第8回厚生科学審議会感染症部会エイズ・性感染症に関する小委員会 議事録

健康・生活衛生局感染症対策部感染症対策課

日時

令和7年5月14日(水)15:00~17:00

場所

航空会館ビジネスフォーラム(東京都港区1-18-1)
701及び702号室(一体利用)
 

議題

(1)後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針の改正について
(2)性感染症に関する特定感染症予防指針の改正について
(3)その他

議事

議事内容
○佐野室長 定刻を少し過ぎてしまいましたが、準備ができましたので、ただいまより第8回「厚生科学審議会感染症部会エイズ・性感染症に関する小委員会」を開催いたします。
 委員の皆様、参考人の皆様におかれましては、御多忙にもかかわらず、御出席いただき誠にありがとうございます。
 私、本日議事進行を務めさせていただきます、感染症対策部感染症対策課の佐野と申します。よろしくお願いいたします。
 本日の議事は公開となりますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、あらかじめ御理解と御協力をお願いいたします。
 なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
 本日はウェブと会場のハイブリッドで開催することとしております。ウェブにより参加される方は、御発言される場合は、まず挙手機能を用いて挙手していただくか、チャットに発言される旨のコメントを記載していただき、部会長から御指名されてから御発言をお願いいたします。なお、ウェブ会議ですのでタイムラグが生じますが、御了承願います。
 会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、あらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
 続きまして、俣野委員長より一言御挨拶をお願いいたします。
○俣野委員長 国立健康危機管理研究機構国立感染症研究所長の俣野と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○佐野室長 次に、委員の出席状況について御報告いたします。川名委員が少し遅れて御出席されるとの連絡をいただいております。なお、今村委員におかれましては、業務の御都合により途中退席される御予定との連絡をいただいております。
 また、今回より早川委員に御参加いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 参考人として、生島様、岩橋様、後藤様、白阪様、高久様、花井様、三鴨様、水島様、山岸様、四本様に御参加いただいております。
 全委員の皆様に御出席していただいており、定数以上の委員に御出席いただいておりますので、会議は成立しますことを御報告いたします。
 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきます。御協力をお願いいたします。
 なお、これ以降は写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので、御留意ください。
○佐野室長 それでは、議事に入る前に資料等の確認をさせていただきます。
 議事次第、委員・参考人名簿、座席図のほか、資料1、資料2、参考資料1から参考資料5を用意しております。
 すみません。こちらで不手際がございまして、参考資料1につきましては右上の資料番号が抜けておりますので、御了承いただければと思います。
 不足の資料等がございましたら、事務局にお申し出ください。
 それでは、以降の議事運営につきましては俣野委員長にお願いいたします。
○俣野委員長 小委員会の議事運営を託されましたので、皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず議事の確認でございますが、本日の議題につきまして、議題1「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針の改正について」、議題2「性感染症に関する特定感染症予防指針の改正について」、議題3「その他」としております。
 次に、議事の流れといたしまして、議題1について、資料1を事務局から御説明いただいた後、皆様に御審議いただきたいと思います。続きまして、議題2についても、資料2を事務局から説明いただいた後、皆様に御審議いただきたいと思います。
 本日は会議時間として2時間をいただいておりますが、皆様におかれましては、円滑な議事進行に御協力をお願いいたします。
 それでは、まず議題1の「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針の改正について」に入りたいと思います。
 資料1につきまして、事務局より5分程度で御説明をお願いできますでしょうか。
○芦澤室長補佐 ありがとうございます。
 資料1のエイズ予防指針の改正に向けての検討について説明させていただきます。
 まず、4ページ目を御覧ください。
 これまでの経緯や今後の進め方について書いております。右下を御覧いただきますと、これまで打合せ会を事前に3回行った後、昨年の6月に小委員会を1度開催しております。本日再議論をさせていただいて、予防指針の改正案を作成し、議論、改正案文を提示ということで、時期未定でありますけれども、今後、改正に向けて進めていきたいと考えております。その後、感染症部会での審議を経て、改正に向けて動いてまいります。
 時間の関係もありますので少し飛ばしまして、早速、本日の論点になります9ページ目を御覧ください。
 これまでも議論させていただいたところでありますけれども、簡単に説明させていただきます。予防指針の全体の構成につきまして、これまでもHIV/エイズにおいては人権の尊重というところが寄与するところでありまして、この下に書いてあります現行の構成が第六 人権の尊重とあるところを第一の人権の尊重と持ってくることでどうかということをこれまで御意見いただいたところで、検討しているところであります。
 次の10ページ目を御覧ください。
 流行終息に向けた目標設定ということで、現行の予防指針に目標を掲げるのはどうかという御意見をいただいておりました。感染者等に対して、また、当事者等への影響というところも御意見をいただいたところで、表現として「終結」のような表現ではなく、「流行終息」としてはどうかといったところ、また、下に書いてありますUNAIDSの目標を受けて、我が国の目標として「偏見・差別、新規感染者、エイズ関連死をなくす」ことを位置づけ、将来的なケアカスケードにおける95-95-95達成に向けて取り組むとしてはどうかといったところを案として考えています。
 次をお願いいたします。11ページです。
 U=Uですけれども、これにつきましても基準値の明記などの御意見もあったところですが、なかなか背景となる研究で基準値は様々であるところもあるので、明記しないものの、要所要所にU=Uを盛り込むといったことを検討しております。
 次をお願いいたします。
 12ページ目の偏見や差別の撤廃ですけれども、ここにつきましても、感染者等が偏見・差別なく適切かつ必要な医療・福祉サービスを受けられることが重要であること。また、感染者等に対する偏見・差別に加えて、エイズ対策を阻害する要因となり得る個別施策層に対する偏見・差別といったことの存在や、これらの撤廃の重要性について記載してはどうかということで考えております。
 次をお願いいたします。
 個別施策層についてもこれまで多く議論させていただいたところですけれども、現行の指針にも書いておりますMSM、性風俗産業従事者、あと、ここで医療目的以外で薬物を使用することがある者、現行では薬物乱用依存者とありますけれども、表現の変更はどうかといった御意見もいただいたところで、こういった案を考えております。
 この3つを踏襲する形でどうかということで考えています。
 また一方、世界の現状として、UNAIDSがキーポピュレーションを提唱していることについて記載し、こういった方々におけるHIV感染に係る実態を把握するための研究を引き続き継続することが重要であるということを記載してはどうかということで考えております。
 次の曝露前予防(PrEP)をお願いいたします。
 曝露前予防ですけれども、こちらも有効性・有用性が報告されておりまして、昨年、日本においても承認を得たところでありますけれども、そういったことを踏まえまして、下に書いております方向性の案として、定期的なHIV検査や性感染症の検査等の健康観察が重要であることや、有効性・安全性等を踏まえた効果的な導入方法の評価が必要である現状について記載してはどうかということで考えております。
 次をお願いいたします。
 医療体制ですけれども、ここも多く御意見をいただいたところであります。真ん中に主な御意見を書いておりますけれども、こういったことを踏まえて、一般医療、介護・福祉サービスでの患者等の受入れ促進や、診療科間、医療機関間の連携について、また、外国籍の方の実態の把握でありましたり、早期治療のための仕組みの検討を引き続き進める必要性について記載してはどうかということで考えております。
 次をお願いいたします。
 郵送検査になりますけれども、郵送検査についても、下に書いておりますように、精度管理や相談体制の確保、必要な受検者の医療機関へのつなぎ等が重要であることを明記した上で、郵送検査の活用の検討について記載してはどうかということで考えております。
 次の9番目をお願いいたします。
 モニタリングについても継続的に御意見をいただいていたところでありますけれども、研究班等も活用しながら、エイズ施策に対するモニタリングを進めていくことの検討について、また、評価において、その後の改善に向けて、感染者等を含めた関係者と意見交換を行っていくことの検討について記載してはどうかということで考えております。
 次の18ページ目をお願いいたします。
 その他としておりますけれども、これまでの協議の中でも御指摘いただいた内容で、日常生活において、性的接触以外で感染することは通常ないといった内容を盛り込むこと。
 また、次の19ページ目をお願いします。
 教育ですけれども、これについては、医療機関及び保健所等の従事者が、普及啓発に携わる者に対する教育及び学校現場での教育に積極的に協力する必要があるとしてはどうか。また、青少年に対する教育においては、それぞれの特性や状況に応じて行う必要があるとしてはどうか。また、MSMも含めた個別施策層に対する普及啓発の必要について記載してはどうかといったことを考えております。
 以上になります。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 そうしましたら、早速議論に移りたいと思います。
 時間もありますが、9ページに戻って一つ一つ見ていただこうかと思いますが、まず9ページ、全体の指針の構成について、人権の尊重を最初のところに持っていくということになりますが、本件について特にございませんでしょうか。
 これについてはよろしいかと思いますので、次に進みます。
 次は10ページです。マル2のHIV流行終息に向けた目標設定ということで、これについて、意見の記載の後、改正の方向性についても記載してありますが、御意見、御質問等はございますでしょうか。
 白阪参考人、よろしくお願いいたします。
○白阪参考人 白阪でございます。
 非常に立派な方向性だと思いますが、エイズ関連死というものの捉え方がなかなか難しいという現状がございますので、そこについては具体的な対応等が必要かもしれません。というのは、エイズ動向委員会ではエイズ発症者は新規の数が出ますけれども、関連死というのは我が国はなかなか出しにくいと理解しております。よろしくお願いします。
○俣野委員長 例えばですけれども、どういう言葉がよいとか、何かございますか。
○白阪参考人 目標はこれでよろしいのですけれども、施策を進めていかれる場合に、関連死を関連死で追い求めると難しいかなと思います。
○俣野委員長 分かりました。ありがとうございます。
 そのほかいかがでございましょうか。よろしいでしょうか。
 生島参考人、お願いいたします。
○生島参考人 今、白阪先生がおっしゃったことで、動向委員会の中で任意報告になっている転症例についてとか死亡の統計というのが、もう少し積極的に現場の先生たちにレポートを出していただくようなことを呼びかけるのは難しいのでしょうか。
○俣野委員長 いかがでしょうか。
○佐野室長 ありがとうございます。
 呼びかけ自体はさせていただいているという認識なのですけれども、実際にそれがどこまで実効性を持ってできるのかというところが結構難しいのかなと思っております。今、実際にどれぐらいの数が把握されているのかですとか、そういうのは母集団が完全に分からない中で把握も厳しいというところもありますので、いただいた御意見を基に何かできることはないかというところは考えさせていただきたいなと思うのですけれども、実際になかなか今やっている以上のことがどこまでできるのかというところは少し問題になってくるのかなとは思うところでございます。
○生島参考人 ありがとうございます。
 関連死は幅広くしておいたほうがいいという白阪参考人の意見に賛同するのですけれども、メンタル要因とかでお亡くなりになる方も実際にはいらっしゃるようなので、そこも含めて施策に役立つ情報が収集できるといいなと思いました。
○俣野委員長 貴重な御意見ありがとうございます。
 お願いいたします。
○花井参考人 今の関連死の関係なのですけれども、確かにUNAIDSからすればこういうことになるのだと思うのですけれども、これは少なくとも医療資源が乏しいところも含めてなので、発症者のケアが十分できないということでは駄目だという意味だと思うのですよね。日本の場合だと、日本のヘルスケアシステムというのは完全に整っているので、モディファイして発症ゼロと言ったほうが素直な感じがするのです。というのは、偏見・差別、新規感染者をなくそうとしているのだから、その流れでエイズ発症をゼロにするみたいにしたほうが、関連死だけを特定するというのは、グローバルで言えば恐らく医療サービスとしてエイズ患者さんに対する医療資源をちゃんとしなさいよという意味で入っているのです。そこは先生方の御意見なのですけれども、そのほうが素直な気がしました。
 以上です。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 よろしいですか。
○佐野室長 御意見をいただき、ありがとうございます。
 その辺り、非常にここの記載ぶりは我々も悩んだというところが本音でございまして、やはり意見としまして、高過ぎる目標を設定した場合に、なかなか行政的なところの難しさとかもありますので、こういった形にさせていただいているというところが今のところではございます。
○花井参考人 高過ぎると言えば、「新規感染者をなくす」のほうがハードルは高いですよ。いいです。すみません。おっしゃることは分かるのですけれども、そういう意味では、発症ゼロは新規感染者ゼロよりは高くないはず。
 以上です。
○佐野室長 ありがとうございます。また検討はさせていただきたいと思います。
○俣野委員長 今の点につきまして、ほかの委員の方々とか、御意見はございますか。
 横幕委員、手が挙がっていますでしょうか。挙げられていましたらお願いいたします。
○横幕委員 名古屋医療センターの横幕です。
 事務局にまず確認をしたいのですけれども、流行終息という言葉を指針上に書くということは、日本でHIV感染症、エイズが流行しているという捉えをしているということになるのですが、世界的には非常に数が少ない状況で、全国民はHIV感染症、エイズが流行していると全く思っていないと思うのですけれども、日本で何をもって流行していると考えて流行を終息させるという書き込みをするか、事務局のお考えをお伺いしたいということと、先ほど花井参考人からもお話がありましたけれども、新規感染者ゼロというよりかは、国際的には日本のエイズ発症率が高いということが問題ですので、目標としてはその辺りにとどめておいていただくのがいいのかなと個人的には思っております。言葉の定義のところは特に指針に書き込む上では重要だと思いますので、事務局のほうから御説明いただきたいと思います。
○佐野室長 横幕先生、御意見ありがとうございます。
 おっしゃられますように、我々としても日本の流行というのは国際的に比べてもそこまで高いとは思っておりません。ただ、本当に蔓延していてすごく流行していることを流行として定義しなければならないのかと言われると、そういうわけではないと思いますので、その辺りは少し日本語の捉え方の温度感の問題なのかなとは思います。
 後半部分につきましては、今たくさん御意見もいただきましたので、いただいた御意見も踏まえてどのように記載していくかということは検討させていただきたいなと思っております。
 事務局からは以上でございます。
○横幕委員 具体的には今、年間1,000人ぐらいだということですけれども、予防指針が改正されて、例えば各都道府県で数値目標を立てようというのが最近厚労省から言われているようですけれども、具体的に例えば何人が何%ぐらいになったら流行終息だというのは何か具体的なイメージとしてお持ちでしょうか。
○佐野室長 ありがとうございます。
 そちらについてはそこまで具体的な数値まではまだ検討はしていないという状況にはなりますが、実施不可能な数値を掲げても仕方がありませんので、その辺りは先生方とも議論していきながら決めていく話になってくるのかなとは思います。
○横幕委員 ありがとうございました。
○俣野委員長 ほかはいかがでしょうか。
 今村先生、お願いいたします。
○今村委員 今村です。
 エイズ発症の部分なのですけれども、ずっと3割近くが発症での診断という形になっているのは変わっていないですよね。この割合を下げるためにはケアカスケードの最初の95によって早期診断するということが重要で、早期診断することによって治療介入することが必要となります。そうすると、またその人から他者への感染も防げるということにつながっていくことになります。終息と記載するかは別として、ケアカスケード95-95-95の数値とともにエイズ発症の3割を下げにいくというのは明確な数字として書ける目標だと思いますので、どこかに記載するといいのかなと思いました。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 エイズ発症をなくすということも非常に重要だと思うのですが、ここの中で新規感染者をなくすか減らすかという記載とエイズ発症者をなくすということはやることが全然違う部分はあるので、要するに新たな感染者をなくすことと感染して発症する人をなくすということ。だから、新規感染者をなくす方向のことも記載としては残しておく必要があるのではないかと思います。
 ほかはいかがでしょうか。
 高久先生、お願いします。
○高久参考人 目標の数値の書き込みというところなのですけれども、先ほど今村先生もおっしゃっていたとおり、書くとしたらやはり95-95-95が現実的かつ目標に向かってちゃんと指標が取れる数字かなと思っています。考え方として新規感染ゼロとかエイズ関連死ゼロは目標にしたい気持ちはありますが、この日本の規模でこれをやると、患者個人をつかまえて一人一人管理するようなことをしないとゼロにならないのではないかなという思いがして、患者の立場としてはそこはどうなのだろうと思うところもあり、現実的なものを書き込むのであれば95-95-95というのは一番適切かなと思いました。
 以上です。
○俣野委員長 ありがとうございます。
○佐野室長 高久先生、御意見ありがとうございます。
 これは一文通して読んでいただければと思うのですが、あくまで我が国の目標としてはこういった偏見・差別、新規感染者、エイズ関連死をなくすということを位置づけ、将来的なケアカスケードにおける95-95-95達成に向けて取り組むという記載ぶりになっておりますので、日本語の書き方としてやや難しいとは思うのですが、我々としても、基本的にはまずは95-95-95の達成に向けて取り組んでいこうという記載ぶりになってくるのかなと思います。
○高久参考人 認識にずれはないと思います。ありがとうございます。
○俣野委員長 そうしましたら、いただいた意見を基にもう少し検討はさせていただくということで、次に進みたいと思います。
 次がマル3のU=Uです。これに関連して御意見、御質問はいかがでしょうか。
 お願いいたします。
○白阪参考人 特に言うことではないのですが、このU=Uというのは英語なのですが、できるだけこれを残していただけたらなと思います。どういうふうに残されるか工夫は必要かもしれませんが、できるだけU=Uというのは残していっていただければと思います。
 以上です。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 全く同意見ではございますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
 ほかはいかがでしょうか。
 そうしましたら、本件、U=Uは非常に重要な案件ですけれども、特にほかに意見はございませんようですので、次に進みたいと思います。
 次はマル4、偏見や差別の撤廃につきまして御意見、御質問はいかがでしょうか。
 お願いいたします。
○白阪参考人 白阪でございます。
 偏見・差別は現在あるという認識かと思います。それがなくなるまでは、やはり陽性者の方々への支援はぜひとも必要であるということもこの中に、気持ちでは書いてあるのですが、文言としてないように思うので、これはここに書いてくださいという意味ではありませんが、HIV陽性者の方への支援も必要であるということをどこかに入れていただきたいと思います。引き続き支援をすることです。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 そうしましたら、今、白阪参考人にいただいた意見に関して厚労省のほうで検討していただくということで、次に進みたいと思います。
 次はマル5です。個別施策層への対策ということで、御意見、御質問はいかがでしょうか。
 岩橋さん、お願いします。
○岩橋参考人 ありがとうございます。
 改正の方向性のところで2点コメントがあります。
 まず1点目は、こちらの小委員会、それから、意見交換会の中でこれまでに言及されている個別施策層について、トランスジェンダー、外国籍、受刑者についても前回の小委員会でも言及があったかと思います。そのほかの今記載されていない個別施策層について、ここでは触れられないということについてどういったお考えなのかということをぜひ事務局に伺いたいというのが1点目です。
 それから、2点目ですけれども、もし個別施策層としてそういった新たに付け加えたほうがいいのではないかという御意見があったものについて、2段目にキーポピュレーションについて検討しなければいけない、今後検討するということありましたけれども、これをキーポピュレーションとひとくくりにするのではなくて、次善の策としてなのですが、例えば(トランスジェンダー、受刑者あるいは外国籍)というような形でしっかり文言で言及するといったことは考えられないかということで、ぜひ御意見を伺いたいなと思っています。
○俣野委員長 お願いできますでしょうか。
○佐野室長 御意見をいただき、ありがとうございます。
 そちらの件については我々も少し検討させていただいたのですけれども、やはり日本の実情において実際にどうなっているのかというところは明確にまだ分かっていないところもございますし、あと、特にセンシティブな問題もございますので、その辺りは慎重に判断する必要性があるだろうと考えております。ですので、まずは一番下のところなのですけれども、「HIV感染に係る実態を把握するための研究を引き続き継続することが重要である」と記載させていただきたいと考えているという状況でございます。
 事務局からは以上でございます。
○俣野委員長 岩橋さん、よろしいでしょうか。
○岩橋参考人 今お話のあった後半のところでトランスジェンダー、受刑者などを丸括弧とかで言及するということはいかがですか。
○荒木課長 確かに今、佐野室長から申し上げましたように、新たに追加ということについて、それが日本の実態に即しているかどうかというところもまだ分かっていないということなので、そこは研究を進めますということなのですが、まさにUNAIDSにおいてはキーポピュレーションとして入っているものなので、そこは次善の策ともおっしゃられましたし、そこは指針本体に書くのか、あるいは指針を運用するために通知を出すのですけれども、その際に例えば留意事項なり参考資料なりということで入れるということで対応することは可能かと思います。まず指針本体にどうやって入れるかも当然検討するのですが、さらに運用でという形もあると思いますので、その辺は工夫させてください。ありがとうございます。
○俣野委員長 どうぞ。
○生島参考人 MSMというものが入ると、現場的には大事な点に触れていただいてありがたいなと思うのですけれども、MSM対象の量的調査とかを自分自身もさせていただいたりするのですけれども、その中にトランスジェンダーの人たちが含まれている実態があります。なので、MSMという表記を「など」とかもう少し広げるぐらいはしたほうがいいのではないかなと思います。
 特に昨今、LGBTというコミュニティーでのムーブメントというのが各地で行われているわけですけれども、そういう中でゲイ、バイセクシャル、男性とセックスをする男性はHIVとすごく近くて、それ以外の人は関係ないみたいな温度差がすごく生まれてしまうので、やはり多様な人たちを指すような表現がここにも位置づけられたらよりよいかなと思ったので、ちょっと触れさせていただきます。
 あと、昨今の動向調査を見ると、MSMの外国籍の人の増加というのは著しいので、ここの個別施策層のところでも外国籍の人のことについてはちゃんと触れていただきたいなと感じたので、コメントさせていただきます。
○俣野委員長 貴重な御意見ありがとうございます。厚労省のほうで検討していただければと思います。
 高久参考人。
○高久参考人 よろしくお願いします。
 同じなのですけれども、先ほどの岩橋さんの質問に対して、事務局からもまだそれが明らかでないという回答になっていたかと思うのですが、明らかでないというのはエビデンスがというところだと思いますが、とはいえ、世界的にはこういう傾向があり、日本では捕捉できていないということなので、ここ自体は課題なのだと思うのですよね。そこに対して、少なくとも把握することの研究をするということを記載するというところがまず書かれているので、これはいいことではないかなと思いますが、キーポピュレーションは国とか背景によって違うと思うので、やはりここはきちんと括弧書きで書くということは必要かなと思っています。
 あと、外国人に関しては、医療のところでも外国籍の方へのというところが出てくるので、突然医療の現場に外国の人が現れるのではなくて、やはり予防、検査があって現れるわけですから、個別施策層の中に入っていないほうがむしろ不自然かなとも思っており、外国人に対しての研究も厚労省を中心にそれなりにやられてきているという認識なので、これはいつ書かれるのかなという認識を私自身は持っており、外国籍についてはもうちょっと個別施策層として挙げて入れてもいいのではないかなと思っていましたので、コメントさせていただきました。
 以上です。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 ほかに御意見はいかがでしょうか。
 花井さん、お願いいたします。
○花井参考人 個別施策層という概念として書く話と、それから、対策とする場合はコミュニティーレートという形で、MSMというのは単純に性行為の形だけ、ビヘービアを定義している言葉なので、ゲイの人たちではないわけですよ。ノンケでもMSMはいるという話になるし、トランスジェンダーもみんなそうなのですけれども、施策上、やはりトランスジェンダーのコミュニティーというのもありますし、それから、レズビアンにもコミュニティーはあって、いろいろな形があるのですけれども、MSMというとゲイの人たちねと思ってしまう、みんな大用して思ってしまっているのだと思うのです。でも、実は違うので、まさにこれは疫学上定義するためにこういう疫学用語を案出したのであって、いわゆるジェンダーセクシャリティーの自認とかそういう話とは実は離れた概念なのです。
 これまでもエイズ対策は比較的コミュニティーベースという形で新宿やら堂山でいろいろやってきていますけれども、やはりそういうものが土台になってコミュニティーレートということもある中で、概念として書くのはどうかとは思うのですけれども、ここに「など」と書いてしまったほうが施策をする側が分かりやすいかなと思っていて、書き方は工夫なのですけれども、要はゲイ対策ではないですよという話なのですよ。そこのところがちゃんと理解されるためには、それを分かっていただくような記載はやはり要るのではないかなと思います。
 以上です。
○俣野委員長 何かございますか。
○佐野室長 花井先生、御意見ありがとうございました。
 今いただいた御意見を踏まえて、記載ぶりについては検討させていただきたいなと思うのですけれども、全てを書き込むというのは現段階ではまだ現実的ではないかなというのが我々の意見とはなります。ただ、確かに幅を持たせる書き方というのは一つ選択肢としてはあるのかなと思っておりますので、少し事務局のほうでも検討させていただければと思います。
○高久参考人 ごめんなさい。現実的でないというのは具体的にはどういった理由なのでしょうか。
○佐野室長 ありがとうございます。
 先ほどの研究の話ともつながるところなのですけれども、日本国内の実情に合っているかどうかというところがまだ分からないというところが一番大きな問題なのかなとは思います。
○俣野委員長 ほかに。
 四本さん、お願いいたします。
○四本参考人 四本です。
 日本国内の実情ということに関しては、日本国内で大きな流行があるかどうかということがまだ、例えばトランスジェンダーでどうかということについての詳細が分かっていないから、その対象の調査をする必要があると。
○佐野室長 恐らくなのですけれども、日本国内でどういった方々をキーポピュレーションにして個別施策層として重点的にしていく必要性があるかというところの話になります。
○四本参考人 現在の個別施策層として、現在こちらに書かれている対象ということは、それはそれでよいかと思うのですけれども、現行の予防指針においても、国内の状況に応じて個別施策層の対象は変えていくと記載してあって、その根拠としての調査の対象というのをトランスジェンダーや受刑者など具体的な言葉を挙げて調査をしていくことが必要ということではないでしょうか。
○佐野室長 だからこそ、UNAIDSがキーポピュレーションを提唱していることを記載してというふうに記載させていただいているという形になります。
○四本参考人 分かりました。ありがとうございます。
○俣野委員長 どうぞ。
○花井参考人 今回、HIV陽性者に対する偏見・差別だけではなくて、その対照群の人たちの社会的なスティグマとか脆弱性があるというバリアビリティーの問題があって、そういう差別もなくそうよと書いてあるのはすごくいいことだと思うのです。例えばゲイの人たちに対する差別をなくそうよ、コマーシャルセックスワーカーの人たち、あと、ドラッグユーザー、ドラッグユーザーは日本では差別というか触法とかの場合がありますけれども、そういうものをなくしていこうよというのはすごく一歩踏み出たところなので、そういう施策の中でさっき言ったMSMとしてしまうと、やはり何となくこぼれていく。つまり、バリアブルなトランスジェンダーのいろいろな方とか、メンタルな部分でもケアが必要な人はたくさんいて、そういう中に広義としてはMSMもおられるわけです。だから、やはりそういう施策がマイノリティーというかそういう人たちにちゃんと行き渡るようにすることによってエイズが防げるので、それをどうやって書き込むかで、だから、こういう施策層を絶対入れろとごりっとここで言うかどうかは置いておいても、実際の施策上ではそれは絶対必要なのです。だから、それをどうやって落とし込むかというところをやはり考えていただかないと多分まずい。外国人も同じだと思います。入れてしまってもいいと僕は思うのですけれども、事務方はちょっとあれなので、だったら、具体的な施策の中でこぼれ落ちそうなところをどうやってちゃんとやれるかというところはどこかに書く必要があるとは思いました。
 以上です。
○佐野室長 花井先生、ありがとうございます。
 まさに我々も書かないからといってやらないと言っているわけではありませんし、やはり重要な点であるとは認識しておりますので、そちらについては御理解いただければと思います。
○俣野委員長 ほかはいかがでしょう。
 本件はこれまでの委員会でもそれなりに御意見をいただいて、御趣旨はそれなりに理解した上で、今回の改正の方向性案もそれを踏まえていろいろ検討した案ではあると思うのですけれども、今日さらに御意見をいただきましたし、さらに少し幅を広げた記載ぶりとかそういう御意見もいただけましたので、ここは一度持ち帰って、検討はさせていただくことにはなると思います。
 ただ、いろいろな視点での、だから、書く書かないの点があるということは皆様方も御理解いただいていると思いますけれども、議論が必要になってくるところではあるかなと思うのですが、大体こういうところで次へ進めさせていただきます。
 次にマル6の曝露前予防についてですが、いかがでしょうか。
 水島さん、お願いします。
○水島参考人 水島です。よろしくお願いします。
 背景のところで気になる点があったのですけれども、1つ目と2つ目のところ、予防効果が海外で報告されているというところと薬剤耐性ができるかは懸念があるという記載があって、多分意図したものではないと思うのですけれども、2つが同じような重みづけで読めてしまって、PrEPはいいけれども、薬剤耐性があるからちょっととハードルになっているみたいな感じでこれは読めてしまうのですけれども、有効性に関してエビデンスはもちろんありますけれども、実際はOral PrEPに関しては有効性という話は終わっていて、これを進めていくというところで、適切にPrEPを進めていくのであれば薬剤耐性は起きないという話だと思うのです。そこで適切なPrEPが進まないからこういうのが起きるということで、世界的に見てPrEPを進めていく中でこれはハードルではないという理解だと思うのです。この中でも、海外ではPrEPというのは人権の話に実際はなっていて、例えば黒人とかそういうところに行き渡らないみたいな話の文脈では語られるので、そういったところがこの背景だとミスリーディングになるのかなと気になったというのが一点です。
 もう一点はまた話が変わるのですけれども、人権の話というところになってしまって、先ほど人権を1番目に持ってきたということで非常に重要な話だと思って聞いていて、ただ、患者さんに関しての人権はもちろんものすごく大事で、これは言われているのですけれども、それ以外の感染していない方の人権というのは、先ほどのスティグマの撤廃ということで言われてはいるとは思うのですけれども、今、それで誰を対象にするといった議論になっていたと思うのですけれども、ただ、セクシャルヘルスの観点でいうと、やはり当事者が自分を守る、健康を守る、それを人権という言い方をしていかないと、性感染症でもHIVでもそうですけれども、解決していかないというところがあると思うので、気になったので、これはどうこうという話ではないのですけれども、2点です。
 以上です。
○俣野委員長 ありがとうございます。特に人権については、感染している方だけではなくてというところでありますよね。
 ほかにいかがでしょうか。
 白阪さん、お願いします。
○白阪参考人 曝露前予防(PrEP)は非常に重要なので、特出しでしておられるのだと思いますけれども、いろいろな要望の中の一つだという位置づけをやはり明記していただきたいのと、これは表現がすごく難しいのですけれども、これはターゲットとなる方に有効であって、国民みんながこれをする必要はないと私は思っていますので、その辺の表現の仕方も工夫される必要があるかなと思いました。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 花井さん、お願いします。
○花井参考人 PrEPについては、グローバルにはかなりPrEPは有効でやっていて、日本ではまだPrEPが承認される前はTasP(Treatment as Prevention)だろうと。TasPというのは、結局のところ、みんなU=Uにするということだし、それから、検査を早くして診断をつけるということなので、TasPは患者の視点から言えばU=Uの話なのだけれども、実はTasPはPrEPよりもこういう国では有効な予防対策であったわけなので、どこか治療にアクセスすることが結局蔓延を防ぐのだと。つまり、TasP自体が予防というファンクションを持っているというところがU=Uになってしまっているからどこかに落ちてしまって、あと、検査を増やせという話はそのとおりなのだけれども、やはりPrEPとTasPはある種両方の概念としてあって、日本みたいな国ではTasPのほうが有効だろうという話の文脈があったので、早期診断、治療ということがいかに拡大を防ぐかという観点が弱まっているので、PrEPならここに書かないのだろうけれども、どこかでそれを書いていただきたいと思いました。
 TasPという言葉自体は出てきているのかな。もう出てきていないかもしれないですね。なので、そこのところ、御検討いただけたらと思いました。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 結局、花井さんがおっしゃっていることは白阪さんがおっしゃったことに通じることですよね。だから、予防に向けて、ある意味では全体像も分かるようなイメージにして、そこの部分、早期診断、早期治療もちゃんと明示できればということですよね。
○花井参考人 そうですね。まさに日本のHIV蔓延を防ぐストラテジーはTasPだったわけです。それにPrEPが加わったという文脈もあるということなので、そこは公衆衛生上の感染者を増やすという話と人としての患者の権利とか、そういう話とはレイヤーがあるので、整理していただきたいと思います。
○俣野委員長 ありがとうございます。
○白阪参考人 1つだけ。忘れがちなコンドームも当然あるので、それも含めてお願いします。
○俣野委員長 ほかはいかがでしょうか。
 岩橋さん、お願いします。
○岩橋参考人 ありがとうございます。
 前回の小委員会から今回の小委員会で大きく変わったのは、PrEPとしてのツルバダの薬事承認が通ったというところだと思います。そういった状況の中で、もしかしたら私の読解力不足かもしれないのですけれども、今の段階で必要なのは評価や研究ではなくて、必要な人がPrEPにアクセスできるような実装の段階なのだというところについて分かるような表現をぜひ入れていただきたいというのが1点目です。
 また、今、現実にPrEPユーザーの状況を見てみると、経済格差と住んでいる居住地による格差が非常に大きいです。収入が多い人についてはPrEPにアクセスができているけれども、収入が低い人たちはなかなかアクセスしにくい。それから、都市圏であればPrEPをプロバイドしてくれるクリニックがあるけれども、そうでない地域ではなかなか難しいというような状況の中で、これも必要な人がその上に書いてあるアクセスしやすいように環境整備をしていくことも重要だということをぜひ言及してもらいたいなと思っています。
○俣野委員長 ありがとうございます。結局のところ、総合的にアクセスの問題というところでございますよね。
 田沼さん、お願いします。
○田沼委員 ありがとうございます。
 岩橋先生がおっしゃっていたことを言おうと思っていたので、ほぼ同じなのですけれども、この主な意見の中にアクセスしやすいようにと「アクセス」と書いているのですけれども、下の方向性には有効性や安全性という点に置き換わってしまっているので、アクセスというのと、実装をどう進めるのかということや価格に関しても含まれると思いますので、その点はどういうふうになっていくのかなと思った次第です。同じ意見です。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 生島さん、お願いします。
○生島参考人 アンケートとかをすると、多くのゲイ男性は承認されたら使いたいと答えています。ただ、実際は値段とか居住地域、環境によって非常にイレギュラーな、検査が十分にされない中で使用をし始めるみたいなことがあるので、せっかく認可されたので、安全に使えるような環境整備というのができたらいいなと思ったので、田沼委員の意見に賛同します。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 ほかはよろしいでしょうか。
 そうしましたら、幾つか貴重な御意見をいただきましたことを踏まえて検討させていただこうと思います。
 次に進みます。マル7の医療体制についていかがでしょうか。
 田沼委員、お願いします。
○田沼委員 主な意見の一番最後にある早期治療のための仕組みづくりをどう進めるかが課題という点に関しまして、この改正の方向性の中にも含めていただいているのですけれども、具体的にはどういった文案になるのか、もし今アイデアがありましたら御共有いただけると幸いです。
○芦澤室長補佐 事務局です。
 まだもちろん具体的なところというか案の段階で、私たちも今考えている段階ではありますけれども、ここに記載していますように、早期治療をできるための仕組みの検討を引き続き進める必要についてといった記載を考えているところです。
○俣野委員長 ほかはよろしいでしょうか。
 白阪さん、お願いします。
○白阪参考人 日本ではACCブロック、それから、拠点病院という非常にすばらしい医療体制があったおかげで随分とこの対策が進んだと認識しておりますが、だんだん医療の中身が変わってきていますので、従来の骨格は残すとして、それプラス、例えば普通の一般の診療所等でメインに診てもらう。もちろん拠点病院との連携は必要ですが、そういうふうな体制に広げていかれる方向で御検討していただけたらなと思います。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 ウェブのほうで横幕さん、お願いします。
○横幕委員 田沼委員のお話とも少しかぶるかもしれませんが、早期治療のための仕組みの検討が必要だというところのいわゆる早期治療の定義なのですけれども、診断即治療のところを目指されて、少し書きぶりを何か考えていらっしゃるのかというところと、もしそれをやるのであれば、それが課題であるところの根拠、何をもって現状早期治療が日本で様々な予防と衛生のところで問題になっているか、足りないかというところは、何をもってそう判断して、最終的に何を念頭にしてこの書きぶりをされたか教えていただきたいのと、先ほど外国籍の方の問題が少し議論されていたのですけれども、現場としてやはり既に診断されていて治療もされていて発生届に反映されない方たちが非常に多く入ってきているというのが課題になっていると思いますので、どこに書くのかはまたお任せしたいと思いますけれども、そういった方へ医療をどう提供するかという記載はここにも書いていただいていましたけれども、後々の発生届の書式の変更ですとか、対象の変更ですとか、そういったところにつながるような書きぶりを何かお願いできればと思います。
 以上です。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 事務局からありますか。
○佐野室長 ありがとうございます。
 早期治療のための仕組みの検討の話につきましては、先ほど芦澤からもお話しさせていただきましたが、詳しい記載ぶりについては今後の検討になるのかなと思っております。
 また、いろいろと御意見をいただいたところではありますが、その辺り、どういうふうに落とし込めていくのかというところは少し検討させていただけたらなと思っております。
 以上でございます。
○俣野委員長 ウェブのほうで今村さん、お願いします。
○今村委員 今村です。
 かつては発症する前にできるだけ早く診断をしようというところが早期治療という言葉で表現されていたと思うのです。今は診断即治療という意味での早期というのが一緒に議論されているので、その辺のところをどう書き分けるのかを整理していただくといいのかなと思います。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 四本さん。
○四本参考人 医療体制は拠点病院でHIVの治療を行うということについて現在の予防指針では記載してありますけれども、拠点病院で診療されていた経験豊富なHIVのことが専門の先生方がクリニックで診療されている。それも大分多くの患者さんを診療なさっているということがございますけれども、患者数が多い都市でということにはなるかもしれませんけれども、そのようなことを推進していくようなことについて今回加わるというようなことはいかがなものでしょうか。
○荒木課長 ありがとうございます。
 これは先ほど白阪参考人からも同じようなお話だったと思っておりまして、実態として白阪参考人が実践をされているとも理解しておりますけれども、まさに方向性の中で、一般医療であったり、医療機関間の連携という中で、これまで拠点制度というのもしっかりつくってということですけれども、それからさらにそういう医療従事者の方々も外のクリニック等にもいらっしゃるようになったということも踏まえて、どういうふうに進めるかという御指摘だと思いますので、そこはこの方向性の(いつ)の中でどういうふうな記載ができるかというのを考えたいと思っています。ありがとうございます。
○俣野委員長 ウェブの高久さん、お願いします。
○高久参考人 ここの医療体制に限らずなのですけれども、今はまだ条文ができていない段階なので、この条文をつくるときのリクエストになるのですが、例えば医療体制であれば、早期治療のための仕組みというか課題であるというところ、ここは○○が課題であるのでというところをしっかり明記してほしいと思います。例えば早期治療であれば、今の身体障害の認定のシステムに乗っていることというのは一つ課題だと思いますし、PrEPであれば価格が課題であって、有効性とか安全性のところは課題ではないと思っているので、そういう何が課題であるかというところ、個別施策層のところも今把握できていないというところが課題であるというところとか、何々が課題であるから××だというような書き方を意識していただきたいなというのをリクエストとしてお伝えしたかったです。
 以上です。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 では、花井さん、お願いします。
○花井参考人 ありがとうございます。
 先ほど白阪先生からも言及があったのですけれども、医療の質、中身自体が変わってきているわけです。当然、拠点病院は急性期医療機関ばかりであって、要するに急性期で専門的に診ることが求められて、ブロック拠点もさらにそうなわけですけれども、ありがちな話は、拠点病院に行ったら診られる先生がいませんから来ても無駄ですという拠点病院がたまにあるわけです。それはHIVスペシャリストがいないからという趣旨なのですけれども、多くの場合はそんなものは必要ないわけです。ところが、やはり発症とか、一部最初のレジメン決定とか、いろいろなソーシャルなサポートが最初はスペシャリストが必要なのです。だから、そこのところは拠点病院の機能の新たな位置づけというのを検討する必要がどうしてもあると思うし、個人的な意見から言えば、拠点病院三百幾つは取りあえず拒否しないで診てくれたらそれで、内科があれば診られるでしょうという形にして、中核拠点、ブロック拠点にスペシャリストを何とか残してやる。ACCという形です。
 それから、医療の質の問題で言えば、長期療養の慢性疾患の患者さんを診ることになるわけなので、そういう意味ではメンタルなケアとか、あと、よくあるのは高齢化していくということですよね。治られて生き残るということ。となると、都会でいた若き青年たちが療養に入って地元に帰ったら孤立してしまったりして、それでも病院に行かなくなってしまって、もっと言えばそれで自殺してしまったりいう例があって、だから、メンタルケアというのはやはり重要なので、ソーシャル、メンタルのケアが長期療養として必要ですよという医療の質の変化をどこかに入れておいてもらって、手段として拠点病院のファンクションというのも少しずつ見直していって、いわゆる病病連携、病診連携、福祉との連携とかいろいろ課題は多いのですけれども、そういう形で位置づけを整理していただきたいと思いました。
 以上です。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 幾つかいろいろな観点の御意見をいただいて、ありがとうございます。次へ進めさせていただきます。
 次は郵送検査について御意見、御質問はいかがでしょうか。
 岩橋さん。
○岩橋参考人 岩橋です。
 改正の方向性のところで3点あります。
 まず1点目ですけれども、保健所等で郵送検査を通常の検査の代替としてということも今後検討されていくと思うのですけれども、その際の保健所の役割というのを、ここの中に含めるかどうかは別としても、補足としてしっかり伝えていただきたいと思っています。検査キットを配ればそれで終わりではなくて、この方向性の中で言えば、医療機関へのつなぎというのは保健所の機能として非常に重要なところだと思うので、そういったところに責任を持つことということがしっかり伝わってほしいと希望しています。
 それから、2点目ですけれども、検査相談の外部委託というところで、保健所の検査機器機能をまるまま丸々民間のクリニックに下ろすということが今年度中関東でも幾つかの自治体で見られるようになってきました。そうしたときに、保健所のマンパワーあるいは環境が非常に厳しいのは重々分かっているのですけれども、どのクリニックにどういうふうに選んでいるのかということが決して市民目線に立って選ばれていないのではないかと思われるような事例もあったりします。なので、外部委託をされる際に、こういうことは守ってほしいというようなこと、例えば検査の予約が通常の診療でいっぱいのところ、予約がなかなか取りづらいようなクリニックで、そこで検査しているから行ってくださいなんていうようなことをされても、なかなか市民は行けなくなってしまいますので、これも予防指針の中ではないかもしれないですけれども、そういったところの外部委託の条件というのを伝えてもらいたいと思っているのが2点目です。
 最後に3点目ですけれども、自己検査キットについてです。WHOは自己検査キットについては有効な検査の手段の選択肢として随分前から推奨しているというような状況です。日本でも自己検査キットの導入に向けた、これは研究でもまず最初のステップではいいと思っていますので、そういったところも必要であるということについて予防指針の中で言及してもらえないかと考えています。
 以上です。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 事務局から何かございますか。
○佐野室長 ありがとうございます。
 先ほど2番目のところでも御発言があったかと思いますが、これはあくまで指針ですので、大きな方針を指し示すという文章ですので、どこまで細かいものをここに記載するのか。それ以外の例えばガイドラインですとかそういったところにどういったものを書き込んでいくのかという議論になってきますと、1点目と2点目に関しては指針に書き込むような話ではないのではないかなと思ったという印象ではひとつあります。すみません。
 3つ目に関しましては、そういった検査のものがあってWHOが推奨しているということは承知していますが、我々だけで問題が解決できる問題ではないというのは、感染症対策課だけの議論でなかなかクリアできるものではございませんので、その辺りについては長い時間をかけて議論をしていく必要性があるのではないかとは考えているところです。
 以上でございます。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 時間もありますので、次に進ませていただきます。
 次はマル9です。モニタリング等に関していかがでしょうか。
 次に進めさせていただきます。ありがとうございます。
 次は、日常生活において性的接触以外で感染することは通常ないということの記載についてということですが、いかがでしょうか。
 この方向で進めさせていただければと思います。
 最後のページになります。主な論点の中のその他で教育というところになりますが、御意見、御質問はいかがでしょうか。
 岩橋さん、お願いします。
○岩橋参考人 改正の方向性の3つ目のMSMも含めた個別施策層に対する普及啓発の必要性というところについて、これはとても重要なところだと思うのですけれども、個別施策層、ターゲテッドな教育も必要だと思うのですが、一方で、学校や一般の人たちに対しての教育の中で、そういった個別施策層の情報も含んで伝える包括的な教育の在り方ということについてもここで言及ができないかと思っています。ターゲテッドなことと、一方で教育の中で個別の事例についても全く触れないではなくて、少し触れていくというようなことができないかと考えています。
○俣野委員長 ありがとうございます。今後検討させていただきます。
 以上となるのですが、ウェブのほうで文科省の方から何かコメント等をいただけますでしょうか。もしございましたらお願いいたします。
○髙橋補佐 文部科学省の髙橋と申します。お世話になっております。
 今いただいた御意見につきましては、厚労省のほうと協議をしまして検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○俣野委員長 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 この後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針の改正に向けた検討については、取りあえずここで以上となりますが、改めて何か1つだけぐらいでしたら。何かありますか。
 田沼さん、お願いします。
○田沼委員 これまでほとんど議論できなかったのですけれども、最近、ここ3~4か月非常に重要になってきているのが国際貢献の部分だと思います。この5章に国際的な連携とありますが、ぜひこの章の特に2の項目、国際的な感染拡大の抑制への貢献というところは、最低でも現状維持ということでぜひお願いしたいなと思っております。あと、日本政府のこれまでのいろいろな国際保健への貢献ということを考えると、アジア諸国等という言葉で諸外国は語られているのですがここを、ぜひアフリカとかも含めた国際社会等に修正していただいたほうがいいと考えております。
 以上です。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 ございますか。
○佐野室長 田沼先生、御意見ありがとうございます。
 確かにおっしゃられますように国際貢献は非常に重要であると我々も認識しております。記載ぶりについては、過去との整合性とかいろいろなところもございますので、少し引き取って検討させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○俣野委員長 国際的な観点は非常に重要ではございますので、ぜひ御検討いただければと思います。
 白阪さん、お願いします。
○白阪参考人 もう時間があれですけれども、マル9で書いてくださっているGIPAですね。やはり各自治体のほうでもこのGIPAの存在意義というか、それを踏まえた共同の姿勢が重要であるとここに書いてくださっていますけれども、指針の中にGIPAという言葉を出していただけたら、これも英語なのでどう訳すかはありますけれども、結局、今回参考人の中にたくさんそういう関係の方が入っていただいているのも非常にすばらしいと思いましたが、それが自治体でも反映されると非常にいいなと思いました。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 最近は英語の略称をそのまま入れたほうが記憶に残るような傾向もあることも踏まえて御検討いただければと思います。
 そうしましたら、この議題1はこれで終了として、今度は2のほうに移らせていただきます。
 繰り返しですけれども、議題1はまず事務局のほうで今後の改正に向けてもう一度取りまとめていただくということとなるかと思いますけれども、よろしくお願いします。
 議題2につきましては「性感染症に関する特定感染症予防指針の改正に向けた検討について」ということで、まず事務局より10分程度で御説明いただければと思います。お願いいたします。
○越後屋補佐 ありがとうございます。厚生労働省感染症対策課の越後屋と申します。
 では、性感染症に関する特定感染症予防指針の改正に向けた検討についてお話しさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 次をお願いいたします。
 HIVでは昨年小委員会で議論がされているところ、性感染症においては初ですので、簡単に発生動向等も含め御説明させていただきます。
 7ページまで進んでください。
 こちらはHIVのほうでもお話がありましたが、指針改正までの流れを示しております。昨年6月と7月に打合せ会を2回実施しておりまして、本日の小委員会の御意見を踏まえ、時期は未定ですが、再度小委員会の実施を予定しており、その後、感染症部会での審議といった流れとなっております。
 次をお願いいたします。
 次に、性感染症の発生動向を簡単に御説明いたします。
 次をお願いいたします。
 こちらは2024年の性感染症定点疾患及び梅毒の報告数となります。左から暫定値ではございますが、性器クラミジア2万9795、性器ヘルペス1万1、尖圭コンジローマは6,384、淋菌は8,789、全数報告である梅毒は1万4663件となっております。
 次をお願いいたします。
 こちらは近年の梅毒報告数の動向でございます。皆様御存じのとおり、梅毒は近年増加傾向であり、2014年は約1,700件の報告数でしたが、2022年には1万件を超えており、昨年においては、2023年の報告数をやや下回っているものの、1万件を超えるいまだ高い報告数となっております。
 なお、右の図は年齢階級別・性別報告数であり、女性は20代に多く、男性は20代から50代までの幅広い層を中心に報告されている状況でございます。
 次をお願いします。
 2019年1月、梅毒の発生届に性風俗産業の従事歴・利用歴の欄等が記載項目として追加されております。
 左のグラフが診断時から直近6か月以内の風俗従事歴であり、男性は2%前後で推移しているのに対し、女性はおおむね30~40%で推移しています。
 また、右のグラフの診断時から直近6か月以内の風俗利用歴では、女性は1~3%で推移しているのに対し、男性については30~40%と高い割合を示しております。
 次をお願いします。
 こちらは梅毒以外の性感染症4疾患の定点当たりの患者報告数でございます。
 次をお願いします。
 こちらは先天梅毒についてでございます。基本情報や症状等は記載のとおりですので、割愛させていただきます。
 発生動向についてですが、まず右下のグラフですが、診断年別妊娠症例数は梅毒報告数の増加に伴い増加傾向であり、2022年、2023年につきましては大幅に増加しております。
 また、右上のグラフに移っていただき、先天梅毒の年間報告数も近年は増加している状況でございます。
 次をお願いいたします。
 次に、性感染症に関する特定感染症予防指針の改善に向けた各論点の整理について御説明いたします。
 次をお願いいたします。
 改正に向けた主な論点ですが、第1回打合せ会と第2回打合せ会で話し合われた論点を基に、下段の今回の主な論点として7つ挙げております。
 次をお願いします。
 1つ目、性感染症罹患リスク者と指針の対象者層についてでございます。打合せ会での主な意見として、「性感染症においても社会的背景に最大限配慮した施策を実施することが重要」、「生殖年齢にある男女のみならず、多様性に対する合理的な配慮が必要」、一方で、「個別政策層への対策を強化し過ぎることで、ほかの層における性感染症への意識が損なわれないような配慮が必要」、また、「当事者支援団体を含むNGO等への連携について具体的に記載することが望ましい」といった御意見が見られました。
 それらを受けまして、改正の方向性として、現指針に記載の性感染症は「生殖年齢にある男女を中心とした大きな健康問題」から「性的接触のある全ての人々における大きな健康問題」に修正してはどうか。生殖年齢の女性や妊婦、性産業従事者及びその利用者、MSM等についても発生動向の実態を把握し、それぞれに配慮した啓発や対策を講じる重要性について言及してはどうか。性感染症予防、蔓延防止や適切な医療の提供、正しい知識の普及のために、NGO等との連携について適所に記載してはどうかといった改正の方向性を検討しているところでございます。
 次をお願いいたします。
 2つ目に、性感染症疾患の実態把握についてでございます。主な意見として、「トレンドは把握できているものの、より幅広く調査が行えるような体制整備が必要」、また、「NDB等のビッグデータの活用も検討し、実態把握をより一層推進・強化していく必要がある」との御意見をいただいております。
 それらの意見を受けまして、定点医療機関からの報告に加え、NDBや各自治体が実施しているサーベイランスほか、多様なデータを活用し、包括的な実態把握を進めていくことを追記してはどうか。疫学的特徴を踏まえた対策を推進すること等を目的として、多様な情報源や患者調査等を活用し、発生動向の分析を推進するために民間企業やNGO等との連携について記載してはどうかといった改正の方向性を検討しているところでございます。
 次をお願いいたします。
 3つ目に、標準的な診断法・治療の推進でございます。「梅毒ではあらゆる診療科を受診する可能性があるところ、眼科、産婦人科など専門家に特化した内容も含め、包括的な診療のガイドラインが求められる」等の御意見がございました。また、「定点医療機関における筋注剤の採用率は23%と低い数値となっていることから、梅毒の注射薬の認知度は低いままであり、国が指針を示すべきといった御意見」、また、「地域によっては症例が少ないため、医療従事者を育成する枠組みを検討すべき」といった御意見がございました。
 それを踏まえ、改正の方向性として、梅毒の包括的かつ専門性に応じた診療の手引きを作成し、普及していくことを記載してはどうか。性感染症診療のための性感染症専門家及び一般の医療従事者への研修の強化を実施、また、相談体制の確保をしていくよう記載をしてはどうかといった内容を検討しているところでございます。
 次をお願いいたします。
 4つ目、検査の奨励と検査の機会の提供でございます。主な意見としては、「感染症の蔓延防止の一環として、保健所等における性感染症の検査体制をより確立させた上で、多様な層の実情やニーズに合わせた受検勧奨を実施すべきではないか」といった御意見があり、それを受けて、改正の方向性として、今後の事業実施継続も考慮しつつ、保健所の検査体制を充実させるためにも、検査の外部委託の活用を促進することを追記してはどうか。保健所等における検査の実施後、陽性の場合には医療に結びつけることを記載してはどうかと内容を検討しているところでございます。
 次をお願いいたします。
 5つ目、普及啓発及び教育でございます。梅毒の報告数が多い層やハイリスク者に向けて普及啓発を実施しているところではございますが、主な意見として、「情報発信の仕方をしっかり工夫するというような内容を追記してはどうか」、また、「若年層を対象にインターネット上の多様なプラットフォームを活用した啓発方法の推進」、「学校との連携について語句を強調する記載が必要ではないか」、「性教育指導者への育成、派遣等の支援をする内容の記載」について御意見がございました。
 それを受けまして、学校教育や地域や家庭における社会教育において、関係機関とより一層強めた連携が必要である旨を記載してはどうか。性に関する指導者育成のための研修等の実施を推奨することを追記してはどうか。インターネットやSNS等を活用し、様々な層に適した行動変容を促す効果的な啓発を推進することを記載してはどうかといった内容を検討しているところでございます。
 次をお願いいたします。
 6つ目です。性感染症に関する関係省庁や関係機関の役割、連携体制についてでございます。「新たにこども家庭庁が設立されたため、連携が必要な関係省庁に含めるべきではないか」との御意見をいただきましたので、追記する方向性で進めております。
 次をお願いいたします。
 最後に、研究開発の推進についてでございます。我が国においても抗菌薬耐性の治療法確立に向けて研究開発を行っているところ、「薬剤耐性菌を持つ病原体への対策は重要なので、疫学研究や診断方法の開発などを追記してはどうか」といった御意見をいただいております。また、「民間企業等も研究への協力を仰ぐことができるよう、指針に追記してはどうか」、「現在「ワクチンの開発の研究、予防方法の新たな可能性」と記載があるが、ワクチン以外の予防方法も念頭に「新たな予防方法の可能性」と修正してはどうか」、「性感染症曝露後予防について、学会等において予防に関する情報の発信等が重要」との御意見をいただいております。
 それらを受けまして、薬剤耐性を持つ病原体への対策の観点から、既に指針に記載されている治療薬の開発に加え、疫学研究及び診断方法の開発の2点を追記してはどうか。様々な情報を活用する観点から、民間企業やNGO等を盛り込み、「疫学者、都道府県、民間企業やNGO等」としてはどうか。曝露後予防に関して研究を推進する必要があることから、治療に加え、予防に関して記載をしてはどうかといった改正の方向性を検討しているところでございます。
 私からの説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 それでは、議論に移りますが、最初のほうで発生動向の説明等がありましたが、もし御質問等がございましたら受け付けますが、いかがでしょう。よろしいでしょうか。
 そうしましたら、論点のところに移ります。16ページを御覧ください。
 マル1の性感染症罹患リスク者と指針の対象者層のところですが、御意見、御質問はいかがでしょうか。
 岩橋さん、お願いします。
○岩橋参考人 エイズ予防指針との違いのところで、背景の3つ目のところに出てくるケアサポート経験の豊富な民間企業というのが具体的に何を指しているのか分からなくて、2つ目の実態把握のところでも民間企業との連携が重要だと言及されているので、重要なステークホルダーなのだろうとは思うのですが、これは具体的には検査会社とかそういったものを指しているのでしょうか。
○俣野委員長 事務局、いかがでしょうか。
○佐野室長 調べて回答させていただく形でもよろしいでしょうか。今は即答できませんので、申し訳ございません。
○俣野委員長 それでは、ウェブの川名さん、お願いできますでしょうか。
○川名委員 日本大学の産婦人科の川名です。
 改正の方向性のところの話になってしまうのですけれども、2つ目に生殖年齢の女性や妊婦さん云々と載っているのですが、例えば梅毒に関して言えば、妊婦さん自身が何か危険な性行動をしているわけではなくて、そのパートナー、家族、御主人などですので、生殖可能な女性や妊婦さんというところはいいのですが、そこにもう一つ、その家族というのもぜひ加えていただいたほうが現在の実態に即していると思いますので、そこも一つ追加してもらえればと思いました。
 以上です。
○俣野委員長 ありがとうございます。検討させていただこうと思います。よろしくお願いします。
 ほかはいかがでしょうか。
○早川委員 国際感染症センターの早川です。
 3番のところに関してなのですけれども、先日、先天性梅毒予防の方で小児科学会のフローチャートに沿ってステルイズ60万単位を筋注しようとしたところ、現在入手ができない状況になっているということ、販売を中止しているということが判明しました。問い合わせたところ、今年度後半まで中止で、かつ240万単位を流用することもメーカーとしては推奨できないという回答でございました。そのため、そのお子様に関しては、やむを得ず10日間入院で点滴を推奨するという形になってしまったのですけれども、治療薬の確保のところに関しましても、ほかの先生方の御意見も踏まえまして、何か記載を御検討いただけるとありがたいかなと思った次第です。よろしくお願いいたします。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 ただいまの御意見は18ページのマル3のところの内容のようです。ただ、御意見は承りましたので、ありがとうございます。
○早川委員 前倒しで発言してしまってすみませんでした。
○佐野室長 御意見をいただき、ありがとうございます。
 その問題点についてなのですけれども、医薬品の安定供給という観点もございますので、こちらの指針に書き込むのが適切なのかどうかも含めて、少し我々のほうで検討させていただきたいなとは思っております。
 以上でございます。
○早川委員 ありがとうございます。
○俣野委員長 ほかはいかがでしょうか。この16ページのマル1の件でよろしいですか。
 次に進ませていただきます。次はマル2です。実態把握の件についていかがでしょうか。
 生島さん、お願いします。
○生島参考人 2019年に届出様式が変更になり、性風俗産業の従事歴・利用歴が入ったのはいいと思うのですけれども、民間の市民同士のいわゆるパパ活、援交みたいなものがこの様式だと捕捉が難しいのではないかという声をあちらこちらで聞くので、ここをもう少し何か工夫することができないのかなと思いましたので、発言させていただきます。
○佐野室長 御意見をいただき、ありがとうございます。
 御指摘の点は非常に重要なのかなと思うのですけれども、発生届にどこまで書き込めるのかといった現実的な問題もございますので、引き続き御議論をさせていただきたいなと思っているところでございます。
 事務局からは以上でございます。
○俣野委員長 それでは、高久さん、お願いします。
○高久参考人 質問になってしまうのですけれども、性感染症の幾つかの中で梅毒だけがやはりこの10年で物すごく爆増しているように見えているのですけれども、何か原因を究明するというような、条文に原因の究明というのがあると思うのですけれども、その要素がこの改正の方向性からあまり見えてこなくて、総数を把握しようという程度に見えるのですけれども、爆増した原因というのはどういうふうに測定されているのかとお考えなのかということと、この後に幾つか対策として若者へのSNSでの啓発であるとかというのが出てくるので、そこはきちんと連動した形になっているのかというところをお伺いしたいです。
○佐野室長 ありがとうございます。
 正直なところ、梅毒がなぜここまで上がっているのかというのは原因としてははっきり分かっていないという状況ではございます。一応病原体の遺伝子の解析をした結果も、海外からの流入はすごくあるわけではないと。むしろ日本国内での発生が主だというところが分かっておりますので、正直なぜ上がっているのかというのは分かっていないところではあります。
 ナッジの話ですとか我々からの情報発信のほうにつきましては、具体的にはいろいろと、例えばなのですが、特定のサイトを利用した場合にポップアップで梅毒の検査をしましょうみたいな宣伝はさせていただいているところではございますので、比較的重点的に対策を打つ層に対してこういったメッセージが届いているような形になっているのではないかとは考えております。
 私からは以上でございます。
○高久参考人 ありがとうございます。
 課題というか要因の特定があって対策があるというのが基本だと思いましたので、その順番というか、原因を特定するというところについてあまり力点が置かれていない点が気になりましたので、コメントさせていただきました。
○俣野委員長 要因等の今の御質問につきまして、委員あるいは参考人の専門家の先生方のほうで何かコメントはございますか。もしあれば。
 山岸さん、お願いします。
○山岸参考人 参考人の感染研の山岸です。
 今の御指摘のとおり、梅毒の増加はあまり分かってはいないので、オーバーラップもしていると思うのですが、研究開発の推進等でも少し増えていると思いますが、感染症発生動向調査からはかなり浅い情報しかなくて、先ほど梅毒だけが増加しているとありましたけれども、性器クラミジア感染症もここ10年で倍増していまして、でも、それが分かりにくいので分からない状況にあると思いますけれども、その原因も分かってはいなくて、定点からの報告は本当に性、年齢ぐらいしか分からないから、ほかの情報源から比較的に原因を探っていくほうがいいのかなと理解しています。それで、きっとこのNGOとかほかの情報源を活用していくべきという方向性を書かれているのかなと理解しました。いずれせよ原因は分かっていないので、そこをもう少し力点を置いて探っていくべきということには自分も賛同いたします。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 ウェブで手が挙がっている方から先に行きます。宮田さん、お願いします。
○宮田委員 ありがとうございました。
 これは論点2だけではなくて、例えば論点6、それから、論点7の研究開発にも関わってくるのだと思うのですけれども、やはり単に実態把握をしているだけで、先ほどの委員の御意見にもありましたが、対策が出てこないという可能性がありますので、実態把握と同時に疫学的な調査など、あるいは分子生物学的な調査などを加えて、感染の増加の原因に迫るような研究開発というのをどこかやる必要があるだろうというのが一つです。そのためにも、この実態把握の調査というのがその研究開発の元データになりますので、精度を上げていくというようなところを何とかうまく記述してほしいというのが一つ。
 それからもう一つ、日本は鎖国しているわけではないので、今、性感染症のゲノム解析のところで海外はあまり関係ないと言っていましたけれども、それは十分な研究があってのことだとはとても思えないので、海外の発生状態みたいなものとの国内の実態の関連性みたいなものも含めて、研究開発とか、あるいは外務省との連携によってデータを海外の近隣の諸国、観光客などが多いような国から、そういった発生状況を一緒に併せてデータとして把握するみたいな努力をなさったほうがいいのではないかと思っているのですけれども、そこら辺をうまく記述していただけるとありがたいと思います。
 以上です。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 次は川名さん、お願いします。
○川名委員 ありがとうございます。
 このデータベースの活用のところなのですけれども、産婦人科は妊婦というのに限られてしまいますけれども、性感染症、これはヘルペスもクラミジアももちろん梅毒もHIVもですけれども、全て母子感染等で児に影響がある。かつ流産等もあり得るというので、その辺のデータベースのソースとして、産婦人科の学会の中に分娩の全登録のデータベースがありますので、そこからこういう貴重なデータも入ってきて、実態把握につながると思いますので、そういう違う角度からのデータベース活用という意味では、最後の改正の方向性の中に学術団体等というような言葉も一つ入れておいていただければなと思いました。もちろんこの「多様な」の中に入っているのかもしれませんが、明記していただいてもいいのではないかと。妊婦に関してはそういうのがありますので、御紹介しました。お願いします。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 手を挙げていただいた順番で、次に生島さん、お願いいたします。
○生島参考人 NDBデータの活用というのが書いてあるのですけれども、これは保険診療に限定されると思うので、昨今、自由診療の性感染症のクリニックはすごい勢いで各地で増えていると思うので、そこの動きというのを何らかの方法で補足していく必要はないのかなと感じたので、コメントさせていただきました。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 お願いします。
○佐野室長 ありがとうございます。
 今の御意見については、民間企業ですとかNGO等というところで拾っていけたらなと思っているところです。なかなか自由診療のところを全部拾っていくのはより厳しいという話になるのですけれども、できるだけ広くアンテナを張りながら全体的な数が把握できるようになっていければいいなと考えております。
○荒木課長 宮田委員、川名委員からも御指摘いただいて、事務局からということで、宮田委員からは大きく2点ですけれども、1つ目の原因、実態が分からないままというところについては本当にここ10年の問題意識というところがございます。
 先ほど越後屋のほうから最初にデータということで、梅毒の年齢階級別とかそういうのを示しましたし、例えば性産業従事者とか、あるいはその利用者というようなデータも示しまして、推測なのですけれども、そこをターゲットとしてというのはあり得るのかなと思っていますが、なぜこれだけ増えているかというのがまだ究明できていない部分がありますので、そこは先ほどのデータの関係ですね。届出データ、全数届ですけれども、それだけのデータではなくて、抜けているものがあるかもしれない。そういう意味では、診療のNDBのデータの中でも少しそれが裏打ちできるかもしれませんし、今、生島参考人が言われましたように、自由診療とかクリニックという部分については例えば研究とかに協力いただいてそういうデータを取るというようなこともできるかもしれませんので、その辺りを含めて本当に貴重な御提案だと思いましたし、さらに、川名委員から学会のほうの学術団体も貴重なデータをお持ちだということなので、非常に建設的な提案をいただきましたので、そこもうまく反映したいと思っています。
 以上でございます。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 水島さん、挙がっていましたよね。
○水島参考人 生島さんと同じ質問なのですけれども、定点医療機関は結構増えている自由診療のクリニックがどれぐらい入っているのかという調査をしないと、実際の全数把握の梅毒、クラミジア等の数というのはそういった評価が必要かと思います。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 それでは、ウェブで今村さん、お願いします。
○今村委員 今村です。
 これまでにあった質問についてのコメントを2点お伝えしたいと思います。
 1つ目は、生島参考人が述べられた性風俗産業の従事歴で追えなくなっているということについてです。あくまでも参考なのですけれども、過去の疫学調査では、性風俗産業の従事歴に加えて、金銭の授受を伴う性行為というような表現でアンケート調査などが行われている例もあります。
 あともう一点は、岩橋参考人が先ほどおっしゃっていた民間企業のところなのですけれども、今のマル2のところで出されている部分の民間企業に関しては、検査機関、あるいは民間の郵送検査会社の検査の結果が疫学に利用できるというところが重要になってくるのではないかなと思います。ただ、先ほど指摘されていたマル1のところでケアサポート経験の豊富な民間企業というのに関しては何を示しているのかわかりませんでした。
 以上です。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 時間もありますので、すごく多くの観点から御意見、御質問をありがとうございました。次に進ませていただきます。
 マル3、標準的な診断法・治療の推進についていかがでしょうか。先ほど1点ありましたけれども、取りあえず次に進ませていただきます。
 次はマル4です。検査の奨励と検査機会の提供につきまして、御意見、御質問はいかがでしょうか。よろしいですか。
 そうしましたら、また進めさせていただきます。次はマル5の普及啓発及び教育につきまして御意見、御質問はいかがでしょうか。
 岩橋さん、お願いします。
○岩橋参考人 ありがとうございます。
 普及啓発、教育のところについても、ぜひNGOとの連携というのをしっかり明記していただきたいなと思っています。もし関係の研究班の先生方がいらっしゃったら恐縮なのですけれども、例えば事例で右上に出されているリーフレットの左側のものですけれども、これはエイズの啓発だったら20年前とか30年前に行われていて、すごく批判されるようなものだと思います。つまり、あなたがきっかけで大切な人も感染するって、あなたが感染源ですよというメッセージを出しているものを予防啓発のものとして本当に出していいのか。もちろんナッジの側面で見れば、社会的ナッジであるとか感情的ナッジであるというのはよく分かるのですけれども、こういった感染している人の人権に関わるようなメッセージは、議論の上で行われているのであればまだ分かるのですけれども、そういったプロセスが踏まれているのかどうかというのは甚だ心配なので、ぜひそういったものを市民あるいはNGOとの連携というのを進めていただきたいなと思っています。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 それでは、どちらでも結構ですので、お願いします。
○田沼委員 ありがとうございます。
 エイズ予防指針との違いというところで気づいたところで、3、4、5に関わるのですけれども、先天梅毒が増えているというところなのですが、普通に妊婦健診を受けていれば梅毒の検査で妊婦さんは分かって治療できると思うのですけれども、それをすり抜けているというのは、HIVでいうとすり抜けやすい外国人の妊婦さんだったりするのですけれども、この外国人の方の層へのアプローチというところはどこか視点が入るのでしょうか。それとも、先天梅毒の疫学的な特徴というかハイリスクの社会的な背景というのは何か分析されているのでしょうか。
○佐野室長 ありがとうございます。
 正直、そこまで詳しい分析というのはまだできていないところではあるのですけれども、先ほどもちょっとお話しさせていただいたのですが、今後の議論になってくるのかなとは思ったりもしますし、あとは先天性梅毒の外国人に対してというお話ですよね。
○田沼委員 先天性梅毒が増えている妊婦さん側の社会的要因というのは、検査へのアクセスが阻害されているような、アクセスしづらい要因があるのかどうかというところです。
○佐野室長 結局、妊婦健診にいつ来られるのかという話も多分あると思うので、そこを一律に何か原因があるというところで特定するのは厳しいのではないかなと思っています。妊娠に気づかれてから産婦人科に行かれるという話になると思うので、もちろんちゃんとずっと定期的に来られている方もおられると思うのですけれども、そのスタート段階は恐らくそれぞればらばらかと。
○田沼委員 分かりました。ということは、特定の層はなさそうだということですね。
○俣野委員長 川名さんは今の件ですか。
○川名委員 よろしいですか。川名です。
 妊婦さんは普通に定期健診にしっかり来られている方が先天梅毒になっています。ですから、今のスクリーンシステムでは全然これは予防し切れないわけです。ですから、妊婦健診に来ていない人が先天梅毒になっているのではなくて、ごく普通にちゃんと来られている妊婦さんが御主人からうつったりしてなっています。ひどいときには、初期の検査が陰性でもその後妊娠中に陽性になる妊婦さんもいます。ですから、大事なのはむしろ妊娠する前に梅毒かどうかをちゃんとチェックするというのと、先ほど言った家族ですね。妊婦さんの家族が注意する、気をつけた行動をするということがこの啓発のポイントになると思います。
 三鴨先生も御意見があるかと思います。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 どうしましょう。三鴨さん、お願いできますか。
○三鴨参考人 参考人の三鴨です。
 つい最近、JAMAで、要するに日本は妊婦健診のときには初回のみ検査していますよね。だけれども、今、川名委員がお話しになられたように、途中で陽性になってすり抜けて先天梅毒の児が発生するといった事態も問題になっています。ですから、そういった意味では、これはどこに入れたらいいのか分かりません。普及啓発もしくは患者の教育ということで、ここにどういう形で盛り込んだらいいのか、なかなか難しいとは思うのですけれども、やはり妊婦健診のときの梅毒検査の見直しというのを、文字をどのように記載したらいいか分かりませんが、ぜひ盛り込む形を考えていただければなと思います。
 それと同時に、やはり患者さんが診察を受ける機会をしっかり提供するということが重要で、先ほど来問題となっていた自費クリニックというものが増えているのは、なかなか性感染症というのは闇の部分がございますので、そういった意味で、そういったところに保険を使わずに行きたいという方が多いので増えているのだと思うのですけれども、それはさておき、やはりいわゆる患者さんというか疑われた方々がどこを受診したらいいのか、これが甚だ不明というのが現実だろうと思います。内科あるいは産婦人科、小児科、泌尿器科、皮膚科、いろいろな症状によっていろいろなところがあるのですけれども、やはり性感染症に強い診療科というのがどういうところかということをしっかりとこの指針の中に盛り込むべきではないか。そういった意味では、日本性感染症学会、私、前理事長をしておりましたけれども、そのときからずっと申し上げてきた、やはり標榜科として性感染症科というのを認めていただくことも将来勘案していただいた上で、どこを受診したらいいのかということをこの予防指針に盛り込むことが重要ではないかと思いましたので、付言させていただきます。
 以上です。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 山岸さん、さっき手が挙がっていましたが、よろしいですか。
○山岸参考人 参考として、田沼先生の質問ですけれども、確かに川名先生がおっしゃったみたいに4分の1が普通に1回目の検査は陰性で、次に広義に陽性になっている人でした。国のデータは全部が把握できてはいなくて、先天梅毒の定義の問題もあって、梅毒母子感染をした人が全ては把握できていないのですけれども、多分川名先生たちの診療結果のほうがより現実かもしれませんが、国の中では4分の1が最初の段階では陰性だった方が後から陽性になってきているという状況でした。
 外国人の方が問題だということは実は少なくて、大半が日本人の方ばかりで、先天梅毒を産むお母さんの特徴と梅毒にかかる妊婦さんの特徴は恐らく違うのだと思うのですけれども、そこがまだ明らかになってはいない状況です。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 そうしましたら、亀井さん、お願いします。
○亀井委員 ありがとうございます。
 私は総論的な指摘をさせていただきたいと思います。改正の方向性の最後の部分に行動変容という言葉がございますけれども、行動変容の促進だけにとどめずに、誰もが検査、治療、予防手段にアクセスできる社会的環境の整備ということがとても大切ではないかと思っております。公衆衛生施策としての視点をより強く打ち出す必要があるのではないかと思っております。
 今、いろいろ社会的要因などを御指摘いただいているわけですけれども、やはり情報アクセスの格差とか、ジェンダーの不平等とか、経済的脆弱性などは深く関係していると思いますし、個人リスクというよりは構造的に支援が届きにくい等の状況があることは明らかだと思います。このような指針などでエビデンスに基づく社会的メッセージの発信の役割ということもあるかと思いますので、その辺も含めて文言をお考えいただければと思っております。ありがとうございます。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 山岸さん、お願いします。
○山岸参考人 また違った話になりますが、改正の方向性の2点目の指導者育成のための研修などの実施は非常にいいなと思いました。HIVのほうには指導者への教育というものが書かれてはいたのですけれども、性感染症のほうにはなかったので、これを書いていただいたのは非常にいいことなのかなと思いました。
 HIVのほうでは知識や経験を有する医療従事者が教育に積極的に協力するという文章がありますが、医療従事者に限らず、教育者とか性に関する教育の専門家の方もいらっしゃいますので、主語に関しては医療従事者に限らず広く教えていける人に、教えていける人をつくりたいので、指導者の枠を広げて指導していただくという文言にしていただくとよりいいのかなと思いました。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 よろしいですか。
○佐野室長 三鴨先生と川名先生からいただいた意見なのですけれども、確かに実臨床としてそういった印象を持たれているというところはあるのだろうなと思うのですけれども、今、実際に山岸先生から御発言いただいた4分の1という数が本当に多いのか、本当に少ないのかというところは、そこはちゃんとしてからでないとなかなか結論は出ないのかなと私はお話を聞いていて思ったところです。
 正直、妊婦健診の変更とかそういう話になってきますと、さすがに当課の範囲を超えてしまう大きな問題になってきますので、今ここで指針に書き込むかどうかということを含めてお答えをさせていただくことは困難ということは御理解いただければと思います。すみません。
 私からは以上でございます。
○俣野委員長 白阪さん、お願いします。
○白阪参考人 直接関係ないかもしれないのですけれども、厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会のほうでHPVワクチンのことは言われていて、非常に議論はいろいろありましたけれども、有効であることは間違いないと思うのです。そういうふうな言葉をこの中に書けるかどうか別にしても、性感染症の予防はワクチンということもありますので、そういうことも学校レベルでも周知しないと、現場のお医者さんはかなり困っているようなので、何か書けたらいいなと思っております。
○俣野委員長 いかがでしょうか。重要な御指摘だと私も思うのです。
○佐野室長 ありがとうございました。
 検討させていただきますが、実際に予防接種に対してここにどこまで書けるかというのは検討させていただければと思います。
○白阪参考人 ありがとうございます。あると書くのではなくても結構ですので、そういう方法もあると。この指針に書いていないと学校の現場で情報提供しにくいので、これを進める進めないはいろいろな議論があると思うのですけれども、広げておかないといけないかなと思いました。
○俣野委員長 どうぞ。
○花井参考人 かねがね思っていたので、白阪先生が言ってくれたので申し上げますと、もともとHPVワクチンは4価と2価とあって、最初のものは男性も打ってよかったのではないかと。一部は女性は打たなくてよかったではないかとかあって、今は9価になっているからどちらも使えばいいという話になっているのですけれども、ああいうワクチン行政の中で、がんを防ぐためのワクチンということが許される予防接種法と、さっきのPrEPですね。申し訳ないですけれども、PrEPのところはかなり腰が引けた表現になっているのですけれども、そういう意味で言えば、ある種PrEPというのもワクチンと同じようなものとも言えるわけで、もともと予防接種法は蔓延するからというところでいわゆる強制とか特例接種とかいろいろあったのですけれども、そこでHPVが出てきたところで筋が変わってしまって、そういう観点からいくと、PrEPだって同じ土俵に乗らなくてはいけないのではないかと思うので、そこは今までの法律と経緯があるので、なかなか難しいところはあると思うのですけれども、何かの機会があればやはり予防、プリベンションにおける薬であろうが、ワクチンであろうが、疾病予防という観点ですよね。単に蔓延を防ぐからという予防接種法の立てつけ自体もどういう整理にするかというのも考えてもらわないといけないかなと。いろいろな疾病が今は病原体由来になっていて、よくあるのはピロリ除菌の話もありましたし、それから、C型肝炎は要するに肝外予防とかそういう話になってしまっていて、多くの疾病が実は感染症だということになってきたときに、いわゆる今までの考え方の病原体と予防という考え方にそごが生じると思うのです。だから、PrEPが何となく腰が引けた表現になっていたのが気になるのですけれども、何かの機会にそこは整理していただきたいと思いました。
 以上です。
○俣野委員長 先ほどの件も含めて、この性感染症の予防指針のところで扱うかという問題もいろいろあると思いますので、ただ、検討はしていただければとは思います。
 お願いします。
○横田委員 香川大学の横田です。
 先ほどの議論とは違うお話なのですけれども、後天性免疫不全のことも含めて、私は地方で働いておりますので、地方での専門家の確保というのが非常に問題かと思います。梅毒に関しても、相談体制の確保や、あと、研修を行うに当たって専門家の育成という文言が出てくるのですけれども、実は地方自治体がメインになって感染症専門医の育成というのを地域でやっておりまして、それは1年に何人とかという目標があるのですけれども、その人にどう働いてもらうか、何をしてもらうかという視点がまだ十分ではないのです。今回のお話もお伺いさせていただくと、そういうものとも協力していきながら、地域に感染症専門医をつくるのであれば、やはり感染症の専門家として地域の医療を担っていただきたいと。文言を入れる必要は全くないと思うのですが、そういうことでほかの部署とも連携していただくとすごくいいのではないかと私は思います。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 お願いします。
○渡會委員 渡會でございます。
 性教育の部分で、文部科学省の学習指導要領のほうに記載がありますので、HIVと性感染症は教えるようにはなってございますが、最近、学校の先生方の働き方改革などがあって、性教育の部分がまあまあカットになっていると思いますと、学校の教育が今どういうふうになっているか研究をしていってもいいのではないかと思っておきます。
 また、HIVのほうに保健所等が普及啓発に携わるものに教育、学校現場とあります。性感染症の部分でもそういったこと、あとは学校現場の教育が必要と思っております。そして、現在保健所が、新宿保健所等でございますと、例えば繁華街の子供たちに保健所の保健師、あとは外部委託などをして週に3回性感染症予防について教育を始めているということや、地方の保健所等も繁華街に出向いているということもございますので、そういったところを強化していけばよろしいのではないかと思います。よろしくお願いします。
○俣野委員長 ありがとうございます。
○荒木課長 横田委員あるいは渡會委員からも貴重な御提案をいただきました。
 特に人材養成の部分、地域においての感染症医の不足という部分の中でも、これに限らず言われていることですし、地域でやはりしっかり貢献していただくというところも重要だということでございますので、この指針に限らずでございますけれども、まさに教育という部分で、多分教育を担われている横田先生からの御指摘かと思いました。十分受け止めさせていただきたいと思います。
 渡會先生からは本当に保健所というか、学校教育での役割については、当然、文科省さんとも我々は一緒にやりつつ、今の御意見も文科省さんにも伝わっているはずなのですけれども、特に現場実態として、私も地方に出ていたこともございますので、その際にはまさに保健所が出前研修教育という形で小学校、中学校等にも行かせていただいているということについては十分承知していますし、学校現場におきましては、さっきの働き方改革もございますが、保健所も働き方改革がある中で、こういうのは引き続き重要性ということについて認識しておりますので、そういうふうに受け止めさせていただきました。ありがとうございます。
○俣野委員長 どうもありがとうございます。
 次に進めさせていただきます。次はマル6で関係省庁や関係機関の役割、連携体制ですが、先ほどの話とも関係してくるところですけれども、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 文部科学省の方から何かございますか。よろしいですか。
 もう退室されていますか。どうも失礼いたしました。
 そうしましたら、最後のページに進めさせていただきます。マル7の研究開発の推進につきましていかがでしょうか。
 岩橋さん、お願いします。
○岩橋参考人 ありがとうございます。
 先ほどの啓発のところでも少し言及したのですが、ぜひ性感染症のところについてもNGO、市民、患者を含めたモニタリングについても言及していただきたいなと思っています。これはもしかしたら研究開発の推進の部分ではなくて、最後の施策の評価及び関係機関との連携の部分なのかもしれないのですが、そうすると、専門家のヒアリングが必要だというところまでは言及されているのですが、市民あるいはNGOのというところまでは現段階では言及されていないので、そういったものも含めて検討していただけるといいなと思っています。
○俣野委員長 ありがとうございます。
○荒木課長 貴重な御意見をいただきました。まさに本日の小委員会というのはHIVの指針とともにこちらの性感染症の指針も併せてやっておりますし、整合性を取る必要はないのですけれども、大まかに言うと、こちらでいい形で書かれているものについてはこちらに反映するべきではないかという御意見だと思いますので、その辺は受け止めさせいただければと思います。
○俣野委員長 ほかはいかがでしょうか。
 そうしましたら、ちょっと駆け足で進んでまいりましたが、この性感染症に関する特定感染症予防指針の改正に向けた検討につきまして、全体を通じてでも結構ですので、もしお一人お二人ございましたらお伺いしますが、よろしいでしょうか。
 後藤さん、お願いします。
○後藤参考人 最後に全般、性感染症だけではなくてエイズの予防指針についてもですが、前回の小委員会が昨年の6月で、今回はほぼ1年、間が空いてしまったわけなのですが、いろいろその間に性感染症の予防指針についてここまで詳しく検討していただいたかなというところで、これはすごくよかったかなとは思いつつ、前回の改正から7年も経過しているということもあり、ちょっと遅いのではないかなと率直に思うところではありますというところで、次回また小委員会をやってという話もあったと思いますので、この辺り、まだ期日というか、どのぐらいでこの予防指針が改定できるかというところを明確にするのは難しいかとは思いますが、大体の目安というか目途みたいなところを国のほうでどのようにお考えになっているかというところをお聞かせいただきたいというのが一点。
 もう一点、エイズの予防指針のほうで早期治療の話とかがありましたけれども、これは実際は現行の予防指針にも既に書かれていることを引き続き検討するという形にしか文言がなっていないみたいなところを我々は恐れているところで、結局検討だけでずっと何年も店ざらしにされている事項がいっぱいあるなと率直に思うところではあります。というところで、今回いろいろ申し上げて、実際に一生懸命検討していただくのだとは思うのですが、それが結果に結びつかないというところが我々の一番心配しているところですので、そういったところも意識していただいて、特に新しく始めたところでモニタリングなどは前回の小委員会等で我々は強く言ったところですが、これは予防指針改正しなくてもやっていただいきたかったというか、もう少し目に見える形を私たちは期待していたところで、そこでさらに予防指針に書き込めばさらに充実していくかなと期待していたところ、今年度はまだこれといったものが見えていないというところが私の率直な感想ではあるので、そういったことも含めて、この予防指針改正という一つのきっかけではありますが、そこに向けて国の姿勢というのももう一回、我々は一度裏切られた身ではありますので、そういったところは非常に不安に思っているところでもありますので、その点明確に、このエイズ対策、性感染症対策に向けての決意を改めてお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○荒木課長 後藤参考人からの非常に愛のある厳しい御指摘だと理解しております。
 まず1点目の少し時間がたったというところについては、本当に率直に申し訳なく思います。かなりいろいろな意見交換もさせていただきつつ、さらにさきほどのPrEPの承認というのも含めて、大きな動きを待っていたわけではないですけれども、その辺の検討あるいはいろいろなデータを収集、そして、研究班の成果も踏まえてというところもございますし、性感染症のほうも先ほど評価いただきましたけれども、様々なデータを基に、まだまだ不十分かもしれませんが、我々、やはり指針の見直しの間が空いているというのはかなり問題意識を持っておりますので、その上でもある程度慎重に、しかも、この指針は最後に言っていただきましたように国としての姿勢を示す大きなものでございます。これを基に各都道府県さんも現場実態を踏まえしっかり作っていただくものでございますので、そういう意味では慎重に進めてきているところでございますので、そこについては御理解をいただきたいと思います。
 そして、日程でございますけれども、こちらに書かせていただいておりますように、できるだけ我々は早期にと思っていますし、先ほど7年という話もありまして、コロナのせいにするわけではないですが、それもあった上でもまだ遅くなっておりますので、できるだけ早く、今日は本当に2時間を超える御議論というか、すごく意見もいただきましたので、それも踏まえて、できるだけ至急に次の小委員会である程度具体の骨子というのが示せて、その上で部会に上げて、方向性ということで考えておりますので、その辺、逆に御協力、御支援というのを引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 それでは、川名さん、お願いできますでしょうか。
○川名委員 総論になってしまったのですが、私はそうではなくて、性感染症のほうに郵送検査の話が一切今回書かれていなくて、打合せ会では大分いろいろな話は出ていたと思うのですけれども、HIVのほうはありますが、性感染症のほうには一切なくて、それは意図的に外されたのか分からないのですけれども、やはりこの次の指針改定が本当に何年後か分かりませんけれども、先になるとしますと、今後、性感染症のほうに関しても郵送検査なりOCT検査薬化なりをある程度意識しておいたほうがいいと思いますので、多分診断のところでしょうか。あの辺に何か一言を入れておいてもいいのではないかなと。先ほど時間の関係で言わなかったのですが、コメントとしてぜひ残しておいていただきたいと思います。
○佐野室長 川名先生、非常に重要な御指摘をありがとうございます。
 我々も実際に性感染症に関して郵送検査が行われているということは把握しているのですけれども、やはり郵送検査の中で薬事承認を受けているのかどうかや、検査精度がどうなのかといった問題等がありますので、今の段階でどれだけ積極的に我々から書き込めるかという問題がかなりございます。ですので、その辺りも踏まえて少し検討していく必要性があるのかなと考えているところではございます。ただ、そういった企業が持っているデータを踏まえて患者様の実態把握をしていくということは考えておりますので、包括的にそういったところでまずは何とか全体の把握をしていければなと思っているところでございます。
 私からは以上でございます。
○川名委員 次の改定がいつなのか分からないので、ぜひ先を見据えた対応をしてもらえればと思います。ありがとうございます。
○俣野委員長 ありがとうございます。
 ほかはよろしいでしょうか。
 そうしましたら、この両方の指針について、皆様からいただいた御意見を踏まえて、事務局で今後の改正に向けて取りまとめていただければと思います。
 本日、どうも長い時間、2時間をちょっと過ぎてしまい申し訳なかったのですけれども、ありがとうございました。
 事務局へお返しさせていただきます。
○佐野室長 ありがとうございました。
 本日の委員の皆様の御意見、参考人の皆様の御意見を踏まえ、進めさせていただきたいと思います。
 この後、当方で記者ブリーフィングとして議事の概要を説明させていただく予定としております。
 また、次回の開催につきましては、事務局から改めて御連絡いたします。
 本日は、お忙しい中御出席いただき、誠にありがとうございました。