第205回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

日時

令和6年3月8日(金)14:00~16:00

場所

会場
厚生労働省 職業安定局第1会議室及びオンライン
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階公園側)
傍聴会場
厚生労働省 職業安定局第2会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階公園側)

議事

議事内容
2024-3-8 労働政策審議会職業安定分科会(第205回)
○山川分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第205回「労働政策審議会職業安定分科会」を開催いたします。
 皆様方、大変お忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日の委員の御出欠ですが、公益代表の阿部委員、橋本委員、労働者代表の久松委員、使用者代表の馬渡委員が御欠席と伺っております。
 事務局では、田中高齢・障害者雇用開発審議官が公務のため途中で退席されます。
 では、カメラ撮影がありましたら、ここまでとさせていただきます。
 本日の分科会は、Zoomによるオンラインと会場での開催となります。オンラインでの発言方法等につきましては、事務局から事前にお送りしております「職業安定分科会の開催参加方法について」に沿って御操作をお願いいたします。
 議事に入る前に、1点御連絡がございます。2023年度の年度目標に関連して、事務局から四半期ごとのデータを御提供することとしておりました。今回、10月から12月の第3四半期を加えた2023年度のデータにつきまして机上配付をしておりますので、その旨、お知らせいたします。
 それでは、議事に入ります。最初の議題は「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」となります。
 事務局から説明をお願いいたします。
○長良総務課長 総務課長の長良でございます。
 資料1-1が省令案要綱、1-2が省令案の概要でございます。それから、参考資料として、今回の関連資料、横置きの紙がございます。参考資料のほうに沿って御説明をさしあげます。
 おめくりいただいて、1ページ目、雇用調整助成金でございます。今般の見直しは、休業に加えて教育訓練などへの助成も行っている雇調金につきまして、教育訓練を選択しやすくする観点からの見直しとなっているところでございます。本件は、昨年来、この分科会においても御議論いただいているところでございまして、改正内容といたしましては、真ん中のところにございますように、支給日数が30日に達した判定基礎期間後の判定基礎期間における教育訓練の実施の割合について、10分の1未満の事業主には休業手当等に対する助成率を4分の1、中小企業のほうは2分の1の助成率を適用するという内容となっております。
 併せて、下のほうでございますけれども、クーリング期間の見直しを予定してございます。過去に雇調金の支給を受けたことがある事業主の場合は、1年間のクーリング期間がございます。このカウントの仕方ですが、現行制度では、1年間の対象期間の満了の日の翌日から起算することにされている状況でございますが、対象期間の初期だけ休業する場合などがございます。今回の見直しは、この起算日につきまして、直前の対象期間中における雇調金の支給を受けた直前の判定基礎期間又は支給対象期間の末日のいずれか遅い日の翌日から起算するというような内容となってございます。
 続いて、2ページでございます。表題は早期再就職支援等助成金となってございますが、今回の見直しに対しましては、従来の労働移動支援助成金と中途採用等支援助成金を統合する内容となってございます。前者に関しましては、事業規模の縮小などに伴って離職を余儀なくされる労働者に対して、再就職の援助を講じる事業主、またはその労働者の早期の雇入れや人材育成などを行う事業主に対する支援として、労働移動支援助成金を用意しております。また、中途採用の拡大などを行う事業主に対して、中途採用等支援助成金というメニューがございます。
 助成金の名称と助成内容が一致していないなどの御指摘もいただきまして、事業主にとって、より分かりやすく、助成内容に沿った名称にするということで、この2つの助成金を統合し、早期再就職支援等助成金に名称変更いたしたいということでございます。
 併せて、再就職支援コースの奨励金というものがございまして、こちらの見直しも予定しているところでございます。この再就職支援コースの奨励金は、先ほど申し上げた再就職支援あるいは休暇付与、職業訓練を実施するといった措置を講じて再就職を実現させた事業主に対する助成というものでございます。今般の改正は、離職前の訓練を実施する事業主の経費負担を軽減するという観点から、人材開発助成金などと同様に、訓練時間数で区分した上限額を設定すると。それから、職業訓練の実施支援部分に新規助成を創設いたしまして、離職前に早期に訓練を受講させることによって、早期再就職を実現したいというような中身となっているところでございます。
 早期雇入れ支援コースの見直しでございます。こちら、資料の3ページにございまして、いわゆる受入れ助成のほうになっておりますが、今般の改正に関しましては、事業主の賃上げの行動変容をより促していくということ。それから、賃上げの政策効果を高めていくという観点から、この表の左側の雇入れの部分でございますけれども、従来、賃金上昇させた場合、加算要件という形で整理していたところでございますが、これを必須要件の形に改めるというのが1点です。
 併せて、早期再就職の促進の観点からは、再就職援助計画の対象者に加えまして、雇用保険の特定受給資格者を新たに追加したいという内容となっております。
 併せて、この受入れの支援コースに関しましても、人材開発支援助成金などと同様に、訓練期間数で上限額を設定したいという内容となっております。
 続いて、4ページ、65歳超雇用推進助成金でございます。幾つかのメニューがございますけれども、右下の3の部分に高年齢者無期雇用転換コースというものがございます。有期の方を無期雇用に転換するというところの負担感の解消に資するという観点で、このようなコースを設けているところでございました。本コース、平成28年に創設いたしましたけれども、当時のキャリアアップ助成金の正社員化コースの中に、有期雇用から無期雇用に転換した場合の助成する措置がございまして、それにさらにインセンティブを上乗せして支給額を50万、その後、若干制度変更を行いまして、現在48万というような見直し措置を講じておるところでございます。
 このコースの設立から10年弱が経過いたしまして、この間、キャリアアップ助成金の拡充が進んでいることなどを踏まえまして、全体の雇用保険の効果的・効率的な執行などの観点から、この支給額に関しても全体のバランスなどを考慮して見直しを行うということでございまして、直近の賃金構造統計基本調査の結果などを参考として、本コースの目的を達成するのに妥当と思われる水準として、支給額を30万円にしているような内容となってございます。
 続いて、5ページです。人材確保等支援助成金の人事評価改善等助成コースの関係でございます。本コース、コロナ禍において人手不足感が一時的に緩和されて、労働者の雇用維持に重きを置く必要があったということで、令和4年度、5年度と新規計画の受付を停止いたしておりましたが、昨今、人手不足問題が課題となっている中で、受付を再開いたしたい。それとともに、一部支給要件を見直すということを考えているところでございます。具体的な内容については、下の表で現行と改正内容のそれぞれの差を提示しているところでございまして、賃金上昇に関する賃金上昇の確認のタイミング、それから離職率の低下の判定期間の見直しなどを併せて講じることとしたいというものでございます。
 続いて、6ページ、同じ人材確保等支援助成金の介護福祉機器助成コースでございます。こちらは介護の分野の事業主が、新たに機器を導入した上で、従業員の離職率の低下が図られた場合の助成金でございます。本コースは、近年の実績が低調であるとともに、この分野に関しては、地域医療介護総合確保基金などにおいて介護福祉機器導入の支援があるということもございます関係で、令和5年度限りで廃止としたいというものでございます。
 続いて、7ページの人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース)でございます。こちらの助成内容は、障害者の能力開発のために、一定の教育訓練を継続的に実施する施設の設置・運営を行う事業主あるいは団体などに対しまして、その経費を助成する制度でございます。かつては、この助成金、障害者雇用納付金を基に納付金助成金として運用しておりましたが、平成27年度から、当時の納付金財政が逼迫していたことなどを踏まえまして、雇用保険二事業に移管して運用してきたという経緯がございます。
 一方で、障害者のみを支援の対象とした助成金は、原則として納付金助成金で措置するというような考え方を踏まえまして、来年度、令和6年度から納付金助成金に再度移管したいというような内容となってございます。それに伴いまして、この省令、雇用保険法施行規則における雇用保険二事業として実施する助成金については、廃止という扱いとさせていただくという内容でございます。納付金助成金への移管に関しましては、先日、2月27日の障害者雇用分科会にも諮問がなされ、妥当であるとの答申を得たということでございます。
 続いて、8ページでございます。8ページの資料自体は文科省の事業でございますが、本事業は、コロナの影響を受けた失業者あるいは非正規雇用の方などの再就職のための教育訓練を実施しつつ、大学・高専などに対して文科省が補助を行うという事業でございます。本事業は、令和2年度の補正予算で創設いたしているところでございまして、基本的にはこの資料の右側の赤い枠囲みのところにもありますように、こうした分野のプログラムを開発して、実際に実施して検証するというスタイルを取った事業となってございます。この補助事業に関しまして、対象となる訓練を受講する方のうち、一定の要件、支給要件を満たす方については、求職者支援制度における職業訓練受講給付金の支給内容としているということで、文科省と厚労省が連携した施策として位置づけていたものです。
 これまで文科省では、デジタル・グリーンなどの成長分野をはじめとする社会人向けの実践的プログラムを開発する大学などへの支援を中心に行ってきたところでございますが、今後はリカレント教育を通じて企業の成長に直結する高等教育機関にしか提供できないモデルというものを、産学共同体制で構築することを目指しているというような状況と聞いておるところでございます。こうした文科省におけるリカレント教育に係る政策の方針の変更に伴いまして、本事業、令和5年度末をもって終了するということでございますので、この連携の対象となっている関係規定を削除するというような内容となっております。
 続いて、9ページであります。建設事業主等に対する助成金でございます。まずは、人材確保等支援助成金の建設分野作業員宿舎等設置助成コース助成金の見直しでございます。先日、作業員宿舎の確保に関しましては、石川県に設置するものの見直しを行ったところでございますが、今回の内容はそれとは別の内容となっております。こちらは、女性専用の作業員施設を整備した場合に、その経費の一部を助成するということでございまして、まさにこの分野における女性活躍に向けた就業環境の整備につきまして、事業主あるいは関係方面からの要望があったということでございまして、1事業年度当たりの支給上限額を60万円から90万円に引き上げるという内容となってございます。
 続いて、人材開発支援助成金の建設労働者技能実習コース助成金の見直しであります。中小建設事業主が雇用する労働者に対しまして、自ら資料にあるような技能実習を行う場合に、いわゆる実習の経費あるいは賃金助成を行うという内容となってございますが、建設キャリアアップシステム、略称でCCUSと申しますが、この技能者情報の登録者につきましては、建設キャリアアップシステムと助成目的は親和性が高く、効果的なキャリアアップが期待されるほか、建設キャリアアップシステム活用のインセンティブとなるということを期待いたしまして、賃金助成部分を1.1倍とする上乗せ措置を講じてきているところでございます。
 この建設キャリアアップシステムの登録・活用につきましては、国交省とも連携しながら引き続き取り組んでいかなければならない政策課題であるということで捉えてございまして、この措置に関しまして、今年度末の期限であったところを、令和6年度末まで延長したいというような内容となっているところでございます。
 以上が本省令案の概要でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 それでは、本件につきまして御質問、御意見等がありましたら、挙手または「手を挙げる」ボタンをクリックしていただいて、こちらで指名させていただいた後にお名前をおっしゃってから御発言をお願いいたします。御質問、御意見等ございますでしょうか。
 冨髙委員、どうぞ。
○冨髙委員 ありがとうございます。
 内容については問題ないと思っておりますが、2点ほど要望を申し上げたいと思います。
 まず、1点目の雇用調整助成金の改正については、この間の本分科会での議論の内容が反映されていると思います。これまで申し上げてきたように、雇用のセーフティネットとしての役割がきちんと機能するよう、どのような訓練が対象になるのか、分かりやすく周知していただくことが重要だと考えておりますので、その点、お願いしたいと思います。
 次に、3点目の高年齢者無期雇用転換コースの見直しについてです。今回の見直しにより、受給額が減少となると思いますが、高年齢者雇用はこれからも非常に重要なテーマですので、引き続き、高齢者の無期転換を進めるために、ほかの助成金を含めた周知・広報など、全体的な支援をしていることはきちんと周知していただければと思っております。
 最後に、今回、助成金の改正が行われますが、その効果についても、引き続き丁寧に検証していただければと思いますので、お願いします。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 ほかに御質問、御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 特にないようでしたら、御要望については今後のこととして受け止めていただくこととして、当分科会としては、厚生労働省案をおおむね妥当と認めて、その旨を私から御報告を申し上げたいと考えております。このような方向につきまして御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、特段ございませんでしたら、報告文案の表示をお願いします。
(報告文案表示)
○山川分科会長 おおむね妥当と認めるという報告文案となっております。この文案によって労働政策審議会会長宛てに報告をするということで御異議ございませんでしょうか。
(委員首肯)
○山川分科会長 それでは、御異議ございませんので、そのように報告させていただきます。ありがとうございます。
 本議題につきましては、以上になります。
 続きまして、議題(2)になりますが、「「求職者等への職場情報提供に当たっての手引」(案)について」となります。事務局から説明をお願いいたします。
○髙田労働市場情報整備推進企画室長 労働市場情報整備推進企画室長でございます。
 私から、「求職者等への職場情報提供に当たっての手引(案)」についてご説明いたします。資料2を御覧ください。こちらにつきましては、先日、1月10日の職業安定分科会で、この手引の作成について、一度御説明させていただきました。その際、手引の作成に当たって実施したヒアリングの結果や、今回作成する手引(案)の構成イメージを御確認いただきました。その後、2月16日に、概要についてパブリックコメントに付しているという状況でございます。本日、具体的な文書ということで手引の案を作成しましたので、こちらを御説明させていただいて御意見いただければと考えております。
 まず、1ページを御覧ください。「本手引の策定に当たっての背景及び基本的な考え方」というところでございます。
 まず、手引を作成する目的についてですが、求職者等と企業等のミスマッチの解消が必要であり、加えて、希望する者の円滑な労働移動を促進していくために、企業等の採用活動に当たって、求職者が求める情報を適切に提供していくことが必要である。そういった観点は、求職者だけじゃなくて、企業にとってもプラスになるものと考えております。
 次の○のところですけれども、厚生労働省の調査を引用させていただいておりまして、「転職・求職活動の中で入手した企業の職場情報と比較して、働き始めてから知った実際の職場環境との間に不都合なギャップがあった」と答えている方が、全体の約6割いらっしゃったということです。程度もいろいろあるかと思いますし、ギャップの要因も情報に限った話ではないのかもしれないですけれども、こういったギャップを生じないようにするための取組としましては、職場に関する様々な情報を提供していくといったことが必要なのではないか。そうすることによって、実際の職場環境等との乖離を解消し、労働者の離職率の低下やエンゲージメントの向上にもつながるといったことが期待されるということで記載しております。
 こういった状況の中、先日の職業安定分科会でも御説明させていただきましたけれども、令和5年度、厚生労働省において調査研究を行っておりまして、転職経験者、企業、民間人材サービス事業者を対象に、どういった情報が職場情報として求められているかについて、ヒアリングを行い、検討会を実施してまいりました。また、規制改革実施計画においても、職場情報の開示に関するガイドラインを策定することとされております。
 ヒアリングを通じて分かったことは、企業が求職者等に提供する職場情報あるいは提供時期というものは、企業が人材戦略等に応じて様々考えており、求職者においても、興味・価値観によって求める内容が様々であるといったことが分かりました。また、情報が多過ぎても、求職者にとって煩雑になって分かりづらいといった御意見もありました。
 こういった御意見を踏まえますと、職場情報の提供の内容とか時期を画一的に定めることは、項目によっては適当ではなく、企業の経営戦略・人材戦略を踏まえつつ、求職者等の求めに応じて柔軟に提供していくことが適切であろうと考えております。
 次のところについて、女性活躍推進法を例示しておりますけれども、各種法令において、情報開示・提供が義務づけられております。これに限らず、様々な情報の提供があったほうがよいのではないかということを記載しております。
 次の「また」のところですけれども、資本市場で人的資本開示の取組が進んでおりますので、そういった動向も踏まえることが重要と記載しております。
 以上のような背景の下、今回の手引については、職場情報を広く開示するということに限らず、企業が職場情報を求職者に提供するに当たって、どういった情報を求職者が求められているかといったことを例示し、企業における一般的な課題や対応策を整理することによって、企業がよりよい採用活動を行う上で参考とできるようにしたいと考えております。
 加えて、先日も御意見いただきましたけれども、個々の労働関係法令で定められている開示項目について、一元的に整理することも併せて行っております。
 3ページに行きまして、「なお」のところです。この手引は、今、申し上げましたとおり、企業が労働者を募集する際の参考にしていただくことを目的に作成しているのですけれども、法令の開示項目は募集していない場合にも義務付けられていますので、この部分は労働者を募集していない企業も活用できるものと考えておりますので、その旨、記載しております。
 また、今回、ヒアリングを行ったとお話ししましたけれども、経験者採用の正規雇用者を念頭にヒアリングを行っております。しかし、この手引自体は、正規採用に限らず、新卒者や雇用形態にかかわらず、参考にすることができると考えておりますので、そういった形でも活用いただけるのではないかと記載しております。
 4ページを御覧ください。「労働関係法令等において定められている開示・提供項目等」ということで、現在、法令で定められている項目であるとか、推奨されているような開示・提供項目がありますので、そちらを整理させていただきました。整理の仕方としまして、3つに分けて整理しておりまして、労働者の募集に当たって開示・提供する必要があるもの。こちらは主に職業安定法で定められている項目が中心になりますけれども、募集に当たって提示しなければならないもの。
 2番目が、募集の有無にかかわらず定期的な公表が求められるもの又は公表することが望ましいとされているものということで、定期的に開示していく必要があるということ。
 3番目が、人的資本関係ということで、有価証券報告書に記載が必須とされているもの、あるいは人的資本可視化指針という形で、義務ではないのですけれども、整理されているものがございます。
 これらにつきましては、12ページ以降に別表という形で整理させていただいておりますので、適宜御参照いただければと考えております。
 こちらにつきまして、本日欠席の阿部委員から御意見いただいておりまして、今回、別で整理させていただいておりますが、求人票の段階で明示しなければならないものを分かるようにしたほうがよいのではないかという御意見いただいておりますので、次回に向けて、修正を検討させていただきたいと考えております。
 続きまして、5ページを御覧ください。先ほど申しましたのが法令等で定められているものですけれども、それに限らず、今回実施しましたヒアリング等において、こういう情報を開示・提供すると求職者のマッチングに資するのではないかということでいただいたものについて記載しております。ただ、申し上げましたとおり、求められる情報は多様であって、一律に定めるというのは適当ではないということはありますが、ヒアリングで出た内容などについて例示で挙げさせていただいております。
 整理としましては、企業等・業務に関する情報、職場環境に関する情報、労働条件・勤務条件、また、求職者等の属性による傾向については、転職者の場合や非正規雇用労働者の場合における情報という形で整理しております。ヒアリングにおいては、最近だと在宅勤務とかテレワークが実施できるかどうか、あるいは転勤の有無、その他、業務により習得できるスキルという辺りが比較的求められているのかなという印象を受けました。
 続きまして、6ページですけれども、職場情報の提供に当たっては、通常、法定で定められているものにつきましては、企業単位での開示が義務づけられているものが多いかと思うのですけれども、求職者にとってみると、企業全体ではなくて、自分が配属される部署の状況を知りたいという御意見が多くありましたので、部署単位の情報を併せて示すことが望ましいのではないかということで記載しております。しかし、全ての情報を部署単位で開示するのはなかなか難しいだろうと思いますので、開示に限らず、個別にいろいろな機会を通じて情報を提供することが考えられます。
 「4.提供に当たっての課題や対応策」の(1)職場情報の提供時期・提供方法ですが、今、申し上げましたとおり、多様な提供方法が考えられるところで、ウェブサイトや求人票、募集広告等で、広く一般に誰でも見られるようにするという方法以外に、企業説明会とか選考前の面談、選考中の面接の場、職業紹介事業者を通じて情報提供するといった様々な方法が考えられます。
 特に、開示された情報だけでは判断できないものについては、最近、いわゆるカジュアル面談ということで、選考に影響しない面談を行っているという話もありますし、あるいは所属予定部署のメンバーとの意見交換、職場見学といった様々な提供の方法について御紹介しております。
 一方、求職者にとっては、何でも聞いてもいいと言われても、聞きづらいこともあることも想定されますので、そういったことについては、企業においても積極的に提供を検討いただきたいと考えておりますし、そういった内容については、事前の面談や職業紹介事業者を経由して提供するという方法があります。
 (2)提供する情報の量ですけれども、冒頭、少し申し上げましたけれども、職場情報が過度に多いと、全体的に分かりづらいというような御意見も聞かれました。こちらにつきましては、企業としては情報のめり張りをつける必要があるということで、実際、そういった取組は行われているとは思うのですけれども、アピールしたい情報を重点的に開示する。それ以外の情報については、別のサイトにリンクを張るいう方法も考えられる。ただし、この場合であっても、求職者が求めている情報については、可能な限り適切に提供していただければと考えております。
 一方、こういった形で、あまり幅広く開示すると必要以上に応募者を限定してしまうことも考えられますので、その辺り、各企業の人材戦略において検討されるべきものと考えておりますが、例えば開示の段階で提供するもの、あるいは選考段階において説明していくものといった形で、順番に段階を踏んで提供していくことが考えられるのではないかということで、例を2つほど記載しております。
 (3)資本市場における人的資本に関する情報開示について、こちらはもともと投資家の投資判断等に活用されているものと思うのですが、労働市場においても活用できるのではないかといったお話もありました。
 特に、離職率とか人材開発とかエンゲージメントという項目が開示項目例として挙げられておりますので、この辺は求職者にとっても関心が高いと考えられます。
 こういった人的資本の関係についても、法人全体の情報が多いので、必要に応じて配属予定部署に係る情報に具体化することが考えられます。
 また、人的資本に関する開示項目は、統合報告書とか比較的分量の多いものが多いので、先ほど情報量についての課題を御説明しましたけれども、情報を開示する項目を少し選別することや、別ページに掲載するといった工夫が考えられます。。
 (4)数値情報の提供について、法令の開示項目については、数値情報に関する項目も割と多いですけれども、それぞれの法令における定義に基づき算出されています。一方で、任意に提供する数値情報については、定義等が企業によって異なることもあります。次のページの「以上から」のところで、数値情報の提供に当たっては、定義や算出方法、注釈等を付記することで、求職者の誤解を招くことがないように留意することが望ましいと記載しております。
 (5)実績が低調な取組ということで、企業にとって必ずしもプラスにならないと企業が考えていらっしゃるような情報もあろうかと思うのですけれども、そういった情報を提供しないこと自体が、求職者にとっても不信感を抱かせる可能性もありますので、可能な限り誠実に提供することが望ましいとしております。この場合におきましても、取組情報、今はあまりよくなくても、こういった取組をしています、最近よくなっていますといったところを併せて情報提供していくことによって、求職者の理解が得られることもあると思いますので、そういった形での情報提供をいただきたいと思います。
 (6)情報の正確性というところで、数値情報のところで少しお話ししたとおり、定義が曖昧である、長期間にわたって更新がされていない。あるいは、制度があるけれども、利用されていないといったこともあろうかと思います。
 情報の更新につきましては、企業の負担もあるかと思いますので、そういったところも検討しながら開示・提供が必要だろうと思うのですが、今、掲載されている情報が更新された時期とか、次回、いつ更新する予定なのかといったことも併せて提供することによって、情報の正確性が上がるのではないか。あるいは、制度の有無については、単にこの制度がありますというだけではなくて、利用状況を提供することが考えられます。
 こちらにつきましても、本日欠席の阿部委員からコメントいただいておりまして、正確な情報を提供しないとどういうことが起こるのかということを言及してはどうか、正確な情報を提供しないとミスマッチが生じるといったことを触れてはどうかというような御意見をいただいておりますので、その点についても修正を検討したいと思います。
 続きまして、11ページ、(7)求職者等への情報提供に係る支援について、前回御議論いただいた際に御紹介させていただきました、厚生労働省が実施しております「しょくばらぼ」というサイトがございますので、企業が自社のサイトをつくって更新するのが大変な場合には、こういったサイトの活用が考えられるということです。
 (8)、中小企業におかれましては、人手不足が深刻ですので、こういった「しょくばらぼ」などを利用しながら情報発信いただくといったことも検討いただければと思います。
 手引(案)につきましては、以上になります。今後、できましたら年度内に取りまとめをして、周知のためにリーフレットをつくることも検討しております。
 私からの説明は以上になります。
○山川分科会長 それでは、本件につきまして御質問、御意見等がありましたら、挙手または「手を挙げる」ボタンをクリックしていただいて、こちらで指名させていただいた後に、お名前をおっしゃってから御発言をお願いいたします。
 では、新田委員、お願いします。
○新田委員 経団連の新田でございます。御説明いただき、ありがとうございました。
 本日御説明いただいた手引については、1月10日の分科会で御説明いただいた構成案に基づいて文章化されたものと理解しております。改めて、御説明を聞き、少し感じたことと、確認させていただきたいことがありますので、発言させていただきます。
 まず、職場情報を提供することは、確かにミスマッチ防止に非常に有効だと私も考えます。一方で、各企業において、必ずしも数値化できない情報もあります。今、人手不足で、企業は採用・募集活動に非常に苦労している中で、どのような形でデータを出すのか、あるいは出さないのかといったことも含めて、採用・募集の戦略と考えております。したがって、データの出し方、あるいはデータを出していないことがミスマッチの主な原因と受け取られないような文言にぜひしていただきたいと思います。
 また、今の発言に関連するのですが、この手引がどういう位置づけなのかを改めて確認させていただきたいと思います。説明を聞いている限りは、各企業がそれぞれ募集・採用活動を行う際の参考資料として、特に中小企業を念頭に置かれて記述されていると理解しておりますが、これを強制することが目的と取られないようにしていただきたいと思います。この点について確認をさせていただければと思います。よろしくお願いします。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 御確認の要望ですが、事務局から、まず髙田室長から。
○髙田労働市場情報整備推進企画室長 御意見ありがとうございます。
 まず、情報の開示とか提供を行うことは、ミスマッチの解消において重要だと考えておりますけれども、もちろんこれだけではないだろうと感じておりますので、その点は改めて申し上げさせていただきます。
 この手引自体は、企業の取組を強制するとか、そういうものではございませんので、求職者と企業のミスマッチの解消の一助になるように、企業が採用活動を行う際に参考にしていただくといったことを想定しており、より多くの企業に御活用いただけるように手引を作成してまいりたいと思います。
○山川分科会長 では、吉田課長からもお願いします。
○吉田雇用政策課長 雇用政策課長でございます。
 今、室長がお答えしましたし、冒頭も御説明いたしましたけれども、この手引につきましては、2つねらいがありまして、1つは、各種の法定開示事項等を整備して一覧性を高めるということ。もう一つは、採用時においてミスマッチを防止できるような、企業と求職者のコミュニケーションのヒントになるような情報可視化の仕方という2つです。
 後者については、今、新田委員からありましたように、それぞれ工夫されているということは我々も承知しております。ですから、企業の規模や業種、求める方の人材像の在り方、いろいろな状況によって情報の発信の仕方があると思っておりますが、そうした工夫をしている企業だけではなくて、何から手をつけていいか分からない企業もあるのかなということを我々も把握しておりますので、そうしたところへのヒントということで御提案しているものでございます。
○山川分科会長 新田委員、いかがでしょうか。
○新田委員 ありがとうございます。強制されるものではないということを確認させていただき、安心いたしました。一方で、周知についてはこれから検討とのことでしたので、手引きの位置づけについても周知の際にぜひ徹底していただくよう、よろしくお願いします。ありがとうございました。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 では、大下委員、お願いします。
○大下委員 御説明ありがとうございます。
 今の新田委員の御発言と吉田課長のやり取りに重なる部分がございますが、本手引きについて、大変仔細にわたる内容をまとめていただいた分、中小企業にとっては全部読むにはいささか量が多く、本内容の全てに取り組むと考えた場合、強い負担感を感じてしまうと思います。
 特に今の労働者は情報をよく見て企業を選んでおり、中小企業はできるところからで構わないので、自社の魅力をしっかり伝えるための情報開示に取り組むことが、自社の人手不足の解消につながる一つの手立てであり、そのために本手引をうまく活用していただきたいといった、本手引をまとめた趣旨の説明・導入をすることが非常に大事であると考えます。趣旨を手引きの中に記載する等により、手引の周知の際、趣旨についても併せて周知いただきますようお願いいたします。
また、ハローワークの窓口等において求人票を出してくる中小企業に対して、手引を読むよう伝えても、企業側は前向きに取り組むことが難しいと思います。手引を用いた上で、この情報を出すとより魅力が伝わる、この情報に求人・求職者側は関心を持っている、この情報についてより詳細に書けないかといったような、各企業の状況に応じた丁寧な働きかけを窓口等でしていただけると、中小企業にとっては大変ありがたいと思います。
 私からは以上です。ありがとうございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 それでは、石橋委員、どうぞ。
○石橋委員 ありがとうございます。
 まず、1ポツ、基本的な考え方に、「本手引は、雇用形態にかかわらず、参考にすることができる」と記載いただきました。前回の本部会における議論を踏まえて作成いただいたものと理解しています。御説明にもあったと思いますが、今回、作成する手引が企業においてしっかりと活用され、求職者にとって必要な情報が得られることが重要だと考えておりますので、そのために企業が確認すべき事項をまとめたチェックリストなどを作成していただくなど、企業が積極的に情報開示に取り組めるように促すことも効果的だと考えています。
 また、今回、別表において、法令別に整理していただいてますが、情報別に整理するなど、企業が活用しやすいような工夫もお願いいたします。
 以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 今、御意見、御要望がございました。趣旨に関する表現ぶり、あるいは周知や活用の方法、あるいはハローワーク等の周知の場所等については、もう一回、本件を審議にかけるということですので、御工夫あるいは御検討いただければと思いますが、事務局から何か改めてございますか。
 どうぞ、髙田室長。
○髙田労働市場情報整備企画室長 髙田でございます。
 周知につきましては、先ほど申しましたとおり、リーフレットの作成を検討しておりますので、そちらで周知をしっかりしていきたい。あるいは、ハローワークにつきましても、求人に来られた企業に、ハローワークからしっかり周知して進めていただくことを考えております。
 あと、いただきましたチェックリスト等は、リーフレットと併せて何ができるかということを少し検討するお時間をいただければと思いますので、よろしくお願いします。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 趣旨につきましては、この手引は、先ほど課長のほうからもございましたけれども、いろいろなところに法令ごとに分かれている事項がありますので、それをまとめて一覧性があるものにするという、情報提供に関する情報提供というような趣旨もあって、それは活用できるのではないかと私も考えております。
 ほかに御質問、御意見等ございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、本議題につきましては以上となります。先ほども少し申し上げましたけれども、本日の議論を踏まえて、引き続き、本議題につきましては議論いたしたいと思います。
 本日予定の議題は以上で終了いたしましたけれども、この際、委員の皆様から何か御発言等ございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、本日の分科会はこれで終了いたします。ありがとうございました。