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第11回雇用政策研究会 議事録
日時
令和6年6月24日(月)16:00~18:00
場所
本会議会場
厚生労働省 職業安定局第1会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階公園側)
議事
- 議事内容
- 2024-6-24 2024年度第11回雇用政策研究会
○雇用政策課長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第11回「雇用政策研究会」を開催いたします。
本日は、阿部委員、荒木委員、黒田委員、齋藤委員、清家委員、宮本委員、山本委員が御欠席となっております。
カメラ撮影の方はここで御退出をお願いいたします。
それでは、議事に入らせていただきます。今後の議事進行につきましては、樋口座長にお願いいたします。
○樋口座長 皆様、こんにちは。今日もよろしくお願いいたします。
第11回ということで、そろそろ終わりも近づいてきておりますので、本日は報告書案の残りの部分について特に御議論いただきたいと考えております。
その前に、前回からの積み残しの事案が2つほどあったかと思います。1つは高齢者雇用について、もう一つは管理監督者の労働時間に関してということで、この2つについてそれぞれ担当課長から御説明をお願いしたいと思います。
最初に、高齢者雇用に関して高齢者雇用対策課長より、資料1に基づきまして説明をお願いいたします。
○高齢者雇用対策課長 高齢者雇用対策課長でございます。
資料1に基づきまして御説明を申し上げます。
1枚めくっていただきまして、日本の人口の推移でございます。2070年には高齢化率が38%台でございますが、2040年につきましては65歳以上人口が3,928万人、34.8%ということでございます。
次のページは就業率でございますが、こちらも上昇しておりまして、60~64歳は74%、65歳~69歳が52%になっております。
1枚おめくりいただきまして、高齢者の就業理由でございます。収入のある仕事をしている人の就業理由でございますが、収入が欲しいからという方が全体で45.4%ということで最も多くなっておりまして、男性の60~64歳層で特に高くなっております。男女とも年齢が高くなるに従って就業理由は多様化する傾向が見られております。
それから、高齢者の就業しない理由でございます。こちらにつきましては、65歳以上の年齢層においては、「体力的に働くのがきついから」や「健康上の理由」を挙げる方が多くなっているということでございます。
次のページは健康状態でございます。こちらは、65歳以上を対象に調査したものでございますが、65歳~69歳は8割を超える方がよい状態または普通と答えておりますが、年齢が高くなるに従って健康状態はよくないと回答する方の割合が高くなっております。
それから、不本意な非正規雇用労働者の状況ということで、高齢者の状況でございます。65歳以上を御覧いただきますと、男性は10.6%、女性は5.9%が不本意で非正規を選んでいるということでございます。
8ページからが対策でございます。高齢者の雇用対策の3本柱でございますが、左にございますとおり、企業における安定した雇用・就業の確保、再就職支援、多様な雇用・就業機会の確保ということでございます。
9ページは、今申し上げた3本柱をもうちょっと細かく御説明したものでございます。最初に企業における安定した雇用・就業機会の確保ということで、60歳未満の定年の禁止、65歳までの雇用確保措置ということで、これは義務でございますが、65歳までの定年の引上げ、定年制の廃止、65歳までの継続雇用制度の導入のいずれかを選ぶということになっております。それから、70歳までの就業確保措置ということで、これは努力義務でございます。①~③の65歳までと同じものに加えまして、④業務委託契約を締結する制度の導入、⑤継続的に社会貢献活動に従事できる制度の導入を選んでいただくということでございます。さらには、70歳雇用推進プランナー等による相談・援助、助成金による支援を行っております。
次に再就職支援でございますが、これはハローワークに生涯現役支援窓口というものを設置しておりまして、チームによるきめ細かい支援を行っているところでございます。
3番目の柱、地域における多様な雇用・就業機会の確保ということで、地方自治体が中心となった協議会の提案により、多様な就業機会の創出等を行う生涯現役地域づくり環境整備事業の実施、また、シルバー人材センターの設置・運営等を行っているところでございます。
10ページは、先ほど申し上げました企業における安定した雇用・就業機会の確保ということで、60歳未満の定年の禁止、65歳までの義務、70歳までの努力義務ということで再度書かせていただいているものでございます。70歳までの部分の④と⑤は、雇用以外の措置でございます。
次のページが、この実施状況でございます。左側の65歳までの高年齢者の雇用確保措置の実施状況でございますが、こちらは21人以上の企業でございますが、99.9%が実施しているということでございます。定年制の廃止を行っている企業が3.9%、定年の引上げが26.9%、継続雇用制度の導入を69.2%が実施しているということでございます。
右側が70歳までの就業確保措置でございますが、こちらは全体の29.7%が実施しているということで、定年制の廃止は3.9%、定年の引上げは2.3%、継続雇用制度の導入が23.5%、創業支援等措置などの雇用以外の措置は0.1%が実施しているという状況でございます。
最後がこれまでの改正の主な内容でございます。平成6年、1994年に60歳定年の義務化ということで、平成10年4月1日に施行しております。平成16年、2004年でございますが、65歳までの雇用確保措置の義務化ということで、平成18年に施行しておりますが、これは対象者を限定することができる規定ということでございます。
さらに、平成24年、2012年でございますが、継続雇用制度の対象者を限定する仕組みの廃止ということでございまして、平成25年4月1日施行ということで、⑤にございますとおり、厚生年金の受給開始年齢に合わせて基準を引き続き利用できる12年間の経過措置を設けているところでございます。さらに、令和2年、2020年でございますが、70歳までの就業確保措置の努力義務化をしております。
私のほうからは以上でございます。
○樋口座長 ありがとうございました。
御議論は最後にまとめてお願いしたいと思いますが、ここまでのところで御質問がございましたらお願いしたいと思います。よろしいですか。それでは後でまた戻りたいと思います。
次に、管理監督者の労働時間に関しまして、労働基準局総務課長より資料2に基づきまして説明をお願いいたします。
○労働基準局総務課長 労働基準局でございます。
資料2を御覧ください。
前回のこの研究会におきまして、管理監督者については労働時間の規制が適用除外されている中で、長時間労働などになって大変なのではないかといった御指摘がございましたので、実態のデータを御用意いたしました。
資料2の表紙をめくっていただくと、まず、「労働時間の状況の把握・長時間労働者に対する面接指導」というページがございます。管理監督者につきましては、ただいま申し上げましたとおり、労働基準法におきましては労働時間規制が適用除外されております。一方で、前回も少し申し上げましたが、このページに書いてございますように、今から5年前、働き方改革関連法によりまして、労働安全衛生法が改正されまして、過重労働による脳・心臓疾患などの健康障害の発症を予防するため、事業者は労働者の労働時間の状況を把握するという義務が新設されております。そして、その把握した結果、長時間の時間外・休日労働などをしている労働者に対しては、医師による面接指導を行わなければならないこととされております。
本ページの中段の左側にございますが、管理監督者も含めて労働時間の状況の把握義務及び医師による面接指導の実施義務が事業者に課せられることとなりました。このように、働き方改革によって管理監督者の健康を確保するための施策が強化されたところでございます。
次のページを御覧いただきますと、労働時間の状況の把握の方法につきまして記載してございます。2番目の枠内の「『労働時間の状況の把握』の具体的内容」にございますとおり、労働時間の状況の把握とは、労働者の健康確保措置を適切に実施する観点から、労働者がいかなる時間帯にどの程度の時間、労務を提供し得る状態にあったかを把握するというものでございまして、次の項目にありますように、その把握方法としては、タイムカード、パソコンなどの電子計算機の使用時間の記録、あるいは事業者の現認などの客観的な記録によりまして、労働日ごとの出退勤時刻あるいは入退室時刻の記録などを把握しなければならないこととされております。これは管理監督者も同様でございます。
次のページが実際のデータでございます。こちらは令和4年の政府統計であります労働安全衛生調査の結果でございます。具体的には、令和3年11月~令和4年10月までの12か月間、1年間において、1か月の時間外・休日労働が80時間を超えた月があったかどうかを労働者本人に調査をし、その回答割合でございます。
月80時間を超える長時間労働があったと回答した者は、このページの一番右側の黄色にありますように、全職種平均では2%にとどまっておりました。一番割合が多かったのが10%であります建設・採掘従事者でございました。前回御指摘いただきました管理監督者に関しましては一番左側の赤いグラフにしておりますが、管理的職業従事者は4.1%が過去1年間で月80時間を超える時間外・休日労働があったと回答しております。
なお、管理的職業従事者の詳細な定義につきましては、ページの右下にございますが、会社役員、会社管理職員で課長相当職以上の者とされておりますので、労働基準法におきます管理監督者の範囲と厳密に一致しているものではございませんが、おおむねこのデータが管理監督者の実態を表すものと考えております。
前回御指摘いただきましたとおりで、このグラフにもありますとおり、確かに管理的職業従事者につきましては、長時間労働者が他に比べて多くなっております。
この調査は、令和4年の労働安全衛生調査から調査を取り出しまして、今後毎年政府統計で把握をしていくことにしてございますので、引き続き、経年変化にも注意しながら、実態を追いかけて必要な対策を講じてまいりたいと考えてございます。
以上が前回御指摘いただきました管理監督者の労働時間データの御報告でございます。
○樋口座長 ありがとうございました。
それでは、御質問をお願いいたします。
佐藤さん、どうぞ。
○佐藤委員 どうもありがとうございました。
管理監督者の実労働時間について教えてほしいとお願いしたのは、管理監督者は基本的には労働時間規制から外れることは当然分かっていて、それをどうこうしろという意味ではなくて、知りたかったのは実際どのぐらい働いているかというところです。そういう意味では、4ページ目のデータが知りたくて、ただし、この調査を僕は元を見ていないのですが、80時間超えの月があった人の割合なのだけれども、これは超えたというだけで、実際に何時間働いているのかというデータがないのかどうかということです。
例えば、省庁なども労働時間を聞いていますよね。あと、賃構は支払い部分しか聞いていないのか分からないのですけれども、管理監督者も含めてもう少し実労働時間を把握していくことが大事かなと思っています。
特に、政府統計と別に厚労省委託調査などでも、管理職の労働時間の長さ別に、例えばマネジメントの質がどう変わるかみたいな調査があるので、管理監督者の本人の働き方だけではなく、ある程度時間のゆとりがないと質の高い部下マネジメントがやれないのではないかということに関心があったので、これだけではなく、管理監督者の労働時間なり働き方についての把握の調査がもう少しあるといいなという趣旨です。どうもありがとうございました。
○樋口座長 そういうデータは確かにあるのだけれども。
○労働基準局総務課長
今回は前回の議論を踏まえまして、法改正の後の施行状況もきちんと把握しているという意味で御報告をさせていただきました。もちろんその他のデータ等もあろうかと思いますけれども、まず今回は我々の政策的な問題意識があって、我々の統計として取っているものでございます。
こちらの労働安全衛生調査におきましては、具体的な時間数までは調査をしておりませんものですから、こちらの割合で代えさせていただいたという趣旨でございます。御理解いただけましたら幸いでございます。
○樋口座長 ということだそうですが、いかがですか。
○佐藤委員 それはそれでいいですけれども、例えば、雇用均等室の両立課で仕事と生活の調和の委託調査を毎年やっている中でも、管理職の労働時間を聞いていて、それとマネジメントは分かるので、そんな大変な作業ではないので見てもらえればという趣旨です。いいです。
○樋口座長 では、見てください。
それで、私のほうから、先ほどの4ページの※印のところで気になったのは、管理的職業従事者は「会社役員、会社管理職員(いわゆる管理職)で、課長以上の者」ということは、課長未満の者でも管理職員はいるということですよね。管理職員の中には係長なのか分かりませんけれども、係長とかはこの管理職員に入るのですか。ここではデータとしては入らないものを取っているのだけれども、一般に時間のコントロールという面においては、そこのところはどういうふうになっていますか。
○労働基準局総務課長 管理監督者の定義に照らしますと、様々なポストの呼び名はございますけれども、我々が通達で出しておりますのは、例えば工場長、部長、あるいは都市銀行などでの課長以上といったような通達を過去に出しておるところでございます。
具体的には、そういう重要な地位・責任があって、かつそれに見合った待遇があって、よって経営者と一体的に活動をしなければいけない者になりますので、あくまで一般的にはいわゆる通常の企業での係長相当ぐらいでありますと、労働基準法でいうところの管理監督者には当たらない場合が多いのではないかなと思います。
こちらの調査におきましては、課長相当職以上ということでその範囲は切っておりますけれども、おおむね切り方として違和感はないかなと感じております。
○樋口座長 例えば、残業手当を払わなくてもいいのは管理職の中でどこ以上だとか、何か具体的な定義があるのですか。それとも、それぞれの企業に任せているのですか。
○労働基準局総務課長 管理監督者の解釈について通達が出ておりまして、具体的にはその通達に基づいてそれぞれの企業の中で労務管理をしていただいております。
その場合、例えば、係長、課長、部長という名称によって形式的に切るものではございませんので、今申し上げましたような重要な責任と権限があるのか、労働時間について本人に任せられているのか、あるいは、それにふさわしい待遇・処遇がされているのか、そのような点を総合的に勘案することになっております。
なので、いずれにしましても、何かの職名によって一律にラインが外形的に切れているものではないというところでございます。
○樋口座長 ただ、重要であるかというのは主観的ですよね。客観的にみんな多分重要だと思うのですけれども。
○労働基準局総務課長 我々は実態に応じて判断をしておりますので、そこの実態でどのように見るのかということだと思います。もちろん個別にもよるのですけれども、例えば、かつていわゆる「名ばかり管理職」と呼ばれるような者が問題になったこともございましたけれども、そのような場合は、例えば、部下となる労働者についての人事労務管理の権限を持っていない、あるいは処遇においても他の労働者とそんなに違いがないといった中から本当に管理監督者と呼び得るものなのかどうかというのは、幾つかのポイントによって実態でチェックをされるというところでございます。
○樋口座長 佐藤さんが賃金構造基本統計調査を挙げていましたけれども、あれも係長、課長、部長級というふうに3つのクラシフィケーションでなされている。ということは、係長はそういうものに入っているのかな、少なくとも賃金構造基本調査ではそういう扱いなのかなと思っていたのですが。
○労働基準局総務課長 恐らく、賃金構造基本統計調査でのその区分が労働基準法における管理監督者の定義と対応させて聞いているものではないだろうと思います。職名なり職位に応じた処遇の実態を把握しようということでの調査なのだと思うのですけれども、労働基準法上はあくまでも名前にかかわらず実態で判断していくということでございますので、そこはピンポイントで一致するものではないかなと考えております。
○樋口座長 そうですか。
また後で質問をしたいと思いますが、ほかにいかがですか。
玄田さん、どうぞ。
○玄田委員 私はもう一個の高齢者就業のほうで、質問ではなくて、どちらかというとお願いというか意見なのですけれども、まさにこれについて申し上げたい。
私、実はこの年表がとても大事だと思っています。つまり、65歳までの雇用継続の推移を考えると、1990年から20年以上かけて段階的に段取りを踏んでやってきたことがとてもよく分かる表だと思っているのです。
何でこんなに時間をかけたかということなのだけれども、御案内のとおり、この時期はまさにバブルの崩壊とか、その後、「失われた20年」と呼ばれるような、若年を含めた就業確保が非常に難しい時期であったのと同時に、やはり社会保障制度が大きく転換するのと並行して、定年延長や再雇用を非常に細かく慎重にやってきた時期だったので、これだけ20年以上かけてやってきたというのは、結果的にはおおむね成功だったのではないかなと思っています。
その上でお願いというか要望は、次の大きな柱は、今の70歳までの就業機会確保の努力義務が、しかるべき段階で努力が取れて義務化になっていくと思うのだけれども、こういう定年延長とか雇用継続の義務化に対して、政策当局者が一体どういうことに配慮しながら、どういう点に細かく注意しながらこういう制度設計とか段階的な取り入れをしてきたかというノウハウを、高齢者に限らず社会保障とか職業安定も含めて、ぜひ雇用政策担当者にノウハウの継承をしっかりとしていただきたいというのが要望です。このときの担当者はお辞めになっている方も大分多いと思うのだけれども、やはり非常に大事だと思うのです。政策は結果だけではなく、プロセスが物すごく大事なので、そこをぜひ継承していただきたい。
多分状況は大分違って、今度は人が余っている時代から人手不足の状況になる中での就業機会の努力ということと、恐らく90年代のような大きな社会保障制度の変革があるかどうかは見通せないのですけれども、そのときのような変革はないとすると、もしかしたら20年とか20年以上かけた段階的な努力ではなく、しかるべき段階で70歳の努力義務が義務化するとなるのではないかと。
特に気になるのは、氷河期世代というか、例えば第二次ベビーブーム世代が終わった後の1975年ぐらいの生まれが65歳になるのが2040年なので、2040年頃にある程度の政策的な導入とか法律の改正を考えると、時間もあるようでないというか、あと15~16年ということでもあるので、そういう意味で70歳の就業継続について、我々が知り得ないことも含めて、政策導入のプロセスの大事なところのノウハウの継承などをお願いしたいなと思って、いつかこのことをどこかで言っておきたいなと思ったので、この機会ですので申し上げさせていただいたということです。
以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。
これはすぐには答えられないかな。宿題という形で、これは高齢者雇用だけではなくて、ほかのところもということですから。
○玄田委員 お答えをお願いしたいということではなかったので結構です。
○樋口座長 今の玄田さんとの絡みで高齢者のところでいうと、年金の支給開始年齢が既に報酬比例部分については65歳に上がっていて、実態として企業のかなりのところは60歳定年、その後は雇用延長という形で給与が減るわけですよね。それでいて年金はもらえないという、何となく60~64歳の人をどうするのかというのを考えていい時期になってきているのかなと。
例えば、今の60歳定年の義務化というのは1994年に出されているから、既に30年がたっていて、別にここで言ってもすぐに実行されるとは思わないけれども、そろそろ考える時期になってきているのかというような話ですよね。
○玄田委員 鶴さんが手を挙げているのに申し訳ないですが、もう一個だけ言うと、今の40代の賃金が下がっているのは、一つは継続年齢の延長を見込んでいるからやっている。清家さんがいたら絶対言うと思うけれども、ここやはりラジアーの理論がある意味では正しいと思う。そういう形で、継続就業を前提として40代の賃金引下げがずっと続いているわけだから、経済学を踏まえた研究会提言ということを考えると、経済学の立場からも就業継続に関する制度の変更というのを、単なる年金制度との関係だけではなくて、賃金の調整を踏まえた中で、そういうのがある程度妥当性があるのではないかということも、将来この研究会を続けていくときに、ぜひそういうことも論点として考えていただきたいなと、今の座長の御発言を受けて改めて思った次第です。もうこれでおしまいです。
○樋口座長 ありがとうございます。
今後と言わずに、今回の報告書もありますので、皆さんで御検討いただければと思います。
○玄田委員 ちょっと早いかも。
○樋口座長 だから今後検討するということです。
鶴さん、どうぞ。
○鶴委員 鶴です。
今、玄田さんが高齢者のことについてコメントされたので、私も後で質問しようかと思ったのですが、ここでやったほうがいいなということでさせていただきます。
その前に、玄田さんはこの表を見られて御感想を言われたのだけれども、僕はむしろ定年制がある社会というのは、年金の支給開始年齢と定年がずれると、その辺の調整をやるために本当に物すごく時間がかかるということをある意味で示しているものでもあるなということを思って、定年制がない国もあるわけですが、年金の支給開始年齢が変わればそこまで働かざるを得ない。これはもちろん政治的にも非常に難しい部分は変わりはないわけですけれどもね。
しかし、定年制がある国というのは、その調整をしなくてはいけないというのが、物すごく時間がかかるということなのかなと思って、そういう意味では、少し先取りしていろいろなことをやっていかなくてはいけないというのも御指摘のとおりかなと思います。
それで、今出していただいているページに戻って、努力義務ということなので、70歳までの雇用確保の実施状況というのは、結局対象企業の中で3割ぐらいしかやっていない。そのほとんどが継続雇用ですよね。
私の質問は、継続雇用で70歳までやっているという企業は、60が定年で60~70まで継続雇用をやっているのか。それとも、左側のほうで、規模によっては違いますけれども、3割近いところもあるわけですが、定年の引上げをやっている企業もあるわけですよね。そうすると、65歳の定年の引上げをやって、その人たちが65~70までは継続雇用というふうにやっているのか。70まで継続雇用をやっているというのは、一体どっちのパターンが主流なのか、それがもしお分かりであれば教えていただきたいなというのが質問です。
○高齢者雇用対策課長 申し訳ございません。
そのようなところまで数値を取っておりませんが、いろいろあろうかと思います。65まで定年を延長して70まで雇用継続をしている会社もありますし、60までで定年はとどめて70まで雇用延長しているところなど、いろいろあろうかと思いますが、数字的にその辺を取っておりませんので申し訳ございません。
○鶴委員 僕はすごく大事だと思っているのは、例えば10年間継続雇用をやるといったら、その間、60で継続雇用をやるときに賃金が物すごく下がるわけですけれども、また65以上で続けていくときにさらに下がるとか、例えば、10年間やっているということであれば、それはどういうようなやり方をしているのか。そこは2つのパターンでかなりインプリケーションが違うような感じがするので、これはどういうふうにやっているのかということは資料を見ればそういう疑問は当然湧いてくるわけですよね。その辺はしっかり実態が分かるような取組をぜひやっていただきたいなと思います。
以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。
このグラフは左側だと3種類しか出ていないのだけれども、実はもう少し組合せがあるのではないかということになってくる。実は私もこの説明を聞いたときに、もう少しいろいろな組合せがあるのではないかという話をしたのですが、今はこういう調査になっているということですね。集計ではなくて調査票自身がこうなっているのですよね。
○高齢者雇用対策課長 そうですね。
○樋口座長 来年以降、調査票の検討をしていただくということで、これを見ると圧倒的に継続雇用制度で、60で定年になっていて、65あるいは70まで継続雇用になっているということですよね。例えば、301人以上だと81.9%がそうなっていますという形ですね。これは後でまた議論をしていただきたいと思います。
玄田さんが言ったのは、賃金カーブがもう既に出てきている前提として、60歳定年ではなくて定年の延長を考えて出てきているというのが経済学的には考えられるわけだけれども、今のところは60歳の定年になったまま出てきていますねという問題提起で、そこはラジアーのところとは必ずしもコンシステントではない。
この高齢者と管理監督者についてはよろしいですか。
続きまして、次の報告書案について、事務局から資料4-1~4-3に基づいて説明をお願いします。
○雇用政策課長補佐 ありがとうございます。事務局でございます。
それでは、その他の資料につきまして御説明をさせていただきます。資料が大変多くなってございますが、資料3ですが、全体の概要になっております。まだ3章なども議論があると思いますけれども、現時点案を示させていただいているといったところでございます。資料5はデータ集でございますので、今回の御説明は割愛させていただきたいと考えてございます。資料4-1~4-3が本文になってございまして、ここをピックアップしながら御説明をさせていただきたいと考えてございます。
まず、資料4-1の目次を御覧いただければと思ってございます。1章と2章を資料4-1ではお示しをさせていただいております。
1章は雇用情勢です。足元のところの御説明を差し上げておりまして、コロナ禍を経た労働市場の姿を少しまとめさせていただいております。
2章が、今回の研究会報告書の考え方に当たるところでございます。第1章のところは割愛させていただきまして、第2章のところから御説明をさせていただきたいと考えてございます。
4ページになります。今回は行数を入れさせていただいておりますので、御説明の際に適宜活用させていただきます。
まず、29行目のところで「2-2 人手不足を契機とした労働市場の整備に向けて」といったタイトルを書かせていただいておりますが、こちらは考え方のところでございます。前回、玄田先生から人手不足の考え方をもう少し整理したらどうかというような投げかけをいただきました。それを受けまして、人手不足につきまして少し整理をしております。具体的には3類型を示しておりまして、人手不足については、労働需要に対し、労働供給量が追いついていない労働需要超過型の人手不足と、企業が求めるスキルを有する人材が不足している構造的な人手不足、そしてミスマッチの摩擦的な人手不足といったところが考えられるということを書いてございます。
それ以降、各章とのつながりも少し触れさせていただいておりますが、労働需要超過型の人手不足につきましては、女性・シニア世代を含むより多くの個人の労働参加を促進するといったところが重要になってございますので、報告書で言いますと、前回御議論いただきました第3章に関係する形になってございます。
5ページ目の6行目のところでございます。構造的な人手不足につきましては、やはりデジタルトランスフォーメーションといった構造変化がありますので、そういった変化を踏まえて企業ニーズに合った人材を育成していくことが求められるということをお示しさせていただいておりまして、こちらにつきましては、報告書でいいますと4章、5章のところに当たるものと考えてございます。
16行目でございますが、摩擦的な人手不足については、労働者が適職や自身に合った職を見つけ、希望に合わせて円滑に労働移動できる環境整備が重要であると考えてございまして、こちらは報告書でいう第5章のところにお示しさせていただいているところでございます。
23行目でございますが、2040年に向けた雇用政策の考え方について整理をさせていただいています。前回、雇用政策の全体像をもう少し報告書の中に盛り込めないかといったお話や、宮本先生からいただいたところでございますが、これまで雇用政策におきましては、サプライサイドオリエンテッドなものであったと。今回の報告書の議論を聞いてみると、エンプライヤーオリエンテッドが強調されているのではないかという御指摘もいただきました。そういった考え方を踏まえて整理をしたところでございます。
24行目辺りから読み上げさせていただきますが、2040年の労働市場に向けて、どのような雇用政策が望ましいのか、そういった共通のイメージをつくり上げることが重要になってくる。
28行目のところでございますが、これまでの雇用政策では、不況期での失業対策を念頭に、再就職のための職業訓練や雇入れ助成などを、労働者の雇われる力に力点を置いた政策が取られてきた。一方で、供給制約が一層強まる中においては、企業が新たな人材を獲得できる力とか企業が必要な人材を確保し続けられる力を高めるといった観点をより考え、政策を展開していくべきではないかという考え方をお示しさせていただいてございます。
6ページの3行目のところでございますけれども、前回、労使のコミュニケーションは非常に重要だといった御指摘もいただきましたので、考え方に記載させていただいておりますが、どのような職場環境が望ましいのかについて企業側と労働者側が適切なコミュニケーションを行う。そして実情に合った取組を行うことが重要ではないかという記載を書かせていただいております。
2章の考え方のところは以上となってございます。
次に、資料4-2でございます。
目次を御覧いただければと思います。「新たなテクノロジー等を活用した労働生産性の向上」というタイトルになってございます。こちらは昨年の末、12月に一度取りまとめているところでございまして、少し追記してございます。そこについて御説明をさせていただきます。
1ページ目でございますが、昨年、取りまとめたところでは、AIに注目してございましたが、やはり労働生産性を上げるといった観点から見ますと、省力化投資とか業務の改善も重要ではないかという御意見もございましたので、1ページ目の11行目のところに、新たなテクノロジーの活用だけでなく、従来の省力化投資や業務の改善を行うといったところも重要であるという記載をさせていただいてございます。
また、26行目でございますが、日本の労働生産性を高めるためには、必要な省力化投資や業務改善を行うとともに、雇用の質を高めるべく、人的資本投資を行っていくことが必要であるという記載も追記させていただいております。5章へのつながりというのも少し意識をしてございます。
その他、第4章で追記したところを御紹介させていただきますと、6ページ目の19行目に「新たなテクノロジーに関する足下の動き」といった記載がございますけれども、2024年3月に欧州議会でAIの規制というのもできましたので、そういったところを御紹介させていただいたり、あとは日本の中の動きを御紹介させていただいているところでございます。
4章は以上でございます。
最後に資料の4-3でございます。今回のメインのところになりますけれども、第5章になってございまして、「労働市場におけるインフラ整備等」といったタイトルになってございます。
少し目次で構成を御説明させていただきますと、5-1は考え方、5-2が企業を通じた対応でございます。5-3は個人に向けた対応、5-4が労働市場の機能強化といったところで第5章をまとめさせていただいております。
1ページ目でございます。2行目以降に考え方を書かせていただいておりますが、テクノロジーの進歩が加速し、社会経済情勢が目まぐるしく変化する中、多様な個人が自身の希望する職業キャリアを実現し、広く活躍できる労働市場の構築が重要であるということをまず述べさせていただいております。
その上で、6行目以降でございますが、これまで、正規雇用につきましては、長期雇用を前提として同一企業内でのキャリア形成を通じた活躍が一般的でありましたけれども、近年は多様化が進んでいる。非正規雇用におきましても、よりよい就労条件を持った職場選択も望まれているところでございますので、そうした個人が幅広く活躍できる環境整備が重要だということを記載させていただいております。
その上で、13行目以降でございますが、労働市場のマッチング機能の強化や人材育成支援、労働市場の見える化といった対応をしまして、総合的な労働市場のインフラ整備を行うことが求められるという形でまとめさせていただいております。
1ページ目の26行目以降で、企業を通じた支援といったところを記載させていただいておりますが、28行目以降に文章がございますけれども、近年、DXやGXといった構造変化が見られている。その中で、やはり変化に柔軟に対応して、キャリア選択やスキル習得を自律的・主体的に行える人材を育成していくことが求められるといったところを書かせていただいております。
2ページ目の9行目以降でございますが、そうした自律的・主体的な人材を育成していくためには、労使のコミュニケーションを通じて、しっかりと人材育成が重要だといったところを認識した上で、企業内で仕組みづくりが必要なのではないかといった話。
19行目のところでございますけれども、自社のパーパスに即した人材育成を行い、労働者のエンゲージメントを高める雇用管理を行う。そして、労働者の希望するキャリアとすり合わせを行いながら、戦略的に人材育成を行っていくことが重要だというところを記載させていただいてございます。
23行目以降のところでございますが、具体的にどういうふうにすり合わせていくかといった話でございますけれども、企業内のキャリアコンサルティングに着目をしてございます。
3ページ目のところに、セルフ・キャリアドックの記載が細かくございますが、そうした企業内のキャリアコンサルティングを通じた労使のすり合わせが重要なのではないかと考えてございます。
3ページ目の19行目以降で、企業内での能力開発のところに少しフォーカスをさせていただいてございますが、様々な構造変化の中で能力開発が重要になってございます。一方で、様々なデータを見ますと、日本企業の能力開発への対応が十分ではないのではないかというデータ等も見られるところでございます。
そういった中では、4ページ目の13行目以降に少し記載がございますが、企業の経営戦略と労働者の希望をすり合わせながらキャリア形成を行っていく中で、能力開発が戦略的に行われることが重要である。そして、マネジメント層がリーダーシップを発揮し、労働者自身が自律的に能力開発を行うことができるよう、学びに取り組みやすい環境整備や、気運の醸成をやっていくことが重要ではないかという記載をさせていただいてございます。
具体的な支援でございますが、5ページ目の1行目以降でございますけれども、社内の訓練プログラムを充実させていくといったところが企業側は求められておりますし、政府はこうした企業の対応につきましてしっかり支援をしていく必要がございます。
5ページ目のところにいろいろと施策が書いてございますが、人材開発助成金の利用であったり、ポリテクセンターのサービスの活用促進をしていく必要があるのではないかという記載をさせていただいてございます。
6ページ目の5行目以降でございますけれども、そういった企業内の制度の整備だけではなくて、システム的にうまく好循環をつくっていく必要があるのではないかと考えてございます。
14行目以降にポジションのことを記載させていただいてございますけれども、各ポジションに望まれるスキルとか経験を明確化し、労働者が当該ポジションを獲得するためにスキルの習得に取り組むインセンティブを高める仕組みを構築することが重要であるということを書かせていただいてございます。また、先ほど管理監督者の話も少しありましたが、管理職の魅力を高めていくといったところも同時に重要であるという記載をさせていただいているところでございます。
以上が、企業を通じた対応でございます。
25行目以降に個人を通じた対応を書かせていただいてございます。
5-3のマル1のところは考え方でございますが、27行目以降でございますけれども、個人が自身の希望に応じて活躍できる労働市場を構築していくことが必要である。そのためには、個人が多様なキャリアに関する相談ができ、必要なスキルが習得できる環境を構築すること、また、キャリアラダーが見える労働市場を構築していくことが求められるという考え方を記載させていただいてございます。
具体的な取組を7ページ以降に書かせていただいてございますけれども、最近の動きを御紹介させていただいてございまして、13行目以降でございますが、近年では自身のスキルや経歴をオンライン上でオープンにすることでシグナリングを行い、企業とのマッチングを図るビジネスSNSの活用も進んできております。そうした民間の動き、民間のサービスの変化なども見ながら必要な支援をやっていく必要があるのではないかという記載をさせていただいてございます。
8ページ目が具体的な政策対応のところでございますけれども、例えば、24行目以降に教育訓練給付制度の重要性、そして対象講座におきましてデジタルに対応していくことが重要であるということを記載してございます。まさにこれまで対応してきたことをしっかりやっていく必要があるのではないかという記載でございます。こちらが個人を通じた支援でございます。
9ページ目の5-4のところでございますけれども、こちらが最後のところでございますが、労働市場の機能強化のところでございます。
8行目でございます。「労働市場の見える化によるマッチングの向上」といったところでございますが、様々な需要不足失業とか均衡失業といったところを見てみますと、やはり労働市場における需給の調整機能の強化が今後求められると考えてございまして、労働市場の見える化を含む、労働市場のインフラ整備を行っていく必要があると考えてございます。
18行目以降でございますが、キャリアラダーの構築がやはり重要なのではないかなと考えてございます。
まず、適職を見つけるといった観点では、30行目でございますが、今まで厚生労働省におきまして、job tagにおきましてタスクとかスキル等の様々な情報を提供してございますので、労働者が自身に合った職を見つけられるような支援が引き続き重要なのかと考えてございます。
10ページ目の3行目以降のところに少し記載がございますが、リーフレットも作成してございますので、キャリア教育にも活用できるのではないかと考えてございます。
また、13行目以降のところでございますが、職業ごとのキャリアラダーは必ずしも進んでいないといった現状も見られると考えてございます。その中で、2024年3月でございますけれども、団体等検定制度も創設されておりますので、そういった公的な枠組みも活用しながら、業界内でしっかりとスキル標準化を行いまして、業界ごとにキャリアラダーをつくっていくといったところが、人材を確保していく観点からも重要となると考えてございます。
11ページ目でございますが、先ほどは職業といった観点でございましたけれども、やはり職場といった観点も重要かと考えてございます。
10行目でございます。「自身に合った職場を見つけるための支援」といった記載がございます。
22行目にしょくばらぼの記載がございますけれども、やはり職場の情報が重要と考えてございます。しょくばらぼにおきましては、若者雇用促進総合サイトとか女性の活躍推進企業データベースといった情報が一括して見られる仕組みになってございます。こういった企業や職場の情報のデータベースを拡充するといったところで、労働者が自身に合った職場を見つけられるようなインフラ整備が重要になってくるのではないかというのが1点目でございます。
12ページ目の12行目以降に、ハローワークの機能強化がございます。民間紹介サービスも、テクノロジーを活用した様々なマッチングなどをしているところでございます。そういった中で、これまでのハローワークの強みを生かしたサービス強化をしていくといったところも考えていく必要がございます。
26行目以降に少し記載をさせていただいておりますが、全国に実店舗を有しているといった強みを生かしまして、対面での職業紹介やキャリア相談を展開し、また自治体等と連携しながら、必要な人に対してアウトリーチをしていくことをしっかりやっていく必要があるのではないかと考えてございます。
13ページ目の8行目のところでございます。その他のことをいろいろ書かせていただいてございますが、少し御紹介させていただきますと、9行目に「雇用情勢の把握」という記載がございます。雇用情勢はこれまでハローワークの情報を中心に把握を行ってきましたけれども、入職経路の多様化なども今は進んでいるところでございますので、ハローワークの情報に加えてどのような情報が雇用情勢の把握に使えるのかをしっかりと研究していく必要があるのではないかということも記載させていただいてございます。
14ページ目の6行目のところに「労働市場の機能強化を通じた処遇改善に向けて」と記載があります。こちらは山本先生から賃金について少しまとまった記載をしてはどうかという御提案をいただいてございまして、14ページから15ページにかけて記載をさせていただいております。
ポイントを御説明させていただきますと、22行目でございますが、人手不足を契機として賃金等の処遇改善が労働市場全体で行われるよう、企業が業務改善や省力化投資を通じ、生産性の向上を図るといったことがまず重要なのではないかといった話です。
29行目のところでございますが、労働市場全体での賃金等の処遇改善が行われていくためにも、労使双方の対話を進め、能力開発のための環境整備を行っていくことが必要であるといった話であったり、15ページ目の5行目のところにございますけれども、労働市場全体においても労働市場の見える化が進展することで、これまで必ずしも容易に比較することができなかった職場情報や処遇が明らかとなって、それで人材確保競争を通じて労働市場全体の処遇改善が行われていくといったところも重要なポイントなのではないかと考えてございまして、そうした記載をさせていただいているところでございます。
雑駁ではございましたが、事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○樋口座長 ありがとうございました。
大分飛ばして、重要なところで書いてあるけれども説明がなかったところも多々あるかと思いますが、皆さん、一度目を通していただいていると思いますので、御意見をいただきたいと思います。
皆さんの準備ができる間に、先ほどから出ている高齢者の例えば65歳定年の義務化の話はどこかに書いてあるのですか。
○雇用政策課長 高齢者につきましては、前回3章で議論していただいたサプライサイドのほうで高齢者について書いておりますので、今日の御指摘を踏まえてまた事務局として調整したいと思います。
○樋口座長 そうですか。
管理職の話は今のところに出てくるわけですか。
○雇用政策課長 管理職につきましては、魅力について御説明がありましたが、長時間労働の部分とかその辺の御指摘もありましたので、そこもまた改めて調整したいと思います。
○樋口座長 加えるということですね。
あと追加的に、前回までに説明をいただいたところ、健康の問題、具体的には助成があったけれども、助成だけではないのではないかという話も、サプライサイドにおいてということですか。
○雇用政策課長 第3章のほうで。
○樋口座長 第3章のほうで出てくるということですね。
あと、これは前から言っているところで、賃金のところで教員、職員、介護、医療、公務員の賃金をどうも我々は念頭に置かないできたのだけれども、もう既に全体の就業人口の30%がそういった公的部門、あるいは公的に給与が決められている。そこのところはどこかで書いてあるのですか。
○雇用政策課長 それは書いていないです。
○樋口座長 書いていないですか。ということは追加で。
○雇用政策課長 それは御議論いただくことです。
○樋口座長 皆様からもらっているところで、外国人のほうもサプライサイドに入ってくるということですね。
いかがですか。
鶴さん。
○鶴委員 5章のところなのですけれども、かなり書き込んでいただいて非常に明確で分かりやすくてパンチのあるものにしていただいていると思います。
私のコメントは、5章の12ページの終わりから13ページにかけて、ハローワークの機能強化のところがあるのです。それで、今ここにお書きいただいていることは、もうかなり現状を丁寧に、またハローワークの在り方というものを先も踏まえながらかなり書き込んでいただいているということで、ここに書き込んでいただいていることは大変結構だと思うのです。
ただ、一言で言うと、今マッチングに関するものは、もちろんあらゆる経済取引というのは全部マッチングになるわけですけれども、非常に同質的なもの、通常の完全競争市場で考えられるものはいいわけですけれども、異種性がどんどん高くなっていくとマッチングが非常に難しくなる。人もそうですよね。それで、特にそういう状況になると、規模の経済というか、ネットワークの外部性みたいなものが働いて、かつていわゆるデジタル化とかITCとかインターネットが全くない時代は対面でやっていたわけですけれども、そういう時代はいろいろな機関がやるよりも、例えばハローワークがそういうものを一手に担うというのは非常に大きな意味があったわけですよね。
でも、それがマッチングの世界というのは、デジタル化、ICT、インターネット、AIも含めて、難しいところになればなるほど、こういう技術を使うことによって、もう完全に状況が一変してしまったわけですよね。それがもう、中古市場とか、eBayが始まって、日本でも、ヤフオクでもメルカリでも何でもいいのですけれども、根本的に変わったわけですよね。それで、いわゆる人のマッチングにおいても、私は非常に大きな変化がもう起きているという認識は非常に重要なのかなと。
ここでハローワークについてお書きになっていることは、私はそういうような物すごく大きな環境変化の中において、ハローワークが適応しているというか、アダプテーションと言っていいと思うのですけれども、それは何とか頑張ってやっているよということをお書きいただいているのです。でも、アダプテーションだけでいいのかなと。抜本的な変化というか、トランスフォーメーションと呼ばれるようなものを少し考えていかなくてはいけないのではないのかなと思うわけです。
それで、もちろんオンライン化に対応している、それから対面でしかできないことについては非常にきめ細かくやっている。私は、やはり民間よりもハローワークのほうが非常に丁寧ですし、そういう部分もあるし、できるところはいろいろあるのだろうなと思うのですけれども、今のこの状況の中の対応だけでいいのか、そもそも公的な職業紹介がどういうふうにあるべきなのか。職業紹介というよりも、マッチングに乗せる前のプロセスのところでいろいろアドバイスをしたり、そういうところが物すごく重要になってきている感じもします。
そういうこともいろいろ視野に入れていかなくてはいけないよということをこの箇所の最後のところで一言でも書いて、ちょっと遠い先になるのかもしれませんけれども、そういう問題意識があるよということは入れていただいてもいいのではないのかなということです。
ちょっと長くなって恐縮ですけれども、以上です。
○樋口座長 具体的には13ページの7行目がいいのか、あるいは14ページの5行目がいいのか、それはお任せいただけるということでしょうかね。鶴さん。
○鶴委員 12ページの終わりから13ページの初めのところがハローワークのところなので、多分、ハローワークの部分の最後か、その後の全体的な後でもいいのかもしれません。それはお任せしますけれども、このマッチングの話については大きな視点を持っていただくことが非常に大事ではないのかなと。それをどこか1行でも入れていただければありがたいなと思います。
○樋口座長 了解しました。
それでは、大竹先生。
○大竹委員 ありがとうございます。
全体的には非常にうまく書けていると思うのですけれども、表現のところで「求められる」という表現が結構あるのですが、そのときに、文章によっては誰に求められるというのが書いてあるときと、それがはっきりしないときが混在していて、それは役所の文章では普通なのかもしれないのですけれども、ちょっと混乱しているので、区別できるものは区別したほうがいいかなと思いました。
例えば、6ページの17行目に「求められる」というのがあって、22行目と33行目にもあるのですけれども、誰に求められているのかなと。最後の「労働市場を構築していくことが求められている」という場合、これは政府がやるということなのか、企業に求めているのかというところがすごく曖昧になっているように思いました。
似たようなのは、10ページ目の16行目の「職業を跨いだキャリアも含め、多様なキャリア形成が行えるようキャリアラダーを構築していくことが求められる」というのは、この辺も誰に求めているのだろうと。場合によっては企業と書いてあるときもあって、書いていないときは厚労省がやることだと理解したらいいのか、そうでないのかというところはよく分からないところがあったので、その辺を整理していただければと思いました。
以上です。
○樋口座長 分かりました。検討します。
佐藤さん、どうぞ。
○佐藤委員 言いたいことはよく分かるのです。ただ、例えば、2ページの全体として社員一人一人が自分のキャリアを考えて、キャリア自立を実現するために自分でスキルを高めていきなさい、企業もそれを支援しなさいと書かれていて、ただ、16行目のところでそうすると外へ出ていってしまうかもしれないと。そうではなく、企業のミッションを共有すればうまくいきますよみたいに書いてあるのだけれども、そうなるかなという話です。
基本的には自分の将来のキャリアを考えてそのための自己投資をするし、企業もそれを支援する。その企業にとどまるというのは、そのキャリアを実現する仕事なりキャリアが社内にあるということね。なければ当然転職をするのよね。企業もわざわざ自社で必要な人材のキャリアを用意するかとか仕事を用意するというのはないよね。
だから、基本的にマッチングするというのは、企業が欲しいスキルを持った人はとどまってください。要らない人は出ていく。社員も、社内で自分の希望する仕事やキャリアを用意してくれればとどまるけれども、そうでなければ転職する。その結果として残った人がマッチングしているという話ではないのかという気がするのだけれども、つまり、今いる人たちがこのままそこでマッチングが続くのかという感じで書いてあるのだけれども、それはちょっとどうなのかなという気がするのですが、その辺はいかがなのですか。
つまり、自社はこういう人材が必要ですよ、我が社はこういうミッションですよと提示し、その中で社員に考えてもらってキャリア形成し自己投資。そうではない人は移っていく。残った人がその企業の中でマッチングするということになるのではないかと思うのですが、いかがですか。
○樋口座長 いかがですか。
○雇用政策課長 ありがとうございます。
結果として企業外に出てしまうこともあるのかもしれませんけれども、まず我々がここに書きましたのは、外部の有識者として大湾先生に来ていただいたときのプレゼンにかなり触発されておりまして、人手不足ということで、人を引きつけるための投資が必要というプレゼンテーションだったと思いますが、そこで、外部に行かれてしまうかもしれませんが、それでもなお魅力的な職場として投資することが人を引きつけるのだと。あるいは、一旦離職しても、今はアルムナイ採用という形で経験者採用の中でやっている事例が増えておりますけれども、そうした形で少し大きな目で人的投資をすべきではないかといったプレゼンがあったと思いますので、その辺をヒントにして書いております。
佐藤先生がおっしゃったように、残った方がまさにマッチした方というのは、結果としてはそうかもしれませんけれども、最初の段階で誰に残ってもらうのかということ、あるいは企業として誰にどういったスキルを身につけてもらうのかということを企業側のイニシアチブでやるというよりは、労使の希望が少しでもすり合わされる形でやっていくのが望ましいのではないかという趣旨で書いたものなので、結果から書くのか、時間的にはその手前で書くのかの違いかなと思っております。
○樋口座長 いかがですか。
要するに、働く者の選択肢を拡大する。企業の中における選択肢もあれば、もうそれでは嫌だということで外に出ていく人も結果的にはいるだろうという話ですよね。
○佐藤委員 我が社はこれからこういう事業分野を目指していきます、そうすると、こういう仕事がなくなる場合もあるし、新しい仕事が増えてきます、そういう中であなたはどういう方向を目指しますかということを考えてもらって、我が社が実現する仕事を担うことを希望するのであれば、能力を高める機会を提供しますよと。そうではない人まで抱え込むことにはならないだろう。そういう人はやはり転職するということになるのではないか。追い出す意味ではないですよ。そういうことをきちんとお互いが話し合って、転職したほうがいい人については、企業も社会的にも支援するということになるのではないかということなのだけども、どうもそういうふうに読めるのかなという気がしただけです。どうもありがとうございました。
○樋口座長 分かりました。
強制的に転職しろ、あるいは転職をお勧めしますというスタンスを取るのかどうかといったところで、ここではそういうスタンスを取っていないということですね。結果的にはそうなるかもしれないという話かと。
○佐藤委員 それは僕も分かるのです。ただ、ここだけ読むと、今いる人たちがそこでマッチングするかのように読めるというだけの話です。
○樋口座長 分かりました。そこはちょっと書き直します。
ほかにいかがでしょうか。
堀さん、どうぞ。
○堀委員 堀です。よろしくお願いいたします。
事務局におかれましては、広く目配りをしていただき、すばらしい報告書になったのではないかと思います。特にテクノロジーの部分は、労働研究者以外の方にも読まれる記述になっているのではないかと推測いたします。
もしかしたら、書き込んでいただくのは難しいかもしれないのですけれども、今回、人手不足の要因と施策をきれいに整理していただいたのですが、ちょっと気になっているのが構造的な人手不足のところです。
構造的な人手不足は、リスキリングで主に対応するように読んだのですけれども、人手不足の中でもなかなか雇ってもらえない人たちがそれなりの数がいて、なかなかうまく働けないといった状態にある中で、先ほどの鶴先生のマッチング前のプロセスはとてもいい言葉だなと思ったのですけれども、ある程度働ける段階に持っていくまでの支援が今後ますます重要になってくるのではないかという感じがしておりまして、もし、ハローワークがその一助になるのであれば、民間にはできないという点で大変重要な役割になってくるのではないかとも推測いたします。
今回は雇用政策かどうかぎりぎりのところでもあるので、書き込むのは難しいかもしれないのですけれども、問題意識として共有していただければ大変ありがたいと思います。
以上です。
○樋口座長 了解しました。
雇用政策の定義が難しくなっているので、従来の雇用政策の定義を超えるものが多々含まれているのだろうなと、書いていてあるいは読んでいて思いました。在職老齢年金をどうするのだというのは個人的なところの問題ですけれども、ほかにいかがでしょうか。
玄田さん。
○玄田委員 さっきの堀さんと佐藤さんのものに関連して、構造的な人手不足というときに、GXとかDXという、技術への高度対応の人材が枯渇しているという表現は正しいと思うのだけども、もう一個「構造」という意味は、佐藤さんとか今野さんとかがよく言うような、だんだんみんな制約つき社員になっている、制約つき雇用者になっているわけだから、その制約が人手不足の原因になっている面もあるわけで、いろいろな意味での制約を緩和していくことも構造的な人手不足対策だというのもあるのだよと、高度人材が不足しているというだけではないのだよというのは、表現としてはあったほうがいいのではないかなと思いました。
もう一個、佐藤さんのマッチングの問題と育てるというのはどうするのかというのは、本当に難しいと思うのだけれども、前に思ったのは、今の会社の働き方が組織ベースからどんどんプロジェクトベースになっているので、一番の違いは、10年なら10年で成果を出すという働き方のウエートがどんどん高まっているから、有期雇用が増えているのは不確実性だけではないではないですか。
そうすると、プロジェクトベースは組織ベースとは違うけれども、やはり必要な人的投資を行うわけで、そのプロジェクトが終わった後に残る人もいれば、そのキャリアを生かしてよそに出ていく人もいるので、何となく企業内に残るというのは昔のように定年まで働くということもあるけれども、企業も労働者もずっといるというよりも、そのプロジェクトを完遂するために労使で話し合って、能力開発を必要な部分はするし、その後のキャリアについてもお互いに合意するというところだから、この中だと、もうちょっとプロジェクトに見合ったとか、メンバーシップとジョブ型というのがあまりにもはやってしまったので、JILPTの所長さんのせいではないけれども、もうちょっと企業内での働き方の基本の部分が変わったということを加筆すれば、言いたいことは伝わるのではないかなと思ったけれども、佐藤さん、そんなのでは駄目かね。どうだろうね。
○樋口座長 御指名ですので、佐藤さん、どうぞ。
○佐藤委員 2つの点で、仕事のマッチングだけではなくて、働き方で今の制約つき社員もすごく大きいと思うし、スキルはあるけれども希望する働き方ではないみたいな話と、もう一つは、僕もあまり思わなかったですが、確かにプロジェクトベースは結構大きくて、初めから組織の中で長く働くというのではないのを企業も求めているし、働く人も求めているということで、そういう意味では、別に今自分がやりたいプロジェクトがここにあって5年やってまた移るという人も結構いるので、それはそれでいいと思うので、玄田さんのお話を伺って、そういうマッチングもありだなと思いました。
○樋口座長 書き方を工夫します。
皆さん、大学の先生と直結する問題として、10代後半~20代の労働力率が急激に上がっているのです。最初、労働力調査の質問票の問題かと思っていろいろ調べてもらったのですが、どうもそうではなくて、学生アルバイトは主たる活動は勉学かもしれないけれども、兼業というか副でアルバイトをしていますと。実は、最低賃金のかなりの部分は学生アルバイトが適用されているということが出てきたときに、学生アルバイトというのはどういうふうに位置づけたらいいのだろうかと思うのですが、今のところは入っていないのですよね。
○雇用政策課長 入っていないです。
○樋口座長 幾つかの企業というか、お店にとってはと言ったらいいのか分からないのですけれども、かなり重要な労働資源になっている。最低賃金も正社員に適用されるというよりは、今はそういったところに該当者がかなりいるというところで、最低賃金を引き上げるというのは、学生のアルバイト代、アルバイト時間給を引き上げるみたいなところになってきているのですが、そういうことはあまり書かないほうがいいですか。
要は、親の支援をあまり受けられないためにそういった学生もいれば、好んでアルバイトをしている学生もいる。まさに多様なのですけれども、そこら辺は記載したほうがよろしいでしょうか。それともお任せしますということなのでしょうか。
○玄田委員 何で最後にこんな一番難しいことを座長がぶっ込んでくるかと思って聞いていたけれどもね(笑)。
○樋口座長 難しいから。
○玄田委員 そうだよ(笑)。だって、需要不足型のところを今は女性やシニアと書いて一応何となく抑えているのだけれども、ある意味では需要に対して一番供給不足なのは10代~20代前半のアルバイト層で、そこは2章に書かれてあるようなライフスタイルや価値観に応じたという問題とは全然違って、まさに働かざるを得ないという経済環境とか、困窮問題から来ているわけだから、そこを雇用政策でも書けと言うと、ちょっと雇用政策課長がかわいそうなのではないですか(笑)。もちろん需要超過型のところの本質だと思いますよ。でもここで書くか。最低賃金の引上げというのはあり得ると思うけれども、難しいのではないですか。それは堀さんの意見が一番だと思うけれども。
○樋口座長 そうなのです。
堀さんとか、どうですか。書かないでいいということであれば。
どうぞ。
○堀委員 ありがとうございます。
今回書き込むのはちょっと難しい面もあるのかなと思います。日本の学生は18歳~22歳に集中しているので、アルバイトも重要な社会経験であると同時に、日本の学生はかなり働いていて、海外のパートタイム学生に近いのではないかと思うことは私もあります。
それはそうなのですが、教育サイドの問題意識と雇用政策とをどうかみ合わせていくかということであるとか、あるいは今回、年金はいろいろと適用拡大で広げていくことになっていますけれども、学生は除外ということになっているので、いろいろな点で今ここで最後に入れるのはなかなか厳しいのかなという感じが。
○樋口座長 もちろん最後ではなくて。
○堀委員 最後というか、もう最終段階に来ている形で。
○樋口座長 最初のところに出ているのですよ。要はどこの労働力率が増えているのだというところで労働力率の上昇を議論しているのですが、そのところで一つは30~40代の主婦パートといいますか、そこの同一の問題という形で出ている。もう一つは、高齢者の60代の労働力率が急激に上がっているというところで、その議論が先ほどから出ているところで、もう一つ驚くほど上がっているのが15~19歳、20~24歳のところの労働力率が労調の結果で出ているのですが、そこは触れないでいいのかどうかということなのです。
鶴さん。
○鶴委員 ありがとうございます。
最低賃金の話の中で、そこに当たるような人たちが裕福な家庭の子女でアルバイトをしているような人たちの賃金まで上げるのかという議論は、海外の最低賃金の議論などでもこれまでもずっと行われてきているので、今のお話を聞いていて今さらというか、それは当然そういう部分も最低賃金の話の中には必ずあると私は思うので、それを取り立てて問題視するのはここで必要なのかなということ。
それから、学生は仕送り金額とかそういうのも、経年の変化で見てもどんどん減ってきて、自分でアルバイトしなくてはいけない状況に置かれている人たちは実感で見ても増えているのかなという感じがしていますので、統計的な事実を示していく、またそれに対する何らかの解釈を書くこと自体は、それはそれで私は逆にあまり問題ないのではないのかなという感じがしました。特に、最低賃金というところに結びつけて今回議論はする必要はないのではないのかなというのは、今お話を聞いていて思いました。
以上です。
○樋口座長 佐藤さん。
○佐藤委員 どうもありがとうございます。
まず結論は、私も書かなくていいと思います。ただ、やはり飲食業とかサービス業の特に店舗レベルでの労働力として不可欠な人材になっているというのは間違いないので、例えば大学生と主婦とシニアで働ける時間が違うわけですよね。企業は、例えば主婦のパートの方が日曜とか土曜とか夜とか早朝、そういうときに学生とか、最近はシニアの方も入っていますけれども、組み合わせているわけね。なので、シニアの議論をするということは、それだけではなくて、実は主婦パートが働いてくれない時間に学生が来たりするわけですよ。ですから、セットで、例えばサービス業の店舗での人材マネジメントが行われているので、そういう意味では本当は大事なことです。でも、ここで取り上げろというわけではないです。
ただもう一つ、そういう意味で学生アルバイトによって、留学生の資格外就労で週28時間働けるわけですよ。だから、日本の学生アルバイトとどっちが多いか分からないけれども、これもマンパワーとしては結構多いわけね。だから、日本語学校も含めた留学生の資格外就労も週28時間ですごいマンパワーもあるので、これも本当は議論しないと、実際の労働力供給と需要が分からないというのはあると思いますけれども、書かなくていいと思います。
○樋口座長 大竹さん、どうぞ。
○大竹委員 まずきちんと分析していないので、きちんと評価して書くのは難しいかなとは思うのですけれども、例えば、人手不足によって学生の労働供給が増えていること自体はあるかもしれないなと思うのですが、そのときに、それがいいか悪いかということについては、しっかり分析してからでないと何とも言えないなと思います。
例えば、アルバイトの時間が増えて勉強時間が減って、長期的な人的資本形成が減ってしまうのではないかとか、あるいは最低賃金の議論でもよくありますけれども、進学率が下がる可能性ももちろんあるし、人手不足で賃金が上がったから、あるいは最低賃金が上がったから労働供給が増えているのか、先ほど議論あったように、例えば貧困で学費が足りないから稼がざるを得ないという形で増えているのかというのは、分析してからでないと、この段階で急に入れるのは難しいかなと思います。ただ、こういう分析が必要だという形で入れるというのもあるかもしれないです。
以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。
玄田さん。
○玄田委員 大竹さんと一緒で、全然まだ議論していないからあれなのだけれども、堀さんが言うかなと思ったのだけれども、サポステの専門委員会の中で去年初めてサポステの委託した事業所の集計をしたときに、10代後半~20代前半ぐらいが話題になって、すごく複合的な要因によって就業困難度がむしろ高い人たちがサポステに求めてきている。さっきの鶴さんではないけれども、ハローワークに行く以前の段階の困難の人たちは10代がすごくむしろ目立つようになってきているという感じの堀さんのレポートだったと思うのです。
そうすると、もし文章として書き込むとすると、人手不足だからといってみんなが働けるわけではないのだよと。人手不足なのだけども、それでもいろいろな理由で働けない人たちが、特に10代で深刻化しているというのはとても大きな問題で、雇用政策とか社会保障政策を超えて非常に難しいところなので、人手不足だから若者問題はすべて解決しているわけでは全くなくて、人手不足でも働けない若者の問題は非常に深刻な社会コストの問題になるので、やはり今後も考えていかなくてはいけないみたいなことは、最後のまとめ辺りで書いておくのは、座長の問題意識にも合致しているのではないかなと思うけれども、ここはもう堀さんにお任せします。
○樋口座長 分かりました。
問題意識として文科省の研究会で奨学金をやったことがあるのです。そのときに、貸与型の奨学金で結局将来返さなくてはいけない。デフレの下では実質的に返す金額が増えていって返せない人がいる。その一方、給付型の奨学金を今言っていますが、あれが賃金に影響を及ぼす可能性があるのだという議論がありました。給付型が多くなってくると、要は安い賃金でも働こうというのが出てくると、賃金の抑制の可能性があるのだけれども、政府はそこまでは考えていないよねという問題があったのでちょっと言ったので、また書くかどうかは堀さんと相談させていただくということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、次回、取りまとめを行いたいと思いますが、本日いらっしゃっていない先生からも大分指摘を受けております。もう既に見ていただいて具体的な御意見がありますので、それも含めて検討させていただいて、次回にまた提出したいと思っています。どうもありがとうございました。
それでは、次回の研究会の開催スケジュールについて事務局からお願いします。
○雇用政策課長補佐 ありがとうございます。
次回の第12回研究会につきましては、7月23日火曜日、16時~18時で開催予定でございます。
○樋口座長 ほぼ1か月後ということで、まだ御意見がある方については早めに提出していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
それでは、本日は以上で終了します。どうもありがとうございました。