第32回労働政策審議会労働政策基本部会 議事録

政策統括官付政策統括室

日時

令和6年7月1日(月)10:00~12:00

場所

厚生労働省共用第8会議室(19階)

出席者

(委員)(五十音順)
石﨑委員、石原委員、入山委員、逢見委員、大橋委員、岡本委員、川崎委員、佐々木かをり委員、佐々木勝委員、武田委員、春川委員、守島部会長、山川委員
 
(事務局)
鹿沼政策統括官(総合政策担当)、青山政策立案総括審議官、中井賃金政策推進室長、平嶋政策統括官付参事官、古屋政策統括官付労働経済調査官、牛島雇用環境・均等局総務課長、長良職業安定局総務課長、國信人材開発統括官付参事官(人材開発政策担当)室長補佐、黒澤労働基準局総務課長

議題

(1)団体及び企業ヒアリング
(2)その他

議事

議事内容
○守島部会長 皆さん方、おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから、第32回「労働政策審議会労働政策基本部会」を開催いたしたいと思います。
 皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、どうもありがとうございます。
 本日は、所用により冨山委員、山田委員が御欠席でございます。あと、石﨑委員が途中からの御参加、大橋委員、佐々木かをり委員、武田委員は途中での御退席と伺っております。
 議事に入ります前に、オンラインでの開催に関しまして、事務局から説明があります。よろしくお願いいたします。
○古屋政策統括官付労働経済調査官 皆さん、おはようございます。お忙しい中、どうもありがとうございます。
 オンラインでの開催に関しまして、留意事項を御説明させていただきます。
 まず、原則としてカメラはオン、マイクはミュートとしていただくようお願いいたします。委員の皆様、御発言の際は、参加者パネルの御自身のお名前の横にある挙手ボタンを押して、部会長から御指名があるまでお待ちいただくようお願いいたします。
 部会長から御指名がありました後、マイクのミュートを解除して御発言いただきますようお願いいたします。御発言の終了後はマイクをミュートに戻し、再度挙手ボタンを押して、挙手の状態を解除していただくようお願いいたします。
 通信の状態などにより音声での発言が難しい場合には、チャットで発言内容をお送りいただくようお願いいたします。
 また、会の最中に音声等のトラブルがありましたら、チャットでお知らせいただくか、事前に事務局からお送りしている電話番号まで御連絡いただくようお願いいたします。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。それでは、議事に入りたいと思います。
 まず、本日の進め方について御説明いたします。
 初めに、「過剰サービスへの取組や長時間労働につながる商慣行の見直し」というタイトルで、UAゼンセンの西尾様、それから、「輸配送の見直しによる労働時間短縮化等」についてということで、株式会社朝日通商の後藤様の順でお話をいただきます。
 プレゼンに関します質疑応答とか自由討議につきましては、お二人のプレゼンテーション、両方とも終了した後にまとめて行いたいと思います。
 それでは、早速ですけれども、西尾様、よろしくお願いいたします。
○西尾様 UAゼンセンの西尾でございます。よろしくお願いします。
 今、モニターに資料を映していただきました。お手元のタブレットにもあると思いますので、そちらのスライドを使って説明をしていきたいと思います。
 まずは、過剰サービスへの取組や長時間労働につながる商慣習の見直しということについて、この労働政策基本部会で課題として認識いただいているということでありがたいと思っていますし、また、こういった場で発言の機会をいただいていることに感謝をいたします。
 私は、UAゼンセンの中で政策グループを担当させていただいておりますので、その立場で御報告をさせていただく形にしたいと思います。
 次のスライドに移ってください。
 組織構成を御紹介いたします。我々が産業別の労働組合として課題意識を持ったということにもつながってきますので、御確認いただいておきたいと思います。私ども、UAゼンセンは繊維産業から始まっていますが、後にほかの産業にも広く組織拡大を重ねてきましたし、産別統合も重ねてきまして、現在の形になっております。
 現在は、製造産業、流通、総合サービスと3つの部門に分けた組織になっていますが、この流通サービス関連の産業が、組合数では6割です。また、組合員数で見ますと9割になります。さらに、BtoCの業態が多いのは分かっていただけると思うのですが、製造業の関係も、製造小売業のような形で、企画・製造・販売までやっているところも増えてきておりまして、企業内にBtoC部門を抱えている会社も多いということで、UAゼンセンはやはりサービス関係の組合が多いし、課題意識もそちらのほうが大きくなってきている状況だということを、まず共通認識とし確認をしておきたいなと思います。
 ちなみに、正社員、短時間組合員ですが、組合員の中の割合は、6割以上が短時間組合員、いわゆるパートタイマーの方々が多くなっています。また、中小企業の組合も多いということになっておりますので、併せて御確認いただきたいと思います。
 次のスライドにいっていただきたいと思います。
 今日お話しする内容ですが、4つのパートに分けておりまして、1つは、そういった産業別労働組合としての課題意識を御紹介して、そして2つ目には、その産業別労働組合としての取組方針について若干お話をさせていただきまして、取組の事例ということで、個別の企業別労使が取り組んだ内容を御紹介したいと思います。その上で、まとめとしたいと思います。
 次のスライドをお願いします。
 まず、最初に課題意識です。<問題意識>としますが、4点ほどありまして、1つ、私どもの組織はやはり労働集約型の業態が多いので、今の人手不足の問題が最重要課題の一つになっているということです。この問題意識は労使ともに持っています。その次に、サービス業、あるいは流通業の関係は、付加価値額が低く、それによって労働分配率も比較的低いということで、生産性を向上するということが課題になっています。その割に参入障壁が低い産業というのが多くて、サービスの内容だとか、あるいは価格においても大変競争が激しい状況です。
 一方で、生活の必需品の供給ということも含めて、社会インフラ維持に必要不可欠な仕事に従事する労働者が多いのですが、労働条件面では比較的劣位にあるという状況であります。そういうことを見ると、この業界というか業態、産業は公正労働基準による公正競争を実現しにくい環境にあるのではないか。要するに、付加価値の高い財やサービスを提供する競争ということに至らないで、どうしても労働条件の切下げ競争によって何とか利益を確保するみたいな方向に流れる傾向があると、我々は活動の中で実感もしています。
 そうした競争をしていますと、消費者も、あるいは事業者も従業員も、仕事の価値なり、自分が幸せだとか、あるいは良いサービスを提供されたとか、そういった幸福感みたいなことにつながらない競争になってしまうと思います。そういったことを求めていくためにも、公正労働基準によって公正競争をしていくということを大切にしたいという問題意識を持っています。
 <取組の考え方>ということですが、企業横断的な連帯が、産業別労働組合の役割・機能なので、そういう発信をすることだと思っています。その内容は、労働者も仕事の価値が社会的に認知されて、理解を高めてもらって、だからこそ処遇が改善される付加価値、いわゆるよいサービスにはちゃんとした対価を払っていただくということを実現したい、そういう問題意識を持っているということです。
 次のスライドをお願いします。
 「取組の内容」ということですけれども、重点政策というものを毎年まとめており、直近では5月に次年度に向けた政策をまとめています。これは職場の声を集約してまとめ、職場の組合員が困っていることを政策にしていくという作業をしています。
 幾つか、間接的にでも関連するかなと思うようなことについて御紹介させていただきますと、1つは「働き方に中立な社会保障制度の構築」ということです。短時間組合員が全体の6割を占めていると申し上げましたが、国会でも課題になっておりますし、厚生労働省様でも課題として取り扱っていただいておりますが、いわゆる年収の壁問題のようなことに直接間接に直面している組合員が多いです。
 こういう壁があることによって職場の人手不足を助長しているということもありますし、働いている組合員に対しては労働の負荷を高めることになっているということです。社会保障制度全体の論議の中に、そういう直面する職場の課題もあって、働き方に中立的な社会保障制度を求めて、全ての働く者に社会保険を適用させる、あるいは将来的に第3号被保険者の制度を見直すということまで含めて、丁寧な議論が必要だと思いますが、段階的に政策の実行を求める内容をまとめています。
 次の「不公正な取引慣行の改善」ということでありますが、UAゼンセンは産業・業種が多様です。会社的にもいろんな会社が入っていますので、良いサプライチェーンの循環をつくっていくということが大事だと考えています。そのことがあって初めて、働いている人たちの生活が豊かになる、ということです。「三方良し」ということになりますが、そのようにしていくためには、商品やサービスの価値に見合った価格で購入する、そういう経済活動への転換を目指していこうというような内容になっています。
 3つ目は「介護従業者の処遇改善と人材確保に向けた対策強化」であります。一つの業種にピンポイントになった形になっていますが、これも直接間接に関係すると思っています。介護報酬制度があるのでなかなか価格転嫁が難しいことはありますが、制度によって書類の提出などの事務作業も多く、介護労働は大変な割に賃金が安いということで、人材不足の上、過重労働という悪循環のネガティブイメージが定着している状況です。このことは余計に人材確保や事業運営の阻害につながっている。こういったことを解消するための対策強化という内容の政策をつくっているということであります。今回のテーマに若干合致すると思われる項目をピックアップして御説明しました。
 次のスライドをお願いします。
 その中で、直接的に関係することをピックアップしましたのがこちらです。1つ目は店休日、これはいわゆるお店です。小売業の店休日(営業休日)と正月営業の法制化ということを政策に掲げています。小売業については競争が激しいと申し上げましたが、自分たちだけで競争から離脱してお店を休むということはなかなかしづらいということがあって、法律で何とかすべきではないかという声が多いということです。
 特に正月三が日、特別な日という扱いです。1月1日の元日については、ある意味、一日も休むことができないというようなインフラ産業を除いては、みんなが休めるような形にできないかということで、政策としてまとめています。このことは、産業の持続的な、あるいは健全な成長、これは働く者のモチベーションを高く維持し続けるためにも大事だと思います。
 その次のスライド、お願いします。
 もう一つ、別の観点なのですが、カスタマーハラスメントという言葉を最近つくっていただきました。もともと悪質クレーム対策という言葉で運動していましたが、このことについても取組をしています。このカスハラという言葉、最近は大分社会的にも認知が進んできておりますので、運動として進んできたなあということでありますが、一部の消費者による一般常識を超えた不当な、そして異常な対応の要求行為など、こういったものを悪質クレーム、あるいはカスタマーハラスメントと呼んで、これを防止・撲滅するということを運動として進めています。
 これはどういうことが変わるかといいますと、資料の※印にありますように、「働く魅力を阻害し働き手不足を招く」ということと、「販売機会のロスや対応コストの負担により賃金の源泉となる企業利益を損なう」ということです。クレームそのものはいいのですが、不当な、あるいは一般常識を超えたような形でされる、例えば何時間も一人の従業員を拘束するとかいうことをするといったものは、それによって、ほかのお客様に対するサービスが薄くなってきてしまうということもあります。また、そういう姿を見て、売り場の雰囲気が悪くなって、良い形でのお買い物を他のお客様もできないというような形になってきます。こういったことが良くないことなのだということを、社会的に認知を広めていくことが大事だと取り組んでいるということであります。
 この取組は大分進んできておりまして、厚生労働省では、2022年にカスタマーハラスメント対策企業マニュアルをつくっていただきました。後ほどアンケート調査を御紹介しますが、カスハラの行為自体が良くないことだという認知が広まり、減ってきているということであります。また、東京都や北海道ではカスタマーハラスメント防止の条例化の動きが具体的に進み始めているやに伺っておりまして、そんな取り組みにまで発展しているということであります。
 次のスライドをお願いします。
 こちらは「企業別労使の労働条件交渉における取組状況」ということで、具体的な取組を若干紹介させていただきます。
 これは、先ほどありました営業日・営業時間に関する取組ですが、このことを労使の間で労働協約に明記しようということで、正月三が日は特別な日であり、原則的に元日は営業休日とする、営業せざるを得ない場合は特別な日に値する労働条件を確保するということを、労使協議事項として労働協約の中に明記する取組をしています。要求をして、会社と議論をして受け止めてもらうということですが、2024年で68組合がこのようなことで記載をしていただいているということです。
 1998年に大規模小売店舗法が廃止されて、大規模小売店立地法というものに変わりまして、営業機会を規制する法律がなくなりました。そういったことも背景にあって、正月三が日、それまでは1日、2日、3日休んでいるところが多かったのですが、営業する企業が競争の中で増えてきた。併せて、営業時間も長くなりまして、深夜から24時間という流れも出てきました。
 労働組合としては、その当時は、営業時間と労働時間を分離して、営業時間が長くなったとしても生産性が上げて労働条件をよくしていく、むしろ労働時間を短くしたり賃金上げたりということができるということで、労使で取組をしていくという流れをつくったと理解しています。しかし、どうも失われた30年の期間とも合致するのですが、経済もよくないという中、競争は激しくなったのですけれども、労働条件が置き去りにされたということがありまして、今その見直しの運動をつくっていっているという状況であります。
 次のスライドです。
 正月営業対策ですが、これは毎年加盟組合に対して調査をしています。1日、2日、3日、営業関係どんな感じになっていますかということでありますが、次のスライドにいってください。
 業種ごとに左からスーパーマーケット、GMSというのは総合スーパー、ちょっと大きめのスーパーです。それから、住生活というのはホームセンター、百貨店、ドラッグストア、専門店、家電。赤いのが全体の傾向ですが、見ていただいて分かりますとおり、元日の営業の構成比は下がる傾向にあるということで、これは従業員のモチベーション、それから経済合理性、これを併せて経営判断していただいて、こういう状況になってきていると捉えています。
 次のスライドをお願いします。
 個別企業の事例ということで、名前は伏せてありますが、首都圏を中心に120店舗以上を展開しているスーパーマーケットの会社です。ここは基本的に1日から3日まで、これは2021年から、お休みという決断をされました。売上げは大きな影響出ていないと聞いています。一方、店長クラスは、ほかのお店にお客さんが取られているのではないかということで、自店舗の売上数値などは意識されていると聞いています。
 あと、正月休業日を基本にしているのですが、できていないところも実はあります。具体的にはテナント契約上で、大きなショッピングセンターの中に入っている店だと思いますが、6店舗ほど正月休業未実施ということです。そういったところですので、従業員に対しては記載のような特別の手当を支給しているということです。しかし、パートタイマーなどは、手当を支給してもなお人が集まらない状況と聞いております。
 それから、次のスライドです。
 これは広域展開のスーパーマーケットですが、ここも1日から3日まで、2022年からお休みということを決めています。最初は売上確保できないのではないかという声もあったのですが、続けていくうちに押並べられてきたということで、その声もなくなっていったということです。
 ただ、テナントのところは違約金を払って営業していないところもあるということですので、そういうところは、損をするのだから営業したらいいのではないかというような意見も社内ではあるということであります。
 「従業員の声」はお読み取りをいただきたいと思いますが、公休の連休ができてよかったという反面、4日からのオペレーションが大変という声が出ているということです。お客様からの反応を聞きますと、営業してほしいという反面、従業員に優しい会社でよかったですねという声をかけられることもあると聞いています。ここは全国300店舗です。
 それから、次のスライドをお願いします。
 総合サービスということでいろんな業種がありますが、それぞれの取組です。これは正月営業や営業日ということではないのですが、サービスの内容についてです。食品製造の関係は取引慣行の改善に触れていますし、フードサービスの関係、いわゆる外食は、セルフオーダーとかセルフサービス、テーブル決済、セルフレジ、あるいは配膳ロボットみたいなことで、技術を導入して省力化している。
 それから、すきまバイトマッチングサービスが大分出てきているなということを感じています。
 次のスライドです。
 パチンコ関連にも私どもの加盟組合あるのですが、いろんなサービスを提供されていたわけですけれども、これをなくしていく、あるいはレジの対応を無人化するというような、いわゆる営業の現場の対応をしてきております。それから、シフト作成などについてAIの導入なんかも進めるなど、省力化を一生懸命やっているというとことであります。
 次のスライドをお願いします。
 先ほど申し上げたカスタマーハラスメント対策の進捗ですが、アンケート調査を行いましした。調査目的などはお読み取りいただきたいのですが、次のスライドにいってください。
 アンケートは2020年と2024年と経年でやっていますので、比較して見ますと、「直近2年以内で迷惑行為被害にあったことがありますか」という設問で「あった」との回答は、2020年は56.7%でしたが、2024年は46.8%と10ポイントほど減っています。これはひとえに厚生労働省でマニュアルをつくっていただいた、カスタマーハラスメントという言葉ができた、そしてそれがマスコミなんかでも大分出ているということで、消費者の皆様方、あるいは我々自身の中にもこの認識が根づいてきたということが表れていると思っています。
 次のスライドにいっていただきたいと思います。
 一方、「企業で実施されている迷惑行為対策」についての質問です。これは「何もされていない」と答えたのが、2020年が43.4%、2024年が42.2%と、余り進捗が見られないということです。これは今、カスタマーハラスメント対策が「望ましい対応」とされている関係で、なかなか進捗がされないのではないか、対策としての進捗がないのではないかと見ています。
 最後のページ、「まとめ」です。そんなことも見ていきますと、この部会で問題意識を持っていただいていることにつきましては、特に人材確保の観点というのは背に腹かえられないという側面もあり、各加盟組合、労使が協議をしっかりしながら様々な取組をしているという状況だと言えます。
 一方、サービスのあり方の変更とかカスタマーハラスメント対策などについていうと、サービスを提供する側と受ける側、社会全体という言い方が適当かもしれませんが、意識の転換が必要なのではないかと感じています。
 そういったことも考え合わせて、持続可能な労働力の需給関係、これを維持していくためには、社会的理解の促進、そのためにも、法的な背景、これも重要ではないかと感じているところです。当該の企業別労使の労使協議、それから社会的理解の促進、それから法的な背景、こういったことによって過剰サービスなり商慣行を変えていくということを促進できるのではないか、そのように考えているということを御報告いたします。
○守島部会長 ありがとうございました。
 では続きまして、株式会社朝日通商の後藤様にお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○後藤様 朝日通商の後藤と申します。今日はこのようなプレゼンの機会をいただきましてありがとうございます。
 我々は物流会社でございまして、先ほどと同じような労働集約型、そして、非常にまた長時間労働の上に成り立っている業種ということもあって、今年の2024年問題というところを、まずどうクリアーするかというところで我々は取組をしております。特に当社の場合、大型トラックによる長距離輸送がございます。長距離輸送というのは、500キロ以上の運行を長距離輸送と呼んでおりますが、そこのところを、いろんなテクニックによって、テーマは労働時間の短縮ということですけれども、その結果が労働時間の短縮につながったということです。
 そもそも長距離運行というのは、長距離ドライバーというのは車の中で寝泊まりするわけですね。出発したら、帰ってくるのが次の日、あるいは次の次の日です。長い運行になれば1週間に1回帰ってくる。多くのドライバーはそういうサービスエリアで寝泊まり、顔を洗って歯を磨いて、そしてトラックの中で寝泊まりするというのが長距離ドライバーということになっていましたが、これは私自身が以前から、非常にそういうことをさせているということに対する申し訳なさ、そして罪悪感があったということがありまして、この2024年問題以前から、そういう仕事を変えていこうというところで取り組んでおりました。そういうことで、少し会社の取組としてお話しさせていただきたいと思います。
 今、そういう長距離運行にかかわらず、我々の業界というのは非常に変えていかないと人が集まらないという状況になっていて、よく物流クライシスとかいう言い方もされていますけれども、とにかく運べなくなるということも含めて、我々、社会問題を解決するということで、一つのテーマとして、ソーシャルエンタープライズとして社会的責任を果たしていこうというところです。
 そういうことで、当社の取組として御説明させていただきます。
 大きく長距離輸送を、一人のドライバーでなくて、複数のドライバーで、中継して走るというリレー輸送というところが中心になってくると思います。
 当社の会社概要としては、四国の香川県に本社のある物流会社で、子会社として、静岡県の富士と、それと香川県にもう一社ということで、運送会社3社でグループ構成をしております。
 売上構成比としては、この円にありますように、外側の円が業態を示しています。輸配送事業であるとか、倉庫であるとか、3PLであるとかという業態を示しています。内側の円が、トラックで運ぶ、あるいは鉄道で運ぶ、あるいは保管するという機能的な役割でパーセンテージを出しているのですが、いずれにしても、65%がトラック輸送というところで、トラック輸送というところの働き方をどう変えていくかということがやはり持続可能な運送を提供するために必要ということで取り組んでおります。
 理念体系、当社の経営理念というのがありまして、当然理念に基づいてやっていこうということで、創業の精神とか経営理念がございますが、先ほど言いましたように、当社はBtoBを専門にやっておりまして、特に日本の産業というものを発展させるために、豊かさを運ぶというか、つないでいこうというのが当社の理念になります。
 そしてもう一つ、この下に書いていますように、「人と環境に優しい物流システム」ということで、人に厳しいようなシステムだと人も集まってきませんので、なかなか長続きしないということで、特に今回のリレー輸送は、人と環境に優しい。環境に優しいというのは、長距離輸送であっても、アイドリングが行われません。トラックの中で寝ませんから、車中泊時のエンジンというのが止まりますので、ここでCO2の削減にも配慮した、人と環境に優しいということで取り組んでおります。
 今、エシカルという言葉がありますけれども、エシカルリレー輸送という形で、当社の運行をやっております。
 使命とか目的とか社訓とかいろいろありますけれども、こういう一つ一つの理念を実現していくために、今の取組ということで4つございます。4つあるというのは、先ほど言いましたリレー輸送ですね。それから、事務職のほうも時短していかなければいけないし、また、このリレー輸送をきっちり組むためにはDX化を進めていかないとうまくいかないということで、DX化の構築、それから3番、4番はまた別の戦略として挙げていますので、今日は1番のリレー輸送というところとDX化について説明させていただきます。
 特にDX化は、我々のいわゆるドライバーの賃金というのは、過去は歩合制で、どちらかというと時間に余り関心のないような賃金体系が多かったと思っております。したがって、この時間管理というのが、今もまだ少し苦労していますけれども、ドライバーの時間的な意識というのをつけるために、このDX化というところで、一人一人のドライバーに持たせたタブレットによって出勤、退勤、休憩というこの時間管理を現在行っている最中で、これも後ほど説明させていただきます。
 まずはこのリレー輸送というところですけれども、これは一つの事例として、先ほど言いました香川県、四国が会社なものですから、香川県から関東、東京とか埼玉とか、そういうところの運行を、今までは一人で行って、向こうで1泊して帰ってくるという運行だったものを、今は4人のドライバーで中継しながら走るということをやっております。
 ここに書いていますのは、関東から、Aドライバー、Bドライバー、Cドライバー、Dドライバーというのを書いておりますけれども、例えば中継点というのは、1つは滋賀県の土山というところで、これは四国と関東の中間地点が土山と捉えております。村上運輸倉庫株式会社という、関東側にある、これが当社の子会社になります。Aドライバー、Bドライバーというのが村上運輸倉庫のドライバーで、Cドライバー、Dドライバーというのが朝日通商、本社のドライバーになります。
 そして、例えばBドライバーは、夕方6時ぐらいに出勤してくると、四国行きの荷物を積んだトラックがここにいますから、明日のトラックに乗って、中継地、滋賀県の土山まで行きますと、ちょうど夜の11時頃にここに着きます。同じように、Cドライバーというのは、四国・香川県を夜7時ぐらいに、関東行きの荷物を積んだトラックに乗って出発しますと、大体同じ11時、23時にこの中継点にお互い落ち合います。そうすると、このBとCはトラックを乗り換えて、Cは四国行きのトラックに乗って帰る。Bはまた関東行きのトラックに乗って、この村上運送倉庫、ここは静岡県の富士にありますけれども、そこまで帰っていく。そうすると、AとDは、朝出勤するともうトラックが着いていますので、Aドライバーは朝出勤して、そして関東方面に荷物を卸しに行き、また四国方面の荷物を積んで夕方帰ってくる。Dも同じように、朝出勤して、四国方面の荷物を卸して、そして関東方面の荷物を積んで夕方帰ってくる。こういう運行をぐるぐる回していくというのが一つのリレー輸送のスタイルになります。
 そうすることによって、A、B、C、Dは、日勤と夜勤という時間帯は違うということはありますけれども、どちらも、毎日家に帰って、家の布団で寝られる。プラス、年間休日も、大体週休2日ですから、年間119日の休日も与えることができるというスタイルになります。
 これはまた後で見ていただければと思いますけれども、この時間帯、A、B、C、Dの出勤時間、退社時間、そしてそれぞれの拠点に着く時間というのがこういう時間帯で動いていくということです。
 一番上に書いていますように、250キロ、290キロ、320キロ、100キロと、この距離をそれぞれのドライバーが担って運行するというスタイルになります。この実績といいますか、エビデンスが次のようになります。
 これもA、B、C、Dのドライバーの標準的な出勤時間、退社時間、そして運転時間、それから荷役、点検、休憩という時間で、大体、Aドライバーで拘束時間が13時間半、B、Cは10時間、11時間、そしてDで12時間半。稼働日数は、年間で月平均すると20.5日となります。そして、今回の改善基準告示、改善された新しい改善基準告示というところは、まず拘束時間のところでもクリアしておりますし、今、労働時間、時間外労働の上限規制というところで、右の端がいわゆる残業時間というところで、80時間はクリアしているというところで運行できております。
 ただ、我々のトラックの運行というのは環境によってかなり左右します。例えば突発的な事故によって通行止めが行われたり、あるいは渋滞とか、冬場の雪とか、そういうところで多少オーバーしたり、逆にすいていて早く帰ってきたりすることで、なかなかぴたっと計画どおりに時間どおり帰ってくるということは非常に難しいという、一つの環境によって左右されるという面と、もう一つは、やはりお客様である荷主さんですね。
 特に最近、発荷主さんのほうは非常に理解度が高くて、時間等きっちりと守ってもらえるのですけれども、まだまだ受荷主さんのほうが、これから交渉を重ねて、待ち時間、そして荷役の簡略化とか、その辺はこれからの課題になっております。
 こういう運行を、当社は中小企業ですから、我々だけではなかなか全国展開ができないということで、これは一つの事例で、東北・岩手県の運送会社さんと提携を結んで、今、四国から東北・盛岡まで大体翌日着で長距離運行を行っています。この場合、左の端の業務提携先という、岩手の運送会社さんのドライバーが2名、そして当社の子会社の村上運輸倉庫でドライバーが2名、そして本社の朝日通商のドライバーが2名、計6名で、大体1200キロから1500キロの距離を、翌日着で、しかもドライバーは毎日家に帰られるというスタイルで運行しております。
 これが、他社と提携したり、これはドライバーチェンジする場所で点検したり、そこでの申し送りをやっているような写真になります。
 これが今の実績になりますが、2019年の11月からテスト運行ということで、四国~関東便をスタートして、そして、四国~東北、あるいは関西~東北という形で、現在、15~16便、毎日、四国~関東~東北、これからは九州方面、あるいは四国から北陸方面という形で、全国の中小企業の物流会社で業務提携しながら、こういう形で展開していこうという計画でございます。
 トラックについては、車中泊というのがない関係で、普通、長距離トラックには後ろに仮眠するベッドがついているのですけれども、それをなくして、荷台を広くして、いわゆる輸送効率を上げて、今までよりもよく運ぶ。この辺については、今まで長距離の場合は、いわゆる休息期間として車の中で休むという行為があったのですけれども、このリレー輸送の場合は、その休息期間というのはその中で行われません。休憩はあります。休憩は基本的に30分、1時間の休憩ですので、ここは車から降りて、軽い体操とかそういう形で、車の中で横になるというのが業務上発生しないものですから、こういうところはやっていける。
 もう一つは、このリレー輸送の特徴は人のトラックに乗るという、人のトラックというか、自分が積んだ荷物以外の荷物を積んで走るというところでドライバーさんはストレスを感じるということもありまして、これは労使間で結構やり取りは行ったのですけれども、当社の場合、このリレー輸送の前に、もう15年ぐらい前から、車両の稼働率のアップというテーマで、労使間で協議しています。今までは、多くの長距離会社は、このトラックにこのドライバーと決めているところが多いと思いますので、そうすると、人が休むときにトラックも一緒に休むということが発生していたというのがありまして、車両の回転率を上げるために、人は休んでもトラックは休ませないというところをもう15年前から取り組んでおります。例えばワンマンで、一人のドライバーが関東へ行って帰ってくる間、どうしても、帰ってくると1日休みが発生しますけれども、そこは人を代えて走るという、いわゆる2台のトラックを3人で回しながら、トラックは止めない、人は代わる、休むという、そういう運行をやっていた関係で、今回の、トラックを乗り代わるというところは比較的スムーズにいったということがございます。
 併せて賃金についても、今までワンマンで長距離行くと拘束時間は非常に延びて、時間はかかっていたのですけれども、今回は、休憩時間が多くても2~3時間の中でやっていきます。ワンマンで長距離に行く場合は、休息期間がぼんとあって、難しいのが、休憩時間と手待ち時間の境目というところが非常にあるのですけれども、この手待ち時間プラス休憩時間というのがかなりのウェイトを占めていたということがあって、今回のリレー輸送の場合は、乗り代わりでさっさっと動いていきますので、ここが削減できたというところで、いわゆる実労働を我々は運転と荷役と捉えていますけれども、実労働時間がきっちりと分担でき、そして、休憩時間は大体決まった休憩時間で終わるというところで、全体の拘束時間も抑えられ、なお、ドライバー一人一人の稼働日、年間119日は休ませながら毎日稼働できるというところで、賃金も下がらずやっていけるという、そういうところもいろいろ労使間で協議したという経緯がございます。
 一方、これは簡単に言いますけれども、シャトル便というのがありまして、200キロ以下の距離のものを、今までは相手先に行って、向こうで泊まって、また次の日帰ってくる。1泊2日の運行を、これを1日で行って帰ってくることによって、これは車の稼働も上がりますし、ドライバーの稼働も上がって、いわゆる収入アップになるような運行でやっています。これは荷主さんと協議して、当日に降ろせるような交渉をしながら、こういう運行も進めていっているということです。
 例えば明日の朝8時につけていいよという場合、遅れたら少しまずいということもあって、早め早めにつけようとするというのがありまして、前日から出発して、到着地点で休息に入るというケースが多かったのですけれども、そこを、とにかく、遅れたら、荷主さんに対してはちゃんと会社が責任取るからということで、例えば大阪だったら、3時間で行けるところでしたら、3時間の時間で当日走らせるということをやっております。
 以前は、前日の夜のうちに入って、朝まで寝ていたという、この運行を変える。こういうところも労使間でいろいろ話して、今はこれも成り立っております。ただ、まだまだ意識的にどうしても早くつけよう、早くつけようという、真面目なドライバーほどそのようにやってしまうものですから、そういうところで待機時間というのが増える傾向があります。これをもう少し業界全体の意識を変えていくというのが課題だと考えております。
 あと簡単に、DXですけれども、結局、時間管理をきっちりするために、今、ドライバーにいわゆる仕事の案内、道の案内、そして安全、品質の担保として、こういうタブレットを持たせているのですけれども、これを今、当社、ドライバーナビとして、いわゆるデジタコ以外に、時間管理のために、こういう形で、始業のときにボタンを押して、休憩とか荷待ちとか終業時にボタンを押して登録すると、最終、「キントーン」というシステムでこういう形で一人ずつの労働時間が算出できる。これでまず実態をつかみながら、今でも少しオーバーしたりするところはございますけれども、そこを一つ一つ具体的に、どういう運行で、どこに問題があったかということを解決しながら、最終、全てクリアするというふうに持っていく、そういう取組を今やっている最中です。
 簡単ですけれども、時間が来ましたので、こういう形で我々の取組を発表させていただきます。ありがとうございました。
○守島部会長 後藤様、どうもありがとうございました。
 それでは質疑応答に入りたいのですけれども、武田委員はもうお出になってしまいましたか。
○武田委員 いいえ。
○守島部会長 では、武田さん、一番最初にお出になるとお伺いしているので、最初に御発言いただけますでしょうか。
○武田委員 はい。本日は他のスケジュールと重なり、途中退席になることをまずお詫びいたします。
 また、お二人には大変すばらしい発表をありがとうございます。
 前半の御説明いただきました件について、意見とお伺いしたいことがございます。全体として、内容はよく理解できました。特に気になる点は、働き方に中立な制度に関してです。これだけ人手不足であり、かつ、現在は、現役世代のほとんどが共働き世代になりつつある、世帯の過半を上回る状況の中、従来型の制度が維持されている結果として、労働時間の調整や人手不足をやや助長しているのではないかという問題意識を持っております。そのような観点では、過去においては良い制度であっても、よりよい方向に見直していく、見直すタイミングに来ているのではないかと個人的には考えます。その点についてどう思われるか、もしよろしければ伺えればと思います。
○守島部会長 では、西尾さん、お願いします。
○西尾様 武田様、ありがとうございます。おっしゃるとおりでございまして、タイミングは今という感じがしており、例えば次の国会ぐらいから本当に具体的な議論を始めていくタイミングなのではないかと思います。と申しますのも、最低賃金が引き上がってきたということと、いわゆる同一労働同一賃金が進んできたということ、こういった2つの要件がありますが、これでもう条件がそろってきたのではないかと考えています。
 年収の壁問題は随分前からあったですけれども、その対象になる方が余り多くなかったということがあって、いろんな制度のうまい運用の中で何とかしてきたということがあったのです。しかし、最低賃金は大幅に引きあがってきたこと、いわゆる同一労働同一賃金が進んできたこと、これによって、運用で何とかカバーしていくということはもうできない状況になってきています。したがって、タイミングはもう今来ているのではないかと認識しています。
○武田委員 ありがとうございました。
○守島部会長 ありがとうございます。では続きまして、大橋委員も早く抜けられると伺っておりますので、何かありましたらどうぞ。
○大橋委員 ありがとうございます。今日、オンラインで申し訳ございません。
 今日2つの御発表を伺って、共通するところがあるなあと思っています。ある意味、業界全体で意識を変えなければいけないというところの業界の範囲というのが、前半のゼンセンの方は消費者であり、後半は受け荷主も含めた、ある意味、購買者であり発注者にまで業界の範囲を広げて意識を変えていかなければいけないというお話だったと受け止めました。
 それぞれちょっと御質問させていただきたいのですけれども、前半にUAゼンセンに関してですけれども、これは消費者のあり方というかにすごく根差しているのかなあと。つまり、我が国、消費者保護というのは随分やってきたのですけれども、その消費者の啓蒙とか、あるいは消費者の規律というか、そういうところが若干弱かったのかなあという受け止めでちょっとお話を伺っているのですけれども、そうした中で法的な背景が必要だというところをもう少し具体的に教えていただけるとありがたいなと。つまり、これは消費者法制の話をされているのかどうかというところです。
 2番目の朝日通商様のお話も大変勉強になりました。リレー型とか、あるいはモーダルシフトの話というのは随分国交省中心にして進められているという認識でいるのですけれども、また、買いたたきの話も、恐らく下請法、今後多分議論されるという認識でいるのですが、現状で、ある意味、制度政策的な側面で、足りない点とか、あるいはこうあるべきだというお話があれば、そこの辺りも含めてお話を伺えるとありがたいなと思いました。
 以上です。ありがとうございます。
○西尾様 大橋様、ありがとうございます。まさに業界の範囲ということ、社会全体の考え方をどのようにしていくのかということだと思っています。その中に消費者のあり方ということも入っているとは思いますが、おっしゃるように、具体的に消費者に関わる法律、あるいは消費者庁の考え方をどうするこうするということについては余りこの運動の中では取組はしていないです。むしろ消費者庁の方々との意見交換をする中で、消費者教育を、消費者保護の教育だけではなくて、あるいは消費する者としての社会の中との関わりみたいなことについても留意しておく必要があるのだということを消費者庁のほうでも考えていただいていると受け止めておりまして、そういったことでいいのではないかなと思っております。
 法制化の中で言いますと、労働施策総合推進法の中で、今、パワハラを含むハラスメント対策については事業者の措置義務化されているわけですけれども、いろいろな議論の中で、カスタマーハラスメントについては、後にそういった考え方も出てきたということもあって、事業主として「取り組むことが望ましい」ということになっていますので、まずは事業者として従業員を守る、あるいは事業者としても消費者の方々に啓蒙するというようなことが1つ義務として明確にされるということかだと思っています。
 そうしていきますと、まずは迷惑行為というのが一体どういったものなのかということを、社会的なコンセンサス取らないといけないと思います。お客様からいただく言葉というのは、この事業、我々でいえば仕事に生かしていくのに大変いい言葉がたくさんありますし、それを頂戴するからこそ、新しい、良いサービスが提供できるということは全く変わっていませんので、全てお客様から発せられる言葉が迷惑行為であったとかいうことにはならないとは考えています。したがってこの辺をどのように線引きというか、定義づけしていくのかということがこれから議論になるのではないかと思っています。その辺のところがきちっと法律に盛り込まれてくると、そこからの展開も出てくるのではないかと、具体的なところでは考えているということです。
 お答えになったかどうか分からないですが、以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。それでは、ほかの方もどうぞ御自由に御発言いただきたいと思います。
○後藤様 制度的なものということですね。我々、物流会社というのは非常に弱い立場にあった業界だったのですけれども、今まさしく国交省さんのいわゆるトラックGメンさんとか、あるいは経産省さんの下請Gメンさんとかが結構動いてくださっている関係もありまして、買いたたきとか、いわゆる運賃値上げについての、拒否するとか、テーブルに乗せてくれないという状況は極めて減ってきていると思っております。
 ただ、今問題だと思っていますのは、業界、この運送会社というのは全国6万2000社、6万4000社という業界ですので、多重下請構造というのが非常にございまして、そうすると、結局、運賃収受、実運送会社に渡る運賃というのが非常に安くなって、ここがなかなか上がってこないというところが、結局は賃金にはね返っていくとか、あるいはシフト組みでドライバーの休日を増やすというところになかなか原資が回っていかないというのが今の現状です。
 我々、本当はタクシーとか、あるいはバスとかのように、収受運賃というものをきっちりと規制してもらえればそういうところが解決できると思っておるのですけれども、なかなかそこには難しいハードルが多くあると思っていますので、まずはそういうところの前に、先ほどちらっと言いました受荷主さんの対応によって、手待ち時間が解消でき、労働時間が解消されたり、あるいはいまだに業界によっては押し込みのような、月末集中して荷物が増えるとか、我々でコントロールできないところはそういう荷主筋の業界でコントロールしていただくような、何か法規制ができればいいのではないかなと思っております。
 以上です。
○大橋委員 ありがとうございました。
○守島部会長 ありがとうございます。後藤様、すみません。発言を遮ってしまって申し訳ありませんでした。
 では続いて、佐々木先生からお願いいたしたいと思います。
○佐々木勝委員 どうもありがとうございます。なかなかこういう現場の話というのは聞けないので、非常に勉強になりました。
 最初のUAゼンセンの西尾様のお話ですけれども、11ページ、12ページにありますように、シンプルな質問ですけれども、首都圏展開スーパーマーケット及び広域展開スーパーマーケットが、いきなり正月三が日休むことを決めたようですけれども、その理由というのは何かということをちょっとお聞きしたいと思います。というのも、どちらも市場占有率が高いので、自らが休業日にしたところでそれほどひどくライバルに取って代わられることはないということなのでしょうか。賃金が高く人手不足のため、正月三が日は人を集めるのは大変なので、売上げに比べたらコストが高いゆえに経営的な判断として正月三が日休業することを決めたのかというところでしょうか。また、ここに書いているように、当然ながら従業員の満足度も重視しているので、その理由で正月三が日をやめたのでしょうか。その理由を教えていただきたいと思います。
 次に13ページのところの食品製造で、新しい店の販売応援という形で店の品出しを手伝わされるということがありますが、このような下請いじめみたいなことは下請法違反になるのではないかと思いますけれども、このようなことになってしまうのも、店側が大きな力を持っていて、買い手独占みたいになっているため、食品製造側としては文句が言えないのでしょうか。文句を言ってしまうと締め出されることを気にして、店側の言うことを聞かざるを得ないことになっているのでしょか。それとも、店側の要求を突っぱねて、「いや、ほかの店に変えますよ」ということをできる状況なのでしょうか。現場の話をちょっとお聞かせいただければと思います。
 2番目の朝日通商様のお話ですけれども、先ほどお話があった荷主のことがあるかと思いますが、発荷主はまだ話が分かるけれども、受荷主はまだまだ昔ながらの待ち時間を、強制でないですけれども、待ち時間をつくってもそれほど気にしないという体質だと思います。なぜ受荷主の人たちはそういう古いマインドでいるのでしょうか。あとは、先ほど、リレー輸送の中で、もしそのような待ち時間が長いことになってしまうと、このA、B、C、Dのところが、集計地点に、時間通りに夜の11時に来ることがないということも起こると思いますが、そういうことは頻繁に起こるものなのでしょうか。それとも、時間通り、23時に関東からと四国からのトラックがひゅっと集まるものなのでしょうか。運用状況について、リレーがうまいこといっているのかということをちょっと教えていただきたいと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。ではまず、西尾さんからお願いいたします。
○西尾様 佐々木先生、ありがとうございます。最初に御質問いただいた、スーパーマーケットの関係で、正月営業をしなくなったという理由なのですが、相当いろんな理由があると考えています。言うなれば、最終的には総合判断ということでしかないわけですが、私が今思いつくことを言えば、1つは、首都圏のところは、これは盆休みもそうですが、正月はお客様が地方に行っていて、意外と、そんなに売上げも立ちません。スーパーマーケットは地域独占の状態にはなっていなくて、地域内に競合他社がたくさんありますが、そこと競合してまで営業する必要があるのかどうかという判断が1つ経済的な理由としてあったと思います。
 そのバランスとして、人が集められるかどうか。ある程度人が集まる状況であれば、営業するという判断もあったのかもしれませんが、このバランスでも、人が集まらないし、無理に営業しなくてもいいのではないかという判断もあったと思います。
 それから、三が日営業を始めることによって、今まで、年末の31日に相当売上げが高かったわけですが、これが大分切り崩されて平均されてきたということもあります。そのことはオペレーションを平準化するということで反面よかったわけです。先ほど申し上げたとおり、1998年以降、2000年の前半ぐらいまでは、オペレーションを平準化しよう、そして生産性を高めるということでしたのでよかったわけですが、31日の売上げが減ってきた。そこで、正月商材は特別な商材で1日変われば売れなくなるものもたくさんありますので、売り切るという観点から、三が日お休みにするということが効果あるのではないかというようなこともあったと思います。
 それから、従業員の世代も変わってきまして、地域とのつながりや、私生活の関係は、ワーク・ライフ・バランスという観念が大分行き渡り、正月は社会的にも休みたいなという声が大分強くなってきたということもあると思います。
 そういったことがありまして、労働組合としては、会社と協議するわけですが、正月営業についてお休みにしてほしい、あるいは労使協議の中でどのようにするかという話をした中で、組合員の声からすると、これはお休みにしたほうがいいのではないかということがありましたから、そういったことを労使で議論する中で、それであればお休みにしたほうが良いだろうという総合判断に至ったということだと思います。同時に、コロナ禍の前後といったらいいのでしょうか、コロナ禍の最中から後にかけて営業時間を短くしたり、店休日をつくったりするところが、コロナで営業しなくても大丈夫だということが分かって、増えてきたということがあったのです。図らずも実験されて、売上げがそんなに減らないということが実証されたとかいうようなこともありまして、こういったことで、近年、踏み切るところが増えてきたということが実情だと捉えています。
 2点目の食品製造のところの販売応援の件です。これは、どこからが下請いじめというのか、あるいは優越的地位の乱用と認められる事象かどうかということについて個別に点検しないと分からないところだと思いますが、UAゼンセンは食品製造からスーパーマーケットで販売するところまで、加盟組合ございます。その中で、コミュニケーションをはかりながらアンケート調査を行っておりまして、そのアンケート調査の結果に出てきているのが今回ご報告の内容のうちの一つです。
 出てきたアンケート結果については、スーパーマーケットのほうにも、個別にこういう事例があったということも含めて全部開示して共有しています。その結果、大分減ってきています。減ってきていますが、まだこういう品出しを手伝わされる事例もあるということです。また、正月元日から営業していると、その販売、自分のところの商品を売るということも含めて販売応援を自らするのか、言われてするのかという微妙な線はあります。そのことが会社同士の関係ではなく、従業員としての受け止めとして、記載させていただいたのが、アンケート結果に表れているということです。ここは、先ほどのカスハラの問題もそうですが、意識を変えていくということをしていかないとだめなのだろうと思います。もちろん、取り締まるべきところはきちっと取り締まるし、だめなことはだめということが前提ではありますが、受け止め方の問題等々、そういったことについてはそういうことになると考えています。ありがとうございました。
○守島部会長 ありがとうございます。では続けて後藤様、お願いいたします。
○後藤様 1つ目の発荷主さんと着荷主さんの問題ですけれども、1つは、力関係が、発荷主さんのお客さんが着荷主さんになると思いますので、そういうところで、納品の条件というものを発荷主さんに出しているということがあると思います。それともう一つは、我々は発荷主さんからいわゆる運賃というものをもらうというのが通常になっていますので、発荷主さんとはいろいろ協議ができるのですけれども、着荷主さんとは、我々自体がなかなか接することができないものですから、どうしても着荷主主導の納品形態ですね。
 例えば発荷主さんからちゃんとパレットで出荷されても、着荷主さんのほうで商品ごとに仕分けして積替えしてくれとか、いろんなケースがあったり、時間帯もジャストインタイム的な納品というのを条件に発荷主さんとやり取りしているケースが多くて、幾ら発荷主のほうの手待ちとか、そういう労力の軽減ができても、結局そこで、着荷主で非常にドライバーに負担のかかるような納品スタイルというのがまだまだ多いと感じております。
 それともう一つ、リレー輸送において、例えば中継輸送というのは、どこか拠点があって、拠点で荷物を積み替える方式とか、あるいはトレーラーで荷台だけをチェンジする方法とかありますけれども、我々のリレー輸送というのは、10トン車がそのまま交代するということで、例えば関東から出た車が、荷物が、道が込んで土山に行く時間が遅れるという場合は、高松から出たトラックがそこまで移動することができますので、そうすると、こちらの労働時間延びますけれども、これは次の日調整ということで、割とフレキシブルに、その拠点は土山と一旦決めていますけれども、土山でなくても、双方向変動することができるということで、1つは時間調整ができます。
 もう一つは、23時と言いましたけれども、今、十何便出ており、いろんな時間帯に出発しています。要するに遅れた車は遅く出た車でつなぐことも可能ですから、全てが全て、1対1のつなぎでなくて、その時間帯で一番合う車を乗って帰ればいいという形でやっていますので、そういうところのコントロールはできるようになっています。ただ、大きく、雪で完全に止まったとか、こういうときにはやはり混乱はしますけれども、これはやはり1日2日で解消するような形を取っています。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。では続いて岡本委員、お願いいたします。
○岡本委員 ありがとうございました。物流の2024年問題や、サービス産業などでのカスタマーハラスメント問題など、報道では大分目にして、大きな課題であると思っていました。そうした中、本日、それぞれの取組を伺うことができて大変勉強になりました。
 私からは朝日通商の後藤様に、意見にもなってしまうかもしれませんが、質問をさせていただきたいと思います。
 1点目としては、情報効率化をシステムとして進めるだけでなく、資料35ページ以降にあるように、社内コミュニケーションを強化して、従業員の理解とか納得性を高める取組をセットで行うということは大変重要な取組であると思いました。
その中で労働組合との関係を伺いたいと思っていましたが、先ほど、リレー輸送や賃金改善のところで既に触れられていましたので、その辺は理解いたしました。今後もぜひ労働組合とのコミュニケーションも続けていただきたいと思います。その上で、現在、労働組合とはは定期的にコミュニケーション図っているという理解でよろしいのかどうかということだけ1つ伺いたいです。
 2点目ですけれども、これも各委員から質問という形で出ていましたが、生産性の向上に向けては、運賃の適正化や荷待ち時間の縮減、それから、先ほどもありましたが、手作業での大量の荷物の積込み、積卸し、こうした問題を改善することが大変必要なのではないかと思っています。
 ただ、2次請けとか3次請けといった下請業者も多い中で、一社の努力では限界があると思いますし、荷主も含めた対応が必要だと思います。先ほど荷受けのところのお話もありましたので、荷受けのところというのもいろいろと問題あるということも理解いたしました。
 今から5年ほど前でしょうか、ホワイト物流推進運動というものができて、国が力を入れているようですし、私もホームページを拝見しましたら、結構賛同企業も増えているような感じがいたしました。しかし、やはり価格交渉などはまだまだ弱い立場にあるのではないかと思いました。これはもちろん、私たち消費者の意識改革も必要なのではないかと非常に思います。「配送料無料」と言われると、つい飛びつきたくなってしまうのが消費者の心情ですけれども、今回私自身はこの2024年問題をニュースで見るようになって、それは良くないと改めて反省もしました。消費者の側に対してもっといろいろとアプローチというものが必要なのではないかと感じました。
 御社はリレー運送などの効果的な取組を進められていますけれども、やはり2次請け、3次請けのところもあり、人件費に直結する問題ですから、なかなか個社での取り組みでは限界があると思います。ぜひ業界全体で力合わせて、国、消費者、荷主などの多方面にもっとアプローチしていくというか、議論する機会を設けていっていただくとか、そういうことをしていただきたいと思いました。
 質問ではなく意見ということになりましたけれども、以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。どうなさいますか、後藤さん。
○後藤様 ありがとうございます。非常にそういう応援をしてくださっていると理解させていただきたいと思います。労使協議会は毎月やっておりまして、主に会社の業績とか、安全衛生の面とか、また、労働条件を変えるというのは頻繁にあるものではありませんけれども、そういうところは定期的にコミュニケーションを取らせていただいております。
 あと、荷待ちとかホワイト物流というところを、我々のお客さんも結構取り組まれています。平準時といいますか、通常でしたらきっちり回るのですけれども、例えば飲料関係なんていうのは夏場ぐーっと増えたりしますね。この増えたときに、ぐっと荷待ちとか手待ちとか、そういうところが発生したり、結局、平準化といいますか、荷物が平準すれば余り問題は起こらないのですけれども、これがぱっと膨れ上がったり減ったり、こういうところにやはり問題がありますので、ここの解決というのは非常に難しいと思いますけれども、だからこそ共同化というところで、凹んだところに増えたところが持っていけるとか、そういう共同物流というのはこれから業界で取り組んでいくべきものだとは思っています。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。では続きまして春川委員、お願いいたします。
○春川委員 ありがとうございます。本日は、UAゼンセンの西尾様、朝日通商の後藤様、御説明ありがとうございました。私からは、朝日通商の後藤様に意見、御質問させてください。
 リレー輸送の取組を2019年頃から進められているということでの御説明ありました。ドライバーの一日の働き方ということでいけばすごく大きな変化があったのだろうと思います。そういう意味で、例えばドライバーの人材確保といった部分で、この間、具体的な効果等がおありだったのかどうか、御説明をお願いできたらと思います。例えば女性ドライバーが増えたなどの実態がありましたら、そういうところも含めてお願いいたします。
○後藤様 今日の説明の事例では、A、B、C、Dというドライバーの役割を御説明させていただきましたけれども、AとDというのは両端で、荷物を積むドライバー、降ろすドライバーということですけれども、真ん中のBとCは労力要らないわけですね。トラックの運転ができれば、もう運転だけの仕事になりますので、時間帯はいろいろ、夜勤になったりする場合もありますけれども、ここの人というのは、体力がなくなってきた少し年配の人、あるいは女性ドライバーもできるということで、今、グループ会社で、そこの幹線を担うドライバーというのは7名ぐらい増えています。
 昔の長距離ドライバーというのは、稼ぎたいから、もう家なんか帰らんでいいんだというのが結構多かったのです。今もそういうドライバーもいますけれども、最近の若い子は毎日家に帰りたいというニーズが非常に高いということもあって、今、実は募集すると結構来ます。それは香川に限らず、香川、我々の拠点の神戸とか、豊橋とか富士とかいうところで、ネットの媒体なんか使うと、載せたら、その日中に5~6人来るぐらいの感じで来ます。
 ですから、これから先もそういう形で、少し昔の長距離ドライバーの働くイメージを変えることによって、それプラス、やはり賃金は必要になってくると思いますけれども、そういうところでまだまだ人は集まるのではないかなと、これは肌感覚ですけれども、そういうことは今感じております。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。佐々木かをり委員は、しゃべれないとチャット入っていますけれども、それでよろしいですね。早くお出になるみたいですね。分かりました。
 では、続きまして石﨑委員、お願いいたします。
○石﨑委員 御説明ありがとうございました。本日、前の予定との関係で遅れての参加となってしまいまして申し訳ございません。後藤様に2~3点と、それからUAゼンセン様に1点お伺いできればと思います。
 まず、後藤様にですけれども、働き方改革の中でDX化のところについてお伺いしたいのですが、こうしたいろんな新たなシステムを導入されるに当たって、労働者の方とコミュニケーションを取られたかと思うのですけれども、その過程でシステム導入に対する不安であったり、あるいはコントロールが強化されるのではないかといった懸念みたいなものが出たりとか、そういうのがあったのかどうか。それとも、割と皆さんウェルカムで、肯定的な形でスムーズに導入が進んだのかといった辺りについて教えていただけたらありがたいです。
 あとは、これはもし御存じであればということなのですが、そうしたDX化というのの導入状況というのは大分会社さんによって違っているものなのか、それとも、軒並み、割と積極的に皆さん広く導入されていっているという状況にあるのかといった辺りについて、御存じであればというところがもう一つと、そうしたところに向けて、既にいろんな国の政策もあるとは思うのですけれども、国としてまだまだここを力入れてほしいみたいなところがもしあるようであれば、その点についても御意見伺えるとありがたいですというのが後藤様に対する質問になります。
 もう一つ、UAゼンセン様への質問としまして、本日、御説明を伺えず誠に残念だったのですけれども、報告資料のほうを拝見しておりまして、やはり業界の慣行の見直しだったりカスタマーハラスメントの問題についてもそうですけれども、消費者に対するアプローチも重要であるというお話があったかと思います。労働契約関係にない、そういった第三者的なところにアプローチしていくに当たって、教育・周知というのがやはり非常に重要になってくるとは思っているところですけれども、実効的な展開をしていくに当たっての、労使と国それぞれの役割分担といったものについて何かお考えがあるかどうか。法制化については、先ほど大橋委員への御回答の中でお話しいただいたかと思いますが、その政策の進め方みたいなところについて何か御意見があればお願いしたいと思っております。
 以上になります。
○守島部会長 ありがとうございます。では今度、後藤様からお願いいたします。
○後藤様 ありがとうございます。DX化ですけれども、いわゆるスタッフのDX化と、それを使ってドライバーが端末をさわるという両方あると思いますけれども、やはり機械化するのは抵抗があります。抵抗がありますけれども、その先に、楽になるよとか、そういうところが必要になりますので、我々、キントーンというデータベースをもとに受注から請求までを、それぞれのクラウドのシステムを組合せながら、非常にアジャイル式でやっています。これも当初はキントーンそのものが理解できなくて非常に混乱していたのですけれども、今はもう5年ぐらいして慣れてきて、割と使いやすくなってきていると感じています。
 まだまだゴールはないと思いますので、一つ一つの仕事をそういう形で、とにかく楽にしていく、そしてお客さんによりよく、素早く情報を提供するという形で進めています。ドライバーがさわる分は、最初は少し抵抗があったのですが、そんなに抵抗なく今やっていますから、よりドライバーが使いやすく、ドライバーさんにとって便利になるということを開発のほうにはどんどん言っていますので、そこはそんなに混乱したということはありません。
 それと業界全体の導入の推移ですけれども、なかなか自社で開発しているところは少ないと思っています。大手さんは別にしまして。労務管理システムであるとか、試買のパッケージ化されたシステムというところは導入されているところもあると思いますけれども、6万2000社の中では半分もないのではないかなと、これもエビデンスはありませんけれども、そんな感覚でおります。
 それと、国への要望ですけれども、物流業界は国の政策パッケージも行ってもらったので、非常に我々は今ありがたいなあと思っています。
 1つ要望を言うなら、助成金というのがいっぱいあるのですけれども、大手さんはぱっと、助成金なんか取りに入るようなスタッフがいるのですけれども、我々中小は、この助成金をもらう手順といいますか、これの書類作成とか、ここが非常に繁雑で難しくてできない、結局どこかに頼むかもうあきらめるかになってしまいますので、何かこの助成金のもっと使いやすいやり方ということを考えていただければありがたいなあと感じています。
 以上です。
○石﨑委員 ありがとうございます。
○守島部会長 ありがとうございます。では西尾さん、お願いします。
○西尾様 石﨑先生、ありがとうございます。おっしゃっていただきましたとおりですが、倫理的な消費行動を促すということで、啓発活動や消費者教育を推進するということですが、これは運動をつくっていくということであると、労働組合らしく言えば考えています。例えば消費者庁では、倫理的な消費を促すために、カスタマーハラスメントに関係するようなポスターをつくっていただいたりしています。
 あるいは札幌市でも、市役所として、市役所に訪ねてくる市民の方々とのやり取りの中で、カスタマーハラスメント、迷惑行為みたいなことがあるということのポスターを作っていただきました。そのポスターは、実は札幌市と書いていなくて、どこでも汎用して使っていいですとおっしゃっていただいたりということがあります。あるいは岡山市では、消費者教育の基本計画の中に市として盛り込んでいこうということがその議会の論議の中で言われたりしています。
 そのように、気がついたところ、できるところから少しずつ取り組んでいくことが重なって、報告の中でも申し上げたのですが、社会的な認知は大分広まりまして、カスハラに遭ったという人間が2年間の間に10ポイントほど減ったということがあります。その意味では、展開という意味で言いますと、マスコミさん、あるいはこの制度化によって企業が講ずる措置の背中を押すということが具体的な形になっていくと思っています。
 大事なことは、第三者という言葉を先生にも使っていただきましたけれども、企業内だけで解決できるハラスメントの問題ではなく、どうしても、企業とそこで働く従業者と第三者ということになりますので、そういった運動的な展開ということが一つの柱になって、そこにいろんなことが連なってくると考えています。ありがとうございました。
○守島部会長 ありがとうございました。会場におられる方々でどなたか御発言されたい方、いらっしゃいますか。
 では、逢見委員、お願いいたします。
○逢見委員 お二人の御説明ありがとうございました。
 私からは朝日通商の後藤様にお伺いしたいのですけれども、2024年問題については社会的関心も非常に高まって、それに関して特集したテレビ番組なども見たのですけれども、その中で、ドライバーの方が、労働時間、どれだけ実車したかということと賃金がつながっていて、労働時間短縮になると手取りが減ってしまう。だから、必ずしも労働時間が短くなることがハッピーではないという声もあるとの報道されていました。御社の場合は、早くからリレー運送をはじめとする労働時間短縮に取り組んでこられていますが、そういうときに、労働時間削減が手取り賃金の減収につながってしまうという問題に直面されたのでしょうか。その問題が生じたならば、どのようにクリアされたのか伺いたいと思います。
○後藤様 運送会社の場合、賃金体系がいろいろあると思いますけれども、当社の場合は、職能資格制度ということで、大体全体の40%が基本給で、60%が変動給という形になっておりました。ですから、いわゆるドライバーの苦労として、変動給のほうは運転の苦労、つまり、運転した距離、それと荷役の手積みとかパレット積みとかの差、それから待たされた苦労、手待ちの苦労というところで奨励給というのが成り立っていたのですけれども、長距離行っても、少し説明の中で言いましたように、結局、休息期間とか休憩時間が長いものですから、これはもともと賃金に反映していなかったのですね。
 ですから、今度このリレーになると、ぎゅっと圧縮されて、働く内容が濃くなる、要するに実運送、実労働というのが非常に濃くなったということで、賃金そのものはそんなに下がらなかったということ。それと、言い方が悪いですけれども、稼ぎたいドライバーっていっぱいいますから、そのためにシャトル便というところで、近距離で、1日で行って帰られるということをすれば、長距離行くよりもまだ賃金が上がるとか、そういう形でとっています。ですから、結局、長距離で、拘束時間は長いけれども労働時間は過去とそんなに変わっていないというような形になったということが、賃金が変わらない原因、少し上がったドライバーもおりますし、そういう形だと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。ほかにどなたか。
 石原委員、お願いいたします。
○石原委員 ありがとうございます。石原でございます。
 今日は2つのケース、ともに非常に考えさせられる点が多くて、非常に勉強になりました。ありがとうございます。
 まずは、UAゼンセンの西尾様にお伺いしたいのは、例えば正月の店休日をつくるというのを、やったけれども売上げは下がらなかった、あるいは31日が物すごく忙しいということもなかったという事実があったり、実際、三が日の人を集めるの大変なんだよねという話があって、経営側の判断で、三が日休みにする、あるいは1日休みにするということができそうだなという気が私はしたのですが、なお、でも、法制化の後押しのようなものが必要とお考えになる理由は何なのだろうかというのをちょっとお伺いしたいと思いました。
 これはハラスメントの話もそうで、カスタマーハラスメントも、もちろん啓蒙って必要で、これはパワハラ、セクハラに関しても、厚労省のここ数年の取組で非常に大きく会社の環境変わってきているというのがあるので、必要だなというのは思うのですが、一方で気になっているのが、カスハラに関して、10ポイント減りましたよというのがあるのだけれども、経営側は何かしたのですかというのに関して、特に何もしていないという状態のポイントがほとんど変わらない状態で、何もやっていないのだなという気が、アンケートを見た限りではしましたというときに、経営側でカスタマーハラスメントに断固ノーと言うというような取組として、例えば組合としては何を求めていらっしゃるのですかというのを聞きたいなというのがありまして、この辺りのことをお伺いしたいというのが西尾様への質問でございます。
 それから、後藤様への質問もございまして、非常にすばらしい取組だなと思っていて、生産性が上がるということと、ドライバーの方々の賃金は下がらないということと、でも、実働時間としてちゃんと家に帰って休める時間があるという意味では、労働環境が非常によくなっているという意味で非常によい試み、よいお取組だなと思って、これを物流業界の多くの会社が実現できない理由は何なのですかというのをちょっと伺いたいと思っていて、同じようなことを多くの物流会社がやっていけないものなのでしょうかと。何が障壁になって、御社にとってはもちろん、ほかはできていないことが御社にできるのはプラスだと思うのですが、業界全体で変わっていかなくてはならないと言われている中で、なかなか同じことをできる会社が少ない理由というのはどの辺とお考えですかというのをお聞かせいただきたいと思いました。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。では、まず西尾さんからお願いいたします。
○西尾様 石原様、ありがとうございます。正月営業の関係で、法制化しなくてもできるのではないかと、端的にいえばそういうことだと思いますが、できるところはできると思いますし、もう既にやっているということがお答えです。これは業種によっても変わってくると思いますし、扱いもサービスや商品によっても一部変わってくるところもあると思います。
 ところが、最初に申し上げたとおり、競争状況がかなり激しい業界です。価格の競争、営業時間の競争ということで市場で競争しているのですけれども、その競争に取り込まれてしまって、その地域から撤退しなければならなくなるようなところが多いのです。そういう意味でいうと、良い競争ができるように、公正競争ができるようにするには、法制化、あるいは業界団体等で、カルテルになってはいけないわけですけれども、何か約束事をしてそういった環境をつくっていくとかいうことが必要ではないかということです。いずれにしても、競争との関係があるのでなかなか進まないという、これまでこういった事実もあったということですので、法制化を求める声も多いし、ルール化してほしいという声が多いということを報告しておきます。
 それからカスハラですが、これは経営側何もしていないかというと、実はそんなことはなくて、経営側も、マニュアルをつくったところもあります。そして相談窓口を社内につくったところもあります。ただ、みんながそのようにしているかというとそうでもなくて、労使の中で、そのことに共通の課題意識を持って、やろうと思ってくれた経営がやったということです。
 我々が経営側に求めていきたいのは、そういった迷惑行為に関しては、会社として対応すべきということです。つまり、相対した従業員個人に対して押しつけるものではなく、会社として対応するのだということを会社の外に対して表明するということ、それから、それに対する体制を会社としてつくることなどの幾つかの項目を求めています。
 これはどこで求めているかというと、特に大きな場としては、春の労働条件交渉の場です。賃金や労働時間のほかに、その他の総合的な労働条件の中で、そういう体制をつくってほしいということを要求項目の一つにして、労使で話し合いをするということをしています。その中で、先ほど申し上げたとおり、マニュアルをつくったり、相談窓口をつくったりというようなことで対応している会社も出てきているということです。その上で、やはり世の中的な認知が高まると、それに伴ってルール化されるということがさらにそれを飛躍的に促進させる後押しになるだろうということで、そういったことを求めているというのが今の状況です。
 以上です。
○石原委員 ありがとうございます。
○守島部会長 ありがとうございます。では続きまして後藤様、お願いいたします。
○後藤様 ありがとうございます。そういうのは業界で浸透させようとして、今、全国展開ということをやろうとしています。リレー輸送は、なかなか仕組みが難しくて、絵で見ると簡単にぱっぱっといくのですけれども、これが5便、10便になってくると、行きと帰り、あるいは中継点の時間を合わすということが非常に難しくて、我々もまだ課題を抱えてやっております。
 これがシステム化できれば割とぱっとできると思いますけれども、まだこのシステム化するまでのいろんな課題を出すために、今はアナログでどんどん10便、20便とやっているわけです。ここが解決すればどこでもできるようになるのではないのかと思っています。今はとにかくその仕組みが非常に繁雑。それから、やはり行きと帰りの荷物が、両方同じ数がないと途中から帰ってこられませんので、こういう課題もあります。
 それと、体質の問題では、やはり人の車に乗るという、この業界のドライバーさんの持ち車、トラックが好きで入っている人は、結構多いですから、自分のトラックというイメージで入っている人が結構いますので、自分のトラックを人に乗ってもらうとか、逆に人のトラックに乗るとかいうところ、ここもちょっと解決すべき課題の一つではあると思います。もう一つ言いますと、やはり下請構造ですね。多重構造ですから、自分たちでどうもできない、言われたまま走らないといけないという会社が多いと思いますので、自分たちで何か仕組みをつくるということが、多重下請構造によって少し難しくなっているという、この辺が展開できない原因だと思っています。
 以上です。
○石原委員 ありがとうございます。
○守島部会長 ありがとうございます。では、川崎委員、お願いいたします。
○川崎委員 御説明どうもありがとうございました。非常に興味深く、参考になるお話を聞かせていただいて感謝しています。ありがとうございます。
 まず、私、2つ、西尾さんに1つと後藤さんに1つそれぞれお伺いしたいのですけれども、エッセンシャルワーカーの人手不足がなかなか大きい課題だということで、介護の人材のところも人手不足があると。今回のカスハラに関しては、どちらかというと小売の観点での話がありましたけれども、介護の業界でもやはり同じような問題があると思っていまして、そこでの取組の状況ですとか現状の課題感、そういったものがもしお分かりであれば御紹介いただければありがたいかなと思っています。
 それから、今度、後藤さんへの質問になります。取組、非常にすばらしいなあと聞きながら思ったところではあるのですけれども、今回、ドライバーさんの働きやすさも向上しましたと、賃金も下がらなかったですと、いろんな業務を効率化されていきましたという中で、今度経営という観点で見たときに、効率化によって利益が拡大していったのか、あるいはトラックの輸送量が増えたことによって売上げが上がっていったのか、あるいは従業員の確保という観点で、人材の有効活用が進んでいくことによるエンゲージメントが上がっていったのかという観点で、どういうところが一番大きい効果だったとお考えか、それぞれ教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○守島部会長 ありがとうございます。では、西尾さんからお願いいたします。
○西尾様 川崎様、ありがとうございます。実は今日の報告では触れなかったのが、介護職、あるいは医療従事者に対する利用者や患者の行為についてです。これは迷惑行為、カスタマーハラスメントという言葉が合うのかどうかということがあるのですが、このことについても、実は私どもにも医療や介護現場で働く組合員が多数いるということもありまして、今、課題認識が改めてされているところであります。
 それで、御紹介すべきだったかもしれないデータなどもあったのですが、直近でアンケート調査をしております。医療や介護と、いわゆる小売業や通常のサービス業との違いがあるのは、利用者さんとその家族の方々との関係性なのです。利用者さんというのはいろんな方々がいらっしゃいます。例えば繰り返し同じことを言って困らせるということ、それ自体が病気だという方々もいらっしゃって、そのことが迷惑行為かどうかというと難しいところがあります。アンケート調査をした中でも、それを迷惑行為と受け止めるか受け止めないかについては、ケース・バイ・ケースでよく分からないということが多いのですね。むしろ職業意識としてちゃんと受け止めてやっていきたい。けれども、どうしても明らかにこれは迷惑行為でないかと思われることがあるのだということだけが分かっているのです。ただ、迷惑行為の線引きをどうするかの問題と大分似ているのですけれども、これをどのように定義づけしていくのかということについてこれから大きな課題になっていくだろうという入り口のところにいる状況だということです。私どもの間ではそういう状況にあるということを御報告させていただきます。
 私のほうから以上です。ありがとうございました。
○守島部会長 ありがとうございます。では後藤様、お願いいたします。
○後藤様 このリレー輸送による影響ですけれども、2019年から取り組みまして、最初はあるお客さんの関東翌着というところからスタートしたのですけれども、これを本格的にリレー輸送をやっていこう、いわゆる2024年問題に向けてやっていこうという、具体的に便数を増やし出した2年ぐらい前は本当にしんどかったときがありました。これは、まず信用をつけないといけないですから、ちゃんと行きと帰り、荷物がまとまらなくてもきっちり対応するというところで、非常に苦戦した時期もございました。お客さんのほうも、優良なお客さんほど、早く契約をまいてくれるのですね。大手さんも含めて。ところが、2024年4月まではまだ猶予があるということで、なかなか契約はまくものの仕事を依頼してくれないという時期がぐーっと続いて。そして、2023年の終わりぐらいから徐々に増え出して、この4月から一気に増え出して効率が上がってきた、プラス、業績もよくなってきたというのが現状です。ですから、当初の先行投資的なところはしんどかったというのが正直なところですね。
 やってよかったなと思うのは、採用です。ドライバー採用というのは人手不足と言われていますけれども、割と募集すればすぐに来る。ドライバーだけではなくて、作業系の人も、ホームページで、そういう取組をやっているというところで、結構見てくれている人は、募集すればすぐ応募してくれるという形で、採用面では、それを今度はエンゲージメントにつなげていくというのはまたこれからだと思いますけれども、私は、お客エンゲージメントが社内のエンゲージメントを高めると思っていますので、よりこれからそういうことがお客さんから評価されたということを社内にどんどん発信することによって、エンゲージメントが上がるのではないのかなと感じております。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。では最後に山川委員、お願いします。
○山川委員 最後なので、いろいろな人が質問してしまって、何か質問を絞り出すような感じになってしまって恐縮ですけれども、まず後藤さんにお聞きしたいのが、先ほどから人材獲得については結構有意な効果が見られますよというお話だったと思うのですけれども、それって、一般的にドライバーさんになる人への訴求ができるとか、既にいるドライバーさんが辞めないというのも入ると思いますが、競業との人材獲得競争において、やはりうちのほうが労働環境いいから採用がしやくなっているとか、そういう面があるのかということをお聞きしたいです。
 あとは、西尾さんへの御質問としては、カスハラの部分ですけれども、どの会社でも、働いていれば、社内でなくて、社外からのハラスメントってあると思うのですよ。例えば取引先の部長からセクハラされましたとか、やたらと出入りの業者さんに対して高圧的な態度を取るとか。一般的には、私なんかもハラスメント講習していると、社内外の人に対するハラスメント、社内外、社外の人からのハラスメントについてもちゃんと通報してくださいね、会社は対応しますからみたいな話をしているのですけれども、カスハラとか、先ほどの介護の話もそうですけれども、ちょっとそういうところとは違った難しさがあるのでしょうか。それは例えば個人を相手にしているから、例えば取引先に文句を言えばいいというものでもないから、もうちょっと啓蒙が必要なのかとか、普通の一般の例えばサラリーマンが外部の人からハラスメントを受けるのと比べて何か特有の問題があって、特別な法令が必要とお考えなのか、そこら辺のちょっと整理があれば教えていただきたいという、この2点です。
○守島部会長 ありがとうございます。では、まず後藤様からお願いできますか。
○後藤様 採用のほうでここ最近感じるのは、募集したらすぐ来るのですけれども、これは香川だけでなくて、先ほど言いました神戸とか、名古屋とか、あるいは富士でもそうですけれども、大体半分はドライバー経験者で、半分は、ドライバー経験がないという人も来るのですけれども、共通して言えるのは、ホームページとか採用の条項を見させていただいて、ちゃんと2024年問題とかそういうところの対策ができているので来ましたという人が多いです。ですから、その辺のところには働く人は敏感になっているのだと思いますので、自分のところの会社はこういう形で対応しているから、これでというふうな募集というのが有効だなと今は感じています。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。では、西尾様、お願いいたします。
○西尾様 山川先生、ありがとうございました。
 おっしゃっていただいた視点は、ふだん私たちが考えている視点と違う形のご質問であるという感じがしました。取引先についての関係は、公正取引の関係の法律でいろいろとできる部分もあると思うのですが、例えば人格を否定するようなことを商談の中で言われてしまうとかいうことなどについては、これも実はカスタマーハラスメントのうちの一つだろうと思います。
 今、カスハラの議論の中で「顧客など」と言われていて、その「など」の中にこういった方々も入るだろうと議論しているところです。今日も新聞でも紹介されていましたけれども、北海道の企業がカスハラで訴えられたというようなこともありますし、取引の関係でハラスメントして不法行為責任が認定されたという事件もあります。つまり、公正取引の関係で何らかのペナルティが科せられるということではなく、ハラスメントとしてペナルティがあるという形をつくっていくという意味で、その法制化なりが必要だと今は考えているということです。
 ものによっては、それだったら刑法で対応できるではないかというものも実はあります。ところが、現場で、刑法を使って訴えて、刑事罰を与えるということまでやっていることってほとんどないのです。多分、昭和30年ぐらいから調べても数件しかケースがなかったと理解しています。であるからこそ、やはり現場の問題に即して対応できるルール化、カスハラ防止の法制化を求めていこうという整理にしていて、あとは、そこに加えていろんな細部が出てくるという、ストーカー法を勉強してみたりということをしているという状態であります。また御指導いただければありがたいと思います。よろしくお願いします。
○守島部会長 ありがとうございました。ほぼ時間が終わりに。
 ちょっと1つだけ、最後に私が、事務局というか、厚労省にお願いというか、私の個人的な希望も入るのですけれども、今回のお二人のお話を伺っていて、労働問題というのは、現在、ある意味では厚労省の管轄の部分をかなり超えていて、省庁間の協力、さっき、法制化という議論が大分出ていましたけれども、法律をつくるときに、必ずしも厚労省だけでできないようなものというのが結構増えてきたと思うのですね。例えば労働時間の問題で対取引先や対消費者の施策をどうするかという問題であるとか。
 この基本政策部会というところの一つのミッションとして、前の報告書でも何回か出て着るのですが、そのような省庁間の協働というか、そこのところをやっていかないと、やはり本当の意味での労働問題の解決にはつながっていかないのだという、そこのメッセージをぜひ、どういう形でもいいのですけれども、強く盛り込んでいただきたいなあということを今日のお二人のお話を伺っていて、非常に強く思いました。
 以上です。
 では、今日はこれで、ちょうど時間となりましたので、この会議、審議会は終わらせていただきたいと思います。皆様方、活発な議論をどうもありがとうございました。後藤様、西尾様、御参加いただき、どうもありがとうございました。