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第1回「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」議事録
日時
令和6年6月26日(水)14時00分~16時00分
場所
TKP新橋カンファレンスセンター 12階 ホール12E
東京都千代田区内幸町1丁目3-1 幸ビルディング
議題
- (1)検討会の設置について
- (2)妊産婦等の支援策等をめぐる現状について
- (3)実態調査について
議事
- 議事内容
- ○柴田保険局保険課長補佐 定刻となりましたので、ただいまより第1回「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」を開催いたします。
構成員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきまして、ありがとうございます。
本検討会の座長が決まるまでの間、事務局が進行役を務めさせていただきます。
事務局を務めます厚生労働省保険局保険課長補佐の柴田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本検討会の構成員につきましては、資料1の開催要綱の別紙のとおりでございます。
そのうち本日は今村構成員より御欠席の御連絡をいただいております。
また、井本構成員、末松構成員より、途中からオンラインで御出席なさるとの御連絡をいただいております。
また、本日、途中参加される2名の構成員のほか、寺尾構成員、中西構成員は御都合によりオンラインでの御参加をいただいております。
続きまして、事務局の紹介でございます。
本検討会は、厚生労働省医政局長及び保険局長並びにこども家庭庁成育局長の下で開催するものでございます。第1回の開催に当たりまして、保険局長の伊原及び医政局長の浅沼並びにこども家庭庁成育局長の藤原よりそれぞれ御挨拶を申し上げます。
まず、伊原保険局長よりお願いいたします。
○伊原保険局長 伊原でございます。
本日は、大変お忙しい中、第1回の検討会に御参集いただきまして、ありがとうございます。
まさに妊婦の方々の支援は、少子化対策の観点からも非常に重要になっておりますけれども、昨年、経済的負担を軽減するという観点から、出産育児一時金を42万円から50万円に大幅に引き上げさせていただきました。さらに先月、「出産なび」という新しいウェブで分娩取扱施設のサービスの内容とか費用について見える化を進めさせていただいていまして、非常に反響をいただいてございます。改めて、出産に関して世の中の方々の関心は高いなと感じてございます。
こうした中で、こども未来戦略におきまして、これらの取組の次のステップとして、2026年度をめどに出産費用の保険適用の導入を含め、出産に関する支援等のさらなる強化について検討を進めると、このようにされてございます。
こうした検討を進めるに当たりまして、今回、第1番の取組としてこの検討会を設置させていただいておるのですけれども、検討のスコープとしましては、出産という一つのイベントだけではなくて、妊娠期から産後まで全体を見渡して、今後どのように妊産婦の支援を進めていったらいいか、その辺りを議論していく必要があると考えてございます。あわせまして、少子化の中で地域によっては産科の確保が難しいという声も出てきております。そうした中で、周産期医療提供体制の確保、こうしたことについても課題があるのではないかということで、医政局長にも今回御参加いただいて議論をすることになってございます。
さらに、こうした議論は医療提供者の方々あるいは保険者の方々だけでなく、何よりも子育て世代の当事者の方々の声を聴くということが何より一番大事だと思っておりまして、今日御参加の先生方もいらっしゃいますけれども、ぜひ闊達に御議論いただきたいと考えてございます。
こうした観点から、今日、大勢ではありますけれども、構成員の方々に御参加いただき、さらに参考人の方にも御参画いただきまして、このテーマについて議論をしていきたいと考えてございます。
また、この議論に関しましては、厚生労働省の保険局だけではなくて、医政局、さらにはこども家庭庁からも御参加いただいて、いろいろな角度から取りまとめをしていきたいと考えてございます。
ぜひ実りある議論ができればと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○柴田課長補佐 ありがとうございます。
続いて、浅沼医政局長、お願いいたします。
○浅沼医政局長 医政局長の浅沼でございます。
本日御参集の皆様方におかれましては、日頃より周産期医療体制の構築に御理解いただくとともに、多大なる御尽力をいただいておりますことに心より感謝を申し上げます。
知った顔の先生方もいらっしゃいますが、まず、我々厚労省医政局なのですが、これまで分娩取扱施設の集約化あるいは重点化、さらに分娩取扱施設と妊婦健診、産後のケア、産前のケア、こういったものを実施する施設等の役割分担の連携などにつきまして、今まで財政支援をはじめとして必要な支援を行いながら、都道府県と連携を図りながら、地域の実情に応じた形での周産期医療体制の構築に取り組んできたところでございます。
その一方で、出生数も減少しておりますし、医療技術も片や進歩している状況、そして産科を中心とする医師の偏在など、周産期医療を取り巻く環境がいろいろ変化をしているような状況でございます。こうした中で、誰もが安心して子供を産み育てられるように、私どもといたしましては今後も持続可能な周産期医療体制の構築を目指しているところでございます。
この検討会は、先ほど保険局長からも話がございました。出産費用の保険適用の導入と併せた形でありますけれども、妊娠、出産、産後、産前、こうしたものに関わる様々な支援等のさらなる強化の方向性について御検討をお願いすることとなります。
私どものところでございますけれども、周産期医療体制の強化をしっかりやっていかなければいけないという決意の下、先生方の忌憚のない御意見をいただきながら、検討をお願い申し上げたいと思います。ぜひどうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。よろしくお願いします。
○柴田課長補佐 ありがとうございます。
続いて、こども家庭庁藤原成育局長よりお願いいたします。
○こども家庭庁藤原成育局長 こども家庭庁成育局長の藤原でございます。
第1回の「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」の開会に当たりまして、一言御挨拶させていただきます。
今日お集まりの先生方には、妊娠期から出産、産後における切れ目のない支援について日頃から御支援をいただいておりまして、改めて感謝を申し上げます。
昨年4月に私どもこども家庭庁が発足いたしまして、2年目というところでございます。この間、こども政策は大きな動きがございました。特に昨年末に取りまとめました加速化プランでは、若い世代の所得を増やす、社会全体の構造や意識を変える、全ての子ども・子育て世帯を切れ目なく支援する、この3つの理念の実現を掲げまして、約3.6兆円規模に及ぶ前例のない規模で政策を抜本的に強化することとしておりまして、その中核となる子ども・子育て支援法等の一部改正法案は、おかげさまで今国会で成立をしたところでございます。
今回成立した法案では、妊娠・出産期や0~2歳までのこどもに関わる支援に着目をいたしまして、出産・子育て応援交付金の制度化ですとか、これに組み合わせた伴走型相談支援の実施の推進、保育についてはこども誰でも通園制度の創設、そして産後ケア事業の計画的な体制整備の推進などを盛り込みまして、切れ目のない支援を実現することを内容としてございます。
これらの施策を確実にお届けしていくこととともに、社会全体で子供や子育て世帯を応援していく機運を高める。これを車の両輪として進めていく中で、しっかりとこどもまんなか社会の実現に向けて取組を進めていきたいと思っております。
本検討会におきましても、昨年末に取りまとめたこども未来戦略におきまして、2026年度を目途に、出産費用の保険適用の導入を含めて、出産に関する支援策等のさらなる強化について検討を進めるとされましたことを踏まえまして、出産費用の保険適用の導入、のみならず、妊娠期から切れ目のない支援に向けたさらなる支援の強化について検討を行うものでございます。
こども家庭庁におきましても、厚生労働省の両局としっかり協力して取組を進めていきたいと考えております。委員の皆様方におかれましては、ぜひ忌憚のない御意見を賜りますようにお願いを申し上げまして御挨拶とさせていただきます。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○柴田課長補佐 ありがとうございました。
その他の事務局として、厚生労働省医政局、保険局、こども家庭庁成育局より出席しております。お手元の座席表をもって紹介に代えさせていただきます。
次に、座長及び副座長の選任を行います。
本検討会の座長につきまして、田邊構成員にお願いをしたいと思いますが、皆様いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○柴田課長補佐 ありがとうございます。
あわせて、本検討会の副座長につきまして、山縣構成員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○柴田課長補佐 ありがとうございます。
それでは、本検討会の座長を田邊構成員に、また副座長を山縣構成員にお願いしたいと存じます。
以降の議事運営につきましては、座長にお願いいたします。田邊構成員、座長席への御移動をお願いいたします。
(田邊座長、座長席へ移動)
○柴田課長補佐 それでは、よろしければ座長より一言御挨拶をお願いいたします。
○田邊座長 座長に拝命されました田邊でございます。
皆様方の様々な御意見を吸収しつつ、長いスケジュールにはなっておりますけれども、きちんと形になるような議事進行を進めてまいりたいと思います。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
それでは、早速でございますけれども議事に入ってまいりたいと存じます。
まずは事務局から資料の確認と参考人の御紹介をお願いいたします。では、よろしくお願いします。
○柴田課長補佐 事務局でございます。
会議冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、カメラの方は御退室をお願いいたします。
(カメラ退室)
○柴田課長補佐 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。
傍聴の方におかれましては、厚生労働省のホームページから資料を御覧いただければと思います。
本日の資料でございますが、資料1-1「開催要綱」
資料1-2「今後の検討スケジュールについて(案)」
資料2-1「医療保険制度における妊産婦等の支援の現状について」
資料2-2「周産期医療体制の確保について」
資料2-3「母子保健における妊産婦等の支援の現状について」
資料3-1、資料3-2を御用意しております。
過不足ないし落丁等がございましたら、事務局にお申しつけをお願いいたします。
また、本日は参考人として、公益社団法人日本小児科医会会長の伊藤様、一般社団法人日本助産学会理事長の片岡様、早稲田大学政治経済学術院教授の野口様、公益社団法人日本産婦人科医会の宮﨑様、以上の4名に御出席をいただいております。
以上の参考人の先生方におかれましては、議論の中で、座長から発言を促された際に、指名を受けて御発言をいただくようにお願いいたします。
続きまして、この検討会の運営につきまして御説明いたします。
本検討会は、公開することにより個人等に不利益を及ぼすおそれがある場合など、特段の事情がある場合を除き公開いたします。
資料につきましても原則公開とし、検討会の内容については、厚生労働省のホームページにそれぞれのお名前も含めて議事録として掲載をする予定です。
また、本日の会議は、傍聴希望者向けにユーチューブにてライブ配信を行っております。アーカイブ配信はいたしません。あらかじめ御了承くださいますよう、よろしくお願いいたします。
本日、オンラインで御参加をいただいている構成員の皆様は、御発言のとき以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。御発言の際はZoomサービス内の「手を挙げる」ボタンをクリックしていただき、座長の指名を受けた後に御発言をいただくようお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
○田邊座長 それでは、議事に入ってまいりたいと思います。
議題は、第1に「検討会の設置について」。これに関しまして事務局から説明をお願いいたします。では、よろしくお願いします。
○柴田課長補佐 事務局でございます。
まず、資料1-1「開催要綱」を御覧ください。本検討会の設置の背景について御説明いたします。
妊婦の方々が安心して出産できる環境を整備する観点から、これまで厚生労働省において、昨年4月から出産育児一時金の支給額を原則50万円へ引き上げ、また本年5月から分娩取扱施設ごとのサービス内容や出産費用の情報について提供を行うウェブサイト「出産なび」の運用を開始したところでございます。
昨年12月に閣議決定されましたこども未来戦略において、これらの取組の効果等の検証を行った上で、「2026年度を目途に、出産費用(正常分娩)の保険適用の導入を含め、出産に関する支援等の更なる強化について検討を進める」と、このようにされていることを踏まえまして、妊娠・出産・産後に関する様々な支援等のさらなる強化の方向性について具体的な検討を行うべく、本検討会を開催いたします。
検討事項として、大きく出産に関する支援等のさらなる強化策と、妊娠期・産前産後に関する支援等のさらなる強化策の2つの柱としております。
出産に関しては、医療保険制度における支援の在り方と周産期医療提供体制の在り方等について御議論いただくことを想定しております。
構成員につきましては、おつけをしております別紙のとおりでございます。
また、検討会の運営に関し、冒頭で申し上げた点と一部重複いたしますが、記載をしております。特に(3)でございますが、本検討会においては、必要に応じ、構成員以外の学術経験者及び実務経験者等の出席を求めることができるとしております。
続いて、資料1-2を御覧ください。本検討会における今後の検討のスケジュールの案でございます。
本検討会は、おおむね月に1回程度開催をすることとし、本日、第1回を行った上で、次回以降は、夏の間に3回程度ヒアリングを行うこととしてはどうかと考えております。その上で、秋以降になりますが、先ほど申し上げました本検討会の2つの検討事項の柱、1つが出産に関する支援策等、そして妊娠期・産前産後に関する支援策等について、実態調査の結果も順次この検討会の場に御報告をいただきつつ、検討会を進めていくこととしてはどうかと考えております。
御説明は以上でございます。御議論のほど、よろしくお願いいたします。
○田邊座長 説明ありがとうございました。
ただいまの説明に関しまして御意見等ございましたら、挙手にてお願い申し上げます。オンラインで御参加の委員におかれましては、挙手ボタンでお知らせください。いかがでございましょう。
御意見がないようでございましたら、本検討会の開催概要につきまして、おおむねこの案のとおり御了解いただけたとみなしてよろしゅうございますでしょうか。
ありがとうございました。それでは、この形で進めてまいりたいと存じます。
それでは、次の議題に移ってまいりたいと思います。議題(2)の「妊産婦等の支援策等をめぐる現状について」と議題(3)の「実態調査について」、この2つに関しまして、事務局及び野口参考人から説明をお願いいたします。まず、議題(2)のほうの資料の説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
○柴田課長補佐 保険局保険課の柴田でございます。
資料2-1を御覧いただければと思います。「医療保険制度における妊産婦等の支援の現状について」でございます。
まず、1枚おめくりいただきまして1ページを御覧ください。
健康保険法等に基づく保険給付として、被保険者またはその被扶養者が出産をしたとき、出産に要する経済的負担を軽減するために、出産育児一時金として一定の金額が支給される制度がございます。
令和5年4月から支給額をそれまでの原則42万円から8万円引き上げまして、原則50万円としております。
支給件数と支給額の規模については、令和3年度で合計約85万件の支給件数となっております。当時は、1件当たり支給額が原則42万円のときでございますが、その支給額が医療保険制度全体で約3574億円となっております。
続いて、2ページを御覧ください。
出産育児一時金の経緯についてお示しをしています。
出産育児一時金は、平成6年10月に、それまでの分娩費及び育児手当金に替わりまして創設をされ、当初の支給額が30万円とされました。その後、累次の引上げを行いまして、昨年4月からは原則50万円となっているところでございます。
続いて、3ページでございます。
直近の引上げにつきまして、社会保障審議会医療保険部会において議論を行った際の資料をお示ししております。
原則42万円からの引上額については、令和3年度までのデータに基づいて議論をされましたが、その際、出産費用が年々上昇する中で、平均的な標準費用を全て賄えるようにするといった観点から、分娩を取り扱う全施設の平均出産費用を勘案することとして議論がなされました。
また、平均出産費用が直近の10年間で見ますと毎年平均して1.4%上昇している。このことを踏まえまして、令和3年度の実績値にこれを加味し、令和4年度の平均出産費用を約48万円と推計をして、これを賄うものとして50万円という支給額が決定されたという経緯がございます。
この資料につきましては、その後、令和4年度の実績値が実際に集計をされましたので、このグラフにも実績値を反映しておりますが、最終的に結果は平均費用が令和4年度で48.2万円と、おおむね推計の議論と近い値になっているということでございます。
おめくりいただきまして、4ページを御覧いただければと思います。
医療保険部会におきまして、出産育児一時金の引上げと併せて、妊婦の方々が費用やサービスを踏まえて適切に出産する施設を選択できる環境を整備するという観点から、出産費用とサービスに関する情報の見える化を進めていくこととされました。
これを受けまして、本検討会にも御参画をいただいております先生方の御協力を得て、具体的な掲載項目等の整理を行いまして、分娩を取り扱う施設ごとに、特色やサービスの内容等に関する情報と、出産費用に関する情報の提供を行うウェブサイトを厚生労働省が新たに開設をしました。本年の5月30日から運用を開始しております。
全国の一定規模以上の施設、具体的には年間の分娩取扱件数が21件以上の施設については約96%を網羅するということで、さらにそれ以外の施設も含めまして全体で2,000施設以上の情報を掲載したウェブサイトとなっております。
開設に当たりまして、全国の分娩取扱施設の皆様、そして関係団体の皆様に本取組の趣旨について御理解を賜りまして、調査票への回答など多大な御協力をいただきましたこと、改めてこの場をお借りして感謝を申し上げます。
本サイトは、資料にもございますが、「あなたにあった出産施設を探せるサイト『出産なび』」と、このように題しておりまして、厚生労働省のウェブサイトのトップページからリンクを張っております。地域や施設の特徴を検索条件として設定し、地域内の施設の検索でありますとか、あるいはそれぞれの施設のサービス内容、そして過去の出産費用の実績のデータを確認することができます。出産する施設を選ぶ際に重視するポイントは妊婦さんによって様々だと思いますけれども、御自身のニーズに合った施設を選択する上で役立つ情報を掲載していますので、ぜひ妊婦さん、そしてそのパートナー、家族の方々に御活用いただきたいと、このように思っております。
続いて、次の5ページを御覧いただければと思います。
先ほど本検討会の設置の背景としても御説明をいたしましたが、昨年12月に閣議決定されたこども未来戦略において、ただいま御説明をいたしました出産育児一時金の引上げ、そして「出産なび」の開設を行った上で、これらの効果等の検証を行い、「2026年度を目途に、出産費用(正常分娩)の保険適用の導入を含め、出産に関する支援等の更なる強化について検討を進める」とされております。あわせて、無痛分娩について、安全な提供体制の環境整備に向けた支援の在り方を検討するというようにされております。
また、6ページに先週閣議決定されました骨太の方針2024の抜粋を掲載しております。
この中でも、出産等の経済的負担の軽減について取り組むこととされております。
以下は参考資料としておつけをしておりますが、8ページに正常分娩の平均出産費用の内訳について、そして9ページには都道府県別の平均出産費用について、データをおつけしています。
また、10ページにはこれまでの出産育児一時金に関する議論の経緯についてお示しをしております。
11ページ以降は、出産育児一時金の50万円への引上げに関連して、厚生労働省保険局において実施したアンケート調査に関する資料を御用意しておりますので、必要に応じ御参照いただければと思います。
資料2-1に関する御説明は以上でございます。
○田邊座長 引き続きまして、資料2-2に関しまして御説明をお願いいたします。
○森医政局地域医療計画課救急・周産期医療等対策室長 ありがとうございます。
医政局地域医療計画課の森でございます。
周産期医療提供体制の確保について、御説明をさせていただきます。資料2-2を御覧いただければと思います。
おめくりいただきまして2ページ目からでございますけれども、出生場所別の出生者数についてお示しをしております。出生場所におきましては、病院が54%、診療所が45%という割合になっておりまして、この傾向はここ10年ほど、変わりなく推移をしているところでございます。
次の3ページ目でございます。
産婦人科を標榜する医療機関数と分娩取扱実績医療機関数の推移をお示ししております。
お示しのとおりですが、出生数は減少しておりまして、あわせて分娩を取り扱う医療機関も減少している現状がございます。減少傾向において、直近のところを見ますと傾きは急峻になりつつあるのが分かるかと思います。
4ページ目を御覧いただきたいのですけれども、次は分娩を取り扱う助産所数の推移になっております。
10年というトレンドで見ますと、全体的には減少傾向にございます。ただ、ここ数年に関しては横ばいという状況になっております。
5ページ目を御覧いただければと思います。
産婦人科医師数の推移でございます。
産婦人科及び産科と婦人科の医師数の合計は、近年徐々に増加している状況でございます。
平成6年と比べますと約1.4倍にまで増えている現状がございます。
6ページ目は、今度は助産師の就業場所別の就業者数の推移でございます。
こちらも2008年からグラフでお示しをしておりますけれども、右肩上がりで増えておりまして、徐々に増加をしている状況がございます。
また、2020年の就業場所としましては、60%が病院、25%が診療所となっている状況でございます。
7ページ目になりまして、周産期の医療提供体制についてお示しをしております。
第8次医療計画を今年から進めていただいておりますけれども、その指針として、第8次医療計画の見直しに当たってのポイントとしてお示しをしたものです。
概要として一番上のところにお示しをしておりますけれども、周産期医療の質の向上と安全性の確保のために、必要に応じて周産期医療圏の柔軟な設定を行うこと、そして医療機関・機能の集約化・重点化を進めることをお示ししております。
また、3つ目のポツですが、ハイリスク妊産婦への対応であったり、医療的ケア児の在宅ケアへの移行支援など、周産期医療体制の整備を進めることをお示ししておりました。
下の左上のところですが、周産期医療の集約化・重点化としてこちらにお示しをしておりますれども、妊婦健診や産前・産後のケアであったり、オープンシステム・セミオープンシステム等を実施することを検討するとともに、タスク・シフト/シェア等を進めるということをお伝えさせていただいております。
また、右上ですが、ハイリスク妊産婦への対応としまして、NICUや専門医などの機能や人材の集約化・重点化を通じて、総合周産期母子医療センターを中心とした母体または児のリスクが高い妊婦に対する体制の構築をお示ししたところでございます。
また、集約化・重点化により分娩施設までのアクセスが悪化した地域に居住する妊産婦に対して、地域の実情に応じて対策を検討するよう求めたところでございました。
続きまして、8ページ目ですけれども、今お示ししたアクセスの悪化に関して、こちらに事業としてお示しをしておりますものが、こども家庭庁との共管で進めさせていただいている事業でございますので、後ほどまた御説明があるかと思いますが、居住地にかかわらず安全・安心に妊娠・出産ができ、適切な医療や保健サービスを受けられる環境を全国で実現するために推進をするべく行っております。妊婦に対する遠方の分娩取扱施設への交通費及び宿泊費支援事業として実施をしているものでございます。最寄りの分娩取扱施設へのおおむね60分以上の移動時間を要する妊婦に対する支援となっております。
続きまして、9ページ目になりますけれども、分娩取扱施設・設備整備事業としてこれまでも取り組んでいるものでございます。
事業の内容としましては、分娩取扱施設を開設する場合に、病院に産科等を増設し新規に分娩を取り扱う場合等に対して、施設・設備整備に対する費用の一部を補助するものとなっております。
下の事業のイメージのところでございますが、整備の支援を行うことで、分娩取扱施設の確保、潜在助産師の継続的な就労といったことが見込まれると考えているところでございます。
次の10ページ目は医師確保対策に対する取組でございます。
左側に医師養成課程における取組、右側に都道府県の取組としてお示しをしております。
医師養成課程としましては、大学医学部において医師の養成数を検討し、地域枠というものを設定する。そのほか専門研修として、専攻医の採用上限数(シーリング)の設定など、地域診療科の偏在を是正するよう取組を進めているところでございますが、産科等の特に確保が必要な診療科におきましては、地域別の地域枠医師などにおいてシーリングの対象外とするなど、対応を試みているところでございます。
右側、医師確保計画など大学と連携して地域枠の設定をしたり、医師確保対策の方針を立てるなどして進めておりまして、医師確保の対策を進めているところでございます。
最後、11ページ目になりますが、産科医療を担う産科医等の確保事業として行っているものでございます。
こちらも地域偏在を解消するために、産科医等の不足する地域の医療機関に産科医等を派遣する医療機関に対してその必要な支援を行うというものになっております。
下の事業のイメージのところでございますが、都市部の大病院から診療の応援のために派遣をするべく、旅費、派遣手当てを支援しまして、それにおける効果として、分娩取扱施設の確保、産科医等の勤務環境の改善、産科医等の地方経験をさせること、そして副次効果として地域内での派遣ができるということを考えているところでございます。
これ以降は参考資料になりますけれども、13ページ目、14ページ目は少子化の進行と人口減少社会の到来、出生時体重別の出生数等のグラフです。
あと、周産期医療提供体制がどのような形で構築されているのかを15ページ目でお示ししております。
それに伴いまして、総合周産期母子医療センターや地域周産期母子医療センターが推移をしているものをお示ししております。
最後に、17ページ目に都道府県別の分娩取扱医師偏在指標としてお示しをしているところです。こちらは相対的な偏在の状況を表すものでございますけれども、参考として掲載をさせていただいております。
医政局からの説明は以上となります。
○田邊座長 ありがとうございました。
引き続き、資料2-3について御説明をお願いいたします。
○吉川成育局母子保健課推進官 こども家庭庁成育局母子保健課の吉川でございます。
資料2-3「母子保健における妊産婦等の支援の現状について」、御説明をさせていただきます。
1枚おめくりいただきまして、2ページ目でございます。
まず、母子保健の支援の全体像を1枚お示ししております。
母子保健では、こども家庭センターの母子保健機能を拠点としまして、妊娠期から子育て期にわたる切れ目ない支援の体制を確保し、誰一人取り残すことなく、妊産婦に対し、安心・安全で健やかな妊娠・出産、産後をサポートしております。
具体的には、妊娠期、出産、産後・育児期、それぞれのタイミングにおきまして、産前・産後サポート事業や妊婦健診、産婦健診、産後ケア事業などの支援を提供しているところでございます。
特に妊婦健診、産婦健診、産後ケア事業に関しましては、後ほど各論として詳細を御説明させていただきます。
3ページ目でございます。
ここからは総論的な内容を御説明させていただきます。
母子保健法の概要でございますけれども、母性並びに乳児及び幼児の健康の保持及び増進を図るため、母子保健に関する原理を明らかにするとともに、母性並びに乳児及び幼児に対する保健指導、健康診査、医療その他の措置を講じ、もって国民健康の向上に寄与することを目的とする法律でございます。
この中で、市町村が行う保健指導や健康診査、母子健康手帳や産後ケア事業などの事業について記載をされているところでございます。
次の4ページ目でございます。
母子保健法に基づきまして交付されます母子健康手帳についてでございます。
この母子健康手帳は、妊娠、出産及び育児に関する一貫した健康記録であるとともに、乳幼児の保護者に対する育児に関する指導書として交付されているものでございます。
5ページ目、母子保健の拠点としてのこども家庭センターについての御説明でございます。
こども家庭センターは、全ての妊産婦、子育て世帯、子供へ一体的に相談支援を行う機能を有する機関の設置に市町村が努めることとなっておりまして、妊娠届から妊産婦支援、子育てや子供に対する相談を受けて支援をつなぐためのマネジメント等を担っている施設でございます。
6ページ目以降に関しましては、具体的なメニューを幾つか御紹介させていただきます。
まずは妊婦健康診査に関してでございます。母子保健法第13条に基づき市町村が行うものでございまして、公費負担回数は、全ての市町村で14回以上実施されているところでございます。
7ページ目でございますけれども、妊婦に対する健康診査についての望ましい基準というものを示しておりまして、この中で妊娠週数や検査項目及び実施のタイミングなどに関しての目安を示しているところでございます。
8ページ目でございます。
妊婦健康診査に関して、市町村で行われる公費負担の状況について令和5年度のデータを示しております。
都道府県ごとに、受診券方式の自治体数や検査項目を全て実施している自治体数やその割合、公費負担の額などをお示ししているところでございます。
9ページ目でございます。
産婦健康診査事業についてでございます。
こちらは産後の期間、特に産後2週間、産後1か月など出産後間もない時期の産婦に対する健康診査に関しての費用を助成する事業でございます。
事業実績として1,171自治体、およそ6割強の自治体にてこの事業を実施しておられるところでございます。
10ページ目でございます。
次に産後ケア事業について御説明をさせていただきます。
産後ケア事業といいますのは、退院直後の母子に対して心身のケアや育児のサポート等を行い、産後も安心して子育てができる支援体制の確保を行う事業でございまして、現在、令和4年度時点では1,462自治体、84%の自治体にて実施を行っていただいているところでございます。
一方で、利用率という観点では、令和4年度では10.9%の産婦さんが利用しているということで、まだこの十分に利用実績が増えていないところでございます。
それを受けまして11ページ目、先般の通常国会で成立をいたしました子ども・子育て支援法等の改正におきまして、産後ケア事業を地域子ども・子育て支援事業に位置づけ、国、都道府県、市町村の役割を明確化し、計画的な提供体制の整備を行うための改正を行ったところでございます。
具体的な内容に関しましては、12ページ目にお示しをしておりますように、産後ケア事業において様々な課題に対応するために、国、都道府県、市町村の役割を明確化し、計画的な提供体制の整備を目指していくというところでございます。
これ以降に関しましては参考資料でございまして、産前・産後サポート事業や性と健康の相談センター事業などを示しているところでございます。
20ページ目では、低所得の妊婦に対する初回産科受診料支援事業などもお示しをしているところでございます。
22ページ目では、先ほど医政局から御説明がありました妊婦に対する遠方の分娩取扱施設への交通費及び宿泊費支援事業、こちらは厚生労働省の医政局と共管の支援事業でございますけれども、こども家庭庁としてもこうした形で妊産婦等に対する支援を行っているところでございます。
説明は以上でございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
引き続き、資料3-1及び資料3-2に関しまして、野口参考人から御説明をお願いいたします。では、よろしくお願いします。
○野口参考人 どうもありがとうございます。
本日はこのような機会を頂戴し、誠にありがとうございます。
まず初めに、大変お忙しい中、私どもの研究班で昨年度に実施いたしましたパイロット調査に御協力いただいた分娩取扱施設の皆様に深く感謝を申し上げたいと思います。調査に御協力いただいた皆様のおかげで、報告書を何とか取りまとめることができました。本当にどうもありがとうございました。
お時間も限られておりますので、早速資料の説明に入らせていただきます。
なお、本研究は、私と隣に座っていらっしゃる聖路加国際大学教授の片岡弥恵子先生及び厚生労働省の担当者様と取りまとめさせていただきましたことを申し添えておきます。
1ページをおめくりください。
資料の2ページ目にございますのは、本研究の背景と目的となります。
研究の背景といたしましては、歴史的に日本では正常分娩は自費診療として取り扱われてきました。したがいまして、これまで費用構造を明らかにした大規模調査は存在しておりません。
他方で、先ほどから何度か既に御説明があったように、令和5年12月22日の閣議決定において、こども未来戦略として、出産等の経済的負担の軽減策の一環として、令和8年度をめどに、出産費用(正常分娩)の保険適用の導入を含め、出産に関する支援等の更なる強化について検討を進めることが閣議決定されたことは皆様にも御案内のとおりです。
そこで本研究班の目的は、正常分娩を取り扱う医療機関等を対象に、出産等の費用構造等の実態を把握するため、今年度実施される大規模調査に向け、調査方法と調査項目の検討を行うパイロット調査及び分娩施設へのヒアリングを実施すること、さらには調査全体と各項目の有効回答率、患者票、タイムスタディー、収益に係る結果に基づき、統計的検討を行うこととしております。
1枚おめくりいただいて、スライド3ページ目を御覧ください。
昨年度実施した予備のパイロット調査では、ここにお示しした都道府県別の平均出産費用の多寡、年間の分娩件数、施設機能、経営主体の4つの項目別に分娩取扱施設を層別化した上で、無作為抽出を行って169施設を選定いたしました。
また、今回の調査では、関連する学協会様や団体様からの御協力は仰がず、各施設が特定可能な情報を秘匿するという条件で実施させていただきました。
無作為抽出の結果、調査対象施設の内訳は表1-1から表1-3に示すとおりとなっております。
ここで強調させていただきたいのは、昨年度のパイロット調査に対する回答の有無については、純粋に各施設の意思決定によるものであり、何らかの介入を受けたわけではないということです。したがって、今回の調査は回答による偏り、我々は選択バイアスとかセクションバイアスと言うことがあるのですけれども、そうした偏りを見極めるためには非常に有益な調査であったかと思います。
1枚おめくりください。
スライド4は、今回の予備調査全体の有効回答率に対する記述統計量を示した結果となります。
なお、このスライド以降で御説明する結果については、このスライドの右側に記載しましたとおり、観測数が極めて少ないため、結果の代表性あるいは頑健性には限界があるということにくれぐれも御留意いただきたいと思います。
今回は、郵送調査と聞き取り調査(ヒアリング)の2つを実施いたしましたが、郵送調査では169施設中48施設に御協力いただき、有効回答率は全体で約28%となっております。また、ヒアリング調査では24施設から個別にお話を伺うことができました。
このスライドでは、機能別、経営主体別、年間分娩件数別の回答率の差を示しております。カイ二乗検定という統計的な検定を行いました結果、唯一、機能別での回答率の差に統計的な有意性があることが確認されました。
回答率は助産所様が最も多く64%、次いで特定機能病院が約29%、有床診療所が約23%、最も低かったのが特定機能以外の病院が約16%という結果でした。
1枚おめくりください。
次のスライド5にお示ししたグラフは、回答率がどういった要因に影響を受けるかについて検証するために、回答の有無別に各地域の属性がどのように分布しているかということを示したヒストグラムとなります。薄い紫色が回答なし、赤色が回答ありの施設が所在する地域属性の分布となります。実際に用いた変数はこれ以上あるのですが、ここではこの4つの変数について地域属性の分散を掲載しております。
この中で、回答の有無別で統計的な有意差があったのが、図2-3の市区町村の財政力指数と、図2-4の二次医療圏内にある年間分娩件数が300件以上の分娩施設の割合ということになりました。
これらの図を御覧になるとお分かりになると思いますが、該当なしに比べて回答ありのほうが、右側へ、つまり財政力指数と年間分娩件数300件以上の施設割合が高いほうへ分布が広がっているのが御覧になれると思います。
この図から得られる具体的な示唆については、次のスライドで御説明申し上げます。1枚おめくりください。
スライド6は、回答の有無を説明変数、回答あり1該当なしを0とした説明変数、前のスライドでお示しした変数も含めほかにも様々な変数を使ったのですけれども、非説明変数とした回帰分析の結果を示しています。
右下の表2-2を御覧ください。先ほどの単純な記述統計量と同様、除外変数とした特定機能病院と比べて助産所の有効回答率が統計的に有意に非常に高いということが分かりました。
また、施設が所在する地域属性としては、前のスライドでも見た分布と同様、市町村の財政力指数、あるいは同一二次医療圏内の300件以上の分娩施設の割合が高いほど回答率が高いという傾向が観察されました。
この結果がどういったメカニズムによるものなのかについては、観測数が少な過ぎるので確たることは言えませんが、各施設様の現状に対する危機感、あるいは地域内でのほかの分娩施設との競争環境、こういったものが積極的な回答を促した可能性は否定できないと思います。
4ページ目のスライドでは、記述統計量の有意差が出なかったのですが、様々なこうした状況を調整した結果、年間の分娩件数が多いほど、つまり、お忙しいほど回答率が低い傾向にあるという結果でした。
1枚おめくりください。
スライド7と8は施設機能別の各調査項目に対する回答率の分布を示しています。7と8をめくりながら聞いていただきたいのですが、3つの箱ひげ図を併せて御覧になると、構造設備、体制、分娩取扱実績、患者票、外来票、収益票とだんだん下に下がってくるのですけれども、グラフの下側の調査項目になるほど回答率の分布が左にシフトしていくのがお分かりになると思います。時間の制約もありますので詳細については割愛させていただきますが、今回のパイロット調査で回答率の低かった下のほうの調査項目については、今年度の調査に当たって精査を行い、資料3-2で後ほど御説明いたしますが、標本調査にすることを検討しているところです。
1枚おめくりください。ここからの3つのスライドでは、患者票の結果について簡単に御紹介させていただきたいと思います。
スライド9にお示しした表3は分娩取扱施設の機能別の患者属性の分散と平均値の違いを示しています。ここでは特定機能病院または特定機能以外の病院を一つにして、有床診療所、助産所の3群間での各変数の分散が均一かどうか、平均値の差が統計的に有意かどうかについて統計的な検証を行いました。具体的な検定量については資料1の最後に添付させていただいた別添を御覧ください。
結果、3群で分散が統計的に有意に不均一ないしは平均値に有意差が確認できた変数について、箱ひげ図を作成いたしました。
次のスライド10を御覧ください。
これは作成した箱ひげ図の一部を示しております。しつこいようですが、これらの結果は極めて少ない観測数に基づく結果であって、また、各施設での妊産婦様の特性であるとか、診療や指導の実態等の調整はしていないことに御留意いただきたいと思います。
その上で、左上の図3-1を御覧ください。これは3群での出産時の妊娠週数の分散を示したグラフです。出産時の妊娠週数は機能別の3群で統計的に有意な分散の不均一が確認され、しかも平均値にも有意差がありました。この図から、病院でのばらつきが最も大きく、次いで有床診療所、助産所におけるばらつきが最も小さくなっているのがお分かりになろうかと思います。また、平均値は助産所で最も長く40週、次いで有床診療所が39.2週、最も短いのが病院で38.9週でした。
次に、図3-2、右上を見ていただくと、入院から分娩第3期終了までの時間についてばらつきが最も多いのがやはり病院、次いで有床診療所、最も小さいのが助産所でしたが、3郡間で平均値には統計的な有意差は確認できませんでした。
図3-3、左下になります。入院中の助産ケアを見ると、機能別の3郡間で分散が有意に不均一で平均値にも差を確認することができました。入院中の助産ケアは助産所が最も長い一方で、施設によるばらつきが最も大きいということが分かりました。次いで病院、有床診療所の順番で助産ケアの時間が長くなっており、また分散もこの順番で大きくなっているという結果でした。
最後に右下のグラフです。正常分娩、異常分娩と搬送されるケースを一緒にして一つにまとめ、そして無痛分娩の分娩状況の3群別に、母親の年齢、産婦さんの年齢の分布を示しているのが図3-4になります。母親の年齢が最も高いのが無痛で34.5歳、次いで異常・搬送が約32.2歳、正常が最も若く30歳となっていることがお分かりになろうかと思います。
1枚おめくりください。スライド11は前のスライドの要約となりますので、説明を割愛させていただきます。
スライド12にお移りください。ここではタイムスタディーの結果をお示しします。
今回のパイロット調査では、タイムスタディーについては回答負担が重いため、ヒアリング調査による評判が大変悪かったです。その分、回答率も非常に少なかったです。したがいまして、この結果についても、くどいようですが代表性、頑健性の点で大きな課題があるということに御留意ください。
その上で、分娩時間に係る要因分析に対する回帰分析を行った結果が右側の表4に示されたとおりです。入院から分娩終了までの時間と産婦人科医の投入時間については、統計的に有意な結果は今回は得られませんでしたが、助産師さんたちの投入時間については2つの変数で有意な結果が得られました。一つは、母親の年齢が1歳上がると1.63時間、また初産婦の場合、経産婦に比べ18.4時間、統計的に有意に助産師の投入時間が長い傾向にあることが分かりました。
1枚おめくりください。
最後に、今回のパイロット調査に対する考察です。スライド13です。
今回の資料ではお示ししませんでしたが、別途収集した収益データを基に算出した流動比率あるいはキャッシュフローの結果から、パイロット調査に御回答いただいた施設の経営状況は良好な傾向にあることが分かっております。したがって、2024年度、今年度の調査では、施設機能であるとか、地域属性であるとか、その他様々な要因に配慮した抽出方法を取る必要があるということが分かりました。
次に、ヒアリングの結果からも、恐らくは回答負担が小さかったためと考えられますが、比較的回答率の高かった施設の構造設備、体制、分娩取扱実績等のみを悉皆調査として実施すること。ただし、本検討会の議論にどうしても必要な変数については、一部の施設に本当に御迷惑をおかけすることになるだろうかと思いますが、回答負担の重い調査項目については標本調査で実施すること。これが今回のパイロット調査から得た2024年度の大規模調査に向けた示唆となります。
また、検討会での議論に当たり最も重要なデータの代表性を確保するために、今年度調査においては、関係する学協会様あるいは団体様への協力を切にお願いするとともに、回答率が低い施設属性や地域属性に鑑み、ウエートをかけた抽出によるオーバーサンプリングを実施することも検討する必要があろうかと思います。
スライド14には、患者票から得られた結果と含意を要約しております。
この資料では具体的にお示ししませんでしたが、御参考までに、高齢な妊婦さんによる無痛分娩の選択確率が高いということ、初産における異常・搬送ケースの確率が高く、在院日数が長期化するリスクがあることが分かりました。
患者票の結果から、全般的に機能別に見るとあらゆる変数において病院における分散が最も大きく、助産所における分散が小さい傾向にあること。そして、正常分娩、異常・搬送分娩、そして様々な点で分散が非常に大きかった無痛分娩、こうした取り扱うケースや受け入れる妊婦属性の多様性に対応するために、人的・時間的資源の投入量を最適化する必要性に迫られている特定機能病院または特定機能以外の病院の実態をかいま見ることもできました。
1枚おめくりください。スライド15にはタイムスタディーの結果と含意を要約しております。
昨年度のパイロット調査では自記式によるタイムスタディーを実施させていただきましたが、各施設のヒアリングの結果から、調査対象者には大変な御負担をおかけしてしまって、不評で回答率は決して高くありませんでした。
他方で、少数の観測数のデータからも現状を一定程度反映する結果、例えば前段で御説明したように助産師さんの時間投入量に係る結果が得られたことから、代表性のある、より多くの観測数が収集されれば、今回、統計的に有意な結果を得ることができなかった入院から分娩終了時間、あるいは産婦人科医の時間投入量等に対し、より確度の高い結果が得られる可能性がございます。
次のスライドにお移りください。
最後にまとめです。
繰り返しになりますが、この資料で御説明した結果は観測数が少なく、代表性や頑健性に課題が残ります。したがって、正常分娩に対する保険適用の是非を検討するためにも、また今後、少子化対策に係るあらゆる政策立案・評価においても、周産期に係る代表性のあるデータベースの構築は必須であると思います。
また、国際的に見ても、周産期に係る医療や助産ケアの情報は極めてまれであることから、この5月に公開されました「出産なび」や本研究班で今年度実施する調査を契機にして、NDB等の収集・構築・情報提供のノウハウを生かして周産期データベースが収集・構築されることが期待されます。
資料3-1の御説明は以上です。
続いて、資料3-2の説明をさせていただきたいと思います。
1枚おめくりください。
資料3-2は今年度に実施する調査研究についてです。
調査概要は、スライド2にお示ししたとおりです。
調査方法は、パイロット調査とヒアリング調査の結果を受けて、予算が許す範囲内でオンラインというハイブリッドで実施したいと思っております。
調査対象施設は、1つ目は悉皆で行う調査、2つ目は標本抽出によるサンプル調査で実施させていただきます。パイロット調査と同様、施設、地域等の属性により層別化し、無作為抽出により実施させていただきたいと考えております。
調査期間は、ここにありますように令和6年8~9月を予定しております。
1枚おめくりください。
悉皆調査の調査項目については、パイロット調査で約7割以上の施設に御回答いただけた施設概要や分娩実績、病院については病棟情報、そして外来概要については、今回は回答率が低かった箇所を大幅に削減して、一部の外来概要の調査項目について伺うことにしております。
次に、標本調査については、極力今回の検討に当たって必要な項目に絞り込みましたが、それでも必要だと思われる業務時間情報、患者情報及び経営状況について調査させていただきたいと思います。
なお、ヒアリングの結果から、後ろ向きではなく前向きであったら回答できる、あるいは回答しやすいとの多数の御意見を頂戴しましたので、今年度はとりわけ回答負担の重いと考えられる標本調査については前向き調査で実施させていただきますので、皆様におかれましても、何とぞ御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
私からの資料の説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○田邊座長 御説明ありがとうございました。
それでは、まず議題(2)の「妊産婦等の支援策等をめぐる現状について」に関しまして、御意見、御質問等をいただきたいと存じます。
本日は初回でもあります。キックオフの場でもございますので、構成員の方々にそれぞれ順番に御発言をいただきたいと存じます。時間内に全員から御発言いただけるよう、大変恐縮ではございますけれども、お一人2~3分程度で御発言をお願い申し上げます。
それでは、五十音順で順次発言をお願いしたいと存じます。まず、この構成名簿もあいうえお順になっておりますので、家保委員から御発言をお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○家保構成員 全国衛生部長会会長の家保と申します。
都道府県、人口規模の格差は多々ありますし、産婦人科の医師の状況も様々でございます。当県などは二次医療圏の中に1か所、分娩施設がない医療圏がもう10年続いております。さらに人口減少も続いておりますので、医政局さんのほうが医療計画の指針の中で言われた分娩の安全性を確保する意味での集約化というのは一定考えていかないといけないということは事実ではございます。
ただ、一方、そうなりますと、妊婦さんの移動の距離が非常に長くなります。当県におきましても、一番近くの分娩施設に行くのに2時間ぐらいかかるようなところがあります。そうなりますとふだんの通院、それからいざというときの対応が非常に問題ははなってきますので、そういう意味でこども家庭庁さんと医政局さんのほうで創設されました宿泊とか移動に係る補助金はありがたいと思っております。
ただ、その利用が想定される市町村は、財政力指数が非常に厳しい市町村であり、都市部の地域とは違うという点については一定配慮していかないと、全国どこでも安心して子育てができるような環境はなかなか確保がしづらいと思います。保険の問題もそうですけれども、安心して妊婦さんが妊娠したいと思うような環境づくりをぜひとも考えていただきたいなと思っております。
いろいろな条件で本当に都市部と地方とは異なります。都市部では医療機関の新規参入もまだ考えられますが、郡部に行きますと減る一方で、いかに維持するのかが課題です。出産数も減りますからやむを得ないと言われればそれまでですけれども、その地域地域で暮らしていく、地域を維持するためにはやはり子供がいる、妊娠できる環境は非常に重要な政策的な課題になります。そういう意味で、この検討会で、産もうとされる方々の希望がかなえるような仕組み、制度ができればと思っております。積極的にいろいろ発言させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
私からは以上でございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
今村様は御欠席と伺っておりますので、井本様に御発言をお願いいたします。2~3分でお願い申し上げます。
○井本構成員 座長、御指名ありがとうございます。
日本看護協会常任理事の井本でございます。皆様、よろしくお願いいたします。
日本の周産期死亡率や乳幼児死亡率が世界で最も低い水準に達するようになったのは、戦後、国を挙げて様々な母子保健施策や周産期医療体制を整備した結果だと考えております。この中で、母子保健や周産期に関わる看護職も、妊産婦さんにとって安全・安心かつ満足度の高い出産等の実現に向けてケアの質を担保するなど、必要な努力を進めてまいりました。
本検討会においては、妊産婦等に対して経済的支援のみならず、妊娠初期から周産期、産後ケアまでの切れ目ない支援を実現し、妊産婦等が一層安心して出産できる環境を整備するための検討が行われるとのことでございますので、看護の立場から意見をさせていただきたいと考えております。
本日は検討のキックオフということで、先ほど妊産婦等の支援策をめぐる現状について御共有いただきました。現状を共有、認識するためにはこれらの情報が非常に重要ですけれども、加えて、これまでの周産期医療の質向上に向けて、制度面でどのような取組が進められてきたのかを共通理解することも必要ではないかと考えております。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
引き続き、亀井構成員、よろしくお願いいたします。
○亀井構成員 日本産科婦人科学会を代表しまして申し上げます。
私ども学会のほうは、一次施設、それから病院、様々な勤務体系の者がございますけれども、我々の基本的な立場としましては、今の産婦人科の特に分娩を取り扱う医療体制の維持を第一に考えてございます。今回の出産費用の保険適用化に伴いまして、例えば収益上とても経営が成り立たないとか、そういった形で分娩の取扱いをやめてしまうような施設が一度に出てしまう。そのために、今お話もありましたような地域によっては出産を取り扱う、分娩をさせていただけるような施設がなくなる。それが突然起きてしまうような事態にはならないようにしていただきたいと切に願っております。
いずれまた報告はいたしますけれども、出産される場所がなくなりますと、特に私どもの勤務している大学病院とか、総合病院とか、そういったところでは働き方改革のお話もございますので、今ですらかつかつの状態でみんな働いているところに、今まで扱う必要のなかったローリスクの方が押し寄せてこられる。そのことによって我々の勤務自体が破綻をしてしまう。そういったことが起きてしまうことを非常に危惧してございます。ですから、ソフトランディングでお願いしたいなと、切にそこだけはお願いをしたいと思っております。
それから、野口参考人のお話もございましたけれども、サンプル調査、我々もとても貴重な情報だと思いますし、かつて恐らく世界的にもそんなにない情報だと思いますので、最大限協力したいとは思っておりますけれども、ただ、学会員のほうからは非常に反発が強いです。要するに労力が非常に多いのです。ボランティアベースでとてもできるような仕事ではないのではないか。しかも、きちんと代表性といったものが担保できるようなものであるためには、やはりサンプル数は多くなければいけないのですけれども、現状これだけの調査項目を短期間の間に、しかも8月、9月と申しますと我々職員はみんな夏休みを取らせていただくので、なおさら人もおりませんので、ちょっと大変だなと考えてございます。ここはおいおいまたお話をさせていただければなと思います。取り急ぎ。
○田邊座長 ありがとうございました。
では、佐野構成員、よろしくお願いします。
○佐野構成員 ありがとうございます。
健康保険組合連合会の佐野でございます。医療保険者として参加させていただいております。
医療保険者として最大の関心は出産費用の保険適用の部分でございまして、これについて現時点で、健保連の立場はどうかと言われますと、賛成とも反対とも言えません。一言で申し上げれば、内容次第と理解しております。
その上で、今後の検討に当たって4点コメントしたいと思います。若干議題(3)にも関わりますのを御容赦いただければと思います。
まず1点目は、出産費用の保険適用について目的を明確にすべきです。無論、先ほど御説明がありましたように、こども未来戦略等で出産等の経済的負担の軽減が言及されていて、まさに出産費用の保険適用についてもその選択肢の一つとして挙げられていると理解しております。子ども・子育て施策の重要性は理解しておりますが、出産等の経済的負担の軽減と出産費用の保険適用がどうつながるのかよく分からない部分がございます。まずはこれを検討の前提として明確にすべきだと思っております。
2点目は、先ほどの野口先生の御説明にも関連しますが、データのさらなる明確化でございます。出産費用については、従来、大きな地域格差が存在すること、また分娩機関ごとの費用内訳がよく分からないということを申し上げてきました。直近の「出産なび」において一定の情報は示されておりますが、見える化はまだ不十分と言わざるを得ないと思っております。公的な保険制度の対象とするかどうかを議論するに当たっては、より詳細なデータを提示いただいて、先ほど申し上げたような格差、そしてその要因等を明らかにすることは必須であって、言わば検討のスタートラインとすべきだと思っております。
3点目は、給付と負担の関係、バランスの整理でございます。保険制度の対象とするかを検討するに当たっては、とかく給付内容のほうに目が行きがちでございますが、それに伴う負担をどう考えるのかというのは財源手当てを含めても極めて重要だと思っております。現在の医療保険制度においても、負担方法は公費、保険料、自己負担の3つしかございません。このバランスをどう考えるのか。給付を受ける側に立って、自己負担を減らすということになれば、全体の中では公費負担もしくは保険料負担を増やすしかございません。しかしながら、公費というのはすなわち税金ということになりますし、また保険料負担というのは加入者の負担になりますので、いずれにしても国民の負担が増えるということになります。
医療保険者の立場で申し上げるならば、今の仕組みの中でも現役世代の加入者が支払っている保険料の約半分は高齢者の医療費に対する支援に回っており、現役世代は過重な負担を強いられております。少子高齢化の流れの中で、現役世代の負担軽減を図ることは極めて重要なテーマだと考えておりますので、仮に出産費用の保険適用を行うとしても、この負担のバランスをどう考えるのかというのは極めて重要だと思います。また、その際には既存の医療保険制度との関係を整理する必要もあると考えております。
4点目は、産科医もしくは分娩機関の維持等の関係でございます。出生数が減少し続ける中で、産科医もしくは分娩機関をどう維持していくかは当然重要な問題と考えております。ただし、これは、国としての提供体制の問題と捉えるべきで、出産費用の保険適用とは切り離して、別途解決策を考えるべきであると思っております。
いずれしても、本件の検討に当たっては、これ以外にも検討すべき課題は多々あると思いますが、まずは今、申し上げた4点を大きな論点として進めていただければと考えております。
以上でございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、末松構成員、よろしくお願いいたします。
○末松構成員 ありがとうございます。
鈴鹿市長の末松則子でございます。
途中からの参加でございますので、少し発言内容が前後するかも分かりませんが、よろしくお願いをしたいと思います。
私からは、地方と都市部の事情が異なる点が課題、また、医師の偏在化を防ぐものであることが必要であるということ、そして保険適用によって出生率が向上するのかなどの検証も必要であるというような観点・視点から発言をさせていただきたいと思います。
妊産婦等の支援策をめぐる現状については、経済的負担の軽減の現状でございますが、令和5年4月に出産育児一時金が50万円に引き上げられたことに伴いまして、出産育児一時金直接支払制度を利用するも、出産費用が支給額に満たなかったときに保険者から支給する差額の平均額は、本市、鈴鹿市の国民健康保険においては、令和4年度では7万3224円であったところ、令和5年度は9万1183円で、前年度に比べて25%の増でありました。差額支給の発生件数自体も増加をしている現状でございます。
出産は妊婦や胎児の状況によっても様々であるため、出産にかかる費用額について一律に比較することはできませんが、差額支給件数の増加は、参考資料11ページにもございますように、都市部と地方での出産費用の差が大きい中での地方の実情の一つと捉えており、経済的負担の軽減策としては成果が現れつつあると受け止めております。
また、最近運用が開始をされました先ほど来お話に出ております厚生労働省の「出産なび」によりまして、出産費用の見える化が推進をされ、出産を希望する方々にとっても情報を入手しやすくなったと考えております。物価高騰など生活への不安感はなお続いており、今後の正常分娩の保険適用導入や出産費用の実質上の無償化など、経済的負担の軽減につながるさらなる支援が必要と認識をいたしております。
また、経済的負担の軽減以外の支援策でございますが、経済的負担軽減のほか、支援策には、どのような環境下にあっても、妊娠から産後に至るまでに安心して妊娠し、安全に出産を迎えることができるよう、また、母体や胎児、新生児が必要かつ十分なケアを受けることができるよう、安全な成育医療体制の確保が必要であると考えます。
基礎自治体であります市町村では、子育て世帯に最も近い行政機関であると思っておりまして、妊娠届出や母子健康手帳の交付に始まり、妊産婦・乳幼児の健康診査、また出産・子育て応援給付金事業、乳児家庭全戸訪問事業などを実施しております。当市でも、本年4月から鈴鹿市こども家庭センターを設置いたしまして、母子保健と児童福祉の機能を強化するとともに、全ての妊産婦、子ども・子育て世帯が安心して子育てできるよう、一人一人の状況に応じた途切れのない支援を行っております。
本検討会の内外において、妊産婦等当事者の声を十分に聴いていただきながら、何が本当に必要な支援なのかという議論をして、医療機関や行政が有効的に連携できる体制を構築することが必要であると考えております。
産科医療機関の安定運営に向けた公定価格の設定でございますが、都市部と地方部では医療資源にも大変差がありまして、地方では産科医療機関数の不足が大きな課題となっております。医師の偏在や産科の閉院などにより、妊婦がお産難民とならないよう、また産科医療機関の安定運営が可能となるよう、公定価格の設定については十分な御議論をお願いしたいと思っております。
支援策に係る制度設計でございますが、妊産婦、関係医療機関及び基礎自治体にとって分かりやすくシンプルな制度であってほしいと思っております。妊娠中、出産後、各種申請のために市役所に行くのは非常に大変だという声をよく聴いておりまして、今回のこの検討会も複数の省庁によりまして構成されておりますことからも分かりますように、支援策の数だけ窓口が複数になると手続の複雑化が想定をされます。医療DX、自治体DXが進められる中で、妊産婦や関係者の利便性を考慮する上でも、できる限り窓口の一本化が図られ、誰もが分かりやすい仕組みとなるよう、お願いをしたいと思っております。
最後に、財政支援でございますけれども、基礎自治体への財政支援をぜひお考えいただきたいなと思っておりまして、保険適用の範囲、妊婦・一般健康健診や、正常分娩を含め議論していくことに関しまして、出産育児一時金の趣旨を踏まえることが大変重要であると認識をしておりますが、保険適用外費用や無痛分娩に係る実費に関する負担軽減を図るには、一つの制度では対応が非常に難しく、それを補完する取組等が必要となってまいります。基礎自治体として、独自の取組も含め、しっかりと妊産婦を支援していくためにも、国からのさらなる財政支援も含め、持続可能な仕組みの構築をお願いしたいと考えております。
私からは以上でございます。よろしくお願いします。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、髙田構成員、よろしくお願いします。
○髙田構成員 日本助産師会の髙田でございます。
本会は助産師の職能団体でございまして、会員は地域や医療機関で就業しております。
私たち助産師は、医療機関と連携をしながら、出産を迎える妊産婦さんたち等のニーズをくみ取り、尊重して、妊娠、出産、産後、授乳も含めた子育ての始まりから育児期まで一貫したマタニティーケアを行っております。もう一方では、女性の一生にわたる性と生殖に関する健康についても様々なケアやサポートも行っている職種でございます。
臨床にいますと、妊産婦さんたちが親になっていくという過程が初めてという方々が非常に多く、未知の経験をしていく中で、周りにいる親や親族、それから近所からの直接の支援が得られにくくなっているという、いわゆるワンオペの状態に陥りやすいということを非常に目の当たりいたします。また、夫も父親としての新しい役割を期待され、ワーク・ライフ・バランスの調整の中で、男性自身も今までにない体験をしております。誰もが子供をうまく育てたいと思い、頑張りたいと思っているというその気持ちを大事にしつつ、近くにいつでも頼れる支援者がいるような、そして信頼できる相談者がいるような地域での伴走型の支援体制が重要になっていると考えております。
そういった意味からも、今回の検討会は、今の妊婦さんや産婦さん、それから産後ケアでお会いする子育て期の親御さんのことまで、出産を取り巻く様々な課題について充実した検討がなされるのではないかと期待しておりますし、妊産婦さんやその家族が安全で、そして安心して、満足な妊娠期や育児期を過ごせるために、私たち助産師という専門職としてしっかり責任を果たしてまいりたいと思っております。
そこで1つお伺いしたいことがございます。本検討会で取り扱う課題を明確にするために、この検討会の名前に「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援」ということが書いてございまして、この「等」というのは何を示すのか、何が含まれているのかということについてお聞きしたいので、また今後よろしくお願いいたします。
○田邊座長 ありがとうございました。
取りあえず「等」問題はここで御回答いただいたほうがいいと思います。
○柴田課長補佐 事務局でございます。
御質問ありがとうございます。
今、御指摘のありましたこの検討会の「妊産婦等」というところの「等」でありますけれども、現時点では妊産婦のパートナーやお子さんを含む家族の方を含めることを想定しておりまして、また、その期間については妊娠から産後1年までの間を検討の対象としていきたいと考えております。
以上でございます。
○田邊座長 髙田委員、よろしゅうございますか。
それでは、田倉構成員、よろしくお願いいたします。
○田倉構成員 医療経済学を専門としております田倉と申します。
まず、このような機会をいただきまして、大変政策等について勉強させていただきました。雑駁に申し上げますと、妊産婦さんが必要とされているものを政策としてかなり広く網かけされてやっていらっしゃることは理解させていただいたところであります。
私自身は、先ほど保険局様から御説明のあった「出産なび」について研究班の取りまとめをさせていただいておりました。その中で、妊産婦さんの意向についてかなり長い時間をかけていろいろなデータを全国からいただいているところであります。先ほどこども家庭庁様のほうでお話のあった産後ケアみたいなものとか、保険局様のほうでもお話のあった無痛分娩などについて、施設選択において妊産婦さんのほうでも大変関心が高いというようなものも見えてきているところであります。
ただ、一方で、こども家庭庁様が先ほどお話をしていた産後ケアの事業について、まだ利用率が低いということで、それについての幾つかの対策は立てられていらっしゃるというような話もございました。我々のほうで今、デザインしている「出産なび」などの検証も含め、いわゆる情報提供の辺りについては、政策間のシームレスな連携等について何かお役に立つことがあるのかどうかも含めて、今後深掘りをした議論をしていきたいと思っております。この検討会でいろいろと勉強させていただき、持ち帰って、今後、我々が進める研究事業活動に反映していきたいと思っているところであります。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、寺尾構成員、よろしくお願いいたします。
○寺尾構成員 私は、広島県の府中町長の寺尾といいます。
6月4日から新たに府中町長に就任したばかりで、こういった全国の会議に参加させていただくのも初めてですし、戸惑いぎみで話を聞いておりました。
府中町というのが、広島市に周囲を囲まれた人口が5万2000強の町でございます。都市的な地域に立地しておりまして、割と人口流動が多い都市部でございます。
府中町におきましては、広島県でネウボラということで妊娠から出産まで一貫した支援をしていくということを随分前から取り組んでおりますので、そういった母子保健の医療の現在の実態とかに課題があるということを今後、会議の中で発言していければいいのかなと思っております。皆さん方のいろいろな意見を聞いて、私自身も勉強していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、中西構成員、よろしくお願いいたします。
○中西構成員 妊娠中のママとパパ向けの雑誌『たまごクラブ』の中西と申します。
今回は、妊産婦さんの声をできる限りお伝えできればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
実はたまひよでは、2020年から毎年2,000人規模の経年調査でたまひよ妊娠・出産白書というリサーチをしておりまして、参考までに最新の2023年実施のアンケート結果を御紹介しますと、日本は出産・育児がしにくいと思っているママが全体の75%、パパが59%という高い数値でそのように返事をしていました。この数字は、ママは前年と変わらないのですが、パパは前年より10ポイントもアップしており注目されるところなのですけれども、ちなみに理由を複数回答で聞いたところでは、経済的・金銭的負担を8割の人が挙げていて、これが断トツのトップでした。
経済的・金銭的負担の心配には、教育費をはじめ親自身の雇用の安定とか収入の問題などいろいろな要素があるとは思うのですが、妊産婦さんとその家庭の負担軽減のためということでは、日本全国どこでも同じようにお財布を気にせずに妊娠・出産ができて、そして産後の健診やケアが受けられる制度が整うというのは大切だと私は思っております。
ただ、この問題については、出産費用の保険適用だけが話題として独り歩きしている気がしていまして、ニュースでは保険適用はよいことというニュアンスで取り上げられていることが多いように感じるのですが、よく考えると保険適用になるということは3割負担になるのでは?とか、分娩費50万円以下で今までならば一時金の残った分をほかの経費に充てられていた人たちはどうなるのだろう?とか、素朴な疑問が結構いろいろ湧いてきて、本当のところどうなのかよく分かっていない人も多いのではないかと感じています。この検討会を通して、そういったことについては勉強していけたらと考えております。
また、「保険適用になると、地方の産院が潰れる」という御意見を取材先の産科の先生から伺うことも多く、これについては大変心配しております。今回、分娩時の交通費や宿泊費について着目した支援事業が新規で考えられたのは画期的なことだと思いましたが、毎月の妊婦健診に通うことを考えても、通いやすい範囲に産院があるという環境は、ママの体にも心にも、そして赤ちゃんの命にも大切なことですので、制度改正しても、それで産院が減ってしまって困る人が出るようなことがないよう、それらをフォローするほかの仕組みもセットで考える必要があるのではと考えております。
今回の検討会に少しでもお役に立てれば幸いです。どうぞよろしくお願いします。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、新居構成員、よろしくお願いいたします。
○新居構成員 よろしくお願いいたします。
manmaの理事をしております新居と申します。よろしくお願いいたします。
manmaという団体では、主に家族留学という取組をやっておりまして、大学生であったり若手社会人でこれから結婚、子育てを考えている、また、それについて不安を抱えている若い世代が、実際に結婚、子育てを経験した先輩家族のところに体験訪問に行くというような不安解消のマッチングプログラムを7年ほどやっております。
私自身も昨年11月に1人目の女の子を出産しまして、今、7か月になるところなのですけれども、自分自身も妊娠・出産を経て、意外とお金がかかるなとか様々な経験をしましたので、その辺りもこの検討会で生かしていくことができればなと思っております。
実際に去年の初めのほうに妊娠が分かった時点で、今回、初回の産科受診料のこと、低所得の方を対象に助成するというようなことが盛り込まれていると思いますが、実際に妊娠が分かって病院に行ったらそこで1万円ちょっと払ってくださいというようなことがあって、そこから産院を決めて通い続けると毎回母子手帳をもらうまでは数千円持ち出しがあって、妊娠が分かってから本当に1~2か月で数万円が自分のお財布から飛んでいったというような経験がありました。
これから出産費用もかかるし、教育費もかかるという中で、一番最初の段階でそれだけお金が取られると、妊婦さん、これから経済的な不安がすごく大きくなるなということを個人としてもすごく強く体感したのを覚えています。なので、出産費用の保険適用のところはもちろん重要だと思いますけれども、妊娠が分かった段階から産むまで包括的に安心して負担が少なく産むことができるような環境が整備されていくといいなと思いますし、それについては所得関係なく全ての妊産婦さんが支援されるような環境になってほしいなということを期待しております。
一方で、ずっと今日も話題に上がっていますが、産後ケアには私も本当に助けられました。私は割と助産院や産後ケアの施設が周りに多い地域に住んでいるので、バスで10分、15分行けば産後ケアの施設が複数選択肢があるというようなところで、初めての出産だったので、子供がしゃっくりが止まらないだけで、ネットで検索してしゃっくりが止まらないとどうなってしまうのだろうとか、そのような不安がすごくたくさん毎日あった中で、通いやすい産後ケアのところに出会って、2週間に1回とかそういうところに行って相談できて、不安が解消されるだけで本当に気持ちが楽になりましたし、おかげで本当に楽しんで子育てを今まですることができているなと感じています。このような産後ケアが全ての人がアクセスできるような場所にある環境になってほしいなと思っています。
今、利用率が10%というところは本当に低くてもったいないなというのが率直な実感です。でも、私自身のことを振り返ってみても、母子手帳をもらうときに産後ケアのことは自治体から聞きましたけれども、それ以降の周知が全くなかったなと感じています。例えば退院する前に産院から案内があったら、その場で予約してみようかなとか、出産が迫っているときの健診で案内があったら、その場でもうちょっと考えたかなというようなところで、出産の直前とか、産まれてみて困っているときとか、そういうときに情報が必要なタイミングでちゃんとリーチするというところが、10%の利用を上げていくということで非常に重要かなと思っていますので、産後ケアについても、施設の充実と認知の充実というところで、より充実していくといいなと思っています。
保険適用というところは大きなテーマだと思うのですけれども、当事者としては、負担ができるだけ少なく産むことができる。妊娠が分かった段階から出産のその日まで、負担ができるだけ少なく産むことができる。また、金額についても、最後に請求書が来てみないと、本当に自分が幾ら払うのかはよく分からないまま退院の日を迎えたというのが正直なところで、このぐらいで前後しますよというようなふわっとした説明で、何が起きたら上がって、何が起きたらそんなに上がらないのかということも、当事者としてはよく分からないままだったというところもありますので、負担が少なく、なおかつ、幾らになるのかというようなことが明確な状態で安心して産むことのできる環境になっていくとうれしいなと思っています。
同時に、今までも議論されていますけれども、安くなったから遠くなってしまった、近くに産院がなくなってしまったというようなことがあっては本末転倒ですので、全ての人が安心して近くに産むことのできる場所がありつつ、なおかつ負担も少なくなっていくというようなところの両輪がどうしたら実現されるのかというのは、全体感も含めて今後議論していくことができればなと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、濵口構成員、よろしくお願いいたします。
○濵口構成員 日本医師会の濵口でございます。
現在、産科医療機関を取り巻く現状でありますけれども、子供の絶対的な減少による経営危機に加えて、昨今では物価高騰、あるいは人件費の高騰が追い打ちをかけて、先ほど御紹介がありましたけれども、産婦人科の医師は増えておりますけれども、決して産科医師が増えているということではございません。また、医師の働き方改革による医療従事者の確保の困難など、様々な苦境に見舞われているという背景がございます。
我が国の妊産婦さんの死亡率ですけれども、2020年で10万人当たり3.2という世界一高い医療水準でございます。すなわち、日本が世界で最も安全に出産できる国の証でもあるわけでございます。こうした産科医療機関、医療水準を維持してきたのは、紛れもなく現場を支えている医療従事者ということでありますし、産まれてくる子供が少なくなっている現状においても、誰もが安心して出産ができる環境を用意することが、少子化対策の要であると私は考えているところでございます。
出産費用の保険適用化においては、先ほどから皆さん議論になっていますけれども、妊産婦さんの費用負担ばかりに論点が集中、その結果、地域の産科医療提供体制が崩壊するということが生じれば、それは妊産婦さんにとってはとても不幸なことになるわけでございます。産科医療機関の体制の維持・向上と妊産婦さんの費用負担がバランスよく実現され、今の制度よりもよりよいものがこの議論の中で実現できなければならないと私は考えているところであります。
この検討会におきまして、妊産婦さんの声、それから医療従事者の声、さらには保険者の声など、様々な意見を聴いて、そして望ましい出産の在り方をしっかり議論できればと考えております。
先ほど御紹介がありましたけれども、「出産なび」は産科医療機関が96%回答しているわけでございます。この情報提供ツールは公開されたばかりでございますから、これにより妊産婦さんの行動がどう変わっていくのか、こういった検証を優先して考えて、そしてこの議論で引き続き話していければと考えているところでございます。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、細野構成員、よろしくお願いします。
○細野構成員 私、この構成員の中で唯一の小児科医かと思いますけれども、私は小児科の中でも新生児集中治療を専門にしている小児科医でございます。
今回、皆さん方の討議の中で考えていただきたいのは、日本の周産期医療に関しては、欧米と違って小児科医が介在しない出産が日本では非常に多いという現状があります。ただ、その中でも、産婦人科の先生方、あとは助産師さん、看護師さんがいろいろ工夫をされて、実際には蘇生技術をしっかり身につけたということで、日本の新生児死亡及び後遺症の率は欧米に比べても極端に低くて、世界最高水準を保っている。
ただ、そういった中で、産婦人科の先生方は、ハイリスクの患者さんに関しては高次医療機関に適切に送っていただいているという側面もあるかと思います。我々は、高次医療機関にいて、お産の現場に立ち会った場合、ハイリスクの場合は我々が当然立ち会うのですけれども、ただ、ハイリスクだと思っても、その患者さんから産まれたお子さんがうまく泣いてくれて、蘇生を必要としないお子さんも多いわけで、そういったときに我々は何も評価はされないわけなのです。そういったことを含めて、今回の調査の中にも小児科医及び麻酔科医等の実際の分娩ケアに従事している時間とかの調査の中にも入れていただきたいということがあります。
お産というのは、皆さん方、安心・安全なお産ということをよく言われますけれども、その中で、赤ちゃんというのは実際は15%は蘇生を必要としているのです。ただ、15%の蘇生というのは、成人の蘇生と違って、一般的なケアで10%ぐらいのお子さんは泣いてくれる。いわゆるマスクバックをするような高度な蘇生は5%ぐらい。それを担っているのは産婦人科の先生、助産師さんを含めた我々小児科医も当然含まれてくるわけなので、そういったことをしっかり認識していただいて、我々が小児科医として蘇生に立ち会った場合、保険としてどう扱っていくのか。
また、産まれた直後、正常なお子さんに関しては、入院中は新生児の管理をするわけです。その辺の新生児の管理料に関しても保険でどうするのかということも含めて、幅広く議論していただければと思います。
私からは以上でございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、前田構成員、よろしくお願いいたします。
○前田構成員 皆さん、こんにちは。
私は、日本産婦人科医会から参りました構成員の前田でございます。
本業は、静岡県焼津市というところで産科の有床診療所をやっております。31年目になります。その前は大学病院と周産期センターで勤務しておりました。
私が今、開業して、取り上げたのは助産師さんかもしれませんが、立ち会ってまいりました分娩数が2万2000件ぐらいです。基本的にお産をやる病院でずっと勤めておりましたので、出産とともに半生を過ごしてまいりました。そういった開業医の立場から、この会議に参加させていただいていると認識をしております。
まず最初に、厚生労働省の皆様には、こういった会議体の中に恐らく初めて産婦人科医を学会代表の亀井構成員と私を呼んでいただきまして、本当に感謝申し上げたいと思います。
分娩に関しましては酸いも甘いもありますが、今一番感じていますのは、分娩の保険適用という問題が、言葉が独り歩きしてしまって、国民の皆様が本当に正しい情報をこの保険化という言葉にイメージしているのかどうかということを非常に危惧しております。といいますのは、先ほどどなたか構成員の方がおっしゃったように、いいイメージしか報道されていないです。いいイメージというのは、当然患者さんの負担が安くなる、お財布の要らないという言葉がはやっておりますが、そこまで行っているかどうかは分からないけれども、今より楽になるというイメージを持っておられます。現在、出産育児一時金は保険財源から出ております。そして、今回、保険給付をするということは、保険財源からお金を出そうということで、先ほど佐野構成員が非常に実態に合った発言をしておられましたけれども、財源論としてはどうなるのだろう、両方出すのでしょうかと。恐らく今の保険財源では両方出すのは、少なくとも満額出すのは難しいので、保険化したときに出産育児一時金はどうなるのでしょうと国民の皆さんは何もと言ったら失礼ですけれども、あまり考えていらっしゃらない。というよりも、情報を与えてもらえていないと思います。ですが、今までいろいろな議論をしてきた中で、出産育児一時金も満額出して、そして健康保険の適用にしてということは本当にあり得るのだろうか。実現可能だったらそんなうれしいことはないですけれども、それは本当にいけるのでしょうかということです。そうすると、国民の皆さんにとってはどれぐらいこの保険化が得になるのだろうかということを今、危惧しております。
また、皆さんは大体3割負担のイメージで保険をイメージしていますけれども、本当に3割負担なのでしょうか。もしかしたら全額保険から出そうとしていらっしゃるのかもしれないなというのも考えております。ですから、保険のイメージがはっきりしてこないと、これがいいのか悪いのかも分からないです。私どもが切に望むのは、国民の皆さんにとってプラスになり、しかも、さっきから何人か医師仲間の構成員の方が申し上げましたように、今の日本の、世界に誇ってもいい医療成績を本当に維持できるのかということです。といいますのは、なぜかというと、今現在、出産育児一時金で分娩費の補助がなされていますけれども、東京、神奈川では、50万円ではほとんどの施設ではお産ができませんので、多くの施設は70万円とか80万円ぐらいを患者さんから徴収させていただいているわけです。そうすると、単純に保険化されたときに80万円の保険点数にはまずなりませんので、医療機関は基本的には減収になります。その減収分を何か違う政策で補塡していただければいいですけれども、恐らくそんなことはあり得ないと思いますので、そうすると体力のある医療機関はもつかもしれませんが、ほとんどの医療機関はもたないです。
私、静岡におりますけれども、県内で調査しましたところ、保険化というのは先ほどお話ししたようなイメージです。公定の価格が決められてしまって、しかも今、出産育児一時金よりも少し低めに設定される可能性もあるのかなと思っていますので、その程度に設定されたら分娩の取扱いをやめるという診療所が3分の1です。金額によってはやめるという医療機関を入れると、半分がやめると答えておられます。ということで、鈴鹿市長さんとか府中の町長さんが見えていましたけれども、いろいろな地域で1軒しかない産科診療所がやめてしまう可能性は結構あるわけです。そういうことを慎重に議論していただける会であってほしいなと思っています。
具体的には、保険化という言葉はやむを得ないにしても、今の医療機関が少なくとも閉じなければいけないような減収には絶対にしてほしくないということ。医療機関あっての分娩ですから、それはぜひお願いしたいと思います。開業医だけではありませんで、高次施設も収支の関係がほかの科と共通しているから、お産はドル箱だったなんて昔言われていましたけれども、そんなイメージを持っている病院長が多いですけれども、実際には人件費が非常にかかっているのです。もし保険化の議論が進むとすれば、そういったところをしっかり見据えて、分娩をやっても損をしないような体制をつくってあげてもらわないと、とてももたないと思います。
出産は24時間365日、これはお産だけではないのです。出血で見える妊婦さんもいるし、おなかが痛くて見える妊婦さんもいるし、破水かもしれないとちょっと心配で来る方もいるし、いろいろな方が24時間365日、予定日と関係なくお見えになるわけですから、私、開業して31年になりますけれども、1泊以上自分の診療所を離れたことはありません。それぐらい縛られてしまうのです。そういったきつい仕事をするのも、お産に対する喜びがあるからしているのですけれども、これが赤字経営になってしまったらとてももたないです。ですから、そういった思いでやっている全国の産婦人科の一次施設には、ぜひ事業を継続していただきたい。継続するための施策をぜひ考えていただきたいと思っています。
今度またヒアリングのときに発言の機会をいただけると伺っていますが、正常分娩といってもいろいろな分娩がありまして、その過程もいろいろありますので、どういったことが正常分娩と言われる中で行われているのか。そして、保険化されたら果たしてこの部分はどうなるのだろうとか、いろいろな疑問がどんどん湧いてきます。制度設計的にも非常に大変な事業だと思いますので、やるからにはちゃんと国民の皆様に利するもの、そして今の周産期のすばらしい体制を崩さないもの、そういうものをぜひつくり上げていけたらなと思っております。
以上でございます。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、松野構成員、よろしくお願いいたします。
○松野構成員 日本労働組合総連合会の松野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
連合はかねてより、希望する人がどの地域であっても、安全・安心に子供を産み育てることができる環境整備に向けて、負担軽減措置を講じつつ、正常分娩も含めた保険適用を求めてまいりました。
これまでの議論を踏まえ、検討会では、まず正常分娩の保険適用についてしっかり議論することが必要だと考えております。具体的な検討に向けては、提供体制や費用の地域差などの分析も不可欠です。分娩取扱施設における出産に係る費用構造の把握のための調査研究では、詳細を明らかにしていただきたいと考えております。
5月にスタートした「出産なび」によって、地域にどのような分娩施設があるのかという点については見える化ができたと考えております。しかし、これだけではどのような提供内容があって、その内容に対する費用が幾らなのかといった詳細までは分かりません。透明性の向上、また今後の保険適用の観点からも、提供内容の行為と費用が分かる明細書の無料発行を求めるのも一つではないかと考えております。
また、子供を産み育てるに当たっては、出産時だけでなく、妊娠、産前、産後を含めた切れ目のない支援は重要です。しかし、子ども・子育て支援金の使途に関しましては、こども家庭審議会の部会にて議論すると聞いておりますので、検討事項はしっかり分けていただき、負担とのバランスを考慮して検討すべきだと考えております。
私からは以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、山縣構成員、よろしくお願いいたします。
○山縣副座長 山縣です。
これまで母子保健領域における国民健康づくり運動である健やか親子21だとか、成育医療基本法における成育医療等基本方針に基づくことに関しまして研究をしてまいりました。
今回、保険のことが課題となっていますが、共助である保険は、被保険者がアットリスク、つまり恩恵を受ける可能性があるときにこういうものが成立するというのが前提となると思うのですが、妊娠・出産はあくまでも個人の権利であり選択であるときに、その考え方が果たして本質的にどうなのかということは議論の対象だと思っております。
ただ、一方で、今日、様々な政策の御説明がありましたが、現在、少子化対策だとか、産みたい人が産める社会、そして地域格差をなくしていくという、社会で子育てという視点、高齢者を支える将来の担い手という点から考えますと、妊娠・出産という問題も全国民に関する健康課題と考えることができるのかもしれないと思っております。
そういう意味からするとこういう議論は重要かなと思っておりますので、様々な各論になってくるとメリット、デメリットがあると思うのですが、何をゴールにするのかということをきちんと設定した上で、そのためにはどのような方法が適切なのかということを議論していくことができればと思っております。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございました。
それでは、李構成員、よろしくお願いいたします。
○李構成員 赤ちゃん本舗の李と申します。
赤ちゃん本舗は、子育て関連の小売業として日本の子育てに今まで寄り添ってきました。会員登録数は多く、弊社の売上げの87%は会員登録されている方の構成比になっております。さらに特徴としては、年間の出生数に対して約55%が赤ちゃん本舗の会員登録をされているというのも実績として上がっております。この割合は出産予定日などの情報をもとに調査を行っているため、情報としての信頼性は高いと言えます。
店舗というリアルな接点と、会員機能を使った購買行動、データ、アンケートなど、いろいろな形で妊産婦の方や子育てをされている方と接点を持っています。なので、実際の暮らしだったりとかその様子、その変化などが我々にはダイレクトに伝わってきております。私たちとしては、そういった妊産婦の声をお届けするという立場で今回参画させていただきたいと考えています。
直接的な接点が多いこともあり、妊娠・出産・子育てにおける経済的な負担が大きいことが、購買行動や調査の結果からも顕著に表れています。一番の経済的負担という中でも、やはり声として大きいのが保険適用だけではないという話は本当に最近よくお話で聞いています。さらに制度や情報というもの自体が分かりにくい、見えにくい、こういったお声も非常に多いので、その結果として利用促進や国民の皆さんの理解が進んでいないと私たちは捉えています。
また、最近では、若い世代の方々が子供を持つということに関して意識が低いという調査結果も、一番の原因が経済的な負担、さらにプラスしてネガティブな情報、子育て、産後、こういったところに対してのネガティブな情報が違う形で、さらに曖昧になってたくさん伝わっていくことによって、こういった意識がさらに大きくなっているというのも非常に危機感を覚えています。さらには産後ケアだったり、子育てに対してのいろいろな参画の仕方、あと制度の問題、経済的な負担以外のところでもまだまだ負担がたくさんあると思いますので、妊産婦の声を代弁して、いろいろな形でお伝えしていきたいと考えています。
未来の子供たちのために、今起きているこういった課題に私たちとしても一小売業ではありますが力になりたいと思っておりますので、妊産婦の声を代弁し、子育て、子供を産み育てやすい社会の実現に向けて、皆さんと連携しながら歩んでいきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○田邊座長 ありがとうございました。
様々な貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。
続きまして、議題(3)「実態調査について」に対する議論に移ってまいりたいと存じます。構成員の皆様方から御意見等あれば挙手にてお願いいたします。また、参考人の方々より補足説明等ございましたら御発言いただきたいと存じます。オンラインで御参加の委員におかれましては、挙手ボタンでお知らせいただければ幸いです。では、何か御意見等ございますでしょうか。
お願いいたします。
○亀井構成員 日本産科婦人科学会でございます。
調査の重要性、我々学会としても認識してございますけれども、先ほども申し上げましたように、調査の内容に関しては、再来年からの保険適用に向けてという基本の方針が、我々も了解はしているのですけれども、ただ、あまりに調査に偏りがあった場合に、それをどうやって解釈していいものかどうか分からないと思っておりまして、大規模なサンプル調査、できることであれば悉皆調査が恐らく今の分娩を取り扱う環境に関しての正確な情報になるでしょうから、それにどういう形で近づけていただけるのかということは大変危惧しております。
もしも誤った形でデータが出てしまいました場合に、不利益を受けるのは妊婦さん御本人ですし、具体的に例えばサンプル調査としてどれくらいの数をお考えなるのかということを御教示いただきたいと思います。
○田邊座長 この点いかがでございましょう。
野口参考人。
○野口参考人 私のほうから、亀井先生どうもありがとうございました。
亀井先生から、従前から調査に対する課題をいただいておりまして、我々もこれは重く受け止めております。代表性があるデータでないと、先生方、今までいろいろな議論がありましたけれども、例えば、常に経営状態のいい施設だけが、今回非常にその傾向があったのですが、いわゆる体力のある施設だけが回答を寄せてくださる。あるいは、先ほどから地方自治体の市長様のほうからも御質問がありましたけれども、例えば財政力指数の高い、つまり財政力のある市町村に所在している施設からのみ御回答が寄せられている。例えば今回はそういった回答バイアスが非常にクリアに見えました。これは協力を仰がず、回答するかどうかを施設さんの意思にお任せしたというか、その施設さんが自分たちで決めたといったやり方をしたので、非常に回答バイアスがクリアに見えたということになります。
今回の悉皆調査、できるだけ御負担をかけないために、悉皆調査についてはかなり項目を絞らせていただきました。しかも、外のデータから取れる項目については、極力我々のほうで独自に締め調べるとさせていただきました。
問題は、亀井先生がおっしゃったように標本調査のほうです。標本調査には、例えば患者票、先ほどから正常分娩でも妊婦さんによって状況が多様だということをおっしゃっていたのですけれども、本当にそれは重要だと思っていて、そういったある施設で扱う正常分娩にしても多様な状況が考えられると思いますので、できるだけ施設様の御協力の下、同一施設の中で複数の妊産婦さんの状況を知りたいと考えています。
ただ、本当にこれは御負担をかける話ですので、ヒアリング調査から分かったのは、例えばうちでは10件ぐらい協力できますよと言ってくださったところもあれば、うちはもう3件がせいぜいだと言ってくださるところもありますので、その辺り、どのようにできるだけ偏らない状況で標本調査を行うことができるのかは今検討しているところであります。
ただ、タイムスタディーになるともっと非常に大変な作業を施設さんにお願いすることになってしまいますので、患者票あるいはそれに伴うタイムスタディー、あるいは収益の部分、その辺りについてはできるだけサンプルが偏らないように層別化をして、無作為抽出をして、しかも今回の調査で分かった例えば財政力指数が低いところ、先ほどから地域で非常に分娩施設が少ないところがあるとおっしゃっていましたけれども、そういうところからできるだけ何らかの形で御協力を仰ぐ。もう一つは、競争環境の激しいところから御協力を仰ぐ。つまり、そのためにはそういうところにはオーバーサンプリング、要するにウエートをかけて、そういうところにより多く聞くということです。単に無作為抽出するのではなくて、そういうところにより多くの調査票をまいて、そういうところから御協力というか、回答を収集するというような抽出方法の工夫が必要だと思っています。どの程度にするかは担当者様とも検討させていただいているのですけれども、今回、標本調査として3分の1ぐらいの施設から回収できればなと思っております。
このような感じで答えになっておりますでしょうか。
○亀井構成員 今回のサンプル調査の項目も見せていただいて、試しにうちの大学で私がやってみたのですけれども、前回のパイロット調査のときは1症例集めるのに3時間かかったのです。今回のサンプル調査に関しては、恐らくしっかりやろうと思えば、やっている本人に誰か一人をつけないといけないのです。何時から何時までと。そうすると、もうついている人間は仕事になりませんので、ちょっと無理なのではないかなと思いました。
実際にちらっと昨日やってみたのですけれども、外来が終わらなくて、途中で僕は諦めてしまったのですが、個人個人で時間のタイムテーブルを記入できるかというと、恐らく漏れが起きるので、多分正確には反映されないので、それをもってエフォート率を計算されて、分娩費用、保険の費用に反映されてしまうことに対して、私自身は危惧を持っています。これは恐らく学会として皆が思っていることだと思うのです。僕らは非常に不安があります。もちろん協力はいたしますけれども、大丈夫かなというのがあるのです。
○田邊座長 野口参考人、どうぞ。
○野口参考人 本当に現場の方々のそういう御苦労は火を見るより明らかだと思います。
まだこれは担当者様とも御相談しなければいけないと思いますが、一つのやり方としては、タイムスタディーは非常に御負担がかかると思いますので、いわゆる患者票を例えば収集させていただくとすると、いわゆる分娩台帳とかから書くことができるということをヒアリングで皆さんおっしゃってくださったので、例えば患者票については割と各施設複数回答しても構わないですよ、あるいはできますよとおっしゃってくださった施設がかなり多かったのです。前向きだったら余計回答しやすいとおっしゃってくださったところがほとんどだったのですけれども、患者票については複数、正常分娩でも、異常・搬送でも、無痛分娩でも、いろいろなバイアスがあると思いますので、そこのところは例えば割と複数回答していただいて、タイムスタディーについては、その中の代表的なと言ったらあれですけれども、正常分娩について、あるいは無痛があったら無痛分娩について、あるいは何か異常な分娩があったらそれということで、各1件ずつとか、各施設というか病院などで1ケースずつ選んでというようなことというのは、亀井先生のお考えでは可能でしょうか。
○亀井構成員 それはあり得るかもしれませんけれども、我々が危惧していることは、サンプルの信頼度になってしまいますので、こんな短期間で本当にやっていいのかなというのは常々ずっと思っている。我々学会も、それから医会の先生方もそうだと思うのですけれども、数字で出されてしまうとそれが独り歩きしてしまいますので、ここで厚労省の方々に申し上げるのもなんですけれども、時間をかけてということはできないのかなと、いつも私は考えておりました。
○田邊座長 事務局のほう、何かコメントは。
○木下保険局医療課医療技術評価推進室長 事務局でございます。
今いただいた御意見につきましては、これまでも研究班の中で亀井構成員や各先生方からいただいているとこちらも認識しておりますので、この場でこれ以上議論を深めるのは難しいなと受け止めております。引き続き研究班で御意見いただきながら、どのような形で現場の先生方の御負担を減らしつつ、できる限り回収率を上げることができるかにつきましては検討を進めさせていただきたいと思いますので、ここの場で何かしら一定の結論を得るのは難しいかなと思っております。
以上でございます。
○亀井構成員 木下先生からそういう御意見はいただいておりますし、私たちとしてももちろん協力はしたいです。
○田邊座長 前田構成員、お願いします。
○前田構成員 日本産婦人科医会の前田でございます。
亀井先生のおっしゃっていることについては、産婦人科医会でもサンプル調査のモデルを見せていただきまして、ここで押し問答になってもいけないので多くは言いませんが、結構大変な作業になると思います。
もう一つ申し上げたいのは、産婦人科の費用構造の中で、特に開業医あるいは一次施設の場合は、新規に開くときに建物を建てなくてはいけない。これが非常に大きな負担になるのです。例えば東京で1軒、産婦人科医院を建てようとしたら、まず10億近くかかります。地方でも数億かかります。そういったものの借金を返していく、新規開業の場合にはこれを20年、30年単位で計画して返していくわけですけれども、そういった費用が今回のサンプリングの中には反映していただけていないということが一つ。
もう一つは、実際に仕事をしている医師、助産師の動きを例えば時給換算にして幾らかかっているから分娩にはどれぐらいかかるという議論では駄目なのです。というのは、いつ何どき何が起こるか分からないから、ある一定の看護職員、ある一定の医師は確保しておかなくてはいけないのです。いつ緊急帝王切開があるか分からない。いつ高次施設に搬送しなくてはいけないか分からない。だから、無駄になっても、分娩数が仮に減っても、ある一定の職員は解雇できないのです。
具体的には、この数年の少子化で年間の分娩数が100減った施設が結構あります。150減ったところもあります。そういったところで看護師、助産師を減らせられるかというと、減らせられないのです。やはり働き方改革の問題がありまして、夜勤をずっと24時間置くためには、今以上の人数に減らせられない。分娩数が多いと割合そういったスケールメリットが出てくるのでいいのですけれども、分娩数が減ってきている今は人件費の負担増が非常に高くて、しかもそれは予備的な人件費ですから、どれぐらい働いている助産師がいて、どれぐらい働いている看護師がいるかだけでは測り通せないものがあるのです。そういったことを考慮していただけないと、我々の収支決算は理解していただけないと思います。それもぜひ申し上げておきたいなと思いました。
○田邊座長 ありがとうございました。
レスポンスはございますか。
○野口参考人 ありがとうございます。
実は今回各施設に例えばどのぐらい債務があるのか、どれぐらい投資をしているのかということも一応お聞きしました。ですので、今年度の調査でも収益票については、建物であるとか、機器であるとか、そういったものにどれぐらいの投資をされているのかは今回の調査でもかけるつもりで、昨年度のパイロット調査でも伺いました。ただ、今回に関しては、比較的経営状態のいい、しかも投資も非常にスムーズに行われている施設が非常に多かったので、これは完全な回答バイアスだと理解しております。
もう一つ、人件費について、全ての費用を今回パイロット調査で伺ったのですけれども、7~8割が先生のおっしゃるとおり人件費となっております。もちろん産婦人科医さんだけではなくて、待機時間というのが医療は発生する場合がありますので、その辺りも含めて人件費が病院のコストあるいは診療所様のコストあるいは助産院さんのコストになっているということが明確に分かるデータにはなっております。ですので、先生から今、御指摘があったところも含め、ヒアリングで先生と同じような御意見も多々あったので、その辺のところも注意しながら、新たな今年度の調査を実施させていただきたいと考えております。
○田邊座長 ほかいかがでございましょう。
前田構成員。
○前田構成員 ありがとうございます。ぜひそれをお願いしたいということと、意見ではないのですけれども、野口先生の資料3-1の感想を申し上げる時間がないので今申し上げますが、10ページの機能別・分娩状況別の3群での分散の不均一性と平均値の差という部分で、分娩取扱施設の機能別で分娩時の妊娠週数が違っていたという話ですけれども、これは産婦人科医が読むと恐らく答えは明らかで、高次施設はやむを得ず妊娠の早期に帝王切開をしなくてはいけない。お母さんを守るために、赤ちゃんを守るために、満期を待たずに帝王切開で赤ちゃんをお出ししなくてはいけないケースがかなり含まれてきます。日本の帝王切開率は今20%ぐらいですから、助産所は帝王切開はされませんので、当然助産所の妊娠週数が一番遅くなるのです。診療所は次いでローリスクの帝王切開を38週ぐらいにやります。総合周産期センターは28週や24週といった週数の早い帝王切開が含まれますので、統計的には当然こうなると思います。
これを明らかにしていただいたのは非常にありがたいことですが、理由としてはそういうことだというのをぜひ御理解いただけたらと思います。データとしては非常に貴重なデータなので、本当に野口先生に感謝申し上げたいと思います。
以上です。
○田邊座長 ありがとうございます。
ほかはいかがでございましょう。
よろしゅうございますでしょうか。
様々な御意見をいただきましたけれども、いただいた御意見を踏まえまして、野口参考人におかれましては誠に御苦労さまでございますけれども、研究のほうを関係者と調整しながら進めていただければと存じます。
本日用意した議題は以上となります。
様々な御意見、それから御要望を頂戴いたしました。事務局におかれましては、次回以降の議論に向けて御準備いただければと思いますので、準備をよろしくお願い申し上げる次第です。
若干時間を超過してしまいましたけれども、これをもちまして本日の議事は終了とさせていただきます。
今後の予定について、事務局からお願いいたします。
○柴田課長補佐 事務局でございます。
次回はヒアリングを実施することを考えております。正式な議題、そして開催日程につきましては、追って御連絡をさしあげます。
○田邊座長 これをもちまして、第1回のキックオフの検討会は終了したいと存じます。
本日、大変お忙しい中お集まりいただきまして、また貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。この点、感謝、御礼申し上げます。
それでは散会いたします。