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- 2024年12月2日 第23回 健康・医療・介護情報利活用検討会医療等情報利活用WG 議事録
2024年12月2日 第23回 健康・医療・介護情報利活用検討会医療等情報利活用WG 議事録
日時
令和6年12月2日(月)16:00~18:00
場所
WEB会議
AP新橋 Eルーム(事務局、報道関係者のみ)
AP新橋 Eルーム(事務局、報道関係者のみ)
出席者
- 構成員(五十音順、敬称略)
-
- 秋山 祐治
- 印南 一路
- 小野寺 哲夫
- 小尾 高史
- 笠木 映里
- 近藤 則子
- 澤 智博
- 高倉 弘喜
- 武田 理宏
- 田宮 菜奈子
- 利光 久美子
- 長島 公之
- 山口 育子
- 山田 哲史
- 吉川 久美子
- 渡邊 大記
- オブザーバー(五十音順、敬称略)
-
- 岩津 聖二
- 植松 賢
- 内山 晃治
- 喜多 紘一
- 小泉 立志
- 高野 博明
- 高橋 肇
- 田河 慶太
- 牧野 和子
- 三好 圭
議題
(1) 全国医療情報プラットフォームで共有される情報について
(2) 全国医療情報プラットフォームと地域医療情報連携ネットワークに関する論点
(3) 救急時医療情報閲覧における利用可能な医療情報の追加について
(4) 病院の情報システムに関する現状と課題について
(5) 次の感染症危機に備えた、電子カルテ情報共有サービスの利用等について
(6) その他
(2) 全国医療情報プラットフォームと地域医療情報連携ネットワークに関する論点
(3) 救急時医療情報閲覧における利用可能な医療情報の追加について
(4) 病院の情報システムに関する現状と課題について
(5) 次の感染症危機に備えた、電子カルテ情報共有サービスの利用等について
(6) その他
議事
- 議事内容
- 1. 開会
【脊古室長補佐】 定刻になりましたので、只今より、「第23回健康・医療・介護情報利活用検討会 医療等情報利活用WGを開催いたします。皆様におかれましては、御多用のところ本ワーキンググループに御出席いただきありがとうございます。本日は、構成員の皆様におかれましてはオンラインによる開催とし、会場での傍聴は報道関係者のみとしております。その他の傍聴希望者は、傍聴用Zoomウェビナーから傍聴しております。また、正確な議事録作成や御意見を賜ったときの御意見等の整理を事務局等で正確に行うために録画させていただきますことも御承知おきください。
次に、資料の確認をさせていただきます。議事次第、資料1、資料2、資料3、資料4、資料5、参考資料1の計6点を事前にメールで送付しておりますので、WEB会議の画面上見えにくいときがございましたら、当該資料をお手元で御覧ください。
次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、秋山構成員から遅れてご参加されるとのご連絡、笠木構成員、山田構成員から途中で退席される旨ご連絡をいただいております。
会議中、ご発言の際は、「手を挙げる」ボタンをクリックし、澤主査の指名を受けてから、マイクのミュートを解除しご発言をお願いいたします。ご発言終了後は、再度マイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。事務局からは、以上となります。それでは、澤主査、議事進行につきましてよろしくお願いいたします
2. 議事
【澤主査】 それでは、本日の議題は6つ、
(1) 全国医療情報プラットフォームで共有される情報について
(2) 全国医療情報プラットフォームと地域医療情報連携ネットワークに関する論点
(3) 救急時医療情報閲覧における利用可能な医療情報の追加について
(4) 病院の情報システムに関する現状と課題について
(5) 次の感染症危機に備えた、電子カルテ情報共有サービスの利用等について
(6) その他
(1)、(2)、(3)、(4)は審議事項、(5)は報告事項となっております。まず、議題(1)「全国医療情報プラットフォームで共有される情報について」として資料1について事務局から説明をお願いします。
(1) 全国医療情報プラットフォームで共有される情報について
【脊古室長補佐】 事務局より全国医療情報プラットフォームで共有される情報についてご説明させていただきます。資料1をご覧ください。現在こちらのワーキンググループでも議論いただいておりますが、電子カルテ情報共有サービスで扱う情報の拡充の考え方や、医科の医療機関間を超えた各分野に関する情報について、今後の基本的な考え方をご審議いただきたいと考えております。
電子カルテ情報共有サービスで扱う情報の考え方について、続いて各分野に関する情報の考え方について、ご説明させていただきます。参考資料については、既存の資料のほか一部老健局の取り組みや薬局の取り組み等を付けております。
資料2頁目、電子カルテ情報共有サービスで扱う情報の考え方について説明いたします。医療DXの推進に関する工程表において、電子カルテ情報の標準化等については3文書6情報の共有を進め、順次対象となる情報の範囲を拡大していくこととしております。今議論いただいている電子カルテ情報共有サービスについては、診療情報提供書等のように直接やり取りされる情報と、6情報のようにデータベースに格納して医療機関等から複数の医療機関で参照する情報との2つに大きく分けられます。直接やり取りする情報については、診療情報提供書のように頻度が高いものから検討してはどうかと考えております。またHL7 FHIRの標準規格でやり取りすることを想定しているため、作成や受け取りの段階において、標準化された情報を利活用できる環境を整備していくべきと考えております。2点目にデータベースに格納して閲覧していく情報については、オンライン資格確認等システムの中に現在、レセプト情報や特定健診情報、電子処方箋情報の調剤情報がすでに共有されており、今後、電子カルテ情報共有サービス由来の情報も追加予定でございます。
閲覧できる情報を増加させていくことで、保存コストや医療従事者の負荷が増加することが懸念されます。そのため追加する情報については慎重に検討を進めていくべきではないかと考えております。一方、救急診療時や災害時等の場面においては即時性を持って閲覧できることも重要と考えておりますので、必要な情報を必要なときに見ることができる形で項目を検討してはどうかと考えております。また、情報を拡充していく際には、医療機関等のシステム改修も想定されますので、現場の負担軽減を図りつつ、拡充していくべきではないかと考えております。
続いて資料3頁目、医療介護連携について説明いたします。現在の運用を想定しますと医療機関と介護事業所間では診療情報提供書等のやり取りが発生していると承知をしております。電子カルテ情報共有サービスでは医科の医療機関間で診療情報提供書をやり取りできるように検討しているところですが、医療介護連携を想定すると、こういった標準化された情報を診療情報提供書に追加できるようにした上で、電子的な文書を共有できる環境を整えていくべきではないかと考えております。また、反対に介護事業所から医療機関へ送られる文書についても同様に電子的な文書で共有できる環境を整えていくべきではないかと考えております。その際、採用する規格や実装方法については、医療機関や介護事業所の運用負荷・システム改修の負荷、双方で活用できる観点も考慮して検討すべきではないかと考えております。また、ネットワークセキュリティ等も同様に考えていくべきと考えております。参考として、介護に関する情報は老健局の取り組みである「介護情報基盤」で情報共有予定です。また、希望する医療機関が閲覧することについても検討中です。こちらは資料17~18頁でお示ししています。
介護事業所等への連携以外に自治体に提出される主治医意見書につきましても、介護情報基盤で、提出方法についての検討が進められています。電子カルテからの電子的連携を今後検討する際におきましては、医療機関のシステム改修の負荷も考慮して検討を進めてはどうかと考えております。こちらも資料18頁の参考資料の方にお示ししています。
通常診療を考えた場合には、このような文書でのやり取りをベースとして活用できると考えておりますが、資料2頁目で申し上げたような救急診療時や災害時につきましては、速やかに情報を確認することが必要と考えます。介護情報の中でも、そういった観点で必要なものについてはデータベースに保存して連携する項目として追加してはどうかと考えております。真に必要な情報が必要なときにスムーズに見られることが重要ではないかと考えております。
資料4頁目です。5頁目では医療機関、薬局間の情報連携について整理してまいりたいのですが、現在オンライン資格確認等システムに登録されている、あるいは、今後登録されていく薬剤情報について整理を行った上で、議論いただきたいということで、こちらのペーパーを準備させていただいております。現在、オンライン資格確認等システムにはレセプトからの薬剤情報と電子処方箋管理サービスからの処方情報・調剤情報、今後は電子カルテ情報共有サービスからの処方情報が追加される予定となっております。こちらの閲覧期間は、レセプトベースの調剤情報が10日から40日程度と幅がございますが、それ以降は登録後5年間閲覧できるという形です。電子処方箋管理サービスからの情報については登録後100日間閲覧でき、電子処方箋管理サービスを導入いただくことでレセプトのタイムラグを埋めることができると考えております。最後に、電子カルテ情報共有サービスからの処方情報に関しましては、診療情報提供書等の文書に書かれた処方情報を抽出して登録する形となっております。例えば退院時に診療情報提供書を作成された段階で、まとまった最後の処方を共有できる等、入院中の処方が移り変わっていく中で最後にまとまった情報を見られることが重要ということで追加予定となっています。
資料5頁目は、そういった中で、医療機関、薬局間の情報連携について今後どう考えていくかというところでございます。工程表におきましても、薬局側から医療機関側に提供される服薬状況等のフィードバック情報に関して、内容や共有方法、必要性等についても今後検討するとされています。
現状の運用におきましても、残薬の情報や服薬状況は医療機関・薬局間で情報連携が行われてございます。こちらは参考資料の19~20頁で、主に連携されている内容についてお示ししております。緊急の場合は電話等のやり取りになってまいりますが、文書等のやり取りにつきましては、ファックス等での連携が中心となっており、電子カルテの取り込み作業等の業務負担が生じていると承知をしております。使用されている様式が地域によって様々であるといった面や、薬局と医療機関の連携方法についても様々なパターンがあると承知をしております。また、前頁目で申し上げましたような薬剤情報については、複数の薬剤情報が今後拡充されていく予定でございます。そういった中で今後の対応として、業務効率改善のために電子的な文書の連携について進めていくべきではないかと考えております。また、連携方法につきましては、この電子処方箋管理サービスや電子カルテ情報共有サービスといった、今検討している取り組みの中で、どういった形で行っていくのが円滑に情報連携を進められるか、必要に応じて現状の運用の見直し等も含めて整理していくべきではないかと考えております。情報の拡充という観点で考えますと、今検討されている項目以上に双方でさらに活用可能な情報であるか、運用負担やシステム改修の負担がそれに見合っているかというところを検討すべきではないかと考えているところでございます。最後に、地域で様式や運用が異なっていると申し上げましたが、そういった医療機関や薬局の情報連携におきまして、そういった点をどれぐらい標準化していくべきか、方法についても引き続き検討していくべきではないかと考えているところでございます。
6頁目は、看護に関する情報連携についてです。現状につきましては厚生労働科学研究におきまして、看護及び栄養管理等に関する情報の標準化に向けた取り組みを行っているところでございます。現在は医療機関と訪問看護事業所間におきましては、訪問看護指示書等の文書の連携がございます。文書の作成時や送付時に関する事務の業務負担が生じており、電子化によって業務効率改善につながる可能性があると考えております。
また、看護に関する情報につきましては、同一の情報を複数回記述していることも多く、現場に入力負担等が発生していると承知をしております。そういった中で、今後の考え方については上段で申し上げましたような情報の標準化の取り組みを進めることによって二重入力を極小化し、現場の業務負担を軽減するための方策を検討していくべきではないかと考えております。また、看護に関する情報をリソースとして定義し、医療の場面や介護の場面等、多職種で連携する上でどういった情報を標準化していくべきかを引き続き検討していってはどうかと考えております。また、その中で訪問看護師指示書等につきましては、業務効率化の観点から電子的な連携方法について検討を進めてはどうかと考えているところでございます。
7頁目、看護に関する情報連携について、もう一点お諮りしたい事項が訪問看護レセプト情報についてです。現在、診療情報等のレセプト情報につきましては、患者ご本人がマイナポータルを通じて閲覧できる仕組みと、医療機関や薬局において、オンライン資格確認等システムを通じてご本人同意の下で閲覧できる仕組みが運用しているところでございます。訪問看護ステーションにおきましても、本人同意の下で診療情報を閲覧することが可能となっており、令和6年6月からレセプトのオンライン請求とオンライン資格確認が開始となり、12月をめどに義務化される予定でございます。今回お諮りしたい事項といたしましては、追加されてくる訪問看護レセプトの情報を今後どうするかというところでございます。1点目がマイナポータルでご本人が閲覧できる仕組みとしてどうするか。もう1点目は、この訪問看護指示を行っている医療機関や受けている訪問看護ステーション以外で、この訪問看護レセプト情報の閲覧をすることについてどう考えていくかというところでございます。こちらの今後の考え方ですけれども、前頁でも申し上げましたような、訪問看護指示書等の連携方針や、看護に関する情報としての標準化の取り組み等もございますので、そういった点も踏まえて、今後追加するものとして、有用と考えられるデータ項目の整理を行った上で判断してはどうかと考えております。判断基準といたしまして、改修および運用にかかるコストの観点や、臨床上有用であるかといった点もございますので、調査事業も行った上で判断していきたいと考えているところでございます。
8頁目は歯科診療に関する情報連携についてです。現在、歯科診療に関する情報につきましては、歯科医療機関間や歯科-医科の医療機関間で、診療情報提供書等の文書の共有が行われております。こちらに記載されている内容につきましては、診療録に記載されている内容を再度記載する必要もございますので、文書の作成には時間を要することは多いと承知をしております。また、記載される歯科診療に関わる検査につきましては、歯科固有の検査が大半ということもございまして、現在の電子カルテ情報共有サービスで検討している検査の対象外でございます。そういった中で歯科診療の情報を標準化することで、より効果的・効率的な連携が可能となると想定されます。今後の考え方ですけれども、歯科診療に関する情報につきまして、歯科と歯科、歯科と医科の医療機関で、標準化すべき事項について整理を行うこととしてはどうかと考えております。また、整理後はFHIRプロファイルの検討・策定も進めていくこととしてはどうかと考えております。
また、この歯科に関する情報につきましては、歯科固有の部分も多いということで、健康医療介護利活用検討会のもとに別途ワーキンググループを設置し、検討を進めていってはどうかと考えております。電子カルテ情報共有サービスについても議論いただいている面がございますので、必要に応じて、報告いただくことで連携を図りながら進めてまいりたいと考えております。
資料の説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。
《意見交換》
【澤主査】 ありがとうございます。それでは今のご説明について、ご意見、コメント等ございますか。事務局からの回答につきましては、ある程度まとめてご回答いただくようにお願いします。長島構成員お願いします。
【長島構成員】 日本医師会の長嶋でございます。全体を考える上での原則というものがあるべきと思いました。日本医師会では、医療DXの目的を二つ想定しています。一つが安全、安心で、より質の高い医療の提供。もう一つが医療や介護現場の業務負担費用負担の軽減です。医療提供のことだけを考えれば情報は多ければ多いほどいいですが、現場の負担を考えれば、しっかりと絞ったものにするということが重要と思います。つまり、システムの導入や維持改修にかかる負担、あるいは、医療関係者の入力や閲覧にかかる負担を考えれば、情報が本当に必要なのか、必要性・有用性から優先順位をしっかりつけて限定的に慎重に検討しながら、徐々に拡大すべきだと考えています。その観点から申しますと、例えば2頁目のデジタルで共有するサービスのところの1つ目の黒丸部分について、やり取りをする文書においてはやはり頻度と有用性から考えると、診療情報提供書が重要ですし、それを活用する上で標準化が重要と思います。また2つ目の黒丸部分については、やはり電子的な情報が役に立つのは、より迅速に正確な情報が見たいときです。そういう意味では、まさに救急や災害時が最も役に立ちますので、ここのところを中心に考えながら、そこで役立つ情報を基本とすることが重要かと思います。現場の負担軽減、あるいはベンダー側の負担軽減を考えると、様々な機能を五月雨式に導入するのではなく、一括して、あるいは例えばパッケージとして導入できるようなことを考えていただかなければ、あまりにも負担が多すぎると思います。介護や医療・薬局間の連携についても、同じように有効性、有用性、必要性、また本当に現場でニーズがあるのかという観点から現場の負担を考えながら慎重に丁寧に検討すべきというふうに考えています。以上です。
【澤主査】 ありがとうございます。次に山口構成員お願いします。
【山口構成員】 ありがとうございます。今の長島構成員のお話にもございましたが、私も何でもかんでもあちこち手をつけていくよりは、必要なものから確実にしていくことが大事と思っています。2つほど質問があります。まず、薬剤に関する情報は、レセプトから得られる情報もさることながら、電子処方箋が導入されると、処方時の重複投薬や併用禁忌チェックができるとても大きな情報共有になると思います。しかし薬局の電子処方箋の導入は今5~6割ぐらいで、医療機関は数がまだまだ少なく、実際にこれがうまく運用できるようになるには結構時間がかかるのではないかと思っています。12月から今までの保険証の発行がなくなりましたが、今の保険証も1年間は使えますし、資格確認書は交付されます。マイナ保険証を持つ人がなかなか増えてこない現状の中で、厚生労働省として全体のスケジュールのゴールをどのあたりに見ているのか、全体の構想を聞かせていただきたいというのが1つ質問です。2つ目の質問として、先ほど歯科の情報連携のご説明がありましたが、歯科の情報を連携するのはおそらく保険診療の場合のみではないかと思います。歯科は自費の場合が多く、例えばインプラント等、材料によって自費になることもある。その場合は情報連携しないとなれば、歯科間の情報連携が十分なものにならないのではないかと危惧しているのですが、そのあたりはどのように考えてらっしゃるのか、その点を教えていただきたいと思います。以上です。
【澤主査】 はい。次に渡邊構成員お願いします。
【渡邊構成員】 はい、ありがとうございます。日本薬剤師会の渡邊です。私の方からも長島構成員や山口構成員からもあったように、全体像を見据えた上で何点か質問とコメントをさせていただきたいと思います。まず、資料4頁目のピンクの部分に実装予定として処方情報が書かれていますが、これは現在、電子処方箋の仕組みが導入されていることによる処方情報があり、既に活用が可能な情報と認識しています。これは山口構成員からもあったように、普及への過渡期という中での対応という部分で、考えられているのかを確認させていただきたいと思います。ただ、このために別のサービスを新たに構築するということになりますと、長島構成員からもあったように電子カルテからのデータ連結をさせるシステムの改修等々が発生し、資料の青い部分の電子処方箋管理サービスで生成される情報とまた違う形式で出てくることになります。そうなると費用をかけて情報のリソースをさらに複雑化させるということになり得ますので、その辺に関しては、十分に全体像の中での検討をお願いしておきたいと思います。また資料5頁に医療機関と薬局に関する部分の情報連携とありますが、これは書いていただいているように、電子的な文書情報にする必要があります。またその情報を電子的に活用することが有効な手段となりますので、本年の骨太の中にも標準化に向けての記載がなされておりますけれども、引き続き有用な電子的な情報活用のための検討をお願いしておきたいと思います。それと介護情報に関しましては、今後さらなる広がりを考える上では大変重要な医療介護連携の情報と思います。資料11頁の参考資料に書かれている全体像の部分から見ると、現在は介護情報に関してはこのプラットフォームのビジョンの外側、インターネットで情報のやり取りがなされている状況にあるのではないかと承知をしております。医療介護連携の中では大変多くの紙文書が存在している状況にありますので、これらを見据えたプラットフォームでの連携に関しては省内局間の連携という部分で協議が必要になると思いますので、ぜひお願いをしておきたいと思います。また、資料8頁の歯科診療に関して、現在は診療報酬体系等の中でも歯科治療における全身的な管理が必要な患者さんに関する情報連携で、薬局との情報連携が評価をされている部分があります。資料の対応策のところでは医科歯科間のみの記載となっておりますが、先ほど申しました評価がされている中にあっては、ぜひ薬局も含めた情報連携・情報共有を考えていく必要があると思っていますので、ここも合わせてお願いをしておきたいと思います。私の方からは以上です。
【澤主査】 はい。ご発言続くようですが、吉川構成員のご発言を受けて一旦ご回答がよろしいでしょうか。それでは吉川構成員、お願いします。
【吉川構成員】 はい、ありがとうございます。日本看護協会の吉川でございます。私の方からは看護に関する情報連携の対応案につきまして意見を述べさせていただきたいと思います。基本的にはこちらに示されております方向性に賛同いたします。6頁の対応案の1つ目の黒丸にあります、「医療介護で活用できるためには、どのような情報を標準化すべきか」ということを検討する際ですが、今は多くの専門職種が協働しながら1人の患者さんを支えているため、チーム医療の観点や業務負担軽減という観点から、患者情報として一体化していく形にできるのが良いのではないかと考えております。つまり、医師による診療情報、看護職による看護情報という風に職種ごとに考えていくのではなく、患者情報として一体的に捉えた上で、それぞれの専門職がその専門性に応じて必要な情報を入力していく形にできるのが良いのではないかと考えております。その時、診療情報以外の継続的なケアの情報については、医療と生活の両面から常に捉えております看護の情報をリソースとして定義して、医療・介護で活用できる情報を考えていく、このやり方に関しては賛同いたします。それから2つ目は訪問看護指示書についてです。医療機関と訪問看護事業所との間で、訪問看護指示書のやりとりが行われておりますが、訪問看護指示書だけではなく、訪問看護計画書、訪問看護報告書も併せて、三点セットで電子的な連携方法の検討をしていく必要があると考えております。この訪問看護の計画書や報告書は、医師からの指示をもとに立案した計画内容、目標、実施したケア、患者の状態の変化について、医師と訪問看護師が共有する非常に重要な情報であります。そのため、情報の標準化に取り組んで、訪問看護指示書、訪問看護計画書、訪問看護報告書、これらの情報の連携をぜひ実現していただきたいと思っております。それから7頁の訪問看護のレセプト情報の連携につきましては、調査事業の実施を通して臨床の意見も十分に反映していただきながら、有用なデータ項目の整理を進めていただければと思っております。以上です。
【澤主査】
はい、ここで一旦事務局からご回答をお願いできますでしょうか。
【新畑室長】 ありがとうございます。医療情報室長でございます。全体像の中で考えていくべきというご指摘について、まさにその通りと思っております。全体像につきましては、資料でも書かせていただいた通りです。これまで診療情報提供書等の文書で、異なる医療機関で行われた診療の情報等は情報連携がされてきたということで承知をしております。文章等で書かれている情報は、非常に詳細な情報をきちんと医療機関に伝えられるツールであると認識しております。そういった情報は、今まで患者さんに持参いただく、または郵送等で送っていた状況でしたが、デジタルの力を活用する上で、電子的に連携していく環境を整えていった方がいいだろうというところを全体の方向性とさせていただいております。情報連携を行う上で、現在電子カルテ情報共有サービスで情報を標準化しています。その中で、複数の医療機関で共有しても理解しやすい情報や、情報の利活用が進む状態で情報連携をしていった方がいいもの等の方向性をお示しさせていただいております。また、中央でデータベースとして活用する情報につきましては、引き続き臨床上の有用性を慎重に判断していきながら、コスト等も勘案し、検討を進めていきたいと思っております。電子処方箋の取り組みは、山口構成員からもございましたように、重複投薬や併用禁忌のチェック等、複数の医療機関から出されている調剤情報に基づいてチェックをかけられるため、国民の皆様、患者の皆様に安全な医療を提供する上で非常に有用なシステムではないかと考えております。引き続き普及に励みながら、普及を前提に、情報連携に関する検討を進めてまいりたいと考えております。また、渡邊構成員からございました介護につきましては、インターネットとはいえどもきちんとした認証システムを設け、セキュアな環境を整えながら検討を進めていると伺っております。医療と介護で多少ネットワークのセキュリティの環境等も異なりますので、そういった情報連携を進めていく上ではどういったあり方が適切かは引き続き検討してまいりたいと思っております。吉川構成員からございました看護の情報につきましては、本当に一人の患者を複数の職種がチームで見ていく時代だと思います。情報としてどういったものが必要か、例えば患者さんの状態のデータ等は複数の職種の中で大変有用ではないかと思われますが、そういった情報について、標準化ができるかを含めて引き続き検討を行い、必要な情報連携ができるように進めてまいりたいと考えております。歯科について、ご指摘の通り保険診療・自由診療、様々な診療情報が扱われると認識しております。その中で、今のところこれと決めているわけではございませんが、必要な情報が何なのか、ご指摘いただいた点を踏まえて検討してまいりたいなと思っております。以上でございます。
【澤主査】 はい、それでは小野寺構成員お願いします。
【小野寺構成員】 はい、日本歯科医師会の小野寺でございます。資料8頁の歯科診療に関する情報連携については記載されている通りでございます。特に我々は3文書6情報以外に歯式といって、カルテの1枚目に32本の歯がどういう状態か記録していくものがあります。今はデータ化され、口腔審査情報標準コードからそれらがわかるようなシステムも作りつつあります。また、この前福岡で行われました医療情報学連合大会においてHL7 FHIRのことに関して、歯科について色々検討が加わり、少しずつ進んでいるところでございます。いずれにしてもどういう情報を入れる・入れないについて、今後検討しながら進めるということをぜひお願いしたいと思います。先ほど自費診療の話が出ましたが、確かに歯科の場合、皆様多いと感じられている部分はあると思います。基本的に一番多いのが補綴物(ほてつぶつ)という歯がかけたりなくなったところに詰めたりかぶせたりするものについて、保険が効かない場合は、有名なものとしてセラミックやインプラント等の治療方法があります。どちらの場合でも歯式の情報はほとんど正確に記入をすることはできると思います。ですから、歯式の情報連携がうまく導入されればそれなりのものがわかるということになります。ただ、歯科の自費診療でも例えばホワイトニング等はそんなに診療に影響がないため、そういう情報は必要ありませんし、矯正治療に関しては保険診療に入る場合は骨に異常がある大変な場合のみです。いずれにせよ自費診療の特記事項みたいな項目があると、診療情報の提供としてはいいと思いますし必要だと思っています。私からは以上でございます。
【澤主査】 はい、小尾構成員お願いします。
【小尾構成員】 はい、東京科学大学の小尾です。ご説明ありがとうございました。私から2点コメントです。全国医療情報プラットフォームで共有される情報が拡充されることについては皆さんおっしゃっているように本当に必要な情報であるのかということをきちんと吟味しながら進めていただければと思いますが、ここで保持される情報は第一に医療機関に連携されることはもちろん、マイナポータルを経由して患者さんにも提供される情報が多くあるということなので、例えば現在PHR 等において連携するということを進めている場合、ここで置かれている情報は、PHR等に長期に保管されることが想定されるわけですから、そういう視点でどういう情報を連携するべきか、また保管するべきか考えていただきたいと思います。もう1点は、全国医療情報プラットフォームが情報拡充していくことで、介護や看護等、色々な人たちが接続することについてです。連携する組織が多くなるということは情報が増えることによるものではあるのですが、一方で、セキュリティのインシデント等の問題が起きた場合に、その責任の範囲がちゃんと明確にできるのかについて、そういう視点で検討を進めるということが必要かなと思いました。導入が簡単だからとか、比較的安いからというような視点だけで検討してしまうと、何かあった時の責任の所在がはっきりさせられないというようなことも想定されます。そういう意味では、どういうふうなセキュリティ技術、ネットワーク技術を採用していくのが適切かということについても、慎重に議論しながら進めていただきたいと思います。以上です。よろしくお願いします。
【澤主査】 はい、田河オブザーバーお願いします。
【田河オブザーバー】 はい、ありがとうございます。健康保険組合連合会の田河でございます。まず資料2頁について、各構成員からも出ております通り、本当に必要な情報は何なのか、そういう観点から考える必要があると思っております。1番目の黒丸で、「医療機関等でやり取りする情報については頻度の高いものから検討する」となっており、どれくらい利用されるのかという観点は適切であり、2番目の黒丸の「全国の医療機関等から閲覧できる情報の議論」にも当てはまるのではないかと思っております。また、2番目の黒丸では医療従事者の利用の際の負荷について記載されておりますが、検討に際してはそれだけでなく、システム改修や運用のコストといった面も踏まえて慎重に検討を進める必要があるのではないかと思っております。また、3頁以降には様々な情報連携について記載がございますが、検討を進める際の基本的な視点として、情報連携によるメリット、情報連携がどれぐらい利用されるのかという利用見込み、さらにコスト面の負担も明らかにしながら検討していくべきであると考えております。今回色々な情報提供の提案が行われておりますが、実際導入するとなった際に、システム改修等が五月雨式になると結局うまく進みませんので、厚労省の方で局をまたがる場合もあると思いますが、中長期的な視点に立って導入スケジュールを調整しながら進めていただきたいと思っております。以上でございます。
【澤主査】 はい、次に高倉構成員のご発言をいただいてから、一旦事務局からご回答をお願いします。では、高倉構成員お願いします。
【高倉構成員】 はい、高倉です。先ほどの小尾構成員の話と少し被るのですが、セキュリティ面のことでコメントをさせていただきます。まず、今回参加する機関が爆発的に増えることになりますので、セキュリティ上の不安が増えざるを得ません。では、どこまでをきっちり決めていくのか。例えば、訪問先での閲覧をどのようにするか等、テクニカルな面と制度の面をしっかりと検討していただきたいと思います。また、これはあまり適切ではないかもしれませんが、どうしても不適切な閲覧が起こり得る状況が生まれてしまうため、それを抑止する方法をしっかりと考えていただきたい。完全に防ぐのは、おそらく無理だと思いますが、不適切な閲覧があった場合、どこの誰がそれを閲覧したということがはっきりと追跡できるような仕組みを構築していただきたいと思います。以上です。
【澤主査】 はい、それでは事務局で一旦ご回答お願いできますでしょうか。
【新畑室長】 医療情報室長でございます。様々なご意見いただきまして誠にありがとうございます。小野寺構成員からは歯式について、また歯科の自費診療の部分についてご提案いただきました。ご意見いただいた点も含めて引き続き検討してまいりたいと思います。小尾構成員また高倉構成員からはセキュリティの重要性について示唆いただきました。セキュリティの確保については大変重要なポイントでございますので、きちんとしたセキュリティが確保されながら情報連携が行われるよう、テクニカルな面も含めて、引き続き検討してまいりたいと考えております。田河オブザーバーからコスト面の負担についてご意見をいただきましたが、こちらについても重要な観点であると思います。またシステム改修につきまして、省内の様々な部局が医療DXに関わっておりますので、改修が五月雨式にならないよう、省内の連携を取って、現場の皆様方にご負担をかけないよう引き続き検討を進めてまいりたいと思います。ありがとうございます。
【澤主査】 はい。では牧野オブザーバーお願いします。
【牧野オブザーバー】 はい、ありがとうございます。日本介護支援専門員協会 常任理事の牧野と申します。国民の皆様の受け止め方を考えますと、このシステムが動き、多くの方が関わることによって、どのようなメリットや有効性があるのかを理解していただくような手法もこの中で考えていく必要があると感じました。また、慎重に行わなければならないという状況から、長島先生がおっしゃった緊急時や災害時を中心にどのように運用していくのかというところから想定して、効率的に検討していくという考え方に賛成させていただきたく思います。多くの方々が関わる中で安全に進められるよう、またできるだけ担当者の負担が増えないような形で、さらにコストのこともお考えいただいていることについて感謝申し上げます。どうぞよろしくお願い致します。
【澤主査】 はい。長島構成員お願いします。
【長島構成員】 はい、先ほど小尾構成員がおっしゃったことに関連してですが、情報元の施設以外の施設の人が情報を見る、あるいはご本人が情報を見る場合に、おそらくどうしても見方等で誤解や混乱が生じるとことを大前提に考えるべきです。したがって、そのような誤解や混乱が起こらないように、どのような見せ方をするのか、あるいはどのような標準化をするのかということをまず検討していただくことが必要です。また特に国民に対して、これは山口構成員がよくおっしゃっていることですが、その情報の見方や活用の仕方についてしっかりとリテラシーを上げていくこと、適切な使い方をしていただくこと、これらを同時に行っていかなければ、おそらく大きな混乱や支障が起こると思います。特に情報の中でも傷病名は非常に慎重に丁寧に検討しなければ大きな混乱が起こりますので、このあたりをしっかりと対応していくべきと考えています。以上です。
【澤主査】 はい。武田構成員お願いします。
【武田構成員】 よろしくお願いします。基本的に慎重に情報を広げていくという方針には賛成ですが、やはり医療情報共有サービスに関しては、性急に動いているところもあり、様々な医療安全上のリスクのようなことが十分に検討されてないところもあると思います。医療機関同士が情報過多となることによって見落としが起こるリスクや、見落とした時の責任問題、患者さん自身に見せることによって生じる新たなリスク等です。そのため、今動いている3文書6情報のところだけでもしっかりと医療安全上のリスク等を評価した上でどうやって広げていくかという今行っていることの評価についてもぜひともお願いしたいと思います。以上です。
【澤主査】 はい。田宮構成員お願いします。
【田宮構成員】 はい、ありがとうございます。今までの構成員の方のご指摘と近いところはありますが、改めてお願いしたいのは介護についてです。介護現場はLIFEの導入等、急に入力作業が増えて大変になっているところです。これ以上何か増やすことは非常に大変なので、ぜひ現場の声を聞き、介護の現場がどうなっているか確認したうえで進めていただきたいと思います。介護においては、生活を支えるために必要な医療情報もありますが、やはり医療実施のための医療情報とは性質が違いますので、これ以上現場の負担を増やさないように心からお願いしたいと思います。2点目は全体的なことについてです。今まで色々な書類を色々な人が何度も書く複数回の記述をするという状況があり、それを避けるという方向で、このようにつながって運用することはとても良いと思います。ただその際に、最初に記入されたものがどんどん使われていく場合もあると思うので、いつ誰が記入したのかを辿れるようにしてほしいと思います。また大分前の情報がそのまま残っていたりすると混乱を招くので、システム上で工夫していただきたいという思いがございます。以上2点です。よろしくお願いします。
【澤主査】 はい。利光構成員お願いします。
【利光構成員】 愛媛大学の利光です。よろしくお願いします。先ほど田宮構成員、ならびに吉川構成員がおっしゃられた内容について、私もお願い方々発言をさせていただきます。情報についてはボリュームがあれば良いというものではないと思うのですが、今回訪問看護指示書等の検討にあたっては医療、介護で活用できるため、どのような情報を標準化すべきか引き続き検討を行うということでした。このことについては吉川構成員がおっしゃられましたように、多くの多職種をもってチーム医療を行っているところかと思いますので、ぜひ検討にあたりまして、看護またそれに関連する栄養やリハビリ等の色々な職種に関しても合わせて検討いただけますと幸いでございます。よろしくお願いをいたします。
【澤主査】 はい。内山オブザーバーお願いします。
【内山オブザーバー】 はい、全国健康保険協会の内山でございます。私からのお願いはコスト面についてです。先ほど田河オブザーバーからご発言がありましたが、費用負担のあり方について、今後議論していただくことになると思いますが、議論をする際に各関係者の利活用の場面等を整理していただき、その役割や受益等も踏まえた上で、関係者間で十分な議論をする場を確保していただき、検討を進めていただきたいというお願いでございます。先ほど事務局の方から回答いただいておりますので、ご回答は結構でございます。私からは以上です。
【澤主査】 はい。それでは事務局お願いします。
【新畑室長】 医療情報室長でございます。ご意見いただきましてありがとうございます。皆様方からメリットや医療安全性をきちんと示し評価していくべきというご指摘をいただきました。まさにその通りだと思っております。国民の皆様にいいサービスを提供していけるようにこういった評価等も含めて、有用性を検証してまいりたいと思っております。また、例えば中央に格納していく予定のアレルギー情報や病名の情報はどうしても文章で書かれる情報と比べて断片的な情報になるため、情報を扱う上できちんとそれが理解できる形で伝わらなければ非常に危ない状況になり得るという認識を持っております。そのため、医療上、安全上のリスクを踏まえながら、どういった連携・運用がよいのかも合わせて検討を行ってまいりたいと思っております。
【澤主査】 ただいま委員の方々からいただいたご意見を踏まえ、事務局において対策案を修正していただきます。修正案については、主査である私に一任いただくことでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、続きまして、議題(2)「全国医療情報プラットフォームと地域医療情報連携ネットワークに関する論点」として、資料2について事務局より説明をお願いします。
(2) 全国医療情報プラットフォームと地域医療情報連携ネットワークに関する論点
【脊古室長補佐】 事務局でございます。続きまして、議題2の全国医療情報プラットフォームと地域医療情報連携ネットワークに関する論点ということで、資料についてご説明差し上げます。資料2頁目については、前回の6月10日のワーキンググループにおきまして、全国医療情報プラットフォームと地域医療情報連携ネットワークのそれぞれの役割についてどう考えるかといった点と、地域医療情報連携ネットワークに対する今後の補助についてご意見頂戴したところでございます。上段が、主にいただいたご意見です。簡単に述べさせていただきますと、- 両者の棲み分けや役割分担が重要である
- 両者それぞれでしかできないことが何なのかという整理が必要である
- 地域医療情報連携ネットワークが活発な地域とそうでない地域の整理が必要である
- ネットワーク回線等のうまく連携できるような内容については全国医療情報プラットフォームとの連携を検討していく
- 全国医療情報プラットフォームと併用して有効に使えるところについては補助していくべきである
- 現状は補助を継続し、全国医療情報プラットフォームが充実したら見直すべき
【澤主査】 ありがとうございます。それでは今のご説明について、御意見、コメント等ございますか。事務局からの回答については、ある程度まとめてご回答いただくようにお願いします。長島構成員、お願いします。
《意見交換》
【長島構成員】 地域医療連携ネットワークと全国医療情報プラットフォームの併存を見据えて現状の把握を行っていくということには大賛成であります。例示していただきました、日本医師会総合政策研究機構の「ICTを利用した全国地域医療情報連携ネットワークの概況」の最新版(2023年版)でも、この全国医療情報プラットフォームとの連携・併存を見据えた質問をいくつかしています。医師の診療録の開示状況・看護記録・画像や病理等の各種レポートの開示状況・救急時の閲覧状況でどのような情報が閲覧可能か(例えば、検査、薬剤、画像、病名、診療そのもの、手術等)、それらがどれぐらいの割合であるか。多職種連携システムとして医療介護、多職種の連携にどのような機能があって、どれぐらい使われているか。それから広域性ということで言うと、隣接する地域との連携がどの程度行われているか。そのような観点で質問を行っております。あるいは電子処方箋やオンライン資格確認との連携をどう考えているかという質問をさせていただき、その結果も公表しておりますので、参考にして進めていただければありがたいと思います。また、地域医療連携ネットワークを今後より有効に使っていくためには、全国医療情報プラットフォームとの連携が必須と思います。そのために、医療DX側のオンライン資格確認や全国医療情報プラットフォームのインフラ基盤を地域医療連携ネットワークでどう活用できるかというシステム上の検討も必要ではないかと思っています。私からは以上です。
【澤主査】 ありがとうございます。事務局から回答ございますか。
【新畑室長】 医療情報室長でございます。まさにそういった観点で検討が必要だと思っております。いただいたご意見を踏まえて、検討を進めてまいりたいと思います。ありがとうございます。
【澤主査】 それでは、こちらの施策を進めることに、御承認を頂きたいと思いますが、よろしいでしょうか。はい。
それでは、続きまして、議題(3)「救急時医療情報閲覧における利用可能な医療情報の追加について」として、資料3について事務局より説明をお願いします。
(3) 救急時医療情報閲覧における利用可能な医療情報の追加について
【佐々木情報推進専門官】 澤主査、ありがとうございます。事務局より資料3についてご説明を差し上げます。まず、救急時医療情報閲覧機能におきましては、本ワーキンググループの中でお諮りをし、構築を進めている状況でございます。本日は、閲覧可能な情報の拡充についてご審議をいただきたいと思います。なお、本ワーキンググループに諮るにあたって、事前に日本救急医学会様、日本臨床救急医学会様の2学会からご意見をいただき、本日のご提案となっております。それではよろしくお願いいたします。まず資料2頁目のご確認をお願いいたします。こちらは、昨年度の9月に行いました第18回ワーキンググループの際の資料を再掲させていただいております。こちらの資料で概要を改めてご説明いたします。救急時医療情報閲覧機能は、従来のマイナ保険証と本人同意を使った医療情報閲覧をもとにした、救急時向けの機能となっております。上段が通常時で下段が救急時でございます。救急時には生命の危機や身体の保護の必要がある場合において、個人情報保護法の例外規定に則り、意識のない患者や意識はあるものの意思表示が難しい状況にある患者に対して、同意不要での閲覧をすることができます。これらをシステムに落とし込むにあたっては、個人情報保護のセキュリティの観点から、閲覧者は有資格者とする院内における権限設定や、電子カルテの二要素認証などを必須としつつ、救急時の利便性向上のために、通常時の閲覧内容をサマライズ化する形の救急サマリーを見ることができるなどの機能を備えている次第です。こういった機能によって、意識のある救急患者さんにもご利用いただける利点のあるシステムとなっております。この救急時医療情報閲覧機能は現在構築中でございまして、今月12月にリリースの予定となっております。まずは三次救急医療機関を中心に、順次導入が進む見込みとなっております。なお、リリース当初はシステム開発の都合によって、まずはマイナ保険証での本人確認に限定をして運用をし、追って4情報検索機能をアップデートしていくという形でのリリースを予定しております。
資料3頁目でございます。今回の本題のスライドとなっております。お諮りさせていただきたい内容は2点ございまして、1点目が電子カルテ情報共有サービスの開始に伴い、データベースに入っていくこととなっている6情報について、救急時においても有用と考えられるため、閲覧できる形として進めさせていただきたいこと。2点目が、閲覧できるようにした場合、救急用サマリーにおいては、後ほどご説明させていただくPDFレイアウトにて進めさせていただきたいという2点になっております。救急時医療情報閲覧機能で提供される情報は、すでにオンライン資格確認等システムのデータベースで所有している、レセプト情報、特定健診、電子処方箋の情報をもとに生成している情報です。これらの医療情報ですが、電子カルテ情報共有サービスがスタートしますと、傷病名、感染症情報、薬剤アレルギー等情報、その他アレルギー等情報、検査情報、処方情報の6情報が増えることとなっております。これらの6情報は、先ほどご説明した通り、救急時にも有用であると考えておりまして、救急サマリーにもこれらの6情報を組み込むこととさせていただけばと思います。4頁目になります。こちらは参考情報としてですが、今年3月のワーキンググループの際にお示しした資料を再掲させていただいております。先ほどご説明しました6情報においての詳細となっております。傷病名、感染症、薬剤アレルギー、その他アレルギーは5年分、検査は1年間もしくは直近3回、処方は100日もしくは直近3回となっております。5頁目になります。これら6情報についてサマリーに入れることを念頭に、具体的なPDFレイアウト案をお示しいたします。救急時医療情報閲覧では、XML形式とPDF形式の情報提供になります。XMLにつきましては、各医療機関の電子カルテの仕様に合わせて閲覧いただけますが、PDFについては、本体システム側で生成しますので、全国一律となっております。このことから、最適なレイアウトの作成にあたり、サマリーとして表示順、表示期間について、最初にご説明しました通り、日本救急医学会様、日本臨床救急医学会様の2学会にご協力をいただいて、本日のご提案の案とさせていただいております。中身ですが、灰色の部分がもともとのサマリーに入っている情報です。ピンク色の部分が、今回追加させていただきたい6情報です。基本的には優先度順に並んでおります。具体的には、かかりつけ医などの連絡先を最初に確認できるように、受診歴は最も上に配置しています。もともと表示している各種レセプト情報でございますが、サマリーということで、3ヶ月分を基本とさせていただいています。一方で受診の多い方などは、3ヶ月だとしても情報量が多くなってきてしまいます。そのため、救急用サマリーとしてのレイアウトとしては一覧性を重視し、レセプト情報は基本的には後ろの方に配置し、その代わりに6情報を上の方に配置させていただいております。ただし、レセプト情報のうち、手術情報につきましては、有用性が高い項目ということと、情報量もそれほど多くないため、上の方に配置させていただいております。ピンク色の6情報が5つしかサマリーに入っておりませんが、表示させていないのは処方情報です。これにつきましては、電子処方箋とレセプトにおける薬剤情報がもともと入っている関係上、内容が重複しますので、サマリーには載せない形にさせていただいております。ただし、これらサマリーにつきましては、全量版と呼んでいる通常時の情報が後ろに付属する形になっております。頁をおめくりいただくような形になってしまうのですが、必要な場合には、後ろに付属している情報を確認することが可能になっております。続く6~7頁目につきましては、ご参考までに、今回のご提案を反映したPDFのイメージをつけさせていただいております。説明は以上となります。ご審議をよろしくお願いいたします。
【澤主査】 ありがとうございます。それでは今のご説明について、ご意見、コメント等ございますか。事務局からの回答については、ある程度まとめてご回答いただくようにお願いします。山口構成員お願いします。
《意見交換》
【山口構成員】 ありがとうございます。ご提案については、救急現場のご意見を反映させているということで、とても良いと賛成したいと思います。救急時閲覧機能ですが、まさしく、国民にこのようなことが始まっていると伝えていただく必要があるのではないかと思います。例えば、今すぐではないようですが、氏名、生年月日、性別、住所が分かれば必要な情報を共有してもらえるということを伝えていただくことで、日頃からこのようなものを携帯する、自宅のわかりやすいところに置いておくという準備ができるのではないかと思います。特にマイナ保険証から始めるということですので、そのことも伝えていただきたいと思います。高齢者でマイナ保険証がなかなか進んでいないという現状がありますが、例えば子ども世代の人が高齢者救急を利用する可能性が高いので、マイナ保険証を持っておくとすぐに情報を共有してもらえるという発想にも繋がるかと思います。急ぎ国民へ周知する必要があると感じましたので、国民への周知の予定について教えていただきたいと思います。以上です。
【澤主査】 長島構成員お願いします。
【長島構成員】 今、山口構成員のお話にもありましたが、医療DXあるいはオンライン資格確認のメリットがなかなかわからない、実感しにくい中で、災害時と救急時に医療情報を迅速・正確に閲覧できることで命を救うことに直結することは、国民の皆さんにも肌感覚でわかりやすいメリットかと思います。この部分をできるだけわかりやすく周知していただきたいと思っています。その観点から申しますと、まさに救急時に有用性が高いので、当然6情報を救急時にも閲覧できることには賛成です。また救急用サマリーも救急医学会のご協力をいただいて作成したということで、特に異論はございません。その上で、救急用サマリーは、情報を迅速に見たいときに非常に役に立つと思いますので、これを閲覧できるケースを拡大していくことをぜひ今後ご検討いただければと思います。以上です。
【澤主査】 小尾構成員お願いします。
【小尾構成員】 ご指名ありがとうございます。情報を増やしていくということについては、皆様のご意向ということもありますので、特に異論はありません。一方で、資料2頁の下の方に「消防庁において検討中」と記載されています。この点について、病院では本人同意が取れないような場合においても基本的には閲覧できることになっていますが、総務省の検討については、オプトアウトを一部認めるというようなことも伺っています。救急隊と医療機関で取り扱いが異なってくることは、国民側の誤解を招いてしまうことも危惧されるかと思います。例えば、消防庁の方でオプトアウトを認めた場合に、医療機関に関しても自分はオプトアウトをしたと認識してしまう人たちが一定数出てくる可能性があるかと思います。ここについては慎重に取り扱わなければいけませんが、できるだけ足並みを揃えた形で検討を進めることも必要だと思います。今後慎重に議論していただければと思います。以上です。
【澤主査】 武田構成員、お願いします。
【武田構成員】 ありがとうございます。救急情報を広げていくことは本当に賛成しております。1点気になっているのは、傷病名や感染症、禁忌アレルギー等情報で長期保存フラグがあるかと思いますが、長期保存フラグがついているものも5年しか見せないのか、一度確認をいただけるとありがたいと思います。感染情報など、5年前でも救急時に知っておいた方がよい情報もあるかと思います。アレルギー等の情報も、医療機関の受診が少ない方では、5年以上前の情報が役立つこともあるかと思います。医療機関側が長期保存フラグをあえて立てているものに対して、情報が膨れるという懸念を救急側が思われているのであれば不要かと思いますが、医療安全上どちらが良いか確認いただけるとありがたいです。以上です。
【澤主査】 ご発言を最後まで続けていただきますので、近藤構成員、渡邊構成員と続けていきます。では近藤構成員お願いします。
【近藤構成員】 近藤でございます。私たちは高齢者・障害者のIT活用支援のボランティアをしております。インターネット防災訓練を3年前から行っておりまして、マイナポータルやマイナ保険証のメリットを全国のシニアの人たちに伝えるお手伝いをしている団体です。先程どのように国民に広報をされるのかとお聞きになった方がいらっしゃいましたが、市民団体もこのようなことをやっていますし、皆さんのような専門家の方たちがどのように広報されるのか、もう少し主体的に発言していただけると嬉しいなと私たちは思います。むしろご一緒にやっていただけないかと感じております。これまでは、家族が退院した時に、しっかり糊付けされた封筒の中に入っていた傷病名などが、マイナポータルのような形で患者の家族にも分かるようになってくるのは本当にありがたい画期的なことだと思います。患者の意思を尊重するACPの相談や、在宅ケアには、患者本人、家族とケアチームとの情報共有は不可欠ですが、これまでは医師の多忙などで主治医の参加が困難だった経験がありますが、ネットでの情報提供がすすめば改善できるのではないでしょうか?
また、高齢者は、脳梗塞などで入院すると多くの場合は転院することになり、複数の医療機関でその都度、再検査が必要となり費用が発生します。 電子カルテの情報共有がすすめばこうした検査費用の一部は削減されるのではないでしょうか? ぜひ電子カルテの情報共有を進めていただけますよう心からお願いいたします。
【澤主査】 渡邊構成員お願いします。
【渡邊構成員】 ありがとうございます。渡邊です。救急時における情報の活用とサマリーの構成案というのは大変賛成するものでありますので、進めていただければと思います。私の方からは、武田構成員が言われた部分と同じ内容の部分についてです。手術情報や薬剤等のアレルギー情報に関しては、年数に関わらず、長期フラグを立てたデータとして取り扱う必要性があるのではないかと思います。このワーキングの中でもそのような話が出ていたかと思います。そのあたりのデータの取り扱いを今後どのようにされるのか、質問をしたくて手を挙げておりました。私からは以上です。
【澤主査】 牧野オブザーバーまでお受けしてから事務局にお願いします。牧野オブザーバーお願いします。
【牧野オブザーバー】 意見でございます。国民に伝える方法について考えたのですが、有効性や有用性についてA4 1枚ぐらいの文章を頂戴して、様々な専門職や地域の方々と共に広めていく、理解をしていただく方針で進められれば、皆が同じ文言で伝えていくことによって齟齬がないということや共有が図れるという利点があると思いました。よろしくお願いいたします。
【澤主査】 それでは事務局お願いします。
【新畑室長】 医療情報室長でございます。ご意見いただきまして、誠にありがとうございます。山口構成員や近藤構成員からもございました、国民にどのように周知をしていくかは非常に大事な観点だと思っています。電子カルテ情報共有サービスもそうですけれども、医療DXの取り組みがどのように役に立つのかをどう伝えていくか。どのような媒体を用いて広報していくか、委託事業等含めて検討しております。早急に方略をまとめて周知を進めてまいりたいと思っております。同時に、我々が医療現場の皆様方に有用性をお伝えしていかなければ、皆様方から国民や患者さんに有用性を伝えにくいのではないかとも思います。引き続き我々から関係者の皆様方に有用性についてお伝えし、一緒に良いサービスにしつつ周知を図ってまいりたいと思っております。その際はご協力のほどよろしくお願いいたします。情報の取り扱いについてですが、ご指摘がございました長期保存フラグは、基本的にはシステム上管理できる情報だと思いますので、含めていく方向で検討してまいりたいと思っております。詳細につきましては、日本救急医学会などのご意見も踏まえながら、引き続き検討してまいりたいと思っております。渡邊構成員からございました、レセプト情報の中の手術情報について、以前こういったご意見があったと認識しております。レセプト情報は、今膨大な情報になっている中で救急サマリーに含めておりますので、レセプト情報自体をどのようにしていくか、引き続き検討がいると思います。その中で、手術情報を統一していくかも含めて引き続き検討してまいりたいと思っております。以上になります。
【澤主査】 ありがとうございます。それでは審議に移ってまいります。審議事項は2点です。「救急時医療情報閲覧において6情報を閲覧できる」、「救急サマリーにも6情報を組み込む」という形で、こちらの施策を進めることにご承認をいただきたいと思いますがよろしいでしょうか。はい、ご承認をいただきましたのでこの形で進めてまいります。それでは、続きまして、議題(4)「病院の情報システムに関する現状と課題について」として、資料4について事務局より説明をお願いします。
(4) 病院の情報システムに関する現状と課題について
【杉山室長補佐】 それでは、資料4の病院の情報システムに関する現状と課題について、ご説明いたします。
資料1頁でございます。この頁は、現状・課題、目指すべき姿についてです。まず上段、現状と課題についてですが、少子高齢化の進展などによって、医療費の増加や医療の担い手不足が課題となっています。そうした中で、より質が高く効率的な医療提供体制を構築していく必要があり、医療DXを進めているところでございます。それによって、医療情報の共有や利活用を推進しているところでございます。一方で、コロナ禍以降、病院の経営が非常に厳しいと承知しております。特に昨今、電子カルテや、レセプトコンピュータ、部門システムなどの情報システムの関連経費が増加しており、病院経営を圧迫している状況だと認識しております。次の矢印ですが、これまで病院で採用しているシステムというのは、主にオンプレミス型で、右の図の絵にありますように、各病院でインフラ、データベース、アプリケーションを病院ごとに自前でご用意され、さらに独自にカスタマイズして構築して利用している形態が多かったということでございます。こうしたシステムは、年月が経った後に大規模なシステムの更改が必要になるため、昨今、物価や人件費が上昇していく中で、システム関連費用の高騰に繋がっています。病院ごとにシステムの対応が必要になりますので、病院やベンダーにおいても、システムの人材確保が非常に困難になっている状況です。さらに、3点目として、こうした中で電子処方箋などの医療DXの各取り組みを進めていこうとした場合に、オンプレミス型であると、医療機関ごとにシステムの改修がどうしても発生します。加えて、例えば生成AIのような新しい技術やサービスを使おうとした時にも、オンプレミス型では一定の制約が発生する状況でございます。さらに4点目ですが、オンプレミス型のシステムでは、自前で構築しているがゆえに、病院内のセキュリティ対応の負担も大きくなっており、セキュリティ面の脆弱性が解消できていないという課題があります。下段の目指す姿のところですが、こうした課題を解決するために、1点目、情報セキュリティ対策を向上させながら、病院の情報システム費用を低減し、新しいことをするときでも上昇を抑制していきます。こういったことで、経営資源を本来あるべき医療提供に振り向けられる体制を整備していきます。もう1点、情報通信技術の進歩を踏まえ、将来的に各病院が生成AI等の最新技術やサービスを活用しやすくすることで、医療従事者の負担を軽減しながら、より安全で質の高い医療を実現できるようにすることを目指していく必要があると考えております。2頁になります。その上で、論点といたしまして、大きく目指すべき方向性と、それを実現するための個別論点をご用意しております。まず、方向性として、今申し上げた目指す姿を実現するために、現在のオンプレミス型のシステムを刷新して、電子カルテ、レセプトコンピュータ、部門システムといった病院情報システムを一体的に、モダン技術を活用したクラウド型のシステムに移行することが考えられないかということでございます。具体的には、イメージとして左下に絵をご用意しておりますが、複数の病院でシステムを共同利用する方式や、クラウド事業者が提供するサービスを活用していくといったやり方が考えられるのではないかということでございます。一方で、画像等の一部の部門システムなどで、どうしてもオンプレミス型に残るケースも存在するかと思っています。このような場合には、標準化やセキュリティ対策の強化を図っていくことが必要だろうということでございます。続いて個別論点になりますが、4点挙げております。1点目は、こうしたモダン技術を活用したクラウド型システムの標準仕様を国が示した上で、標準仕様に準拠した病院システムを民間の事業者様に開発していただき、段階的に普及を図っていくこととしてはどうかということでございます。備考にございますが、すでに小規模医療機関向け中心に、共同利用型のクラウド型の電子カルテが普及し始めていることを承知しておりますので、こうした製品の普及を進めながら、段階的に普及していくことが考えられるのではないかということでございます。2点目です。合わせて、電子カルテ情報共有サービスなどの医療DXサービスとクラウド間連携を進めるべきではないかということでございます。国の医療DXサービスはクラウドで構築していきますので、標準仕様に準拠したシステムをクラウド同士で連携し合うことで、先ほど申し上げたセキュリティの強化など、利点が大きいのではないかということで2点目を挙げさせていただいております。3点目は、標準仕様に準拠した病院システムが完成したときに、移行に際してどのような課題があるかということでございます。どうしても新しいシステムができた際の移行は避けられないかと思いますので、そのような観点で課題や解決策提案があればいただきたいということでございます。4点目は、先ほど触れました左の下の図のように、複数病院でシステムを共同で利用するためには、医療機関の個別のカスタマイズを抑制することが必要になるかと思っております。医療機関ごとのカスタマイズを極力共通化するような考え方をするべきではないかと考えておりまして、ご意見をいただきたいと思っております。参考資料になりますが、先日、令和5年の医療施設調査が公開されまして、電子カルデの普及状況をお示しさせていただいております。赤枠が令和5年の導入率になっておりまして、一番左の一般病院は65.6%、一番右の一般診療所は55.0%になっております。資料にはございませんけれども、一般病院と診療所を合計しますと、55.6%になっております。次に、一般病院の内訳になります。真ん中の白抜きの部分ですが、400床以上が93.7%、200~ 399床が79.2%、200床未満が59.0%です。一般病院、診療所共に、病床別に見ても令和2年と比較して普及率が伸び、50%を超えたところでございます。こちらはご参考の資料となります。事務局からの説明は以上でございます。
【澤主査】 ありがとうございます。それでは今のご説明について、ご意見、コメント等ございますか。事務局からの回答については、ある程度まとめてご回答いただくようにお願いします。武田構成員お願いします。
《意見交換》
【武田構成員】 クラウド型の電子カルテですが、ある一定数以下の医療機関においては効率的であるし、情報セキュリティ的にも正しいことは間違いないと思います。また、昨今の医療情勢を考えますと、電子カルテ機能をある程度統合していく方向に向けていく必要があるのではないかと思っています。一方で、大きな医療機関に関しますと、本当にクラウド型の方が安くなるのかというと、かなり疑問があると思っています。実際、電子カルテ自身は様々な医療機関における部門システム、医療機器と繋がっています。医療機器と繋がっている時に、その医療機器の手前に部門システムがあり、その手前に電子カルテがあるということになっています。すでに様々入っているものに対して医療機関側が部門システムを合わせている中で、それぞれ多岐にわたる部門システムと電子カルテを繋いでいく場合、かえってクラウド型の方がセキュリティ上危なかったり、コストがかかってしまうこともあるかと思います。その点に関してはもう少し慎重に考えて結論を出していく必要があるのではないかと思っています。一方、もう1つご検討いただきたいことですが、病院側の運用が施設ごとに異なるため電子カルテのコストが高くなっているという面もありますが、かなり複雑な保険請求を要求されるので、2年毎に医療機関側が電子カルテ側にコストを払っている事実がございます。電子カルテを使用して診療し保険請求することを考えると、請求コストを抑える仕組みを国から提案いただきたいと思います。保険請求するためには厳密な基準は必要だとは思いますが、もう少し保険請求をシンプルにするだけでも電子カルテコストはかなり下がってくるのではないかと思うので、そのことに関しても、ぜひとも電子カルテを使って保険請求することを前提にいろいろなことを考えていただけるとありがたいと思います。以上です。
【澤主査】 長島構成員お願いします。
【長島構成員】 長島です。これは短期の話ではなくて、かなり中長期の話だと思っています。その中で、まずは目指すべき姿をしっかり示して、ただし、先ほどご指摘あったように様々な課題があるので、その課題をどのように解決していくかという問題提起をされたのだと思っています。この方向性はまさに国が目指す医療DXそのものだと考えます。と言いますのも、厚労省が示す医療DXの概要ではこう言っています。「医療DXとは、保健・医療・介護の各段階において発生する情報やデータを全体最適された基盤(クラウドなど)を通して、保健・医療や介護関係者の業務やシステム、データ保存の外部化・共通化・標準化を図り、国民自身の予防を促進し、より良質な医療やケアを受けられるよう、社会や生活の形を変えること」。まさに病院の情報システム、あるいはそれにまつわる業界のあり方そのものもある意味変革していくということです。ここで言っている「クラウド」、あるいは「外部化・共通化・標準化」を示したものだと思っていますので、方向性は医療DXが目指すものそのものだと考えます。その目指すべき姿も、先ほど日本医師会が申した2つ、「安心安全でより質の高い医療」、「医療現場の業務負担・費用負担の軽減」を目指しているということで、この方向性に関しては完全に賛成します。一方、2頁目にあるように、様々な課題がありますが、今すぐ結論が出るような話ではなく、これ以外にも様々な課題がありますので、今後もう少しきめ細やかに現場の声を聞きながら、現状の課題の把握をしっかりしていただき、いくつかのステップを踏みながら徐々に進めていく。その際に電子カルテだけではなく、部門システムを含めた全体のあり方、あるいは情報システムに関する業界のあり方、これらをまさに社会的に変革していくというものではないかと思っています。以上です。
【澤主査】 秋山構成員お願いします。
【秋山構成員】 川崎医療福祉大学の秋山でございます。まず前提として、現在医療機関では情報システムを管理する専門人材の不足や業務負担の増加が課題になっていると思います。私の所属している学校法人の付属病院でも病院情報システムの更新時期を迎えていますが、電子カルテベンダーだけではなく、数多くの部門システムベンダーと毎週のように打ち合わせを行っております。それ以外の日常運用においても高度な専門知識が求められています。そのため、大きな流れとしてはクラウド化を目指すということは理解できますが、一方で武田先生がご指摘された通り、クラウド化した場合であっても、必ずしもコストがダウンする、職員の業務負担が軽減するというわけではないかもしれないと思っております。電子カルテベンダーからは、将来のクラウド型電子カルテへの移行もご提案いただいていますが、大学病院のような1000床規模の病院でうまく動くのかどうかまだ不透明な部分もございます。このような状況から、ベンダー等にあっては、まずクラウド化のメリットを提示していただくとともに、その際にはベンダーロックインの解除や価格の透明性について、医療機関等に対して十分な説明をお願いしたいと考えております。以上です。
【澤主査】 渡邊構成員お願いします。
【渡邊構成員】 ありがとうございます。渡邊です。この議論については、薬局においても同様ですが、診療報酬改定DXでの議論における標準型レセプトコンピュータを協議されている部分と重なるものと考えます。論点に示されている部分もそうですが、リプレイスやコストなど、多くの検討すべき点があると考えています。ぜひ担当部局と密な連携の上で進めていただくべき議論だと思いますので、合わせてお願いしたいと思います。また、今後クラウド型の活用に関しては、個別管理が進んでしまったレガシーシステムからの脱却に有効な手段だと思いますが、同一サーバーに接続して業務を行うことになりますと、現在でも発生しているサーバーのダウン等により、多くの医療機関等が同時に機能不全に陥る可能性があります。これは地域医療に大きな影響を与えてしまうリスクもありますので、十分に考慮してシステムの構築にかかる協議を進めていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
【澤主査】 ありがとうございます。岩津オブザーバーお願いします。
【岩津オブザーバー】ありがとうございます。JAHIS岩津でございます。今、先生方がおっしゃっている通りでございまして、JAHISとしてはクラウドの方向に向かっていることは認識しております。やはり専門知識等々が皆様にも必要ですので、十分な説明をさせていただくことが重要かと思っています。また、コスト面につきましても、クラウド型につきましては、通年でみますと少しお高くなっているかもしれませんので、私どもも考慮して進めたいと思っています。サーバーの機能ダウンの話も含めてですが、他の業界ですと、アタックを検知された時にクラウドを全部シャットアウトし、実際繋がっている方を全部閉じてしまうというようなやり方もあるとお聞きしております。他のところでアタックされた時に診療が継続できないことも起こり得るかもしれませんので、そのあたりも含めてぜひご検討いただければ幸いだと思っております。私からは以上です。
【澤主査】 高倉構成員お願いします。
【高倉構成員】 高倉です。皆さんクラウドが安くないというご発言が相次いでいたようですが、おっしゃる通りです。あくまでもクラウドはイニシャルのコストを平準化しているだけであって、トータルで見た時に決して安くなるものではないということは、ITの世界ではある程度常識ですが、まだ少し伝わっていないところがあります。「イニシャルコストを平準化している」、「ソフトウェアやハードウェアのサポートがどこで切れるかわからず、サポートが切れた時に対応ができなくなることを、ある意味クラウドベンダーさんに任せてしまう。その分の保険料が入っているので、組みようによっては高くなってしまう」といったことをはっきりと言っておかないと、クラウドにすれば安くなるというのが独り歩きしているのが非常に怖いということがございます。それからもう1つですが、「④医療機関ごとのカスタマイズを極力共通化する」という意味があまりよくわからないです。言いたいことは、医療機関ごとにカスタマイズしているものを、メーカーがあらかじめ用意するオプションとして共通で提供できるようにして、本当の意味のカスタマイズをなくすという理解で合っているか、少し気になったところです。以上です。
【澤主査】 私議長からも3点ほど発言させてください。この議論、電子カルテに注目されがちですが、複数の構成員からもお話がありますように、部門システムは90年代のテクノロジーでできているものがかなりあります。ソケット通信やファイル共有などのメカニズムや、セキュリティのメカニズムがそもそもないなどの問題がありますので、部門システムのモダン化には注力していただきたいと思います。また、先の話になると思いますが、標準規格については現在開発というところに着目されていると思いますが、維持管理の体制もしっかり整備する必要があると考えております。標準仕様に準拠しているかどうかの点検も必要だと思いますので、そのあたりのメカニズムを考えていただければと思います。それでは事務局お願いいたします。
【新畑室長】 医療情報室長でございます。様々なご意見いただきましてありがとうございます。武田構成員から、大きな医療機関では部門システムや医療機器が多いため、なかなか難しいのではないかというご意見いただきました。確かに、我々も全ての医療機関ですぐにこの方針が適用できるかというと、今の時点でできると断言できるものではないと思っております。長島構成員からもご指摘いただいたように、なかなか一括りにできるものではないことから、様々な課題もあると思います。そのような点に関しては、今後もきちんと現場の皆様のご意見をいただき、課題を解決しながら、少し長い時間がかかるかもしれませんが、取り組みを進めていく必要があると思っております。セキュリティに関しましては、医療機関でもベンダーでも専門人材が不足しております。昨今のサイバー攻撃を見ていましても、脆弱性の管理が不足していることもありますので、管理体制がなかなか難しいというところがございます。ご指摘いただいた通り、セキュリティパッチも含めて、管理体制をある程度クラウドに任せられることは、クラウドのメリットだと承知をしております。今後方向性を示していくにあたり、価格だけではなく安全なシステムというところも、クラウド化の方向を示していくことで、改善していくところは示してまいりたいと思っております。また、サーバーダウンにつきましても、冗長性をどの程度持たせるのかなど、セキュリティ関連の対策をどのようにしていくか慎重に検討をしてまいりたいと思っております。最後、高倉構成員からもございました、医療機関のカスタマイズの共通化ですが、わかりにくいワーディングで大変恐縮です。今までそれぞれの医療機関でカスタマイズしていたものを、ある程度複数の医療機関から「こういった機能が欲しい」というものが上がってくれば、それをカスタマイズしてさまざまな医療機関で利用できるようにしていく、それを共通化と表現させていただいております。ご理解の通りだと思っております。診療報酬の件ですが、診療報酬自体についてはこの検討会で議論するのは難しいと思っています。一方で、電子カルテから請求情報を生成しレセプトコンピュータにどのように連携して進めていくかは、非常に重要な観点かと思っております。標準型レセプトコンピュータにつきましては、保険局を中心に共通算定モジュールも含めて検討を進めておりますが、電子カルテのあり方については、他部局ともきちんと連携しながら、引き続き検討を進めてまいりたいと思っております。ありがとうございます。
【杉山室長補佐】 それでは、長島構成員お願いできますでしょうか。
【長島構成員】 最後の診療報酬の話ですが、私、診療報酬を検討する中医協の委員でもありますので、少し発言させていただきます。確かに診療報酬の体系はかなり複雑なところもありますが、長期間にわたって様々な検討を行った上で、そのような形になっているというもので、精緻なものであります。また、それで全体のバランスをしっかり取っているものでもあります。従いまして、システムをより効率化するためという単純な理由だけで、診療報酬体系そのものをどうこうするというレベルのものではありません。これはしっかりと診療報酬として検討すべきものであって、この場で議論するものではないということを強く主張させていただきます。それから、今後の進め方ですけれども、2頁目の資料の右下にあるように、病院の規模が大きくなればなるほど、極めて難しくなるのは自明の理です。そのため、当然比較的規模の小さいところ、機能の単純なところから少しずつ始めて様々な実証を積み重ねながら徐々に進めていくと。極めて中期的、特に大規模なところにとっては長期的なものだろうと思いますが、難しいから何もしないでいるとずっと何も変わりませんので、やはり将来目指すべき姿というのはしっかり示して、ただし、拙速は絶対しない。現場の混乱は絶対起こらないような形で丁寧に現場の声を聞きながら進めていただくことが重要だろうと思っています。以上です。
【澤主査】 ありがとうございます。それでは審議に移らせていただきます。こちらの施策を進めることに、ご承認を頂きたいと思いますが、よろしいでしょうか。ご承認いただけましたので進めてまいります。次に議題(5)「次の感染症危機に備えた、電子カルテ情報共有サービスの利用等について」としまして、資料5について事務局よりご説明をお願いします。
(5) 次の感染症危機に備えた、電子カルテ情報共有サービスの利用等について
【横田室長】 感染症対策部感染症対策課の横田と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。それでは資料5につきましてご説明いたします。まず初めに、10月24日の感染症部会で医療DXの推進に向けた全体の動きと感染症法に関連する部分の今後の対応方針につきましてご説明させていただきまして、方針についてはご了解いただいたところでございます。その中で、電子カルテ情報共有サービスの利用に関する部分もいくつかございましたので、その部分を中心に資料を抜粋いたしまして、こちらのワーキンググループで本日ご説明をさせていただきます。今画面に出ておりますが、医療DX推進工程表と新型インフルエンザ等対策政府行動計画の関連する記載を抜粋したものでございます。まず上の方が工程表でございます。下線部のところですが、医療機関における、発生届に係る入力業務の負担軽減等を図るために、電子カルテと発生届との連携に向けて、発生届の標準規格を策定する。また、具体的な連携の方法については、電子カルテ情報共有サービスの活用も見据えながら検討し、早期に結論を得るという記載がなされているところでございます。それから下段のほうが、今年の7月に全面改訂されました、新型インフルエンザ等対策政府行動計画です。同じく下線の箇所ですが、感染症危機対応に備えたDXを推進していくことが不可欠であるということでございます。一番下の下線のところで、医療機関における発生届に係る入力業務の負担軽減等を図るため、電子カルテと発生届の連携に向けて検討を進めるという記載がなされています。次のスライドが、感染症法上の届出の関係の規定をまとめた資料になりますが、1つ目のポツですが、感染症法12条におきまして、医師は、感染症の患者を診断した時は、最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届ける必要があり、届出を受けた都道府県知事は、その内容を厚生労働大臣に報告すること。それから区域外に居住する者については、その内容を居住地を管轄する都道府県知事に通報しなければならないという規定がございます。2つ目のポツですが、医師が感染症サーベイランスシステムで届出を行えば、こちらのシステムに記録され、その内容が保健所と都道府県、厚生労働省で閲覧可能になるという仕組みになっております。最後の3つ目のポツですが、感染者サーベイランスシステムにて届出を行った場合は、関係者に通報がなされたものとみなして、改めて当該義務を課すことはしないということで、電磁的に届出を行えば全てに届出したことになるように運用されています。最後のスライドが、「次の感染症危機に備えた、電子カルテ情報共有サービスの利用等について」という資料です。まず上段のブルーの部分は、感染症の発生届の届出についてです。上の「現状・課題」のところですが、電子カルテ用端末がインターネットに接続していない医療機関が多く存在しています。そのような医療機関の場合、発生届で電磁的に届け出る場合は、カルテに記録した診療情報と同一の情報を改めて入力する必要がありますので、二重入力の手間が発生し、負担になっている課題がございます。これにつきまして、下の「対応方針(案)」ですが、共通の部分に関しましては改めて入力することなく、同一端末上で発生届等を作成し、電子カルテ情報共有サービスを経由して感染者サーベイランスシステムに届出ができることとしてはどうかという形で案をお示しいたしまして、感染症部会ではこの方針でご了解いただいているところでございます。それから、下段の水色のところが「電子カルテ情報の利用・JIHSによる調査研究」でございます。まず上の「現状・課題」でございますが、次の感染症危機に備えた体制を構築することは喫緊の課題ということで、ご案内の通り、来年4月に新たに国立健康危機管理研究機構、略してJIHSが発足します。こちらで感染症に関する情報の収集・分析機能を強化する動きになっています。その下の「対応方針(案)」ですが、感染症対策上必要な時は、厚生労働大臣から支払基金等に対して、電子カルテ情報等の提供を求めることができることとしてはどうかということ。2つ目で、厚生労働大臣が支払基金等から提供を受けた電子カルテ情報等を用いた調査研究をJIHSに委託することができることとしてはどうかということで、対応方針案を感染症部会にお示しいたしまして、こちらも方針はご了解いただいております。事務局からの説明は以上でございます。
【澤主査】 ありがとうございます。こちらは報告事項になります。それでは、今のご説明についてご意見、コメント等ございますか。長島構成員お願いします。
《意見交換》
【長島構成員】 最後4頁のところで、医療機関側の負担を軽減するために電子カルテ情報共サービスを経由して届出ができるようにすることは非常に良いと思っています。ただし、4頁の下の方に電子カルテ情報の利用に関して、「感染症対策上必要な時は、厚生労働大臣から支払基金等に対して、電子カルテ情報等の提供を求めることができる」とあります。この情報が例えば集計データなどであれば非常に良いことだと思いますが、一人一人の患者さんの個人情報や、1つ1つの医療機関の情報まで含まれるということになると、例えば、公的なデータベースのNDB(National Database)であっても、そのような個人識別はされないような形で提供することになっています。また、医療機関側にとっても、もしも電子カルテ情報の提供で、一人一人の患者さんの情報や医療機関の情報が勝手に見られてしまうことになれば、これは極めて大きな心配、不安を生み、ひいては電子カルテ情報の提供に対して非常に消極的になる、抵抗を感じるという心配は極めて高いと思います。従いまして、ここのところは、例えば集計データなどを活用することで、個人情報や医療機関の個別の情報などの収集はしないという方針を明確に示す。そうしないと、電子カルテ共有サービス自体に大きな逆風になるリスクが極めて高いと思っています。私からは以上です。
【澤主査】 高倉構成員お願いします。
【高倉構成員】 高倉です。今の長島構成員の発言に対して、少し反対的な言い方をして申し訳ないのですが、もし本当に感染症法上、誰から誰に感染したというところまで追いかけたいのであれば、当然個人を特定できなければ追いかけられなくなります。もしそのようなところまで想定されるのであれば、何らかの法的根拠を伴う制度を作っていただかないと、今長島先生が言われた通り、出せるものが出せないという話になってしまいかねない。一方でパンデミックが起きた時に本当に一人一人追いかけるのか。新型コロナの時には一人一人追いかけてしまいましたが、どこまで追いかけるのかも含めて、データの粒度をどの程度まで求めるのかを出していただいた上で議論しないと、出せる出せないの水かけ論になりそうな気がします。以上です。
【澤主査】 事務局お願いできますでしょうか。
【横田室長】 ご意見、ご質問ありがとうございます。情報の利用・調査研究についてですが、対応方針案に書いてある通り、感染症対策上必要な時、具体的には、感染症危機発生時を想定しております。そのため、集計データというよりは、個々人の情報も含めて、数は最初の症例100例くらいのイメージになるかと思いますが、個人情報である程度追えるような形の利用の仕方を想定しております。ただしその場合は、個人情報保護法や関連法令は遵守した上でということになりますので、個人情報には十分配慮した上でデータの取り扱いを進めていく形になるかと思っております。仮にJIHSに委託する場合でも、JIHSにも同様の措置を求め、懸念がないようにしっかり運用できるような形で検討を進めていきたいと考えているところでございます。以上でございます。
【澤主査】 田河オブザーバーお願いします。
【田河オブザーバー】 ありがとうございます。最後の4頁の対応方針についてですが、個人情報への配慮は必要だと思っております。大きな方向性には異論ございませんが、補足的に意見を申し上げますと、今回の対応方針は感染症危機に対応するための国策に基づくものであり、支払基金等の運用費用については、国で対応していただきたいと考えております。以上でございます。
【澤主査】 田宮構成員お願いします。
【田宮構成員】 ありがとうございます。私もいざという時には個人レベルでの情報が必要だと思います。法律上の規定もきちんとした上で、絞って推進する方向でと思っています。それからもう1点ですが、先ほども申し上げた点ですが、1つの情報に入力すれば、いろいろなところに使えて何度も入力しなくてよいというのはとても重要な点で、感染症の方でも出ています。ただ改めて、いつどこで誰が入力したかを追えるようなシステムはぜひお願いしたいと思い発言しました。よろしくお願いします。
【澤主査】 長島構成員お願いします。
【長島構成員】 電子カルテ等情報の提供という、極めて曖昧な形で全部良いとしてしまうと極めて危険であり、現場の反発は極めて大きいということです。極めて限定的に「このような場合」とか「このような必要性が生じた場合」に、どのような具体的な情報の提供が求められるのか。そのことに関しては、事前に医療機関に対して、「このような場合には、このような使い方をします」ということを丁寧に周知して理解を得ていく。あるいは患者さん、国民にも理解を得ていくことが、そもそも大前提だということになります。また、電子カルテ情報共有サービスに提供すると、自動的にそれに了解したことになるのか。それであれば、例えば「このような情報だけを使います」、「このような場合だけです」、「了解した場合だけです」など、きめ細かい丁寧な検討をして、なおかつ国民と医療現場の理解を十分に得た上で進めないと、このような大雑把な書き方では到底理解も得られないし、反発しか受けないだろうということです。法令上の手当ても含めて、もっときめ細かい丁寧な対応が必要です。
【澤主査】 ありがとうございます。こちらは報告事項なので難しいかもしれませんが、事務局何かございますか。
【横田室長】 いろいろとご指摘、ご意見ありがとうございます。今いただいたようなご指摘も踏まえまして、丁寧に対応を進めていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
(6)その他
【澤主査】 それでは以上で本日の議題は終了になりますが、最後に全体を通して何かご意見がございますか。それでは、議事を事務局にお返しします。
【脊古補佐】 澤主査、ありがとうございました。本日も活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。本日の議事録につきましては作成次第ご発言者の皆様方にご確認いただきまして、その後公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上となります。
3. 閉会
【脊古補佐】 それでは本日はこれで閉会といたします。活発なご議論ありがとうございました。