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第87回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会
日時
令和6年10月29日(火)10:00~12:00
場所
会議会場及び傍聴会場 厚生労働省省議室
(千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館9階)
出席者
【公益代表委員】
山本(眞)部会長、高木委員、藤澤委員、山本(陽)委員
【労働者代表委員】
奥委員、奥山委員、木村(丈)委員、南部委員、長谷部委員
【使用者代表委員】
清田委員、須永委員、山田委員、木村(恵)代理
【事務局】
田中雇用環境・均等局長、大隈大臣官房審議官(雇用環境、均等担当)、小林勤労者生活課長、後藤勤労者生活課長補佐、林勤労者生活課長補佐
山本(眞)部会長、高木委員、藤澤委員、山本(陽)委員
【労働者代表委員】
奥委員、奥山委員、木村(丈)委員、南部委員、長谷部委員
【使用者代表委員】
清田委員、須永委員、山田委員、木村(恵)代理
【事務局】
田中雇用環境・均等局長、大隈大臣官房審議官(雇用環境、均等担当)、小林勤労者生活課長、後藤勤労者生活課長補佐、林勤労者生活課長補佐
議題
(1)中小企業退職金共済制度の現況及び令和5事業年度決算について
(2)特定業種退職金共済制度の財政検証について
(2)特定業種退職金共済制度の財政検証について
議事
- 議事内容
- ○山本(眞)部会長 定刻になりましたので、ただいまから第87回「労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会」を開催いたします。
今回より、労働者代表委員の木村丈博委員と、使用者代表委員の山田佑委員が新たに着任されております。よろしくお願いいたします。
本日は、公益代表委員の清水順子委員、使用者代表委員の平塚智朗委員と藤原加奈委員が御欠席でございます。
また、高木朋代委員、山本陽子委員、清田素弘委員、須永明美委員、山田佑委員につきましては、オンラインで出席いただいております。
本日は、全委員の3分の2以上の御出席を賜り、労働政策審議会令第9条の規定による開催に必要な定足数を満たしております。
なお、本日御欠席の藤原委員の代理の方の御出席を認めます。
オンラインにて、全国中小企業団体中央会労働政策部副部長の木村恵利子様に御出席いただいておりますので、よろしくお願いいたします。
事務局において、本年7月に異動がございましたので、事務局から御紹介をお願いいたします。
○小林勤労者生活課長 まず、本年7月に着任いたしました、勤労者生活課長の小林と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
引き続きまして、私から、今年度着任した事務局のメンバーを御紹介させていただきます。
まずは、雇用環境・均等局長に着任いたしました、田中でございます。
引き続きまして、大臣官房審議官の大隈でございます。
引き続きまして、勤労者生活課長補佐の後藤でございます。
それでは、事務局を代表いたしまして、雇用環境・均等局長の田中より御挨拶申し上げたいと思います。
○田中雇用環境・均等局長 改めまして、雇用環境・均等局長の田中でございます。皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。
事務局のメンバーも一新いたしました。
審議官は、担当課長からそのまま審議官ということで、私としても心強い限りなのですが、それはさておき、本会の開催に当たりまして、一言御挨拶をさせていただきます。
まずもって、委員の皆様方におかれましては、御多用中のところ、お集まりいただきまして、本当にどうもありがとうございます。
当部会の所掌事項でございますが、中小企業退職金共済制度でございます。
働く人がいかに安心して働き続けて、仕事にしっかりと注力できるかということには、賃金もそうですが、辞めた後のことも含めて、将来の展望をしっかりと描けることが非常に重要だと思っております。
そういう意味では、中小企業退職金共済制度ですが、独力では退職金制度を設けることのできない中小企業のための相互扶助の仕組みということで、昭和34年からスタートした制度でございます。
以降、時々の情勢を踏まえました制度改正を経ながら、中小企業の従業員の福祉の増進、さらには、それを通じた中小企業の振興に寄与してまいったところでございます。
今日の議題は、お手元の議事次第にありますとおり、中小企業退職金共済制度の現況と令和5事業年度の決算、特定業種退職金共済制度の財政検証についてということでお願いしておるところでございます。
先ほども申し上げましたが、中小企業で働く皆さんが安心して働くことができるように、中小企業退職金共済制度が安定的に運営されることが非常に重要だと思っております。
厚生労働省といたしましても、この共済制度の安定的な運営にしっかりと寄与していけるように努めていきたいと思っておりますので、本日は、どうぞ御議論をよろしくお願いいたします。
○山本(眞)部会長 ありがとうございました。
それでは、本日の部会ですが、対面のほかに、オンライン形式でも御出席いただいておりますので、その点も含めて、開催に当たりまして、事務局からまず御説明がございますので、よろしくお願いいたします。
○小林勤労者生活課長 それでは、事務局から御説明させていただきます。
本日は、対面のほか、Zoomによるオンライン参加をいただいておりますので、オンラインの方は、事前にお送りさせていただいております「会議の開催・参加方法について」も併せて御参照いただければと思います。
部会の進行中につきましては、会場も、オンラインにつきましても、皆様のマイクをオフにしていただくようにお願い申し上げます。
発言される場合には、会場内の皆様におかれましては挙手を、オンライン参加の方につきましては「手を挙げる」ボタンを押していただき、部会長から指名があった後に、マイクをオンにして、お名前を名乗っていただいた上で御発言いただきたいと思います。御発言が終わりましたら、マイクをオフに戻していただきたいと思います。
なお、本日は、対面参加の方とオンライン参加の方が両方いらっしゃいます関係で、指名の順番は前後することがあるかと思いますが、なるべく挙手の順番となるように配慮したいと思いますので、その点、御了承いただけると幸いです。
以上になります。
○山本(眞)部会長 それでは、議事に入らせていただきます。
頭撮りはここまでとさせていただきますので、カメラをお持ちの方は撮影を終了してください。
では、議題1「中小企業退職金共済制度の現況及び令和5事業年度決算について」御説明をお願いしたいと思います。
事務局から説明をいただいた後、委員の皆様から御意見をいただければと思います。
よろしくお願いいたします。
○小林勤労者生活課長 それでは、議題1「中小企業退職金共済制度の現況及び令和5事業年度決算について」御報告申し上げたいと思います。
資料1を御覧いただきまして、1ページ目になりますが「中小企業退職金共済制度の現況」をお示ししております。
まず、上段の「1 新規加入状況」について御説明します。
一番下の段が令和5年度の実績になりまして、左側の「共済契約者数」つまり加入事業者数で見ますと、新規加入は、合計で1万7,564件となっておりまして、右側の「被共済者数」つまり従業員の新規加入者数は、合計で46万7,732人ということになっております。
前年度と比較しますと、共済契約者の数は減少しておりまして、被共済者につきましては、若干増加はしているものの、ほぼ横ばいになっていると考えております。
これにつきましては、物価高騰や円安進行等による中小企業の業績悪化懸念などから、新規加入共済契約者が減少したことが要因の一つとして考えられるのではないかと考えております。
次に、下に参りまして「2 在籍状況」についてです。
令和5年度末現在、左側の「共済契約者数」につきましては、合計で55万9,075件となっており、右側の「被共済者数」につきましては、合計で573万4,356人となっております。
2ページ目を御覧いただきたいと思います。
「3 退職金等支給状況」になります。
令和5年度の支給件数につきましては合計で35万9,970件。支給総額で申しますと、合計で4,589億6,500万円となっております。
3ページを御覧ください。
左上の「4 一般の中小企業退職金共済制度の平均掛金月額の状況」になりますが、掛金月額の設定につきましては、5,000円以上3万円以下の中から選択できることとなっております。
また、短時間労働者につきましては、2,000円、3,000円、4,000円となっておりますが、短時間労働者の掛金を含めた令和5年度の平均掛金月額につきましては、9,704円となっておりまして、近年は、一貫して増加傾向にあるところでございます。
次に、右上の「5 特定業種退職金共済制度の掛金日額の状況」についてになります。
日額は、それぞれ表のように決まっておりまして、直近では、建設業の掛金日額につきまして、令和元年度から令和2年度にかけて行われた前回の特定業種退職金共済制度の財政検証の結果を踏まえまして、令和3年10月から、建設業の日額としては、320円に変更されました。この部分だけ変更になっております。
次に、下の表「6 運用資産高状況」についてになりますが、令和5年度の運用資産高は合計で約6兆6,774億円となっておりまして、そのうち一般の中退が約5兆5,678億円を占めております。
建退共は約1兆896億円、清退共につきましては約38億円、林退共につきましては約162億円という状況です。
資産運用状況につきましては、4ページ以降に詳しい内訳を載せておりますので、1ページおめくりいただきたいと思います。
まずは、一般の中退における資産運用の状況になります。
一番右側が令和5年度末の数字になりまして、上の「自家運用」につきましては、国債等の満期保有を行っておりますが、令和5年度の自家運用の利回りについては、プラス0.33%となっております。
これは、これまで国債の低金利傾向が続いてきたことを反映して、利回りは低位で推移しているものと考えております。
信託銀行等への委託運用につきましては、下になりますが、令和5年度は、特に年度後半に国内外の株価が上昇したことにより、高い収益率となっておりまして、プラス9.48%となっております。
そのため、一般の中退の運用は、全体の利回りとしましても、資料の一番右下になりますが、プラス4.50%となっております。
5ページ目に移りまして、建退共における資産運用状況になります。
建退共につきましては、中小企業に対する事業を「給付経理」、附帯的に実施しております中小企業以外の企業に対する事業を「特別給付経理」に区分しておりますが、上の表が「給付経理」、下の表が「特別給付経理」となっております。
「給付経理」について、上の表の右側にございますとおり、令和5年度の自家運用の利回りにつきましては、プラス0.43%、委託運用の利回りにつきましては、プラス9.60%となっておりまして、全体の運用利回りにつきましては、プラス3.50%となっております。
6ページ目に参りまして、清退共になりますが、清退共におきましても、経理を「給付経理」と「特別給付経理」に区分しておりまして「給付経理」におけます利回りの状況につきましては、上の表の右側にありますとおり、令和5年度の自家運用の利回りについてはプラス0.16%、委託運用の利回りにつきましてはプラス10.15%となりまして、全体の運用利回りにつきましてもプラス2.57%となっております。
7ページ目は、林退共になります。
令和5年度の自家運用の利回りにつきましてはプラス0.21%、委託運用の利回りはプラス10.15%となりまして、合計ではプラス4.11%となっております。
なお、資産運用に関連しまして、勤退機構におきましては、本年7月に基本ポートフォリオの見直しを行っております。
参考資料3に、勤退機構の資産運用委員会の議事要旨をおつけしておりますが、14ページ以降が、基本ポートフォリオの見直しに関する議論の状況と見直しの結果になっております。
概要は、参考資料3の最後のページであります17ページにありますので、そちらを御覧いただければと思います。
今回の基本ポートフォリオの見直しにつきましては、物価、賃金の動向や、日銀の金融政策の変更を踏まえまして、国内長期金利に係る基本ポートフォリオの策定の前提条件、いわゆる超低位安定という状況が変化したと判断したことに伴って、委託運用の資産構成割合の再計算を行ったものになります。
最新のデータに基づきまして最適化計算を行った結果、資料にあるような基本ポートフォリオとなっております。
見直し前からの主な変化を申し上げますと、見直し前と比べて国内債券の期待収益率が高まったため、その比率が高まっているほか、内外株式の期待収益率の差が縮小したため、相対的にリスクの大きい外国株式の比率が低下しています。
以上が概要になります。
次は、決算に参りまして、資料2になります。
令和5年度決算について御説明したいと思います。
まず、資料2につきましては、勤退機構の貸借対照表と損益計算書の要旨を示しております。
なお、各事業の給付経理及び業務経理の内訳を分かりやすくするために、貸借対照表及び損益計算書を参考資料1として御用意していますので、適宜そちらも御参照いただければと思います。
資料2の1ページ目になりますが、勤退機構全体の決算になりまして、下段の「損益計算書」の中身を見ていきますと、一番下から3つ目の数値になりますが、当期純利益につきましては、令和5年度に機構全体で2,189億円の当期純利益を計上しております。
個々の事業勘定につきましては、2ページ以降に記載してございます。
まず、2ページ目になりますが「一般の中小企業退職金共済事業等勘定」になりまして、こちらも、下の「損益計算書」を御覧いただきますと、令和5年度につきましては、1,904億円の当期純利益という形になっております。
これによりまして、上段の「貸借対照表」にございます利益剰余金については、6,389億円と、前年度比1,904億円の増となってございます。
3ページ目になりまして「建設業退職金共済事業等勘定」になります。
下段の「損益計算書」によりますと、令和5年度につきましては、276億円の当期純利益となっております。
これによりまして、上段の「貸借対照表」の利益剰余金につきましては、1,016億円ということで、前年度比276億円の増となっております。
4ページ目になりますが「清酒製造業退職金共済事業等勘定」になります。
下段の「損益計算書」によりますと、令和5年度につきましては、2,900万円の当期純利益となりました。
これによりまして、上段の「貸借対照表」にございます利益剰余金については、26億3,600万円ということで、前年度比2,900万円増となっております。
5ページ目に参りまして「林業退職金共済事業等勘定」になりまして、下段の「損益計算書」によりますと、令和5年度につきましては、6億500万円の当期純利益となっております。
これによりまして、上段の「貸借対照表」におきましても、昨年度は、繰越欠損金として4億9,200万円を計上しておりましたが、令和5年度につきましては、利益剰余金として1億1,300万円を計上し、前年度比6億500万円増となっております。
令和5年度に累積欠損を解消できた理由としましては、委託運用におきまして、令和5年度は、特に年度後半に国内外の株価の上昇があったことによりまして、高い収益率になったことが挙げられますが、令和5年度については、累積欠損を解消したものの、例えば令和4年度につきましては、林業単体で、単年度で1億8,200万円の当期純損失となった中で、令和5年度の累積剰余金は1億1,300万円という水準でありますので、今年度実施する特退共の財政検証の結果も踏まえながら、引き続き、必要な対策を講じていく必要があるのではないかと考えております。
6ページ目は、決算確定までの流れを示したものになります。
令和5事業年度決算につきましては、法律に基づきまして、令和6年6月28日に機構から厚生労働大臣に財務諸表が提出されまして、同年8月2日に厚生労働大臣が承認しております。
以上、簡単になりますが、中小企業退職金共済制度の現況及び令和5事業年度決算の御報告になります。
以上になります。
○山本(眞)部会長 今、現況と決算について御報告をいただきました。
今の御説明に対して、御質問や御意見がありましたら、会場の方は挙手をお願いいたします。オンラインの方は「手を挙げる」ボタンを押してください。
指名いたしますので、その際にはマイクをオンにしていただいて、お名前を名乗って御発言をお願いいたします。
それでは、よろしくお願いいたします。
オンラインで御参加の木村恵利子委員代理、お願いいたします。
○木村(恵)代理 ありがとうございます。
藤原委員の代理で、本日参加させていただきます、全国中央会の木村と申します。よろしくお願いいたします。
私からは、御説明いただきました資料1の中退共制度の新規加入状況について、1点申し上げたいと思います。
こちらについては、直近の令和5年度は1万7,564件ということで御説明がありまして、前年度よりも僅かに減少している状況でありますが、その理由としては、中小の業績悪化が要因だという御説明がございました。
御説明にもありましたように、今、中小企業の状況は、物価高とかコスト高、人件費の上昇、人材不足等、非常に厳しい状況が続いておりまして、この状況が翌年、その先で劇的に改善されるといったことは、残念ながらあまり見込めない状況ではないかと思っております。
そうした中で、厚生労働省、機構においても、新規の加入促進策のいろいろな取組をされていることは承知しておるのですが、このままですと、徐々に減少の一途をたどるようなことになるのではないかと非常に危惧しております。こうした状況においても、国のバックアップのある中小企業のための退職金共済制度という非常に貴重な制度だと思いますので、加入促進策を厚生労働省だけではなくて、例えば中小企業庁とか、所管する関係省庁とも連携して、引き続き力を入れていただきたいと思っております。
以上でございます。
○山本(眞)部会長 ありがとうございます。
では、次の御意見を伺った上で、事務局に回したいと思いますので、山本陽子委員、お願いいたします。
○山本(陽)委員 ありがとうございました。
丁寧な御説明をありがとうございます。
私も、資料1の1番目の新規加入と在籍状況についてお伺いしたいのですが、新規加入状況が年々減っているということで、在籍状況は、業種によりますが、若干減りつつも、一定維持している。
一方で、この業種の従業者数とか事業者数は年々減少傾向にあるようなことも、参考資料として頂いていると思うのですが、そうしますと、新規加入がだんだん減っているのは、従業者数とか事業者数が減っていることによるのか。
先ほど業績の悪化ということもありましたが、全体的に従事されている方が減っている関係もあるのかなと少し思ったのですが、割合としては、従業者数が減っている以上に、新規加入者数が減っているのか、全体としては、割合的には現状維持として、あまり変わらずの状況であるのか、数字としてはどのように把握するといいのか、教えていただけますと助かります。
同時に、従業者数とか事業者数が減っているような状況で、加入に対する働きかけは重要だと思うのですが、その辺りはどのようにされているのか、教えていただけますと助かります。
ありがとうございます。以上です。
○山本(眞)部会長 ありがとうございます。
では、会場の藤澤委員がお手を挙げているので、よろしくお願いいたします。
○藤澤委員 ありがとうございます。
清酒製造業のところで、今後の財政検証を解釈するときの参考として教えていただきたいと思っています。
実際の運用利回りが2.57%で、予定の運用利回りが2.3%ということで、そんなに差がないので、利差益はそんなに出ていないと思います。概算すると、多分、1,000万円ぐらいだと思っています。
一方で、被共済者数が過去減少したタイミングがあって、そこで剰余が出るという財政構造になっています。直近も徐々に被共済者数は減ってきているので、負債サイドで少し剰余が出るような構造になっていると想像しているのですが、その辺りの補足説明等があれば、お伺いしたいと思っています。
以上です。
○山本(眞)部会長 ありがとうございます。
今までの御意見、御質問について、事務局からお願いいたします。
○小林勤労者生活課長 順次、御説明します。
まず、中央会の木村委員代理から御質問があった件です。
直近の新規加入の状況が芳しくないという部分も含めての御指摘かと思いますが、機構におきましては、説明会を実施したり、個別企業訪問といったことを実施しておりますし、この部会でも御指摘がございましたが、例えば地域とか業種別の加入状況なども推計しながら、ターゲットを絞った加入促進活動といったものも試行しているところでございます。
そういった中で、御指摘があった点は、中企庁や、所管省庁とも連携した上で加入促進活動をしてほしいというところかと思いますが、その点について、例えば10月の加入促進月間におきまして、中企庁や、おのおのの特退の業種の所管官庁がありますので、そういったところにも協力依頼をしておりまして、そういったところともよく連携を取って、今後とも加入促進対策を進めていきたいと考えております。
次に、山本陽子委員からの御質問で、従業員数が減っていることが新規の加入者が減っていることの理由なのかというご質問もあったかと思います。
特退につきましては、特に業種全体の従業員数という部分もございますし、特退の特徴として、期間雇用者を原則としている部分もございますので、期間雇用者が減っているという部分も含めて、従業員数が減っていることも長期的には影響しているかと思っています。
ただ、新規加入につきましては、先ほども申し上げましたとおり、景気の状況とか、そういったものも複合的に出てきていると考えておりまして、その辺は、詳細な分析をしていかないと分からない部分も出てくると思っております。
あと、割合的にどうかという部分でございますが、例えば清酒であれば、9割ぐらいの事業者が入っている中ではありますので、その中で特にそんなに変わっているところではないと思いますが、この部分は、詳細な分析ができているわけではないので、割合といっても、推計にはなるのですが、そういったものも今後、経年的に分析できないかということは、機構とも相談してみたいと考えております。
それから、藤澤委員からの御質問は、趣旨がよく分かっていなかったら、また御指摘いただければと思うのですが、清酒につきましては、予定運用利回りが2.3%ということで、ほかよりも高い状況にございます中で、後で御説明するのですが、累積剰余金は、十分な水準がある中で、言ってみれば、徐々に十分にある累積剰余金を取り崩しながらやっていっている局面にございます。
○藤澤委員 責任準備金を積んでいると思いますが、被共済者が過去2回ぐらい大幅に減少するタイミングがございまして、そのタイミングで結構大きな剰余が出ていて、現在の健全な財政状況につながっていると理解しています。
今年度についても、利差で説明できる部分はあるものの、それ以外の部分で剰余が出ているのではないかと考えています。その辺りの考え方が合っているのかどうか、お伺いしたいといった趣旨です。
○小林勤労者生活課長 すみません。
御指摘のとおりで、特退については、脱退推定者をある時期から落としていっている部分もございまして、その影響は出てきているところで、それ以降、毎年度、順次やっている状況なので、そういったものの影響が出ているというのは、そのとおりだと思います。
○藤澤委員 ありがとうございます。
○山本(眞)部会長 今の関係の説明で、皆さんよろしいでしょうか。
ほかに何か御意見等がございますようであれば。
奥山委員、お願いいたします。
○奥山委員 ありがとうございます。
労働者代表委員の奥山でございます。
質問を1つさせていただければと思います。
資料1の3ページ目にあります一般の中退共の関係で、平均の掛金が少しずつ上昇しているという資料がありますが、先ほど使用者代表委員の方で、中小企業はかなり経営状況が厳しいという話があったところでありますが、そうした中で、掛金を少しずつ増やしているのかどうかというのが分かったら教えていただきたい。
加えて、中退共は月額5,000円からの掛金だと思うのですが、掛金の分布は、どういったところに一番ピークがあってというのも分かったら教えていただければということでございます。
以上です。
○山本(眞)部会長 ありがとうございます。
事務局からお願いいたします。
○小林勤労者生活課長 一般の中退の平均掛金月額は徐々に増えているところで、これは少しずつ増やしているかというのは、分析しないと分からないところがございます。
ただ、資料を見ますと、従前の掛金から引き上げるときは、1つ上のランクに引き上げる場合とか、切りのいいところに引き上げる。例えば5,000円から1万円といったパターンが多くありまして、分布としましては、一般の中退については、4割台が5,000円となっており、1万円とか、切りのいいところは多い形になっております。
○山本(眞)部会長 奥山委員、よろしいですか。
○奥山委員 はい。
○山本(眞)部会長 ありがとうございます。
ほかに御意見はございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、議題1はここで終わらせていただいて、議題2に移りたいと思います。
議題2の「特定業種退職金共済制度の財政検証について」事務局から御説明をお願いいたします。
○小林勤労者生活課長 そうしましたら、議題2の特定業種退職金共済制度の財政検証につきまして、資料3に沿いまして御説明申し上げたいと思います。
1ページをおめくりいただきまして、特定業種退職金共済制度の概要について記載しております。
特定業種退職金共済制度、いわゆる特退共になりますが、こちらにつきましては、厚生労働大臣が指定する特定業種である建設業、清酒製造業、林業の中小企業事業主が、期間雇用者である従業員について、雇用日数に応じて証紙を退職金共済手帳に貼付などして支払い、従業員が業界を辞めた際に、勤退機構から退職金を支払う制度になっております。
なお、※で記載されておりますが、建退共におきましては、令和2年10月から証紙の貼付に代えて、電子申請による掛金納付も可能になっております。
おのおのの特退の業種の加入事業者数とか加入従業員数、予定運用利回り、掛金日額などの詳細につきましては、その下に記載されているとおりになりますが、加入事業者数、あるいは従業員の数を御覧いただきますと、建設業については約17万所、従業員が約212万人、清酒製造業につきましては、約2,000所、従業員が約4,000人、林業につきましては、約3,000所、従業員が約2万人ということで、規模が若干違ってくることになっております。
次に、特退共の財政検証についてですが、2ページ目を御覧いただきたいと思います。
特退共制度は、長期にわたって実施する制度であることから、業種ごとの就労実態や金融情勢の変化に対応した安定的な制度運営を行うために、一定期間ごとに将来の財政見通しを推計し、必要に応じて掛金や退職金の額を変更するか検討することが必要でありまして、この推計及び検討が財政検証となります。
特退共の財政検証につきましては、中退法第85条に基づきまして、少なくとも5年ごとに行う必要がありまして、前回の特退共の財政検証につきましては、令和元年度から令和2年度にかけて実施しておりますことから、その5年後に当たる本年度に特退共制度の財政検証を実施することとしております。
また、財政検証については、中退法第85条におきまして「退職金等の支給に要する費用及び運用収入の額の推移及び予想等を基礎として、検討する」とされておりまして、具体的には、令和4年度に実施した一般の中退の財政検証と同様に、モンテカルロ・シミュレーションによりまして、特退共の業種ごとの財政状況の見通しにつきまして試算を行いまして、その結果を踏まえて、中退部会において御検討いただきたいと考えております。
3ページになりますが、5年前の前回の財政検証における中退部会の取りまとめの概要を記載しておりまして、特退共の業種ごとに適当と考えられる予定運用利回りや掛金日額等を示すとともに「その他」としまして、特退共制度の魅力を維持しつつ、安定的に持続させていくために、今後の制度の在り方について検討を行うことが適当であるとされております。
4ページ目に参りますが、特退共の業種ごとの足元の財政状況やこれまでの推移を記載しておりまして、令和5年度末の累積剰余金の水準につきましては、建退共につきましては、前回の財政検証時、令和元年度末になりますが、この水準や、前回の財政検証における令和5年度末の将来推計の水準よりも高い871億円となっております。
次に、清退共につきましては、前回の財政検証時の水準よりも低いのですが、前回の財政検証時の将来推計の水準よりは高い24.4億円。
それから、林退共につきましては、前回の財政検証時の水準や、前回の財政検証時の将来推計の水準よりも高い1.2億円となっております。
5ページ目に参りますが、今後の中退部会での特退共の財政検証の検討の進め方の案をお示ししておりまして、次回につきましては、令和6年度の冬に、事務局が提示したモンテカルロ・シミュレーションの結果や、それを踏まえた対応案を踏まえまして、部会において御議論いただいて、その結果等を踏まえ、年度末に部会としての財政検証の取りまとめをしていただく方向で考えております。
説明は以上になります。
○山本(眞)部会長 ありがとうございます。
今のような段取り、最後のページのような段取りで、今後検討を進めるということでございますね。
この件について御意見等がございましたら、挙手をお願いいたします。
会場の長谷部委員、お願いいたします。
○長谷部委員 労働者代表委員の長谷部でございます。
2点につきまして、発言させていただきたいと思います。
1点目ですが、建退共制度の予定運用利回りの改善、引上げについてです。
5年前の財政検証では、制度の安定的な運営等の理由によりまして、建退共の予定運用利回りが3%から1.3%へ大幅な引下げとなりました。予定運用利回りの大幅な引下げによりまして、被共済者の退職金に大きな影響を与え、被共済者から多くの落胆の声や制度に対する不安の意見などがありました。制度の安定的な運用を図るため、やむを得ない状況であったとは認識しておりますが、建退共制度の魅力、優位性を損なうことにつながる見直しになりました。
この間、勤労者退職金共済機構では、より効率的な財政運営の見直し等に向けまして、特退共と一般中退の資産運用の合同化や、基本ポートフォリオの見直し等、様々な取組を行っていただき、建退共における累積剰余金は、令和5年度末で871億円と、5年前の財政検証時の令和元年度末の累積剰余金630億円の水準より増加しております。
特に、前回財政検証時の将来推計では、令和5年度末で430億円との将来推計でしたので、今回、累積剰余金が871億円となり、給付経理の資産運用残高及び利回り状況でも、自家運用、委託運用の合計利回りがプラス3.50%となっていることは、財政状況が一定改善していると捉えることができると考えます。
以上のことから、特退共制度の財政検証の論議としまして、特に建退共制度の予定運用利回りにつきましては、最低限、前回検証時の水準である3%を上回る予定運用利回りの引上げ、改善等に向けました議論につきまして、本部会の中でしっかりと諮っていただきますよう、よろしくお願いいたします。
2点目は、掛金制度の見直し等につきましてです。
前回の財政検証では、建退共制度の魅力を損なわないようにとの理由も含め、掛金日額が320円と、10円引き上げられました。
建設業では、4月から働き方改革関連法が全面適用され、罰則付き時間外労働の上限規制への対応、担い手確保の観点などからも、週休2日実現が建設業界全体で進められておりまして、現状の日額単一の掛金制度では、掛金日数が減少し、被共済者の退職金総額の減少等が懸念されております。
先ほど資料の中で、一般中退の月平均の掛金が9,704円という資料をお示しいただきましたが、建退共制度は、日額320円を週休2日を基準として、月平均22日就労で換算しますと、月平均の掛金は7,040円と、一般中退との掛金とも差が広がってくることが懸念されます。
また、建設業では、技能者の能力評価に応じた処遇改善と、就業履歴の蓄積等を目的とした建設キャリアアップシステム(CCUS)が開始されておりまして、建退共の電子申請方式では、CCUSの就業履歴データと建退共電子申請のデータ連携など、建退共とCCUSとの連携施策等が進められております。
前回の財政検証の取りまとめでは「今後の制度のあり方について検討を行うことが適当である」とされておりますので、建退共制度における複数掛金制度の検討、CCUSとのさらなる連携強化、また、民間工事での普及促進、掛金負担軽減措置の拡充など、特退共制度の魅力向上、さらなる加入促進、安定的な予定運用利回りが確保できる財政運営などに向けて、制度の在り方を含めた具体的な論議につきまして、本部会で諮っていただきますよう、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○山本(眞)部会長 ありがとうございます。
ほかにどなたかいらっしゃいますか。よろしいですか。
それでは、今の建退共制度について、事務局から回答をお願いします。
○小林勤労者生活課長 長谷部委員から、建退共の予定運用利回りの水準とか複数掛金の検討、CCUSとの連携強化といった建退共の制度の在り方について御意見をいただきました。
予定運用利回りにつきましては、先ほども申し上げましたが、次回の部会におきまして、事務局からモンテカルロ・シミュレーションの結果も提示させていただいた上で、具体的に御議論いただきたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
それから、制度の在り方につきましては、御指摘があった部分も含めて、今後、部会で御議論いただくことになるかと思いますので、その点についてもよろしくお願いできればと考えております。
以上になります。
○山本(眞)部会長 ほかに御意見等はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、今、長谷部委員からいただいた御意見も踏まえて、次回は、先ほどの5ページに書いてある財政検証の検討を開始していただいて、推計結果報告と、その結果を踏まえた議論ができるように、事務局のほうで準備していただきたいと思います。
よろしくお願いします。
それでは、最後に、事務局より何かございますでしょうか。
○小林勤労者生活課長 本日、それぞれの議題につきまして御審議いただきまして、ありがとうございました。
次回の部会につきましては、日程を改めて御案内させていただきますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。
以上になります。
○山本(眞)部会長 それでは、本日の部会はこれで終了とさせていただきます。
ありがとうございました。