第96回 厚生科学審議会感染症部会 議事録

日時

  • 令和7年6月12日(木)15:00~17:00

場所

新橋ビジネスフォーラム(8階)

議題

  1. (1)今後の新型インフルエンザ等感染症等の患者発生時における個別事例情報の公表に係る方針について
  2. (2)薬剤耐性(AMR)対策アクションプランの進捗について(報告)
  3. (3)感染症臨床研究ネットワーク(iCROWN)の対象感染症の追加について(報告)

議事

○荒木感染症対策課長 それでは、ただいまから、第96回「厚生科学審議会感染症部会」を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、本当にお忙しいところ、御参加、御出席いただきましてありがとうございます。
 本日の議事進行を務めさせていただきます、感染症対策課の荒木でございます。よろしくお願いいたします。
 本日の議事は、公開となります。また、これまで同様、議事の様子につきましてはユーチューブにて配信いたしますので、あらかじめ御了承をお願いいたします。
 また、事務局の用意しておりますユーチューブ撮影以外のカメラ撮りについては議事に入るまでということでございますので、プレス関係者の皆様方におかれましては御理解を賜れればと思っています。
 また、傍聴の方につきましては、傍聴に関しての注意事項・留意事項の遵守をお願いいたしたいと思います。
 なお、会議冒頭の頭撮りを除きまして、写真撮影、ビデオ撮影、録音はすることができませんので御留意ください。
 それでは、本日の会議でございますが、本日もウェブ会議ということでございます。ウェブ会議を開催するに当たりまして、会議の進め方について、一応念のための御確認ということでございます。御発言の際につきましては、まず挙手機能を用いた挙手、そしてチャットの発言しますというコメントを残していただきますと、部会長から御指名いたしますので、御発言をお願いいたしたいと思います。
 また、毎回ですけれども、ウェブ会議ですのでタイムラグが生じますので、そちらにつきましては少し御了承いただければと思っております。
 また、会議の途中で例えば音声が聞こえなくなったとか、聞こえにくいということが生じた場合につきましては、あらかじめこちらからお知らせいたしております番号までお電話をよろしくお願いしたいと思います。
 続きまして、委員の出欠状況の御報告でございます。御出席の委員につきましては、通信の確認ということも含めまして委員の名前をこちらから申し上げますので、一言お返事をいただければと思っております。
 それでは、50音順に、今村委員。
○今村委員 今村です。よろしくお願いします。
○荒木感染症対策課長 越田委員。
○越田委員 越田でございます。よろしくお願いします。
○荒木感染症対策課長 坂本委員。
○坂本委員 坂本です。よろしくお願いいたします。
○荒木感染症対策課長 笹本委員。
○笹本委員 笹本です。よろしくお願いいたします。
○荒木感染症対策課長 四宮委員。
○四宮委員 四宮です。よろしくお願いします。
○荒木感染症対策課長 白井委員。
○白井委員 白井です。よろしくお願いします。
○荒木感染症対策課長 谷口委員。
○谷口委員 谷口です。よろしくお願いします。
○荒木感染症対策課長 土井委員。
○土井委員 土井です。よろしくお願いします。
○荒木感染症対策課長 戸部委員。
○戸部委員 戸部です。よろしくお願いいたします。
○荒木感染症対策課長 成田委員。
○成田委員 成田です。よろしくお願いいたします。
○荒木感染症対策課長 原委員。
○原委員 原です。よろしくお願いします。
○荒木感染症対策課長 藤田委員。
○藤田委員 藤田です。よろしくお願いします。
○荒木感染症対策課長 三﨑委員。
○三﨑委員 三﨑です。よろしくお願いいたします。
○荒木感染症対策課長 宮﨑委員。
○宮﨑委員 宮﨑です。どうぞよろしくお願いいたします。
○荒木感染症対策課長 森川委員。
○森川委員 森川です。よろしくお願いします。
○荒木感染症対策課長 四柳委員。
○四柳委員 四柳です。よろしくお願いいたします。
○荒木感染症対策課長 脇田委員。
○脇田部会長 脇田です。よろしくお願いいたします。
○荒木感染症対策課長 ありがとうございます。
 なお、小西委員、森田委員につきましては御欠席の御連絡、また、大曲委員からは遅れての御参加との御連絡をいただいております。また、成田委員につきましても途中退席との御連絡をいただいているところでございます。
 また、本日、議事1に係る参考人といたしまして、全国知事会より玉川様の御参加をいただいております。よろしくお願いいたします。
○玉川参考人 よろしくお願いいたします。
○荒木感染症対策課長 以上、現在、感染症部会員20名のうち18名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令に基づきまして本日の会議は成立したことを御報告いたします。
 それでは、議事に入る前ということで、申し訳ございません、冒頭のカメラ撮りにつきましてここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
 それでは、議事に入る前に資料の確認ということでございます。議事次第及び委員名簿、そして座席図、資料1から3、そして参考資料1-1と1-2がございます。不備等がございましたら、事務局にお申し出いただければと思っております。よろしいでしょうか。
 それでは、ここからの進行を脇田部会長にお願いいたします。よろしくお願いします。
○脇田部会長 承知しました。脇田です。改めまして皆様、よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入ってまいりますが、まずは議事次第を御覧ください。今日は議題が3つございます。そのうち後半の2つは御報告ということになっております。
 それでは、最初の議題1「今後の新型インフルエンザ等感染症等の患者発生時における個別事例情報の公表に係る方針について」ということでございます。
 では、資料1がありますので、こちらを事務局から御説明していただきます。よろしくお願いいたします。
○渡邊企画官 ありがとうございます。事務局でございます。
 感染症対策課企画官の渡邊と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、資料1に沿いまして御説明をさせていただきます。今後の新型インフルエンザ等感染症等の患者発生時におきます個別事例情報の公表について、方向性を御提案させていただくものになります。
 まず、冒頭でございますが、感染症法第16条におきましては、厚労大臣・都道府県知事等が発生届により収集した感染症の発生動向などの情報を積極的に公表するとしております。そうした中で、具体的な経緯としては資料の左下になりますが、これまで感染症の性状などを踏まえて対応するとしておりまして、1類感染症について公表の基本方針を定め、新型コロナ対応時もこれを御参考に対応いただくよう自治体の皆様にお願いをしてございました。
 しかしながら、新型コロナ対応時は自治体において公表に係る対応がばらつきまして、蔓延防止に資するとは考えにくい詳細な情報が公表されるなど、課題も見られたところであります。そのため、今後につきましては、政府行動計画において具体的な今後の対応の目安となりやすいよう、関係法令の解釈・運用の一層の明確化・周知を図るとされたところでございます。
 今回お示しする考え方が右側でございます。大きく2点ございます。
 一つは、今後の新型インフル等発生時の個別事例情報の公表に当たりましては、後ほど御説明いたします公表内容を基本形としまして、その感染症のリスク評価を踏まえて考えるべき内容については、必要に応じてそのときお示しするという形にしたいということでございます。
 なお、※で小さく書いております部分ですが、国内の感染者数がごく少ない段階においてはリスク評価に基づく感染力、感染リスクなどの一般的なアナウンスがどの程度できているかということを踏まえて、事例公表のほうでどのような情報を盛り込んでいくべきか判断したいと考えておりますので、これは後ほど具体的に御説明をいたします。
 考え方の2点目であります。公表内容について、個人が特定されないようなものとすること、それから、蔓延防止のための行動を個人が取ることに資するものとするといった考え方2点を明確化したいと考えております。
 今、申し上げた考え方に沿いまして、1枚おめくりいただきますと、具体的な公表項目の基本形をお示ししたのが次の表でございます。基本的には1類感染症の公表基準がございますので、これに準じた整理としております。項目ですけれども、表の左のほうを見ていただきますと患者の基本情報と行動歴等でございます。※1というのが表の下ほどにございます。蔓延防止のための行動を取るための情報ということで、例えば感染者の行動歴に出てくる地域への渡航、施設等の利用についての注意喚起を促すといった観点で必要な内容を公表していくとしたいと思います。
 また、※1の上に(注)がございますが、併せて必要な感染対策や接触可能性のある方のお問合せ先、受診の方法等ということで、この辺りは保健所等へまず御相談ということになろうかと思いますが、そうした内容をつけて公表するというイメージでございます。この表でお示ししていますのは感染事例の発生の際の基本形でありまして、集団感染のような場合にどのような情報を公表するかについては発生した感染症の性状に応じてお示ししたいと考えております。
 また、後ほども申し上げますが、死亡事例の公表については原則不要と考えております。
 この表の真ん中ほどですが、新型インフル等の流行初期の列がございまして、この部分は1類基準と同様に丸を付しております。患者増加期が右側に1列ございますが、この時期については公表不要と整理をしてバツとしております。この流行初期とはいつなのかということでありますが、感染封じ込めを念頭に対応する時期と考えておりまして、この時期を過ぎて感染者が増えてきますと、先ほど申し上げたような事例ベースでの行動面で注意喚起するという必要性が薄れてまいりますので、事例としての公表は不要と整理をしたものであります。この時期の切替えについては、このページの一番下の※4にありますように厚労省からお示しすることとしたいということでございます。また、※4の後段にありますが、患者増加期になりましても、例えば変異株などで改めて事例公表の意味が出てくる場合もありますので、そうした場合はまたそのときにお示しして対応したいということでございます。
 3ページを御覧ください。流行初期における公表内容のイメージをまとめたものになります。上2段は先ほどの表にもありました患者の基本情報と行動歴でありまして、患者の基本情報については居住都道府県、年代、性別、発症日時等ということであります。基礎疾患の有無や職業、居住市町村については1類基準と同様に原則として公表しないと考えておりまして、また、行動歴を見て注意してもらうということと直接関係のない情報、その方が受けた検査の詳細でありますとか、重症度、入院予定などについては公表対象外となろうと考えております。
 その考え方を※に記載しておりますが、感染者の基礎疾患の有無や職業、重症度などをお知らせすることで感染リスクの注意喚起になる場合はあり得ますけれども、これらは事例公表を通じてというよりは一般的周知広報として行いたいということであります。個別事例ですので、多くの情報を出せば出すほど個人が特定されやすくなるということ、個人の特定は避けたいということを踏まえまして、公衆衛生上必要なものを端的にお示しする形にしたいということであります。ただし、感染者数がごく少ない段階ですと、事例の中で重症度などの情報をお伝えしていく意義がある場合もありますので、そうした段階では国と都道府県等で調整をさせていただきたいという考え方でございます。
 2段目は行動歴でありますので、これにつきましても公表された情報を見て行動面で留意するということと直接関係がない内容、感染判明の詳細な経緯や濃厚接触者の属性のようなものについては公表対象外だろうと考えております。公衆衛生上重要なこととしては、例えば濃厚接触者が特定されて自宅待機を要請しているといった対策の情報をお知らせしていくということで足りるだろうということでございます。
 3段目でありますけれども、一旦事例公表した後の経過の取扱いです。感染された方がその後どうなったのか、入院されたり、あるいは退院されたり、場合によってはお亡くなりになったりということが経過でございますが、そうしたものについては事例情報の中で公表する必要はないと考えまして対象外と記載をしておりますが、これは1段目の御説明と同じでありまして、患者数がごく少ない段階ですと事例の中で伝えていく必要性がある場合もありますので、同様の※書きをつけています。
 全体を通じまして、感染者数や重症者数、死亡者数などの数のデータで動向をお知らせし、感染対策をしていただきながら、事例をもってお知らせしなければならないものは何かと考えたときに、個人が特定されないこと、蔓延防止のための行動に資するものを公表していくという考え方で判断していきたいという内容になってございます。
 先生方の御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、皆さんに御意見を伺っていこうと思いますけれども、今日は全国知事会の玉川参考人に御参加いただいていますので、まず御意見を伺いたいと思います。
 では、玉川参考人、よろしくお願いいたします。
○玉川参考人 ありがとうございます。参考人の福島県保健福祉部の玉川と申します。全国知事会の立場から発言をさせていただきます。
 新型コロナ対応では、個別事例の公表要望が強く寄せられる一方で、人権配慮も行う必要性から都道府県では対応に苦慮してまいりました。今回の公表基準の整理によって自治体間で共通する対応が可能になるとともに、住民等への説明に信頼性・妥当性を担保しやすくなると考えております。整理をいただきましたことについて深く感謝を申し上げます。ありがとうございます。
 その上で、今後に向けての視点となりますが、住民が適切な感染対策行動を取れるよう、そして自治体における判断の負担軽減が図られるよう、次の3点についてお願いをしたいと思っております。
 まず1点目は、公表項目等の適時適切な提示についてです。発生した感染症の性状に応じた公表項目については必要に応じて示すとされていますが、自治体が円滑に対応でき、そして時機を逸することのないよう、適切なタイミングでの提示をお願いいたします。
 2点目は、政府行動計画との整合性の確保についてです。時期区分として用いられております流行初期、患者増加期については政府行動計画においても時期に応じたシナリオが想定されていますので、双方の整合性が図られるよう事前の整理と運用をお願いいたします。
 3点目は、集団感染やサーベイランス情報の提供についてです。集団感染に関する公表項目等についても自治体間でばらつきがあったことから、別途検討をお願いしたいと思っております。また、地方としても取り組むことにはなりますが、自治体が住民へ適切に情報提供を行うためにも、全国及び地域における感染状況や重症化等の病原性に関する状況など、サーベイランス等の結果を踏まえました情報提供の在り方についても検討をお願いしたいと思っております。
 発言は以上になります。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、委員の皆様からも順次御意見をいただいていこうと思いますが、事務局に1点確認ですけれども、皆さん全員から御意見いただいてからまたレスポンスいただくということでよろしいですか。それとも個別に行きますか。
○荒木感染症対策課長 どちらがいいかというのはこれまでの流れでもあると思いますので、お任せいたします。
○脇田部会長 分かりました。
 そうしましたら、途中退席と伺っていますので、成田先生に伺って、玉川参考人と成田先生の御意見に関してレスポンスいただくという形で行こうと思います。
 それでは、成田委員、お願いします。
○成田委員 脇田先生、御配慮ありがとうございます。
 それでは、まずは御説明ありがとうございました。コロナ対策における大きな反省点といたしましては、統一的な公表基準がなかったことが挙げられるかと思います。このたび、国が患者発生時の公表基準につきまして御検討いただいているのは非常に重要な取組であると考えます。この機会にコロナ対応の振り返りを踏まえまして、次の点についても御検討いただければと思っております。
 今回の御説明では、流行初期から患者増加期への移行の時期については発生時に国からその都度お示しいただけるとのことですが、円滑な体制移行のためには事前に具体的な移行時期の指標となる基準についてもお示しいただけますとありがたいです。さらに、全国一律ではなく地域性を踏まえた移行時期の設定についてもぜひ御検討願います。
 また、重症者数や死亡者数など、リスク評価のために調査や公表を予定する項目につきましては、例えばICU入所者を全て重症例とするのかなど、その定義も含めて事前に具体例をお示しいただきたく存じます。都道府県や保健所設置区市だけではなく一般市町村につきましても、住民への情報提供や呼びかけのため患者情報の公表が必要な場合があります。また、公共交通機関、施設、企業単位での報道発表が想定されます。そのため、公表の内容や時期につきましては都道府県等との整合性を図り、御提示いただければと思います。
 最後になりますけれども、各自治体は個人が特定されないよう配慮しながら公衆衛生に資する重要な情報を提供することに努めておりました。一方で、マスコミや都民の方からさらなる情報公開を求める強い声があったのも事実です。その考え方に大きな乖離もありました。国が定めた公表基準につきましては、その根拠も含めてあらかじめマスコミ等の皆さんに御説明し、事前に認識を広く共有していただけますと大変ありがたく存じます。
 私からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、一旦玉川参考人と成田委員からの御意見に関して事務局からレスポンスいただければと思います。よろしくお願いします。
○渡邊企画官 ありがとうございます。
 幾つかまとめてにもなりますが、リスク評価のタイミングということで、都度お示しするものは時機を逸さずということはおっしゃるとおりでございまして、ここはまさに4月に発足しましたJIHSにおいて今後、リスク評価をなるべく迅速に、質の高いものをということで取り組んでいただきますので、JIHSともよく連携をしながらタイミングを計ってまいりたいと考えておりますし、サーベイランスにおいてどのような情報をどういった形で整理して出していくかということについてもJIHSと協力して対応していきたいということでございます。
 それから、統括庁や行動計画との全体の流れがありますので、それとよくリンクして整理をしておく、あるいは運用していくという点でございますが、今回のこの公表基準、公表の考え方につきましても、統括庁とよく相談をして進めてまいりたいと考えております。
 それから、成田委員から頂戴した件でありますけれども、流行初期から増加期への時期の移行や公表項目の詳細な定義であります。現時点ではそこまで至っておりませんけれども、いただいた御意見も踏まえて検討できることがあるか、引き続き継続的に考えてまいりたいと思っております。
 それから、一般市町村宛ての情報提供、あるいはマスコミにも説明をということですが、私どもはこれは感染症法の枠組みに沿いまして都道府県や保健所設置市等の皆様にお知らせをまずさせていただきますが、この公表といったことは社会全体に大きく影響するものと考えておりますので、今回、感染症部会で御議論をいただいておりますけれども、様々な場を通じて御説明をさせていただいて理解醸成を図っていくことがコミュニケーションになろうかと思いますので、そういった取組を平時からしていきたいと考えております。
 よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 そうしましたら、ここからはまた50音順で指名させていただいて、人数も多いですし、時間も限られていますので、皆さんに発言していただいた後に事務局から必要に応じてレスポンスしていただくことにしたいと思いますのでよろしくお願いします。
 それでは、いつも50音順で恐縮なのですけれども、今村委員からお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○今村委員 今村です。こちらからは1点だけコメントがあります。
 流行初期のときというのは人権を守りたいというこちら側の意思もありますけれども、市民やマスコミからの情報提供の要求も大きくて、そこにかなり乖離ができやすい時期なのかなと思います。そのときに、患者の発生が例えば会社で発生したということになることを想定すると、居住地は複数の都道府県にまたがることなども考えられます。そのときに公開する部分は、今回の方針によってかなり統一されるのはいいのですけれども、細かいところで調整する部分が出てくると思いますので、それを複数の県にしっかりと共有されるような形にしていただけたらと思います。各都道府県は自治体での発表の際にしっかり説明義務を果たさなければいけなくなると思うので、そのときに共通の説明ができるようにしっかり話し合っていただけたらと思います。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、越田委員、よろしくお願いいたします。
○越田委員 金沢市福祉健康局の越田です。
 COVIDのときにパンデミックを現場で経験した立場から、以下4点、細かいことも含めまして述べさせていただきたいと思います。
 まず1点目といいますか、前提条件といたしまして、情報の公表と共有は分けて考えるべきではないかと思っております。医療者にとってみれば公表される情報の裏にある情報、例えば医療機関や学校、職場等々の感染者やクラスターの状況などは診療の上で必要不可欠な情報となります。何らかのツールや仕組みで守られたモラルの下で提供された情報の共有が必要ではないかと考えております。
 2点目は、特に政令指定都市や中核市の自治体の首長さんが住民に向けて感染者の情報を公表したいお気持ちは分からないでもありません。しかし、原則は都道府県単位の公表であるべきと私は考えます。平時から都道府県と基礎自治体の間で、しっかりと申し合わせておく必要があるのではないかと思っております。
 3点目は、今回の方針で感染者情報の公表基準がフェーズを区切って提示されること、すなわちフェーズの転換時期により公表基準を変えることには賛成いたしますが、流行株の変化のみならず、様々な状況によってフェーズを切り替えるときにはその転換時期を明確に示していただけると大変ありがたく思います。
 最後に4点目です。今までもお話がございましたけれども、特に流行初期の感染者の個人情報はきっちりと守られるべきです。地域初の感染者に対しての風評被害は決してあってはなりません。国から強力なメッセージを住民に対して発信していただくとともに、SNS等での混乱を呼ぶ情報発信については、厳罰に準じる何らかの罰則規定を希望いたします。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、坂本委員、お願いいたします。
○坂本委員 ありがとうございます。
 1つ要望なのですけれども、公表する内容を基本的に居住都道府県にとどめるとはいいましても、行動履歴から利用した施設などが明らかになって公表されてまいりますと、おのずと地域が絞られてくる可能性もございます。そうした場合に自分が住んでいる場所の近くで感染者が発生したらしいという情報を聞いて、仮に病原性が強いような疾患が流行している場合ですと、パニックになって医療機関であったり保健所であったりといったところに問合せをする、あるいは直接訪れるような方が増えることも想定されます。ですので、そうした情報の公開とともに、なるべくその時点で分かっている情報を基にどういった行動を取ればよいのかということを冷静に判断して、そういう行動を取ることができるような情報提供、啓発を様々な媒体を通して行っていただきたいということがお願いとしてございます。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、笹本委員、お願いします。
○笹本委員 日本医師会の笹本でございます。
 事務局の説明案に賛成でございます。患者さんを守るということは大変重要と考えております。
 一方、新型コロナ感染症の発生初期においてコロナ患者を診察した医療機関、あるいは職員等にコロナ患者が発生した医療機関が、マスコミ、特にテレビで放映され、直接医療機関名が報道されなくても画像から特定され、誹謗中傷など診療の妨げになることが起きました。医療機関に限りませんが、国民の健康を守るために日夜献身的に仕事をされている方々を守るように、今回の公表方針を基本としてマスコミに対して協力を求め、適正に運用されるようにお願いいたします。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、次に四宮委員、お願いいたします。
○四宮委員 コロナのときの対応を踏まえて公表項目が整理されたことは、一つのよりどころができたということで非常に望ましいと思います。
 ただし、新型インフル対策政府行動計画が発動されるような次のパンデミックのようなことが起きた場合に、基本的には政府対策本部が立ち上がり、都道府県対策本部が立ち上がり、平時の感染症への対応とは変わりまして都道府県知事をトップとするような体制になるわけですが、私自身の経験からも、平時の感染症に関する公表とコロナのときの公表というか、県の体制そのものが全く変わったので、次に似たような状況になったときに、非常に迅速な判断を次々と求められる中で、その地域地域の実情に応じた判断というものもどうしても出てくるだろうと思います。
 先ほどのご説明の中で、自治体間で対応のばらつきがあったということで、大きいばらつきを修正するために公表項目を整理するというのは賛成なのですが、その地方の判断をするのは主に都道府県対策本部ですので、原則を踏まえつつもその判断に任せるというのが現実的な対応になるのかなと思いました。
 それから、3枚目のスライドで国籍を原則公表しないということなのですが、新興感染症の多くは海外で発生して日本に持ち込まれる場合が多いので、新型コロナの第1例目も神奈川県在住の中国の方という国籍が公表されましたし、武漢市から日本に戻ってきたという報道もありました。これは武漢で新型コロナがもともと発生したということを考えると、そういう情報もケース・バイ・ケースとしては必要なのかなと。当県においてもアルファ株の感染が海外から直接持ち込まれたケースがあり、そのときはそういう情報を公表したと記憶していますので、原則を守りながらも、感染症の蔓延を防ぐために必要な公衆衛生上の情報と対策本部が判断した場合は公表する場合もあるのではないかと考えております。
 私からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、白井委員、お願いいたします。
○白井委員 白井です。よろしくお願いいたします。
 このような整理をしていただいたということにつきまして、参考2でそれぞれの公表自治体のデルタ株までとか、オミクロン株の後ということで、それぞれの背景事情というのがあったのだと思うのですけれども、それは何かというと、自治体の本部だったりするところの政治的な意図であったり、あとは報道関係者の圧力ということがかなり大きかったことがありますし、どれだけ公開する部分に職員が耐えられるかということに時間を取られましたし、本当に心を痛めたといったところもございます。
 また、参考1のほうではごく少ない段階において公衆衛生上必要な内容を公表する観点からということで原則よりも公表項目を少し増やしてもいいという状況に取られるのですけれども、むしろ初発であるとかごく少ない段階で個人が特定されるというリスクが大きいですので、それをどのように守っていくのかということは、公表内容について国・都道府県等で調整を行うといったところがやはりまだ曖昧に聞こえますので、先ほど成田委員がおっしゃいましたけれども、公表のある程度の項目の基準などということをお示しいただきたいなと思います。まさに行動計画の記載による「関係法令との解釈や運用の一層の明確化」といったところにそのような具体的なものが必要なのではないかなと思っています。
 また、少し御質問したいのですけれども、2枚目の公表項目等のところで、参考というところのMERSのときの公表「実績なし」なのですが、通知の内容ということでそれぞれ並んでいるのは実績として公表しなかったという事実なのか、この参考の意味なのですが、今後もこれを参考にするという意味なのか、この辺についてはMERSについても患者の行動歴といったところの最初の段階で、多分国外からの感染者になると思うのですが、その後、ヒトヒト感染が少ないとしても非公表でいいのかというところも課題ではないかなと思いましたので、これはどういう意味で参考にされたのかといったところがちょっと判断に迷うなと思いました。
 この新型インフルエンザ等感染症につきましても、流行期から増加期ということにつきましても丸からバツの「~」のところがどれだけ時期があるのかというところについてはなかなか判断が難しいなと思いますし、地域によってばらつきがあってもいいという御意見もありましたけれども、地方ほどかなりマスコミが一人一人公表しているという、新聞に一人一人載ったという事実がありますので、JIHSがリスク評価をしていただく疾患としてのリスクが同じであれば、地域での発生が少ない段階でもやはり同じような原則を守っていただきたいなと思います。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、谷口委員、お願いいたします。
○谷口委員 国立病院機構三重病院の谷口と申します。
 個別事例情報の公表について、全体としては妥当な考え方だと思います。しかしながら、これまでの委員の先生方、例えば情報の医療機関との共有や移行期の基準など、いろいろな公表の考え方の周辺にある部分、つまり公表だけではできないところがあるのですね。これは今回のパンデミックで、2009年のときには国としての総括委員会を持って全体を総括して次にどうすべきかというのを国家として決めましたけれども、今回はそれがなされていない。その結果として部分的に公表について出したとしても、その周辺の御質問、御異議が出てくると思いますので、まだこれからでも間に合いますので、きちんと国としての全体の総括をしていただくことが肝要ではないかというのが1点目です。
 2点目です。都道府県と国と調整して最終的には公表していただくのですが、2009年のときには国と都道府県のどちらが先にというか、都道府県が知らないうちに国が発表してしまったという件があったのですけれども、実際には国が発表しても地域の対策には結びつかないわけで、本来は国ではなくて地方自治体でばしっと早くやるというのが大切なわけで、そこら辺りの調整は、国が先というわけでもないと思うのですが、対策が先であればもちろん地域が先ではないかなと思いますが、そこら辺りも御調整いただければと思います。
 最後ですが、こういった公表の項目を挙げられていますが、例えば2003年のSARSのときにはマスコミのほうが先に全て特定していました。厚生労働省が発表するのに合わせて記事を書いていたと記者さんが言っていましたし、2009年のときも神奈川県の高校生年代というのが分かった時点で記者さんが片っ端から高校に行ったら、ある高校が電気がついていると。たしか9時頃だと思うのですね。ここだと思って電話したら相手が慌てふためいたのですぐ分かったと記者さんが言っていましたけれども、特定されるのですよ。それを念頭に置いた上でどう公表するかというのを戦略として、コミュニケーションとしてお考えいただくのがいいのかなと思います。
 ただ、先ほどもお話に出ましたが、それよりもマスコミさんというのはある程度は公衆衛生のことを考えた上でやってくれると思うのですが、SNSはもっと怖いと思いますので、これは規制をしていただくほうがいいのではないかなとは個人的には思います。今回のコロナに際してはもう地域にいられなくなって引っ越すことを余儀なくされたという事例も聞いておりますので、そこは人権重視の感染症法というところであれば、そこまでやっていただくのがいいのではないかなと思いました。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、土井委員、お願いします。
○土井委員 ありがとうございます。藤田医科大学の土井です。
 私も今回お示しいただいた情報の公表項目には賛成です。
 各論として1点コメントさせていただきます。基礎疾患の有無という点なのですけれども、原則非公開の考え方というのは理解をいたしましたが、感染症によっては基礎疾患の有無が感染リスクや重症化リスクと非常に強く結びついているという場合もあります。希少な疾患でない等の制約はあると思うのですけれども、個人が特定されない範囲である程度情報共有が行われたほうが、特に医療者としては状況の正確な共有や理解に資する場合もあるかと思いました。
 コメントです。以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 次に、戸部委員、お願いします。
○戸部委員 私もこの標準化の内容や仕組みについてはおおむね賛成です。
 ただ、1点気になるのが、国と自治体との調整をするという部分です。というのも、本来これは地方自治法上、自治体の自治事務なので、公表内容は本来自治体が自分で判断して決めて、自分の責任で公表すべきだし、公表できるものです。なので、国との調整は本来は不要なはずです。ですので、地域固有の事情があって、自治体固有の判断でこの基準とは異なる公表をするのだという自治体が出てきた場合は、本来はそのままスピーディーに公表できるはずですので、国との調整を義務づけるとか、あるいは事実上国と調整することを強制するという形になると地方自治の侵害になりますので、調整の運用の仕方については工夫をしていただきたいと思います。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、原委員、お願いします。
○原委員 佐賀大学の原です。
 私もこの内容全般に関して、情報公開が感染症蔓延防止のために適切な行動をするために資するものかどうかで判断するという基本的な方針や公表すべき項目について設定されたことについて、評価できると思いました。
 一方で、先ほどの戸部委員の御発言にも絡みますけれども、公表をどこがどのタイミングで実施するかという点について不明瞭といいますか、戸部委員の御発言を聞いた上では都道府県がすべきものなのかなとちょっと思ったりはしましたけれども、その辺りがこれを見た感じでははっきりしないなと思いました。
 特に流行初期の段階で、1例目などの少ない段階のところでは内容を厚労省と都道府県との間で調整を行うということでしたので、公表が国と都道府県で一緒にするものなのかなとも取れますし、それ以降に関して、だんだん患者増加期に移行する時期に関してはどこがどのように公表していくのか、調整は不要と判断できるのかといったところが自治体ごとでばらつきが生じてしまわないかなということを少し危惧しました。
 また、今までの御意見の中にもあったように、情報を発信したものがどのように伝わっていくかということに関する配慮が必要ですので、平時のときからのメディアや国民を含めたコミュニケーションの体制をつくっていくということも同時に進めていくべきと思いましたし、また、公表の在り方が今後の行動変容にどのように影響を与えているのか、感染拡大にどう影響したのかということも評価していく必要があると思いますので、パンデミック時にもそういった評価をしてくださっていましたが、改めて全体的な定量評価、そして今後もまた新たなパンデミックの際にもどういった評価をしていくことが次のどういう公表がいいかということの発展につながるかなと思いました。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、藤田委員、お願いします。
○藤田委員 藤田です。
 今回、基本的な考え方として、個人が特定されないようなものとすることを前提として、感染症の蔓延防止のために適切な行動等を個人が取ることに資するものとするという考え方を明確化する、という方針が示されている点は、大変大切なことを確認いただいており、全く異論はないのですけれども、この考え方を前提としたときに、蔓延防止の目的との関係で、患者の年代と性別という情報の公表がなぜ原則として必要となるのかという点には少し疑問を感じています。この年代、性別という情報は、それだけでは患者の特定につながるものではもちろんないですけれども、患者の行動履歴など、その他の公表情報と結びつくことで、個人の特定につながる可能性もあると思われますので、公表目的との関係で本当に公表の必要性があるのか、それ以外の情報だけでは足りないのかということを慎重に吟味していただく必要はあるように思います。
 もっとも、公表する情報を限定したとしても、個別事例の情報が公表されれば、患者の周囲の人々などに個人が特定されてしまうことは十分に起こり得ることで、その場合に当該感染症に対する無理解や恐れなどからその患者に対する偏見や差別、誹謗中傷ということを生まないようにするためにも、個別事例情報を公表する際には、当該感染症に関する基本的な正しい情報を同時に発信していくということも必要だということを改めて思った次第です。
 ありがとうございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、三﨑委員、お願いします。
○三﨑委員 川崎市健康安全研究所の三﨑です。
 皆様と同じように公表の基準を設けることについては総論としては大変賛成です。自治体をまたぐような事例も多々ありますので、全ての自治体が同じ基準で動くことができるようにある程度一律の基準が必要かと思っています。
 ただ、先ほども御意見が出たと思いますが、人口規模や事例によって状況が異なるのも現状ですので、細かい基準を設けるのは少し難しいのではないかと思います。とはいえ、基本的な姿勢を決める必要はあるのではないかと思っています。
 公表の内容等については、リスク評価に基づいて実施をすると先ほどの資料に記載されておりましたけれども、誰が評価をするのか、そのタイミングはどうかとか、リスク評価は国が行うというお話も伺ったのですけれども、本当に初期の頃であったり、現場で起こっている状況で国からの評価を待つことができない場合もあり、それでは現場は混乱するばかりという気もいたしますので、その辺りはある程度明確に事前に決めておいていただければありがたいなと思いました。
 それから、詳細を国と都道府県等で相談して公表するということを先ほども多くの委員の先生方がおっしゃっていましたけれども、例えば私どもは政令指定都市なのですが、保健所設置市ではその場で疫学調査を実施していますので、実際には詳しい情報は起こった自治体のほうがよく知っていて、公表する県にはあまり情報がないといったこともございますので、保健所設置市とも併せて協議してどういう形で公表するかというのを考えたほうがいいのではないかなと思いました。
 いずれにしても何のために公表するかということがとても大事で、できればメディアに伝えてもらいたいことを提示する必要があるのではないかなと思っています。そういう意味では、私たちだけが考えるのではなくて、メディアにもあらかじめこういう形で感染拡大を防止したいから、こういう内容を公表していただきたい、きちんと国民に知らせていただきたいということを伝えておく必要があるかなと思いました。地域の感染対策に資するものであるべきだと思っています。
 ちょっと取り留めもない意見になりましたが、以上です。ありがとうございました。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 次に、宮﨑委員、お願いします。
○宮﨑委員 ありがとうございます。
 私も公表の基準を設ける方向については賛成ですし、内容についても賛成いたします。
 その中で2点ほど思ったところがあります。一点は皆さん議論されておりますけれども、情報を公開する項目についてなのですけれども、情報をマスコミ等ができるだけ掘り出して探そうとされます。個人を守るという意味では、自治体はあまり出さないという方向で基本的には動く場合もあると思いますけれども、一般に社会がこういったときに隠せば隠すほど情報というのは欲しがられるものだと思いますし、また、一般の人がこういう病気が起こったときに興味があられることは、どの程度重症かということなのかなと思います。
 それで、今回の指針の中で当初は公表しないとされておりますけれども、例えばさっき土井先生もおっしゃいましたけれども、基礎疾患の有無やどんな基礎疾患かということは必要ないと思うのですけれども、従前は健康だった人なのか、あるいは基礎疾患があった人なのかとか、入院が必要な程度だったのか、そうでなかったのか程度の疾病の重症度や一般の方が想像できる程度の情報は公開してもいいのではないかなと個人的には思ったところです。
 もう一つは、初動期と患者さんが増えていったときの切替えですが、もちろん実際の疫学情報を見ながら最終判断をしていくものだと思いますけれども、非常に急速に広がる場合やゆっくりの場合などが想像されますが、初めからある程度の例えば100例とか10例、ひょっとしたら500例、1,000例かもしれませんけれども、何らかの数値の目安を周知として出しておくというのは、実際のパンデミックに対応される方々が考えられるときの指標にもなると思いますし、一般の方が、現状どのフェーズにあるかを予測されるのにも有効だと思いますので、私自身よりも、谷口先生がいらっしゃいますのでお詳しいのだと思いますけれども、一定の目安のようなものも数字として入れておくと安心感が増すのかなと思いました。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 次に、森川委員、お願いします。
○森川委員 これまでの委員の先生方の意見とほとんど一緒なのですけれども、特に初期の患者さんが出てからすぐ増加に行く場合と、じわじわと増えてからパンデミックに至る場合とあるのですが、特に後者の場合、初期の患者さんが地方で出た場合、例えば岐阜県で患者が出ましたよというと、マスコミや住民の人は岐阜県のどこなのだ、岐阜市なのか高山なのかということを非常に知りたがって、そこで年齢や性別が分かってくると、先ほど谷口先生がおっしゃいましたけれども、マスコミがかぎつけてしまってどこかから情報が出るのかもしれないのですけれども、患者さんが特定されてしまって、非常に患者さん及びその家族に差別や風評被害みたいなことが起きることはどうしても避けられないのかなと思うのですけれども、これをなるべく食い止めるように、先ほど藤田先生がおっしゃったように正しい情報を国、あるいは自治体から一緒に発信していただくということで、なるべく被害を、あるいは差別を食い止める。
 そうであっても、COVIDのときのように医療機関の職員の家族の方、あるいは特に地方などでは運送業者の御子息などが学校に来るなみたいな差別を受けたり、あるいは県外の車のナンバーをつけているだけですごく差別を受けたりということがありましたので、SNSで間違った情報がどうしても出ますので、正しい情報でそういう差別につながらないような情報を一緒に発信していただくということが重要かなと思います。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 続きまして、四柳委員、お願いします。
○四柳委員 よろしくお願いいたします。
 先生方の御意見と全く同じでございまして、国・都道府県がこういった情報を公表するときの基準としてきちんと目安をつくっていただくことは非常に大事なことだと思っています。
 その上で1つコメントをさせていただきます。先ほど藤田委員からも御発言がありましたけれども、公表に当たっては正しい疾病についての情報というのを並行して公表することが非常に大事だと思っています。特にパンデミックのときはリアルタイムで新たな情報が入手されてきますし、もちろん株なども変わる場合があるということもございます。一般の方がこうした情報をどのように利用するかと考えてみると、、これは参考のところに書いてあったと思いますけれども、潜伏期の期間にどこで行動していたかという行動履歴は基本として書くとされています。そうすると、自分が期間内にそこにいたかどうか、いつぐらいまで潜伏期であるか、発症したらばどういった症状が出るか、他人へ感染させる可能性のあるのはいつなのかということが一般の人が一番知りたいことのはずです。それをきちんと分かっていないと不安が増幅されて、それこそ先ほどからお話の出ているような偏見・差別につながるようなことも起こるということだと思います。
 ですので、表出しにする必要はないと思うのですけれども、少なくともその疾病の公表される段階に応じて、今申し上げたような例えば潜伏期だとか、症状だとか、感染可能な期間といった情報をきちんと提供していただいていることは、恐らくマスコミに対する対応としても非常に大事なことだと思います。国の場合も都道府県の場合もあると思うのですけれども、その辺は御配慮いただければいいのかなと思いました。
 私からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、一通り皆さんにお話しいただきました。最後に私からも意見を言いたいと思います。
 今回の公表の基準ということが、個別の感染患者情報は最小限にしつつ、蔓延防止に資する情報については公表していくといった基準ですね。これは現時点ではこの程度の基準でよいのではないかというのが私の意見です。
 その上で、どういった感染症が来るのかによってかなりこれも変わってくる可能性があるので、なるべく早期に全体像を評価して、感染症の全体像を分かりやすく市民の皆様、そしてマスコミにも伝えていくということが重要だと思います。どういった感染症であって、どういった広がり方をするのか、その時点で分かっている感染経路等々といった情報をしっかりと国民に伝えて、感染対策にはどういったことが必要なのかということも併せて伝えていくことで、不必要な患者さんの個人の情報などをさらに取りに行くということにつながらないようにしていくことが必要ではないかなと思います。
 ただ、その上で、リスク評価によって感染症の情報がさらに明らかになってくれば、今、少し議論になりましたけれども、時期の移り変わりの基準であるとか、そういった少し細かい基準というのはそういったことを踏まえた上で決めていくといった運用が重要ではないかなと思います。
 そういった全体像を伝えていくということは、マスコミとSNSといったところにも通して広げていくということが重要ではないかと、谷口先生からもSNSの対策の重要性というのは言われました。
 それからもう一つ、今回のコロナの反省をして総括をするべきだという御意見もあったのですけれども、確かにそういう点はあって、コロナの初期において武漢の帰国便だったり、それからクルーズ船の対応だったり、本当に厚労省も非常に対応が大変で、なかなか全体像を捉えてそれを国民の皆さんに御提示するというのがすぐには進まなかったということはあるのですけれども、もう一点、当初は感染対策の専門家会議、あるいは厚労省のクラスター班においても自治体情報からクラスターの情報を取って、それをまとめて感染対策に生かすといったこともされていたわけですね。ですから、そういった情報の共有が重要だというお話もありました。なので、公表と、それから共有というところはしっかりと分けて、生かせる情報はしっかり感染対策に生かしていくというところが重要だと感じています。
 私からは以上になります。
 それでは、ここで事務局からのレスポンスをいただくことにしましょうか。事務局からお願いいたします。
○渡邊企画官 先生方、どうもありがとうございました。
 まず、白井委員からの御質問に先にお答えをさせていただきます。資料の2ページで表の右側に様々な感染症ごとの個別の実績を入れておりますが、これはあくまで今回御議論いただく上での参考情報でありますので、そういうものとして御理解いただきまして、新型インフルについては1類感染症に準じて感染初期の分の整理をさせていただいたところでございます。
 それ以外に、様々御意見をいただきましてどうもありがとうございました。まとめてのお答えになりますのでお名前を個々に挙げることは難しいのですけれども、今回、考え方を個人が特定されないだとか、行動に資するものということでお示しさせていただきまして、そうしたことをよく浸透するように努力していきたいと思います。そうしたことを通じて、次のパンデミックがもしありましたときに医療機関なども含めて差別や偏見ということがなるべく起きないように、今の平時のうちから努めていきたいと思っております。
 報道関係者の皆様においても、コロナの際も正確な情報提供やプライバシーの保護には配慮をいただいてきたところでありますので、引き続き御理解いただけるように私どもも努力していきたいと考えております。
 それから、公表主体の関係で幾つか御意見を頂戴しておりますが、都道府県間の調整でありますとか、都道府県内で県がまとめられるかどうかということにつきましては、この件を厚労省から自治体にお示しできましたら、都道府県のほうではうちではどうしようかということも御検討いただけるかなと思いますので、そうした段階の中で御検討・御判断いただいたらよろしいのではないかと思っております。
 公表の主体としましては、コロナの初期の場合、最初のほうは国と都道府県で都道府県から御報告いただいたものを厚労省からも発表をしておりましたが、そのうち厚労省の発表では事例はやめて都道府県だけでやっていただいていたということがございます。そうした形になるのではないかと思っております。
 また、公表のタイミングについては、私どもは情報を整理できた段階で速やかに出すということをいつも念頭に対応しておりますので、改めてこの資料に書いていなかったのですけれども、速やかにということでありまして、個々の事例の評価を待ってということではないと考えております。感染力や潜伏期、発症したらどうなるかということを、最後に部会長がおっしゃっていただいたような感染症の全体像として早期に評価をして発信するということが重要だと思いますが、それとは別に事例は事例で、出していくべき段階は出していくという考え方でございます。
 それから、今回お示しする考え方の性格ですけれども、政府行動計画で自治体の目安のためにとも書かれておりますが、目安としてこういう考え方で御対応いただくのでないかというお示しになります。ですので、都道府県のほうで実際には細かい部分について、大きな考え方2点に沿って判断いただくということで構わないと思っております。調整ということの意味はという御指摘もございましたが、今回はコロナのときのばらつきという課題を踏まえて、一定の標準化を図るとしたらこんな感じではないかというお示しでありますので、がちがちに調整をするということではなくて、そのときのリスク評価については国のほうで情報がありますので、それを踏まえて、今の段階で事例のほうでお出しするのはこのぐらいではないかといったことを調整させていただくのではないかと考えております。
 そのほかの具体的にいただきました、公表項目の中で性別、年齢が本当に必要であるかとか、ごく少ない段階の調整についてもっと具体的なものがあったほうがよいとか、時期の切替えの目安でありますとか、いろいろ具体的な御指導をいただきました。また、公表の件の周辺にある医療者への情報提供など情報共有の在り方についても御指摘をいただきました。こうしたことについては私どもも受け止めさせていただきまして、継続的に検討させていただきたいと思っております。
 以上になります。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。
 今、事務局から先生方の御意見に対する全体的なレスポンスということでいただきました。それも踏まえまして、さらに追加で先生方から御意見がもしあればということと、大曲先生が入られましたので、今、議題1をやっておりますので、資料1を御覧になったと思いますが、何か大曲先生も御意見があれば伺っておこうと思います。まず、大曲先生いかがですか。
○大曲委員 脇田先生、ありがとうございます。遅くなってすみませんでした。
 2点ほどお願いします。
 1点目は、全体として私は賛成であります。コメントなのですけれども、裏には当事者の患者さんがいらっしゃる話でありまして、これまでも職務上、日本で1例目や2例目という患者さんに御対応してきた中で、個人に肉薄するような情報が出ていくというのを目の当たりにしたこともありまして、御本人さんのストレスと傷つきは相当なものというのは見てきています。ということで、裏にはそういう方がいらっしゃるので、病気になったのはたまたまでありまして、それだけで不利益をこうむることのないようにこうした情報の扱いというのは適切に行っていく必要があると思っております。そういう意味ではばらつきがないようにということで今回定められたものをお出しいただけたのは非常に重要だと思っております。
 あとは、これは公表に関しての基準だと思うのですが、恐らく議論に出たのだろうと今のお話を伺っていて察しをしますが、一方で、早い段階から病気の本体、あるいは病気のありようといったものに関しては、対策上、あるいは臨床上非常に重要なところでありまして、それは絶対個人情報が当然入らないような形にしますが、そうした情報は一方でちゃんと速やかに関係者の中で共有されて対策に生かされる仕組みは要ると思いました。というのも、最初それをやろうとすると非常に困難だった、ほぼ不可能だったということがありまして、でも、それは結局振り返って考えると社会にとって不利益だったと思います。それは一方で考えるべきだと思いました。
 ちょっとずれましたが、以上です。
○脇田部会長 大曲先生、ありがとうございました。
 それでは、今村先生、手が挙がっていますので御発言をお願いします。
○今村委員 今村です。
 今回の範囲から少し出てしまうかもしれないのですけれども、1点だけお願いがあります。私も大曲先生と同じく前線のところでかなり厳しい状況に置かれた患者さんなどを見ていました。感染を理由に差別されないということは感染症法の考え方としても非常に重要なポイントであると思います。今回、偏見差別などがおこらないように、いろいろなことを決めていただいたことは非常に評価すべきところかなと思います。
 その一方で、やはり完全に避けるということは難しいというのが現場のイメージでして、個人が特定される可能性を前提として、その個人を守る対策の検討というのも同時に行っていただけたらと思います。例えば法的な部分では難しいところもあると思いますけれども、それ以外にも過剰な事例を把握するとか、そのときに正しい情報を追加で送るようにするとか、あるいはかなり厳しいところに置かれた人がいれば、メンタル面でかなりつらい思いをしていますので、そこの保護やサポートということはできるかなと思います。ぜひ検討していただけたらと思います。
 以上です。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。
 そのほかはいかがでしょうか。もしございましたら。
 白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。
 国と都道府県の調整といったところも曖昧だという意見を申し上げたのですけれども、地方自治体としては、もしその地域で最初の患者さん、疑似症もあるかもしれませんけれども、そういう場合はその地域の地方衛生研究所での検査ということで、プライマーが来ているかどうかにもよると思うのですけれども、そういうことが最初だと思いますので、その段階で確定する、またはその段階で発表するということが前提になるとか、また、初発の場合にはJIHSで検査していただくというタイミングもあるとは思うのですけれども、その時点での公表というとすごくずれると思うので、そこを調整するというか、十分考えないといけないなとは思っています。
 それと、各自治体で公表基準がなかなか難しかったというのは、公衆衛生上の重要な点と考えても、それをリスクアセスメントするのが自治体ごとではやはりできないと思いますので、その点、いろいろなリスクアセスメントができるような情報を公表ではなくて共有していくということをちゃんとJIHSのほうに集めるとか、地方衛生研究所とJIHSで連携を取っていただいてということが前提だとは思うのですけれども、先生方がいろいろおっしゃいましたけれども、公表の裏の情報ということをちゃんとどこまで積み上げられているか、できるだけ早いうちに共有していくということが重要かなと思いましたので、これとは別な検討ということもまたしていただければと思います。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 越田委員、お願いします。
○越田委員 先ほど私が申し上げました公表と共有は分けて考えたほうがいいという点ですが、我々医療者は少なくとも個人情報に関してはモラルを守るという守秘義務が課せられていると思います。保健所で今回COVIDに対応したときに、この個人情報は感染拡大防止のために、関係者に限定してお伝えしたほうがいいと思ったときは私個人の判断で近隣の医療従事者にお伝えしました。その際には、紳士協定で守ってくださいと申し上げて守秘義務を確認させていただいたこともございました。
 大げさかもしれませんが、医師に限らず医学教育の中に、モラルを伴う情報管理をきちんと位置付ける必要があると思います。医療者全てに対して世の中の公開情報と我々医療従事者が診療のために知りえた個人情報をすみ分けて考えるというモラルを徹底することを望させていただきたいと思っております。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 ただいま、大曲先生から始まり越田先生まで追加の御意見をいただいたところです。おおむね皆さんからは事務局の御提案には賛同する方向の御意見が多かったように見受けられます。それに加えて様々な御提案、御意見といったところが多かったと思います。
 事務局のほうで今の先生方の追加の御意見に対して何かコメントはありますか。
○渡邊企画官 ありがとうございます。
 いずれも重要な視点で、大きな課題も含めて頂戴したかと思います。今回の基準のお示しに向けてまずはしっかり対応していきたいと思います。
 どうもありがとうございます。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。
 本当に多くの御意見があったところで、皆さんそれぞれコロナのときの経験もおありということで、本当に重要な案件だと私も思っています。事務所からの個別の患者情報は最小限にしつつ、感染対策に資するような情報については公表をするといった基準を前もって定めておくといった御提案については、おおむね皆様からは御賛同いただいたと思いますので、先生方の御意見については事務局のほうで整理をしていただいて、感染症部会としてはこの御提案は了承するということにしたいと思います。よろしいでしょうか。
(委員首肯)
○脇田部会長 ありがとうございます。
 そうしましたら、委員の皆さんの御意見も踏まえていただいて、事務局におかれましては必要な手続を進めていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
 そうしましたら、次の議題に入りたいと思います。
 次が、御報告ですね。2番目「薬剤耐性(AMR)対策アクションプランの進捗について」の御報告ということでございます。資料2が事務局から提出されていますので、御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします
○上地感染症対策課課長補佐 先生方、よろしくお願いいたします。感染症対策課の上地でございます。
 先生方も御承知のとおり、2016年に第1期の薬剤耐性アクションプランが策定されて以降、現在は2023年からの第2期アクションプランに基づき様々な取組を進めているところでございます。本日は、感染症対策部として令和6年度に実施した取組について、また、令和7年度に重点的に取り組む課題について、2月に開催されました薬剤耐性AMR小委員会で御議論いただいた内容を御報告申し上げます。
 スライド2は、厚生労働省に加え、JIHS、AMR臨床リファレンスセンター及びAMR研究センターにおいて実施された主な取組の概要をお示ししております。このうち厚生労働省の取組は黒い囲い線で示した部分となっており、以降のスライドで具体的に御説明をさせていただきます。
 次をお願いします。アクションプランの成果指標をお示ししております。ヒトに関する指標としましては、微生物の薬剤耐性率(上段の部分)と抗菌薬の使用量(下段の部分)を掲げており、スライドにはその現状と推移を共にお示ししているところです。2027年の目標値に対しまして若干の乖離が見られている項目を赤字でお示ししております。具体的には、バンコマイシン耐性腸球菌感染症の患者数は2019年以降増加し、現在横ばいとなっております。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌は減少傾向ではあるものの、目標達成にはさらなる減少が必要と考えられます。抗菌薬の使用量については、カルバペネム系静注抗菌薬を除き、2020年から2022年はコロナ禍の影響と考えられる減少が見られておりますが、2023年には再び増加に転じております。ただし、2019年と比較しますといずれの薬剤も全体としては減少傾向にございます。
 次をお願いいたします。ここからは、各目標に対する厚生労働省の取組を目標ごとにお示ししております。まず目標1、普及啓発・教育についてですけれども、AMRに関する国民の認知度が低いということは薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書等でお示ししているところですが、その現状を改善すべく、昨年度から感染症対策部としてもAMRに関する記者勉強会の開催や11月の薬剤耐性対策推進月間に合わせて厚生労働省の公報誌である月刊『厚生労働』に初めてAMRの特集記事を組ませていただくなど、初めての内容にも取り組んでおります。また、埼玉県にある松山高校の新聞部の取材を受け、AMRの特集記事を組んでいただくなど、様々な普及啓発・教育に取り組んでいるところでございます。
 次をお願いいたします。目標2についてですけれども、戦略2.1に記載されている薬剤耐性菌感染症の届出基準の見直しや薬剤耐性緑膿菌感染症の全数化についてはAMR小委員会や本部会で御議論いただいており、本年4月7日付でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌及びペニシリン耐性肺炎球菌、カルバペネム耐性腸内細菌目細菌感染症の届出基準が変更となっております。
 次をお願いいたします。また、薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書としまして、アクションプランの成果指標や各種の取組等の基になるサーベイランスデータを毎年取りまとめ、公表しております。昨年度も2024年度版として令和7年3月に日本語版と英語版、そして昨年度からの新たな取組としてサマリー版を公開しております。
 次をお願いいたします。目標4についてですけれども、昨年12月に開催されました第92回感染症部会でも頭出しをさせていただきましたが、現在、「抗微生物薬適正使用の手引き」第4版の9月公開に向けて執筆担当の先生方と改訂作業を進めているところであり、今後は抗菌薬適正使用に関する作業部会やAMR小委員会等で検討していく予定となっております。
 次をお願いいたします。目標5についてです。厚生労働省では抗菌薬の持続的な開発を推進する目的で、抗菌薬確保支援事業を令和5年度から実施しており、今年度は塩野義製薬とファイザー株式会社を採択しています。本事業に関しては別途検討会を開催しており、事業の特性上公開できない情報も多数ございますことから、詳細な御説明は割愛とさせていただきます。
 次をお願いいたします。目標6についてです。昨年はAMRイヤーとしてAMRに関する国際会議が多数開催されました。当課としましても、サウジアラビア・ジェッダで開催された第4回AMR閣僚級会合に出席したほか、令和7年2月には東京・新橋にてAMRワンヘルス東京会議をWHOのWPRO及びSEAROとの共催で開催をしております。
 次をお願いします。最後に、令和6年度の取組のまとめと令和7年度の検討課題について御説明いたします。厚生労働省としましては、アクションプランに基づき、JIHS、AMR臨床リファレンスセンター及びAMR研究センターなどと連携し、様々な課題に継続的に取り組んでまいります。今年度はAMRに関する普及啓発や教育の推進に向けた取組を重点項目の一つとして、特に国民の認知度向上に向けて無関心層への効果的なアプローチ方法についての研究など、より具体的な施策の検討を行っています。
 また、青枠で示した「より重点的に実施」と書かれている部分ですけれども、こちらについてはアクションプランの成果指標であるMRSA及びVRE感染症のさらなる減少に向けて感染予防管理の強化、特に手指衛生の強化など、どこでもできるような標準予防策の徹底について検討を進めていきます。
 さらに、現在は「抗微生物薬適正使用の手引き」第4版の改訂作業を進めているということから、適正使用のさらなる推進に向けて学会や医師会等に所属していない診療所や医療機関の先生方にもこの手引をしっかりと届けていきたいと考えております。
 抗菌薬確保支援事業については、今年度は事業開始から3年目となるため、今後の事業評価に向けた検討を進めているところでございます。
 最後になりますが、アクションプランの成果指標の達成や具体的なAMR対策の立案には、科学的根拠の創出が極めて重要と考えております。そのため、現在進めている厚生労働科研やAMED研究など、様々な研究を引き続き支援するとともに、AMRワンヘルス東京会議などを通じた国際協力についても検討を深めていきたいと考えております。
 議題2についての御説明は以上となります。
○脇田部会長 御説明どうもありがとうございました。
 AMR対策アクションプランの進捗について御報告をいただきました。今期のアクションプランももう2023年から27年の中間地点ということになりますということですが、それでは、ただいまの御説明を踏まえまして、委員、あるいは参考人の先生方から御質問等があれば、お願いいたします。
○荒木感染症対策課長 部会長、申し訳ございません。事務局でございます。よろしいでしょうか。
 成田委員が先に御退室されまして、御意見をお預かりいたしましたので、先に事務局から御意見を代読させていただきます。
○脇田部会長 お願いします。
○荒木感染症対策課長 申し訳ありません。
 薬剤耐性対策アクションプランの進捗についてに対する御意見ということでございます。医療機関で坑微生物薬の処方を求める患者もいるため、普及啓発は重要と考えられる。国民の認知度向上に関する研究を実施されるとのことなので、効果的な普及啓発について共有をお願いしたい。また、普及啓発についてはリスクコミュニケーションの専門家の御意見も参考にしていただきたいというのが一つ。
 もう一点が、薬剤耐性の取組に関して、2次保健医療圏などの地域ごとの目標設定や情報把握が必要である。オープンデータの詳細化について検討してほしいと、この2点をいただいております。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、委員の皆様から手挙げでお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 では、宮﨑委員、お願いします。
○宮﨑委員 ありがとうございます。
 アクションプランについて進めていただいていて、適正使用の推進や新たな抗菌薬の開発検討をやっていただいて、まさに非常に大事なところだと思っています。コロナ禍で何年か続いてきておりましたので、恐らくアクションプランをやっていく上で効果の最終的な目標としては、薬剤耐性菌の関連死亡の推移がどうなっているのかということが気になっているところが一つです。こういったことに関連して、恐らくAMEDなどのほうである程度の疫学情報等を取っていらっしゃると思うのですけれども、この点についてもし進捗や計画等があるようでしたら、教えていただければと思いました。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 まずは御意見を伺っていこうと思います。白井委員、お願いします。
○白井委員 ありがとうございます。白井です。
 最後のページで、より重点的に実施するというところで医師会や歯科医師会、関連学会未参加の医療機関への手引の普及と啓発ということなのですけれども、ここについては自治体や保健所に何か期待される役割というものが想定されるのか、それぞれの地域で考えてほしいということになるのか、もし想定がありましたら教えていただければと思います。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続いて、四柳先生、お願いします。
○四柳委員 2点ほど質問、コメントをさせていただきます。
 1点目は、3枚目のデータについてです。2023年の経口抗菌薬の処方割合がコロナ前に近い水準まで戻っていっているということで、その原因は何なのだろうと考えさせられます。コロナの感染症法上の取り扱いの変化に加え、例えば百日ぜきなどいろいろな感染症がはやったりして、抗菌薬の処方をせざるを得ないような状況が出てきたなど、いろいろな要因が考えられるのだと思います。一方静注抗菌薬は増えていません。可能であればこういった経口抗菌薬が増えたという背景について深掘りをしていただくようなことができればよいのではないかということが1点目でございます。
 2点目は7枚目のスライドになりますけれども、この中でワンヘルスを医療界と農林畜産でともに行ういうことが書かれております。厚労の部会ですので農林畜産に関しては記載が難しいのだと思いますけれども、農林水産省の取り組みもも含めてどういったところになっているのかという今の現状を教えていただければありがたいと思います。
 私からは以上2点です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続いて、谷口委員、お願いします。
○谷口委員 ありがとうございます。
 今の四柳先生からのお話にもありましたが、経口抗菌薬が結構増えているのですが、うちは2次・3次病院なので御紹介いただくことは多々あって、処方内容を拝見すると必要のない抗菌剤、あるいはマクロライドとセフェムみたいな処方が出ていたりすることがあって、おおむね一定の医療機関なのですね。これはどこどこがすごく多いとか、多分保険請求のときに分かっていると思うのですよ。そういったところに別に罰則というわけではないのですが、ちょっとアラートを出すといったことはできないものかなと時々思ったりします。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、土井委員、お願いします。
○土井委員 ありがとうございます。
 スライドの5枚目、戦略2.1のところで、届出基準がCREと4月に改定をされて運用が始まったということなのですけれども、この必要な検査のカルバペネマーゼの産生や遺伝子の確認というところは引き続き保険収載をされていない、医療機関の持ち出しになって困っているという声は複数お聞きをしております。疑ったのだけれども費用がネックとなって検査が進まないといった場合に、実態と報告が乖離してしまうリスクもあると思われます。環境づくりについて引き続き御検討いただけますと幸いです。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、四宮委員、お願いします。
○四宮委員 スライドの3で示されている成果指標の考え方ですが、アクションプランの第1期の結果が当時設定された目標値になかなか届かなかったということで、私は当時委員だったのですが、その点について目標値の設定がちょっと理想的過ぎたとか、現実的な観点から評価すべきだといういろいろな意見が出ました。今度改めて2027年の目標値が設定されているわけですが、仮に目標値に届かなかった場合にアクションプランとしてどのように評価をされるのか。目標値なのでその数字に近づくことはもちろん耐性菌を減らすという観点からは重要だと思いますが、一方で抗菌薬のニーズもあるので、現実的なことを踏まえた場合の目標値の設定の仕方とか、仮に第1期と同じように第2期も一部を除いて目覚ましい改善がなかった場合の評価をどうするのかということです。
 もう一つは、JIHSが感染研とNCGMの合同の組織になったわけですが、感染研の薬剤耐性研究センターとNCGMの薬剤耐性関係の臨床部門は、JIHSの発足とともにAMRへの対応という点で組織的な合同化ということがされる予定があるのかという点です。
 それとマイナーな点ですが、スライド6の薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書について、私もこの作成に携わっているのですが、今年度4月に公表されましたが、少し落丁というか、ページが飛んでいたりする部分があるので、年次途中でも改訂されればいいと思います。それから、サマリー版のほうも、これもちょっと急いで作ったということもあり、図がゆがんでいたりするところもあるので、こちらも年次途中でも修正されるほうがいいと思います。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、大曲委員、お願いします。
○大曲委員 ありがとうございます。2点ございます。
 1点目は既に土井先生がお話しになったことに関わるのですけれども、最近も何剤か新規の抗菌薬、セフィデロコルやセフタジジム・アビバクタム、あるいはイミペネム・レレバクタム等が出ているのですけれども、実際に現場で使おうとすると、まずは微生物が出てきたときに薬剤感受性試験は行うわけなのですが、先ほど挙げたような抗菌薬に対して使えるかどうかの判定をするということでさらに追加で薬剤感受性試験を行うという状況は実は結構あるわけなのですね。
 ただ、その追加で行った試験に関しては現実的には各医療機関で持ち出しになってしまいます。そういう意味では適正使用という観点ではなかなか難しいところがありますので、従来の薬剤感受性試験だけではなくて追加で検査をしたという場合には追加で算定していただけると、現場としては非常に適正使用の推進上ありがたいと思っておりますので、その辺りは厚生労働省としてどうお考えになるのか伺いたいのが一点。
 あともう一点は御提案というかお願いなのですけれども、MRSAの対策です。R7の重点課題でMRSAの対策をしっかりと囲って出していただいているのですが、現状に即した観点も少し入れたほうがいいかなと思っています。具体的には、今、多くの病院のデータを見ても、市中で発症するMRSA感染症がすごく多いのですね。ですので、病院の対策だけではなくて市中での対策というのは非常に重要になってくると思います。市中の対策となると、普通の健康に見える市民、健康な市民というのも対象になります。そこで対策をするのは簡単ではないのですが、ただ、一つ大事なこととしては、抗菌薬のプレッシャーを減らすということは大事だと思っています。ですので、不必要な抗菌薬使用を今まで以上にしっかりとMRSA感染対策とひもづけて推進するということも重要だと思います。第3世代セファロスポリンやフルオロキノロンといったものの不必要な使用はもっと減らしていくといったことも出していただけるといいと思いました。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 手が挙がっていた委員の先生方からは一通り御意見をいただきましたので、ここで事務局にレスポンスしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○上地感染症対策課課長補佐 先生方、大変貴重な御意見をありがとうございます。
 今、多数の御意見をいただいておりますが、個々の質問に答えるのはなかなか時間的にも難しいと思っておりますが、脇田先生、これは1つずつ回答したほうがよろしいでしょうか。
○脇田部会長 今、お答えできるものにざっと答えていただければいいと思いますけれども、全てはなかなか難しいかもしれませんので。
○上地感染症対策課課長補佐 ありがとうございます。
 初めに御質問いただいた宮﨑先生への御質問からになりますけれども、薬剤耐性菌感染症の関連死といったところになるかと思いますけれども、この薬剤耐性菌感染症の死亡率や疾病負荷、医療経済に特化した研究班というのは現在のところないと承知しております。ただし、AMRCRCの大曲先生や都築先生の研究班の分担として疾病負荷や関連死の研究はなされておりますし、ワンヘルス動向調査年次報告書にも主要な薬剤耐性菌の感染症の推定死亡者数などは掲載されているところでございます。
 昨年の9月の国際連合総会のハイレベル会合での政治宣言でも、薬剤耐性菌関連の感染症の死亡者数というのは2030年までに10%減ということが盛り込まれておりますので、非常に重要な御指摘と考えており、今後、検討していきたいと思います。
 続きまして、白井先生からありました保健所等に期待される役割については、前回のAMR小委員会でもいただいたご意見と思うのですけれども、地域におけるネットワーク等々の仕組みづくりというものが非常に重要と考えておりますので、弊省としましては、まずは現状把握から初めていきたいと考えてございます。
 続きまして、四柳先生の御質問、成果指標の抗菌薬使用量の項目と農水省との連携に関するご質問ですけど、抗菌薬の減少からと増加に転じた点に関しましてはコロナ禍の影響が考えられるといったところも挙げられているところではございますけれども、まだ2023年時点の結果しか分からない状況もありますので、2024年のデータを注視していきたいと考えてございます。農水省の連携という点は、先ほどから申し上げているワンヘルス動向調査年次報告書等で農水省のAMR担当の方々とは密に連携を取らせていただいております。特に動物分野に関しては、普及啓発がヒトに比べるとうまくいっていると思っておりますので、そこは特に連携してまいりたいと考えてございます。
 あと、谷口先生の保険請求の際の抗菌薬の使用に関してアラートを出せないかといった部分ですけれども、こちらは当課の所管ではないと考えるものの、しっかりと今後、必要に応じて検討してまいりたいと考えております。
 あと、土井先生と大曲先生からありました検査の部分に関して保険収載がされていないという点についてはしっかりと検討していきたいと思いますし、さらに大曲先生からございましたMRSAの対策は、当課としましてももちろん感染症の予防管理という点に加えて抗菌薬の選択圧を減らすために適正使用を進めるという点については両輪を合わせて進めていく必要があると考えていますので、しっかりと検討を進めていきたいと考えてございます。
 最後は四宮先生の部分になりますけれども、成果指標の考え方についてですけれども、目標値に届かなかった場合にどのような評価をされるのかという点については、まずは目標を達成できるように取り組んでいきたいというのが一点と、届かなかった場合はしっかりとなぜ届かなかったかというところの要因分析をしっかりと進めたいと考えてございます。
 JIHS、AMRCRCとAMRRCの連携については、一つの組織になったということで、これまでも一緒に様々な取組を進めているところでございますが、我々としてもさらなる密な連携を望むところですし、一緒に様々な施策の検討等を進めていきたいと考えてございます。
 あと、ワンヘルス動向調査の修正に関しては適切に対応させていただきます。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 おおむね委員の先生方からの御意見、御質問にお答えいただいたと思います。ありがとうございました。
 追加のさらなる御意見等はございますか。
 坂本委員、お願いします。
○坂本委員 質問なのですけれども、その年々に恐らく、特にここ数年は呼吸器感染症を中心として季節性も含めて今までとは異なる流行の拡大といったことがあると思うのですけれども、そういったファクターとしてアウトプットに影響するインプットの影響みたいなものを調整するような取組、それに基づく目標値の設定評価といったことを行う予定があるか、あるいは今既に行われているかについてもし分かれば教えてください。
○脇田部会長 いかがでしょうか。
○上地感染症対策課課長補佐 大変重要な御視点かと思いました。ただ、現状としてそのような視点を持ち合わせておりませんでしたので、坂本先生の御意見を踏まえて当課でしっかりと検討していきたいと考えてございます。
 以上でございます。
○坂本委員 ありがとうございます。
○脇田部会長 そうですね、抗菌薬耐性の今は百日ぜきとか、昨年はマイコプラズマ等々がありましたので、様々そこら辺が影響してくるということかもしれません。ありがとうございます。
 そうしましたら、様々な御意見をありがとうございました。時間の関係もありますので、この程度で次に進ませていただきたいと思います。
 今日いただきました御意見も踏まえまして、事務局におかれましては、さらに取組を進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。議題3は「感染症臨床ネットワーク(iCROWN)の対象感染症の追加について」の御報告でございます。こちらは資料3に基づいて御説明をお願いいたします。
○荒木感染症対策課長 ありがとうございます。事務局でございます。
 資料3ということで、1ページをお願いします。感染症臨床研究ネットワーク(iCROWN)ということで、こちらは参考資料1-1に書いておりますが、これまでREBINDということでリポジトリ機能を有しているところがあったのですが、こちらにつきましては今年度から感染症臨床研究ネットワーク(iCROWN)として本格運用を開始しています。何が違うかというと、今回のコロナ禍も受けまして、平時より感染症に関する医薬品の研究開発を進めることができるようにということで、全国の感染症の指定医療機関を中心に医療機関のネットワークを構築するということでそれが進んできておりますので、その実証事業ということで令和7年度より名前も変更しまして、臨床研究ネットワーク(iCROWN)としているところでございます。
 それと、次の参考資料にそのまま行きますが、1-1の次のページでございます。これまでも感染症部会のほうで、これまではREBINDと言っておりましたが、こちらの新規対象感染症の追加の手順というのを昨年2月の感染症部会でお諮りさせていただきました。平時におきましては感染症部会の審議会に新規感染症に関しての検討ということでお願いをして、そちらについての審議を行っていただいて了承を得られた場合という形になっているということでございますので、今回もその手順に基づいてこのようなものを追加したいということで報告させていただくものでございます。
 ということで、資料3に戻ります。iCROWNへの登録対象でございますが、令和7年4月末現在で重症急性呼吸器感染症(SARI)とエムポックス、そして原因不明の小児急性肝炎のほかに入国時感染症ゲノムサーベイランスというのをコロナ以降行っていますが、そちらの事業で採取した検体でございます。※1に書いてありますように、重症急性呼吸器感染症(SARI)につきましてはCOVID-19も含むということと、原因不明の肝炎の入院例につきましての症例定義がそこに書いてあります。1から4でございますけれども、これを満たす症例についても入っているということ。そして、※3ということでの入国時のゲノムサーベイランスは全国5空港におきまして発熱・せきなどの症状のある方から同意を取って採取した検体になるということを補足させていただきます。
 2ポツ目でございますが、新型インフルエンザ等対策政府行動計画(昨年7月閣議決定)及び今年2月に閣議決定されました健康・医療戦略、あるいは医療分野の研究開発推進計画におきましても、重点感染症を対象とした危機対応医薬品等の研究開発の推進ということが明示されているところでございます。そして、今年3月末、前々回ぐらいの感染症部会におきまして、重点感染症の該当性の判断要素と考慮すべき事項を整理した上で重点感染症のリストを見直したという背景があるところで、今回、対応案ということでお示しさせていただいておりますのは、第94回厚生科学審議会感染症部会(令和7年3月26日)において見直した重点感染症をこのiCROWNの対象感染症としまして、参加医療機関から登録された臨床情報と検体等をデータベース化し、利活用を推進したいというものでございます。
 具体的にどれからかというところについても御質問が出ると思いますが、※ということで、これはiCROWNの事務局におきまして収集体制が整った重点感染症から順次収集を進めていくこととするということで、今の段階で具体的にこれということではないのですけれども、こういう背景がございますので重点感染症を示しておりますので、これを順次iCROWNに登載できればと思っています。
 説明は簡単ながら以上でございます。
○脇田部会長 御説明ありがとうございました。
 iCROWNは、元REBIND事業というものがありましたけれども、そちらへの対象感染症の追加で今回は重点感染症のリストが参考資料1-2にございます。そちらで準備が整ったものから追加をしていくといった御説明だったと思いますが、皆様から御質問、御意見等があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 谷口委員、お願いします。
○谷口委員 ありがとうございます。
 背景で令和7年4月末時点の対象疾患がありますけれども、これまでに何例ぐらい登録されているのでしょうか。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 これはたしか数字があったかと思いますが、事務局、いかがでしょうか。
○荒木感染症対策課長 以前にもREBIND時代の際にどういう形で今後、このリポジトリを進めていくかということで、当時は先ほど申し上げましたようにSARIというかCOVID-19という症例が非常に多くあるということでございました。当初、REBINDをつくる際にもCOVIDの症例目標数がございましたが、それ以外に先ほど申し上げました小児肝炎というのを入れているということですが、数字のほうはすぐに確認しておりますので、ちょっとお待ちいただければと思います。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 そのほかはいかがでしょうか。
 私から1点、コロナの症例はかなり多く登載されていると思うのですけれども、先ほどの谷口先生の御質問にもかぶるのですけれども、今現在、登録が進んでいる対象疾患はどれに当たるのかということを教えていただけますか。よろしくお願いします。
 それから、今村先生、お願いします。
○今村委員 今村です。
 重点感染症ということなのですけれども、重点感染症はかなりの感染症の数が含まれていますが、その中でもかなりボリュームに影響してくるのが新型コロナウイルスと季節性のインフルエンザの2つかと思います。SARIのところでCOVID-19を入れていたと思うのですけれども、対象は重症例ということになっていました。外来例も含めてCOVID-19と季節性インフルエンザが入ってくると相当なボリュームになってくるかなと思いますが、この部分については整理する予定はあるのでしょうか。iCROWNにおいても重症例を想定されているのかという質問です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、今の今村先生の御質問には対応可能でしょうか。
○荒木感染症対策課長 事務局でございます。
 遅くなりましてすみません、先ほどのどのぐらい入っているかということについての数字が分かりましたということでございます。COVID-19につきまして1,398例で、エムポックスは37で、小児肝炎が1例、SARIについては98例ということですが、今の今村先生の御質問ともかぶるのですけれども、SARIとして入れているものについてはシビアなものということですので、入院を伴うものということで入れていますので、外来のインフルエンザまで入れているということではないということです。それ以外にも入国時ゲノムサーベイランスで取った検体というのも入っているということになります。
○脇田部会長 三﨑委員、お願いします。
○三﨑委員 お願いします。ちょっと不勉強でよく理解していないので教えてください。このiCROWNの設立の目的というのは、新興・再興感染症に対して臨床情報と検体等を速やかに収集して医薬品等の研究開発の基盤とすることが最終目的ということで良いか教えていただきたいと思います。
 それともう一つ、自治体では感染症によっては発生届受理とともに行政検査を実施しているのですけれども、同じ疾患の検体がiCROWNにも登録されることになるかと思いますが、そちらでは法的な根拠というのか、何かそういったものはあるのかということを教えていただきたいです。
 それから、登録医療機関は今どのくらいであって、そこには小児科が含まれているのかどうかということも教えていただけたらありがたいです。
 あと、ちょっとお願いなのですけれども、例えば自治体には情報が来ない原因不明疾患の集団発生で、その原因病原体がiCROWNの中で判明したといった場合には、その事実を迅速に管轄の自治体に還元していただけるのかどうか。もしできればそういうものは早く還元していただきたいなと思いますので、そこが一つお願いです。
 よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 ただいまの三﨑委員からの御質問はいかがでしょうか。事務局からレスポンスできますか。
○荒木感染症対策課長 ありがとうございます。
 三﨑委員、ありがとうございます。まず目的は委員御指摘のとおりでございまして、臨床情報と検体を併せて収集するということで、それがまさに医薬品開発の基盤として使われるということでございますので、例えば今回のコロナ、あるいは次にネクストパンデミックが来た際にそれを早く集め、その臨床情報等も踏まえることによって、しかも全国の感染症の医療機関とのネットワークで早めにFF100みたいなことが進められればリスク評価も早くできますし、さらにそれに対する治療薬開発等も進められるかなと思っているところでございます。
 そして、次の2点目でございます。このいわゆる法的な根拠ということでございますが、基本的には取得するときに研究計画に対しての同意を得ていただいているということと、この研究自体に入っていただく際にも、それぞれのIRBでの承認という形、研究という形で進めさせていただくということになろうかと思います。
 3点目が、どのぐらいの機関がまさにネットワークに入ってくるのかということでございます。研究実施機関となる特定、第1種の感染症指定医療機関、そして、そちらの研究を実際に計画するときのいわゆる支援という形で臨床研究中核病院等の学術的に研究の遂行を支援する研究推進機関、そして、あとは試料や先ほどの研究の検体であったり臨床情報だったりというデータの収集を支援する準研究実施機関として、合わせて約60の全国の医療機関に参画いただいているということでございます。
 そして最後に、例えば地衛研から感染研に原因不明で検体が分からないのでというものが上がってきた際に、それがiCROWNに登載された場合にその情報というのが結果として分かったということについて早く反映してほしいという御要望でございました。実態として今もiCROWNとは別としても迅速に還元させていただいているところでございますし、今後、そういう形の重点感染症を収集する際におきましても、御協力を得たところには迅速に還元できるように努めたいと思っています。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 ということですけれども、谷口委員、お願いします。
○谷口委員 1点だけ。以前の部会でお伺いしたときに、SARIは本来はサーベイランスであって研究だと遅いのだと思うのです。今回のCOVID-19も中国のSARIサーベイランスで引っかかってきています。このiCROWNにおける情報というのはサーベイランスとして使えるのか、あるいは今後、ARIサーベイランスとともにSARIサーベイランスというのもやっていったほうがいいのではないかなとは思うのですけれども、どのようにお考えでしょうかというのがお願いです。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 このiCROWNで実施されているSARIの検体収集がサーベイランスなのか、研究なのか、実際にはSARIサーベイランスはどうなっているのかというところでの御質問だと思います。いかがでしょうか。
○荒木感染症対策課長 谷口先生、どうもありがとうございます。
 今、まさに谷口先生が御質問の中でもうお答えを言われているのかなと思いましたけれども、まずARIサーベイランスをこの4月にようやくスタートしたというところでございます。その中で全国3,000の指定医療機関からデータということでサーベイランスデータというのを迅速に出させていただいているとともに、併せてそのうちの300ぐらいの機関から検体というのも頂いているというところになります。そこの検体が一部SARIとして入ってはくるのだと思いますけれども、スピード感の部分でまさにサーベイランスとしてはARIのサーベイランスの中なのですけれども、そのデータをしっかりと併せてこちらのiCROWNの中でどのようにうまく使えるのかというところだと思いますが、まずサーベイランスのほうはARIで始めたところでございますし、うまく運用しながら、これは全国の定点医療機関の先生方の御協力を得ながら進めるものでございますので、そこと併せてこちらも進めたいと思っています。
 ですので、今すぐにiCROWNがSARIサーベイランス的にできるかというところというのは難しいかもしれませんけれども、そこに近づけるように目標として目指していきたいと思っています。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 三﨑委員、お願いします。
○三﨑委員 すみません、もう一つ。先ほどのお答えの中でFF100もこのiCROWNでできないかという話があったのですけれども、これは登録した1種指定医療機関からのデータとなるので、先ほどの話からもSARIということで重症例が多いのかなと推察します。その場合、疾患の全体像を見ることはちょっと難しいのではないかと考えますので、iCROWNとは別に、自治体が実施する疫学調査を強化して、その情報を活用してFF100に持っていくことも重要になるのではないかなと思いました。
 意見です。ありがとうございます。
○脇田部会長 三﨑先生、ありがとうございます。そのとおりというところだと思いますので、事務局にはその点もしっかりと踏まえていただきたいと思いました。
 そのほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
 そうしましたら、いろいろな御指摘もいただきましたので、今日はiCROWNに対する対象感染症の追加という御報告だったのですけれども、iCROWNの進め方自体についてもいろいろと御指摘を受けたところだと思います。事務局におかれましては、ぜひ委員の先生方からの御意見も踏まえてまたさらに進めていただければと思います。
 それでは、ありがとうございました。本日の議題は以上になります。ほぼほぼ時間になりましたので、議事を事務局にお返ししたいと思います。
 まだありますか。三﨑先生、どうぞ。
○三﨑委員 すみません、3つの議題とは全くかけ離れていますけれども、どうしてもお願いしたいことがありまして、最後に一言言わせてください。いつもこの部会の前に内容についてレクをいただいたりしていろいろ教えていただくのですけれども、日程的なものもありまして本部会の2日前くらいになってしまうこともありまして、私自身が事前にきちんと検討している時間がないような状況であることも多々あります。可能であればもう少し内容を早めにお知らせいただいて、背景になるような議論も詳しく教えていただけると、本会で良い議論ができるようになるかと思っておりますので、ぜひその点をお願いしたいと思います。
 以上です。ありがとうございます。
○脇田部会長 貴重な御提案をありがとうございました。
 なかなか事務局も準備が直前になってしまうということもあるかもしれませんので、今の御意見も事務局には十分踏まえていただいて、レクの日程も早めにしていただければと思います。ありがとうございました。
 それでは、事務局にお返ししたいと思います。
○荒木感染症対策課長 ありがとうございます。三﨑委員から最後に頂いたご意見も含めて、事務局としても努力してまいりたいと思っております。
 そして、本日、本当に貴重な御意見、そしてたくさんの御意見もいただきました。この御意見を踏まえまして進めさせていただきたいと思います。
 これもまたいつものことでございますが、この後、当方で記者ブリーフィングとして本日の議事の概要についての説明をさせていただく予定としております。
 そして、次回でございます。またこれも事務局から改めて御連絡させていただきますのでよろしくお願いします。
 それでは、本日はお忙しい中、御出席いただきありがとうございました。本日はこれで終了させていただきます。ありがとうございます。