第28回過労死等防止対策推進協議会 議事録
労働基準局総務課(過労死等防止対策推進室)
日時
令和6年6月4日(火) 15:00~17:00
場所
厚生労働省 専用22~24会議室(中央合同庁舎5号館18階)
東京都千代田区霞ヶ関1-2-2
東京都千代田区霞ヶ関1-2-2
出席者
- 専門家委員
- 岩城穣委員、戎野淑子委員、川人博委員、木下潮音委員、清山玲委員、中窪裕也委員、宮本俊明委員
- 当事者代表委員
- 工藤祥子委員、髙橋幸美委員、寺西笑子委員、渡辺しのぶ委員
- 労働者代表委員
- 青木哲彦委員、上野友里子委員、冨髙裕子委員 西尾多聞委員
- 使用者代表委員
- 神尚武委員、佐久間一浩委員、鈴木重也委員、
議題
- (1)過労死等の防止のための対策に関する大綱(案)について
議事
- 議事内容
○中窪会長 定刻となりましたので、ただいまから、第28回「過労死等防止対策推進協議会」を開催させていただきます。
委員の皆様におかれましては、御多用中にかかわらずお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、岩城委員がオンラインでの御出席です。通話に関してちょっと調整が必要なようですが、事務局にお願いすることにして、会議を進行させていただきたいと思います。
また、本日は、御都合により堤委員と大下委員が御欠席です。
会場にお越しの委員についてはタブレット、オンライン参加の委員については事前にお送りした資料により御議論いただくこととしております。タブレットの操作が分からない場合には、随時職員をお呼びください。
本日付で委員の異動がございましたので、御報告いたします。全体資料の117ページのところに参考資料として委員名簿がございます。
労働者代表委員の柴原准二委員が退任され、後任に青木哲彦委員が厚生労働大臣から任命されております。青木委員、一言お願いします。
○青木委員 情報産業労働組合連合会の青木と申します。よろしくお願いいたします。
○中窪会長 どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、カメラの撮影につきましてはここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○中窪会長 それでは、お手元の議事次第に沿って進めてまいります。
本日の議題は、「過労死等の防止のための対策に関する大綱(案)について」でございます。
前回の協議会において、大綱の見直しの素案を委員の皆様に御議論いただきました。皆様からの御意見を踏まえて関係省庁間での調整を経て、事務局において大綱の見直し案を用意していただきました。本日は、この見直し案について事務局からの御説明の後、できる限りの御議論をいただき、大綱の見直しについての本協議会での議論に区切りをつけていただければと考えております。どうかよろしくお願いいたします。
ではまず、厚生労働省から資料1及び2について御説明いただき、その後、人事院から資料3、総務省から資料4について御説明をいただきます。
それでは、厚生労働省から順次お願いいたします。
○企画官 それでは、厚生労働省事務局から資料の説明をさせていただきます。
資料1が大綱案の新旧対照表となっております。前回の協議会での御意見や委員の皆様から御提出いただきました意見書、その後の調整等を踏まえまして、今回の大綱の案とさせていただいております。
右側が現行の大綱で、左側が見直し案でございまして、赤字の見え消しで表記しております。そのうち下線を引いたところが素案からの修正箇所となっております。これから下線を引きました修正点について御説明いたしますが、文字、文章の形式的な修正、または並べかえ等については、説明を省略させていただきます。
それではまず1ページ目の中ほど、「1 これまでの取組」の部分で、会長から、文章をもう少し丁寧に記載するようにとの御指摘と修文案をいただきまして、文言を追記しております。
そして、2ページの上のほうですが、こちらも会長から修文案をいただきまして、過労死等の定義と法の目的の部分を追記しております。
同じページの下の3行目と次のページの1行目の部分ですけれども、令和6年4月から時間外労働の上限規制が適用される業種等について、5年間適用を猶予し、必要な支援がなされてきた経緯が分かるようにとの御指摘がございましたので、追記したものでございます。
次に4ページです。「2 現状と課題」の「(1)労働時間等の状況」で、中ほどやや下ですけれども、「なお、超過勤務の機会が少なく」で始まる文章を前回素案として追記しておりましたけれども、後ほど数値目標のところで説明いたしますが、勤務間インターバル制度の必要性を感じないと回答した企業を除いた制度導入企業割合の目標数値を記載しないこととしましたため、その現状の導入割合を記載したこの部分を削除したものでございます。
これに続く、「加えて、」とある文章について、より具体的に勤務間インターバルの現状、課題について分析した記載にして、後ろで出てきます勤務間インターバル制度の導入促進の対策につながるようにといった御指摘がございましたので、勤務間インターバル制度の導入割合の傾向等について追記しております。
次に5ページになりますが、「(3)職場におけるメンタルヘルス対策の状況」について、労働者数50人未満の小規模事業場の規模別にその割合を追記しまして、小規模事業場の取組が低調であるということを明確にしております。
6ページ中ほどやや下ですけれども、職場のハラスメントに関する実態調査の令和5年度の結果が出ておりましたので、修正をしております。
次に7ページの下、(7)の「ア.労災補償の状況」について、現在は令和4年度の数値を記載しておりますけれども、令和5年度の労災支給決定件数等の数値がまとまりましたら、最新の数値、傾向等に修正させていただきますので、この点、あらかじめ御承知いただければと存じます。
次に9ページの下から、「(8)課題」についての記載になりますが、少し飛びまして11ページの一番下の行です。「事業場における取組を進めるとともに」という文言ですが、素案では削除しておりましたけれども、この部分については残すべきといった御指摘がございましたので、記載を残しております。
次、12ページの「第2 過労死等の防止のための対策の基本的考え方」で、過労死等の件数の傾向についての記載ですが、脳・心臓疾患については、令和4年度に増加に転じておりまして、精神障害事案については増加傾向が続いておりますので、この両方を含めまして、「近年増加傾向にある」と修正しております。
次に13ページの上の「令和7年には、」で始まる段落ですが、過労死等の防止の取組を推進していくためには、様々な統計的なデータが重要、必要といった御指摘もあり、「必要な統計の整備に努めることを含め」という文言を追記しております。
その下、「1 調査研究等の基本的考え方」の中で、労働者の属性について、職位も重要であり、属性に含まれていることを明確にするようにといった御指摘がございましたので、「(性、年齢、職位、職務等)」を追記しております。
次に15ページから、「2 啓発の基本的考え方」の「(1)国民に対する啓発」の中、なお書きの部分になりますけれども、労災認定には、労働時間の実態を踏まえた適正な認定が必要といった御指摘がございましたので、それを踏まえまして、その旨記載しております。
次に17ページの「3 相談体制の整備等の基本的考え方」のところで、産業保健活動、健康管理活動をきちんとやることを総論的にうたうことが必要といった御指摘がございましたので、産業保健活動を含めた労働者の健康管理について追記をしております。
その下、最後の2行から18ページにかけて、テレワークについて、コミュニケーションの重要性が記載されておりますが、そもそもの安全衛生の確保も重要であるといった御指摘を踏まえまして、テレワークを行う際の作業環境の改善を図ることを追記しております。
次、20ページの「(2)長時間労働の削減に向けた取組の徹底」のところで、労働時間の適正把握等について御指摘がございましたので、中ほどで、その旨追記しております。
21ページの下のほう、「(4)メンタルヘルス対策・ハラスメント防止対策」のところで、カスタマーハラスメントの取組強化についての御指摘がございましたので、22ページになりますが、また書きのところで、パワハラ指針を踏まえた取組について追記しております。
また、22ページの一番下の行から23ページにかけて、ILO第190号条約について、労働行政機関等における対策のところに書くようにといった御指摘や、批准に向けた課題等を記載すべきといった御指摘がございましたので、現状において記載が可能な内容としましたので、修文はありませんけれども、記載場所はこちらに移して記載しております。
次に24ページの「(2)予防研究・支援ツールの開発」の部分で、開発したツールの普及啓発に向けた取組、あるいは中小企業でも活用できるようなもの、関係者と協働して進めること、こういった御指摘がございましたので、その旨追記しております。
その下、「(3)過労死等の労働・社会分野の調査・分析」について、25ページになりますが、4月からの時間外労働の上限規制が適用される業種等の労働時間や労働の実態など法令遵守等の状況、商慣行の変化を把握すべきといった御指摘がございましたので、その旨追記しております。
また、カスタマーハラスメントによる心理的負荷に係る調査の御指摘がございましたので、こちらに調査を行うことを追記しております。
また、その下で、調査研究結果を実際の取組に活かす旨追記してほしいといった御指摘がございましたので、「今後の取組に活かしていく」と追記しております。
その下、「(4)結果の発信」について、調査研究の結果や過労死等防止対策について、シンポジウムの際に労働局からの説明に加えるよう御指摘がございましたので、26ページ、一番上の行になりますが、「シンポジウム」と追記しております。
同じページの「3 啓発」の「(2)大学・高等学校等における労働条件に関する啓発の実施」の部分で、次の27ページになりますが、学校数や生徒数を増加するようにとの御指摘を踏まえまして、その旨追記しております。
その下、「(3)長時間労働の削減のための周知・啓発の実施」について、また書きの段落で、「週40時間を超える時間外労働」という記載が誤解を生むといった御指摘がございましたので、「週40時間を超える労働時間」と修正をしております。
さらにその下、1週間単位で休日を確保するよう周知し指導するようにとの御指摘がございましたので、「休日の確保」について追記しております。
28ページの下、「(5)勤務間インターバル制度の導入促進」について、29ページになりますが、企業、業種ごとの特性を踏まえ、阻害要因を分析して進めることが重要といった御指摘を踏まえまして、「職種・業種等の特性を踏まえ導入・運用する際のポイント等を取りまとめたマニュアルの作成及び周知」としております。この部分、下線が抜けておりますが、そういった修正をしております。
また、国民に訴えるように、また長時間労働である事業場への制度導入を促すようにといった御指摘がございましたので、その旨追記しております。こちらも下線が抜けております。申し訳ございませんでした。
次に31ページですが、「(8)職場におけるハラスメントの防止・解決のための周知・啓発の実施」について、企業向けの啓蒙活動が必要との御指摘や、企業におけるハラスメントの防止に向けた取組を調査、分析し、支援や周知につなげていくことが必要といった御指摘を踏まえまして、動画等のコンテンツ掲載や周知・啓発、企業等への支援などについて追記しております。
その下、「(9)多様な働き方への対応」について、次の32ページになりますが、イの「副業・兼業」のところです。こちら、労災保険の保険給付について、特別加入をしている人の場合もあるので、賃金だけではないといった御指摘がございまして、「賃金額等」と修正しております。
その下、ウの「フリーランス等」のところで、ガイドラインについて、「周知・活用を図る」という文言について変えるように御指摘ございましたので、修文をしております。
33ページ、「(10)商慣行・勤務環境等を踏まえた取組の推進」の部分で、次の34ページになりますが、「ビジネスと人権」に関する行動計画が策定されたことを踏まえた記述や、企業だけではなく、国としても取り組んでいることが分かるようにとの御指摘を踏まえまして、「さらに、」で始まる段落を追記しております。
その下の「ア.トラック運送業」で、次の35ページの中ほどやや上になりますが、「物流革新に向けた政策パッケージ」のところで、勤務環境改善のための設備投資についても記載してはどうかという御指摘がございまして、それを含めまして、トラック運転者の勤務環境の改善等に取り組んでいくことを追記しております。
また、一番下の行から36ページにかけて、国会で改正法が成立したことを受けまして、「政省令等の整備を進めていく」と修正しております。
36ページのイの「教職員」について、過労死等の防止の観点、健康で安心して働き続けられるという視点からの記載をすべきといった御指摘や、学校現場で過労死等について教育委員会全体や地方公務全体の取組とすることが必要といった御指摘がございましたので、次の37ページにかけてになりますが、学校における働き方改革の更なる加速化等を進めることや、教育委員会における取組、安全衛生管理等について追記しております。
その下、ウの「医療従事者」についてです。タスクシフト等に要する費用の支援について記載できないかという御指摘を踏まえまして、次の38ページの3行目の部分で、基金による財政的支援について追記しております。
39ページ、オの「建設業」について、令和6年4月から建設業の時間外労働の上限規制の適用を踏まえた取組や、40ページになりますが、建設業労働者の処遇改善や働き方改革などを図るための法案を国会に提出しておりまして、今後それに基づく取組を推進していくということを書いております。国会で法律が成立しましたら、文言の修正をする予定となっております。
41ページです。アの「若年労働者への取組」について、若い労働者の精神障害に係る労災申請が増加している状況に鑑みて、職場環境の改善の必要性を強調するよう御指摘がございましたので、一文追記しております。
また、その下のなお書きの段落で、メンタルヘルスケアの取組事例等、労働者の家族にも伝えるよう御指摘がございましたので、その旨追記しております。
その下、イの「高年齢労働者への取組」について、もう少し書き込むべきだといった御指摘がございましたので、補助金や高年齢労働者の労働災害防止対策の充実等について追記をしております。
42ページ、「(12)公務員に対する周知・啓発等の実施」について、下のほうの地方公務員の部分になりますが、地方公務員への勤務間インターバル制度導入についての御指摘がございましたので、総務省から地方公共団体に対して助言を行う旨追記をしております。
次に43ページの「4 相談体制の整備等」の「(1)労働条件や健康管理等に関する相談窓口の設置」の部分で、相談したことで過労死の未然防止につながったような事案を発信するよう御指摘がございましたので、44ページになりますが、一番上ですが、まずは未然防止につながるよう相談の機会を確保するということを追記しております。
44ページの「(4)公務員に対する相談体制の整備等」になりますが、公務員向けの相談窓口の書き方について、民間の相談窓口のようにと御指摘がございましたので、国家公務員、地方公務員の相談窓口の取組について追記をしております。
次に47ページ、「2 事業主等」のところで、「(1)経営幹部等の取組」の部分になりますが、労働関係法令の周知の対象について、管理職層や部下を持つ若手の労働者にも研修を行うよう御指摘がございましたので、その旨追記をしております。
次に、50ページになります。数値目標の2の(2)勤務間インターバル制度の導入率の部分になりますが、前回素案で、導入する必要性を感じないと回答する企業を除いた導入企業割合を20%以上とする目標を記載しておりましたが、必要性を感じていない企業でも導入の努力義務が課せられていることを踏まえれば、導入に向けた検討がなされるべきですとか、必要性を感じない企業の取組が弱まる可能性がある、必要性を感じていなくても長時間労働のある企業に制度導入を促すべき、また、全体的に意識づけをして導入率を高めることが必要といった御指摘等がございましたので、勤務間インターバル制度を導入している企業割合の目標については、現大綱の15%を維持する形といたしまして、それに向けて勤務間インターバル制度の導入に向けた対策に取り組むという形にさせていただいております。
資料1の説明は以上となります。
次に52ページの資料2について、数値目標について、改めて見直し部分を赤字で表したものになります。一番右側に、既にこれまでの協議会でもお示ししておりましたが、最新の数字で状況を記載しております。
その次の53ページから55ページにかけましては、各数値目標の経年的な状況、現在の状況についてグラフで表したものになります。
厚生労働省からの説明は以上となります。
○人事院職員福祉局職員福祉課長 では、続きまして人事院から御説明をさせていただきます。
一般職の国家公務員につきまして取組の進捗状況等を御説明させていただきます。資料につきましては、56ページを御覧ください。
まず、左上の超過勤務の縮減に関してでございます。人事院では、超過勤務の縮減等に向けまして、令和4年の4月に勤務時間調査・指導室を新設し、各府省を直接訪問して勤務時間の適正な管理等に関する調査を実施しております。
併せまして、超過勤務の上限規制との関係におきましては、他律的な業務の比重が高い部署として上限の高いほうが適用されている部署、いわゆる他律部署の範囲ですとか、上限を超えて超過勤務を命ずることができる、大規模災害対処等の重要で特に緊急に処理することを要する業務の範囲が、必要最小限のものとなるよう指導するなどの取組も行っております。
令和4年度におきまして上限を超えて超過勤務を命じられた職員の割合は、資料左上の表のとおりでございます。このうち1月100時間未満ですとか、2~6月で80時間以下といったものにつきまして、若干減少しているという状況でございます。
引き続き、各省における超過勤務の縮減に向けた取組を支援するなど必要な取組を進めてまいります。
続きまして、左下の年次休暇の取得促進についてでございます。一般職国家公務員の年次休暇の平均取得日数は、令和4年におきまして15.5日となっております。本府省における取得日数も回復傾向にございまして、引き続き取得できるように取り組んでまいります。
続きまして、右上の勤務間のインターバルの確保についてでございます。勤務間のインターバルの確保につきましては、各省各庁の長の勤務間のインターバル確保に努める責務を法令上明確にするため、人事院規則に努力義務規定を新設いたしまして、本年4月に施行しております。
現在、各府省における勤務間のインターバル確保に係る調査・研究を実施しております。今後、その結果を踏まえまして、各職場で勤務間のインターバル確保が図られるよう引き続き検討してまいります。
右の中ほどのメンタルヘルス対策についてでございます。「職員の心の健康づくりのための指針」等に基づきまして、研修の実施や意識啓発に取り組んでいるほか、2ポツ目にございますように、「こころの健康相談室」や「職場復帰相談室」といった相談窓口を設けております。
また、右下でございます。ストレスチェックの取組につきまして、平成27年12月にストレスチェック制度を導入いたしまして、全府省において実施されております。
また、下のポツのとおり、個々の職員のストレス低減のみではなく、職場環境の改善によるストレス低減にも努めているところでございます。
人事院からの御説明は以上でございます。
○総務省自治行政局公務員部安全厚生推進室室長 続きまして57ページを御覧いただければと思います。総務省の取組について御説明いたします。
まず、一番右下の※印のところですね。それぞれの表は、総務省の「地方公共団体の勤務条件等に関する調査」をもとに作成しております。毎年この勤務条件等に関する調査を行った上で、年末に助言通知を出すという形で対応をさせていただいております。
左上の時間外勤務の状況についてでございます。月45時間を超える職員の割合ということで、直近2年間を載せております。全体のところで、45時間超を見ていただきますと、令和3年度は5.6%、令和4年度は5.4%ということで、若干微減の傾向にあるということでございます。
それから、その下の勤務間のインターバルの確保でございますが、これは国家公務員における取組を参考にいたしまして、11時間を目安とする勤務間のインターバルを確保するように、地方団体に対して、今年の3月29日付で助言を行っているところでございます。
それから、その下の年次有給休暇の平均取得日数でございますが、一番左側の令和4年度のところでございますが、全体で12.6ということで、平成30年から見ていきますと、微増の状況ということでございます。
それから、右側にまいりまして、メンタルヘルス対策の取組、ストレスチェックの実施状況でございますが、ポツ2つございますとおり、それぞれ助言通知を出しておりまして、年末に出しております。
下の表のところで、メンタルヘルスの取組状況でございますが、都道府県・指定都市については100%、一番右側、合計欄で見ても98.4%、取組をしているという状況でございます。
それから、その1つ下、ストレスチェックの実施状況も同様でございまして、都道府県・指定都市は100%、全体では98.6%という状況でございます。
一番下の表は参考でございますが、ストレスチェックを受けた職員のうち高ストレスに該当した職員の割合が、一番右側の合計で見ていただきますと1割程度いるという状況でございます。
総務省から以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、今の大綱見直し案につきまして御意見をいただきたいと思います。御意見をいただくに当たりましては、資料のページ数とともに、見直し案のこの部分の記載はこのように修正または追記したほうがよいというように具体的な形でお示しいただきますようお願いいたします。
それでは、挙手の上、御意見をお願いいたします。
宮本委員、お願いします。
○宮本委員 非常に小さなところなのですけれども、影響範囲が分からないので御検討いただきたいというところです。
7ページの(7)で、「脳・心臓疾患」と使われています。6ページの(5)では「脳血管疾患、心疾患等」となっていて、以下これこれという、と2行目に出てくるのですけれども、ただ、これは一般的な疾患のことを言っているので、「脳血管疾患、心疾患等」というのは恐らくここのパラグラフしか出てこなくて、最初に申し上げた(7)のほうは、業務による過重な負荷による脳・心臓疾患というふうに限定するという意味合いが強いと思います。この後ずうっと、脳・心臓疾患がかなり出てくるので、これは少し定義を書いて、「以下、脳・心臓疾患という」という言葉を1つ入れておいたほうがいいかなと思った次第です。
○中窪会長 今の点は、3ページのところに新しくついた気がするのですが。
○宮本委員 失礼しました。なるほど、そうですね。ここの「脳・心臓疾患」は3ページの表現でよろしいのですね。
○総務課長 事務局でございます。
今の点は、恐縮です。会長から御指摘いただきましたように、この定義を置いておりますのが3ページのほうに繰り上がっておりますので、ここでの略称の使い方が、宮本委員の御指摘いただいた7ページのほうでも使われているということでございます。
○宮本委員 承知しました。では6ページの(5)の、以下「脳血管疾患、心疾患等」という、の部分は一般的な疾患のことを言うと。
○総務課長 御指摘のとおりです。
○宮本委員 承知しました。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、戎野委員、お願いします。
○戎野委員 私も小さいところなのですけれども、今のページに近いので、先に手を挙げさせていただきました。「自殺の状況」のところですけれども、同じく7ページの真ん中辺りに、全体として「増加となっており」とあって、その後、年齢別について記載されているのですが、その年齢別に関しては減少しているところが書いてあります。今回増加しているというのは大変な問題だという認識を持ったならば、どこがとりわけ年齢別に見たときにも増加しているとか、そちらのほうを強調して書いたほうがいいと思います。40歳代だけが下がっているという書き方について、もし意図があってこうしているのなら教えていただきたいのですが、訴え方としては、増えたところをもうちょっと強調して、問題を指摘したほうがいいのではないかと思いました。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。
それでは、渡辺委員、お願いします。
○渡辺委員 御指名いただき、ありがとうございます。過労死を考える家族の会の渡辺です。
今回の大綱の見直しに当たりまして、私たち過労死遺族からの意見をたくさん反映させていただきまして、ありがとうございます。
令和6年は働き方改革を推進するための法律が成立し、5年間の取組支援を経て、いわゆる建設・運輸・医療関係に対して時間外労働の上限規制が適用される年です。これらの業種は長時間労働の実態があり、私たちの会の会員の中にも、この業種で働いていた方がいます。本来ならば、法律成立後すぐにでも時間外労働の上限規制を適用していただきたかったのですが、5年間の猶予期間があり、今年度からの適用となりました。
しかし、昨今の報道を見ると、働き方改革で規制が入ることで迷惑していると受け取られる報道や、給料が下がるとか物流が滞るといったマイナスの面が強調されて報道されている感じがしておりました。働く人の命を守るための残業規制です。この大綱の2ページから3ページにかけて働き方改革の経過を明記していただいて、令和6年という年の意義が強調されたと思います。ありがとうございました。
あと、前回の大綱見直しに若年層の過労死被災者が増えていることを強調し、それをなくしていくという文言を入れていただきました。しかし、その後も若年者の過労死は増え続けているのが現状です。今回の見直しで、41ページに、さらに若年層に対して手厚い支援をするような内容を書いていただいております。ぜひこのことを実行して、若年層の過労死をなくし、お子さんを過労で亡くし、嘆き悲しむ御遺族がなくなることを切に願っております。
また、過労死で大切な家族や親を失った子供たちにつきましても支援の対策を手厚くしていただき、ありがとうございます。過労死は被災者支援だけでなく、被災後も生きていかなければならない家族のケアもとても重要になっております。過労死遺児に対する取組につきましては、18ページや45ページで健全な相談体制について言及していただいて、ありがとうございます。
遺児たちが悩みを抱えたときや働くことについて不安になったときなど、随時相談できるよう、オンラインによる相談の仕組みもつくっていただいておりまして、感謝しております。また、年に1回の交流会のときも、健全なメンタルヘルスを意識した取組を行えるようになってきました。
18ページに、「遺児の健全な成長をサポートするために必要な相談対応」とあります。45ページで、交流会時に行っている取組につきましても、「健全な成長をサポートする」ということで明記していただき、ありがとうございます。こういった内容をぜひ交流会で取り入れていきたいと思います。
また、以前の意見書でも述べさせていただきましたが、労災申請に至らなかった事案につきましても調査研究の対象にしていただき、労働実態について把握していただきたいと思います。
11ページにありますように、勤務問題を原因・動機とする自殺者数と精神障害により死亡したとする労災請求件数に大きな開きがあると記載があります。私たち家族の会でも、過重労働・ハラスメントで亡くなったと相談に来ても、労災申請ができないという方が多くいらっしゃるという実態があります。労働時間が正確に把握できなかったり、亡くなった理由が認定基準と合わなかったりした場合は、過重労働はありますが、調査研究の対象にはなっていません。このような事案につきましても、実態を把握する等記載していただき、長時間労働やハラスメントをなくす対策を立てていただきたくよろしくお願いいたします。
さらに、今まで調査研究した実績を多くの方々に伝えて、過労死の実態を周知するとともに、過労死を発生させないために事業所でできること、個人でできること、国ができること、そして家族ができることを、必要なときに必要な人が情報を得られるような体制をつくっていただきたいと思っております。
また、過重労働の当事者はもとより、家族も周りの人たちも、必要でしたら情報が得られ、そして実効性のある解決策にたどり着けるような情報の発信もぜひお願いしたいと思います。引き続き過労死をなくすために皆さんで協力して、過労死のない国をつくっていただきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございました。それでは、寺西委員、お願いします。
○寺西委員 ありがとうございます。過労死家族会の寺西と申します。
私から3点申し上げます。
まず1つ目は、21ページ、(3)の「過重労働による健康障害の防止対策」についてですが、ここでは、労働安全衛生法令に基づきということで書かれています。その中に労働時間を適正に把握することと面接指導ということが書かれていますが、時間が書かれていないので、これまでの時間外労働100時間から80時間に引き下げられたことを明記することを御提案いたします。
また、(4)の「メンタルヘルス対策・ハラスメント防止対策」についてですが、毎年、精神疾患の労災申請件数と職場のいじめ、パワハラの相談も顕著に表れて、毎年過去最多という数字になっております。過労死をなくすために大変重要な取組ですので、民間も公務職場もしっかりとこの対策を進めていただくことを求めます。
そのためにも、ILO190号条約と同じレベルの国内法にしていただいて、明確に職場でのハラスメントを禁止することを要望いたします。
2つ目は、23ページの「(5)過労死等を発生させた企業に対する再発防止対策」についてです。家族の会の会員ではこれまでもいろんな業種が過労死を繰り返している報道が多々ありました。私の地域の家族会の会員さんについても、2017年に44歳の男性が過労自死されました。その3年後、2020年に41歳の男性が同じ過労自死されました。
いずれも100時間を超えるハラスメントの過重労働が原因でした。2件とも労災認定されたのですが、企業が不誠実なために民事訴訟をされています。1人は和解で解決されて、職場の再発防止策を約束させました。しかし、過労死が繰り返し起こっている現実があります。
このような企業は、この文言の中に「助言・指導」という形で明記されていますが、助言というのは必ずしも従わなくてもよい意味合いがあると思いますので、もっと厳格な手だてを講じていただきたいと要望いたします。
最後に、周知の提案を1つさせていただきます。高橋正也先生がセンター長をしておられる過労死等防止調査研究センターのホームページに、健康な働き方についてのポータルサイトがあります。内容につきましては、「そもそも過労って?」という内容であったり、どのような状態なのか、「ハイリスクな働き方」とはという内容が組み込まれていまして、とても分かりやすく、職場改善に使えるツールだと思います。
過労による労働災害の解明と防止を目標にした専門家の先生たちの科学的に研究された中身になっていますので、このポータルサイトではよりよい職場づくりに向けた皆様の取組に参考となると思いますので、ぜひ冊子にしたり、QRコードなどで広く周知していただいて、職場改善に生かしてほしいと願っております。
私からは以上です。ありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございました。それでは、工藤委員、お願いします。
○工藤委員 御指名ありがとうございます。神奈川過労死等を考える家族の会の工藤と申します。
私からは、2点申し上げたいと思います。
まずは、当事者委員の意見をたくさん反映させていただきまして、ありがとうございます。感謝しております。特に地方公務員について、42ページで総務省から各自治体への助言とかそういうことも明記されたこと、本当にありがたく思います。心強いですし、あと、36ページの「教職員」の項では、過労死等防止の観点からの取組と書いていただいたことも本当に心強く思います。
先生方が健康で豊かに働けるということが子供たちにとっても学びの権利を守ることにつながりますので、今回この取組で取り組まれた報告ということをぜひ協議会の場でもしていただきたいと思っております。
2点目なのですけれども、数値目標のところで、資料2の52ページですけれども、こちらも公務員についてというところで、各職種の勤務実態に応じたというところをまた加えていただきまして、ありがとうございます。
1つちょっと気づいたところというのが、53ページの下に業種別という表があるのですが、まず、教育、学習支援業の中に、これは公務員、地方公務員が入っているということを前回お伺いしたのですけれども、もしできましたら、それが分かりやすくなるように、(公務職場も含む)みたいな、何かちょっと追記があるといいのかなと思いました。
また、「公務」ということでこれは一くくりにされているのですけれども、公務の一くくりが何を示すのかということがこれではちょっと分からないなと思いましたので、もうちょっと、中分類または小分類でこちらを書いていただくと大変ありがたいと思っております。
私からは以上となります。ありがとうございます。
○中窪会長 ありがとうございます。それでは、髙橋委員、お願いします。
○髙橋委員 御指名ありがとうございます。髙橋幸美です。
私の娘は、最初の大綱が制定された5か月後に亡くなりました。その後、様々な取組が行われてきました。しかし、まだ過労死ゼロにはほど遠く、多くの大切な命が失われ、若い人の心身が損なわれる事案も増加しています。
家族の会などの御遺族からは、防止法があるのにどうして過労死をなくすことができないのですかと問われます。啓発授業に参加した学生さんからは、どうして過労死はなくならないのですかと問われます。どう答えていいのか、皆さんに教えていただきたいところです。
大切に慈しみ育てた子供が就職した途端に理不尽な過重労働やハラスメントで命を奪われた悲しみと憤りはどうすることもできません。希望を持って社会に出て間もない若者たちが、過重労働が原因で苦しんだり命を失うことがないように願い、意見を述べさせていただきます。
1点目です。資料1の26ページの学校等における啓発についてです。中学社会科、高校公民科「公共」において、労働問題とワーク・ライフ・バランスについての指導を記載してもらっていますが、高校保健体育の「働くことと健康」という項目でも労働の多様化と健康問題や労働災害について学んでいると思いますので、労働法教育とは違う視点ですが、高校保健体育についても記載し、取組をお願いしたいと思います。
啓発授業に関しては、受講した多くの学生さんから、社会に出る前に知ることができてよかったという感想をいただいています。意見書に書かせていただきましたが、若者を守る有効な取組として、社会に出る前から労働問題やワーク・ライフ・バランスについて考え、リテラシーを高めることが重要だと思いますので、多くの学生が講義を受けられるように努めていただきたいと思います。
2点目です。28ページの勤務間インターバル制度についてです。多くの人が長時間労働でまともに睡眠が取れず、僅かな期間で自死に追い込まれていることを考えると、勤務間インターバルが導入されていたら尊い命の犠牲は防げたと思えてなりません。ここ数年は制度を知らない企業が増加していること、制度の必要がないと考えている企業にも長時間労働の実態はあるのではないかと言われており、制度の周知の仕方を考えてほしいと思います。従業員の健康の確保と人材の定着と確保につながれば企業にメリットがあることを強調し、今後は義務化も視野に入れて、中小企業含め導入を促進してほしいと思います。
3点目、41ページの「若年労働者への取組」は大体意見を反映していただいたと思います。しかし、冒頭の「心身の健康が損なわれる事案を減少させる」という「減少」という表現では不十分ではないかと思います。過労死はあってはならないとされていますので、「根絶する」という意味の文言にしてほしいと思います。
4点目、48ページの経営幹部の取組において、「パワーハラスメントの防止等に資するアンガーマネジメント研修を行う」とされていますが、それに加えて、指導に当たる者に対してコーチングを学ぶ機会を持つことを加えてはどうかと思います。
5点目、その次の48ページ下の労働組合の取組の項目ですが、「過労死等の防止のための対策に積極的に協力する」の部分に、「過労死等防止月間のシンポジウムに協力する」などということを加えてほしいと思います。また、「長時間労働の削減に努める」に加えて、「従業員のワーク・ライフ・バランスの実現に努める」という内容を入れていただきたいと思います。
娘は亡くなる1か月前に労働組合の理事をしている先輩に相談をしていました。長時間労働や勤務時間を過少申告するように指示を受けていたことなどを相談していて、労働組合の人に相談できたことで、これで大丈夫になるはずとほっとしていましたが、翌月、100時間の特別条項が出され、亡くなってしまいました。本当に残念ではありますが、労働組合は従業員の相談先として最も重要なゲートキーパーであると期待しております。
最後にですが、これはちょっと私の希望で、前回も少しお話に入れさせていただいたのですが、数値目標に、何年までに過労死をゼロにするという目標を立てることはできないかなあと私はずっと思っています。
最後ですが、この後の大綱の施行の際には、国民全体に周知されるようにメディアなどを通じてもっとしっかりと発信していただきたいと思います。大綱は罰則が伴う法律と違い、経営者や企業関係者はもとより、多くの国民が関心を持って確認することは少ないのではないでしょうか。常に関心を寄せている人だけではなく、全ての国民が大綱を周知徹底すれば、過労死を根絶することができるはずです。
私からは以上です。ありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。
西尾委員、お願いします。
○西尾委員 UAゼンセンの西尾です。よろしくお願いします。
ハラスメントの関係について、発言をさせていただきたいと思います。具体的には、19ページからの「労働行政機関等における対策」と、23ページからの「調査研究等」の中にカスタマーハラスメントを追記いただきました。カスタマーハラスメントについては企業内だけで解決できる課題ではないので、このように扱ってもらうということについては、世間に対する周知を広めていくためにも効果があると思われ、期待をしたいと思っております。
その上で、ハラスメント全体に関してですが、精神障害に係る労災請求件数、いじめ、嫌がらせやパワハラの相談件数が右肩上がりということで増加を続けています。この状況を重く受け止め、ハラスメントの根絶に向けた取組というのは急務だと考えています。
労働組合としても、ハラスメント対策には力を入れております。毎年行っている労働条件改善闘争の中で、企業としての具体的な対策を要求して、これを労働協約化してルール化していくということを進めています。闘争をはじめとするいろんな場面で、いろんな角度からその取組は進めている中、ハラスメントに対する意識の高まりというのは、広がってきているという実感はありますが、まだまだ我々の運動も含めて足りていない部分もあると感じています。
例えばパワハラの事例を申し上げますと、厚生労働省の実態調査では3人に1人がパワハラを経験しているとなっております。我々、労働組合がある事業場においてでも、過去3年間にさかのぼって調査した結果なのですが、正社員組合員の18.3%、パートタイマーなどの短時間組合員の12.9%がパワハラを受けたことがあると回答しています。
先ほど、労働組合としても取組を強化していても足りない部分もあると申し上げましたが、労働組合があっても残念ながらパワハラ事案が根絶できていないということですと、労働組合のない職場ではまだまだこういったことの対策や取組の効果が行き渡っていないと想定されます。ハラスメントによる強いストレス、これが過労死につながる大きな要因であるということを踏まえますと、その防止対策の徹底に向けてさらなる周知啓発、これはもとよりなのですが、実効性ある対策の一層の強化をお願いしたいと思います。
我々もそのことを背景に、職場の中にこのハラスメント対策ということをもっともっと浸透して対応していけるようにしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。
冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
今日御提示いただいた内容につきまして、今までの議論内容がおおむね反映はされていると考えております。過労死等防止対策推進法の目的である、「過労死等がなく、仕事と生活を調和させ、健康で充実して働き続けることのできる社会の実現」に向けて、新たな大綱のもとで一層スピード感を持ってしっかり着実に取組を進めることが重要だと考えております。
その上で、先ほど勤務間インターバル制度について少し御発言もございましたけれども、勤務間インターバル制度は単に長時間労働の是正をするための取組の一環ということだけでなく、十分な生活時間や睡眠時間の確保を通じて、まさに労働者の命と健康を守る極めて重要な取組だと考えております。しかし、今までも見ていただいたとおり、勤務間インターバルの制度導入は低調なままだと考えております。
今回の大綱は、勤務間インターバルの導入・運用マニュアルの作成、周知の取組の強化というものは盛り込んでいただきましたけれども、勤務間インターバルを設けるその必要性、効果の高い職種、業種はどういったものなのか、この調査・分析をしっかりと進めていただきたいと考えます。それに基づき、好事例の周知だけではなく、効果的な導入促進というのをはかるなど、一層の積極的な取組をお願いしたいと考えているところでございます。
また、先ほど当事者委員の方から、労働組合は最も重要なゲートキーパーであるというような御指摘をいただきました。そのことは非常に重く受け止めさせていただきたいと考えております。労働組合としても、過労死等は決して起こさせないという決意のもとで、現場に一番近いものとして、職場点検や、働く仲間に寄り添った相談も含めた取組をしっかり進めていきたいと思っておりますし、企業への働きかけも責任を持ってやっていきたいと考えております。そういった意見表明も含めて取組を進めていきたい、また一緒に進めていただければと考えております。
以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。
鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。
今回の大綱案には、事業主団体、経済団体の取組として、会員企業等に対する過労死等防止のための必要な支援と情報提供に努めることが新たに追加されました。過労死等防止対策推進法が制定されて10年がたとうという中、残念ながら過労死等がなくなっていないという深刻な現実を経団連としてもしっかり受け止め、会員企業に対して一層の取組推進を呼びかけてまいりたいと思っています。
また、過労死等防止には、職場におけるハラスメント防止対策強化が喫緊の課題だと思っております。先ほど寺西委員から御指摘もございましたが、政府にはILO190号条約の早期批准に向けて積極的な御検討をお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
私から以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。それでは、佐久間委員、お願いします。
○佐久間委員 ありがとうございます。
全体の大綱につきましては、このような記載の内容、そして、構成でよろしいのではないかと思います。特に1ページの「はじめに」のところに「人の生命はかけがえのないものであり」ということのパラグラフを前段のほうに持ってきていただいています。より重く受けとめている、というのが出ているのではないかなと思っています。
数値目標につきましては、これは前回も申し上げたのですけれども、インターバルの関係では、中小企業の認知度、導入率が低いというか、そういうのも明確に出ているので、より一層導入促進に向けて数値的な目標というのを無理のない範囲で書かれているのではないかと思っております。
あと、すみません、1点、前回も申し上げたのですけれども、16ページと26ページのほうに、「シンポジウム等への参加を促すことが重要である」と記載されております。これはごもっともだと思います。しかし、これは企業だけではなく、公務員とか教職員の職場においても同じようなことが言えると思います。「等」の中にはそういう意味合いも入っていると思うのですけれども、企業だけではなく、過労死が発生した職場においても、ぜひ声をかけていただくのがいいのではないかと思います。
さらにですが、後段のほうでは、過労死を発生させたというのと「長時間労働が行われている企業等に対して」というのがあります。その長時間労働が行われている企業、これは公務員の職場とか、学校の教職員の職場も含めるのが前提だと思うのですけれども、いかに把握して、誰が実際に声をかけていくのかということも、これから厚生労働省、そして各地の労働局等が選定していく必要も出てくるのではないかなと思っております。
以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。
川人委員、お願いします。
○川人委員 川人でございます。
ちょっと2点話したい。まず、31ページの、12月を職場のハラスメント撲滅月間と定め、集中的な周知・啓発を行うということに関してですが、このことはとても重要な取組だと、そのように思っております。これまで11月を過労死等防止啓発月間として全国的に取り組んできて、この蓄積はとても重要なものがあったと、大きな成果があったと考えております。
他方、この防止法ができて10年の経過を見ますと、年々、過重労働と同時にハラスメントによる健康破壊という問題が重要になってきていると考えております。そうした中で、12月を、11月の過労死の啓発月間に続き、ハラスメントの撲滅月間として取り組むということはとても重要なことだと思います。できましたら、後で事務局の方か御担当の方から、現時点でこの12月の撲滅月間についてはどのような予定がされているのか、決まっていることがありましたら教えていただければと思います。
次に、今回の大綱に関する、社会全体に対する広報の問題についてです。過労死の白書は毎年秋に発表されますが、大綱は3年に1回作成されるものであります。そしてとても重要な内容が議論の上作成されることになると思います。ぜひ担当の部局においては、この大綱が閣議決定された段階で広く社会全体に周知徹底されるように、広報活動をこれまで以上に、この10年という節目でございますので、重視してやっていただきたいということをお願いしたいと思います。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。
清山委員、お願いします。
○清山委員 たくさんの意見を申し上げましたが、自分も含めて委員の皆さんが言われたいろいろな意見が盛り込まれていくプロセスを見せていただき、大変有り難く思いました。
今回、働き方改革2024ということで4月から新しい上限規制が入った業界について、やはり注視していく必要があると思います。特に拘束時間と実際の労働時間のずれがないかという制度の運用の問題について、例えば病院であれば宿日直許可申請が急速に増えていますけれども、それが本当に労働時間から外してもかまわない運用がなされているかどうか、物流のところでも、待ち時間に荷積みとかそういったもので仕事が入ってきていないかということも含めて、その制度が適切に運用されているかどうかということを今後も注視し、また調査等で確認していくということが必要ではないかと思います。
それから労災認定のときに、例えば宿日直許可が取れている病院の勤務医なので、労働時間から外したということで労災認定が下りないという場合などに、実態としては労働時間であったということが他の業界などでも時々見受けられ懸念されます。そこで労働の実態を踏まえた適正な労働災害の認定という、「労働の実態を踏まえた」という文言を挿入していただくようお願いしました。そこにはやはり法的に適正に見えるのだけれども、実態としてはちょっとどうかなというものには一歩踏み込んで労災認定していただきたい、民事損害賠償請求で認められて、もう一回労災認定をし直して結論がひっくり返るとかいうことがないように進められるといいなあという思いで、その「労働の実態を踏まえて」というような言葉をところどころ入れていただきました。
労働時間の正確な把握、あるいは制度と時間の実態が合っているかということにも配慮して、今後、過労死が起きないようになるといいと思います。
勤務間インターバルも、先ほど労働側の委員の方々がおっしゃっていたと思うのですけれども、やはり命と健康を守るときにはとても大事な制度だと思います。それを具体的に入れるということを随分書き込んでくださっています。それが実態として進んだと私たちが3年後に実感できるようになっていることを期待して、進めていただきたいと思います。数値目標の中には3年先延ばしにしたものもありますけれども、3年後にはもう一つ上の段階に上げられるよう、実現していることを心から期待しています。
以上です。ありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、今まで様々な御意見をいただきましたが、それにつきまして事務局から回答なりコメントがあればお願いいたします。
○総務課長 事務局でございます。
様々な御指摘を頂戴いたしまして、ありがとうございました。
この大綱の改定案との関係におきましては、戎野委員から自殺の書き方、渡辺委員から実態の把握、寺西委員から面接指導の数字、髙橋委員から若年労働者をはじめ複数の御指摘をいただきました。
これらの点に関しましては、大綱のさらなる文言の精査が可能であるかどうか、検討をさせていただきたいと存じます。
その他、頂戴いたしました意見について、今後の運用に当たりまして、大変貴重な御指摘、アドバイスであったと認識して受け止めております。今後に生かしまして、実効のある対策を進めてまいりたいと考えております。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、時間もまいりましたので、本日はここまでとさせていただきます。委員の皆様におかれましては、活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。
本日もそれぞれの立場から貴重な御意見をいただきまして、今、御指摘がありましたように、幾つかは具体的な見直しの修文等を検討しなければならない部分もございますが、それにつきましては、事務局において関係省庁等と調整いただいた上で決定したいと思いますが、それを反映させた最終案の確定につきましては、委員の皆様の御確認もいただくことを前提としつつ、私に御一任というのも変ですけれども、最終的には私のほうの責任で決定させていただくということで御了解いただければと思いますが、よろしいでしょうか。
(委員首肯)
○中窪会長 ありがとうございます。
大綱案の冒頭にも書いておりますように、過労死等防止対策推進法は平成26年、2014年の6月に成立しまして、今年は満10年という節目の年に当たります。本協議会はこの方針に基づき設けられたもので、ここでの議論に基づいて、2015年に過労死等の防止のための対策に対する大綱が策定されまして、その後、対策の推進状況や社会経済情勢の変化を踏まえながら、おおむね3年をめどに見直しが図られてきました。
今回は3回目の見直し、大綱としては4つ目に当たりますが、おかげさまで、本日おおむね新しい大綱案を取りまとめることができました。今日の過労死等の状況、あるいは雇用・労働条件規制の進展、それを取り巻く経済社会の変化を的確に反映し、従来にも増して充実した内容になったものと思います。委員の皆様の御協力、御尽力に改めて感謝を申し上げますとともに、事務局及び関係省庁の担当者の方々にもお礼を申し上げたいと思います。
この10年間、大綱に基づいて様々な取組が進められまして、長時間労働の防止はもちろん、メンタルヘルスの確保やハラスメントの防止など多くの面で重要な進展があったと思います。また、過労死等があってはならないという意識は社会に広く浸透したと言えるものと思います。しかしながら、過労死等が実際になくなったわけではありません。労災請求支給決定件数は依然として増加傾向にあります。また、時に新聞等でも驚くような事案が報道されるなど、残念ながら、働き過ぎによって、尊い命、心身の健康が損なわれる痛ましい事態は後を絶っておりません。今後、新たな大綱のもとで、さらに実効ある取組をしっかりと推進していくよう、労使の関係の方々にも、関係省庁等にも会長としてお願いを申し上げます。
数値目標に向けて最大限の努力をすることは当然ですが、その先にある、心身ともに健康に暮らすことのできるようなゆとりのある働き方、ゆとりのある社会の実現を目指してなお一層の努力が必要であり、本協議会もさらに活動を続けていきたいと思います。
以上、節目の年に新たな大綱案がまとまったことの区切りといたしまして、私のほうから一言申し上げさせていただきました。
それでは、本日の議題は以上ですが、委員の皆様からほかに何かございますでしょうか。
よろしければ、ここで鈴木労働基準局長から御挨拶をいただきたいと思います。
○労働基準局長 労働基準局長の鈴木でございます。
委員の皆様方におかれましては、昨年11月から4回にわたりまして大綱の見直しにつきまして熱心な御議論をいただきましたこと、まずは感謝を申し上げたいと存じます。この大綱の見直しにつきましては、先ほど会長からもございましたように、文言の修正、それから、あとパブリックコメントをやりたいと思っておりますし、それを終えた上で閣議決定をして決定してまいりたいと考えてございます。また、大綱ができました暁には、国の関係省庁挙げまして、またこの大綱に記載されております国以外の主体とも連携しながら、この大綱を一つ一つ、一歩ずつ着実に実施してまいりたいと思っております。その結果につきましては、この協議会をまた開催させていただきまして、随時皆様に御報告いたしますとともに、御意見を頂戴し、また年次報告も、毎年国会にも出させていただきまして、一歩ずつ進んでいきたいと思っておりますので、引き続き皆様方の御協力、御指導をお願い申し上げまして、私からの挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、第28回「過労死等防止対策推進協議会」はこれで閉会といたします。本日はお忙しいところ、ありがとうございました。