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第37回厚生科学審議会臨床研究部会 議事録
日時
令和6年10月22日(火)17:00~19:00
場所
AP虎ノ門
(オンラインとのハイブリッド開催)
(オンラインとのハイブリッド開催)
議題
- 1.臨床研究中核病院の承認要件見直しについて
- 2.臨床研究・治験推進に係る今後の方向性について
- 3.臨床研究法省令改正について
- 4.その他
資料
議事
- 議事内容
○医政局研究開発政策課課長補佐 それでは定刻になりましたので、ただいまから、「第37回厚生科学審議会臨床研究部会」を開催いたします。本日は、前回から引き続きWebで開催いたします。会議全体でのお願いとなりますが、Webで参加されております委員の皆様におかれましては、御発言される前に画面下部の「挙手ボタン」をクリックしてください。部会長の指名を受けてから、マイクのミュートを解除して御発言いただくようにお願いします。また、御発言終了後は、再びマイクをミュートにするとともに、「手を下げる」をクリックし、手を下げた状態にしてくださいますようお願いします。会議中に接続トラブル等が発生しましたら、事務局まで御連絡ください。注意事項は以上となります。
本日は、部会の定数15名に対しまして、15名の委員に御出席を頂いておりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。
続きまして、本日の会議資料についてです。会場参加の委員の皆様におかれましては、お手元の資料を御覧いただくようお願いします。Webで参加されている委員の皆様におかれましては、事前に送付しております資料、あるいはWeb上で資料を投影いたしますので、御覧ください。資料は資料1~3となっており、参考資料は参考資料1~3となっております。お手元で不足等ございましたら、事務局宛てお申し付けください。
円滑な議事進行のため、撮影はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いします。
以後の進行につきましては、楠岡部会長にお願いします。
○楠岡部会長 部会長の楠岡でございます。本日はお忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。それでは、お手元に配布されております議事次第により議事を進行させていただきます。まず初めに議題1「臨床研究中核病院の承認要件見直しについて」です。事務局より説明をお願いします。
○医政局研究開発政策課課長補佐 事務局です。それでは資料1「臨床研究中核病院の承認要件見直しについて」の御説明をいたします。2ページ、臨床研究中核病院の概要です。日本発の革新的医薬品・医療機器の開発等に必要となる質の高い臨床研究を推進するため、国際水準の臨床研究や医師主導治験の中心的役割を担う病院を臨床研究中核病院として医療法上に位置付けております。スライドの一番下に示しますように、令和6年10月現在、15病院が承認をされております。
3ページ、2019年に策定しました「臨床研究・治験の推進に関する今後の方向性について」において、臨床研究中核病院には下記の5つの役割が求められております。上段の囲みです。1つ目は、自施設における臨床研究及び多施設共同研究の実施。2つ目、多施設共同臨床研究に関する実施の主導的な役割。3つ目、他の医療機関に対して、臨床研究の実施に関する相談、必要な情報の提供、助言その他の援助。4つ目、人材教育として、特定臨床研究に関する研修を行う能力。5つ目、上記を実行するために必要な人員配置、構造設備等を有することです。そして、下段の囲みになります。臨床研究中核病院の役割に基づき、2019年に承認要件の見直しを行っております。主な変更です。1番目の実績ですが、具体的には矢印の右側を御覧ください。医師主導治験8件、ないしは医師主導治験4件+臨床研究40件を実績要件とし、論文要件のうち、プロトコル論文は6報以内へと変更となっております。
2番目の支援に関してです。下線部、支援業務を位置付けるとともに、要件として求める支援業務の範囲や支援実績の計上方法について検討を行っております。
3番目として、患者申出療養の申請機関としての役割や、先進医療の相談機関、リアルワールドデータの収集体制の整備などの整理を行っております。なお、各臨床研究中核病院の実績に関しては、本資料の14~30ページに掲載しております。
4ページ、2019年当時の見直しの検討時には、下記の項目が承認要件への採用が見送られております。今後の見直しにおける要件化を見据え、各拠点における活動状況の適切な把握を行うものとして、定期的な報告を求めております。1つ目です。診療の最適化に係る研究の実施状況、論文状況。これは、いわゆるガイドラインの根拠となった研究を掲載していただいております。2つ目は、薬事承認等の研究成果の実用化に結び付いた事例。3つ目は、リアルワールドデータの研究利活用のための体制整備や利活用事例。これら3点を含め、年1回提出する業務報告において、各病院より報告していただいております。
5ページ、2019年当時の議論として、臨床研究が進みにくい領域における研究を推進するため、「特定疾病領域(難病・希少疾病、小児疾患、新興・再興感染症)に係る臨床研究を主として行う申請機関」に関し記載されている要件について、特定領域の臨床研究を主として実施する臨床研究中核病院として位置付けるものとし、実績については、医師主導治験2件以上、ないしは、医師主導治験1件+臨床研究40件以上と、要件を据置きしております。
6ページ、続いて、2019年以降、臨床研究中核病院の主な役割の1つである、医師主導治験と臨床研究に関して御意見を頂いております。第33回の臨床研究部会において、1つ目の○、下線部になります。医師主導治験と特定臨床研究との重み付け、数の対比について検討しなければいけない、という御意見を頂いております。2つ目の○です。臨床研究中核病院の数値的な要件をより実態に合わせた内容に見直していくことを、再度検討することも必要ではないか。加えて、リアルワールドデータなどを活用した研究も評価することでより活性化する、という御意見を頂いております。前回36回の部会では、下の囲みで、下線部の箇所ですが、1つ目の○、医師主導治験の件数は残しておいたほうがいい、という御意見と、2つ目の○、実施した治験の数と、他施設を支援して実施した治験の数とそのステータスの部分を含めて評価ができないか及びステータスの評価をうまく何かポイント制みたいな形でできないか、という御意見を頂いております。
7ページ、また、特定領域に関する御意見です。国立高度専門医療研究センターなどの役割などを検討する必要がある、という御意見や、前回の部会では、アンメットのところは、別に事業化していろいろやっていただけるのであれば、あえてそれを臨中に上げて何とか応援することは、政策判断としてやめるならそれでいい、という御意見や、2つ目の○、そもそもナショナルセンターを設置したときの目的が、正に臨床研究中核病院的な発想で作っている、という御意見も頂いております。
8ページ、このスライドより御議論いただきたい論点3つに関してまとめております。まず論点の1番目です。課題としては、臨床研究中核病院は、医師主導治験及び臨床研究の実施件数が承認要件の1つとなっており、研究内容の質の評価は論文で行っております。2つ目の○、最近の臨床試験を取り巻く環境の変化などを踏まえて、「創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議」において、臨床研究中核病院の創薬への貢献促進が求められております。
それらを踏まえて御議論いただきたいのが、現状の取組を踏まえた、臨床研究中核病院の役割・機能をどう考えるかですが、1つ目のポツで、臨床試験及び論文の評価基準をどのようにするか。2つ目のポツ、他施設支援についてはどのように評価するか。3つ目のポツ、2019年版取りまとめにおいて、今後の見直しにおける要件化を見据えた事項を記載、としていますが、今後どのように位置付けるか。具体的には、診療ガイドラインの策定を目的とした臨床試験、薬事申請・承認実績、リアルワールドデータの活用のための体制整備。4つ目のポツ、創薬への貢献度、国際共同治験、企業治験の評価をどう考えるか。そして5つ目です。他に評価する項目があれば、御議論いただければ幸いです。例としては、議題2でも出てきますが、DCT、いわゆる分散型治験や、Fair market value、市場価値に基づく治験のコスト算定、そしてキャリアトラックです。
9ページ、続いて論点の2番目です。創薬力構想会議において、「臨床研究中核病院の承認要件の見直し」として、「国際競争力が高く、優れた(疾患特異的な)臨床開発力を有する臨床研究中核病院の区分新設を検討する」という提言がございました。これを踏まえて、国際競争力が高く、優れた臨床開発力を有する臨床研究中核病院の役割・機能はどうあるべきかを御議論いただきますようお願いします。
10ページ、論点3です。臨床試験が進みにくい特定領域(難病・希少疾病、小児疾患等)における研究を推進するための取組として、特定領域型の臨床研究中核病院を位置付けておりますが、現在までに承認実績はございません。それを踏まえて、特定領域に係る臨床研究中核病院の役割・機能はどうあるべきか。併せて、特定領域の臨床試験への取組として、国立高度専門医療研究センター(NC)の役割を踏まえ、特定領域に係る臨床研究中核病院の位置付けをどう考えるかについて御議論いただければ幸いです。
11ページ、前回の部会でもお出ししました今後のスケジュールです。こちらに関しては変更はございません。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いします。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明について御議論いただければと思います。論点として、8、9、10ページと3つ挙げられておりますが、10ページの特定領域に関しては、いささか違うところがあるのに対して、8、9ページは相互にかなり関連しているところがあるかと思いますので、まず、8、9ページの辺りに関して御意見を頂ければと思います。よろしくお願いします。近藤委員、お願いします。
○近藤委員 近藤です。声は聞こえていますでしょうか。
○楠岡部会長 聞こえております。
○近藤委員 ありがとうございます。御発表、ありがとうございました。私からちょっとコメントさせていただきたいのです。今回、臨床研究中核病院の要件見直しということで、かなり臨床研究中核病院の特徴が多様化してきているのが実状ではないかと思っております。そういうことから、中核病院の特徴を発揮していただけるような仕組みにしていくことが重要で、例えば、最低限の要件というのを設けておいて、それにプラスする形で、中核病院の特徴的な活動を各中核病院から目標に盛り込んで、自ら提案していただくとか、そういう取組内容と経過を再度評価するという方法もあるのではないかと考えております。
あと、国際競争力の基準というのは非常に重要な点と考えております。まず、中核病院と、またそれに関連するネットワークが関与するような非中核病院も含めた国際共同試験の参加状況や実績、どういう役割を担っていたのかということについて評価できるといいのではないかと感じております。当然、その経過や状況が、関連医療機関や企業など、そういうところが外部でも参考にできることが非常に重要になってきて、それを活用できる形になっているとなおさらいいかと思います。せっかくの取組、今も業務報告書という形で報告を頂いているかと思うのですが、その内容を有効に活用できるようにするために、中核病院ごとに異なっている基準で作成するのではなくて、業務報告書の内容を見て有効に活用できるような形で評価系というのを構築していかれると、より良い形になるのではないかと感じた次第です。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。続いて、藤原委員、お願いいたします。
○藤原委員 聞こえますか。
○楠岡部会長 聞こえております。
○藤原委員 では、8ページ、9ページで気付いた所ですが、まず、臨床研究中核病院の創薬への貢献促進が求められているという構想会議、私も構想会議のメンバーだったので、その辺の背景も踏まえて発言いたします。臨床研究中核病院は、文科省の橋渡し拠点、今は名前が変わったかもしれませんが、そことの差別化が非常に大事で、シーズ開発というTR、トランスレーションリサーチというよりも、むしろ後期、もう少し後ろに立ったフェーズ2やフェーズ3、診療ガイドラインを作るための試験など、そういうものをもっとやっていくべきだと構想会議などでも申した記憶があります。創薬への貢献というのは、やはり出口に近い所で臨床研究中核病院が役割を果たすことが大事だと思いますので、いわゆる基礎研究やシーズ開発よりも、もう少し後期の所に今回はちゃんと焦点を絞ってほしいと思います、というのが1点です。
それから、国際共同治験、企業治験の評価と書いてありますが、治験を受託するということは、その病院のパフォーマンスを今は非常に反映しています。付き合いで治験を依頼する時代は、今正に終わろうとしています。治験をたくさん受託できるということは、そこの病院が信頼されているということなので、それは、ちゃんと評価しておいていただきたいと思います。それと、国際共同治験は、今は全体の治験の6割以上になっていますので、国際共同治験に参加するなどというのは、臨床研究中核病院の要件にする以前の問題です。臨床研究中核病院に求めるのであれば、国際共同治験を主導する、自分たちが主導的役割を果たしているものが臨床研究中核病院の責務なので、ここを単に、国際共同治験を何件やりましたということを臨床研究中核病院に求めてほしくないなと思います。
リアルワールドデータ、DCTの所ですが、DCTは治験の方法論の一つであって、それをやったからといってすばらしいわけでも何でもないし、疾患領域ごとにかなり濃淡があります。神経難病や精神科など、それはDCTが結構活用されていますし、がん領域だとそれがなかなか活用されていないというアメリカの実態もありますから、あえてDCTを要件に入れるということは余りしないほうがいいでしょう。リアルワールドデータも、もともと自民党の政策コンペであったCIN事業(クリニカル・イノベーション・ネットワーク事業)というのがありましたけれども、その総括結果は余り詳細を見ていないので分かりませんが、国内でちゃんと申請につながるようなレジストリは、ほとんどないような状況です。
リアルワールドデータの活用といっても、希少がんや希少疾病であれば使えますが、生活習慣病のような領域でリアルワールドデータを創薬に活用するなどというのは、あり得ない話というのが世界の規制当局では割と言われています。希少がんや希少疾病などの領域でレジストリをちゃんと整備しているというところが評価点数に入るならまだいいですが、リアルワールドデータの活用をあえてうたう必要はあるのかなと思います。
それから、FMVとキャリアトラックは非常に大事で、いまだに臨床研究中核病院の中でのCRCさんなどの病院の全体の中での地位が低いものがあります。あるいは、事務職の人たちです。臨床研究センターの事務職の人たちは、ほかの事務職と同じような待遇でやられていますが、スキルの非常に高い人たちがいる中で、その人たちの将来がなかなか見えない状態である病院も多いですから、こういうことをやっている所は、ちゃんと評価していただきたいなと思います。
最後に、9ページの所で、これも非常に大事なものです。疾患特異的な臨床開発力がとても大事で、疾患ごとに臨床試験のスタイルなどが全然変わってきます。精神科、循環器、脳卒中もそうですし、神経難病など、それぞれが全然違うタイプの臨床開発や臨床試験をやります。そこを区別して、それぞれに特徴的な力を持つ病院が臨床研究中核病院になって、全国の病院を束ねて臨床試験をやっていくということが大事だと思うので、疾患特異的というところに注目していただきたいと思います。米国NIHでは様々な傘下の研究所が多施設協同臨床研究をやって成功していますし、イギリスでも、今はクリニカルリサーチネットワークは名前が変わりましたが、そういう疾患ごとの運用をするということをやっていらっしゃいます。日本でも、疾患特異的な臨床開発力を有する臨床研究中核病院も高く評価するという体制に変えたほうがいいかなと思います。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。それでは、次に佐原委員、引き続いて佐藤委員でお願いいたします。佐原委員、よろしくお願いいたします。
○佐原委員 日本医師会の佐原でございます。医師主導治験及び臨床研究の成果を創薬の貢献度として評価基準にすることは、とても良い方向性であると思います。1点、事務局に確認なのですが、今後、議論するために、創薬や診療ガイドラインへ貢献した医師主導治験及び臨床研究の成果がどれぐらいあるのかという資料はご用意可能でしょうか。例えば、診療ガイドラインの根拠になった論文の数は、令和4年度の報告書を調べたところ、数十件の病院もあればゼロ件の病院もありました。そういった資料もあったほうが議論しやすいのかなとは思います。
また、先ほど近藤先生から臨床研究中核病院の目標を自ら報告するという、多様化という話がありました。私も臨床研究中核病院は、どういう点を評価してほしいか、あるいは、どのように評価すると臨床研究中核病院としてのモチベーションが上がるかというのを、当事者の臨床研究中核病院に一度聞いてみる機会があってもいいのかなと思いました。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ただいまの質問に関しては、いかがでしょうか。
○医政局研究開発政策課課長補佐 事務局です。佐原先生、御質問ありがとうございました。必要な資料に関しては、追加調査が必要なものもありますので、調査の上、次回以降の部会で提示できるものに関しては、提示させていただきます。また、各臨中の意見を聞いてみたらという御意見に関しては、次回以降、臨中を含めてヒアリングを考えておりますので、先生の御意向に沿った形でヒアリングは実施する予定です。以上です。
○佐原委員 ありがとうございます。
○楠岡部会長 ありがとうございました。診療ガイドラインといってもいろいろあって、特定の疾患に関して、今まで治療法などが整理されていなかったのを一つ整理してというような、非常に特異的な論文はすぐ分かるとは思うのですが、例えば、生活習慣病の診療ガイドラインなどには、それこそ数百の論文が参考として挙げられていて、かつ、どこにどれぐらいウエイトがあったかというのも余り分からないので、そういうところに採用されているものをどう評価するかという、論文のガイドライン上でのウエイトをどのように評価するかということも併せて考えていかないと、なかなか難しいところはあるかとは思います。御指摘ありがとうございます。
では、引き続き、佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤(典)委員 北海道大学の佐藤のほうでよろしいですか。
○楠岡部会長 先に、がんセンターの佐藤先生、お願いいたします。
○佐藤(典)委員 そうですか。すみませんでした。
○楠岡部会長 次いで佐藤先生、お願いいたします。
○佐藤(暁)委員 8ページの主な論点の2ポツ目の多施設支援についてどのように評価するかです。ちょっと細かい所なのですが、現在は、ただ多施設共同試験でデータマネジメントなどの業務を実施した件数などを細かく並べて記載していて、こう言うのは何ですけれども、ほとんど意味のない数を出していて、こういったところは是非、細かい所で申し訳ないですが見直していただきたいと。代わりに多施設共同試験の件数などでも実績を証明するエビデンスとしては十分ではないのかなと思ったりもしますので、そこは見直していただくのと、これも本質の議論とはちょっと違うのですが、私も今、自分で作っているのですけれども、非常に膨大な資料を作って、かつ、これをチェックされている厚労省の方も非常に苦労していて、お互いに苦しい感じになっているので、さまつな証拠書類などを評価するのではなくて、本質的なところをできるだけ少ない労力で評価できるように、できればお願いしたいと思っております。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。引き続き、佐藤委員、よろしくお願いいたします。
○佐藤(典)委員 北海道大学の佐藤です。フライングしてすみませんでした。ほかの委員の方もおっしゃったことと若干重複するところはありますが、3点申し上げさせていただければと思います。まず1点目は、論点に書かれているとおり、中核病院の役割というところです。近藤委員がおっしゃったとおり、多様化という話もありますが、多分、想定されたときと今とでは、世の中の環境や求められているものが随分変わっているなというのは、我々は現場として実感しています。それで、国としての課題の所に創薬への貢献促進が求められていて、創薬だけではなくて、機器も含めて様々なものだと思いますが、新しい医療技術を最終的なゴールまで持っていくということが、きっと大きく求められているというように変わってきたのかなと思っています。
現場としては、診療ガイドラインや最適な医療を確認するという臨床試験の重要性は変わっていないと思っていますが、中核病院というカテゴリーでいうと、そういった開発系のものというか、新しい技術、新しい治療法を最後まで持っていくことが求められていると思いますから、そういったところを評価の一部に加えていくというか、重要視する方向が大事なのではないかなと思っています。藤原委員は、臨床試験の後半のほうですかね、承認の後半のことをおっしゃっていました。それは反対しませんが、希少疾患や難治性疾患をやっていると、少数例の探索的な試験的なものも、ものによってはそこが承認につながることもありますので、疾患によってはということでしょうけれども、必ずしも後半だけではなくて、前半での承認につながっていくことも大事にしてほしいと思います。
開発をやっていこうと思うとというか、ゴールまで持っていこうと思いますと、我々アカデミアだけではどうしようもないので、企業さんですかね、どうやってつながっていくかということも、評価の方法は難しいかもしれませんが、そういった視点が大事かと。国全体で新しい治療法を最後まで持っていくことを大切にするような仕組みになるといいなと思っています。
2点目は、現場の実感なのですが、研究費の問題です。承認要件と関係ないと思われるかもしれませんが、現場としては臨床試験をやっていこうというときに、なかなか研究費が当たりにくくなっています。よく言われるのは、国全体では研究費は全然減っていないとか、増えているという話で、それはそれで実態なのでしょうけれども、一つ一つの通常の治験を守っていこうと思ったら、なかなか難しくなっています。毎回出していただいている参考資料の医師主導治験の数を御覧になったら分かると思うのですが、今年は半年たって、25という数字を先ほど確認いたしました。3、4年前は70を超えていたのです。25ですから、倍にしても50、昨年も59です。それだけ治験の数が減っているというのは、我々としてもやりたくてもお金がないという状況が続いて、結局、無理して中途半端な試験で数を合わせるようなことになりかねないところがありますので、数を見るときは、国全体の治験の数がどうなっているのかということも、特定臨床研究も含めてですが、見ていただきたいというのが2点目です。
3点目は、藤原委員もおっしゃっていたので、長くは言いませんが、実績と目的と方法を混同しないほうがいいかなと思っています。方法論とです。ですから、DCTもリアルワールドデータも方法論なので、そこをプラスアルファのアドオンで頑張っている所に加えるならいいですが、明確に基準化してしまいますと、無理やりそういう方法を使ったことにしてしまえる臨床研究が増えて、余計なルールを使うだけになってしまう可能性もありますので、そこのところは実績と方法を混同しないような形を、もちろん、そこに力を入れた所を何らかの形で評価してあげるというのは有り難いところですけれども、そこを混同しないようにしたほうがいいかなと感じているところです。長くなりましたが、以上3点です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。次に、谷岡委員、その後、山口委員、お願いいたします。谷岡委員、どうぞ。
○谷岡委員 外なので、うるさかったらごめんなさい。2つあります。1つ目が、今の中核病院も教育や啓もう活動を非常にやっていただいていて、私たちもとても勉強させていただいています。こういうところも評価の内容として入れてよいのではないかということ、もう1つは、現実的かどうかという課題はあると思うのですが、医療機器と医薬品は開発の方法等もかなり違いますので、医療機器に特化したというか、強化した中核病院ができないのだろうかという意見が出ておりました。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。次に山口委員、その後、渡部委員でお願いいたします。山口委員、どうぞ。
○山口委員 臨床研究中核病院が2015年4月から始まっているということからしますと、約10年が経過しているということで、2019年の見直しのときに、私もこの議論に関わらせていただいたのですが、今回いろいろな論点があるのですが、非常に変化してきているということと多様化していることも、いろいろ資料などを拝見している中でも感じています。今回の議論をするに当たって、最初に作ったときの目的であったり、そのときにどういった視点で承認要件を決めたのか、何が変化してきたので2019年に見直しが行われて、その後どのような変化があるのかということを、見える形で事務局の方に資料として出していただけないと感じました。どういったことが求められてきているのかということや、多様化しているのもどのような多様化が見られるのか。15の病院があって、恐らく全部同じではないと思うのです。どういうことに強みがあってとか、そういったことが分かるような資料を出していただけると、様々な立場の方が議論に参加できるのはないかなと思いました。
それから、承認要件の提出の資料です。先ほど佐藤委員もおっしゃっていましたが、私も提出されたものを拝見したことがあるのですけれども、莫大な資料で、本当にこれだけのものが必要なのかと感じたことがあります。是非その辺りを、実際に資料をお作りになっている方で、ここは要らないのではないかということをきちんと整理して、必要なことにエネルギーを掛けられるような整理を、今回は是非していただきたいと思っております。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。渡部委員、どうぞ。
○渡部委員 細かい所で大変恐縮なのですが、こちらのスライドの下から2つ目の企業治験の評価という所です。これは、一実施医療機関として実施したということを評価するのかなと思いながら拝見させていただいていました。実際問題、CRCとして治験を支援している中で一番負担になっているのが、他施設が企画した医師主導治験の実施支援なのです。スライド6の所では、医師主導治験を評価いただけるのを残そうかといった議論がありましたが、中核病院としては、その部分は全く評価されておりません。ここをあえて企業治験としてしまうと、SMOのCRCさんも付きませんので、院内のコーディネーターが手弁当でやっているようなものの、モチベーションがかなり下がってしまうのではないかなといったことが気になりました。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。特定領域に関しても御意見があれば、是非お願いしたいと思います。私から、1つは、先ほど藤原委員からもありましたように、文科省の橋渡し支援病院、拠点との差別化というところですが、橋渡し支援のほうにも一応KPIがあって、それは、医師主導治験の数で決めてます。ほとんどの拠点はすでに5年間の目標をクリアするぐらいに来ているのですが、もう1つ、市場化がどうなっているか。すなわち、承認されるとか、ガイドラインに収載されるというところも、実は評価点として5年間に何件と挙がっているのですが、これが、達成見込みがない所がかなりあるというところです。そういう意味では、臨床研究中核病院は正に臨床に関する所ですので、この出口の所、要するに、医師主導治験の後、承認まで行ったのか、あるいは、特定臨床研究でガイドラインに載ったのかという出口の所をしっかり評価していく必要があるかと思います。
医師主導治験は、初期の頃はしていて、その後、企業に引き渡したので、最終的に市場化されるまでにかなり時間が掛かって、時間遅れがあります。その時間差をどう評価するかという問題もあるかとは思うのですが、やはり出口の所までちゃんと行っているかどうかをしっかり見る必要があるのではないかと思っております。
もう1つは、リアルワールドデータで、藤原委員は単なるテクニカルのことだと、要するに技術的なことだとおっしゃるのですが、今、日本で問題になっているのは、リアルワールドデータの構築そのものにすごく難渋しているということです。むしろ、それを作った後でデータマイニングというか、データサイエンティストによって新たなエビデンス等を見付けていただく、そこまでまだ至っていないところがあるので、そこは早急にリアルワールドデータを構築していく必要がある。藤原委員がおっしゃるレジストリに関しては、なかなか難しいと思うのですが、そうではなくて一般診療での各病院のデータをどうやって集めてきて、それをデータマイニングに掛けていくか、これは今後の議論になるかと思いますが、そうなってくるとAIなどが非常に活躍できるところもあるかと思います。それをまた御検討いただければと思っております。
ちょっとしゃべり過ぎましたけれども、特定領域を含めて御議論をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ほかに御意見があれば、佐藤委員、どうぞ。
○佐藤(典)委員 ありがとうございます。特定領域の所で、これはずっと期待して待っていたら結局どこも手を挙げてくれなくてみたいなことだと思います。なぜ手を挙げてくれないのか、理由はちょっと分からないですけれども、その論点のところ、ナショセンが正に特定領域だというのもよく分かるのですが、この論点でいくと、ナショセンがやってくれれば中核病院が要らないという意味なのか、いや、そうではなくて、ナショセンにやってもらうのがどうなのですかね。ナショセン以外にも特定領域として手を挙げてくれるところがあったらOKなのか、駄目なのか、ちょっと論点が、何を論じたらいいのか分からなくて。例えば、私の病院は難病をやっていますとかいう病院があって、手を挙げて、数字を満たしたら積極的に認めようという考え方なのか、ナショナルセンターがあるのだからもう要らないという考え方、あるいはそこを議論したいのか。資料自体の作りが分からなくて、質問的なことになってしまいますけれども、その辺どういうことを論じればいいのかなということ、ちょっとすみません、分かってなくて、教えていただけますか。
○楠岡部会長 事務局、お願いいたします。
○医政局研究開発政策課課長補佐 事務局です。佐藤先生、ありがとうございます。おっしゃっていただいたことの前者のほうが事務局の意向としております。特に、特定型の臨床研究中核病院発足の当時は、小児疾患、神経疾患、その他の臨床研究の実施に際し、疾患に応じた体制の整備、疾患に係る臨床研究の実施の中核的な役割を担う臨中として位置付けられてはいましたが、また、疾病構造の変化もありますし、高度先駆的な医療研究を担う中核的な機関として設立されている国立高度専門医療センターの役割も踏まえて、またそのあり方について御議論いただければというのが事務局のほうからです。
○佐藤(典)委員 ナショナルセンター以外にもまだ道はあるというか、今まで手を挙げてなかったから、これからは余り実態はないのかもしれませんけれども、そういう考え方でよろしいのですか。基準を満たしてしっかりした所であればOKなのかなと思いつつ、いやいや要らないということが私としてはあってもいいのかなと思っていますけれども、きちんと満たして、それがきちんと働いてくれる所であればとは思っていました。私としては一応そういうことで発言しております。以上です。
○医政局研究開発政策課課長補佐 事務局です。佐藤先生、ありがとうございます。当初、臨中として手を挙げてくれる所がないかということでしたが、なかなかそうでもないのが実情で、NCのほうにも期待をしていく方針で検討はしております。
○楠岡部会長 これは今後また御議論いただくべき点の1つですけれども、特定領域という場合、今のナショセンの場合は、例えば、成育は小児を中心に見てて、病院としても小児病院であるとか、精神神経の場合は当然精神と高度神経難病などを見ておられる所、もし、特定疾患をたくさん見て研究はしているけれども、それは病院全体のごく一部であるという場合には、臨床研究中核病院として認めるのか、それとはちょっと別の位置付けをするのかということは少し議論をしないといけない点だとは思っております。したがいまして、この辺りのをどのように考えるか。そうでないと非常に特異的な疾患をたくさん診て研究している所がどんどん手を挙げて、それが臨床研究中核病院になってしまうと、他の今まで総合的に行ってきた臨床研究中核病院とどう区別するかという問題も出てくるので、この辺りは少しまた御議論いただく必要があるのではないかと思っております。
それでは、がんセンターの佐藤委員、その後、花井委員でお願いいたします。
○佐藤(暁)委員 ありがとうございます。ちょっと今、別の観点ですけれども、ほかの先生方に知っておいて頂きたいのは、臨床研究中核病院の証認要件としてあるのと、プラス、AMEDの革新的医療技術創出拠点で、臨床研究中核病院に対する研究費が付いています。その中で、例えば先ほど議論にあったDCTやリアルワールドの臨中ネット、あと国際臨床研究への支援などそういうところが別途お金が付いて、臨床研究中核病院の中からそういったことが選ばれて取組をしているのが実際の中で、臨床研究中核病院から見るとそういう形で今、承認要件とはまた別にいろいろ求められているところがあって、それに対しても、例えばAMED側のサイトビジット等で評価されているといった状況になっています。で、先ほどありましたように、例えばDCTやリアルワールドなど評価が定まっていないような新しい取組に関しては証認要件に入れるのではなくて、そういったところで今は見ているのが現状ですので、何でもかんでも証認要件というよりは、そういうAMEDの付いている研究費との使い分けみたいなところも勘案した上で、少し検討していただくといいのかなという気がします。ここの場がお話しする場として適切かどうかが分からないですけれど、臨中から見ると一対一対応していますので、一応、意見として述べさせていただきました。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。何か事務局からコメントはありますか。
それでは、花井委員、その後、藤原委員でお願いいたします。花井委員、どうぞ。
○花井委員 ありがとうございます。特定領域の件ですけれども、楠岡先生がある程度整理されたのはそのとおりで、何となく当初は、やはり特定領域の場合は数値目標等をちょっと達成しやすくしようみたいな、そういうニュアンスになっていて、先ほどおっしゃられたNCが一定程度想定されていたと思うのです。では、いわゆる特定領域、特に大学病院などであれば、例えばこれは希少となっていますけれども、細胞系が得意など特色がいろいろあると思うのです。そのときに難病・希少疾病、小児などでいうならば、大学病院でもそれをやっていて割と得意なところはあるし、その疾患系で大学病院がある種の拠点としてやっている病院もあるのですね。だから、そこは今までの臨中の特定領域の基準で数値目標だけで規定するのは整理が混乱するというのは、楠岡先生のおっしゃるとおりなので、そこは基準と併せてもう一回議論をし直す必要があるのではないかと思いました。
以前、結局、応援的な意味合いと、本来の機能評価をもって、どのように推進するかというところとはちょっと距離がある議論だと思うのです。だから、応援する部分は別でやればそれはそれでもいいというようには発言しましたけれども、やはり特定領域の臨中についての定義というか、位置付けはまだちょっと曖昧なところがあるというのが事実だと思うので、そこは再度、事務局でも整理していただいて、もう一回この基準を議論する必要があると思いました。ありがとうございます。
○楠岡部会長 ありがとうございます。藤原委員、お願いいたします。
○藤原委員 特定領域の臨床研究のあり方ですけれども、私は、大学病院は教授が大体10年とか15年で代わっていきますし、その後、専門性は絶対に継続されないので、ぶつ切りの研究となることを懸念していて。それを防ぐためにこの特定領域の臨床研究中核病院は、多施設共同試験をオーガナイズできる、例えば希少疾病や小児、難病領域で。自分の所でやるというのも、多施設を助けていきながら、多施設共同研究をオーガナイズして、それに大学病院の人たちがどんどん参画していくようなスタイルがいいかと思います。
私は、ナショセン出身なのでナショナルセンターの整備をいつもしてあげたらいいなと思っていますが、例えば、精神神経センターが神経難病ALSの試験のノウハウをしっかり集積しておいて、で、多施設共同研究でいろいろな大学病院が手を挙げたときに、そこをしっかり臨床試験の部分でサポートして、オーガナイズしていく。これは米国NIH傘下の各研究所のやっている臨床試験のサポートは、割とそういうタイプが多いので、各疾患ごとにいろいろなナショナルインスティチュートがあって、それが臨床試験のオーガナイズや採択などをやっていますから、そういう形が疾患特異的な臨床研究中核病院の機能、役割として求められているのではないかと思います。繰り返しになりますが、大学病院だと必ず教授が代わると世代交代していきますから、そこで継続性がなくなることを危惧するので、そういう役割を疾患特異的なナショセンが担ってあげればいいかなと思っております。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。ほかに御意見は、花井委員、どうぞ。
○花井委員 今の藤原委員の意見は非常に実態としてよく分かるのですけれども、逆に、その大学病院で、希少な場合はその講座が伝統として継続してやっているケースも結構あって、逆に言えば教授選というものがあって、全く跡形もなくなるという例も幾つかあることを私も知っているのですけれど。逆にそう位置付けることによりこの講座がずっと継続することもあり得るのではないかと思って、私どもの疾病などは典型的にそうですけれども、伝統的にもう半世紀以上この講座は。当然これをやるから次の教授はこれができる教授が事実上継いでいくみたいな、そういうところもあるし、あと希少なものほど、結構そういうところはあるのですね。だから、ちょっとその辺は確かに教授が代わって跡形もなくなって絶望するということもあるのは存じつつ、何かそういうところを応援する形もあり得るのではないかとは思いました。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。ほかに御意見はいかがですか、よろしいでしょうか。それでは今、頂きました御意見を整理しまして、事務局でまた次回にまとめていだたくようにお願いいたします。ありがとうございました。
議題2「臨床研究・治験推進に係る今後の方向性について」に進みたいと思います。まず、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課室長補佐 ありがとうございます。事務局でございます。それでは資料2「臨床研究・治験推進に係る今後の方向性について」を御説明します。資料2を御覧ください。
2ページ目です。前回第36回臨床研究部会において、委員の皆様方から頂きました御意見を、論点のポイントごとにまとめたスライドとなります。次のページから論点のポイントごとに、現状や国の取組について御説明します。
3ページ目です。まず論点1、国際競争力の強化です。4ページです。我が国の国際共同治験の届出件数の状況です。国際共同治験の初回治験計画届出件数については、下のピンクの棒グラフですが、ここ3年間はおよそ年間100件程度で横ばいとなっています。
5ページ目です。国際競争力の強化のための治験環境整備として、厚生労働省で来年度予算の概算要求を行っている事業について御説明します。まず「新規モダリティ対応ヒト初回投与試験体制整備等事業」です。日本の創薬力向上のため、創薬シーズが臨床試験に入る段階であるファースト・イン・ヒューマン試験の重点支援を行おうとするものです。複数年の事業を想定しており、令和7年度は、国立がん研究センター中央病院が実施主体となり、革新的なモダリティに対応可能な、国際的に競争力のあるFIH試験、GMP準拠の治験薬製造機能、研究施設を備えた創薬拠点の整備に向けた仕様設計を行い、国内のFIH試験の中核的な役割を担う体制の整備を進めるということ。また併せて、国立健康危機管理研究機構、JIHSと国立成育医療研究センターにおけるFIH試験の体制整備を行っていきたいと考えています。
6ページ目です。「国際共同治験ワンストップ相談窓口事業」です。日本が国際共同治験に参加できていないということが、ドラッグロスの一因として指摘されていて、国際共同治験の実施を推進していくことが求められています。そのため、国内に開発拠点を有さない海外の製薬企業や、スタートアップからの国内での治験実施についての相談を受け付け、海外のスタートアップ等に対して国内での治験の誘致を行うワンストップサービス窓口を、国立高度専門医療研究センター医療研究連携推進本部に設置しようという事業です。
7ページ目です。「医療技術実用化総合促進事業」です。こちらは臨床研究中核病院においては、本事業を通じて国際共同臨床研究に関わる人材の育成やノウハウの共有、医療系ベンチャー支援部門の設置、リアルワールドデータの活用の推進を図るため、診療情報の標準化や品質管理の体制整備等を進めており、令和7年度、来年度からは、ワンストップサービス窓口と連携して、臨床研究中核病院のネットワークを活用した施設の紹介・症例の割り振り・実施の調整など、治験実施の支援を行う取組を行いたいと考えています。
8ページ目です。「臨床研究総合促進事業」です。こちらは臨床研究中核病院を中心に、本事業において臨床研究従事者等に対する養成研修を実施していて、令和7年度、来年度からは、SMO、CRO等の従事者への対象の拡充、DCTに関する研修の強化、国際競争力の強化として英語で完結できる人材、FIH試験を実施できる人材の育成を新たに実施することを考えています。
「アジア地域における臨床研究・治験ネットワークの構築事業」です。日本主導の国際共同治験を強化し、医薬品の開発の加速化を目指すため、感染症領域についてはNCGMが、非感染症領域においては国立がん研究センター中央病院が、アジア地域において教育・研修の実施や設備整備等を行うことで、アジア地域における臨床研究・治験を実施するための実施体制の強化を行っているところです。
10ページ目です。続いて論点2、症例集積性の向上について御説明します。11ページです。まずDCTの国内の体制整備に関する取組としては、AMED研究事業において、左側の表にお示ししたような事業を実施することにより、国内のDCT体制の整備を進めているところです。実際に国立がん研究センターにおいては、希少がんの治験においてオンライン診療を活用したDCT治験を実施しています。
12ページです。リアルワールドデータの利活用の促進の取組としては、医薬品・医療機器開発の低コスト化・効率化を狙い、患者レジストリを活用した効率的な治験・臨床研究の体制構築に向けて、クリニカル・イノベーション・ネットワーク事業に取り組んでいます。
また、13ページですが、臨床研究中核病院においては、各病院の電子カルテ情報のコードの標準化、データの品質管理、各臨中の情報の統合解析に向けた取組を進めており、臨床研究中核病院におけるデータ基盤の構築に向けて、取組を進めているところです。
14ページです。続いて、国民・患者の理解や参画促進のための取組です。患者や一般の方々、研究者等への情報提供のために、国内で行われている臨床研究や治験の情報を検索できるサイトとして、臨床研究情報ポータルサイトを運営しています。ポータルサイトでは、臨床研究や治験の情報だけではなく、病気の解説や一般的な治療薬の情報も掲載しています。
15ページです。臨床試験に関する情報については、研究過程の透明性確保、国民の臨床試験への参加の選択に資する情報や、治験等の実施状況、終了した臨床試験の結果の概要等をjuratにおいて公開を行っています。
16ページです。jRCTについては、登録・検索の機能が使いにくいといった御指摘があります。そのため、研究者、業界団体及び患者団体等が参加する有識者委員会において、jRCTのあり方を見直すべく、円滑な研究の実施、治験等への理解・参加の促進を目的とした、ユーザーフレンドリーなデータベースの実現に向けた意見交換会を実施しています。
17ページです。ユーザーフレンドリーなデータベースの実現のため、jRCTの大規模改修に必要な予算については、令和7年度の概算要求として、現在必要な予算の要求を行っているところです。
続いて論点3、臨床研究・治験手続の効率化について御説明します。まず中央IRBの利用状況について、国立がん研究センター東病院の佐藤委員に実施いただいた特別研究事業の結果を御説明します。
医療機関向けアンケートの結果、治験実施の際に中央IRBを利用したことのある施設というのは、全体の43%でした。また、R&D Head Clubの調査結果ですが、経営母体別の中央IRBの利用割合については、国立病院機構及びクリニックでの利用割合が高い一方、国立大学病院や国立病院機構以外の国立病院では利用割合が低いという結果でした。
治験文書・手続の電子化の状況として、日本製薬工業協会が実施したアンケート調査では、電子化のSOPの整備状況は70%の企業において整備済みである一方、企業から医療機関への資料授受では、90%以上の企業で紙での運用が残っていました。一方、医療機関における電子化の対応可能割合については19~55%となっていて、企業側と医療機関側の整備状況にはギャップが認められたという結果になっています。
医療機関における治験業務の電子化の状況については、必須文書に比べ、個人情報である診療情報を含むリモートSDVの導入は進んでいないという状況でした。
治験手続の効率化の取組として、日本製薬工業協会において、企業治験における説明文書及び同意文書の様式の共通化を進めるため、医療機関・患者団体等からの御意見も踏まえ、「ICF共通テンプレート」が作成・公開されました。より多くの企業・医療機関において、共通の様式が活用されることが治験の効率化に資するものと考えていますので、厚生労働省からも、製薬業界等関係団体や都道府県宛てに周知依頼通知を発出しています。
また、効率的な治験実施のための取組として、研究開発ネットワーク事業を御説明します。多岐にわたる臨床研究の支援において、限られたリソースを効率的に活用できるよう、臨床研究中核病院とその支援先機関が連携し、臨床研究の実施及び支援の質向上に向けた人材開発・連携ネットワークの構築等を推進していて、本事業において、研究マネジメント人材の育成カリキュラムや効率的な治験実施支援のための業務フローを作成し、AMEDのホームページで広く公開することで、臨床研究中核病院内外の医療機関における研究開発環境の整備を進めているところです。
また、臨床研究・治験関連文書における生成AIの活用について、昨年度実施しました特別研究事業の検証・実証結果を御説明します。特別研究事業では、AIを活用した研究プロトコルの自動生成、説明文書の平易化、電子カルテ情報の抽出によるCRFの自動入力について検証を行いました。
結果、AIが生成するプロトコルについては、有用な「たたき台」となり得るということ、文章の平易化については、文章の平易化によって同意への意向に影響を及ぼすことなく、理解度を向上させることが可能であること。AIを使用して、電子カルテからeCRFへの自動入力が可能であることが示されています。
続いて論点4、臨床研究・治験コストの透明性の向上です。治験費用の算出方法については、日本では国立病院機構が算定要領、いわゆるポイント表を策定し、国立病院機構以外の病院においても、その多くが同様のポイント表を準備していると承知しています。一方、ポイント表に基づく治験費用の算出方法については、日本独自のシステムであり、施設ごとにポイントの付け方、項目、係数などが異なることでばらつきが生じ、透明性に欠けることで、グローバルに対して費用算定の説明が困難な場合があるといった指摘がされています。また、治験の複雑性が変化しているということもあり、現在の複雑な治験においては、ポイント表の算出方法では適正な算出ができないといった指摘も受けているところです。
一方、海外ではFMV、Fair market valueに基づくベンチマーク型コスト算定ということで、ベンチマーク、タスクベース、Visit単価といった個々の費用を算定して、積み上げて治験の費用として算出する手法が取られていると承知しています。
FMVの国内での導入状況について、製薬企業に対するアンケートを行った結果です。FMVを導入している企業は全体の16%で、FMVの導入の障壁としては、日本ではベンチマーク(実勢価格)が十分に蓄積されていないことや、医療機関の理解が得られないという理由が多いという結果となっています。
治験費用の算定方法の合理化については、本年4月の「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」報告書において、「医療機関・治験依頼者双方が納得感を得られる方法について必要な検討を進めるべき」とされました。
下の所ですが、これを受け、今後、本部会とは別に、産学官関係者による意見交換を実施し、そちらのほうでFMVの国内の導入の実現性を含め、医療機関・治験依頼者双方が納得感が得られる方法について、御議論いただきます。その結果については、改めて臨床研究部会に御報告し、治験の推進策について御議論いただきたいと思っています。
続いて論点5、研究支援人材の育成・インセンティブです。まず、厚生労働省における臨床研究人材の育成に関する事業を御説明します。臨床研究総合促進事業においては、臨床研究中核病院を中心にして、国内で質の高い臨床研究・治験を実施すべく、臨床研究に従事する医師やCRC、データマネージャー、各種審査委員会の委員等に対して、臨床現場における実習を含めた養成研修を行い、日本全体の臨床研究環境の更なる向上を目指しています。
また、生物統計家の育成については、産学官が一体となり、生物統計家の育成を行う「生物統計家育成推進事業」において、東京大学大学院及び京都大学大学院を育成拠点として採択し、質の高い臨床研究に寄与するための実務生物統計家の育成に取り組んでいます。これまで82名の修了者を輩出していて、修了者の7割以上がアカデミアに就職しています。
臨床研究人材のキャリアパス、研究に対するインセンティブについて、臨床研究中核病院における取組例を御紹介します。左側、千葉大学医学部附属病院では、2017年に臨床研究支援人材を医療法に基づく常勤職として、2022年からは常勤職、室長、副臨床試験部長までの昇格を可能とするような臨床研究人材のキャリアパスを設定しています。
また、右側、北海道大学病院では、若手研究者が資金不足を理由に臨床研究を断念することがないよう、研究に対するインセンティブとして支援経費を配分するなど、医師主導治験や特定臨床研究の推進のための支援プログラムを整備しています。
最後ですが、今後のスケジュールです。今後のスケジュールについては、前回部会でお示ししたものから変更はありません。次回以降、関係者へのヒアリング等を実施して、今年度内を目途に取りまとめの公表を行いたいと考えています。説明は以上となります。御議論のほど、どうぞよろしくお願いします。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明に関して、御議論いただければと思います。まずは論点ごとに御議論いただきたいと思いますので、論点1から順に議論していただければと思います。ただ、今回お示しいただいていますのは、現在いろいろな事業として予定されているもの、やろうとしていることが中心で、ここに入っていないもので絶対に必要というものも当然あるかと思いますので、それも含めて御指摘いただければと思います。よろしくお願いいたします。
まずは論点1、国際競争力の強化につきましてお願いいたします。まず、谷岡委員、その後、渡部委員でお願いいたします。
○谷岡委員 ありがとうございます。1つ質問なのですけれども、6ページのワンストップの所ですが、これは国を限らずの話だと思うので、こういう図になっているのかもしれませんが、米国にPMDAさんが事務所を開設されるというお話を伺っています。その場合に、この図に書くとしたら、どのようになるのだろうかと思いましたので、教えていただけると助かります。うまく連携することで、この活動を推進することにつながるかと思いますので、よろしくお願いいたします。もし、この場での回答が難しければ今日でなくても結構です。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局でございます。谷岡先生、御質問いただきまして、ありがとうございました。御指摘いただきましたようにPMDAのワシントン事務所とも連携しまして、国内での治験誘致のために取り組んでいきたいと思っておりますので、御指摘のとおりPMDAとも連携した上で事業を実施していきたいと考えております。
○谷岡委員 その場合に、この図では、例えばスタートアップと今の研究センターの間のところで連携していくようなイメージでよろしいでしょうか。
○医政局研究開発政策課室長補佐 御認識のとおりでございます。
○谷岡委員 ありがとうございます。
○楠岡部会長 ここは、なかなか難しいところで、待っていても来てくれないといいますか、今までがそういう状況だったので、ワンストップがありますからと言っても、なかなか難しいところがあります。逆にこれから始まりそうで、特に我が国においても必要な薬品や機器などを調査する、サーベイランスをして、見付けてきて、声掛けをしていく必要もあるということで、これに関しては、前回、事務局にお伺いすると、JETROともいろいろ共同してやっていかれるということのようですので、そこもかなり大きなところになってくるかと思います。それでは渡部委員、お願いいたします。
○渡部委員 ありがとうございます。8ページの所で御質問といいますか、コメントになります。少し論点からずれていたら大変申し訳ないのですが、SMO、CRO等の従事者への対象範囲の拡大を行うということで、これはSMOの会社の不正もあって、こういったものを加えていただけたのではないかなと思いますし、私もSMOのCRCさんに研修の門戸を開くこと自体には反対はしないのですけれども、かなりの人数がいらっしゃるので、到底、そもそもさばき切れない対象の方々の自主性に任せる方法というのは余り意味がないのかなと感じました。
CRCのことばかりで申し訳ないのですが、楠岡委員長の班研究などで作成したシラバスが既にありますし、さらに中核病院のCRCの研修の事業で、しっかりしたものに改定しておりますので、各社や団体でそのシラバスを基にした研修をしっかり行っていただければ、均質な研修の提供が十分可能なのかなと思います。
むしろ、そういった基本的なものというのは、それぞれの団体でしっかりシラバスに基づいて実施していただくほうが大事なのかなと思っておりますし、現在CRCと呼称するものが、臨床経験がなくても、また、医療ライセンスを持っていなくても、もうすぐに患者さんに対応できるような状態ですので、ベースとしてそういう知識を持って当たるということのほうが、むしろ重要なのかなと感じました。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。事務局のほうから何かありますか。渡部委員の御指摘されるように、今、臨床研究促進事業でやっているものも、上級CRCなどで、アドバンスのCRC研修の前の初任者研修は、各施設や団体でやっていただいているような状況で、それを全部ここでやるのは、やはりとても無理であるということ、それからSMOなどでのCRCの方々の入れ替わりも結構激しいので、ある一定の経験を積んで更にアドバンスなところということで、今の上級CRCのようなものを門戸を広げていくというような考え方と思っているのですが、そういう形でよろしいでしょうか。
○医政局研究開発政策課治験推進室長 事務局でございます。楠岡先生の御発言のとおりでございます。SMOやCROも当然、自らも従業員に対する教育をやっていただく必要がありますし、こちらのほうは上級CRC向けの研修についてSMOなどにも門戸を広げるというような見直しを予定している状況です。
○渡部委員 ありがとうございます。あと、藤原委員からキャリアトラックの話も出ましたが、こういう研修を受けた方々こそ定着をしていただくということも、非常に重要なことなのではないかなと思っておりますので、一言添えさせていただきました。
○楠岡部会長 ありがとうございました。それでは、次は佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤(暁)委員 ありがとうございます。この中で直接取り上げるのはちょっと難しいのかもしれませんが、例えば、オーストラリアなどは国際競争力という意味では、治験や開発を誘致するための施策などを結構やっていて。スタートアップとかと話をしていると、そういった所に、じゃあ行ってみようかみたいな、どちらかと言うと産業振興のような方向なので少し違うかもしれませんが、そういうのも参考になるかと思いますので、そういった所の、他国がどういった形で治験や臨床研究、あとはそういうシーズと言われているようなものを誘致しているかというところも、是非、観点として入れていただけたらなと思いました。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。ほかによろしいでしょうか。それでは、論点2に移りたいと思います。症例集積性の向上に関しまして、これは永遠の課題ではありますけれども、御意見あれば、よろしくお願いいたします。それでは近藤委員、続いて佐藤委員お願いいたします。
○近藤委員 ありがとうございます。近藤でございます。リアルワールドデータの研究への利活用において、お示しいただいた後ろ向きのようなデータ活用だけではなくて、前向きにデータを活用するといった仕組み、すなわち電子カルテ情報等、EDC等の治験データベースの効率的な連携が可能になるような仕組みの整備も重要なポイントになってくるのではないかなと考えております。
そのために、既に取り組みが始められているかとは思いますが、症例ワークシートというものを電子化して、医療機関や電子カルテベンダーに関わらないような共通データ定義や、疾患特有項目の拡張データ定義によるデータ入出力を可能にするような仕組みを、電子カルテ情報標準化の施策と併せて整備していただけるといいのではないかと考えております。
そして、治験等を実施する場合においても、できるだけデータの2重入力をなくして、治験現場の業務負担と開発コストの低減にも寄与するような仕組みが、先ほどの国際競争力の強化にもつながってくるのではないかなと考えております。
また、既に課題として取り上げていただいておりますが、DCTに対する取り組みを充実させていくのは非常に重要なことと考えております。現在も事業で検討が進められていますが、サテライト施設での治験業務、これは企業治験等も含めて対応できるような業務分担ができるようになっていくと、非常に症例集積性を高めるだけではなくて、患者さんにとっても利便性が高くなり、治験という機会が広く提供できるようになってくるのではないかなと考えております。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。それでは、佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤(典)委員 ありがとうございます。12ページのクリニカル・イノベーション・ネットワークについて一言申し上げたいと思います。私は、このCIN事業は一部関わっているところがありまして、私の関わっている範囲内の知識でしかないのですけれども、このCINがスタートしてから一定の年月がたっていまして、当初は成果は出ているかなと思っていたのですが、最近の様子を見ていると必ずしもそのスタートラインの成果が得られてないように見受けられます。
それで、悪いことといいますか、やっていること自体はとても良いことだと思いますが、これ自体をもう少しきちんと現状を評価して、どういう形で更に推進していったらいいかということを、きちんとどこかの場で議論したほうがいいのではないかと感じています。私の知らない場で議論されていたら、そこは訂正したいと思いますけれども、私の知っている範囲内では、なかなかそこがうまくいっていないような気がしますから、そこのところをしっかり議論して、更にこの症例集積性を含めて活用できるように見直すなり何なりしたほうがいいかなと感じているところです。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。次は花井委員、その後は谷岡委員でお願いいたします。
○花井委員 ありがとうございます。CINに関連してレジストリなのですが、レジストリでも同じ、いわゆる治験のようには、EDCのようなものにデータを集積していきますし、場合によってはePROのようなものを実装するのですが、やはり治験などと違うところは、継続してデータがアップデートすることと、それから、やはり患者がみんな登録していくということ。それから一番、患者のこのデータを使うかぎりにおいて、いわゆる同意取得という、いろいろなことを治験であればアドホックにも運用して、CROさんもSMOさんも入って集約化してできるのですが、結局ずっと継続してやっていこうと思うと、やはり、これはちゃんとした質の高い、モニタリング可能な質の高いデータを継続的に集約するとなると結構運用が大変になってくると。
単にここで何かできるということではないとは思うのですが、例えば難病にせよ、いろいろな疾患にせよ、医療費は公的助成によって、研究事業など、いろいろな形で登録は別途しているわけですよね、市町村や都道府県などで。そこの段階で何らかの登録につながるようなことができれば、そういう登録ができたりとか、だから法律が必要かどうかは分かりませんが、継続的にレジストリを運用して、さらにその患者が積極的に登録されていくということを推進するためには、やはり国として何らかの法なのか何なのか分かりませんけれども何かがないと、それから継続的な運用支援がないと、短い期間で立ち行かなくなるということが起こってしまうので、その辺りは何らかの別の検討をしていただければと思います。
特に同意取得をずっとやっていって、新しい患者が出るたびにずっと何年も続けてやっていくとなると現場の負担も大きいので、そういったことも含めて何らかのサポートがないと質の高いレジストリが継続的に運用されるのは難しいのではないかと思っております。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。それでは、谷岡委員、その後、藤原委員、山口委員でお願いいたします。谷岡委員、どうぞ。
○谷岡委員 ありがとうございます。13ページなのですが、先ほど近藤委員からも御意見がありましたが、やはり、このようなデータの効率化と、あと、これらを利活用して効率的に開発していく事は非常に重要だと思います。一方で、医療機器に固有の意見となり申し訳ないのですが、電カルのデータの中には医療機器を特定するようなデータはありません。ですから、今の情報のままですと医療機器側ではなかなか利活用は難しいと思っております。
一方で、安全対策の観点で規制制度部会等でも取り上げられていますが、今、UDIという医療機器を特定するコードがありまして、そのコードを用いて新たにデータベースを構築するというような動きもありますので、是非、今後の連携を含めて検討をお願いいたします。それが可能となれば、医療機器のほうも、効率的、有機的に開発も進められると思っておりますので、是非インプットしておいていただけると有り難いと思いまして、お話させていただきました。よろしくお願いします。
○楠岡部会長 ありがとうございます。それでは藤原委員、お願いいたします。
○藤原委員 まず、DCTですが、私が聞くところによると、DCTやっても患者の集積性が増えたり、コストが削減されたり、患者の満足度が下がったとかっていう、実際がどうなのかということはちょっと疑問符が付くので、これらの過去にやった事業が本当に成功したのか、コスト削減になって患者の集積性が増えたのかというデータを、ちょっと見せていただきたいですよね。
アメリカなどに聞くと、反省期にも入っているというようなことも聞きますので、DCTは入れたけど、結局、昔の、治験ネットワークをやったけど症例集積も全然増えずに、治験が活性化されたことにもつながらなかったということの二の舞になっているのではないかということを懸念するので、この11ページにある各種事業が、DCTを入れたことによって本当にどのくらいパフォーマンスが良くなったのかというデータをちょっとお見せいただきたいと思います。
それから、次のページのCINについては、これも私は何度もいろいろな所で探すのですけれども、AMEDや厚生科学研究費などいろいろ事業は進んでいますが、NCGMのサイトに行っても、その研究費の報告書なども一切見れませんし、AMEDのサイトを何度も探しましたが、過去からやっているこのCIN事業の実績報告書も見付けられないので、是非、研発課のほうでこれを探して、誰でもがアクセスできるようにしていただけると、みんなが評価しやすいかなと思います。
それから、リアルワールドデータですが、これも先ほども申し上げましたが、過度に期待し過ぎで、今のリアルワールドデータは厚労省の電子カルテの標準化がしっかり全部できる状況にならないと使えないですし、仮名加工情報にしても創薬に使えるとは思いません。
今使えるのは、唯一、外部対象としてのナチュラルヒストリーを希少疾病用医薬品の開発などに使っていくというのがせいぜいですが、その際に併用薬のフォローや、アウトカムをシリアルにフォローアップしていく体制というのは整備されていませんので、結局、使い勝手が良くないということになってしまいますので、現実を直視して、もう少しリアルワールドデータの話をしていただきたいなと思います。
最後、jRCTは、これは中村班で今検討されているので、その結果を待ちたいなと思います。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。それでは山口委員、お願いします。
○山口委員 私は、今、藤原委員が疑問を呈された11ページのDCTの体制整備に関する取組の所ですが、実は、ここに御紹介されている愛知県がんセンターの取組が始まる前に、どう思いますかということで意見を求められて、その後、成果もお聞きしているところです。
そうしますと、これまで遠方で直接行けないから治験に参加できなかった患者さんが、地元の主治医と、D to P with Dで、オンライン診療に参加できるということで、とても安心して治験を受けられているとお聞きしています。
ただ、こういった方向が実際に登場してきていることを知らない患者さん、あるいは医師の方もまだまだたくさんいらっしゃると思いますので、私は、これがもし成果を上げているのであれば、国としてもきちんと広報をしていくことによって症例の集積性が上がるかと思ったのですが、先ほどの藤原委員の御意見をお聞きして、実際に今どうなっているのかというところまでは存じ上げていないので、是非、そういった、ここに紹介されていることがどれぐらいの実績につながっているのかということを、私も何らかの形で報告していただけたらと思います。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 リアルワールドデータの利活用についてですが、最近では、手入力のレジストリが、医師の働き方改革もありまして、なかなか進まない状況というのを鑑みて、既にあるデータの利活用を進めていくのが重要ではないかと思います。
その上で、ないものを個々の病院で作るよりは、今既にあるものの利活用を進めていくということも重要ではないかと思います。例えば、ナショナルデータベースやナショナルクリニカルデータを国レベルで既に集めているデータもあるのですが、その利活用がなかなか使いたい人に使えない状況になっているというのを、現場の研究者からよく聞きます。例えば、ナショナルデータベースだと、特定の大学の設備のある部屋に行かないと触れないとか、個票データには触れられないので、誰かにデータを抽出していただいて、集計データしか持ち帰れないとか、そもそも触るのにアクセス権限を得る申請自体が何箇月も掛かるとか、そういうことも聞いております。ナショナルクリニカルデータのほうは、外科系のデータベースですが、限られた研究室の統計家しか触れないとか、あと、申請して年に数件、全国データにも関わらず、使える方が年に数えるほどの研究でしか使われていないなど、集まっているデータでも、なかなかユーザーの所に届いていないという現状もあるかと思います。ですので、国が持っている使われるべきデータにどういうものがあって、そこをどういうふうにユーザーにつなげていくかという議論と、これに平行して、商業的なデータも、今、買えるようにもなっておりまして、JMDCやメディカル・データ・ビジョン、DeSCなど、いろいろな会社が全国レベルの何百万人というデータを束ねて、クリーニングした上で研究者が使えるように整備してくれているデータもあるのです。そういうデータを結構、私の研究室でもそうですが、ある程度研究資金があれば、クリーニングされたものを買えるというのであれば、データマイニングのできる統計家等がいれば、それは論文化までつなげていけるということで、商業的なデータベースが今結構進んできていると思います。ですので、はせてそういうものの調査と周知もしていただきたいと思います。
最後ですが、今ここで出ているスライドで、前向き研究におけるリアルワールドデータの利活用という所で、最近の国際標準では、ファイアー(FHIR)という国際標準を使うべきだという声も上がっております。ですので、SS-MIXが国内だけの標準というところもありますが、医療情報系の方々の中ではSS-MIXではなくて、国際的な標準に合わせていこうという議論もかなり活発に行われておりますので、その辺も調査していただければいいのではないかと思います。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。HL7FHIRに関しては、厚生労働省の標準様式にすると決定しているような形ですので、いずれそちらのほうへ全部動いていくと思います。ほかに御意見はいかがでしょうか。よろしければ、次の論点3、臨床研究・治験手続の効率化に移りたいと思います。御意見をお願いします。近藤委員、お願いします。
○近藤委員 ありがとうございます。近藤です。データとしてお示しいただきましたが、中央IRBがクリニックや国立病院機構以外では進んでいない状況かと考えます。今後、シングルIRBを推進していくためには、関係する各ステークホルダーが協力して、どうしてこう進んでいないのだろうという課題がどこにあるのか。また、その課題を解決するために必要な事項が何かということをまず整理して、実際のモデルケースを立てて、推進していく必要もあるのではないかと感じた次第です。
例えば、業務の効率化のためにはデジタル化を推し進めないといけない状況にあるかとは思いますが、その総論は賛成いただけるのではないかと思いますが、10数年前から必要性が訴えられているにもかかわらず、現在、今日もデータでお示しをいただきましたが、なかなか進んでいない状況にあるかと存じます。
こちらにつきましても、進まない課題がどこにあるのかというのは、一度整理して、抜本的な対策を進めていく必要性があるのではないかと感じております。
治験や臨床研究で要する費用を考えていくと、医療機関等に掛かる費用というのは当然そうですが、モニタリングや手続を行うために必要となる人件費、こちらの部分が非常に多額になってくると考えております。余り表に出てこないかもしれませんが、デジタル化やシングルIRBが進むだけでも、全体的なコストの軽減にもつながってくるかと思いますので、是非、抜本的な解決に向けた議論、取組を期待したいと思います。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。ほかに御意見はいかがでしょうか。治験文書手続に関しては、企業治験が中心になっている必須文書に関しては、標準様式を非常に昔に作って、そこは統一化されたのですが、それを電子化して、中央で扱うというシステムがなかなかなかった中で、日本医師会治験センターが、そういうシステムを作っていただいたので、割と進んでいたのですが、治験センターそのものが解散してしまったので、そのシステムがなくなってしまったという状況があります。あれを進めていくと、そういう意味では業務がかなり標準化されて、かつ、各施設でも独自に何かファイリングする必要もなくなるので、いいかなと思っていたのですが、そこをどこか引き受けてくれる所があるかどうかですが、少し考えていく必要はあるのではないかという気はいたします。
もう1つは、治験データを実際にEDCに入れるところに関しては、これは医師主導治験等ですと、EDCに関しては、標準フォーマットみたいなものがあれば、それを使っていただけるわけですが、企業治験の場合は、各企業ごとにEDCのサーバーとかが違うので、一律にはなかなかいかない。そうすると、医療機関としても、それごとに対応しないといけないという問題があります。実はAMED研究で、中央に各電子カルテから必要なデータを出しておくと、今度は企業側が自分のEDCに合った形で吸い上げていく。そういう仲介機関があればできるという、一応、仕様書辺りまでできていたのですが、それも今止まっているような状況です。今まで、これに関してはいろいろなものが出てきているのですが、一度、そこは整理して、使えるものは使っていく。ただ、誰がお金を負担するかという、いつも残る問題なのですが、そこも考えていただければと思います。ほかに御意見はいかがでしょうか。よろしいですか。そうしましたら、論点4、臨床研究・治験コストの透明化の向上ですが、これはいかがでしょうか。まずは治験そのものが非常に複雑化していて、今の算定表では計算できないような所、特に一番問題になったのは、がんに関しての治験がフォローアップ期間が5年になったために、従来の算定方法だと、全然合理的ではないという意見があった割には、なかなかそこが改善されていないという状況があります。ここは一度、コスト表を持続させるにしても、何らかの合理性は必要ですし、当然のことながら、フェアバリューに基づくやり方というのも必要になってくるかと思います。この辺りは御意見いかがですか。藤原委員、お願いします。
○藤原委員 この部分は、PMDAが、これから始める治験エコシステム事業の中で、いろいろな病院の声を聞いて、そこで精査をしていくことが始まるということと、先ほど近藤委員もおっしゃっていましたが、日本の治験のコストが高い最大の要因は、病院の自立ができていなくて、CROさんやSMOさんにおんぶにだっこで、何でもモニターさんを呼んで、遠い所からモニターさんが来て細かくチェックすることで、人件費・旅費がどんどんかさんでいくことが、治験コストの最大の要因になっているかと私は思っているので、病院が自立する、CROさんやSMOさんを呼ばなくても、自分たちでいろいろなことが解決できるように体制の整備をしておかないといけないということが1つです。
それに向けてやることは、Fair market valueで、昔、治験が始まった頃はみんなで治験をやって、病院の収入を上げましょうという雰囲気もありましたが、今は世界の中で日本が選ばれて、なおかつ、日本の中でこの病院に治験を依頼したいと思わせるようにしないと、治験なんか来ないわけですから。横並びはもう捨てて、自分たちの病院だったら自立していて、いかに安く、しかもしっかりとした治験ができることを企業さんなどに示して、それで評価されて、契約が進んでいくというふうに変えていかないと、いつまでたっても治験コストは高止まりですので、日本のドラッグロスの改善にはつながらないと私は思いますので、この辺りを治験エコシステム事業で明らかにできればと思っております。
○楠岡部会長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。渡部委員、どうぞ。
○渡部委員 ありがとうございます。Fair market valueが進まない要因としては、かなり手動でカウントしたりして費用を算定しているものもあるかと思いますので、医療機関でもDX化で、来院履歴を残せば自動でカウントできるようなDX化は必要なのかと感じております。
あと質問ですが、28ページのスライドで、保険外併用療養費の取扱いが上がっているのですが、それは制度自体がそういったことの弊害になっている、あるいは、それを見直す動きなど、そういったものはあるのかといったことを、もしお分かりでしたら教えていただきたく思います。
○楠岡部会長 事務局、お願いいたします。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局です。保険外併用療養費自体の取扱いを踏まえて変えるという議論があるかということですが、事務局では承知しておりませんが、ここでの課題としては、海外との違い、日本独自の費用の関係として、保険外併用療養費があることで、海外で広く使われているFMVの導入の障壁になっているのではないかということは、アンケートの結果として出ているということになります。
○楠岡部会長 よろしいですか。保険外療養費は同種同効薬とか切り分けていかないといけないなど、手間が掛かるので、それを何か一律にできるようなものがあればということになっているのかと思います。藤原委員、どうぞ。
○藤原委員 保険外併用療養費ですが、これは日本独特の仕組みなので、外資系企業には理解されないと思います。私は昔、アジアで国際共同治験をPMDAが来る前までやっていましたが、アジア各国も保険外併用療養の仕組みを持っていなくて、アジアで国際共同治験をやろうとすると、医療費を全額研究費で出してくれと医療機関は言ってきますので、その辺りの特殊な事情がここに書かれているのだと思います。
アメリカだと、クリニカアルトライアル・ポリシーと言って、メディケアは、政府がグラントを出している研究に関しては保険診療と研究的診療を切り分けて、臨床試験が運用できるようなものを持っています。いずれにしても、日本独特の保険外併用療養費制度の仕組みが、海外では理解されていないということだと思います。
○楠岡部会長 ありがとうございます。ほかによろしいですか。次に、5番目、研究支援人材の育成・インセンティブに関してお願いします。藤原先生、お願いします。
○藤原委員 研修について、31ページの修了証発行実績という集積の仕方よりも、研修を受けた人がどのぐらい臨床研究や治験に関与できて、それで件数が上がったとか、効率化されたなど、そろそろアウトカムを評価する指標に変えていく時代が来ているのではないかと思います。研修を幾らやっても、その人たちが治験や臨床試験に携わって、その数が増えなかったら意味がないので、修了証発行数の実績からそろそろ脱却してほしいと思いました。
漫然と中核病院は実績を求められるので、研修をやっていますが、その成果が本当に上がっているのかと。研修した人たちがちゃんと歩留り良く臨床試験・治験に従事してくれているのかとか、治験の数が研修を受けた人の多い施設では増えたのかとか、そういう見方をしていかないといけないのではないかと思います。研修が終わった後に資格を取ったら、俸給表に反映してあげて、たとえば、上級CRCになったら、俸給表で2段階上がるなど、そういうインセンティブを付けないと、なかなか浸透していかないのではないかと思いました。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。近藤委員、お願いします。
○近藤委員 今も藤原委員からありましたが、日本では多くの場合、通常診療に加えて、大学病院等でしたら、他の業務も当然あるかと思います。それらの業務に負荷するような形で、臨床試験業務を実施しているという状況にあるのではないかと。しかしながら、今回課題として挙げられているように、臨床試験を実施するインセンティブが現状としてはないような状況になっているかと。日本では臨床試験を実施する医師のみならず、CRCの方やデータマネージャー等、医師以外の臨床試験に関わる人材のインセンティブの低さも指摘されているのではないかと考えています。今回、千葉大、北大の事例を御紹介いただきましたが、既に少しずつ取組を始めていただいて、それは非常にすばらしいと考えるのですが、更に拡大して臨床試験を担当する医師の臨床研究におけるキャリアパスを示すとともに、インセンティブを高める手段として、通常診療としては別の報酬体系を検討する必要性があるのではないか。同時に、臨床試験に関わるCRCの方やデータマネージャー等のスタッフの方々のインセンティブを高める手段として、渡部先生も先ほどおっしゃっていましたが、資格制度の検討や、報酬面での改善をもっと検討していってもいいのではないかと。そういう議論が進むのを期待しております。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ほかにいかがですか。研修、キャリアパスに関しては、ここで今上がっている研修というのは、言うならば、臨床研究、治験がスタートした当時の役割が中心で、現在は、スタディマネージャーやプログラムコーディネーター、プログラムマネージャーなどどんどんいろいろな必要な仕事ができてきている中で、一部、例えば、臨床試験学会やAR協議会などで資格制度もできていますので、少し技術がある資格制度も整理した上で、それを今後どう位置付けていくのか。今後、やはり必要な資格がもしあるならば、それをどういうふうに作っていくかということも検討する必要があるのではないかと思っています。ほかに何か御意見はありませんか。それでは、一応、一巡しましたので、それ以外のことも含めて、何か次の方向性に入れておくべき事柄とかありましたら、是非、御意見を頂きたいと思います。いかがですか。今回も1~5まで論点を挙げていただいている中で、大体のことは覆いつくされているような気がしますが、臨床研究の在り方等が進んでいき、それに加えてPPIや、あるいは被験者保護も更に厳しくなっていく。個人情報保護もかなり在り方が変わってきているということもありますので、その辺は今後どうなるか見えない所もありますが、そこを少し先を考えて入れておく必要があります。どうせよというのはなかなか難しいと思いますが、問題点としてあることだけを考えておいたほうがいいのではないかという気がいたしますので、これもまた事務局でいろいろ御検討いただければと思います。ほかはいかがですか。特にないようでしたら、一度、論点をまとめていただきまして、事務局のほうで整理していき、また次回以降、御議論いただきたいと思います。どうもありがとうございました。それでは、最後の議題になりますが、議題3「臨床研究法省令改正について」、事務局から御説明をお願いします。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局です。それでは資料3「臨床研究法省令改正について」の御説明をさせていただきます。
資料3、表紙でお示ししておりますように、前回、第36回臨床研究部会の資料から、一部変更点がありますので、この点について本日御報告させていただきます。
2ページです。前回の部会でもお示しした今後のスケジュールとなっております。こちらは変更はありません。現在、パブリックコメントに向けて準備を進めております。
続いて、3ページです。前回お示しした研究全体の責任主体の概念についての資料となります。こちらの資料において、基本的な考え方の変更はありませんが、名称等の変更が2点ありますので、次のページで御説明させていただきます。
4ページです。まず1点目、上段の囲みです。研究全体の責任主体である、いわゆるスポンサーを「総括管理者」と呼ぶと御紹介しておりましたが、法令用語の調整等によって、「統括管理者」という名称、「総括」を「統括」に変更しております。
2点目は、2つ目の中の波線囲み部分、「統括管理者が医師等ではない場合は、医学的判断を含めた統括管理者の責務が果たされるよう、統括管理者の業務の補助、調整を行う医師等を指名すること」としておりまして、この「指名する医師」を「研究調整医師」と呼ぶことと前回御紹介させていただきました。前回の臨床研究部会及びスポンサー概念についても御検討を進めていただいている特別研究班の先生方から、中段にお示ししている御指摘、1ポツ目、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令、いわゆるGCP省令ですが、このGCP省令における「治験調整医師」と業務内容が異なり、名称が類似しているということから、混乱を招くのではないかという御意見。2ポツ目、ICH-GCP上では規定されていない「研究調整医師」を規定するべきではないという御指摘を頂きました。これを受けて、基本的な方針というのは変わりありませんが、「研究調整医師」という名称は置かないこととし、一番下の四角囲みの方針、1ポツ目、統括管理者が医師等ではない場合は、「あらかじめ指名する医師又は歯科医師」に医学的見地からの条件を求めなければならないこととする。2ポツ目「あらかじめ指名する医師又は歯科医師」は誰を指名できるのかという点ですが、こちらの方針は変更なく、当該研究に従事する研究責任医師、研究分担医師、統括管理者たる学術団体等に所属する医師等とする。ただし、こちらは御議論を頂きましたが、有効性又は安全性を明らかにする医薬品等の製造販売業者等に所属する医師等を除くこととするといたします。
最後の資料になります。5ページです。今、御説明させていただきました内容を反映した更新版の研究全体の責任主体の概念についての資料を掲載しております。本報告事項の説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ただいまの報告に関して、何か御質問はありますか。よろしいですか。それでは、「臨床研究法省令改正について」に関して、臨床研究部会で御了解を頂いたとさせていただきます。ありがとうございました。その他、事務局から何かありますか。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局です。次回の開催は、11月28日(木)10時~12時を予定しております。委員の皆様には、追って事務局より御連絡を差し上げます。以上です。
○楠岡部会長 次回以降も、本日のような議論が続くと思いますので、もし何か次回までにお気付きの点がありましたら、事務局へお知らせいただくか、メモしていただいて、次回、御発言いただければとお願いいたします。それでは、本日はこれで閉会させていただきます。どうもありがとうございました。