第210回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

日時

令和7年1月23日(金)10:00~12:00

場所

会場
厚生労働省 職業安定局第1会議室及びオンライン
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階公園側)
傍聴会場
厚生労働省 職業安定局第2会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階公園側)

議事

議事内容
2025-1-23 労働政策審議会職業安定分科会(第210回)
 
○山川分科会長 おはようございます。それでは、定刻になりましたので、ただいまから、第210回「労働政策審議会職業安定分科会」を開催いたします。
 皆様方、大変お忙しい中、御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の委員の御出欠ですが、労働者代表の永井委員、使用者代表の砂子田委員、馬渡委員が御欠席と伺っております。
 カメラ撮影がありましたら、ここまでとさせていただきます。
 本日の分科会は、Zoomによるオンラインと会場での開催となります。オンラインでの発言方法につきましては、事前に事務局より送付しております「職業安定分科会の開催参加方法について」に沿って御操作をお願いいたします。
 では、議題に移ります。
 最初の議題は「労働保険の保険料の徴収等に関する法律第十二条第五項の規定に基づき失業等給付費等充当徴収保険率を変更する告示案要綱について(諮問)」及び「労働保険の保険料の徴収等に関する法律第十二条第八項の規定に基づき育児休業給付費充当徴収保険率を変更する告示案要綱について(諮問)」でございます。
 では、事務局から説明をお願いします。
○岡雇用保険課長 雇用保険課でございます。よろしくお願いいたします。
 資料1-1と1-2が、失業等給付の保険料率の変更に関する資料になります。
 資料の1-1は、諮問文と告示案の要綱になります.
1-2が概要になります。1-2に沿って御説明申し上げます。
 表紙をめくっていただきまして、告示案の概要です。
 まず、1のところで「制定の趣旨」ということで、制度の概要を記載してございます。
 雇用保険の保険料率については、労働保険の保険料の徴収等に関する法律によりまして、次の①から③までの率を合計して得た1,000分の16.5とされてございます。
 1つ目が、失業等給付の保険料率が1,000分の8。
 2つ目が、育児休業給付の保険料率が1,000分の5。現在は1,000分の4でございますけれども、昨年の法改正によりまして、この4月から1,000分の5となります。
 3つ目が、二事業の保険料率が1,000分の3.5でございます。合計して1,000分の16.5ということになります。
 2つ目の○でございますけれども、これらの保険料率については、雇用保険財政の状況を踏まえて、会計年度ごとに変更をするということでございます。
 いわゆる弾力条項によって、条件を満たしますと、保険料率を変更することができることになります。
 2のところですけれども、告示案の概要です。
 令和5年度の失業等給付の額を踏まえた変更として、令和7年度の失業等給付の保険料率については、1,000分の1引き下げて1,000分の7とするということでございます。
 4のところでございますけれども、この4月1日から適用ということになります。
 それから、資料2-1と2-2が、育児休業給付の保険料率でして、2-1は諮問文と要綱です。
 2-2のほうが概要ですので、こちらで御説明を申し上げます。
 表紙をめくっていただきまして、1のところは、先ほどと同じですので、割愛させていただきます。
 2のところですけれども「告示案の概要」といたしまして令和5年度の育児休業給付の保険料率を1,000分の1引下げ1,000分の4とするということでございます。
 なお、先ほども申し上げましたように、昨年の法改正によりまして、この4月から現行の1,000分の4から1,000分の5に保険料率が上がった上で、この弾力条項で1,000分の1引き下げて1,000分の4とするということですので、保険料率は、現行の1,000分の4と実際には変わらないということになります。
 こちらについても、4月1日から適用ということになります。
 それで、こういった案になった理由について、参考資料1に沿って御説明させていただきます。
 参考資料で、少し飛びますが7ページを御覧いただきたいと思います。
 先ほど御説明申し上げました弾力条項について、失業等給付、二事業、育児休業給付、それぞれで一定の基準を満たしますと、保険料率の変更が可能になるということになります。
 まず、失業等給付につきましては、弾力倍率が2倍を超えますと、最大で1,000分の4引き下げることが可能となります。
 それで、令和5年度の決算額を、この弾力条項に当てはめますと、弾力倍率は2.23ということで2倍を超えますので、保険料率の引下げが可能な状況です。
 それから、二事業につきましては、1.5を超えますと、保険料率を引き下げることが可能になりますが、5年度決算では0.35ということで、こちらについては、変更はないということになります。
 それから、育児休業給付につきましては、1.2を超えますと、1,000分の4とすることが可能となります。
 こちらは、令和5年度決算額で計算いたしますと、1.54ということで、1.2を超えますので、保険料率を1,000分の4とすることが可能ということになります。
 次のページが、先ほどの概要にもございましたが、現在、令和6年度は保険料率全体が1.55で、令和7年度は法改正によって1.65ということになるわけですけれども、先ほど御説明したように失業等給付や育児休業給付の弾力条項の発動によりまして、来年度は1.45ということになります。
  資料は少し飛びますが、失業等給付につきましては、10ページ以降に雇用保険部会で御議論いただいたときのシミュレーションの資料を載せています。
 それで、後のページで出てまいりますけれども、2つの試算に基づいて御議論いただきました。
 1つは、過去10年間の受給者実人員の平均をベースとした試算①。
 もう一つは、令和5年度から受給者実人員が増えてきたので、令和6年度の上半期の実績も踏まえた試算ということで、試算②、これらに基づいて御議論いただきました。
 具体的なシミュレーションは、次の11ページ以降になります。
 それぞれ保険料率を0.8%から0.4%まで維持あるいは変更した場合の、それぞれの保険財政の試算になります。
 まず、0.8%を維持した場合ですけれども、試算①、試算②ともに弾力倍率、下のほうの赤字のところですけれども、2倍、3倍、4倍と非常に安定的に推移するという見込みです。
 同じく次の12ページの保険料率を0.1%引き下げて0.7%にした場合、これも、試算①、試算②、それぞれ2倍から3倍、4倍近くに増えているということで、安定的な運営が可能ということになります。
 一方で、次の13ページですけれども、こちらは、0.2%引き下げて0.6%にした場合です。
 この場合、試算①、試算②、いずれも弾力倍率が2倍を超える試算とはなっています。
 ただし、この試算につきましては、この4月から法改正によりまして、給付制限が緩和されます。それによる行動変容により、受給者が増えるかもしれませんが、それについては、推計が困難ということで、この試算には入ってございません。
 したがいまして、特に試算②の場合ですと、令和8年度、令和9年度は、2倍を辛うじて超えているところですけれども、行動変容によって2倍を切ってくる可能性もあります。
 そういったことも踏まえまして、令和7年度につきましては、0.1%
引き下げて0.7%にするという結論をいただいたところでございます。
 それから、16ページ、15ページに育児休業給付の今後の見込みについても試算をしてございます。
 17ページに試算がございますけれども、令和7年度、令和8年度、1.2を超える状況で推移するということになっています。
 なお、法改正前の推計では、令和8年度につきましても1.2を割る試算になっておりましたが、その後の出生率の低下によりまして、育児休業給付も当初の推計よりも伸びないということで、令和8年度についても1.2を超える状況に試算上なりまして、令和7年度の保険料率につきましては、0.4%にするということになりました。
 なお、この失業等給付、育児休業給付の保険料率の変更の告示案につきましては、去る16日の雇用保険部会で要綱を諮問させていただきまして、それに対して、おおむね妥当との答申をいただいたところでございます。
 その際、雇用保険部会の委員の皆様からは、様々な御意見をいただきました。令和8年度以降の保険料率の検討に当たりましては、受給者実人員や被保険者の行動変容等の状況を踏まえた議論を行い、二事業も含めた雇用保険全体の財政運営健全化を図っていく必要があること。
 それから、その議論を始める前でも被保険者に顕著な行動変容が見られた場合には、随時、部会に報告すること。
 それから、雇用保険制度の趣旨を十分認識した上で、毎年の財政状況の見通しなども含めて、丁寧に議論していくこと。
 それから、育児休業給付の保険料率につきましては、今回弾力倍率で1,000分の5から1,000分の4にするということですけれども、実際には、現在の1,000分の4と変わらないところです。一見保険料率が下がるように見えますので、令和6年度と変わらないことを、しっかり周知をすること。そういった御意見をいただいたところでございます。
 御意見を踏まえまして、今後の議論や運営に当たっていきたいと思ってございます。
 私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見等がございましたら挙手していただくか、または、Zoomの方ですと「手を挙げる」ボタンをクリックしていただいて、こちらで指名をさせていただいた後に、お名前をおっしゃってから御発言をお願いいたします。
 では、御質問、御意見等ございますでしょうか。
 石橋委員、どうぞ。
○石橋委員 ありがとうございます。石橋です。
 御説明ありがとうございました。
 私から要望ということで、御発言をさせていただきます。
 先般の雇用保険部会において意見があったとおり、保険料率の検討に当たりましては、将来にわたって雇用保険財政を安定的に運営できるよう、丁寧な議論が必要だと思います。
 次年度以降も雇用保険部会において、法改正の影響の分析や今後の財政の推計などを踏まえた議論を十分行えるよう、本分科会においても重ねてお願い致します。
 以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 それでは、ほかに御質問、御意見等ございますか。
 新田委員、どうぞ。
○新田委員 経団連の新田でございます。御説明ありがとうございました。
 今し方の御説明を聞く限り、令和7年度の失業等給付における保険料率は、今、原則の1,000分の8を弾力条項を使って1,000分の7に引き下げるという内容と承知しました。その内容に異論はございません。
 ただし、これは全ての企業、特に実務面への影響がありますので、早めの周知徹底をぜひお願いしたいと思います。
 一方で、令和7年度の育児休業給付の保険料率については、今回の法改正によって、本則自体を1,000分の5に引き上げた上で、こちらも弾力的な調整によって、現行と同じ1,000分の4に引き下げる内容と承知をしております。
 結果として、実務から言えば、育児休業給付の保険料率は現状と変わらないということでありますので、誤解が生じないように、こちらの丁寧な周知もぜひお願いしたいと思います。
 私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 ほかにございますでしょうか。
 冨髙委員、どうぞ。
○冨髙委員 ありがとうございます。
 今回の議題に直接的に関係するものではございませんが、今後の雇用保険料率に関わることですので、コロナ禍において積立金から雇用保険二事業へ貸出した金額の一部の返還免除の件について一言申し上げたいと思います。
 12月の雇用保険部会でも申し上げましたが、雇用保険二事業の重要性は十分認識しておりますが、一方で、失業等給付も労働者にとっては非常に重要な、言わば雇用保険制度の根幹だと我々としては考えております。貸し出しのうち、1兆円を返還免除することについては、免除することの責任の重みを十分考えた上で、今後の制度運営に当たっていただきたいと考えています。
 私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 ほかにございますでしょうか。
 ただいま、周知に関して、それから今後の検討ないし運営の方針に関する御要望、御意見をいただいたところでございます。
 事務局から何かございますか。
○岡雇用保険課長 御意見ありがとうございます。
 いただいた御意見を踏まえまして、来年度以降、保険料率を検討するに当たりましては、十分な、また丁寧な議論ができますように、事務局といたしましても、資料の準備をはじめ、しっかり対応していきたいと思います。
 それから、制度の周知につきましても、早めの周知、特に育児休業給付の保険料率については、誤解を生じないように、しっかり周知をしていきたいと思います。
 また、二事業から積立金への返還の免除の重みにつきまして、しっかりと認識した上で、今後の制度運営を行ってまいりたいと思います。
 引き続き、よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 ただいまの点につきまして、それも含めまして、ほかに御質問、御意見等ございますか。
 よろしいでしょうか。それでは、いただいた御意見、御要望については十分踏まえていただくことといたしまして、内容そのものについては、特段御異議がなかったように思います。また、雇用保険部会でもおおむね妥当という報告をいただいているところでございます。
 そこで、特に御異議ございませんでしたら、まず、議題1「労働保険の保険料の徴収等に関する法律第十二条第五項の規定に基づき失業等給付費等充当徴収保険率を変更する告示案要綱について(諮問)」につきましては、当分科会は厚生労働省案をおおむね妥当と認めて、その旨を私から労働政策審議会会長宛てに御報告を申し上げたいと考えておりますが、そういうことでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○山川分科会長 では、報告文案の表示をお願いします。
(報告文案の表示)
○山川分科会長 こちらは、失業等給付費等充当徴収保険率に関するものですが、おおむね妥当ということで、この表示された報告文案によって、労働政策審議会会長宛てに報告することで御異議ございませんでしょうか。
(首肯する委員あり)
○山川分科会長 御異議ございませんので、このように報告をさせていただきます。
 続きまして、議題の2「労働保険の保険料の徴収等に関する法律第十二条第八項の規定に基づき育児休業給付費充当徴収保険率を変更する告示案要綱について(諮問)」についてでございますが、こちらも内容自体については異議がなかったと承知しておりますので、同様に、当分科会としては、厚生労働省案をおおむね妥当と認めて、その旨を私から御報告することにいたしたいと思いますが、こういうことでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○山川分科会長 それでは、報告文案の表示をお願いします。
(報告文案の表示)
○山川分科会長 こちらは、育児休業給付費充当徴収保険料率の件でありますが、おおむね妥当という報告文案になっております。この報告文案によって、労働政策審議会会長宛てに報告するということで御異議ございませんでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○山川分科会長 御異議ございませんでしたので、このように報告をさせていただきます。
 本議題につきましては以上となります。
 次に、議題3「同一労働同一賃金部会の開催について(報告)」について、こちらは御報告になります。
 事務局から説明をお願いします。
○中嶋需給調整事業課長 需給調整事業課長でございます。
 私から資料の3「同一労働同一賃金部会の開催について」を説明申し上げます。
 労働者派遣法及びパートタイム・有期雇用労働法については、平成30年の働き方改革関連法により、同一労働同一賃金に関する規定が整備され、令和7年4月で施行後5年を迎えます。
 このため、同法附則の見直し検討規定に基づき、施行状況について検討を行う必要がございます。
 また、この間、非正規雇用労働者に関しましては、各種政府決定文書等におきまして、正社員転換等の支援にさらに取り組んでいくこと等が求められております。
 こうした状況を受けまして、同一労働同一賃金の施行状況などを踏まえまして、必要な制度の見直しについて検討を行うため、当分科会及び雇用環境・均等分科会のもとに置かれております、同一労働同一賃金部会を開催するものでございます。
 同部会において検討いただく事項といたしましては、働き方改革関連法による改正後のパートタイム・有期雇用労働法及び労働者派遣法の規定についてでありまして、すなわち、均等・均衡待遇規定、説明義務、行政ADRや関係ガイドラインなどを予定しております。
 進め方・スケジュールの案は、2ページ目となります。
 2月に議論を開始した後に、有識者や労使団体などからヒアリングをさせていただきまして、その後、パートタイム・有期雇用労働法、労働者派遣法、関係ガイドラインなどにつきまして、各論の議論を行うものであります。
 申しましたように、平成30年の制度創設時と同様に、同一労働同一賃金部会において制度を一体的に議論していただくこととなりますが、一方で、派遣労働者の同一労働同一賃金につきましては、これまで労働力需給制度部会において施行状況等をフォローいただいてきたところでございます。
 このことも踏まえまして、同一労働同一賃金部会で、各論の議論がされた段階、また、取りまとめに向けた議論が始まった段階におきまして、同部会における議論の内容などについて、労働力需給制度部会に報告し、コメントや意見をいただくことといたします。
 これによりまして、同一労働同一賃金部会における議論がよりよいものとなるよう連携しつつ進めていくものでありまして、この旨を昨日の労働力需給制度部会でも報告したところでございます。
 派遣労働者の処遇の向上を進めていく上で、大変重要な施策の議論となりますので、施行状況を整理して議論に供するなど、事務局としても、しっかりと準備を行ってまいります。
 私からは以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 それでは、本件につきまして、御質問、御意見がありましたら、先ほどと同様の方法で挙手をしていただいて、御発言をお願いいたします。御質問、御意見等ございますでしょうか。
 山田委員、どうぞ。
○山田委員 御指名ありがとうございます。山田です。
 同一労働同一賃金の施行後、各職場労使において処遇改善などの対応を進めてまいりましたが、依然として、雇用形態間格差は十分に解消されておらず、さらなる格差是正に向けて、施策の検証と必要な見直しを行うことは極めて重要だと考えております。
 つきましては、同一労働同一賃金部会における議論の状況など、本分科会にも適宜共有をいただくようお願いしたいと思います。
 以上です。よろしくお願いします。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 ほかに御質問、御意見等ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。ただいま、分科会への検討状況の報告等について御意見をいただきました。
 この点は、事務局から何かございますか。
○中嶋需給調整事業課長 承知いたしました。御指摘を踏まえまして、部会のほうで施行状況を踏まえた議論をしっかりと行いながら、当分科会におきましても報告ですとか、あるいは決定すべき事項については、お諮りをする必要がございますので、そういったプロセス面も含めまして、遺漏のないよう進めてまいります。
○山川分科会長 山田委員、何かございますか。
○山田委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 それでは、ほかに御質問、御意見等ございますか。
 ございませんでしたら、本議題につきましては以上になります。
 本日予定されておりました議題は、以上で終了いたしましたけれども、この際、委員の皆様から何か御発言等ございますか。
 よろしいでしょうか。それでは、本日の分科会は、これで終了いたします。
 皆様、大変お疲れさまでした。終了いたします。