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第38回厚生科学審議会臨床研究部会 議事録
日時
令和6年11月28日(木)10:00~12:00
場所
AP虎ノ門
(オンラインとのハイブリッド開催)
(オンラインとのハイブリッド開催)
議題
- 1.臨床研究中核病院の承認要件見直し及び臨床研究・治験の推進に係る今後の方向性について
- 2.前回部会における主な指摘事項への対応
- 3.臨床研究中核病院に係る取扱い等に関する意見に関する社会保障審議会医療分科会への報告結果について
- 4.臨床研究法省令改正について
- 5.その他
資料
議事
- 議事内容
○医政局研究開発政策課課長補佐 それでは定刻になりましたので、ただいまから、「第38回厚生科学審議会臨床研究部会」を開催いたします。本日は、前回から引き続きWebで開催いたします。会議全体でのお願いとなりますが、Webで参加されております委員の皆様におかれましては、御発言される前に画面下の「挙手ボタン」をクリックしてください。部会長の指名を受けてから、マイクのミュートを解除して御発言いただくようお願いいたします。また、御発言終了後は、再度マイクをミュートにするとともに、「手を下げる」をクリックし、手を下げた状態にしてくださいますようお願いいたします。会議中に接続トラブル等が発生しましたら、事務局まで御連絡ください。注意事項は以上となります。
本日は、田島委員から御欠席との連絡を受けております。部会の定数15名に対しまして、14名の委員に御出席いただいておりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。
また、本日は日本CRO協会より、藤枝徹参考人に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
続きまして、本日の会議資料についてですが、会場参加の委員の皆様におかれましては、お手元の資料を御覧いただくようお願いいたします。Webで参加されている委員の皆様におかれましては、事前に送付しております資料、あるいはWeb上で資料を投影いたしますので御覧ください。資料は、資料1-1、資料1-2、資料2-1、資料2-2、資料3、資料4となっており、参考資料は、参考資料1、参考資料2となっております。お手元で不足等ございましたら、事務局宛にお申し付けください。
円滑な議事進行のため、撮影はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。以後の進行につきましては、楠岡部会長にお願いいたします。
○楠岡部会長 おはようございます。楠岡です。ちょっと声を枯らしていまして、お聞き苦しい点があるかもしれませんが、御容赦いただきたいと思います。
それではお手元に配布されています議事次第により、早速議事を進めていきたいと思います。まず、初めに議題1「臨床研究中核病院の承認要件見直し及び臨床研究・治験の推進に係る今後の方向性について」です。この本議題に関しましては、EFPIA/PhRMA/日本製薬工業協会と、日本CRO協会からのヒアリングとなります。まず、日本製薬工業協会 医薬品評価委員会の運営幹事 近藤委員から、資料の説明をお願いいたします。
○近藤委員 ありがとうございます。製薬協の近藤でございます。資料のほうを共有させていただきます。共有できていますでしょうか。
○楠岡部会長 できています。
○近藤参考人 ありがとうございます。改めまして、製薬協の近藤と申します。本日、このような機会を頂き誠にありがとうございます。FPIA/PhRMA/製薬協を代表しまして、臨床研究・治験推進に係る方向性と、臨床研究中核病院の要件に関して述べさせていただきます。まず、臨床研究・治験の推進に向けてということで、高い創薬力と強い国際競争力をもった体制づくりが必要だと私は考えております。そのためには、左側の図で示しておりますように、核となるような機関が中心となって、グローバルに通用するような高い実施能力を持ちながら、企業側とも協働できるような、効果的な仕組みになっていることが理想ではないかと考えております。その取組としましては、既に本部会でもテーマとして取り上げられている内容も多くございますけれども、大きく4つに分かれると考えておりまして、赤字で示させていただいている部分につきましては、後ほど少し掘り下げさせていただきたいと思います。
まず、グローバルに通用する高い実施能力の所です。後ほどの臨床研究中核病院の要件にもつながりますけれども、専門性を発揮できるような仕組みづくり、研究人材へのインセンティブやキャリアパスというようなものを設けまして、臨床研究全体が実施できるように、底上げできるような仕組みにすることが重要ではないかと考えております。症例集積向上の箇所では、ワンストップ機能にプラスしまして、リアルワールドデータ等の有効活用の体制、また、国民・患者の理解や参画促進といったところも重要になってまいります。手続の簡略化/国内標準化については、既に議論が進められておりますSingle IRBの促進をはじめ、できるだけシンプルな体制にしていくことが重要と考えております。
特に、費用に関することは、Fair Market Valueに基づくタスクベース・ベンチマーク型費用算定の導入など、国際的に見ましても透明性が高く、変化に柔軟に対応できるようなコスト形態になっていることが重要ですので、関係するステークホルダーがウィンウィンになるような形、それとともに海外に対しても説明ができるような方法に関して検討していく必要性があるだろうと考えております。昨今の技術進歩は目覚ましいものがございますので、リスクにも配慮をしつつ、生産性最大化を意識して技術の進化に対応できるような取組を進めることで、グローバルに通用する高い実施能力と効果的な仕組みにつながっていくものと考えております。
それでは赤字部分について掘り下げさせていただきたいと存じます。まず、英語資料の受け入れ・共通言語化ですけれども、御存じのように日本の治験環境は日本語がベースになっているような現状にあるかと思います。日本語がベースになるということは、当然ながら治験関連資料の翻訳が求められていきますので、国際競争力の大きな足かせにもつながっているかもしれません。海外では参加者向けの資料以外は基本、英語受け入れが進められており、日本でもこのような世界観、そのようなものを持ち、対応を進めることが重要ではないかと考えております。例えば、治験実施計画書プロトコール、治験薬概要書、各種マニュアル等、医療機関やIRB又はPMDA等、様々な機関で英語資料の受け入れができるような取組が必要ではないでしょうか。先日の臨床研究部会資料にもありましたように、現在では国際共同治験は60%を超えてきているという状況にあるかと思います。英語で治験ができる国というようになれば、日本が中心となった国際共同治験の実施といった、日本のビジネスチャンスにもつながっていくのではないかと私どもは考えております。
次に、ICH-E6(R3)を踏まえた取組について触れさせていただきたいと思います。御存じのように、GCPリノベーションの議論がICHで進められ、日本の省令GCPに当たるE6(R3)の一部がそろそろ合意される見込みかと存じます。現在の日本ではドラッグラグ・ログの顕在化、治験の高コスト構造など、様々な課題があると言われています。その1例が左側のグラフですが、日本は他国と比べ、100例登録に必要な医療機関数やCRAの数が多い現状です。これは1人のCRAに係るコストが高いということですけれども、別の視点で考えると、1人当たりの業務効率性が低いことにもつながっているかと存じます。CRA数で示していますけれども、これは医療機関に係るスタッフの方に関しても同様のことが言え、海外と比較して無駄な部分がある可能性が考えられるかと存じます。今回のGCPリノベーションを機会に、考えるGCP、またリスク・重要な事項に集中できるような取組のようなものを進め、欧米に並ぶ治験・臨床研究環境への転換によって、日本国民の医薬品アクセス最大化へ結び付けていく必要性があるかと存じます。本来のGCPの考えでは、右上の絵にありますように、最低限必要な事項をしっかりと抑えようというような発想にもかかわらず、いつの間にか無駄な業務が重なってしまっている可能性もあります。イギリスの取組を参考にしたアセスメントを検討したり、最終的な承認申請といった、出口に必要な品質レベルを意識した導入モデルを産官学で検討し、実装に結び付けていくことで、目線が合った取組が進むのではないかと考えております。
次に、DCTです。日本は治験データの質は高いと言われていますけれども、左側のグラフで示していますように、一医療機関当たりが登録する症例数が低いという状況にあります。これは見方によっては治験を実施できる医療機関の数は多いけれども、一施設当たりの登録数が限定されていると考えられるかと思います。それが日本の医療環境の特異性というように考えられるかと思いますけれども、海外、特に米国ではフルDCTについては、少なくなってきているようなことを伺いますけれども、日本で言うところのオンライン診療については、増加しているという報告もあります。先ほど御紹介したような、今まで弱みと思われてきた日本の医療環境の特異性、こういうものを強みに変えていく取組を進め、手順などをシンプル化することにより、患者さんの利便性が向上し、症例集積性も改善し、また臨床研究・治験が効率的に実施できるようになるのではないかと考えております。既に事業として始まっています、愛知県がんセンターのパートナー医療機関等と協業した国内DCT体制の取組ではよい形になっていると伺っています、これらの取組を参考に、強固な体制づくりを進めていくといったようなことを期待しております。
また特に、希少疾患など、日本国内だけを考えるのではなく、アジア等と協働した体制整備といったようなものが必要になってくるかと存じます。既に国立がん研究センター中央病院が摸索されていますように、国境を越えたパートナー医療機関が活用できるようになることで、日本の創薬力強化とグローバル貢献につながってくるのではないかと考えております。
また、カルテ情報の電子化と治験データへの効率的な連携です。臨床試験の症例データ収集では、紙ワークシートが多く使われていますけれども、これは医療機関の方が紙ワークシート等に記録し、EDCへの手作業での転記が必要で、二重入力になっているかと思います。この転記作業にはCRAによるSDVやデータマネジメントによるデータチェック、CRCによるクエリー対応が必要で、業務負荷が大きく非効率的で、開発コストの増大の一因にもなってきているかと存じます。これらの課題を解決するために原資料を電子化し、電子カルテとEDCシステムをデータ連携するような仕組みの整備を進めることが重要かと存じます。現在も幾つかの医療機関や、電子カルテ等のITシステムベンダーで試行されているかと思いますけれども、データ連携の方法は異なっているかと思います。効率的なデータ連携にはベンダーに依存せず、複数の医療機関と治験依頼者間でデータ連携できるような仕組みを、国がイニシアチブを取っていただき、整備することが必要になってくると考えております。
例えば、原資料である紙ワークシートを電子化し、併せてデータ入出力方法を共通化する方法が挙げられるかと思います。一般項目については項目定義の共通化・規格化を行い、疾患特有の項目については、新規追加項目の拡張方法や形式を規格する。規格化にはHL7 FHIR等の国際標準を使用し、電子カルテ情報共有の施策と併せて、電子カルテに標準投載していくことで汎用的な仕組みになってくるのではないかと考えております。医療機関間の連携を含めたリアルワールドデータ活用推進に加えて、効率的なデータ連携を実現させることで、臨床試験現場の業務負担と開発コストの低減につながり、ひいては国際競争力の向上、治験の呼び込みにつながるというように期待しております。
また、AI/マシーンラーニングの活用・応用です。御存じのように新薬開発の対象が原因未解明の複雑な疾患にシフトするとともに、新薬開発の成功率は低下し、研究開発費も高騰しております。このような中でも、新薬開発を加速化し、低コスト化するために、今後、新薬開発のあらゆる場面でAI/マシーンラーニングの活用が推進されていくと考えております。既に治験関連文書の生成、実施医療機関選定と試験参加者登録予測、患者への対話型疾患説明生成AIの運用、データ解析の高度化等に活用が進められてきています。AI/マシーンラーニングといった新しい技術を活用し、新薬開発の成功確率の向上と、研究開発費の削減につなげる取組は必要ですけれども、当然ながら、活用によるリスクや課題の整理といったような対策検討も考慮するなど、現段階から有効に活用できるように準備を進める必要性があるのではないかと考えております。
続きまして、臨床研究中核病院の要件についてです。現在の要件は客観的に評価できる点で優れていると考えております。ただ、各中核病院が数値に追われてしまっているような状況があるのではないかと懸念いたします。先ほど御提案させていただきましたように、日本の臨床研究・治験推進の方向性と同様に、高い創薬力と強い国際競争力のための核となるような機能が重要になると考えており、これまで基本的要件で評価されてきた内容を、各臨床研究中核病院の特色(特長)をいかした要件設定にシフトしていくような方法も考えられるかと存じます。特色(特長)については学会・領域・モダリティ・地域等それぞれの中核病院で自ら御提案いただき、その特長をいかすための目標を設定いただき、評価するというような形です。そのかわり基本的要件についてはシンプルな形とし、治験数や論文数にこだわらず、中核病院が果たした役割を評価することで国全体の底上げにつながっていくのではないかと考えております。
当然ですけれども、人員やSingle IRB、手続き等、最低限抑えていただきたい箇所については基本的要件に盛り込んでおき、特色(特長)要件も加味した全体について複数年で評価できるようにすることで、各中核病院の特長を最大限いかすことができるかと存じます。当然ながら創薬や国際的な貢献といったような視点は重要ですので、学会・領域・モダリティ・地域等のファシリテート、治験パフォーマンスの実績については御公表いただき、その報告書についても企業・海外機関等も活用できるような、そのような報告書になっていれば、企業などとの協働も進んでいくものというように期待しております。
参考までに、グローバルの視点で医療機関や日本がどのようなポイントで評価されるかを、例として示させていただきたいと思います。こちらはあくまでもグローバル視点での考えを示していますので、今回の要件に全て盛り込むことを提案しているわけではありませんので、その点御理解いただければと存じます。先ほども示させていただきましたけれども、日本での国際共同治験の治験届比率は60%を超えています。ということは一医療機関で評価する点もありますけれども、国として評価されてくるという場合もありますので、あえて「日本法人」という形で記載しております。評価のポイントとしては、CapabilityとPerformanceの大きな2つですが、Capabilityは高い専門性や多様化する新しいモダリティへの対応、国際的な費用算定体制、人材といったようなものがあります。
また、Performanceでは、Productivityいわゆる症例集積性や、Speed、Quality、Cost、Valueといった視点があります。全てが必要というわけではないですけれども、これらの指標を参考に、海外に対してもしっかりと発信し、評価されるような形になることを期待しております。
EFPIA/PhRMA/製薬協からの御提案は以上となります。お時間を頂き、誠にありがとうございました。
○楠岡部会長 近藤委員、ありがとうございました。
それでは続きまして、日本CRO協会会長、藤枝参考人から、資料の説明をお願いしたいと思います、よろしくお願いいたします。
○藤枝参考人 日本CRO協会の藤枝と申します。どうぞよろしくお願いします。スライドをお願いします。この2点に関連して、CRO協会としての取組事項、お願いといったことを話したいと思います。資料は、おおむね前回、第37回の臨床研究部会の資料に基づいて作成しております。
まずは、臨床研究・治験推進に関わる今後の方向性です。これは、日本の治験環境は、今こうなってきていて、それに対して日本CRO協会としてどのような方向性を持って議論を進めていくかを示したものです。
それから、CRO協会ではドラッグロス対策として、臨床試験の現場に我々おりますので、その視点で日本の治験の魅力アップに向けていろいろ取り組まなくてはいけない。そういうことを考えまして、ドラッグロス対策を進めています。
3つテーマを選んでいます。1番目は、日本の治験をとにかく海外にアピールするということで、日本に来ていただくこと。それから、テーマ2番としては、日本の治験コストの透明化を推進していくこと。3番目としては、日本の治験の更なる効率化を目指しているということです。
次のスライドです。この会で御検討いただいていることについて、まずは「論点1.国際競争力の強化」です。国際共同治験のワンストップ相談窓口を設立されるという資料を拝見しております。海外のスタートアップ企業に対し、国内での治験実施について相談を受け付け、調整を行うような、ワンストップサービスの窓口の設置ということだと思います。日本のCROにとって、海外の、特にEmerging Biopharmaは非常に重要なお客さんであり、実は、一部のCROでは、そこに対応するためにプログラムマネジメントの人材を配置しまして、いわゆる伴走型のコンサルティングサービスを既に提供しています。その内容は、もちろん治験のこともありますけれども、例えば日本で開発するのに十分な非臨床のデータがそろっているか、あるいは、PMDA相談の支援、更にはライセンスのサポート、あるいは、日本法人立上げサポートといったところまでやっています。そういうことを考えますと、国際共同治験のワンストップ相談窓口というのは、ある意味、一部競争になるところもあるかと思いますけれども、お互いに補完することによってウィンウィンの関係が築けるのではないかと思っています。
それから、2つ目の臨床研究総合促進事業です。臨床試験中核病院等におきまして、いわゆる実習を含めた養成研修、CROの人材も含めて考えていただいているということですが、実は今、常駐とまではいかないですけれども、中核病院にCROから人材がかなり頻繁に行って、そこで、CROとして受託した臨床研究のお手伝いをしています。ただ、これを研修という名の下でやるのは、実はCROとして難しいのではないかと思っています。まず人材を選定するのが難しいですし、常駐となりますとその間の、いわゆる人事的評価といったことはどうするか、あるいは、そこで特殊な教育を受けた方というのは、どうしても退職のリスクが生じてしまう、そういったおそれもあります。
次のスライドです。これがCRO協会として国際競争力の強化として取り組んでいるところです。まず、日本の治験のアピールということで、治験パフォーマンスの紹介、それから、日本にはICCCという優れた制度がありますので、その制度を積極的に紹介していく。これを日本CRO協会のWebサイトの英語版に順次紹介しているという状況です。今後の目標としましては、海外の製薬企業、あるいはEmerging Biopharmaや海外のCROから、国際共同治験に日本を組み入れたいと思えるような環境を作って、それを積極的にアピールしていくことになると思います。やはり海外、特にEBPに対しては、治験に、早く確実に多くの患者さんがエントリーされ、治験の品質も良いことを示すことではないかと思われますので、そこを目指して我々は行動を続けていきたいと思います。
それと、1つ要望としまして、国として、具体的な数値目標みたいなものを立てる、例えば何年後には新薬の治験届をこれぐらいの数にしますといったことも必要ではないかと思います。それから、韓国のKoNECT、ここが韓国の臨床試験の司令塔みたいな役割を果たしているように聞いております。日本でも、産官学連携のコンソーシアムを作って、日本の治験促進に寄与することができればと思います。
次のスライドです。「論点2.症例集積性の向上」ということで、DCTの体制整備についてです。DCTをなぜやるかということですけれども、これはできるだけ多くの患者さんに治験への参加機会を提供できるところ、ここが一番重要だと思います。もちろん治験の効率性アップにもつながるということは、言うまでもありません。
次のスライドです。左側に書いていますけれども、今、患者さんが治験に入ろうとすると、いわゆる治験実施医療機関に通院するか、そこに入院するか、そういった形になります。ただ、デジタル化によって、その選択肢が広がっているということ。例えばパートナー医療機関と書いていますが、かかりつけ医や在宅を可能にするのがDCTの各コンポーネントではないかと思います。デジタルではないのですが、例えば医療機関への車での送迎サービス、こういったものも広い意味ではDCTのコンポーネントと考えていいのではないでしょうか。例えば、足が不自由で頻繁に通院できないような患者さん、そういった患者さんは治験に入りたくても入れないような状況がある。そういったときに送迎サービスがあると、入れるようになるということです。右側に治験の流れを模式図に書いていますけれども、プロトコールを組む時点で患者さんの視点に立って、どういう形ならば最も参加しやすくて、もちろん科学的にも医学的にも問題ないか、それをあらかじめ検討して、DCTの各コンポーネントを無理なく組み合わせて進めていく。そうすれば、よりスムーズに多くの患者さんが治験に入れる、症例集積性という言葉になっていますけれども、そこにつながると考えるわけです。ですから、DCTの各コンポーネントを問題なく進めることができるような、シンプルなガイダンスがあれば、非常にこの辺は進んでいくのではないかと思われます。
次のスライドです。レジストリの活用、臨床研究情報のポータルサイトについてです。治験での症例エントリーが非常に難しい疾患や希少疾病に対しては、レジストリやリアルワールドデータも含めた各種のデータベースを使って、エントリーを容易にする仕組みを構築するということです。例えば、どういう患者さんが、どこに、どれぐらいいらっしゃるのか、あるいは、どういう臨床試験・治験がどこで実施されているのか、そういったことが可視化されるということ。先ほど申しましたとおり、海外のEmerging Biopharmaにとって、日本でこの薬の治験をやろうとして、日本ではこれぐらいの患者さんが、こういう所にいらっしゃることがわかると、非常に計画が立てやすくなりますから、これは日本に来るための大きなインセンティブになると思うので、そういったようなことを作っていく。また、そういう仕組みがあると、これを海外で積極的にアピールし、日本への進出を促す、あるいは、国内での治験増加につなげていくことができるのではないかと思います。
次は、「論点3.臨床研究・治験手続の効率化」で、中央IRB、Central IRBの利用推進についてです。現在、我々の認識としましては、まだまだCentral IRBというのは限定的ですし、一部の医療機関ではIRBに審議を依頼するのに数か月待たされるケースもあるということです。理由はいろいろあると思いますが、やはり外部IRBに委託すること自体に抵抗もあると思いますし、また、オペレーション面では、例えば外部のIRBを新たに使うとすると、治験実施医療機関のSOPの変更、各種の業務調整にかなりの手間を要するために、スタートアップの忙しい時期にそれがなかなかできないということもあります。そういうことで、私どもとしては、Single IRB化の働きかけを継続していくしか手はないわけで、それを今進めております。
次のスライドです。中央IRB化とSingle IRB化に向けて何をしていくべきかです。かなり前からSingle IRBということは言われていますが、なかなか進まないということは、やはりそれなりの潜在的な課題があると思われますので、そういったことを関係者で議論して一つ一つ解決していくということ。また、その結果として何らかのガイダンスが発出されたほうが動きやすいと思われますし、こういったことを臨床研究中核病院がリードしていただければと思います。GCP27条にIRBの要件が書かれていますけれども、Commercial IRBを解禁すべきではないかと思います。それから、Single IRBの原則化、これは既に進められています。もう1つ、国際共同治験を1つのIRBで審議するとしたら、やはり国際認証レベルの認証制度が必要になってくると思われます。一方、現在中央IRBを使っている場合でも、提出書類が医療機関ごとにばらばらということが起こっているようです。医療機関ごとにばらばらの資料を1つのIRBにかけるということは非常に効率が良くありませんので、そういった書類の統一も図らなくてはいけませんし、先ほど製薬協からの発表にもありましたとおり、英語資料をある程度容認いただくことも必要と思います。
次のスライドです。治験文書・手続きの電磁化です。これにつきましては、治験依頼者側と治験実施医療機関側では、かなりギャップがあると伺っています。私どもとしましては、医療機関側から電磁化に向けての問合せや相談があったら、それに積極的に対応したり、あるいは電磁化をすることによって費用あるいは時間がどれぐらい削減できるか、そういったシミュレーションができるようなツールを作ってWebサイトに公開したりしています。医療機関の更なる電磁化に向けて、CRO協会としても活動していく所存です。
次のスライドです。CROで主にやっていますモニタリングのリモート化の話、いわゆるリモートアクセスモニタリングです。On-siteでやると、移動が発生しますし、いろいろな手間もかかるので、コスト増になることは間違いありません。もちろんOn-siteを否定するものではないのですが、On-siteだけではなく、リモートも併用できて、そうすることによって、かなりの効率化が図れると思います。リモートアクセスモニタリングに対応していただける医療機関が増えることを非常に期待したいですし、モニタリングの担当者としてもまだまだ経験者が少ないので、情報共有しながら実践していきたいと思います。なお、日本CRO協会では、東京と大阪にブースを作りまして、そこで7つの医療機関とリモートアクセスできるような環境を作っております。ただ、7つというのはまだ少ないですので、増やしていくように活動を続けているところです。
次のスライドです。同意説明文書の共通テンプレートの利用促進です。もちろんCRO側でテンプレートが決められるような試験については、これを積極的に利用してまいります。GCPの9条では、同意説明文書は治験責任医師に作成を依頼することになっています。となりますと、多施設共同治験においては、責任医師の数だけ同意説明文書ができる、そういった建付けになっていると考えることができます。ここは修正して、例えば最初に共同IRBにかけて承認を得て、承認を得た説明文書を治験責任医師に提供する、そういった形への改定が必要ではないかと思います。さらに、同意説明文書だけではなく、これはいろいろな問題もあるかもしれませんけれども、治験実施契約書、すなわち治験依頼者と治験実施医療機関の間の契約書テンプレートの統一化も考えてもいいのではないかと思います。
次のスライドです。Fair Market Valueに基づくベンチマーク型コスト算定方式の導入です。協会として調べてみますと、日本の臨床試験コストについての課題はいろいろ言われていますが、コストが高いというのはもちろんあると思いますけれども、それ以上に不透明だと言われております。同じ治験であっても、医療機関ごとにコストが異なって、しかも非常にばらつきが大きいわけです。透明性がなく、日本での治験実施を躊躇するケースも出ていると聞いておりますので、我々としましてはグローバルスタンダードとなっていますFMV/BMCの導入に積極的に取り組んでいきたいと思っております。これは産官学の意見交換会で検討されていますので、そこでの結果を待った上で、Goalとして、将来的には全面的な導入につながることを期待したいと思います。
次のスライドです。臨床研究中核病院の承認要件の見直しです。CROとしまして、承認要件について、こうしてくださいとか、そういったことについて申し上げることはできないのですけれども、ただ、臨床研究中核病院が、我が国の国際水準の臨床研究や医師主導治験の中心的な役割を担う拠点だということを考えますと、やはりそこに専門性が非常に高い方々が豊富に存在するということ。これは、もちろん医学的な専門領域もですが、国際共同治験を積極的に中心的に回せるような方、そういったことも含めて、これはお医者さんだけではなくCRCの方も治験スタッフの方も同様です。それと、もう1つ、現在いろいろな治験のエコシステム、治験の効率化、そういった検討が進んでいますが、そこで決まったことを、中核病院が先頭に立って積極的に取り入れていくということ。例えば手続のスピードが速い、共同IRBを利用できる、共通書式を利用するといったことですが、そこは最低限やっていただければと思います。長くなりましたけれども、私からの発表は以上です。
○楠岡部会長 藤枝参考人、ありがとうございました。ただいまの日本製薬工業協会並びに日本CRO協会の御説明に関しまして、御議論いただきたいと思います。御発言の方は挙手ボタンを押してお願いいたします。山口委員、お願いいたします。
○山口委員 ありがとうございます。近藤委員に質問したいのですが、8ページのAI/マシーンラーニング(ML)の活用・応用という所で、もう既に活用が始まっている事例を御紹介いただきました。そこにFDAやEUと書かれていますが、日本の場合はどういう状況なのでしょうか。どこが、どれぐらい活用が始まっているのか、具体的に教えていただければと思いました。
○近藤委員 ありがとうございます。まず、どこまで進んでいるかという点につきまして、企業側についてはまだ各社がばらばらに実施というか、取り組み始めているという状況ですので、全社が横並びにここまで進んでいるというような状況ではございません。また、FDAやEUについて触れていますけれども、こちらはこういうものが出されているということで例示している状況です。まだ日本では、こういうような内容について触れられたもの、医薬品開発に関して触れられたものは、まだまだ出ていないのではないかと考えています。
○山口委員 ありがとうございます。ばらばらで進んでいるとしても、活用事例に書いてあるところまで、日本ではまだいっていないという感じなのですね。
○近藤委員 日本でも活用が始まっている事例はございます。
○山口委員 ありがとうございます。
○楠岡部会長 それでは、次は花井委員、その後、藤原委員でお願いいたします。花井委員、どうぞ。
○花井委員 教えていただきたいのですが、海外の患者会とディスカッションしている中で、新しいモダリティが増えてくるとインフォームド・コンセント、説明同意が結構複雑になっていて、海外の事例を聞くとかなり丁寧に時間をかけてやっている。どう考えても現場でのコストが相当かかるような同意取得の仕方をしていて、ちょっと日本では不可能なぐらいコストがかかっていると思いますが、その辺はヨーロッパ、アメリカ、日本と比較して、現場においてICを受ける体制というのは、どのくらいの差があるものなのでしょうか。
○楠岡部会長 近藤委員、まずお答えいただけますか。その後、藤枝参考人にお願いいたします。
○近藤委員 近藤です。まず、同意を取るためにどのぐらいの時間をかけているかという点について、ヨーロッパ、アメリカ、日本で直接比較したという情報は入手しておりませんので、それは分かりかねるのですが、同意内容については同じような形で進めることを基本に考えているかと存じます。お答えになりましたでしょうか。
○花井委員 体制のコストというか、結局、リソースが日本の場合、治験になると全て医療現場に負担がかかってくる。CROでは手が出ない部分だと思いますが、そこのところが体制として格差があるように思います。その辺はどうなのですか。
○近藤委員 コスト的に、同意説明のために日本が余分にかかるとして問題視されているということは、今のところ私どもの耳に入っておりません。
○楠岡部会長 よろしいでしょうか。藤枝参考人、お願いいたします。
○藤枝参考人 私も今のお話と同じで、国際比較をしたデータは今のところ持ち合わせていませんから、それについてはお答えできません。ただ、海外は分かりませんけれども、今、日本においては、例えば動画を使ったりして、それを見ていただきながら説明するなど、いろいろ工夫はされています。
○花井委員 ありがとうございます。
○楠岡部会長 それでは、藤原委員、お願いいたします。
○藤原委員 ありがとうございます。幾つかお聞きしたいところがあります。今日は日本に治験を呼び込むところのお話をされていますけれども、私が今まで見てきたところで考えると、臨床試験・治験を呼び込む一番の肝は、恐らく医療機関のパフォーマンスに加えて、それぞれの医療機関の治験責任医師の科学的レベルや世界的なネームバリュー、あるいは海外で医療を一緒にやったことがある人など、そういう人的な質あるいは医療機関のメンバーの質を評価して、外資系の企業あるいは外国のEmerging Biopharmaの人たちは治験責任医師や実施医療機関の選択をしていると思います。今回、そこの指標が全然出ていないので、解釈しにくいものの、日本がこういうパフォーマンスをやって確かに向上して治験の依頼・契約が増えるのは、phaseⅢというごく限られたところではなく、最近のEmerging Biopharmaとか小児、希少疾患領域の開発は、ほとんどPhaseⅠ、PhaseⅠ/Ⅱで全部終わって申請・承認になってしまいますので、そこに選ばれるためには医療機関の医師や研究のレベル、あるいは世界的な評価が上がっていかないと無理ではないかと思っています。
EBPは、アメリカでも医療機関を選択する際に、Chief Medical Officerという医師が各医療機関のレベルをチェックして、レベルが非常に高い所と契約していくと思いますが、先ほどCRO協会の方々がおっしゃっていた中で、日本のCROは、まだまだ海外のEBPのChief Medical Officerと対等に話せる医師も非常に少ないと思います。その辺りも改善しないと、今日の皆さんのお話のパフォーマンスの改善だけでは、治験の呼び込みや振興はできないのではないかというのが私の感想です。
それから、教えていただきたいのは、外資のヘッドクォーターの人たちがサイトセレクションにかなりの影響力を持っているはずなので、そういう人たちは何を基準にしているか。言い換えると、サイトオープンまでの時間や重大な逸脱のパーセンテージなど、様々な指標を用意してサイトセレクションしているはずなので、その辺りをもう少し明示していただければ参加される方々には助かるのかなと思いました。
最後に、この議論は疾患ごとや、治験のPhaseごとですね、PhaseⅠという早期の開発と、PhaseⅢという国際共同治験などの後期の段階によっても、全然、要件は変わってきますし、がんと非がんによっても、あるいは小児や希少疾病と生活習慣病の領域でも全然要件が異なってくるので、なるべくなら、そういう分析もしてプレゼンしていただければいいかなと思いました。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。近藤委員、お答えいただけますでしょうか。
○近藤委員 ありがとうございます。3点、まず1つ目のコメントにつきましては、藤原委員のおっしゃるとおりだと思いますので、そういう視点も組み入れて進めていくべきだと考えています。2点目のグローバルで評価されるというところですが、こちらに関しましてグローバルの本社のほうが、どういう形で評価するかというのは、参考で挙げた10枚目、11枚目のスライドになります。そういう視点で日本の施設は評価されていくと伺っています。ただ、これは全てがこの評価項目という形ではございません。当然ながら治験の内容によって異なってきますし、疾患領域によって変わってくるだろうと考えています。
例えば、10枚目にございますけれども、Capabilityの中には先ほど藤原委員がおっしゃったような専門性がどの程度あるのか、Phaseというのも指標の1つになってきていると考えています。もう1つあった気がしたのですが。
○藤原委員 そのような感じで大体理解しています。今、おっしゃったとおりです。さっき言い忘れたのですが、国内に臨床開発を持ってくる大きな要因として、私は医療機関側のリテラシーの低さがあるのだと思います。未だに医療機関で治験や臨床開発をやろうとすると、忙しい普通の医療スタッフですね、CRCや治験管理室以外の人たちは「やらされ感」が満載なわけです。CRCあるいは治験事務局の人たちのキャリアトラックも病院の中ではかなり端のほうに追いやられた感じで、病院の中でのプレゼンスは非常に低いのが大半です。
先ほどCRO協会の人が、各医療機関の症例数を調べて、そういうのを自動化したらとおっしゃっていましたけれども、本来は普通の医療をやるにしても、自分たちの病院にどんな疾患の人たちがどのぐらいいて、その人たちをどういうふうにケアしていくのかということは、外部の人に調べてもらわなくてもやっているのが普通の病院だと思いますが、日本ではそれができてないというのがむしろ問題で、開発に対するリテラシーの向上をしない限り、いくらこういうパフォーマンスの改善をしても、最終的に病院全体としての協力が得られないと私は非常に難しいと思うので、一番先行してやるのは臨床研究をやる意義の周知だと思います。承認を取得するとか、市販後のいろいろな診療ガイドラインに反映するとか、比較研究をやるというのが、医師全てあるいは看護師、薬剤師全員の仕事で、CRCや治療責任医師の仕事ではなく、みんなの仕事だという理解がもっと進まないと、こういう日本の環境整備は進まないのではないかと思います。言い忘れていたので最後に付け加えました。
○楠岡部会長 ありがとうございます。藤枝参考人、よろしいでしょうか。次、掛江委員、その後に渡部委員の順番でお願いいたします。掛江委員、どうぞ。
○掛江委員 ありがとうございます。私は資料1-2を使って御説明いただいた藤枝参考人にコメントです。1つ目が、DCTを推進することの意義を説明していただいて、これは恐らく被験者目線でも、今後、大切になってくるのかなと思いましたので、是非、進めていただけたらと思いました。
それと、このスライドの12ページ、中央IRBの利用推進の中央IRB化、Single IRB化に向けてという所、それから、GCP27条の改訂を要望という所、この辺りは共感できる部分と、少し引っ掛かりがある部分がございます。中央IRB化、Single IRB化ですが、もちろん、審査の効率化は非常に重要だと思いますし、御説明の中でありましたけれども委員会ごとのばらつき等の課題といったところについては、確かにこれである部分は解決するかなと思います。他方で、そういった委員会ごとのばらつきは是正した方が良いと思いますが、委員会ごとの多様な立場からの意見というところの重要性も、いい形で吸収できるような審査体制にならないかなと感じました。
あと、Commercial IRBに関しましては、あると非常に便利なのかなという気持ちはありますし理解できます。ただ、その委員会の質の担保をどうするのか。今まで日本国内で、もちろん海外でもそうですが、審査の質の担保という非常に大きな課題については、いまだ課題が山積している状況だと思います。その質の担保をどうするのかという部分と、依頼者がいなければCommercial IRBが成り立たないという点からは、依頼者に寄ってしまう、依頼が来なくならないように配慮してしまうみたいな、COI的な問題、課題がこれまでも報告されていると思いますし、生じてしまうだろうと推測します。それから、透明性の担保といったところは、まだまだ検討すべき課題があると思います。今、お示しいただいているスライドに関しては審査の質の担保と効率化について、より丁寧な調査研究をした上で、御検討いただく必要がある時期に来ていると感じています。以上です。
○藤枝参考人 藤枝です。ありがとうございます。Commercial IRBとは言えないのですが、今、共同IRBをやっている方々とお話をする機会がありまして、そこで言われたのは、委員の方の質の担保というか委員への方の教育ですね。多施設の審査を一元化してやるわけですから、責任の重さを相当感じているとおっしゃっていました。ですから、そういったところを例えばCommercialとするにしても、いかに独立性を確保していくかは当然必要なことで、アメリカでやられているようなことについて、しっかり理解し勉強しながらやっていく必要があると思います。
○楠岡部会長 よろしいでしょうか。渡部委員、お願いいたします。
○渡部委員 ありがとうございます。私も中央IRBの所で発言しようと思って手を挙げました。日本のCRAの人手が多くかかっているところを何とか改善するためには、個々の医療機関で審査をしているところから改善していくと、かなり大きく数字が動くということで、中央IRB化というのはマストだとは思います。今、治験エコシステム等の事業でも御検討いただいている最中かと思いますが、IRBを中央化したとしても、医療機関での病院長の役割とか、そういう仕組みのところも制度的に大きく見直さないと、医療機関の作業は逆に増えてしまう可能性があると思いますので、医療機関の努力だけでなく、そういう制度のところも見直しは必須なのかなと思いながら御意見を伺っていました。
実際、当院にもICCCのCROの方から、中央IRBを使っていただけませんかという提案も来ているのですが、そのIRBの体制や委員のメンバー等を拝見すると、昨今、特殊なモダリティや領域が増えています。その領域やモダリティを審査する専門家がいないIRBを提示されることも経験していますので、例えば、小児や再生医療等製品など特殊な領域のものに関して、そこから中央IRB化をしっかり審議できるIRBをまずは指定して、そこは中央でやっていきましょうとか、そういう考え方も必要なのかなと思っています。そういう意味では、IRBの認証制度というのも御意見として挙がってきていますけれども、そういう特殊な疾患領域の認証というところから手を掛けると、また進みが早いのかなと感じています。
それから、IRBの数ですけれども、現在、PMDAのサイトのほうには約1,300ぐらいのIRBの数が挙がっていると思いますが、そちらのほうは登録が義務ではないのです。ですので、実際に国として1,300が存在しているのか、それとも、もっと多くのIRBが存在しているのかというのも、しっかり確認をしたほうがよろしいのではないかと私は思っています。中央IRB化も大事ですけれども、日本にどのくらいのIRBが存在しているのか、それぞれのIRBがどのくらいの体制や質を確保しているのかも、国としてしっかり把握することも必要ではないかと思いましたので、コメントさせていただきました。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。近藤委員、藤枝参考人、何か御意見はございますか。
○近藤委員 近藤です。ありがとうございます。私どもも同じような考えでございます。
○楠岡部会長 ありがとうございます。よろしいですか。それでは、ほかに御意見、いかがでしょうか。谷岡委員、どうぞ。
○谷岡委員 ありがとうございます。すみません。元に戻るような感じで申し訳ないのですが、近藤委員に質問を1つさせてください。最初のページにある核となる機関を中心としたというところなのですけれども、これはその後に、例えば愛知県がんセンターの事例を挙げられていますけれども、そういうことの想定ということをおっしゃっているのか、また別の何かもっと大きな組織のようなことを考えられているのか、イメージがあれば教えてください。もし海外にそういう形でうまくいっているという事例があるのかというところも併せてお願いいたします。
○近藤委員 近藤でございます。よろしいでしょうか。ありがとうございます。御質問ありがとうございます。先ほどCRO協会のほうからありました、KoNECTというような仕組みというのも1つの方法かとは思います。それ以外に日本の特異性というか、特徴をいかしていくためには、最後のほうで御紹介いたしました臨床研究中核病院のほうが、この核というふうになっていくという方法もあるかと思います。それが疾患や領域、モダリティ、地域でもいいとは思うのですけれども、そういういろいろなところで何らかの核というのを作っていただく、それを取りまとめるということが重要になってくるかなと考えております。お答えになりましたでしょうか。
○谷岡委員 ありがとうございます。何か大きな1つの核という形なのか、たくさんあるのかというところも少し伺いたかったので、理解しました。ありがとうございます。
○楠岡部会長 ほかにありますでしょうか。よろしいでしょうか。私から1つ、近藤委員にお伺いしたいのは、今回の発表には入っていない話なのですけれども、いわゆる企業がスポンサーとなる特定臨床研究に関してこの部会で議論しまして、それは市販後臨床研究に移す形になったわけでありますけれども、そちらのほうは今、どれぐらい進んでいるのでしょうか。研究者からすると、いつも研究資金の問題が大きな話になって、資金が得られないがために試験が進められないという話が出ますけれども、この辺りは製薬協のほうでは今後、どういうふうにされる予定なのかが、もし分かりましたらお願いいたします。
○近藤委員 ありがとうございます。楠岡部会長がおっしゃられたように、私どもにとりましても、市販後の研究というのをきちんと実施できるようにするということで、薬機法下で実施できるような仕組みというのを作っていただきまして、それについては各社がSOPといったところを整備して、徐々に試験が開始されているということは伺っております。また、企業がスポンサーになれるというようなことで、それに関しても非常に前向きに捉えておりまして、今後、各社が前向きに研究を進めていくのではないかと考えております。
ただ、数値として目に見えるほど、ものすごく増えているかと言ったら増えていないというのが現状かと思いますけれども、現在、各社が整備を整えているという段階にあるかと存じます。また追って状況については調査して、御報告させていただければと思います。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。ほかに御質問はありますか。よろしいでしょうか。あと、CRO協会のほうにお伺いしたいのが、今日のお話は主に企業からの依頼の話になると思うのですけれども、今、特定臨床研究でアカデミー側のほうから、ただCROは値段が高くてという話もあるのですけれども、何かディスカウントしろという話ではなくて、業務を少し分割する中で、オプションとしてここはできるとか、ここは自分でやっていただくとか、あるいはここは別のところに依頼するとか、何かそういう特定臨床研究向けのパッケージみたいなものはCRO協会で考えておられるのでしょうか。
○藤枝参考人 協会として考えてはないのですけれども、各社で臨床研究1つを受注するにもかなりコンペティションがありますので、やはりそういう部分は、ここはそぎ落としてとか、ここは入れてとか、そういったことはやられているというのが実状でございます。
○楠岡部会長 やはりCROにお願いするところは、自力でなかなかできないというところになるので、逆にCROを頼れないとなると、質を落としたままやってしまうか、あるいは諦めざるを得ないかということも出てくるので、その辺もまた御検討をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○藤枝参考人 はい。承知致しました。
○楠岡部会長 ほかに御意見はありませんでしょうか。よろしいでしょうか。
○新谷委員 両参考人の先生方にお聞きしたいのですけれども、日本の場合、なかなか患者様がどこで治験をやっているかという情報を探しにくいという現状が起こっているとお聞きします。特に海外に比べて、私がおりましたバンダービルト大学等では、リサーチマッチというような各大学病院をつないだネットワークというものを作っておりまして、それ自体を患者さんが見られるような仕組みを作っています。例えばClinical Trials.govのデータをダウンロードした上で、どこで今、組み入れの治験がやっているかという情報と、患者様がそれを見て自分の疾患と薬剤情報、あと、どれぐらいどれぐらいの距離を通えますかという情報を入れれば、ここで今、治験をやっていますよという、患者さんが参加したいということであれば、大学間で紹介するというようなICTを活用した仕組みもどんどん広まっています。それはNIHが主導でリクルートメントイノベーションセンター、そういう研究的資金というのも大学に配ってやっておりますので、そういう海外の事例と比較した上で、やはり日本は特に患者さんに対して、臨床試験の情報がすごく見えなくなっているのではないかと私個人では思うのですけれども、その辺はどうお考えでしょうか。是非、この辺は花井先生の御意見を聞かせていただきたいと思います。
○楠岡部会長 近藤委員、お願いいたします。
○近藤委員 ありがとうございます。新谷委員がおっしゃられましたように、私どもも現在、国内で治験情報を登録されているサイトとしてjRCTというのがあるかとは思うのですけれども、そのjRCTに登録されている内容というのが、患者さんがきちんと検索しやすいかといったら、検索しにくいというのが現状としてあるかと認識しております。その内容としては、jRCTの立て付けとして検索機能が余り機能していないという部分があるかもしれませんけれども、それ以外に私ども企業側からしてみたら、企業が登録している内容というのが、患者さん向けの平易な言葉ではないという部分も課題としてあるのではないかと考えておりますので、jRCTが検索性を高めていただくという取組も協力させていただきたいと思いますし、私ども業界としても載せる内容がきちんと患者さんに分かりやすい内容になるような形、また、すぐに探せるような形にできるような取組というのは進めさせていただきたいと考えております。現在も進めさせていただいております。以上です。
○楠岡部会長 よろしいでしょうか。花井委員、先ほど御指名がありましたので。
○花井委員 これは90年代からアメリカで、患者が主体的に治験情報を探している、当時はアナログでカードをくっているようなところを羨ましく思って、そういったことができないかと思っていました。いわゆる「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」のできるきっかけとなったドラッグラグという問題が生じていた折には、パイプラインも企業同士は秘密めいたものがあるので、噂みたいな感じになっていて、現行の薬の適応拡大か新薬か患者からは分かりにくいことがありました。大分あれ以降パイプラインもちょっと教えてもらえるようになっているのですけれども、そういったことは良くはなっていると思うのです。おっしゃるとおり、じゃあどこにアクセスしたらいいかというと、jRCTやPMDAのホームページにもいろいろ注文はあるのですけれども、情報が増えている割には患者側からのアクセスというのは非常に分かりにくいという現状があると思います。それからもう1点は患者側が、アメリカの例を見ると患者の意識が違うのですね。やはり自分から探していこうという、リテラシーという言葉は余り好きではありませんが、やはり治験や開発に対する国民患者の理解というのも異なるようには見えます。ですので、そういう意味で言えば、広く国民患者がこういう医薬品の開発ということへの理解を深めるということも重要ですし、それからアクセスしやすい環境というのは、やはり何か工夫が必要だと思っています。例えば今、レジストリ構築等でいろいろ苦労はしているのですけれども、いわゆるePROにプッシュ機能が付いていて、いろいろな治験にリクルートするとか、そういったICT、いろいろなツールによってやっていくのも良いと思います。それから今、患者さんはスマートフォンがデフォルトになっているので、やはりスマートフォンで扱ってアクセスしやすい情報ということが、今後は重要になっていくのかなというふうに思っています。お答えになっていますでしょうか。
○楠岡部会長 ありがとうございます。
○新谷委員 ありがとうございました。私が日本に帰ったときにリサーチマッチは何で日本で作らないのかと、いろいろな会議で聞いていたことがあったのですが、そのときに言われたのが、医師の先生に言われたのが、患者さんは自分の情報が分かっていないので、入力するなら医師が入力しないといけないと。患者さんに今、どの薬を使っているか聞いても、ちゃんと答えられないだろうというようなことを言われたのです。ですので、それを聞いたときに、アメリカではもうちょっと個人として自分で責任をもって管理するという意識もありましたので、すごく違うなと思ったのですけれども、やはり最近の方はインターネットからいろいろな情報が取れていますので、実は患者さんのほうもしっかりとした理解というのは進んでいるのではないかと思っています。ですので、やはり患者さんが自分で調べて、どういう治験に入りたいかというようなことを簡便に調べられるような仕組みというのは、本当に10年前からリサーチマッチというのはアメリカでは既にあって、日本でもいろいろなところで言っているのですけれども、患者さんは駄目だよみたいな形でずっと言われてきておりまして、是非、そうではないというところで、そういう仕組みを作っていただきたいと思っております。以上です。
○楠岡部会長 それでは藤原委員、お願いいたします。
○藤原委員 そういう事例は、既に日本ではたくさんあるということを紹介しておきたいと思います。本当は東の佐藤先生が言えばいいと思うのですけれども、例えば、がんの領域ではその辺は非常に進歩しておりまして、がん対策情報センターが持っている「がんの臨床試験を探すというサイト」は、患者さんがjRCTや様々な情報をちゃんとサーベイできるように、患者さん目線で作ったサイトです。そこでがんに関しては治験から臨床試験から全部把握することができます。それから希少疾病について言えば、希少がん患者会とも連携しながら、MASTER KEYプロジェクトやスクラム・ジャパンというプロジェクトをそれぞれ動かしていく中で、レジストリも構築していますし、患者さんがエントリーをしやすいようにしたり、そういうこともしていますので、これは疾患によってかなり濃淡があると思うのです。少なくともがん領域では、患者さん目線で治験に参画しやすいような動きというのはきっちりやられていると私は思います。だから、PMDAのサイトを先ほど花井さんからも御指摘いただきましたが、なかなか見にくいところがあるのですが、限られた予算の中で努力はしておりますので、更なる改善を今後も図っていきたいと思っております。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
○新谷委員 新谷です。すみません。仕組みはあるかと思うのですけれども、例えば私の母ががんになったときに必死で探したのですが、やはり個人的な情報の限界ということがあって、たどり着かなかったのです。私が探さなかったからなのか、そういうものはあるとしても、やはり周知されていない実状があるのではないかとも思います。ですので、やはりどれぐらいの患者さんがそういうものを認識して使われていて、そういうものを使った患者さんの何名が治験に最終的にたどり着いたかというような、データ分析ではないですが、客観的なデータも是非出していただきたいと思います。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ほかにはよろしいでしょうか。それではいろいろ御議論いただきましてありがとうございました。事務局では今回頂いた意見を集約しまして、今後の対応に反映していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。それでは議題2のほうに移りたいと思います。議題2は「前回部会における主な指摘事項への対応」ということで、こちらは報告事項となりますが、事務局より説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課課長補佐 事務局です。それでは、資料2-1「臨床研究中核病院の承認要件見直しについて」を御説明させていただきます。
2ページを御覧ください。前回、第37回臨床研究部会において、委員の皆様から御指摘いただいた主な事項について、御説明させていただきます。前回の部会で臨床研究中核病院を制定したときの目的、そのときにどういった視点で承認要件を定めたのか、その後、何が変化したのかをまとめてほしい、また特定領域の臨床研究中核病院の位置付けの整理を行ってほしいとの御意見を頂きました。
臨床研究中核病院は、1つ目の○ですが、革新的な医薬品・医療機器の研究開発を目的として設置されており、質の高い臨床試験の実施、人材育成、多施設支援等の役割が求められ、それに対応した要件を設定しています。
その後、1つ目のポツ、臨床研究法の制定及び施行、2つ目のポツ、診療の最適化のための研究への要求、3つ目のポツ、研究開発の高度化に伴う人材育成の強化と財政的リソースの効率化への要求、4つ目のポツ、リアルワールドデータの活用といった、新たな開発手法登場といった環境の変化がありました。
2つ目の○ですが、特定領域に関しては、既存の臨床研究中核病院や製薬企業による取組の下では、必要とされる研究開発がなかなか進まない疾病領域、すなわち小児疾病や難病等の重要な疾病領域の臨床研究・治験に関しては、国として国立高度専門医療研究センターの整備を行っており、疾病領域を特定した取組を行っており、それらの領域に特化した拠点の在り方について検討を行っています。
3ページを御覧ください。前のページの議論を踏まえ、スライドで示すように2019年当時、臨床研究中核病院の拠点の在り方について整理をしたものを再掲しています。
続いて4ページです。前回の部会において、創薬や診療ガイドラインに貢献した医師主導治験・臨床研究の成果がどのくらいあるかという御指摘を頂きました。そのため、各中核病院から提出していただいた、令和4年分の業務報告書に記載されているガイドラインの根拠となった論文数、薬事承認の根拠となった論文数をカウントしました。まず、左側ですが、診療ガイドラインの根拠となった論文数は195件。右側は薬事承認の根拠となった論文数ですが、26件、報告されていました。
続いて5ページです。今回、新たな調査を行い、医師主導治験と臨床研究を基に作成された論文が、診療ガイドライン、薬事承認につながった例を調査しました。本調査は、論文数をベースとしています。まず、ガイドラインの根拠となった論文数です。令和2年、3年、4年それぞれの年度ごとの実績を示しています。医師主導治験をベースとした論文でガイドラインの根拠となったものは2件から5件、臨床研究をベースとした論文では22件から41件、報告されていました。
続いて6ページです。医師主導治験と臨床研究を基に作成された論文で、薬事承認の根拠となったものを示します。年度による差はありますが、それぞれの年度ごとに薬事承認につながった論文が報告されております。
最後、前回の部会において、各拠点において特徴についてまとめてほしいという御指摘を受けましたので、資料9ページ以降に各拠点の特徴をまとめたPR版を再掲しています。資料2-1についての説明は以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。この報告に関しまして、何か特別に御意見はありませんか。よろしいでしょうか。佐藤(暁)委員、どうぞ。
○佐藤(暁)委員 ありがとうございます。我々もこの調査を受けて対応しているのですが、実は御注意いただきたいところだけ述べさせていただくと、これはもともと必須項目ではなくて、基本的には任意のところで各拠点に報告していただいて、また、どういった論文、どういったガイドラインが対象になるのかというところも、非常に曖昧なままで報告されているものだと理解しています。ですので、もちろん今回のこれがどうかということではないのですが、これをもし例えば、承認要件に入れるなど、検討するということになったときは、きちんと再調査をしないと非常に結果をミスリードするようなことになりかねないなということは、個人的には危惧しています。その辺りはこのデータに関しては、そういったものですということを御留意いただけたらなと思っています。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。また、事務局、その点も考慮いただければと思います。佐原委員、どうぞ。
○佐原委員 ありがとうございます。前回の委員会のときに、私から質問させていただいた点について、対応いただきましてお礼申し上げます。これは、先ほど佐藤(暁)委員が言われたような状況下で調査したものと認識しています。
その上で、委員のみなさまの肌感覚を伺いたいのですが、この件数は多いのか、少ないのか、いかがでしょうか。
○楠岡部会長 いかがでしょうか。今回、初めて出てきた数字なので、これまでは論文の数など、それだけを調べていて、ガイドラインや薬事承認につながった点についてまでは調べていなかったので、多いか少ないかというのは、今、佐藤(暁)委員から御指摘があったように、どれぐらいのレベルのガイドラインの変更につながったのか、あるいは薬事承認でも、そのキーになったのか、それとも参考資料として出されたのかなど、いろいろあると思います。そのレベルについては、詳しく調べないと多いか少ないかという判断もなかなか難しいのではないかと思います。
○佐原委員 ありがとうございます。やはり研究というのは、単年度で成果が出るものばかりではありません。複数年頑張って、このように結果が出たというのは、要件にするというよりもポイント制にするという意見が以前の会議で出ていたと思いますが、ポイントの加算になると、その研究をやっている研究者の方々のモチベーションになって良いのではと思っています。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。今の御指摘のように、長期の結果として、どういうものが出てきたかということのアウトカムを評価する形になるかと思います。それを、いきなり承認要件に入れるのは難しいと思いますが、逆に言うと、一旦承認した後で、アウトカムが出ない場合はどうするかという問題が、出てくるかと思います。その辺りの参考にもさせていただければと考えています。よろしくお願いいたします。ほかにはよろしいでしょうか。
それでは、続いて資料2-2、前回部会における主な指摘事項への対応で、臨床研究・治験推進に係る今後の方向性についての部分を、事務局より御説明をお願いいたします。また、後で質疑の時間も設けるようにします。よろしくお願いいたします。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局です。資料2-2「前回部会における主な指摘事項への対応(臨床研究・治験の推進に係る今後の方向性について)」を御説明させていただきます。前回第37回臨床研究部会において、委員の皆様方から御指摘いただいた事項について、臨床研究中核病院の要件見直しと同様に御説明させていだきます。
2ページです。前回部会においては、DCTの活用による具体的な成果について御質問いただきましたため、今回、患者さんが治験実施機関に一度も来院しない完全オンライン治験に、日本で初めて取り組みました愛知県がんセンターにおけるDCTの取組の成果について、御説明させていただきます。
まず、愛知県がんセンターにおけるDCTを活用した治験であるALLBREAK試験のスキームについて、御説明させていただきます。本試験は、希少がんに対する内服薬を用いた医師主導治験となります。がんの患者さんは、通常、主治医のいる病院に通っていると思われますが、主治医のいる病院においてパネル検査等において、特別な遺伝子異常があると分かった場合は、主治医のいる病院から愛知県がんセンターに対して、患者の連絡があります。その後、患者さんは主治医のいる病院において、主治医の同席の下、愛知県がんセンターの医師とオンラインで繋ぎまして、愛知県がんセンターの医師から治験の説明、同意が行われます。患者さんの同意後、治験が開始されますが、治験薬については愛知県がんセンターの医師が処方しまして、配送業者に依頼して、患者さんの自宅に配送されるということになっています。
その後、患者さんはパートナー医療機関である主治医のいる病院に行きまして、治験に必要な検査を受けます。治験の検査結果については、愛知県がんセンターに送られ、愛知県がんセンターにおいて検査結果の評価が行われるといったスキームになっています。このようにDCTを活用することで、試験参加者である患者さんは治験実施機関である愛知県がんセンターに一度も来院することなく、治験に参加するということが可能となっています。
試験参加者は、治験実施医療機関において対面診療で治験に参加するのか、それともオンラインを活用してパートナー医療機関である地元の病院での治験に参加するのかを選ぶことができます。本試験は全国で10か所の治験実施医療機関がありますが、自宅から施設が遠い患者さんはオンライン治験に参加されています。日本地図の中で黒で書かれている患者さんが、パートナー医療機関でのオンライン治験に参加している患者さんになります。
例えば北陸の患者さんですと、愛知県がんセンターまでは車で4時間かかるところですが、DCTの活用によりまして、愛知県がんセンターに来院せずとも地元の病院で治験に参加するということができています。このようにDCTを活用することで、ALLBREAK試験では日本全国から患者さんが治験に参加することができています。
DCTの活用による具体的な成果について、御説明させていただきます。まず、症例の集積性ですが、本試験では当初30か月で14例の登録を目標としていました。DCT、オンラインを活用することにより、患者数の40%、6例がオンライン診療によるものとなり、当初30か月であったところが22か月と、当初の予定を上回るスピードで登録目標を達成することができたということが報告されています。
また、治験に参加した患者さんに対して、治験に対する満足度に関するアンケートが行われています。結果としては、オンライン診療時に主治医の方が同席することで、補足説明が受けられ安心感があるといったことや、自分では伝えにくい状況について、かかりつけ医の主治医が説明してくれるということで、今までの主治医との関係が継続し、安心感があるということで、参加した患者さん全員が「とても満足」と回答したと報告されています。このようにDCTの活用について、高い患者満足度が得られるということが報告されています。DCTの成果について、説明は以上です。
続きまして、前回部会ではCIN事業について、成果が見つけられないといった御指摘がありましたので、CIN事業の成果について御説明させていただきます。CIN事業の成果については、令和元年にNCGMのホームページにCINポータルサイトを開設しています。CIN中央支援及び推進支援事業の各取組の成果として、全国のレジストリの検索やマッチング検索機能の公開、レジストリの作成に関する手引きや利活用を促進するためのナレッジブックなどの成果物の情報発信などを行っています。
御指摘いただいていますように、CINポータルサイトそのものの認知度を向上させる必要がありますので、CINポータルサイトそのものの認知を向上のために、レジストリ保有者、業界団体だけではなく、臨床研究中核病院等の治験実施者への広報や、レジストリ検索システムのハンズオンセミナー等の実施を行い、ポータルサイトに関する広報活動を今後、充実させていきたいと考えています。
また、参考として、レジストリの改修等を支援する補助事業の実績について、表の一覧のとおりまとめています。具体的な成果については御指摘も踏まえまして、今後、より分かりやすい形でポータルサイトでの公開を行いたいと考えています。
最後ですが、リアルワールドデータの利活用に関しまして、活用できるデータベースの調査と周知について、前回、御指摘がありましたので、「リアルワールドデータ(RWD)研究のためのデータベース選定ガイド」について、御紹介させていただきます。
背景の所ですが、令和4年度AMED研究開発推進ネットワーク事業において、リアルワールドデータ研究におけるRBAの実装を行いました。当該事業の成果として、リアルワールドデータ研究に使用するデータベース選定の概観が理解できるツールとして、リアルワールドデータ研究の基本的な考え方や主要なデータベースの事例についてまとめました「リアルワールドデータ研究におけるデータベース選定ガイド」を作成し、AMEDのホームページで公表していますので、その内容について御紹介させていただきます。
リアルワールドデータ研究のためのデータベース選定ガイドにおいては、臨床医学系のリアルワールドデータとして、保険請求データ、電子カルテデータ、患者レジストリと大きく3種類に分けられるといったリアルワールドデータ研究で使用されるデータベースの説明であったり、リアルワールドデータ研究におけるデータベースの選定のため、患者レジストリ、電子カルテデータ、DPCデータ、レセプト情報・特定健診等情報データベース、民間の保険請求データベースにおける主要なデータベースについて、名前や特徴を整理してまとめています。
このように、リアルワールドデータ研究を行うことが初めての方でも理解しやすいように、リアルワールドデータ研究の基本的な考え方や主要なデータベース事例などをまとめています。
最後ですが、医療・介護関係のデータベースの利活用促進の方向性について、厚生労働省の取組を御紹介させていただきます。現在、厚生労働省では医療等情報の二次利用について、厚生労働大臣が保有する医療・介護関係のデータベースについて、仮名化情報の提供を可能とするとともに、利用申請の一元的な受付、二次利用可能な各種データベースを可視化し、研究者等がリモートアクセスして、各種データを安全かつ効率的に利用・解析できるクラウドの情報連携基盤の整備をする方向で検討を行っているところです。資料2-2の説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 ありがとうございます。ただいまの事務局からの報告に関して、御質問がありましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。藤原委員、どうぞ。
○藤原委員 詳細に調べていただきまして、ありがとうございます。2点、コメントと質問があります。DCTのほうは愛知県がんセンターの事例、これは遺伝子変異がある非常にウルトラ希少疾患で、全固形がんで多分0.2%ぐらいしかないようながんを対象にしたものなので、こういうものに私はDCTは非常になじむと従前から思っています。DCTというのは、こういう希少疾病、ウルトラオーファンと呼ばれる領域、あるいは神経難病、御自宅で療養している方々がたくさんいるALSなど、そのほかの変性性神経疾患のようなもの、こういう領域では非常に有効な治験の方法だと思います。このDCTを導入するだけで、全ての疾患の治験が推進できるとは思わないほうがいいかなと私は思っていて、やはり得意な領域とそうではない領域を分けて考えるべきだと思っています。
今日は、先ほど製薬協の方も来られていたので、まだいらっしゃるようだったら、ちょっとお聞きしたかったのですが、DCTを導入すると各製薬企業ごとにDCTのシステムが違う、ソフトが違うと、それごとに各医療機関がシステムの対応をするなどになると、結局、最終的にはコストが上がってしまうようなことも懸念されるのですが。というのも、今はなくなりましたが、治験で心電図を記録しようとすると、各企業が全部違う心電計を持ってきて、病院の治験管理室が心電計であふれかえっているということがあったので、DCTの場合は全システム共通で、全世界の製薬企業がやってくれるということになるのかどうかという、その方向性を教えていただきたいというのが質問です。
2つ目、これは成果の報告について調べていただいたのですが、私はAMEDの成果報告の公表は非常に不十分だと思っています。AMEDにはAMEDファインドという成果報告を見るサイトがあるのですが、私もAMEDの研究をたくさんやっていましたが、年度末に成果報告書はきちんと出すのですが、それがAMEDのホームページ上で公開されるのは1年か2年、ものすごい時間がたってから公開されることが多くて、これはもう少しAMEDさんが努力してリアルタイムに成果報告書を出していただかないと、今日、紹介していただいたホームページというのはものすごい概略しか書いていないので、どういう成果があったかというのはほとんど参考にならないことが多いので、この辺は将来、AMEDさんには頑張ってほしいなと思います。
一方で、厚労科研などを見てみると、保健医療科学院に厚生科学研究の成果報告を検索するサイトがあって、そこを見ると半年か1年たてば、必ず成果報告書の全文がPDFでアップされていて、それを見ると詳細にその試験・研究がどうやられたのかが分かるようになっています。そこはAMEDファインドとの大きな違いなので、せっかく税金を投入しているわけですから、成果報告書はきちんと公開していただきたいと思いました。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。近藤委員、今の藤原委員からの御質問で何かお答えできますか。
○近藤委員 ありがとうございます。近藤です。藤原委員がおっしゃられたように、例えば希少疾患など、そういうところにDCTがなじむというのは、おっしゃるとおりだと思います。全ての疾患に対してDCTを組み入れないといけないということではなくて、疾患特異性など、そういう場所、場所によって、どういうDCTのコンポーネントを使うかということを選択して、実施していくというようなスタイルが好ましいのではないかと考えています。
おっしゃられたように、システムが昔の心電図のように医療機関の中であふれているいうケースもありますけれども、ある程度、汎用性があって、そのDCTの要素を各社が使うというような部分があれば、そういうところは標準化に向けて検討していかないといけないとは考えています。例えば、先ほど御紹介させていただいたようにオンライン診療など、そういうところは各社、かなり進めていこうと考えているかと思いますので、そういうところから標準化などを進めて、コストもかなり抑えながら実施できるような体制を、協力しながら作っていきたいとは考えています。お答えになりましたか。
○藤原委員 ありがとうございます。よく分かりました。
○楠岡部会長 ほかに御意見はありませんか。谷岡委員、どうぞ。
○谷岡委員 ありがとうございます。資料の12ページです。イメージで書いていただいているデータの利活用の部分なのですが、これはまた基盤法やNDBなどとは別かなと思ったら、この図の中に次世代の基盤法もNDBも入っているので、それぞれ動き出しているものも全て一元的に見ていこうということなのでしょうか。すみません、その辺を教えてください。
○楠岡部会長 これは。
○医政局特定医薬品開発支援・医療情報担当参事官室室長補佐 事務局です。こちらは、今も次世代医療基盤法の匿名加工医療情報とNDBの匿名化情報が連結できるというところは始まっています。また、一方で電子カルテ情報データベースというのは、今後、構築中のものになっていまして、一部進んでいるものと、今後進めていくものが書いていますが、全体の方向性としては、これらのデータベースを一元的に連結したり、連携して解析できるようなものを目指していく、そのようなイメージになっています。
○谷岡委員 ありがとうございます。具体的には、まだ、今からいろいろ検討するということですね。ありがとうございます。
○楠岡部会長 それでは、佐原委員、どうぞ。
○佐原委員 ありがとうございます。日本医師会の佐原です。ID-LinkやHuman Bridgeなどの地域医療連携システムが、国内の様々な地域で利用されていますが、地域医療連携システムを治験のオンライン診療の際に組み合わせると、セキュリティの高い診療情報の共有ができ、様々なデータを利用できるなと思いながら聞いてはいたのですが、そういった取組というのはされているものなのでしょうか。
○楠岡部会長 事務局、お答えできますか。
○医政局研究開発政策課治験推進室長 事務局です。一部では、ID-Linkなどで地域のネットワークでは扱われているのですが、恐らく治験の場合は日本全国ということが多いので、なかなかうまく使いこなせていないというのが現状ではないかという認識をしています。もし、近藤委員がお分かりになれば、補足をお願いしたいのですが。
○楠岡部会長 楠岡ですが、地域ネットワークの利用というのは、オンライン診療の中でいろいろ考えられているわけですが、現在のネットワークは病院、診療所間での電子カルテの内容を相互に参照できるというところで、そこにオンライン診療の画像などの実写場面を組み合わせたという例は、まだないと聞いています。一応、ネットワークがあるのでそれは使える、ネットワークとして使えるだろうけれども、まだそれを積極的に組み込んだという話は、私はちょっと聞いていません。よろしいでしょうか。
○佐原委員 ありがとうございます。システムによっては、オンライン診療とはまた別に、その病院の情報を設定次第で全国どこでも安全に共有できると思いますので、発言させていただきました。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。それでは、新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 ありがとうございます。資料の10ページと11ページです。まず10ページからなのですが、こちらに主要なリアルワールドデータの御紹介をしていただいたのですが、なかなか国レベルのリアルワールドデータは、アクセスがしづらいということを聞いています。例えばNDBに関しては、特定された大学の研究室に行かないと使えないなど、自分の病院で使いたければ、そういう基盤を整備しないといけないなど、なかなかハードルが高いと聞いています。最近の噂では、今後は申請から7日で使えるようになるということも聞いたりしているのですが、実際にどういう方が、どういう研究で使われているかというような情報も併せて調査をしていただければ、非常に助かります。
あと、ここにあるのは国が持っているデータベースなのですが、最近、商業用のリアルワールドデータもたくさん出てきていますので、私の個人的な見解を申しますと、商業的なデータベースのほうが今、アクセスがしやすくなっているというところで、多くの臨床研究には使われてきているのではないかなと思いますので、こちらのほうも詳細を調べていただければと思います。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。事務局から何かありますか。
○医政局特定医薬品開発支援・医療情報担当参事官室室長補佐 事務局です。先生、おっしゃるようにNDBがデータの利用申請をしてから、審査に時間が掛かること、あと、データを利用する際にその利活用の環境をしっかり整備しなければいけないというところで、負担が大きいということは承知しています。12ページのイメージの所には、そこでやっていたワーキンググループ、あと実際にNDB、あるいは介護データベースを所管している課の委員会でも、それらを解決していくために、どういうことがあり得るか、例えば窓口を一元化する、あるいはクラウド解析環境で解析できるように環境を整えるなど、そういったところが議論されていますので、丁寧に議論してやっていきたいと思っています。
○新谷委員 かなり偏った研究者、アクセスできる方は、無限にアクセスをできるというようなことも起こっているのです。例えばそこのデータベースを管理している研究室の人であれば、何百本も論文を出しているなど、アクセスしたい方は使えないにもかかわらず、使える人はどんどん使えているというような、すごく不公平な現状も起こっているのではないかと思いますが、そこは国としてはどうお考えでしょうか。
○医政局特定医薬品開発支援・医療情報担当参事官室室長補佐 事務局です。おっしゃるように、やはり一部の方が結構多く使われているというのはありますが、そういう意味で新規の方たちにも、NDBなどを活用していただけるような、学習していただくような環境を整備したり、あとは利活用者の側で特別な環境を準備しなくてもデータにアクセスして、研究できるような体制を整えていくことが大事かと思います。そのようなことを進めていきたいと思っています。
○新谷委員 そちらに関しては、また詳細をアップデートしてお知らせいただければ、非常に有り難いと思います。よろしくお願いします。
○楠岡部会長 それでは、ほかにはありませんか。よろしいでしょうか。佐原委員は、先ほどの、分かりました。ありがとうございます。
それでは、この前回の部会における主な指摘事項への対応の資料2-1、2-2も含めまして、臨床研究部会で報告を受けたということで、御了解いただければと思いますが、よろしいですか。
ありがとうございます。それでは、その次の議題に移っていきたいと思います。議題3「臨床研究中核病院に係る取扱い等に関する意見に関する社会保障審議会医療分科会への報告結果について」、これも報告事項ですので、事務局より報告をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課課長補佐 事務局です。それでは、議題3「臨床研究中核病院に係る取扱い等に関する意見に関する社会保障審議会医療分科会への報告について」の御説明をさせていただきます。資料3を御覧ください。こちらは令和4年度業務報告書で、特定臨床研究を主導的に実施した実績の要件が未達であった大阪大学医学部附属病院の取扱いについての御報告です。
8月に開催されました「第35回厚生科学審議会臨床研究部会」において、当該病院の取扱いについて先生方に御議論いただき、別添1のとおり意見書を作成し、先生方に御確認いただいた意見書を10月に持ち回り開催の形で、社会保障審議会医療分科会で御報告させていただきました。結果として、当該病院の取扱いについては特段指摘はございませんでした。
資料3の最後のページ、別添2を御覧ください。分科会委員より御意見を頂いております。1つ目の○、阪大病院は日本を代表して臨床研究をリードしていくべき臨床研究中核病院であり、承認要件を大きく上回るほどの実績が期待されており、人事異動等の要因に左右されないような人材面や実績等での層の厚さが求められている。臨床研究部会において、臨床研究中核病院の承認要件の見直しに向けた議論が始まっているということであるので、その議論の進展を注視する必要がある。
2つ目の○ですが、大阪大学医学部附属病院の説明に関して理解をした。
3つ目の○ですが、コロナ禍において、大阪大学医学部附属病院が重症患者の治療などで大変な状況にあったということが推察でき、コロナ禍が落ち着いたあとも、医師主導治験がもとのようにすぐにできるようになることの難しさも理解した。なお、別紙にあった、若手の研究者が臨床研究に対して意見交換の場を持つことはとても重要であり期待しているといった御意見を頂いておりますので、併せて御報告させていただきます。
説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 ありがとうございます。ただいまの説明と報告に関して、何か御質問、御意見はございますか。よろしいでしょうか。それでは、この「臨床研究中核病院に係る取扱い等に関する意見に関する社会保障審議会医療分科会への報告結果について」は、この臨床研究部会で報告を受け、御了解いただいたということにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
それでは、議題4「臨床研究法省令改正について」、これも報告事項となりますけれども、事務局からお願いいたします。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局でございます。資料4「再生医療等の安全性の確保等に関する法律施行規則及び臨床研究法施行規則の一部を改正する省令案について(概要)」の御説明をさせていただきます。臨床研究法の省令改正につきましては、委員の皆様には御連絡させていただきましたとおり、11月26日にパブリックコメントを開始しております。案件名は「再生医療等の安全性の確保等に関する法律施行規則等の一部を改正する省令案について」となっておりまして、再生法の方が頭に出ておりますけれども、この中に臨床研究法の改正も含まれているということになっています。このパブリックコメントの期間は、11月26日から12月25日の17時までとなっております。
資料4の御説明に入ります。1枚目の「1.改正の趣旨」の所ですが、2つ目の○にも記載しておりますけれども、本改正は当部会で御議論いただきました「臨床研究法施行5年後の見直しに係る検討のとりまとめ」の内容を踏まえて、所要の措置を講ずるものでありまして、この省令改正につきましては、先生方に第35回、36回、37回にわたり御審議いただきました内容で進めています。
2枚目になります。概要の中身ですけれども、この省令の中身に関する部分のみ御紹介しますと2ページの上から4行目、「イ 臨研則関係」と書いていますが、こちらは「臨床研究法施行規則関係」という意味ですが、(ア)及び(イ)は法改正を受けた省令改正の内容となっています。「(ア)研究目的で研究対象者に著しい負担を与える検査等を伴う研究の臨床研究法適用対象への位置づけについて」、中身が書いてありますけれども、「臨床研究の対象者に対して行われる検査その他の行為であって、当該行為が行われた場合における重大な疾病、障害若しくは死亡又は感染症その他の臨床研究の安全性に関わる事象の発生頻度又は心身の苦痛若しくは負担の程度が、通常行われる検査その他の行為と比較して相当程度高いと認められるもの」を規定することとする、としています。
続いて、「(イ)医薬品等の適用外使用に関する特定臨床研究等の対象範囲の見直し」については、特定臨床研究の対象から除外する用法等の具体的な内容について、「医学医術に関する学術団体が、適切な診療等の実施に係る指針の公表その他これに類する方法によりその実施を推奨するもの」又は医薬品を法何号と書いていますが、こちらは効能・効果が薬事承認どおりという意味で、そういった効能及び効果で用いるものであって、臨床研究の対象者に対する有効性及び安全性が認められるものとしてCRB(認定臨床研究審査委員会)が認めたもの。括弧といたしまして、部会の資料では但し書きとしてお示ししておりましたけれども、日本国内において診療等に用いられた実績が乏しい又は保健衛生上の危害が生じている用法等を除くとする、としております。
その他、省令改正の内容といたしましては3ページにございます。3ページの上から8行目以降の(ア)(イ)(ウ)ですが、「(ア)特定臨床研究の実施責任者」、こちらは臨床研究の全体を統括する統括管理者の内容となっています。「(イ)特定臨床研究の実施に係る疾病等報告」は、報告期日の変更及び効果安全性評価委員会を設置した場合の報告期日の取扱いの話。「(ウ)認定臨床研究審査委員会の更新要件等の見直し」ということで、CRBの認定更新に係る規定となっています。
4ページ、「4.施行期日等」に、交付日は来年1月下旬を予定。施行期日は改正法の施行の日、交付の日ですが、こちらは令和6年6月14日、そこから起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日であることを記載しております。
繰返しとなり恐縮ですけれども、パブリックコメントの期間は12月25日17時までとなっていますので、e-Govのパブコメのページから御確認いただきますようにお願いいたします。説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 ありがとうございます。ただいまの報告に関しまして、何か御質問はございますでしょうか。これまでこの部会で議論いただいたものをまとめ上げたような形になるかと思います。よろしいでしょうか。
それでは、この「臨床研究法省令改正について」に関しまして、臨床研究部会で報告を受けたということで御了解いただきたいと思います。ありがとうございました。
本日予定された議題は以上です。その他、事務局から何かございますでしょうか。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局でございます。参考資料の御紹介になります。参考資料1についてですけれども、CRBの設置状況を1、2ページに掲載しておりまして、先ほども話題に上がりましたjRCTに登録されている治験及び特定臨床研究などの状況についても、3ページに御紹介しておりますので、適宜御参照いただければと思います。
また、本部会の委員でございますが、明後日、11月30日をもちまして掛江委員、田島委員のお二人の委員が任期満了につき御退任されます。掛江委員、田島委員におかれましては平成29年、第1回臨床研究部会から御参画いただきまして、多くの貴重な御意見を頂きましたこと、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
残念ながら田島委員は本日御欠席なのですが、よろしければ掛江委員から一言御挨拶を頂戴できればと思います。お願いいたします。
○掛江委員 貴重な御時間をいただきありがとうございます。今、御説明いただいたとおり、今月で審議会委員を務めさせていただいてトータルで10年となりましたので卒業することになりましたが、専門家の先生と御一緒させていただいて大変多くのことを勉強させていただきました。心より感謝申し上げます。
生命倫理を専門とする立場の者として、患者の権利擁護、被験者保護の観点から非常にたくさんのことを考える機会を頂きました。今後は一研究者としてこれらの課題に取り組んでまいりたいと思っております。
なお、私は小児医療の代表というわけではないのですが、先天性の希少疾患や小児期発症の慢性疾患の小児難病の患者さん、それから御家族と接する立場から、部会の先生方にはこれまでと同様に、引き続き少数弱者が取り残されないような治験や、臨床研究推進の体制設計並びに運用を進めていただけたらというように願っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
部会の先生方並びに事務局の皆様、大変お世話になりました。ありがとうございました。
○医政局研究開発政策課室長補佐 ありがとうございました。最後に、事務連絡となります。次回の開催につきましては来年、令和7年1月29日(水)、16時から18時を予定しております。委員の皆様には追って事務局より御連絡差し上げます。事務局からは以上です。
○楠岡部会長 掛江先生並びに今日欠席ですが田島先生には第1回から、特に最初の頃は臨床研究法の省令を作らなければいけないという、大変ハードな時期にいろいろ御協力いただきましてありがとうございました。それぞれ、今後専門の分野でいろいろ活躍されることを祈念しております。どうもありがとうございました。
それでは、これをもちまして本日の臨床研究部会を閉会としたいと思います。どうもありがとうございました。