第31回労働政策審議会労働政策基本部会 議事録

政策統括官付政策統括室

日時

令和6年6月10日(月)11:30~13:30

場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)

出席者

(委員)(五十音順)
石﨑委員、石原委員、入山委員、逢見委員、岡本委員、川崎委員、佐々木かをり委員、佐々木勝委員、武田委員、春川委員、守島部会長、山川委員、山田委員
 
(事務局)
田中厚生労働審議官、鹿沼政策統括官(総合政策担当)、青山政策立案総括審議官、中井賃金政策推進室長、平嶋政策統括官付参事官、古屋政策統括官付労働経済調査官、牛島雇用環境・均等局総務課長、地曵職業安定局雇用政策課長補佐、松瀬人材開発統括官付参事官、澁谷労働基準局労働条件政策課長

議題

(1)有識者及び企業ヒアリング
(2)その他

議事

議事内容
○守島部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、第31回「労働政策審議会労働政策基本部会」を開催いたしたいと思います。
 皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 カメラはいませんね。
 本日は、所用により大橋委員と冨山委員が御欠席でございます。また、所用のため、石﨑委員、入山委員、佐々木勝委員は途中での御退席と伺っております。山田委員に関しましては途中からの御参加と伺っております。
 議事に入ります前に、オンラインでの開催に関しまして事務局から説明があります。
○古屋政策統括官付労働経済調査官 事務局の古屋でございます。
 本日はどうもありがとうございます。
 オンラインの開催に関しまして留意事項を御説明いたします。まず、原則としてカメラはオン、マイクはミュートとしていただくようお願いいたします。
 委員の皆様、御発言の際は、参加者パネルの御自身のお名前の横にあります挙手ボタンを押して、部会長から御指名があるまでお待ちいただくようお願いいたします。部会長から指名がありましたら、マイクのミュートを解除して御発言いただくようお願いいたします。
 発言の終了後は、マイクをミュートに戻して、再度、挙手ボタンを押して挙手の状態を解除していただくようお願いいたします。
 通信の状態などにより音声での発言が難しい場合には、チャットで発言内容をお送りいただくようお願いいたします。
 また、会の最中に音声等のトラブルがございましたら、チャットでお知らせいただくか、事前に事務局でお送りしている電話番号まで御連絡いただくようお願いいたします。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。では、まず、本日の進め方に関しまして御説明いたしたいと思います。
 初めに、「中小企業の人材育成・確保」についてというテーマで法政大学のキャリアデザイン学部の佐藤教授にお話をいただきます。
 続きまして、「副業・兼業」についてというテーマで、株式会社みらいワークスの高橋様にお話をいただきたいと思います。
 プレゼンに関する質疑応答と自由討議につきましては、お二人のプレゼンテーションが終了した後にまとめて行いたいと思います。
 それではまず、法政大学の佐藤教授、よろしくお願いいたします。
○佐藤教授 ただいま紹介にあずかりました法政大学の佐藤厚と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 私の今日のテーマは、頂戴したテーマということでもあるのですが、中小企業の能力開発ということでお話しさせていただきたいと思います。
 お手元にございます資料に基づいて進めさせていただきますが、何ぶん時間が限られておりますので、データがいろいろくっついていますけれども、要点だけお話しするような形で時間内に何とか終われればなと思っております。
 まず、能力開発の前に中小企業のという前提があるわけでございまして、これについてはテーマを頂戴してからしばしいろいろ考えまして、基本的なことの確認ということなのですが、大企業と比べたときの格差があるということが前提にあって、代表的には賃金格差なのですが、それに連動して能力開発機会の格差というのも指摘されているところであります。
 ちなみに、この格差は景気の変動に応じて拡大したり縮小したりするということで変動していますけれども、パネルスライド既にゼロのほうにいっていますのでよろしくお願いいたします。
 90年からのバブルから2022のコロナまで幾つか景気の変動があったのだけれども、要するに、格差構造というのは、ここでは1,000人以上を100として99までの数値を決まって支給する月額賃金×12+賞与で表した指数で見ている。労働力銘柄で格差違いますので、男性、女性、大卒、高卒で、年齢で分けているということなのですが、それぞれ微妙な違いはあるとはいえ、例えば男性・大卒、30代前半で見たときには7割強の水準でずっと推移しているということ。ほか、高卒の場合も、男性の高卒の30代前半もやはり、数字ちょっと違うけれども、格差があるということで、この格差がなぜ生じるのかというのは労働経済学などでは非常に大きな問題ではあるのだけれども、大まかにいうと、例えば労働需給の逼迫説みたいなのがあって、景気がよくなると雇用機会が増えますので、異動して、格差が縮まると言われている。あるいはまた、下請収奪説ということで、価格転嫁みたいな議論もそうですけれども、大企業が中小企業の系列の下請企業の収奪をしているので低くなってしまうということと、あるいは労働力の質の差説というのがあって、内部労働市場の普及度、あるいは教育訓練機会の程度ということも提出されているわけで、これは立ち入って踏み込みませんが、私の今日の報告というのはどちらかというと労働力の質の差説、特に内部昇進性の普及の格差説、能力開発機会の格差説に近いものであると私は思っております。
 能力開発分析の枠組みということで、次のスライドですけれども、基本的なことが大事だろうということで、私の今日のデータに基づいたお話も、この能力開発分析の枠組みというものがやはり基本なのだろうということをいろいろ報告することになるだろうと思います。
 この左側の人材ストック、保有している人材ストックがあって、経営方針によって人材ニーズが多少変動しますけれども、そこでどういう人材にどういう能力を求めるかの明確化を基本にしながら、そのニーズのギャップを内部調達で埋めるのが下の流れに入っていくということで、これは配置転換で埋めたり人材育成で埋めたりする。人材育成で埋めていく場合には教育訓練のPDCAサイクルを回してOJT、OFF-JTの自己啓発等の方法を用いて育成していくということでギャップを埋めていくという流れになっていく。
 これを私はここではILM的対応と言っていて、ILMというのはインターナルレーバーマーケット(Internal Labor Market)の略、頭文字で、内部労働市場的対応と、内部にいる人材のストックを内部の方法で高めていくという方向性ですね。これが基本だろうと思っていまして、あとのデータ分析も、これが基本的には多いのだということの確認になります。
 しかしながら、とはいえ、大企業と中小企業との格差があって、能力訓練機会の格差もあることが指摘されているということから言いますと、程度の問題ですけれども、この外部調達、つまり、メイク(make)、バイ(buy)でいうとバイの部分に依存する要素が中小で規模が小さくなるほど大きいのではないかと考えられるわけで、こちらのほうを採用してギャップを埋めていくという考え方が、私はここではELMとかOLM的対応と言っていますけれども、エクスターナル・レーバー・マーケット(External Labor Market)とかオキュペイショナル・レーバー・マーケット(Occupatioonal Labor Markt)とかいう、企業の外側の市場から調達してくるという形での対応と理解してもらえればよろしいかと思います。
 これをもうちょっとなじむ設問というのはなかなか難しいのだけれども、例えば能力開発計画というものを立てて能力要件を明確化している企業グループがあるかというと、ありますと。それと中長期的な能力開発方針を持っているグループとクロスしてみると、そういう明確にしているところほど高くて、逆に、明確にしていないところは育成方針を特に定めていないところが多くなってくる。で、その中間があるということなのですね。明確にしているということは訓練をしていく上での前提になりますから、その上でそれがではどういうものに関連しているかといいますと、ただ単にスキルレベルを上げるだけでなくて、指導者は決めてやっているとか、マニュアルを整備して育成しているとか、内容を吟味してやさしい仕事から難しい仕事へ経験するような一種のキャリアパスを整備しているとか、あるいはこのローテーションで仕事の幅を広げるみたいなこと、あるいは勉強会や提案発表会のようなこともやっているということで、様々な取組もこの度合いに応じて関連していると考えられるという意味で、この能力要件の明確化とか計画化というのはすごく大事ではないかと考えられるということであります。
 次は、私の関わった調査、後で紹介しますけれども、それはちょっと古いデータので、ちょっと新しいのということで、JILPT(労働政策研究・研修機構)が2021年に出しているものを取り上げてみたときに、これは再集計したのだけれども、JILPTのデータ、アーカイブをお借りしました。例えば規模によって、さっき言ったような計画の度合いというのはやはり違っていて、小さいところは少ないのだけれども、大きいところでは大きくなっている、高くなってくるということがあります。したがって、格差構造というのは規模の縮小に応じて計画を持って育成したいのだけれどもなかなかできないとか、能力要件の明確もなかなかしづらいというような制約を持ってくるということを強く示唆しているデータだろうと考えられるわけですね。
 次のスライドにいって、次は採用状況、さくっと見て、定着状況もさくっと見たいと思いますが、さっきの外部からの調達ということで言うと新卒と中途になるのだけれども、これは規模で見たときには、中途のみというのは小さいところが多くなってくるということで、小さいところで、新卒採りたいけれどもなかなか採れないというので、中途依存の度合いが強くなってくるのだろうと考えられる。
 また、どんな人材を採っているかというと、仕事に関わる資格を持っているとか、業界で長く働いていたとか、35歳未満の若い人が高くなってくるということが見て取れます。
 それから定着に関しては、図表7ですけれども、これは要するに平均値と書いていて、単位書くのを忘れてしまったのだけれども、これは割です。ですので、6.52割と見てもらえばいいのですが、入社後3年たちました、辞めました、何人ぐらい残っていますかというときの割合というものを数値で書いてもらったものの平均を個別に見ているということになりまして、このデータでは余り違いはない、規模によるという感じになっています。
 それから8番は、もう一つ、日常的な仕事習得のための取組というので、いわゆるオンボーディング施策と言われているものだけれども、外からニューカマーも受け入れて、いろいろ仕事を教えたり職場を教えたりということでのオンボーディングの、つまり、定着のためのリテンション対策のようなことをやっているかどうかの評価で、うまくいっているという評価を取っているところでは、定着率は7割以上が多くなってくるということが言える。こういう意味では、オンボーディング施策、あるいはリテンション施策が大事であるということが示唆されていることですね。
 それから、審議会の場なので政策的インプリケーションもちょっと考えてみたのですが、当てはまる設問余りないのだけれども、この中で言えば、比較的助成金拡充、在職者訓練、若年向け講習会のニーズが、能力開発方針有というところほど大きくなっているのではないかというのが図表9でありまして、併せて、ものづくり関係の技能検定資格取得の奨励ということで言うと、この計画の程度に応じて、その計画が明確なほどそういうニーズが強くなっているということが言えると思います。
 ちなみに言いますと、今、人材開発支援助成金とか、かつてのキャリア形成助成金ありますが、この要件にも、要するに能力開発を事業主に作成させて提出することを要件として、それに対して一定の規模、あるいは一定の時間数に応じた助成金を支給しているという考え方は、そういう意味では理にかなった話かなと。これをもっと拡充していったほうがいいのではないかと思います。
 それから、私の関わった調査ということですけれども、これも大きく見出されたことということで2つということですが、どちらも先ほどの基本パターンとかぶるような話でありまして、中小企業にもILMパターンが見られて、要するにここでいうILMパターンというのは設問でクロスしたのですが、新卒採用に注力して、人材を長期的視点で、会社主導で育成していくという方針を取っているところでは、ILMパターンと一応呼んでいる。それから、中途に注力し、人材を短期的視点で育成していると回答したところではそうではないので、ELMパターンと考えていると考えてもらえばいいかなと思います。
 したがって、後でも述べますけれども、中小企業にはこのILMパターンになり切らないというか、そういう方向にいきたいのだけれどもなかなかそうならないという、あるいは積極的な意味でそうしていないというパターンがあり得るというところが、規模が小さいほどそういう傾向が強いということが特徴だろうと思われるわけです。
 これはそれを図示したもので、基本的にILMパターンというのは左の図であって、要するに新卒採用から長期的視点で仕事を覚えると昇進していくという、キャリアラダーをだんだん上っていくというパターンですね。中途もありますが、細い線であるということになります。
 それに対して、こちらは、新卒はあるけれども、中途が太い線で入ってくるということで言うと、これではないパターンということで、こっちのパターンになるかなと考えられるということを図にしているということですね。
 あと、企業データによってその企業群がそれぞれのパターンにどういう属性持っているかというのをざっくりまとめたのがこれで、要は、企業規模300人以上の割合で言うと、こちら、少し多いのが、上が要するに左側のパターン、下が右側のパターンで、その中間が真ん中にあると、そんなイメージで捉えてもらえばいいと思いますが、規模がちょっと大きいのが多いということと、創業年が、社歴がちょっと古いのが多いというのと、それから、組織階層ですね。これが多段階に及んで上に上がっていくような形になっている。会社主導が多いというのと、高い職員には外部人材からよりも内部でという形でなっているということで、低いほうはそれと逆の関係になっているという、そんな感じのものを示しているということになります。
 それから、類型別に人事管理方針や職場の雰囲気はどうなのかというのをピックアップしたのがこれなのだけれども、要するに長期雇用方針か育成方針か会社主導かというのを見たときに、中小と大では違いないのだけれども、採用のところで中小と大で違いがあるということが見て取れます。
 それから、それを組み合わせた先ほどの左側のパターン、右側のパターンということで見てもらえばいいのだけれども、それぞれ職場の雰囲気も、いわゆるいい悪いということで言うと、上のほうがいいという回答が多くなっていることが見て取れるということになります。
 それから、能力開発施策ですが、例えばOJT、OFF-JT、こういうものの機会というか、取組も、左側パターンは多くなり、真ん中が中間で、右側パターンは少なくなってくるというのが傾向として見て取れるということになります。これが見出されたことの1つ目です。
 それから2つ目は、それとかぶるのだけれども、要するに、事業主と、それから従業員に聞いていますから、平たい、ほどいた言葉で聞いているわけだけれども、要するに「効果的な人材育成の方法ってどうですか」ということを聞いたところ、これはアンケートで聞いているので、そうすると、長期にわたって勤める、一社で長期というのがILMパターンに重なってくる。
 そうではなく、「会社変わっても同じ仕事を続けたほうがいい」という、これは「同じ仕事」と略して、「一人前まで同じ会社だけど、その後会社変わって」というのが「会社変わって」として、3択の中で選んでもらって組み合わせているという話になります。
 そうすると、ILM的パターンというのがこの一社で長期なのだけれども、中小の経営者の6割、従業員の5割強、中小の製造業の7割強、従業員の7割弱ということで、これがまずは多いのだけれども、やはりそうでないものになりますが、中小のサービスの経営者の2割弱、従業員の2割強、製造業の1割強、従業員の1割強が一社で長期ではないパターンを選んでいるという意味では、ILMになり切れないということになってくるだろうと読んでいるわけです。
 もう一つは、一人前になった後のキャリアということで、いろいろなステップを踏んで一人前になって、その後どうなのかというところで管理監督的な仕事になっていくのが通常のILM的なパターンのキャリアのパスが多いのだけれども、専門性を高められるキャリアを用意しているとか、のれん分け開業機会が多い。理・美容業なんか、これが多いわけですけれども、こういうものを選んだケースがあったり、あるいは一人前後も仕事は変わらないという感じで、あるところから横に寝てしまうといいますか、スキルカーブがね。職人型というかクラフト型と言ってもいいのだけれども、そのようなのがあるということが見て取れるということになります。
 一般的には、昇進して管理職になっていくというキャリアのラダーがある、パスがある場合にはILM型なのだけれども、そうならないパターンを選んでいるというところから言うと、そうなり切らないということと関係しているかもしれない。
 今言ったことをまとめた表だと御覧いただければいいということで、これもそのことを裏づけるデータとして業種別、規模別に見ているということでありますので、数値の詳細説明は省きます。これは何で会社変わってとか、同じ仕事でというふうにILMパターンでないのを選んでいるかというと、まず一番多いのが「本人のスキルの伸びやスキルの幅の拡大が期待できるから」だということで、要するに、うちの会社にいてもらってもちょっとこれ以上スキルが上に伸びていかない。なので、本人が伸ばしたいのであればちょっと変わったほうがいいのではないかとか、あるいは人脈広げたりするようなこと、労働条件を向上したりするということも考えるならば、うちでいてもらうよりは移ったほうがいいよねと考えている経営者と労働者がいるということが言えるだろうと思うわけですね。
 事例もここで挙げていますけれども、見てもらえばいいだろうということであります。A社、B社比較して、同じ製造業の機械・金属で、従業員数も余り違わないという200人、120人ということで言うと、社長の関わり方というのは大きいのだけれども、要するに、業務受注の安定性が、大手の一次サプライヤーがA社なので、これがILMパターンを選んでいるほうなのだけれども、業務が安定的に供給されてくる。したがって、人材ニーズが安定的に発生する。したがって、キャリアパスを描きやすい。したがって、ある程度段階を踏んで上がっていくという構造ができやすいのに対して、B社はそうではなくて、不特定と取引し受注変動が大きいということになると、今言ったようなパターンは組みづらいということになって制約がある。こういう話になるので、能力開発の明確化、能力計画化、これもなかなか難しい。うちはなかなかできないねという話になってくるというのは、後ろの事例のほうに書いていますので、見ていただければと思います。
 見出されたこと2番目の含意というのは、要するに、「一社で長期」でなく、「会社変わって」とかいうものが、いわゆる中小労働者のキャリアの道筋のつけ方として見たときにはどうなのかという話でありまして、このことは合わせ技で、外部労働市場のいわばインフラの整備ということとも関わってくるということで、こういう人たちにとってはこれが重要な課題になるのではないかということになると思います。
 ちなみに、それをサポーティブなエビデンスということで、こういうことで、OLM型のほうがこういう企業横断的な能力評価制度の利用価値が高いと考えられているということですね。2番目にあるように、プロフェッショナル意識が高まるとか、モチベーションとか、こういうことになります。
 これは補足で取っているのですが、事業主で、最近3年間で中途採用やりましたか。はい、やりました、私は転職しましたという労働者側のデータを取っているわけですが、要するに、同じ仕事で横断と言ったときには、同じ仕事で、あるいは類似の仕事で移っていっているかどうかを見ると、これは結構いる。それからあと、スキルアップで、スキル生かせているという方、これも結構いる。それからあと、賃金がアップしたという方、やりがいアップしたという方も結構いるということですが、これは事業主のほうね。事業主、採ったほう、つまり中途採用したほうですけれども、これは要するにどんな人を採ったかということですが、同じ業界で経験のある人、真ん中の黄色ね。それから、下の特定の業務について高いスキル持っている人、業務上必要な資格を持っている人というのがベスト3に上がってきている。
 ということで、同じ仕事を会社変わっても生かしながらアップしていく道筋をつけていくというのが、基本的にはさっき言ったILMパターンになり切らない人たちの方向性ではないのかと、したがって、それはサポーティブなニーズを受け止めるインフラ整備が必要になってくるのではないか。
 まとめは、ここにありますように、計画を立てて、能力開発方針の明確な方針を持つことが大事だろう。そういうところでは助成金の拡充や在職者の訓練、若年者向け講習会のニーズが多い。したがって、あと、ILM的なパターンの場合にはそういうところを拡充していくということがポイントになってきますが、他方で、そうではない、ELM、OLMタイプの場合には、業種の違いもあるけれども、これを支える環境整備が求められているということが言えるのだろうと思います。
 というのが基本、中小企業のというところですね。ただ、この問題は、大企業においても、程度の違いがあって、ニーズがあるのではないかということで、参考までにということで載せているのが図表23になります。これは大企業の管理職、ホワイトカラーの要するに内部労働市場のストラクチャーを見たものなのだけれども、日本の場合、注目したいのは、未経験者比率というのは転職していない人の割合が多くて、いわゆる仕事と教育との関連性、教育の職業的レリバンスと言いますが、レリバンスが弱い。一方で、ドイツ高いですね。それから新卒採用に注力していて、会社主導で異動配置やって、昇進はゆっくりして、キャリアプラトーが遅く来る。また自律的キャリア度合い、プロティアン因子は弱いという形になっているという特徴を、イギリス、ドイツと比べると持っていると考えられるわけですが、最近の成長分野へのリスキリングによる労働移動ということをやろうとすると、いろんなことやらなければだめだということですね。
 要するに、リスキリングだけやっても現実的ではない。例えば仕事と教育の関連性というか、レリバンスを強めなければ、そもそも、外で学んだことのスキル認証を、内部に戻ったときに、それに適合するように処遇制度やキャリアパスを整備していかないといけないのではないか。要するに学んだだけで、よく頑張りましたねで終わる。そういうことが示唆されている。
 ドイツはこれがあるのは、要するに、VETといって、ボケーショナル・エディケーション・トレーニング(Vocational Training or Education,の略)が整備されているので、それは強いわけですよ。イギリスもその中間にある。日本は弱いわけですね。ここをどうするのかというのは、外からのインフラのみならず、内部のそういう処遇体系まで踏み込んだところと合わせ技でやっていかないと難しいだろうと言えるのではないかというのがここで書いていることの意味です。
 それから最後は、懸念点ということで述べたのは、要するに、何だかんだ言ったってOJTが基本になっているというのはどの調査を見ても出ているのだけれども、OJTの担い手は管理職である。管理職は忙しい。背景にはプレーイング・マネージャー化ということがよく言われているわけです。図表はJILPTの調査データを再集計して、「時間配分で、あなたの時間をどれに費やしているか」という設問で、平均以上のものというので見たときに、このbの職場の一員として、つまり、マネージャーにプレーヤーとしてもやっていますよという人たちが黄色のところです。部下数少ないわけですね。ということになってくると、このパターンが続いていくと、OJTの主要な担い手が侵食されかねないということで、人材育成機能が弱まってくる可能性がある。
 ちなみに、これについては、後ろのほうの参考図表のところに、「賃金センサス」で1,000人以上と499人以下までで部下数を推計してみました。ここで部下数というのは、例えばこれは部長なのだけれども、後ろの参考図表のほうにもういってしまっています。一番最後です。
 ここで分けてみたら、1992年から2019年までのところで見たところ、部長の場合、青いマークが499人以下なのだけれども、部長の推定というのは、課長プラス係長プラス非職階を分子にして、分母を部長にしたときに推定部下数として見ているわけです。それで見ていくと、だんだん減ってきている。課長も同じように、係長、非職階を足したものを分子に課長で割ったものを部下と見ているわけですが、それもやはり減ってきているということになりますと、部下数が減っているマネージャーが多いのではないかということが言えるということで、これは懸念事項ということであります。
 私の報告は以上です。○守島部会長 佐藤先生、どうもありがとうございました。では続きまして、みらいワークスの高橋さんにお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○高橋様 ただいま御紹介にあずかりました、みらいワークス地方創生事業の責任者、執行役員をしております高橋と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 本日のお題でございますが、中小企業、とりわけ地域の中小企業の人材確保が難しくなった今、ここ4~5年ですかね、大きく広がっている副業・兼業人材活用について簡単にお話をさせていただきます。
 4ページからお願いします。弊社、みらいワークスと申しまして、都市部の主にプロ人材、専門スキルがある方、高度スキルがある方を、とりわけ地域の中小企業とマッチングというのをやらせていただいている人材会社でございまして、Uターン、Iターンといった地方への転職及び今日のテーマ、副業・兼業のマッチングというのをやらせていただいている会社でございます。
 5ページを御覧いただくと、今、全国各地の中小企業、事業者さんが、人材不足という中で、実はそこを対峙している地域金融機関のほうが人材確保の支援のほうをされております。弊社、みらいワークスは、全国112の各地域の金融機関とおつき合いしながら、その金融機関の先にいる地域の企業さん、そこの人材確保支援というのをやらせていただいております。
 次、6ページお願いします。今日のテーマ、副業・兼業ですが、皆さんも少しずつ耳なじんでいると思いますし、実は各自治体のほうが地域の事業者さんの、人材確保ができない、そしてとりわけ課題解決のプロ人材が欲しいというところで、各自治体がこの副業・兼業マッチングの例えば補助金を支援するような仕組みを設けながら、各地域、実は副業人材確保というところが動き出しているといったところでございます。
 次のスライドお願いします。先ほど佐藤先生のお話で、中小企業のほとんどが中途採用に頼っているというお話もありました。こちら、赤い丸いろいろありますが、それこそ今はやっているDXもそうです、販路開拓もそうです、eコマースをやりたい、新規事業やりたい、様々な課題解決に、従来は中小企業というのはどうしても中途採用するというところに頼らざるを得なかったのですが、ここ数年、働き方改革の一環で広がっている副業ですね。これが主に都市部側で広がってきた今、地域の企業さんの新たな人材確保手段として、この下側ですね。戦略とか企画とかを担う人材を副業・兼業という形で活用してみようではないか、これが今の広がりとなっております。ある程度報酬も安い、企業さんにとってみればリーズナブルに高度人材をうまく活用できる、例えばスポットで月20時間とか、そういった時間、こういった形で専門性ある方を使っていこうというのがこの副業人材の活用の話でございます。
 8ページ、こちら釈迦に説法でございます。生産年齢人口が大きく減っていく、地域によっては30%、40%と減っていく中で、9ページ、コロナもありましたし、今の物価高騰もあります。各地域の事業者さん、何に困っているって、今までのやり方、それこそ勝ち筋、勝ちパターンというのがあった中小企業さんも、これだけ劇的に社会情勢変わりますので、従来の延長線ではない事業の再構築、こういったことが求められている企業さん、本当に増えております。
 例えば左上、ビジネスモデルを変えたい、事業プロセスの刷新、DXしたい、新規事業やりたい、販路開拓したい等々、こういった課題に、地域の企業さん、オーナー社長が、本当に御自身がいろんなことやりながら向き合っているわけですが、なかなか孤軍奮闘状態。社内にこういった左上の課題解決できるような人材がいない。であれば、新たな高度人材、専門人材が必要だよねと、こんな企業さんが多くなっている。
 中途採用というのは、10ページですが、こちらは大手人材会社さんのデータでございます。濃い青のほうが転職を希望している数、薄い青のほうが求人数でございまして、要は転職したい方は張っていないのに求人は倍に伸びているというのがここ3年の動きでございます。それだけ人手不足、人が採れないという状況がかなり急激に進んできているというのがよく分かります。
 こういった中で、11ページ、ハードルの絵を書いておりますが、中小企業さん、中途採用に頼らざるを得ないのですけれども、採用するのが非常に難しいというのが現状。ここに対して新しく出てきているのが12ページからの副業・兼業人材の話でございます。
 13ページ、今我々が主にターゲットにしている人材というのは、こういった眼鏡をかけた人材、例えば大手大企業、製造業にお勤めの方が、普通に月曜日から金曜日まで常勤雇用されている方が月20時間、長崎県の企業で副業する、青森県の企業で副業する、その人が持っているマーケティングスキル、DXスキルを活用して、地域の中小企業の課題解決の支援をする、こういった働き方が都市部to地方という形で広がってきている。
 また、フリーランスの方も随分と増えてきましたので、フリーランスの方も都市部だけでなく、地方で兼業するという方も増えてきております。
 14ページ、こういったところが広がっている背景は、御認識のとおり、厚労省のモデル就業規則の改定、副業容認という形が大きく広がった今、あまたある大企業さんも副業を認めておりまして、各大企業にお勤めの方は、どこかで副業しようか、だったら地方でしてみようかと、こういった形で動いているというのが実態でございます。
 15ページを御覧いただくと、今日お伝えしたいキースライドの一つでございますが、非常に地域で、中小企業で副業したい方が多い。これは都市部の大企業、1,000人に聞いているアンケート、昨年の秋に取っております。各世代違いはありますが、6割ぐらいの方は、うちの会社で副業認められているので、だったら地域貢献を目的に中小企業の支援をしたい、自分が持っているスキル、経験を還元したいなという方が非常に多い。弊社の結果ですが、副業求人の平均応募数15応募というところで、これだけ人がいない、人がいない、採用ができないという中小企業さん多い中でも、副業・兼業マーケットというのは圧倒的買い手市場。15人から1人選べばいいという状態が今この瞬間マーケットで起きております。
 もう一つ、16ページですね。副業といったら多分皆さんも小遣い稼ぎとか、片手間での支援、ただお金のためにということが多いようなイメージだと思うのですが、とりわけこの地域で副業したい方になぜ副業したいですかと聞いてみると、もちろん38%はお金目的と答えているのですが、スキルアップ、やりがい、貢献、さらには地元の地方創生、地域貢献のためにという方が6割いる。どちらかというと、やりがい、貢献心で副業というのに関わりたいという方が多いというのも1つ特徴となっております。
 18ページに進ませていただいて、事業者目線で考える副業・兼業人材のメリット、中途採用と比べてというところがイメージしやすいかと思いますが、特段地域性が、人が採りづらい、特にその地域、移住者が少ない、人口が大きく減っている、そういった地域であっても、首都圏等で活躍する優秀な人材をしっかり確保できるというのが1点目。
 2点目が、大企業でいろんなノウハウを経験されています。実務経験ある方が多い。私、それやったことありますと、私、人事評価制度の構築、何十回やったことありますよと、こういったプロが実際に中小企業の支援をしますので、単純な戦略立案とかコンサルだけでなく、実行のところまでやれる方が多いというところ。
 3点目は、雇用契約でなく業務委託契約を基本としてやっていますので、数か月活用してみる。また次の人材を使う、こういった形もできるというのが特徴となっております。
 この辺をまとめているのが19ページですね。どうしても地域の中小企業、人材確保できません、確保しようとしても年収が折り合いません、その地域に人がいません、これに対して副業・兼業人材であれば経験・スキルが十分な方を、コストも折り合って、ピンポイントに活用できる、こういったメリットがあるというところで今世の中に広がってきております。
 20ページから少し経営者の目線ですが、とにかく経営者が困っていることであれば、その道のプロというのが都市部にたくさんいらっしゃいますので、DXのプロ、販路開拓のプロ、商品開発のプロをうまく活用していこうというのが実際に起きているマッチングでございます。
 21ページのほうも概念として書かせていただいておりますが、どうしても副業というとギグワークみたいなところ、ウーバーイーツ等もありますけれども、そういったイメージ多いですが、どちらかというと、この作業、人手ではなく、社長が悩んでいる、孤軍奮闘している、そこのプロがいないことで事業が前に進まない。その際に、この右側ですね。一緒に戦略・企画から実行できる方をうまく活用できるというところが特徴となっております。
 22ページを御覧いただくと、弊社も全国数百、1,000ぐらいのマッチングをやってきておりますけれども、いろんな地域企業と都市部プロ人材のマッチングでどんな課題解決をしているのかというテーマです。経営全般、M&Aの御相談、新規事業、海外展開等もありますし、人事の悩み、DXの悩み、ウェブマーケティングの悩み、こういったところも非常に多く活用されております。
 とりわけ赤字で下に書いているのが、今我々がいろんな地域の事業者さんからニーズいただいているようなテーマですね。やはりeコマース、WEB、あとはDXですね。この辺は非常に副業人材との相性がよくて、なかなか地域にいないので、では都市部でやっている人使おう、ウェブサービス企業でやっている方を使おう、こういった動きというのが出ております。
 23、24は飛ばしまして、25ページですね。なかなかこれが広がってきていない、まだまだこれからというところではあるのですけれども、特に我々が地域の社長、オーナーにこんな投げかけをよくします。社長ね、何かやりたいけど取り組めていないことないですかと、どんなこと困っていますかと。そんな質問をすると、26ページ、いろんな社長の御回答が来ます。いやあ、課題の整理からやりたいのだけどねとか、人事確保を急ぎたいけど、採用のノウハウがなくてね。販路開拓したいにも営業がうまくいっていないよ、デジタル開発するにもITの人材がいないよといろんな答えが返ってくるわけですが、27ページ、社長ね、一緒にうちで考える人っていますか、困っている、では生産管理のそこの課題、誰が頼りになりますかと。
 次、28ページですね。そういった件をスキルも経験もアイデア豊富で一緒に社長の右腕となって、壁打ち相手となって考えられる方がいるとしたらどうでしょうかと。
 29ページ、実はね、今、副業解禁という流れが非常に広がっていて、都市部の大企業人材もフリーランスの方も、困っているなら、おれ手伝うよという、こういう人が一緒に動いてくれるのだよと。実は鳥取の地域でも、隣のA社さんの社長って、人事制度に副業人材使って評価制度見直して、非常にまた会社の採用も多いらしいよと、こんな話を我々としてはさせていただきます。
 30ページを御覧いただくと、前段の佐藤先生のお話も人手不足の話、人材確保の話ありましたが、どこの企業さんも、人がいない、人がいないと。では社長、人の採り方って今何やっていますか。ハローワーク出していて、人材エージェントさんともおつき合い。それね、今の事情からしたら、ちょっとうまくいっていない理由なのじゃないの。そもそも採用にもプロフェッショナルがいて、中途採用のプロ、新卒採用のプロを使ってしっかり会社の魅力度のPR方法を学べば、こういった求人媒体を使えば実は応募も集まってくるよ。そういったことの課題解決のために人事の副業のプロを使ってみませんかと、こういったお話をさせていただきます。
 31ページ、同じような話で、売上げを上げたい企業様、本当に多いです。ではマーケティングの戦略から、マーケット分析から、ターゲットつくってそこに対して見込み客の獲得まで一緒に動いてくれるような、そんな人がいたら、随分と社長、楽になりませんかと、こういったお話もさせていただきます。
 最後、1つ事例のお話をして終わりたいと思います。32ページですね。こちら、鹿児島県の鹿屋市にある農業法人兼製造業の企業様でございます。従業員40名ぐらいの会社。ゴボウをつくって、そのゴボウでお茶をつくる、こんなことをやっている農業兼製造業でございます。社長がおっしゃっていました。うちの会社もだんだん規模も大きくなり、人事、マーケ、経理、海外、ブランドと課題は山積み。でも、人がいない。ハローワークには専門人材いないし、人材紹介、逆に人が出てこない。コンサルは口だけでいまいちである。こういった社長が、次のスライドですね。
 33ページお願いします。こちらの会社の課題は、営業の業務効率上げたい。製造業ですので、つくった製造、プロダクトの販売もしております。オキスさんには営業のチームもいます。飛び込み営業、チラシ広告、テレアポ、こういった従来型の営業で頑張っていたのですが、この営業の業務効率上げてマーケティングを進化させ売上げを増やしたい。ここに弊社が副業人材集めたところ、20名ぐらい応募がありました。
 その方の1人が、ちょっと社名出していますけれども、大手IT会社にお勤めの30代のマーケッターのプロでございます。この方、月に1回ぐらいは鹿児島に首都圏から飛行機で行かれまして、副業という形で、月20時間程度御支援されました。
 何をしたかと、オキスの営業の皆さんと、これ、むらが多いねと。今どき、営業管理はITツールを使ったほうがうまくできるよ、KPI管理できるよ、ダッシュボードがつくれるよと。ウェブのホームページもこうやることで受注が増えていくよ。こういった支援をしていくことで、やはり外部人材を取り込むことで、販路、マーケティングの進化ができたというような、こんなお話でございます。
 先ほど、教育開発、育成みたいな話も出ておりましたけれども、こちらの事例がうまくいった一つの理由も、この副業人材の方がオキスの営業の方の育成もされました。今どきこうやって営業改革していくとうまくいくよ、KPIはこういう手法で、こういうツールを使って、こうモニタリングしていこうねと。この方がいなくなった後も自走できるようになりますので、そういった意味では企業の育成開発にも副業人材活用できるというところです。
 最後ですね。この企業さんの後日談ですが、実は人事もITも7つのテーマで、全て月5万円ぐらいの報酬での副業人材活用につながって、まさに人手不足に困っている鹿児島の鹿屋の企業様、従業員40名の企業様が他社のノウハウ入れての生産性向上、業務改善につながったという事例でございます。
 御清聴ありがとうございました。
○守島部会長 ありがとうございました。
 それでは、質疑応答、自由討議に入りたいと思います。さっきチャットが入っていたのは入山先生ですか。
 入山先生、今答えられる状況でしょうか。
○入山委員 答えられます。
○守島部会長 すみません。もしコメントとか御意見とかおありになったらいただけますでしょうか。
○入山委員 まず、佐藤さんと高橋さん、ありがとうございました。現状がとてもよく分かって勉強になりました。1点だけ、高橋さんにお伺いしたいのですが、私も、みらいワークスさん、岡本社長とも交流があって、すばらしいことされているなと思っているのですけれども、副業で、例えば、私、今、ロート製薬という会社の取締役なのですね。ロート製薬って、大手企業の中で一番最初に副業を解禁した会社でして、実際、かなり社員、副業、一応やっているという世間のイメージがあると思うのですよ。
 ただ、ここだけぶっちゃけた話なのですけれども、ロート、副業やっているというイメージあるのですけれども、それでも、正社員の副業やっている率って、多分数%なのですよ。いっていて5%とか。つまり、実際、その後、データを中で取ってみると、副業やっている人のほうが明らかにウェルビーイング度が高いのですね。すごく皆さん充実して、副業・本業も働かれるようになっているので、副業大事なのだけれども、とはいえ、一応先進事例と言われているロートでも、しょせんやっているのは4~5%ぐらいだというのが現状でして、多分みらいワークスさんも、そこのマッチングということをされていると思うのですけれども、副業制度がある会社の社員がより副業に前向きに、取り組むべきかどうかという話あると思うのですけれども、私は取り組んだほうがいいと思っているので、その取り組むべきには何をすればいいかとか、その辺の課題感というのは結構御社の中で議論になったりするものなのでしょうか。これが質問です。
○高橋様 ありがとうございます。そこは、今実は我々も逆に大企業側にリスキリングとか、越境教育しませんかみたいな文脈、特にミドルシニアのリスキリング文脈で、副業っていいのではないかと、社外に目を向けるすごいきっかけにもなるし、それから地域貢献にもなるのだったら、40代半ば、50代の方に、ずうっとその会社一社、20年、30年お勤めの方に、副業してもらうの、いいよねと、大体人事の担当役員はそうおっしゃいます。
 ただ、先日もちょっと、社名出していいのか、弊社、プレスリリース出していますので、今、大手電気通信会社さんとアライアンス組んでいまして、ミドルシニアの方、数百人、副業に興味があると登録したのですね。ただ、実際はまだまだマッチングが少ない状況なのですよ。ここの垣根がちょっと高くて、それって何だろうと深掘ると、やはり皆さん、一歩踏み出す勇気がない。あとは、自分が何できるか、なかなか分からない。こういった声になります。ですので、1つ、まずは自分の得意のテーマからやってみようとか、その前のキャリア棚卸しをしてみようというのは、今、その会社ともお話ししている限りですが、こういったところがないと、特に30代の方って、さっきのウェルビーイング高いかと結構積極的に手挙げてしまうのですね。おれ、いろいろやるぜと、1人で3社、4社もやっている方、結構多いです。ただ、40代後半、50代になってきたときに、1つ踏み出しづらい、勇気が要る。こういったところの支援というのは、もしかしたら今のロートさんのところも必要かなあ。
 もう一つは、さっきの競争倍率15倍の席を勝ち取らないと副業にたどり着けないというこの需給バランスが異常におかしいというのもやれない理由になっていまして、やりたい方たくさんいるのですけれども、常に15倍の競争に勝ち残らないとその1席を奪えないと、需要には負けていく。これは需要サイドの広がりがまだまだ弱いからです。地域側も、副業の話をすると、いや、そんなバイト片手間なんか要らんから、この現地に来られる人探してこいという話になるのですけれども、ここをどう地域側が、これは新しい人材活用したら有効だよねと感じてもらうかという、これで需給バランスが整ってくるとやりたい人もたくさんやれるのではないかなとも思っております。
 以上でございます。
○入山委員 ありがとうございました。よく分かりました。
○守島部会長 ありがとうございます。では続きまして佐々木かをり委員、お願いいたします。
○佐々木(か)委員 お二人、本当にどうもありがとうございました。
 今の続きで、副業についてお伺いしたいのですけれども、副業したい、するということの意義は、ウェルビーイングみたいな話も今出ましたし、その方のスキルアップにもなって、もともとの会社に貢献するということだと思うのですが、お調べいただいている中で、この副業申請のプロセスと成功事例の関係みたいなものが、もし御存じだったら教えていただきたいと思います。
 なぜなら、ちょっと知り合いの、最近ちょうど聞いていたケースなのですが、女性ですけれども、ある会社で非常に熱心に働いていて、夜も10時、11時まで会社にいるし、土日も出るしではないですけれども、本当にいいマーケティングやセールスの仕事をしていて、会社からも表彰されているような人で、非常に熱心にやっている。ただ一方で、今どきの若い女性なので、どのレストランでおいしいもの食べたとか、こんな服が素敵とかいうインスタグラムやりたいとか、読者モデルとして何か出てやりたいみたいと考えて、これを収入もないし副業というほどでもないけれども、一応会社に申請したところ、副業を認めている大手の有名な会社なのですけれども、申請の仕方が細かく複雑である、というのです。何のブログを書くのか、何の写真を出すのか、何というコメントを出すのか、全部会社にまず事前に報告して、会社から許可が出たものだけをブログやインスタに書いていいし、写真も許可すると。ものすごい厳しいやり取りがあって、それが嫌で、会社辞めようかという、そんな話まで出ているぐらいで、ばからしい話だと思っているのですね。
 ということは、副業を許可しますと会社が宣言をするのは簡単で、そして社員に副業していいですよというのもいいのですが、実際には、どのような副業へのプロセスとかルールがいろんな企業の中であって、そしてそれと成功事例というのでしょうか、との関係みたいなものをもし研究やデータからお持ちであればぜひ教えていただきたいと思った次第です。
 以上です。
○高橋様 ありがとうございます。申請プロセスのところは、まず、我々のプラットフォームにいろんな人材が手を挙げてくるのですが、ちゃんと認められているよねという確認を取らせていただいているのですね。これはやはり副業という制度がどうなっているかというところがその各社各社さんでルールございます。大体競合はやっちゃだめとか、月何時間までとか、各社各社で副業の社内申請ルールとプロセスが決まっておりますので、そこのところが、今のお話だけ伺うと、副業を認めているという話と実態が乖離しているから起きている話なのかなと捉えまして、我々もそこはある種ノータッチというところは、正直なところございますが、いいお話を聞いて、さっきのロートさんもそうです。三菱商事さんもよく言っております。あとサントリーさんなんかも、新浪社長も副業やってこいという話をされていますけれども、やはりいい会社は、自分が副業やったことがどう結局本業に返ってくるか、そこさえ示せれば自由にやってくださいという会社が非常に副業の出し手として、供給手側として盛り上がっているかなという印象でございまして、副業やって何が本業に生かせるのと、今のインスタの話であればSNSマーケティングというところが、どこに力がつくの、それが結局本業にどううまく生きるのという、何かこの辺がうまくお伝えいただいたりすると、より許容度、制度は認めているけれども、出したくないという現場感というところに対してはそういったお話なのかなあとは今思いました。
 すみません。余りそこのデータ等を持ち合わせていないのでこういった回答でございます。以上でございます。
○佐々木(か)委員 分かりました。今、名前出していただいたようなタイプの大手でございましてね、この会社が。
○高橋様 そうなのですね。では現場は違うのですね。
○佐々木(か)委員 それで、全部目的も副業したいと出している。にもかかわらず、全ての原稿と写真とを一回一回事前申請と言われると、結局何もできないということになっているという実態を聞いたばかりだったので、この副業を進めていって、多くの人がスキルアップしながら定着したりするということにどうやってつなげていくのがいいのかなとちょっと思った次第でした。また勉強してみます。ありがとうございます。
○守島部会長 ありがとうございました。では続いて石﨑委員、お願いいたします。
○石﨑委員 ありがとうございます。今日は音声が私のほうで余りうまく聞き取れていないところがあって、もし既に御報告の中で触れられていたら申し訳ございません。
 まず1点、高橋様への御質問と、もう一点、佐藤先生への御質問がございます。まず1点目の副業に関してなのですが、これまで出てきた質問とも若干関連するかもしれないのですけれども、御社で活躍されている副業人材の方は、本業においてどういうお仕事のされ方をしているのかというところについて、もしデータがあれば教えていただきたいということですけれども、その方々の中には、フリーランスだったり経験者だったり、士業だったりとか、そういう方々が結構多いのか。また、雇用されている場合の勤務形態として、例えば管理職で余り労働時間の管理を厳密に受けていなかったりとか、裁量労働制だったりとか、そういう方が多いのか。それとも、そうでなくて、割と所定労働時間しっかり働いて、だけど、就業後に副業をやるとか、そういうタイプの方も結構いらっしゃるのか、ちょっとその辺の全体の傾向について分かれば教えていただきたいというのが質問でございます。
 続けて、すみません、佐藤先生への御質問も申し上げさせていただきますと、今回の御報告の中で、ILMとOLMないしELMという2つのタイプのあり方があるというお話を伺いまして、恐らくいずれがよいというものでもなくて、それぞれのタイプがあると理解したわけですけれども、こちらのOLMのタイプの企業におきましても、能力開発方針の明確化ということはやはりやっていったほうがいいという話になっていくのでしょうかというところがお伺いしたい点です。あるいは明確化しなくても、中途人材の確保によって対応するので、ある意味、採用時点で必要とされる能力は規定されていて、そこから余り開発という発想とはなじまないという話なのか、それとも、OLMでも何らかの開発方針を明確化してというやり方が必要になってくるのか、この辺りについてちょっと教えていただけたらありがたいです。
 以上2点になります。
○高橋様 ありがとうございます。それでは、高橋のほうから前者の回答をさせていただきます。
 資料上も13ページに副業・兼業というところで整理しました。いわゆる大企業にお勤めの方を、今、界隈では副業と呼び、そういった本業がない方を兼業、フリーランス、あと個人事業主といった、こういった呼ばれ方になっているのがいわゆる通説的な、一般的な言われた方になっておりますが、そもそもどっちがどうなのというところで言うと、今、弊社が実際にマッチングして稼働される方は半々ぐらいになっていまして、副業人材半分、フリーランス人材半分。
 幾つか観点ありまして、テーマによって、フリーランスが強いテーマというのが多いです。特にウェブマーケ、SNS、eコマース、こういったところは、例えばGAFA等御卒業の上フリーランスになり、その後個人事業主でやっているみたいな方は結構強くて、フリーランスでいいではないかという方もあれば、やはり大企業なりの考え方、引き出し、例えば製造業の製造プロセスどうこうとか、品質管理のあり方とか、人事制度、こういったときは副業人材のほうがニーズ多いケースもありまして、1つ分けるところで言えば、課題、テーマによって、副業人材が多い、兼業人材が多いというのがあります。
 あとは、企業さんも結構両方ありまして、フリーランスの方のほうがいいよ。なぜならば時間の融通もきくだろうし、何十社、何百社の支援をしてそうだからというケースもあれば、いやいや、大企業人材のほうがいいです。なぜならば、結構、お金でなくて、親密に寄り添ってやってくれそうだ、そして大企業のいろんな経験を生かしてくれる。これはニーズは両方に分かれていますので、一概にどっちがいいではなく、半々ぐらいになっている。
 その場合の副業人材の働き方も、基本的には各社の、先ほども出ましたけれども、副業ルールにのっとってやられていますので、そういう意味では管理職が多いとか、そうでないとか、そういったところは余りなくて、皆さん、本業の、もちろん規定に沿った働きをしながら、認めている副業のルールにのっとって、では月20時間働いてみよう、土日、夜間、エッジの隙間時間を使ってという、こういったケースが多くございます。
 一旦回答でございます。
○佐藤教授 今の御質問ありがとうございます。非常に大事な論点なので、私自身もまだ詰め切れていなくて、外部依存というのは、ここでOLM、ELMと言っているわけですが、そういうところでの、例えば採ってからの育成とか、あるいは人材開発というのはどうなのかということなわけですね。このタイプというのは、要するに投資に対してリターンという関係から言うと、やはりILMよりリスクを負っているというのは、理屈からいうとそうなるわけですが、しかしながら、OLM、ELMタイプでも、基本的にはコア人材というのは一定程度必要であって、そこの育成というのは当然必要になってくるというのは、職場にもよりますけれども、製造業における例えば基幹的な技能工は、そこはそこでコアがいないと困るから、そこを仮に採ったとしても、そこの育成はやはり自社の中でのいろんなまた特殊的なスキルが必要になってきますから、それはそれで必要になってくるというのがまずあると思います。
 それから、OLM、ELMというのは本当にラフにくくってしまっているのだけれども、例えばそういうコア的なところで外から採ってくるというケースもあるけれども、いわゆるILM的なところでも、例えば新事業開発とか新規事業展開していくというような場合には、ここは要するに内部にそういう人材がいないし、その場合には、要するに育成に時間かかりますから、事業のスピードは高い中で、既存人材を育成することはできないので外部から採ってくるというタイプもあるので、そういう事業の新規性とか、あるいはスピードということとの関係で言えば、一定程度外から採ってくることが必要になりますけれども、実は根っこのところはILM的であるというところもあると思うのですね。
 ここはもうちょっと整理していかないといけないところがあると思うけれども、いずれにしても、コア人材一定程度必要だというような、OLM、あるいはELMタイプでも言えるのではないかというのがざっくりとした回答でございます。
 以上です。
○石﨑委員 ありがとうございました。
○守島部会長 ありがとうございました。では続けて、春川委員、お願いいたします。
○春川委員 ありがとうございます。御両名、御説明ありがとうございました。私からは副業のところに関して、高橋様に御質問をさせてください。
 今日の御説明資料の中に、多くの企業が副業を解禁しているというスライドがありました。先ほど御回答の中で、御社としては、それぞれの企業の副業のルールに関してはノータッチであるとの話がありましたけれども、企業の中で副業を認めていくということであれば、企業の中で労使がしっかりと話し合ってルールを決めていくということがまず大事だろうと捉えています。そういった折には、やはり副業と本業が合わさることによって、働き過ぎという部分が一番心配されるところです。
 この点に関連し、御社で副業をマッチングする際に、例えばクライアント企業に働き過ぎ防止の観点で何か啓発なりアプローチをされているのでしょうか。そうしたことがあれば御紹介いただきたいと思います。
もう一つ、副業人材がその副業先の企業で働くにあたり、副業先での労働条件などについてトラブルが起こることもあり得ると思います。そういった際に、マッチングをされている御社ではどういった形でケアをされているのでしょうか。トラブル防止の啓発を含めて何かされている事例等があれば御紹介いただきたいと思います。よろしくお願いします。○高橋様 ありがとうございます。まず1点目のほうですね。やはり働き方改革の流れで、副業が認められて、過重労働で倒れてしまう、これは本末転倒でございますので、人材側の忙しさというのは、我々のほうで、面談等も入るわけですけれども、やはり確認するケースというのが多いですし、企業さんのほうにも、ぜひ本業の忙しさというのをちゃんと確認してくださいねと。どれぐらいの忙しいというところを把握した上で、大体切り出すのが10時間から20時間ぐらい。こういった業務の切り出し方になりますので、これが40時間、50時間だと、我々も、やめてくださいと、本業ある方は難しいのでフリーランスにしましょうとなりますが、月10~20時間、これぐらいをどう彼がうまく自分のタイムマネジメントしながらやっていくかというところは、しっかり受け入れる社長のほうもケアしながら、繁忙期はいつかを把握した上で業務切り出してくださいねというような、そんな話はさせていただいております。
 2点目の御質問のほうでございますけれども、やはりほうっておくとトラブります。かつ、対面していない、面接もウェブみたいなところがございますので、ここは我々もかなり慎重にケアをさせていただいておりまして、幾つかポイントはございますが、1つは、面接に結構我々が立ち会わせていただいて、面接同席ですね。いわゆる人材と社長が、「あなた、どう?」という面接をするわけです。さっきの15人の応募倍率から勝ち残った3人くらい面接に残るわけですが、そこで我々もしっかり介在することで、社長、この人だったら信頼できる、しっかり任せられるかどうかというところは我々もひとつ目利きとして、サポートのほう、入らせていただきます。
 また、業務のやり方は業務委託契約のいわゆる準委任という形でやらせていただきますけれども、そこの契約の仕方というのも結構我々のほうがサポートさせていただきながら、社長側が記入するであろう個人情報及び機密情報の漏えいとか、働く成果物の取扱い、こういったところは我々もしっかり間に入ることで、極力トラブルのリスクを抑止していくといったところをさせていただいております。
 一旦回答でございます。
○春川委員 ありがとうございます。
○守島部会長 ありがとうございました。では続きまして川崎委員、お願いいたします。
○川崎委員 どうもありがとうございます。いろいろと中小企業のお話、それから副業のお話、聞かせていただき、どうもありがとうございました。
 私のほうからは、兼業・副業のことについて高橋様に少し質問させていただければと思います。昨今、結構、転職市場は拡大しています、中途採用も増えていますというところは皮膚感覚としてもあるのですけれども、一方で、副業って、思うほどは実際やっている人増えていかないですねというふうな感覚を持っていまして、やはりマッチングの難しさがあるのだろうと。幾つかそこに関する質問もあったのですけれども、これから先、みらいワークスさんではこのマッチングのところのそれぞれの地方の金融機関、それから自治体との協力というお話ありましたが、これをもっと増やしていく方向性って何かお考えになっているものがあるかどうか。
 それから、将来的には、今、新卒の社員の約3割は中途の即戦力になる人を採っていこうという数値的な目標を掲げている企業増えているという認識をしているのですけれども、今後、社員のウェルビーイングの向上やスキルアップという観点からも、兼業・副業は有効だと思うのですけれども、企業として考えるときの数値目標的なもの、こういうものがあったら、理想論かもしれませんけれども、よりドライブかける項目になるものがあれば御示唆いただければと思います。この2点になります。
○高橋様 ありがとうございます。御指摘のとおり、まだまだマッチングの難しさというのは我々も、その間に入るプラットフォーマーとして感じている限りでございます。供給側と需要側それぞれ考えるときに、供給側の話の課題は、ちょうど今御質問でいろいろ出ましたが、そもそも認めているというのはただ認めているだけであって、実態伴っていないみたいな、先ほどのようなお話というのもまだまだあるでしょうし、その個人で見たときに、同じ繰り返しですが、副業やってみるってちょっと勇気が要る。おれ、何ができるのだろう、私、何のスキルがあるのだろうと。名刺がない世界で、自分で名前で売っていくって結構難しい。この辺は供給サイドとしての課題なのかなあと思っております。
 一方で、今この瞬間切り取れば、需要側に課題がある。なぜならば、需要の席数が少なくて、供給の人数が多いという状況です。この席数を増やしていくためにはどうしたらいいかというのが、先ほど御指摘いただいているような、やはり金融機関さんとか自治体さん、地域に根差して、ラストワンマイルの人材支援やっている皆さんが、副業・兼業というのはうちの地域にいいのではないかという、この有効性を感じてもらう。これが急がば回れで、やはり一番そこが必要なのかなあとは我々感じております。
 ですので、各地域各地域でいい事例を少しずつつむぎ出していくというところと、最初、事例のハードル高いとあれですので、弊社の金額感も随分とリーズナブルな、この値段なら取りあえずやってみようかなという感覚で今プライシングしておりまして、これで少しずつ各地域に裾野が広がっていくと、今おっしゃっていただいたような、この後の人材不足自体のかなり有効な人材確保手段になっていくのではないかとは思っております。
 一旦回答でございます。
○川崎委員 ありがとうございました。私もかつて地方の自治体さんにDX人材の派遣みたいなことをちょっとだけやったことがあって、なかなか難しい、口で言うほど数が広がっていかないとかいうことを経験して、そういう意味では、協力する自治体以外にもいろいろと広げられてもいいのかなとちょっと思いましたので質問しました。ありがとうございます。
○守島部会長 ありがとうございます。では、続きまして岡本委員、お願いいたします。
○岡本委員 ありがとうございます。副業や兼業がなぜ求められているのかというのが大変よく理解できました。その上で、みらいワークスの高橋さんに2つ質問があります。
1つは、先ほどの春川委員の御質問と重複してしまう部分もありますが、企業が求めるスキルとマッチングされた人材のスキルに乖離によるトラブルについての御相談などを受けたことがあるのだと思います。
 先ほどのお話だと、例えば労働条件については事前に面接などを通じてトラブル防止に努めているというお話もありましたし、多分、仕事内容についてもそういうことをされているだろうと思うのです。しかし、仕事ができるかという点については、結局、実際やってみないとなかなか分からないということもあると思うのです。ですから、そういうトラブル、特にマッチングミスについてなどのトラブルがあった場合に、御社ではどういったことをやっていらっしゃるのか。アフターケアということになると思いますが、もう少し詳しくお話しいただければと思いました。
 もう1つは、18ページの③のところで、「契約期間も数か月から、『お試し』で活用可能」とありましたけれども、大体平均何か月ぐらいの契約からスタートしているのかというところを教えていただければと思います。
 以上です。○高橋様 ありがとうございます。そうしましたら、1点目からですね。アンマッチトラブル、そしてアフターフォローといったお話でございましたが、リスクというところは、先ほど、例えばNDA、秘密保持結びますのところで抑止するわけですが、いわゆる期待値のずれみたいなところは、往々にしてボタンのかけ違いみたいなことが多いのですね。副業人材がやってきたら、何でもかんでもやってくれるスーパーマンではないかという期待と、副業人材は限られた10時間、15時間の中でアドバイスする。ここがかみ合わないと、地域の企業様は、何で、あの大手企業の何とかという会社なのに仕事そんなにできないで、となりますし、人材のほうも、社長がむちゃぶりばかりして、そもそも話が違っていくというふうになってまいります。なので、このボタンのかけ違いというところをどう防いでいくか。
 少し繰り返しになりますが、我々が仲介役として入るケースが多いですので、そこの目線合わせですね。それこそ具体的に打合せというのは月何回やりますか、何時間、それはウェブでやるの、何でやるの、コミュニケーション手段はチャットワーク使うの、スラック使うの、何使うの、メールとか電話はどうするの、成果物って、企画書つくれと書いてあるけれども、それって具体的にはパワポ何枚のイメージ。こういったところをすり合わせていかないと、過剰な期待と過剰な負荷でボタンのかけ違いとなりやすいですので、この期待を合わせていく。あくまでスーパーマンではないですから、困っている課題をうまく月10時間とか15時間、20時間のサイズに切り出すことがすごい大事。使う側になりますので、そこの切り出し方というのは我々のほうもサポートさせていただいております。
 質問の2点目、期間は、本当にお試しでという書き方のとおり、取りあえず3か月やってみましょうよ、社長という、取りあえず3か月が今結構我々的にはテッパンになっておりまして、1か月だと、よく分からなかったで終わります。半年となると、大丈夫かなと、うまくリモートでなんてやったことないし、東京の人がうちの高知県のために大丈夫かなと、こうなりますので、取りあえず3か月使ってみましょう、よければ延長しませんかというところでスタートするケースが多く、結果、平均の契約期間で言うと6.4か月ぐらいです。大体半年ぐらい使って、いろいろ課題解決して終えていくというところが多くございます。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。では、佐々木委員、お願いいたします。
○佐々木(勝)委員 佐藤委員、高橋委員、どうもありがとうございます。大変勉強になりました。
 まず佐藤委員に対する質問ですが、スライドの報告によりますと、内部労働市場的な長期型の中小企業が多いという印象を受けました。内部労働市場的な人材育成の方法が採用されており、従業員を含めてそのような人材育成の方法を好んでいる方がかなり多いということですが、そうすると、根っこのところでは、まだまだ中小企業というのは日本型の雇用制度を採用しているという印象を受けました。
 そうすると、人材育成の方法はOJTがメインになると思いますが、今でも中小企業はOJTを中心とした内部昇進という形を採る年功序列型であり、年功序列型の昇進体系になっているのかと思います。そこで若手に対する人事でも同じような年功序列型の昇進体系にあるのかなというのが質問でございます。
 例えば若手の人が資格を取ったとしても、その資格を取ったことに対する評価というのは、年功序列型の雇用制度の場合はなかなかされにくいと予想しますが、やはり今でも中小企業では、たとえ資格を取ったとしても、それに対する何か昇進させるとか給与を高くするとかいうことはしているのでしょうか。
 次に高橋委員に対する質問ですけれども、今申し上げたとおり、意外と中小企業というのはなかなか内部労働市場的なパターンが多いということになると、やはり内部で人材を育成する傾向が強いと思います。ただでさえ中途採用というのも、人材が不足しているから採用するけれども、基本的には内部人材を育成する方向となると、ますます副業のために、東京のほうから見知らぬ人がやってくるというところに、多分、地方の経営者には抵抗があるのかなという印象があります。確かに地方では人材不足で、人手は欲しいのですが、そこにある程度まだまだ副業としての働き手に対する抵抗感があるのかなあという印象を受けました。その結果、労働需要がなかなか増えていかないということがあるのかなと思いました。
 そういう意味では、求人の開拓という観点から、人材を求める地方の中小企業の方はどこまで副業の方を真剣に採用しようと考えているのかということを教えていただきたい。それと同時に、労働契約するには、秘密保持契約や競業避止義務とかあると思いますが、そういうところはどういう形でクリアーしているのかということを教えていただきたいと思います。
 以上です。
○佐藤教授 どうもありがとうございました。これは、長期ILM型というのが中小でもそういう傾向が、全部ではないけれども強いということで、根っこはやはり日本型という新卒採用、長期的視点から育成で、入ってからの処遇は年功的な性格を帯びてくるというものに適合的という話になるのですが、今回の調査ではそういう傾向が強いのだけれども、要するに、おっしゃったような、資格を取った、あるいは顕著な業績を上げたという場合の処遇やペイへの連動というものをどのように行っているのかというのは、その切り口からの議論というのをちょっとしていくと、また違った議論になってくる可能性はあります。
 ですが、ILM、OLMという切り口の場合には、今言ったような落ち着いた話になっていくのだけれども、OLMの中も、先ほどちょっと言ったことと重なるのだけれども、要するにいろんなタイプと背景を背負って外部依存になっているというところがありますので、その中では、社歴は比較的新しいけれども、キーテクノロジーを持っている。そういうキーテクノロジーをもとに、それを担う人材を例えばタレントとして迎え入れる。その場合には通常のペイでは採れないので、高い報酬を提示して採るといった流れは当然に考えられることであって、そこはもう少し事例などでも丁寧に見ていく必要があります。ベンチャービジネスというか、そういう意味では、今言ったようなタイプの会社が当然含まれてくることになりますから、そこはそこで少し掘り下げていかないといけないかなと思いますけれども、ヒアリングの中ではそのような話も数件散見されたけれども、製造業なんかで見ていくと、やはり落ち着いた日本型のというところが多いのかなと。サービス業の中でも情報産業的なところではそういうところがペイへの連動強めているのがあるのかなというところですかね。
 それから、データ的にははしょってしまったのだけれども、一人前になってからのパターンということで管理・監督者になっていくというのは、これは割と年功的なパターンになっていくわけだけれども、専門職として処遇していくというのは、それはそれとは別枠で、あるいは旧体系の中で少しモディファイしてやっていくという、いわゆる専門プロフェッショナル人材育成のパターンをあえて取っているというところもあるし、他方で、開業ね。つまり、小さな会社の場合にはのれん分けということになるだろうけれども、これは学習塾とか、あるいは理・美容業だとか、こういったところは当然にある程度その中での処遇というのには当然限界がありますから、もう少し稼ぐ、あるいはもう少し人脈を広げつつスキル上げるということになると、内部で抑え込むよりも、やはりのれん分けみたいな形になっていくというパターンもデータ的には出てくるわけで、そういうところではまた通常の日本型の処遇とは違った話になってくると思っています。
 以上です。
○高橋様 高橋のほう、回答させていただきます。ありがとうございます。
 今、御指摘いただいたとおり、保守的な企業様というのはそれなりに多くございます。特に経営者、オーナーが少し御高齢であったりすると、「副業? 何だそれ。要らんわ」という話にはなりやすいというところも我々は肌感覚として分かっているところはございますが、この地方側が、なんかよさそうだけどどうかねと言って、なかなか使わないところを我々としてはやはり周知・啓蒙をし続けるしかちょっとないなというのが今現状感じていることでございまして、セミナーをさせていただくとか。
 特に近い地域のあの企業が使ったというのが意外に受けがよくて、秋田の企業さんに対して、例えば広島ではという話をしても全然刺さらないので、秋田の企業は秋田の企業の話をやはり求めていますので、いや、秋田でねと、こういったところでこんな企業さん使って、随分よくなったらしいよという、こういった分かりやすい象徴的な話をしていくところ。
 あとは課題・テーマの、副業使いませんかというのも全然ピンと来ませんので、DX困っていますよね、人材採用困っていますよね、そこって実はプロ人材をうまくスキルシェアリングできるこういった副業という仕組みがありますよという、ちょっと違うアプローチの仕方などをしながら、本当に地道な啓蒙活動というのが必要になってくるのではないか。
 一方で、使っていただくと、さっきの鹿児島の企業の社長が言っていたのは、びっくりしたと。黒船が鹿屋にやってきたみたいなことをおっしゃっていまして、グーグルに勤めている人が鹿屋に月1来てくれると、黒船襲来みたいなインパクトがあると。それで、お使いいただいて満足度が上がると、いろんな課題テーマ使ってみようというふうにリピートが多いというのも1つ特徴にはなっております。ですので、これをちょっとうまく各地各地で広げていくということが今大事かなと感じております。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。オンラインの方は一応一巡されたので、今度はこの部屋にいらっしゃる方にお伺いしたいと思うのですけれども、では、山川委員、お願いいたします。
○山川委員 ありがとうございます。佐藤さんと高橋さんに2点ずつ質問があって、佐藤さんにお聞きしたいのが、ILMとELM、ここ10年ぐらい見ていると、ILMからELMに移行しているとか、そういう変化はあるのかというのが質問1で、質問2は、主に転職の関係なのですけれども、男女間で格差はありますか。
 何でこういう質問をしているかというと、私は世代的には第二次ベビーブーマーなのですけれども、自分の友人家族を見ると、男性はほぼ転職していないのに、女性はほぼばりばり転職していて、その理由が謎なので、そこら辺で何かお気づきの点があるのかどうかをお聞きしたいと思っています。
 それから、高橋さんには2つ質問があって、1つは、こういう副業とかをする際には基本的には競業は避ける傾向にあるのか、むしろ競業か、少なくとも親和性のある会社に行ったほうがスキル生かせるからそっちに傾くのかという質問が1つと、もう一つはプライシングで、スライドの34ページに月5万と書いてあって、これは何時間なのか分からないのだけど、基本的に黒船が来るのに月5万って、「えっ、安くね?」ってちょっと思ったのですけれども、プライシングはどのようにお考えなのか、この2点をお聞きしたいと思います。
○佐藤教授 ありがとうございます。ILM、OLM、あるいはELMと分けたときの最近の傾向ということですけれども、これは残念ながら、時点をずらしての調査というか、そのような形にはなっていないので、何とも決定打としてのデータは持っていないのだけれども、要は、創業年との関係で、社歴ということからすると、時代背景が違うから母集団がどの程度の頻度でILMが例えば何%からOLMが何%になったかというのはちょっと分からないのだけれども、OLM、ELMタイプというのはやはり企業の社歴が新しいところが多いということは明らかなのですね。したがって、スタートアップしてから3年、5年、10年という形の中で、要するに、それぞれの採用戦略なり人事戦略なり、そういうものもある程度固まってくるというところで見たときにどうなのかという話になってくると思うのだけれども、今までの私の分析経験の中で言えば、割と社歴の新しいところはELM、OLM的なところでいくのだけれども、やはりある程度時間がたってエスタブリッシュされるというか、仕組みがある程度かっちりしてくると、OLM的性格を帯びてくるというのが強いのではないかなと思います。
 ただ、時点をずらしての調査をやってみないとここは何とも言えないというのが制約としてありますね。
 それから男女間の格差のところまでは、その切り口の分析していないので、今の段階ではちょっと、すみません、何とも言えないということで、課題になりますので、よろしくお願いします。
○高橋様 御質問ありがとうございます。2点回答させていただきます。
 まず、競業というところですが、こちらも、供給サイドの大企業の副業のルール、人事制度として競業はだめよというケースはそれなりに多くて、その場合はできないという話なのですけれども、どちらかというと、やはり人材の目線で言えば、職種ですね。人事の評価制度の専門家であれば、評価制度をつくりたい企業さん、eコマースのプロであれば、eコマースのニーズがあるところという形で、業種より職種で選ばれるケース多いですね。事業者さんもちょっと同じ業界の話聞きたいよということもあれば、あえて異業種のやり方聞かせてと、ちょっと新しいアイデアが欲しいのでというケースもあるので、意外にどちらもあるかなというのが1点目でございます。
 月5万円で黒船がやってくるのは本当かという話なのですが、大体20時間ぐらいを5万円程度でというのを、ある程度我々が意図した相場観、プライシングとしてちょっとコントロールしておりまして、それでもいいという方が、1案件15人応募してくるという状況と、地域の中小企業さんで言うと、これが20万という話になるとなかなか、人もいない、でも無理だわという話になりがちなのですが、やはり5万、1桁万円とかなってくると、1つ御予算的にもかみ合いやすくなるというところで、大体20時間5万円程度でどうですかという募集をかけても人が集まってくるので、御活用いただいている。
 先日も総合商社の方が、奈良県の事業者で御支援したのですが、私、この面接出ていまして、その総合商社の方は、社長、きっとお金ないでしょうから、本当に私、5万で十分ですからねと、年収1,500万の方がおっしゃいました。それはやはり目的がお金ではなく、地域貢献。その方がおっしゃったのは、自分は総合商社で、食肉の輸出とかをやっていて、それを求められてマッチングしたのですけれども、自分のスキルがどこまで通用するかの腕試しがしたいというところと、御所属の総合商社ですとなかなか面白いことができなくなってきている現状で、お金でないから、本当に社長お金ないでしょうから、5万で十分ですと、こういう会話が今だと成り立っているような状況ではございます。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。ほかにどなたか。
 では、逢見さん、お願いいたします。
○逢見委員 お二人の先生、ありがとうございました。
 佐藤先生に質問ですが、スライド29のところで、日本の企業内キャリア形成の特徴として、キャリアの企業横断性が低いという点、仕事と教育との関連性が低いという点が挙げられています。これは以前から言われているわけですが、その上で、「それを変えるには企業横断的なキャリアを担保する環境整備が必要」と指摘されています。
この点、企業横断的なキャリアを担保するための環境整備については、これまでもいろいろな試みが行われてきて、例えばジョブカード制度であるとか、あるいは能力と評価をマトリックス化した職業能力開発基準が作られてきました。しかし、うまくいったという話も聞いていません。最近はジョブタグというのもやっているようですけれども、どのようにすれば企業横断的なキャリアを担保する環境整備ができるかということについてのお考えを伺いたいと思います。
○佐藤教授 ありがとうございます。大変重要な御指摘でございまして、私も今ここで、それを変えるには、「企業横断的なキャリアを担保する環境整備が必要」とさらっと書いているけれども、これはなかなかに難しいというところがあるように思っています。今おっしゃったように、これはいろんな仕組みが担保の材料になっていくだろうと思うのですが、要するに、ジョブカード、あるいはジョブタグ、そういう能力評価のマトリックスもそうなのだけれども、基本的にその道筋、つまり、会社が一社の中で完結しないで、複数企業にキャリアがまたがっていくといった場合に、そういうことを希望する人、あるいは余儀なくされている人も含めているというときに、どのように道筋をつけていくかというところから入っていくと、1つは、お仕事を変えないで、それを次のステップにも生かす形でキャリアを生かすことが一つのアップにつながっていきやすいのではないかと考えられているというのが、ジョブカードにしてもジョブタグにしても、要するに学習訓練歴というものを明確化、見える化して、そのことの延長上にキャリア横断型にしていくという意味においてはそういうことになっていくのかなと思うのですね。
 何で同じ仕事とか、あるいは類似のということになるかというと、基本はいわゆる、大学生なんかの就業体験ではないけれども、要するに訓練が必要になってくる。スキルのトレーニングですね。ラーニングでなくて。トレーニングという場合には、要するにある種の具体的な職業や仕事選択という、選択行為が主体的に働かなければまずいけないわけで、職業一般というのはないですから、あるいは仕事一般ってないから、ということになると、どういう業種のどういう仕事のという話になって、そこで要するにスキルトレーニングがあり、その歴史、ヒストリーがジョブカードに反映されて、それを見たコンサルタントがキャリコンとかそういう形が、要するに企業の求めるほうと照らしてマッチングしやすくしていくという思想が基本にあって成り立っているのだと思うのですね。
 そういう意味においては、同じ仕事で横断性をという考え方は、そのように考えると理にかなっている。しかしながら、おっしゃるように、そこがなかなか普及していかない。すみませんが、ジョブカード展開している厚労省には申し訳ないのだけれども、積極的に推進してもらいたいと私は思っているけれども、いろんな調査結果等を見ると、それが決め手になって採用になっていないケースが、やはり報告書を見ても多いのですね。ということからすると、それはなぜなのかというところが、私もいまだに苦闘している問題であるのだけれども、1つは、ジョブカードついでに言うと、あれは下のほうからの若い人のエントリージョブに近いところを想定してやっているのだけれども、ちょっと現実離れしているけれども、ミドルマネージャー層クラスというのは、ある意味では、どっちかというと、ポスティングとか、今言っている役割給とかジョブ型になじむ話なのだよね。つまり、スキル要件、ジョブ要件を明確化しやすいのはどっちかというとそのクラス。若い人は育成を重視するから、だから、結局、ジョブ型にしても、聞くと、若いときはメンバーシップ型になって、一定のマネージャークラス、手前からマネージャーが育ったところでジョブ型、役割給となっているのですよ。僕が聞いた感じだと。
 というふうになってくると、どっちが理論的になじむかというと、前者は育成ですから、そこは余りなじまない。だけど、そこのところを突破口にジョブカードは設計されている。若年の就業支援ですよね。ということからすると、そこにちょっとところが、企業の育成段階からすると若年は育成レベルにあるので、職務要件が明確化されたジョブカードのねらい食い違いがある。また若い人のほうのつまりエントリージョブから入れようとすると、ジョブカード自体の社会的評価ということから言うと、ジョブカードを持っている、あるいはそういうツールでの訓練をしないとだめだった人なのねというようなマイナスイメージがぬぐい切れない。しそこで、思い切って発想を変えて企業の高いスキルレベルのところでも通用するということになるとすると、ジョブカードを使って高いポジションに就職しました、転職しましたという事例が出てくる可能性がある。するとこれはジョブカードの社会的プレステージがあがるという可能性があるわけです。
 ジョブカードの効果がいま一つといわれるもう一つの理由は、キャリアの道筋をつける際の確かに一つのツールですが、VET、つまり職業教育訓練体系が未整備であるという点がある。つまり、企業の外で学んだことの経験やスキル認証が、企業内の業務遂行と相性がよくないという慣行が根強くあることが、やはり壁としてあるのではないかなと思いますね。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。ほかにどなたか。
 武田委員、お願いします。
○武田委員 本日は、佐藤様、高橋様、大変貴重なお話ありがとうございました。それぞれにコメント及び質問させていただきます。
 まず佐藤先生ですが、先ほど最後におっしゃられたところは私も同様に思っており、外で学んだこと、あるいはリスキリングしたことが社内で賃金体系として還元されない問題は大きいと思います。定量分析してみますと、例えば横軸は、左側に定型的なタスクを担う方、右側により創造的なタスクを担う度合いが高い方を並べ、縦軸は賃金を並べてみますと、アメリカは飛び抜けて高い方を除くと基本的に正の相関ですが、日本では、統計的に有意ではない、つまり、相関がないという結論が出ます。そうなりますと、外で学んだことが生かされていないのか、そもそも生かしたとして、賃金で支払っていないのか、どちらかの可能性があると思います。
 もう一つは、仮にスキルなどを見える化できたとして、企業で経営として生かしているのか、生産性上昇につなげられているのか課題感を持っています。多様性を受け入れる文化や慣習、そういったところから変わらなければ、結果的にうまく企業の成長につなげられず、つなげられないから、キャリア人材を特別扱いできないという組織の年功制になっているのではないかと思います。経営の段階で多様な人材をうまく入れていくことを、人的資本経営として何か仕組み化する必要がないかという点について、先生はどのように思われていますでしょうか。
 先日も大手企業が、生え抜きでなく、キャリアの方を社長にしたことで大分話題になりましたように、そういった事例も増えてきていると思います。お考えをお聞かせいただければと思います。
 高橋様につきましては、「えっ、5万円?」と思い同じ意見ですが、実際に効果として、最終的に生産性が上昇するのか。導入企業の実績が増える中で、生産性についての計測を何かされていたらお伺いしたいということ。2点目は、途中で高橋様もおっしゃられた、ミドルシニアという、人生で1社だけの方になりますと、70歳ぐらいまで働く時代にはマッチしなくなってくると思います。兼業や副業を契機に、キャリア人事の最初の導入として、試してみて、お互いにとってうまくカルチャーが合いマッチングしてくると、これからの人手不足の中で健康寿命が延び、働きがい、やりがいのようなこともうまく全体最適が図られるのではないかと思いますが、ミドルシニアの割合が、全体に占める比率としてどうなのか、その2点をお伺いできればと思います。
○佐藤教授 ありがとうございます。武田委員の今の御質問、コメントにつきましては、結論から言いますとなるほどなと思っているところで、なるほどなというのは、私もかねがねそう思っていたといいつつ、今おっしゃったような創造的業務と賃金の関係を見たときの、特にアメリカと日本との対比ですね。そういう結果になるのだろうなと思いますね。
 そこにはいろんな背景要因があるのだろうと思うのですけれども、御質問にあった、外で学んだ訓練、学習の成果の認証を持って、内部のペイ、あるいはもう一つ、生産性向上とか、それが行く行くは会社のパフォーマンスにつながっていくという形がある程度目に見えるというか、実感できるような形になっていくまでが今の段階で、そこの着火点をある意味で超えるとかなり違った話になっていくのかなと。湿った木に火つけてもなかなか着火しない、燻りのような段階にあると私は思っています。創造的業務と高賃金との正相関がアメリカのように日本はなっていない、経営段階で多様な人材をうまく活用仕組みするかをどのようにするかという話は次のステージのところででてくるだろう。私が個人的に注目しているのは、タレントマネジメントの議論があります。
 そこには、長期勤続のハイポテンシャル層、エキスパート人材層、それとバウンダリーレスキャリアと言われている層の大きく3タイプの人材管理の在り方に関心を寄せる研究があります。す日本の場合は、そうした三層構造の人材マネジメントにはなっていないですね。つまり、バウンダリーレスキャリアという層や専門職層を含めた3相続層とはならず、基本的には長期定着的層が主流になっていて、ほかの二層はこの層の中に埋没してしまっており、があり、分析やってもそこはクリアーに出てこないですね。
 エキスパート層も、海外の分析と比べてみると特徴あるものとしてなかなか出てこないという形です。長期勤続の層そこがきちっとした分かれになっていくと、アメリカのような業務の創造性と賃金の高低が正相関になっていくかもしれませせん。そこまでいくにははまだ時間がかかるのではないかと見ています。
 以上です。
○高橋様 御質問ありがとうございました。2点回答させていただきます。
 1点目の、この主たる目的が地域の企業の生産性向上というところで、定量的なところは、我々もよく求められるのですが、例えば分かりやすいところで言えば、eコマースやったことない企業がeコマースやってみたら、月売上げが50万上がりましたみたいな、こういう具体であったり、先日も経理システム入れたら社長の時間が月10時間浮くようになった。これは10%生産性向上。これをトータルで今何か定量で語れるかというとまだそこまで至っていないというのが実態でございまして、ここをどう、生産性向上にはプロ人材使ったらいいねというところまでいけるかというのは、データの示し方とかもあるかなと、今、御質問いただいて感じたところでございます。
 2点目のほうですね。ミドルシニアのところ。我々が今具体でやっているのでいうと、例えば大企業のミドルシニア層に対して、まずはキャリコンですね。キャリアコンサルティングのほうをやらせていただいて、少し棚卸しをした中で、こんな地方の副業あるのですがやってみませんかと。そこでやってもらって、御自身で、こういった自分の力で通用するのだと感じてもらうような、こういった流れをやらせていただいたり、あとは、まだまだ数はこれからですが、副業された方がそのままその企業に転職していくというケースも幾つか出てきています。
 我々、「大人のインターン」みたいな言い方をし始めようかと思っているのですが、副業で1つ足掛かりに、相互理解してもらって、ある種相思相愛になったら、その企業にそのまま身を転じるということもケースとしては幾つか出てきています。ただ、ここ、ボトルネックだと思うのは、地域側は、副業ならリモートでいいけれども、常用雇用となったら絶対現地ねと、これの考え方が強くて、今、東京ですと本当に随分と柔軟な働き方になったので、そこに行かなくてもみたいな、フルリモートみたいな。それが地方だとまだまだフルリモートという概念、今、東京にいながら地方の会社に就職するというところが広がっていないのが、これが広がり切らないのですけれども、ここが逆に地方サイドが、いやいや、あなた、東京に住んでいていいよと。でも、うちの社員で常用雇用ねということができるようになると、また随分と流動化としては進んでいくのかなとは思っております。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。では、石原さん、お願いします。
○石原委員 ありがとうございます。佐藤先生、高橋様、今日はありがとうございました。
 まず佐藤先生に質問したいところがございまして、私も、リスキリングとかいう話で、地方の中小企業の経営者の方々とお話をするときによく言われるのが、リスキリングも含めて能力開発をしたが、能力を獲得した社員が辞めちゃうんだよねと。なので、能力開発に積極的になれないということをおっしゃる経営者が意外に多いと思うのですが、先生の御研究の中で、能力開発とその後の定着なり退職みたいなことの関係を気にされるがゆえに能力開発に積極的になれないというような中小企業経営者は出てくるのでしょうかという話が、お聞きしたいことの一つでございます。
 この件というのは、またさらに言うと、中小企業にとって能力開発負担というのは本当に大企業で思うよりすごく大きいと思うのですが、一つの私の仮説として、今回、先生のお話の中でインターナルですね、ILMパターンが中小企業でも結構望まれているという話は私は意外だったというのがありまして、自分たちも、若い、あるいは非熟練の労働者を採用して自分たちで育てようというよりも、例えば大企業なりもっと中堅の企業に育ててもらった人を中途採用すればいいではないかと考える経営者はそんなに多くないのかというのが私は意外だったのですが、この辺とはどういう関係なのでしょうかというのをまず佐藤先生にお伺いしたいのです。
 このことと、先ほどの兼業・副業の話はまた関わってくるのかなと思っていまして、大企業で能力を開発されて、専門性なり何なりが、兼業のとき、すごく私がいつも気になるのは、あなた、まだ余力ないよねという若手になればなるほど、兼業したい、副業したい意欲とかあると思うのですけれども、先ほど佐々木かをり委員も、企業が認めてくれないというお話あったと思うのですけれども、企業からすると、本当に認めたくない副業ってあると思うのですね。「あなた、まだうちの会社で何の貢献もしていないのに副業とかいうのやめてくれない?」みたいなことというのは企業の内部の人からはよく聞きますというときに、専門性を高めたり、あるレベルの経験値なりを持った人が、この企業では費やし切れないぐらいの余力がありますというときに兼業してくれたらすごくいいなと私は思ったりするわけですけれども、今、兼業・副業を希望する方々ってどうなのでしょうというのと、先ほどおっしゃっていた、地方に住まなくちゃいけないというのがネックになっているという話なのですが、私、一方で、逆もあるのかと思っておりまして、自分が勤めていた大企業と、契約形態を変えて、それこそフリーランスなのか業務委託なのか、週2回の契約社員なのかになって、地方の会社に雇用してもらうとかはないのだろうかというような、それぐらいに実は働き方の選択肢というのは柔軟になっているのではないかと思ったりもするのですが、それはまだまだ全然実現なり現実的ではないお話なのでしょうかという辺りをちょっとお伺いしたいと思います。すみません。整理ができていませんが。
○佐藤教授 ありがとうございます。それは能力開発をめぐる投資とまたリターンとの間のリスク問題ということで、基本的には難問。そのことは、しかしながら、能力開発基本調査なんかでも毎年やっていて、人材育成に関して問題点ありますかというと、75%以上は問題点があると答え、1番目は忙しいから、2番目は辞められてしまうという、3番目ぐらいに来るかな、そのぐらいの感じなのですね。辞められるリスクがあるならば、投資するというのはちょっとリスクだねということになってくるのだろうと思います。
 そうであるからこそ、要するに、リスクヘッジするのはやはり内部に定着して、上にキャリア伸ばして抱え込むという形の中で、これだけ投資したのだから辞めないでねメッセージを送っていくというのが、基本、ILMパターンの場合の考え方になって、そこが非常に強く残っているということなのだろうと思います。でも、理屈からいうとそういう話になってくるということと、それから、要するに経営者なんかの考え方も、インタビューしてみると、結局は自社で、うちの中核人材はやはり新卒で採って、新卒でなかなか採れないというところが悩みの種なのだけれども、採って、できればそこで現場から数年かけて一人前にして、そこから先は現場監督者、管理職というふうにやっていくと考えているというカルチャーは非常に強くあるという印象を持っています。特に製造業の場合ですね。
 そのことと、それから、辞められてしまうとか、あるいは抜かれてしまうという、要するにポーチングという、密猟なのだけれども、そういうところでは、要は、余り投資をしないというか、投資を手控えるというか、そういうスキル投資のジレンマというものがずっとあって、それをどのように解消するかというところで、いろんな工夫を考えられているというところがあると思っています。
 それに比べるとドイツは比較的その問題に苦しまないできたというのは、社会的財として、要するに、育成して、それぞれの熟練労働者でもスキルを持った人間というのは、一社の持ち物、財産ではなくて、要するに社会的財産なのだという考え方が政労使でかなり共有されていて、そのことが標準化された職業資格、そしてそれを持ったスキルワーカー、それを持った採用という形で、仮にその方を採っても、辞められてまた、それは他社にいったのだから財産が移ったのだけど、次の人は別なところからまた採ってくるという一種の人材のアセットのサーキュレーションの中で社会的なコンセンサスを取っていくというタイプがそれであると。
 ただ、そこは歴史的経緯のある話ですから、日本にそれをいきなり持ってくるというのは多分無理なので、日本は、セグメンタリズムというか、一種の企業内訓練主義で、さっき言ったようなリスクは長期で雇用する中でヘッジしていく。結果、内部昇進的なと、こういう話になっていっているのかなと思います。
○石原委員 ありがとうございます。
○高橋様 御質問ありがとうございます。まず1点目です。少しデータを先にお伝えすると、副業・兼業やっている人の世代の割合みたいなところですけれども、実は30~40代で69%に、弊社のデータベース上はなっていますので、20代でまだまだ本業もっと頑張れよという世代は10ポイントちょいというところで、それはもちろん受入サイドもプロとして、その道の専門性ある方としてジャッジしてきますので、中途半端な方だとなかなか難しいというのが実態でございます。
 ただ一方で、例えばそれこそSNSをやってみたい地域の企業さんとか、スマホアプリ、こうなると、もう20代半ばの大手ウェブサービス業とかの方、結構やられていたりもするので、この辺はそこの専門性で、自分で売り物があれば20代でも活躍されているというのがちょっと実態ベースのお話かなとは思います。
 後者の多様性のところも、先ほど御質問あったところまでフレキシブルかというと、まだまだな気がします。特に居住地というところは意外にずっとネックとしてあるような気もしまして、地方に在住しながら東京の会社勤めという方も、コロナもありましたけれども、結果として、今、随分と東京にまた戻ってきているような印象もありますし、その逆の、東京在住で地方で働くというところも、地方企業側が受け入れがたい。フリーランスでいろいろみたいなところも、まだまだ考え方としてはもうちょっと先の話だよねという感覚を持っている地域の経営者が多いような印象でございますので、どうここを多様性のある働き方、いろんな選択肢、組合せというのが出てくるかというのは非常に重要だと我々のほうも考えております。
 一旦回答でございます。
○石原委員 ありがとうございました。
○守島部会長 ありがとうございました。山田委員、何かありますか。
○山田委員 すみません。全然御発表を聞いていないのでとんちんかんかもしれないのですけれども、ただ、さっきの議論の中で、佐藤先生のご報告に係る部分で、石原さんとか逢見委員がおっしゃったところとも関わるのですけれども、日本では確かにインターナルが中心で、いろいろやっているのですが、エクスターナルができていないのですが、やはりニーズが上がってくる中で、私は一つの、難しいのですけれども、何か共通の資格制度みたいなものをもうちょっと何とかできないかと思っています。それはドイツがまさに歴史的にいろいろできたというのはあるのですが、イギリスなんかもそんなにそこは充実していないのですが、NVQみたいな形で一定程度のものができていると思うのですけれども。ドイツは使用者団体が非常に強くて、ここが中心にやっていると理解しているのですけれども、イギリスなんかを見ながら、もうちょっと日本で参考にできるような仕掛けがないか。イギリスの事情、私はそこまで知らないのですが、イギリスに参考になるようなものがあれば教えていただきたい。
 それと、みらいワークスさんの話、本当に興味深い話で、1つは、昔、こういうマッチングやるときに、中小企業側が、人材要件ってはっきり分かっていないと、経営者は何が不足したか分からないと。まさにこれ、さっきおっしゃった、むしろ課題解決型で持っていく。どういう人材が欲しいのではなくて、例えばDXとか。こういうアプローチが大事であって、なるほどなと思ったのですね。
 一方で、労働供給サイドですね。どういう人が行っているのか。既に説明があったのかもしれませんけれども、基本的にはこれは個人が登録するという形ですが、企業が何か間に入って、要は副業というと、分けると、2通りあるのかな。1つはアウトプレースメント型というか、中高年の方で、なかなかキャリアが行き詰まってきているので、これを機会に次のステップにいこうというもの。政府が進めようとした意図にはもともとそういう趣旨もあった。もう一つはバウンダリーレスキャリアというか、より広い、一企業の枠を超えて活躍していって発展していこうというもの。
 そのようなところで見ると、要は、本当はこれがうまく発展していって、最初はアウトプレースメント型なのだけれども、スキルが出てきて、次のところへ移るというようなことになればいいのかなと思うのですけれども。この点に関し、30代、40代がたしか70%ぐらいあるとおっしゃっていましたけれども、50代以降の人たちですね。ここがちょっと実態としてどんな感じになっているのか。そこが何かうまいキャリアの転換に進めるような事例とか、そういうものが増えてきているとか、そういううまいやり方があるということがあれば教えていただきたいということです。
○佐藤教授 山田さん、ありがとうございます。ドイツの資格制度あって、イギリスも、そこまでではないにしても、NVQのような、要するにナショナル・ボケーショナル・クオリフィケーションズという、要するに企業横断して、職業スキル要件というものを学歴と併せて一つのスキーム、フレームワークの全体像の中に位置づけていくということで、企業超えて、また国境超えてみたいな形の流れを、イギリスレベルだけでなく、EU、要するにヨーロッパ、欧州レベルでもという形で展開してきているという流れの中にあるということがあると思います。
 大学の、あるいは大学院の果たしている役割というのが多分大きいとちょっと今思っていて、掘り下げ十分でないのだけれども、これはアメリカもそうなのだけれども、日本のビジネススクールとアメリカ、イギリスのビジネススクール違うというのは、山田さん御存じだと思いますけれども、本当にそこでキャリアアップしようとしているわけですね。日本の場合には、その度合いが非常に少ない。そもそも社会人大学院に行って、そこでファイナンスでも人事でも、エンジニア関係でもいいですよ。ローでも。そういうので学んで、そこでクオリフィケーションというか、そういう認証を取って、そのことが次のキャリアのステップになっていく。そのことが要するに次の会社のペイにももろに効いてくるという。さらに修士課程の上にドクター課程ある。ドクター課程いくともっと上がっていくという。日本は上にいけばいくほど高学歴ワーキングプアになっていくことになっている。イギリス、アメリカの場合にはその構造がまず基本あるということが1つ目大きいと思います。つまり、学校、ビジネススクールで教えているスキル、ナレッジ、何ぼのもんやと。要するに現場でまず経験値でしょうと。これは基本ですよね。だから、そこのギャップがやはり大きいという、その辺りのところをどうするかというところですかね。
 それからあと、そういうことと併せて、要するに地域レベル、産業レベル、あるいは職のクラフトユニオンレベルという、そういうユニオンの役割ね。つまり労組。これもやはり基本は、ドイツ、イギリスは日本よりもそういうクラフトユニオン的な伝統とか、あるいは職能団体レベルでの政労使の組合の関与とか、これは結局大きいのですね。スウェーデンなんかもちろんそうです。そういう産別レベルでの企業横断したところでの組合のスキルへの関与というのがやはり日本よりも積極的になされているから、その意味では、インフラ整備に関する主体としては少し成熟しているところが大きいのかなと思います。日本にいきなりそれを移してできるかというともちろんギャップあるのだけれども、それは一つの参考としてあるのかなと思っています。
 以上です。
○高橋様 御質問ありがとうございます。先ほどあった2系統ですかね。アウトプレースメント型なのか個人の選択では圧倒的後者でございますので、あくまで個々人が自分のスキルアップ、キャリア形成のために、あとは地域貢献したい、やりがいを感じたい、困っている中小企業があれば支援したいというと、こういったところの貢献心みたいなところのほうが今圧倒的に強く、個々人が、特にウェルビーイングのためにやっているというのが今の実態でございます。
 先ほどあった50代どれぐらい、13%が50代、60代以上は6%。もちろん、大手、30年やってきたからこそ言えるようなお話とかも結構あったりするのですが、我々が見ていると、どうしても、結局、ここで採用されている50代もまたどこかで個人で、自分の名刺つくって仕事していますとか、会社の名刺だけでないお金の稼ぎ方をこの20年、30年やったことある方は当たり前のように普通に地域貢献していますし、それを一度もやってこなかった50代の方というのが、急に何していいか分からない、何ができるのだろう、難しそうだというところになってしまうので、今我々も、特に大企業の人事組織から、ここを何とかしてほしいと。リスキリングを実践する場として副業を掛け合わせたいと。そこを越境教育で、うちの社員、今、50代の50人ぐらいをぜひみらいワークスさん通じて50ぐらいの越境教育の場を用意してほしいのだというニーズは結構いただくので、どう大企業と一緒になりながらそこをやっていくかというのが必要かなとは考えております。
 以上でございます。
○山田委員 ありがとうございました。
○守島部会長 ありがとうございました。
 もう時間が来てしまいましたので、私、個人的に質問させていただくことはやめますけれども、多分、今日の議論は中小企業がどうやって人材を確保していくのか、人的支援を、各人的資本をどうやって確保していくのかということの未来形をどのように考えていくのかという問題だと思うのですよ。
 佐藤先生はずっとILMというやり方が今の中小企業で重要視されているというお話をされていました。それはよく分かるのですけれども、それがどこまで続けられるのかという大きな問題があり、また、副業・兼業のほうも、これがどこまで社会的にずっと持続可能かはわからないと思われます。最後のほうでちょっとおっしゃいましたけれども、今日のお話は、現在大企業や首都圏、大都市圏で非常にすばらしい人材プールがあるからこそ成立している話であって、それが本当に例えばスキルが標準化されたり人材の流動化進んでくると、本当にそこのところがサステナブルなのかという問題もあります。結論として日本の経済のかなりの部分というのは中小企業が握っているわけですから、どうやってこれからの未来に人材確保してもらうのかというような問いを今日のお二人のお話の中では非常に考えさせられたように私は思いました。
 ですから、現状と、それから今、副業・兼業という形である程度進んできたこととの先にあるものって一体何なのかということを私は考えて、ずっと聞いておりました。もう時間もありませんので、お答えはいただかなくて構わないと思います。
 それでは、この辺りで今回の議論は終了させていただきたいと思います。非常に活発な御議論をありがとうございました。
 最後に、事務局から次回の日程について連絡をお願いいたします。
○平嶋政策統括官付参事官 どうもありがとうございました。次回は7月1日10時から厚生労働省内で開催を予定しております。よろしくお願いします。
○守島部会長 ありがとうございました。
 それでは、以上で本日の「労働政策基本部会」を終了したいと思います。御多忙の中、御出席いただき、どうもありがとうございました。