第36回厚生科学審議会臨床研究部会 議事録

日時

令和6年9月4日(水)16:00~18:00

場所

AP虎ノ門
(オンラインとのハイブリッド開催)

議題

  1. 1.臨床研究で得られた情報を薬事申請に利活用できる仕組みについて
  2. 2.臨床研究法について
  3. 3.臨床研究中核病院の承認要件見直しについて
  4. 4.臨床研究・治験推進に係る今後の方向性について
  5. 5.その他

資料

議事

議事内容

○医政局研究開発政策課室長補佐 それでは定刻になりましたので、ただいまから「第36回厚生科学審議会臨床研究部会」を開催いたします。本日は、前回から引き続きWebで開催いたします。会議全体でのお願いとなりますが、Webで参加されております委員の皆様におかれましては、御発言される前に画面下部の「挙手ボタン」をクリックしてください。部会長の指名を受けてから、マイクのミュートを解除して御発言いただきますようお願いいたします。また、御発言終了後は、再度マイクをミュートにするとともに「手を下げる」をクリックし、手を下げた状態にしてくださいますようお願いいたします。会議中の接続トラブル等が発生いたしましたら、事務局まで御連絡ください。注意事項は以上となります。今回から新たに、上野さやか委員に御参加いただいておりますので御紹介いたします。上野委員から一言、御挨拶を頂いてもよろしいでしょうか。
○上野委員 この度、新たに委員を拝命いたしました弁護士の上野さやかと申します。TMI総合法律事務所という所に勤務をしておりまして、普段は特許案件、知財まわりですとか、知財に限らずレギュレーション等も含めまして、医薬・バイオ業界のお客様へのアドバイス等々を行っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○医政局研究開発政策課室長補佐 上野委員、ありがとうございました。それでは、本日は部会の定数15名に対しまして15名の委員の皆様に御出席いただいていますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。
 続きまして、本日の会議資料についてですが、会場参加の委員の皆様におかれましては、本日はお手元の資料を御覧ください。Webで参加されている委員の皆様におかれましては、事前に送付しております資料、あるいはWeb上で資料を投影いたしますので、そちらを御覧ください。資料は資料1、次の資料2は3つあり、資料2-1~2-3、続けて資料3、資料4となっております。参考資料は参考資料1~参考資料6となっております。お手元で不足等ございましたら、事務局宛てにお申し付けください。円滑な議事進行のため、撮影はここまでとさせていただきますので御協力をお願いいたします。以後の進行につきましては、楠岡部会長にお願いいたします。
○楠岡部会長 ありがとうございます。部会長の楠岡です。本日はお忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。お手元に配布されております議事次第により、議事を進行させていただきます。
 まず初めに、議題1「特定臨床研究で得られた試験成績を医療機器及び再生医療等製品の承認申請に利用する場合の留意点・考え方の例示について」について、事務局より御説明をお願いいたします。
○医療機器審査管理課再生医療等製品審査管理室長 事務局です。資料1として、本年6月に発出した「特定臨床研究で得られた試験成績を医療機器及び再生医療等製品の承認申請に利用する場合の留意点・考え方の例示について」をお示ししておりますので、そちらを基に、これまでの経緯と概要について御説明させていただきたいと思います。事務連絡の冒頭に記載しておりますとおり、臨床研究法の制定時における附帯決議の1つとして、医薬品、医療機器等の開発を推進するため、臨床研究で得られた情報を医薬品、医療機器等の承認申請に係る資料として利活用できる仕組みについて速やかに検討することとされてという経緯がございます。試験計画立案時の段階で得られる結果を薬事申請に利活用することを前提とする場合については、治験として行うことが原則ですけれども、改めて治験を実施することが困難な場合には、治験と同程度の信頼性の確保された臨床研究結果を薬事申請に利活用できるスキームが必要なのではないか、そのような背景がありまして、医薬品については先行して議論が行われていたところでございます。医薬品については昨年3月にその考え方が示されておりまして、本部会でも昨年8月に御説明をさせていただいたものと承知しております。このような背景を踏まえまして、プログラム医療機器の薬事承認におけるデータ信頼性等の検討事業において検討を続けてまいりまして、医薬品側の考え方も踏まえて今般、医療機器及び再生医療等製品にかかる事務連絡の発出に至ったという次第です。
 資料1の3ページ目を御覧ください。事務連絡の別添として、承認申請に利用する場合の留意点・考え方の例をお示ししております。こちらにお示しの内容については、医薬品、医療機器、再生医療等製品、それぞれ特性はございますけれども、承認申請に利用することに関して基本的な考え方は変わらないので、昨年3月に発出しております医薬品の考え方と内容としては重複しております。改めて今回の事務連絡に関して、簡単ではございますけれども概要について御説明させていただきます。
 1点目として、特定臨床研究の承認申請に係る資料としての利活用の可否については、信頼性に加えて特定臨床研究で得られた試験成績の論文化の状況や、関連ガイドラインの記載状況等の背景情報も考慮の上、総合的に判断されるものと考えております。
 2点目として、特定臨床研究で得られた試験成績を承認申請に利用する場合については、承認申請における当該臨床研究の位置付け等を総合的に考慮した上で、求められる信頼性の水準が判断されるものと考えております。研究責任医師については、根拠資料の保管を含め、当該臨床研究の適切な実施を確保するとともに、当該研究の信頼性確保の状況について説明できることが必要であると考えております。これらを担保いただくためには、やはり申請者、製薬企業、医療機器企業においては研究責任医師との間で適合性調査に関する協力体制を構築していることが非常に望ましいと考えているところでございます。
 3点目として、特定臨床研究で得られたデータを利用して承認申請を行う場合には、当該特定臨床研究の研究責任医師が、申請者による試験データの利用が可能となるような適切な患者同意を得ていること。
 今申し上げた3点が、大きく考えられるところです。特定臨床研究を利用した事例は少ない状況でして、医療機器で1件ありますけれども、今後、このような事例を蓄積していくことに伴いまして、考え方・留意点等については見直していきたいと考えております。事務局からは以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ただいまの報告に関しまして、何か御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、「特定臨床研究で得られた試験成績を医療機器及び再生医療等製品の承認申請に利用する場合の留意点・考え方の例示について」に関しまして、臨床研究部会で報告を受けたということで御了解いただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、議題2に移りたいと思います。議題2「臨床研究法について」を、事務局より説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局です。それでは、資料2「臨床研究法について」の御説明をいたします。まず、資料2-1、適応外使用に関する特定臨床研究の対象範囲について御説明いたします。今、御提示しております2ページを御覧ください。前回の部会で御提示いたしました本議題の概要となります。下の図の特定臨床研究の中の緑色の網掛け部分「医薬品等の適応外使用を行う臨床研究」の中で、更に青色で示しております「薬事承認済みの用法等と同程度以下のリスクのもの」、これを特定臨床研究の対象から除外するというものです。
 次に、3ページを御覧ください。こちらは、改正された法律の条文の該当部分を引用しておりますので、適宜御参照ください。
続きまして、4ページを御覧ください。こちらも、前回の部会で御提示させていただいた特定臨床研究の対象から除外する適応外使用の基準(案)となります。前回の御議論において、この2つ目の〇の※の部分、医療機器、再生医療等製品についても同基準とするということについて、この方針で問題ないかという御指摘を頂いておりました。
 次の5ページを御覧ください。まず、再生医療等製品のことですが、こちらは8月22日に開催されました第97回再生医療等評価部会の資料となっております。このうち、上の緑の網掛けの2つ目の○の内容ですが、前回の本部会で御説明しましたが、この適応外使用については、再生医療等安全性確保法における再生医療等製品においても同様の法改正が行われており、その基準について先般の再生医療等評価部会において御審議いただいております。
 続いて、6ページを御覧ください。この再生医療等安全性確保法における再生医療等製品についても、特別研究班においてその事例等を含め御検討いただいており、その対応の方向性といたしまして1つ目の〇です。現段階において、再生医療等製品の適応外使用において、承認内の用法・用量等と同程度に有効かつ安全に提供可能な治療としてエビデンスが確立されているものはないということであります。
 2つ目の〇、リスクの低い再生医療等製品等の適応外使用に対する法の適用除外範囲について、現段階では省令に規定を置かないこととし、今後の研究開発の状況に応じて将来的にこの適用除外基準を本部会、これは再生医療等評価部会のことですが、その部会において議論を行うこととするとされております。この結論を受けて、臨床研究法においても、再生医療等製品については適応外使用の基準は置かないこととしますが、他方、医療機器については別の特別研究班において御検討いただいており、そちらは医薬品と同じ基準でよいと御回答いただいておりますが、その考え方についてコメントを頂いておりますので、次のスライドで併せて御説明いたします。
 では、7ページを御覧ください。こちらは、本日御審議いただく主なスライドとなります。基本的な方針は、上段のとおり前回お示ししたものとしております。本日は、下段の破線囲みの部分を、少し粒度を上げた内容を含めて御提示いたします。一番上ですが、「特定臨床研究から除外する適応外使用については、CRBにおいて判断されるもの」とし、1つ目の〇、「国内の医学関連学会により推奨されている用法等である。」このことについては、括弧内ですが、医学関連学会が策定する最新のガイドライン若しくはそれと同等の手法により推奨すべきものである旨の見解が公表されているものとします。
 これについては、下段の1ポツ目。ガイドラインとは、日本医学会連合加盟学会が策定する診療ガイドライン又はMindsによる評価を受けたガイドラインとするとしたいと考えております。また、同等の手法と申しますのは、下段の2ポツ目にありますが、診療ガイドラインの策定手順と同等の十分なエビデンスが収集され、レビューにより推奨されることが明確である用法等であることを意味しております。更にそれは、研究者及びCRBが等しく認識できるように、その判断根拠等を分かりやすく学会のWebページ等で公表していただくことを想定しております。
 目線を上段に戻していただき、2つ目の〇です。「その効能・効果が薬事承認の範囲内であり、研究対象者に対して有効かつ安全であると判断された用法・用量である。」この基準については、視線が行ったり来たりで申し訳ありませんが、下段の3ポツ目です。臨床試験のみならず、医薬品においては例えば薬物動態解析等、医療機器においては使用模擬試験等で有効性・安全性が説明可能であるということを意味することとしたいと考えております。
 また、上段の一番最後です。ただし書きですが、「国内における診療の実績が乏しい又は保健衛生上の危害が発生している用法等は除く。」こちらについては、十分な国内の使用実績を求めると同時に、下段の4ポツ目ですが、緊急安全性情報若しくは安全性速報又は論文等により、当該用法等について重篤な副作用等により中止等の注意喚起がされている用法等は除く。つまり、そういったものは適応外使用の特定臨床研究からの除外には該当しない方針としたいと考えております。
 次に、8ページ及び9ページを御覧ください。今年度、この適応外使用の特定臨床研究について御検討いただいております特別研究班で挙げていただいた事例を含め、具体的な事例を4つ掲載しております。事例1~3の3つは、効能・効果が適応外使用のものです。例えば事例1ですが、こちらはがん領域のものとして、閉経後乳癌について薬事承認されているアロマターゼ阻害薬があります。こちらは、診療ガイドラインでは閉経前の乳癌であっても、使用が強く推奨されているサブタイプがあるという事例となっております。各個別の事例の詳細な説明は割愛しますが、事例2に関しては小児領域のもの、事例3は、がん領域・小児領域以外のものであり、こういったものも該当するものはあると考えております。
 次に、9ページです。こちらは、効能・効果は薬事承認済みですが、用法・用量が適応外使用となっている事例として掲載しております。
以降の10~13ページに関しましては、こちらの事例1~4の具体的な薬事承認内容及び診療ガイドラインの記載部分を切り抜いた参考資料となっておりますので、適宜御参照ください。資料2-1の説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ただいまの事務局からの御説明に関しまして、御質問等がございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。佐藤委員、どうぞ。
○佐藤(暁)委員 ありがとうございます。ちょっと細かいことかもしれないのですが、適応外の考え方で、今年の5月31日に医薬品の併用に関する医薬品、医療機器及び再生医療等製品の承認申請等の取扱いについてという事務連絡が出て、新しい薬の承認申請のときに、併用薬に関しては一変申請は要らないという通知が出ていると思います。この場合は、もちろん薬事承認上の変更はされていないのですが、この趣旨に基づくと、対象となるものが一変されていなくてもOKと理解できるのですが、そのような場合に今回の適応外の考え方上でどう扱われるのかについて、何か迷わないような形で明示されるという理解でよかったのでしょうかという確認だけです。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局です。御質問ありがとうございます。今、御指摘いただきました内容をこちらでも認識しており、詳細な内容については審査管理課と調整したいと考えておりますが、基本的にはしっかりとしたエビデンスがあるものが、その後続として承認されてくる医薬品の添付文書掲載されるものと認識しております。なので、今回のお示ししている判断基準の特に1つ目の〇ですが、推奨されているということがしっかり担保されている内容と等しいと考えられる場合に関しては、そちらも考慮して、この基準に該当すると整理できるように考え方等で示していきたいと考えております。
○佐藤(暁)委員 ありがとうございます。理解しました。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ほかに御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 適応外の事例として、まだ余り実施されていないものは、まずは特定臨床研究でやってください、同じようなものが何件か重なってきたときに、それは一応とりまとめ、ガイドラインまでには載っていないですが、学会等で取り上げられてとりまとめられていたら、適応外のこの除外基準でやってもいいだろうと。どの辺りで線を引くかという基準は置けないと思いますが、その辺りはCRBで検討していただければいいということですか。それとも、何かこちらから指示的なものを出す予定があるのでしょうか。その辺りはいかがでしょうか。
○医政局研究開発政策課室長補佐 ありがとうございます。事務局です。そちらに関しましては、先ほどは少し早口の説明となり恐縮ですが、今お示ししているスライドの2ポツ目になりますが、それと同等の手法により推奨すべきものである旨の見解が公表されているものという所に該当するか否かというところで諮っていきたいと考えております。その判断が、CRBに完全に委ねられてしまいますと、根拠資料をしっかり読み解くというところで既に審査の質のばらつきを御指摘いただいているところですので、そちらに関しては学会でエキスパートの先生方が診療ガイドラインを作成されていると思いますので、それと同等の手法により記述等で推奨されるよねということが、Webページ等で公表いただいたりして、広く皆さんが知ることができ同じ判断ができるというところを担保しつつ、また妥当性というところは、学会等で御審議いただいているというところで考えております。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ほかに、御質問はございますか。よろしいでしょうか。
○谷岡委員 すみません。手を挙げているのですが、見えにくいかもしれません。谷岡です。
○楠岡部会長 はい、どうぞ。
○谷岡委員 すみません。ありがとうございます。質問なのですが、この7ページの2つ目の〇の「薬事承認の範囲であり、研究対象者に対して有効かつ安全であると判断された用法・用量である。医療機器についても同基準とする」ということについては、医療機器はどういうふうに考えるということになるのでしょうか。下にあるように、説明ができればいいということなのでしょうか。
○楠岡部会長 お願いします。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局です。ありがとうございます。医療機器についても、こちらの※に関しましては、この上段の内容全てにかかっているというふうに認識をしております。御指摘いただいたとおり、医療機器について診療ガイドラインでしっかり書かれているものは医薬品に比べると少ないかとは思いますが、そういった内容に関しては、しっかりとしたエビデンスを収集いただき、やはりこの1つ目の〇又は2つ目の〇プラスこのただし書きを満たしていただくというところで、医療機器についても判断をしていきたいと考えております。
○谷岡委員 ありがとうございます。医療機器の場合、例えばですが、パルスオキシメーターのような大人用に開発したものを赤ちゃんに適用しますというときのフィージビリティ試験的なもの、安全性等々は確認はしていますが、赤ちゃんの大きさに合うだろうかという場合も出てくると思いますので、柔軟に考えていただけるということであれば問題はないかと思っております。以上です。
○医政局研究開発政策課室長補佐 ありがとうございます。今、御指摘いただきましたところは、かなり判断が難しいところかなと認識しております。正に、そのフィージビリティ・スタディは、国内における診療の実績があるかと言われるとないため、フィージビリティを見にいくというところになるかと思います。かなり早期のものに関しては、これに該当させることが安全性・有効性の両面で考えたときに、フィージビリティ・スタディ全てがこれに該当すると言い切れるかは、かなり疑問視されるかなと考えております。こちらは、もともと特定臨床研究としてやっていただいていた内容、そうすべきであるというスタンスできたところを、研究が進みにくい、更に研究のスピードを上げていくというところで少し門戸を開くという規制緩和の方向に動く話ですので、やはり慎重な判断は求められるかと考えております。
○谷岡委員 はい、承知しました。フィージビリティ・スタディ全てがという意味ではなくて、どちらかというと使えるかどうかという試験も医療機器のクラスⅠの場合などはあると思いますので、検討の際に考えていただけるということであれば問題はないと思っております。ありがとうございます。
○医政局研究開発政策課室長補佐 ありがとうございます。正にこの辺りは、個別というところにもなってしまうかと思っており、前回の部会のときにも少し御説明しましたが、やはり事例や、先ほど4例だけ医薬品を主にしたものを御提示しましたが、医療機器に関しては現在、相談窓口も設置しておりますので、法の該当性もそうですが、この適応外使用の除外基準も事例等を含めながら御提示していきたいと考えております。
○谷岡委員 ありがとうございます。
○楠岡部会長 ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、事務局で今少し出ました議論等も含めて、今後の対応の検討をお願いしたいと思います。
 それでは、続きまして議題2-2「研究目的で研究対象者に著しい負担を与える検査等を伴う研究について」について、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局です。資料2-2「研究目的で研究対象者に著しい負担を与える検査等を伴う研究について」の御説明をさせていただきます。
 2ページ目を御覧ください。こちら、とりまとめの概要をお示ししています。今回のこの内容は赤枠でお示ししている部分となります。
 3ページ目を御覧ください。こちらですが、前回の部会の法改正資料で御提示いたしました本議題の概要となります。下の表を御覧いただきまして、このうち、「2.通常の医療の提供として医薬品等を使用する場合」で、緑色の網掛け部分の、「研究目的で研究対象者に著しい負担を与える検査等を通常の医療に追加して行う場合」、これは臨床研究法の下で実施すべきであることを条文上明確化したという内容となります。
 4ページ目を御覧ください。こちらは改正された法律の条文の該当部分を引用しています。研究目的で著しい負担を与える検査等を行う研究については、第2条第1項で規定していますけれども、真ん中の太字下線の下から2行目「当該人の心身に著しい負担を与えるものとして厚生労働省令で定めるもの」、この基準について本日、御審議いただきたいと思っています。
 5ページ目を御覧ください。本日、御審議いただく主なスライドとなりますが、この研究対象者の心身に著しい負担を与えるものの基準(案)を御提示しています。1つ目の○の太字の下線部分、入院等の研究対象者に負担を課すことが明らかであるものや、通常の医療において行われる診断、治療及び予防のための検査又は行為に比べ、著しく大きい障害が発生する可能性が高いものとしてはどうかと考えています。具体的には破線囲みでお示ししている3つを想定していますが、①入院や頻回の通院その他身体の自由の拘束を強いる検査又は行為、②治療を要する疾病、障害、又は死亡が発生する可能性が高い検査又は行為、③心身に苦痛を相当程度与える検査又は行為、を念頭に置いています。
 ただし、2つ目の○にお示ししますように、著しく大きい障害が発生する可能性については、対象者の年齢や体重、疾患、病状等の背景因子によって大きく異なるため、個々の検査等に即して上記基準への該当性を判断する必要があります。この該当性の判断に資するよう、国において事例等を示すこととしてはどうかと考えています。
 6ページ目を御覧ください。こちらも事例となりますが、今年度、この研究対象者の心身に著しい負担を与える検査、その他行為について御検討いただいている特別研究班で挙げていただいた事例を含め、明らかにこの研究対象者の心身に著しい負担を与える7つの事例を掲載しています。
 事例1は、当該疾患に対しては日常診療では実施しない検査を実施する事例、事例2は、放射線被ばくを受ける追加的な検査の実施、こちら、被ばく量については背景因子も考慮する必要がございますので実数等は示していませんが、日常診療より相当量多い場合は該当すると考えています。事例3は、筋生検や骨髄穿刺など穿刺を伴う追加的な検査の実施、事例4は、追加的な生検の実施としていますが、生検においても通常を大きく超える生検の数とか、採取に相当な苦痛を伴う生検を実施する場合は該当すると考えています。事例5は、追加的な内視鏡検査の実施としていまして、例えば気管支内視鏡とか大腸内視鏡等、検査そのものが著しい負担があるものを、日常診療を複数回超える頻度で実施する研究は明らかに該当すると考えています。事例6は、その検査又は行為のために入院を要するとか入院期間の延長を要するようなもの、最後に事例7として、トラウマ体験をフラッシュバックさせるような精神的苦痛を与えてしまう検査や行為の実施を挙げています。
 資料2-2の説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 ありがとうございます。ただいまの事務局からの説明に対しまして何か御質問、御意見がありましたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。花井委員、どうぞ。
○花井委員 ありがとうございます。花井です。事務局が示された(参考)に出ている事例の1から7、これは該当するという理解でよろしいのでしょうか。
○医政局研究開発政策課室長補佐 ありがとうございます。事務局です。こちら、今日お示ししているのは該当するものとしてお示ししています。
○花井委員 ということで、一定程度、リーズナブルかなとは思います。これを特定にするかどうか問題なので、もともと研究自体はルールに基づいてやっていると理解しています。ただ、自分は採血スピッツ、大体7本から8本なんですね、通常診断。これが15本に急に増えたら苦痛はもちろん増えるんですけど、それは該当しないでいいと思うんです。結局のところ、インフォームド・コンセントが重要になってくると思うので、特に患者の立場からいくと、何でこんなに検査が増えているのとなる。もちろん、ICを受けているからそんなはずないんだけど、ICの段階で患者の理解というのが、これまで見てくると、必ずしも患者さんが十分理解されないまま研究に参加しているという例も見えるので、特にこういうふうに1つ検査項目が増えていくことについては、著しい負担がなくても十分なICを受けるようにという所をどこかに特記してもらって、そうすればスピッツが増えたとか待ち時間が長くなったとか。あと、入院かどうかということについても論点があると思います。
 私の経験だと、長く留め置いて血中動態を時間ごとに測るみたいなのがあったわけですけれども、そういったものは特殊で、何に役立つのかなという感じで、これは昭和の時代にやったときには、ほとんどICを受けずにやって、「うん」と言ったら、朝行ったら夕方までかかって、「えっ、こんなことだったの」みたいなのが昭和の時代にはありました。今は、もちろんそんなことないと思いますけど、患者さんの理解をちゃんと得るというところについては、特定にしないにしても、十分そこは配慮して、説明は特段するというところを、どこかで確認していただけたらと思いました。以上です。
○医政局研究開発政策課室長補佐 ありがとうございます。今、御指摘いただきましたとおりでございまして、説明と同意というのは基本的に研究倫理のベースとして非常に重要になるのですが、そこが不安になるところもあるので、今回の研究目的でそういう追加的な検査を行う場合も、その目的や内容について、しっかり研究対象者にお知らせすることは大変重要だと思いますし、同意の取得は言及するようにしたいと思います。
 念のためですけれども、先ほどの資料の御説明が早口で恐縮でしたが、3ページ目になります。こちらに関して、こういった著しい負担を研究対象者に与えてしまう検査等を追加的に行う場合は、臨床研究法の対象となる旨を明文化したとなっていて、特定臨床研究に一足飛びにするわけではありません。まず法の対象でやるんだよというところを明文化したということになっています。ただ、この追加的に行う研究の所で、例えば未承認・適用外の医薬品等を用いる場合というのは特定になると。こちらは従来どおりの整理のままということになり、そちらは撥ねてくることになりますけれども、基本的にこの内容に関しては、まずは法の対象、つまり、説明同意という所も法律上、条文で書いている所になりますので、そこをきちっと遵守してやってくださいというのを明文化したことになります。それも併せて法律の中に入った所は、説明同意の所の条文も引きつつ、しっかり御提示していきたいと思います。回答としては以上となります。
○楠岡部会長 よろしいですか。
○花井委員 最後の所は微妙ですよね。特定に入れるかどうかは、そういう意味で言えば、この対象になれば全部ちゃんとしているわけだから大丈夫なんだけど、特定で縛っているのは、そこで特に縛らなければということがあるわけだから、そこのクライテリアについては余りうるさいことを言う気はないですが、しっかりと線引きについては検討いただきたいと思いました。以上です。
○医政局研究開発政策課室長補佐 ありがとうございます。こちらについては、もともと臨床研究法に該当したところで遵守義務と努力義務の差がありますので、御指摘のとおりにはなるのですが、医薬品等の調べたい対象がどういうものかをはじめ、この法律では線引きがされているところもございます。そちらとの整合性も図りつつ、引き続き検討したいと思います。ありがとうございます。
○楠岡部会長 佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤(暁)委員 5ページの②の基準ですが、治療を要する疾病、障害、又は死亡が発生する可能性が高い検査又は行為といった形でお示しいただいています。これに関して、もちろん事例をお示しいただけているので大丈夫なのかなとは思いますけれども、治療を要するとか可能性が高いという所の判断が、恐らくかなり迷うところになるのではないかと思いますので、そこら辺、どういったレベルのものがあるのか。可能性が高いとはどの程度なのかというのは結構迷って、どっちかというと医療者側は過大にとったりする場合もありますので、そこら辺は事例等で基準等をしっかりお示しいただけるようにお願いしたいと思いました。以上です。
○医政局研究開発政策課室長補佐 ありがとうございます。事務局です。先ほどの花井委員からの御指摘も踏まえて、こちらに関しては同意取得がキーになるかと思います。今日は明確にこれに該当するものをお示ししましたが、今、継続してこの特別研究班で事例等を、正にグレーゾーン、判断に迷う事例を集めていただき、御検討いただくのが、今年度の後半戦に御準備いただいていますので、そちらも踏まえて事例を示していきたいと思っています。ありがとうございます。
○楠岡部会長 佐藤委員、よろしいでしょうか。
○佐藤(暁)委員 はい。よろしくお願いします。
○楠岡部会長 ただいまの御指摘は結構大事なところで、疾患名としては同じですけれども、病態としてはかなり重症の人と、それほどでもない人で負担度が大分変わってきますので、どういう方を対象とするかによっても、そこは確かに変わってくるかと思います。
○医薬品研究開発政策課室長補佐 ありがとうございます。正にこの②の所でこれから検討ということになるのですが、大方針としては、今日、御議論いただいた内容になるかと思います。そこは正に個別になるかと思いますので、少し事例をしっかり集めていきたいと考えています。
○楠岡部会長 ほかにございますでしょうか。山口委員、どうぞ。
○山口委員 5ページの所で②についてのお話がございましたが、③の心身に苦痛を相当程度与える検査又は行為という所も、6ページに想定される事例が書かれていて、一般的には6ページは判断できるかと思いますが、非常に個人差がある部分があると思います。例えば注射一つでも先端恐怖症の方、MRIが追加になると閉所恐怖症の方とか、研究者が判断できない場合があると思います。そういった場合に、研究対象者の自己申告を求めることは、事務局として何か想定があるのでしょうか。国において事例を示すと書かれていますけれども、本人でないと分からないような部分は、どのようにされる御予定なのでしょうか。
○医政局研究開発政策課室長補佐 ありがとうございます。事務局です。正に今御指摘いただきました内容も、背景因子に含まれる内容かと思います。ただ、個人しか分からないような内容を、どう対応するかという御質問と認識していますけれども、そちらに関しましては、まず研究に参加いただく場合には説明文書を御提示して、そこで研究対象者として御説明を受けた方が、それに協力できるか、同意できるか、そこがまず一つ選択になるかと思います。ですから説明文書の所で、こういったことが実際に行われることを具体的に、特に追加的に行う検査の所は、新規性が高い事例1のような、日常では行わないようなものを追加的に行うことに関しては、丁寧な説明と、実際にどういったものが行われるのか、自分の身にどういったものが降り掛かるのか丁寧に説明いただいた上で同意をする。先ほどの花井委員への御回答と少し重複しますが、説明と同意を丁寧に進めるところはどこかで明文化したいと考えています。
○山口委員 ありがとうございます。今、伺っていて本当に説明のあり方が問われることだと思いましたので、その辺り、どうぞよろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 ありがとうございました。次は近藤委員、その後、藤原委員でお願いいたします。
○近藤委員 ありがとうございます。近藤です。私も5ページ目の②ですが、こちらの文章を読みますと、死亡が発生する可能性が高い検査又は行為という形でも読み取れるかと思います。その場合に、本来、死亡する可能性が高いような検査や行為を実施する研究というのは、余り好ましくない部分があるかと思いますので、最終化される場合には、表現の仕方についいて工夫されたほうがいいのではないかと考えましたので、コメントしました。以上です。
○医政局研究開発政策課室長補佐 御指摘、ありがとうございます。事務局です。こちら、先生の御指摘のとおりでございまして、今回、考慮すべき部分と考えておりますのが、追加的な検査等を受けることによって、治療を要する疾病、障害等が発生するものとなりますと、死亡のリスクも隣合せの検査は多数ございますから、そういった因子も加味しなければならないだろうというところで、文言上、こういった並列で記載をしていますが、確かに今御指摘いただきましたとおり、死亡が発生する可能性が高い検査を行うのかというところは、これは正に先ほどの研究対象者への説明と同意の前に、そもそもこの研究を実施することに関しては認定臨床研究審査委員会で、非人道的なことをやるような研究は承認されないと認識しています。そういったものは承認されないと思いますけれども、今回のこの「研究対象者の心身に著しい負担を与えるもの」という表現につきましては、御指摘いただきましたとおり最終化する際には、そういったものが含まれると捉えられないような書きぶりに、こちらは注意して検討したいと思います。御指摘ありがとうございます。
○近藤委員 ありがとうございます。
○楠岡部会長 ありがとうございます。それでは、藤原委員、お願いいたします。
○藤原委員 6ページの佐藤先生に作っていただいた例示、本当にこれは御苦労されたなと思って改めて敬意を表したいと思います。この検査の問題は追加的レベルとか、あるいは著しく大きい障害というのは別に診療の中でも発生することで、この判断をCRB任せにすると、ものすごくブレるだろうなということは心配になります。先ほど山口委員がおっしゃった心身に苦痛を相当程度与える検査という所ですが、これは通常の診療でもMRIで閉所恐怖症の人はたくさんいるので、それをどうするのか。あるいは、胃カメラとかでも最近は静脈麻酔すれば別に苦痛は何もないのですが、診療だと例えばERCPなんかものすごく辛いですよね。そのERCPをやったらすぐ努力義務になるんですかとか、この辺りの判断は難しいので、「著しい」とか「相当量の負担」という所を、頻回にいろいろな所でQOAを出していただいて区別する。あるいは、CRBに対してちゃんと判断できているかも入念に見ていかないと、あるCRBだとこんなのは大丈夫ですという所もあるし、あるCRBでは心配しすぎて何でもかんでも努力義務でやらないといけなくなるとか、そういう事態が起きないように、是非、フォローを頻回にお願いしたいと思いました。
○医政局研究開発政策課室長補佐 ありがとうございます。こちらに関しましては、もちろん事例等を示していくことで、そのブラッシュアップしていく頻度は上げなければならないと思っています。かなり個別具体のものとなってくるかと思いますので、どういったところまでこちらから御提示していくかにも注意しながら、余り厳しくなり過ぎず、また、余り緩くなり過ぎずといった按配が非常に難しいと予想していますけれども、適宜、新しい視点とか事例、それから、御指摘いただきましたように検査自体の開発も進んでいまして、今はかなり負担がかかる検査も、何十年後かには楽に受けられるということもあり得るかもしれませんので、その辺りも考慮しながら事例等を適宜ブラッシュアップしながらお示ししていくことを考えたいと思います。ありがとうございます。
○藤原委員 あと、1つ言い忘れたのですが、最初の臨床研究部会のときに造影CTという話が出ていましたけれども、造影CTなどはがんの診療では普通のようにやっていて、ただ、一定程度のアナフィラキシーショック発生の可能性があるのは確かで、そこはインフォームド・コンセントで対応することになると思います。一方で、診療で普通にやっているような単純CTでも、Thin Sliceなんかやるとものすごい線量を浴びますから、そうなると、それで著しい負担と言われてしまうと診療自体が大変で、診療と臨床研究の区別も難しいので、線量である程度やるのはいいけど、造影CTを自動的に侵襲が著しいと言われないようにしてほしいと思いました。
○医政局研究開発政策課室長補佐 ありがとうございます。そちらに関してはなかなか難しいところでございまして、検査を受けることによってアナフィラキシーのリスクは、追加的に行われることでリスクに患者さんを晒すことになりますので、そこの考え方は少し慎重に考えたいと思っています。日常の診療でも同意を取得して行うものに関してはリスクが高いところで、1つ前の5ページの②で治療を要する疾病、障害又は死亡が発生する可能性が高い検査又は行為と入れていたのは、そういった検査を受けることによって何かしらリスクに晒される回数と言いますか、簡単な言葉で言いますと回数となりますが、それが多くなってしまうと研究対象者に対して負担になるのではないか。そういうことも踏まえて②を設定した経緯もございます。
 そうは言いつつも、今、特別研究班で御検討いただいている中で、日頃の疾患に対する日常診療を受けている中で通常に行われているものと、通常だと受けないものを追加的に1回行って受けるということでは、ここは差があるのではないかという御意見もちょうど頂いているところです。同じ回答ばかりで恐縮ですが、正にそこも背景因子に含まれる内容かなと考えていますので、そこも含めてどういったものをこれに該当させていくかは、更に粒度細かく検討したいと考えています。
○楠岡部会長 藤原委員、よろしいですか。佐原委員、お願いいたします。
○佐原委員 日本医師会の佐原です。実は私も伺いたいのは四角の中の②の所ですけれども、治療を要する疾病、障害というのは、例えば大腸内視鏡でも穿孔したりすると治療を要することになりますね。ですから、「死亡が発生する可能性が高い」という部分について、先ほど文言を改めるという話でしたけれども、「高い」という表現を改めるとすると、「可能性がある」とか「可能性がありえる」とかに言い換えるイメージでしょうか。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局です。今、御指摘いただきましたとおりで、可能性が高いという言い回しを検討したいと考えています。こちらは、特別研究班の先生方と少しここの表現に関して、先生から御指摘いただきましたような事例を含め適切な表現を検討したいと考えてございます。
○佐原委員 お願いします。
○楠岡部会長 よろしいでしょうか。ほかには御質問、ございませんか。藤原委員。
○藤原委員 どうしても検査の所が気になるので、佐藤先生のやっていらっしゃる特別研究班というのは、海外の臨床試験などの事例を踏まえながらチェックされているのかだけ教えていただきたいのです。つまり、今回の法の2条で、検査で著しい負担とかいろいろ書かれていますけれども、アメリカの例えばClinical Trials.govなどの介入試験という定義になったときに、行っている検査の難しさとか頻回にやるとか、そういうので介入かどうかなんて判断は多分、してないと思うのです。日本だけが独特で、併存して行われる検査の介入の度合いとか重さを考えて、何かいろいろなことをやっているのではないでしょうか。日本だけ独特の基準になってしまって、ますます日本で臨床試験が行われなくなるようなことも私は非常に危惧するのですが、その辺りは特別研究班で海外の事情はどのぐらい調べられているのか分かれば教えていただきたいのです。
○医政局研究開発政策課室長補佐 ありがとうございます。事務局です。こちらに関しましては、昨年度も同じようなテーマで研究班を立てて御検討いただいていましたけれども、昨年度の内容で海外の規制の内容に関しては調査いただいております。先生から御指摘いただきました、こういった可能性のところまで含めて海外ではやっているのかというと、そうではないと。また、手続論においても海外では軽重の差が付いていることも御報告いただいています。今年度のこの事例に関しましては、私どもが御報告いただいている限りにおきましては、今、日本で行われているような実在する事例とか、過去に倫理審査委員会を含め、委員会で審議がされた事例を基に御提案いただいたと認識しています。
○藤原委員 ありがとうございます。いずれにしても日本独特の基準、規定がどんどん進んでいって、ますます日本外しにならないように今後も考えていきたいと思います。
○楠岡部会長 佐藤委員が手を挙げていますので、佐藤委員、よろしくお願いいたします。
○佐藤(典)委員 佐藤です。特別研究班を担当させてもらっています。藤原先生の海外の事例に対する回答は、今、厚労の事務局の方がお話されたとおりで、昨年度にヨーロッパ、アメリカを含めて関係する方々にメールベースですけれども、ヒアリングをする形で海外の制度や考え方など、表面的な所だけでなく実際に関わっていらっしゃる先生から幾つか御意見を頂きながら、考え方を昨年度の研究班で提示させてもらったということです。
 それで、今年度に関しては、制定されたことは決まっておりますので、我々、特別研究班としてはそこについてコメントできることはございませんから、どういった事例があるかということです。基本的には国内の事例を収集していますけれども、clinical.govを含めて、こういった事例の場合、海外で臨床研究は実際にどんなものが行われているのかといったレベルでは参考にさせていただいています。けれども、今年度に関しては国内で法律がこういった条文になりましたので、それをどうするかを検討させていただいているところです。
 先ほどからの議論を聞いていますと、本当にもっともなことを先生方にたくさん言っていただいておりまして、今後、更に事例を詳細化することになりますけれども、いくら詳細にしても、被験者さん、患者さんの状態のバリエーションと臨床のバリエーションを考えたとき、全てを網羅することはできませんから、同意のこととか標準化のことなど、原則的なところをしっかり示した上で、一つ一つの事例についても幅があると思いますから、そういったところをきちんと作り上げていきたいなと思っています。もちろん、厚労さんと調整しながらしますけれども、しっかり先生方の御意見を踏まえた上で、少しでも良いものができるように努力させていただくことは申し上げたいと思います。以上です。ありがとうございます。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ほかに御意見、ございますか。どうぞ。
○花井委員 今、藤原委員の意見を聞いて自分も理解が混乱しているのですが、例えば保険療養でAという治療選択肢とBという治療選択肢、似たようなことをやっていますけれども、そういうのがありますと。それは両方とも保険療養のうちの治療で、それをA群、B群に分けて、追加的にちょっと検査が増える場合は、通常、これは介入研究ではなく観察研究というのですが、先ほど藤原委員がおっしゃった介入かどうかと検査の話は別の話のように思ったのです。検査が重篤だから介入研究となるような話ではないという理解でいたのですが、その辺の整理を教えてもらえますか。保険療養でやっている場合であれば、コントロールを置いて観察すればそれは医薬品のことを調べているのですが、そういうこととの関係で介入研究、観察研究、法律上の臨床研究という概念の見取りを教えてください。
○医政局研究開発政策課室長補佐 基本的に医薬品の投与自体は実際の日常の診療としてされていて、その有効性、安全性を見るために検査のタイミングを決めて、きちっきちっと前向きにデータを取っていくものに関しては、それが日常診療で行われているものをデータとして取るのであれば、こちらは介入にならないと思っています。つまり、日常診療のとおりに実施していただいているというものです。ただ、今回言っているのは追加的に検査を行うとか、日常ではやらないようなものを行う、これは介入に該当すると。介入とか侵襲という言葉は臨床研究法では使っていないわけですが、純粋な観察研究には当たらないと認識しています。
○花井委員 藤原委員がおっしゃった、海外の介入研究概念と日本の介入研究概念が異なってしまっているというのは、そのとおりなのですね。
○医政局研究開発政策課室長補佐 そこのところが、正に藤原先生から御指摘いただきましたように、日常診療でやらないようなことを追加的にやるのか。今回は追加的にやる内容で、かつ、かなり負担を与えるところは法の下でやりましょうとなるので、整理として海外でそこまで細かく書かれているか、というところかと思います。昨年度、佐藤先生の班から御提示いただいた内容でも、そこまでのことは書いていないのは事実ですが、どこまでこの内容を、正に説明同意も求めて、きちっとやっていただくかは課題になると思っています。
○花井委員 分かりました。勉強不足で、よく理解しました。
○楠岡部会長 佐藤委員、どうぞ。
○佐藤(典)委員 今のところ、なかなか理解が難しいところですけれども、介入という定義をしっかり理解しなくてはならないです。介入研究は新しい薬にしろ治療法にしろ、一定の研究行為を行って、それに対して評価を行うということで、観察研究は基本的に日常診療をしながら何を評価するかは、皆さん御存じのとおりです。アメリカやヨーロッパ、もちろん日本もそうですが、若干、体系と言いますか法律が違っているところがございます。例えばヨーロッパでしたら、いわゆる日本で普通に言う介入研究以外に、侵襲があると言いますか、負担がかかるものは、ローインターベンションという言い方もございまして、それについてはローインターベンショナル・リサーチということで、大きな枠の中では規制の中に入れていることになります。ただ、そこのところはローインターベンションという形で、例えば手続を非常に簡素化するとか、そういった他の手立ても加えながら研究の抑制もせずに、しっかり治療の中でやっていくという考え方もございます。
 今回は、臨床研究法の該当になったときにローインターベンション的なもの、あるいはそれほど負担がないものは手続を簡素化するとか、そこら辺の議論はできていないのですが、必要に応じてそういうことをしていく必要があるかもしれないということです。ただ、EU全体でローインターベンショナルと決めたとしても、各国の運用となると何が該当していて、そういった該当する研究がどのくらいまであるかに関して、個別の関係者にインタビューした昨年の研究班の中では、なかなか実態としてそういった研究は数としてまだ見られていないのも、また一方でございます。ですから、各国が規則を作ることもなかなか大変ですし運用することもなかなか難しい状況で、合意の上で全て決まったとおりに動くのは難しいところがあるのは事実です。
 ですから日本も、日本の規則という形になりますけれども、実際に運用するときにどうなるかは、これからもう少し決めていかなければならない。規則でスパッと割ったような運用はなかなかできていないところが実態であることは、昨年、我々も分かったところです。以上ですけれども、中途半端な説明で分かっていただけたかどうか分かりませんが、そんなところになります。以上です。
○楠岡部会長 よろしいでしょうか。ほかにございますか。よろしいでしょうか。先ほど事務局からの説明にありましたように、かつては侵襲と介入という二元的な考え方だったのが、今はそれをなくしての考え方です。ただ、介入という言葉は全然別の意味で存在はしているので、その辺りが混乱しないように整理していく必要はあるかと思います。それでは、今の点を事務局のほうでまとめていただくということで、次に進ませていただきます。次は、議題2の3つ目の「省令改正について」、これも説明をお願いいたします。
○医政局研究開発研究政策課室長補佐 事務局です。資料2-3「省令改正について」を御説明いたします。この資料は前回の部会で御審議いただきました内容を踏まえまして、改めて方向性を報告させていただきます。2ページを御覧ください。前回の部会でもお示ししました今後のスケジュールとなっています。現時点ではスケジュールの見直し等は行っておりません。
 次に、3ページを御覧ください。研究全体の責任主体の概念についてです。いわゆるスポンサーですが、臨床研究全体を総括する「総括管理者」をこの臨床研究法にも導入するという論点です。今回は6ポツ目以降の3つのポツを明示的に記載させていただきました。6ポツ目、下から3つ目になります。総括管理者が医師又は歯科医師ではない場合は、医学的判断を含めた総括管理者の責務が果たされるように、総括管理者の業務の補助、調整を行う医師等、これを研究調整医師と呼ぼうと思いますが、この研究調整医師を当該研究に従事する医師である、※にあるように、研究責任医師、研究分担医師、総括管理者たる学術団体等に所属する医師の中から指名することとする、としております。この※の3つ目を法人又は団体に所属する医師とせず、学術団体等に所属する医師としていますのは次のポツに関連していまして、下から2つ目、有効性又は安全性を明らかにする医薬品等の製造販売業者等に所属する医師等をこの当該研究の研究調整医師に指名することはできないこととする、としております。最後のポツは、今回の改正に伴い初めて登場してくる総括管理者及び研究調整医師、これらは研究の重要な判断を担いますので、利益相反申告を行うことといたします。
 次に、4ページを御覧ください。疾病等報告の報告期日についてになります。上段に示していますように、未承認・適応外の既知・重篤、それから既承認の既知・重篤のCRBへの報告期日を変更するという内容です。未承認・適応外の既知・重篤については、現行法では定期報告としていたものを30日にしますけれども、研究において効果安全性評価委員会が設置される場合というのは、この運用を示した上で定期報告とするとしております。この効果安全性評価委員会のあり方についても前回御議論いただきましたけれども、先ほどの総括管理者への製造販売業者等への介入と同様に、この効果安全性評価委員会の評価委員についても、有効性又は安全性を明らかにする医薬品等の製造販売業者等と密接な関係を有している者はなれない、ということとしたいと思います。
 最後のポツは、既知の疾病等であっても、発生頻度や症状の特徴等が大きく異なる場合は、未知の疾病等として報告するよう通知で示すこととしております。
 次に、5ページを御覧ください。利益相反申告手続の適正化についてです。前回お示ししました資料とおおむね同じ内容となります。このうち、明記しましたのは、1つ目の〇の2ポツ、総括管理者が法人の場合は組織としての利益相反を申告するという括弧書きです。組織としての利益相反申告の範囲は様々な組織形態がありますから、引き続き特別研究班及び事務局で検討してまいります。
 次に、6ページを御覧ください。参考資料となります。利益相反管理の流れを掲載しています。COIデータベースに登録し、その内容を公表している研究者をピンクのレーンで示しています。研究ごとに一から様式Cを作成する手間がなくなりまして、また、所属機間の長による事実確認のステップを省略できることとなります。
 他方、総括管理者が法人又は団体の場合、又はCOIデータベースを利用しない研究者は緑色のレーンで進みます。エクセルによる様式Cの作成作業とか所属機関の長による事実確認のステップという、現行の手続のままとなります。利益相反の透明性の確保及び研究者のペーパーワークの軽減につながるCOIデータベースの構築を目指しまして、更にこれを広く使用いただけるよう周知していきたいと考えております。
 次に、7ページを御覧ください。CRBについてです。1つ目の〇の再設置については、そのうちの2ポツ目のように、複数設置においては合理的な理由がある場合のみとする。廃止後の再設置については、原則3年間は認めません。改善計画の策定等により改善が期待できる場合は、その期間は1年としたいと思います。2つ目の〇の審査の質に関しては、定期的なモニタリングとして議事録などを用いた第三者評価を受けることを更新要件として、その評価結果の概要を公表、改善策を更新時に厚生局に提出することといたします。この第三者評価を含めた審査の質の向上の取組については引き続き検討を行ってまいります。
 次に、8ページ、資料2の最後のページとなります。とりまとめの内容を示していますが、今回の改正を行うことにより、各方面から頂いていました要望を含めてとりまとめいただいておりました、こちら全ての課題において対応済みとなる予定となっております。御確認ください。資料2-3の説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、御質問ありますでしょうか。ちょっと私から1点、研究調整医師という言葉がGCP省令にも残っているので、これが混乱しないかどうか。今後、省令GCPのほうも改正を考えられているということで、そこで何か調整がうまく合えばいいのですが、やはり治験をやっているところの調整医師と、ここでの調整医師は少し業務内容も異なるところがあって混乱する可能性もあるので、何か言葉を変えておくほうがいいのかと。この辺り、事務局はどう考えておられますでしょうか。
○医政局研究開発研究政策課室長補佐 ありがとうございます。事務局です。GCP省令は治験調整医師というネーミングだったかと認識しております。今回は、研究調整医師ということで、研究か治験かというところで、そもそもGCP省令に従っていただくのは治験となっておりまして、臨床研究法に従うなら臨床研究というように呼んでいるところがありますので、そこでかなり日本語的ではありますけれども、書き分けて対応しております。
○楠岡部会長 調整医師と言っても大分違うことを認識していただく必要があるということですね。ありがとうございました。藤原委員、お願いいたします。
○藤原委員 5ページ、利益相反申告の手続の2つ目のポツで、「総括管理者が法人の場合は、組織としての利益相反を申告する」とあるのですけれど、これは学術団体とかの場合はどうなるのか、しなくていいということですか。学術団体も最近は公益法人とか一般社団法人とか、みんな法人格をもっているところがあって、その学術団体でも組織利益相反は申告させるということでよろしいのでしょうか。
○医政局研究開発研究政策課室長補佐 ありがとうございます。事務局です。先生の御認識のとおりとなります。団体としても組織としてのCOIを申告いただくということで予定しております。
○藤原委員 ありがとうございます。最初のほうに団体と法人を書き分けていて、ここが法人だけになっているので、実際に出すときには丁寧に解説してあげたほうがいいかなと思いました。
○医政局研究開発研究政策課室長補佐 こちらも法人及び団体ということになります。
○楠岡部会長 次に、渡部委員、引き続いて近藤委員でお願いいたします。渡部委員、どうぞ。
○渡部委員 ありがとうございます。COIデータベースに関しては前回も発言させていただいたのですけれども、ちょっと細かい運用になってしまうかもしれないのですが、COIデータベースを使わないということも登録するのか、データベース自体に、もうCOIは登録されていないことも確認できないのかとか、公表できる範囲は原則登録したほうがいいのではないかというような議論も前回ありましたので、その辺もうちょっと引き続き御検討いただければと思っております。
 あと、最後の8ページのスライドに関しては、2の(1)の所は、今日御議論いただきましたけれども、もともと臨床研究部会の下に専門委員会を設置してというのは、今後また再検討して、そういうものが可能性として挙がってくるのか、CRBのほうでも原則判断ということでいくのか、御回答いただければと思います。以上です。
○医政局研究開発研究政策課室長補佐 ありがとうございます。事務局です。まず、1点目に御質問いただきましたCOIデータベースですが、基本的にCOIデータベースを利用する人は公表されますので、そこで確認が可能で、利用されない方はこのデータベース上で利用しないという、いわゆる意思表示というのは予定はしておりません。ですので、今回ですと、各施設だと研究責任医師の先生が、全員がそのデータベースを利用してくれているとなると運用としてはスムーズ、ただ、その中にエクセルで作る方とデータベースを使っている方が混在してしまうと、やはり研究責任医師にも負担を掛け、更に総括管理者にも負担が掛かってしまうところがありますので、そうした意味でも、データベースを利用していただくような方向性に舵取りしていければと考えております。
 2点目、2の(1)ですが、こちらは前回の部会で御提案させていただいたとおり、今回もですけれども、専門委員会ではなくて、個別に関してはCRBで御判断いただくとしております。ただ、そこの手当てとしては先ほど御提示いたしました、等しく研究者もCRBも認識できるような方法で該当性が判断できるように公表いただくとか、事例集を充実させていくというところで対応したいと考えております。回答としては以上となります。
○渡部委員 ありがとうございます。
○楠岡部会長 近藤委員、その後、藤原委員、お願いいたします。
○近藤委員 ありがとうございます。近藤でございます。こちらはお願いになるかもしれないのですけれども、今回、先ほど楠岡部会長が発言されていましたように、研究調整医師や、総括管理者とか、研究責任医師の役割が大きく変わってくるかと思います。それぞれの役割とか要望の整理とか、例示等を整理して、それで啓発できるように準備を進めていていただければと思いまして、コメントしました。以上です。
○医政局研究開発研究政策課室長補佐 ありがとうございます。新しく登場する人物等もありますし、少し実施体制が変わるところがありますので、その辺りは事前にしっかり周知していけるように務めたいと思います。御指摘ありがとうございます。
○楠岡部会長 これもまたガイダンスも変えて、説明とかも加えていくということになりますか。
○医政局研究開発研究政策課室長補佐 はい。通知等で示したいと思います。
○楠岡部会長 分かりました。藤原委員、どうぞ。
○藤原委員 2点ございます。1つ目、5ページのCOIデータベースの活用ですけれども、先ほど事務局がCOIデータベースを活用した場合には公開と言っていましたけれども、公表でしたか、これはあくまでもCRBに対しての公表で、一般への公表ではないですよね。
○医政局研究開発研究政策課室長補佐 ありがとうございます。こちらは一般に向けた公開となります。ただ、前回、COIデータベースの所で少し御紹介させていただきましたが、1円単位でつまびらかにするということではなくて、例えば額については粒度を落とした状態で公表すると。それで一般国民向けにも公表しているところで、医療機関の長の事実確認はスキップするという整理をしております。
○藤原委員 私はもう、もともとCOIは全部、一般の公表は別としても、CRBに全部見せればいいと思っているのですけれども、それとは別に、COIデータベースに登録する人としない人が出てきて、登録の仕方は任意なのでその人に任せていると、事務局サイドは永遠にすごいつらい作業が続くように思うのですけれども、これは変わらないということですか。
○医政局研究開発研究政策課室長補佐 こちらに関しては、前回、COIデータベースの利用は義務化できないのかというような御指摘も頂いておりまして、そちらに関しては、今このCOIデータベースをリリースする段階で即座に義務化というところは前回御説明しましたとおり、親族の情報等もありますので難しいところになりますが、今後の方向性、また利用者からのニーズ等も踏まえまして、義務化のところは今後検討する課題として挙がってくる可能性はあるかと考えております。
○藤原委員 ありがとうございます。2つ目は7ページで、審査の質のモニタリング、これは非常に大事かと思うのですけれども、定期評価の結果の概要の公表とかに関して、これはタイムラインですが、何か月に一度公表するとか、そういうのは省令とか、あるいはそれに付随する通知とかでは規定されるのでしょうか。それをしないと、年に1回しか、最後の最後で公表するようなCRBとかあるように思うのですけれども、タイムラインは何か規定されるのでしょうか。
○医政局研究開発研究政策課室長補佐 更新要件とするということになりますので、ひとまずは今、3年間の有効期間になっていますので、そのうちに1回受けていただくことになっております。ただ、公表のタイミングに関しては確かに御指摘いただいたとおり、最後に突然公表すると、要件を満たすためだけに公表する可能性がありますし、フレッシュな情報をきちんと、審査の質の透明化を求められているところですので、そこは通知等々で求めていきたいと考えております。
○楠岡部会長 ほかに御意見はいかがでしょうか。花井委員、どうぞ。
○花井委員 花井です。毎回気になるところはこの4ページの30日定期の話ですけれど、効果安全性評価委員会というのは、大体設置されるものなのかなと。つまり、総括管理者とこの安全性委員会が機能していれば、30日定期というのは大した問題ではないとも言えるのですが、実態としてそれが大した問題でなくなるのか、大した問題になるのかが、事実上のこのオペレーションの結果、どうなるのかによってちょっと違うと思っていて、そういう話で言えば、いわゆる改定後も、既承認も別に30日にしておいても、委員会がきちんとしていれば別に両方とも定期になるから同じになるのではないかと思うし、そこの辺、どんな状況になるのかという、ちょっと現場が分からない私に教えていただけますか。
○医政局研究開発研究政策課室長補佐 ありがとうございます。事務局です。全例の調査をしたわけではないので、なかなか明確な回答は難しいのですけれども、現在、効果安全性評価委員会が置かれている研究というのは、それほど多くないかなとは思っております。御指摘いただきましたとおり、今回、効果安全性評価委員会という要件を設けるのですけれども、それよりも総括管理者にきちんとその疾病等の情報が、因果関係抜きにして全て挙げてきていただいて、総括管理者のところでその因果関係を含めてきちんと評価をするというスキームを取っていきます。全ての研究においてそれはしていただくことになりまして、効果安全性評価委員会に関しては、「設置される場合には」と書いていますように、これは設置しない場合も十分あり得ると思っています。そこを含めますと、御指摘いただきました総括管理者の差配をきちんとしていただくところに重きを置いて周知をしていきたいと思っております。
○花井委員 ありがとうございます。そうすると、先ほどCOIのところでもテーマになりましたけれども、製販が総括管理者になるという、それは通常は治験だからそんなことあるのかと思うのですけれど、そうなると様相が相当変わるイメージで、一般の感覚ですが、アカデミアとかそういうものと、そこが製販業者だったら、治験ではなくてそこに製販がいて、総括管理者で、となるとちょっと、メーカーだから信用しないということはないのですが、何となく国民の感覚としては違ったものを感じます。ほぼ治験でやるから、そういうこと起こるのですか、その辺がよく分からないのですけれど。
○医政局研究開発研究政策課室長補佐 前回もその回答としては、基本的にはやはり治験として、製造販売業者さんが行っていただくものに関しては治験という枠組みでやっていただくところが大前提となると考えております。
○花井委員 またこれで走らせてみてどうなるかというところもありますけれども、基本的には総括管理者がきちんと機能すれば、30なのか定期なのかというのは大きな問題ではなくなりますけれども。理解いたしました。ありがとうございます。
○楠岡部会長 ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。全体を通して、何か特に御意見等ございますか。ありがとうございます。それでは今回頂きました意見を踏まえて、事務局でまた調整していただきたいと思います。
○医政局研究開発研究政策課室長補佐 御審議いただきありがとうございました。前回、今回と、短期間での御審議、本当に感謝いたします。今日、特に追加的な検査等の考え方についてたくさんいただきました御意見について、恐らく通知等で示していく内容になると思っております。今日頂きました内容を踏まえ、以前、資料2-3の冒頭でもお示ししておりましたが、今後、パブリックコメントを予定しておりますので、そちらの準備も並行して進めてまいります。ありがとうございました。
○楠岡部会長 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、議題3「臨床研究中核病院の承認要件見直しについて」に移りたいと思います。事務局より説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課課長補佐 よろしくお願いします、事務局です。それでは、資料3「臨床研究中核病院の承認要件見直しについて」の御説明をいたします。資料3を御覧ください。
 まず、2ページ目を御覧ください。臨床研究中核病院の説明です。日本発の革新的医薬品・医療機器の開発などに必要となる質の高い臨床研究を推進するため、国際水準の臨床研究や医師主導治験の中心的役割を担う病院を臨床研究中核病院として医療法上に位置付けており、令和6年9月現在、資料の一番下に記載されている15病院が承認されています。
 次に、3ページ目を御覧ください。臨床研究・治験の推進に関する今後の方向性について、2019年度版とりまとめの臨床研究中核病院に関するトピックスとしては、2020年に順天堂大学医学部附属順天堂医院、2021年に神戸大学医学部附属病院、2023年に長崎大学病院の3病院が承認を得ています。その一方で、2022年より3年連続で要件未達の病院が生じています。
 続いて4ページ目を御覧ください。前回、令和6年8月8日の本会議で、承認取消に関する論点において、臨床研究中核病院の承認要件と併せて、未達要件に関して今後の対応を考えるべきという御意見を頂いています。
 続いて5ページ目を御覧ください。本年5月に公表された、創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議中間とりまとめにおいて、我が国の創薬力強化のために、左の赤枠で囲んである所ですが、国際水準の臨床試験実施体制整備として、2つ目の黒丸、臨床研究中核病院の創薬への貢献促進。3つ目の黒丸として、国際共同治験・臨床研究の推進。5つ目の黒丸として、Single IRBの原則化・DCT、いわゆる分散型治験について、整備が指摘されています。
 さらに、6ページ目を御覧ください。同会議では臨床研究中核病院の承認要件見直しについても触れられており、承認要件・更新要件について、創薬への貢献度を現在よりも評価する。例えば医薬品等の承認実績への貢献度、企業実績を含めた国際共同治験や大規模治験の支援・実施に係る実績等についても、新たに評価する。複数年にまたがる評価軸も設ける。また、国際競争力が高く、優れた臨床開発力を有する臨床研究中核病院の区分新設を検討すると指摘されています。
 次に、7ページ目を御覧ください。同会議とりまとめを踏まえた政策目標と工程表では、臨床研究中核病院の承認要件の見直しについて、2026年度には新承認要件に基づく実績評価・検証を行い、令和10年度においては臨中において治験数を360件まで増やすという成果目標が示されています。また分散型治験、DCTに関しても、新承認要件に基づく実績評価・検証を行い、令和10年度には15治験実施するように成果目標が示されています。
 次に、8ページ目を御覧ください。また、ヘルスケアスタートアップの振興・支援に関するホワイトペーパーにおいて、令和7年度中にDCTを実施することが可能な体制を有していることを、臨床研究中核病院の承認要件に追加するよう、提言されています。
 次に、9ページ目を御覧ください。今回の部会で御議論いただきたい内容となります。臨床研究中核病院の承認要件について、創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議などの指摘や、最近の臨床研究・治験を取り巻く環境の変化などを踏まえて、臨床研究中核病院の機能や役割について、本部会の考え方のとりまとめを行うこととしてはどうかと考えています。
 検討項目として、こういった項目があるのではないかという、事務局の案を下にまとめています。例えば国際共同治験の実績、創薬への貢献度の評価方法の導入、臨床研究中核病院で実施される医師主導治験や、臨床研究の実績に関して、研究内容を踏まえた評価方法の導入など、本部会において臨床研究中核病院の承認要件に関して御議論いただければ幸いです。
 続いて10ページ目を御覧ください。今後のスケジュールです。事務局としましては、本日の部会から議論を開始し、今後おおよそ月1回程度、本部会で御議論いただきたいと考えています。主に1つ目の〇、臨床研究中核病院に求められる機能の整理、2つ目の〇、現在の承認基準に関する現状分析、3つ目の〇、新たな承認基準及び評価方法の検討を行い、その後、病院や関連団体とのヒアリングを行い、パブリックコメントを経て令和7年度をめどに公布、令和8年度中に施行を目指したいと考えています。説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明に関しまして、御議論いただきたいと思います。本日は初回でありますので、特にテーマを絞ってではなく、日頃お考えになっていることを、ざっくばらんにお話いただければと思います。藤原委員、どうぞ。
○藤原委員 ありがとうございます。3点申し上げたいと思います。9ページ目に関連して、今後の承認基準の設定の仕方などを踏まえてなのですけれども、これまでの臨床研究中核病院の評価表は、どうも文科省に引っ張られたのかどうか分かりませんけれども、シーズの評価、シーズA、B、Cが幾つあるとか、基礎研究寄りの評価が主体で、それが臨床研究中核病院が余り世の中に貢献しないということにつながったと思っているのです。
 ここで例えば、国際共同治験の実績とか書いてありますけれども、ここについてはもうがんの領域では6割が国際共同治験なので、そんなのを臨床研究中核病院の承認基準にするのではなくて、国際共同治験を主導できる、リードするのが臨床研究中核病院の役割なので、それがどのぐらいかという実績をチェックする。
 2番目については、診療ガイドラインに資するような臨床試験、フェーズⅢとか、あるいは薬事承認。シーズを幾ら取ったか、ファースト・イン・ヒューマンを幾らやったとか、IPOにつながったとかというのは、患者さんにはどうでもいい話なので、薬事承認がそこの臨床研究中核病院でどのぐらい貢献できたのか。あるいは診療ガイドラインにどのぐらい貢献したのかというところを評価すべきだと思っています。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。何か事務局から、よろしいですか。
○医政局研究開発政策課課長補佐 事務局です。藤原先生、どうもありがとうございます。特に2つ目の〇の創薬への貢献度の評価方法の導入ということで、薬事承認、また、シーズの話もありましたけれども、企業導出をしたシーズなどは高く評価していくなどという事務局案も検討しています。ありがとうございます。
○藤原委員 私は、シーズ評価は臨床研究中核病院の評価内容から外して、それは文科の橋渡し拠点でやってもらえばいい話なので、それよりももう少し、中期以降の臨床開発に臨床研究中核病院は重点的に行うべきだと思っているので、シーズ評価はやめたらというのが、私の意見です。
○楠岡部会長 今、シーズ評価は入っていませんね。
○医政局研究開発政策課課長補佐 現時点でもうシーズを導出したというのは特に入っていません。
○楠岡部会長 入っていませんね。臨床研究中核病院の初期の頃に、シーズに関する補助金的なものがあったので、しかしそれは全部文科側に移ってしまって、臨床研究中核病院側にはそういうのは全然ないという形です。橋渡しと兼ねているところはありますけれども。ですから、シーズをどれだけ出したかというのは、余り評価の項目には入っていないという理解でよろしいわけですね。
○医政局研究開発政策課課長補佐 事務局です。12ページになりますけれども、真ん中の段、実績の所になりますけれども、実績の欄にシーズという項目はございませんので、新要件におきましても、シーズのほうは評価項目に検討しないという形で進めさせていただければと思います。
○楠岡部会長 現状でもどちらかというと、アウトカムの評価のほうに行っている状況ですけれども、ただ、アウトカム評価が論文数だけであって、承認というようなところが入っていないというのが、一番今大きな問題になっていて、そこをどうするか。その中で国際性をどう評価するかというところが、今回の論点かと思っています。それでよろしいですか。
○医政局研究開発政策課課長補佐 事務局です。貴重な御意見ありがとうございました。
○楠岡部会長 藤原委員、よろしいですか。
○藤原委員 はい、今、事務局がシーズをまた評価するとおっしゃったので、えっと思っただけなので。
○楠岡部会長 はい、分かりました。近藤委員、お願いします。その後、谷岡委員でお願いします。
○近藤委員 はい、申し訳ありません、近藤です。コメントになるのですけれども、各臨床研究中核病院の特色というのが、承認要件に盛り込まれてくるようになることを、すごく期待しています。例えば全ての要件について、全ての中核病院が横並びというような考え方ではなくて、例えば特色として考えられる要件というのを幾つか挙げておいて、一定数以上の要件を満たすというような考え方もできるのではないかと感じています。
 その中で、創薬に十分関与するという視点は、非常に重要なことになるかと思いますので、挙げられているような国際共同治験ですとか、企業治験の数というのも重要なのですけれども、ただそれを中核病院のほうで実施するということではなくて、そういうことが国内で実施できるような体制作り、ですから臨床研究中核病院の特色を生かしたような、例えば疾患ネットワークというものを、基幹病院ですとか連携病院、診療機関との間で構築する。
 あとは将来的なことを考えて、ネットワーク内における医療情報の連携体制を構築するですとか、そういうふうに将来的な創薬推進に寄与するような要件なども、加えられてもいいのではないかと感じており、コメントをしました。以上です。
○医政局研究開発政策課課長補佐 事務局です。近藤先生、どうもありがとうございます。いろいろ御意見いただいて、またそれを踏まえて新しい要件のほうに盛り込んでいければと考えています。ありがとうございました。
○楠岡部会長 ありがとうございます。それでは谷岡委員、その後、佐藤委員、そして藤原委員でお願いします。
○谷岡委員 ありがとうございます、谷岡です。今の評価では医師主導治験だったり、特定臨床研究だったりと件数が出てきていて、その件数が足りなかったからというような報告を何度かお伺いしたように思っています。件数でこうだということではなくて、やはり中核の病院として、例えば実施した治験の数と、他の施設を支援して実施した治験の数とそのステータスの部分を含めて評価ができないか等と思います。すみません、具体的にこうやればよいという案は今ないのですけれども。先ほど先生がおっしゃっていましたけれども、薬事申請まで行ったのか、途中で終わってしまったのかとか、今進行中なのかとか、そういうところも含めて、患者さんのリクルートとかいろいろあると思いますので、ステータスの評価をうまく何かポイント制みたいな形でできないかという点が1点です。
 もう1つは、今、医師主導治験というのを特出しされているように思うのですが、医師主導治験を特出しする必要はないのではないかと個人的に思っているので、そこの検討もしていただければと思っています。以上です。
○医政局研究開発政策課課長補佐 事務局です。ありがとうございます。1点目ですけれども、現要件においても、真ん中の上から4つ目の〇で、他施設の特定臨床研究に対する支援件数ということで、15件以上支援の件数を求めていますが、この件数の内容に関しましても、更に検討していきたいと考えています。
 2点目の医師主導治験、特定臨床研究のことに関しましても、また今後の部会で御議論していただければと思います。以上になります。ありがとうございました。
○谷岡委員 ありがとうございます。
○楠岡部会長 では佐藤委員、その後、藤原委員でお願いします。
○佐藤(暁)委員 ありがとうございます。中核病院側からお願いですけれども、この要件の中にでも、もちろん必要なものもあると思いますけれども、報告書の様式とかにはこの要件には関係ないような項目もいっぱい入っていて、実際我々が作っていると、本体だけで400ページぐらい、添付文書が千何百ページという報告書を毎年作っているのです。そこへ1個1個全部証拠書類を求められて、非常に負担があるので、要件を見直していただくのは是非やっていただきたいと思いますけれども、その際に不要な情報とか要らない情報は、是非削っていただけたらというのが、一応お願いとなります。以上です。
○医政局研究開発政策課課長補佐 事務局です、佐藤先生ありがとうございます。毎年毎年業務報告の様式の御提出が大変という御意見は、各臨中から伺っていますので、承認要件見直しと併せて、様式のほうも新しい形式にリバイスしていく必要があるというのは認識しています。ありがとうございました。
○楠岡部会長 それでは藤原委員、お願いします。
○藤原委員 ありがとうございます。3点ほど、これからいろいろな議論が進むに当たって、3点追加で申し上げたいのは、1つ目は、以前この中核病院の基準を最初に決めた頃に、特定領域の中核病院、ナショナルセンターで言えば成育医療とか精神・神経とか、特定の領域に秀でた病院を評価するような中核病院の選定というのも確か議論したような記憶があるので、それがその後どうなったのか。今も相変わらず特定領域などというのは存在しませんので、どうしてそれが駄目だったのかというのは、後で教えてくださいというのが1つ目。
 2つ目は、先ほど医師主導治験をなぜ入れるのかとおっしゃっていましたけれども、私はこの医師主導治験が入った経緯は、恐らく医師主導治験をやっている医師あるいは看護師あるいは医療チームは、臨床試験・治験の重要性を、身の程を知るわけです。依頼だけ受けて治験をやってと、全部製薬企業、医療機器メーカー任せになって全然自立できませんので、医師主導治験をたくさんやっている所は、自分たちの自分ごととして治験を捉えますので、絶対他の所よりもレベルが高くなるから、こういう基準は入れておかないと、何でもかんでも治験は企業にやらせるという医療者サイドの、特に最近、働き方改革で仕事の時間を更に厳しくするように要求されていますので、治験については委託業者ばっかりに依存してコストが上がるということにつながるので、医師主導治験の件数は残したほうがいいと思っています。
 3つ目は、臨床研究中核病院になる最大のハードルは論文数だと思うのですけれども、論文数を維持するためには、プロトコール論文であったり、オープンサイエンス、オープンソースのインパクトファクターが異常に高いものの、聞いたこともないような雑誌に論文を出したり、そういうところに走ってしまう人が多いというのは、次の基準を決める際には絞って、医学界・医療界ではクオリティジャーナルというのが分かっていますから、そういうところに発表した論文が、もっと少なくてもいいからちゃんとあるというような判断をしたほうがいいと思います。
 それから特定臨床研究の数も、とんでもない特定臨床研究を山のように実施して、特定臨床研究で数を稼ごうという臨床研究中核病院も多いので、この辺りも改めて考え直したほうがいいと思います。以上です。
○医政局研究開発政策課課長補佐 事務局です。藤原先生ありがとうございます。まず1点目の特定領域型の臨床研究中核病院に関してですけれども、実際のところ複数の病院より問合せ自体は来ていますけれども、申請までは至っていないというのが実情です。特定領域型臨床研究中核病院については、臨床研究、治験を取り巻く環境の変化などを踏まえて、今後の議論を進めていただければと思います。
 3点目の論文数に関してですけれども、今、承認要件のスライドが出ていますけれども、ちょうど真ん中の段の上から3つ目の〇の論文数の一番下のポツに、プロトコール論文は6報以内ということで制限は設けていますけれども、それ以外、オープンジャーナルなどに関しては特に規定はありませんので、それに関しましては今後議論していければと考えています。以上になります。ありがとうございました。
○楠岡部会長 ありがとうございました。佐藤委員、どうぞ。
○佐藤(典)委員 ありがとうございます。先生方おっしゃっている方向性で、中核病院の一員としてですけれども、有難い方向で議論を進めていただければと思っています。
 あと、大きな話ではないのですけれども、スケジュール表の中にヒアリングと書いてありまして、恐らく中核病院の意見も聞いていただけるのではないかと思っているところです。私も含めて中核病院の者が3名この部会におりますけれども、それぞれの病院の特性もありますので、いろいろな病院の実情、考え方を聞いていただければと思うのが要望です。
 きっとアンケートとか調査という形で、各施設にいろいろ行くのではないかと思いますけれども、答えにくいアンケートとか、微妙にこちらの趣旨が伝わらないというのは、どうしてもアンケートではありますので、できれば声を聞くというような形で、この部会にお呼びするというだけではなくても結構ですので、厚労の御担当の方、中核病院の生の声を聞く機会を持っていただけると有難いと思っている次第です。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。花井委員、どうぞ。
○花井委員 花井です、ありがとうございます。今の藤原委員の話や、近藤委員の話と通じるのですけれども、そもそも臨中を始めたときは、1つはある意味応援的なイメージもあった。もともと補助事業でやっていたのを、ある程度クライテリアでそれなりの所が選ばれたときに、先ほどの特定領域なのですけれども、結局、藤原委員の言うように、国が基準をつくると全然違う世界になって、難病のいわゆるアンメットなところ、希少疾病、小児、精神みたいなところは、やはり研究環境として十分ではないし、そこにたくさんの患者がいて、開発もしてもらえずに路頭に迷っている。そういういうところを何とか応援する装置として、これを構想したのです。その応援装置が本来臨中であるべきかどうかは政策判断なので、そういったアンメットのところをちゃんとやれるように応援するということを、別に事業化していろいろやっていただけるのであれば、あえてそれを臨中に上げて何とか応援するということは、政策判断としてやめるならそれでいいのです。
 最初のスタートはそういう趣旨もあったので、もしそういうアンメットあるいは希少疾病等の開発推進をできるような所を応援するのをここでやるのであれば、先ほど言った特定領域という領域は、それなりに評価の機軸を変えてやってあげないと、多分ここに申請できなくなることになる。だから、ニワトリ・タマゴの議論が最初にあったということを、ちょっと思い出していただきたい。ここへ来て、もうニワトリ・タマゴは止めて、それをちゃんと政策上別にするならそれもいいのですけれども、当時の流れで言うならば、この特定領域という部分の評価を、より違ういろいろな評価基準を入れることによって、応援兼引上げみたいなところを含めて、その領域の研究を推進するという政策を、ここで実現するという方向にしていただきたい。
 先ほど藤原委員から具体的な成育とか精神というのが挙がっていましたけれども、最初の段階で入るのかなと思っていたぐらいだったので、やはりそこは経緯の中で、政策目的のぶれが出ているというのは確かだと思うので、そこは整理していただいて今回の基準を議論していただきたいと思いました。以上です。
○医政局研究開発政策課課長補佐 事務局です。花井先生、ありがとうございます。特定領域型に関しましては、また改めて議論させていただければと思います。以上です。
○楠岡部会長 特定型に関しては、今花井委員から指摘があったように、臨床研究中核病院の要件を決めるときに、やはり特定型は研究規模とかも大学病院などとは少し異なるだろうということで、少し要件を緩和した条件になっているのですけれども、やはりなかなかそこまでは届かないというのが現状であるということです。それから、そういうような特定領域の臨床研究中核病院になってもらいたいような病院というのは、もう既にナショナルセンターになっているわけで、そもそもナショナルセンターを設置したときの目的というのは、正に臨床研究中核病院的な発想で作っているわけです。
 逆に言うと、ナショナルセンターがなかなか中核病院の基準を満たせないというのは、やはりそこは頑張っていただかないといけないのですけれど、ちょっと乖離があるのではないかというところもあるのです。むしろ特定領域をわざわざ作るよりも、NCをしっかり応援して、がんセンターは既に自立されていますけれども、それ以外の所を少し充実していただくというのがやはり。ただ、ナショナルセンターも前は研発課にあったのが、今は他に移ってしまっていますので、そこのところをうまく連携していただく必要があるのではないかということがあります。
 それからもう1点は、NCの業績評価なのですけれども、これはそれぞれの研究開発法人の評価委員会があって、最終的に厚生労働大臣が評価するのですが、その評価基準が極めてアナログで、かつ経営面もかなり入っているところで、研究面に関して独自に判定しているわけでは必ずしもない。NCはほとんどSが付いているのですけれども、本当にSでいいのかという疑問も実際はあるので、NCの研究に関しては、臨床研究中核病院並みにかなり数値的な目標もきっちり入れて評価したほうが、これは別評価としてやったほうがいいのではないかという気はいたします。ですから特定領域に関しては、これからまた議論いただく必要があるのではないかと思います。
 もう1点、DCTですけれども、DCTはあくまでこれは手段であって目的ではない。もちろんDCTが非常にうまく動く研究もあるので、DCTの体制は取っておいてもらわないといけないので、せめてそれは体制がありますと言っても、動くかどうか分からないので、1件か2件は動かしていただきたいと思うのですけれども、DCTを入れた研究を何件やるという数値目標としては、むしろそれが目的化してしまって、DCTでなくてもすんなりできるものを無理やりDCTにして時間、手間が掛かるという弊害も出てくる可能性があるので、DCTは別の枠で考えたほうがいいのではないかという気がします。私からは以上です。
 ほかに御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。藤原委員、どうぞ。
○藤原委員 楠岡先生の応援で、DCTはがんの領域ではアメリカなどでもほとんど使われていないですし、最近海外の人に聞くと、DCT反省期に入っていて、DCTを入れても被験者の数が増えたわけでもないし、コストが下がったこともないということが、結構幅広く言われ始めているので、数年後にはすたれる可能性も十分あると思うので、目標設定にDCTを入れるのは気を付けたほうがいいと思います。
○楠岡部会長 ありがとうございます。谷岡委員、どうぞ。
○谷岡委員 ありがとうございます。先ほどの医師主導治験の件なのですけれども、藤原先生がおっしゃったこと、そういう観点があるのだなと気付かされました。ありがとうございます。その観点は考えられていなかったと思います。
 今後の議論がもしあれば、事務局の皆さんにお願いしたいのですけれども、やはり言葉的に治験は申請を前提としたデータということになりますし、企業治験なのか医師主導治験なのか、特定臨床研究なのかという、その辺りのできた背景とかもあると思うので、その辺の整理も一度していただけると、とても有難いと思います。私の勉強不足のところもあるのですけれども、是非お願いいたします。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。本日いろいろ御意見を頂きましたので、事務局で整理しながら、次回以降、論点を揃えて進めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。議題4「臨床研究・治験推進に係る今後の方向性について」を事務局から御説明お願いします。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局です。それでは、資料4「臨床研究・治験推進に係る今後の方向性について」を御説明いたします。資料4を御覧ください。2ページ目です。2019年に策定しました「臨床研究・治験の推進に関する今後の方向性について」につきまして御紹介いたします。これまで平成15年、平成19年、平成24年と、それぞれ治験・臨床研究の活性化について計画を策定しまして、これに基づき治験の活性化を進めてきたところです。その後、最新の状況ですが、令和元年には本部会、臨床研究部会において御議論を頂きまして、「臨床研究・治験の推進に関する今後の方向性について 2019年版とりまとめ」を公表させていただきました。
 3ページ、2019年版とりまとめの内容についてまとめた資料となっております。とりまとめでは5つの柱をとりまとめていただきました。
 4ページ目以降、これら5つの柱につきまして、これまでに厚生労働省で取り組んできた内容について代表的なものをまとめておりますので、簡単に御紹介いたします。
 1つ目の柱、新薬・新医療機器等の開発と診療の最適化のための研究のバランスとしましては、臨床研究中核病院において、日本初の革新的シーズを国内外での実用化につなげるための取組の推進であったり、診療ガイドラインに結び付いた論文の実績を臨床研究中核病院の業務報告書に追加しまして、その取組状況を把握するなどを行ってきました。
 5ページ、2つ目の柱、人材育成の強化と財政的リソースの効率化としましては、CRCやデータマネージャー、倫理審査委員会の委員などに対する臨床研究・治験に関する養成研修であったり、大学院と病院が一体となりました生物統計家の育成のための事業、生物統計家育成推進事業の実施などを行っています。
 3つ目の柱である、リアルワールドデータの利活用促進としましては、国内のレジストリ情報を提供するためのポータルサイトであったり、レジストリ検索システムの運営などを行っております。
 6ページ、4つ目の柱、小児疾病、難病等の研究開発が進みにくい領域の取組としましては、AMEDを通じた医師主導治験等の支援においては、小児領域の公募枠の別途設定であったり、小児領域において、企業の治験実施のサポートを行う事業の実施・難病等のレジストリ保有者と開発企業とのマッチングによるレジストリ利活用の促進を行ってきました。
 5つ目、最後の柱です。国民・患者の理解や参画促進としましては、これまで複数存在しておりました臨床研究・治験に関するデータベースをjRCTに順次統合しまして、情報の散在を解消し、患者等が情報を検索しやすい環境の整備であったり、臨床研究情報ポータルサイトにおいて、国民・患者向けの治験・臨床研究について学ぶ本や教材を公表しております。
 7ページ、その他の事項として、柱ではない事項ですが、CRBの質の標準化としましては、臨床研究中核病院を中心としたCRBを対象とした審議内容の相互評価の順次実施であったり、最後の黒丸ですが、国際共同臨床試験の体制整備としまして、日本とアジア諸国が連携した臨床試験実施拠点のネットワーク構築に向けた体制整備を実施しております。
 8ページ、現在の日本の治験環境の状況について、令和4年度に、国立がん研究センター東病院の佐藤先生に実施いただきました特別研究事業の内容について、御紹介いたします。上の囲みの所、結果と考察です。治験のコスト、スピード、クオリティにつきまして、クオリティは従前から問題ない、スピードは改善傾向にありますが、コストにつきましては幾つかの課題が残っていることが指摘されております。また下の所、結論としましては、ドラッグ・ロスでは、レベルを維持したまま、より効率性を高めることが国際競争力の観点では重要であると考えられ、その方策としましては、Central IRBやFMV、治験の電子化/DXなどが重要であることが指摘されております。
 9ページ目以降、ほかの検討会等におきます臨床研究・治験環境に関する指摘事項について御紹介いたします。今年4月に報告書がとりまとめられました、「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」の報告書を抜粋したものです。治験に関する指摘箇所を抜粋したものです。本報告書では、治験の更なる効率化としまして、中央IRBの活用促進、治験費用の算定方法の合理化、治験運用の更なる合理化、これらが検討事項として指摘されております。
 10ページ、本年5月に公表されました「創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議」中間とりまとめでは、左の赤枠ですが、我が国の創薬力の強化としまして、国際水準の臨床試験実施体制の整備が指摘されております。
 11ページ、また、本年7月に公表されました「創薬力の向上により国民に最新の医薬品を届けるための構想会議」中間とりまとめを踏まえました政策目標と工程表では、我が国における国際共同治験の初回治験計画届出数につきまして、成果目標として、2021年に100件だったものを、2028年に150件にすることを目指すという目標が掲げられております。
 12ページ、今回、部会で御審議いただきたい資料となります。これらの状況を踏まえまして、今回の部会で御議論いただきたい内容となります。
 近年、DCTといった新たな治験手法が活用されるようになっているなど、最近の臨床研究・治験を取り巻く環境の変化を踏まえた臨床研究・治験の推進策を検討する必要があります。さらに、「創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議」「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」においては、国際水準の臨床研究・治験体制の強化、治験の更なる効率化等について指摘されている状況です。これらの状況を踏まえまして、本部会、臨床研究部会におきまして、今後の臨床研究・治験の推進に関する方向性につきまして御議論いただき、今後の方向性に関する本部会の考え方のとりまとめを行うこととしてはどうかと考えております。検討項目としてこういった項目があるのではないかということで、下に検討項目(案)というものをまとめております。
 13ページ、本部会での議論のポイントにつきまして、事務局として考えるものを御提示しております。1つ目、国際競争力のある臨床研究・治験体制の強化として、どのようなことに取り組むべきか。2つ目、症例集積能力の向上。3つ目、臨床研究・治験手続の効率化。4つ目、臨床研究・治験コストの透明性の向上のためにどのような取組が考えられるか。5つ目、臨床研究・治験に関わる医師や研究支援人材について、どのような人材の育成が必要か。また、研究に対するインセンティブとして、どのような取組が考えられるか。6つ目、このほか、今後の臨床研究・治験環境の変化を見据えまして、臨床研究・治験推進のために必要な方策としてどのような取組が考えられるか。といった視点で本部会において御議論を頂いてはどうかと考えております。
 14ページ、今後の本議題につきましてのスケジュールとなります。本日の部会で御議論、キック・オフ開始と考えております。今後、およそ月に1回程度、本部会で御議論を頂きまして、今年度内をめどにとりまとめの公表を行いたいと考えております。
 15ページ以降の資料につきましては、参考資料として、これまでの厚生労働省の取組を概要資料としてまとめたものになりますので、適宜閲覧いただければと思います。説明は以上となります。御議論のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 ありがとうございました。本日は新たなとりまとめのキック・オフということですが、いろいろ御議論を頂いたので時間がもう本当に限られてしまいましたので、まずは、初回ということで、これだけはという御意見がありましたら是非、お出しいただきたいと思います。いかがでしょうか。まず近藤委員、その後、渡部委員、お願いします。
○近藤委員 近藤でございます。手短にコメントさせていただきたいと思います。現在の取組の中に包含されるかもしれないのですが、将来的なことを考えますと、AIとかマシンラーニングの活用、それから、今現在、今年の秋口にステップ4に至ると思われますICHE6のGCPです。GCPを踏まえた取組というのも考えておかないといけないかと思います。それから、もう既に取組が開始されていますが、医療情報の医療機関間の連携ですとか、あと、国民の臨床試験の理解を向上する取組というのをますます推進していかないといけないかと思いますので、その点について念頭に置いておいていただければと考えております。それと、臨床研究・治験コストの透明性向上については、各ステークホルダーが理解、納得して進めることが非常に重要になってくるかと思いますので、御提案いただいておりますように、まず、それぞれの立場のステークホルダーがどのように考えて、課題がどこにあるのかを整理して進めていっていただければと考えております。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。藤原委員、どうぞ。
○藤原委員 1点だけ。13ページの臨床研究・治験体制の強化という表現、ここは全部臨床研究と書いてあるのですが、日本の臨床研究法は本来は臨床試験法と呼んでもいいぐらいの法律の立て付けなので、臨床研究というぼやっとした概念ではなくて、「臨床試験を強化する」というように書き加えたほうがいいかと思います。これは意見です。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。「臨床試験を」ではなくて「臨床試験も」だと思うのです。すみません。ほかにございませんか。
○藤原委員 そのとおりです。
○楠岡部会長 次、渡部委員。その後、山口委員でお願いします。渡部委員、どうぞ。
○渡部委員 手短に。1番の所になるかと思うのですが、やはりコーディネーターなど、研究を支援するスタッフの育成はかなり一生懸命やっていますが、定着ですとか、あと、教育を受けた者が実際にそれぞれの実施医療機関の品質を担っているのかという観点で、ちょっと8ページの佐藤先生の研究に水を差すようで大変申し訳ないのですが、ちょうど1年前ですか、某SMO社による研究不正ですとか、かなり重大なものが起きておりますので、決して日本の品質は高いとはいえない状況なのかと考えております。ですので、そういった観点でも今後、御議論いただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 ありがとうございます。それでは、山口委員、お願いします。
○山口委員 症例集積性の向上の所に、国民・患者の理解や参画促進というのがありますが、2019年のとりまとめで進めてこられた内容をお聞きしていると、まだまだやはり多くの国民の理解には至っていないような取組で終わってしまっている印象を受けました。この間、2019年のとりまとめの後にコロナが入ってきて、やはり一般の方々の治験などに対する関心が少し高まったと思います。ですので、是非ともこの辺り、もっと多くの国民が理解できるような、そういったことにつなげるのにどうすればいいかということを今後、是非、皆さんと議論していきたいと思いました。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。これからまた議論していくことになると思うのですが、これから5年間、あるいはその先を見据えて、少し想像力を発揮して、提言とかも入れていく必要があるのではないかと思います。2012年のとりまとめのときに、リアルワールドデータという言葉を入れるべきか議論になったのですが、当時、厚生労働省ではリアルワールドデータが理解できないという話になりまして、結果的に入らなかったのですが、その後、急速にリアルワールドデータが重要視されて、2019年ではかなり大きな、1つの項目にまで上がったというところがあります。次のときにこういうことがないように、例えば、先ほど近藤委員から提案がありましたAIの問題であるとか、それから、少し様相が変わってきているのがSaMDだと思います。これは、従来は医療機器等の考え方だったのが、もう既にサプリのような形で使われ出しているので、急速に広がる中で、臨床研究とかでどのように取り組んでいくかということも考えておかないと、何か臨床研究のほうがSaMDの後ろを追い掛けるような形になりかねないという気がいたしますので、その辺もまた検討いただければと思います。ほかに御意見いかがでしょうか。すみません、少し時間がなくなってしまいましたので、本日はここで終了させていただき、また次回以降、引き続きいろいろ御意見を頂きたいと思います。また、事務局でも、本日の意見を整理して、論点を次回以降出していただければと思います。
 それでは、事務局から何かありましたらお願いします。
○医政局研究開発政策課室長補佐 2点だけ御案内となります。参考資料5について、CRBの設置状況を2ページに、jRCTに登録されている特定臨床研究などの状況についても3ページに御紹介しておりますので、適宜御覧ください。
 2点目の御案内です。次回の開催については、10月22日火曜日の17時から19時を予定しております。委員の皆様におかれましては、追って事務局から御連絡を差し上げます。以上です。
○楠岡部会長 本日はありがとうございました。ちょっと時間が超過して申し訳ございませんでした。また次回以降、どうぞよろしくお願いいたします。以上で閉会とさせていただきます。