第10回雇用政策研究会 議事録

日時

令和6年5月17日(金)16:00~18:00

場所

本会議会場
厚生労働省 専用第14会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階国会側)

議事

議事内容
2024-5-17 2024年度第10回雇用政策研究会
○雇用政策課長補佐 定刻になりましたので、ただいまより、第10回「雇用政策研究会」を開催いたします。
 本日は、神吉委員、清家委員、鶴委員、堀委員が御欠席となっており、齋藤委員、佐藤委員が対面での御参加、その他の委員はオンラインでの御参加となります。
 それでは、カメラ撮影の報道の方は御退席をお願いいたします。
(カメラ退室)
○雇用政策課長補佐 それでは、議事に入らせていただきます。今後の議事進行につきましては樋口座長にお願いいたします。
○樋口座長 それでは、よろしくお願いいたします。報告書案について今日は御議論いただきたいと思っております。
 まず、事務局から資料1、2、3、4について説明をお願いいたします。
○雇用政策課長補佐 ありがとうございます。まず、資料1から御説明をさせていただきたいと思います。
 資料1につきましては、報告書の考え方も含めて書かせていただいております。まず1枚目でございますが、こちらはこれまでの議論をまとめた概念図になってございます。議論してきましたけれども、労働力需給推計で、2040年の労働市場の姿が明らかになってございまして、労働力人口が減少する中、労働生産性を高めていかなければいけないこととなってございます。
 その中で大きく3つの柱がございまして、まず下の概念図の青色のところでございますが、多様なバックグラウンドの方の労働参加、黄色のところでございますが、労働生産性を向上させていくというところですね。そして下のところ、労働市場のインフラ整備をやっていくことで、好循環を生み出していくことが必要ではないかという議論がこれまでございました。
 2ページでございます。こうしたこれまでの議論を受けまして、報告書の章立てを考えさせていただきました。これまで9回にわたり御議論いただきましたので、その内容も多岐にわたってございます。その中で、5章構成とさせていただいて、まず第1章のところは現状分析をすることとしてございます。第2章で報告書の考え方をお示しし、第3章で労働参加について記述をするといったことを予定しております。その後、第4章は労働生産性を高めるための新たなテクノロジーの活用といったところになります。こちらにつきましては昨年中間報告をさせていただいているところでございます。最後の第5章でございますが、労働市場のインフラ整備という形になってございます。このような章立てで進めさせていただきたいと考えてございます。
 本日は第2章と第3章につきまして御議論いただきたいと考えてございます。
 次ページでございます。まず、第2章の部分に当たるところでございますが、報告書の考え方を作成させていただきました。上から読み上げさせていただきますけれども、人口減少が進むという前提で、労働力需給推計が行われており、中長期的な観点から見ますと、労働力人口が一定程度減少していく、そして労働生産性を一定程度上げていかなければいけない。こうした前提に雇用政策を考えていく必要があるのではないかと考えてございます。
 赤字のところでございますが、2040年を見据えて中長期的に労働参加を促していくとともに、新たなテクノロジー等を活用した労働生産性向上に向けた取組を同時に行っていくことが重要であるというような考え方をしていきたいと考えてございます。
 そして、足元のところでございますが、やはり人手不足感が高まっているといったところで、労働市場がタイトになることを契機に労働の重要性を再認識し、労働市場全体で処遇改善を図る、そして労働参加を促すインセンティブを高めるといったことを進めていく必要があるのではないかと考えてございます。
 本報告書でございますが、一番下のポツでございますけれども、2040年を見据えて、今後5年で取り組むべき政策について検討すると位置づけております。
 資料1は以上でございます。
 続きまして資料3を御説明させていただきたいと思います。資料3が報告書の本体でございます。まず、「多様な個人が置かれた状況に関わらず包摂され、活躍できる労働市場の構築に向けて」というタイトルで報告書を作成していきたいと考えてございます。
 次ページ目でございます。先ほど御説明させていただきましたように、報告書の本文で書かせていただいておりますけれども、第3章は「多様な個人が労働参加し、意欲を持って働ける労働市場に向けて」といったタイトルを考えてございますが、その中でも、6つのセクションに分かれてございます。
 まず3-1のところでございますが、少し大きな視点から「多様な個人の労働参加に向けて」といったことを記載してございます。その次でございますが、第4回で高齢者の活躍といったテーマで御議論いただきましたが、「ミドル・シニア世代も含む人材活用」といった記載がございます。
 その次、3-3でございますけれども、「家庭等の事情に関わらず男女ともに希望が十分配慮・尊重される働き方が実現できる環境整備」といったところでまとめさせていただいております。
 そのほかにも、3-4、3-5、3-6とありますけれども、個々の事情を乗り越えた労働参加に向けてどのような対応が必要なのか、そして地域、外国人の対応について記載させていただいております。
 1ページ目に移らせていただきます。3-1のところでございますが、「多様な個人の労働参加に向けて」という少し大きな視点で書かせていただいております。まず、人手不足が深刻化する中で、やはり多様な個人の労働参加を一層促していくといったことが重要になってございまして、1ポツ目のところに書いてございますが、個々のライフスタイルや価値観に応じた多様で柔軟な働き方が実現できるよう、様々な選択肢を提示できる雇用管理へと転換を図っていく必要があるということを記載させていただいてございます。
 その中に、下でございますけれども、特に雇用管理について、今まで正規・非正規の二極構造が言われておりましたが、そういったことから転換を図っていく必要がある。その観点から、その下のところでございますが、多様な正社員の普及を進めていく必要があるということを記載しております。
 下から2つ目の○の下のほうに記載ございますが、多様な正社員制度、いろいろと普及促進に向けた取組を行っておりますが、なかなか利用されていないという現状もございます。多様な正社員制度のさらなる普及とともに、個々の職場の事情に合わせて、労働者、企業側で協議し、利用が図られていくことが求められるという記載をさせていただいております。
 2ページ目でございます。こうした雇用形態の改善、多様化といったことも必要でございますけれども、やはり多様で柔軟な働き方を進めていくためには様々な取組が必要と考えてございます。その中で、マル3でございますが、長時間労働を前提としない職場づくりというところが大切になってくると考えてございます。
 マル3の下のところに長時間労働の実情について記載がございます。長時間労働については、上限規制等を通じまして、大分改善が進んでおり、2024年にはそれまで適用猶予となっていた業態も上限規制が適用されております。今後は、こうした制度面だけではなくて、業界ごとにさらなる改善をしていく必要があるという点を下から2つ目のポツで書かせていただいております。業界全体で改善を図っていき、それが人材の獲得にもつながるという記載をさせていただいてございます。
 3ページ目でございます。長時間労働に加えて、柔軟な働き方も推進していく必要があると考えてございます。マル4の下のところにテレワークについての記載がございますが、コロナ禍におきましてテレワークがかなり進んでございます。コロナ直後にはテレワークの実施率というものが高くございましたけれども、それが今少し戻ってきているような状況になってございます。下から2つ目の○のところでございますが、「コロナ禍を契機とした生活・仕事スタイルの変革が元に戻ることがないよう、引き続きテレワークができる職場環境を整備していくことが重要である」というような記載をしてございます。
 4ページ目でございます。大きな2つ目、3-2というところがございます。「ミドル・シニア世代も含む人材活用」というタイトルにさせていただいてございます。その下のところでございますけれども、高齢社会が進展する中、現在、労働参加しているミドル・シニア世代が引き続き活躍できる仕組みづくりが必要なのではないかというような記載をさせていただいてございます。
 その下に、高齢者の就業率等々、現状を記載させていただいておりますが、制度面の改正等もありまして、高齢者の雇用というものが進んでいるといったところでございます。
 マル2のところに「シニア世代の活躍促進」といった話がございますが、やはり制度の普及だけではなく、働き方、そして企業の認識が変わっていくことが必要と考えてございます。
 少しページが飛んでしまいますけれども、6ページのところに細かな議論が書かれてございますが、研究会のほうでも石山先生に御登壇いただきましてプレゼンテーションいただきましたが、1つ目の○のところでございます。シニア世代の活躍について、個人が主体的に仕事の創意工夫や越境学習を行うことでワーク・エンゲージメントを高めながら参画していくことが重要であるというようなお話がございました。
 そのためには企業側が、シニア世代が定年後も活躍できるよう、キャリア形成支援を行い、そして専門性を高める。その中に越境学習とか副業・兼業など、新たな取組を通じて専門性を高めていくようなことが重要であるという記載をさせていただいてございます。
 マル3のところにもシニア世代の活躍についての施策が書いてございますが、やはりマッチング支援ということも同時に重要になってくるという記載をさせていただいております。ハローワークにおきまして様々な支援をしているところでございますが、シニア世代のマッチングに向けてさらなる取組が進められる必要があるというような記載をさせていただいてございます。
 7ページ目でございます。大きな3つ目のところになりますけれども、3-3でございます。「家庭等の事情に関わらず男女ともに希望が十分配慮・尊重される働き方が実現できる環境整備」というところになってございます。こちら、女性の活躍の文脈で、有識者の先生に御登壇いただきましてプレゼンをしていただいたものになります。マル1のところでは現状について記載させていただいておりますけれども、女性の就業率につきましては、従来指摘されてきましたM字カーブといったものが解消傾向にありますし、女性の正規雇用であったり、様々な社会進出といったことが着実に進展しているという現状を書かせていただいております。
 一方で、まだ多くの課題も残っていると考えてございまして、その下のところに書いてございますが、平均勤続年数であったり、管理職比率が男女で差が見られるといったところに着目して、こういったところを改善していく必要があると考えてございます。
 8ページ目以降に少し各論につきまして記載させていただいております。マル2のところでございます。「子育てや介護を行う人への支援メニューの更なる活用に向けて」といった記載がございます。
 9ページ目に少し詳細が書かれてございますので御確認いただければと思いますけれども、特に子育て世代でございますが、子育て世代の希望に沿った働き方の実現に向けた支援につきましては、様々な取組、制度の拡充というものが行われておりました。一方で、その活用につきましてはなかなか進んでいない現状といったところも指摘がございまして、そういった事実関係のところを9ページ目で整理させていただいてございます。特にでございますけれども、例えば男性の育児休業の取得が進んでいないなど様々な課題がまだあると考えてございます。
 特にそういった活用が進まない要因としましては、9ページ目の下のところに記載がございますが、社員の育休取得による欠員時の要員確保、そして職場の負担の増加をどのように対応するかといったところが課題としてはまだあると認識してございます。
 少しページが飛びますけれども、11ページでございます。そうした制度の利用がまだ進んでいないということに関しましては、例えば好事例の活用を通じて、より制度を活用していただけるような機運の醸成を図っていくということも重要でございますし、11ページの上のところにございますけれども、育児休業や短時間勤務の両立支援が活用された場合に、周囲の負担が増えないように代替要員などを用意する必要がある。それに対して企業に向けた支援制度がございますので、そういったところをどんどん活用していただきたいと考えてございます。
 その下に、介護を行っている人への支援といった記載がございますが、こちらも同様に両立支援制度ありますので、そこをしっかりと活用いただけるように促していくといったことが必要になってございます。
 11ページの下のところにまた違うタイトルがございまして、「家事負担の偏在の解消に向けた機運の醸成」といった記載をさせていただいております。これはなぜかと申しますと、制度的な利用促進とか職場の話というのと裏表で、家庭内の家事負担というところも制度の利用について影響を与えているのではないかと考えてございます。
 そういった意味では、性別に関わりなく、希望する働き方を可能とする環境整備していくためには、家庭内の家事負担というものを平準化していく必要があるというような趣旨で、11ページ、12ページ、そういったことを記載させていただいてございます。
 13ページ目でございます。職場における健康課題につきましても先生方に様々な意見をいただきました。特に女性特有の健康課題につきましては、回りの理解が進んでいない、そしてサポート体制が職場で十分ではないのではないかというようなことも雇用制度研究会で議論となりました。
 13ページ目の3つ目のところにございますけれども、企業が女性特有の健康課題に対して配慮するというところは、生産性の向上や人材の獲得、そして長期的な人材の確保の観点からも有用であるといったところで、下から2つ目の○でございますけれども、厚生労働省で様々な周知広報をしてございますので、そういったものを参考にしながら職場における健康課題というものに企業が対応していくといったことを進めていく必要があると考えてございます。
 少しページが飛びまして、15ページ目でございます。大きな4つ目でございます。「個々の事情を乗り越えた労働参加に向けて」といったセクションを設けさせていただいております。少し多岐にわたる内容なので、お話しするものをピックアップさせていただきますけれども、第5回で有識者の方に、育児によって職場を離れた方々への支援というものが重要であるというプレゼンをしていただきました。まさに多様な個人が自身の希望に合わせた労働参加を実現していくためには、個々の事情を乗り越えて労働参加できるような支援をしていく必要があると考えてございます。
 16ページ目に少し詳細が書かれてございますが、下から3つ目の○のところでございます。育児等によって一旦職場を離れた場合には、再就職に踏み出せていない背景としまして、自身の過去の職業経験に不安を感じているなど、自身のスキルの棚卸しというのがなかなか十分にできないというようなお話がありました。そのため、伴走型の求職支援が必要であり、そういったことにつきまして官民協働で対応していく必要があるのではないかというような記載をさせていただいているところでございます。
 そのほかにも、個々の事情にといったセクションでは様々な記載がございますが、ここでは割愛させていただきます。
 18ページ目でございます。3-5「地域の人手不足への対応」というところで、こちらは大きな5つ目になります。地域につきましては、第7回に有識者の方にお話をいただきました。1つ目の○のところでございます。現状でございますが、東京圏を除いた地域につきましては引き続き労働力の確保について厳しい状況続くことが想定されるといった状況でございます。
 19ページ目でございます。1つ目の○のところでございますが、地域によって様々な事情があるといったことがございます。そのため、地域の実情に合わせて取組を行い、個々のウェルビーイングを高めていくことが重要でございますし、その中でも労働条件等の改善を促して労働参加を促していくことが重要であると考えてございます。
 19ページには、少し個別なところがございますが、中ほどのところに中小・中堅企業における労働条件の改善が特に重要であるというような記載をさせていただいてございます。
 20ページ目でございます。2つ目のパラグラフに地方へのUIJターンのところについて記載がございます。地域の人手不足の中でどう仕事を回していくかといったことが重要でございますので、潜在的な地方就職希望者の掘り起こしが必要であるといった話、そして、本業は都市部でやるけれども、副業として地方部の仕事を担うなど様々な参画の仕方がある、それを活性化していく必要があるというような記載をさせていただいてございます。
 最後でございます。3-6「外国人労働者への対応」というところでございます。こちらも第7回で有識者の方にプレゼンをいただきました。3-6の下の1ポツ目でございますけれども、人手不足の深刻化に伴い、様々な分野で外国人材が活躍していただいている。そして、アジアの国際労働市場において日本での就労ニーズは依然として高いというようなお話もいただきました。その中で、引き続き日本が外国人材に選ばれる国であり続けるための雇用環境の整備をしていく必要があるというような記載をさせていただいてございます。
 21ページ目でございます。そうした外国人材の活用につきましては、やはり回りの理解というものを進めていく必要があるという記載をさせていただいてございますが、下のところに記載ございますが、留学生をどのように日本の労働市場に入っていただくかといったところが要であるというようなお話もございました。その中でハローワークにおける留学生コーナーを通じてきめ細やかな就職支援を行うといったところ、そして留学生と企業とのマッチング強化を図っていく必要があるというような記載、最後のところでございますが、留学生の卒業後の日本企業における就職定着を促し、将来的なキャリアアップを見据えた支援を充実するといったことが、外国人材の包摂といった観点から重要であるというような記載をさせていただいてございます。
 以上、長くなりましたけれども、第3章の説明を終わらせていただきたいと思います。
 そのほか、資料2は概要で、資料5はデータ集でございますので、こちらからの説明は差し控えさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○樋口座長 ありがとうございました。地曵さんのほうに、皆さんで十分に時間を取って御議論いただくために説明を短くしてくださいとお願いしましたので、割愛なさっているところもあるかと思います。
 それでは、早速議論に移りたいと思いますが、本日は主に資料3、この報告書案について御説明、御意見をいただきたいと思っておりますが、まずその前に、大きな流れ、資料1から始まりました流れについて、御意見、御質問がございましたらお願いし、その後、資料3について、3章について御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 このような章立てでいくということについてよろしいでしょうか。
 山本先生。
○山本委員 ありがとうございます。章立てはいいと思うのですけれども、どこかに賃金のことをもう少し触れられないのかと。どこかの章に入るのかもしれませんけれども、かなり賃上げについて焦点が当たってきますし、今後を見据えてどうなっていくのだろうか、どういう見通しを厚労省が立てているのかとか、あるいは労働力需給のところで生産性の向上というのを仮定しているわけですけれども、仮定しているということは、イコール実質賃金が高まっていくということだと思うので、ということは所得がよくなっていくということを想定していると思うのですが、その辺り、どう考えていったらいいのか。3章とか4章とかでも生産性が高まるということが出てくると思うのですけれども、報告書読む方の関心として、所得や賃金がどうなるかというところにあると思うので、ちょっと抜き出してとか、賃金、所得に関することを盛り込んでもいいのかなと思いました。
 以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。特段、どこということは御意見はないでしょうか。
○山本委員 3章、4章に散りばめるというよりは、どこかに別建てで入れてもいいぐらいなのかなと思ったということです。
○樋口座長 ありがとうございます。
○雇用政策課長 事務局でございます。
 山本先生、ありがとうございます。以前の会でも、阿部先生から分配についてという御指摘あったと思いますので、今日お出ししたところでは労働供給という、参加していただく、あるいは働き続けていただくという観点で、供給サイドで書きましたけれども、賃金も非常に大事な要素でございますので、今、御指摘あったように、まとめての記載をどこかに設けたいと思います。場所としては1章または5章かなと思いますけれども、また樋口先生と御相談して用意したいと思います。
○樋口座長 貴重な御意見ありがとうございます。ぜひ取り出して書いていきたいと思います。ほかにいかがでしょうか。
 玄田先生。
○玄田委員 樋口座長の肝煎りのタイトルにちょっとケチをつけるわけではないですが、何度か雇用政策研究会にこれまで出してもらった中で、今回が最も「人手不足」という状況に対して雇用政策がどう臨むのかということをかなり包括的に議論するというのが特徴だと思います。その多様な対応とかいろんな状況というのはもちろんすばらしいのだけれども、それを人手不足の中で対応するということが今回全体の流れになっているから、タイトルの中で人手不足もちゃんと反映したほうがいいのではないかなと思いました。
 それと関連して、後の2章以降がそうなのだけど、人手不足がかなり深刻化するという状況が出ているときに、資料1の終わりの3ページ目の下から2番目の○の人手不足感の「感」は取ったほうがいい。もう人手不足感というような状況ではなくて、2章以降に散りばめられているのは、かなり深刻な人手不足の中で今みんな苦しんで経営も人事もやっているわけだから、この考え方の「感」というのと2章以降と温度差をすごく感じる。だから、少なくともここは「感」は取ったほうがいいと思います。
 あともう一つ、後で2章以降の議論になるからそこで言ったほうがいいのかもしれないですが、個々の対策はすばらしく丁寧に記載されているのだけれども、雇用政策がどういう柱でこの対策をやるのかというのが、ちょっと全体像のまとめみたいなのが余りよく見えなかった気がします。つまり、人手不足対策として何がまず大事なのかというのが、もうちょっと大きな柱が、1章か5章か分からないけれども、説明された上で、3章とか4章の各論にいったほうが多分みんなによく伝わるなと思ったし、雇用政策も考えやすい。
 具体的に言うと、人手不足って実は量的な問題だけでなくて、ものすごくモザイク模様になっている。少なくとも3種類ぐらい人手不足ってあって、「求人拡大型人手不足」と「摩擦的人手不足」「構造的人手不足」といった、かつて我々がマクロ経済学で学んだ失業のアナロジーとちゃんと対になるようないろんな種類の人手不足がある。求人拡大型人手不足には賃金をうまく調整させるとか職場環境整備が必要だし、摩擦的人手不足に対してはやはり労働移動とか、まさに安定行政の出番だと思うし、構造的な人手不足というのはどっちかというと人材不足だから、そこは能開的な行政とか、さっきの介護とか育児で制約のある人は制約を解除していくような構造変革が求められるの。どこかでもうちょっと人手不足ということの、どう対応していくのかという大きな柱が1章か2章ぐらいのところで示されたほうが各論の位置づけがよく分かるような気がします。それは最終的な構成なのでどうするかはわかりませんが、読みながらそういうことを思いました。
 以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。全く同感で、実は事務局とも話をしていまして、資料1には大きな柱というのは書いてあって、これがまだ文章化していないのですね。これが第1章のところ、第2章のところに関わってくるところで、ここで大きな流れを、ここで言いたいことをまとめというか、最初に出そうということで、これは次回ということと、あと、資料2のところにまだ文章化していないものが出ているというつもりだったのですよね。
○玄田委員 では、次回乞御期待ということですね。分かりました。
○樋口座長 資料1の3ページのところを今後文章化していくということで、今までは労働政策研究機構がやっている労働需給推計とこの雇用政策研究会の報告書というのが必ずしも有機的につながっていなかったというところもあって、これをつなげる上で需給推計をまず議論して、今後人手不足というのが見通せる一方において、リーマンショックであるとか、コロナであるとか、思わぬショックが発生した場合に対する支援のあり方というようなこともそこで書いていく。その上でこの3章に入っていくというような流れのつもりで、まさに御指摘のとおり考えているというようなことでありました。ありがとうございます。
 宮本先生、いかがでしょうか。
○宮本委員 後のほうでごにょごにょっと申し上げようと思っていたのですけれども、今、玄田さんのお話を伺って、つい触発をされて手を挙げてしまいました。人手不足であるからこそ雇用創出が大事なのだというか、多くの人が働ける場の創造が大切なのだということをやはりメッセージとして打ち出していただければなあと思ったりしています。
 今の玄田さんの求人拡大型、摩擦型、構造的な人手不足、恐らく構造的なほうに入るのかもしれませんけれども、これまでの雇用政策、積極的労働市場政策というのはやはりエンプロイアビリティを高めるサプライサイドオリエンテッドで、ただ、知識や技能を身につけろというだけでなくて、構造的な人手不足に対処するために、この報告書ではっきりしているのは、やはりエンプロイアビリティというのを広げて考えていく。育児・介護の条件、育児休業制度の内容、あるいは家事負担に至るまで拡大版エンプロイアビリティで考えていくというところは打ち出されていると思うのですけれども、もう一つ、にわか勉強でお恥ずかしいのですけれども、最近、オランダとかスウェーデンの労働市場政策研究とか見ていると、今申し上げたエンプロイアビリティを高めるサプライサイドオリエンテッドだけではなくて、経営者を巻き込んでいくエンプロイアオリエンテッドな積極的労働市場政策というのがすごく強調されていて、前もちょっと申し上げたことあると思うのですけれども、例えばスウェーデンなんか、今、人手不足と同時に失業率の高さにも悩んでいる。
 それはどうしてかというと、活躍できるはずの人が活躍できていないということがあって、長期失業者というのが、リスキリングやってもそれに応じられないというか、リスキリングを利用できないということになってしまっていて、これはやはり働き方みたいなのを考えなければいけないということで、スウェーデンは職業安定所と社会保険事務所と自治体なんかが連携して経営者に働きかけて、例えば介護とか育児のサービスの質を高めつつ、専門性の高い人たちの負担を軽減して、より単純な業務でいろんな人たちが関わってこられるような形で、職場のあり方を変えていくような取組が広がっている。だから、本当に人手不足に頭抱えている経営者に働きかける。
 今のお話でも、3-1に業界とか経営者に働きかけるというところがあったのだけれども、主には労働時間の問題であって、やはり職場のあり方という形で、もっといろんな人、今、日本財団なんかの計算だと、いろんな事情で働きたくても働けない人たち、今のハードルの高い職場に入っていけない人たちが600万人ぐらいと言われていますけれども、その人たちを活用するために、経営者、エンプロイアを巻き込んでいかなければいけない。その辺りを通しての雇用創出、雇用創造みたいなものもメッセージとして打ち出していただければなあと思います。
 以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。御指摘の点、十分に理解できるかどうか、しているかどうか分からないので、また御指導いただきたいと思います。一応人手不足というのが労働の重要性を社会として、あるいは企業として再認識することの重要性ということで、それを具体化してどうしていけばいいのかというようなところのお話があったと思いますので、そういう形で取り組んでいきたいと思っています。また御指導ください。
 ほかにいかがでしょうか。
 山本先生、労働市場参加という言葉がいろんなところで出てくるのだけれども、それについて何か御意見があるというようなお話を聞いているのですが、もしあったらお願いします。
○山本委員 後で発言しようと思ったところですけれども、一番違和感持ったのが、「労働参加」という言葉が多用されていて、宮本先生がおっしゃられたように、まだまだ参加できない方も多数いらっしゃるのは分かるのですけれども、一方で、女性で非正規が多くて、所得が低いとか雇用が安定していないとかいうような問題もあって、今働いている人の活躍をさらに高めていくということが重要だと思うのですね。参加、つまり、女性で見ると、労働参加率はかなり高くなってきている。ただし、その内訳を見ると、企業の中でまだまだ、補助的な役割だったり、単純なタスクしか担っていない。その辺りを変えていく。あるいは端的にいえば、正規雇用を希望してもらって、正規雇用になってもらう、で、活躍してもらうというようなことが、恐らくここの多様な個人が活躍できる労働市場というのを目指しているものだと思うので、参加するだけでなくて、個々の事情に応じて活躍できるというようなニュアンスの表現が全体としても入ったほうがいいと思った次第です。
 以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。それについても議論ちょっとしていまして、労働市場参加というと量的な拡大が主目的になっていて、質的な話、働く環境だけでなくて、いかにして能力を発揮できるか、やる意欲を持ってもらって、それを発揮できるかというようなことについてやはり言及していくべきではないかということがございましたので、ぜひそれについても取り入れていきたいと思っています。
 あといかがでしょうか。
 大竹先生、どうぞ。
○大竹委員 ありがとうございます。私自身は、非常によくできていて余り言うことないかなあと思っていたのですけれども、私も玄田さんの発言に触発されてあえて申し上げようかなと思うのですけれども、1つは、人手不足が重要だというときに、今回の流れとしては、生産性を上げていくとか、労働移動、外国人という形になっているのですけれども、もう一つ大きな要素としては、人手不足への対応のときに、とにかく新卒で対応はできないというのが重要な論点で、抜けているなあと思ったのは、そうするとマッチングよくするためには中途採用というか、転職市場の整備というのが改めて重要だけれども、よく考えると、余り言及されていないなあと思いました。
 それで、私、少し思ったのは、アメリカだと、アメリカの公正取引委員会、FTCが、転職を阻害する要因として、競業避止義務というのを重視していて、競業避止義務を禁止するというのを出しているわけですね。日本でそこまでやるかどうかは別にして、でも、転職を阻害する要因であることは間違いないので、そういう人手不足として社会全体のマッチングを高めていく上では、転職阻害要因というのを減らしていくということもどこかで言及してもいいかなあと思いました。
 以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。アメリカの場合は、今まで州法で州別に法制度が違っていましたが、これを連邦法のほうで統一的な扱いにしようということになったと思うのですが、日本でどうするかということはまた議論が十分されていないと思いますので、改めてまた御議論をいただきたいと思います。ほかにいかがでしょうか。
 荒木先生、どうぞ。
○荒木委員 私も、大変よくまとまっているので特に申し上げることはないかとは思ったのですけれども、資料1でしょうかね。ポンチ絵がございまして、ここで多様なバックグラウンドの方の労働参加、これは今回の第3章で、第4章はテクノロジーを活用した労働生産性の向上ということで、労働生産性の向上のほうがテクノロジーの活用との関係でのみ捉えられているような印象をちょっと与えかねないと思いまして、第3章はどちらかというと、生産性の向上よりも、まだ労働に参加していない人に労働市場に参加してほしいと。それをアシストする。そのためには望んだ働き方を可能にするというトーンが強いのですが、労働力が不足している結果、今雇われている方が長時間労働せざるを得ないというような状況になっているので、長時間労働を減らしていって、広い意味ではワークシェアリング的に新しい職場が生まれて、そこに参入していただくというようなことも第3章では説かれています。
 1人当たりの労働時間は今後減らしていくのですが、1人当たりの労働生産性を高めなければじり貧になりますので、第3章の施策も時間当たりの生産性を上げることとともに実現すべき課題だということで、生産性の向上は、第4章のみでなく、第3章でも大事だということが、第2章辺りでも言及してあるとよいのかなという感じを持ったところでした。
 以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。その点、我々議論していまして、テクノロジーで生産性上げるような受け止められ方をしては困ると。それだけでなくて、いろんな方法というのがあるだろうと、そういう工夫を凝らすべきだというようなことを議論していまして、そういうことを取り入れたいと思いますが、第4章でまた議論をいただくということですね。
○雇用政策課長 今の荒木先生の御指摘ですけれども、まだ不十分なところございますが、資料1の3ページの第2章に当たる部分で、先ほど説明者が赤字のところしか読まなかったのでありますけれども、テクノロジーの下の文章で、「また」以下の「単位時間当たりの生産性を高め」という記述も、今、事務局案として書いてございますので、またここを膨らませるイメージで御指導いただければと思います。
○樋口座長 テクノロジー等で入れていたというところもあって、もう少し明確にそこを書くべきだということだろうと思いますので、御意見いただいたとおりにしたいと思います。ほかにいかがでしょうか。
 よろしければ、本題であります先ほどの説明、資料3、これが3章に当たると思います。これはちょっと長いので、皆さんがおっしゃったことを的確に捉え、加筆するために幾つかに分けて御議論いただきたいと思います。まず最初に、3-1のところから始まって、マル1、マル2、マル3、マル4、それと3-2のマル1、マル2、マル3、ここまでを一つのブロックと考えているのですが、ここまでで何か御意見ございましたらお願いいたします。
 佐藤先生。
○佐藤委員 最初の3-1の多様な個人の労働参加についてのところですが、内容というか、ちょっと順序変えたらどうかなあということで、マル2がいわゆる正規・非正規の二極構造からの転換で、多様な生産性の導入があって、マル3は長時間労働を前提としないということなのですが、このときに、2ページの一番下、「また」以降のところね。「残業を前提とした仕事の仕方」とか、「転勤を受け入れてくれる社員」がいることを前提とした人事管理を行わないというか、解消が重要か分からない。ここの○を前に持ってこられないか。
 どういうことかというと、マル2のところで、多様な正社員制度ありますよね。従来の正社員の、例えばここは転勤だと。転勤なんかできない人が出てきましたよね。ならば、その人たちのために勤務地限定制度をつくります。あなたたち、転勤しなくていいようになりますね、は困るのよね。大事なのは、従来の正社員の、例えば転勤の仕組みも見直す。なくせという意味でないよ。見直した上で、例えば勤務地限定制度。
 どういうことかというと、異動が本当に必要だと見直すことで回数は減るとか、あるいは異動期間を明示するとか、転勤して必ず戻ってくるとか、あるいは転勤の免除期間をキャリアの中で5年選べるとか。つまり、従来の正社員の転勤の仕方を見直して、その上で、やはり転勤も必要だねと。だけど、そういうのもできない人ねという人のために多様な正社員制度を入れるならいいのだけれども、現状でいうと、多くの企業はそうでないのだよね。従来の転勤前提の正社員の仕組みを残しながら、勤務地限定制度入れてみたいなところがある。
 そうするとどういう問題起きるかというと、企業からすると、転勤できる社員が一流の社員で、転勤できないのは二流の社員みたいになってしまう。これをなくさなければいけないので、それでもし従来の正社員の転勤の仕組みを見直すと、勤務地限定制度選ばないでいい人も増えるのだよね。そのことが2ページの下の○に書いてあるのだね。なので、これを先に持っていくということが大事かなと。
 あと長時間労働も、残業削減はもちろん大事なのだけれども、大事なのは、必要な残業はしなければいけないのです。問題は、何を解消するかというと、安易な残業上の体制、つまり、仕事が終わらなければ残業してもらえばいい。例えばうちの職場、残業少ないですよ。ただ、5時頃残業してねと上司が言う。残業は少ないのだけど、5時に残業してねと言えば、残業してくれる部下がいる前提で仕事をしている。これを変えなければいけないのだよね。つまり、残業できる社員がいるなあということを想定した仕事の仕方を変えるということがあって、なのだよね。そのことを通じて残業を減らすということだと思うので、そういう意味では、2ページの下のこの○が先に来て、これはつまり正社員全体ですよね。そういう仕事の仕方を見直すよというのがあった上で、多様な正社員制度とか残業削減となればいいかなあ。これが1つです。
 あともう一つは長時間労働についてなのだけれども、今問題なのは管理職の長時間労働なのだよね。これが出てこないです。実は管理職が、特に課長レベルは55時間、60時間、週働いているのですね。多様な部下をマネージもしなければ、部下とわんわんやれ、女性の活躍推進しろ、パワハラなんか起きないようにしろなんて、仕事どんどん増えるのですよ。管理職が長時間労働。目の前の仕事しかできないような状況が起きてしまっているのですね。これだと、少し先のことを考えて仕事するってできていない管理職がたくさんいるようなところで、「日本の企業は平気なの?」という気がしていて、具体的に言うと、ある企業で課長研修を去年7月にやったのね。
 大手のメーカーで、ロボットなんか開発しているのだけれども、課長さんに実労働時間聞くと、週55時間、60時間ざらですよね。去年の7~8月って、ChatGPTがすごい話題になったのね。140人に、ちょっと家でのぞいてみたことある、何人見たことがあるか。5人ですよね。それはつまり、世の中で話題になっていることをちょっと関心あっても、それを見に行こうという時間取れない。目の前の仕事で追われているというような状況を見直さないと困るかなあと。
 つまり、先ほど、付加価値の高い仕事をしてもらう、多様な部下は、つまり、社員が活躍できるような仕組みつくるというと、管理職がキーなので、部下を持った管理職の働き方改革というのがどこにも出てこないかなあという気がしていて、これが2つ目です。これはどこかで書いてもらうといいなあということであります。
 確かに、労働法制上は残業ではないのだよ。健康管理上は見ているけれども、僕は、一般職と同じような働き方改革を、例えばうちは残業時間月20時間ですとやっている会社ありますよね。でも、管理職やっていない会社たくさんあるのですよ。だから、管理職も含めて働き方を見直すということをしないと、例えば女性の課長登用なんか無理だよね。分かりやすく言うとね。なので、管理職の働き方改革というのが、実は今日いろいろ議論になる多様な部下のマネジメントとか職場の働き方改革やるということなので、実はどこにも書いていないので、御検討いただければ。これは2番目です。
 最初のはちょっと順序変えればいいかなあと思うのですけれども、以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。管理職の件についてはまた御意見をいただいてまとめるということにしたいと思います。それと、最初のところは、御指摘のように、柔軟な働き方という言葉で3ページになっているのですが、これはライフステージに応じてとか、いろんなものに応じて柔軟なというところを入れていったほうがいいのではないかとも受け止められましたが、そういう形でよろしいですか。
○佐藤委員 マル4の最初のところで、「多様な正社員制度を入れて」と書いてあるのね。でも、そうでなく、2ページの下の○というのは従来の正社員の働き方見直しなのですよね。それを分かるように書いていただければいいかなあと。だから、従来の正社員の、転勤あります、残業してください。残業ない、短時間勤務制度、転勤ない、勤務地限定制度みたいのを入れる。あるいは、多様なというのはちょっと困るなあということで、やはり本丸は従来の正社員の働き方を見直す。それでも、多様な働き方とかそういうのをつくるのは僕は賛成なのだけど、ということです。
○樋口座長 分かりました。多分、リカレント教育のところで、まだ議論していないのがライフチェンジの議論というのが実はあるのですが、今回報告書の中に入れていないので、そこら辺も含めて御議論いただいて、能力開発というのも、継続的な仕事における能力開発とはまた違った意味での能力開発というのもあるのかなあということを言っていまして、またお知恵拝借できればと思います。
 阿部先生、いかがでしょうか。
○阿部委員 よろしくお願いします。
 「多様な個人の労働参加に向けて」というタイトルで、その中でマル1、マル2、マル3、マル4とあるのですが、多様な個人の労働参加に向けて、多様で柔軟な働き方を構築しようということで4つの項目立てあるのだと思いますが、これで十分なのかなというのが正直思っているところです。
 1つは、もう少し非正規労働の問題だとか課題というのを抽出して、今後それに向けてどのような政策を打っていくかというのもあるでしょうし、あるいは個人事業主ですとか、フリーランスで働くという人たちも、今後どうなるか分からないのですけれども、そうした働き方を求める人たちもいるとは思うので、それに対してどういう政策を打っていくのかというのも論点としてはあるのではないかなと思うのですね。それが今回、ちょっと読むと、多様な正社員の議論が結構ボリューム厚くて、そこを厚労省としては目玉としてやっていくのかなと読めてしまうような気がするのはどうかなあと思ったりしていますので、多様な働き方というのを、書くのだったらもうちょっといろいろ書いたほうがいいのではないかなと思いました。
 以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。フリーランスをどう扱ったらいいのかというのが実は雇用政策研究会として難しいところもあって、働き方全般であれば当然ここに入ってくることになると思うのですが、雇用関係で雇用されている側についてというようなことであると、狭い意味であるとなかなか難しい。やはりここの研究会としては広く扱ったほうがいいということですかね。どうですか。
○阿部委員 雇用安定法では70歳の就業確保のところでも個人事業主の議論もされていると思うので、私としてはもうちょっと幅広でもいいのではないかなと思います。全体で果たしてどう考えるかはお任せします。
○樋口座長 また高齢者のところは後々出てくると思いますので、そこで議論いただければと思います。ここでも入っているのか。3-2のマル1のところに入っているので、取り上げることにしたいと思いますので、これから議論させていただきたいと思います。ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ、齋藤先生。
○齋藤委員 ありがとうございます。先ほどの長時間労働とか転勤の話に関しては、基本的には、長期雇用、終身雇用とのバーター、引換えにそういったものを受け入れてきたという歴史もあると思うのですけれども、人手不足という状況ではそういったことについては労働者のほうがより立場が強くなっている時期でもあると。実際に意に沿わないような転勤とか、あるいは残業ができないようなときに残業させられてしまう。今、転職はかなりしやすくなっているという面はあると思います。ですので、雇用保障との関係が今弱くなっているから、むしろこういったことを進められるのにいいタイミングだというような指摘もできるのかなと思いました。
 以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。参考にさせていただいて。ほかにいかがですか。
 山本先生。
○山本委員 すみません。3-1のマル3で長時間労働を前提としない職場づくりが記載されているのはとてもいいと思いました。ただ一方で、資料1の最後を見ると、「今後5年で取り組むべき政策を検討」と書いてあるのですね。ただ、この報告書の中で長時間労働を前提としない職場づくりのところを見ると、これまでの政策、働き方改革関連法が2019年にできて、2024年に例外職種・業種にも適用されたということは書いてあるのですけれども、今後それをどうしていくか、今後5年の政策対応についてほとんど言及されていなくて、業界に任せるみたいに、あるいは法令遵守意識を高めるというのは書いてあるのですが、一応働き方改革関連法から5年たっていて、節目の年で、このままだと、これで上限規制とか、あるいは割増賃金率の設定とかではまだ努力義務にとどまっている勤務間インターバル制度などというのが、厚生労働省としては何も取り組まないのではないかと思われかねないかなと思いまして、資料1に「今後5年で取り組むべき政策を検討」ということを打ち出すのであれば、労働時間規制に関してどう考えていくのだろうかというところはやはり言及したほうがいいのではないかなと思いました。
 以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。その点、皆さんから御意見をいただいたほうがよろしいのかなあと。なかなか行政からどうするのだと言われても困る部分もあると思いますので、研究会としてどう考えたらいいかということについては皆様から御意見をいただいてまとめたいと思っております。ぜひ御意見いただければと思います。ほかに、もし、ここまででなければ。
 実は高齢者について、今までは在職老齢年金をどうするのだとか、あるいは税制による収入の壁の問題どうするのだというようなことについても言及してきたのですが、今回はそれをどうしたらいいかということ。さらには、高齢者のまさに定年制の問題、今まで大分変わってきてはいるのですが、その方向で今後5年間とか、あるいは2040年に向けてどうしたらいいかということについても皆様から御意見をいただいたらと思いますが、一回役所のほうでどう考えているのかということについて次回でもお話をしていただこうと思っておりますが、大丈夫ですか。
○雇用政策課長 今、担当者もいませんので、また。
○樋口座長 そういう意見が出たということで、次回にでもお話しいただこうと思っています。年金は年金局のほうでまた、別のところの扱いだけど、これまでも書いてきたのですよね。雇用政策研究会として在職老齢年金をどう考えるかとか、あるいは収入の壁の問題をどう扱ったらいいのかということについては言及してきたと思いますので、今回それをどうするかということについてはまた相談させていただきたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。
 なければ、今度次のブロックで、3-3及び3-4までのところで御意見いただければと思います。
 どうぞ、佐藤先生。
○佐藤委員 11ページの育児のところと介護なのですけれども、介護のほうは、今、育介法の改正で変われば、介護休業についてはここに書いてあるように、介護休業って、介護するための制度でない。もちろん介護してもいいのですよ。でも、介護していると、介護はいつまで続くか分かりませんので、離職につながりやすい。そういうことを踏まえた上で、両立体制つくるような期間として休業使ってください、情報周知始めるわけですけれども、もう一つ大事なのは、介護の場合は勤務先の両立支援制度、介護休暇だけでなく、それは介護保険制度、これの利用なのだけれども、実は40になると介護保険の被保険者になって天引きされますけれども、40代の方に、あなた、介護保険制度の被保険者ですかと聞くと、3~4割は、分からないとか、入っていないと言うのだよね。
 つまり、これは結構問題で、本人は気づいていない。なぜかというと、保険料取られるけれども、介護保険証は65になるまで来ないのだよね。確かに、65を過ぎて、要介護、要支援認定受けると介護サービス使うのだけれども、そういう意味では、まだ元気だからいいですよねという趣旨なのだけれども、大事なのは、40代、50代の社員の親御さんが要介護、要支援になったときには、親の介護でまさに介護保険制度、サービス使わなければいけないのだけれども、仕組み知らない人が結構いるのですよ。
 なので、これは労働政策なのだけど、本当は、今回一部ここには書いてあるけれども、育介法の改正の指針の中に出てくるかも分かりませんけれども、例えば40歳で介護保険制度の被保険者になったら、あなた、被保険者ですよと、介護保険制度、こういう仕組みですよみたいな情報提供、老健局になるのか、本当はやってもらったほうがいいと思うのですね。
 つまり、労働政策と広い意味での介護保険制度と連携みたいのをうまくやるようなことをちょこっと書けないかということですね。本体は、40歳のときに介護保険証配ってくれるのが一番いいのですよ。分かりやすい。特定疾患であれば40~64も使えるのですね。つまり、保険料取られるけれども、保険証ないのですよ。健康保険とか年金、そういうのないので、本来は配ってもいいのではないかと思うのです。それが1つです。
 あともう一つは、育児のほうで、ここに書いてあるように、育休取得者が出れば、女性の場合でも1人いなくなるわけですから、代替要員とか回りでカバー必要になりますよね。これまでも。あともう一つは、男性の育休取得というと、男性の場合、やはり1か月、2か月になりますよ。短いのが多い。そうすると、代替要員無理なのですよ。1か月、2か月だと、一般的には。なので、そういう意味で、回りがカバーするということがあるので、これどうするかですけれども、ここに助成金のことがあるのだけれども、もともと育児休業取ったら、ノーワーク・ノーペイですから、給料払わないわけですよね。もともとの趣旨は、育休取った人に払わない給与で代替要員雇ったり、回りの人にボーナス出してできるわけですね。でも、それを書かずに助成措置って変なのではないかということ。本来、助成しなくてもお金入るはずなのですよ。
 つまり、育休取ったり、あるいは短時間勤務の人も、6時間になると8分の2は給与払ってないわけですから、この8分の2を回りの人に配ってもいいわけなのだけど、それやってないのよね。やっていなくて助成措置というのはよく分からなくて、まずは企業には、育休なり短時間取っている人に払っていない給与分で代替要員を雇ったり、あるいは回りの人に手当出したりということを本来先にやってということかなあと思うのですが、なぜ助成措置なのかというのがよく分からないなあということです。
 何言いたいかというと、育休取ったり、短時間勤務の人に企業は払わない。育休取得中は社会保険料の企業側の負担もないわけですね。その浮いた財源をなぜ使えないのか。使えない理由は、1つは、ある職場で育休取得者が出たときに、その人の人件費を現場で使えないのですね。予算管理上。大企業なんかでいうと。事前に有期契約の人を雇うとか派遣を雇うという予算を取っておかなければいけないのですよ、前の年度で。だから、浮いたからといってすぐその職場に使えるようになっていない経理上の仕組みもあるのですね。
 例えば派遣雇えば物経費で用意しておかなきゃいけないですよね。そういう意味では、多分、代替要員出たとき給与を払わないのだから雇ってくださいという趣旨だったのだけど、企業内の予算管理の仕組み考えていなかったのではないかという気もしなくて、もう少しその辺ね。つまり、来年度自分の職場で2人育休取得者が出ると分かったら、前の年にその人の分と見合うような有期契約とか派遣雇う予算を事前に組んでおくということをしないと実は使えないのですね。だから、そういうことも含めて情報提供、ここで書く必要ないけれども、育休取得者とか短時間勤務出たとき、職場でどうやり繰りし、代替要員入れたり、カバーした人をサポートするかということについてもうちょっと積極的に情報提供してもいいのではないかなあ。予算措置なんかも含めて御検討いただければという趣旨です。
 以上です。
○樋口座長 2番目の点については検討させていただきたいと思います。1番目の介護保険については、これまたちょっとどうしたらいいかという点もあるのですが、これも検討させてください。今出なかったのは、介護士の処遇の問題というのは、介護保険だと出てくると思いますが、何か御意見ありますか。
○佐藤委員 いやいや、そっちはまた大きくなるので。介護のサービス、担い手の保護の人材確保とか処遇改善の話までやるとちょっと大きくなってしまうので、そこはいいです。
○樋口座長 雇用政策研究会と言いながら、実は介護とか保育であるとか保育士のところはちょっと別に扱っているようで、それをどうするかはまた。
○佐藤委員 そういう意味ではあるかも分かりませんね。
○樋口座長 宮本先生。
○宮本委員 すみません。1つ前の3-2のところで言うべきことをちょっと言い損ねてしまったのでよろしいでしょうか。
○樋口座長 どうぞ。
○宮本委員 報告書案の最初のバージョンでは結構シルバー人材センターのことがたくさん書いてあって、最新バージョンではやや縮小されていて、これ、事業所団体なんかがあって難しい点もあるのかなと思ったのですが、ただ、シルバー人材センターのような社会的資源をもっとちゃんと使うというのはすごく大事なのですが、雇用政策研究会の観点から言うと、これは雇用ではなくて請負であるということが前提になっていて、なぜ請負かというと、初代会長でもあった大河内一男先生の理念が、これは生きがいづくりだということになっていて、みんなで一緒に働くことが大事だと。そういう意味でも、雇用ではなくて、みんな一緒に働く請負が重要だということで、結果的にそれが公園の清掃とかそういう業務が中心になって、管理職経験者なんかが入っていきづらいということになってしまっている。
 でも、これはやはり雇用も重視し、それこそ生産性も含めて就労機会広げていく場にしていかなければいけないと思いまして、いろいろ書きづらい点はあろうかと思いますけれども、シルバー人材センターを活用していくのはシニアの労働力活用という点では非常に重要だと思いますので、その辺り、御考慮いただければと思います。
 それから、ちょっと大慌てで、前に先生方おっしゃった論点について1つ2つ。1つは、阿部先生がおっしゃっていたフリーランスの問題、これは樋口先生もやや雇用を拡大して考えるべきかなあとつぶやいておられたとおりだと思うのですけれども、労働部局の中でも、リーマンショック、あるいは東日本大震災直後の緊急雇用創出事業のときは、企業支援型のプログラムというのをかなり手厚くやっていて、あれはすごくNPO関係者なんかに評判よかったのですね。
 スモールビジネスというのがこれから地域の人手不足の中での問題解決に非常に大きな役割を果たしていく。スモールビジネスというと、フリーランスの面もあるけれども、数人の雇い人がいるという場合もあるわけであって、この辺りはぜひもう一度位置づけ直してほしいなと思います。
 それから2番目に、多様な個人の労働参加ということと生産性の関係、これは山本先生がおっしゃったように、生産性も発揮している人がもっと発揮するというのはめちゃめちゃ大切だと思うのですけれども、そのためにも、より幅広い労働参加が、荒木先生のおっしゃったようなワークシェアリングという観点で重要になってくる。だから、やはり矛盾することではないのではないかなと思ったりもしています。
 以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。たしかフリーランスについては労働政策審議会で、私の基本部会かなんかで、労働政策としてはフリーランスの労働であるという位置づけであったと思いますが、雇用政策研究会というタイトルがそこまで意識してついたのではないと私は認識しておりますので、フリーランスとか自営とか、あるいはスモールビジネスとかのところをどうするかということについて言及してはいけないということもないのではないかと思っていますので、また相談させていただきたいと思います。シルバー人材センターの話も併せて議論させていただければと思います。
 黒田先生、いかがでしょうか。
○黒田委員 黒田です。ありがとうございます。
 今のフリーランスの話なのですけれども、いわゆるプラットフォームワークも少しずつ増えてきていて、本業では別途雇用されている方も単発でそういった仕事に就いているケースもあります。フリーランスで働いている人は雇用されていないというような前提ではなくなってきているので、広くこういった働き方も研究会の枠組みに入れてもいいのではないかと思いました。
 それから、私、先ほど申し上げるべきだった点が1つありまして、そちらを先にお伝えしたほうがいいかなと思うのですが、先ほど佐藤先生がおっしゃった、管理監督者が非常にハードワークになっているというお話と、山本先生がおっしゃった今後5年間で取り組むべき点というところに関連するのですけれども、管理監督者の働き方は、私が知る限りは政府の統計で正確に捉えられないという問題があって、実際に、一般の労働者の労働時間が減る一方で、その業務を管理監督者の人たちが肩代わりする結果、どの程度管理監督者が超長時間労働になっているかということを捉えることができない中で、アネクドータルに管理監督者の長時間労働が話題になっているように思います。
 前回の2019年の法改正のときは、労働時間にキャップをはめるという議論と、裁量労働制や高プロの話に結構な時間が使われて、管理監督者の話が余りされなかったという印象があります。管理監督者が実際のところどれぐらい働いているかということを把握できるデータを整備していくということも、この先5年の検討課題としてあるのではないかというのを1点付け加えさせていただきたいです。
 そして、本来申し上げるべきこのコーナーのことについて2点、コメントとお願いをさせていただきたいと思います。まず、女性の健康に関するトピックを入れていただきましてありがとうございます。その箇所なのですけれども、13ページの冒頭のタイトルにもありますけれども、「配慮」という言葉が使われている箇所が結構ありまして、全体的にこの3章だけで、「配慮」という言葉が多分十数回出てくるのですけれども、ほとんどがこの女性のコーナーに入っています。
 その点に関連するのですけれども、この数年、「合理的配慮」という言葉もよく耳にするようになってきました。日本人の感覚からすると、配慮というのは相手を気づかうとか相手の気持ちを慮るとか、人によってはか弱い者に注意を払ってあげるというようなイメージを持つ方もいらっしゃるように思います。ですが、英語で「合理的配慮」は「リーズナブル・アコモデーション」であって、適切な範囲で環境を変更するとか、その人その人のニーズに対応するといったニュアンスでアコモデートということは使われていると思います。
 今から申し上げる例もよくいわれますけれども、例えば私は目が悪いので、コンタクトレンズを入れていて、コンタクトしていないときは眼鏡を使わないと生産性が著しく低下してしまうわけですけれども、コンタクトをつけることで生活も生産活動もできるようになっているわけです。つまり、眼鏡をかけることが「アコモデートしている」ことになっています。ここで、「配慮」という言葉を使ってしまうとニュアンスがちょっと異なって伝わってしまうのではないか。例えば弱者を特別扱いしなくてはいけないというような意味で受け止められてしまうと、そんなに配慮しなくてはいけないのは面倒だといった、統計的な差別を助長することにもなりかねないことにもなります。また、特別扱いされることを気にして、自分の事情を余りオープンにできないという人が出てきてしまったら、それは本末転倒だと思います。
 眼鏡をかけても誰もそれをとがめることがないように、アコモデートすればもっと生産性が発揮できる人が多いはずなので、その人その人のニーズに応じてどのようにアコモデートすればよいのかということを社会や職場が一緒に考えていくことが重要である、といったメッセージにしていただけるとありがたいと思います。それがコメントとお願いの1つ目になります。
 2つ目は、同じ女性の健康のところで「生理休暇」という言葉が1か所入っていて、具体的には13ページの4つ目の○の部分ですけれども、ここの箇所は厚労省が既に行っている取組を、事実として述べている箇所なので、内容がいけないというわけではないのですけれども、この研究会でもたしか前回か前々回に、体調に問題を抱えているのは女性だけとは限らないといった御意見がほかの先生方からも出されていて、私も全く同感です。もちろん性差はありますけれども、同じ女性でも女性特有の症状の重さというのは人それぞれですし、男性でも体調が悪い方はいらっしゃると思います。なので、女性というグループに属しているからといって特別な休暇を与えるという制度は、これもまた統計的差別につながってしまうので、性別にかかわらず体調が悪いときには休むことができるというような病気休暇(シック・リーブ)の創設というのを、今後5年間で検討すべき課題として入れていただければありがたいと思います。
 日本は病気になっても有給休暇を使わなければいけないので、風邪やインフルにかかったときのために有給休暇をのり代として取っておくという人が多くて、それが有給休暇の取得率がいまだに7割程度にとどまっている一つの理由だとも言われています。本来でしたら、有給休暇は余暇やリフレッシュのために使うべきなので、体調が悪い人は男女にかかわらずシックリーブを使えるようにすることを検討していく。審議会だとなかなか難しい議論かもしれませんけれども、研究会の報告書でこういったものをボトムアップ的に提案していくということは大切だと思うので、ぜひ御検討いただければと思います。
 以上になります。
○樋口座長 ありがとうございます。まず1点、今のシックリーブの話は均等局ですかね。この間説明いただいたのは。
○雇用環境・均等局総務課長 雇均局総務課の牛島ですけれども、シックリーブというよりは、むしろ多様な働き方を目指す観点でいろいろな事情に対応できるような休暇の取得もしくは導入支援みたいなものを進めていく、これは雇均局でやっております。ですので、そういったところを引き続きやりつつ、制度としてどうするのかというところはちょっと答え持ち合わせていないのですが、導入支援的なところは引き続きやっていければというところは考えているところです。
○樋口座長 ではどのように書いたらいいかということについては御相談させていただきたいと思います。
 あと、これは佐藤先生からも黒田先生からも出た管理監督者の労働時間についての議論ですが、今、調査はやっているのかやっていないのか分からないのですが、これは事務局。
○労働基準局総務課長 労働基準局です。
 管理監督者に関しては、1つは、もともとは労働時間の規制が適用除外されていたのですけれども、5年前の働き方改革関連法の中で労働安全衛生法が改正されまして、管理監督者についても労働時間の状況を把握するというのが事業主の義務となっておりまして、現時点においては、管理監督者に関しても事業主は労働時間の状況を把握しなければならない義務があり、かつ、一定の時間を超えますと、医師による面接指導の対象になる。そういった意味におきましては、管理監督者に対しての長時間労働の問題というものは一定の制度的な前進はあったというところです。
 一方、データに関しましては、例えば労働安全衛生調査の中においては、月80時間以上の時間外・休日労働があった月があったかというのは調査票では聞いておるのですけれども、管理監督者に限った形で集計等ができるのかというところは、現時点では分からないのですが、いずれにしましても、そういった規制はかかってはいて、事業主に対する義務づけまではできているというところです。
 あと、それ以外に関しましては、特に今後5年間どのように政策をやっていくのかという点に関しましては、今、労働基準局のほうで労働基準関係法制研究会という研究会を開催しておりまして、この雇用政策研究会の委員でもあります荒木先生に座長をお願いしておりまして、現在議論しております。そういった中でも、管理監督者の健康確保というのは一つのテーマになっておりますので、今まさに労働基準局としても議論をしているというような状況でございます。
 以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。荒木先生、何かありますか。
○荒木委員 まさに今議論中ですが、労働時間の状況の把握はすでに導入されており、健康確保について労働時間の長さの観点から攻めていくというのは一つのアプローチなのですけれども、もう一つのアプローチとして、労働解放時間、しっかりと休む時間を確保していくという方向からアプローチするという方策もありうるということも踏まえて、今後検討していきたいと思っております。
○樋口座長 ありがとうございます。ではどのように書いたらいいかということは相談させていただきたいと思います。
 佐藤先生。
○佐藤委員 ほかにもあるのかも分からないですが、厚生労働省、公的なデータではなく、委託調査、例えば両立課が出している仕事と生活の調和ので、委託で個人調査やっているのね。管理職も一般職も実労働時間聞いているのですよ。管理職の人にも時間管理されていなくても実労働時間書いてくださいと聞いていて、裁量労働の人はみなしではなく、実労働時間を書くようにと言っていて。そういう調査なので、いわゆるモニター使っているやつなので。ただ、やはり課長が一番長いですね。部長は少し短いのです。一般職よりも課長が実労働時間長いというような結果は出ていますので。たしか両立課かな、毎年やっている調査です。
○雇用環境・均等局総務課長 ちょっと確認いたします。どういう形で取りまとめているかも含めて、そこら辺もあると思うので。
○樋口座長 だから、匿名集計を必要とするのか、もうやっているのか。
○佐藤委員 公的な調査ではないので。だから、どの程度一般性かということですが、一応そういう調査もありますだけです。
○樋口座長 ではそういったものを参考にどう書いていくかという。黒田先生、それでよろしいでしょうか。
○黒田委員 統計については、単発の民間統計は、佐藤先生がおっしゃったようにあると思います。ただ、私は政府の統計として、時系列で管理監督者の労働時間がどのように推移しているかをみることができるデータがない中で、管理監督者の労働時間について議論するのはどうかと思っています。労働法制が社会を意図した方向に導いているのかを評価する際に、どっちの方向に向かっているかも分からない中で議論しているわけですから、データを整備してきちんと議論を整理したほうがいいのではないかという意見です。
○樋口座長 ありがとうございます。政策で変更したとすれば、当然その成果がどうなっているかということは取らなくてはいけないわけでしょうから、そこについては基準局でしょうかね。
○労働基準局総務課長 そうですね。月80時間というような水準も5年前の法律で入りましたので、そこからまさにそれを調査で取っておりますので、集計の仕方としてどこまでができているのかというのは現時点では申し上げられませんけれども、一定の把握はやっているというところではございます。
○樋口座長 では次回でもまた教えていただければと思います。
○労働基準局総務課長 承知いたしました。
○樋口座長 大竹先生。
○大竹委員 ありがとうございます。私も黒田さんが御指摘された13ページの、フェムテックというか、女性の健康のところについてコメントがあります。
 まさに今出た、まず「配慮」というのは、黒田さんもおっしゃったとおり、ここの文脈とちょっと違うだろうなと思います。健康課題の対策とか健康課題の改善とか、何かそういうタイトルのほうがいいだろうと私も思います。
 それからあと、このページの文章ですけれども、2つ目の○のところがエビデンスなのですね。だけど、どれも弱くて、「示唆されている」という形のものしかなくて。そして、3つ目のところに、だけど、これは確実だから求められるというストーリーになっていて、そして4つ目は、厚労省で何やっているかということだけが書いてあるのですね。だから、2つ目の○のエビデンスも弱くて、4つ目の○についての効果についてもはっきりない。
 私自身はこういうのはちゃんと書いていくべきだと思いますけれども、ただ、エビデンスが弱いことはどっちも、健康課題、女性の健康をよくすれば非常によくなるということのエビデンスをしっかり出していくということがまず重要だと思いますし、それから、厚労省でいろいろやっているというのがどんな効果あるのかというのが余り説得的には書いていないなというところがあるので、どっちもできていないことだと思うのです。そこを何か今後しっかりエビデンスをつくっていくということまで書いていただけたらなあというのが、できるかどうか分からないですけれども、研究者としては書いていただけると、この分野の研究の活性化にもなるので非常にありがたいと思いました。
 以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。これは担当部局とも相談しなくてはいけないものがあると思いますが、何となくちょっと弱いというのが先生方の御意見ですので。
○大竹委員 いや、私は書いてほしいのですよ。この分野が非常に重要だということをうまくアピールしていただければ、エビデンスが蓄積されていくことが重要だとは思うのですよ。経産省のレポートを見ても少し弱い感じは、見てもしますし、ただ、企業からの出てきたものというのは非常に効果が強いように見えるというのも事実なので、やはり厚労省としてしっかり調査研究する姿勢を出していただけたら非常にいいなあというのが趣旨です。だから、弱いから書くなという意味では全然なくて。
○樋口座長 参考にさせていただきたいと思います。ほかにいかがでしょうか。
 齋藤先生。
○齋藤委員 12ページ辺りの家事負担の偏在の解消というところなのですけれども、これは非常に重要な論点だと思います。まず、日本の男性の仕事へのコミットが具体的な数値で示されていて、無償時間については男女両方データあるのですけれども、女性の仕事へのコミットもデータがあればお示しいただくと、女性の仕事へのコミットが阻害されているということがもう少し具体的に分かるのかなと思います。
 家事負担の偏りの背後にはやはり男性のほうがかなり市場労働とか、あるいは家督役割を女性に比べて相対的に重く負担しているというところもあると思いますので、そのセットということなのかなと思います。当然、市場労働とか家督役割の偏りというのは労働市場におけるジェンダー差別が原因になっている可能性高いと思うので、その解消とセットで、この偏りを両方同時に修正していくということなのかなと思います。
 12ページの最後の、男性の働き方を変えていくというところは、まさに市場労働とか家督役割についてその負担を和らげて、そして家事負担のほうに少しシフトしていくということとつながってくると思いますので、この辺り、もしかしたら賃金とかそういった面で妥協する面が出てくるかもしれませんけれども、それを書けるかどうか分かりませんけれども、背後にはそういう意思決定もあるということが考えられるということです。
 以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。ここについては手直しをするということでよろしいですね。
○雇用政策課長補佐 承知しました。
○樋口座長 ありがとうございました。それでは、残りの3-5の地域の人手不足への対応、それと外国人労働者への対応というところですが、いかがでしょうか。
 阿部先生。
○阿部委員 ありがとうございます。3-5の前に、さっき言えばよかったのですが、一緒なので、ついでに言わせていただきます。
 17ページの「引き続き手厚い支援が必要な人への支援」のところですけれども、ここに書いてあることはこれでそのとおりだと思うのですが、対策というか、支援を実際やっているところというのは、国だけでなくて地方自治体もかなりやっていると思うのですね。その次の地域の雇用のところも、地方自治体との協働というのが重要だと思うのですけれども、どちらかというと、今、国が何やっているかとか、国が何をやるべきかみたいなことしか書いていなくて、地方自治体とどのような協働をしていくかとか、あるいは地方自治体にどういう支援をしていくかとか、そういう観点がちょっと抜けているのではないかなあと思いましたので、もう少し書き加えてもいいかなあと思います。
 それと、先ほどの17ページのところは、私が言うよりは多分宮本先生がお話しされたほうがいいと思うのですけれども、私の記憶では、この辺りはユニバーサル就労とかで地方自治体で頑張っているところも結構あると思うので、そういった事例も、前の雇用政策研究会、今回でなくて、以前の雇用政策研究会でも何かそういうのが話題になったような記憶があるのですけれども、今回ももう少しユニバーサル就労の話を付け加えてもいいのではないかなとも思いました。
 以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。宮本先生、御指名ですが。
○宮本委員 阿部先生おっしゃるとおりで、さっき、スウェーデンのエンプロイアオリエンテッド、積極的労働市場政策を説明したのですけれども、私、印象的だったのは、日本でもいろいろ取り組まれてきたユニバーサル就労と非常に似通った考え方で、ユニバーサル就労というのは、要するに、さっき、管理職の労働時間の長さの問題等話題になりましたけれども、専門性が高い、責任が大きい人たちに業務が集中する傾向に対して、もうちょっと業務分解ちゃんとやって、誰でもこなせる仕事のパッケージをオープンにして、いろいろ事情がある人もそこで活躍してもらおうということだったのですね。
 そのような取組が、例えば富士市などではユニバーサル就労条例という形で、地域の経済団体がかなりポジティブに関わって取り組んでいるという事例もありまして、これはまさに今阿部先生おっしゃった、自治体の取組の一つの最前線にいかに地域の潜在的な労働力を活用していくのかというところがまさに自治体にふさわしい課題になっているということで、そのキーワードがユニバーサル就労なのだろうと思います。
 ついでなのでもう一点、17ページのところには、生活困窮者自立支援制度だとか、それから障害者雇用の話もあえて、縦割りを超えて今回の報告書書いていただいていて大変感謝しているのですけれども、そこでまた新しい縦割りが出てきて、障害者雇用の就労継続支援A、Bを活用しながら、要するに、地元でそうした業務を実践している人たちは、障害者雇用の制度を活用したまま、事実上そこで高齢者を雇ったり、あるいは長い間仕事から遠ざかってきた、例えば刑余者の人を雇ったりして、非常に制度の縦割りを超えることを苦労しておられるというところもあるので、例えば「諸制度の連携が可能な条件を模索する」みたいな文言も盛り込んでいただくと、少しそういう現場にとって明るい展望になるかなと思ったりします。
 以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。先日、消滅可能性自治体の発表をしたのですが、そのときに自治体のほうから、まさに人口の奪い合いになってしまっていると。人口の奪い合いであれば、国全体としては、人口は変わらないわけであって、特定の自治体がやり玉に上がるような話にならないようなやり方というのはどういうものだろうかという話も出ていました。
 今回、国と自治体との連携、それだけであればいいと思うのですが、自治体間の話というのをどう雇用政策の中に入れていったらいいのだろうかということについてはちょっとまた考えなければいけないテーマがあるかと思いますので、ちょっと考えさせていただいて、局長ともよく議論させていただきたいと思います。
 ほかにはいかがでしょうか。外国人の話とか。
 よろしいですか。
 よろしければ、また皆さん、後でも結構ですので、メールでもいただけたら対応したいと思います。取りあえずは3章まで、資料3のところまでということで、今後の予定についてもあるし、あと資料3とは別に。
 玄田先生。
○玄田委員 全体を通じて皆さんの御意見を聞いていろいろ勉強になったので、一言言うと、結局、タイトルの労働市場に向けて、ではどうするのということがどういう答えになるのだろうなと思って聞いていました。そのためには、特に3章の内容を見ると、冒頭で宮本さん言われたように、企業側がエンプロイアオリエンテッドで、もっとこういうこと、やっていかないといけないことがあるよということを具体的に書いたり、企業がそういうことをするために雇用政策としてこういうことをもっと後押ししなければいけないということも書いてあるなということも思いました。もう一個大事だと思ったのは、3章の部分部分では書いてあるのだけれども、もうちょっと管理職含めて労働者の思いをちゃんと受け止めてやってほしいという、何かそういう「労使協調の新しい展開」をしていかなければいけないのではないかということが、これはメッセージかなあと思って聞いていました。
 佐藤博樹さんもずっと言われているように、こういうのをやっていて、結局また企業お任せのいろんな施策になったら元も子もないわけで、人手不足というのを追い風にして、もうちょっと企業がちゃんと本気で、管理職含めて労働者の声を聞いて、そこで協調して何かしていかないといいことはないという、そういうメッセージ僕は思って聞いていました。3章に書くというよりは、全体のまとめみたいなところで、多分、AI対応もそうだと思いますが、労使でこれから本当の意味でちゃんと話し合って受け止めてやるという、コミュニケーションという言葉が出ていたりもしていたのだけれども、もう一歩踏み込んで、そういうメッセージにつながると、問題意識に対して一つの答えになるのかなという気がしました。
 今、政府が率先していろんなことをがんがん変えていく、法整備も含めてやっていくということも大事だけれども、何となく、こういう状況になったら、企業もちゃんとやり、そこでは労使協調のために大事な責任があるんだということにも何となく機運を迎えつつあるのではないかと。どこかで、結局何がこのタイトルに対する答えなのかというのをぜひ次回以降御提案いただければ示唆的かなと思っていました。
 以上です。
○樋口座長 どうもありがとうございました。重要なポイントだと思います。第5章で、企業と政府それぞれ何をやっていくべきなのかというような、ここではインフラ整備等となっているのですが、ここのところはまだできていないので、多分ここが非常に重要なところになってくるのではないかと思います。参考にさせていただければと思います。
 今日のお話は主に第3章だったのですが、残りの1章、2章、4章、5章のところの扱いというのはどう考えていらっしゃるか、事務局からお願いします。
○雇用政策課長補佐 ありがとうございます。そうしましたら、資料1の2ページ目のところで御説明させていただきたいと思います。
 本日様々な御指摘をいただきまして、ありがとうございます。まず、第1章のところでございますけれども、現状分析をさせていただく予定でございますので、またこちらについては整理してお示しをしたいと思います。
 そして、第2章のところの考え方でございますが、今日ざっくりとしたものを御説明させていただきましたが、玄田先生から御指摘もいただきましたが、人手不足に対する対応とか、そういった考え方も含めて、雇用政策全体が見えるようなことを少し考えて、また御相談させていただきたいと考えてございます。
 そして第3章ですが、様々な御指摘をいただきましたので、労働参加という言葉が正しいかどうか、よいのかどうかというのを含めて今回御指摘いただいたものをまた盛り込んでお示ししたいと考えてございます。
 その中で、ご指摘いただいたことをどこの章に入れるかというのはまた議論があるかと思いますが、山本先生から賃金についてまとめて記載をというお話もありましたので、どの章に入れるかはまた検討して、何かしら賃金について記載したいと考えてございます。
 あと、第4章のところでございますけれども、今新たなテクノロジーといったところに着目しておりますが、労働生産性を上げるというところは新たなテクノロジーだけでないといったお話も今日ございましたので、例えば省力化についてどうやっていくかとか、業務の見直しとか、あと、働き方のところと労働生産性のところも御示唆いただきましたので、こちら、第3章、第4章に関わることだと思いますけれども、そこも含めて整理させていただきたいと考えてございます。
 また、第5章のところでございますが、まさに今これから作成が必要なところでございますけれども、労働市場のインフラ整備は、労働参加ということにも関わってきますし、キャリアアップにも関わってきます。また能力開発は、労働生産性にも関わってくると思いますので、それぞれ、企業、政府の役割分担ということも含めて考えていきたいと思います。
 そして最後、まとめのところですね。どのようなまとめの仕方がいいのかというのはまた先生方の御議論を踏まえて検討していきたいと考えてございます。
 以上でございます。
○樋口座長 ありがとうございます。確かにこう見ると、労使協調というか、組合の話がなかなか出てこないのだけれども、組合というか、労働者側の意見の、あるいは責任の問題をどう入れていくかということも重要かと思います。
 それでは、ちょっと時間早いのですが、いろいろ御意見いただきましたので、この案文の修正、加筆も含めて次回以降提起させていただきたいと思います。次回以降について、予定を。
○雇用政策課長補佐 ありがとうございます。次回の第11回研究会につきましては、6月24日(月)16時から18時で開催予定となってございます。
○樋口座長 何かございますか。
 よろしければ、本日の研究会、以上とさせていただきたいと思います。あと次回も含めて2回程度と思っていますし、今日もいろいろ宿題を各部局にもらっていますので、それについても示していただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 それでは、今日の研究会、これで終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。