第9回「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」議事録

日時

令和7年4月16日(水)14時00分~16時00分

場所

東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎第5号館
厚生労働省 3階 共用第6会議室

議題

(1)分娩取扱施設における出産に係る費用構造の把握のための調査研究について
(2)これまでの議論を踏まえた意見交換

議事

議事内容
○柴田保険局保険課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより、第9回「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」を開催いたします。
構成員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただき、誠にありがとうございます。
本日の会議は、傍聴希望者向けにユーチューブにおいてライブ配信を行っております。アーカイブ配信はいたしませんので、あらかじめ御了承くださいますよう、よろしくお願いいたします。
まず、構成員の出欠状況について御報告をいたします。
本日は、前田構成員より御欠席の連絡をいただいております。
また、御都合により、今村構成員、末松構成員、寺尾構成員はオンラインでの参加をいただいております。
続きまして、本日は参考人として公益社団法人日本小児科医会会長の伊藤様、一般社団法人日本助産学会理事長の片岡様、一般社団法人全国妊娠SOSネットワーク代表理事の佐藤様、早稲田大学政治経済学術院教授の野口様、公益社団法人日本産婦人科医会常務理事の宮﨑様、また、前田構成員の代理出席としまして、公益社団法人日本産婦人科医会会長の石渡様、以上の方々に御出席いただいております。
以上の参考人の方々におかれましては、議論の中で座長から発言を促された際に、指名を受けて御発言いただくようにお願いいたします。
なお、構成員・参考人の皆様におかれましては、御発言ごとにお名前をおっしゃっていただくようにお願いいたします。
それでは、会議冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、カメラの方は御退室をお願いいたします。
(カメラ退室)
○柴田課長補佐 では、以降の議事運営につきましては、田邊座長にお願いいたします。
○田邊座長 それでは、議事に入ってまいりたいと思います。
まずは、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○柴田課長補佐 事務局でございます。
お手元の資料の確認をさせていただきます。
傍聴の方は、厚生労働省ホームページに資料が掲載されております。
本日の資料は、資料1「分娩取扱施設を対象とした『分娩取扱施設における出産に係る費用構造の把握のための調査研究』について」。
参考資料1としまして「これまで御議論いただいた論点等について」。
また、参考資料2としまして「妊婦健康診査の公費負担の状況に係る調査結果について」、こども家庭庁より資料がございます。
以上でございます。過不足、落丁等ございましたら、事務局にお申しつけください。
○田邊座長 それでは、早速でございますけれども、議事の進行に入ってまいりたいと存じます。
議題(1)「分娩取扱施設における出産に係る費用構造の把握のための調査研究について」です。
資料1につきまして、まずは野口参考人のほうから御説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○野口参考人 御紹介いただきどうもありがとうございます。早稲田大学政治経済学術院の野口晴子と申します。
令和6年度政策科学総合研究事業「分娩取扱施設における出産に係る費用構造把握のための調査研究」からの速報値を報告させていただきます。
改めまして、本調査の実施に当たり御協力いただいた分娩施設の皆様、産婦人科学会、医会、助産師会の皆様に深く感謝申し上げます。
スライドの2ページをお開きください。
このスライドにお示ししたのが今回報告させていただく章立てとなっております。
スライドの3ページ目から11ページ目までが今回の調査の概要となっておりますが、前回の検討会でも御報告させていただきましたので、これらについての説明は割愛させていただくことにします。
スライドの12ページ目までお進みください。
このスライドには本日の報告に対する重要な留意点を記載しておきました。
まず、本報告の分析に用いたデータは外れ値や誤答と思われるものが含まれているため、速報値による報告であることに御留意ください。また、令和7年度、今年度に研究班によりデータを精査する予定となっております。
2つ目は、極端な外れ値など修正や調整が可能と判断したデータについては、研究班により統計的な処理を施しました。例えばですけれども、分布から上位と下位の1%から5パーセンタイルなどを除外して集計を行うといった内容で、調整内容については調査を行ったスライドに明記させていただきました。
最後に、以上の理由により、今回の報告では、グループ間、群間での違いやデータの偏り等に対する統計的な検定はほとんど行っておりません。群間、グループ間での統計的な有意差については、令和7年度に実施するデータの精査後に研究班にて行う予定としております。
以上をお含みおきいただき、今回報告するデータはあくまで速報値であることを念頭にお聞きいただければ幸いです。
報告時間が限られておりますため、各スライドについての御説明は割愛させていただき、各章の最後のまとめについて説明をさせていただきます。
1枚おめくりください。
スライド13から27までは、今回、回答を寄せてくださった分娩取扱施設の概要をお示ししたものです。詳細は割愛させていただきますので、スライド27までお進みください。
スライド27は、御回答いただいた分娩施設の概要についてまとめたスライドです。
まず第1に、スライド15から16にお示ししているように、院内における夜勤帯・休日に分娩において緊急事態が生じた際に駆けつけることができるように待機している人数については、産婦人科医師の平均人数はそれ以外の病院と診療所が最も多くございました。小児科医師は総合・地域周産期母子医療センターで最も多かったです。院外での待機については、産婦人科医師の平均人数はそれ以外の病院が最も多くございました。小児科医師は総合・地域周産期母子医療センターとそれ以外の病院は同数であり、麻酔科医師は総合・地域周産期母子医療センターで多いという結果でした。
次に、スライド17の結果から、1か月間の全分娩数の平均は、総合・地域周産期母子医療センターが43件、それ以外の病院が36件、診療所が36件でした。
次の黒ポツ、スライド19によれば、無痛分娩は総合・地域周産期母子医療センターが42%、それ以外の病院が48%、診療所44%で実施されておりました。無痛分娩の平均設定価格は、総合・地域周産期母子医療センターとそれ以外の病院では約12万円、診療所は約9万円でした。
次の黒ポツです。スライド17にお戻りいただいて、出産目的で入院する妊産婦の最も多く見られる入院日数は、帝王切開分娩で平均7日程度、経腟分娩で初産婦が5~6日程度、経産婦が5日程度であり、施設種別で大きな差はございませんでした。
次の黒ポツです。スライド18の結果から、お祝い膳は総合・地域周産期医療センターで79%、それ以外の病院で84%、診療所で76%、助産所で31%提供されていました。8割以上の施設で料金が個別に明示されず、入院料等に含まれておりました。
続いて、写真撮影を提供しているのは、総合・地域周産期母子医療センターは19%、それ以外の病院は50%、半分ですね。診療所が57%、助産所が45%でした。提供している施設の6割以上の施設で料金が個別に明示されず、入院料等に含まれておりました。
次の黒ポツ、エステは診療所で半分程度、助産所で33%、それ以外の病院で24%、総合・地域周産期母子医療センターでは7%で提供されておりました。7割以上の施設で料金が個別には明示されておらず、入院料等に含まれておりました。
次に助産所に係る結果です。
スライド21にお示ししましたが、本調査の対象となった助産所は204件で、全て分娩取扱いがあり、入所施設を有する助産所が78%、入所施設を有さない助産所が22%でした。入所施設を有する助産所の入院定員は平均3名でした。
次の黒ポツ、スライド26によれば、助産所における1年間の分娩取扱件数の平均は13件、初産婦が3件、経産婦が10件で、経産婦のほうが多いという結果でした。
続いて、分娩場所別では、自院内での分娩が最も多く、平均11.7件。続いて自宅等での出張分娩が1.4件、オープンシステムによる分娩は0.6件でした。母体搬送件数は、分娩第1期中は平均0.7件、第2期中は平均0.1件、第3期中は0.1件、第4期は0.2件という結果でした。
最後の黒ポツ、スライド24の結果によれば、分娩時の体制として、自院の助産所で複数人体制としているのかという問いに対して44%、自院と他院の助産師にて複数人体制としているのかに対するお答えが48%、助産師が1人で対応しているという助産所はございませんでした。
1枚おめくりください。
スライド28から34までは、今回回答を寄せてくださった病院の病棟(ユニット)における医療供給体制についてのデータとなります。
スライド34までお進みください。
最初の黒ポツです。スライド29にお示ししているように、病棟票は病院を対象として調査を実施し325件、総合周産期母子医療センター142件、それ以外の病院183件から回答がありました。1施設当たりの病棟ユニット数は約1.1、1病棟・ユニット当たりの病床数は約30床でした。
病棟構成全般を見ると、混合病棟が68%と多く、中でも婦人科及び他科診療科での混合病棟が38%という結果でした。
病棟における産科患者の入院割合は、総合・地域周産期母子医療センターで6割、それ以外の病院で47%でした。
次の黒ポツ、スライド30によれば、全室個室の割合は総合・地域周産期母子医療センターで19%、それ以外の病院で25%でした。
1日当たりの室料差額料金の平均は、総合・地域周産期母子医療センターが4万3233円で、2万5107円のそれ以外の病院よりも高いという結果でした。
次の黒ポツはスライド31と32の結果となります。産婦人科医師については、診療業務に従事した医師数、医師の対応時間ともに産褥入院中に比べて分娩期のほうが多かったです。小児科・新生児科医師については、医師の対応時間が分娩期に比べて産褥入院中のほうが長いという結果でした。
看護職については、ケアに従事した時間数が分娩期に比べて産褥入院中のほうが長い傾向にございました。
1枚おめくりください。
スライド35から61までは、各医療施設から日付を指定して無作為に抽出して御回答いただいた妊産婦様の状況に対する結果を示してございます。
スライド61までお進みください。
このスライドが今回の御協力いただいた産婦様に関する結果の要約となります。
まずスライド36の結果から、助産所を除く分娩の状況は、帝王切開が8%、無痛分娩が11%、正常な経腟分娩等を含むその他の分娩が81%でした。
帝王切開の割合は、総合・地域周産期母子医療センターで14%と最も多い結果でした。
無痛分娩の割合は、総合・地域周産期母子医療センターが11%、それ以外の病院が7%、診療所が13%であり、診療所での実施割合が最も高いという結果でした。
スライド38の結果から、分娩施設の割合を分娩経験別に見ると、総合・地域周産期母子医療センターとそれ以外の病院では経産婦より初産婦の割合が高くなっておりました。診療所と助産所は初産婦よりも経産婦の割合が高い傾向にございます。助産所の分娩においては、経産婦74%の割合が初産婦27%と比べて高いという結果でした。
次の黒ポツはスライド39から40の結果になっております。分娩経験や分娩の状況によらず、ほぼ8割以上の分娩が産婦様の住所のある都道府県内で完結していることが分かりました。
次の黒ポツ、スライド41では、経産婦は初産婦と比べ年齢が高く、妊娠週数と在院日数が短かったです。
社会的ハイリスクの該当割合は初産婦で高く、とりわけ総合・地域周産期母子医療センターで該当割合が高いことが分かりました。
次、スライド45によれば、助産所からの搬送先では嘱託医療機関の割合が最も高かったです。
スライド47によれば、入院中の助産ケアについて、授乳指導は平均的な1日当たりの回数が4.6回、1入院当たりの合計回数が19.4回であり、産後入院中は多数回の授乳指導が行われていることが分かりました。沐浴指導の実施回数は初産婦で平均1.7回、経産婦で1.5回であり、経産婦にも実施されていることが分かりました。
育児技術指導の延べ時間(平均時間)は、初産婦が257分、経産婦で218分、退院指導の時間は初産婦で45分、経産婦で42分でした。
次の黒ポツ、スライド52には提供したサービス等をお示ししました。お祝い膳以外のサービス(写真撮影、足形、エステ等)の提供は、初産婦に比べて経産婦のほうが割合が多かったです。お祝い膳以外のサービスの提供は、総合・地域周産期母子医療センターは他施設と比べて割合が低いことが分かりました。
スライド53の結果から、産婦合計負担額の平均値は、無痛分娩が60万3338円、帝王切開が51万1299円、その他の分娩が48万5636円の順で高かったです。産婦合計負担額の平均は、経産婦が47万6365円に対して初産婦は52万3711円という結果でした。
スライド54によれば、産婦合計負担額は、総合・地域周産期母子医療センターが53万7358円、診療所が51万3405円、それ以外の病院が50万3551円、助産所が44万8154円の順で高かったです。入院料、室料差額、一部負担金等では総合・地域周産期母子医療センターが高い傾向にございましたが、それ以外の項目については診療所が高い傾向にございました。
最後、スライド57にお示ししたタイムスタディーの結果から、正常な経腟分娩等を含むその他の分娩において、娩出の2時間前後に関わった職種別の延べ人数は、産婦人科医が0.8人、助産師が2.3人、看護師が0.4人という結果が得られました。
1枚おめくりください。
スライド62から66までは妊婦健診と産後ケアの結果をおまとめしたスライドとなります。
スライド66までお進みください。
スライド63によれば、平均的な妊婦健診、病院プラス診療所ですけれども、助産所を除く妊婦健診の費用の平均は11万3425円、中央値が11万5800円となりました。うち望ましい基準に含まれない健診項目、基準外の費用については1万882円、中央値が3460円でした。基準外の健診の項目については別途スライド65に掲載しておりますので、御参考にされてください。
また、平均的な妊婦健診の受診回数の平均値は約13.4回で、中央値も同じ13.4回でした。
スライド64では、産後ケア事業の短期入所型(1泊2日のショートステイ型)の費用の平均値は、助産所以外、病院プラス診療所で4万2768円、助産所で5万1462円となっております。なお、病院と診療所における産後ケアでの1か月間の延べ利用者数の平均は約7.5人、助産所では約8.2人となっております。
1枚おめくりください。
スライド67からスライド82までは分娩取扱施設の収益のまとめとなります。
収益については、冒頭にも申し上げましたとおり、費目に欠損がある施設については令和7年度に精査させていただくことにして、今回は全費目についての詳細を記載していただき、数値の確認がしっかりと取れた分娩施設のみに焦点を当てて算出させていただきました。そのため、観測数については若干減っております。御了承いただければと思います。
スライド82までお進みください。
スライド68と69にお示ししたように、年度別の損益率の状況について回答のあった病院74施設、平均病床数448、かなり大きな病院となっておりますが、令和4年度がマイナス5.4%、令和5年度がマイナス6.9%でした。うち総合・地域周産期母子医療センター39施設、病院全体のですけれども、平均病床数541床では、令和4年度がマイナス5.9%、令和5年度が6.9%となっておりました。それ以外の病院35施設、平均病床数が321では、令和4年度がマイナス8.1%、令和5年度がマイナス6.5%でした。また、診療所、医療法人、43施設では、令和4年度がプラス6.3%、令和5年度がプラス3.6%となっておりました。
助産所の年度別の損益率は、個人(14施設)が令和4年度が15.5%、令和5年度が11.7%であり、個人以外(4施設)が令和4年度が3.4%、令和5年度がマイナス3.6%となっておりました。
スライド75と76にお示ししたように、令和5年度の職種別(産婦人科医)の給与の平均値について、回答のあった病院全体、回答が65施設からございましたが、その65施設については1621万8170円、総合・地域周産期母子医療センター(回答32施設)で1430万3900円、それ以外の病院(回答33施設)では1807万9260円でした。
スライド77によれば、一般診療所、医療法人のみですけれども、回答44施設で2544万6140円でした。
スライド78の結果から、令和5年度の助産所における給与の平均値について、回答のあった助産所全体で、管理者(回答15施設)で420万8539円、助産師(48施設)で317万3848円となっておりました。
1枚おめくりください。
スライド83には全体のまとめをさせていただいておりますが、今までの御説明と重複いたしますので、このスライドの説明は割愛させていただきます。
私からの御報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○田邊座長 御説明ありがとうございました。
それでは、ただいま説明のございました資料1に関しまして、御意見、御質問等がございましたら挙手にてお願いいたします。
それから、調査結果に関する御質問につきましては、野口参考人や研究分担者である片岡参考人のほうからお答えいただければと存じます。
また、調査結果を踏まえた政策的な議論につきましては、後ほど議題(2)として時間を設けておりますので、この議題(1)の時間では主としてただいま御説明のあった調査結果について御議論いただければと思います。
では、挙手にて知らせていただければと思います。
では、亀井構成員、よろしくお願いします。
○亀井構成員 産婦人科学会の亀井でございます。
野口先生、ありがとうございました。
私もこの厚労科研の研究班の研究協力者として加わらせていただいておりまして、3月の末からいろいろデータに関してブリーフィング、御説明もいただきまして、昨日もいただいたのですけれども、御出席の皆様方も御存じのように非常に膨大なデータで、これを御覧いただいてすぐになかなか御理解いただけないものかと思いまして、私なりにアカデミアの立場からもう一度御説明申し上げて、特に一般の方々に分かりやすいような形で追加の御説明をさせていただきたいと思いまして、最初にお話し申し上げたいと思います。
まずは資料の7ページ、8ページ、9ページ辺りになろうかと思いますけれども、施設の属性あるいは有効回答数、この回収状況に関しまして、例えばA票としてそれぞれの施設の状況、それから、B票は個票なのですが、この辺りの回答率を見ましても、9ページを見ていただくと分かりますように、総合周産期医療センター、病院、有床診療所、助産所の順番にだんだん回答率が高くなっている。やはり多忙なところほどなかなか回答しづらいというのがございまして、必ずしも今回のデータが全て現在の日本の産婦人科の分娩の状況をリプレゼンタブルにしているものではないということは御了解いただきたいと思います。特にB票の個票に関しましては、分娩数としては恐らく1%に満たない程度の助産所での取扱数が非常に多うございますので、この辺りも考慮していただいて皆さん方に読み解いていただければなと。必ずしも全体を反映しているものではない結果になってしまいまして、この辺りは私も研究協力者として非常に申し訳ないことをしたなと思ってございます。
続きまして職員数の辺り、これは15ページでしょうか。職員数は数だけで申しますよりも、特に総合・地域周産期母子医療センター、総合病院、この辺りでは、我々が勤務しているのは必ずしも分娩だけではないのです。婦人科の勤務もしておりますので、やはりこれだけの職員がいながら、実際の分娩にどの程度のエフォートを出しているのかと。その辺りの数字が出せるといいかなと僕は思いました。
それから、18ページは無痛分娩に関しまして実施ありなしということで書いてございまして、実施のある施設が4割から5割近くございますけれども、これは実際上は患者さんの数ではなくて実施している、いないというだけの数で、例えば1年間にたった1例でもやっていれば、それは実施ありになってしまいますので、そこも加味してお考えいただきたいなと思います。
あとは、費用に関しまして、この数字は私も驚いたのですけれども、かなり高いなという感じはいたしました。ですから、ここも含めてもう一度データの解釈をしていただければなと思います。
それから、データ全般になりますけれども、私は生のデータを拝見していないので分からないのですが、野口先生、これは正規分布なのでしょうか。標準偏差という形で出していただいているので、標準偏差を出されるということは基本は正規分布を前提にしているのかなと私は学生の頃教わったような気がしていたので、それが例えば正規分布ではなくて非正規であるならば、やはり中央値とあるいは最小最大、中には外れ値もありますので、その辺りはちゃんと記載していただいたほうが誤解は少ないのかなと私は考えました。そこは今後修正いただければと思います。
あとは、ちょっとはしょりますけれども、36ページになります。よろしいでしょうか。室料の差額のことなのでございますけれども、特に個室の室料の差額1日当たりの料金、総合・地域周産期母子医療センターは4万3000円、この数字はびっくりするような値で、これは本当かなと思いまして、例えば昨年11月21日の186回の社会保障審議会の医療保険部会であった資料なども拝見しますと、大体2万円足らずというのが大まかなところで、2倍以上という額で、総合・地域周産期母子医療センター、特殊な病院が含まれているのかもしれませんけれども、あまりに数字がかけ離れているなという感じがしまして、私は違和感を覚えました。
それから、これが一番大事かもしれませんが、32ページ、分娩に関わる人数なのでございますけれども、ほかの後のところでもございますけれども、それは55ページ辺りなのでしょうか。特に55ページを見ていただいたほうがいいのかもしれませんけれども、正常な分娩に関して、生まれる30分前後に関わった職種別の延べ人数という形で集計いただいているのですけれども、実際上、我々は分娩の前後30分だけではなくてそれよりも前から、入院の時点からいろいろな形でずっと見ているわけです。そこの部分の評価が全くないので、これはミスリーディングな結果を招くことになるのではないかなと思って、このデータに関しては非常に危惧してございます。
あとは分類の仕方ですね。41ページ辺りからになるのですけれども、初産婦さん、経産婦さんとか、年齢分娩経験別云々という話がございまして、ここで帝王切開、無痛分娩、それ以外の分娩という形でお分けいただいているのです。一つのやり方としてありかもしれませんけれども、そもそも正常分娩の保険適用云々の話になってくるときに、我々が一番手をかけるのは、その他の分娩で一生懸命経腟の正常な分娩をしようとして、結局のところ帝王切開になってしまった、あるいは器械分娩になってしまった。そういった辺りのことが分かるような形で出していただくのがいいのかなと。帝王切開にしましても、予定の帝王切開もございましたら、予定の帝王切開の場合は前日からの入院で、明日の何時に手術になります。それだけの時間ですけれども、分娩になりますといつ入院してくるか分からない。人によっては2~3時間、人によっては2日3日かかる方もおる。そういった非常にバリアントが大きなものがございますので、そこの評価をどうしてくださるのかな。そこにどういう形で無痛分娩を絡めておられるのかな。申し訳ありませんけれども、そこが私はこのデータを拝見して意味するところが少し理解しづらいなと思いました。
それから、新生児へ提供した医療、50ページ、これは細野構成員からもお話があるかもしれませんけれども、これ以外の例えば臍帯血ガスをしたり、胎児の附属物の計測をしたり、そういったものは恐らく標準的な医療に含まれてくるはずで、そこをどういう形で評価をしてくださるのかなということもちょっと思いました。
あとは、産婦さんの合計の負担額の話です。これもやはり先ほどお話をした社会保障審議会のデータとは少しかけ離れて少し安いなという感じがしまして、ちょっと違うのかな、リプレゼンタティブではないのかなと思いました。
最後は68ページ、ここは特にもう一個気になるところで、損益率の話でございますけれども、我々のような総合周産期、地域周産期医療センターというのは、多額の補助金を国やあるいは設立団体、国公立を含めまして頂いておりまして、そこの部分が実際にどのくらいの額なのか、それぞれの施設は学会として調査をさせていただいてもなかなか皆さんはっきりおっしゃってくださらないのです。だから、そこの調査がすごく難しくて、私も困るのですけれども、そこも含めての損益率数を出していただいているはずなので、そうすると当然黒字になりますし、特に去年から働き方改革がございまして、MFICUの加算に関しましては働き方改革に抵触するということで、その加算の申請を取りやめてしまった施設が既に全国で20か所ぐらいございまして、数千万の収益の減少になっているという話も聞きますので、この辺りも含めて今後検討いただければなと思います。
取り急ぎそういうところです。よろしくお願いします。
○田邊座長 ありがとうございました。
多数の御指摘がございましたけれども、この段階でお答えいただける部分がございましたらよろしくお願いします。
○野口参考人 亀井先生、どうもありがとうございました。亀井先生には研究班の一員としていろいろ御助言をいただき、いつも非常に感謝申し上げております。
1点だけ、正規分布のところなのですけれども、今回はまだデータの精査が残っておりますので、データの正規性は確認しておりません。すみません。一定の外れ値等が見つかりましたので、その点については今年度精査をした上で、正規分布になっているかとか、あるいは袖の長い分布になっているかというのはチェックさせていただきたいと思います。
もう一点私がお答えできるとしたら、その他の分娩に対してどのぐらい医師や医療従事者、あるいはその他の方のいろいろな貢献があるかということに関しては、先生にお見せしたタイムスタディーというのは確かに娩出30分前後あるいは1時間前後あるいは2時間前後というところだけで、例えば3日かかろうが4日かかろうが、全ての記録を取っていただいておりますので、今後、人数だけではなくて時間等も含めてタイムスタディーで詳しく見ていければなと思っております。
それから、妊婦さんの負担額が安いのではないかということなのですけれども、これに関しては、我々は出産一時金の直接支払制度の専用請求書の内容を記載してくださいと明記しておりますので、多分出産一時金の直接支払制度の専用請求書をそのまま記載していただいたものと信じておりますので、ここについては特にデータの操作等はしておりません。
そのほかについては、例えばデータのバイアス等についても、先生がおっしゃるとおり、今年度、先生も御一緒に精査をしていただければと思っております。よろしくお願いします。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
片岡参考人、ほかに何か補足はございますか。
○片岡参考人 追加はございません。今のとおりでございます。精査を進めてまいります。○田邊座長 それでは、濵口構成員、よろしくお願いします。
○濵口構成員 御説明ありがとうございました。
各論のお話でございますけれども、今、亀井構成員がお話しになっていた内容と重複する部分もありますが、16ページの夜勤帯・休日のオンコールの人数というのが医師のデータに限られていますので、ほかの従事者、助産師あるいは看護師、准看護師等に関わるデータももし可能であればお示し願いたいと考えておるところでございます。
また、提供されているサービスと料金というところでございます。4つの項目について示されていますが、4つの項目以外に、サービスと料金についてデータとして持ち合わせているものはありますか。それから、19ページの無痛分娩に対する料金です。これは平均値のみなので、中央値などの分布を示していただけると参考になるのではないかと思います。
また、50ページになりますけれども、新生児へ提供した医療等のデータに示されていますけれども、帝王切開も緊急帝王切開、選択的帝王切開というのがございますので、状況は大きく異なるわけなので、そういったところの区分をきちんとして分析していただくことが可能であればお願いしたいと思います。
総合的に見まして、人員体制の違いというのを正確に捉えていないとそのままコストにはねることになりますので、出産費を検討する場合にはその点は十分に評価するべきであると考えているところでございます。
以上です。
○田邊座長 野口参考人、何かコメントはございますか。
○野口参考人 まず2番目のところなのですけれども、それぞれのサービスについては、実はその他という項目が質問項目にございまして、自由記載になっております。ですので、今のところそれはまだ精査しておりませんけれども、自由記載から拾っていけば、お祝い膳以外のサービスについても提供があったかないかというところ、どういうサービスの提供があったか、幾らだったかということを今後詳細に分析していければなと思っております。
帝王切開にもいろいろあるというお話だったのですけれども、実はそこまではこの調査では把握できておりませんが、ひょっとすると、皆さんタイムスタディーに自由記述で非常に丁寧に書いていただいていますので、そこのところの文言を拾っていけば、帝王切開が何件あるか把握はしているのですけれども、そこの細かい詳細な自由記述を分析していけば、帝王切開にもいろいろな状況があり、それらに対するデータを酌み取ることができると思っております。
あと、オンコールのところですけれども、これは片岡先生からよろしいですか。
○片岡参考人 ありがとうございます。
その他の職種のオンコールについてもデータを取っておりますので、今後分析を進めてまいりたいと思います。ありがとうございます。
○濵口構成員 帝王切開と言っても、緊急帝王切開、選択的帝王切開によって新生児の治療も違ってくるわけです。例えば胎児機能不全で緊急帝王切開をした場合には新生児は必ず治療しなくてはいけないし、治療内容も大きく変わりますので、その辺のところまで含んで、帝王切開を一元的に捉えて分析していくのはどうかなと考えているところでございます。
以上です。
○田邊座長 では、佐野構成員、よろしくお願いします。
○佐野構成員 ありがとうございます。健保連の佐野でございます。
まず、野口先生をはじめ、調査研究に携わった先生方におかれては、膨大なデータの精査、分析等、大変御苦労されたと思います。非常に詳細で今後の議論に大変役立つデータをお示しいただいたことに心から感謝を申し上げたいと思います。
データを詳細に示していただいたものですから、逆に気になるところも見えてきたということで、細かい部分もあって恐縮ですが、幾つか野口先生に質問させていただければと思います。また、内容に関するものについては、ぜひ産科医の先生方もしくは事務局からもコメントをいただければと思います。
大きく5点でございます。
まず18ページですが、お祝い膳等のサービスが書いてあります。お祝い膳については、妊産婦が選択できる施設数は多くなく、入院料等他の料金に含まれるというのが多数を占めています。これは、基本的に妊産婦の選択の余地はないと考えていいのかというのが1点目の質問です。
次に19ページで、半数近くが無痛分娩を実施しているとあるのですが、前回のこの検討会における資料では、無痛分娩を実施している医療機関は3割程度という報告を聞いた記憶がございます。それを踏まえると、今回の調査結果は高めに見えるのですが、どのように捉えたらいいのか。また、今回の調査で、無痛分娩を実施している医療機関のうち、麻酔科医の先生はどれぐらい関わっておられるのか。もしそういうデータがあればお示しいただければと思います。
それから、3点目は41ページで、先ほど亀井先生も触れられた部分です。これは事務局に対する要望になるのですが、この表で在院日数等のデータも示されているのですが、分娩のために入院してから退院するまでの間、医師の方を含めてどのような職種の方がどういうふうに関わっておられるのかということについて、できましたら標準的なフローを示していただければと思います。
それから、4点目は53ページで、費用の内訳が示されております。この資料とは直接関係ないかもしれないのですが、いわゆる帝王切開等の異常分娩については、通常、出産育児一時金の50万円に加えて、言わば保険として現物給付もされているわけで、異常分娩として保険対象になっている現物給付された費用のデータというのがあるのかという点をお伺いしたいと思います。
それから、51ページの中に分娩介助料があって、結構な金額が計上されているのですが、これは医療現場においてどのようなものに対する費用として計上されているのかについても教えていただければと思います。
最後5点目でございます。これも先ほど亀井先生もおっしゃっていましたが、68ページ以降の損益率のところです。68ページを見ますと、損益率は病院全体では▲6.9%、産婦人科部門においては+12.2%、医療法人の診療所は+3.6%、個人診療所は+13.1%となっています。大変詳細なデータを示していただいたのですが、本検討会においても産科医療機関の経営が厳しいという御意見もたくさんいただいておりますので、どのように解釈したらいいのか、解釈が難しいなと感じており、産科医の先生も含めてコメントをいただければと思います。
すみません。長くなりましたが、以上5点でございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
野口参考人、答えられる限りにおいてお願いいたします。
○野口参考人 答えられるところだけ答えます。
まず、18ページの妊婦に選択の余地はないと理解してよいかという御質問なのですけれども、今回の調査では妊婦が選択と回答した施設は少数でした。ただ、妊婦さんが望めばサービスを辞退することができるかどうかまでは、残念ながら本調査では尋ねておりませんので、そこについて不明であるというお答えです。
19ページについては半数が無痛分娩を実施しているが、前回の調査で3割程度だったと。そごがあるのではないかということですけれども。無痛分娩を実施している医療機関の割合も含めてお示ししている結果は、先ほど亀井先生からも御指摘がありましたけれども、調査に今回御協力いただいた施設の結果であって、ほかの調査の結果と併せて検討するには注意が必要かなと思います。
もう一つが無痛分娩に対して麻酔科医さんがどれぐらい関わっているかということなのですけれども、非常に限られた事例数になると思いますが、先ほどタイムスタディーについて帝王切開や無痛分娩も含まれているというお話をしました。ですので、タイムスタディーのデータで分析が可能かもしれません。ですので、これは先ほどおっしゃったフロー、いわゆる分娩の始めから終わりまでの全部のタイムスタディーを皆さん自由記述も含めてすごく詳細に書いていただいていますので、その辺りも含めて今後の分析の参考にさせていただきたく存じます。
あとのほうは私ではなかなか答えられないので、事務局にお願いしたいのですけれども、よろしいでしょうか。
○田邊座長 では、お願いいたします。ないしは産婦人科を営んでいる方々でこうなっていますというのがお分かりでしたら、御発言いただければと。
では、まず事務局のほうから。
○木下保険局医療課医療技術評価推進室長 事務局から先に1点だけお答えいたしたいと思います。
今、佐野構成員からの御要望は医師やそれぞれの職種がどのように関わっているかの標準的なフローということでございました。今回、時間を区切った形ではございますが、各職種がどの程度の時間的な関与をしているかということは整理させていただいているところでございますので、そういったものを踏まえながら、佐野構成員のイメージされているものにどれだけ寄り添えるか分かりませんけれども、構成員、御参加いただいている団体の皆様の御意見も伺いながら、できる限りの対応ができればと思っております。
私からは以上でございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
この件に関しまして、どなたか。
どうぞ。
○佐野構成員 御回答いただけなかったのですが、特に分娩介助料について、よく分からない部分がありますので、どういった位置づけになっているか、事務局、先生方を含めて御説明をお願いできればと思います。
○田邊座長 これはどう扱えばいいのかな。調査の中で分娩介助料というところはどういう質問項目で御回答いただいたのでございましょうかというところをまず。
では、宮﨑参考人、よろしくお願いします。
○宮﨑参考人 分娩介助料に関しましては、昭和30年前後だったと記憶しているのですけれども、保険診療に変わるまでの間に行った助産行為に対する料金と我々は教わってきております。したがいまして、分娩で結果的に帝王切開があった場合、あるいは分娩そのものが急に鉗子分娩になるまでの間の分娩に関する介助に対しての料金と解釈していただければよろしいかと思います。
○田邊座長 よろしゅうございますか。
○佐野構成員 まだよく分からないなと。今後、保険適用を検討する際にこれらをどのように見ていくべきかは一つの論点になるのではないかと思いますので、具体的にどういったものに対する費用なのかなど、詳細な検討が必要なのではないかなと感じております。
以上でございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
では、今村構成員、よろしくお願いします。
○今村構成員 今村です。
詳細な統計調査、本当にありがとうございます。
私、こういう調査をやっている関係から、幾つか意見をさせていただきたいと思います。
まず、26ページなどで初産婦と経産婦を比較しているのですけれども、全体に経産婦のほうが多いという表現で書いていますけれども、もともと経産婦のほうが多いので、もともと多いということの繰り返しのように見えるので、どれぐらい多いかということを言ったほうがいいのではないかなと思いました。
全部で4つありまして、2つ目ですけれども、63ページにある表を見ていただいて、先ほどから中央値か平均値かという話がありますけれども、63ページの右側の表を見ていただきますと、平均値が1万に対して標準偏差が1万8000ついていまして、むちゃくちゃ偏差があるのです。中央値が3,400ですので、そうなってくるとすごく金額の高いところにもう一群あるという話だと思います。ですから、こういう場合は中央値のほうを通常は重視するのだと思いますけれども、2群あるということをちゃんとコメントしていく、指摘していくというようなことが必要で、平均値で語ると非常に危険なことが起きると思います。
それと、68ページで先ほどからも損益のことが出ておりますけれども、私、病院の会計やそこら辺の調査なども長くしておりますけれども、損益の病院間の平均値を出すというのは極めて困難です。少なくとも総合周産期のセンターが大学病院クラスになってくると、大学病院は国立大学、公立大学、私学がありますけれども、全て会計基準が違います。ですから、ある国立大学の基準で私学をやると赤字になったり黒字になったりします。公立大と国立大でも違います。ですから、もともと会計基準が違うところの数字を足して引いて本当の数字が出るかというと、出ないのです。ただ、全体に赤字の方向に向いているとかということは言えると思うのですが、この平均値が真だと言うには元の数字の段階で会計基準が違うので、それが非常に大きな原因だと思いますし、欠損値がたくさんあるのも、もともと会計基準が違うからその数字をつくっていないのだと思うのです。ですから、違う会計基準のところがごっそり抜けている可能性があるので、こういう数字の集計は非常に難しいということをちゃんと明記したほうがいいと思いますし、会計基準を合わせて調査するのはほぼ不可能だと思いますので、そういった調査になるということは知っていただきたいと思います。
最後ですけれども、75ページから職種別給与の平均ということが書いてあるのですけれども、給与の多い少ないを語るときに平均年齢が高いか低いかということをちゃんと考慮するべきだと思います。例えば薬剤師さんと看護師さんだと看護師さんのほうが安いように見えてしまうのですけれども、勤続年数が全然違いますので、平均年齢が高いとどうしても給与は高く出てしまいます。ですから、平均年齢が全体に看護師さんが若いところが多いので、特に大きな病院になればなるほど若いので、そこら辺の平均年齢をちゃんと考慮した比較ができるようにするか、平均年齢が違うのでそこを注意しなければいけないというようなことを言わないといけないと思います。
それと、ここでは給与を集計していますけれども、人件費と給与が別なので、人件費で見ると随分違う結果になります。それは平均年齢の差に端的に出るのですけれども、人件費には例えば退職金の引当金のようなものが乗ってきます。ですから、勤続年数が長い方々は給料が安くあっても人件費は高くなるのです。ですから、お医者さんも給与はたくさんもらっていますけれども、人件費で割り戻すと結構お医者さんは異動されますので、退職金をそんなに長い期間でもらう人は少ないので、引当金自身は少なくなるのです。ですから、ここは給与でやっていますけれども、経営上のことを考えるのだったら人件費で考えていくべきだと思いますので、そういったことも考慮していく必要があると思います。
今村からは以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
何かコメントはございますでしょうか。
○野口参考人 今村先生、御意見をいただき大変ありがとうございます。御意見を踏まえて検討させていただきます。
特に中央値、平均値のところはおっしゃるとおりですし、会計基準のところも本当におっしゃるとおりだと思いますので、今後、さらなる精査に向けて検討させていただきたいと思います。
最後、人件費のところなのですけれども、今回は人件費とは別に給与のことについて質問させていただいて、1月について人数を聞かせていただいていますので、今村先生の御指摘のとおり、今回の結果は人件費は入っておりません。ですので、この辺りも検討させていただきたいと思いますが、勤続年数、年齢等についてお一人お一人の医療従事者の属性についてはこれまた質問をしておりませんので、その点についても残念ながら今回の調査では把握できないということをお伝えしたいと思います。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
○今村構成員 ありがとうございます。平均年齢については、違うであろうことはコメントとして入れてもらったほうが、本当の差と思われてしまうと残念なことになると思いますので、ぜひ御検討ください。お願いします。
以上です。
○野口参考人 了解いたしました。
○田邊座長 では、末松構成員、よろしくお願いします。
○末松構成員 ありがとうございます。
大変詳細にまとめていただきまして、どうもありがとうございました。
私からも2~3点質問をさせてください。
27ページあるいは83ページのところにもまとめていただいておりますし、先ほど佐野構成員からも少し御質問があったかと思うのですが、初産婦さんと経産婦さんで提供されているサービスについて、経産婦さんのほうがサービス提供の割合が多いというようなデータやまとめが出ておりますが、先程もともと経産婦さんのほうが数は多いという御指摘もございましたが、もしこれがきちんと見える化され入院料等の「等」に含まれていなければ、もうちょっと詳細な傾向を見ることができるのかどうかというようなことが気になりました。
初産婦さんと経産婦さんの違いというのは、経産婦さんのほうがお産には少しでも慣れていらっしゃると思いますので、その上でどういうサービスを選ばれるのかとか、サービスがないほうがいいのかとか、お産料そのものをどこまで抑えることができるのかというようなことまで考えられているのかどうかということがこの調査から分かればいいのかなというようなことも思いましたので、1点質問させていただきたいと思います。
それから、34ページの病棟の構成のところですが、混合病棟が68%と多くなっていて、他科の診療科での混合病棟になっているという調査結果でございました。お産という非常にセンシティブな中で、事務局での事前の説明では、お産の数が少し減ってもきているので、病棟の構成上こういうふうなことも増えてきているというお話でありましたが、病棟の混合は仕方がないということであっても、動線を考えるなり、病室を男性、女性別で分けているのかとか、そういうところというのは今回の調査で分かることがあるのでしょうか。この点についてもしお答えがありましたら教えていただきたいと思います。
以上です。
○田邊座長 では、お願いいたします。
○野口参考人 個別のサービスの需要については検討させていただいて、データを見させていただきたいと思います。
2番目の混合病棟の件なのですけれども、今回、混合病棟についてはこの調査ではここまで詳細には調べておりませんので、この点についてほかの構成員の現場の先生たちに伺ったほうがよろしいかなと思います。
○田邊座長 では、亀井構成員。
○亀井構成員 今の御質問、混合病棟の話ですけれども、ここで言う混合病棟、我々アカデミアの理解としては、恐らく女性病棟で他科と混合しているという意味だと思います。男女混合の病棟に産婦さんがおいでになる、妊婦さんがおいでになるということは恐らく100%あり得ないと私は理解しているのですけれども、そういうのがもしもございましたらむしろ何でやっているのだと聞きたいぐらいでございますので、どうぞよろしくお願いします。
○末松構成員 事前の説明では男性と混合の部屋があるというような説明をいただいたと思ったので、私もすごく不思議だなと思ってお聞きしました。すみません。ありがとうございました。
○田邊座長 では、細野構成員、よろしくお願いします。
○細野構成員 細野ですけれども、詳細なデータをお作りいただき、ありがとうございました。
新生児科医の立場から言うと、残念ながら研究員の中に小児科医が入っていなかったので、51ページの新生児に提供した医療等の表を見ても、これは産婦人科病棟の新生児室での治療等の話だとは思うのですけれども、その中でやはり我々新生児室、ここでは光線療法を行っている割合が高いという文言がありましたので、光線療法を行っているお子さんというのは保険診療を行っているというところで、保険診療を行っていれば当然毎日診察しないと管理料が取れない、診察料が取れないわけなので、当然回数が増えてくるというところがありますので、正常新生児と保険診療したお子さんを分ける必要があるのではないかというのが一点ございます。ただ、光線療法でも大体3日間ぐらいで終わってしまうと、また通常の正常新生児の扱いになってしまうので、非常にその辺が難しいのは重々承知しておりますけれども、そういうことが検討できればぜひお願いしたいということでございます。
あとは、治療とか検査で、ここはビリルビンのことが書いてありますけれども、血糖も非常によく検査をする項目でしたけれども、それはここに出ていないということはされていないという認識でよろしいかということです。
全体的に言えば、今後、詳細な検討するときに、可能ならば新生児科医か小児科医も加えていただいて検討をさせていただければと思います。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
この点、何かコメントはございますか。
○野口参考人 御意見大変ありがとうございました。
正常新生児とそれ以外に分けることはこの調査では難しいと思いますが、タイムスタディー等を見ながら、先生にいただいた御意見をできるだけ反映させていただきたいと思います。
それと、血糖値は多分質問票になかったので、これもまた大変申し訳ございません。
○田邊座長 では、松野構成員、よろしくお願いいたします。
○松野構成員 連合の松野です。
御説明ありがとうございました。
最初に、このように前例のない大変大規模な調査研究に取り組んでいただいた野口先生をはじめとする研究班の皆様、また、大変お忙しい中、調査に御協力いただいた病院、診療所、助産所の皆様に心より感謝申し上げます。
今回速報値ということですけれども、今後の議論に非常に有用な調査研究になるのではないかと考えております。
では、早速ですが、質問を6つ交えて発言させていただきます。
まず、スライド18と27のまとめにある提供されているサービスと料金についてです。項目によって割合は異なりますけれども、「あり」のところは多くの場合、料金の個別提示がなく入院料等に含まれていることが速報値とはいえ明らかとなったと考えております。しかし、含まれていない場合でも、エステなどかなり割安になっているので、果たしてこの料金でエステを行えるのかと疑問ではあります。私のときは1時間ぐらいしてもらった記憶があるので、こんなに安いなら分娩に関係なくやっていただきたいなと思いました。
1つ目の質問です。先ほど佐野構成員から入院料等に含まれている場合のお話がありましたが、別料金の場合は、妊婦が選択できたのか今回の調査で分析しているのでしょうか。
次は無痛分娩について、スライド19です。こちらは先ほど亀井構成員からもご発言がありましたが、実施している病院、診療所が半数を迫る勢いであることを注視しております。全体として増えているかどうかは分からないということでしたが、前回も発言したとおり、妊婦のニーズが非常に高まっている中、今後も無痛分娩の助成を検討する自治体、無痛分娩を取り扱う病院や診療所は増えていくのではないかと考えております。一方で、地域間や病院診療所間で無痛分娩の取扱いに差があること、妊婦への情報提供が不十分であること、安全な提供体制の構築に課題があることなどを私どもは懸念しております。前回ほかの構成員からも御指摘があったかと思いますけれども、無痛分娩と言っても多彩です。そこで2つ目の質問です。今回の速報値では、スライド43で陣痛が来てから無痛分娩を行ったのか、計画分娩や無痛分娩目的で来院して無痛分娩を行ったのか、スライド46では陣痛誘発や陣痛促進を行ったかどうかは分析できると考えますが、そのほか、例えば麻酔の量やタイミングなど、多彩な無痛分娩の詳細を明らかにする分析は今後可能なのかどうかも教えていただければと思います。
次いで3つ目の質問です。これは産婦人科の先生方にお伺いすることかもしれませんけれども、スライド43の入院から分娩第3期までの時間が無痛分娩のほうが長い理由はどのようなことが考えられるのでしょうか。
また、4つ目の質問ですが、助産師の先生方にお伺いすることかもしれませんが、スライド43の病院・診療所の「その他の分娩」とは自然分娩を指すものだと捉えておりましたが、様々なものが含まれているというお話が先ほどありましたが、スライド45で助産所の入院から分娩第3期までの時間のほうが短いのはどのような理由が考えられるのでしょうか。無痛分娩の関心が高まる中、妊婦や家族にとって自然な陣痛を待つのか、あるいは計画的にいわゆる陣痛促進剤を使って無痛分娩を行うのか、いつからどのくらいの痛みが緩和されるのか、時間はどのくらいかかるのかなど、安全・安心の観点からも関心の高い事項だと考えております。
そして、5つ目の質問です。スライド46の分娩時の医療行為について記載されておりますけれども、これ以外の行為、例えば産痛緩和ケアなどは調べられているのかについても、教えていただければと思います。
あと、質問ではございませんが、スライド53、54の費用について、直接支払制度専用請求書に基づいて分娩状況別などで提示されていますが、提供されているサービスがどの項目に含まれるのか明確になっていない、あるいは施設によって選択している項目が異なる状況ではないかと考えております。妊産婦が希望に応じて選択できるよう、提供内容や費用の透明化という観点からも、提供するサービスは入院料と分けて明確にすべきだと思っております。また、直接支払制度専用請求書もそれぞれの項目に含まれている内容が分かるように見直しが必要だと考えております。
最後にスライド63、妊婦健診について、6つ目の質問です。望ましい基準の検査項目のみであっても費用は様々だと受け止めておりますが、この差はどういった要因があるのか、望ましい基準に含まれない健診項目はどういった項目で、妊婦の選択で行われているのか。また、受診回数の平均は13.4回となっていますが、望ましい基準は14回ですので、この差は何かなど詳細が分かれば教えていただきたいと思います。
以上になります。
○田邊座長 答えられるものにお答えいただければと思います。
○野口参考人 答えられるところと答えられないところがありますけれども、先ほど申し上げたように妊産婦が選択できるかどうかということは聞いていて、できる施設はさほど多くないです。ただ、要するに妊産婦がこのサービスは受けたくないということができる、辞退するかどうかというところは分かりません。そこは聞いておりません。この点は調査票の不備であったと大変申し訳なく思っております。
あと、妊産婦など地域間の実施確率であるとか費用の分布については、ちょうど研究班の中でもちゃんとしたデータをお出ししなければという議論をしていたところですが、今回の発表には間に合いませんでした。大変申し訳ございません。
あとの点については私からはなかなか答えられないかなと思って、あと、最後の御質問ですね。望ましい基準についてはスライドの65ページに定義は載せておりますが、これが妊婦さんが選択できるのかどうかとか、あるいは専門家の目から見てこれをどうして基準にしているのかという点については、現場の先生たちからお答えいただければと思います。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
お願いいたします。
○片岡参考人 片岡です。追加でよろしいでしょうか。
先ほどの助産所のデータについて時間の御質問があったのですけれども、ここのところはこのデータだけでは解釈が難しいので、また今後分析をしていきたいと思います。
あと、産痛緩和等の分娩期のケアなのですけれども、先ほど野口先生からもありましたように、タイムスタディーの分析というのをこれから詳細にやる予定なので、分娩期のケアを誰がどの程度やられていたかということは、今後の分析の結果をお待ちいただければと思います。
また、このタイムスタディーは今年度の計画でほかの観察者が入って客観的なデータを取る計画もしておりますので、もう少し正確なデータを出すことができると思います。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
では、家保構成員、よろしくお願いします。
○家保構成員 全国衛生部長会の家保です。
非常に詳細な分析を実施いただいて、日本全体の状況としては、一定の条件はつきますが、概括的な状況は分かったかと思います。
ただ、これまで保険局の分娩費用のデータや医療機関の分布の状況を見ますと、全国一律ではございません。人口当たりで考えますと全然違いますので、エリアとして例えば首都圏等の大都市圏、地方の大規模な県、当県のように人口が100万未満、実質分娩数が1万を切っているというような幾つかの地域に分けて分析していただいて、その現況を明らかにすることを今後ぜひお願いしたいと思います。
それから、同様に分娩施設について、年間分娩数300が基準になるのか幾つになるのか分かりませんが、年間の分娩数が少ないところでは、やはりいろいろな部分でロスの部分もありますし、一つの産婦人科医院で分娩数が1,000件あるところでは1件当たりのコストも下がる可能性があるかなど、いろいろな要素がありますので、分娩数の状況も踏まえた分析というのも今後やっていただければありがたいかなと思います。
それからもう一点、53、54ページにおのおの費用について帝王切開、無痛分娩、その他分娩と示されております。ほかのデータでいうと、帝王切開が一番平均在院日数が長くて、次に無痛分娩、その他の順になっております。この項目の中には、入院料などのように在院日数に依存して増える要素と、分娩介助料というその期間1回というような要素もありますので、その点を踏まえた上で標準化するような分析というのも併せてやっていただければと思います。
以上でございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
では、どうぞ。
○野口参考人 地域別の分析、これも大変重要な御指摘だと思います。今後取り組んでいきたいと思います。分娩件数についてもそうです。
最後の御指摘は非常に重要だと思っておりまして、要因分解をしなければならないという御指摘は本当に重要だと思っておりますので、この点についても回帰分析するなど工夫をして今年度取り組ませていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○田邊座長 では、石渡参考人、よろしくお願いします。
○石渡参考人 日本産婦人科医会の石渡です。
野口先生、また、研究班の先生方、どうもありがとうございました。
幾つか質問があるのですけれども、それは例えば病院と診療所と助産所等の分娩数の割合なのですが、今は産科診療所が47%ぐらいで、センターが20ちょっと、あと、病院、それから、助産所が1%未満だと思うのですけれども、そういうことを踏まえて全体的に見ていくと、データはミスリードが起きてくるような心配もあるのではないかと思います。
それから、もう一つはサンプリングですけれども、私たちが産科診療所を中心に調査したときは四百幾つかのデータサンプルがございましたけれども、今回は悉皆調査でも大体36、38%ぐらい、それから、サンプル調査の場合でも約半数ぐらいになっているので、これで全体の日本の分娩の状況を反映しているのかどうかということは少し心配がございます。
それから、もう一つはいわゆる室料差額分のことについてです。全室が個室の割合というのが19%、あるいはそれ以外で25%とありますけれども、これが保険適用になった場合に、全室個室ということが施設基準の中で満たされるかどうかということをひとつ心配しております。
それから、実際の室料差額のことについても、今回亀井構成員からも指摘がございましたが、44万3000円とか2万5000円という数字が出てきております。186回の社会保障審議会医療保険部会の中のデータでは1万9000円ぐらいということで、かなり乖離があるのです。こういうことも少し懸念材料になってまいりました。
それから、全体の分娩費用のことに関しても、今回のこの調査はかなり低く見積もられているではないかと思いますし、186回の医療保険部会の厚労省とのデータとも少し乖離しているということもありますので、その辺のところの分析も必要になってくるのではないかと思っております。
それから、分娩は本当に5時間ぐらいで終わる分娩もあれば、3日もかかる分娩もあって、これを一律に保険化するということは非常に難しい。また、先生からの話にもありましたけれども、これはあくまでも速報値であって、今後、分娩経過を経時的に少し検討されていくということで、そういうデータもまた見させていただきたいと思っています。
それと、1%から5%ぐらいの部分は、場合によっては平均値から離れているところが今除かれているという部分もありまして、それについてもやはり検討の中に加えていかないと、数値的にきちんとした評価ができないのではないかということも少し懸念材料として持っております。
私からは以上ですけれども、その点、今後の検討において参考にしていただければありがたいと思います。
○田邊座長 ありがとうございました。
コメントはございますか。
○野口参考人 どうもありがとうございます。
代表性について、あるいは分布の1%、5%、上位、下位のところについて様々御指摘いただき、どうもありがとうございました。
分布についてですけれども、1%、5%については、外したものもありますし、生の数字を入れたものもありますので、今後、先生の御指摘を受けて精査を引き続きさせていただきたいと思っております。どうもありがとうございました。
○田邊座長 ありがとうございました。
ほかに。
では、田倉構成員、よろしくお願いします。
○田倉構成員 構成員の田倉でございます。
野口先生、大変貴重なデータをおまとめになりまして、お疲れさまでした。私も研究班の末席で少し支援させていただきましたが、今後、本格的に整理するに当たって、少し意見を述べさせていただきたいと思います。
まず27ページ目の3つ目のポツのところです。先ほど来も議論がありましたけれども、前のページを見ると家保構成員がおっしゃったとおり、施設タイプごとによって該当の地域がかなりばらついているような感じがします。そのため、無痛分娩のような費用の施設タイプの比較においては、少し地域の中で完結させて、地域ごとに費用などの比較をされるのはいかがでしょうか。例えば差分の比較で地域ごとに集めてみるというようなマクロ集計をすると、より正確な議論ができるのかなと思って伺っておりました。
もう一つ、下から3つ目の助産所の分娩取扱件数で、これは13件ということで、私も勉強させていただいたのですが、後ろのほうの数字を見させていただくと比較的助産所の利益率が高いです。ただ一方で、この13件で全てコストをカバーできているとは思えなくて、何を申し上げたいかというと、助産所は恐らく妊婦健診とか産後のケアとか他の事業をされていらっしゃると思うので、助産所の経営を議論するところにおいては、他のサービスでどういうものを提供されているかというのも追加いただくと、より分かりやすいのかなと思いました。
さらに、後ろのほうで残り2つコメントさせていただきますけれども、61ページ目の患者票の結果ですが、上から5つ目で分娩経験や分娩状況に関わり、都道府県の中で分娩が完結していたようなコメントがありましたが、これも恐らく今後、精微な集計とかをされると思うのですけれども、例えばサンプル構成が流入の多い東京都などに偏って議論してしまうと流出の数字とかは見えてこないので、少しエリアとかブロックに分けてみると、この辺りももう少し精緻な議論ができるのではないかなと思っておりました。
最後の一つは無痛分娩と在院日数の関係で、これはページが41ページ目となります。これも私は勉強させていただいたのですけれども、無痛分娩は分娩第3期までは比較的時間、手間がかかるということですが、その後、いわゆる産後の回復が早いということを伺いますので、在院日数が短くなる可能性があるかどうかというのに少し興味があります。分娩経験と施設種別、P41とP42の表などを見比べると、クリニックでは無痛分娩に関して少し在院日数が短くなる傾向の可能性もあるので、施設別のクロス集計みたいなものも今後、御検討いただくと、無痛分娩の意義などを在院日数とかでもう少し広く議論できる可能性もあると思って伺っておりました。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
何かコメントはございますでしょうか。
○野口参考人 どうもありがとうございました。
田倉先生にも研究協力者として非常に御尽力いただき、どうもありがとうございました。
様々なアイデアをいただいて、特に地域別のところですね。この点については今年度進めていきたいと思います。
あと、助産所のサービスについては、これは片岡さん、事務局のほうがいいかな。
○片岡参考人 助産師会のほう、いかがでしょうか。中根構成員からもしありましたらお願いします。
○中根構成員 日本助産師会の中根です。
助産所のサービスについては、施設規模が非常に小さいですので、産後ケアについてもかなり個別に差が出てくると思われますので、分娩だけで成り立っているわけではないということは個別に聞いております。その辺りも入れていただくことになるかと思います。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
○野口参考人 あともう一点、無痛分娩と在院日数の関係については現場の方に伺いたいのですけれども、いかがでしょうか。
○田邊座長 どなたか経験からこうなっていませんかというような御発言はございますか。
では、亀井構成員。
○亀井構成員 産婦人科学会の亀井です。
私は昨年の11月に産科の無痛分娩の学会も主催しましたので、お答え申し上げます。
まず、先ほど松野構成員からも御質問があったことも含めてお答え申し上げますけれども、まずは今の御質問、日数の問題に関しましては、経産婦さんの場合には、どちらかというと少し長くいたいという方と逆に早く帰りたいという方に分かれるのです。ですから、どういった形で、むしろ私は二峰性になってくるような気がしますけれども、中にはさっさと楽に産んで早く帰っておうちで上の子を見たいとかという方もおられるので、そういった方はやはり早く帰られるでしょうし、せっかくだから上の子や旦那から解放されてゆっくりしていたいという方も中にはおられますので、そこはそれぞれの御希望によるのかなと思いました。
あと、先ほど松野構成員からお話がありました、我々はよくオンデマンドと言うのですけれども、陣痛が始まってから無痛分娩を開始するのか、あらかじめ日を決めて前日から入院をしていただいて、夜間をかけてゆっくり子宮の出口をやわらかくさせていただいて翌日から無痛分娩を開始させていただく。その開始の時期に関してはそれぞれ施設の基準というのもある程度ございまして、例えば自分が関与しているようなところですと、痛みが来る前の段階で前日からカテーテルだけ入れておいて、たとえ夜中に陣痛が始まってもお薬をすぐに始めてさしあげられるような施設もあれば、実際に陣痛が始まって、ちょっとでも痛みが出たところで始める施設もあれば、ある程度ここまで開いてきた段階で始めようという施設もございまして、一律ではないと思います。投与の手法もいろいろ病院で違いますし、薬剤も異なるのです。
あとは、陣痛促進剤の使用云々に関しても病院によっても違いますし、促進剤は、基本的には無痛分娩をさせていただく場合には、昔の東大のうちの統計ですと、分娩時間は初産の方の場合には大体1.5倍ぐらい長くなります。ですから、どうしても陣痛は弱くなってしまいますので、陣痛促進剤を併用して使わせていただく。スムーズなお産をしていただくためには必要なのだろうなと思いますが、経産婦さんの場合には必ずしも必須とは思っておりません。特にオンデマンドの方の場合、陣痛が始まってから来られて、陣痛がどんどん強くなってこられるので、多少無痛分娩で痛みを弱くしてさしあげても、結局のところそんなに手はかからないということでいけるのかなと思います。時間に関しては、やはり一般的には無痛分娩をしない方に比べると明らかに長いと思います。
あとは、当然ながら、以前、照井先生が話をされたように、最近はうまくやればそんなに異常分娩になるリスクも変わらないのではないかというようなアメリカの報告もあることはあるのですけれども、やはり依然として日本では異常分娩になる率は高くて、特に初産婦さんで年齢が高くなればなるほど異常分娩になる率は高いです。大体約半数の方は、特に40歳を超えて無痛分娩で初産の方となると、異常分娩、いわゆる器械分娩になってしまう率は5割近くになります。帝王切開の率はあまり変わらないのです。だから、お母さんが楽な分だけ子供さんの負担が少し大きくなりますよと。お顔に一時的にせよ傷がつくかもしれませんといったことも含めて了解をしてくださいということは必ず同意書には書いてございましたので、そこも含めての議論になろうかなと思います。
それから、最初に分娩介助料に関して佐野構成員のほうから御質問がございましたけれども、井本構成員や中根構成員もおられますし、片岡先生もおられるのであれなのですけれども、私の理解では、分娩の介助というのは、恐らく特に頭位で分娩してくる場合にいきなり頭が飛び出してこられると、腟の出口の部分が大きく切れてしまいますので、そこをどうやって引き伸ばして、ゆっくり時間をかけて、傷がなるべく少なくなるようにしてさしあげるかが助産師の腕の見せどころなのです。そこが彼女たちの肝といったところでして、あとは、分娩の介助に関しては、胎盤が出ていなければ請求できるとなっておりますので、恐らく胎盤を出ることも含めて分娩の介助になるのかなと。それが私の理解です。恐らく私が生まれる前からそれはあったのだと思います。
以上、回答になりますでしょうか。よろしくお願いします。
○田邊座長 ありがとうございました。
濵口構成員、何か。
○濵口構成員 日本医師会の濵口です。
先ほどから地域別にというご意見がありましたけれども、悉皆調査のA票、サンプル調査のB票の都道府県別の回答数をよく見ますと、かなり濃淡がございます。調査に参加していない地域もあるわけです。そうすると、このnというのは特定の地域から集まったデータということがある程度言えるのではないかと思います。したがって、今から地域別に調査をしようとしても、データが出ない可能性もあるかなという気もしますので、今回のデータそのものはこういう地域から出ているということをきちんと明記するなりしてもらわないと、例えば分娩の負担の費用に関しても、あるいは損益率に関しても、実態と大きく違ってくるのではないかと思いますので、野口先生、その辺のところはどうぞよろしくお願いいたします。
○野口参考人 その辺を考慮して、ウエート等がもしつくれるのであれば検討させていただきたいと思います。
○田邊座長 ほかはいかがでございましょうか。
では、山縣構成員、よろしくお願いいたします。
○山縣副座長 ありがとうございます。
野口先生たちの御発表、ありがとうございました。今回の大規模のこういう調査で、これまで議論してきたことがデータとしてかなり裏づけられた面が多いと思います。一方で必ずしもそうではないところもあったと思うのですが、そこが非常に興味深いところでした。
今もありましたが、代表性に関しては、回収率の問題を考えれば、データとしての代表性というのは疑わなければいけないのかもしれませんが、ただ、外挿するに当たって様々なほかの要因でいわゆる感度分析なり重みづけなりをすることによってそういった推計値を出すことができると思いますので、もし可能であればそういうふうなものが必要であればですが、私は必ずしも必要だとは思っていなくて、むしろ必要ない、強く要因するもので制限した分析のほうがよっぽど使い勝手がいいのだろうなと私自身は思っております。
ただ、今のようにこの手のデータは必ず限界があって、それを埋めるために、一つはさっきケースの話がありましたが、ヒアリングなどというもので情報を補完する。例えば今回最初にありましたが、お忙しい施設がなかなか回答できないというのであれば、そこをサポートするような形で情報収集といったこともして、お忙しかったところとそうでなかったところでどれぐらい違うのかといったことは、先ほどの外挿するに当たっての推計にも一助になるのではないかと思います。
最後に、亀井構成員もおっしゃいましたが、自由診療の中で例えば入院期間のようなものというのはかなり御本人の希望によって決められるというのがこの領域の一番のメリットでもあり、今後何か考えていくときに必要なところで、こういうものをどういうふうに本当に考えていくかということは、誰を主体に考えるかによってかなり変わっていくのだろうなということが今まさに御発言にあったと思いました。昔も高齢者に対する社会的入院のようなものがあって、そのことが医療費を上げていくというようなことがあって、いろいろな制度が変わってきたわけですが、こういった問題を考えるときに、どういうふうな対象者、つまり、今回の場合は妊婦さんに対するQOLなどの問題、医療だけではない、そういったところをどう考えるかということも必要だということを改めて今日の議論の中で教えていただきました。どうもありがとうございました。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
何かコメントはございますか。
○野口参考人 私もあまりウエートは少ないほうがいいと思います。ですので、今回はこういう形で生の数字を出させていただきましたが、取りあえず今回は外れ値等、まだ不明瞭なところがありますので、確認するだけ今年精査させていただきたいと思います。
ケーススタディーについては、すばらしいアイデアをいただき、どうもありがとうございました。片岡先生が先ほどおっしゃっていましたけれども、ケースで確かに標本数はそんなに多くはないかもしれませんけれども、今年は片岡先生が中心となられていわゆる観察者を入れながらタイムスタディーを行う等のケーススタディーもやってまいりますので、その際に併せまして各医療施設に対するヒアリング等も進めていければなと思います。どうもありがとうございました。
○田邊座長 ありがとうございました。
李構成員、お手が挙がっていたと思いますので、よろしくお願いします。
○李構成員 赤ちゃん本舗の李です。
63ページの妊産婦健診の報告ですが、本日の議論の中で何度かお祝い膳とかエステのような話が出ていたように、提供されるサービスで妊婦の希望や選択が可能だったり、それらのサービスの費用感が割と見えるような形になってきているので、今後は整っていくのかなと感じています。その反面で、妊婦健診にかかる費用に関して、以前の検討会で赤ちゃん本舗のアンケート調査、7,500人の妊産婦の方に取った結果として、その中で経済的負担を感じる中で最も高かったのが、妊娠が確定するまでの妊婦健診だったり、通常の妊婦健診で助成額を超えてしまったり、そういう部分が非常に経済的負担を感じるというようなお話をさせていただいていました。今回の調査の内容ですと、やはり望ましい基準に含まれる、含まれないというところが今回だけでは少し不明確なのかなと私たちも感じておりまして、ぜひこれに関してはもう少し掘り下げて明確にしていっていただけたらいいなというのを今回意見させていただきます。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
では、中西構成員、よろしくお願いします。
○中西構成員 たまひよの中西です。
今回、データをすごくたくさん、本当にお疲れさまでした。去年の今頃、このプロジェクトが始まるときは、これは実現できないのではないのかと思っていたので、こんなにすごい結果が出て感動しております。
ちょっと気になったところなのですが、37ページとまとめの61ページで帝王切開率が8%とあったのですが、一般的によく15~20%と言われていると思うので、助産所が入っているから低いのかなと最初とらえていましたが、実際は抜いた計算だということなので、これはなぜなのかなと気になりました。
あと、47ページの母子同室のところで、無痛分娩のほうが母子同室が多くて、次に帝王切開が多くて、その他の分娩という順番だということも、帝王切開の人の母子同室が普通の分娩の人の母子同室よりも多いのはなぜなのかしらというところが、無痛分娩の人は余力があるから多いのかなと思えたのですけれども、ここは不思議だなと思ったので、こんなふうに考えるといいみたいなところがあったら教えていただければと思っています。
それから、今、幾つか皆さんもお話になっていたお祝い膳とかの件なのですけれども、多分その施設内としては選べなくても、施設自体を選ぶときに、あそこはお祝い膳がおいしいからあそこにしようという妊婦さんは多いと思うのです。なので、地域によって産科を選べるところと選べないところのでサービス提供の状況が差があるかもと思うので、そういう意味でのエリア別のクロスはかけてみてもいいのかなと思いました。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
何かお答えできる部分はございますか。
○野口参考人 ありがとうございます。
スライド37はおっしゃるとおり助産所は抜いて計算しておりますので、この数字自体はいろいろ議論のあるところだと思いますけれども、この数字で問題はないと思います。おっしゃるとおりだと思います。
それで、47についてですが、母子同室については、実は研究班の中でも何でだろうねって話になったのでこれも、現場の先生方に伺うか、片岡先生、もしコメントがあればよろしくお願いします。
お祝い膳について、確かにおっしゃるとおり、妊婦さんが自分で施設を選ぶという意思決定は見えてこないので、できますれば、将来的には妊婦さんを対象とした調査を同じようにやらせていただければなと思っております。ありがとうございました。
○田邊座長 ありがとうございました。
片岡参考人、ございますか。
○片岡参考人 今回のデータがローリスクの方が多い診療所、助産所のデータが多いせいかと思いますけれども、あとはCSの方は入院が長いので、どこかの時点で母子同室していたらありと答えたということも考えられます。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
ほかはいかがございましょうか。
では、新居構成員。
○新居構成員 manmaの新居です。
最初に、李構成員もおっしゃっていましたけれども、やはり妊婦健診の金額というのはかなり負担感があるなと思っていて、このデータと現在の補助金額を見ると、このデータを見るとみんな12万円前後支払いがあって、その中で実際の補助が平均10万円ぐらいあるとなると、持ち出しが2万円ぐらいに収まっているはずなのですけれども、自分の周りを見ても、自分の体験を考えても、もっと大きいなと。私自身は6万円でしたし、周りを見ても8万円とかかかっている人もざらにいるので、そこら辺は乖離があるのかなという体感を持ちました。
質問なのですけれども、この調査の中で予約金について何か触れているところはあったのかなというのが気になりました。というのも、私が病院を予約したときに、妊娠が分かって2か月とかで10万円ぐらいの保証金が必要だったというようなことがあって、保証金を払っている方は結構多いと思うので、この辺も初期でかなり金銭的負担感を感じている要因かなと思って気になりました。
あとは施設別の給与のところなのですけれども、75ページからですね。人件費というか給与のところはかなり出産費用に大きく反映されてくる部分なのかなと思うのですけれども、病院と診療所で比較したときに診療所のお医者さんのほうがかなり給与が高いというような数値になっているかなと思います。この辺で差が出てくるのは何でなのかなと思っていて、例えば病院だとほかの診療科全体との平均の差が100万円ぐらいで、一般診療所だとほかのところとの平均の差が1500万円ぐらいとかになっていて、診療所のほうが高い背景を理解したいなと思いました。一般診療所に関しては看護士さんもかなり高くなっているかなと思っていまして、ほかのところは500万、700万とかのところが看護職員の方が900万とかという金額になっていて、この辺も病院と診療所で人件費というか給与に差があるところの原因がもし分かればお伺いしたいです。
○野口参考人 ありがとうございます。
最初に健診のところなのですけれども、今回は正規分布でこういうふうな結果になっておりますけれども、確かに外れ値がかなりあって、それを入れるととんでもない数字になったので、今回は外しました。ただ、これも改めて今年度伺って正しい数字にしていきたいと思います。
2番目、予約金、保証金は残念ながら今回聞いておりません。ですので、こういうことは、先ほど申し上げたようにやはり妊産婦さんへの調査を改めて別途する必要があるのかなと思っております。
3番目の点については私からは分かりませんので、答えないようにしておきます。すみません。
○田邊座長 ありがとうございました。
では、亀井構成員、よろしくお願いします。
○亀井構成員 今の幾つかの御指摘に関して、私の分かる範囲で解説を申し上げます。
まず、妊婦健診の費用の負担のことなのですけれども、これは65ページを御覧いただくと分かると思うのですが、この中の特に下から3番目、超音波の検査です。通常は、恐らく全ての妊婦さんはおいでになるたびに、妊婦健診の際に超音波で赤ん坊の様子をお見せしているのです。それが恐らくルーチンだと思います。ただ、それはここにほとんど含まれていないのです。大体通常は自由診療で毎回2,000円から3,000円ぐらいいただいているはずです。それに我々が病名をつけることは基本許されていないので、どうしても自費診療になってしまうのです。それを10回やれば3万円になります。そういう差額ですので、非常に単純な話です。それは多分いわゆる保険診療上必要でない医療であるという扱いですので、これは認められないのだろうと。そういうふうに御理解いただければ、比較的簡単に理解いただけるのかなと思います。
もちろんそれ以外に、例えば多くの病院では妊娠後半になってきてもう一度感染症がないかのチェックは必ず手術に備えて、手術室に入るためにはいろいろな感染症のチェックは必要ですから、それを改めてやらせていただく施設もございますし、血液型のチェックも必ずやると思いますし、あとはノンストレステストで胎児心拍数のモニタリングですね。それは妊娠の後半になったら必ず外来レベルではほとんどの施設は1回やっているということで御了解いただけるのかなと思います。
それから、帝王切開率に関しましては、一般的には病院の規模によって違ってくると思います。通常、正常の経腟分娩を目指して、最終的に帝王切開になってしまわれる率がおおむね5%ぐらいです。それ以外に器械分娩になる率が同様に5%、残りは経腟分娩になるのですけれども、ただ、既往帝王切開の方は最近は必ず2回目以降も帝王切開になりますので、それが積み重なってまいりますと、結局のところ、帝王切開の反復の方もおられるので、帝王切開率が最終的に上がってくる。我々のような周産期センターでは大体4割ぐらいです。3割から4割ぐらいですね。何とかして下からということは思いはするのですけれども、どうしても数字としては上がってくるように思います。当然、胎児の異常とか母体の異常とかもあって、経腟分娩いただけない方も含まれている話です。
以上、お答えになれば幸いです。
○田邊座長 ありがとうございました。
皆様方から様々な御意見を承りました。また、調査班の皆様方には非常に大変な御苦労をおかけして御報告いただきましたけれども、さらなる御苦労、分析の要請が多かったと思いますので、その点、本年度よろしくお願い申し上げます。
それでは、この議題についてはここまでとしたいと存じます。
続きまして、議題(2)のこれまでの議論を踏まえた意見交換のほうに移ってまいりたいと思います。
参考資料1につきまして、事務局のほうから簡潔に御説明をお願いいたします。
○柴田課長補佐 事務局でございます。
時間も限られておりますので、参考資料1といたしまして、これまでこの検討会の中で様々御議論いただいた際に論点として事務局からお示しした資料と同じものをまた改めておつけしております。また、後半には前回いろいろと御議論いただいた内容について事務局のほうで簡単にまとめたものをおつけしておりますので、この後の議論の中で参照いただければと思います。
事務局からは以上でございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、非常に簡潔な御説明でございましたけれども、これまで議論してきた全体について、取りあえずまとめのところで御意見、御質問等がございましたらよろしくお願い申し上げます。
では、佐野構成員。
○佐野構成員 ありがとうございます。
先ほどのデータも踏まえて、若干コメントさせていただければと思います。
保険者としての立場の意見になるので、御容赦いただければと思います。まず、今後、保険適用の検討に当たっては、やはり出産に係る標準的なサービスの内容と平均的な標準費用は何かという議論になってくると思っています。内容については、当然、医療的に必要であって、妊産婦の希望にかかわらず提供されるものは保険で見るべきだと思います。
先ほどから議論になっていますが、やはりお祝い膳といったサービスは、お気持ちは分かるものの、保険適用という観点で考えた場合、これは標準的なサービスの内容からは除くべきだろうと考えております。
それから、2点目は、今までも申し上げていますが、無痛分娩についてです。先ほど亀井構成員から説明もありましたが、やはりデータを見ても、データをどう見るのかというところも含めて、まだ実態がよく見えない部分があると感じております。まずは現行のルールや基準を精査し、実施している医療機関の体制や研修等の実態把握といったことの見える化を含めて慎重に検討すべきではないかと考えております。
それから、これも先ほど議論がありましたが、妊婦健診や産後ケア事業に係る費用についても、データを見ますと相当ばらつきが大きいなと感じております。妊産婦の方のためにも、まずは健診や産後ケア事業の費用構造の見える化が大事ではないかと考えます。既に導入されている出産なびなどの内容の充実等も一つの方向ではないかと思います。
最後に費用の部分について、今回いろいろなデータをお示しいただいておりますが、やはり異常分娩として現物給付された費用のデータや、出産1件当たりの標準的なコストを分析して示していただいて、出産にかかる費用全体の見える化をより深めるべきではないかと思っております。これも何度も申し上げていますが、やはり保険適用を検討するに当たっては、保険料を負担する現役世代の納得を得られるものにしなければいけないと考えます。
以上でございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
では、松野構成員、よろしくお願いいたします。
○松野構成員 連合の松野です。
これまで発言してきた内容の繰り返しになりますが、改めて申し上げます。出産に関する支援等につきましては、産科医療の標準化と質の向上、希望する人が安全・安心に子供を産み育てることができる環境整備に向けて、正常分娩はもちろんのこと、無痛分娩や産痛緩和ケア、また、助産所における出産も含めて保険適用とし、窓口自己負担が増加することのないよう、公費から別途負担軽減措置を講じるべきと考えております。
なお、産科医療補償制度につきましては、脳性麻痺発症の原因究明と再発防止に向けた重要な制度です。掛け金は自己負担とせず、国の責任で運営する方向で検討いただくようお願いいたします。
また、希望に応じた出産を行うための環境整備につきましては、無痛分娩や産痛緩和を目的とした処置や助産所における出産に関しても保険適用する方向で検討すべきと考えております。
妊娠期、産前産後に関する支援等につきましては、全国どこに住んでいても妊産婦や子供、子育て世帯が妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援を受けられるよう、好事例を横展開するなど地方自治体の取組を支援すること、また、妊婦健康診査につきましては、実態や費用の内訳を把握、検証するとともに、地域間や施設間の差が生じないよう、地方自治体への取組支援が必要だと考えております。
以上になります。
○田邊座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
では、中根構成員、よろしくお願いします。
○中根構成員 ありがとうございます。日本助産師会の中根です。
助産師としては、妊娠中から産後の子育てに至るまで継続的に助産師のケアを求める妊婦さんのニーズに応えております。その中で、助産師はもともと低リスクの方を対象にしておりますけれども、例えば産後ケアの母子が急に医療が必要になった場合には、速やかに医療連携が必要になります。出産を扱う助産所でなかったとしても、地域の周産期医療ネットワークに一次医療機関として助産所を位置づけていただく、そこで機能させていただくということで、平素から顔の見える連携を深めていくということが可能になりますし、それによって妊娠・出産だけでなく産後ケアも含めて安全な環境を提供できるということに寄与できると考えております。地域の周産期に関わる医療資源として助産所も最大限の役割を果たしていきたいと考えておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
私からは以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、今村構成員、よろしくお願いします。
○今村構成員 今村です。
総論的なことをもう一度指摘させてもらいたいと思います。
まず少子化ですけれども、今から20年ほど前は120万人生まれていたわけです。それが10年前には100万人になって、今は70万人という急激な少子化が進んでいます。この対策がちゃんと取られることがまず大切です。ただ、現実にこれだけ減ってきているので、これから先、10年後を考えると3割ぐらいお産は減っていく可能性があります。それに対して施設側は減っていかざるを得ないというのは状況としてあると思います。ただ、今回の政策を機に急激に減ってしまって、お産そのものがかえってやりにくくなるというのは全く本末転倒なので、この施策の目的が少子化対策であるということをぜひ忘れずにやってもらいたいと思いますし、この少子化対策の名の下にもしこれが保険適用になったとしても、その負担が変わらずに手続だけが煩雑になったら、それは非少子化対策になってしまうので、ちゃんと負担軽減になって少子化対策になるような対策としてまとめていただきたいと思います。
以上であります。
○田邊座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
では、よろしくお願いします。
○井本構成員 日本看護協会の井本でございます。
先ほど来、混合病棟等に関する質問が出ていた点も含めて、今後の検討において妊産婦等の支援策が一層充実、安全・安心なものになるように含めていただきたい点、3点意見させていただきます。
まず1点目ですが、周産期医療提供体制の確保でございます。妊産婦が居住する地域にかかわらず、経済的な負担を軽減しながら各期において充実した支援を享受できる仕組みの整備をぜひお願いしたいと思っています。その検討に当たっては、妊産婦の多様なニーズに応える仕組みと、現在も実施している安全で質の高い医療提供体制の確保が両立できるような検討をお願いしたいと考えております。
2点目が産科混合病棟の課題でございます。先ほど末松構成員からも意見がありましたが、本調査においても混合病棟が増えていることが明確になっており、本会の調査でも8割が混合病棟だと分かっております。先ほど分娩介助料の話もありましたが、産科混合病棟では、助産師が分娩介助を提供するに当たり、刻々と変化する分娩進行中の産婦と一般の患者様を同時に受け持つ状況が明らかになっており、様々な課題があると認識しております。
産科混合病棟については、末松構成員からどういった手だてをしているのだという御質問がありましたが、、第8次医療計画や成育医療等基本指針の中で産科区域特定、つまりユニット化をするようにということで、国の調査によると半分程度が実施していることが分かっておりますが、それによって助産師のケア中断が少ないということも分かっているところでございます。
男性患者の入室については、病院に対して行った本会調査ですが、n=360のうち産科区域特定をしていない病院が具体的に約150、そのうちの約40の病院で男性患者を受け入れていると回答しています。こういったことも含め、区域特定をしっかりしていただいてプライバシーを守っていくことが大変重要だと考えております。
また、混合病棟の中で産後ケアを実施する際には、やはりショートステイを受け入れることが難しい状況があります。これに関しては3類型を全部セットで委託するということが課せられますと、産科病棟が混合病棟である医療機関では受け入れられないということが分かっておりますので、この辺りも柔軟に対応できるようにぜひお願いしたいと思います。
3点目が助産師の活用でございます。助産師への期待もこの検討会で様々な意見をいただいております。今後もしっかり専門性を発揮して、妊産婦さんの支援にしっかり応えられるようにしていきたいと考えておりますが、特に伴走型支援、助産師による継続的な支援を行うために、助産師外来ですとか院内助産がしっかり推進されるよう、ぜひ体制整備をお願いしたいと考えております。
加えて、先ほど来、松野構成員もお話しされておりましたが、妊産婦の多様なニーズに応えるということにおいても、助産所で対応できるように制度検討をしていただきたいと考えております。
大変早口になりまして申し訳ございません。どうぞよろしくお願いいたします。
また、分娩介助料に関して、分娩介助は何をやっているかということについて、第2回の本検討会で分娩第1期から4期にどういった助産ケアをしているかという資料を提出しております。また機会があればしっかり説明したいと思いますが、御参照いただければと思います。
以上でございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
では、亀井構成員、よろしくお願いします。
○亀井構成員 ありがとうございます。
最後に、出産なびの御案内もここにありましたし、今後の検討する課題の中でもいろいろ助産所の活用というお話もいただいていますけれども、つらつら出産なびを見ておりますと、例えば東京都の助産所で出産される妊婦さんの負担額が60万円ぐらい、熊本県で総合周産期医療センターでお産される方が40万円台、これだけ設備が整って人件費もかけていながら、助産所よりも費用が安い。そのねじれをどう考えていくださるのかというのは非常に私自身は疑問でした。例えば最低賃金に関しても当然地域差はございますし、そういったことも加味した上で今後御検討いただく必要があるのではないかなと僕は考えてはいるのですけれども、すごく大きな差をつけてくれというのではないかもしれません。なかなか保険となると地域差云々という話とかけ離れてしまうので、難しいなとは思うのですけれども、そこはどうやって今後の議論の中でお話が出てくるのかなと私自身は非常に興味を持っております。ありがとうございました。
○田邊座長 では、濵口構成員、よろしくお願いします。
○濵口構成員 毎回繰り返しになりますけれども、周産期医療体制の確保と出産に係る妊婦の経済的負担の軽減については、妊産婦が希望する地域で多様化するニーズに対して応えられる施設を選択できるように、地域の周産期医療体制を守ってほしいというのが第一でございます。
あわせて、妊産婦さんの負担軽減も重要なポイントになりますので、分娩の供給体制と経済的負担の軽減の両立がしっかりと実現できるような制度設計の議論をしてほしいと考えております。
以上でございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
では、細野構成員、よろしくお願いします。
○細野構成員 細野でございます。
1回目のときにもお話ししたように、濱口先生もおっしゃっていたように、分娩には小児科医が立ち会うことが結構あるのです。それはやはり生まれてくる赤ちゃんの状態が悪いと予想される場合に立ち会いを要請されるのですけれども、多くは産婦人科の先生方がうまく出してくれて、我々は何もしないで済むということもあります。ただ、そのときにはやはり感染防御のいろいろな費用等もかかりますので、そういったことを含めて、小児科医が立ち会う分娩に関してもプラスアルファの保険で何らかの優遇措置を取っていただければと思います。
以上でございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
では、石渡参考人。
○石渡参考人 日本産婦人科医会の石渡です。
ほとんどの分娩は経膣の正常分娩なのですよね。分娩は5時間のものがあれば2日3日かかるものもあるので、様々、医者ばかりではなくて助産師、看護師もここに関わってくるし、そういうことを一律に保険のほうにするという考え方はどうしても無理があるのではないかなとは考えているところなのですけれども、先ほど濵口構成員からお話がありましたけれども、やはり第一に少子化対策ということを問題に今これは検討されていっているわけなので、地域地域で分娩できる場所、安全に安心して患者さんが満足できるような分娩機関の確保ということを中心に考えていかなくてはいけない。その次に患者さんの経済的負担を軽減していく。それを両立できるようなことを検討していく必要があるのではないかと思っていますので、その点、どうぞよろしくお願いしたいと思っています。
特に地方のほうがさらに少子化が進んでいくのが見えているわけなのですけれども、やはりそこは分娩する場所がないのです。高知県も多分そういうところになっていると思うのですけれども、それではやはり若い人がそこに住みつかなくなってくると思いますし、少子化対策を考えるのであればどこでもお産ができるような体制をつくっていくことも必要ではないかと思っていますので、ぜひその点もよろしくお願いしたいと思っております。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
では、新居構成員、よろしくお願いします。
○新居構成員 先ほどの妊婦健診の件なのですけれども、やはり妊婦の経済的負担軽減という観点からいくと、もちろん今回出ている健診のところ、あとは必要とされていないけれども含まれている健診のところ、もちろん一部なのですけれども、先ほども出ていた陽性確定診断のところとか、あと、先ほどの話を理解すると、恐らく超音波とかのものは今回の調査対象ではなかったのかなと思うのですけれども、多くの人が超音波健診、私も毎回やって、その分何万円も払っていたとすると、やはりその辺の実態も把握していく必要があるかなと思いますので、陽性確定診断から産むまでの健診の全体像でいま一度見落としがないかというところをぜひ考えていただきたいなと思います。
その上で、今回の調査で全てを把握することはできないかもしれないですけれども、少なくとも病院単位で、それこそ出産なびとかでこの病院だと陽性の確定診断にこのぐらいかかって、妊婦健診にこのぐらいかかって、あなたの自治体の補助金額をマイナスするとあなたはこのぐらい持ち出しがありますよとか、予約金に関してもこのぐらいかかりますよということをちゃんと開示した上で、妊婦さんが準備をして出産に臨めるというところが負担軽減には必須かなと思いますので、全体像の把握と開示というところは今後もっと強く検討していただきたいなと思います。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
では、どうぞ。
○中西構成員 たまひよの中西です。
超音波検査のことについて気になったのですけれども、全部で4回以上、毎回やっている施設も多い超音波検査を本当に妊婦さんたちは楽しみにしていて、今はパパも一緒に行って、母子の愛着の形成に一役買っているところが大きいと思うのです。それがぜいたく品として外されてしまうのか、全部が保険適用とはならないにしろ、何かしらの補助で無料で受けられるようにするとか、何か検討していただいてもいいのかなと。妊娠期の愛着形成は産後の虐待などの防止にも一役買っていると思うので、そういう医療だけではない目線も検討材料の一つとしてぜひ入れていただきたいと思いました。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
ほかに。
○亀井構成員 田邊先生、今のことで。この件に関しましては、厚労省のほうが頑張ってくださって、超音波で無料の券、1枚だけですけれどもクーポンの数が増えたのです。それは彼女らにとっては非常にありがたいことですから、今の愛着形成云々の話にも関わってくることですので、もっともっと助成が増えるような形になればいいなとは思ってございますけれども、一応頑張ってくれているということはお伝えしておこうかなと思います。
○田邊座長 ありがとうございました。
ほかはよろしゅうございますか。
本日を含めて9回、これまで妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策につきまして、様々な貴重な御意見を頂戴してきたところでございます。これまでの議論を通じまして、大きな方向性として見えてきた部分もあれば、他方で様々な御意見がある論点、さらには引き続き検討を加えるべき論点も明らかになってきたと思います。
この検討会の進め方といたしまして、第6回の検討会の中で令和7年度春頃の取りまとめを目指すということを御確認いただいたところでございます。これを踏まえまして、事務局におかれましては、次回に向けてこれまでの議論を整理したものを御準備いただければと思いますので、この点、よろしくお願い申し上げます。
これをもちまして本日の議事は終了したいと存じます。
今後の予定につきまして、事務局のほうからお願いいたします。
○柴田課長補佐 次回の開催日程につきましては追って御連絡をさしあげます。
○田邊座長 これをもちまして第9回の検討会を終了いたします。
本日は、大変お忙しい中お集まりいただきまして、また、活発な御意見を賜りまして、ありがとうございました。
それでは、散会いたします。