治験と特定臨床研究などの基準が合ってない、法令や指針の具体的なプロセスをできるだけ統一化しましょうと、そういうお話からきているのがここかなと思いますが、そうだとすると、少しアウトプットのところだけしか書かれていないのと、もっと広い話なのではないかと私は理解をしていたので、もう少し検討がいるのかなと思いますが、その辺りはいかがでしょうか。
○医政局研究開発政策課室長補佐 谷岡先生、ありがとうございます。おっしゃるとおり、規制の違いによる部分ということも当然あるかと思います。そこについては、12ページで規制の調和という話について記載しています。先ほど正に申し上げたICH-E6の項目で、規制調和の観点について記載しているので、それも踏まえてここの統一的な書式のほうにつながっていくのかなと思っています。
○谷岡委員 ありがとうございます。なるほど。ただ、ICHのお話とは、少し異なる内容かと思いますので、少し検討いただけると有り難いと、私自身は思っているところです。
○医政局研究開発政策課室長補佐 ありがとうございます。検討させていただきます。
○谷岡委員 お願いします。
○楠岡部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、Ⅳ.治験コストの透明化の向上の点に関しては、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。Fair Market Valueに関しては、実際、経験されている所が余りないので、今年度、それを実際やっていただく形で、経験を積んでいただくということ。それから、かなり臨床試験ごとに算定方法が変わってくるというか、それをどういうふうに算定するかという手順のようなものが、やはり必要だろうということで、今年度、AMEDの臨中病院に対する事業の中でも検討いただくことになっていますので、書きぶりとしてはこのようなものになるかと思いますが、よろしいですか。ありがとうございます。
 それでは、Ⅴ.研究従事者や研究支援人材の育成・インセンティブの点に関して、いかがでしょうか。花井委員、どうぞ。
○花井委員 この課題はずっと言っているわけですよね、結局お金の話ではないかみたいな話になるのですけれど。16ページに、この「健康・医療戦略」と出てきていて、これは内閣府の話なのですよね。とすると、その下に「健康・医療戦略」の期間中に検討を行うと出ていると、主語がよく分からない感じになっていて、ちょっと文章としては唐突感があるのですが。もうちょっと何とかならないかなと思いましたけれど。
○医政局研究開発政策課室長補佐 ありがとうございます。ここについては、「健康・医療戦略」、この文章自体は、おっしゃるとおり内閣府のものですが、そちらのほうでもキャリアアップなどを具体的に示すことが求められていて、その具体的な検討は確か厚労省のほうで行うように書いてあります。なので、「健康・医療戦略」という文章自体は、総合としては内閣府の持ちものなのですが、この検討を行うのは厚労省のほうということで、一応、この記載で矛盾はないかなと。すみません、確かに分かりづらかったかもしれないですけれど、一応、そのように解釈しております。
○楠岡部会長 よろしいでしょうかね。ほかに、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、次のVI.治験・臨床試験に対する国民・患者の理解・参画促進に関して、いかがでしょうか。藤原委員、どうぞ。
○藤原委員 18ページの下から3行目の所で、「jRCT等の臨床試験番号」と書いてあるのですが、これは正確を期して「臨床試験登録番号」にしていただけますか。
○医政局研究開発政策課室長補佐 藤原先生、ありがとうございます。御指摘のように修正いたします。
○楠岡部会長 ほかに、いかがでしょうか。花井委員、どうぞ。
○花井委員 ここは、はっきり悩ましいのですが、「はじめに」の所でも議論しようとしたのですけれど、結局、「はじめに」の所では、臨床試験や治験が医療の一部であると。この「はじめに」のニュアンスは、もうちょっとフワッとしているというか、個別の治験等に対する患者参加というよりも、広い意味で医療の中身として、必要不可欠で、それも医療だよみたいなニュアンスですよね。
 その具体性として、17ページになると、結局PPIの話になってしまっている。例えば、通常の患者さんは保険証を持ったらどこでもフリーアクセスですよと、このときに評価療養という領域があるわけですよね。そうすると、そこでお医者さんは何を言うかというと、これはちょっと一部自己負担でみたいな説明になって、それも実はある意味、特定臨床研究のような医療の延長線上にある研究みたいなものもあるという趣旨において、皆さん受けている医療というのは、保険療養だけではなくて、そういう研究領域も含めて、その中間的なもの。それ以外はもう治験という、これは完全に試験、いわゆる人を対象とした研究がありますよみたいな。これを言葉で説明すると、再生医療だと安確法とか臨床研究法とか、そんなのをしたらますます分からなくなるので、そこを、通常の保険療養を受けている国民一般が、こういう形で医療に紛れ込んでいると分かるようなのが「はじめに」の中身なのではないかと思うのですね。
 このPPIというのはガイドライン、日本のガイドラインもあるのですが、グローバルに言うと、ある種、かなり患者を教育した上で、ちゃんとパイプラインの上流から下流までガッツリと関与するのですよみたいな話で、そのときは、患者というのは割と、そこに関わる患者もある程度スキルを学んでみたいな文脈ではないですか。そうすると、この「はじめに」の話と、ちょっと乖離があるのですよね。だから、このPPIの話は話としてちゃんとするとしても、「はじめに」にあるような、国民全体がこの医療とともにある評価療養などの先進医療といったことも含めて理解するようなものが必要という記載が、どこかに入れられないかと思うわけです。
 あと、jRCTの使いやすさについては、むしろ、最近よく患者会が言われているのは、治験にアクセスしにくいという問題ですね。これは、がんの患者さんや指定難病の患者さんが、どこで何がやられているか分からないけれど、これがもっと見やすかったらいいよねという話であって、どちらかというと、いわゆるリクルーティング。いわゆる被験者のリクルーティングのしやすさと、それから、被験者の治験への参加のしやすさという文脈の話で、これは一部、患者会も言っている話だと思うのです。
 だから、ちょっと似ているのだけれど違った3つの話が一緒に書かれているようなニュアンスになってしまうので、そこをちょっとうまく書けないかなと。今は案がないので余りあれなのですが。このままだともう、結局、具体的にはPPIだけの話になってしまっているという感じがします。
○医政局研究開発政策課室長補佐 ありがとうございます。一応、その他の所の「国民の治験・臨床試験に対する理解については」の所があるのですが、ちょっと不十分かもしれないと、お話を伺っていて思いましたので、ここの書きぶりを増やせるかについては、ちょっと考えたいなと思います。
 あと、後段でおっしゃられていた患者のリクルーティング、逆に患者が参加しやすいという話については、これも、その他の所のプッシュ型で情報提供をするなどといった話があるのかなと思うので、すみません、この瞬間、こうしますというように言えなくて申し訳ないのですが、何か思い付きましたら、ちょっと修正しようかなと思います。ありがとうございます。
○楠岡部会長 ありがとうございます。今、花井委員が指摘されたような内容も含め、17ページの一番最初の節をもうちょっと広げて、その後の2段目からは、全部PPIの話になってしまっているので、そこからPPIに移る、その前枝のつなぎの所を1つ入れられたらいいのではないかという気はします。
○医政局研究開発政策課室長補佐 ありがとうございます。その初段、項目として立てる前の所に、全体としての「はじめに」の所にも書かせていただいた、全体として治験が医療として重要なファクターであるという話を書くみたいな感じで、つなぎを入れさせていただこうかなと思います。
○楠岡部会長 そこは繰り返しになっても構わないと思いますので。やはりPPIの問題点は、本来、PPIを考えなくてはいけない研究者が余り十分理解できていないという、そこがまず最初の問題になってくるので。後半、PPIが非常に詳しくなっていますが、まず、その前半の所を少し拡充するようにしていただければいいかと思います。ほかに、いかがでしょうか。渡部委員、どうぞ。
○渡部委員 jRCTも含めた情報公開のボリュームがかなり大きくなっていまして、今後、患者さんがいろいろ臨床試験の情報を得て、PPI等にも関与してくるのかなというようにイメージしているのですが、結局、情報を公開するだけではなくて、その後、受入先など、そういったところも、やはり強化したほうがいいのではないかなと感じています。「各臨床研究中核病院に設置している治験・臨床試験に関する一般的な相談窓口について周知を図る」というようには書いていただいているのですが、ちょっとそれだけでは不十分なのかなと。むしろ、jRCTで相談窓口等で各試験を出されていると思いますので、そういうところの受入体制も併せて強化など、そういったことも、ちょっと配慮が必要なのかなと思いましたので、意見を言わせていただきました。以上です。
○医政局研究開発政策課室長補佐 ありがとうございます。そういった治験情報の公開をした後の受入れの部分については、どうしましょう、ちょっと記載を増やせるかどうか検討をさせていただければと思います。
○楠岡部会長 ほかに、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、その他の所に移ります。ここは、いかがでしょうか。
 私のほうから。21ページの最後の節の所、「本とりまとめ」の所の文章なのですが、2行目後半に「治験・臨床試験以外の疫学研究等の臨床研究についても」という記載があるのですが、ここで「疫学研究」というと、ちょっとかけ離れすぎているような感じがして、むしろ臨床試験のすぐ隣にあるのは、いわゆる観察研究などに相当するので、「観察研究」といったような言葉のほうがふさわしいのではないかと思いますので、一度また検討をお願いしたいと思います。
○医政局研究開発政策課室長補佐 ありがとうございます。疫学研究ではなく、例えば観察研究にするか、今後、言葉は検討させていただこうと思いますけれども、何か、ちょっと違う、もうちょっと近いところに変えさせていただければと思います。
○楠岡部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、次に臨床研究中核病院のあり方ということで、まず、Ⅰ.背景・課題に関して、もし何か御意見があればお願いいたします。藤原委員、どうぞ。
○藤原委員 1行目の所で、「早期・探索的臨床試験拠点」とあるのですが、その前に、恐らく2008年ぐらいかな、治験中核病院などを厚労省が始めたのがこういう拠点化のいろいろな走りだと思うので、ちょっと日付は覚えていないのですが、厚労省が御自分で設定したので、治験中核病院というのも、ここに、歴史の中に入れておいたほうがいいかなと思います。
○医政局研究開発政策課課長補佐 事務局です。藤原先生、ありがとうございます。頂いた御指摘を踏まえて修文させていただきます。御意見、ありがとうございました。
○楠岡部会長 中核病院という名前の事業で始まったのですが、臨床研究中核病院の話が出てきたので、混乱しないように、途中でこの事業の名前が変わったので、その辺の経緯も分かるような形でお願いしたいと思います。
○医政局研究開発政策課課長補佐 事務局です。楠岡先生、ありがとうございます。
○楠岡部会長 ほかにいかがでしょうか。
 それでは、Ⅱ.臨床研究中核病院に係るこれまでの議論について、何かありましたらお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
 なければ、最後のⅢ.臨床研究中核病院の今後のあり方に関して、御意見があればお願いしたいと思います。
 私のほうから。24ページの(1)の最初の○の所で、「「薬事承認」や「診療ガイドラインの作成・改定」に至った治験・臨床試験をより重みのある評価を行うための」という形なのですけれども、この診療ガイドラインの作成・改定に関しては、必ずしも治験・臨床試験だけではなくて、いわゆるリアルワールド研究も出番があるところなので、そういうようなものも評価したほうがいいと思うのですが。ここの所に、臨床試験だけではなくて、「等」を入れるか何かしていただいたほうがいいのではないかと思います。
○医政局研究開発政策課課長補佐 事務局です。ありがとうございます。現状の様式ですと、リアルワールドデータを使った研究などを記載する所がございますので、そこを含めて、今後の承認要件に含め、より発展的に記載させていただければと思います。
○楠岡部会長 ありがとうございます。それでは、佐原委員、どうぞ。
○佐原委員 この臨床研究中核病院の今後のあり方ということで、24ページ目のⅢの最初の所に、「今後の方向性は以下のとおりとりまとめ」、そして、26、27ページ目にかけて、以上を踏まえ、臨床研究中核病院の新たな具体的な承認要件について、厚労科研で検討をしていくとⅢの最後にまとめられています。結局、これは、具体的な承認要件について、今後検討していく視点を示したものと理解しています。ということであれば、例えば、26ページの上から2つ目の「○他の研究機関との連携」で、「他の医療機関の支援を行い、治験・臨床試験ネットワークにおける中心的な役割を果たす必要がある」とあるように、「必要」性に対して、承認要件としてどういうように考えていくかということを検討していくことにもつながっていくという、そういう理解でよろしいですか。
○医政局研究開発政策課課長補佐 事務局です。佐原先生、御質問と御意見を頂きましてありがとうございます。佐原先生がおっしゃるとおりの御認識で、そのとおりでございます。ありがとうございます。
○佐原委員 ありがとうございます。であれば、この中心的な役割を果たすことをどうやって要件として評価するかを検討していくというように変えておいたほうがいいようにも思います。というのは、Ⅲの(1)、(2)、(3)の所の文章は、文末が、全部「検討する」と結ばれているのですね。それならば、(4)の項目も、「検討する」というように文体をそろえるというか、提言していくほうが、このとりまとめの読む方のためにもなるように思いました。
○医政局研究開発政策課課長補佐 事務局です。佐原先生、御指摘ありがとうございます。(4)のその他の役割の冒頭部分において、「臨床研究中核病院の果たす役割として、下記の事項も求められるため」ということで、承認要件の見直しの検討に当たって下記の項目を検討していくとは記載させていただいております。
○佐原委員 分かりました。どういうようなポイントを要件として認めていくかということが分かるように書かれたほうがいいかなと思いまして、意見をさせていただきました。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ここに書かれていることを全て要件にするかどうかというのを、一応、検討事項として挙げてということで、ただ、実際、現状がどうかということもあるので、厚労科研のほうで、そういうデータを収集したり、いろいろな意見をまとめたりしようと、今年度それを行うといった趣旨です。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。念のため、最後の第4の「おわりに」に関しても、この書きぶりでいいのかどうか御確認いただきたいと思います。花井委員、どうぞ。
○花井委員 第4の「おわりに」でも、やはりPPIのことは非常に気になっていて、臨中の機能としても、その他の役割は結構贅沢に、てんこ盛りになっているのですが。楠岡先生がおっしゃられたPPI自体を逆に研究するほうが知らないということもあるのですが、そもそもPPIは、結局、上流、下流ではHTAも含んだ概念で、ここで扱っているのは、どちらかというと企業がPCというように主張している領域に近い、Patient Centricityと企業は言うのですが。そういう感じで、何かこう、PPIはかなり広い概念なので、普通にPPIの啓発と言われても、多分、啓発できないと思うのですよ。いろいろヨーロッパやアメリカの実態に詳しい所であれば、各領域、いろいろ、治験のデザインや、もちろんHTAのアプレイザルの領域もPPIに含むわけですよね。だから、このPPIの啓発と書いてしまうと、いろいろなところで、何だろう、臨床研究におけるPPIなどとして保留を付けたほうがいいような気が、ちょっと思いました。全体の整理の中で考えてほしいのですが、相当広い概念になっているので、そこのところは、やはり、ちょっと書き方は注意したほうがいいかもしれませんね。
○医政局研究開発政策課室長補佐 ありがとうございます。おっしゃるとおり、想定していたのは、治験におけるPPIというか、臨床試験におけるPPI、試験デザインを一緒に考えるなどといった部分ですので、一応そこは分かるように修文したいと思います。
○楠岡部会長 ありがとうございました。一番は、研究者に自身が行っている研究の社会的影響を考えていただかないといけないという、それをPPIというような形で取り上げているところがあるわけですけれども、今回は、特に治験・臨床試験が中心なので、そこに絞った形で書いていただくと。
 ほかにいかがでしょうか。全体を通して何か御意見があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。藤原委員、どうぞ。その後、川上委員、お願いいたします。
○藤原委員 先ほど手挙げ機能が壊れていたときに、7ページのファースト・イン・ヒューマンの用量探索などでベイズ流アプローチの革新的デザインという所で、意見を言いたかったのですが、日本のフェーズ1をやっている方々、健常人のフェーズ1をやっているフェーズ1クリニックみたいな所には、余り科学性がない所もたくさんあります。ですので、これから先は、ファースト・イン・ヒューマンをやるのであったら、こういういろいろな科学のレベルが高い所が必要だという観点から、フェーズ1だと恐らくベイズ流のエスカレーションが最近の主流ですから、できれば具体的に「ベイズ流アプローチ等の革新デザイン」などと書いたほうがいいかと私は思います。フェーズ1をやっている生物統計の先生に、その点を確認いただければと思います。
 それから、PPIに関しては非常に大事なのですが、もう1つ、国民に向けて本当は大事かなと私が思っているのは、ヘルスリテラシーです。「はじめに」の所にも書いてありましたが、何で臨床試験や臨床研究をやっているかという国民の理解が少なく、製薬企業が開発したものが製品になるだけでは全く意味がなくて、医療全般が向上していくことが非常に大事です。また、コロナ禍で非常に課題になったのですが、プラセボを使ったような試験ができないなどという人がいて、新しいものが毒になるか薬になるか分からない段階で、プラセボと比較するのは当然の話なのですが、その理解度が、日本はマスメディアも国民も医療者もみんな非常に少ないところがあって、そういうところをもう一遍教育し直す。これは文科省の話だとは思うのですが、先ほどのいろいろな検討をする際には、花井さんのところを膨らませる際に、ヘルスリテラシーなどというのも入れたほうがいいかと思いました。以上です。
○医政局研究開発政策課室長補佐 ありがとうございます。FIHのほうについては、先ほどもらった意見も含めて考えさせていただきます。ヘルスリテラシーのことについては、どこに入れるかも含めて考えますが、何らか書けるように手配しようと思います。
○楠岡部会長 ありがとうございました。川上委員、どうぞ。
○川上委員 内容に関することではないのですが、最後のページの委員名簿に、是非、浜松医科大学学長の渡邉裕司委員を追記していただきたいと思いまして発言いたしました。よろしくお願いいたします。
○医政局研究開発政策課室長補佐 ありがとうございます。すみません、委員名簿については適切に修正するようにいたします。
○楠岡部会長 ほかにいかがでしょうか。神里委員、どうぞ。
○神里委員 人材の育成の所なのですが、ここに書いてある人材育成は、今、既に現場にいる方についての人材育成のような書き方になっていると思うのですが、健康・医療戦略の令和7年度版には、まだ教育過程にある人の人材養成の中で、治験や臨床試験の実施意義等についての教育強化をするということが掲げられているので、もし可能であれば、養成過程にある方についての教育も少し入れられたらと思いますが、いかがでしょうか。
○医政局研究開発政策課室長補佐 ありがとうございます。おっしゃっている部分は確かに非常に重要だと認識していますが、縦割りみたいな話をして申し訳ないのですが、厳密には教育過程の人材育成は完全に文科省の分野になってしまっていて、この文章に直接書き込めるかどうかは調整が必要なので、この場で入れるとか検討するとか言い切れなくて申し訳ないのですが、文科省に相談してみようと思います。
○神里委員 承知しました。ありがとうございます。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ほかはいかがですか。かつての治験・臨床研究の促進に関する検討のときに、当時は検討会を作ってやっていたので、文科省も一緒に入ってやっていて、そのときには、結構、学校教育にもっと治験などのことを広めるべきであるという意見があって、報告書にも一部載ったことはあるのですが、結局余り変わらずじまいで今に来ているというところです。今回、この検討は厚労省が臨床研究部会で行うという形になっていて、どうしてもその辺りが落ちてしまうところもあると思いますので、またそれも検討していただいてということで、お願いしたいと思います。ほかにいかがですか。近藤委員、どうぞ。
○近藤委員 近藤です。本当にささいな点なのですが、議事次第のほうでは、「推進に係る今後の方向性」になっているのですが、今回のものでは、「臨床試験の推進に関する」というような形で、「係る」から「関する」に文言が変えられているというのは、これは「係る」ではなくてよろしいのですか。以上です。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局です。すみません、これは完全に事務局のミスとして整合性の取れない議事次第になってしまっていて、失礼いたしました。従前、委員の先生方にお見せしている資料も、この資料1のとおり、「関する今後の方向性について」なので、こちらのほうで進めさせていただければと思っております。
○近藤委員 ありがとうございます。
○楠岡部会長 ありがとうございました。貴重な御指摘です。ほかはいかがですか。もし特に御意見がないようであれば、ただいま頂きました幾つかの御指摘の点に関して、事務局のほうで少し修文等を行い、また御指摘いただいた先生にも確認を頂いた上で、最終版にとりまとめていただきたいと思いますが、そのとりまとめに関しては、座長預かりということにさせていただきたいと思いますが、よろしいですか。それでは、座長預かりということで、今後進めさせていただきたいと思います。今後、最終版等に関しても、またメール等で御確認いただいた上で、できれば6月に公表できるようにしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、次の「その他」に関して事務局からお願いいたします。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局から連絡事項です。参考資料の御説明になります。参考資料1を御覧ください。今回のとりまとめの参考資料です。分量が多いので、一つ一つの御説明は時間がないかと思いますので、適宜、御覧いただけたらと思います。
 続きまして参考資料2に移ります。1ページ目を御覧ください。お陰さまをもちまして、本年5月15日に改正臨床研究法の関連通知を発出しまして、5月31日に改正臨床研究法が施行となりました。部会の先生におかれましては、御尽力賜り、誠にありがとうございます。
 2ページ目を御覧ください。今回の改正事項の適用に関する相談窓口を設置いたしました。適応外医薬品等の特定臨床研究からの除外基準への該当性や、「著しい負担を与える検査等」の該当性に係る相談を受け付けております。
続いて3ページ目を御覧ください。刑法改正により、懲役と禁錮が廃止され、新たな刑として拘禁刑が創設されました。それに伴い、臨床研究法が一部改正となっております。
 4ページ目を御覧ください。令和7年5月30日付けで「広島大学病院」が臨床研究中核病院に承認されましたので、御報告いたします。
 最後に参考資料3を御覧ください。CRBの設置状況を1、2ページに、jRCTに登録されている治験及び臨床研究などの状況についても3ページに御紹介しておりますので、適宜、御覧いただければと思います。
○医政局研究開発政策課課長補佐 また、楠岡部会長におかれましては、来月7月7日で御退任となります関係で、本日の会議が最後の御出席となります。臨床研究部会の設置の当初より部会長を務めていただき、長きにわたり御尽力いただきました。事務局を代表して御礼申し上げます。そして、本とりまとめを世に送り出すことを楠岡先生と御一緒できたことは、我々事務局一同にとって貴重な経験となりました。本とりまとめを基に、我が国の患者さん、そして世界の患者さんに、より良い医療を提供できるよう、事務局一同、尽力してまいります。最後に重ねてお礼を申し上げます。
 もし、よろしければ、楠岡先生から御挨拶を頂けますか。
○楠岡部会長 楠岡です。ただいま事務局からお話がございましたように、任期がもうすぐ切れますので、本日の会議が、私自身が出席する会議の最後になるかと思います。事務局からの御説明もございましたが、この臨床研究部会は、第1回が2017年8月に開催されておりますので、それから約8年近く関わってきたことになるかと思います。
 この臨床研究部会が設置された経緯ですが、臨床研究法が2017年4月に公布されまして、公布より1年以内に施行するということになっていたわけでありますが、実際、施行する場合には、法だけではなくて実際の省令、臨床研究実施基準を策定しなければならないということで、その実施基準を作るための部会として、この臨床研究部会が設置された次第であります。結局、平成30年2月、1年以内のところで最終案ができまして、1年以内に無事施行に至ったというような形であります。
 臨床研究法が出来上がった経緯は、御承知のとおり、2013年の例のディオバンの件がありまして、それの検討会の中で、やはり臨床研究に関する法律が要るだろうという答申が出まして、2014年4月に臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会が設けられました。私もその委員に入っていたわけでありますが、ここで12月までの間に検討し、最終的にやはり法律を作るべきだという結論になりまして、この臨床研究法が出来上がった次第であります。ただ、結論が出てから、実際に臨床研究法として成立するまでには、3年ぐらい時間が掛かっております。これは、法律を作るのが初めてということがあって、いろいろ事務局も大変だったということや、出来上がったのですが、そのときの国会情勢でなかなか上程ができずに、少し時間が掛かってしまったというようなことで、最終的に今申し上げたような経緯になっております。
 そういう意味で、臨床研究法の始めのところから本日まで、いろいろ関わらせていただきまして、私自身もいろいろ勉強になりましたし、また、先生方にもいろいろ御協力いただいたことに心から感謝申し上げまして、お礼の言葉にさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○医政局研究開発政策課課長補佐 楠岡先生、ありがとうございました。今後の部会長の選任については、改めて御連絡させていただきます。次回の開催については、委員の皆様に追って事務局より連絡を差し上げます。事務局からは以上です。
○楠岡部会長 それでは、以上をもちまして本日の部会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。