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第4回「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」議事録
日時
令和6年9月11日(水)15時00分~17時00分
場所
東京都千代田区平河町2丁目4-2
全国都市会館 第1会議室
全国都市会館 第1会議室
議題
ヒアリング(3回目)
- 医療保険者・医療提供側等からのヒアリング
- 自治体からのヒアリング
議事
- 議事内容
- ○柴田保険局保険課長補佐 それでは、定刻少し前ですが、皆様おそろいということですので、ただいまより、第4回「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」を開催いたします。
構成員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただき、ありがとうございます。
本日の会議は、傍聴希望者向けにユーチューブにおいてライブ配信を行っております。アーカイブ配信はいたしませんので、あらかじめ御了承くださいますよう、お願いいたします。
それでは、まず構成員の出席状況について御報告いたします。
本日は、御都合により、今村構成員、末松構成員、寺尾構成員、新居構成員、李構成員はオンラインでの御参加をいただいております。
それでは、会議冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、カメラの方は御退室をお願いいたします。
(カメラ退室)
○柴田課長補佐 では、以降の議事運営につきまして、田邊座長にお願いいたします。
○田邊座長 それでは、議事に入ります。
まずは事務局から資料の確認と、それから参考人の紹介をお願いいたします。
では、お願いいたします。
○柴田課長補佐 事務局でございます。
それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。
傍聴の方は厚生労働省ホームページに掲載しております資料を御覧ください。
本日の資料は、資料1といたしまして、家保構成員からの提出資料
資料2、照井参考人からの提出資料
資料3、佐野構成員からの提出資料
資料4、伊藤参考人からの提出資料
資料5、末松構成員からの提出資料
資料6、寺尾構成員及び中本参考人からの提出資料
そして参考資料として、第3回検討会における主な意見をお配りしております。
過不足、落丁等ございましたら、事務局にお申しつけください。
また、本日は参考人として、公益社団法人日本小児科医会会長の伊藤様
一般社団法人全国妊娠SOSネットワーク代表理事の佐藤様
一般社団法人日本産科麻酔学会理事長の照井様
また、オンラインで一般社団法人日本助産学会理事長の片岡様
公益社団法人日本産婦人科医会常務理事の宮﨑様
鈴鹿市子ども政策部長の坂本様
府中町福祉保健部長の中本様
以上の方々に御出席をいただいております。
以上の参考人の先生方におかれましては、議論の中で座長から発言を促された際に、指名を受けて御発言いただくよう、お願いいたします。
また、構成員及び参考人の皆様におかれましては、御発言の際、御発言ごとにお名前をおっしゃっていただくようにお願いいたします。
以上でございます。
○田邊座長 それでは、議事の進行のほうに戻ってまいりたいと思います。
まず、議題(1)「医療保険者・医療提供側等からのヒアリング」を行いたいと存じます。
資料1から資料4まで、順に御発表いただいた後、質疑応答、意見交換の時間を設けます。
各資料につきましては、発表時間は10分以内でお願い申し上げます。意見交換の時間、方法を十分に確保できるよう、御協力のほうをお願いいたします。
それでは、まず資料1の家保構成員からの提出資料の御説明をお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○家保構成員 全国衛生部長会長で高知県保健医療担当理事の家保と申します。こういう機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
私から、全国、都道府県別、周産期医療圏別の分娩取扱医療機関及び取扱医師の状況について説明させていただいて、かなり危機的な状況になっていることについて、御理解と対策も一緒に考えていただければと思います。
まず、2ページをお願いいたします。
平成20年度から令和2年度までの12年間の各種の指標を示したものでございます。出生数の減にほぼ平行して、分娩取扱施設数は減少しておりますが、逆に担当医師数は常勤換算で病院は35%増加し、診療所は90.3%に減少ということで、1施設当たりの医師数は病院・診療所共に非常に増えてきております。
助産師さんにつきましては、実数も、また1施設当たりの助産師数もかなり増えております。タスク・シフトの重要性も踏まえて、周産期医療における助産師さんの役割は非常に評価されておりますし、また、一層の活躍が期待されると思います。
ただ、日本全体で見ますとこのような状況で、病院施設数は17%減ですが、都道府県によっては30%以上減ったところが5県、一番大きいのは大分県で、9か所が5か所へと44%に減少しました。診療所も50%以上減った県が6県、最大は福島県ですので、これは東日本大震災の影響があるかもしれませんが、2番目に減りましたのが私の務める高知県で、13か所が6か所へと53.8%に減少ということで、診療所の減少は危機的な状況になっております。
取扱医師数についても、総数では増えておりますが、減少している県が3県ございます。
例えば、富山県は60.7人が56.1人ということで、7.6%の減となります。
一方、増えたのは、東京が平成20年の時点で636人が、令和2年では995人と、360人増加ということで、都市部への集中が非常に著しいです。100人以上増えたのは、神奈川、大阪、埼玉ということで、医師の偏在が一層顕著になってきているような状況がございます。
こういうところで出生数と医師の勤務時間等を照らし合わせて国のほうで示されたのが、3ページの分娩取扱医師偏在指標でございます。医師全体の偏在指標と異なり、分娩取扱医師偏在指標は西日本、東日本かかわらず満遍なく分散しているところでございます。
ただ、この分娩取扱医師偏在指標で下位3分の1にならなくても、4ページで見ていただきますと、病院で考えますと結構ばらけている。どの指標も令和2年の時点で2倍ぐらいの差があるというような状況でございます。
5ページの令和2年の診療所の状況を見ますと、上位3分の1、下位3分の1にかかわらず、上にも下にも入っているということは、分娩取扱医師偏在指標はあまり診療所の状況を反映していない指標になっているのかなと思います。
ただ、分娩取扱医師が多い県におきましても、6ページに秋田県、奈良県を例に出しておりますが、秋田県は、病院は辛うじて維持されておりますけれども、診療所は9か所が6か所に減っている。しかも、診療所の担当医師は6人ということで、1診療所当たり1人でやっておられるという状況になりますし、奈良県は診療所が17か所が9か所に減っていると。従事者医師も半減しているということで、多数県と言われるところでもかなり厳しい状況が出ていると思います。
これは令和2年のデータですので、その後の2年間でどうなっているのか。高知県を例に取って7ページで説明しますと、高知県ではそんなに減ってはいなかったのですが、令和2年からここ何年か、この10月の予想で言いますと、診療所は6か所がもう3か所に減りました。だから、ほぼ半減しております。病院に勤務されている方も、令和2年で38人が10人減るということで、減るときには危機的に減ると。加速化している可能性が十分あるというような状況でございますので、何らかの手を打つ時には迅速な手を打たないといけないのかなと思っております。
国のほうでは、周産期は非常に危機的な状況でございますので、8ページにございますように、普通の二次医療圏とは別に周産期医療圏を設定するというようなことを指針で示しております。それに基づきまして、通常の二次医療圏とは異なる周産期医療圏を設定した都道府県は47分の17でございまして、一部の二次医療圏を統合した周産期医療圏を設定した県が、ここに書いてあるところでございます。全ての医療圏を統合再編したところは5県、通常の二次医療圏とは別に設定したのが神奈川、兵庫の2県でございます。
イメージしにくいので、次の9ページに岩手県を例に取りまして周産期圏域を示しております。
国の指針に基づきますと、ハイリスクは総合周産期母子医療センター、中・低リスクは地域周産期母子医療センターを設置して対応するということで、岩手県では、本来の医療圏でいいますと合計9つあるところを、4つの周産期医療圏に再編しております。おのおの圏域に地域周産期母子医療センターを少なくとも1か所ずつ配置するというような状況でございまして、それ以下の低リスクの分娩を担う医療機関はもはや数えるほどになっています。気仙・釜石、久慈・二戸の両方の周産期医療圏では、地域周産期母子医療センター以外に分娩できるところはないというような状況になっております。
ちなみに、後でも説明しますが、岩手中部・胆沢・両磐の医療圏の面積は約5200平方キロとほぼ千葉県の面積に匹敵するところに、病院3か所、診療所3か所で分娩を行っているという状況でございます。
10ページで、令和2年のときの医療施設調査で、分娩取扱医療機関がない二次医療圏が幾つかございました。①中空知は統計上はゼロになっていたのですが、実は砂川市民病院という非常にきちんとした地域周産期母子医療センターがあるのですが、なぜか計上されてこなかった。都道府県のチェックも甘かったのかもしれませんけれども、このようなデータもございます。
それ以外のところでは、単なる二次医療圏ではなくて、周産期医療センターに見直すことによって一定その圏域では確保しているというところが②~⑥までのところでございます。いずれも鹿本という医療圏を除きますと山手線内の面積63平方キロメートルの10~20倍ぐらいの面積のところが空白地域となっております。
11ページでは、個々の状況を見ます。
北海道では、分娩取扱医師偏在指標では下位3分の1には入っていない北渡島檜山の医療圏では1病院、産科医1人で80~100の分娩で、帝王切開が多分ゼロだと思いますけれども、そのような状況です。
田辺は下位3分の1に入っておりますが、1,500平方キロメートルのところに1か所のみで、ここは頑張って医師5人確保されています。
高梁・新見は3分の1に入っていませんけれども、分娩場所が1か所だけで、産婦人科医一人でで40~60の分娩になっております。
郡部のほうが大変危機的な状況が進んでいるということです。
12ページについてもほぼ同じようなところで、医療機関が複数ある地域でも同様です。例えば壱岐の医療圏は2病院あり、両方の病院の距離が1キロしか離れていません。集約化できるのかなとかという話を長崎県の人に聞きますと、離島ですので、福岡からドクターが通っており来島できないこともありますということでした。都道府県ごとに特殊事情が結構あるので、他の地域からはうかがい知れないような地元事情があろうかと思います。
また、島根県の雲南では、令和2年の調査では2か所ありましたけれども、令和3年に1か所が分娩を中止して、今、1,100平方キロメートルのところに1か所の公立病院で、産科病床12床、産科医2人で百数十例を分娩しているということで、綱渡りの状況が続いているということでございます。
一方、多数の医療圏でいいますと、多摩を筆頭に非常に大きな医療圏があります。病院については、診療圏格差が非常に拡大しているというような状況になるかと思います。
続けて14ページに行きますと、特徴的な統合された周産期医療圏ということで、静岡県が2つと熊本医療圏、3分の1に入っているのですけれども、そこを見てみました。
圏域としては、病院数もあり、診療所もあって、対応できるのかもしれませんけれども、前田構成員がおられる静岡県東部の話になりますが、賀茂とか熱海伊東になりますと、そこに住んでいる人には非常に厳しい状況は周産期医療圏を統合しようが変わりがない。地域住民にとっては、厳しいところは厳しい状況になっています。
超広域の周産期医療圏ということで、15ページで示しております。
1番の十勝が1万平方キロメートルを超えまして、岐阜県の面積に相当するところの中心地、十勝市の中に、半径1.5キロメートルの圏内に3病院が集中しています。それ以外、岐阜県の県土に当たるところから、全部これらの病院に受診される。多分移動の経費とかいろいろな手間、物すごく負担だと思います。
それから、先ほど言いました岩手中部・胆沢・両磐は、6キロメートルもしくは50キロメートル離れた3病院で同程度のところがありますので、これを集約化できるかどうかというのは非常に難しいところです。
ですので、大都市部と地方の医療を取り巻く環境が全く異なることを十分に意識した国としての対応策が必要であるかなと考えます。
それから、1点、出産費用につきましては、16ページに示しております。
先ほど示しました十勝の医療圏では、費用総額で40~50万ぐらい、基本的な分娩費用というと40万円台で収まっております。それに対して、東京区部中央に該当する千代田区、中央区の病院を見ますと、大体100万円近くかかっており、これを同じところでどう比べるのかというのは非常に難しいところがあるのかなと思います。妊婦さんの負担で考えると、移動経費も含めた上で合理的に考えないと、公平であるとはなかなか思えないかなという感じはしております。
そういうことで、都道府県の立場から言いますと、住み慣れた地域及び近傍で安心して妊娠が継続的、安全・安心な分娩がなされて、妊婦出産時の健康と楽しい子育てが実現できる医療・生活環境の確保が重要という認識ではおりますが、そのためには期待される役割に応じた医療機能が各医療機関で継続的に果たせるように、人材の確保、設備等の確保を支援する必要がございます。
ただ、都道府県ごとに周産期医療を取り巻く環境は異なっており、地域特性を踏まえた都道府県の対応は当然行いますが、同時に、従事する医師の確保や地域格差を是正するための取組は国としてぜひとも行っていただきたいと思います。
これまで示しましたように、分娩取扱医師偏在指標は医療側の要素を踏まえた指標ではありますけれども、加えて妊婦の移動時間等の地理的な条件、施設の状況、妊婦の要望等も踏まえて、地域の周産期医療体制を整備することに国としても留意していただきたいと思います。
また、分娩にかかる費用については、地域差が極めて大きい状況の中で、正常分娩の保険化に対してはいろいろな意見があることは承知しておりますが、いずれにしましても地域の分娩取扱医療機関の減少・運営困難をくれぐれも加速化しないように、ぜひともお願いしたいと考えております。
私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。
○田邊座長 御説明ありがとうございました。
それでは、続きまして資料2の照井参考人からの資料につきまして、御説明のほうをお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○照井参考人 発表の機会をありがとうございます。日本産科麻酔学会理事長の照井克生と申します。
私は、麻酔薬を用いた産痛緩和について、現状と課題をお話しします。
最初に、日本産科麻酔学会と私の立場を御紹介します。
本学会は、1961年に無痛分娩研究会として発足し、現在は会員数1,460名で、麻酔科医と産科医が半数ずつ、そして助産師、看護師が会員です。
私は、35年前の米国臨床留学を機に、産科麻酔の魅力と重要性を実感し、日本での普及に努めてきた麻酔科医です。
2ページ目の資料を御覧ください。
麻酔薬を用いた産痛緩和法には大きく分けて2種類あります。
一つは、鎮痛薬・鎮静薬・麻酔薬を点滴から投与する方法です。この方法では、母体の呼吸抑制や新生児への影響が懸念されます。
これに対して、日本を含めて世界中で標準的な産痛緩和法が、硬膜外麻酔を用いる方法です。硬膜外無痛分娩や麻酔分娩、和痛分娩などと呼ばれます。対象には、高血圧や心疾患があるなど医学的に産痛緩和が望ましい産婦もありますが、効果的な産痛緩和を希望する産婦であれば受けることができます。まれに持病や薬物などによって硬膜外麻酔が受けられない産婦もいらっしゃいます。
3ページ目の資料を御覧ください。
出産の痛みは、子宮収縮によるものと、産道の伸展、会陰部の伸展によるものとがあり、それぞれに神経を介して脊髄から脳に伝達され、痛みとして感じます。
次のページです。
腰椎のところで硬膜外腔に挿入した細い管、カテーテルと呼びますが、そこから局所麻酔薬を投与し、脊髄の近くで痛みの神経伝達をブロックすると、お産の痛みを効果的に緩和できます。したがって、意識ははっきりしており、お産の経過を味わうことができます。投与する局所麻酔薬は薄めて使うことが多く、力みたい感じが分かる産婦も多いです。
5ページは硬膜外無痛分娩率の推移です。
日本でも、御覧のように硬膜外無痛分娩は増え続けています。全分娩数に占める無痛分娩率のデータは、大部分がオレンジ色の日本産婦人科医会によるデータですが、赤は厚生労働省の医療調査による初のデータとなります。
6ページです。
無痛分娩の率が上昇しているだけではなく、青線で示す日本の分娩数が御存じのように減少し続けているにもかかわらず、緑のバーで示す無痛分娩の件数は増加を続けています。
7ページです。
一方で、都道府県別に無痛分娩数の推移を見ると、大都市圏を中心に多くの都道府県で無痛分娩率が上昇していますが、無痛分娩が受けられない県も複数あります。
8ページです。
WHOは分娩期ケアについての推奨をこれまで何度か出してきましたが、2018年に出たその最新版においては、緑の枠で示しますように、産痛緩和を求める健康な産婦には、産婦の好みに合わせて、硬膜外麻酔の使用を推奨すると発表しました。これは、母児のアウトカム等を検討した上での推奨です。
9ページです。
そのWHO推奨の中で、硬膜外無痛分娩に関するものが4つあります。一番上が先ほど紹介した推奨ですが、日本向けのサマリーでは訳者注が付記されています。日本では、硬膜外麻酔分娩による妊産婦死亡や後遺障害発生を受けて、2018年に無痛分娩関係学会・団体連絡協議会(The Japanese Association for Labor Analgesia:JALA)が組織され、安全な提供体制の構築を目指しているというものです。
JALAの活動については後ほど紹介しますが、この訳者注は、WHOが推奨したからといって、日本で硬膜外麻酔分娩を希望する産婦が急に増えたとしても、無痛分娩の安全な提供体制がまだ構築途上であることに注意を促すものです。
10ページの資料でその理由を御説明します。
これは日本の妊産婦死亡数の推移ですが、2016年以降に硬膜外麻酔分娩に起因する死亡が2例ありました。
2017年に、無痛分娩による母体死亡や重篤な後遺障害発生が複数報道されたのは、記憶に新しいことと存じます。
その概略は妊産婦死亡症例検討評価委員会が毎年発表している母体安全の提言2019に記されていますが、麻酔科医の関与のない施設で発生しました。
11ページのスライドで、硬膜外麻酔分娩に起因する死亡が発生するメカニズムを、この解剖モデルから御説明します。
硬膜外カテーテルを挿入する目標である硬膜外腔は、青い長方形で示した場所です。奥行きは僅か3~6ミリメートルしかありません。そこを針先の感触を頼りに目指すわけなので、深く入り過ぎると神経がむき出しのくも膜下腔に局所麻酔薬を誤注入してしまいます。青い血管で示す硬膜外静脈も血流豊富で怒張しており、そこに細いカテーテルを挿入してしまうと、局所麻酔薬投与による中毒症状を来します。
赤枠で示しますように、硬膜外麻酔に用いる局所麻酔薬の量は、帝王切開で用いる脊髄くも膜下麻酔に必要な量の10倍と多いため、誤注入により呼吸が止まったり、けいれんを起こしたりします。
12ページです。
これらの事例を受けて、日本産科麻酔学会の前理事長の海野信也先生は、厚生労働科学特別研究班の主任研究者となり、提言を出しました。その提言を実現して、より安全な無痛分娩提供体制をつくることを目的として、無痛分娩関係学会・団体連絡協議会が組織されました。海野先生は現在、JALAの総会議長を進めています。
構成団体には、日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本医師会、日本看護協会に加えて、日本産科麻酔学会ももちろん含まれております。
13ページです。
JALAの活動を御紹介します。
2018年3月に出された提言では、情報公開、研修体制、有害事象の収集分析を提言しました。
厚生労働省は翌月、無痛分娩取扱施設用に、提言に基づいた自主点検表を通知しました。
7月に組織されたJALAでは、さきの3つの活動を分科会を組織して行っています。
情報公開活動として、無痛分娩取扱施設ごとの実績や体制などの情報をJALAサイトで見ることができます。
オレンジで示しますように、厚生労働省はその後も通知や事務連絡により、JALAの活動が広がるように働きかけてきました。
14ページで、JALAの研修体制の活動を御紹介します。
これは特別研究班が示した無痛分娩を提供するために必要な人員体制のイメージです。
それぞれの医療施設の管理者または部門長の下に、無痛分娩について責任を持つ無痛分娩麻酔管理者を置きます。そこで整備されたマニュアル等に基づいて、麻酔担当医が無痛分娩を提供します。その診療には、助産師や看護師が無痛分娩看護マニュアルを活用して、担当産科医もそれらを共有してお産に臨みます。
出血やけいれん、麻酔合併症に対処するためには、危機対応シミュレーションを定期的に実施することが望ましいです。
15ページです。
提言では、さきの図のそれぞれの役割と専門資格に応じて、カテゴリーA~Dに分けた講習を定期的に受講することを推奨しました。JALAの研修体制分科会では、講習をウェブなどで提供するほか、日本母体救命システム普及協議会が提供するシミュレーションを含むJ-MELSの各種コースを認定しています。
16ページです。
JALAが提供するウェブ講習会の受講状況です。スライドの人数は、8月31日現在のもので、助産師向けのDコースでは延べ3,825人が受講済みです。カテゴリーCは救急蘇生コースなので、ウェブでの講習はありません。
17ページです。
日本産婦人科医会の調査によれば、少し古いのですが、2016年に無痛分娩を施行した場所は、産科診療所が病院を僅かに上回っていましたが、現在はどちらも50%です。
右の表は、無痛分娩の管理を行う医師の資格と薬剤注入を行う医療者を示します。いずれも複数回答なので、合計は100%を上回っています。
診療所は病院と比較して、産科医による無痛管理や薬剤注入、助産師の薬剤注入が多い結果でした。無痛分娩を提供する医師や投与方法、計画無痛か24時間の提供か、日本では提供体制も多様であることを御理解ください。
18ページでは、無痛分娩についての当院での情報提供の様子を示します。
左の図、ママパパクラスの分娩編で麻酔科医が説明をします。それを聞いて無痛分娩に興味を持った産婦を、産科医により産科麻酔外来に紹介してもらいます。真ん中の写真ですが、外来での詳しい説明の上、無痛分娩同意書を取得しますが、実際に無痛を希望するかどうかは、陣発入院後の痛みと相談して決めてもオーケーです。
一番右、産後ケアは無痛にしていない女性と何ら変わりません。産後の診察で麻酔合併症がないことを確認しますが、もしあれば回復するまでフォローして治療します。
最後に19ページ、硬膜外無痛分娩と母児のアウトカムについて、最近の知見を示します。
母体については、今よりも高濃度の局所麻酔薬を用いていた方法では、鉗子・吸引分娩などの器械分娩が増加し、出血も増えていました。ところが、麻酔科医が24時間体制で無痛分娩を提供している海外からのデータでは、輸血率や母体の重症合併症率が有意に減少しました。これは硬膜外麻酔自体が十分な陣痛を提供して、止血処置を行いやすくするほか、無痛分娩を提供している麻酔科医が分娩中も産後も産婦のそばにいて、麻酔と全身管理を迅速に提供することの影響が考えられます。
まとめです。
硬膜外無痛分娩は最も効果的な産痛緩和法です。しかし、麻酔の影響により、産科医にとっての管理が複雑化し、助産師による観察や対処が追加で必要となります。
日本では、硬膜外無痛分娩による母体合併症が発生しており、重篤な麻酔合併症への対策が急務です。そのために関係学会・団体が集まって、安全性を高める活動をしています。
最近の研究では、麻酔管理に十分習熟した医師が行う硬膜外無痛分娩は、母体合併症率を減らす可能性すら示唆されています。
日本全国で、希望する女性が安全な硬膜外無痛分娩を受けられるように、これからも日本産科麻酔学会として努力してまいります。
最後は参考文献です。
発表の機会をありがとうございました。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、資料3について、佐野構成員から御説明のほうをお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○佐野構成員 ありがとうございます。健康保険組合連合会の佐野でございます。意見発表の機会をいただきまして、ありがとうございます。
それでは早速、資料3に基づき説明をさせていただきます。
2ページ目を御覧いただきまして、最初に論点を記載しております。これまで2回のヒアリングを聞かせていただいて、出産費用の保険適用に当たっては、単に保険適用範囲をどうするかにとどまらず、大変幅広い観点からの検討が必要だということを改めて認識しております。
次に、私から6月26日の第1回検討会で申し上げた論点を4点記載しております。1点目は「出産費用の保険適用の目的の明確化」、2点目は「産科医・分娩機関の維持」、3点目が「給付と負担の関係・バランスの整理」、4点目が「見える化」です。本日はこれらの論点を少し掘り下げて御説明しますが、あくまでも論点出しということでお聞きいただければと思います。
3ページを御覧ください。
ただ今申し上げた1点目の論点「出産費用の保険適用の目的の明確化」ですが、出産費用の保険適用が受益者である国民のメリット、また少子化対策への貢献にどうつながるのかを明確にする必要があると思っております。
この記述の下は、参考です。2年前の令和4年に保険適用された不妊治療については、保険適用後、年間約900億円、これは厚生労働省の見通しにほぼ近いのですが、保険給付が増加した一方で、出生数も一定程度増加したと推定しております。はっきりした数字は把握できていませんが、数万人は増えていると考えております。
そういう意味で、この施策については、まさに国民の経済的負担の軽減と少子化対策への一定の効果につながっているといえるのではないかと思います。
次に2点目の論点「産科医・分娩機関の維持」については、第1回検討会でも産科医の先生からもお話がございました。大変厳しい状況ということは理解しておりますし、環境の整備・確保はもちろん重要ですが、分娩施設の体制維持・確保、並びに産科医の確保、地域偏在の解消等は、出産費用の保険適用の目的にはならないのではないかと考えております。これまでも申し上げておりますように、周産期医療体制の整備は国のインフラ整備に関わる問題であって、出産費用の保険適用とは切り離して、別途解決策を考えるべきです。
続いて、4ページでございます。
3点目の論点「給付と負担の関係・バランスの整理」及び4点目の論点「見える化」についてです。
保険適用の検討に当たっては、いろいろな課題があると思いますが、主として次の観点が必要と考えております。
既存の医療保険制度との関係をどう見るか。
現在の出産育児一時金との関係をどう考えるか。
被保険者・加入者における保険料負担への納得感をどう考えるか。
これらの観点での議論を踏まえて、妊婦の経済的負担の軽減と制度の安定的な運営、この両立をどう図っていくのかが重要なポイントではないかと思っております。
具体的に御説明申し上げます。
まず、既存の医療保険制度との関係についてです。当然、出産費用が保険適用となった場合、既存の公的保険制度をベースに構築することが想定されますが、検討課題が種々あると思います。たとえば、既存の医療保険と異なる取扱いとするのかどうか。また、異なる取扱いとする場合に、どこまで実施するのかということがポイントだと思っています。
また、主な検討課題の例を下方に記載しておりますが、あくまでも例でございますので、これ以外にも詰めるべき項目はたくさんあると思っております。例えば自己負担、一般の医療であれば3割負担ということの取扱いをどうするのか。対象となる分娩の範囲について、保険適用外となっている選定療養をどう扱うのか、自費部分の整理も当然含まれてこようかと思います。さらに、既に保険適用されている異常分娩の取扱いをどのようにしていくのか。定義や範囲、あくまでも例ではございますが、既存の医療保険制度との関係において、こういった項目の整理が必要だろうと思っております。
次に5ページでございますが、現行の出産育児一時金との関係についても整理が必要だと思っております。
まずは、昨年、出産育児一時金が42万円から50万円に上げられたので、この影響の検証は当然必要だろうと思っています。
また、今後、保険適用を行っていくのであれば、現行の出産育児一時金と二重給付とならないための対応も当然必要です。
さらに本年から、出産育児一時金については全世代で支える仕組み、すなわち後期高齢者の方にも一定の負担をいただく仕組みが導入されております。経過措置等々はありますが、全体の出産育児一時金の7%相当分を後期高齢者の方に負担いただくという仕組みです。このように、現在、全世代で支える仕組みとなっている出産育児一時金との整合性をどのように図っていくのかということにも留意が必要だと思っております。
また、これに関する検討課題として、下方に若干例を記載しております。現行の出産育児一時金との関係の整理は当然必要であり、極端な例かもしれませんが、既に保険適用されている異常分娩の取扱いをどう見るのか。例えば双子で帝王切開をされた場合は、現在、出産育児一時金は当然2人分、100万円が給付されます。一方で、分娩費用は保険適用の対象となっていますので、保険給付の対象にもなっている。出産にかかる全体の費用に対して、今後、保険給付部分と妊婦による自己負担を含め、出産育児一時金との関係をどう整理していくのかといったことも、検討する必要があると思っております。
この内容の下には、産科医療補償制度の関係を記載しております。産科医療保障制度を若干説明しますと、この制度は、分娩に関連して発症した重度の脳性麻痺児とその家族の経済的負担を速やかに補償し、脳性麻痺発症の原因等の分析を行って、医療の質の向上を図るために国の制度として導入されております。
実際には、この掛金は出産育児一時金から充当されており、現状では1万2000円、すなわち出産育児一時金の50万円のうち1万2000円はこの掛金に充当されております。仮に出産費用が保険適用となった場合には、産科医療補償制度の掛金はどのように扱っていくのかということも一つのポイントになろうかと思っております。
次に、被保険者・加入者における保険料負担への納得感については、私、個人的には、実はこの部分が一番大きな課題ではないかと思っております。出産費用の保険適用は、世代的に言いますと当然、現役世代が給付を受けますが、保険料を負担する立場から見た場合には、一定の納得感を得ることは極めて重要であると思っております。
これに関して若干御説明しますと、現在、医療保険制度においては、現役世代の負担軽減はまさに喫緊の課題でございまして、出産費用の保険適用によって、現役世代の負担がさらに増えるということは、納得が得られないのではないかと考えております。
また、検討課題の例として示している給付と負担のバランスについては、補足的な資料を次の6ページに入れております。
これは医療保険全体の話でございますが、上部に記載のように、現役世代は保険料の負担増が大きいということです。このページに示したグラフは、赤い棒グラフは1人当たりの保険料がこの12年間でどう増えたか、青い棒グラフは1人当たりの医療費がどう増えたかを示し、横軸は年齢を記載しております。御覧のとおり、現役世代は保険料の増加が大きい一方で、当然ではありますが、高齢者は医療費が増えていることがわかります。現状も、現役世代が高齢者の医療費を負担している、高齢者に仕送りをしているという構造になっております。こういったことも踏まえて、給付と負担のバランスをどう取っていくのかというのは極めて大きな課題であろうと思っています。
次に7ページでございます。
今後の検討に向けては、出産費用だけではなく、サービス内容や健診、産前・産後サポート等々、現在、行われている支援・サポートをどう考えるのか。また、支援の実施主体の在り方や、財源については、一般的には保険の場合には公費、保険料、自己負担の3つしかないわけで、このバランスをどう取っていくのかといった視点が極めて重要だと思っており、実態を見える化すること並びに標準化を行っていくと、この2つがキーワードになるのではないかと思っております。
7ページの下方は、若干私どもの主張的な部分になるのですが、保険給付と公費負担の例を記載させていただいております。
子供の医療費については、昨今、無料と言われることが多いのですが、無料といっても、その負担構造はこうなっていますということを示しました。6歳未満の方は自己負担2割、7歳以上の方は3割負担になりますが、実際には自己負担分の2割が無料で、この無料分は市町村等で負担され、残りの7割、もしくは8割は保険料、つまり保険者が給付をしております。何となく無料化というと全額公費で負担されているように思われていますが、、実は保険給付がされているということです。
コロナについても当初、自己負担なしなしと言われていましたが、子どもの医療費と全く同じ構造でございまして、7割相当分等は保険給付されています。
また、公費で負担されているといっても税金ですから、国民が負担をしているわけで、保険料はまさに加入者の負担であるため、無料といっても国民が負担しているということを前提にお考えいただきたいと思っています。
最後に、8ページと9ページは参考で入れております。現役世代がいかに苦しいかということの説明でございますので、本日は時間の関係もございますので、説明は以上で終了したいと思います。どうもありがとうございました。
○田邊座長 御説明ありがとうございました。
それでは、続きまして、資料4につきまして、伊藤参考人から御説明のほうをお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○伊藤参考人 日本小児科医会の伊藤です。発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
働き方改革や第8次医療計画が始まりまして、医療政策の変曲点と考えております。
2ページ目を御覧ください。
小児関係は、小児科学会、日本小児科医会、日本小児保健協会、日本小児外科系関連学会協議会の4団体が奇数月の第3水曜日に集まりまして、小児医療に関する連絡会を開いております。通称四者協と言いますけれども、日本小児医療保健協議会を開催しています。
小児学会の会員は約2万3000人、医会のほうは約5000人となっております。
次のスライド、3枚目をお願いします。
もう皆さん周知のように、出生数が過去最少ということで、2023年で約72万7000人、出生率は日本が1.2で、東京が0.99と。韓国はさらに0.72、ソウルで0.55ということで、東京、ソウルの出生数が少ないのには、一つに未婚者が多いということになりまして、合計特殊出生率の陰に隠れた出生率になっていると思います。
自然増減が2023年度に約85万人ありましたから、1つの県がなくなったというところだと思います。恐らく来年は、2020年のデータで見ると70万を切っていくのではないかと危惧しております。
右側のほうですけれども、ロート製薬の妊活白書の報告ですが、2022年は未婚男女、男性47.9%、女性39.6%、それが2023年になりますと男性59%、女性51.1%と、子供を欲しくないという考えの方がいらっしゃるということで、男女とも5割を超えているということになっております。
次のスライドでございます。
年齢3区分別人口の割合の推移を見ますと、ここ3年は15歳未満のいわゆる小児人口は11%となっています。それから、生産年齢の15~64歳は、この3年間は60%ぐらい、65歳以上は約29%前後で推移しております。
次のスライドをお願いします。
子供の数及び割合ということで、1950年に35.4%でしたが、現在、2024年で11.3%と、右肩下がりでずっと来ております。
次のスライドをお願いします。
総務省統計局は、こどもの日にいつも子供の数のトピックスを出していますけれども、全国の子供の数が1417万3000人ということで、秋田県に関しては83,000人で、子供の割合が9.1%、右側の下から3分の1に高知県がありますけれども、子供の数は7万人しかいないということで、割合は10.5%、沖縄県が23万6000人で16.1%と子供の割合が非常に多いということですけれども、沖縄県も出生数が初めて減ってきていることになっております。
次のスライドをお願いします。
これを横にしたのが7ページの図で、秋田県8万3000人で9.1%、沖縄県23万6000人で16.1%となっております。全国平均が11.4%になっております。
次のスライドをお願いいたします。
小児科医の活動範囲は多様だというのは、一昨年、第11回第8次医療計画に関する小児救急の検討会で小児科学会と小児科医会が合同で出したスライドでございます。
下の右の四角の中を読ませていただきますけれども、主たる活動分野エフォート率50%を見ると、80%が急性期医療に携わっている。また、エフォート全てを見ると、61%が行政や地域の社会活動はじめ医学教育、学校保健、障がい児在宅医療、健診の多様な分野で活動していて、専門医1人当たり平均2.6機関で勤務し、4.6分野で活動しているということで、なかなか専任で救急を扱っている人間がいないということで、非常勤の兼務者によって支えられています。小児科医の偏在の指標の中にこういうことが考慮されていないのではないかということで、このスライドを学会と医会で作りました。
診療でも、なかなか小児科はインセンティブが低いということ、そのほかにも多様な仕事をしているということで、小児科の数が地方に向かうほど少なくなり、もし分娩施設がなくなれば子供がさらに減少し、小児科医も一緒にレッドリストになっていくのではないかという危惧を抱いております。
次のスライド、図4、9ページは小児科医師数の年次推移です。
厚労省では、小児科医は減っていませんよというデータを出しておりますが、棒グラフの縦縞の上以上は60歳以上になりますけれども、この年齢層がこれからなくなってまいります。先日、土日に学会で岐阜県の高山市に行ってきましたけれども、人口8万のところで、面積が香川県、大阪府より大きくて、東京都とほぼ同じようなところで、小児科の開業医の専門医は3人しかいない、そして全員70歳以上ということで、市長さんが、「今日、小児科の学会でたくさんの小児科医が集まってくれて、今日は何か病気が起こっても安心していられます。」というような御挨拶をいただきました。
次のスライドをお願いします。
これは小児科学会のホームページにあります専門医の数でございます。
全国に1万6611人の専門医がおりますが、小児科の専門医数対小児人口10万人の専門医総数を出しております。スライドが間に合わなくて見えにくいスライドですけれども、専門医数を都道府県別で見ますと、高知県が86人、徳島県が88人、島根県が90人となっております。対小児人口を10万人で割りますと、宮崎県が75人、茨城県が85人、埼玉県が85人、千葉県が86、沖縄県が88と、小児人口がいろいろなところで違いますので、専門医の数も単純に少ないからというわけにはいかないようでございます。
次のスライドをお願いいたします。
これは各国における子供の健診状況ということで、今、小児科医会、学会等では、1か月健診と5歳児健診を補正予算でやっていくということで、お願いして進んでいるところですけれども、外国では右側の2つの韓国、台湾でも6歳まで10回とか、7歳までに7回とか、今まで日本で義務として実施されてきたのは1歳半と3歳の2回しか健診をやっておりませんでした。ということで、健診回数を進めていく。そして、アメリカみたいに思春期まで実施していくためには、小児科医が地方にもかなりの人数がいると。また、小児科医だけでは足りないので、内科医とかも一緒にやっていくことをしないと、これから子供たちの心の問題等がうまく解決できないのではないかなと思っております。
次のスライドをお願いします。12枚目です。
こどもまんなか社会ということがございます。バイオサイコソーシャルアセスメントを行って、ウェルビーイングにしていくということで、小児科医がアドボケートして、子供たちのバイオサイコソーシャルな問題を解決していく。そして、かかりつけ医機能による地域子育て相談機関として残っていくためには、子供たちがその地域にいないと始まらないということになると思います。
そして、上のほうの左、それから右に書いてあるいろいろな問題、あまりインセンティブが小児科にとってはないものが多いテーマでございますが、一生懸命取り組んでまいります。
右側の下のほうに、バイオサイコソーシャルの円グラフが同じ大きさでないのは、現在心の問題、社会の問題が大きく、そして日本の医療が発達していますから、身体の問題は大きくならないということで、我々は難しい問題を今、取り組んでいるところでございます。
最後のスライドでございます。
これからの地域小児医療・保健ということで、先日、学会でお話しさせていただいたのですけれども、小児科医の行動変容が必要で、疾病構造も変化しておりますので、以前は4日分ぐらいの風邪薬を出しても、共働きのお母さんたちがいますので、1週間以上や、外国人の方で1か月ぐらいお薬を下さいなんてことをおっしゃるような方がいて、受診行動が変化していますので、それに対応していかなければいけませんし、予防接種の数も増えていますけれども、将来的には、混合ワクチンの進歩によって接種回数、病院に来る回数も減ってくるのではないかなと考えております。
それから、子供たちの面倒を見ていくためには、産科の先生と一緒に胎児期から思春期までワンストップで継続して見る必要があるということと、思春期医療、トランジション、そして慢性疾患や障がいの子供の医療継続支援、そして今、非常に問題になっている発達障がいや心の問題を持つ子供への対応、そして地域小児医療、小児救急に参画参加することを会員に求めております。
また、小児科医会が議員の先生たちにいろいろな話をしに行きますと、小児科医はおとなしいのでもっと来なさいと言われるぐらいの医師仲間でございます。なかなか主張が通らないものですから、地区医師会を通して参加し小児保健施策が向上するように寄与していきたいと思っています。
心の問題とかは、小児科医だけの問題ではなくて、多職種で行政の方々と一緒に地域で連携して解決していかなければいけない問題で、今後、正常分娩の保険化によってどうなっていくのかなということが、我々がある意味では間接的に、ある意味では直接的に考えていきたいテーマとなっています。
以上でございます。御清聴ありがとうございました。
○田邊座長 御説明ありがとうございました。
それでは、今まで御説明いただきました資料1~資料4までに関しまして、御意見、それから質疑等がございましたら、挙手にてお願い申し上げます。いかがでございましょう。
では、松野構成員、よろしくお願いします。
○松野構成員 構成員の連合の松野と申します。
皆様、御説明ありがとうございました。
連合は、被保険者の立場として参画しておりますので、佐野構成員からの御指摘のあった被保険者、それから加入者における保険料負担への納得感というのは非常に重要だと考えております。出産費用だけでなく、妊娠時や産後の支援においても実態の把握を行い、見える化をした上で、費用負担とのバランスの観点からも検討が必要ではないかと考えております。
また、産科医・分娩機関の維持につきましては、医療提供体制のお話ですので、保険適用の議論とは切り離し、別途対策が必要だと考えております。
次に、無痛分娩に関して、照井先生の御説明、それから前回の妊産婦の方のヒアリングを聞いていても、昨今、非常に無痛分娩のニーズは高まっていると感じております。かくいう私も1人目は自然分娩で産んだのですけれども、あまりの痛さに耐えられなくて、2人目を産むなら絶対無痛分娩と決めておりました。しかし、結局いざ陣痛が始まったら、このまま産んだほうが早いと先生に言われまして、2人目も自然分娩で産んだのですが、いざとなったら無痛分娩ができるという安心感があったからこそ、陣痛への恐怖などに耐えられたようにも思います。
そこで、事務局と照井先生に質問です。
まず事務局には、令和5年12月に閣議決定されたこども未来戦略では、今回の出産費用の保険適用の導入を含めた検討とともに、無痛分娩について、麻酔を実施する医師の確保を進めるなど、妊婦が安全・安心に出産できる環境整備に向けた支援の在り方を検討するとありますが、具体的にどのようなことを検討されているのでしょうか。
それから、照井先生への質問は2点ございます。1点目は、海外で進んでいる無痛分娩が世界最高レベルの医療が提供されている日本で進んでいないのはなぜでしょうか。海外と日本の違いは何があるのでしょうかというのが1点目です。
2点目は、無痛分娩以外の産痛緩和ケアについてです。8ページ目のシートで御紹介いただいているWHOのポジティブな出産経験のための分娩期ケアは、私も読ませていただきました。その中で、痛みの緩和を目的としたケアは、硬膜外麻酔以外にも幾つか推奨されていました。私も実際に陣痛のときに、マッサージや足浴などを受けて、今回これを読んで、WHOが推奨しているエビデンスのあるものだということを知りました。このような産痛緩和ケアは、出産後のエステなどと分けて議論する必要があると思っておりますが、無痛分娩以外のこのような産痛緩和ケアについて、先生のお考えがあればお聞かせください。また、ほかの先生方や助産師の方もお考えがございましたら、ぜひお聞かせいただけたらと思います。
以上になります。
○田邊座長 ありがとうございます。
では、事務局のほうで無痛分娩に関する御回答のところがありましたら、お願いいたします。
○近藤医政局地域医療計画課救急・周産期医療等対策室長 医政局地域医療計画課でございます。
今お尋ねのありました無痛分娩について、産科麻酔の部分については麻酔を実施する医師の確保をするための補助金事業がございまして、こちらのほうで支援をさせていただいているといったところになってございます。
麻酔科医の確保につきましては、JALAのほうとも連携をしながら、安全な無痛分娩を実施するというところで、医療機関に関する情報を広く公開する等の取組を行っているところでございます。
私どもからは以上でございます。
○田邊座長 では、照井参考人、何か。
○照井参考人 御質問ありがとうございます。
まず質問の1番目、海外ではこれだけ盛んに行われている硬膜外無痛分娩がどうして日本で進んでいないのかということについての理由ですが、これについてはいろいろな議論があるのですけれども、日本独特の文化的な背景というものがあるかと思います。おなかを痛めて産んだ子という言葉に象徴されますように、出産の痛みを乗り越えることは通過儀礼ですとか、女性をエンパワーメントする大切な機会だということもございます。
そうはいいましても、私も米国にいたときの経験もあり、論文もありますけれども、海外在住の日本人女性は硬膜外無痛分娩を普通に受けておりますので、ひょっとしたら文化的なものを内面的に信じているというよりは、ソーシャルプレッシャーみたいなものがあったのかもしれません。
もう一点の理由は、提供する側が、無痛分娩率があまりに低かったために提供できなかったということがあります。例えば大学病院等でも、麻酔科医は主に手術室の麻酔に従事していて、無痛分娩は上の先生からも習ったこともないし、大学での教育も受けていないし、麻酔科専門医となる前に経験数が求められるわけでもないという、提供側が提供できなかったために情報提供もしてこなかった。それが日本の低い無痛分娩率につながっていったのではないかなと考えております。
2点目の硬膜外無痛分娩あるいは薬物を使う以外の分娩期の産痛緩和法につきましては、私どももぜひ積極的に推奨すべきものだと思います。硬膜外無痛分娩と、主に助産師さんが提供する、あるいは夫がさすったりするような産痛緩和法、科学的に有益なものもございますし、そういったものをぜひ積極的に活用していただいて、もしそれでもどうしても足りなくて、それ以上薬物を使ってまで産痛を緩和したいという方がいらしたら、そこは硬膜外麻酔の出番なのだと思っております。硬膜外無痛分娩がいいから積極的にやりましょうという類いのものではなくて、本当に必要な人に安全に提供できる体制づくりが重要だと思います。
話を戻しますが、薬物を使わない産痛緩和法をぜひ積極的に行っていただいて、最後のバックアップ手段の安心材料として硬膜外無痛分娩を提供していきたいものだと思います。
お答えになりましたでしょうか。
○松野構成員 ありがとうございます。
もしほかの先生方からも何かございましたら、よろしくお願いします。
○田邊座長 では、前田構成員、よろしくお願いします。
○前田構成員 日本産婦人科医会の構成員の前田でございます。
昨今、女性の考え方あるいは我々の考え方、どんどん変わってきておりまして、昔のようにおなかを痛めて産むのが尊いというような考え方は、確かに今、話題に出ましたように少しずつやめていくべきで、やはり女性は痛みから解放されるべきだと私どもも思っております。
ただ、今、照井先生が発表してくださったように、非常に理想的な産科麻酔科医が提供する無痛分娩ばかりではございません。例えば照井先生の資料の19ページにございます部分を読みますと、無痛分娩がばら色のお産のように見えてまいります。いろいろな産科合併症が改善される、女性は痛みから解放される、そういったことがありますが、このデータは北欧のデータでございまして、全ての無痛分娩が、日本でいうところの総合周産期のような充実した設備を持ち、麻酔科医が24時間体制で交代交代に無痛分娩をやってくれるところで初めて実現するものでございます。
先ほど事務局のほうからも話が出ましたが、麻酔科医が確保されたら無痛分娩が安全にできるという単純な問題ではございませんで、産科に習熟した麻酔科医が必要なのです。ところが、麻酔科医の世界では産科に興味のない人が大半でございまして、照井先生のような希有な例はそれほど多くございません。彼には我々の世界も助けていただいていますが、こういった方ばかり出ればいいのですが。今、日本の無痛分娩は多様性があると照井先生はおっしゃいましたが、計画無痛分娩が主流なのです。これはある日時を決めて、無痛分娩を陣痛が来る前にスタートする。なぜかというと、麻酔科医の先生が捕まらないからなのと同時に、麻酔科の先生が夜、お付き合いをしてくださらないからです。だから、日時を決めて、朝からスタートして昼間にやらないと無痛分娩が実現できない施設がほとんどなのです。
昔から、産科医が麻酔の修行をしてからかけていた麻酔はオンデマンド、要するに24時間、陣痛が来てから麻酔をかけるのです。これが一番正しいお産の姿でありまして、それが実現しないとこのデータにある医療安全も実現しないわけです。もちろんそこに産科麻酔科医がいるのが一番理想でございますが、分娩を知らない麻酔科医が関与するよりは、これは技術的な問題ですから、お産を知っている優秀な産科医が、そして麻酔にしっかり習熟した産科医がいるほうが、まだ医療安全上は良いと思います。
実際に、麻酔の事故ばかりではなくて、無痛分娩をやるがために産科の医療事故が増えているのです。産科の医療事故というのは、要するに計画無痛分娩による過強陣痛などによる胎児機能不全ですとか、子宮破裂ですとか、それから常位胎盤早期剝離、これは関連があるかどうか分かりませんが羊水塞栓とか、そういった無痛分娩による事故が最近増えてきている。なぜかというと、無痛分娩をやらないと妊婦さんが来てくださらないので、あえてまだ未成熟な研修段階であるにもかかわらず、無痛分娩に手を出す分娩施設が増えているからです。
もちろん無痛分娩が理想的なスタイルであるにしても、しっかりと施設を選んで無痛分娩に臨まないと、妊婦さんたちも不幸な目に遭う可能性がありますし、我々も非常に申し訳なく思いますので、そのために今、JALAが一生懸命活動しているわけです。私どももJALAの構成員の一員でございますが、そういったことで、無痛分娩は本当にすばらしい帰結をもたらすと思いますが、今の日本の体制ではまだまだ未成熟ですので、その点はしっかり押さえて臨まれたほうが、国民の皆様のためにもなりますし、それから政治の世界でも、ただ無痛分娩無痛分娩と礼賛するばかりではなく、しっかり医療安全に土台を置いた無痛分娩を推進していっていただきたいと思います。
以上でございます。
照井先生、何か補足はありますか。
○照井参考人 前田先生の御指摘に全面的に賛成いたします。麻酔科医の中に産科麻酔トレーニングをしっかり根づかせるということと、産科麻酔に興味を持つ麻酔科医を特に若い人を中心に増やしていきたいと思って活動してまいりました。
ありがとうございます。
○田邊座長 それでは、今村構成員、よろしくお願いします。
○今村構成員 奈良医大、今村です。
家保構成員に御意見、御質問させていただきたいと思います。
まず、詳細な分析ありがとうございました。同じような立場と分析をしている者として、非常に参考になりました。
その中で、6ページで奈良県の事例を出していただいていて、診療所がすごく減ったということですけれども、奈良の場合はどちらかというとたらい回し事件なんかがあって、どちらかというと産科のクライシスがあって、集約化が進んだ結果としてこちらのような結果になってきていると理解していますので、卵が先か鶏が先かという話はあると思うので、単純にクライシスがあるわけではないと思っています。
質問としては、家保構成員から御指摘いただいているのは今足りないという問題だと思うのですが、これから考えなければいけないのは、今後どうなるかだと思うのです。御案内のとおり、例えば2040年ぐらいを目標にお産の数を今のお産の率で割り戻して計算すると、今足りないところと、10年後、15年後に足りない、もしくはその状況は劇的に変わるのです。ですから、その未来を考えたときに、今、家保構成員としてはどういうことが考えられるかということを教えていただければと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○田邊座長 どうぞ。
○家保構成員 家保です。御質問ありがとうございます。
正直、都道府県の立場で言うと、既存のデータから分析することはせいぜいで、それ以上の未来について分析できるほど分析能力はないですので、今村構成員などに頑張っていただくしかないかなと思います。
ただ、今後の人口減、それから女性の減少などを考えますと、今以上に地方のほうの環境は非常に厳しくなる。一方で、各市町村も含めて人口対策というのは取り組んでいますので、集約化の中で妊婦さんがどれだけ移動とかの負担が減るのかを政策的に考えていかないと、少ないところに医師を置いてくださいと言うつもりもないですし、どこで折り合いをつけるのかというのが総合政策として必要な部分かなと思います。その辺り、衛生部長会のほうとしても、いろいろな地域がございますので考えていきたいと思いますし、今村構成員にはぜひとも分析をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○今村構成員 ありがとうございます。
偏在指標をつくるときに様々な試算をした中で、仮に10年後の出生数を入れてみると、不足地域はどちらかというと多いほうの地域になるということが結構あって、今足りないという話と、10年後だと多いほうに回りますよねと。ただ、それは今の産婦人科の先生が同じだけいるという前提なので、それが共存し得るかという問題はあるのですけれども、ただ、劇的に状況は変わるので、今足りないという話と先々足りないという話は大分違うなと思っております。今後の参考にしていただければと思います。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
井本構成員、よろしくお願いします。
○井本構成員 助産師の立場から産痛緩和について御説明させていただきます。
助産師が施設で行っている産痛緩和は、主なものとして、妊産婦さんが安心する関わり、そばにいるということもそうですし、必要な説明をしっかりするということは大前提として、それ以外に姿勢の工夫、温罨法、マッサージといったものがございます。そういったことを実施することによって、一定の産痛が緩和できるというエビデンスもあり、私の経験上も、産後のバースレビューで安心でき、陣痛を乗り越えられたという声も多数の妊婦さんからいただいています。
安全な産科医療、助産ケアが提供される中で、産痛緩和も、大変重要で、助産学としても教育を受けておりますし、継続教育の中でも、様々なエビデンスが加わるたびに産痛緩和の方法を我々は習得しています。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
では、濵口構成員、よろしくお願いします。
○濵口構成員 日本医師会の濵口でございます。
幾つか質問があるのですけれども、家保構成員にお示しいただきましたデータで、出生数が減って、1出産当たりに関与する従事者数は増えているわけでございますけれども、実態とすれば、安全面の対応がより増加されていること、あるいは出産年齢の高齢化、そして難しい分娩が増加しているということもあるので、1出産当たりの従事者が増えたからといって、従事者の負担が軽減されているということには、現場ではなかなかなりにくいのではないかと考えます。その点、亀井構成員が周産期医療センターの先生ですので、一番実感があるのだろうと思いますが、そういうふうに現場としては感じているところでございます。
それから、照井先生に無痛分娩について詳しくご説明いただきました。資料のまとめに書いてありますように、産科管理、助産ケアが複雑になるということ、あるいは重篤な合併症への対策が急務であるということが書かれております。これは、現場のニーズと麻酔を提供する側の提供体制には現実的にはかなり乖離があると理解しました。データの中では、無痛分娩率が上昇し、取扱い数も増加傾向となっていますけれども、その中で、かなり無理をしている医師もいるのも現実だという認識は絶対に必要だと思います。
もう一つは、前田構成員が言いましたように、麻酔だけかければいいということではなくて、そこには分娩があるわけですから、分娩の合併症等々を考えながらする分娩が本当の無痛分娩と理解しています。理想的には産婦人科医が習熟して麻酔をかけるという形が一番理想ではないかと思います。もちろん照井先生のような施設で全身管理をする先生がたくさんいらっしゃれば、安心して分娩に取り組めるわけですけれども、現実問題としてこれだけニーズがあるわけですから、産科診療所の先生方がそこまで習熟していかないと、安全を守って、そしてニーズに応えることができないというのが現実だということがこの中で分かったのではないかなと思います。
一つ、佐野構成員に質問なのですけれども、出産の保険適用化については論点ということで示されていますが、3ページに、出産費用の保険適用が受益者である国民のメリット、少子化対策への貢献にどうつながるかを明確にすべきということで問題提起をされています。今現在、保険者の立場として、もし保険適用がなされたならば、妊産婦にメリットが生じ、あるいは出生数が増加するという方向に好転するというお考えはお持ちでしょうか。この時点での質問は難しいと思うのですけれども。
○田邊座長 佐野構成員、よろしくお願いします。
○佐野構成員 御質問ありがとうございます。
現時点で、出産費用を保険適用とすることが、直接的に出生数に影響するのかどうかはよく分かりません。提出した資料で、参考として不妊治療の保険適用について、出生数に一定の効果があったという話を記載したため、誤解を与えるような書き方をしてしまったかと反省しています。現時点で出産費用を保険適用したから、それが出生数にプラスに作用するかというと、何とも言えないのだろうと思っています。
ただ、資料の中でも書いていますように、出産費用の保険適用の目的をどこに求めていくのか、それは、究極は、もちろん少子化対策に具体的に貢献することになるかと思います。ただ、前回のヒアリング等を聞いても、やはり見える化や標準化によって一定の安心感が生まれるということが、出産費用を保険適用することの目的の一つとして候補になり得るのではないかと思っております。
すみません、お答えになっていないかもしれませんが、以上です。
○濵口構成員 ありがとうございました。
今、佐野構成員が言われたようなこと、周産期医療体制のことと保険化は別に考えていかなければいけないというのは、もちろん所管が異なるという点で理解できますけれども、保険適用によって分娩施設の体制の維持・確保が後退するというようなことが結果的にあってはいけないと思うところでございます。
今、お話を聞きましたところ、様々な検討課題が示されておりますので、今日はヒアリングでございますけれども、一つずつ丁寧に議論をしていかなければいけないなというのを改めて感じたところでございます。ありがとうございます。
○田邊座長 ほかいかがでございましょう。
髙田構成員、よろしくお願いします。
○髙田構成員 少し1つ前に戻るかもしれませんが、先ほどの麻酔薬を用いない産痛緩和の件ですけれども、女性たちが麻酔薬を用いない分娩を希望した場合においては、助産師としては、基本的にはそばにいて、そういったケアを行うというのが当たり前と言われるような、全ての産婦にそういったケアが提供されるということを保障していくということは非常に重要であると思っております。
もう一点、助産師の就業者数の話を少し申し上げてもよろしいでしょうか。
○田邊座長 どうぞ。
○髙田構成員 先ほどお示しいただきましたように、助産師の就業者数は確かに10年間では増加しているのですけれども、これまで2年間で2,000人程度増加していたのが、2020年~22年の2年間では就業助産師数が123人の増加というふうに、非常に緩やかになっています。産科の閉鎖や集約化により、退職したりとか、病院の中で他科に看護師として就業せざるを得ないなど、潜在助産師が増えていることが推測されています。
また、お示しいただいたように、助産師においても偏在もあります。
そういった意味で、今後、助産師が助産師として働き、妊産婦さんのケアができることが必要だと考えておりますので、今後、助産師の働き方や需給についても、将来的なことではありますが、御検討のほど、よろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
では、佐野構成員、レスポンスでしょうか。どうぞ。
○佐野構成員 ありがとうございます。
ほかの意見発表者の方の内容について若干コメントをさせていただければと思います。
まず、家保構成員の御説明についてです。従来、意見が出ていますように、まさに産科医・分娩機関の体制の問題は極めて重要な課題ではありますが、先ほども申し上げたように出産費用の保険適用とは切り離して考えるべきだと思っております。
先ほど濵口構成員から、保険適用によって分娩機関の維持・確保が後退してはいけないというお話がありましたが、保険適用せずに現行のままであれば分娩機関が維持できるのかというと、これまた簡単な話ではないと思いますし、保険適用とは別次元の話として考えていくべきだろうと思っております。
それから、照井参考人の御説明でございます。無痛分娩について、先ほど濵口構成員もおっしゃっていましたように、産科管理や助産ケアの複雑化、麻酔合併症への対策等、様々な課題があるということがよく分かりました。無痛分娩のニーズが高いことはもちろんですが、一方で、リスク要因となる課題についての対応との調和をどう図っていくのか、これは大変難しい問題だと思います。保険化の中で無痛分娩をどう扱うかも含めて、慎重に検討する必要があるのだろうと感じております。
また、伊藤参考人の資料で、本論ではないところで申し訳ないですが、各国における子供の健診状況のデータが示されており、この中で、乳幼児健診については費用が無料との記載があります。先ほども申し上げたように、無料という言葉には大変引っかかりを持っていまして、無料といっても実際には公費、すなわち税金、もしくは保険料で負担するのが一般的だと思います。仮に税金で賄っているとしても、それは国民が負担しているということになりますので、資料では引用されているだけですが、無料という表現は避けていただいて、財源はどこから出ているのかということを国別にぜひ示していただきたいなと思います。
本編と関係ないところでコメントして恐縮ですけれども、以上でございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
では、亀井構成員、よろしくお願いします。
○亀井構成員 産婦人科学会の亀井でございます。
先ほど濵口先生の御意見もございましたけれども、施設当たりの医師の増加は、当然集約化に伴ってどんどん増えてきている。我々も安全面のことに関しましては十分留意をしておりますので、当然のことであるとは思いますけれども、我々学会として危惧しておりますのが、何度も繰り返しますけれども、今回の保険の適用化によって、現在世界で最も安全な体制が維持されていることが、急激な崩壊をしてしまうことでございます。そのことだけは御留意いただきたいと思います。
それから、もう一点、産科麻酔につきまして、照井理事長のお話がございましたけれども、産科麻酔学会、私産科側の副理事長でございまして、照井先生とずっと一緒にやらせていただいているのですが、ここで確認も含めて、麻酔の専門医という資格をお持ちの先生方は、全例、無痛分娩の経験のおありのある先生とは限らない、そういう理解でよろしいですよね。
そうしました場合、先生のおまとめの中にあった麻酔の管理に十分習熟した医師というのは、麻酔科の専門医あるいは麻酔の標榜医である必要は必ずしもないと理解をしてよろしいですか。むしろ、私のように何千例も無痛分娩を事故なくやってきた人間が、引き続きこれからもやらせていただいても何ら支障がないと理解してよろしいでしょうか。
○照井参考人 御質問ありがとうございます。
全国各地で、私も産科麻酔学会と前身の分娩と麻酔研究会に30年ぐらい参加して、安全面に配慮しながら麻酔のことを一生懸命学ばれて、何十年も安全に提供してきた産科の先生方が亀井先生も含めていらっしゃるのは存じ上げておりますので、習熟した麻酔科医であれば安全面は高まる一方、無痛分娩に十分習熟していない場合には本当に求められる無痛分娩が提供できるとは考えておりません。
麻酔科医も、麻酔科専門医になる過程で、無痛分娩の経験を必須にしていきたいと個人的には考えておりますが、現在はまだ帝王切開の麻酔も半分近くは産科の先生が行っているような状況もございますので、現在の麻酔科専門医の要件としては、帝王切開の一定数の件数が専門医受験資格に含まれております。ただし、無痛分娩はまだそれには含まれておりませんので、亀井先生の御質問に対しては、麻酔科専門医であれば全例無痛分娩の経験があるという御質問には、ノーと答えるしかありませんが、私としてはそれを日本麻酔科学会の一員としても改善していきたいとずっと思っておりました。
あとは産科の先生による無痛分娩、一定の期間、一定数の麻酔のトレーニングを積んだ上で、麻酔に習熟した方の提供であれば、安全な無痛分娩、効果的な無痛分娩を提供できるのだと私も思います。
○亀井構成員 ありがとうございました。
○田邊座長 ほかいかがでございましょう。
では、田倉構成員、よろしくお願いします。
○田倉構成員 ありがとうございます。
私は、医療経済・経営に少し変わっておりますので、その観点から伺いたいと思います。
先ほど来、集約化の話は多数出ておりましたけれども、家保構成員の資料2ページ目のものを拝見していて、先ほどもコメントがございましたけれども、集約化と経営という観点から見たときに、1施設当たりの医師数が増えていて、医師1人当たりの出生数が減っているということは、人件費等の固定費は増大しているのだけれども、いわゆる収入のほうが減っているということで、収益率が減っているので、病院経営としては大変なのだろうなというのは、こういった数字からも読み取れるのかなと思うところです。一方で集約化というのは、ただ単純な集約化ではなくて、今、議論があったとおり機能というか役割分担を考慮しながら議論していかないといけないと思うのですけれども、需要と供給のバランスみたいなものを考えながら、地域の中でどのように集約を進めていくかという話について、例えば亀井構成員などでもし何か今後の方向性についてお考えがあればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○亀井構成員 そこは田倉構成員がおっしゃっておられるように、我々も考えているところなのですけれども、ただ、機能別の集約化というのは一つのこれからの我々の目標にはなろうかなと思いますが、集約化に当たりましては、それぞれの医師の希望も聞いてまいらないといけないものですから、我々としても学会として、ここの病院にあなたは行ってください、ここは人が足りないのでお願いしますというわけにもなかなかいかないのです。ですから、そこは以前、この集約化の話が出たときからずっと我々も考えているところですが、いまだに結論が出てございませんで、むしろ行政の方々に何か御意見をいただければなと私は考えているのですけれども、いかがでしょうか。
○田倉構成員 先生のお考え、ありがとうございます。
私も医学部に所属し少し病院経営で若い先生方などと話をしているのですが、医局の中での議論というのは難しいご様子で、若い先生方のキャリアプランとかも随分と変わってきておりますし、都会で働きたいという方々も多い中において、どのように具体的に現場の疲弊感の実態とか地域の妊産婦さんの希望に合わせて集約化という概念を実現していくかは大変重要な話と感じております。地域特性や施設連携に配慮しつつ、もう少し広い視点からの議論が必要なのでしょうけれども、実際、経営の状況から見ると、単純な集約化というのは今、需要がショートしてきている中において、空回りしている印象もあって御質問させていただきました。ありがとうございます。
○田邊座長 流れ弾みたいなものですけれども、医政局、何かコメントございますか。
○近藤医政局地域医療計画課救急・周産期医療等対策室長 医政局でございます。
今、御指摘がありましたとおり、非常に難しい問題が多数絡んでいると考えております。機能によって集約化をするという観点もさることながら、まずは自然減していく中で、その役割をいかに維持するというか、適切に役割分担しながら自然減に対応していくというような観点も必要になってくるかと思います。また、純粋に分娩数で割り切ることもできないですし、物理的距離で割り切ることもできないですし、非常になかなか課題の多いところではございますので、また先生方のお知恵をいただきながら、私どももいろいろと検討してまいりたいと考えているところでございます。
お答えになっていないかもしれませんが、以上でございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
たくさんの御意見、御質問が出てくるとは予想しておりましたけれども、次の議題もございますので、一旦この質疑で最後とさせていただきまして、追加等がある場合は、全体議論のほうで最後にお手を挙げていただければと思います。
続きまして、議題(2)「自治体からのヒアリング」に移りたいと思います。
資料5と資料6を順に御発表いただいた後に、質疑応答、意見交換をしたいと存じます。
各資料につきましては、発表時間は10分以内でお願いいたします。意見交換の時間も十分に確保できるよう、御協力のほうをお願いいたします。
では、資料5の末松構成員からの提出資料に関しまして、御説明のほうをお願いいたします。
○坂本参考人 参考人の坂本と申します。よろしくお願いいたします。
それでは、お時間をいただきまして、私からは「鈴鹿市を取り巻く状況と妊娠期・産前産後における取組について」、説明をさせていただきます。
2ページをお願いします。
目次には、本日発表させていただく内容といたしまして3点挙げさせていただいております。
3ページをお願いします。
まず1点目、三重県及び鈴鹿市の概要でございます。
次をお願いします。
まず、鈴鹿市の概要を簡単に説明させていただきます。
本市は日本のほぼ中央に位置しまして、東に伊勢湾、西に鈴鹿山脈と、海から山までの豊かな自然と温暖な気候に恵まれております。三重県の北西に位置し、人口は約20万人、産業と文化がバランスよく発展を遂げ、皆様御御存じのとおり、世界有数の自動車レースであるF1が開催されるモータースポーツの町として知られております。
次をお願いします。
こちらは本市の将来推計を含む総人口の推移です。
全国的な傾向と同様、2010年を境に徐々に減少傾向に転じております。
次をお願いします。
こちらは三重県の周産期医療体制でございます。
三重県の地形は南北に長いため、周産期医療ゾーンは資料のように4つに分かれております。右の表を見ていただきますと、県内の分娩施設数は36施設、うち病院13、診療所17、助産所6となっており、本市を含む北西地区に集中している状況でございます。
また、厚生労働省の出産ナビによる三重県内の分娩費用の相場は、ここにお示ししたように53~54万円ぐらいのところでございます。
次をお願いします。
三重県内の分娩取扱医療機関の数と分娩数の表になります。本市が該当する部分につきましては、赤枠で示させていただきました。
この表を見ていただきますと、本市を含む北西医療圏で県内約45%の分娩施設が集中しておりまして、分娩数は約50%を占めております。
次をお願いします。
こちらは本市の出生数・母子健康手帳交付数になります。
本市は県内29市町中3番目に出生率が高い状況がございますが、全国の傾向と同様、出生数は年々減少傾向にあります。
下のグラフは、母子健康手帳交付数の推移となります。本市は自動車関連企業が多いことから、外国人家庭の占める割合も多く、令和5年度では全体交付数の6.3%を占めているため、母子健康手帳も10か国語を取りそろえて対応をしているところでございます。
次をお願いします。
本市では、今年度から2031年までの8年間を計画期間とする新たな総合計画2031がスタートいたしました。将来都市像を「ひとがつながり DXで未来を拓く #(ハッシュタグ)最高に住みやすいまち鈴鹿」としております。
次をお願いします。
この総合計画2031では、将来都市像を具現化し、魅力あるまちづくりを進めるため、分野別に6つのビジョンを掲げております。子育ての分野につきましては、ビジョン1に含んでおります。
そして、その達成度を測る指標として、みんなの目標を設定し、具体的に取組につなげております。1-1が母子保健を含む子育て分野の目標となっております。
次をお願いします。
ここからは、本市の取組について報告をさせていただきます。
次をお願いします。
こちらは本市の母子保健体制を図式化したものになっております。それぞれの家庭が抱える複合的な課題に対応するため、行政をはじめ地域、NPO、事業者などが一体となって支援体制の構築に取り組んでおります。
また、今年度から鈴鹿市こども家庭センターを設置いたしました。
次をお願いします。
こども家庭センターは、妊娠・出産・子育てに関するワンストップの窓口となっております。保健師等の専門職も増員しまして、より一層の体制強化を図っているところでございます。
次をお願いします。
こちらは本市の母子保健事業を時系列にまとめたものになっております。妊娠期から乳幼児期に至るまで途切れなく各種健診や乳児家庭全戸訪問事業、各種教室、相談、訪問など、伴走型相談支援を実施しているところでございます。これらの事業のうち、新規拡充している事業について、これから少し詳しく報告をさせていただきます。
次をお願いします。
まず1つ目が産後ケア事業でございます。この事業の経緯としましては、国が平成26年にモデル事業として開始をし、その後、順次事業を拡大、令和6年度末までの全国展開を目指しております。それに準じまして、本市でも平成29年度から事業を開始しまして、昨年、令和5年度に対象を全ての希望者に拡充をし、さらに今年度からは、全ての方を対象に利用料の軽減措置を行っております。
右側には、県内の状況をまとめた表を載せさせていただいております。
次をお願いします。
本市の産後ケア事業の現状でございます。グラフを見ていただくと分かりますように、令和5年度からの対象者の拡大や、今年度からの利用料の軽減措置によりまして、今後ますます利用者の増加が見込まれると考えております。
本市の産後ケアの内容は下の表にまとめてあります。課税世帯の方は5回利用分まで助成を行っており、通所型、訪問型は無料、宿泊型は500円で御利用いただいております。非課税世帯は全て無料です。先ほどの話にもありましたように公費の助成はありますので、それを含んでおります。
次をお願いします。
こちらは令和5年度に産後ケアを利用した方のアンケート結果になっております。利用のきっかけとして、産婦自身の体調不良、乳房トラブル、育児について知りたいという理由が多かったという結果が出ております。
利用してよかった理由としては、不安が解消できた、ケアが分かった、休養できたという理由がございました。
利用された方からは、補助がありがたい、専門職に相談ができて安心した、近くに助けてもらえる人や場所があることを感じ取れたという意見がある一方、利用回数を増やしてほしい、金額が安いと使いやすい、自治体によってサービスの違いがあるのが気になるなどの意見もいただいております。
次をお願いします。
こちらは国の出産・子育て応援給付金の制度の仕組みになっております。全ての妊婦、子育て世帯が安心して出産・子育てができるよう、伴走型相談支援と、出産・子育て応援給付金の支給を一体的に実施するものでございます。
伴走型相談支援については、妊娠届出時、妊娠8か月時、生後3か月の乳児家庭全戸訪問時の計3回面談を行っております。
次をお願いします。
こちらは伴走型相談支援の1回目、妊娠届出時における本市の支援の状況になっております。妊娠届出数は年々減少する傾向にはございますが、支援が必要なハイリスク妊婦のフォロー件数は増加傾向にあります。
フォローに至った理由といたしましては、右側のグラフに示させていただいております。
次をお願いします。
左の部分、妊娠8か月時における支援の現状です。令和5年度の結果といたしまして、42名の方に対面での相談を実施いたしました。心配事の理由といたしましては、下の表に書かせていただいておりますので、御確認ください。
右側には乳児家庭全戸訪問事業を記載させていただきました。訪問対象者は年々減少しておりますが、経過観察件数は増加をしております。
理由といたしましては、保護者の心配や育児不安が最も多く、次いで養育環境となっております。
これらのことから、出生数は減少しておりますが、妊娠から子育て期の各段階において、何らかの支援が必要な御家庭は年々増加しているという状況が確認できます。そのため、基礎自治体だけでなく、国としての母子保健、子育て施策の充実が求められると感じております。
次をお願いします。
最後に、今後の課題と展望になります。
次をお願いします。
ここに記載の5点を挙げさせていただきました。
安心・安全な出産に向けた経済的負担の軽減、周産期・小児医療体制の確保、産科医療機関の安定運営に向けた公定価格の設定、支援策に係るシンプルな制度設計、基礎自治体への財政支援、この5点でございます。
これらの課題解決に最も重要なことといたしましては、まずは妊産婦等当事者の声を十分に聴くこと。そして、医療機関や行政が有効的に連携できる体制の構築を考えておりますので、引き続きの推進をお願いしたいと思います。
以上で鈴鹿市の発表を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○田邊座長 どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、資料6の寺尾構成員・中本参考人からの提出資料に関しまして、説明のほうをお願いいたします。
○中本参考人 広島県府中町福祉保健部長の中本でございます。本日は、参考人として出席させていただきます。
「ネウボラふちゅう 切れ目のない支援に向けた取り組みについて」と題しまして、府中町の母子保健事業について御説明いたします。
2ページ目です。
本日は、府中町の概要、ネウボラふちゅう、産後ケア事業、健康診査事業の現状・課題について説明いたします。
3ページを御覧ください。
初めに府中町の概要についてですが、府中町は周囲を広島市に囲まれた町で、令和6年4月1日現在の人口は5万2422人です。
東西4.18キロ、南北5.2キロで、面積は10.41平方キロメートルの町です。
令和5年度の出生数は447人で、近年、減少傾向となっています。
次に、4ページ、ネウボラふちゅうについて御説明いたします。
ネウボラという言葉は御存じの方も多いと思いますが、フィンランド語で相談の場所という意味で、フィンランドでは、妊娠したらネウボラで妊婦健診、出産、子供の健診などを受けられ、1人のネウボラ保健師、ネウボラおばさんとも呼ばれているようですが、同じ担当保健師が継続して面談、サポートされており、虐待も少ないそうです。
当町においても、妊娠・出産・子育てを切れ目なくサポートすることにより、安心して子育てできるよう、平成30年度から広島県の事業を受けネウボラふちゅうを開設しています。
5ページです。
こちらは子育て支援メニューですが、上側の全員対象としているものが定期面談といいまして対象者全員に行う事業、下側が希望者を対象に行う事業です。
上の定期面談で白色の5つの事業は、ネウボラ開始前から実施していた事業となります。それに加えて、ネウボラを開始した平成30年度に黄色の事業、産前コール、マタニティ教室、9か月児赤ちゃん広場を新設し、令和2年度にはピンク色の事業、産後2週、4週コールを新設し、合計10回の定期面談を実施しています。
こちらのメニューで特徴的なのは、産後2週、4週コールを実施していることです。最も不安が強いとされている産後1か月の間に、町の保健師からプッシュ型で電話をかけることで早期に支援することができ、支援が必要な人を産後ケアにつなげることができています。
下の希望者対象の事業では、妊婦・乳幼児健康相談は月に3回、パパママ沐浴体験は土曜日開催で年5回、その他、産前産後サポート事業、産後ケア事業等を実施しています。
6ページです。
こちらは平成30年度以降の支援メニューの実績件数です。前のページにもありました平成30年度から新たに始めた黄色とピンクの事業の実施率について、最初は8割ぐらいでしたが、年々町民の方にも浸透し始め、令和5年度はおおむね9割となっております。このように、妊娠中から産後までの定期面談を平成30年以降5回追加して、始める前は保護者の負担が大きくなってしまうのではとの懸念もありましたが、産前や産後のコールでも保護者の方の受入れもよく、妊娠から産後までの切れ目のない支援の充実ができているのではないかと考えております。
また、①の母子手帳交付時の面談数ですが、これは妊娠届の数とイコールなのですが、令和3年度までは500件前後でした。ところが、それ以降は令和4年度が463件、令和5年度は439件、令和6年度は400件を切る見込みとなっており、急速な少子化について町としても危機感を持っているところです。
7ページです。
こちらは事業参加者へのプレゼントとなります。定期面談時にこちらのようなプレゼントをお渡ししたり、8ページを御覧ください。自分の担当保健師が分かりやすく、相談しやすいよう、このような似顔絵を用いた名刺を面談時にお渡ししたりしております。
9ページです。
こちらは事務室と相談室となります。ネウボラ開設時には、①のネウボラふちゅう事務所の前にフリースペースと相談室を整備しました。②のフリースペースには、③の乳児用の体重計・身長計があり、平日ですと事務所の保健師に相談もできます。⑤は母乳ケア用、⑥はお子様連れ用で、靴を脱いで上がれます。相談室の整備により、対象者に応じてプライバシーにも配慮した相談が可能となっております。
続いて10ページ、産後ケア事業の現状についてです。
利用の要件については、国の要綱改正に伴い、令和3年度から、黄色で示しておりますが、産後1年未満に拡充し、令和6年度から、心身の不調や育児不安等があるという要件をなくし、緑色で示しておりますが、産後ケアを必要とする者として要件緩和を行っております。
また、実施体制は表のとおりですが、宿泊型、デイサービス型はそれぞれ7日まで、府中町近隣の病院、産婦人科、助産院で利用できます。
アウトリーチ型は2回まで、県内のみとなっておりますが、助産師による2時間程度のケアが自宅で受けられます。
母乳ケアも2回まで、近隣の病院、産婦人科や県内の助産院、ネウボラふちゅう、自宅で1時間程度のケアが受けられます。
11ページは、サービス利用に係る事務の流れを示しております。
利用者が利用するまでに、町を通して産後ケア施設との調整、書類のやり取りが必要で、申込みから利用までに時間がかかってしまうのが現状の課題となっております。
12ページです。
府中町の現在の産後ケア施設の利用者負担額について、詳細な説明は割愛しますが、国や県の補助金を使って、例えば宿泊型で1泊2日、単価が6万円の場合、利用者は一番安くて3,125円で利用できます。
13ページを御覧ください。
施設別に利用者が実際に負担する額です。様々な補助金を利用することで、本来かかる料金より負担額を抑えて、安く利用できるようになっております。
14ページです。
利用件数については、右側の⑦が件数の合計となっており、おおむね年々増加しています。
増加の要因は、産後2週、4週コールや利用の要件の緩和、利用者負担額の減額が考えられます。
15ページです。
利用率は年々上昇しており、令和4年度は4割の方が利用されています。令和5年度に少し下がっていますが、新型コロナウイルス感染症が5類へ移行したことも要因と考えております。家族間での行き来が増え、援助が増えたものと思われます。
16ページです。
利用者アンケートの令和5年度の集計結果です。利用した多くの方が、利用してよかった、また利用したい、助成回数を増やしてほしいとの意見が多く挙がっております。
17ページは、利用者アンケートの御意見を一覧としたものです。
18ページです。
こちらは健やか親子21の問診結果です。妊娠・出産に満足している者、ゆったりとした気分で過ごせる時間がある母親の割合は、ネウボラ開始前の平成29年度から少しずつですが、上昇しています。
なお、当町は、令和2年度~4年度のコロナ禍においては、オンラインで問診を行い、問診票を回収できておりませんでした。令和5年度の結果を点で示しております。
19ページです。
産後ケア事業の課題です。利用者のアンケートや御意見から、産後ケア事業の課題を利用者の視点からまとめますと、利用したくても受皿が少ないため、希望どおりに利用できないこと、利用までに時間や手間がかかること、助成回数が十分でないことなどが挙げられました。
20ページです。
妊産婦・乳児健診の現状については、妊婦健康診査は14回、そのほかの健診についても記載のとおり助成しています。また、県内では受診券が使用できますが、県外の場合は、一旦自己負担し、後日、償還払いとなっています。また、健診料金が健診単価を上回る場合、自己負担となっています。
21ページは、健診事業の事務の流れについてです。
22ページです。
健康診査事業の課題としては、妊娠初期検査や健診助成額を超えた額について自己負担となり、経済的負担が大きいことや、③にあるような県外への里帰り出産時は一旦支払い、後日償還払いが必要なことなどが挙げられます。
このような産後ケアや健康診査についての課題が解決されると、妊産婦の経済的負担の軽減や支援のさらなる強化につながると考えます。
23ページです。
以上、ネウボラふちゅうや産後ケア事業などの現状・課題について発表させていただきました。御清聴ありがとうございました。
○田邊座長 御説明ありがとうございました。
それでは、資料5、資料6に関しまして、御意見、御質問等ございましたら、挙手にてお知らせいただければ幸いです。
では、濵口構成員、よろしくお願いします。
○濵口構成員 末松構成員、寺尾構成員、ありがとうございました。
前回のヒアリングで、妊産婦当事者からの意見がございまして、その中で、今、2つの御説明がございましたけれども、本当に産前・産後に多くの母子保健事業をされているというのはお分かりいただけると思うのですが、結局それが妊産婦に伝わっていないということが当事者からの意見で多くございましたので、一つ一つの取組を余すことなく活用できるように、事業へのアクセスといったものの理解を深める取組を自治体としては積極的にお願いしたいということを申し上げたいと思います。
以上でございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
では、松野構成員、よろしくお願いします。
○松野構成員 構成員の連合の松野です。
御説明ありがとうございました。
支援策の内容や利用者のアンケートなど、大変参考になりました。そしてまた、私も産後、育児ノイローゼになっていたので、お二方の自治体だったらどんなによかったかなと感じた次第でございます。
お二人に質問なのですが、利用率がここ2年ほどで大幅に増加しているように見えます。利用しやすいように制度の内容を拡充したとか、あるいは認知度が向上したなどの背景は、資料に理由として記載していただいておりますが、ほかにも何か工夫した点とか、あるいは今後のさらなる向上に向けての課題などがございましたら教えていただければと思います。
以上になります。
○田邊座長 御質問がございましたので、坂本参考人ないしは中本参考人、何か御回答がございましたらお願いいたします。
○坂本参考人 参考人の坂本です。
ここ2年で急激に産後ケア事業が増えているという御質問でよろしいでしょうか。
○松野構成員 はい、そうです。
○坂本参考人 それにつきましては、鈴鹿市の場合は、令和5年度に対象者の拡大をした。また、今年度からは利用料の軽減措置を行ったというところがございまして、それに伴い急激に利用者が増加をしたということでございます。
以上です。
○田邊座長 中本参考人は何かございますか。
○中本参考人 府中町の中本です。
工夫なのですけれども、説明の中でも申し上げましたが、産後2週と4週目のコールを実施するようになりまして、それから妊婦さんと直につながるのがちょっと強くなったかなと感じております。
あとは窓口を増設したりしまして、妊婦さんにとって来所しやすいような工夫もちょっとしたということが原因ではないかなと思っております。
以上です。
○田邊座長 どうぞ。
○末松構成員 末松です。補足させてください。
令和5年度から国の事業が拡充されており、対象者の拡大であったり、利用条件の緩和であったりとかということが非常に大きく影響していると思っております。
それに伴いまして、医療機関や助産施設等も国の制度の拡充の周知や基礎自治体がこのように拡大をしているよというところを多く発信をしていただいているところも、利用者が増えた要因につながっているという認識をしております。
補足でございました。
○田邊座長 ありがとうございました。
ほかいかがでございましょう。
では、井本構成員、よろしくお願いします。
○井本構成員 お二人の構成員、参考人、情報提供、御発表ありがとうございました。
濵口構成員がおっしゃったように、前回のヒアリングでなかなか情報がケアを必要とする方に届いていないということもありましたので、お二人が発表された自治体のプッシュ型の仕組みは大変参考になる取組だなと思っております。
私から意見したいのは、現在、助産所、診療所、病院がそれぞれ30%ぐらいずつ産後ケア事業の委託を受けていますが、病院は産科混合病棟が非常に多く、宿泊型の産後ケア事業を提供するのになかなか苦慮していると会員から聞いています。3類型セットで依頼を受けるようなのですけれども、2つの自治体のように、地域のニーズに沿って、宿泊型以外にアウトリーチ型やデイサービス型もうまく分化して妊産婦に産後ケアが提供できたら、これからもう少し拡充が広まっていくのではないかという感想を持ちました。
以上でございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
では、新居構成員、よろしくお願いいたします。
○新居構成員 ありがとうございます。manmaの新居です。
改めて、今御発表いただいた2つの自治体の金額は非常にインパクトがあって、利用を促進できる金額だなということを感じました。全国の自治体が鈴鹿市であったりそういう自治体並みを今後目指していくと、利用者が非常に利用しやすいかなと思います。
例えば私は都内に住んでいますが、宿泊型とデイを全部使うと2万2000円か2万5000円ぐらいの金額がかかってしまったというような状況がありまして、前回も申し上げたとおり、産後で非常にお金がかかる時期に、そのぐらいのお金を自分のために使うというのは、妊婦さん、産後のお母さん、なかなか判断しづらいところかなと思います。伴走型相談支援の一つとして、産後ケアをみんなが利用しやすくするという意味では、金額を下げるということは一つ大きなインパクトがあるかなということを改めて感じました。
また、要件の緩和ということも先ほど資料の中で御発言されていたと思います。要件としては、産後ケアを必要とする方ということなのですが、私も実際に産後ケアを利用する際に、自治体のウェブサイトから申込みをしたときに、以下のうち1つ以上に該当する方が対象ですということで、不安があるとか、不調があるとか、何かに該当しますかみたいなことを一応聞かれるような仕組みになっていました。全ての産後の方が不安はあるし、体が不調なので、これを聞くこと自体も正直不要なのではないかなというような感覚を持っていまして、例えば今はそもそも利用の必要のある方が申請をするというような仕組みになっていますけれども、全ての方に必要ということを考えると、母子手帳を交付するときにもう産後ケアの利用の番号をあげてしまうとか、産後ヘルパーについても申込みがなくてもこの妊婦さんはこの番号で産後すぐいつでも必要なときはこの番号を伝えれば使えるよというような形にするというほうが、本来の趣旨に近いのかなと思います。
というのも、私自身も産後ケアを利用しようと思ったときに、オンラインでまず申請をして、そこから数日後に利用通知書が手元に届いて、その利用通知を持っていかないと産後ケアが使えないということで、今この場ですごく不安でも、実際に助産院に行けるのは数日後だったりとか、最近杉並区、住んでいるところだと、電子で利用通知書を管理するようになったということもネット上で見てはいるのですけれども、例えば紙を持っていかないと利用ができないというような規則になっていて、せっかく行ったけれども使えないというような、実際には追い返さないのですけれども、事実上持ってこないと使えないというようなレギュレーションになっていたりして、申請をして、紙が届いて、その紙を持っていくというオペレーションが非常に不便だなということも感じたので、申請がなくてもみんなが使えるであるとか、利用回数の管理とか番号の管理も母子手帳の電子化にも付随するような形で電子でできるようにしていくということが、利用の促進に非常に重要なのではないかなということを感じました。
金額面と、利用の申請から実際に産後ケアを利用する際のデジタル化というところが利用促進の鍵になるのではないかなと、個人の体験として思いました。
○田邊座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、中西構成員、よろしくお願いいたします。
○中西構成員 鈴鹿市さんの16ページの産後ケアの自己負担額のところを拝見しまして、多胎の追加分が安くなっているというところがすごくいいなと思いました。先日、三つ子のママとお話ししたのですけれども、1人ずつ同じ金額だと、三つ子の場合は一気に3倍になってしまって困ると。1人なら900円だけれども、3人だと2,700円なってしまって、もう頼む気がしない。大変だから頼みたいのに頼めないと言っていたので、少し安くしていただいているのはいい視点だなと思いました。
あと、府中市さんのネウボラは常々妊産婦ケア憧れというか、すごくいい形だよなと思っているので、ネウボラをやるようになってから、府中市さんのほうにわざわざ引っ越した人とか、そういう人口の移動への影響はあったりしたのでしょうかというのを聞きたいなと思いました。
○田邊座長 効果に関する御質問かと思いますけれども、いかがでございましょう。把握されているようでしたら。
○中本参考人 府中町の中本です。
質問ありがとうございます。
具体的に窓口とかで声を聞いたわけではないのですが、里帰り出産をせずに、府中町でという方は数名いらっしゃったという話は聞いております。それはネウボラふちゅうを府中町が始めた成果ではないかなと思っております。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、末松構成員、よろしくお願いします。
○末松構成員 新居構成員に先ほど御質問といいますか感想を言っていただきましたところで少しお話をしたいのです。ありがとうございました。
利用者の利用条件の緩和というところでございますけれども、令和5年度から、先ほど新居構成員が言われたみたいに、どんな方でも声を上げていただいた方には全ての方は産後ケアを受けられるというようなことにしております。母子健康手帳を発行させていただいたときからそういうお知らせをさせていただいて、妊娠中からでも途切れなくかかっていただけるように、特に産後に不安があると言われる方は、しっかりと受けさせていただけるようなことをさせていただいております。
これには、本市の産婦人科の先生方の御協力が非常に大きく関わっておりまして、その先生方が、産後ケアの充実ができるよう、先ほど多胎児のお話もありましたけれども、こちらもしっかりと産婦人科の先生達のほうから、こういった多胎児の声が大きいよというような御提案もいただきまして、そこに双方受けていただけるというような仕組みができたことによって、非常に安く、そして回数も繰り返しできるというところになったかと思いますので、この連携が本市にとって不可欠だと思っておりまして、そういったことで皆様方に評価をいただいているところではないかなと感じております。
以上でございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、李構成員、よろしくお願いいたします。
○李構成員 構成員の赤ちゃん本舗の李です。
皆さんのお話、非常に参考になるなと思いながら聞いていました。
中本参考人にお話しいただきました産後ケア事業のところで、非常に手続が難しい、いろいろやり取りが複雑だというお話がある中でも、それでも利用者が4割近くというのがすごい状況だなと私は感じています。多分妊娠時からいろいろと御説明をされているとは思うのですけれども、例えば具体的にどういうような内容で利用者の方々にお話をされるような活動とか、そういうタイミングを増やしたとか、何か実例があれば教えていただければなと思います。
○田邊座長 ありがとうございました。
御回答のほう、何かございましたらお願いいたします。
○中本参考人 府中町の中本です。
具体的には、声かけをよく面談時とかでも、こういった事業がありますよとか、先々のことまで早めにお知らせするようにしておりますし、2週目と4週目の産後コール、そういったことでももう一度、再度内容を伝えたりしておりまして、そういった事業をやっていますよという普及に努めるようにはしております。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、山縣構成員、よろしくお願いします。
○山縣副座長 もう時間が過ぎているのにすみません。
コメントと、質問に関しては今度でいいと思うのですけれども、一つは、産前産後ケアサービスの利用希望者がどれぐらい実際に利用できているのかという点と、もう一つは、受入可能数に対しての稼働率がどうなのか。といいますのも、今回、産前産後ケアサービスの利用が増えてきて、山梨県も2016年から県でつくった施設で市町村が利用できることになっているのですが、もうずっと赤字だったのですが、やっと今、皆さんがお話しになったように昨年、今年と利用率が上がって、運営上もよくなってきたという点がコメントです。
もう一点は、里帰り分娩問題です。住民票がないと利用できなかったりすることに関して、今後どういうふうな対策を取ればよいのかと。先ほどお話ししましたように、山梨県の場合は、県に住んでいる人であれば県の産前産後ケアサービスが利用できるという形なので、市町村の枠は超えることができるという仕組みにはなっているのですが、その辺りのところは今後の課題かなと思ってお伺いいたしました。もしも今すぐデータがあればですが、なければまた次回でも教えていただければと思います。
以上です。
○田邊座長 手元にデータ等ございますでしょうか。回答できればぜひお願いいたします。
○末松構成員 鈴鹿市でございます。
稼働率につきましては、全ての皆様方に受けていただいておりますので、100%でございます。後半の御質問ですが、こちらについては自治体同士で違うというところが課題になっているかなと思っております。
○中本参考人 府中町の中本です。
受入れは100%行っているのですが、その日程的な調整が一つの課題となっておりまして、受入先のショートステイ先や宿泊先の規模によっては日程をずらしていただいたり、やむなく利用できなかったということも実際生じております。
具体的な数値については資料を持っておりませんので、以上で回答とさせてもらいます。
○田邊座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、前田構成員、よろしくお願いいたします。
○前田構成員 時間を押しているのにすみません。
僕、むしろ逆に山縣先生に伺いたいのですが、最近、ここ1~2年黒字になったというお話をしていただきました。私どもの施設でも診療所の脇に施設をつくっておりまして、それで産後ケアをやらせていただいています。毎年1000万円ぐらいの赤字になっています。これはもう本当に地域医療のためにやっているようなものでして、今の黒字になったという話は、建物を建てた減価償却が試算に入っているのかどうか。我々は人件費と建物の費用さえなければ当然何とかなるのです。けれども、結局、助産師を2人置くと完全に赤字になります。1人だととんとんですが、それで建物の費用は返せません。そういう状況がずっと続いているので、こういうものは公的なところが建物を仕方ないというか、公費で賄っていただいているのならば成り立つ事業だと思っているのですが、その点、山梨県のケースはいかがなのでしょうか。
○山縣副座長 ありがとうございます。
県がつくり、それを健康科学大が委託を受けて行っている形ですので、先生のおっしゃるとおりだと思います。なので、こういった仕組みはサービス提供のひとつの在り方を提示していると理解をしております。
ありがとうございます。
○田邊座長 よろしゅうございますか。
ほかいかがでございましょう。
時間も過ぎてしまいましたので、最後に、本日の議題全体を通して何か御意見あれば承りたいと思いますが、よろしいですか。
それでは、これで議論のほうは終了したいと存じます。
本日も、実に様々な御意見を頂戴いたしましたし、また、現場等の説明をいただいたところでございます。事務局におかれましては、次回以降の議論に向けて御準備いただければと思いますので、よろしく御対応のほうをお願いいたします。
これをもちまして本日の議事は終了といたします。
今後の予定について、事務局のほうからお願いいたします。
○柴田課長補佐 事務局でございます。
次回の開催日程につきましては、追って御連絡さしあげます。
以上です。
○田邊座長 これをもちまして第4回の検討会を終了いたします。
本日は、お暑い中、さらには大変お忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございました。
これで閉会いたします。