第89回 厚生科学審議会感染症部会 議事録

日時

  • 令和6年9月18日(水)10:00~11:00

場所

厚生労働省 共用第6会議室(3階)

議題

(1)急性呼吸器感染症(ARI)サーベイランスに係る具体的な方針について
 

議事

議事内容
○佐野エイズ対策推進室長 それでは、ただいまから、第89回「厚生科学審議会感染症部会」を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、御多忙にもかかわらず、御出席いただき、誠にありがとうございます。
 私、本日議事進行を務めさせていただきます感染症対策部感染症対策課の佐野と申します。よろしくお願いいたします。
 本日の議事は公開となります。また、これまでと同様、議事の様子をユーチューブで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。
 なお、事務局で用意しておりますユーチューブ撮影用カメラ以外のカメラ撮りは、議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
 また、傍聴の方は「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
 なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
 本日は、ウェブ会議で開催することとしております。
 まず、ウェブ会議を開催するに当たり、会議の進め方について御連絡させていただきます。
 御発言される場合は、まず挙手機能を用いて挙手していただくか、チャットに発言される旨のコメントを記載していただき、部会長から御指名されてからの発言をお願いいたします。なお、ウェブ会議ですのでタイムラグが生じますが、御了承願います。
 会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、あらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
 続きまして、委員の出欠状況について御報告いたします。
 御出席の委員につきましては、通信の確認も踏まえて、委員のお名前をこちらから申し上げますので、一言お返事をいただければと思います。
 五十音順に、味澤委員。
○味澤委員 味澤です。よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 今村委員。
○今村委員 今村です。よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 越田委員。
○越田委員 越田です。よろしくお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 坂本委員。
○坂本委員 坂本です。よろしくお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 四宮委員。
○四宮委員 四宮です。よろしくお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 谷口委員。
○谷口委員 谷口です。よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 土井委員。
○土井委員 土井です。よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 戸部委員。
○戸部委員 戸部です。よろしくお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 中野委員。
○中野委員 中野です。よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 成田委員。
○成田委員 成田です。よろしくお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 藤田委員。
○藤田委員 藤田です。よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 森川委員。
○森川委員 森川です。よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 森田委員。
○森田委員 森田です。よろしくお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 四柳委員。
○四柳委員 四柳です。よろしくお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 脇田委員。
○脇田部会長 脇田です。よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 なお、大曲委員、小西委員、白井委員から御欠席の連絡をいただいております。
 また、中野委員、四柳委員から途中退席の可能性があると御連絡を受けております。
 また、本日は参考人として、感染症疫学センターより鈴木様、神垣様、国立感染症研究所より俣野様、東京医科歯科大学より高橋様の御参加をいただいております。
 以上、現在感染症委員19名のうち16名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令に基づき、本日の会議が成立したことを御報告いたします。
○笹本委員 失礼します。笹本も出席しております。よろしくお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 申し訳ございません。私の手違いでした。笹本先生、よろしくお願いいたします。
 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
 なお、これ以降は、写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので、御留意ください。
(カメラ退室)
○佐野エイズ対策推進室長 それでは、議事に入る前に、資料の確認をさせていただきます。
 議事次第及び委員名簿、座席図、資料1、参考資料1~3になります。
 不備等がございましたら、事務局にお申し出ください。
 それでは、ここからの進行は、脇田部会長にお願いいたします。
○脇田部会長 承知しました。
 部会委員の皆様、今日もどうぞよろしくお願いいたします。
 今日の議題ですが、議事次第を御覧ください。今日は1件、急性呼吸器感染症(ARI)サーベイランスに係る具体的な方針についてとなっております。
 その関係で、本日は高橋参考人にもお越しいただいておりますけれども、後ほど高橋参考人から御説明をいただきたいと思っております。
 今日は、かねてからARIサーベイランスを議論してまいりましたけれども、具体的な方針ということで、定点の設計、それから報告様式案も出てまいりますので、また活発な御意見をいただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 まずは資料1について事務局から御説明、途中で高橋参考人からも御説明という順番ですから、まず佐野室長から御説明をお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 よろしくお願いします。
 それでは、資料1をお手元に御用意ください。こちら、ARIサーベイランスに係る具体的な方針についてということで資料としてお示しさせていただいております。
 1ページおめくりください。
 本日の検討事項については、こちらの3つの検討事項となっております。まず1つ目が急性呼吸器感染症(ARI)定点設計の検討、急性呼吸器感染症(ARI)定点における報告様式のイメージ、今後の予定となっております。
 それでは、次のスライドをお願いいたします。
 まずは現在の定点の設置状況と、急性呼吸器感染症(ARI)定点設定における今後想定される変更点について、こちらにお示ししております。
 まず、現在の定点の設置状況ですが、1ポツ目として、保健所管内人口単位に基づき、約3,000か所の小児科定点を指定し、RSウイルス感染症、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、咽頭結膜熱、ヘルパンギーナの患者の発生動向を把握しております。
 次に2ポツ目、保健所管内人口単位に基づき、約5,000か所のインフルエンザ/COVID-19定点を指定し、インフルエンザ、COVID-19の患者の発生動向を把握しているという状況となっております。
 次に3ポツ目、小児科定点のうち約10%を小児科病原体定点、インフルエンザ/COVID-19定点のうち約10%をインフルエンザ病原体定点として指定し、各病原体定点から提出された検体または病原体により、各種病原体の動向を把握している形となっております。
 右の図を見ていただければと思いますが、こちらは小児科定点とインフルエンザ/COVID-19定点の指定状況となっておりまして、小児科定点のうち、小児科定点であり、かつインフルエンザ/COVID-19定点である定点は約99.3%あるところでございまして、ほぼほぼ小児科定点に関しましては、インフルエンザ/COVID-19であるという状況と思われます。それ以外の内科定点が含まれて、インフルエンザ/COVID-19定点となっているという状況です。
 次の四角を御覧ください。こちらは急性呼吸器感染症定点設定における今後想定される変更点とありまして、変更箇所を赤字に、検討事項を青字としております。現在は、先ほども御説明させていただきましたように、RSウイルス、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、咽頭結膜熱、ヘルパンギーナを小児科定点で把握していただいていると。季節性インフルエンザ、COVID-19に関しましては、インフルエンザ/COVID-19定点で見ていただいておりまして、うち小児科に関しては99.3%が小児科定点とかぶっているという状況で、その他内科定点が入ってきているという状況でございます。
 さらに右のほうを御覧いただければと思いますが、ARI導入後の患者把握というところになります。RSウイルスも、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎も、咽頭結膜熱も、ヘルパンギーナも、季節性インフルエンザも、COVID-19も、基本的にはARIという形に入ってきますので、こういったことを踏まえまして、ARI定点をまずは検討していく必要性があるだろうと。ARI導入後の病原体把握についても、そのように検討していく必要性があるだろうということを踏まえまして、最後の矢尻になりますが、現在の状況を踏まえまして、小児科定点及びインフルエンザ/COVID-19定点の設計をベースに定点の設計を検討してはどうかというところで、事務局としては御提案させていただきたいと思います。
 次のスライドをお願いします。
 こちらは諸外国におけるインフルエンザ様疾患定点または急性呼吸器感染症定点の設置状況と、日本におけるインフルエンザ/COVID-19定点の設置状況との比較、2022年10月段階となっております。こちらのインフルエンザ様疾患というものは、ARIとともに、WHOが推奨している呼吸器感染症のサーベイランスを取る方法となっておりまして、基本的には発熱のありなしで区別しているものと考えていただければと思います。
 下の表を御覧いただければと思いますが、基本的には、日本は他国に比べてかなり定点数が多い状況となっております。
 次のスライドを御覧ください。ここからは急性呼吸器感染症定点設定の検討において考慮すべき課題と対策案として御提示させていただいております。
 急性呼吸器感染症定点検討において考慮すべき課題といたしましては、1ポツ目、現在の定点設計を行いました平成11年当時の保健所数が663か所あったという状況でございますが、現在、令和5年時点では468か所と、約3割減少しているという現状がございます。
 さらに、現在の定点設計におきまして、例えば小児科定点の設置目安は、保健所管内人口3万に対して1定点を設定することとしておりますが、人口の減少により、目安の3万人に満たない保健所が発生し、結果として地域における人口の偏りも生じているという状況となっております。
 また、現在の定点設計による配置は、人口が少ない地域において感染症の発生動向が上振れしやすい状況にあるとありまして、さらに医療機関側の事情、例えば診療所長の高齢化等により定点を継続することが困難な状況ですとか、報告負担を懸念し辞退する機関もありまして、定点数の確保に苦慮している自治体があるというふうにお伺いしている状況です。
 また、約500か所あるインフルエンザ病原体定点のうち、検体または病原体を提出している定点は約50%にとどまっており、検体または病原体の確保に苦慮しているという状況がございます。
 さらに、今回、ARIサーベイランスの導入に当たりまして、定点に指定された医療機関の負担が増すことが懸念されているという状況がございます。
 さらに、先ほども表でお示ししましたが、諸外国におけるインフルエンザ様疾患定点または急性呼吸器感染症定点の設置状況と比較すると、我が国の定点設置状況は多い状況であるという課題があると考えております。
 対策案といたしましては、下のボックスの中に入っているものとなっておりまして、1ポツ目といたしまして、急性呼吸器感染症サーベイランスの開始に併せ、以下の事項を考慮し、定点設計の方法を再検討することとしてはどうかと考えております。どのような事項を考慮するかといいますと、下に書いてあります小さなポツの3つの点となりますが、まず1ポツ目、保健所統合による人口当たりの定点数のばらつきの発生、2ポツ目、定点を継続することが困難な状況にある医療機関の存在、急性呼吸器感染症サーベイランス開始による報告負担、3ポツ目、定点指定に係る自治体側の事務負担、こういった事項を考慮した上で定点設計の方法を再検討してはどうかと考えております。
 さらに、2つ目の大きな丸といたしましては、保健所所管内において定点の設置が困難な場合には、隣接する複数の保健所管区を併せて定点を設置することも可能としてはどうかというところで、我々としては検討をさせていただいております。
 それでは、ここから参考資料1の説明を東京医科歯科大学M&Dデータ科学センター生物統計学分野教授の高橋邦彦様にお願いいたします。
○高橋参考人 ありがとうございます。東京医科歯科大学の高橋でございます。よろしくお願いいたします。
 今回は、定点設計の検討と試算を行いましたので、それについて御報告させていただきたいと思います。
 次のスライドをお願いいたします。
 初めに概要なのですが、先ほど御説明があったとおり、ARI定点の検討において、今のインフルエンザ/COVID-19定点が一つの参考になると考えております。
 ただ、現在のインフルエンザ定点が設計された平成11年当時と、保健所数、その規模・分布が大きく異なっております。
 そこで、今回は、目的として、人口当たりの定点数がどこでも大体一定になること。また、継続性の観点から、現在のインフルエンザの発生動向情報が、定点数を変更したり配分を変えてもどれぐらい再現性があるか、それを指標に妥当な定点設計の基準を検討することといたしました。
 方法としましては、現在の468の保健所管轄の人口に基づき、まず幾つかのパターンで小児科と内科の定点設計の区分を検討します。その際に、人口1万人当たりの定点数が人口規模によらずある程度一定になるために、ばらつき、また、その中央値プラスマイナス0.1に集中している。詳しくは後ほど述べますが、狭い範囲にちゃんと入っているという指標で、さらに、実際のインフルエンザ定点から報告があった2018年から19年、2019年から20年、2023年から24年のインフルエンザの報告を基に、その再現性をシミュレーションで行いました。さらに、ARI定点を考慮して、定点当たりの報告数だけではなく、インフルエンザ/COVID-19定点のうちCOVID-19が何割かという割合に関するシミュレーションも行っております。
 結果としましては、ここで2つお示しするのですが、パターンAは2,976定点、パターンBは3,760定点になりますが、これら2つはどちらも人口当たりの定点数のばらつきの程度は現在よりも小さくなり、さらにインフルエンザの動向の再限度も高いということが示されました。
 では、詳細を御説明させていただきたいと思います。次のスライドをお願いいたします。
 まず保健所の分布なのですが、左側が現在のインフルエンザ定点を設計された平成11年の直近の平成10年から14年の人口動態統計特殊報告に基づく582保健所の、横軸がその人口、何万人単位で、それに対するヒストグラムを書いています。そうしますと、これぐらいの分布になるのですけれども、総人口が20万人以下のところは344地域で、かなり低いところにこれぐらいの数が、580のうち344が入っているということになります。一方で、3万人未満の保健所地域は15地域だけでした。
 一方、最近の直近の報告によりますと、468保健所が右のような分布になりまして、こちらになりますと、中央値はちょっと広く、大きくなっているのですが、20万人以下の保健所数は240と減っていて、全体でも減っていますが、一方で3万人未満の保健所は21地域と以前よりもちょっと増えているという形になります。
 そのため、分布が変わったことによるアンバランスが起きますので、次のスライドをお願いいたします。
 現行のインフルエンザ定点となっている小児科定点、内科定点の配分を見てみますと、左の枠で囲まれているところですが、小児科定点は3万人までが1、3万人から7.5万人は2、7.5万人以上は5万人当たり1つずつ増えるということで2,918。内科定点は7.5万人、12.5万人で1、2と区切って、12.5万人以上は10万人当たり1定点ずつ増やすという方法で1,735、合わせると4,653という形になっています。
 実際ここの式でちょっと切り上げとか切り捨てがあるのですけれども、運用が地域によってばらばらであったり、また、実際にそれより多かったり少なかったりする地域もありますので、現状はこの計算式が基準でありますが、4,900定点からの報告が確認できています。
 これを見ますと、小児科定点ですと、7.5万人以上のところは5万人当たり1定点増やすのですが、実際は3万人で1、3万人から7.5万人で2と、ちょっと人口が少ないところが重要視されている形でアンバランスになって、5万人当たりになっていません。同様に内科に関しても10万人当たりになっているのですが、低いところに関してはちょっと多めの定点になっているということで、小児科定点、内科定点を合わせたものが左下にあるとおり、一番最初のところが2点、それからその次は3点なのですが、4点という地域はなく5点になって、また6点という地域はなく7点以上というアンバランスが起きます。
 実際に人口と定点数の関係を見ますと、真ん中の下のグラフで直線性はある程度見えるのですが、先ほどのとおり、実際の保健所数はぎゅっと詰まった左下のほうに集まっています。
 ですので、上のグラフになりますが、横軸に人口、縦軸に人口1万人当たりの定点数を各保健所で計算しますと、人口が小さいところは人口1万人当たりで定点がちょっと増えていて、人口が大きい地域ほど人口1万人当たりの定点数がちょっと低くなっているという関係性が見えます。実際に全体の468地域の中央値が0.414ですので、中央値で見ますと2.4万人ごとに1定点あるという形なのですが、最大最小は結構ばらついていまして、その中央値プラスマイナス0.1、つまり、0.414プラスマイナス0.1、0.314から0.514の真ん中にどれぐらい入っているかを見ますと、468分の349地域で75%の地域が含まれている。真ん中に固まっているということになります。一方で、25%はそれより離れているということになります。
 そこで、このアンバランスを、もうちょっと人口が小さい地域、大きい地域でもある程度一定になるためのパターンを考えました。次のスライドをお願いします。
 一番左が先ほどの現行パターンに対して、検討パターンAは、順序が逆ですが、内科定点のほうを見ますと、10万人当たりなのですけれども、ゼロから10、10から20、20から30という形で、なるべくゼロを通るような直線に乗るために、その真ん中で切って、10から20の間は15、20から30の間は25というのを区切りにすることによって、より直線性を増すということを考え、パターンAですと、内科定点が1,289という形が計算できます。
 同様に小児科定点、パターンAの上に行きますと、基本的に7.5万人当たりに1定点という形になって、それに最適な区切りを11.5万人、18.5万にしますと1,687定点になり、合わせますと、現状が4,653に対して、パターンAですと2,976、約3,000定点になります。
 パターンBに関しては、内科定点は同じく10万人当たりで区切りを変えたのですが、小児科定点も現状と同じく5万人当たり1定点にして、区切りを最適にすることによって、小児科定点、内科定点を合わせて3,760定点というパターンを考えました。
 次のスライドをお願いします。
 このパターンAとBについて、先ほどと同様に各保健所の人口1万人当たりの定点を見ますと、真ん中のパターンAを見ていただくと、人口が小さ過ぎるところはさすがに大きくぶれてしまいますが、ある程度の大きさから人口が大きいところまで横に一直線になっていますので、人口規模によらず、大体人口1万人当たりの定点数が一定になっているということになります。その場合、中央値は0.238なので、ちょっと下がって4.2万人当たり1定点になるのですが、中央値プラスマイナス0.1に入る地域数は468分の395で約84%。先ほどの現状の75%に対して、84%が一定の範囲に入っているということになります。
 パターンBは3,760定点なのですが、こちらにしますと中央値はちょっと上がって0.303になりまして、さらに中央値プラスマイナス0.1に入っている中央に集まっている集中度は468分の420で、90%がこの範囲に入っていることになりますので、人口が小さい地域、大きい地域の全体で90%はその範囲に入る。集中している、ばらつきが少なくなっているという形になります。
 このパターンAとBに関して、インフルエンザ定点の再現性を見るためにシミュレーションを行いました。次のスライドをお願いいたします。
 こちらは全国の小児科のみなのですが、現行パターン2,918定点に基づいて報告されているものから、パターンAは1,687定点をランダムに、無作為に取って定点を減らしてみるというシミュレーションを行ったものです。左側が2018年から2019年のシーズンになりまして、ちょっと見づらいのですけれども、実線で黒く書いてあるのが実際の報告、本当の報告全部からつくったインフルエンザの定点当たり報告数になります。それに対して、実際に報告されたもののうち1,687定点をランダムに選んで、その報告に基づいて定点数を減らして定点当たり報告数をつくったものが、ちょっと見づらいのですけれども、10パターンここに点線で書いてあります。ほとんど重なっていることが分かると思います。
 特に定点当たり報告数が低い場合、1とか2のところでどうなっているかというのが真ん中の段になりまして、実際の報告とシミュレーションによる10パターンを書いています。これもほとんど重なっています。たかだか10パターンですけれども、その10パターンの平均を取って、その値と実際の報告を重ねてみますと、赤い線と黒い線で見事に一致しているということが分かります。2019年4月から2020年3月のパターンが真ん中、2023年から2024年のインフルエンザの報告に基づいたものが右側ですが、いずれに関しても、定点数を1,687に減らしてもほとんど一致しているということが見られます。
 ちなみに、このランダムに取るのは、都道府県ごとに数を選んで、その報告があった都道府県から無作為に選ぶということを行っています。
 次のスライドをお願いします。
 同様に内科定点に関して見ましても、2018年のシーズン、2019年のシーズン、2023年のシーズンいずれも、定点数を減らしても、ほとんどこの動向に関して違いは見られなかったということになっています。
 次のスライドをお願いします。
 小児科、内科が合っていますので、当然、インフルエンザ定点、小児科プラス内科の定点当たり報告数で見ても、現在の4,653に基づく定点を2,976に減らしたとしても、これぐらい一致しているというシミュレーション結果を得ることができました。
 次をお願いいたします。
 今のは全国だったのですが、では、都道府県別にどの程度合うかというのを幾つかパターンだけお示ししたいと。
 これは北海道で一番北のところですけれども、北海道ですと現行パターンが209定点になりまして、それに対して134定点なので、全国より当然少なくなりますので、左側の2018年のシーズンで見ますと、ちょっと高い定点当たりが40の辺り、40週目ぐらいのところでばらついている様子が見えます。また、2023年から2024年のシーズンでも高いところはばらつき、さらに、2019年、2023年の真ん中、右側のシーズンで見ますと、定点当たり1、2のところで若干ずれが、1定点、2定点ずれるだけでも結構ずれてくる。どの施設が選ばれるかで変わることはありますが、平均的に見ればほとんど一致しているということが見られます。
 次をお願いいたします。
 一方、沖縄県を見ますと、そもそも53定点で、パターンで減らすと35定点になってしまうので、北海道よりもやはりばらつきが大きく、高いところ及び定点当たりの報告数が1、2、3と低いところでこの程度のずれが出ますが、平均的に見れば、一番下にあるようにほぼ一致して、再現性は高いと見られます。
 次のスライドをお願いいたします。
 2023年から2024年は、COVID-19も併せて同じ定点から報告がされていますので、その両方に基づいたシミュレーションとして、まず左上がインフルエンザの報告に基づく定点当たり報告数、左下がCOVID-19の定点当たり報告数の流行の曲線になります。
 この曲線から、全国で各定点からあった定点の総報告数のうちCOVID-19が何%あるかというのが右側の四角で囲んだ図になります。上が1週目から50週ですけれども、初めのゼロから10の辺りは、左を見ても分かるとおり、ほとんどインフルエンザはありませんので、ここで報告されたもの、もともとCOVID-19も少ないのですが、ほとんど75%から100%近くがCOVID-19であったと。一方で、30週ぐらいになりますと、インフルエンザが増えてCOVID-19が減っていますので、COVID-19の割合は25%を下回って10%程度になっていると。
 これの再現も、シミュレーションで行った実際の報告数とパターンAに基づく約3,000定点をランダムに取ったというパターンで、見事にきれいに一致していてずれが見られませんので、この割合についても、全国で見れば、ある程度再現性があると考えられます。
 次のスライドをお願いいたします。
 同様にパターンBで、トータルで3,760定点にする場合ですが、ちょっと増やした場合で小児科のみが2,471になりますと、当然、定点数が増えますので、さらに先ほどよりも一致度は高いということになります。
 次をお願いします。
 内科定点に関しても、低いところも高いところも全国で見れば一致している。
 次をお願いいたします。
 ですので、併せてもきれいに一致しているということが分かります。
 次をお願いいたします。
 北海道だけを見ても、先ほどより定点数が増えますので、その分、上のところのばらつき、低いところのばらつきが小さくなっているということが見られます。
 次をお願いします。
 先ほどちょっとぶれていた沖縄に関しては、やはり高いところでちょっとずれて、あと低いところに関しても2018年はばらつきが見られますが、先ほどのパターンAよりも、そのばらつきの程度は低いことが確認できます。
 次をお願いいたします。
 こちらもインフルエンザとCOVID-19の定点からのCOVID-19の割合ですが、より一致して、ばらつきはほとんど見られないという結果になりますので、現在の定点数より減らしても、この程度の再現性はあると見られます。
 次のスライドをお願いします。
 最後になりますが、もう一つ、パターンCとして、小児科定点を3万人当たりとより多くする。現在5万人当たりになっているのを3万人当たりに増やした場合にその集中度がどうなるか見ますと、この場合、小児科が増えてトータルで5,411定点になりますが、人口1万人当たりの定点数は、中央値は大きくなるのですが、集中度は468分の415で89%ですので、先ほどのパターンBと同じ。若干こちらのほうが低くなるということですので、密にすればするほど集中度が高くなるということではなくて、そこら辺は、きちんと配分ができていれば、どのパターンになってもある程度集中度は高いだろうと考えられます。
 私からの報告は以上となります。ありがとうございます。
○佐野エイズ対策推進室長 高橋様、ありがとうございました。
 それでは、事務局のほうから資料の続きについて御説明させていただきます。
 資料1の6ページをお願いいたします。
 先ほど御説明いただきましたことを踏まえまして、急性呼吸器感染症定点設計の方針及び定点選定の考え方の案について御提示させていただきます。
 まず、急性呼吸器感染症定点設計の方法といたしまして、現在の設置状況、諸外国の現状及び高橋様の研究結果等を踏まえまして、定点設計の方針を再検討することとしてはどうか。具体的には、保健所管内の人口単位を変更し、現在の約5,000か所を3,000か所としてはどうかということで御提示させていただいております。
 続きまして、下のほうの四角を御覧ください。急性呼吸器感染症定点及び病原体定点の選定の考え方になりますが、1ポツ目といたしまして、これまで小児科定点及びインフルエンザ/COVID-19定点にて把握してきた疾患もあることから、原則、現在の小児科定点及びインフルエンザ/COVID-19定点を活用することとしてはどうか。
 2ポツ目といたしまして、急性呼吸器感染症病原体定点から収集された検体または病原体を活用し、ゲノムサーベイランスを実施することを想定し、病原体提出の実績がある小児科定点及びインフルエンザ/COVID-19定点を、優先的に急性呼吸器感染症定点及び病原体定点として指定することはどうかということで御提案させていただきます。
 次のスライドを御覧ください。
 こちらは定点の設計とは少し異なりますが、急性呼吸器感染症定点における報告様式のイメージについて御提示させていただいております。こちらは報告様式の案となっておりますが、下の四角を御覧いただければと思います。まず1ポツ目といたしまして、これまで小児科定点及び内科定点において別々の様式でございましたが、今回、急性呼吸器感染症定点からの報告には統一様式を用いて報告することとしてはどうかということで御提案させていただいております。
 また、急性呼吸器サーベイランスの趣旨を踏まえまして、その他の項目を設け、急性呼吸器感染症のうち発生している感染症の割合を把握できるような様式としてはどうかということで御提案させていただいたという形となっております。
 次のスライドを御覧ください。
 今後の予定でございます。一番下の図を見ていただければと思いますが、令和6年9月末から10月まで、こちらは予定でございますが、自治体様のほうに説明会を行わせていただきまして、令和6年10月28日から、感染症法に基づく急性呼吸器感染症サーベイランスを開始する。令和7年2月21日締め切りとなりますが、急性呼吸器感染症定点及び病原体指定の状況について御報告をいただくという形となっております。
 なお、令和6年10月末から令和7年3月末については移行期間といたしまして、自治体における定点選定及びサーベイランス体制の移行を支援する予定としております。具体的には、定点指定に関する相談受付ですとか、定点選定後の発生動向把握の再現性の確認ということについて、我々としては支援させていただければと思っております。
 私のほうからは以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○脇田部会長 御説明ありがとうございました。高橋先生からも御説明いただきました。ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に関しまして議論をしていきたいと思います。急性呼吸器感染症(ARI)サーベイランスの定点の設計、それから報告様式、今後の予定という御説明がございました。
 今日は、感染症研究所の感染症疫学センターからも参考人として鈴木参考人、神垣参考人に出席していただいていますので、まず、もし御意見があれば、鈴木参考人あるいは神垣参考人から御意見いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 鈴木参考人、お願いします。
○鈴木参考人 ありがとうございます。また、高橋先生、御説明ありがとうございました。
 私たち感染研の感染症疫学センターでサーベイランスを担当している部署からということで、意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 まず、サーベイランスの原則について、感染症部会でもこれまで議論されていると思いますが、何より大事なのは連続性、継続性であると考えております。先ほどの資料の中にもありましたけれども、日本の定点設計というのは、ほかの国よりも数としては多いです。これは代表性を重視してきたというのが我が国の特徴であるからと考えているところです。
 保健所数の変化とか、あるいは公衆衛生ニーズの変化に合わせて定点数を削減すること自体には、おおむね異論はこちらとしてはございません。特に高橋先生の分析から、数そのものを今回御提案いただいているような規模にすることに、我々サーベイランスに従事している者として、正当化できる十分な理由があるのかなと考えているところです。
 ただ、一方で、移行期間が設定されるというふうに先ほど説明がありました。この移行期間中に定点医療機関が変更になってしまうと、特にそのタイミングが自治体ごとにばらばらになってしまうと統一的な解釈が困難になりますので、制度上は10月あるいは11月から変更になるとしても、運用上は可能な限り年度末までは変更しないように自治体に働きかけていただくことはできないだろうかと考えるのが一つと、あともう一つは、いずれにせよ数を減らした場合に、連続性はそこのところで失われてしまいますので、例えばこれまで行ってきたインフルエンザの推定患者数の公表ですとか、あるいは警報基準についても見直しが必要にはなってきます。それに伴って公表方法も変わってきますので、これについては自治体あるいはマスメディア等への説明をしっかり行っていく必要があると考えております。
 ひとまず私からは以上です。ありがとうございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続いて、神垣参考人、お願いします。
○神垣参考人 ありがとうございます。高橋先生、詳細に御紹介いただいてありがとうございます。
 私も鈴木先生と同様で、定点の整理に関しては、今回をいいきっかけとしてというところは、おおむね了承できる形かなと思っております。
 一方で、ARIサーベイランスというのは、目的として数を削減するというところ、プラスアルファ、どのような病原体が、どのようなプロポーションで、率で流行しているのかというところを見ていくというのが非常にキーになってくるサーベイランスだと思っております。その点で、さらっと書かれてはいるのですが、大事なポイントとして、病原体定点、あるいは検体を集めてそれを衛生研究所に持ってくる、あるいはフロントラインでの検査によって病原体の情報を収集するというところが大事だと理解しております。
 ですので、定点の削減、それからARIサーベイランスの運用、プラスアルファで、改めて病原体定点の役割の重要性を強調させていただければと、現時点での発言とさせていただければと思います。よろしくお願いします。
○脇田部会長 神垣参考人、ありがとうございました。
 今、両参考人からは、定点の移行に伴う懸念点、問題点と、それから病原体定点の重要性について御指摘をいただきました。
 それでは、委員の皆様から御意見いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 まず、御欠席の白井委員から御意見をいただいておりますので、事務局から代読をさせていただいてもよろしいでしょうか。
○脇田部会長 分かりました。よろしくお願いします。
○佐野エイズ対策推進室長 ありがとうございます。
 それでは、代読させていただきます。
 ARIの定点設計について、現行の届出指定医療機関を活用しつつ、人口当たり定点数の適正化を図るよう見直しをすることには賛成します。
 なお、見直しの過程で届出件数の実績の有無や医療機関の負担を鑑み、地域特性、人口の年齢構成、医療機関分布、医療圏域内外の受診行動に応じて、持続可能であるような将来性を見通し、医療機関の変更もあり得ると想定いたします。参考資料によるシミュレーションでは、届出医療機関を減少させても全国的なトレンドの変化は大きくなく、再現性もあるようですが、その際に医療圏域や県単位でのトレンドの変化に極端な影響が及ばないよう、地域における届出医療機関の選定を妥当にするため、科学的かつ客観的な助言をいただきたくお願いいたします。
 以上になります。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 自治体における定点医療機関の設定に関する御意見ということだと思いました。
 では、順番に御意見いただいていきます。
 まず、森川委員、お願いします。
○森川委員 ありがとうございます。
 病原体定点の話が幾つか出ていたのですけれども、ちょっとそこでお聞きしたいのですが、今500か所ある病原体定点で、実際には半分ということなので、250ぐらいが検体を提出しているということです。高橋先生の御説明のシミュレーションAで3,000弱になった場合に、病原体定点が300ぐらいになると思うのですけれども、これまで提出してきた250機関というのは、ほぼほぼそのまま引き継がれて入るのか、プラス50を含めて300か所になったときに地域分布に隔たりがないようにできているのか、その辺をお伺いしたいと思います。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 病原体定点の設定に関して、あまり今回説明がなかったので、その点をもう少し説明していただくということだと思いました。
 続きまして、谷口委員、お願いします。
○谷口委員 ありがとうございます。三重病院の谷口です。
 幾つか申し上げたいことがあるのですけれども、第1点目として、基本的に過去の小児科定点を基本に議論が行われていますが、これは全く異なった視点で設計された定点ですので、ARI、ILIという定点の設計とは全く視点が異なりますので、直接比較するというのは本来はやるべきではないことであって、欧米の定点数もあれは全てARI、ILIですから、日本のインフルエンザ/COVID-19定点と数を比較するという意味はないと思います。
 実際に日本のこれまでの5,000というのは、当時の厚生省の強力な御依頼、つまり、推計をしたいということに始まった数なのです。あと、2009年に自治体ごとの定点数が増えたのですけれども、あれは2009年のときに都道府県から、都道府県ごとの推計の精度を上げたいという御意見があったので上がったわけです。つまり、今の定点数は基本的に推計でその数字が決まってきているところがありますが、今回のARI、ILIというのは分母分子でそのリスクを見ていくものですから、本来視点が異なります。
 その意味からすると、それで過去の同じ定点を使うという御提案だと思うのですが、高橋先生のお話で、同じ定点を使ったとしても、つまり、ARI定点に統一したとしても、連続性が保たれるということはよく理解できました。
 ただ、2点目です。この数字というのは、基本的にこれまでの感染症法における定点設定というのは最小値なのですね。少なくともここまではしていただきたい。ゆえに過去、これまでは、その基準値よりもたくさんある地方自治体というのはたくさんあります。なおかつ、既にこれまでうまくやってきた定点数、あるいは医療機関との関係性というのもあります。これをいきなり削減しろというのは、なかなか難しいところがあります。しかも、それでうまくやっているのであれば、僕はそれを維持すべきだと思いますので、そこは継続してもいいのか。つまり、当初のお話のように、これは最低基準値であって、それ以上であるのは構わないという考え方でいいのか、これが一つ質問です。
 3点目。今、RSウイルスの高齢者ワクチンが承認されていますが、日本で高齢者のRSウイルス感染症に対するインパクトを示すデータというのはありません。今後のことを考えた上では、少なくとも、小児だけではなくて、成人におけるRSウイルス感染症のインパクトというのは見ていく必要があるだろうと。今回のお話ではそれが入っていない。ここは御検討いただければなと思います。
 4点目。これは感染研の長谷川先生がよく言われていますが、WHOの国際的なインフルエンザサーベイランスは、ILIにおける陽性率、しかもPCRにおける陽性率を見ているわけです。これは世界中で日本だけがそれをやっていないと、長谷川先生はよく言われていましたけれども、そのとおりなのです。そうした場合に、それが今の病原体の話に入るのですけれども、そういった国際的な報告基準をきちんと満たすための病原体サーベイランスというのを同時に考えていただく必要がある。病原体サーベイランスというのはゲノムサーベイランスだけではないと思っています。
 最後に様式ですけれども、急性呼吸器感染症というのはSyndromic(症候群)サーベイランスなのですね。臨床家は、患者さんを診たときに、これは急性呼吸器感染症だなと考えて、その後にヘルパンギーナと診断するわけではないのです。診て、ヘルパンギーナだなで終わりなのです。どちらかというと、そういった疾患エンティティーに入らない疾患の場合に、急性上気道炎とか、急性気管支炎とか、上気道炎、下気道炎ですけれども、そういうふうに診断するわけです。
 そうすると、この割合を考えていく、地域におけるリスクを見るものですし、あと、マイコプラズマというのが今非常に流行していますが、この中ではマイコプラズマと分からないですね。臨床医にとっては、今マイコプラズマがどのぐらい流行しているかというのは極めて重要な情報であります。つまり、そういった割合を考える上で、この様式はもう少し考えていただきたい。もちろんこれは病原体定点における正確な陽性率で表すということも一つの方法だと思っています。
 以上でございます。よろしくお願います。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 後でまとめてお返事いただきたいと思いますので、次に行きます。
 成田委員、お願いします。
○成田委員 東京都の成田です。
 御説明ありがとうございました。私からは4点、意見と御質問をさせていただきたいと思います。
 現状、都は、小児科、内科を合わせて419の定点医療機関を確保し、実態としてほぼ全ての定点医療機関から報告を受けております。定点数を削減しても患者発生動向のトレンド把握に影響はないとの御説明がございましたが、都として、今回示された基準を満たした上で、谷口委員からも先ほど御意見がありましたとおり、これまでの経緯や実態を踏まえて総合的に判断し、定点医療機関の数を維持することは可能かどうか御教示いただけますと幸いです。
 また、国の基準とする定点数を超えて患者定点や病原体定点を維持した場合、基準を超えて自治体の裁量で指定した定点医療機関分についても国からの財政措置の対象としていただきますよう、ぜひお願いいたしたいと思います。
 また、先ほど感染研の鈴木先生からも御説明がありましたとおり、ARIサーベイランスの定点把握に移行しますと、これまでの警報基準に影響があるとのことでございました。現在の個別疾患別の患者定点で患者発生動向を見る場合と、今後、ARIサーベイランスの中で個別の疾患の患者発生動向を見る場合とで警報基準の考え方がどう変わっていくかにつきましても、今後、分かりやすく御説明いただけますと大変ありがたく思います。
 最後になりますが、ARI病原体定点で実施するゲノムサーベイランスは、新型コロナウイルスに限らず、RSウイルス感染症等ほかの病原体のゲノム解析も含まれるという認識で差し支えないのかどうか、念のため確認させていただきたいと思います。
 以上となります。よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、四宮委員、お願いします。
○四宮委員 よろしくお願いします。
 高橋先生の御説明で、現行の5,000から3,000に縮小したとしても、サーベイランスの精度はあまり変わらないという御説明はよく分かりました。
 私からは二、三質問があるのですが、1つはスライド3の日本と諸外国の比較です。この数字ですが、例えばG7のドイツ、イングランド、フランス、アメリカと比べても日本が突出して高いのは、先ほどもともとの成り立ちが違うということも御説明があったのですけれども、日本ではいわゆる患者定点と病原体定点という2つあるわけですが、ここで挙げられているドイツとかイギリスとかフランスの場合に、病原体定点というふうな色合いがあるのかどうか。定点の定義自体が少し異なる可能性があるので、できればこれは、ここに挙がっている全ての国ではなくてもいいのですけれども、G7のドイツ、イングランド、フランス、アメリカ辺りのARIの定点の中身というか内容ですね。それがもし分かれば教えていただきたいなと思います。
 それから、森川先生、神垣先生からもあった病原体定点なのですけれども、私は地衛研の人間なので、実際500ある定点のうち、検体が出てくるのが約半分ということで、苦慮している現場の感じというのはよく分かります。なので、病原体定点数の500というのは半ば形骸化しているともいえますので、今度、5,000から3,000に下がって、その10%の300になったときに、もう一度、医療機関からの検体確保、感染症法に基づく病原体サーベイランスというところをてこ入れしていただければ、現場としてはありがたいなと思います。
 それから、私の前の方も聞かれたことですけれども、ARIになってゲノムサーベイランスをするときに、現在はSARS-CoV-2のみが解析されているわけですけれども、ARIの中の幾つかの疾患についてゲノムサーベイランスをされるのか、その具体的なことがあるのなら教えていただきたいと、その3点です。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、戸部委員、お願いします。
○戸部委員 私からは単純な質問1点なのですが、高橋先生の御報告は、パターンAよりもパターンBのほうがばらつきが少ないとか、トレンドの再現度が高いという内容だったと思うのですが、事務局の御提案は、パターンBではなくてパターンAのほうを提案するということで、その理由があまり明確でなかったと思いますので、なぜパターンAなのかという理由を補足で御説明いただければと思います。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 続きまして、四柳委員、お願いします。
○四柳委員 どうもありがとうございます。
 私のほうからは、内科定点に関して少し確認をさせていただきたいと思います。今回、A案、B案両方示されて、およそ3分の2に内科定点が減るということだと理解をいたしました。こうなったときに、今後の日本の社会構造を考えて、高齢者の把握がきちんと可能なのかどうかということが私自身は気になっております。定点当たりの人口自体も増えていくということで、事務局の説明にもございましたけれども、恐らくこれから先、地域の保健所の業務は統合されていく。そういった地方は高齢者が当然多い。そうすると、そこでの実態把握は本当に十分にできるのだろうかということが気になります。
 実際には、こういった定点の診療所に来所できる高齢者の方というのは限られるような気もします。往診対応とかも含めて御検討するようなことを考えておられるのかということをお聞きしたいと思います。
 あとは、先ほど谷口先生からもお話がありましたけれども、RSを中心として、現在迅速検査ができない疾患の把握ということが病原体定点としても大事になってくると思います。病原体定点ということになると小児科定点が多くなってしまうかなと思いますので、高齢者をターゲットにした内科定点の中にも病原体定点はしっかりつくらなければいけないのかというふうに私は思うのですけれども、その辺に関してお考えがあればお聞かせいただければと思います。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 次に、笹本委員、お願いします。
○笹本委員 日本医師会の笹本でございます。御指名ありがとうございます。
 2点ほど要望がございます。1点目は、定点の選定に当たりましては、医療機関の希望に十分に配慮してほしいということでございます。それぞれの医療機関に、定点の協力に当たりまして、これまでの経緯や事情がございますので、御配慮いただきたいと思います。
 2点目は、診断に必要な検査キット等の確保でございます。感染症が拡大しますと、検査キットの不足がこれまでも繰り返されてまいりました。正確な診断のためにも検査キットは欠かせませんので、十分な供給をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。
 次に、俣野参考人、お願いします。
○俣野参考人 俣野でございます。
 1点だけ簡単な質問なのですが、高橋先生からお示ししていただいたパターンについて、沖縄と北海道のデータを見せていただきましたが、都道府県の中で一番定点が少なくなる地域、2つか3つ、非常に定点が少なくなる地域について、念のためデータを見せていただければと思います。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、越田委員、お願いします。
○越田委員 詳細な御説明ありがとうございました。
 今回、能登半島の地震でも明らかになりましたが、高齢者の方々の感染状況の把握がなかなか難しいなと思っております。これまでいろいろ先生方から御意見があったように、高齢者の実態がきちんと把握できるような仕組み。それと、能登半島のような医療資源に限りのある地域に参りますと、なかなか内科の開業医の先生が定点をお引き受けになってくださらないということで、総合病院で定点を担っているというような実態もございます。また小児科が定点を受けてくださると、インフルや新型コロナの発し報告が上振れする可能性があるのではないかと思われます。可能な限り高齢者の感染状況の実態を、RSウイルスの感染症も含めてしっかり把握できるようなシステムをつくっていただきたいということが1点目です。
 もう一点は、このスケジュールは、かなりタイトで、実際にこれをマネージするような保健所にとってみれば結構厳しいかなという気がするので、御配慮いただくなり、早い時期の説明会の開催をしていただけるとありがたいと思います。
 以上2点です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、土井委員、お願いします。
○土井委員 お願いします。
 今、委員の先生方御指摘のところかと思いますけれど、小児科定点のところです。RSウイルスですとかA群溶連菌をはじめ、成人でも大きく問題となっているということで、境界がはっきり分かれなくなってきているところがありますので、長期的にこういった病原体及び疾患を成人で把握していく、高齢者を中心に把握していくという体制は非常に重要であると感じました。
 もう一点、定点の数についても活発に議論されていますけれども、こちらも人口動態の変化ですとか医療機関の負担ということで、効率的な体制に再編することがあるというところは理解をさせていただきました。一方で、最初のスライドにもありましたけれども、離島などで人口の基準を満たさないところが多くあるということなのですが、生活圏が独立していたり、人流が少ないというような、感染症が独特の動向を示す場面があり得るのかなと思いますので、こういった地域特異的な情報の取得ということに影響がないのか、あるいはそもそもそういったことが必要なのかどうかということを、これまでのデータからある程度検証しておくことができるとさらに安心かなと感じました。
 私からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 坂本委員、お願いします。
○坂本委員 単純な質問で失礼いたします。資料の2ページ目に小児科の定点が、ARI導入後に小児科定点または小児科のARI定点になるというふうに赤字で書かれているのですけれども、これは小児科定点の中では従来の小児科定点のままで居続ける選択肢があるという理解でいいのかというのが1点御質問です。
 その場合、現在3,000か所のうち、わずか0.7%ということで20か所程度だと思うのですけれども、今後、例えば報告の負担が大きいといった理由で、この比率が0.7%から増える可能性があるのかというところ。その場合、先ほど高橋先生が示していただいたようなシミュレーションへの影響というのは、ほぼないと考えていいのか、それともある程度の影響があると考えていいのか。3段階になってしまって申し訳ありませんが、単純な質問ですけれども、お尋ねさせていただきました。ありがとうございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 様々な御指摘、御質問をいただきました。ありがとうございました。病原体定点についての御質問がありました。それから、ゲノムサーベイランスの今後の在り方についての御質問もありました。それから、定点数が最小値で、現在の数を継続してもよいのかというようなところ。それから、高齢者の把握についてどう考えているのか。それから、パターンAとBと、Bのほうがよいのだけれども、Aを採用した理由について等々ですね。
 高橋参考人に対する御質問もありましたので、まず、高橋参考人からお答えいただけるところがあればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○高橋参考人 高橋です。ありがとうございます。
 私としては、幾つかのパターンで検討している中でこれを示して、最終的には私が決めるものではなくて、議論いただく中で決まると思うのですが、基本的に今回のシミュレーションや評価で用いたのは、あくまで全国ベースで、全国でどの程度精度がいいかという評価にしています。その意味では、パターンAとパターンB、確かにパターンBのほうが若干いいのですけれども、パターンAでも全国で見ればほとんどずれがないという形で、パターンAを先に書かせていただいています。ただし、いろいろ御指摘があったとおり、年齢であったり、地域の特性であったり、都道府県別になってくるとずれが出てくるとは思います。
 特に幾つかの最小の定点数の都道府県ですが、あいにく今日は手元に資料がないのでお示しできないのですが、最小ですと定点が県内で20前後、20を下回るところもありますので、そうしますと上のところ、また、低いところでぶれが出てくることは当然想定されます。ただし、全国で見るとあまり大きな違いがないというのが私の感触でございます。
 私が答えられるところとしては以上になります。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、事務局のほうからレスポンスいただければと思いますが、いかがですか。
○佐野エイズ対策推進室長 ありがとうございます。
 まず、戸部委員からいただきました、なぜパターンBでなくパターンAなのかというお話になりますが、我々としましては、高橋先生の資料を見ていただければと思いますが、全体的にシミュレーションの平均値を取ったときに、現行の結果と基本的には一致しているというところで、もちろんぶれのところとかはあると思いますが、基本的には、どういった定点設計をするのが適切なのかというところを都道府県に適切にお答えしていく中で、何とかこのぶれについては少ないものにしていきたいと思っているというふうにお考えいただければと思います。
 次に、特に病原体定点のお話になりますが、こちらにつきましては、最終的には自治体様の判断にはなると思うのですが、我々としては、やはり病原体の提出を積極的にしていただいている医療機関を残していただく形で何とか設定をお願いしたいと考えているところでございます。
 あと、高齢者の今後の実態把握をどうしていくのかというところを御質問いただきましたが、正直なところ、我々の今の検討状況は、現在の状況に基づいて実施しているというふうに思っております。もちろん先生方御指摘のとおり、今後どのように把握していくのかというのは本当に重大な課題だと思っておりますが、現状、あくまで現時点でのシミュレーションで御提示させていただいたというところについて御認識いただければと思います。もちろん今後、我々としても必要な時期に見直しは行っていくものと考えておりますので、また引き続き先生方と御議論をいたしながら前に進めていけたらなと思っているところでございます。
 すみません。あと何点ぐらい。
○脇田部会長 私のほうからいいですか。
 病原体の定点の数が減るのだけれども、これまでどおりの数を維持してもよいか。その際、財政措置もお願いしたいと。
○佐野エイズ対策推進室長 我々がお示ししているのはあくまで最低基準になりますので、もちろん自治体様のほうで設定していただく分には問題ないと考えております。
 財政措置につきましては、少々お待ちください。
○荒木感染症対策課長 感染症対策課の荒木でございます。
 今御指摘いただきましたように、まず定点の設定については、先ほど佐野のほうから申し上げましたように、今もそうですが、これは一応最低の基準という形で出させていただいておりますので、それを上回る、あるいは現行維持という話につきましては、そこは地域の実情の中でしっかり決めていただき、それに応じた形で国庫補助というのは、今も2分の1補助させていただいていますので、それは継続するということを考えております。
 あとは、成田委員と鈴木先生からもございましたように、定点の数が変わることによって警報基準等の変更もあるのではないかということで、こちらはまさに専門の鈴木先生等とも相談しながら適切に、あるいは改めて考えていきたいと思っております。
 さらに、ゲノムサーベイランス、あるいは病原体サーベイランスについての重要性というのは各委員から御指摘いただきましたし、その数をどうするかということで、森川先生からもございましたように、今の5,000のうちの1割ということで考えますと、3,000のうちの1割の300という中で、特に今出していただいているところを中心に出していただく。各都道府県の役割、これは実情に応じますので、都道府県とも御相談しながらなのですが、提出率の高いところに出していただくことによって、よりしっかりと把握していきたいと思っております。
 あと様々ございましたが、谷口先生からもございました。特にWHOなり国際基準的に、やはりしっかりとPCR等で陽性を見ないといけないということで、これは先ほどの病原体、あるいはサーベイランスとも似通う話かと思いますけれども、そちらのほうとしては都道府県さんともしっかり相談しながら、しっかりと取れるような形にしていきたいと思っております。
 あと、越田委員あるいは四柳委員からもございましたように、やはり高齢者の実態が、今はもともと言われているように小児科定点の率が多いので、小児科疾患の感染症疾患を見るという主の目的がこれまであったところですので、こちらに比率があったということでございますが、高齢者についても、例えばRSみたいなものが発生してくるので、そこは内科定点の設定において、都道府県の説明会の中でもしっかりと説明しながら進めていければと思っています。
 一方で、サーベイランスですので、データの継続性という観点から、率としては今の形でさせていただきたいと思いますが、運用の中でしっかりと決めていきたいと思います。
 あとはスケジュール感の話で、地方自治体さんに大変御心配をおかけしているところがございます。鈴木先生からもございましたように、一応スタートとしては今年度中に、できればこの冬のシーズンまでにスタートはしたいと思うのですけれども、定点の設定というのは都道府県では年度になっていると思いますので、来年度から新規の設定ができるような形で準備を進めるということもあろうかと思います。そこは都道府県説明会におきましても十分に説明していきたいと思っております。
 以上ぐらいでしょうか。もし不足がございましたと思います。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 おおむねお答えいただいたと思うのですけれども、四宮先生からあったスライドの3ページ目の日本と外国の定点の数の差ですが、病原体定点が外国でどうなっているかというところ、私もそこは気になっていたので、もしお分かりであれば、何か分かりますでしょうか。
○神垣参考人 神垣です。
 この資料の作成を手伝ったということで、御説明させていただければと思います。
 一番上の日本の定点に関しては、患者定点ということであります。それから幾つかのパターンが出ていて、アメリカであればボランタリーで病原体と患者情報を集めてくるような定点が入っていますし、ドイツも一部医療機関とそれから病原体定点、英国は恐らく病原体定点かと思います。なので、患者定点に対して、もともとARIとかILIというのは、病原体を検出して、それの陽性率を見るということで、必ず患者総数に対してどれぐらいの陽性率があるのかというところがありますので、検査というのは必ずそれに付随したデータになってきますので。
○佐野エイズ対策推進室長 先生、ちょっと声が小さくなっております。
○神垣参考人 すみません。
 ARIのそもそもの目的からして、病原体検査と、それから。
○佐野エイズ対策推進室長 先生、少々お待ちいただいてよろしいでしょうか。
○神垣参考人 聞こえないですか。すみません。ちょっと待ってください。
 今いかがでしょうか。今大丈夫ですか。
○佐野エイズ対策推進室長 大丈夫でございます。
○神垣参考人 ありがとうございます。
 最初から言ったほうがよろしいでしょう。
○脇田部会長 最後のほうが聞こえなくなったので、途中からでよろしくお願いします。
○神垣参考人 すみません。
 そうしたら、ARI、それからILIに関しては、再三出ていますとおり、陽性率を見ていくということで、患者数に対しての検査陽性数を見るというところで、必ず病原体の検査というのが付随して検討されているような状況だと思います。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 そうしますと、なかなか単純比較というのは難しいのかなというところはあるわけですね。ありがとうございます。
○佐野エイズ対策推進室長 事務局からでございます。
 1点追加でございますが、現在、ゲノムサーベイランスは、まずはコロナのみ行っているという状況でございます。地衛研ですとか、あとはそういったところの検査能力ですとかシステム等を踏まえて、今後、感染研と相談させていただきたいというふうに我々としては考えているところでございます。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 おおむね答えていただいたと思うのですが、もしまだ足りないところ、それから追加の御質問等があれば委員の先生方からお願いしたいと思いますが、どうですか。
 神垣参考人と四宮委員からお願いします。
○神垣参考人 ありがとうございます。
 先ほど御指摘のあった2枚目のところなのですが、我々もRSの把握に関しては興味を持っておりまして、今回、ARI導入後に対して小児科定点またはARI定点(小児科定点)となっているのですが、これは、小児科定点は従来の小児科定点であって、今回のARI定点に選ばれたうちの小児科定点から、この挙げていただいている4疾患が報告されて、内科定点からは報告されないという理解でよろしいのか。
 さらに、病原体把握のほうに関しても、まとめて一列になっていますけれども、この場合は内科定点も含めるということで理解してよろしいのか。ちょっとこの辺を御説明いただければと思います。よろしくお願いします。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 四宮委員、お願いします。
○四宮委員 私のほうは単純な質問ですが、先ほど定点設計は年度で行われるという話でしたが、発生動向調査事業の集計、統計そのものは年次で行われていると思うので、例えば今年度、来年度の集計はどういうふうに考えるのかということです。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 では、その2点ですね。事務局からもしお答えいただければと思いますが。
○佐野エイズ対策推進室長 御質問ありがとうございました。
 まず1点目のどうなっていくのかというところですが、基本的には急性呼吸器感染症として一体的に急性呼吸器感染症のサーベイランスを行うということですので、小児科定型におきましても、内科定点におきましても、こちらのものを一括で拾っていただくという形になるかと思います。そういったものをどういうふうに報告していただくかというところの案として出させていただいているのが7ページの表となりますので、一体的に急性呼吸器感染症の中で全て御報告いただくという形になるかと思います。
 集計の出し方につきましては、適切に連続性があるように我々としても出していきたいと考えておりますので、その方法につきましては、また感染研の先生方とも御議論させていただきながら、適切に進めさせていただきたいと思います。
 すみません。私、1点忘れておりました。マイコプラズマの発生動向についてなのですが、こちらは実は、感染症法の中でマイコプラズマが5類感染症とはいえ全数把握になってしまいます。そのため、もともと定点の中でも少し特殊な状況となっていたということがございますので、統一した統計の中に入れ込むことが法律上もなかなか困難な状況になっているというところを御理解いただければと思います。
 私からは以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 今村委員、お願いします。もうそろそろ最後にしたいと思います。
○今村委員 1点だけ、質問ではなくてコメントになります。先ほどからご意見が出ているように高齢者、特にRSを中心とした高齢者のフォローアップというのは、これからの人口動態の変化も考えると非常に重要だと思います。ただ、今回行っていただいたシミュレーションでは、あくまでも過去と比較して大丈夫かを確認したものであり、高齢者の視点で何を見ていくのか、どのようにサーベイランスをしていくのかというときには、もう一度改めてベースラインをつくらなくてはいけないと思うので、そこは改めて設計からしっかりやらなくてはいけない問題かなと思います。
 しかし、現在の計画だと設計が間に合わないと思うので、長期的な問題も抱えている高齢者のサーベイランスについては、少し時間がかかっても改めて設計プランを立てたほうがいいと思いました。
 こちらからは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 谷口委員、お願いします。
○谷口委員 ありがとうございます。
 多分言い間違いかなと思うのですけれども、マイコプラズマは全数ではないと思います。マイコプラズマは基幹定点からの報告だと思います。欧米では、ILI、ARI、それとSARIというのがあるのですね。入院した急性呼吸器感染症のサーベイランスも行っていますので、今村先生からも御指摘がありましたように、そういったところも含めて、本来、ARIサーベイランスというのは、ARI、どういった病原体のものが流行しているか。特にこれまではインフルエンザとコロナを効率的に把握するための手法として使われてきたものですので、今後それにRSが加わっていくだろうというのは世界的な方向性だと思います。そうすると、従来の定点にこだわらず、ARIサーベイランスとして考えていただくほうがいいのではないかなと思いました。
 以上でございます。
○佐野エイズ対策推進室長 谷口先生、申し訳ございません。私、勘違いしておりまして、ここは訂正させていただきます。先生おっしゃられますように、クラミジア肺炎、マイコプラズマ肺炎は基幹定点で把握しており、百日ぜきが全数把握でございます。この3疾患につきましても、本来、ARIの中に入ってくるという形にはなりますが、なかなか今の法律の立てつけ上、この3疾患についてARIの中にはめ込むのは難しいという状況になっているというところを御理解いただければと考えております。
 私からは以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 そうしましたら、最後の今村先生の御意見は事務局にノートしていただきまして、長期的な課題というところで、高齢者のフォローアップをどのようにやっていくのか、ベースラインをどう設定していくのかというようなところだったと思います。
 そのほかよろしいですか。
 すみません。座長の不手際もありまして、大分時間をオーバーしてしまいましたけれども、今日は本当に委員の先生方から様々な御意見をいただきました。また、参考人の先生からは貴重なデータ、御意見をいただきまして、ありがとうございました。
 事務局におかれましては、今日の御意見も踏まえまして、このARIサーベイランスの取組を進めていただければと思っております。
 それでは、議題は以上になりますので、事務局にお返ししたいと思います。
○佐野エイズ対策推進室長 ありがとうございました。
 本日の委員の皆様の御意見を踏まえ、進めさせていただきたいと思います。
 今後、当方で、記者ブリーフィングとして議事の概要を説明させていただく予定としております。
 また、次回については、事務局より改めて御連絡させていただきます。
 本日は、お忙しい中御出席いただきありがとうございました。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。