第214回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

日時

令和7年6月20日(金)14:00~16:00

場所

会場
厚生労働省 専用16会議室及びオンライン
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 5階国会側)
傍聴会場
厚生労働省 職業安定局雇用開発企画課会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館14階国会側)

議事

2025-6-20 労働政策審議会職業安定分科会(第214回)
 
○阿部分科会長 皆さん、こんにちは。定刻より若干早いようですが、御出席予定の皆様はお揃いですので、ただいまから第214回「労働政策審議会職業安定分科会」を開催したいと思います。
 皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 本日の委員の出欠状況ですが、労働者代表の西委員、使用者代表の小阪委員、馬渡委員は御欠席と伺っております。なお、公益代表の黒澤委員におかれましては、所用により途中で御退席と伺っております。
 本日の分科会は、Zoomによるオンラインと会場での開催となっております。オンラインでの発言方法等につきましては、事前に事務局より送付している「職業安定分科会の開催参加方法について」に沿って操作いただきますようよろしくお願いいたします。
 当会議においては原則ペーパーレスとしております。また、オンラインで御参加いただいている委員の皆様におかれましては、原則として画面をオンにしていただくようお願いいたします。
 それでは、議事に入りたいと思います。
 議題1「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」です。事務局より説明をお願いいたします。
○佐藤地域雇用対策課長 地域雇用対策課長の佐藤でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、資料1-1「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」でございます。2ページ目に大臣から審議会宛ての公文が記載されております。
 続きまして、次のページでございます。雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱でございます。
 第一 地域雇用開発助成金制度の改正
 雇用保険法施行規則附則第十五条の七に規定する地域雇用開発コース奨励金に関する暫定措置を令和八年三月三十一日まで延長すること。
 第二 施行期日
 この省令は、公布の日から施行すること。
 続きまして、資料1-2「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案(概要)」でございます。概要について御説明させていただきます。
 「1 改正の趣旨」でございます。令和6年能登半島地震発生後に講じました地域雇用開発助成金の特例措置について、その期限を延長するため、改正を行うという趣旨でございます。
 「2 改正の概要」でございます。令和6年7月1日に創設いたしました地域雇用開発助成金の特例措置が今年、令和7年6月30日で切れてしまいますことから、今般、石川県の状況等を踏まえまして、令和8年3月31日まで延長するという措置を講ずるものでございます。
 ただいま申し上げました状況等について詳しく説明させていただきます。状況について石川県及び労働局に確認させていただきました。まず、石川県に確認しましたところ、被災地の復興は進んでいるものの、能登半島地震の後に発生いたしました奥能登の集中豪雨の影響や建設業者の方々の人手不足、こういったものも関係し、被災地の事業復興についてはまだ道半ばであるというようなお話を伺っております。そのため、仮復旧や仮店舗に取り組む事業者が多く、本復旧にはもう少し時間がかかるのではないかというようなお話を伺っているところでございます。また、石川県からは、やはり能登半島の地理的な要因でライフラインの復旧も遅れが生じ、約4割の事業所が本格営業に至っていないと聞いております。被災地の事業所では、今のところ、応急修繕や仮店舗・仮作業場の確保で整備をしている段階であるとお聞きしています。こうした状況を踏まえまして、本復旧に向けて特例措置の適用を受けるために必要な計画書を提出できる段階ではないという事業所が相当数見込まれるということもあり、石川県のほうからも要望を頂いている状況でございます。
 続きまして、労働局からヒアリングした状況について3点ほど申し上げます。1点目は、やはり石川県のヒアリング内容と同じなのですが、依然としてインフラの復旧等が遅れているため、本格的な再開に踏み切れない事業所が存在すると聞いております。2点目は、仮に事業所を再開した場合、被災地に十分に人が戻っていないと雇入れまで不安が残っているというようなお話が聞こえているところでございます。3点目としましては、今、労働局のほうに120件ほどの相談が寄せられているということでございまして、その相談の120件の内訳が、事業主本人から61件ほど、社会保険労務士のほうから21件、その他38件ということでございまして、特に医療、福祉、建設、製造業からの問合せが多いと聞いております。
 その他、石川県としても、令和7年度は「復興元年」と位置づけていると聞いておりまして、建設事業者も今までよりも多く他県から参入してもらっているということで、インフラ等の整備もこれから進むのではないか、よって被災地での本格再開する事業所も多くなってくるのではないかというようなお話もございました。また、今年の4月に石川県が被災者に住まい再建に係る意向調査を行ったところ、被災地から避難している方々の約7割が被災地に戻る希望を持っていることから、今後、雇用確保・支援に係るニーズは高まると考えているということもお話いただいているところでございます。また、活用を検討している事業所からは、活用はしたいのだけれども、期限に間に合いそうもない、これはどうにかならないのかというような相談もあるということを聞いております。
 以上のことから、地域雇用開発助成金の活用が今後増加するものと想定されるため、期間の延長が必要であると判断した次第でございます。
 また、延長期間を年度末とした理由について簡単に申し上げます。特例措置の延長期間につきましては、当初6か月であるとか年度末、期間については検討させていただいたのですけれども、仮に6か月延長とすると、先ほど御説明いたしました石川県が復興元年と位置づけて被災地の復興を行っている年度途中に国の支援が切れてしまうということで、ネガティブなメッセージ発信となることを避ける意味合いもございますし、会計年度でもある年度末での延長が適当であると判断した次第でございます。
 続きまして、資料1-2に戻ります。現行制度の概要についてでございますが、こちらは参考資料1をお願いします。特例措置と通常の地開金の比較表でございます。大きく3点違っております。
 まず、1点目が設置・整備費用の範囲の拡大でございます。左に赤文字で書いてありますとおり、復旧のために行った修繕費をまず算入できるようにしている。また、宿舎の新設、増設、購入、賃貸、通勤車両の借上げに要した費用も含めることとしています。
 2点目に労働者の範囲の拡大でございます。赤字で書いてありますように、令和6年1月1日から同年6月30日までの間に一時離職した方も雇入れ人数として算入することが可能でございます。
 3点目は、設置・整備費用及び対象労働者の要件の緩和を行っております。まず、通常ですと300万円以上かつ3人以上となっているところを特例のほうでは費用額を下げまして100万円以上、人数も2名以上にして金額も増額しております。
 資料1-2に戻っていただいてよろしいでしょうか。続きまして「3.根拠条項」は、雇用保険法第62条第1項第5号及び第2項、「4.施行期日等」は、公布日令和7年7月1日予定でございます。施行期日は公布の日です。
 以上、説明でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
 それでは、本件について御質問、御意見がございましたら、挙手または手を挙げるボタンをクリックし、私が指名した後にお名前を名のってから御発言いただきますようお願いいたします。
 新田委員、お願いします。
○新田委員 経団連の新田でございます。
 石川の現地の様子を含めた詳細な説明、どうもありがとうございました。地震発生から1年半が経過したもののまだまだ復興途中という現状について認識を新たにしたところでございます。まずは被災者の方々、遺族の方々に改めてお悔やみ申し上げます。
 今回の特例の延長につきましては、石川の状況や申請の相談件数120件といった実態を踏まえて総合的に判断した結果と受け止めているところでございます。したがいまして、延長について何ら異存はございません。
 一方で、先のコロナ禍の対応として雇用調整助成金の特例措置の延長が繰り返された結果、その財源であります雇用安定資金をはじめとする雇用保険財政が極めて危機的状況に陥ってしまったことは記憶に新しいところでございます。
 また、今後、こういった特例の延長を検討するに当たりましては、当然、先ほど御紹介いただいたような現地の状況あるいは助成金のニーズ等々をしっかり検討することが大事です。この分科会でそういった現地の状況を皆さんと共有させていただいて議論した上で、慎重に判断するということが望ましいと思っておりますので、諮問の前にそういった議論をこの分科会で行った上で対応していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 私からは以上でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございます。
 では、冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
 今の新田委員の御意見に賛同するところです。内容については特段異論ございませんが、足元では、あまり申請件数は増えていないけれども、相談は来ているということですので、適切な利用が進むように周知や相談を丁寧に実施いただきたいと思います。
 以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 先ほど新田委員のほうから、今回のような特例措置の延長に当たっては、事前に現地状況を審議会委員で共有し、議論した上で、諮問の答申にしたいという旨の御発言がありました。今回は、残念ながら現地状況の共有というのは、今、事務局から現地状況について情報提供がありましたが、私も新田委員のおっしゃることはよく理解できて、やはりこういった特例措置を行っている場合については、日頃から我々で現地状況を共有して延長等にも備えるということも必要かと思いますので、ぜひ事務局におかれましては、新田委員のおっしゃったような現地状況の共有を今後もしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 事務局のほうから何か御発言ございますか。
○佐藤地域雇用対策課長 今、委員から御指摘を頂きましたので、今後も石川県の復興状況や労働局の申請状況の情報は丁寧にすくい上げて、仮に再延長というようなことになった場合、現時点ではまだ判断がつきませんし、考えてはいないのですが、仮にそういうような状況になった場合には、また丁寧な説明に加えまして、こちらの分科会委員の先生方にお諮りするという運びになろうかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 よろしくお願いいたします。
 ほかに御質問、御意見はございませんでしょうか。
 特にないようでしたら、当分科会は議題1について厚生労働省案をおおむね妥当と認め、その旨を私から御報告申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
(首肯する委員あり)
○阿部分科会長 ありがとうございます。
 それでは、報告文(案)の表示をお願いいたします。
(報告文(案)表示)
○阿部分科会長 表示された報告文(案)により、労働政策審議会会長宛て報告することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○阿部分科会長 ありがとうございます。
 それでは、そのように報告させていただきます。
 本議題は以上となります。
 それでは、続いて、議題2です。事務局より説明をお願いいたします。
○吉田雇用政策課長 続きまして、議題の2つ目は政策評価についてであります。
 政策評価につきましては、本分科会におきまして、毎年夏の時期に前年度の評価、その年の年末に中間評価という形で御議論いただいております。今回につきましては、前年度(2024年度)の結果が取りまとまりましたので、その結果について御報告し、そして新年度(2025年度)の目標について御議論いただきたいということでございます。
 資料2-1が2024年度の評価についてまとめたものです。評価につきましては、ハローワークに関係する指標を中心に12の項目で構成されております。
 1ページは、ハローワーク関係の指標が7つ掲載されております。この表の一番右側が2024年度の実績です。2024年度の実績の列で括弧の中に達成率と書いていますのが目標に対してどうだったかということであります。100%を超えているものが達成、100%に届いていないものが未達成ということになります。
 この項目を見ていただきますと、項目の1番と2番、そして6番の中の実践コースにつきましては、100を下回っていて未達成という結果となっております。各項目について詳細を御説明いたします。
 3ページ目をお開きください。1番の項目「ハローワーク求職者の就職率」です。こちらにつきましては、25.9%という結果で、中間評価の時点の実績を上回ってはおりますが、目標に対しては未達成となりました。要因につきましては、2つ目のポツに分析を書いております。都道府県労働局の報告によりますと、人手不足に伴い、企業の省人化の影響でハローワークが従来得意としていたサービスや製造の求人が減っているということ、また、物価高騰などによる影響で求職者が賃金や勤務時間といった条件がよりよい求人を求めて求人を慎重に検討するということで、求職活動が長期化する傾向が見られるということであります。その結果として紹介件数が減って、今回の結果につながったのではないかと考えられるところであります。今後につきまして、大企業を含め、事業所訪問や求人開拓を積極的に進めるということを3月から始めております。また、事業所の情報を求職者に案内した際の反応などを踏まえて求人内容を改善するなど、求人のフォローアップを行ってまいりたいと思います。また、勉強会等の実施により好事例の横展開も図っていきたいと考えております。
 続きまして、2番の項目「人材確保対策コーナー設置ハローワークにおける人材不足分野の充足数」であります。こちらについては実績が目標を下回る結果となっております。要因についてですが、ウエイトが大きい介護分野において求職申込件数が減少し、結果として目標未達成の要因になったということであります。一方、業界団体と連携したセミナーなどにつきましては、前年度よりも回数を増やして取組を積極的に進めております。今後につきましても、こうした取組をしっかりとやっていくということ、そして今回の目標につきましては、コーナーだけの数を目標としておりましたが、2025年度につきましては、ハローワーク全体での人材不足分野の就職件数に改めて、ハローワーク全体として取り組んでいくということを考えております。
 続きまして、3番の項目「マザーズハローワーク事業」であります。こちらについては目標を達成しております。要因につきましては、担当者制によるきめ細かな職業相談・職業紹介を行ったこと、仕事と子育てが両立しやすい求人の確保が進んだことなどが考えられます。引き続き、仕事と子育ての両立を図りやすい求人の確保に向けて取り組むほか、オンラインを活用したセミナーや職業紹介などを実施してまいります。
 4番の項目「雇用保険受給者の早期再就職割合」についてであります。こちらについても目標を上回る結果となりました。要因につきましては、雇用保険の受給者でありますので、定期的にハローワークに来所されます。そのタイミングでニーズをつかんで、リーフレットやSNSなども使いながら、再就職手当制度の周知あるいは面接会といったイベントの案内など、様々な対策を講じたことが功を奏したと考えております。今後につきましては、これらの施策に引き続き取り組むとともに、より効果的な取組などを職員向けに共有し、全国的に横展開していきたいと考えております。
 5番の項目「就職氷河期世代専門窓口における支援対象者の正社員就職率」についてです。こちらにつきましても、目標を上回る結果となりました。要因としては、氷河期世代歓迎の求人の積極的な確保や、セミナーなどのイベントを各地域の実情に合わせて実施した結果と考えられます。2025年度につきましては、就職氷河期世代専門窓口につきまして、同様の課題感を持つ方に年齢層を広げて中高年層向けの窓口として取り組むこととしております。
 6番の項目「求職者支援訓練受講者の就職率」は、2つの指標で構成されておりまして、基礎コースにつきましては目標達成、実践コースにつきましては目標未達成という結果となっております。未達成となった実践コースですけれども、修了者に占める割合が高いIT分野・デザイン分野において就職率が少し低くなっているということであります。また、地域によっては訓練内容に見合う求人が少なかったということで、求職活動が長期化してしまったということが要因として考えられます。今後につきましては、労働局・ハローワークの効果的な取組を横展開するということ、あるいはノウハウを集めたものを活用しまして、職員の知識の向上やマッチング機能の強化を図ってまいりたいと考えております。
 7番の項目「生活保護受給者等就労自立促進事業の支援対象者の就職率」であります。こちらにつきましては、目標を上回りました。要因としては、ハローワークと地方公共団体の連携の下、両機関の支援チームによる就労支援が着実に実施されたことが考えられます。
 続きまして、成長分野への人材移動に関し指標が2つございます。項目の8番、9番ともに達成率100を下回って未達成となっております。
 8番の項目「早期再就職支援等助成金による再就職者に係る早期再就職割合」につきましては、中間評価の時点の実績を上回っておりますが、年度としての目標は未達成となっております。支援メニューの中で時間を要するものをチョイスする事業主の方の割合が多く、結果として再就職までに時間を要するということになってしまったことが要因ではないかと考えられます。今後につきましては、本年1月に本助成金のリーフレットを新たに作成しましたので、早期再就職の取組の重要性を周知して、早い段階からの再就職支援を促してまいりたいと考えております。
 続きまして、9番の項目「産業雇用安定センターによる出向・移籍の成立率」であります。こちらにつきましては、目標を未達成という結果になっております。要因としましては、大企業による早期希望退職の募集、あるいは小売業の大型店の閉店が2024年度散見されたということでありまして、労働者の送り出しを希望する事業主が増えました。前年同期比で17.5%の増加となっております。これに対応して受入れを希望する事業主を増やさなければならないのですけれども、そちらが追いつかなかったということが原因として考えられます。今後につきましては、送り出し企業に対して丁寧にキャリアコンサルティングを行ってニーズを把握する、それに応じた受入れ企業の開拓を進めていくということ、そしてハローワークと連携する取組を進めたいと思います。さらに、令和6年の能登半島地震の被災地で実施し、一定の効果がありました遠方や在職中の方で時間の余裕が取れない方に対してのオンラインの活用などについても積極的に全国展開していきたいと考えております。
 次に、高齢者・外国人についてであります。10番のハローワークの生涯現役支援窓口でのチーム支援は目標を達成しています。11番のシルバー人材センターにおける会員の就業数については未達成、12番のハローワークの外国人の支援は、定住外国人等、留学生ともに目標を達成したという結果になっております。
 項目の10番「生涯現役支援窓口でのチーム支援による就職率」につきましては、年齢層をおおむね60~64歳向けと65歳以上向けに分けて対応しておりますが、どちらも目標を上回っております。要因としては、ハローワークにおける高齢者の新規求職申込件数が増加傾向で推移していること、そして支援チームが個々の求職者の実態やニーズに応じた支援を進めたことが考えられます。
 項目の11番「シルバー人材センターにおける会員の就業数」についてであります。目標を下回る結果になっております。要因としましては、希望者全員を対象とする65歳までの雇用確保措置の進展や、65歳以上についても就業機会の確保が進み、高齢期において企業で働く方が増加し、高年齢労働者の置かれている状況が以前と変化しているということで、シルバー人材センターの会員数の減少が続いているのが主な要因と考えられます。他方で、以前もこの分科会で御議論がありましたが、シルバー人材センターが提供する地域での就労に対してのニーズも確実に存在すると考えられるところであります。このため、2025年度につきましては、新たに会員数も目標に加えて、会員の確保からしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
 最後の項目12番「外国人雇用サービスセンター等を経由した外国人求職者の就職件数」は、定住外国人等と留学生向け、それぞれ目標を設定しておりますが、ともに目標を上回る結果になっております。
 以上が資料2-1の2024度の振り返りです。
 続きまして、資料2-2、2025年度目標の設定につきましてです。
 1ページ目を開いていただきまして、横置きのシートがございます。順番が前後いたしますけれども、まず、項目のところに「変更」等と書かれているもの、具体的に言いますと、2番、5番、10番、12番から御説明いたします。先ほどの説明の中でも申し上げました2025年度から目標を変更するもの、あるいは新規に追加するものが幾つかございます。
 まず、2番の「ハローワークにおける人材不足分野の就職件数」につきましては、2024年度まではコーナーだけの数字を目標にしておりましたが、2025年度からはハローワーク全体について目標としたいということです。こちらにつきましては、数字の都合上、2年分の平均しか取れませんので、2か年の平均30万4244件を2025年度目標に設定したいと考えております。
 続きまして、5番も変更ですが、就職氷河期世代支援策の対象者を中高年層(ミドルシニア)の同じような課題感を持つ方へ広げるということで、項目名を変更したいということであります。数字につきましては、3年平均よりも実績のほうが高く、2024年度の実績を上回るように取り組みたいということで2025年度の目標を設定しております。
 続きまして、10番は新規の項目で「70歳までの高年齢者就業確保措置の実施率」です。こちらにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、65歳以上の高齢者について雇用の形で働く方が増えています。以前も当分科会で議論がありましたが、そうした状況も踏まえて目標を設定するという観点から、新しい目標を設定するものです。目標の水準につきましては、70歳までの高年齢者就業確保措置の実施割合を2029年までに40%以上にするということが閣議決定で決められております。2029年までに40%という目標につきまして、今、足元2023年度の数字が最新で、31.9%ということで、31.9%から40%まで5年間で水準を上げていくことを考えまして、2025年度につきましては、35.5%という数字を設定したところであります。
 続きまして、12番です。シルバー人材センターについて従前は会員の就業数だけでありましたが、新たに会員数を目標に加えたいということです。会員数につきましては、表の右のほうに数字の推移がございますけれども、毎年減ってきております。ここで歯止めをかけるということで、3年の平均を使いまして、新しい会員数を目標にするということです。
 続きまして、既存の目標についてですが、順に御説明したいと思います。
 まず、目標を達成しているものについてです。具体的に言いますと、項目の3番、4番、6番の一部、7番、11番、13番につきましては、目標を達成しております。目標を達成しているものにつきましては、3年平均を使って従来から目標を設定しておりましたので、そうした形での目標設定にしたいと思っております。ただ、11番につきましては、実績が好調であったことから、さらに高い目標にチャレンジするということで3年平均より高い数値を置いております。また、13番のうち、留学生につきましては、水際の影響で留学生が少なかった影響がまだ残っている学年になりますので、こちらについては目標を据置きしたいという形で記載しております。
 残ったものについては目標未達成の項目になっております。具体的に申し上げますと、1番、6番の一部、8番、9番、12番であります。このうち6、8、12につきましては、再挑戦ということで、2024年度と同じ目標を設定しております。残っている項目は1番と9番でありますが、項目1番につきましては、目標について先ほど御説明したとおりの状況でございます。このため据置きではなくて3年平均を取った26.5%にしたいと考えております。また、産業雇用安定センターにつきましても、今年度も送り出し数の増加が見込まれることから、目標を据置きではなくて3年平均の64.1%としたいと考えております。
 長くなりましたが、説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
 それでは、本件について御質問、御意見がございましたら挙手または手を挙げるボタンをクリックし、私が指名した後にお名前を名のってから御発言いただきますようお願いいたします。いかがでしょうか。
 では、伊藤委員、お願いいたします。
○伊藤委員 御説明ありがとうございました。
 まず、2024年度の評価に関し、一定の項目で目標を達成していることにつきましては、関係者の皆様の取組の成果だと認識しております。また、その一方で、目標未達の項目につきましては、その要因は資料に記載されているところでありますが、引き続き詳細に要因の分析をしっかり行っていただいた上で、2025年度の施策に積極的に生かしていただきたいと考えています。
 特に目標に及ばない結果となっている中でも、⑨の産業雇用安定センターにつきましては、資料2-1、9ページにも記載がございますけれども、労働者を受け入れる事業主の開拓を一層強化するなど、成立率を高めていくための取組強化をお願いしたいと考えております。
 また、資料2-2の2025年度の目標に関しましては、新設された⑩の高年齢者就業確保措置の実施率に関する指標の追加自体は、高齢者の就労支援を推進していく上で意義があると考えているところですが、高齢社会対策大綱に定める2029年の6月までに40%という目標を確実に達成する観点を踏まえますと、前年度の増加率が2.2%であったこと、あるいは早期の目標達成に取り組む観点から、もう少し高い水準での設定ということを検討してはいかがかと思っております。併せて措置の内容としては定年の引上げ、あるいは継続雇用制度の導入など、より安定的な就業になるよう行政による後押しをお願いしたいと考えています。
 以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 では、原委員、お願いいたします。
○原(健)委員 原と申します。御説明ありがとうございました。
 資料2-1の3ページにあります、②人材不足分野の充足数について発言させていただきます。人手不足分野の1つである介護職種を、私の所属組織であるUAゼンセンでも組織化しています。有効求人倍率が4.08倍となっているとおり、人材確保は現場で大きな課題となっております。特にこれから超高齢化社会に向かって進む日本においては切実かつ喫緊の課題と思っております。4ページには、今後の取組として、経験者などを対象とした求人情報の提供や説明会の実施などについての記載がありますけれども、人材不足の深刻さを考えれば、介護分野への就労を想定していない方を含めて担当者の積極的な働きかけが必要と思っております。介護労働者の処遇の低さも大きな課題となっておりますけれども、求職者が介護職場を希望してもらえるような働きやすい環境や労働条件の整備に向けて厚生労働省全体として取り組んでいただきたいですし、人材不足分野の人材確保に向けた実効性のある措置をぜひお願いしたいと思います。
 以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
 ほかに、いかがでしょうか。
 石橋委員、お願いいたします。
○石橋委員 ありがとうございます。
 私のほうから資料2-2、2025年度の目標設定の在り方について意見を申し上げたいと思います。
 一つは、より安定的な雇用確保の観点から、雇用の質に着目した指標について次年度以降に向けて御検討いただきたいと思います。例えば③マザーズハローワークに関しましては、正社員を希望する方のうち正社員での就職が決定した割合を指標化することや、④雇用保険受給者の早期再就職割合や、⑤の就職氷河期世代の方の正社員就職率につきましては、定着率を参考指標とすることなども考えられるのではないかと思います。
 また、目標設定において3か年平均をベースにすること自体を否定するものではございませんが、例えば⑬の外国人求職者の就職件数で見ますと、外国人労働者は年々右肩上がりに増加しています。こうしたことを踏まえますと、外国人労働者数の増加率などを加味することも考えられるのではないかと思いますし、こうした項目に限らず、先ほど変更点の御説明がございましたけれども、より実態を反映し、施策の推進につながるような目標設定についても引き続き御検討いただきたいと思います。
 以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 では、今までの御質問、御意見に対して事務局から何かあればお願いしたいと思います。
○井上首席職業指導官 最初に石橋委員から、3番のマザーズハローワーク、そして雇用保険受給者の早期再就職割合、5番目のミドルシニア専門窓口における正社員就職率に関して御意見を頂いております。
 マザーズハローワークの指標の部分につきましては、もともと仕事と家庭の両立支援を求職者の方が希望しているという状況もございますので、そのニーズをよく踏まえながら検討してまいりたいと考えております。
 2点目の雇用保険受給者の早期再就職割合に関する事項、そしてミドルシニア専門窓口における定着率、この御意見につきましても、技術的な問題を含め、こちらとしても検討してまいりたいと考えております。
○武田高齢者雇用対策課長 高齢者雇用対策課長の武田でございます。
 70歳までの就業確保措置の新設目標について御意見がございました。こちらにつきましては、目標の達成に向けて、社会保険労務士などの資格を有するプランナー499名による相談・援助等、現在、3万3000件について相談・援助等を行っているところでございますが、こういった取組、それから、65歳超雇用推進助成金による支援、企業の好事例の普及、こういったものに取り組んでおりまして、こういったことを進めながら、まずは閣議決定で決定された目標に向けて着実に取り組んでいきたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○仙田人材確保支援総合企画室長 人材確保支援総合企画室、仙田でございます。
 原委員から介護の関係で、今、就業していない人への働きかけ、そういった方が介護の分野を希望していただけるような環境づくりについて実効ある取組が重要であると御指摘を頂戴しました。回答させていただきます。
 まず、ハローワークの取組について申し上げます。確かに求職者確保が非常に大きな課題となっておりますので、今、介護の分野を希望していない方々に対しても介護の分野について知っていただくことが大変重要であると考えております。例えば業界団体でありますとか、同じ公的な職業紹介機関である福祉人材センターと各地で連携を進めておりまして、介護の分野についてこういった仕事がありますとか、こういう魅力がありますといったようなことを求職者の皆さんに御理解いただけるようなセミナーなどを随時開催しておりますので、今後もっと開催回数を増やしていきたいと考えております。また、求職者の方への働きかけと同時に、事業所の皆さんにも働きかけをしていくことが大事だと考えておりまして、例えば求職者の方が働く前に実際の職場に行っていただいて、どういう仕事があるか実地で見ていただいたり、今、働いている方から介護の仕事の魅力についてお話しいただくような、そういう機会設定も非常に重要であると考えていますので、事業所の皆様の協力を得て、そういった場をつくっていきたいと考えております。環境づくりにつきましては、制度所管のほうでも今、いろいろ検討しておりますので、ハローワーク、労働局においても制度所管とよく連携していきたいと考えております。
 以上です。
○向山労働移動支援室長 労働移動支援室長の向山でございます。
 産業雇用安定センターの取組強化ということで伊藤委員のほうから御指摘を頂きました。御承知のとおり、産業雇用安定センターは出向・移籍を中心とした取組をしておりまして、今回、出向・移籍の成立率が目標に達しなかったということでございます。成立率は下がりましたが、成立数に関しましていえば、微減にとどまっているところでございます。しかしながら、受入れの事業所数が減ったということで、取組を強化してまいりたいと思います。
 令和6年度に関しましては、能登半島地震が1月にありまして、能登地域におきましては、産業雇用安定センターを中心といたしまして、復興のための雇用支援ということで出向を中心に据えるということで取組を強化しております。地元の自治体やハローワークと協力いたしまして、出向元企業を訪問してニーズを把握したり、あるいは足を使って出向先の開拓をする。それから、先ほど申し上げたハローワーク等と協力して説明会や面談会を開催するという丁寧な対応をすることによりまして、能登地域を含む石川県の成立率は88%、規模は小さいですけれども、全国平均を大きく上回るような成果を見せておりまして、また、地元からも評価を頂戴しているところでございます。事情は異なりますけれども、こういった震災等の経験も生かしながら、全国に波及するような形で出向先の開拓あるいは面談会の開催等を強化して、産業雇用安定センターの取組を強化してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○南摩海外人材受入就労対策室長 海外人材受入就労対策室長の南摩と申します。
 石橋委員より、外国人労働者数が右肩上がりの増加率の中で、こうした状況を加味して目標の設定をしたらいかがかという御意見を賜りました。外国人労働者数で見ますと、仰せのとおり、右肩上がりの増加状況でございますけれども、増加している中身を見てみますと、特定技能や技人国といった、いわゆる就労資格の労働者が増えております。一方で、ハローワークの主要な利用者は、定住・永住者、そういった資格の方が依然として一定程度いるという状況の中で、外国人労働者数全体の伸びとフィットするかというところは若干見ていかなければならないということがございます。
 また、外国人労働者の目標設定に関しましては、過去3年の実績を見ながら目標設定しているところでございますけれども、コロナの影響が直接的にあった年の数値つきましては、その部分の影響は例外値として捉えて、減り過ぎないような形で目標を設定したという経緯がございます。
 また、留学生の就職件数の実績ですけれども、令和4年度が3002件、令和5年度が2837件、令和6年度が2820件ということで、実績が微減している状況となっております。これはどうしたことかと申し上げますと、やはりコロナの影響、令和2年、3年の入国制限、こういったものの影響がございまして、そのときの入学の人数が減ったというところからしますと、大学であれば令和6年、7年にそういった影響も出てくるというようなこともございまして、目標設定もその辺りに鑑みて設定しているところでございます。いずれにいたしましても、外国人労働者全体の状況も踏まえつつ、また一方で、こうした個別の状況も踏まえまして、適切に目標設定をしてまいりたいと存じます。ありがとうございます。
○阿部分科会長 それでは、委員の皆様から追加で御質問、御意見ございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。
 それでは、私から最後に、何となく恒例になってしまっていますが、シルバー人材センターの評価について。今回、2025年度の目標として会員数というのを追加していただきまして、それはそれで理解できるところではありますが、やはり就業関係でいいますと、ハローワークとのバッティングといいますか、ハローワークの中高年層専門窓口との兼ね合いもあるのではないかと思います。その意味で、以前であればシルバー人材センターの役割というのは理解できますし、非常に社会的な役割もあったということだろうと思いますが、今後、このシルバー人材センターの役割を今までどおりなのか、それとももう少し変えていくのかといったことを考えても良い時期に至っているのではないかと個人的には思うところでございます。ぜひシルバー人材センターとハローワークとの関係というところを踏まえて、今後のシルバー人材の在り方というのを御検討いただけないかと思います。これは私個人としての意見です。もし事務局のほうで何かあればお願いいたします。
○武田高齢者雇用対策課長 御意見ありがとうございます。
 シルバー人材センターとハローワークの関係につきましては、基本的には、一般的な雇用を希望する方はハローワーク、月10日とか週20時間以内の臨・短・軽の仕事を希望する方はシルバー人材センターということで、すみ分けて対応しているところでございますが、ただ、会員の様々なニーズがございますので、そのニーズに応えるために、より長時間働きたい方につきましては、地域の労働市場の状況が許せば、その要件を緩和する一方、70歳以上で健康が万全でない方などにつきましては、そういった方でも就いていただけるような仕事を生み出して提供しているところでございます。いずれにいたしましても、シルバー人材センターの今後の在り方については検討を進めていく必要があると考えておりまして、有識者の御意見も伺いながら検討を進めていきたいと考えております。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
 ほかに委員から御意見が現時点でなければ、こちらの議題は以上にさせていただきたいと思いますが、各委員におかれましては、本日御指摘の点以外に追加で御意見がございましたら、事務局よりお送りします意見記入用紙にて6月30日までに事務局まで御提出いただければと思います。当分科会としての2024年度の評価及び2025年度の目標については、本日の議論に加え、欠席の委員の方々も含め、追加で御提出いただいた場合の御意見も踏まえて、私と事務局で相談して取りまとめていきたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○阿部分科会長 それでは、そのようにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、議題3に移りたいと思います。「『経済財政運営と改革の基本方針2025』等について(報告)」となります。事務局より説明をお願いいたします。
○黒澤総務課長 総務課長でございます。
 資料3を御覧ください。去る6月13日に閣議決定されました「骨太の方針」「新しい資本主義実行計画」「規制改革実施計画」につきまして、職業安定行政関係の主な内容を御報告いたします。
 まず、2ページからになりますが、「骨太の方針」でございます。「三位一体の労働市場改革」という見出しの部分がございますが、労働者のリ・スキリング支援を充実していくこと、また、アンダーラインを引いている部分でございますが、労働移動の円滑化について、職場情報提供サイト(job tag)の機能を強化すること、ハローワークの体制強化やAIの活用を進めることとされております。
 次に、3ページでございます。まず「多様で柔軟な働き方の推進」という項目のところでございますが、全ての就労困難者に届く就労支援に取り組むこと、「出入国在留管理の一層の適正化」のところですが、育成就労制度及び特定技能制度について必要な準備をしていくこと、「就職氷河期世代等への支援」のところですが、関係閣僚会議で決定した基本的な枠組みに基づき、従前からの取組を強化することとされております。
 次に、4ページでございます。「女性・高齢者の活躍」のところですが、高齢社会対策大綱に基づき、年齢に関わりなく希望に応じ活躍し続けられる社会を構築すること、「中長期的な時間軸を見据えた全世代型社会保障の構築」のところですが、医療・介護・障害福祉分野の不適切な人材紹介の問題について実効性ある対策を講ずることとされております。
 次に、6ページからになりますが、「新しい資本主義実行計画」です。まず「人手不足分野における人材確保支援の強化や副業・兼業のマッチング推進」のところですが、118か所のハローワークに設置している専門窓口の増設を図るなど人手不足分野の人材確保に一層効果的に取り組むこと、副業・兼業について長時間労働とならないための予防対策に関する留意点を十分に周知しつつ、マッチングを推進すること、「AI等の技術の進展に応じた幅広い労働者のリ・スキリング」のところですが、デジタル分野のリ・スキリングを推進していくこと、また、アンダーラインを引いている部分ですが、労働者が労働市場に関する情報等を活用して自律的にキャリアを考えられる環境整備を進めることとされております。
 次に、7ページでございます。まず「社内外のスキル・賃金水準の可視化と効果的な情報提供」のところですが、労働者個人が社内外の職種の需給動向や身につけるべきスキル等を把握できるよう求人情報の収集・分析事業の対象を拡大すること、それらの結果をjob tag等を通じて発信すること、労働者が情報にワンストップでアクセスできるプラットフォームを構築すること、「リ・スキリングをはじめとする能力向上支援」のところですが、リ・スキリング支援策について手続のオンライン化を図ることとされております。
 次に、8ページでございます。見出しの①のところは先ほどと同じ内容ですので、説明は省略いたします。②の「労働者が将来のキャリアを見通すためのハローワークの助言機能等の強化」のところでございますが、ハローワークの職員に対してキャリアコンサルタントの資格取得や研修を実施するなど体制強化を図ること、ハローワークインターネットサービスにおけるAIの活用を進め、ハローワークの情報提供や助言機能の強化を加速すること、③の「幹部候補人材の育成の仕組みの構築」のところですが、教育訓練給付等により幹部候補人材の育成を後押しすることとされております。
 次に、9ページでございます。まず「多様な人材の活躍推進」のところですが、同一労働・同一賃金について、パート有期雇用労働法等の在り方について、労働政策審議会で検討すること、「外国人材の受入れに関する制度整備」のところですが、一定の専門性・技能を有する人材の受入れを推進することとされております。
 次に、10ページでございます。「行政保有データの利用制約の緩和」のところですが、雇用保険及び厚生年金のデータを学術利用できる環境を早期に整備することとされております。
 次に、12ページから「規制改革実施計画」です。まず、副業・兼業についてハローワークにおいて効果的なマッチングにつながった事例を周知すること、副業・兼業を支援する地域の関係機関とハローワークの連携を検討すること、職業紹介責任者について一定の要件を満たす場合には複数事業所の兼任を可能とする方向で検討することとされております。
 次に、13ページでございます。まず、有料職業紹介事業について取扱い職種等事項を明示する際に電子メール等の方法が一層活用されるよう実態を把握すること、職業紹介事業及び労働者派遣事業の事業報告について本社等による一括提出やオンライン提出など負担軽減策を検討することとされております。
 最後、14ページでございます。まず、外国人雇用状況について本社等によるオンラインでの一括届出が可能となるようシステム改修等を検討すること、特定技能における在籍型出向の実現について検討することとされております。
 以上、御報告でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
 それでは、本件について御質問、御意見がございましたら、挙手または手を挙げるボタンをクリックし、私が指名した後にお名前を名のってから御発言いただきますようお願いいたします。いかがでしょうか。
 では、冨髙委員、どうぞ。
○冨髙委員 ありがとうございます。
 3点ほど意見を申し上げたいと思います。
 まず、三位一体の労働市場改革についての記載ですが、労働者が自らの意思でよりよい職場を選択するということが重要だと思いますので、その環境整備を図る観点から、資料でも若干触れられてはいますが、能力向上を処遇改善につなげる仕組みの構築や、ハローワークで働く職員の人材育成を含めた体制及び機能強化については、ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。
 次に、副業・兼業については、マッチングの推進等が記載されております。既に長時間労働の観点は記載いただいておりますけれども、JILPTの調査などでは、副業を行う理由として、本業だけでは生活できないからといった理由を選択する割合が高いというデータも示されています。それを考えると、やはり長時間労働になる懸念はあるのだと思います。マッチングに当たりましては、長時間労働の防止、労働者の健康確保の視点を十分踏まえて、ハローワークのみならず民間職業紹介事業者等を含めて周知徹底いただき、対応をお願いしたいと思います。
 それから、規制改革実施計画の中で職業紹介について提言されておりますが、職業紹介責任者の専任規制の見直しはこれから労働力需給制度部会等で議論していくものと認識しています。質の確保ということは記載いただいておりますけれども、要件設定などにおいても、是非その観点を重視して、丁寧な議論をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
 事務局から何かありますか。いいですか。
○黒澤総務課長 事務局でございます。私からまとめて御説明申し上げます。
 まず、1点目、三位一体の改革のほうは、御指摘いただきました能力、処遇の問題、さらにはハローワークの機能強化も積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、副業・兼業のほうも御指摘のとおりでございまして、長時間労働あるいは健康確保の問題に関しましても、十分に注意をしながら労働者の方への職業紹介に当たっていきたいと考えております。
 最後の部分、担当の課長のほうから御説明申し上げます。
○中嶋需給調整事業課長 需給調整事業課長でございます。
 冨髙委員より責任者の関係で御指摘を頂きました。まさに御指摘を頂いたとおりでございまして、私どもも、これは一概に緩和ということではないと考えております。規制改革のワーキングでも議論いたしましたけれども、サービスの質を確保するというのが大前提だということは皆の共通認識であったと考えております。その上で、ここに書かれているような様々なことを含めて考えていくということでありますけれども、責任者の兼任を可能とする具体の要件設定につきましては、これはまさに労政審で議論・結論という形で整理されておりますので、需給部会のほうで議論をお願いしたいと考えているところでございます。しっかりやっていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 それでは、そのほかに御質問、御意見ございますでしょうか。
 黒澤委員、お願いいたします。
○黒澤委員 政策研究大学院大学の黒澤です。どうもありがとうございます。
 これらは皆すばらしいことで、特に三位一体の労働市場改革、スライドの2と7に散らばっている、労働移動の円滑化を図るためにはスキル評価のための検定制度の充実やjob tag機能の強化が重要だという点はおっしゃるとおりだと思っています。ただ、それを実行に移す上でお願いがございます。
 例えばデジタル人材に関しましては、経産省、中でも情報処理推進機構(IPA)がjob tagとは別に独自のスキル情報基盤の構築を進めていらっしゃって、その際、個人IDについてはマイナンバーではなくて独自の識別子を用いる方針であると伺っております。しかしながら、こういう資格制度がいろいろなところで重複乱立するということが起こってしまうと、それは利用者に混乱を招き、構築しようとしている評価基準自体の価値を下げ、普及を逆に妨げる要因になりかねません。縦割り行政の弊害を招かぬよう、関係省庁、監督省庁が連携し、国民全体にとって実効性の高いスキル標準基盤を構築していただくことを強く期待しているということをお伝えさせていただきたいと思います。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
 事務局、何かありますか。
○黒澤総務課長 御指摘ありがとうございます。
 まさにこれからさらにこの整備を推進していくところでございますけれども、一つとして、そういった内容について混乱がないようにすること、またさらには使っていただく方が使いやすいというのが最重要でございますので、省内、省外を含め、関係する部分とはよく連携を取りながら、的確に進めてまいりたいと考えております。ありがとうございました。
○山田局長 ちょっと付け加えます。job tagについては、今、年間アクセス件数2600万件で、毎年、結構コンテンツを増やしていることもあって、前の年度よりも2割アクセス件数は増えています。これは基本的に、今、全職業にはなっていませんけれども、かなりの職業を覆う形でやっていますし、一方で、それぞれの職業の賃金水準のデータだとか、そういった話をどんどん付け加えております。各業界においてもう少し深掘りしたいということであれば、深掘りしていただいてもいいのですけれども、民間に同様の仕組みがないので、job tag自体は、ある意味、業界標準だと思いますので、それと歩調を合わせて連携していただくということについては、各省庁でそういった動きがあったときにはそちらときちんと話をしております。そういうことで、これがハブになるような形にできればと思っております。これは求職者、仕事を探している人だけではなくて、我々のハローワークもそうですし、民間人材ビジネスもそうですし、あと、今、学校の先生にももうちょっと見てもらう、高校や大学の先生にもアクセスしてもらえるように広げていこうと思っておりますが、そういった形で、先生が今、言われた観点もそれぞれ所管省庁とも協力してやっていきたいと思います。
○阿部分科会長 ほかに御質問、御意見ございますか。よろしいですか。
 それでは、本議題は以上とさせていただきます。
 本日予定されている議題は以上で終了いたしましたが、この際、委員の皆様から御発言があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 特段ないようですので、これで本日の分科会は終了したいと思います。ありがとうございました。