第37回労働政策審議会労働政策基本部会 議事録

政策統括官付政策統括室

日時

令和7年3月3日(月)16:00~18:00

場所

厚生労働省 省議室(9階)

出席者

委員(五十音順)
石﨑委員、石原委員、逢見委員、大橋委員、川崎委員、佐々木かをり委員、佐々木勝委員、春川委員、守島部会長、山川委員、山田委員
事務局
田中厚生労働審議官、朝川政策統括官(総合政策担当)、中井賃金政策推進室長、宇野政策統括官付参事官、藤木政策統括官付労働経済調査官、山田雇用環境・均等局総務課長、、横田人材開発統括官付政策企画室長、佐々木労働基準局総務課長、黒澤職業安定局総務課長

議題

(1)報告書(素案)について
(2)その他

議事

議事内容
○守島部会長 それでは、開始をしたいと思います。定刻になりましたので、ただいまから第37回「労働政策審議会労働政策基本部会」を開催いたしたいと思います。
 皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 本日は、所用により、入山委員、岡本委員、武田委員、冨山委員が御欠席と伺っております。
 また、所用のため、石﨑委員、大橋委員が遅れての御出席、また大橋委員、川﨑委員、佐々木かをり委員は途中での御退席と伺っております。
 また、本日は御欠席の武田委員に代わって、参考人として三菱総合研究所政策・経済センター主席研究員の山藤昌志様に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
 次に、議事に入ります前に、オンラインでの開催に関しまして注意事項の説明が事務局からあります。
○藤木政策統括官付労働経済調査官 オンラインでの開催に関して留意事項を説明いたします。
 まず、原則としてカメラはオン、マイクはミュートとしてください。
 オンライン参加の委員の皆様は、御発言の際は参加者パネルの御自身のお名前の横にある「挙手」のボタンを押して、部会長から指名があるまでお待ちください。部会長から指名後、マイクのミュートを解除して御発言ください。
 発言終了後はマイクをミュートに戻し、再度「挙手」ボタンを押して挙手の状態を解除してください。
 通信の状態などにより、音声での発言が難しい場合には、チャットで発言内容をお送りください。
 また、会の最中に音声等のトラブルがございましたら、チャット機能でお知らせいただくか、事前に事務局からお送りしている電話番号まで御連絡ください。
 以上となります。
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、本日の議事に入りたいと思います。本日の議題は、「報告書(素案)について」となっております。
 進め方について御説明いたします。最初に、事務局より報告書(素案)について説明をいただきます。その後、自由討議としていきたいと思います。
 それでは、まず事務局より報告書(素案)について御説明をお願いいたします。
○藤木政策統括官付労働経済調査官 事務局の藤木です。どうぞよろしくお願いいたします。
 私のほうから、本日の資料についてまず説明させていただきます。
 資料1ということで、報告書の素案と、それから報告書の素案に関係するデータを記載したものとして参考資料を配らせていただいております。また、今回事前にこれらの資料をお送りした際に、本日欠席の委員の方の中で岡本委員から意見が提出されております。資料2については、岡本委員からの提出資料としてその意見が記載されているという形になっております。
 素案については、資料1でございます。この素案につきましては、委員の皆様方の前回までの御議論とヒアリングの内容等を踏まえてまとめたものでございます。今回は時間の関係もありますので、こちらについて簡単に説明させていただければと思います。
 それでは、資料1を御覧ください。
 資料1の表紙をめくっていただきまして、目次を御覧ください。全体の構成としましては20ページ前後となっておりまして、3章構成としております。
 1章については昨年11月のこれまでの議論の整理での議論も踏まえつつ、我が国における「地方・中小企業における人手不足の現状と要因」について整理しております。
 2章については、1章での整理に基づき、人手不足の要因の解消に向けて対応すべき労働政策の方向性について整理しております。
 その上で、3章において具体的な政策についてまとめているというものになっております。
 それでは、隣の1ページのまず第1章、「地方・中小企業における人手不足の現状と要因」のところを御覧ください。
 「我が国の人口・経済の状況について」ですが、生産年齢人口の減少は地方においてより深刻であること、地方は人口ベース、就業者ベースの双方で我が国の6割弱を占めていることなどを具体的なデータを使いながら示しております。
 続いて2ページ、3ページ目までにかけてでございますが、我が国の労働市場の現状について説明しております。
 中小企業、地方の人手不足は大企業・都市部に比べてより深刻な状況であること、また労働市場の供給面について見てみますと、いわゆる就業者数と労働時間を乗じて算出した総労働力供給というものが1990年代以降、減少傾向で推移していることなどを記載しています。
 また、女性・高齢者の就業率などについても国際比較の観点からデータを示しています。
 3ページ目の真ん中の最後でございますが、JILPTの将来推計を踏まえて経済成長と労働参加が進まなければ将来の労働力供給というのはより深刻な状況であるということも示しているところでございます。
 続いて、3ページ目の17行目から25行目辺りを御覧ください。
 こちらは、これまでのデータに基づきまして我が国の現状や昨年の11月のこれまでの議論の整理での議論も踏まえつつ、地方・中小企業が抱える人手不足の要因についてここからまとめております。
 具体的に申しますと、3つの視点を踏まえて5つの要因というのを類型化しております。
 まず1つ目の要因は3ページ目の終わりのほうでございますが、地方の生産年齢人口が転出超過により大きく減少することで人手不足が生じるという、いわゆる地方における生産年齢人口減少及び人口構成の変化としております。
 この視点に基づいた要因としましては3ページ目の終わりから4ページ目にかけて、2つ取り上げております。
 1つ目は、賃金、職場環境も含めた処遇の点で良質な雇用機会が不足しているということが地方から都市部に若年層が流出している要因になっている。すなわち、ここでは(地方における良質な雇用機会の不足)としております。
 2つ目が4ページの真ん中辺りでございますが、特に若年女性の都市部への転入が男性に比べて進んでいるということで(若年女性を中心とした都市部への流出)としております。
 続きまして、4ページ目の後段を御覧ください。
 4ページ目の後段以降が2つ目の視点ということで、地方や中小企業を中心に専門的なスキルを持つ労働者を求めていますが、それらの求人に対する求職者が少ないことから人手不足が生じていること、特に地方では専門的なスキルを持つ労働者のうち、いわゆる社会維持に不可欠な業務を行う職種の労働者について人手不足が生じている。このようなことを踏まえて、「企業が求める技能や職種とのミスマッチ」という視点にしています。
 ここでは要因としまして、地方では都市部と比較して専門的な人材に対する求職者が少ないことから、企業が求める技能とのミスマッチが生じている可能性が高いといういわゆる(専門的な人材のミスマッチ)と、もう一つでございますが、医療・福祉等の社会インフラ維持に必要な分野の職種が需要と見合った労働力が確保できていないという観点から、いわゆる(社会インフラ維持に必要な職種における処遇)面の改善という2つの観点でこの部分は整理をしているという形になっております。
 続いて、6ページを御覧ください。
 最後の視点となりますが、働く労働者に対応した職場環境等の整備ができていないことから人手不足が生じるという、いわゆる「職場環境のミスマッチ」に関するものということにしております。ここでは、多様な人材が働くことが可能な柔軟な働き方が十分に確保されていないということから人手不足の要因になっているのではないかということで、(地方・中小企業における多様で柔軟な働き方の不足)というのを要因として挙げさせていただいております。
 以上の整理を踏まえまして、2章ではこれらの要因の解消に向けて対応すべき労働政策の方向性というのを簡単ではございますが、整理をしているところでございます。
 この点につきましては、ちょっとページは飛びますけれども、9ページの参考というところの図を用いながら説明させていただきたいと思います。
 まず、9ページを御覧ください。
 先ほど説明させていただきました要因と視点と対応する施策についてまとめてあります。
 まず要因の①の部分は「地方における良質な雇用機会の不足」についてでございますが、これは賃金をはじめとした労働条件を改善して処遇を魅力的にするということが重要です。その観点から、いわゆる労働生産性の向上による賃金上昇というのが政策として考えられるのではないか、また、この労働生産性の向上による賃金の上昇というのは④ですが、社会インフラ維持に必要な職種における処遇」にも当てはまるものということで整理させていただいております。
 続いて、要因の②の「若年女性を中心とした都市部への流出」のところでございますが、こちらは労働政策による企業、労働者への働きや、また男女共同参画政策を通じた社会意識への働きかけなどが有機的に連携して行われることが重要ということで、特に地方・社会全体でジェンダーギャップの解消が進められることが求められているのではないかということを整理させていただいております。
 続いて、要因③の部分は「専門的な人材におけるミスマッチ」ですが、この部分はAI等の技術の進展も踏まえた専門的な人材を確保するため、人的投資を増加させる労働生産性の向上に向けた取組を行うことが重要であることを整理しております。
 最後に要因の⑤のところですが、「地方・中小企業における多様で柔軟な働き方の不足」の部分については、これから働き手の減少が続くということが想定される中では労働参加率の向上が求められているのではないかということで整理させていただいております。
 これら紹介させていただいた取組みに加えて、要因の①、③に共通することとして、労働者に必要な情報が届いておらず、企業と労働者との間で情報格差が存在していること、すなわち情報ギャップの解消を進めていくことも重要ではないのかということも2章のほうで整理させていただいております。
 ここまで説明させていただいた関係を整理させていただいたものが、2章の記載内容と9ページの参考の図ということになります。改めて2章のほうをまとめてさせていただきますと、我が国の人手不足への対策としてここでは「労働生産性の向上」と「労働参加率の向上」といういわゆる「2つの向上」と、「ジェンダーギャップの解消」と「情報ギャップの解消」といういわゆる「2つのギャップの解消」を目指す施策を講じていく必要があるということを記載させていただいております。
 また、8ページの最後のほうでございますが、これらの課題については今回のテーマである地方・中小企業のみならず、大企業も含めた日本経済全体に当てはまる課題であるという点を8ページの2章の最後のところに記載させていただいている形になっております。
 こうした2章での整理に基づきまして、3章では具体的な労働政策についてまとめております。続いて、10ページ目を御覧ください。
 10ページ目以降、先ほど取り上げさせていただいた「2つの向上」「2つのギャップの解消」の部分を具体的に書いています。まず「「労働生産性の向上」に資する施策」でございますが、我が国においては生産年齢人口の減少が続いて人手不足が続くということが想定される中では、いわゆる労働生産性の分子に当たる付加価値を向上させる取組が必要であるということを踏まえつつ、ここでは9つの小見出しを設けつつ、15ページまでにかけて整理をしております。
 まず10ページを御覧ください。
 1つ目が(市場における賃金相場形成機能の強化)でございます。企業と労働者との間でスキルと賃金に関する情報の非対称性を解消するため、職務に必要なスキルと賃金との関係、いわゆる賃金相場を明らかにすべきであるということを記載しております。その取組の1つとして、厚労省が運営しているいわゆるjob tagを取り上げて求人企業、求職者、求職者支援サービス、それぞれの立場の方が使いやすい形で「賃金の見える化」を進めるべきであるといったようなことを記載させていただいております。
 次に、(社会インフラ維持に必要な職種における雇用の安定化)でございます。本部会の議論におきましても、労働需要が大きい現場人材をはじめとした社会インフラ維持に必要な職種については、処遇が要因で働き手不足となる状況から脱却する必要があるという意見もございました。そういった中で、社会インフラ維持に必要な職種についてはまずは社会全体で賃金、雇用形態を含めた処遇面の改善に取り組むことによって雇用の安定化を図って、一人一人が活躍できる力を高めていくことが重要だ。こういった旨を記載させていだいております。
 続きまして、11ページを御覧ください。
 先ほどちょっと紹介させていただいた社会インフラ維持に必要な職種の中でも特に現場人材については、キャリアラダーの形成の重要性ということを記載しています。企業横断的なスキル評価として「技能検定制度」や「団体等検定制度」の活用について記載しておりまして、特に事例として12ページ目でございますが、建設業における建設キャリアアップシステムというものを取り上げさせていただいております。
 続きまして、見出しの4つ目になります。12ページの真ん中くらいでございますが、施策としては(企業の競争力強化につながる人材育成の誘導)の部分についてでございます。企業が労働生産性を向上させて競争力を強化させるためには、人材育成等無形資産の投資を行うことが重要であって、企業の人材育成については企業規模や雇用形態により機会の差が出ないよう人材育成を行う環境を整える必要性を書いております。
 この考えも踏まえつつ、具体的な政策としては、企業に対する人材育成の支援制度については人材の育成が労働生産性の向上につながるよう、助成金の支給効果の高いところに集中的に支援することが望ましいといったことなどを記載させていただいております。
 続いて、13ページ目を御覧ください。
 ここでは、(労働者へのスキル取得の支援の充実)について記載させていただいております。具体的には、例えば教育訓練給付の指定口座、もしくは職業訓練等の内容の不断の見直しといったことによる職業訓練等の充実を通じた労働者への支援のさらなる推進が重要であるといったことなどを記載させていただいております。
 14ページ目続いて御覧ください。
 次は(労働者への助言機能の強化)ということで、主にハローワークの関係というものを記載しております。ここではハローワークについては離職者とか無業者だけでなく、在職者に対してもキャリア形成や労働者のスキル取得のための助言支援機能の強化をすべきであることですとか、ハローワーク職員へのキャリアコンサルタントの資格の取得支援の必要性などについて記載しております。
 続いての見出しはセーフティーネットの強化の部分ですが、こちらは昨年の通常国会で成立した雇用保険法の改正における取組み、その周知啓発についての記載をさせていただいているところでございます。
 続いて、見出しの8個目になります。ページで言うと14ページ最後のほうでございますが、(専門的人材の副業・兼業による活用)でございます。ここでは、DX人材とか経営戦略を行うマネジメント層等の専門的な人材については、個々の労働者のリ・スキリングの対応だけではやはり限界があるのではないか。そういった観点から、特に地方や中小企業においては相対的にこのような高度人材が多いと考えられるような都市部から、副業・兼業といった形で受け入れることが考えられるのではないか。そして、こういった副業・兼業を行う際には、これは都市部、地方の企業ともに、労働者が長時間労働とならないように労使で話し合って副業・兼業のルールを決めることの重要性といったことなどを記載しています。
 「労働生産性の向上」の部分としては最後になりますが、15ページ目の真ん中くらいでございます。昨年の11月の部会の議論でもありましたが、労働生産性の向上というのは労働政策だけでは足らないといったことから、関係府省との連携の必要性を書いています。
 以上が、「労働生産性の向上」についてまとめたものとなります。
 続いて15ページ目、引き続きですが、後段を御覧ください。ここからは「「労働参加率の向上」に資する施策」ということになります。
 まず「労働参加率の向上」については女性や高齢者のさらなる労働参加の推進が考えられ、そのためにはいわゆる長時間労働の抑制、多様な人材が働くことができる処遇の改善、仕事と家庭の両立支援が必要であるといったことに言及させていただいております。
 次に16ページ目になりますが、ここでは具体的な政策として、例えば所定外労働の削減、柔軟な労働時間の導入、同一労働同一賃金の実現、育児・介護などの負担軽減に向けた社会的な支援などを記載しておりまして、就労を阻害する要因というのを社会全体で取り除くことの重要性といったことに言及しているところでございます。
 また、16ページ目の真ん中くらいでございますが、本部会では長時間労働と短時間労働に二極化している我が国の労働時間の現状を踏まえて、短時間労働を長時間までではない労働時間にシフトする、いわゆる「中間的な働き方」の労働者を増やす取組も検討するべきではないのかといった意見もありました。
 そういった観点から16ページ目でございますが、「中間的な働き方」を増やす一つの施策として「多様な正社員制度」、いわゆる限定正社員制度ですとか週休3日制の導入などについても盛り込んでいます。
 続いて、17ページ目を御覧ください。
 17ページ目では、(テレワーク等柔軟な働き方に資する制度の導入)について施策をまとめさせていただいております。地方の中小企業では、都市部の大企業と比較するとテレワークをはじめとした制度の導入が進んでいないということがデータ上でも見られるということから、労働者がライフステージの状況とニーズに合わせて制度が使えるように労務管理を行っていくことも必要ではないのかといった旨を記載させていただいております。
 「労働参加率の向上」の部分としては最後になりますが、UAゼンセンや朝日通商のヒアリングの内容も踏まえつつ、商慣行の見直し、カスタマーハラスメント対策の推進ということを盛り込んでおります。労働者のニーズに積極的に取り組んだ働き方を推進するためには長時間労働を抑制し、ワーク・ライフ・バランスを実現することが重要と、こういった観点からもこれらの政策は重要であるといったことを記載しております。いわゆる「2つの向上」についての施策としては以上の記載となります。
 17ページ目でございますが、17ページ目後段からは先ほど2章のところで紹介させていただいた「2つのギャップの解消」の部分になります。
 1つ目は、「「ジェンダーギャップの解消」に資する施策」となります。ここでは(地方公共団体による地域密着型の取組みへの協力)として、厚生労働省として各都道府県の労働局に設置されている既存の組織なども活用しつつ、「ジェンダーギャップの解消」に積極的に協力するべきではないかといったようなことなどを記載しております。
 2つ目が「「情報ギャップの解消」に資する施策」でございますが、本部会では企業が情報発信や情報開示をしていないため、労働者が情報を獲得していないというような現状ですとか、労働条件等を含めた企業からの情報発信も大事ではないのかといったような意見がありました。こういったことも踏まえつつ、まずは(積極的な情報開示や一元的な労働市場情報の活用)について記載しております。
 18ページを御覧ください。具体的な施策でございますが、こちらは既存のものとはなりますが、厚労省のいわゆる「しょくばらぼ」の充実の記載をしているところでございます。厚労省はこういった職場情報について特に部局横断的にも存在しているというところもありますので、連携を強化した上でサイトの運営を行っていくことが必要ではないかといったことなども盛り込ませていただいております。
 最後に19ページ目でございます。
 19ページ目では、ヒアリングの事例なども踏まえて(若年層との対話等による情報発信)というタイトル、小見出しの下、地方公共団体が中心となってこういったヒアリングの事例なども参考にしつつ、地域のニーズを踏まえて情報発信に取り組むことも情報ギャップの解消に資するのではないかといったことを記載させていただいております。
 2章のところで紹介させていただいた「2つの向上」「2つのギャップの解消」の施策の記載については以上となりますが、最後の19ページの終わりのほうでございますが、本部会においては昨年の2月の検討テーマ、進め方を議論した際や、前回の部会においても佐々木勝委員からEBPMの推進の必要性について報告、議論がございました。そういったことも踏まえて、最後にEBPMの推進についてまとめております。具体的には19ページ、20ページにかけての部分になりますが、本部会ではデータを活用した政策立案というのも効果的ではないかといった意見、企業などにおいて統計マインドを高めるといったことの重要性、高度の統計知識についてはその知識を持つ人材が限られていることから大学などとの連携も大事ではないかといったことなどを記載させていただいております。
 簡単にはなりますが、以上が資料1の報告書の素案の説明になります。
 資料についての事務局からの説明は以上でございます。本日は、御議論のほどよろしくお願いいたします。
○守島部会長 ありがとうございました。
 それでは、自由討議に入りたいと思います。どなたからでも構わないので挙手、もしくは声を出していただいて御発言いただければと思います。
 春川委員が手を挙げていらっしゃいます。どうぞ。
 春川委員、多分ミュートになっていると思いますが、春川委員聞こえていますか。
 どうぞ御発言ください。
○春川委員 発言の機会をいただきましてありがとうございます。
 まずは、報告書素案をおまとめいただきました事務局の皆さま、本当にお疲れさまでした。ありがとうございました。私からは、第3章に関して改めて意見を述べさせていただきます。
 前々回の部会での論点整理の際にも私から意見を出させていただきましたが、人材確保に苦慮している地方や中小企業が若者から選ばれるためにはまずもって魅力的な賃金、労働条件を整えることが重要であると捉えています。その観点でいいますと素案の15ページから16ページにかけて記載がある(多様なニーズに対応した働き方の推進)という視点で示されている中身は大変有用であると考えています。
 その中で先ほど他の委員も触れられましたが、16ページの9行目辺りに、短時間でも長時間でもない中間的な働き方を増やすといった点があります。この点は、ワークスタイルという観点でいけば、あくまでも長時間労働の是正を図りつつ、労働者の事情や希望に応じて、多様な働き方を選択できるといった視点が重要であると改めて素案を読む中で思ったところであります。
 それと、もう一つですが、16ページの25行目で多様な働き方の具体策として週休3日制の導入ということも示されています。このこと自体、選択として否定するものでは全くないのですけれども、その後段の28行目辺りの「都市部と地方の両方で働くことの出来る可能性が高まる」といった表現は、週休3日制の導入というところからいくと適切ではないのではないかと受け止めました。例えば、4日間都市で働いて残りの日は地方で副業という意味であれば、長時間労働との是正という意味合いとは逆行しますので、むしろ労働者の希望であるとか、ワーク・ライフ・バランスを取りやすくするという視点でまとめられてはどうかと考えた次第です。
 私からは以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
 石﨑委員は先に手を挙げていらっしゃるのですけれども、何人か先に退室される方がいらっしゃいますので、そちらの方を優先させていただければと思います。
 それでは、大橋委員お願いいたします。
○大橋委員 ありがとうございます。今日は途中で退室ということで、先に御発言させていただいてありがとうございます。
 まず、報告書全体について特段強い異論があるものではないのですけれども、コメントさせていただける機会があるということで、せっかくですから数点コメントさせていただければと思います。
 恐縮ですけれども、最後からで「EBPMの推進」という箇所なのですが、ここの「EBPMの推進」でおっしゃりたい要諦というか、一番重要な点は何かというと、恐らくチェックを通じてアクションにつなげていく。要するに、施策の執行を通じてそこから学びを得て、それで次の施策をよりよいものにしていく。そうすることで、より効果的、効率的な労働政策の立案につなげるんだと、そこが多分一番重要なところだと思います。
 ここの文章はちょっとデータ活用に重きを置かれ過ぎてしまっているような気がするのですけれども、どちらかというとデータを活用することが重要なのではなくて、その評価を通じていかに政策をよくしていくのかという話をもう少し強く書いていただくのがいいのかなと思いますし、そのためには恐らくロジックモデルとかを作成する時期をどうするかとか、あるいはそのために補助を配ったときにその補助を通じて事業者からどういうデータを取ってくるかというのも補助要件につけて補助を配るとか、そのようなデータ収集の事前の準備も必要なので、会計課とかEBPM部局とかと連携して取り組む必要があると思います。そこまでここに書き込むわけではないかもしれませんけれども、そのくらいしっかりやっていただく必要があるということですので、ぜひそこは事務局に念頭に置いていただければと思うことが1点です。
 2点目なのですけれども、これは副業とか働き方に関するところなので19ページ目のところだと思うのですが、コロナ禍を脱して経済もだんだん復調になっていく中で、働き方改革が労働の供給逼迫の一因になっているという意見もあるかと思っています。働き方改革が働く意欲を高めているということに一役買っているのであれば、それはそれで十分すばらしいことだと私は思うのですけれども、ただ、負の側面もあるということであるならば、そういうようなこともしっかり効果検証しながら、働き方改革の新しい方向性というのはどうあるべきかという議論に、恐らくこのEBPMを通じてつなげて議論していくことも重要なのかなと思っています。やや中長期的な課題だと思いますけれども、そうした目線も重要かと思います。
 最後は、ちょっと戻って12ページ目の建設業に関してなのですが、CCUSに関してなのですけれども、このCCUSについては多分いろいろな意見が事業者にあるはずだと思っていまして、必ずしもいいと言っている人たちだけではないのではないかと思っています。ここの辺りは県によって相当スタンスが違うという認識でいまして、このCCUSの導入が進んでいるから若年者雇用の定着とか獲得につながっているのかというのも本当にエビデンスがあるのか、ちょっと私は怪しいかなと思っているところもあります。
 ここの辺りは、もう少し丁寧に見ていただくのがいいのかなというのが直感的なところです。必ずしも反対のエビデンスを持っているわけではないですが、定性的にはにはそんな感じかなと思っています。
 以上です。発言の御配慮をいただき、ありがとうございました。○守島部会長 ありがとうございます。
 では、続いて川崎委員お願いできますか。
○川崎委員 すみません。私も途中退室で、御配慮いただきましてありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 私のほうからは、2点ほどコメントさしあげたいと思います。
 まずは、報告書の素案どうもありがとうございました。
 両方とも3章に関わるところなのですけれども、1点目は(多様なニーズに対応した働き方の推進)、それから「ジェンダーギャップの解消」といったところで書かれている内容についてはそのとおりだと思うのですが、一方で、少し明示的に男性側の家事・育児の参加といったワードを追加できないかということを御検討いただければと思っています。
 多様な働き方ですとか「ジェンダーギャップの解消」といったところでは、当然社会全体のアンコンシャス・バイアスや女性の働き方といったところも変えていく必要はあるわけですけれども、同時にやはり男性側の働き方、育児・家事参加といったところの観点も必要になってくるというのはもう皆さん議論を待たないところかと思いますので、報告書の中身への反映を少し御検討いただければというところが1点目になります。
 2点目が第3章のところなのですが、タイトルが「地方・中小企業の活躍に向けた対応すべき労働政策の方向性」ということで、第1章の課題感から地方に大きくフォーカスされているという立てつけになっていると思っています。それで、2章の終わりでは、今回提言する労働政策の方向性については中小企業だけではなくてもやっていくべきもの、大企業でもやっていくべきものというコメントはあるものの、基本的に今回は地方に課題が大きい。それで、地方の中の中小企業にいろいろ課題があるというところからひもとかれていくわけなので、3章で書かれている内容はいずれも大企業も中小企業もやっていくべきものというところにとどまらず、少し中小企業がどういう工夫をしたらいいのか、中小企業がどういう観点で取り組めばよくなっていくのかというようなくだりを、少し分かりやすい形で盛り込んでいただけることを御検討いただければと感じました。
 テレワークの項目ですとか、専門人材の項目のところでは、少し地方公共団体ですとか、都市部と地方との差分みたいなコメントもありますけれども、それ以外の項目でも地方ならではの取り組むべきポイントというようなところで、地方と都市部のギャップが埋まっていくというふうなことが想像できるような対応策に読み取れる形ならばいいかなと思っております。
 いずれにしましても、いろいろな意見がある中でまとめていただいて感謝しています。どうもありがとうございました。
 以上、2点になります。
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、石﨑委員お願いいたします。
○石﨑委員 ありがとうございます。
 まずは、これまでの非常に多様な意見をこのような形でおまとめいただきましたことに御礼申し上げます。その上で、やや細かな点も含めて、多いのですが、7、8点ほどコメントをさせていただければと思います。
 まず1点目は、1章の5ページの辺りで挙げられている要因④というところの位置づけ方に関しての意見になります。報告書の全体の構成と関わるところで大変恐縮なのですけれども、こちらの要因④というのがここの1章の中でいくと3-2の中で位置づけられているように見えるわけです。ただ、この要因④のエッセンシャルワーカーの処遇の改善といったような問題というのは、企業が求める技能や職種のミスマッチだけの問題というよりも、むしろそういった処遇が低いゆえの人手不足の問題というのも大きい課題なのではないかという気もするところであります。
 それで、後ろのほうで7ページでしょうか。第2章で、要するにそれまでの現状を踏まえた上で整理をしていただいているかと思うのですが、この要因④というのがある種、①と絡めるような形でも記載されております。そうすると、3-1の中にもう一度位置づけたほうが、落ち着きが、据わりがよいのではないかという気がしたところでございます。
 あるいは、要因④で語られていることの中に、3-1にまたがる側面と3-2にまたがる側面と両面あるのかもしれませんが、この位置づけを改めて御検討いただければというのがまず1点目になります。
 2点目は、これも7ページで2章に関わることで要因⑤に記載されているところでありますけれども、ここで25から28行目の辺りで「労働参加率の向上」が求められていると、こういう人手不足の中で「参加率の向上」が求められているということが記載されております。そのこと自体、もちろん異論が強くあるというわけではないのですけれども、この⑤との関係では先ほども御意見があったかと思うのですが、参加率の向上そのものというよりも、そうした多様な人が働けるような労働参加できる機会の確保が増えることが重要で、その結果として労働参加率の向上ということになれば、もちろんそれはそれでよいことだとは思うのですけれども、とにかく働く人を増やせということでいいのかどうか、ここも慎重に検討いただけたらありがたいと思いました。
 それで、ちょっとその点とも絡むのですが、3章についてです。3章は何点か申し上げたいことがあるのですけれども、3章の16ページのほうから先にコメントさせていただこうと思います。これも先ほど春川委員のほうから出ていた指摘ではあるのですが、ここで「中間的な働き方」という言葉が使われているように思います。もしかすると部会の中でそういった発言を私のほうでもしたかもしれないのですが、ある種「中間的な働き方」ということでカテゴライズしてしまうと、それ自体がこの報告書において目指されている柔軟な働き方ですとか多様なニーズに応えた働き方、あるいは場合によっては「ジェンダーギャップの解消」というところと矛盾するように思いますので、そういう意味でニーズに応じた柔軟な働き方を可能にしていくというような表現に改めていただけないかということを御検討いただければと思います。
 また、この辺りで「短時間労働を長時間労働までではない労働時間にシフトする」というところもやや分かりにくい部分があるので、そこも表現をちょっと変えていただければと思います。
 その後は細かなことですが、同じ16ページの20行以下で、正社員を希望しない人がいるので多様な正社員制度を用いてそれを魅力につなげていこうというようなお話があるのですけれども、正社員を希望しないというのは、言ってしまえば労働時間が長かったり、遠隔地への配転が予定される、そういう正社員を希望しないという話なので、そこはちょっと言葉を足していただきたいです。また、「登用していく」ということで登用が前提になっているような書きぶりになっているのですが、そこも意向を踏まえて登用していくとか、そういう言葉をつなげていただくとよいのかなと思います。
 あとは、「賃金面を含めた地方の魅力の向上」という書き方なのですけれども、正社員イコール処遇が高いといえるかについて、一般的にはそうなのですが、ある種、短時間正社員みたいなものを想定したときに、ではそれは賃金面も含めて高いのかどうかというのはまた別の話になってくるかと思うので、この辺りも書きぶりは検討いただければと思いました。
 それで、もう少し戻りまして3章の10ページの辺りでちょっと別の話になるわけですけれども、「「賃金相場」を明らかにすべきである」という記載があるかと思うのですが、この辺りの「職務に必要なスキルと賃金の関係」というのを「賃金相場」という言葉で表現してしまってよいのかどうかとか、あるいはそこはスキルと賃金の関係だけでいいのか、それとも企業側がスキルアップに対してどういった支援を行っているとか、そういったところも含めなくてよいのかというところも御確認をいただければと思います。
 あとは、先ほどの点とも関わりますが、3章の15ページの30行目から32行目の辺りですね。この辺りは「仕事と家庭の両立支援」というところが言葉としては出ているのですけれども、家庭生活との両立支援だけではなくてやはり広い意味での私生活とのバランスという意味でのワーク・ライフ・バランスみたいな語は使っていただけるといいのかなと思いました。
 ただ、ここでもう一点としては、30行目から32行目にかけて「多様な人材が働くことができる処遇の改善」という言葉が出てくるのですけれども、これはもしかすると低賃金過ぎるために就労意欲がそがれるという問題を念頭に置いたものかもしれませんが、この「多様な人材が働くことができる処遇」というのが何を指しているのかが若干分かりにくいなと感じたところですので、そこも検討いただければと思います。
 また、併せて16ページで処遇改善に関して、不合理な待遇格差の解消によって待遇を確保していくということが書かれています。これはもちろん非常に重要なことではあるのですけれども、ただ、不合理な格差を是正したらそれで処遇の改善になるのか、十分なのかというところがやはり問題になってくるのかなと思いますので、これだけで終わらせていいのか、ちょっと気になったところでございます。
 最初のところで指摘しましたエッセンシャルワーカーの処遇の低さの問題というのが、一体どこからきているのかというところの検証も今後大事なのではないかと思うところで、私自身、エビデンスを有しているわけではありませんけれども、例えばいわゆる介護とか保育とか、そうしたケア労働に従事されている方の処遇の低さというところには、それこそケアに関わる仕事は女性が行うものであるというジェンダーギャップみたいなものがその根底にあるようなところもあるのではないかということがちょっと気になってはいるところであります。そういったところの検証とか、あるいは見直しというのも必要ではないかという視点も可能であれば盛り込んでいただけたらと思いました。
 長々と失礼いたしました。私からは以上になります。
○守島部会長 ありがとうございます。
 では、続きまして佐々木勝委員が手を挙げていらっしゃるのですけれども、佐々木かをり委員が早く出られるということで、よろしければ先にお願いをしたいと思います。
 佐々木かをり委員、お願いします。
○佐々木(か)委員 どうもありがとうございます。
 私のほうから短くというか、まずは取りまとめどうもありがとうございました。この時点で、もう報告書としてまとまっているのであまり何か申し上げてもと思っているので、全体的なところを申し上げると、この報告書は誰に読んでもらいたいのか、またどう使ってもらいたいのかということをぜひ考えられないかなと思っております。
 これはどこの審議会もみんな同じような感じなのですけれども、このスタイルで出していると証拠物としては議論の報告書になっていて、大学関係者のような研究者の方にとってはもしかすると見慣れた文体で、本棚に置いておけばいいという感じになるかと思うのですけれども、でもこれを本当に例えば地方の中小企業の社長さんに、あるいは労働者に読んでもらって使ってもらうのであれば、ですからその目的を明確にしてと思うのですけれども、そうすると例えば表紙には副題をつけてどういうことなのかがすぐに分かるようにするとか、小見出しというのでしょうか、目次の文言を見てもどちらかというと研究書、教科書というような感じの目次のつけ方なので、誰がどこを読むと何の役に立つのかというのが分かるようにする。
 本当だったら全部書き換えたいくらいですけれども、せめて小見出しを読み手が見て、ここを読めば自分の会社に役立つかなというふうになればいいなと思うので、タイトルの副題と、それから目次の文言というか、それぞれの章立てのタイトルを、私は裏返すとか言うのですけれども、立場を変えて文言を変えるということが必要かなと思いました。これが1つです。
 あとは、すごく具体的な小さなところですけれども、第2章の7ページの16行に「特に地方の社会全体で「ジェンダーギャップの解消」を進めていくことが求められる。」というふうにあるのですけれども、ぜひここにダイバーシティ経営が企業価値向上に重要であることを理解してジェンダーギャップの解消を進めていくことが求められるというふうに一言、なぜジェンダーギャップの解消を進めていくのが重要なのか。これはダイバーシティ経営によって企業価値向上に重要であることということを書いたほうが、読んでいる人がしっくりくるかなと思いました。今のところは簡単なところです。
 私からは以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 では、続きまして佐々木勝委員お願いいたします。
○佐々木(勝)委員 佐々木です。
 事務方の皆さんは、取りまとめをしていただきどうもありがとうございます。私のほうからは、2点ほど発言させていただきます。
 まずは第3章の「地方・中小企業の活躍に向けた対応すべき労働政策の方向性」についてですが、「企業規模」というのは大企業と中小企業、「地域」も都市部と地方に分けると、2×2の4種類の分け方があると思います。「都市部にある大企業」、「都市部にある中小企業」、「地方にある大企業」、「地方にある中小企業」の4種類があると思いますが、今回は最後の「地方にある中小企業」にフォーカスを当てていると考えております。この第3章の労働政策の方向性を読む限り、中小企業に対する対策は地方の中小企業だけでなく都市部の中小企業にも非常に当てはまるのではないかと考えます。労働生産性向上のためのスキル取得の推進と支援は、地域に関係なく全ての中小企業で働く労働者に必要なのかなと思います。
 この第3章を読んでいると、だんだん地方というのを忘れてしまって、ついつい中小企業のことなんだなと思いながらも、はっと、これは地方の話だったんだなと途中で気づくところがあって、地方というのが途中で薄れているような感じがします。副業のところで改めて、「これはそう言えば地方の話だったんだな」と気づくので、そういうところで差別化を明確にしていただきたいと思います。
 都市部にある中小企業で働く労働者の割合がもし地方の中小企業で働く割合よりもかなり低かったら、中小企業イコール地方の中小企業と考えられるわけですけれども、実際のところ都市部で働いている労働者の半数以上は中小企業で働いていることもあります。確かに地方における中小企業で働いている労働者の割合に比べたら都市部におけるその割合は低いですけれども、それでも都市部でも半数以上は中小企業で働いているわけですから、中小企業に対する労働政策というのはやはり都市部にも当てはまるのかなと思います。
 そういう意味では、労働生産性の向上に資する施策が地方にある中小企業にこそ重要であると主張するのであるならば、やはり都市部にある中小企業と地方にある中小企業は同じ中小企業であっても違っており、後者である地方にある中小企業のほうが都市部にある中小企業に比べて労働生産性が低かったり、または人材育成の機会が少なかったりするなどの前提が必要になるかなと思います。まずその前提があることを示すとことで、地方の中小企業に焦点を当てるという方向性に説得力が高まり、地方・中小企業に対する労働政策なんですよというところが力強く言えるのではないかと思います。今回トピックスに挙げている地方における中小企業が都市部の中小企業とは違うというところを明確にしていただきたいと思いました。
 2つ目は11ページの8、9行目の社会インフラ整備部門のところで「市場メカニズムに任せているだけでは不十分である」と書いてあるのですけれども、私は社会インフラ整備部門というのはむしろ競争メカニズムが働いていないのではないかということを以前、事務の方に話したが、ちょっと勘違いしておりました。そもそも社会インフラ整備部門の財やサービスの市場では市場メカニズムがあまり機能していない、すなわち完全競争市場ではないということですね。公共部門の財・サービスの市場は独占市場に近いし、介護サービス市場というのも介護報酬による価格規制があって完全競争ではないと言えます。
 ただ、よくよく考えたら、労働市場はもしかしたら完全競争というか、市場メカニズムに任せている状態だとちょっと考えたので、もともとここの「その対応は、市場メカニズムに任せるだけでは不十分であるという意見があった。」を意見照会票では削除したらいいのではないかと記入しましたが、それは訂正します。残しておいてもいいのかなと思います。ちょっと私の勘違でした。
 意見は2点、以上であります。
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、オンラインの方が大体終わられたので、会場の方でどなたか発言があればお願いしたいと思います。
 では、山田委員お願いいたします。
○山田委員 ありがとうございます。
 「2つの向上」と「2つのギャップの解消」ということで、分かりやすくまとめていただきましてありがとうございました。
 細かいところはまた後ほど事務局に直接お伝えしようと思いますが、比較的大きいところを2つ申し上げたいと思います。
 1つは、4ページの下から5ページにかけて専門的な人材の話が出てくるのですけれども、ここの専門的な人材というのは何を意味しているのかというのはやや分かりづらい。私は読んでいて若干混乱したんですね。狭く取ると、いわゆる専門的、技術的職業ということだと思うのですけれども、文脈を読んでいると必ずしもそうではないのかなという気がしながら、もちろん現場人材でも高度な人たちというのは当然いるわけですが、でもその話がまた要因④ということで別に出てくるということで、ここの概念整理をもう一回、まさに専門的人材というのは何を意味しているのかというのを明解に定義していただいて、私は現場もスキルは要ると思うので、そこの整理をもう一回やっていただきたいというのが1つです。
 それと関連して、要因④のところで社会インフラ維持に必要な職種、いわゆる広い意味でのエッセンシャルワーカーだと思うのですけれども、ここが実は研究会でリクルートの方もおっしゃっていましたが、これから最も恐らく人材不足になって深刻な問題になるところだと思うのですけれども、ここは例示では「医療・福祉等」で終わっているんです。恐らくもっと広いということをしっかり書き込んでいったほうがいいのではないかということです。
 ちょっとばらばら言いましたけれども、いずれにしても専門的な人材という言葉と、現場人材ということが分かりづらいので、ここを整理し直していただければありがたいと思います。
 それで、結局それに関連するところなのですけれども、もう一つは12ページの(現場人材におけるキャリアラダーの形成)というところなのですが、今後地方のいわゆるエッセンシャルワーカー部門、現場部門の人手不足を解消していこうと思うと、当然人材が入りやすいように、あるいは能力育成をするということでキャリアラダーは非常に重要なものかと思うのですけれども、でも恐らくそれだけでは足らないというか、仕事のやり方そのものをいろいろ機械化していったり、あるいはデジタル化ですね。そういうことをして、生産性そのものを上げていって職務内容そのものを高度化していく。それに伴って、リ・スキリングが必要になるという部分もかなり必要なのではないかと思います。
 ですから、具体的には12ページの21行目の後に、例えば「加えてデジタル化、機械化の積極的な推進と、それに伴って必要になる現場労働者のリ・スキリングによって現場労働の資本装備率を高めて労働生産性を向上させることも必要だ」とか、そんな追記をしていただければありがたいと思いました。
 大きなところでは、それくらいです。あとの表現ぶりとかは、また後ほど個別に御提案させていただきたいと思います。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 では、逢見委員お願いいたします。
○逢見委員 ありがとうございます。
 全体としては今までの議論をまとめていただいたということで、その御努力に敬意を表したいと思います。
 その上で2点申し上げたいのですけれども、1つは先ほど春川委員も言っておられましたが、地方や中小企業の人手不足解消のためにやはり魅力ある労働条件が求職者に提示されないといけないということが前提としてあると思います。その上でマッチングの強化が重要だと思いますが、マッチングに際しては求人情報がまず正しく表示されているということが前提になるわけです。しかし、15ページにも記載されているように、求人情報に記載されていた内容と実際の労働条件が違うというようなトラブルが生じていると聞いております。求人情報の正確性担保という点でいうと、ハローワークや労働基準監督署が職業安定法や労基法に基づいて正しく記載される、あるいは記載されていなければきちんと規制するという役割があると思いますが、今は闇バイト問題などが社会問題化しているということも考えれば、やはり適正化することが大事だと思います。
 それから、若者にも労働関係法令のルールをまとめたハンドブックや動画を作成していることには敬意を表しますが、「知って得する」とか「知らないと損する」というレベルではなくて、「知らないとあなたの権利が侵されるかもしれない。だからここがポイント」というような若者にとっての視点というのを提示するようなワークルール教育が必要ではないかと思います。
 それから、マッチングで言うとハローワークの中で職員のキャリアコンサルトの取得促進が記載されております。これも大事だと思います。実際ハローワークでコンサルタント資格を持っている人がやっているというのも聞いていますが、その多くが非正規職員ですので、ハローワーク職員の正規化も含めて体制を強化することが必要です。公務員定数の問題もあるのでしょうが、そういったところも考えるべきと思いました。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにございますか。
 では、山川委員お願いいたします。
○山川委員 私から3点で、まずジェンダーギャップについて2点ほどなのですけれども、2ページ目の小見出しというか、(女性の就業率は主要国の中でも高い水準だが、L字カーブが存在)というのは別に間違っていないのは分かるのですが、ちょっとミスリーディングじゃないかというか、問題の深刻性をうまく伝えていないのではないかという気がしたので、ちょっとどうなのか。ジェンダーギャップ指数で百何位の国で、主要国の中でも高い水準だとか言ってみたところで始まらないというか、もうちょっと問題が分かるような小見出しにしたほうがいいのかなと思いました。
 あとは、拝見したところ、岡本委員の意見と若干かぶるというか、同じようなことなのかもしれないけれども、ジェンダーギャップのところにやたらとアンコンシャス・バイアスと出てきていて、それ自体はいいのですが、アンコンシャス・バイアスをどういう意味で使っているのかという話で、子育てとか介護は女性がするべきだとか、補助的、サポート的、あるいはケア労働は女性向きだよねとか、それはアンコンシャスではないというか、コンシャスな性役割分担なのではないか。
 私のイメージのアンコンシャス・バイアスは、例えば女性が何か意見を言っても一顧だにされないのに、全く同じことを男性が言ったら採用されたみたいな、そういうことなので、アンコンシャス・バイアスという言葉を使うとすごく問題が矮小化されているような気がして、それ以前のレベルの問題ではないかと思いました。それが1点です。
 それから、先ほど春川委員がおっしゃっていた週休3日制のところは、確かに私も例もよく分からないし、すごく唐突感があるというか、突然週休3日制だけ推しているというのがよく分からなくて、根本的なところは柔軟な働き方とか多様な正社員制で、週休3日と言っても、例えば日本は今の労基法上だとなかなか難しいのですけれども、外国だとコンプレストワーカーズと言って、例えば週4日しか働かないんだけれども、その日は8時間以上働いてぎゅっと凝縮するとか、いろんな柔軟な働き方を各個人のライフスタイル、それは価値観も含めた必ずしも家との両立だけではなくて、いろいろなものを含めて提供することが結構重要なのかと思うので、週休3日制について私も若干、突然感があってちょっと違和感がありました。
 ここの2つまではよくて、もう一つは申し上げるかどうか若干迷ったのですけれども、第3章の始まりのところで10ページの(1)の○の1つ目の「高生産性分野への円滑な労働移動の実現」はもちろんそうなのですけれども、この報告書だと労働者側のリ・スキリングとかで何とかそちらに誘導するということが書いてあって、それは大いに結構なのですが、円滑な労働移動を実現するに当たって、この報告書にどこまで書くかどうかは別として、やはり解雇規制が現状のままでいいのかということを考えずに通り過ぎてしまっていいのかというのはすごく疑問で、ちょっと将来性がない分野からは撤退したい。そうなったときに、そういうときの解雇規制だったり、労働者の保護の方法だったりとか、特に中小企業の場合は大企業と違って配転先もそんなにないわけですし、想像するに中小企業は会社によってはかなり乱暴な解雇が行われて、結局全然労働者は保護されていないというところもあるわけですから、現在の日本の解雇規制で果たしていいのかというのは、少なくとも考えるべき論点としてはあるのではないかと思いました。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 では、石原委員お願いいたします。
○石原委員 ありがとうございます。石原でございます。
 まずは、取りまとめありがとうございました。私のほうから、今さらかもしれませんけれども、7ページの全体構造として書いてくださった「二つの向上」と「二つのギャップの解消」なのですけれども、その因果関係は本当にその矢印なんですかと、すごく疑問に思っております。
 例えばですけれども、物すごく分かりやすいのは要因⑤と「労働参加率の向上」ですが、多様な柔軟働き方がないから労働参加していないというのが現実であって、多様で柔軟な働き方の不足を何とかするために労働参加率を向上しましょうというのは全然因果が逆なのではないか。多様で柔軟な働き方が増えたら労働参加率が向上するんですよねという話だと思っておりまして、すごく気になりました。
 これは「労働生産性の向上」のほうも同じだと思っていて、良質な雇用機会がないとか、賃金が低いとかという条件の中で優秀、あるいは生産性の高い人たちが働いていません、この会社で、地方でという話をしているのであって、そこを「労働生産性の向上」で解決しましょうというのはよく分からなくて気になっておりますというところでございますが、何よりも賃金を上げるということをこの図の中に書かなくていいのでしょうかというのがすごく気になっております。
 良質な雇用機会、先ほど御意見がありましたが、まずもって魅力的な賃金をはじめとする処遇があるということが大事だというのは私も本当にそのとおりだと思っておりますので、そのことを書かずに労働生産性を高めましょうとか、労働参加率を向上させましょうという話をするのが既に何となく問題の本質といいますか、本丸のところを素通りしているように感じましたというところを申し上げておきたいと思います。
 それでももう一つなのですけれども、視点①②③と分類するか、要因①②、要因③④、要因⑤でグループ分けされてしまうわけなのですが、要因①の中に例えば要因④とか要因⑤というのは入っているのではないかとも思っております。賃金が低いから、労働条件が悪いから、多様な働き方を認めてもらっていないからという雇用機会、良質な雇用ではないと思うから地方から人々が流出しているわけなのであって、例えば要因④、要因⑤と①の関係は何となく集合の中に入っているような気がしておりますというのがこの構造図に関するまず課題感でございます。
 そこを申し上げた上でちょっと細かいところなのですけれども、先ほど幾つかお話がありましたが、女性の流出みたいなところに関してですが、ジェンダーギャップという言葉とアンコンシャス・バイアスという言葉が混同されて使われている感じにはすごく私も違和感がございました。
 それともう一つなのですけれども、例えば4ページの20行目とかを見ていただきますと、「地方の古いしきたりやしがらみを嫌う傾向が強くなっている」と、完全に女性のほうがそういう意識になっているというふうに書いてあるわけなのですけれども、ここは書き方の問題があると思っていて、地方の多くの部分に残る古いしきたりとか強烈な性別役割意識に基づいて求められる様々な制約が特に女性に対して生きづらさや働きづらさを感じさせているということなのではないかと思うのですが、その書き方がすごくそれこそバイアスがかかっているように見えましたというのがあります。
 同じように、これの解決策として2章の7ページに女性の流出に関してということが13行目に書いてあるわけで、労働政策による企業への働きかけ、それから学校段階からのバイアス解消に向けた教育と書いてあるのですけれども、本当に若い女性が地方で生きづらいと思っている理由は、田舎に残っているおじいさんやおばあさんの女は家にいたらいいでしょうとか、早く子供を産みなさいよというようなプレッシャーなわけであって、今ここに書いてある政策ではその人たちには全く届きそうにない。もちろん最後の1行には、地方の社会全体でジェンダーギャップの解消を進めていくことが求められると書いてあるのですけれども、これは特にではなくてそれをやるための中身として、それが全体のテーマであって、その中身として職場に働きかける、学校に働きかけるもあるのですけれども、老年者、高齢者、老齢者に対して若手の人たちにかかるプレッシャーみたいなものをどう解消するのかというようなことまで踏み込まなかったら、地方の社会全体でのジェンダーギャップの解消にはならなさそうだなと感じました。これが女性の働きづらさに関わるところです。
 それともう一つ申し上げておきたいのが、皆様のほうからも御意見があったのですが、中間的な働き方とか週休3日制とかという形が既に多様な働き方ではないと私には思えていて、何らかの型にまた新しくはめるという話ですし、現在、大企業が提供している地方限定正社員制度などは転勤がないということですが、転勤がないことを理由に全国転勤型の会社員よりも賃金を2割から3割低くした中で同じだけの成果を求めるというようなことが起こっているという現実があるわけでして、その中で限定型正社員制度はとてもいいよねとか、そういうような形で読めるような記述に関してはちょっと懸念がございますというところでございます。
 あとは、これはすごく言いづらいのですけれども、例えばキャリアコンサルト資格をハローワーク職員に求めるとか、それから業界検定などに支援をするとあるのですけれども、これはもっと書き込んでいただかないと、失礼を承知で申し上げると、厚労省が今、持っている事業に対して、より予算を求めているだけに見えますというところをちょっと御指摘したく存じます。
 何を申し上げているかというと、キャリアコンサルトに関してこれまでも何回か申し上げたと思うのですけれども、キャリアコンサルト資格を持っている人たちによってどれだけよい雇用とかよい労働移動が実現しているのかということは、それこそエビデンスをまだ検証されていないように思います。非常に難しい資格で、まだ人数も少ない中で一生懸命その資格を取っていらっしゃる方がいるのも存じ上げておるのですけれども、キャリアコンサルトによる円滑な労働移動がどれくらいできるのかということのエビデンスなしにハローワーク職員やキャリアコンサルト資格を取ったほうがいいよねということに私は反対です。
 同じく業界検定も、業界検定を増やすという話をするには、業界検定がついでにといいますか、業界検定の仕組みの中に結局賃金相場みたいなものを入れ込んでいくというようなことをする努力に対して支援をするべきというふうに限定する必要があるのではないかということで、何となくこれにさらに支援をしよう、これに対して予算をつけるべきだというような話がちょいちょい書いてあるわけなのですけれども、そこに関してはもうちょっと蓋然性といいますか、説得力のある、なぜそれが資するのかというところに関してはもうちょっと書いていただきたいように感じました。
 すみません。ばらばらと言いましたが、以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたかいかがですか。
 では、山藤委員お願いいたします。
○山藤参考人 発言の機会を与えていただきましてありがとうございます。また、事務局の皆様におかれては、非常に複雑かつ多様な論点をまとめていただきまして御苦労さまでございます。3点申し上げたいと思います。
 まず、3章冒頭の「「労働生産性の向上」に資する施策」で基本的なスタンスが書かれているところがございます。その施策として書かれている「人への投資の促進」「高生産性分野の円滑な労働移動の実現」はいずれも重要な論点であるとは思うのですけれども、特に人口減少が深刻化している地域においてどうやって労働生産性を上げていくのか。これは、みんながみんな現存する企業が上げていけるのかというとなかなか難しいだろうというところで、要は新陳代謝を起こして良質な労働条件を提供できる企業が残っていくことが不可避になっていくのだろうという認識でございます。
 同様に、「社会インフラ維持に必要な職種」についても、良質な労働条件を提示できる、DX等を通じて魅力的な職場をつくっていける企業が残っていくのだということを、もう少し強調していただくことがよろしいのではないかというのが1点目でございます。
 2点目は、労働参加率の向上についてでございます。これは複数の委員からも御指摘があったところでございますけれども、ジェンダーギャップが解消されていない、あるいは地方におけるジェンダー観がなかなか変わっていっていないという中で、労働参加率の向上の施策を実施したときに何が起こるかという辺りについては、より明確に意識した形で記載をいただくのがいいかと思います。
 つまり、何が言いたいかといいますと、今回の施策として例えば週休3日制度であるとか、あるいは限定正社員というものの提示がされているわけですけれども、ジェンダー観が是正されていない中でこれが新しい職制として導入されたときに、結果的により女性を限定的なところに押し込めてしまう、固定化してしまうという、思っていないような効果を生んでしまう可能性があるのではなかろうかということを危惧してございます。その辺りのつながりというものを明確に意識していただきたいというのが2点目でございます。
 3点目は、情報ギャップの解消についてです。ここでは「しょくばらぼ」のてこ入れ等の施策が書かれていますが、より本質的な施策はスキル、タスク、あるいはキャリアの可視化という辺りにあるのだろうと思ってございます。
 その意味では、素案11ページにシンガポールの事例として「My skills future」と日本のjob tagの事例が書かれておりますけれども、ここで挙げられている「My skills future」は、単に職業情報を可視化するというサイトではなくて、個人レベルでIDを付与して個人のスキルをそのプラットフォームの中で棚卸しをして、求められる職業とのギャップを可視化した上で学びに導いていくというようなことを行うような目的のプラットフォームでございますので、現時点でマイページ的な機能を備えていないjob tagとはやや位置づけが違うんだということでございます。
 そういった中では、個人の学びを促すというところも含めたプラットフォームは非常に重要だと思っておりまして、この辺りというのはぜひ施策として位置づけていくべきだろうと思っております。
 また、個人の学びを促すというのは重要ですけれども、さらに企業の中で従業員が学びをしていくという際に、企業の中でのスキルを可視化するようなプラットフォームも併せて重要だろうということでございます。シンガポールの中で「スキルズ・プロファィラー・プログラム」という施策が今、動いておりますけれども、これはシンガポール政府の支援の下でシンガポールの中小企業においてスキル可視化のプラットフォームを導入して、企業の中での学びを促していくようなプラットフォームになっている。要は、企業の中でのスキル可視化を促していくような施策というものも重要だろうということを指摘させていただきたいと思います。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに、2回目でも構わないので御意見をお伺いできればと思います。
 では、石原さんお願いします。
○石原委員 すみません。1つ言いそびれたことがあります。石原ですが、追加でお願いしたいのですけれども、3章の13ページの19行目辺りに(労働者のスキル取得の支援の充実)とあるのですが、もちろんスキル取得の支援の充実はぜひお願いしたいのですけれども、一方で現状起きていることは、自己学習によるスキル向上をしたとしても、企業側が経験を持たない人は採用できないと、結局学習して何かの資格を取得して何かができるようになったとしても、なかなか就職、転職できないという状況がございますということで、この企業の経験至上主義にメスを入れるような策を入れてほしいと考えておりました。
 それが1つ追加です。ありがとうございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか、追加意見でも構わないのでいらっしゃいますでしょうか。
 ありがとうございます。
 私から1点だけ申し上げたいのですけれども、これは皆さん方が大分言われていることなのですが、特にもうお出になってしまったかと思いますが、佐々木かをり委員がおっしゃっていたことなのですけれども、これは何のための報告書なのかというのをもうちょっと明確にしていただいたほうがいいかなと、特に座長、部会長としてはそういうふうに思います。
 というのは、人手不足を解消するというスタンスだと、やはりそれは企業に資するということがイメージとしては浮かんでくると思うんです。でも、内容を読んでみると、ジェンダーギャップの話も出てくるし、アンコンシャス・バイアスの話も出てくるし、働く人を幸せにするというか、よりよい雇用機会を働く人のためにつくっていくというところが内容的には比較的多く出ているように思うんです。そうなると、どちらが本当に厚労省の目的なのか、目指しているところなのかというのが何か読んでいてよく分からなくなってくる部分というのがあるかなというふうに私は個人的には思いました。
 ですから、前書きになるのかどうなのかちょっと分かりませんけれども、この報告書でどういう方向性を狙っているのかというようなことを簡単にまとめた部分が多分あったほうが、エグゼクティブサマリーという言い方がいいかどうか分かりませんけれども、そこを読んでくれればこの報告書がどういう目的を志向してつくられているのかが分かるし、そこに関心を持ってくれれば具体的な施策についても比較的強い関心を持ってもらえるのではないかと思いますので、何かそういうふうな前書きというか、エグゼクティブサマリーというか、呼び方はいろいろあると思いますけれども、何をこの報告書で目的として、そこまで言うとちょっと大げさかもしれませんが、どういうふうな労働世界をこれから厚労省としてつくっていきたいのかということを示していただけると、今回は人材不足という言葉から入ってくるので、それはそれで重要な経済課題ではあるのですけれども、でもこれを解消すると本当に働く人が幸せになるのかということを考えるとちょっと分からない部分があったというふうに個人的には思っていますというのが私の考え方です。
 それでは、ほかにどなたか御意見がなければ、少し厚労省の方からお話を伺えればと思います。
 では、お願いします。
○宇野政策統括官付参事官 総合政策統括担当参事官の宇野でございます。
 このたびは、この素案に対しましてたくさんの御意見をいただきまして感謝申し上げます。全て網羅的にお答えできるかどうか分かりませんけれども、全体的にはいただいた意見をできる限り反映させていただきながら、部会長とも相談して次の取りまとめに向けてブラッシュアップしていきたいと思っております。
 今、座長から最後にお話がありました、この巻頭言というか、何を目的にしているのかという部分、あとは佐々木かをり委員から副題を含めて、目次のところの小見出しも含めて、こういったところはまた事務局内でも検討していきたいと思います。
 この段階はまだ素案なものですから、確かに前回の報告書も「はじめに」とか「おわりに」とかついていたのですが、まだ素案の段階なので、まずその中身について今日は御議論いただきたい。その上で、今日の御意見を踏まえましてブラッシュアップした中でもう一度その目的ですとか、副題ですとか、前回もたしか副題の案を3つくらいつくって出してここで議論していただいたという記憶もございますので、そういったことの工夫も含めて検討していきたいと思っております。
 この要因のところですね。我々にしましても、第1章にある要因の5つの整理の方法、あとはそれをどういうふうに進めていくのか。我々としましては、この向上とかギャップの解消というのは一つの政策として、こういったような要因を含めていくためにどういうふうに施策を打っていくべきなのかという因果関係について施策という整理で、我々としてはそれを「2つの向上」「2つのギャップの解消」ということで整理してみましたけれども、石原委員からも因果関係はどうなのかとか、あとは石﨑委員、石原委員からこの要因のそれぞれの整理について御指摘がありましたので、その辺りはもう一度整理していきたいと思っております。
 第3章の表題のところで佐々木委員、川崎委員から御指摘いただきました地方と中小企業というところです。ここは私どもとしましては十分に説明しなかったかもしれませんけれども、地方の中小企業に限定して書いているつもりではございません。地方という部分とか中小企業という部分、そこはある意味、重なっている部分でございます。ですので、重なっているのは地方かつ中小企業ですが、例えば大都市圏の中小企業にも着目しますし、地方の大企業にも着目したいと思います。
 ですので、そこはまず確認をさせていただいた上で、これは実は事前の説明のときに座長からも御指摘いただきましたので、8ページ目の1行目から3行目の辺りについて一応書きましたけれども、この報告書は結局、最後は誰に着目しているのかという部分との関係もあると思いますので、その辺りも含めてどういうふうに整理していけばいいかは検討したいと思います。
 もう一つ、いろいろ御指摘をいただいていますので、そこは事務的に各先生方と御相談していきたいと思いますが、大きなところで言いますと、ジェンダーギャップとか、アンコンシャス・バイアスとか、この辺りのところの言葉の使い方とか、そもそもこの概念整理というか、これはどうなのかというのは複数の先生方から御指摘いただいたところでございます。今日の御意見を踏まえまして、もう一度再整理をさせていただきたいと思います。
 アンコンシャス・バイアスというのも、確かにアンコンシャス・バイアスの前の段階ではないかという部分の御指摘がございました。これは、今日提出いただいた岡本委員の意見にもありましたので、その辺りのところも整理したいと思います。
 また、中間的な働き方という表現とか週休3日制のところ、これも複数の先生方から御指摘いただいています。この辺りも、もう少し我々も言葉の使い方、概念整理の仕方について再整理をしたいと思っております。
 我々としましては各委員の先生方の御意見も大分反映したいと思っておりましたので、例えばこういう意見があったとか、そういった部分という工夫もしておりますが、その辺りも含めてもう一度いろいろ整理をさせていただきたいと思っております。
 そういうことで、私からは概論的に以上でございます。今いただいた意見に全部答えておりませんけれども、そこは個別に、今、指摘はいただいたものは全ていただきますし、事前にもいただいています。また、この後ももしかしたら今日の会議を踏まえまして各委員の先生方からお気づきの点があるかと思います。そのときは事務局に可能であれば今週中にいただければ、その後、調整をさせていただきたいと思っております。
 各担当部局も来ていますので、もし今日の御意見の中で補足があれば担当部局から発言させたいと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。
 担当部局の方は、いかがでしょうか。
 では、どうぞ。
○山田雇用環境・均等局総務課長 雇用環境・均等局でございます。
 今回、これまで御議論いただいたものについて、特に象徴的には「2つの向上」と、それから「2つのギャップの解消」ということで提起をされておりまして、私ども雇用環境・均等局はある意味、全ての施策はこれらに関連してくるところかと思っています。こういったものに対応するために、今度のこの通常国会での制度改正もいろいろ計画をしておりますし、また、現在やっている事業についても様々留意すべき事項、特に柔軟で多様な働き方についていろいろ留意すべき点など、大変今日御議論がございましたので、そういったところもいろいろ念頭に置きながら進めていきたいと考えております。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたかございますか。
 では、どうぞ。
○黒澤職業安定局総務課長 職業安定局でございます。本日も、大変有意義な御議論をいただきましてありがとうございました。
 その中で、逢見委員のほうからハローワークの職員の問題点の御指摘をいただきました。私どもも常勤職員を増やしていくという取組を進めておりまして、そういった中で特にこれまで非常勤で御活躍いただいていた方々を常勤化していくというような取組も進めつつございますので、今後ともしっかりと進めていきたいと思います。ありがとうございます。○守島部会長 ありがとうございます。
 では、どうぞ。
○横田人材開発統括官付政策企画室長 人材開発統括官でございます。非常に広い視野から御指摘いただきましてありがとうございます。
 私たちのほうでも力を入れて進めています団体検定であるとか、キャリアコンサルティングについても御指摘いただいたところでございます。本日いただいた御指摘も念頭に置きまして、我々のほうでまた進めさせていただければと思っております。ありがとうございました。
○守島部会長 ありがとうございます。
 では、どうぞ。
○佐々木労働基準局総務課長 労働基準局でございます。御意見を頂戴いたしましてありがとうございました。
 御意見の中で、働き方改革についての御意見があったかと思います。こちらにつきましては現在、働き方改革法施行から5年経過したということもありますので、労働基準法制研究会のほうで検討し、報告書をまとめ、現在労働条件分科会で議論を進めさせていただいております。今日いただいた御意見なども踏まえながら、制度について議論を深めていきたいと思っております。
 また、解雇についてもお話がございました。こちらは規制改革実施計画に基づいて、まずは調査ということで進めているところでございますので、こちらも規制改革実施計画を踏まえて対応していきたいと思っております。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたかございますか。
 では、田中審議官お願いします。
○田中厚生労働審議官 厚労省の田中です。大変幅広い御議論をいただいております。ありがとうございます。
 守島先生から、何のための報告書かというところの大きな提起をいただきました。もちろん労働力の不足というか、様々な部分で不足が叫ばれていますし、不足だけではないのですけれども、大きなミスマッチの発生も出てきています。その原因が、従来の労働行政の中での使用者対企業という部分だけではなかなか解決しない様々な要因が絡み合っているところがありまして、もう少し広い視野からその労働行政の中核となる企業と労働者の関係をどう考えていくかという問題を中心に据えながら、もう少し視野を広げてみたいと思っております。
 例えば、身近なところでは日本の労働市場というのが企業の中に丸め込まれているという状況の中から、徐々にですけれども、企業の外にいわゆる外部労働市場という機能が少しずつ形成されていっておりますし、それを政府としてどのように促進していくか。その物的なプラットフォームでありますとか、そこで動く、機能する様々な人材、キャリアコンサルトも含めて、それから組織、人材ビジネスなども含めて、どのように日本としての労働市場を形成していくかという課題もあります。
 さらには、今回の報告書案でなかなか難しいところですけれども、日本社会の問題、地方と都市の問題、それから恐らくもう少し追求していくと、国の外との関係性というものも無視できないということがあります。そういったものをひっくるめた上で、全体に今、大きな政策課題になっております賃金の問題、それから労働力の在り方、使い方という全般の問題をしっかりと議論しつつ、どのようにしてこの貴重な人材という性格が出てきた日本の労働力を既存の労働政策の手法も大切にしながら、しっかり守りながら、その能力をその方、一人一人の多様なニーズに合わせて効果的に引き出して、安心してできるだけ高いレベルに挑戦していただけるようなスキームはどうしたらいいのかということを考えていくきっかけにしたいと考えております。
 いろんなメッセージをいろいろな方々に届けたいという思いがあるので、誰のためにと言われると、少しよく考えないといけないと思います。
 ただ、非常に強い方向性とかメッセージとかというものを出していくべき時期なのかなということは思っておりますので、ぜひ先生方の示唆を引き続きいただきながら、よい報告書にまとめてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
○守島部会長 ありがとうございました。
 ほかにどなたか御発言になりたい方はいらっしゃいますか。
 では、石原委員どうぞ。
○石原委員 何度もすみません。石原でございます。
 この人手不足の問題を考えるに当たり、最初にこちらで20分ほど時間をいただいて発表する機会にも言わせていただいたことなのですけれども、やはりこの後、人の要らない会社になっていくということの方向性についても考える必要があるのかなと思っておりまして、機械化ですとか自動化というものを推し進めていく。生成AIなどの進展が著しいですので、昨年の4月に私が発言させていただいたより、たった11か月の間でも使える生成AIという進化のレベルは物すごいものがあるわけです。
 これは大した設備投資をしなくても結構な自動化、機械化が企業の中でできるということもございますので、そこについても実は言及をいただくのがいいかと思っておりまして、人手不足で困っている、困っているというだけではなくて、人が要らない会社になっていくという方向性も検討すべきなんだというようなこともぜひどこかに入るといいなと思っております。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたかいらっしゃいませんか。
 ありがとうございます。あと20分くらいあるのですけれども、終了時刻が近づいてまいりましたので、この辺りで今回の議論は終了させていただきたいと思います。活発な御議論を皆様方ありがとうございました。
 最後に、事務局から次回の日程についてお願いいたします。
○藤木政策統括官付労働経済調査官 次回の日程についてですが、調整の上、追って御連絡いたします。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、以上で本日の労働政策基本部会は終了といたしたいと思います。御多忙の中、お集まりいただき、どうもありがとうございました。