第34回労働政策審議会勤労者生活分科会議事録

雇用環境・均等局勤労者生活課

日時

令和7年3月26日(水)10:00~12:00

場所

会議会場及び傍聴会場 厚生労働省省議室
(千代田区霞が関1-2-2中央合同庁舎5号館9階)

出席者

【公益代表委員】
山本(眞)部会長、戎野委員、鹿住委員、中益委員、八野委員、藤澤委員

【労働者代表委員】
芦川委員、鈴木委員、南部委員、仁平委員、萩原委員、松田委員

【使用者代表委員】
阿久澤委員、木村委員、中島委員、成島委員、原田委員

【事務局】
田中雇用環境・均等局長、大隈大臣官房審議官(雇用環境、均等担当)、小林勤労者生活課長、米岡労働者協同組合業務室長、佐藤勤労者生活課長補佐、林勤労者生活課長補佐

議題

(1)勤労者財産形成促進法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(2)財形制度をめぐる現状とこれまでの対応(報告)
(3)労働者協同組合の設立の状況等について(報告)

議事

議事内容
○山本(眞)分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第34回「労働政策審議会勤労者生活分科会」を開催いたします。
 今回より、労働者代表委員の萩原一人委員と松田惣佑委員が新たに着任されております。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、公益代表委員の松本委員、山本陽子委員、使用者代表委員の須永委員が御欠席でございます。
 また、戎野委員、中益委員、八野委員、藤澤委員、鈴木委員、阿久澤委員、成島委員につきましてはオンラインで出席いただいております。
 本日は、全委員の3分の2以上の出席を賜り、労働政策審議会令第9条の規定による開催に必要な定足数を満たしております。
 事務局において昨年7月以降に異動があったということでございますので、事務局から御紹介をお願いいたします。
○小林勤労者生活課長 昨年7月に着任しました勤労者生活課長の小林と申します。よろしくお願い申し上げます。
 私の方から、今年度に着任した事務局のメンバーを御紹介させていただきたいと思います。
 まず、雇用環境・均等局長に着任しました田中でございます。
 引き続きまして、大臣官房審議官の大隈でございます。
 引き続きまして、労働者協同組合業務室長の米岡でございます。
 事務局を代表しまして、田中局長より御挨拶を申し上げたいと思います。
○田中雇用環境・均等局長 改めまして、おはようございます。年度末のお忙しい中にお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。
 今日は勤労者生活分科会ということで議題を3つ用意させていただいております。
 一つが諮問事項、それから、報告事項として2つ、財形と労働者協同組合ということで報告をさせていただきます。
 この勤労者生活分科会の所掌であります財形ですけれども、最近、資産形成のためのいろいろなツールが増えてきておりますし、金利も上昇局面にあったり、いろいろ動きがあるところではございますが、財形制度は勤労者の自助努力を事業主や国が支援するということで、計画的に労働者が財産形成をしていける制度として依然として有用なものであると考えております。
 また、労働者協同組合ですけれども、この法人制度がスタートして2年、法人設立数も100を超えるということで、各地で様々な取組が生まれているところです。新しい働き方としてしっかり社会に定着していきますように、引き続き労働者協同組合の活用・促進に取り組んでまいりたいと考えております。
 本日の議題も含めまして、今後とも委員の皆様には忌憚のない御意見を頂戴したいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○山本(眞)分科会長 それでは、本日の分科会ですけれども、対面のほかにオンライン形式でも御出席いただいておりますので、いつものことではございますが、開催に当たりまして事務局から、その点についての説明があります。よろしくお願いいたします。
○小林勤労者生活課長 それでは、事務局から御説明させていただきます。
 本日は対面のほか、Zoomによるオンライン参加もいただいておりますけれども、オンラインの方は事前にお送りさせていただいております「会議の開催・参加方法について」も併せて御参照いただければと思います。
 分科会の進行中は皆様のマイクをオフにしていただくようお願い申し上げます。御発言される場合には、会場内の皆様におかれましては挙手をしていただきまして、オンライン参加の方につきましては「手を挙げる」ボタンを押していただいて、分科会長から指名があった後にマイクをオンにしていただきまして、お名前を名乗っていただいた上で御発言いただければと思います。御発言が終わりましたらオフに戻していただきたいと思います。
 なお、本日は対面参加の方、オンライン参加の方の両方いらっしゃいます関係で、指名の順番につきましては前後することがあるかと思います。なるべく挙手の順番となるように配慮したいと思いますが、その点につきましては御了承いただければと思います。
 それでは、本日はよろしくお願い申し上げます。
○山本(眞)分科会長 それでは、議事に入らせていただきます。
 頭撮りはここまでとさせていただきますので、カメラをお持ちの方は撮影を終了してください。
 それでは、本日の議題1「勤労者財産形成促進法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」、これは諮問事項のようです。事務局から説明をお願いいたします。
○小林勤労者生活課長 それでは、議題1について御説明いたします。
 本日諮問させていただく内容につきましては、勤労者財産形成住宅貯蓄契約における住宅の床面積要件の特例を延長するものになります。まず、資料について御説明いたしますと、資料1が勤労者財産形成促進法施行規則の一部を改正する省令案の要綱、諮問させていただく要綱になります。それから、資料2が今申し上げた省令案の改正内容の概要を記載したものになります。それから、参考資料1の方は今回の改正の契機となります令和7年度税制改正の大綱と関係条文を抜粋したものになります。
 それでは、改正内容について御説明したいと思います。
 資料2のうちのⅡ、省令案の概要という部分を御覧いただきたいと思います。現在、財形住宅貯蓄を非課税で払い出すための住宅の床面積要件につきましては、財形則の第1条の14第1号におきまして、記載の①~③の要件が定められております。
 この要件につきましては住宅ローン控除の要件を参照しておりますけれども、この床面積要件のうち、③勤労者が当該住宅の新築又は当該住宅で建築後使用されたことのないものの取得をした場合であって、当該住宅が認定長期優良住宅、認定低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅及び省エネ基準適合住宅で、令和6年12月31日までに建築確認を受けたものであるときは、40㎡以上という要件につきまして、参考資料1の方を御覧いただきまして、令和7年度税制改正の大綱におきまして、住宅ローン控除における対応と同様に、令和7年12月31日までに建築確認を受けたものまで対象とする、すなわち、期限を1年間延長する旨を記載しております。
 本日諮問させていただいている省令案の要綱につきましては、今申し上げた税制改正の大綱の内容を踏まえた財形則の改正を行うためのものになります。施行期日等につきましては令和7年3月下旬の公布、4月1日の施行を予定しておるところでございます。
 なお、本日諮問させていただく財形則の改正案につきましては、令和7年2月4日から3月5日にかけましてパブリックコメントを行いましたが、特段の御意見をいただいていない状況にございます。
 以上、簡単になりますが私からの説明になります。御審議のほど、よろしくお願いしたいと思います。
○山本(眞)分科会長 今、事務局から説明ございましたけれども、1年間延長することになるということですね。
 何か御意見・御質問等がありましたら、会場の方は挙手を、オンラインの方は「手を挙げる」ボタンを押していただければと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、当分科会としては特にないということであれば、説明のありました省令案要綱については厚生労働省案を妥当と認めて、労働政策審議会長宛てに報告することにしたいと思いますがよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○山本(眞)分科会長 ありがとうございます。
 それでは、妥当と認めるということですと、労働政策審議会長宛てに報告をする報告案を皆さんにお配りして、あと、オンラインの方には画面で共有をしていただくということのようですので、よろしくお願いします。
 今の形で労働政策審議会長宛てに報告をすることになりますが、労働政策審議会令第6条第7項で分科会の議決をもって審議会の議決とすることができるという規定がありますので、併せて同じ内容で厚生労働大臣宛てにも答申されることになりますがよろしいですね。
(首肯する委員あり)
○山本(眞)分科会長 ありがとうございます。
 それでは、そのように進めさせていただきます。
 議題1は以上です。
 では、議題2「財形制度をめぐる現状とこれまでの対応」、これは報告事項ですが、これに進みます。事務局からの報告をお願いいたします。
○小林勤労者生活課長 次の議題2について御説明したいと思います。資料3を御覧いただければと思います。
 勤労者財産形成促進制度につきましては、財形貯蓄制度と財形持家融資制度で構成されておりまして、これらの実施状況等を資料により御報告したいと思います。
 まず1ページ目、こちらには各財形貯蓄の契約件数と貯蓄残高を経年でまとめたものを記載しております。財形貯蓄の契約件数等につきましては近年減少傾向にあるところですけれども、令和5年度末の契約件数、貯蓄残高につきましても、一般、年金、住宅、いずれにつきましても対前年度比で減少しておるところでございます。
 これに関連しまして、18ページ目を御覧いただきたいと思います。こちらですが就労条件総合調査の結果を記載しておりまして、5年に一度、財形貯蓄制度の事業所導入割合等について調査を行っておりまして、昨年12月に令和6年の調査結果が公表されております。今回の資料はその部分を反映したものになります。
 この結果によりますと、まずは左側のグラフなのですが、財形貯蓄の事業所導入割合につきましては、平成31年が38.1%であったものが、令和6年には28.9%に低下している状況にございます。この間、御説明させていただいているとおり、財形貯蓄制度の契約件数だとか、今申し上げた導入事業所割合が低下してきている原因としましては、企業経営を取り巻く環境が厳しくなり、企業が福利厚生にコストをかける余裕がなくなってきていることや、iDeCoやNISAなど、資産形成に資する他の制度が充実してきていること、それから、近年、低金利が続いてきた中で利子に対する非課税のメリットも小さくなっていることなどが挙げられると考えております。
 2ページ目にお戻りいただきまして、次は財形持家融資の実施状況になります。令和5年度の新規貸付決定件数、それから、貸付決定額につきましては前年度より減少しておりまして、年度末の融資残高につきましても過去の貸付分が順次返済されてきておりまして、新規の貸付額がそれより少ない状況でございますので、引き続き減少傾向ということになっております。こちらにつきましては民間金融機関による住宅ローン商品の拡充等が背景にあるものと考えております。
 次に3ページ目、過去5年間の財形持家融資の実績の内訳を示したものになります。まず、左側のグラフになりますけれども、転貸融資と直接融資の件数の内訳でありまして、一番下の灰色で示されている勤退機構が実施する転貸融資が大部分を占めております。また、その内訳としまして右のグラフで金利優遇措置の適用状況を示しておりますけれども、中小企業、子育て勤労者向けの金利優遇措置を活用する方が全体の7割程度ということになっております。
 今の点につきまして、8ページ目に記載しておるのですが、中小企業、子育て支援の金利優遇措置につきましては1年間延長することとしております。
 続きまして4ページ目、財形持家転貸融資を実施している勤退機構における取組を御報告したいと思います。4ページ目の上の囲みが第5期中期目標の内容、下の囲みがそれを踏まえた令和6年度における主な取組となっております。令和6年度の取組といたしましては、中退共未加入事業者に対する説明会や働き方改革推進支援センターでの周知等を引き続き実施しているところでございます。
 次の5ページ目、機構の中期目標で掲げた指標、いわゆる数値目標につきましての令和5年度の実績をまとめておりまして、各指標につきまして目標を達成している状況にございます。
 6ページ目と7ページ目の中段までにつきましては厚生労働省における財形関係の周知広報活動の例を記載しております。近年、財形制度の利用状況が低下傾向にあることや、足下で金利動向に変化が生じてきていることなどを踏まえまして、厚生労働省におきまして、令和6年度に財形制度の周知のための新たな取組を実施しておるところでございます。
 まず、6ページ目の上の方になりますけれども、厚生労働省におきましては、参考資料に実際にリーフレットを添付させていただいておりますけれども、今年度新たに財形制度について、全年齢層向け、ミドル層向け、事業主向けの3種類のリーフレットを作成して厚生労働省ホームページに掲載するとともに、本年3月にバナー広告も併せて実施しておるところでございます。
 また、この分科会の場でも、学生を含めた若年層にも財形制度を周知すべきという御指摘をいただいておるところでございますが、そういった御指摘も踏まえまして、厚生労働省におきましては、本年2月に新たに全国の労働局に対して労働局のホームページや、労働局が大学等において実施する労働法の講義等におきまして、可能な範囲で財形制度についても周知することを依頼しているところでございます。
 次に7ページ目の上の方になりますが、厚生労働省公式のSNS、メールマガジン等による周知についても引き続き実施しているということで記載しております。
 なお、7ページ目の一番下の部分は再掲になるのですが、制度導入が大企業に比べて低い中小企業への周知としまして、中小企業向けの事業等につきまして記載しておるところでございます。
 次に8ページ目、財形制度を利用しやすい制度とするための取組について記載しております。上の部分につきましては先ほど諮問させていただいた関係となりまして、財形住宅の適格払出要件に関しまして、省エネ住宅等、一定の水準の性能を有する住宅につきましては床面積要件の下限を拡大する期限を延長する予定であります。それから、下の方につきましては、先ほど申し上げた財形持家転貸融資の子育て勤労者、中小企業勤労者への金利優遇措置なのですけれども、これにつきましては令和8年3月末まで1年間延長することを予定しております。
 最後に10ページ目、昨年度の分科会で、複数の委員から非課税財形の加入開始可能年齢の制限の見直しについて御要望いただいているところでございます。厚生労働省におきましては、人生100年時代においてライフコースが多様化していることや、就業機会確保の努力義務が70歳まで伸びていることなどを踏まえまして、下の方になりますけれども、財形年金、財形住宅の加入開始可能年齢の見直しについて検討を行い、その結果等を踏まえて税制上の所要の措置を講じることを、昨年8月末に令和7年度税制改正要望として提出しているところでございます。
 この要望につきましては、11ページに参考として資料をつけているのですが、そこに記載しているように、加入開始可能年齢を現行の55歳未満から引き上げた場合には、財形年金において存在します据置期間や払出期間、この期間中の二重契約等を防止するための仕組みが必要であるところ、この仕組みの構築について財形取扱金融機関等の関係者の十分なコンセンサスが得られていない状況にあることなど、非課税措置の管理のために実務上の課題があることなどから、今回の見直しは見送ることといたしましたが、引き続き見直しの検討をしていくことを考えております。
 このほか、これまで経年的にお示ししている勤労者の貯蓄や住宅取得をめぐる状況や財形制度の概要につきましては、資料の13ページ目以降に参考資料として添付しておりますので適宜御参照いただければと思います。
 私からの説明は以上になります。
○山本(眞)分科会長 ありがとうございました。
 今の報告について御質問・御意見がありましたら、会場の方は挙手をお願いします。オンラインの方は「手を挙げる」ボタンを押していただければと思います。指名させていただきますので、その際にマイクをオンにしていただいて、お名前を名乗ってから御発言をお願いいたします。よろしくお願いします。
 芦川委員、お願いします。
○芦川委員 労働金庫協会の芦川でございます。よろしくお願いいたします。
 過去2年、当分科会におきまして財形貯蓄制度の改善を要望させていただきましたが、本年も同様の趣旨で発言をさせていただきます。制度改善では特に非課税財形の加入年齢制限を早期に引き上げていただきたく要望し、昨年の6月には財形貯蓄加入年齢引上げとの新聞報道もあり、大きな期待を抱きましたが、先ほど御案内いただきましたように二重契約等の課題もあり、見送りとなり落胆したところでございます。
 二重契約防止に向けた有効な対策スキームの作成に、私ども労金業界としても御協力・対応させていただくことはやぶさかではございませんが、現下の財形貯蓄をめぐる状況に危惧を抱くところでございます。
 御報告いただきましたように、財形貯蓄の契約件数・残高は減少傾向が続いており、事業所導入割合、契約労働者割合も右肩下がりの推移です。事務負担等により事業所が取り止め、さらには金融機関でも取扱いを止める動きもあります。確かに貯蓄から投資としてNISAやiDeCoなどに関心が高まり、この間の金利環境もあって財形貯蓄の魅力、非課税メリットも乏しいかもしれません。私どももお客様に利息計算書をお渡しする際には、正直申し訳なさや切ない思いをしているところでございます。
 しかし、日銀の金融政策の変更に伴いまして、金利のある世界となり、財形貯蓄をはじめ、預金商品もわずかながら変わってきております。勤労者にとって給与天引きである財形貯蓄は資産形成に優れた制度ですし、その重要性は今後さらに高まることが期待されます。財形貯蓄をはじめとする貯蓄商品により生活資金の基盤をまず確立し、投資は余裕資金で行うことが重要かと思います。
 勤労者世帯の貯蓄額や持家率は、勤労者以外、自営業主世帯に比べて劣後しており、勤労者の制度である財形貯蓄による資産形成、そして、人生100年時代にあって退職後の快適な住環境など、安定した生活のためには非課税財形の加入年齢制限の改善が強く求められるところでございます。
 令和6年3月15日に閣議決定いただきました「国民の安定的な資産形成の支援に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針」では、「昭和46年に制定された勤労者財産形成促進法に基づく財形貯蓄は、職域を通じた資産形成手段として多くの企業で活用されている。財形年金貯蓄及び財形住宅貯蓄については、利子について税制上の優遇措置が講じられるなど、政府としても後押しし、資産形成を始める際の重要な選択肢になっており、多くの勤労者が利用できるようにすることが重要である。」として、「政府としては、こうした税制優遇を伴う資産形成支援制度の利用状況、高齢期の就労の拡大・長期化や、今後の経済・社会情勢の変化等を踏まえつつ、引き続き、必要な制度の整備や改善等に向けた検討を進めていくことが重要である。」とされています。
 NISA、iDeCoのみならず、財形貯蓄制度がより多くの勤労者の方々に御利用いただけるように、加入年齢制限の引上げをはじめ、制度・手続の早期見直しを切に要望するところでございます。よろしくお願いいたします。
○山本(眞)分科会長 どうもありがとうございます。
 南部委員、お願いします。
○南部委員 私も芦川委員と同様でございまして、昨年、この場で財形制度の年齢制限の引上げ、55歳を70歳までということを強く要望させていただいております。その後、6月3日には70歳まで引き上げる検討に入った、また、8月22日には加入できる年齢の引上げを盛り込む方針を固めたと報道がされ、大変期待をしてきたところでございます。しかし、先ほどの御報告にございましたように技術的な問題が発生したということで、今回は見送られたことについては大いに不満が残る結果でございます。
 そもそも財形年金制度は働く高齢者の増加を踏まえ、対象年齢を引き上げて労働者の資産形成、財産形成を後押しすることが狙いとされております。財形制度は、労働者が資産形成を考えるに当たっての一つの有効な手段でございます。また、安定的な資産形成ができる財形制度の年齢引上げは、現在の高年齢者の就業確保措置と一致した制度改善と考えております。
 今回の見直しは見送ることとしたが、引き続き見直しを検討していくと先ほどの御報告にございました。早急な対応を強く要望するとともに、具体的にどのようなスケジュールで、また、どのような場で検討されるかをお聞かせいただきたいと思います。
 もう一つ、財形貯蓄の優位性をしっかりと事業主、労働者に理解してもらえるよう、これまで以上の周知の徹底と併せて、手続や申告書、申込用紙などの簡素化についても引き続きの御検討をお願いしたいと思っております。
 以上でございます。
○山本(眞)分科会長 ありがとうございます。
 今のお二方の意見についてコメントをいただければと思います。
○小林勤労者生活課長 
 芦川委員と南部委員から御意見をいただきまして、まず、1点目、非課税財形の加入開始可能年齢の引上げにつきまして、令和7年度要望については見送った、引き続き検討ということで御報告を申し上げて、その部分について今後についてもしっかりやってほしいということかと思っております。
 また、南部委員からスケジュールとどのような場でやっていくのだということを御質問いただいているところですけれども、芦川委員の方からも労金にも協力いただけるというお話もいただきまして、現在、労金が財形貯蓄について最大のシェアを持たれている部分も含めまして、現に労金にもいろいろ御協力いただきながら検討を進めているところでございまして、課題の解決に向けて引き続き努力してまいりたいと考えています。
 スケジュールについては、恐らく来年度はどうするのだという部分がありますので、そこが一つ目途にはなってくる、そこでどうするのだというところがあると思います。ただ、いつまでにやるかという部分につきましては検討状況いかんというところもあると思いますので、この場でなかなか申し上げにくいところではあります。
 それから、財形全体につきまして、まず、芦川委員の方から、これから金利のある世界になってくるので重要性が高まるのではないか、資産形成の基本方針とか、そういった話もいただきながら御意見をいただいたところでございます。この点は芦川委員のおっしゃるとおり、我々も資産形成について、資産形成の基本方針にも書いてあると思うのですけれども、貯蓄と投資のバランスということがあると考えておりまして、私の説明でも申し上げましたし、芦川委員からもお話がございましたが、金利が低い状況が続いていたところですが、この間、金利動向に変化が見られてきて、財形制度の魅力という部分で今後魅力が増していくこともあるかと思っております。
 そうしたことも踏まえまして先ほど申し上げたのですが、厚生労働省としても今の機会に改めて財形制度について知っていただこうということで、新たなリーフレットを作ったり、バナー広告を行ったり、そういうことをしておるところでありまして、今後も引き続き財形制度を資産形成の一つの柱として多くの方に利用していただけるように、周知等に努めてまいりたいと考えております。
 もう1点、芦川委員、南部委員、各々からいただいた手続の簡素化の話です。この部分はこれまでもできる限り手続を簡素化しようということでやれることをやってきたところなのですが、今後につきましても、この点もぜひ労金からいろいろと教えていただける部分があれば、そういう部分も踏まえましてできるものがないかということを確認しながら、できるものについては対応できるように努めてまいりたいと考えております。
 以上になります。
○山本(眞)分科会長 よろしいですか。
 原田委員、お願いします。
○原田委員 資料3を拝見しますと、近年、契約件数、導入事業所割合は減少傾向にございます。事務局からは、民間の金融商品が増えていることや経営環境が厳しく福利厚生が縮小していることがあるとの御説明がございました。他方で足下、企業では積極的な賃金引上げが行われておりまして、さらに優れた人材の確保・定着のために福利厚生など、賃金以外の様々の待遇改善も行われているかと思います。例えば中小企業などでは、これから金利の上昇も見込まれる中、新たに財形貯蓄制度の活用をしようと考える経営者の方もいらっしゃるのではないかと考えておりますので、引き続き制度のメリットの周知をお願いできればと思います。
 その一方で、企業では社員の方の多様なニーズに対応するために、福利厚生サービスに集約をして、財形貯蓄制度の利用を見直す、補助を見直すといった動きもあるかと思います。厚労省におかれましては、企業における福利厚生、財形貯蓄制度の利用に関する見直しの動向や課題を把握していただきながら、財形貯蓄制度の安定的な運営にお取り組みいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 私からは以上です。
○山本(眞)分科会長 ありがとうございます。
 続いて、木村委員、お願いします。
○木村委員 御説明ありがとうございました。
 私も先ほどの御意見と大分重なる部分がございます。まず、これまでの低金利の時代から少し変化が出てきたということと、変わらずこの財形の制度というのは国の優遇措置がなされている非常に安心な制度であるといったところ、そういったPRを引き続きしていただきまして、中小企業は人材確保のためにありとあらゆる手段を使ってこれから取り組んでいかなければいけないところで、そうした中小企業に対するPRができればいいかなと思っております。
 そんな中で、既に様々、周知は展開いただいているのですけれども、7ページにあります中小企業に向けた利用促進の取組としまして、未加入事業者に対する説明会を令和6年度で24回予定をされているということで、もう既に20回実施済みと書かれております。例えばこちらに参加した企業に対してフォローアップをしていくようなところですとか、アンケートは当然取られているだろうと思いますけれども、この説明会に参加して制度を知ったというような企業がどれだけあるかですとか、それが加入につながったかどうかといった推移を見ていただきたくお願いいたします。
 また、この取組が引き続き次年度以降も続いていくということであればいいと思っているのですけれども、そうしたときに効果も見ていただきたいと思います。
 また、周知のところは過年度も御説明がありまして、若年者層に対するPRをしていく必要があるということで、学生に向けたそういった講義を実施されているということを御報告いただいておりまして、それは非常に効果的な取組だと思っております。この財形を考えるタイミングで初めて知るというよりは、若い頃からこういった制度があることを少し知っているだけでも選択肢の中に入ってくることがあると思いますので、そこは例えば近しい学部だけではなくて、これから働く学生、全ての方にPRをしていただければと思いますので、引き続き学生ですとか若年者層に向けたPR、それから、中小企業に向けたPRといったところは力を入れて取り組んでいただきたいと思っております。
 以上です。
○山本(眞)分科会長 ありがとうございます。
 それでは、お二方の御意見についてコメントをお願いします。
○小林勤労者生活課長 御意見をありがとうございます。
 まず、原田委員からいただいたお話で、今、人手不足で企業も人材確保に苦労されているという中で、もちろん賃金もあるのだけれども、賃金以外の部分もあるという御指摘です。そういう中で金利上昇もあるので、中には財形を利用して人材確保に資していきたいというところもあるかと思います。まさにおっしゃるとおりに我々も考えておりまして、先ほども申し上げたのですが、リーフレットについては利用者向けに2種類と、人事労務担当者向けといいますか、事業主向けのものを合わせて3種類、作っているというところで、その中ではおっしゃったような財形制度導入が人材確保に役立つとか、定着に役立つとか、そういったメリットを記載して、事業主の皆さんに使っていただけるような訴えかけができるようにという工夫はさせていただいているところでございます。
 それから、木村委員からいただいたお話でありまして、中小企業向けというところで中退共未加入事業所の説明会におけるフォローアップというお話をいただきました。申し訳ないのですが、今どういうフォローアップをしているかという詳細を把握していないのですが、この部分については機構とも情報共有して、御指摘も踏まえてどんな対応ができるかというところは検討したいと思います。
 それから、若年者向けの対応ということで、効果的な取組という御意見をいただきましてありがとうございます。学生向けということで、今、労働局の方で大学に出向いて労働法教育、セミナーなどを行っておりますので、まず、手始めとしてそういうところから始めようということで今年度始めておるのですが、御意見も踏まえまして、もうちょっと幅広い学生に周知していくような方法はないかという部分も含めて、何ができるかということについては引き続き検討してまいりたいと考えております。
 以上になります。
○山本(眞)分科会長 よろしいでしょうか。
 では、松田委員、お願いいたします。
○松田委員 生保労連の松田です。私からは労働者の立場からというところで、先ほど芦川委員、南部委員からの御発言もありましたけれども、賛同する形で改めて財形制度の加入年齢の引上げについて発言させていただきたいと思います。
 まず、投資が資産形成の手段の一つであることに関しては異論ございませんが、iDeCoやNISAなどを運用するには一定の金融リテラシーが求められると考えています。しかしながら、全ての労働者が容易に金融リテラシーを身につけることができるとは考えておりませんし、給与天引きで確実な積立てが可能な財形制度というものは、とりわけ投資に不安がある方、貯蓄が苦手な方にとっては大変重要な役割を果たすと考えています。
 また、多くの労働者は長期的なキャリアプランやライフプランを考える中で、年齢が上がっても安定した収入源を必要としており、働き方の多様化や定年延長が進む現在において、資産形成の重要性は一層高まっていると考えております。
 また、我々の生保産業の中においても定年が65歳を超えて70歳、努力義務というところを踏まえてですけれども、引上げが進んでいる状況にもあります。財形制度を利用できる期間が長くなるということについては、老後に備えた貯蓄が不可欠とされる現在において老後資金のリスクヘッジ強化だけではなくて、現役世代の生活設計に対しても大変意義深いものであると考えております。
 先ほど御報告にもありましたが、今回技術的な問題というところで加入年齢引上げが見送られたことは大変遺憾だと考えております。財形制度は労働者の将来の安心に資する制度であり、労働者の資産形成を支えるためにも、ぜひとも加入年齢の引上げに向けて引き続き十分な議論を重ねていただきたいと考えております。
 私からは以上です。
○山本(眞)分科会長 どうもありがとうございます。
 松田委員の今の御意見について発言をお願いします。
○小林勤労者生活課長 御意見ありがとうございます。
 加入開始可能年齢の引上げについて御要望いただいたところだと思いまして、その中でも御指摘をいただいたように、まず、就労機会確保の努力義務が70歳まで伸びているという状況の変化があるとか、勤労者にとっても財形制度の給与天引きで手軽に実施できるという部分もありますので、我々としてもぜひ加入開始可能年齢の引上げを実現したいということで、税制改正要望させていただいたところなのですが、今お話があったように、取扱金融機関とのコンセンサスといったような問題もございまして、今年度については見送ったところでございます。
 先ほど来申し上げているとおり、引き続き検討というところで、労金などにも協力いただきながら、どういった方策があるかということを今検討させていただいておりますので、そういった検討を通じまして、できるだけ課題解決に向けて、今後とも努力していきたいと考えております。
 以上になります。
○山本(眞)分科会長 ほかに御意見のある方はいらっしゃいますか。よろしいですか。
 年齢の引上げについては引き続き、いろいろ検討を進めていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
 続いて議題3の「労働者協同組合の設立の状況等について」に行きます。それでは、労働者協同組合業務室の米岡室長から説明をしていただきます。よろしくお願いいたします。
○米岡労働者協同組合業務室長 よろしくお願いいたします。資料4を御覧ください。労働者協同組合の設立状況等について御報告を申し上げます。
 まず、資料の1ページ、この法人制度は令和4年10月から施行された新しい法人制度ということで、大きく3つの基本原理を持った制度になっております。労働者が組合員として出資をして法人を立ち上げ、組合員がその意見を反映しながら事業を運営し、自らその事業にも従事をするという、この3つを基本原理とし、持続可能で活力ある地域社会に資する事業を行うということが法の目的とされております。
 次に2ページ、直近の設立状況ですけれども、本年の3月1日の時点で1都1道2府30県で計132の法人が設立されております。昨年の3月にこの場で御報告をさしあげたときが79法人でしたので、1年間で50あまりの法人が新たに設立をされたという状況でございます。
 組合が取り組まれている事業の内容ですけれども、高齢者介護や生活困窮者支援、子育て支援、障害福祉といったような福祉分野で取り組まれている組合が一定のボリュームを占めております。そのほかにもキャンプ場の経営や葬祭業、成年後見支援、メディア制作体験や給食のお弁当づくり、カフェ運営等々、地域のニーズや課題に応じた様々な事業が展開をされ、新しい働き方を実現されております。
 右側の円グラフの方ですけれども、設立の内訳を見ますと、新規設立が109法人、企業組合からの組織変更が20法人、NPO法人からの組織変更が3法人という状況になってございます。この組織変更された法人ですけれども、もともと労働者協同組合法が施行される前から、こうした働き方を自主的に実践されてきた団体が中心となって、法の施行後に労働者協同組合に組織変更をされているといった状況でございます。
 3ページ、ここからはこの1年あまりの間に新たに設立をされた労働者協同組合、50あまりございますけれども、その中から2つほど事例を御紹介したいと思います。
 1つ目が、島根県雲南市で取り組まれている労働者協同組合うんなんというところでございます。雲南市が小規模多機能自治という考え方に基づいて、地域の自主組織を中心に地域の困りごと支援にもともと取り組まれておりました。その中から、事業の一部を切り出して労働者協同組合を立ち上げ、取り組まれている事例になります。
 具体的には、草刈り、除雪、立木の伐採などの地域の困りごとの支援をする事業をはじめ、見守りを兼ねた水道検針事業ですとか、地域の学童クラブの運営、入浴施設の管理など、多様な事業を担われております。事業や予算規模の増加によって地域の自主組織で取り組む上では運営上の負担ですとか今後の担い手の確保、法人格を持たない任意団体であることでの事業の制約など、取組を展開していく中での課題を抱えられていたというところで、これまでの取組を発展させ、より事業を持続可能なものとするということで労働者協同組合を設立された事例となります。
 次の4ページ、こちらも昨年新規に設立をされた組合ですけれども、沖縄県の那覇市で取り組まれております栄町労働者協同組合でございます。この組合ではシェア型の書店を運営されておりますけれども、町の書店が減少する中で、東京のシェア型書店の取組に参加をされていた沖縄生まれの東京在住の箱店主、箱店主というのはこのシェア型の書店で本棚を借りて書籍等の販売を行う方ですけれども、この方と書店の運営スタッフが出会い、沖縄でシェア型の書店をつくるという計画が生まれたという経緯でございます。
 古書の販売ですとか、商店街の活性化とまちづくり、教育や学術及び文化の振興に資する事業なども展開をされており、また、組合の運営に当たっては、ふだん東京に在住する組合員の方もいらっしゃるということで、店舗の売り上げですとか、在庫や経営状況といったものはオンラインのストレージで共有し、情報共有を徹底しながら意見反映に支障がないように組合を運営されているといった事例でございます。
 5ページ、ここからは来年度の予算案に盛り込んでおります労働者協同組合の活用促進に関する事業の内容について御報告を申し上げます。令和7年度の予算案には合計8,000万円の予算を計上しておりまして、事業の内容としましては、この資料の下段の方にありますように大きく2本柱で取り組んでいくこととしております。
 1つ目が、制度の周知広報ということで、特設サイトでの好事例の動画の掲載やメールマガジンの発行、セミナーの開催など、制度の周知を図るための費用を予算案に盛り込んでおります。
 2本目の柱が、この資料の右側にございますモデル事業でございますが、令和6年度から開始をしており、3か年で取り組んでいくという計画でございます。国がモデル地域として選定しました都道府県に協議会を設置いただきまして、労働者協同組合の活用を通じて多様な働き方が可能となる環境の整備ですとか、多様な雇用機会の創出を行うような創意工夫ある地域の取組を支援しまして、このモデル地域で生まれた事例については、将来的に全国に展開していくということを目指したモデル事業というものでございます。
 6ページ、今の予算の事業につきまして、より具体的な実施状況についての御紹介となります。周知広報事業の方でございますけれども、労働者協同組合法の特設サイトで好事例の動画や記事ですとか、制度のQ&Aなど、多種多様な情報を掲載しております。また、オンラインセミナーということで、令和6年度は労働者協同組合の設立から運営までに関するテーマを取り上げ、全6回でセミナーを開催し、情報発信を行いました。
 7ページ、こちらは予算事業のうち、モデル事業の方の実施状況の御報告になりますが、公募により選定をいたしました神奈川、福井、長野、三重、徳島の5県において、それぞれ資料の構成団体にあります市町村ですとか、幅広い関係団体、この中には労使の関係団体であったり、協同組合の関係者ということで生協や農協の関係者が参画をされている県もございます。こういった幅広い関係団体と協議会を構成し、連携や議論を行いながら事業を展開いただいております。
 主な事業としてはフォーラムやワークショップの開催、個別の相談会や設立に向けての伴走支援といったようなことに取り組まれております。
 令和7年度も引き続き制度の周知啓発ですとかモデル事業、これらを着実に進めてまいりたいと考えております。
 労働者協同組合に関する御報告は以上になります。
○山本(眞)分科会長 ありがとうございました。
 それでは、今の報告について御質問・御意見がございましたら挙手、もしくは「手を挙げる」ボタンを押していただければと思います。よろしくお願いいたします。
 鹿住委員、お願いします。
○鹿住委員 2点ございます。
 1点が、2ページに労働者協同組合の設立状況がございまして、分野の例に清掃、建物管理といった事業が書かれてございます。地域で活動されている労働者協同組合は多いかと思うのですが、同時に地域には中小企業もたくさん経営をしているわけでございます。特にこういった清掃、建物管理等の事業ですと、地方自治体が発注される官公需のお仕事を受託されるケースもあるかと思うのです。その際、地元の中小企業と競合してしまう、もしくは一応非営利の組合ということで、多少有利な立場に労働者協同組合の方がいらっしゃるというようなケースがあって、地元の中小企業が仕事を多少取られてしまうというか、そういった競合状況はないのかどうかということを確認させていただきたいということです。
 もう1点が、これは去年も申し上げたかと思うのですが、労働者の方が組合をつくって事業を行うということで、ただ、組合の運営に対しては理事長とか代表理事とか、経営側の方がいらっしゃるわけです。ところが実態としては、こういった理事長とかの経営側の方も業務に従事していらっしゃることが多い。ただ、経営側ということで雇用保険に入れない、加入できないという問題があって、現場で働いている中で例えば労災に当たるようなことが発生した場合に、公的な支援が受けられないということになっております。もちろん民間にもいろいろ保険はあるのですけれども、保険料も結構割高でございますし、こういった労働者同士でつくっている組合ですので、経営側というか、理事長側も何か雇用保険などの手当てがされるような制度改正支援が行われるとよろしいのではないかという意見でございます。
 以上です。
○山本(眞)分科会長 ありがとうございます。
 それでは、南部委員、お願いします。
○南部委員 労働者協同組合法が施行された後、様々な方法で周知活動をされ、そして、設立に係る事業を全国的に展開されていらっしゃることについて高く評価したいと思っております。その結果、132法人が設立されたということで御報告がございました。今後も増えていくことが見込まれますので、働く者にとってこの制度が基本原則にございます持続可能で活力ある地域社会に資する事業となり、そして、地域の活性化につながり、働く人のやりがい、そして、働きがいにつながるような制度になるように引き続き丁寧な周知活動、そして、状況報告、また、先ほどございましたように、制度の充実も含めて引き続きの御協力・御検討をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○山本(眞)分科会長 ありがとうございます。
 今の2委員の御意見についてコメントをお願いいたします。
○米岡労働者協同組合業務室長 御指摘をいただきましてありがとうございます。
 まず、鹿住委員から御指摘をいただきました1つ目の清掃や建物管理といったような官公需、自治体等からの指定管理ですとか、事業の委託を受けているという事例は実際に労働者協同組合でも多くございます。そうしたことで地元の中小企業等との競合ですとか、そういったことが生じていないのかといった御指摘でございました。労働者協同組合の場合、非営利の法人ではありますけれども、一方で、例えば法人税等の税制上の取扱いは一般の法人と同等の扱いにされているといったようなこともありますし、こういった分野での中小企業等との競合による課題といったようなお話は、私ども労働者協同組合業務室の方では把握はしていないという状況でございます。
 それから、2つ目の代表理事の方、これは労働者という扱いではございませんので、いわゆる労働に関する労働保険等々の公的な支援が受けられないといったような点についての課題の御指摘でございました。こちらは労働者協同組合でありましても労働基準法等の労働法を適用するという立てつけ上、組合の中に使用者たる立場の方が少なくとも1名いらっしゃる必要があるということで、現行の制度上、少なくとも代表理事の方については労働者としての保護は受けることができないということは事実としてございます。
 ただ、今、御指摘があった中でも、働く上で一番御心配なのは、例えば事故に遭うとか、けがをするとか、そういったことであろうかと思います。少なくとも労災につきましては中小企業の代表者の方などと同様に特別加入の仕組みがございます。この特別加入の要件を満たせば、労働者協同組合の代表理事の方も加入いただくことが可能です。
 いずれにしましても、労協の組合員の方、代表理事の方も含めて安心して働くことができる環境を整えていくことは大切な課題と考えておりますので、こうした労災保険の特別加入の対象にもなり得ますということも含めて現場に周知するなど、引き続き組合員の方が安心して働けるように、私どもとしても必要な取組を進めてまいりたいと考えてございます。
 それから、南部委員から御指摘をいただきました。労働者協同組合を今後とも引き続き一層活用を促進していく上では、その活動が地域の活性化につながり、また、働く人の働きがいにもつながっていくということが重要だということは、まさに委員の御指摘のとおりと考えてございます。私どもは今後とも、先ほど御紹介をしましたような予算事業を通じて、労働者協同組合のより一層の活用を促進していく上では、その事業内容によって持続可能な地域にするといった観点ですとか、組合員の方々が安心してやりがいを持って働ける環境をきちんとつくっていくといった観点にもきちんと目配りをしながら、事業を推進してまいりたいと考えております。
○山本(眞)分科会長 よろしいでしょうか。
 仁平委員、お願いいたします。
○仁平委員 説明ありがとうございました。
 各地域で順調に数が増えているということかなと理解しております。室長の説明を聞いていて、誤解がないようにということだけで発言させていただきたいと思っているわけでございます。揚げ足を取るようで申し訳ないです。新しい働き方という説明をされたものですから、今までの説明も聞いていて、十分御理解の上で言っているのだと思っているのですけれども、新しいのは組織の形とか、民主的な事業の運営ということが新しいのであって、そこで働く人は本当に理事とか一部を除いて従来の労働者であることと変わりはないので、新しい働き方という言葉を使うことで全然違うことが独り歩きしてイメージされることがあるといけないかなというので一言申し上げておきます。
○山本(眞)分科会長 ありがとうございます。
 米岡室長、いかがですか。
○米岡労働者協同組合業務室長 御指摘ありがとうございます。
 仁平委員の御指摘のとおり、労働者協同組合の組合員の皆様にも当然労働法が従来の労働者と同様に適用され、その上で安心をして働いていただくことができる制度となっております。新しい働き方と申しましたのは、事業の運営に自ら関わるとか、法人制度の在り方なども含めた総体としての法人制度の運営の仕方、その中での働き方ということを含めてそういった言葉遣いをさせていただきましたが、おっしゃるように、私どもとしても今後さらに周知啓発などを進めていく上では、きちんと労働法が適用された労働者としての働き方であるということを、誤解を招かないように言葉遣いも含めて注意をしながら周知啓発に取り組んでまいりたいと考えております。
○山本(眞)分科会長 戎野委員、お願いします。
○戎野委員 興味深い事例を伺って、今後ますますの発展が期待されると思いました。多くの人の工夫やアイデアが非常に結実しているという姿であり、また、社会にとってとても役に立っているということがわかり、ここまでの道のりを非常にうれしく思うとともに、今後一層進展していただければと思う次第です。
 そこでさらに進化していく上で、苦労されていることとか、なかなかうまくいかなかったとか、そういった難しい面についての声も上がってきていないのかと思ったところでして、来年に向けて、どんな声があって、そこについて何か今後の取組があるということでしたら教えていただきたいと思います。
 以上です。
○山本(眞)分科会長 ありがとうございます。
 それでは、室長、お願いいたします。
○米岡労働者協同組合業務室長 労働者協同組合の今後のさらなる活用促進に向けて、エールのお言葉をいただきましてありがとうございます。
 その上で、組合として事業運営をしていく中での課題といったものがどういったものがあるのかという御指摘であろうかと思います。私どもも労働者協同組合の現場の方々と意見交換をする中で、事業を運営していく中で労働法をきちんと適用しながら、最低賃金を確保しながら事業を運営していただく必要がありますが、そういったことにもきちんと配慮しながら、事業として経営と申しますか、収支をきちんと成り立たせていくという部分については、それぞれの組合の中で課題と言っていいかどうか分かりませんが、工夫や苦労をされながら運営をされているというお話はよく耳にするところでございます。
 そういった面も含めて、今、モデル事業で5つの県で労働者協同組合の設立の伴走支援から、設立をされた労働者協同組合に対する支援といったようなことも3年間をかけて取り組んでおります。そうしたモデル事業の中でも労働者協同組合に関する好事例だけではなくて、課題といったようなものが出てくる部分もあろうかと思います。そういったものもつぶさにきちんと把握して、今後の制度の運用にも結びつけていきたいと思っております。
○戎野委員 ありがとうございました。
○山本(眞)分科会長 ほかに御意見・御質問のある方はいらっしゃいますか。大丈夫ですか。
 それでは、本日の議題は以上になりますので、何か事務局からあれば付言してください。
○小林勤労者生活課長 本日は、議題1につきまして御答申いただくとともに、各議題に関して御審議いただきまして誠にありがとうございました。
 なお、勤労者財産形成促進法施行規則の改正案につきましては、本日の答申を受けまして、省令の公布の手続を今後進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 事務局からは以上になります。
○山本(眞)分科会長 それでは、本日の分科会はこれで終了とさせていただきます。
 本日はどうもありがとうございました。