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第7回「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」議事録
日時
令和7年2月5日(水)15時00分~17時00分
場所
東京都千代田区霞が関3丁目2番5号
こども家庭庁 共用大会議室(14階)
議題
(1)これまでの議論を踏まえた検討の方向性について
(2)「出産なび」について
(2)「出産なび」について
議事
- 議事内容
- ○柴田保険局保険課長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第7回「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」を開催いたします。
構成員の皆様におかれては、御多忙の折、御参加いただきありがとうございます。
本日の会議は、傍聴希望者向けにユーチューブにてライブ配信を行っております。アーカイブ配信はいたしませんので、あらかじめ御了承くださいますよう、よろしくお願いいたします。
まず、構成員の出欠状況について御報告いたします。
本日は、前田構成員より御欠席の連絡をいただいております。また、末松構成員より途中からオンラインで御出席なさるとの御連絡をいただいております。
また、御都合により、今村構成員、末松構成員、田倉構成員、寺尾構成員、李構成員はオンラインでの御参加をいただいております。
なお、本日は、参考人として、公益社団法人日本産婦人科医会会長の石渡様、同常務理事の宮﨑様、公益社団法人日本小児科医会会長の伊藤様、一般社団法人日本助産学会理事長の片岡様、一般社団法人全国妊娠SOSネットワーク代表理事の佐藤様、以上5名の方々に御出席いただいております。
以上の参考人の方々におかれましては、議論の中で座長から発言を促された際に、指名を受けて御発言いただくようお願いいたします。
なお、構成員・参考人の皆様におかれましては、御発言ごとにお名前をおっしゃっていただくようお願いいたします。
それでは、会議冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、カメラの方は御退室をお願いいたします。
(カメラ退室)
以降の議事運営につきましては、田邊座長にお願いいたします。
○田邊座長 それでは、議事に入ってまいりたいと存じます。
まずは、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○柴田課長補佐 事務局でございます。
お手元の資料の確認をさせていただきます。
傍聴の方は、厚生労働省のホームページから資料を御覧ください。
本日の資料は、
資料1 これまでの議論を踏まえた検討の方向性について
資料2 「出産なび」について
参考資料
以上でございます。
過不足、落丁等がございましたら、事務局にお申しつけください。
○田邊座長 それでは、早速ですけれども、議事に入ってまいりたいと思います。
まず、議題(1)「これまでの議論を踏まえた検討の方向性について」です。
資料1及び参考資料につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○柴田課長補佐 保険局保険課でございます。
資料1を御覧ください。「これまでの議論を踏まえた検討の方向性について」でございます。
御説明に入る前に、前回の検討会の中で、今後の議論の進め方としまして、4つのテーマ、「周産期医療提供体制の確保について」、「出産に係る妊婦の経済的負担について」、「希望に応じた出産のための環境整備について」、そして、「妊娠期、産前・産後に関する支援策等について」、この4つのテーマについて議論を深めていく方針について御了承いただいたところでございます。
今回、それぞれのテーマについて、これまでの主な御意見、そして、今後の検討及び内容の方向性について、事務局において資料を御用意しております。
まず、2ページ目が、先ほど申し上げました4つのテーマのうち、1つ目と2つ目、これを「出産に関する支援等について」としてまとめております。
3ページを御覧ください。
出産に関する支援等について、今後の検討の方向性に関わる主な御意見として、少し読み上げさせていただきます。
各論の議論に先立ち、我が国の出産の在り方についてビジョンを示すべき。また、保険適用を含む負担軽減策を議論する目的や意義について整理すべき。出産・子育てに伴う経済的負担が大きく、負担が軽減されることを期待するといった御意見や、保険適用を含む負担軽減策とあわせて、我が国の周産期医療の高い安全性を維持していくこと、地域における周産期医療体制を確保していくことが重要であるといった御意見をいただいています。
また、分娩の経過はそれぞれの妊婦ごとに様々であり、個々の分娩によって処置内容や所要時間が異なるといった御意見、妊婦の多様なニーズに対応するために様々なサービスが提供されているといった御意見や、出産費用の背景分析を行い、給付と負担のバランスを踏まえて支援の在り方を議論すべきといった御意見をいただいてございます。
これらを踏まえまして、今後の検討の対応の方向性として、下の囲みのように整理をしております。
まず、本検討会における議論については、出産育児一時金の支給額の引き上げ後も、出産費用が年々上昇している現状を踏まえ、出産に係る平均的な標準費用を全て賄えるようにするとの基本的な考え方のもと、具体的な支援策の在り方を検討していくという位置付けのものでございます。
その際、安全で質の高い周産期医療提供体制の確保を進める中で、保険適用を含む負担軽減策が地域の周産期医療の確保に影響を与えないようにすることは検討の前提となるものであるとしております。
検討に当たっては、分娩取扱施設における医療提供の実態や、費用構造を踏まえた議論を行っていく必要があると考えております。
また、分娩に伴う診療・ケアやサービスの中には、妊婦の希望にかかわらず提供される性質のものと、妊婦が希望して選択するといった性質のものがあると考えられ、それぞれに対する支援の在り方を検討していく必要性があるのではないかと考えております。
なお、中長期的な視点に立った今後の我が国の周産期医療提供体制の在り方については、他の診療科とも関わる地域の医療提供体制全体のバランスの中で捉える必要があるものであって、今後、地域医療構想、あるいは医療計画に関する検討の場の中で、本検討会の意見も踏まえ、検討していくこととしてはどうかと考えております。
このあと、4ページから15ページまで、議論の参考としまして、周産期医療提供体制の確保に関連した資料をお付けしております。このあとの議論の中で、必要に応じて御参照いただければと思っております。
続いて、少し飛びますが16ページを御覧いただければと思います。
冒頭に申し上げました4つのテーマのうちの3つ目、「希望に応じた出産を行うための環境整備について」でございます。
17ページを御覧ください。
今後の検討の方向性に関わる主な御意見としまして、まず、出産に係る経済的負担の軽減と同時に、出産費用の予見可能性を高めるべきといった御意見がございました。
また、出産に対する妊婦のニーズは様々であって、妊婦が十分な情報に基づいて御自身の出産に関する自己決定を行えるようにすることが重要であるという御意見もいただいております。
また、「出産なび」について、一定の評価をいただいており、さらなる掲載情報・機能の拡充を求める御意見をいただいております。
こうしたことを踏まえまして、今後の「検討・対応の方向性」として、下の囲みでございます。
まず、妊婦の方々が費用とサービスの関係を踏まえて出産施設を選択できる環境を整備する。このために、「出産なび」を通じた見える化を引き続き行ってまいりたいと考えております。
同時に、希望に応じた選択ということでございますが、正しい理解に基づく選択を行えるように、妊娠中やその前の段階から情報発信、啓発を行っていくことも重要であると考えています。
また、今後の議論の中で、特に個別のトピックとしまして、妊婦の方々の希望に応じて、助産所などでの出産や産後ケアを行えるような環境の整備、これについて、次回以降、引き続き議論することとしてはどうかと考えております。
また、無痛分娩など、出産に関する個別のニーズについても、次回以降、取り上げていきたいと考えております。
以降につきまして、こども家庭庁より説明をお願いいたします。
○石丸成育局母子保健課推進官 こども家庭庁成育局母子保健課でございます。
18ページ以降、私から説明させていただければと思います。
「妊娠期・産前産後に関する支援等について」ということで、1枚おめくりいただきまして、19ページに、「これまでの主な御意見」と「検討・対応の方向性」をまとめさせていただいてございます。
まず、主な御意見でございますけれども、妊産婦を孤立させず、不安に寄り添う伴走型の支援体制が重要であるとの意見があった。それから、妊婦健診について、自治体ごとの公費補助額が異なることについての指摘や、費用の予見可能性を高め、経済的負担の軽減を図るべきとの意見がございました。
それから、産後ケア事業について、費用負担や認知度不足が利用の妨げとならないようにするべきであるとの御意見がございました。
また、必要とするときに利用できるよう、受け皿を整備するとともに、利用に係る手続きを簡略化すべきとの御意見をいただきました。
こうした御意見を踏まえて、「検討・対応の方向性」を示させていただいてございます。
まず、妊娠期から出産・子育てまで一貫して身近で相談に応じ、様々なニーズに即した必要な支援につなぐ伴走型の相談支援を充実するため、令和7年4月から妊婦等包括相談支援事業と妊婦支援給付金を制度化をしまして、相談支援と経済的支援を効果的に組み合わせて実施することで、妊婦等の身体的、精神的ケア及び経済的支援を実施するということとしてございます。
2つ目ですけれども、妊婦健診に必要な費用については、前にも御説明しましたけれども、地方財政措置を行っているところでございまして、公費負担の更なる推進に向けた取組を引き続き進めていくとともに、自治体の公費負担の状況等の見える化などの対応策を検討していきたいと考えてございます。
産後ケア事業についてですけれども、令和5年度から産後ケアを必要とする全ての産婦において、利用料減免支援を導入しておりまして、希望する全ての方が利用しやすくなるよう、環境整備に取り組むとともに、自治体において事業の周知等に活用いただくための資材を国において今年度作成する予定としてございます。
4つ目ですけれども、また、産後ケア事業の受け皿の拡大ということで、本事業を「地域子ども・子育て支援事業」に位置づける法律改正を行いまして、国においても、提供体制整備等に係る基本方針を定めるとともに、各都道府県において、「量の見込み」と「提供体制の確保の内容」等を定めた計画を策定していただくことにより、計画的な提供体制の整備を進めていただくということとしてございます。加えて、令和6年度補正予算においても、施設整備等に係る補助金を設けてございまして、受け皿拡大のための取組を進めてまいりたいと考えてございます。
最後ですけれども、さらに、令和6年10月に改定をいたしました産後ケア事業のガイドラインにおいても、事業の利用手続き等が利用者の負担とならないよう、電話やオンライン等での受付を行う等の配慮をするように盛り込んだところでございまして、ガイドラインの改定について自治体に周知を行っているところでございます。
20ページ以降、先ほどの、この方向性等に関する参考資料を付けさせていただいてございます。事業の説明と併せて、予算の説明の資料を何枚か付けさせていただいています。27ページまでその資料になります。
この資料全体としてここまででございますので、事務局からの説明は以上でございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、ただいま説明のございました資料1及び参考資料につきまして、御意見、御質問等ございましたら、挙手にてお願い申し上げます。オンラインで御参加の方は、「手を挙げる」というツールを使ってお知らせいただければ幸いです。
では、佐野構成員、よろしくお願いします。
○佐野構成員 ありがとうございます。健康保険組合連合会の佐野でございます。
私からは、資料の3ページについてコメントしたいと思います。
ここで書いていただいている「検討・対応の方向性」については、異論はございません。ぜひこの方向で検討を進めていただきたいと考えております。
その上で、3点コメントさせていただきます。これまで申し上げてきたことの繰り返しになる部分も多々ございますが、御容赦いただければと思います。
1点目は、この「検討・対応の方向性」1番目のポツに「出産に係る平均的な標準費用を全て賄えるようにするとの基本的な考え方のもと、具体的な支援策の在り方を検討していく」とございますが、検討に当たっては、給付と負担のバランスを踏まえた議論が必要だと考えております。妊婦の方の経済的負担の軽減を目指しつつ、負担する現役世代の納得が得られるようにすること。さらには、当事者である妊婦の方もまさに現役世代でございますので、妊婦も含めた現役世代の負担軽減に資するものにする必要があると思っています。
当然ながら妊婦の方の経済的負担の軽減は重要ですが、自己負担を減らすとなれば、その代わりとなる財源を見つける必要がございます。実際には、今の仕組みの中でいいますと、公費負担もしくは保険料負担を増やすしかなく、何度か申し上げていますように、公費で負担するといっても税金ですし、国民が負担をしています。また、保険料もまさに加入者の負担ですので、公費、保険料、自己負担のバランスをどう取っていくのかということについては、しっかりと考えていただきたいと思います。
2点目は、「方向性」の4つ目のポツに、「分娩に伴う診療・ケアサービスには、妊婦の希望にかかわらず提供されるものと、妊婦が希望して選択するものがある」という記載がございますが、これはまさに保険適用の範囲の議論に係る重要な観点だと理解しております。出産の保険適用を検討するに当たっては、出産に係る内容の標準化を目指すことが重要であって、標準化をするに当たっては、出産に係る内容の見える化が必須であると考えております。
3点目でございますが、最後のポツの部分でございます。周産期医療提供体制の確保について、出生数が減少し続ける中で、分娩施設の体制維持確保、また、産科医の先生の確保、地域偏在の解消等、周産期医療提供体制の整備は大変重要であるということはもちろん理解をしております。
しかし、本件は、資料にもございますけれども、医療提供体制全体の問題、ひいては国のインフラ整備そのものに係る問題であって、社会保険料財源を使って事業主、また、被保険者が負担すべきものとは思いません。これについては、出産費用の保険適用と切り離して、別途解決策を考えるべきであって、今後、地域医療構想や医療計画に関する検討の場において、しっかりと検討いただきたいと考えております。
以上でございます。
○田邊座長 ありがとうございました。ほかはいかがでございましょう。
松野構成員、よろしくお願いします。
○松野構成員 連合の松野です。御説明ありがとうございました。
今後の「検討・対応の方向性」については、保険適用に向けて議論を進めていくものとして異論はございません。その上で3点申し上げます。
まず、出産に関する支援等について、3ページの「方向性」の4つ目に、「分娩に伴う診療・ケアやサービスには、妊婦の希望にかかわらず提供されるものと、妊婦が希望して選択するものがある」とした上で、「それぞれに対する支援の在り方を検討する必要がある」とあります。また、17ページの「方向性」、3つ目と4つ目に、「助産所での出産や、あるいは無痛分娩などのニーズへの対応について議論することとしてはどうか」とあります。
通常、病気でも治療方法には種類があり、お医者さんと相談しながら患者が選択しているかと思います。出産においても、妊婦の希望を踏まえて選択できる環境を整備することは大変重要だと考えております。その点に加えて、保険適用によって産科医療の標準化と質の向上につながるという観点からも、助産所等における出産や無痛分娩をはじめ、WHOが推奨しているような痛みの緩和を目的とした処置も、保険適用とする方向で検討していただきたいと考えております。
また、3ページの「方向性」1つ目に、「出産に係る平均的な標準費用を全て賄えるようにする」とありますが、標準とは何なのか。現在の平均出産費用は様々な費用が含まれておりますから、3つ目にありますとおり、「費用構造を踏まえた議論」が必要と考えます。なお、保険適用によって妊産婦の窓口自己負担が増加することがないよう、負担軽減措置を講じる方向性は賛同いたします。
最後に、被保険者の立場として、給付と負担のバランスに留意することは重要だと考えております。資料には、医療提供体制や妊娠期・産前産後期に対する公費による支援策が記載されております。医療保険財政には限りがございますので、税と保険の性格の違いを踏まえ、それぞれの目的に応じて施策を検討いただきたいと考えております。
その上で、少子化、人口減少が進む中で、未来を担うこどもたちとその家族を社会全体で支える環境整備は不可欠です。どの地域に住んでいても、同じ内容の医療を保険適用で負担なく受けられる。希望すれば産痛緩和ケアも保険適用で受けることができれば、安全・安心にこどもを産み育てることができる環境整備につながるのではないかと考えております。
以上になります。
○田邊座長 ありがとうございました。ほかはいかがでございましょう。
では、濵口構成員、よろしくお願いします。
○濵口構成員 日本医師会の濵口でございます。
出産に関する支援等についての方向性の部分になります。
1つ目のポツでございますけれども、「出産育児一時金の支給額の引き上げ後も、出産費用が年々上昇している現状を踏まえ、出産に係る平均的な標準費用を全て賄えるようにする」。この文言でございますけれども、何度も私、お話をしていると思いますけれども、あたかも出産育児一時金の支給額引き上げに便乗して、出産費用の引き上げが行われているような書きぶりに見えます。
出産育児一時金の引き上げと時期は重複しますが、近年、物価、人件費等が急激に高騰していることに対応しまして、人材流出を防ぐための賃金の引き上げ、あるいは、医療安全を低下させるわけにはいかないわけでございます。そういった意味で、物価高騰によるコスト増に対応せざるを得ないため、出産費用に反映せざるを得ない点は、ぜひ御理解いただきたいと思います。
また、同じく1つ目のポツの文中に「出産に係る平均的な標準費用」とございますけれども、出産費用にどのような費用が含まれているのか。現在、各医療機関でも様々でございますので、標準費用とはどういった費用があるのか、具体的な内容については、この検討会で整理・検討が必要だと考えています。
また、2つ目のポツでございますけれども、妊産婦の費用軽減を図ることは、今回の検討の最大のポイントであります。ただ、そのことばかりに焦点を当て、分娩施設の運営が立ち行かないことがあっては、最終的には妊産婦の選択肢を狭めることになりますし、当然不利益が生じることになりますので、先ほどから言っていますように、負担軽減と分娩施設の両立が確保される、こういった対応をしっかり検討していくべきではないかと考えています。
そのために、3つ目以降ですけれども、この方向性に基づきまして、しっかり議論をしてまいりたいと思います。ただし、周産期医療体制に関しましても、無理やり早期実施を目指して拙速な議論になってはならないと考えているところでございます。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。ほか、いかがでございましょう。
家保構成員、よろしくお願いします。
○家保構成員 衛生部長会の家保です。
3ページの「検討・対応の方向性」、基本的にこの方向で進めるべきだと思います。
ただ、都道府県といたしましては、現状の周産期医療体制の確保を図る上で、補助制度のある総合周産期母子医療センターとか地域周産期母子医療センターについては、今までも一定関与しておりますし、人材もそれなりに確保されています。ただ、それ以外の一般の分娩を行う産科診療所、産科病院については、民間のところが非常に多くなっており、近年、非常に経営が厳しい状況が出ております。
前回もお話ししましたように、この3年ほどで高知県に6か所あった民間の産科診療所が3か所に減っております。残り3か所も、65歳以上の開業されている産科の先生がお二方ということで、もう5年たつと、頑張っていただきたいという思いはありますけれども、なかなか現実的には難しいと考えます。
今まで関与してこなかった産科の部分について、制度の中でどう支援していくのかというのを考えないと、妊産婦への費用負担支援以前の問題として、産む場所がなくなっていくということは大いに考えられます。この状況は東京のような大都市部と地方では大きな違いがありますので、ぜひともその点については差を付けていただくような観点で、何らかの配慮が必要ではないかということをお願いしたいと思います。
都道府県としては、最後のポツにありますように、今後の地域医療構想や医療計画の検討会で、周産期の医療政策を都道府県ごとに、見直していかないといけないということは十分に認識していますが、できるだけ身近なところで出産でき、かつ、安全が確保され、経営も成り立つというような観点がないと、基幹病院だけに集中してしまい、本当に大変なことになりますので、ぜひともそういう点、都道府県も考えますけれども、国としてもぜひとも御検討いただきたいと思います。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
今村構成員、よろしくお願いいたします。
○今村構成員 奈良県立医科大学の今村です。
今回、御説明いただいた内容、特に3ページの支援策の検討方向について、内容については賛成であります。
ただ、前回も申し上げましたけれども、この問題の本質は、出産するこどもの数が減っていることが一番大きな問題で、このまま少子化が進むと、日本は本当に滅亡するかもしれないということに対して、どう出生数を増やす、もしくは低下していくのを防ぐかということが一番大きな問題です。
今、保険適用をどうするかという工夫の議論に入っていますが、保険適用するために、かえって不便なことが起こったり、金銭的な負担は減るけれども手続が非常に煩雑になってしまったり、それこそ、今、家保構成員がおっしゃった産む場所がなくなったりという、本末転倒のことが起きないように、ぜひしていただきたいと思います。全ての方策が、こどもの生まれてくる数が増えるということに沿うよう、ぜひ政策を考えていただきたいと考えております。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。ほか、いかがでございましょう。
新居構成員、よろしくお願いします。
○新居構成員 manmaの新居です。よろしくお願いします。
3ページも含めて、繰り返し質の高い周産期医療体制の確保ということで、これまでも話に出ていると思いますけれども、周産期医療の提供体制という表現について、「周産期の支援体制」ともう少し広く表現してもいいのかなと、全体を聞いていて感じています。「医療」というと、産む直前直後というような感じがしますけれども、そうではなくて、産前にも伴走の支援があって、産後ケアもあってということを構想している。検討会のタイトルも「出産・産後における」と入っているということを踏まえると、もう少し広く支援する体制の確保をどうするかということで表現するのがよいのかなと感じています。
そういうタイトルにすると、例えば、産前産後に誰か困ったときに、いつでも電話できる専門家がいる、そういうような体制も入ってくると思いますし、例えば、私は病院で産みましたが、助産院で産んだ友人もいて、病院で産むと、もちろん忙しいので、健診してエコーの写真を撮って、「何か困っていることはないですか」と聞いて、クイックに終わるよさもあります。一方で、助産院に行くと30分ぐらいマッサージしてもらって、ゆっくり相談に乗ってもらってというような体験をしたという友人の話もあります。
今回も「それぞれ選べるような形が望ましい」と書いてあったと思いますけれども、例えば、助産院で日常的な健診を受けて、産むときは病院で産む。そういうチョイスが今後できてきたら、それもうらやましいなと思うようなところもあったので、地域の中で、医療だけではなくて助産所も含め、個人の助産院や産後に相談に乗ってくれる赤ちゃん訪問の方とか、そういう人たちも含めてどう支援してもらうのか。地域の中で分担して、産む人が一番心地よい体制を選べるようにしていくというような話もできると思うので、そういう表現も御検討いただけばと思います。
○田邊座長 ありがとうございました。
田倉構成員、よろしくお願いいたします。
○田倉構成員 構成員の田倉です。ありがとうございます。
私からは、17ページ目の「希望に応じた出産を行うための環境整備について」、少しコメントさせていただければと思います。
先ほど、松野構成員からお話がございましたけれども、無痛分娩など、引き続き議論することについてですけれども、私としては大変賛同しております。ただ、1点、保険の適用に関わるところで、少し留意すべきことがあるのかなと思って発言させていただきます。
無痛分娩については、先ほど話がございましたとおり、痛みを軽減する医療に関してはWHOでも指針を出しているわけであります。また、妊産婦の関心も高まっているということで、自治体による経済的な援助もあると伺っているところでありますが、一方で、普及率はまだ低い状況にあるということですし、麻酔科医の体制とか、まだまだこれから議論すべきことも多々あると思います。
このような実態を踏まえると、先ほどの4つのテーマにおける保険適用を含む妊婦の負担軽減の議論においても、現状で妊婦が希望して選択がなされているものを背景に、いわゆる標準的に提供される分娩とは何かという議論が必要と思います。特に、無痛分娩の取扱いについては、自治体の経済的な援助の動向などを見極めながら、保険のみならず、もう少し広い観点から議論していくことも重要でしょうし、その他の診療の機能、資源の配備状況も含めて整理をすべきかと思っております。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。ほかはいかがでございましょう。
井本構成員、よろしくお願いします。
○井本構成員 日本看護協会の井本でございます。
前回の検討会で、今後議論を深めると示された4つの論点、そして、今回、「検討・対応の方向性」に示されたことは大変重要であり、今後もしっかり議論していただきたいと思っております。特に「出産に関する支援策等について」の3ポツ目「検討に当たっては、分娩取扱施設における医療提供の実態や費用構造を踏まえた議論を行っていく」ことは重要だと思っていますので、そこから離れることなく議論されることを望みます。
1点質問ですが、先ほど濵口構成員からも、出産に係る平均的な標準費用は本検討会の検討事項であるという御意見があったと思いますが、第1回検討会で、野口班の調査が夏頃されていると伺っておりました。野口班の調査結果は、この検討会で報告されるということでよろしいでしょうか。また、どういう行程なのかお聞きしたいと思いました。
○田邊座長 事務局、いかがでございましょう。
○木下保険局医療課医療技術評価推進室長 事務局でございます。
野口晴子先生が研究代表者として実施いただいております、厚生労働行政推進調査事業費補助金の政策科学総合研究事業であります、「分娩取扱施設における出産に係る費用構造の把握のための調査研究」における令和6年度の分娩取扱施設への調査の結果につきましては、本検討会で御報告いただけるよう、今お願いをして準備を進めていただいているところでございます。
今年度の調査は、昨年9月より開始いたしまして、現在、研究班にて集計・分析を進めていただいているものと承知しております。研究班からは、調査結果がまとまるのは早くて春頃になると伺っておりますが、まとまり次第、本検討会にて御報告いただき、その内容を踏まえて、引き続きこの場で御議論いただきたいと考えております。
事務局からは以上でございます。
○田邊座長 井本構成員、よろしゅうございますか。今のようなスケジュール感だと思いますけれども。
ほか、いかがでございましょう。
では、髙田構成員、よろしくお願いします。
○髙田構成員 1つは、21ページ、22ページ辺りになります、妊婦健診や産後ケアに関する公的補助の適正化のことについてでございます。
1点目は、妊婦健診や産後ケア事業の地域格差についてです。こども家庭庁が報告しておられます「妊婦健康診査の公的負担の状況について」によれば、妊婦健康診査の各都道府県の公費負担額が最も高い石川県と最も低い神奈川県では、1.48倍ほどの格差があると聞いております。また、産後ケア事業についても、自治体により公費負担を受けられるサービスの格差や公費負担額にばらつきがあることは、本検討会でも話題に挙がっていたと存じます。
本会の会員、助産師たちも、広く産後ケアサービスを届けるべく日々努力をしておりますが、同じ施設で産後ケア事業を受けている方々同士のお話とか妊産婦同士のお話の中にも、居住地による違いに不平不満が出てきているのが現状でございます。同じ声は、地域で活動する助産師以外の関係者からもお聞きしているところです。「出産なび」の掲載情報拡充の中には、妊娠時や産後の支援についても実態を把握し、見える化という話もありました。当然その点にも期待しておりますが、同時に、根本的には財源や市町村の垣根を越えた広域的な支援体制の構築が必要と考えますので、今後とも計画的な支援の拡大をお願いできればと思っております。
2点目ですけれども、今後、産後ケア事業の提供体制の整備として、市町村の区域を越えた広域的な調整を都道府県が担う必要というようなことで、都道府県が入っていただくことは非常にありがたいことだと考えております。
ただ、広域化したときの費用負担額が得てして安い市町村の額に合わせるような対応になりがちですので、産後ケア事業が持続可能な事業として行われるために、指針というものがあるとよいのではないかと考えております。日本助産師会も各地域の助産所において、できる限りの産後ケアサービスの充実を図ってまいりますので、今後とも協働して問題解決に当たることができればと考えております。
最後にもう1点、19ページにあります、これまでの御意見の中の伴走型相談支援の重要性ということで、妊婦を孤立化させず不安に寄り添うという、先ほど新居構成員からの御意見もありましたように、伴走型相談支援と呼ぶにふさわしい、産前産後を通じた専門家によるサポート体制が提供できる仕組みについて、ぜひ方向性の中でも御検討いただければと思っているところでございます。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。ほか、いかがでございましょう。
では、佐藤参考人、よろしくお願いいたします。
○佐藤参考人 全国妊娠SOSネットワークの佐藤です。
当事者目線に立って、新居構成員と、それから、助産師会の髙田構成員からも御意見が出たところですけれども、今回の妊産婦等の支援策等に関する検討会では、今までになく当事者からの御意見をたくさん聞いてきたと思っています。その中で、費用に対することもたくさん御意見が出てきましたけれども、妊娠・出産に対して不安を抱いている方が多いということが、先ほど、髙田構成員もおっしゃっていた伴走型相談支援というところにつながるわけですけれども、愛情ホルモンといわれるオキシトシンがしっかり出てくるような、妊娠中からの不安を軽減するようなソフトな寄り添い体制をぜひとも、せっかく「支援策等に関する検討会」というネーミングですので、医療体制もベースにしつつ、しかし、周産期の支援提供体制ということの検討もよろしくお願いいたします。
○田邊座長 ありがとうございました。ほか、いかがでございましょう。
参考人の方も含めまして、ぜひ御意見等をいただければと思います。
では、石渡参考人、よろしくお願いいたします。
○石渡参考人 石渡でございます。
私たち産科を担っている者としましては、今の世界に冠たる周産期医療体制、冠たると申しましたのは、例えば、周産期死亡率も世界で一番低い状況でありますし、妊産婦死亡に関しても、1億以上の大きな人口を抱えている国では日本は断トツに低いです。10万対3.5ぐらいです。アメリカで今15ぐらいですから、そういう意味においては、日本は世界に誇る周産期医療供給をしている国だと私は理解しています。
その中で、今、周産期医療体制が崩れようとしております。それはどういうことかと言いますと、分娩の47%を担っておりますのが産科診療所です。個人の私的な病院まで含めますと60%以上を担っているわけです。そういうところには、公的資金といいますか、病院経営に関する支援はほとんどございません。いわゆる企業の努力によって成り立っているわけです。特に産科診療所等では、分娩数が減っただけではなくて、物価の高騰や人件費の高騰、様々な理由で非常に経費がかかっております。今、40%ぐらいのところが赤字の経営をしている状況の中で、何とか地域医療を担っていくことについて、必死の思いでやっています。
そういう状況も踏まえて、患者のニーズや要望に十分応えなければいけませんし、二子、三子目を希望されている方にも、またお産をしたいというモチベーションを上げるためにも、妊婦が「こういうふうにしてほしい」ということには、最大限そこに応えられるように私たちは日頃から努力をしております。
ところが、実は5時間でお産が終わるものもあれば、2日、3日かかることもあります。そういうことに関して、私たちは、母と胎児の両方の命を預かっている。少しでも正常な分娩ができるように、健康な赤ちゃんが産めるように四六時中やっているわけです。それには人件費もかかりますし、また、目に見えないような費用もかかっているわけです。そういうことを十分御理解いただきまして、日本のすばらしい周産期医療体制が堅持できるように、ぜひよろしくお願いしたいと思っております。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。ほか、いかがでございましょう。
山縣構成員、よろしくお願いします。
○山縣構成員 ありがとうございます。山縣です。
妊娠期・産前産後の支援に関することについて、この方向性はいいと思います。それから、今まで御意見が出た中で、いずれも賛成です。
今村構成員からあった、少子化対策とも関連するのは本当にそのとおりだと思います。現在、プレコンセプションケア事業に関して、5か年パッケージをこれから立てていくときに、こどもを産み育てる選択というのは、確かに苦労はあるし、経済的な問題も言われているけれども、楽しくできるためには、社会の支援があるということをその前の時点からしっかりと認識することによって、日本であれば、こどもを産み育てることに対して、これまで、みんな「大変だ」と言っていたけれども、これから社会が変わっていって、子育てが充実した楽しくできるものであると認識できる総理大臣も「楽しい日本」と言っていますが、そういうふうなことの中に、そうなるような対策が必要で、それが少子化対策にもつながるのではないかと思いました。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。ほか、いかがでございましょう。
伊藤参考人からお願いいたします。
○伊藤参考人 昨日も保健所の4か月健診に行っています。毎月のように行っておりますけれども、最近、父親が同伴する、あるいは昨日のケースは、父親が1人で来られて、お母さんは職を探しているようなケースが増えています。また、外国人の御夫婦、片方が外国人の方も来られています。外来に来られる方もそういう方が増えてきています。「配偶者等」の言葉の中に、もう少し異性というか、男性を強調していただいて、今、育児ノイローゼの男性も増えていますし、山縣構成員が言った言葉にもございますけれども、「和樂」という雑誌がありますけれども、私は「育楽」という言葉を考えています。育てることが楽しい方向に両者が進んでいくようなことを、一言記していただくといいかなと感じております。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
細野構成員、よろしくお願いいたします。
○細野構成員 周産期・新生児医学会の細野と申します。
方向性としては、いろいろな切り口をされていてよかろうと思うのですけれども、小児科の立場からすると、産後ケア事業というのは、おおむね退院した後のことになりますが、結局、出産という事例が起こった場合に、今度は、お母さん以外にお子さんが出てくるわけです。そのお子さんは少なくとも産科施設に、正常分娩であれば4日間、日本は今、平均4日間だと思いますし、帝王切開だと1週間いらっしゃいます。
その間、小児科医、または小児科医がいない地域では、産科の先生や助産師を含めた医療職の方々に毎日しっかり見ていただいて、異常があれば我々に報告していただいて、搬送というような体制を取っておりますので、今の議論の中で、分娩の見える化といっていると、そこのコストが落ちてしまう可能性があるので一言発言させていただきました。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。ほかはいかがでございましょう。
李構成員、よろしくお願いいたします。
○李構成員 赤ちゃん本舗の李です。オンラインから失礼します。
産前産後やプレコンセプションだったり、第二子妊活もそうですけれども、よりよい支援が選択できるものという意味でも、今、いろいろな窓口をデジタル化しようとしていたり、手続の煩雑さを、より利便性を高めようと思ったときには、民間企業の力もそうですけれども、立ち寄れる場所も今以上に、もっと民間企業も含めて窓口を広げてみたらいいのではないか。私たちも妊産婦の方々と毎日直接接している中で、そういう声もたくさん聞いています。ぜひ法整備も含めて、そういう窓口を広げるというような整備も、改めて御検討いただけるとありがたいなと思っています。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。ほかはいかがでございましょう。
濵口構成員、よろしくお願いします。
○濵口構成員 希望に応じた出産を行うための環境整備ということで「出産なび」について、少しだけお話をさせていただきます。
今までも多くの分娩施設が協力して、出産を迎えるための妊産婦の情報源として需要が高まっているのは間違いないと思います。まだ、スタートしたばかりの事業なので、妊産婦が真に必要な情報は何か、あるいは、産前産後に関する必要な情報はどういったものなのかというのを検討して、情報も充実させていかなければいけないと考えています。ただし、分娩施設の負担が過剰になって協力できないということにならないように、その上で進めていただきたいと思うところでございます。
また、妊産期、産前産後に関する支援については、以前からお話ししていますけれども、、各自治体ですばらしい取組が今まで実施されています。そして、妊産婦の心強い支援になっているわけですけれども、こういった支援を受け損なうことがないように、対象となる方、あるいは家族も含めて、制度の周知がさらに充実されていかないと、利用される方も少ないのではないかと思います。
さらに、産前産後の支援というのは重要なものですので、申請主義というよりも、支援提供側からもアプローチするような仕組みも必要ではないかと考えています。可能な限り、我々も時間が許せば、分娩施設としても必要な費用、あるいは支援方法、申請方法などの情報提供を行うなど、事業の活用を協力させていただきたいと考えているところです。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。ほか、いかがでございましょう。
これまでの議論を踏まえた検討の方向性につきましては、よろしゅうございますでしょうか。おおむね皆様方から御賛同いただいたというのが私の認識でございますけれども。
では、議題(2)、若干もう入っておりますけれども、「『出産なび』について」に移ってまいりたいと存じます。
資料2につきまして、事務局から説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
○柴田課長補佐 事務局でございます。
資料2「『出産なび』について」、御覧いただければと思います。
2ページにお示ししておりますのが、前回の検討会で「出産なび」の運用状況について御説明するとともに、今後どういった方向性が考えられるかということについて、様々に御意見をいただいたところでございます。
主にいただいた御意見として、3ページ及び4ページにまとめて御紹介しております。
大きく事務局で分類をしております。まず、「総論」というところで、「出産なび」について、非常に多くの分娩施設に御協力をいただきまして、今、ほぼ100%の施設の情報を掲載しておりますけれども、このことについて一定の評価をいただきました。
それから、妊婦の立場として、「出産なび」の情報は、これまでそれぞれの施設から情報収集することでしか得られなかったものが、ここに掲載されるようになったことは大きな前進であるといった御意見をいただいております。
また、安心につながっているというようなことですとか、非常によいツールだと感じており、色々な要望が実現するとすばらしいといった御意見もいただいたところでございます。また、丁寧な議論をといったものも御意見としてありました。
具体的な今後のあるべき姿ということで、大きく3つの観点からいただいております。
まず、3ページの下に記載しておりますのが、出産に関する情報でございます。既にそれぞれの施設ごとの、どういったサービス内容があって、その対価としてどういう費用がかかっているかということについての情報が載っていますけれども、さらに分かりやすい情報を充実させていただきたいというようなことですとか、検索の方法といった機能面についての御意見もいただいているところでございます。
4ページにまいりまして、妊婦健診と産後ケアについて、それぞれ御意見をいただいてございます。妊婦健診については、十分な情報に基づいて選択できる環境をつくっていくことが重要であるという御意見や、本日も御議論いただいていますけれども、そのために見える化をしていく必要があるといった御意見をいただいております。
2つ目のところ、妊婦健診の段階で、既にそのままそこで出産まで考えているという方もいらっしゃいますので、その前の段階からリーチしていく必要があるのではないかといった御意見ですとか、あるいは、3つ目のところで、さらに様々なデータを公開していくことによって、そこから入り口として広がっていくのではないかといった御意見もいただいています。
「出産なび」に対する期待ということでいただいていますのが、4つ目、5つ目の辺りかと思います。費用の予見可能性について、妊婦健診でどの程度御自身の負担が生じるのかというところがあらかじめ分かるようになればいい。それが納得感につながるのではないかという御意見をいただいています。
一方で、「出産なび」について、これまで、田倉構成員の研究班の中で御議論を積み重ねてきていただいたものでございますけれども、広げていくに当たっては、医療機関の負担にならないような方策を考えていく必要があるということについても御意見をいただいています。
産後ケアに関しても、産後ケアのニーズが非常に高い中で、どこでやっているのかとか、それから、御自身にとって受けられるものなのかという情報が得られるようになるとありがたいということで御意見をいただいています。特に4つ目で、産後ケアの情報、既にそれぞれの自治体のウェブサイトでも公表されているところだと思いますが、自分に合った施設を選択することが、産婦の置かれた状況でも簡便にできるように、ぜひ検討いただきたいといった御意見をいただいています。
5ページに、今御紹介したものを要約をしております。繰り返しの御説明は割愛いたしますけれども、周知の方法に関する御意見でありますとか、出産、妊婦健診、産後ケア、それぞれについて情報の拡充をといった御意見であります。一方で、今後どういった情報を載せるかというところについて丁寧な議論が必要であるという御意見ですとか、医療機関の負担にならない方策を考えていく必要があるといった御意見をいただいたものと受け止めております。
「今後の対応の方向性」としまして、周知広報に関しては、先ほどの御意見にもあったように、妊娠前の方も含めて、「出産なび」をより多くの方に活用していただけるように、周知広報に取り組んでまいりたいと考えております。
また、出産に関する情報のさらなる充実、妊婦健診・産後ケアに関する情報の掲載の必要性については、おおむね趣旨に御賛同いただけたと考えておりますけれども、その手続の面で、医療機関、あるいは自治体などにとって過度な負担にならないようにということで、具体的にどういった情報を、どういうプロセスで今後収集していくかという、その方法の部分については関係団体などと丁寧に調整をさせていただきたいと考えております。
一方で、これらの内容について、既に多くの御期待をいただいているところもございますので、早期に可能なものから順に実装を進めていきたいと考えているところでございます。
本日、御議論の中で、さらに前回に引き続いて、今後の「出産なび」の方向性について御意見をいただければと思います。
以上でございます。
○田邊座長 御説明ありがとうございました。
ただいま説明のございました資料2に関しまして、御意見、御質問等がございましたら、挙手にてお願いいたします。オンラインで御参加の方は、「手を挙げるボタン」でお知らせいただければ幸いです。
では、佐野構成員、よろしくお願いします。
○佐野構成員 ありがとうございます。健保連の佐野でございます。
今の御説明の中で、第1弾として、「出産なび」は分娩機関のほぼ100%が参加されたということは評価をしたいと思いますし、分かりやすい情報の充実・追加や施設検索等、機能の改善等にもぜひ取り組んでいただきたいと思っています。その中でも、費用に関する情報は極めて重要だと考えます。当然ながら、妊婦の方の不安感払拭のためにも必要だと思いますので、更なる詳細データの開示をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田邊座長 ありがとうございました。ほか、いかがでございましょう。
松野構成員、よろしくお願いいたします。
○松野構成員 連合の松野です。御説明ありがとうございました。
方向性について異論はございません。5ページの3つ目の主な意見にあるとおり、妊婦の予見可能性を高めるためにも、妊婦健診などの情報なども併せて掲載するなど、掲載内容の拡充、それから、より多くの人に活用していただけるよう、更なる周知広報に取り組んでいただければと考えております。
以上になります。
○田邊座長 ありがとうございました。ほか、いかがでございましょう。
では髙田構成員、よろしくお願いします。
○髙田構成員 5ページの件で、「今後の対応の方向性」ということで、非常にありがたい内容が書かれていると思っています。
方向性のポツの1つ目ですが、「妊娠前の方も含め」というところで、多くの方に活用していただくように周知広報に取り組んでいくというようなことを書いていただいていますが、妊婦相談やプレコンセプションケアの出前講座などの対応を地域で続けている日本助産師会としての立場から、少し御意見を申し上げたいと思います。
まず、妊娠前の状況について申し上げますと、本会でも様々、地域でプレコンセプションケアに関する出前講座等の活用をしていますけれども、まだまだ妊娠前の健康とか体づくりに関する必要性の認知が広がっていない状況で、日々苦心しながら広報活動を続けているところです。
もう一つは、妊娠直後の状況で考えますと、予期せぬ妊娠をされて、産科受診に至る前の段階で、様々な葛藤や迷いを抱えられている方も一定数いらっしゃると考えております。こういったことを考えますと、希望に応じた出産を行うための環境整備の中でも、妊婦が十分な情報に基づいて、出産に関する自己決定が行えるように、「出産なび」におきましても、出産前の段階で女性やパートナーの方々に対して、妊娠前の体づくりや健康に関する基本的な情報等も分かりやすく示されるとよいのではないかと考えておりますし、妊娠に伴う葛藤についての相談支援についても、情報として入れていただけるとよいかと思っております。利用拡大について必要と思っておりますので、どうぞ検討のほど、よろしくお願いいたします。
○田邊座長 ありがとうございました。ほか、いかがでございましょう。
中西構成員、よろしくお願いします。
○中西構成員 たまひよの中西です。
今、高田構成員のお話も受けての話です。「出産なび」はとてもいいと思うのですが、厚労省やこども家庭庁は、ほかにもお魚の食べ方とか、妊婦向けの発信をいろいろなさっているけれど、現状ばらばらしていてママたちは行き着けないことが多いと思います。
なので、妊娠出産情報はとりあえずここに行くみたいなハブ的なサイトがあって、そこから「出産なび」にも行けるし、妊娠を継続している人はお魚の食べ方も見れる。やがてはプレコンセプションなども含めて、日本国民は妊娠・出産などの成育医療関係で悩んだらここに行くみたいなものが出来ると、「出産なび」の閲覧率も自ずと上がると思うし、みんながいろいろな情報に行き渡りやすくなるのではないかと考えました。「出産なび」をどんどん充実させることで、そのスタートラインにしていくといいのではないかと思います。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。ほか、いかがでございましょう。
珍しく時間がいっぱいあるものですから、ぜひとも御意見をお伺いできればと思う次第です。
家保構成員、よろしくお願いします。
○家保構成員 衛生部長会の家保です。
「今後の対応の方向性」のところに、できるだけ情報を広く知っていただく、妊産婦、御家族の方が選択できるような環境整備というのは大事なことだと思っております。ただ、「出産なび」の場合は、産婦人科の先生方のご協力やご理解があって、先ほどの話ですと、そんなに大きな負担なくということですけれども、産後ケアとか各種の市町村の事業になると結構差がございます。
市町村についても、例えば東京23区から非常に小さいところもありまして、小さいところになると、厚生労働省とこども家庭庁の仕事を職員1人で全部やっているような役場もありますので、そういう差があるということを十分認識した上で、どこまで情報提供するのかというのはぜひとも考えていただきたいと思います。
それから、自治体ごとのサービスの見える化はいいですけれども、どうしようもない格差というのが出てまいります。財政力指数で言うと、東京などと私どもの県も全然違いますし、過疎地の市町村はもっと財政力指数は低くなっております。正直、東京都が無痛分娩について助成するという制度の創設を考えているとお聞きしまして、うちの県は無痛分娩はまだゼロですので、それを始めるための施策を考えないといけないという格差がある中で、都道府県にそれを丸投げされても難しい部分があるということを、十分利用者の方も認識をしていただいて情報収集していただければありがたいなと思います。
よりよいところで産みたいということになりますと、一層都市部への集中が進みまして地方の人口減につながる。選ばれない地域になるということは避けたいと思いますし、地方としてもできるだけの努力をしたいと思いますけれども、財政の面で難しい点があるということだけはお伝えしたいと思います。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。ほか、いかがでございましょう。
新居構成員、よろしくお願いします。
○新居構成員 ありがとうございます。manmaの新居です。
周知のタイミングについて、以前も中西構成員から御意見があったと思いますが、なるべく早い段階でというところで、陽性確定診断を受けるタイミング、母子手帳をもらうタイミングのどちらかでは、丁寧な周知が、「出産なび」の周知において非常に効果的かなと感じています。
私自身も妊娠かもといって病院に行って、近くの産科に行ったりするケースが多いと思いますが、そこでは産めないというケースも多い中で、「病院は自分で探してきてくださいね」と言われて、「ありがとうございました」と帰る。どこで探したらいいか分からないまま放り出されるというような状況でしたので、多くの方がそういうことなのかなと思います。そういうときに、「『出産なび』を見てくださいね」というのが一言あるだけで、安心感も変わりますし、皆さん活用されるのかなと思いました。
健診の費用の見える化はここでも賛同が多く、検討されるということだと思いますが、先ほどの話ではないですけれども、東京都の無痛分娩の費用助成もありがたいけれども、そもそも無痛にしない人だって健診の持ち出しで結構出ている。そこをまず何とかしてほしいという声も妊産婦の本音かなと思います。そういう意味でも、見える化した後に、そこの負担がなくなるように経済的な支援が行き届くというところを長期的にゴールとして見据えて、前段階としての見える化というところでぜひ御検討いただきたいなと思います。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、寺尾構成員、よろしくお願いいたします。
○寺尾構成員 広島県の府中町長の寺尾といいます。
先ほど、地方の実態ということで御紹介いただきました。ありがとうございました。
「出産なび」の内容と、産後ケア等を増やしていくという方向性については、そのとおりでいいと思うし、そうしていただきたいと思っておりますけれども、その内容については、各地方でそれぞれ状況が違いますし、制度もそれぞれあります。利用者の負担の話、手続の話、それぞれ細かな制度があると思いますので、大枠は「出産なび」の中で示されるといいですが、基本的な利用をしようとした場合は、出産機関、医療機関とか各行政に相談できるような体制を紹介いただけるとか、そういったフォローがしっかりされるようにしていただきたいと思っております。
手続き面とか費用面、制度はたくさんありますし、毎年変わっている部分もありますし、また、施設ができたり、またなくなったり、いろいろ状況がありますので、絶えずアップデートするような格好で、「なび」だけではなくて、医療機関とか各行政に相談するような導入ができるような「なび」にしていただきたいと思っております。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。ほか、いかがでございましょう。
李構成員、よろしくお願いいたします。
○李構成員 赤ちゃん本舗の李です。
「出産なび」について、弊社のお客様やいろいろな妊産婦の方の御意見として、出産の施設などを検索するという意味では、非常に役に立つというお声をたくさん聞いています。
その反面、それ以外の情報の掲出に関しては、制度のお話だったり行政のお話がそのままテキストになった形で掲載されているような状態もあります。情報が硬すぎると、それが自分にとってメリットがあるものなのか、どういうふうに読み解けばいいのか、それも不安要素をあおってしまう。情報量が多すぎて選択しづらいというのもあります。
たくさんの情報を載せて、より利便性をよくするということは、もちろん推進していただきたいと思っているのですけれども、その掲出の仕方や一般の方が使うという観点をきちんと理解した上で、そういう情報の切り出しや見え方を検討していただけると、よりよくなるのかなと思っております。ぜひ参考にしていただきたいです。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。ほか、いかがでございましょう。
松野構成員、よろしくお願いします。
○松野構成員 連合の松野です。
先ほど、家保構成員からも、その前に田倉構成員からも、無痛分娩についての懸念の御意見があったかと思います。
以前、9月にも質問させていただきましたが、改めて事務局に質問させてください。
令和5年12月に閣議決定された「こども未来戦略」では、今回の出産費用の保険適用の導入を含めた検討とともに、無痛分娩について、麻酔を実践する医師の確保を進めるなど、妊婦が安全・安心に出産できる環境整備に向けた支援の在り方を検討するとありましたけれども、その後、具体的にどのように進んでいるのか、御回答いただければと思います。
以上になります。
○田邊座長 事務局、よろしくお願いいたします。
○近藤医政局地域医療計画課救急・周産期医療等対策室長 医政局でございます。
無痛分娩については、まずは地域の実情に応じて安全な体制を確保することが最優先だと考えているところでございます。私どもとしても、例えば周産期母子医療センターの麻酔科医の確保についてお金をしっかりつけるとか、そういった形で少しでも体制整備に資するように取り組んでいるところでございます。また、無痛分娩、我々としても引き続き、安全な実施体制を確保できるように努力を続けてまいりたいと考えております。
以上です。
○田邊座長 よろしゅうございますでしょうか。
○松野構成員 皆様の懸念が払拭できるように、取組を進めていただければと思います。
○田邊座長 ほか、いかがでございましょう。
伊藤参考人、よろしくお願いします。
○伊藤参考人 今、妊娠がわかると母子手帳が配付されているわけですけれども、最初の50ページ、前半は国が決めたものを使って、後半は自治体がいろいろなサービスを載せています。
最近配られたものには、産後ケアの記録などを書くところがありますし、それから、思春期の成長の記録を書くところがありますけれども、最新の母子手帳は50個ぐらいQRコードが載っています。小児科的には、こどもの事故とか育児とか、こどもの病気のことですけれども、それをいただいているお母さんたちには、「暇なときにそのQRコードをチェックしてごらん。これはこどもを育てる、あるいは、お母さんたちの健康情報のエンサイクロペディアみたいに行政がきちんと選んだものだから、フェイクな情報を得るより、きちんとしたものだから、それをチェックしなさい」と指導させていただいています。「出産なび」がQRコードに載っているかチェックしていないですが、ここにいらっしゃる男性の方も、たまには母子手帳を見ていただければと思います。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。ほか、いかがでございましょう。
よろしゅうございますでしょうか。
様々な御意見を頂戴したところでございます。事務局におかれましては、次回以降の議論に向けて御準備いただければと思いますので、御対応をよろしくお願い申し上げます。
これをもちまして、本日の議事は終了としたいと存じます。
今後の予定につきまして、事務局からお願い申し上げます。
○柴田課長補佐 事務局でございます。
次回の予定については、追って御連絡をさし上げます。
○田邊座長 それでは、これをもちまして、第7回の検討会を終了したいと存じます。
本日は、大変お忙しい中、御参集いただきまして、ありがとうございました。閉会いたします。