第9回雇用政策研究会 議事録

日時

令和6年3月11日(月)10:00~12:00

場所

本会議会場
厚生労働省 職業安定局第1会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階公園側)

議事

議事内容
2024-3-11 2023年度第9回雇用政策研究会
 
○雇用政策課長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第9回「雇用政策研究会」を開催いたします。
 本日は、玄田委員、清家委員が御欠席となり、大竹委員、齋藤委員、JILPTの渡邉様が対面での御参加、その他の委員はオンラインでの御参加となります。
 また、今回は、外部有識者として、前回に引き続きましてJILPTの渡邉様を臨時委員としてお招きしております。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 今後の議事進行につきましては、樋口座長にお願いいたします。
○樋口座長 皆様、おはようございます。
 それでは、早速、始めたいと思います。
 前回の研究会におきまして、大竹委員から女性の健康課題に関する問題の投げかけをいただきました。
 初めに、雇用環境・均等局雇用機会均等課長から説明をお願いいたします。
○雇用環境・均等局雇用機会均等課長 お手持ちの資料1を御覧いただければと思います。
 まず冒頭、女性の健康ということと、私どもがやっております女性活躍との関係で申し上げると、正直に言うと、この分野に関してはあまりやっていないというのが正直なところです。そもそも、御承知のとおり、男女雇用機会均等法で妊娠中の女性の方の保護というような形で母性健康管理というような形でアプローチをして、今、不妊治療と仕事との両立というような形で、正直に言うとまだこの分野はフロンティアな分野で、今、緒に就き始めたというような状況だと認識しておるところでございます。
 それゆえに、現状やっているというところで言えば、前回、外部有識者の方から、統計を取って公式にウォッチできるようなというようなところまで一足飛びに行けるかというと、そこまでも行けそうもない。一方で、現状でやっている中で、実は私ども、新しい研究会を立ち上げておりまして、こちらにも参加していただいております佐藤博樹先生に座長を務めていただいております検討会の動向などを含めて、本日御紹介させていただければと思っております。
 まず、資料1の2ページ目でございます。
 私ども、先ほど申し上げたとおり、男女雇用機会均等法に基づきまして、母性健康管理の措置というものを事業主さんにお願いしております。それを踏まえまして、母性健康管理等推進支援事業というような形で、情報発信の形で、右側にありますけれども、働く女性の健康応援サイトなどの周知啓発ということをやっている。
 これは、非常に歴史的な話で言えば、先ほど申し上げたとおり、均等法で母性健康管理というような形でやっているので、ここに実は事業名で「等」というのをつけているところで、今、健康に向けてやっている。
 それで、実は働く女性の健康応援サイトの周知啓発のところのすごく細かいところで恐縮なのですけれども、1つ目の○の2行目、「例えば生理に関する情報など」というような形で書かせていただいておりますが、ようやくここの母性健康管理という切り口から、女性の健康課題について知っていただくという事業をこの事業をきっかけに今やり始めている段階というものです。
 次の3ページ目でございます。
 働く女性の心とからだの応援サイトというのを実際にこの事業の事業費を使いまして運営しておるというものでございます。ですので、先ほども申し上げたとおり、左側の妊娠出産・母性健康管理がやはりメインになって、その次にこの取組事例という形になってはいるのですけれども、今、生理休暇の専用ページだとかも作って、あと、更年期の話も実はこのものに載せておりまして、そういった形で今ウイングをちょっと広げつつあるという状況でございます。
 次に4ページ目、数値物が全くないというのもあれなので、私ども、女性が働く上で健康というところがいわゆる落とし穴になっているのではないか、継続就業だったり、女性のキャリア形成においてこういった健康事象というのが落とし穴になっているのではないかという問題意識は決してないわけではございませんで、後ほど説明しますけれども、昨年シンポジウムを開催しておりまして、その際に使った資料が4ページ目でございます。
 まず左側のほうを説明させていただきますと、これは日経BPさんが使われている資料を使わせていただいているのですけれども、日経BPさんが女性労働者の方にアンケート調査をしたところ、生理については症状が強いが我慢しているというのが66.4%、一方で、治療をされておられて軽減されているという方がわずか5.1%になっているという状況です。
 真ん中のところでございますけれども、御承知のとおり、雇用均等基本調査というのを私の課で持っておりまして、そちらのほうで、御承知かもしれませんけれども、雇用均等基本調査は何年かおきに調査項目をローテーションで回す形でやっておりまして、その中において生理休暇を請求した女性の割合だとか生理休暇のある事業所、今回はおつけしておりませんが、そういったものは聞いております。これを見ますと、直近のデータは令和2年度で0.9%というような形、これはいろいろな要因があると分析しておりまして、まず分母を全女性労働者で割っているというところが一つ大きな要素としてあるのかなということと、次にありますけれども、やはり職場で生理休暇を使いたいという申し出をするところに気恥ずかしさだったり、あと、労働基準法の場合、生理休暇ですと、無給でもいいと。とにかく就業をさせてはならないというのが生理休暇の趣旨でございますので、そういったところで、言い方は悪いのですけれども、男性上司に言いたくない、体のことで非常にデリケートなことなので、恥ずかしいので年休を使われるという方も一定数いらっしゃるのかなと思っております。
 最後に、この生理休暇の要因として、右側のほう、また日経BPさんの調査を見ますと、これもやはり女性の方はなかなか自分の生理日というのを男性上司に言いたくはないという方だとか、利用している人がそもそも少ない、周りに迷惑をかけたくないといったものが非常に多くなっているというようなところがございます。
 そういった状況を踏まえまして、次のページでございますけれども、昨年の9月に「働く女性と生理休暇に関するシンポジウム」というものを開催させていただきました。実際に出席者の方で、例えば高尾美穂先生、この方はかなり有名な産婦人科医の方なのですけれども、この方だとか、先ほどの調査を取りまとめていただいた日経BPの米川様、あと、中小企業で実際に生理休暇とは言わずにまず生理だとかについて男性社員も含めて知ってもらおうよというのを、企業連合体というか、いろいろな企業でネットワークをつくって取り組んでおられる長野の中小企業の高木建設さん、あと、ツムラさんは女性の休暇というのを、やはり生理休暇というのはちょっとどぎつい響きなので、そこを例えばF休暇だとか、そういった形でオブラートに包むような形で生理に限らずいろいろな健康のケアを自由に取れるというような企業さんとして、ツムラさんをお呼びしましたという形でやらせていただきます。
 その中で、私ども、ここの話をさせていただきたかったというのは、これを踏まえてここのリーフレットを作っているのですけれども、まず男性労働者もこういうことがあるのだということを知っていただくということで、上のほうで小さな字で恐縮でございますけれども、上司だとか、まず女性労働者に生理という状況で治療をするという手段を知っていただくということも含めて、皆さん我慢していませんかといったことを言い、また、上司に女性が生理がつらい状況があることについて休暇取得などの適正な対応が取れるように職場環境についてもう一度考えてみませんかというような形で事業主さんだとか、あえて今回男性とは書かずに、なぜ男性とは書かなかったかというと、LGBTQの方もいらっしゃるという配慮で、まず性別ということは考えてはないのですけれども、イメージとしては男女問わず職場の方に知っていただくというような形にしたということ。
 あと、そもそも労働基準法上は生理日の就業が著しく困難な場合は休暇を請求できるというような構成になっています。生理日の就業が著しく困難というのはそもそも何なのというところが御理解がなかなか進んでいない。もともと労働基準法は解釈でずっとやっているところがございますけれども、その解釈を明らかにするというところまではなかなかいけないのですが、要は産婦人科医の皆さんだとかにオーソライズしていただかないとできないのですけれども、今回ちょっと工夫したのがこの高尾先生のコメント、著しく困難というのは、個人差はあるけれども、例えば痛み止めを使っても痛み止めが十分に効かず痛みが続く場合、生理による不快な症状がある場合は1~2日安静にして、その症状が継続する場合。さらに、月経に伴う下腹部痛などについて原因があると。まずは産婦人科医に相談を考えてみましょうというような形で働きかけるというところを今やり始めたところでございます。
 こういった状況もあるのですけれども、最後の6ページでございますが、御承知のとおり、令和元年に女性活躍推進法等の改正法が成立して、その中で一般事業主行動計画の策定義務の拡大、あと、こちらのほうが有名なのですけれども、労働施策推進法でパワーハラスメントを法制化させていただきました。改正以降につきましても、男女間賃金差異の情報公表というのを301人以上企業さんに義務づけという形でお願いをしたりはしているのですけれども、やはり女性管理職の比率が国際水準で見ると低いだとか、ハラスメントの相談件数も高止まり、あと、カスタマーハラスメントなどが社会的に耳目を集めているということに加えて、この女性活躍推進法というのは令和8年3月31日までの時限法でございますので、そういったことを踏まえて、現在、現状や論点を整理していただいているというような形で、検討会を2月29日に立ち上げまして、実は本日夕方に2回目をやる予定でございます。構成員としては、御確認いただければとは思いますけれども、佐藤先生に座長をお願いしておるという状況でございます。1回目はフリーディスカッションでしたので、その中においても、女性活躍と月経、不妊治療、更年期の課題ということでは、やはり構成員の方からは男女共同参画社会の中で男女とも知っておくべきではないかといったことだとか、あと、男性の更年期だとかも忘れてはいけない健康課題だけれども、男女の性差に応じた健康支援をしていくことも重要ではないかといったお話。
 あと、今、女性の就業率はL字カーブという形になっておりますけれども、この改善というところを考えると、もう少し月経という問題を考えたほうがいいのではないかといったお話。
 あと、男性も含めて、女性特有の健康知識について、ヘルスリテラシーを向上させるために企業からの支援を促していくという方策もあるのではないかという御意見を今いただいておるところでございますので、こちらの今開催しております検討会のほうで追ってまた企業等からのヒアリングを重ねながら施策を検討してまいりたいと思っておるというのが現状というところを御報告させていただければと思います。
 私のほうからは以上でございます。
○樋口座長 ありがとうございました。
 佐藤先生からまた御意見があるかと思いますが、取り急ぎ基準局の安全衛生部労働衛生課長からお話をいただいた後、佐藤先生からお話をいただきたいと思います。
 それでは、衛生課長、お願いします。
○労働基準局安全衛生部労働衛生課長 おはようございます。労働衛生課の松岡と申します。
 資料2に従いまして少しお話をさせていただきたいと思います。
 産業保健は、皆様御承知のとおり、労働現場におきまして事業者と働いている方が一緒になって現場の衛生を保っていくというのが基本になっておりまして、それをお手伝いする産業保健職、産業医とか保健師等に入ってやっていただいているというのが現状になっています。
 その中で、産業医、産業保健スタッフ自身も女性の健康課題についてはなかなか認知してこなかった、よく分からなかったところが今まであったというのが現状だと思います。そういったこともありまして、47都道府県に産業保健総合支援センターというものを設けておりまして、そちらにおきまして産業保健スタッフに対する専門研修や相談対応などをやってきている。現在やっている事業としてはそういうようなものがあります。
 この支援なのですけれども、資料2ページ目の産業保健総合支援センター(産保センター)という真ん中の四角の中を見ていただきますと、まずは事業者とか人事労務担当者、産業医といった使用者に関わる方々に対する専門的な研修を産保センターを通じてやる。事業所の中でそういう問題があるということに皆さん気づいていただいて、何か対処を考えるようなきっかけにしていただくというようなことがあります。また、実地相談や健康教育といったものも産保センターが出張ってやるようなこともございます。
 もう一つ、労働者側へのアプローチですけれども、性と健康の相談センターというものが都道府県の単位で設けられておりまして、政令市も持っているところはありますけれども、相談対応の中でこういったセンターとの連携も行っております。
 また、地域の窓口としては、産保センターの下に地域産業保健支援センター(地産保)というのがありまして、監督署単位で全国に約350か所あるのですけれども、こういったところには小規模事業者に対して支援するという体制ができておりますので、この地域の窓口を通じて産業医、保健師等が事業所への訪問支援などを行うことで、女性の健康課題というものがあることについて気づいていただき、対処していただくというようなことを今やっているところです。
 次のページをめくっていただきますと、このようなビラを私どもは作りまして、働く女性の健康推進に取り組んでくださいというようなことを展開しているところです。先ほど申し上げましたように、女性特有の健康課題に関する研修をやっていますよと。それから、職場における女性の健康に関する相談に応じますよというようなことを皆様にお伝えしているところでございます。
 次のページをめくっていただきますと、これはお話ががらっと変わるのですけれども、現在進行形でやっている検討会についての御説明であります。労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目に関する検討会の概要というペーパーであります。労働安全衛生法に基づきまして、健康診断を事業者は必ずやらないといけない。一般健康診断を定期的にやらないといけないという義務を負っております。その検査項目について2つのことが政府から言われておりまして、それに基づきまして検討会を設置しました。目的の部分を見ていただきますと、「こうした中、」という2段落目に、政府の規制改革実施計画では、定期健康診断について、最新の医学的知見や社会情勢の変化等を踏まえ、医学的知見に基づく検討の場を設け、検査項目及び検査手法について所要の検討を行い、令和6年度に結論を得ることとされたとしています。つまり、一つは規制改革実施計画におきまして、エビデンスに基づいた健康診断項目にきちんとするべきではないですかということが投げかけられた。そういったこともありまして、健康診断の検査項目についてはエビデンスをきちんと確認するというようなことが我々は必要になったということが一点。
 もう一点は「また、」以降でございます。女性版骨太の方針2023では、「事業主健診に係る問診に月経困難症、更年期障害等の女性の健康に関連する項目を追加する」とされ、骨太の方針では、「女性版骨太の方針2023に基づき、(中略)事業主健診の充実(中略)等により女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会を実現する」とされたところであります。つまり、女性活躍の文脈で女性の健康をきちんと確保しないといけないという整備方針が骨太に書かれたということがありまして、今回の一般健康診断の検査項目の中に女性の健康に関する、特に月経困難症、更年期症状などといったものを盛り込むというようなことを我々は求められたというこの2つの点がございましたので、去年の12月5日に第1回の検討会を開催したという次第であります。
 検討項目は先ほど申し上げたような話なのですが、構成員には労使双方、それから、専門家として医師や産業保健関係者などに入っていただいているところであります女性の健康に関して、例えば左側の4つ目の大須賀穣先生は東大の産婦人科の教授ですし、その隣のカラムの4つ目の星野寛美先生は関東労災病院の非常勤医師で女性の健康に関する外来を長年やっておられる方です。また、高齢化ということもございますので、高齢者に関してよく御存じの方、例えば国立長寿医療研究センターの理事長の荒井秀典先生とか、そういった方々も入れて、今後検討を進めていくというようなことになっている次第です。
 第1回では基本的な認識合わせといったことで、私どものほうからは健康診断、一般健康診断の制度について説明をさせていただいたところでありまして、2回目では労働者、使用者のうち使用者の側、経団連と日商から御説明をいただき、一般健康診断についてどう考えているかということを説明いただき、女性の健康についての基本的な頭合わせということで星野先生にレクチャーをしていただいたというのが第2回目です。第3回目以降は、また労働者、使用者の側から連合や中小企業連合などといったところからお話をいただいてフリートークをするというようなことになろうかと思います。
 以降、多分1年ぐらいかけてこういうようなことを議論していくというような次第であります。
 次のページに移りまして、これは私どもが現在やっている研究でございます。厚生労働科学研究で令和5年度から始まっているものです。「職場における女性の健康保持増進のための効果的な産業保健活動の確立に向けた研究」というものを始めています。
 この研究は、職場における女性の健康保持増進のために求められている産業保健活動の取組や効果的な対策等のための知見を得ることを目標としておりまして、アンケート調査をメインにやっている調査です。
 アンケート調査から取り出したいものというのは、職場における女性の健康課題というのは何なのかということや、どのような取組がなされているかとか、それをどのようにやっているのかといったことについて調べていくということであります。
 現在、産業医科大学の立石教授を中心にやっていただいておりまして、研究期間は3年間、交付決定額で1000万円を使っていただくような研究であります。
 このような研究を進めることで、さらに職場における女性の健康対策を進めてまいりたいと思っている次第です。
 私のほうからは以上であります。
○樋口座長 ありがとうございました。
 それでは、フリーディスカッションに移りたいと思います。
 どなたからでも結構ですが、まず、今お名前が挙がっていた佐藤先生からいかがでしょうか。
○佐藤委員 想定していなかったのですけれども、女性の活躍の場拡大とか継続就業にとって、なぜ今、月経等を含めて女性の健康課題が注目されてきたかということを少しお話ししたいと思います。
 一つは、女性で結婚しても晩婚化後、あと、お子さんは1人とか2人ですよね。それともう一つは、未婚の人も増えています。そうすると、女性が生涯経験する月経の回数というのが今450回ぐらいと言われています。これはデータが取れるときから比較すると10倍ぐらいに増えているのです。ですので、女性が生涯経験する月経の回数が増えているという中で、やはり働き続けるというときに月経等と仕事をうまくマネジメントしていくということがすごく大きな課題になっている。これが一つです。
 2つ目は、結婚する場合、今、初婚年齢が30歳、29.ちょっとぐらいです。第1子を持つのが30代前半ということで、また、30代というのは女性の中期キャリアとして非常に大事な時期ですよね。そういう意味では、仕事も面白くなるというような時期で、それと、結婚すると子供、第1子を持つ、持たないというような時期になりますので、このときに子供を持てないと、御存じのように30代後半ぐらいになってくると妊娠確率はどんどん下がってくるのですよね。そういう意味で、40代ぐらいから仕事と不妊治療の両立みたいな課題が出てくるという人たちが今増えているという状況があります。そういう意味では、ヘルスリテラシーを女性に持っていただいて、もしお子さんを持ちたいとすれば、いつ出産するかは結構大事だよということを御自身で考えてもらうというようなこともすごく大事になってきます。これが2つ目です。
 あと、3つ目は、女性の管理職はまだ少ないですけれども、管理職登用というと40代ぐらいから始まるわけです。そうすると、課長、部長になる時期はちょうど更年期の時期なのですよね。そういう意味では、課長として活躍していくということを考えると、仕事と更年期の両立みたいなことも非常に重要になってくるかなと思います。そういう意味では、企業や管理職の支援と同時に、女性自身が、これは男性もありますけれども、ヘルスリテラシーを身につけて、例えば月経について言うと、先ほどのデータでも治療している人はすごく少なかったですよね。最近、低容量ピルみたいなものを補助するような会社は増えてきていますけれども、御自身として自分の体をきちんとマネジメントするということも大事になってくるということですので、企業としてライフリテラシーを社員に提供するかと。
 ただ、この問題について言うと、学校教育の問題もあるので、全部企業がやるのかという議論はあるかと思います。つまり、働く前、学生時代から男女ともにそういう情報提供をきちんとやってもらうということも大事になるかなと思います。
 ちょっと長くなりましたが、以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。
 大竹さん、どうぞ。
○大竹委員 御説明どうもありがとうございました。
 現状はよく分かったのですけれども、やはりこの研究会のテーマは人手不足にどう対応するか、供給を増やすか、あるいは生産性を高めるかということで、その中で、ヒアリングの中で女性の健康問題が労働供給、生産性両方の面で大きなマイナスになっているという民間企業の側からの統計と、それから、それに対策することの効果検証というのが出されたわけですけれども、そこを公的な形で実際にどのくらい労働供給や生産性に影響を与えているのかということを出していくことはやはり重要かなと思います。
 もう一つは、それに対する対策です。民間企業の健康の医療的な介入ということであれだけ効果があったということが本当かどうかというのもあれですけれども、何らかの対策を打てば、生産性低下分あるいは労働供給の不足分というのがこれだけ回復するのだということがもう少し公的な部分で出せると、この研究会、あるいはまだエビデンスがないということだと思うのですけれども、なければ、それについて確認していく、あるいは今後進めていくということを明記していくというのは重要かなと思いました。
 以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。
 山本さんがたしか内閣府のほうで、この種の調査をやっているのではないかというようなことがあったかと思いますが、どんな調査か、むしろ厚労省のほうでも、山本さんでも結構ですので。
○山本委員 インターネット調査で1万人か2万人か、比較的大きなサンプルに対して、男女ともで、まさに女性特有の健康問題の課題をあぶり出したり、それによってどれぐらい生産性が落ちているのかというプレゼンティーイズムを出したり、そういったことをしています。3月末に報告書ができるそうなので、今はまだ内容はあまり明らかになっていないということです。
○樋口座長 ありがとうございます。
○山本委員 それとは別に質問をしていいですか。
○樋口座長 どうぞ。
○山本委員 生理休暇についてなのですけれども、政策としてどういうふうに扱っていく方針かということをお聞きしたくて、取得率が非常に低いということで、ただ、生理休暇は有給の場合も無給の場合もあって、無給の生理休暇だと当然通常の年次有給休暇を使うということになると思うのです。そこを制度的に有給にしていくというようなことは考えられないのかと。
 一方で、やはり生理休暇という名前もありまして、取りにくい、申請しにくいというのもあるので、むしろ病気休暇、性差に関係なく体調が悪いときに有給で休める。そこを年次有給休暇と別に取っておく。有給の病気休暇を導入している企業はまだまだ少ないと思うので、そこを推進していくというような政策のほうが私はいいようにも思うのですけれども、その点についてスタンスを教えていただければと思います。
○樋口座長 ありがとうございます。
 これはどちらに聞けばいいのか。今、2つ説明いただいたのですが、僕の認識は、すごく似ているようなことを扱っているのだけれども、どういう割り振りになっているのか、それによってどなたに質問したらいいのかというのも変わってくるのかと思いますが、基準局と雇均局と。
○雇用環境・均等局雇用機会均等課長 生理休暇の制度は私どもが持っています。男女かかわらず休暇制度だとか労働条件の設定だとかは基準局というデマケになろうかと思いますけれども。
○労働基準局安全衛生部労働衛生課長 ただ、残念ながら、今日ここには休暇の制度についての知識を持っている人間が来ていないので、私は持っていないので、ここではお答えすることはできません。申し訳ないです。
○雇用環境・均等局雇用機会均等課長 取りあえず生理休暇についてお答えすればよろしいでしょうか。
○樋口座長 はい。お願いします。
雇用環境・均等局雇用機会均等課長 今、生理休暇の今後の方針というお話を山本先生よりいただきました。その点に関しましては、生理休暇というところをいきなり有給だとかにするというドラスティックなことよりも、まず生理というところで、生理の症状にどうやって対応すればいいのかというヘルスリテラシーのところが問題だと認識しております。その意味で言えば、生理休暇というところについては、まずヘルスリテラシーだと。そういうところからアプローチをしていく。
 あと、もう一つ言うと、私は育児休業だとかと違って生理休暇を使えというところはなかなか言いづらいのかなと思っております。それはやはり取りづらいだとか、健康というのは非常に個人のプライバシーに属するところなので、それに対して積極的に国が働きかけるという領域は関与は少ないのかなと思っております。
 その意味で言うと、生理休暇の名称がぎらつくので取りづらいということであれば、例えば生理休暇という名称ではなくて、まずは有給でだとか無給も含めてだとは思いますけれども、特に有給でそういった制度を用意されている企業さんの実例だとかを多く収集して周知を図っていって、それを横展開を図るというのが一つの政策の方向性だと考えておるところでございます。
 以上でございます。
○樋口座長 よろしいですか。
 今、高校でも入試で生理休暇というか、試験の免除ではなくて再試験に埼玉県とかではなっているということですけれども、そういうのと関連して議論はしているのですか。
○雇用環境・均等局雇用機会均等課長 そういう動きがあるというのは承知しておりますけれども、そういうところと関連してという形ではなくて、ちょっと狭い言い方で恐縮ですが、私どもはまず女性の働く環境というところからアプローチしていますので、働くと学問のところというのは線引きさせていただいているので。
○樋口座長 内閣府とはどういう線引きなのですか。
○雇用環境・均等局雇用機会均等課長 内閣府とは連携をしておりまして、当然ながら女性活躍推進法は共管法でございますので、非公式な部分も含めて、今後の施策の方向性だとかも含めて意見交換をしながらお話をさせていただいているところでございます。
○樋口座長 鶴さん、どうでしょうか。
○鶴委員 どうもありがとうございます。
 私はこの問題はもちろんあまりほかの人に比べても専門家ではないのですけれども、やや予定調和的なものをぶち壊すのが私の役割だと思っているので、少し意見を言わせていただきたいと思います。
 先ほど佐藤先生がおっしゃられた、やはりいろいろな状況が変わってきていると。女性がより参加し、キャリア継続するという中、あと、晩婚化とかそういういろいろな中で、この問題はもちろん昔からあるのだけれども、今、非常により問題点が大きくなっているというかより着目しなくてはいけない状況になっているという問題意識は、お話を聞いて非常に私も納得というか、雇用政策研究会でこれまでこの問題はあまり明示的には取り上げていなかったので、ここでしっかり議論するとか報告書にちゃんと書き込んでいくということは非常に重要だなと思って、ここはしっかりやるべきところだと思うのです。
 ただ、先ほど事務局はリテラシーの問題だということでおっしゃられていたのだけれども、こういう問題があるのだよとか、女性の方々が大変な思いをしているのだとか、それを理解するだけで本当に解決していくのだろうか。女性の中でもこの問題の重い人と軽い人がいるわけですよね。重い人が本当にどれぐらいつらいのかというのは、男性はもちろんその疑似体験するということはできないわけですよ。だから、どこまでこの問題が非常に大きいのかというところを理解するというのはすごく難しい部分というのは当然あるのだろうなと。だから、簡単にこういう問題があるのだよということがみんな理解できれば問題は解決していくのだよという簡単な問題ではないだろうなと思うのです。
 もう一つ、先ほど山本先生がおっしゃった点とも関係するのですけれども、女性固有の問題で問題だと言っていくときに、例えば男性でも更年期障害になられる方はいらっしゃるわけです。そういうことは非常に重い方がいらっしゃるのです。でも、それは自分は更年期障害だと。おまえ、女かよと。男なのに更年期障害なのかと。そういうことを言われて、非常につらい思いをされているということを聞いたことがあるわけです。
 そうなっていくと、男なのか、女なのかということはもちろんあって、それは特有の問題があるかもしれないのですけれども、今、私が申し上げたような問題もあるわけですよね。そうすると、病気とか体調のことについては、人にいろいろ言いにくいようなものとか、そういうものもあるわけですよね。そうすると、男と女ということではなくて、もっとそういう問題、個々によってもみんな性の差もあったりいろいろな違う状況に対して、どうやってそういう問題を職場の中でうまく解決していったらいいのかというもう少し大きな見地に立たないと、女性、女性ということばかり言っていると、これはほかの女性の関連の対策も同じだと思うのです。また、生理休暇が取れたらそれでいいのか。本当に症状がひどいときは家事もできないわけです。そういうときに、例えばパートナーがいる男性が休暇を取って、そういうことがやれるということができるのかとか、男性育休に近い考え方かもしれないのですけれども、そういうことをもっと総合的にここを考えていくというか、幅広くこういう問題を捉えていくという意識がもう少し必要なのではないかなと御議論を聞いていて思いました。
 以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。
 佐藤先生、手を挙げていらっしゃいますか。
○佐藤委員 追加です。山本さんの話で病気休暇、これは厚労省が特別休暇の推進という事業をやっていて、その中で病気休暇についての現状とか調査もやっていますので、このリンクはみんなに行っているのかな。
○樋口座長 ついています。皆さんにつながっています。
○佐藤委員 だから、それの中で病気休暇の現状の調査とか、どういうふうになっているかもあります。
 あともう一つは、生理休暇については課長から取りにくいということで、結構いろいろな企業は名称を変えて、男女ともに、病気休暇ではないのですけれども、そういう形にして、生理休暇を取らせてくださいと言わなくて取れるような形にしている企業が増えていて、そこは取得率が上がっているので、そんな事例も載っていますので、御参考にということだけです。
○樋口座長 ありがとうございます。
 今、JILPTでは個人パネル調査を年に2回やっているのですが、そのタイトルが健康と労働という形でやっているのですが、そこでもそういう話というのは出てきているはずです。
 黒田さん、いかがでしょうか。
○黒田委員 ありがとうございます。黒田です。
 この問題は私がもともと発端で提起したものなので、感想めいたものですけれども、少しだけ発言させてください。
 先ほど山本先生、鶴先生からシックリーブのお話がありましたけれども、具合が悪い方は男性であっても女性であってもいらっしゃると思いますし、体調は性別にかかわらず様々だと思います。そういう意味では、女性だけが優遇されるというような枠組みを作るのはそのカテゴリに属する方への差別を助長するということにもなりかねないことにもなってしまいます。性別にかかわらず、具合が悪ければ休みを取ることができるようなシックリーブの枠組みの創設を検討していくべきだと思います。
 今お伺いしていたところ、表現が悪いかもしれないですけれども、やや組織が縦割りになっているように感じました。実際の施策の運用はどこかの部署が主体となる必要があるのかもしれないですけれども、検討段階ではどこかの部署が単独で行うマターではなく横断的に詰めていく話ではないかと思います。また、シックリーブを導入する場合には、企業がその費用を負担するべきなのか、それとも例えば年に5日間は政府が公的にシックリーブを負担するのかといった費用負担も含めて考えていくべき問題かと思います。
 現在、私自身が行っている研究である企業のデータをみていますと、20代、30代の男女を比較すると、女性のほうが男性に比べて心身の症状がでやすい傾向があることが見えてきています。この意味では男女比較すれば、相対的に女性のほうが日々のゆらぎに直面する確率が高いことが明らかになってきたわけですが、それに加えて、心身の症状の出方や頻度は男女ともに同じ性別間でもかなりバラエティがあることも見えてきました。男性であっても身体もメンタルも全く症状がなく元気な状態の人もいれば、かなりの頻度で何らかの症状を抱えながら仕事をしていらっしゃる人もいらっしゃいます。そういう意味では、心身の症状はどちらか一方の性別にだけ生じるというように決めつけず、具合が悪い方にしっかり休んでもらって、元気になってしっかり働くというような働き方の後押しができるような枠組み作りができないかということをこの報告書の中に入れていただければと思います。
 それから、先ほど大竹先生がおっしゃったことと関係するのですが、今回のご報告ではエビデンスの蓄積がないということですが、私自身は、これまでも過去に幾つか行ってきたエビデンスは少なからずあると思っておりますし、そういった過去にやられてきたものも踏まえながら、エビデンスを今後さらに蓄積していくということが重要だと思っております。
 以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょう。よろしいですか。
 エビデンスの蓄積というのはもうなさっているのでしょう。
○雇用環境・均等局雇用機会均等課長 今、まさにそういうことも含めて、私どもが開催している検討会のほうでやらせていただいているというような形になっております。
 それで、どうしても先ほどから男性も女性もという話があります。その点は私どもも十分承知はしております。今回私どもは女性活躍という文脈で入っておりますので、その文脈で性差を捉えてというような形でやっておるものですので、決して男性の更年期を何もしなくてもいいだとかそういう趣旨で申し上げているものではないということは御理解を賜ればと思います。
○樋口座長 それはそうだと思うのですが、今後、それこそ報告書を取りまとめる上でどういうふうにこれを位置づけるかということで、皆さんからはそういう意見が出た。だから、男女ということではなく、むしろ体調の悪いとか病気の方に対する扱いという形で扱ったらどうかというような御意見。だから、男女というふうにやると問題が歪曲化してしまうのではないかというのが皆さんの御意見だろうと思いますが、それでよろしいですか。
 ほかになければ、次の議題に移りたいと思います。
 続いて、渡邉臨時委員から資料3について説明をお願いします。
○渡邉臨時委員 JILPTで労働力の需給推計を担当しております渡邉と申します。前回に引き続き説明の機会をいただき、ありがとうございます。
 それでは、資料3に基づきまして説明させていただきます。2ページを御覧いただければと思います。
 最初に、労働力需給推計でございますが、2023年4月に社人研の「日本の将来推計人口」が公表され、これらに基づきJILPTが行っているものでございます。推計は3つのシナリオに基づいて行っており、記載のとおり(1)から(3)までとなります。
 結果でございますが、下のほうに図表がございます。
 まず左側、労働力人口でございます。例えば真ん中の青の成長率ベースライン・労働参加漸進シナリオというのがございますけれども、こちらを見ていきますと、2020年は6904万人でございます。これが2030年6886万人、2040年6536万人と減少することになりますが、1人当たりゼロ成長・労働参加現状シナリオ、グレーの棒グラフを比較しますと、減少幅は緩和される結果となっております。
 また、労働力率でございます。同じく成長率ベースライン・労働参加漸進シナリオでは、2020年に62.1%、これが2030年63.9%、2040年64.4%と緩やかに増加することになりますが、1人当たりゼロ成長・労働参加現状シナリオにつきましては緩やかに低下する結果となっております。
 右側に就業者数と就業率のグラフがございますが、おおむね労働力人口及び労働力率と同様の動きとなっているところです。
 一番下に注記がございまして、外国人労働力人口でございます。こちらは2020年に約180万人でございますが、これが2040年には、各シナリオでそれぞれ増加する結果となっております。
 次のページを御覧いただければと思います。
 こちらは男性と女性、それぞれ年齢階級別の労働力率について記載しております。図では2010年からの動きを掲載しておりまして、図の線のうち、2020年から先の部分、黄色で示したものでございますが、これが今回の推計結果でございます。
 また、一人当たりゼロ成長・労働参加現状シナリオ、一番下のところでございますが、こちらについては、原則として性・年齢階級別の労働力率は足元で一定として推計しております。まず男性でございますが、例えば一番真ん中の成長率ベースライン・労働参加漸進シナリオでは、特に高齢層の労働力率が増加するという結果となっております。女性につきましては、全体的に労働力率が増加するという結果となっております。
 次のページを御覧いただきまして、こちらには労働力需給推計の考え方、留意点について整理しております。内容は記載のとおりでございます。
 次のページを御覧いただきまして、こちらは参考ということでございますが、推計に当たっての前提条件などを記載しております。
 まず経済の前提につきましては、一番左側になりますけれども、令和6年1月時点の最新の内閣府「中長期の経済財政に関する試算」の結果を取り入れて推計をしております。
 中ほどのところ、労働参加の前提でございますが、各種政策効果として保育の受け皿の整備や健康寿命の延伸等を見込んで推計を行っているところでございます。
 それから、一番右側でございますが、将来推計人口でございます。こちらは先ほど申しましたとおり、最新の社人研による推計値を用いているということでございます。
 下のほうには、それぞれの数値を記載していまです。
 説明は以上でございます。
○樋口座長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、事務局から資料4と5、6について説明をお願いいたします。
○雇用政策課長補佐 ありがとうございます。事務局でございます。
 それでは、資料4につきまして御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、資料4でございますが、タイトルでございますけれども、これまでの「研究会における議論の整理」とさせていただいております。こちらは二部構成になってございまして、前半では今までどのような議論がなされていたのかについての振り返りでございます。後半のほうは骨子といった形になってございますので、基本的に骨子のところを踏まえて今後御議論いただきたいと考えてございます。
 まず、前半部分について御説明をさせていただきます。
 次のページです。「委員からの主なご指摘事項」と書いてございますけれども、プレゼンをしていただいた臨時委員の先生方の御意見も含めてございます。
 まず1つ目でございます。第1回の議論でございますけれども、「労働市場のフレームワーク」といったところですが、御示唆いただいたところとしましては、内部労働市場、外部労働市場をこれまで分けた形での議論が多く行われておりましたけれども、昨今の状況をみまして、そういったフレームワークにとらわれ過ぎずに議論をすべきではないかという御議論がございました。
 また、その下でございますけれども、無期フルタイムで働くのがスタンダードであるべきだといった視点を持ってしまっているといったことが、ある意味スタンダードから外れるから処遇に差をつけてよいというような問題も生んでいるのではないかといった御示唆もいただきました。
 その下の「その他の論点」のところでございますけれども、職業選択に資する情報の開示を進めることが重要なのではないかといったことが第1回に御示唆をいただきました。
 次ページでございます。次ページのところでのテーマは「女性の多様なキャリア形成・働き方」でございまして、齋藤先生をはじめとして、4人のプレゼンターの方にお話をいただきました。
 その中で、下の1点目でございますけれども、無制限に働くことが最も評価されるという仕組みや基準が変わらないと、女性が管理職のキャリアパスに乗ることは難しいのではないかといった話や、性別役割分担意識の改善というのが必要ではないかというような御議論もいただきましたし、その下のところでございますが、キャリアブランクといったところの項目がございますが、家庭の都合等によりキャリアにブランクが生じたとしても、その間の取組により身につけたスキルの言語化とか、次のキャリアに生かすことが重要なのではないかといったお話をいただきました。こちらは、実際にそういった支援をなされている会社のほうからプレゼンがあったところでございます。
 その下でございます。今回も担当課長に来ていただきましたけれども、職場における女性特有の健康課題にも注目した働き方の柔軟化の必要性にも配慮すべきといった議論もあったところでございます。
 5ページ目でございます。「新たなテクノロジーが雇用に与える影響」でございますが、こちらも第3回で取扱いをさせていただきまして、4人のプレゼンターの方にお越しいただきました。それから、雇用政策研究会でこれまで深く扱ったところがない新しいテーマも多々ございましたけれども、例えば生成AIの現状につきましてプレゼンをいただいたところもございます。
 その中で御議論いただいたところでございますが、2つ目のところでございますけれども、柔軟な働き方が可能となり働き方改革が推進される、人手不足が緩和されるといったウェルビーイングの向上に資するものであるといった観点から、新たなテクノロジーを活用していくことが重要なのではないかといった御議論や、下のところでございますけれども、新たなテクノロジーが職場に導入されますと、やはり労働者が扱ってきたタスクとかそういったものが変わってくることもありますので、導入の際にはしっかりと労使間のコミュニケーションをやっていく必要があるのではないかといった話をいただきました。
 その下でございますが、そういった中でもなかなか議論が進まないところにつきましては、その産業単位での議論や情報共有が重要なのではないかといった御示唆もいただいたところでございます。
 こちらのところにつきましては、一回中間整理といった形でまとめさせていただいております。
 次ページでございます。「ミドル・シニアの多様なキャリア形成・働き方」でございまして、こちらは2名のプレゼンターの方に来ていただきました。
 下のところでございますけれども、「ミドル・シニアのキャリア形成」のところでございますが、こちらは石山先生からご説明いただいた部分でございますが、自分にとって意義のあるやり方で職務を再定義し、再創造するプロセスであるジョブクラフティングの支援というのがシニアの活躍促進に必要なのではないかといった話がございました。
 また、その下のところでございますけれども、「ミドル・シニアへの職場からの配慮」でございますが、シニアの活躍においては、周囲からの期待を把握した上で、まずジョブクラフティングに取り組めるよう、キャリアカウンセリングなどを通じて支援をしていくことが必要なのではないかといったお話がありました。
 次ページでございます。7ページ目でございます。「人的資本投資・労働市場の基盤整備」でございます。こちらは大湾先生と富士通の方に来ていただきまして、プレゼンテーションをいただいたところでございます。
 「労働市場の基盤整備」のところでございます。職場情報を可視化して、求職者がこれらの情報を踏まえて職場を選択できる環境整備が重要なのではないかといった労働市場の基盤整備に関する御指摘をいただきました。
 また、その下でございますけれども、「リ・スキリングの推進」でございますが、職業やスキルの標準化を進めることが計画的にリ・スキリングを進める上で重要なのではないかといった御示唆をいただきました。
 その下のキャリア形成のところでございますが、労働者自身が自律的なキャリア形成をしていくことが重要であるといった話です。
 一番下のところでございますが、こちらは富士通さんの取組等も御紹介した上で、必要なスキルが身につけられる研修等を自律性に基づいて選択できる環境が必要なのではないかといった御議論をいただいたところでございます。
 8ページ目でございます。「地域雇用・外国人労働者について」でございます。こちらは、2名の先生に来ていただきましてプレゼンテーションをいただきました。
 まず、「地域における雇用の課題」といったところでございますけれども、今、人手不足というのが非常に重要な問題になってございまして、地域の雇用を活性化させるためには、地域の現場と外部の経験を持つ人とのマッチングが重要なのではないかという御示唆がありました。議論の中では、今まで雇用創出みたいなところにかなり重点を置いていたけれども、今は地域の雇用政策といったものが大きく変わっているといったお話もございました。
 2点目でございますけれども、外国人労働者のところでございます。一番下の項目でございますけれども、是川先生からお話をいただきましたが、アジアの国際労働市場において日本は最大の受入国になっているといったことを踏まえまして、外国人労働者が内部労働市場においてキャリアアップできる仕組みが重要なのではないかといったお話がございました。
 これまでが前半でございまして、次ページをお願いします。こちらからが骨子となってございます。
 10ページをおめくりいただければと思います。前回、報告書の目次案みたいなものを御提示させていただきましたけれども、様々な意見をいただきまして、大幅に構成を変えさせていただいてございます。
 少し説明させていただきますが、まず報告書のタイトルでございますけれども、現時点案でございますが、「多様な個人がバックグラウンドに関わらず包摂され、活躍できる労働市場の構築に向けて」といったタイトルを考えてございます。
 ピンク色のところで背景を書かせていただいておりますけれども、まず「社会経済情勢・雇用情勢の変化」のところでございますが、コロナ後、さらに人手不足感というのは高まってございます。こういったことを踏まえまして、ミスマッチの対応や人手不足対策の強化というのが重要であろうといったところでございます。また、生成AIの活用などが現時点で進んでおりますので、仕事内容が大きく変化することも踏まえて、生産性が上がるようなことが必要ではないかといったところでございます。
 その下でございます。「2040年の労働市場に向けて」とありますけれども、先ほど渡邉さんからもプレゼンテーションがございましたが、やはり労働力が減少していく中で、しっかりとこれまで以上に、多様なバックグラウンドの方の労働参加を促し、労働者一人一人の労働生産性の向上を図っていくことが重要であるというようなことが前提としてございます。
 その下のグレーのところでございますけれども、こちらはまさに前回御発言をいただいたところでございますが、人手不足といったものをネガティブに捉え過ぎてはいけないのだろうというような御意見を前回いただきました。人手不足により労働市場がタイトとなっていることを契機に、2040年を見据えて、労働条件の改善を通じた労働参加の促進や、テクノロジーの活用を通じて労働生産性の向上を図ることが重要ではないかということをキーワードとして入れさせていただいております。
 その中で3つ大きな柱を設けさせていただいてございまして、まず1つ目でございますが、多様なバックグラウンドの方の労働参加でございます。ある意味量的なところでございます。
 2つ目でございますが、テクノロジーを活用した労働生産性の向上でございます。こちらは大竹先生からいただきましたけれども、やはり労働生産性の向上をしっかりやっていくことが重要なのではないかといったことを2点目に入れさせていただいてございます。
 そして、それを支えるといった意味で、労働市場のインフラ整備を書いてございます。
 そういったことをやることによりまして、下の3つがございますけれども、多様な働き方の選択が可能になることである意味労働参加が進む。そして、希望するキャリアの形成の実現が進めば、働きがいを持てる。こういった好循環を生み出すような労働市場を今後見据えてやっていく必要があると考えてございます。
 次のページでございます。こちらは先ほど御説明させていただきましたので、飛ばさせていただきます。
 12ページでございます。多様なバックグラウンドの方の労働参加といったところで、3つの柱の1つ目でございますけれども、「考え方」のところですが、企業内での多様な人材の活躍に向けた環境整備といったことが重要ということを記載してございます。
 その下にぶら下がるものとしまして、柔軟な働き方の実現を挙げさせていただいております。無限定な働き方が評価される仕組みを変えていくといった話や、「ミドル・シニアの世代を含む人材活用」といったところで、ある意味ミドルのときからシニアを見据えた形で労働者のエンゲージメントを高めるような施策が重要なのではないかといったことを記載させていただいております。
 最後の「性別に関わらず希望する働き方が実現できる環境整備」といった点でございます。前回、女性の活躍といった形で柱立てをさせていただきましたけれども、少し柱立ての方向性が違うのではないかといったことと、先ほども少し議論がありましたが、男女といった性別にこだわるよりは、性別にかかわらずどのような環境整備をやっていく必要があるのかといったことを議論したほうがいいとの御示唆もございましたので、このような記載にさせていただいております。
 次ページでございます。「多様なバックグラウンドの方の労働参加②」でございますけれども、まず1つ目でございますが、「個々の事情を乗り越えた労働参加に向けて」といったところでございます。育児・介護等によって職場を離れていた期間が長い方につきましても、ある意味自由に労働参加できるような支援、例えばキャリアコンサルタントの活用などがあるのではないかといった話を記載しております。
 その下は地域の人材不足や、外国人労働者の対応など、先ほど少し御説明させていただいたような内容を具体的に盛り込ませていただいてございます。
 14ページでございます。「テクノロジーを活用した労働生産性の向上」、大きな2つ目のところでございます。こちらは中間整理をさせていただいておりますので、基本的に同じような項目を書かせていただいておりますが、大きな方向性としましては、やはり新たなテクノロジーによってタスクが変わっていく中で、それに取り残される方がいないように労使コミュニケーションをしっかりやることや、キャリア形成支援・職業訓練の充実を図っていくべきだろうといったことを記載させていただいております。
 そして、忘れてはいけないのが、労働生産性が上がるといったところに目を取られ過ぎて、ある意味ウェルビーイングが取り残されないようするということを踏まえて、このようなまとめ方にさせていただいているところでございます。
 15ページでございます。こちらは3つ目の柱になりますけれども、「労働市場におけるインフラ整備等」でございます。
 「考え方」のところでございますけれども、社会経済情勢が目まぐるしく変化する中で、同一企業内でのキャリア形成だけでなく、自身が置かれた状況に応じて、企業外を含めて自律的なキャリア形成を行えるような環境整備が必要なのではないかと考えてございます。
 その中で、その下でございますが、「労働市場の見える化」。今、job tagや、「しょくばらぼ」といったある意味データのプラットフォームのような整備を安定局のほうで行ってございますけれども、そういったものの充実を図っていく必要があるのではないかといった話です。
 あとは人的資本投資、学び直しといったところで、キャリア形成をサポートしていくことも重要なのではないかなと考えてございます。
 最後の「キャリア形成支援」のところでございますが、1つ目のところでございますけれども、企業側の人材配置と労働者側の希望するキャリアのすり合わせというのが重要と考えてございまして、1on1であったり、労使コミュニケーション、労労コミュニケーションということがこれまで以上に重要になってくるといったことであったり、あとは下から2つ目のポツでございますけれども、企業外も含めてキャリア形成をしていくといった意味では、キャリア形成・学び直し支援センター、後ほど御紹介させていただきますが、そういった外部の機関の利用も重要なのではないかと考えてございます。
 このように総合的に対応していくといったところが重要なのではないかといった形でまとめさせていただいてございます。
 資料5でございます。一部の女性と高齢者に関するデータにつきまして、駆け足ではございますけれども少し御紹介させていただきたいと思いますが、最初、少しページ数が飛んでしまって恐縮ですが、50ページのところでございます。
 50ページです。「日本の労働市場について」といった記載があると思いますけれども、左側に労働力人口・就業者数の推移を書いてございます。JILPTさんからのプレゼンテーションとも少しかぶるところがございますが、総人口が減少する中で、一定程度の労働力人口が近年では伸びてきたといった現象がございます。
 ただ、右側でございますが、人手不足の動向を見てみますと、こちらは日銀のデータでございますが、製造業・非製造業ともにかなり高い人手不足感というのがあります。こういったものにどう対応していくかということが、ある意味今回の研究会の重要な一つのテーマと考えてございます。
 7ページ目でございます。画面を移らせていただきます。こちらは男女別の雇用者数を追記したものでございます。右側の女性の雇用者数のところですが、2017年以降、かなり非正規のほうが伸びていったといったところがございます。2年前の雇用政策研究会で話題になったところは、やはりコロナ禍で女性の非正規というのがかなり下がったといったところがこの図から見てとれるところになります。足元ではその傾向というのは改善傾向になってございます。
 その下の女性の正規のところでございますけれども、かなり順調に伸びてきている状況がございます。
 こういった足元の動きも踏まえて、10ページ目でございますけれども、画面が変わります。「女性を取り巻く雇用環境」といったスライドでございますが、女性の就業率です。一番古いところが2002年からお示しさせていただいておりますけれども、いわゆるM字カーブの底が浅くなっておりまして、就業率が高まっていることが分かるかと思います。
 また一方、これからも高齢者の参加が高まっていることが見てとれます。
 右側はL字カーブといったところでございます。こちらにつきまして、最初の研究会でこういったL字カーブをある意味問題視するような視点というのも少し変えていかなければいけないといった御議論もありましたけれども、女性の正規雇用率は近年こういう形になっているということが見てとれます。
 次が41ページでございます。65歳以上の高齢者の就業率の推移でございますけれども、こちらを見てみますと、2005年以降、高齢者の就業率はかなり高まっているところでございます。こちらも足元のデータでございまして、ある意味先ほどJILPTさんから御説明があった労働力需給推計とリンクすると考えてございます。
 このデータ集はそのほかにもかなり細かい数字がございますので、議論の際にお役立ていただければと考えてございます。
 資料6でございます。今回、「雇用政策研究会委員による視察結果報告」といった形で資料6を出させていただいてございます。
 スライドが変わりまして、新たな取組としまして、研究会の先生方に現場視察をしていただくというようなこともやりました。3回設けさせていただいてございます。
 3ページ目でございます。「キャリア形成・学び直し支援センター」といったところでございます。こちらは玄田先生、荒木先生、齋藤先生に御参加いただいたものでございます。
 キャリア形成・学び直し支援センターでは、キャリアコンサルティングやジョブ・カードの活用、そして、各種セミナーを労働者向け、企業向けにやっているところでございます。
 右下のところで、政策観点でのインプリケーションを簡単にまとめさせていただいてございますけれども、現場に行った職員の話も聞きますと、企業へのキャリア形成につきまして、やはり企業様が人材育成とかキャリア形成支援についてまだノウハウが十分でないところがあるといったことがございました。そういったことを踏まえまして、こういった気軽に相談できる場が重要なのではないかといった政策インプリケーションを記載させていただいております。
 次ページでございます。マザーズハローワークでございます。こちらは黒田先生と臨時委員の藤見さんに行っていただきましたけれども、主な支援対象者としましては子育て中の親といったところでございます。子供は未成年を想定しているところでございます。こちらは通常のハローワークと異なる点としましては、やはり子育て中の親に特化したといったところでございます。企業開拓とかそういったところにつきましてもっと力を入れていく必要があるといったことや、マザーズハローワーク自体の知名度を上げていく必要があるといったところを政策的なインプリケーションとさせていただきました。
 5ページ目でございます。こちらは地域若者サポートステーションでございます。地域若者サポートステーションは、働くことに悩みを抱えている15~49歳までの方を対象として、就労準備に向けた支援を行っているところでございます。こちらは堀先生に御参加いただきました。
 実際に行かれたのはむさしの地域若者サポートステーションといったところでございますが、こちらでは独自プログラムのベーカリー運営を通じて、人との関わりとかそういったことを学ぶ場となってございました。
 右側の政策観点でのインプリケーションのところでございますが、やはり支援が長期化するといったことがかなりの現場の負担感になっているといったことがございました。今まで以上にハローワーク等との官民連携をやっていく必要があるという政策インプリケーションを記載させていただいております。
 駆け足になりましたが、事務局からは以上でございます。
○樋口座長 ありがとうございました。
 それでは、渡邉臨時委員あるいは事務局の説明を踏まえながら、フリーディスカッションに移りたいと思います。
 今回の報告書、今、取りまとめに向かって議論をしているところでございまして、今のところ、こういう案で行ったらどうかというようなことを提示していただいたと思います。
 今回の特徴でございますが、まず、JILPTで行いました労働需給推計について、特に2040年まで見通した場合の、あるいは足元の今後を見通したときの推計というものをフルに活用させていただきたいと思っておりまして、それに基づきまして、一体どういうことが必要なのだろうかというようなことをまとめていくことになるかと思います。
 その中で、労働市場といいますと、往々にして企業対個別労働者、個人というような扱いになってくるわけでありますが、今回かなり意識しましたのは、個別労働者ではなくて、やはりその間にもつながりと言ったものがいろいろな形で必要になってくるのだろうというようなことを織り込んでいるということがあるかと思います。労働者の間でのいろいろな規律、規範とかというようなことも問題になってくるかと思いますし、能力開発であるとか、あるいはキャリア形成というようなところにおいても、やはり個人ではなく、そこにおけるつながり、時には企業と労働者の間のつながりとか、あるいは労働者間のつながりというようなことについても目配りをしたようなものにできればというようなことで、今回このようなテーマで掲げさせていただいたらと思っております。
 それでは、フリーディスカッションに移りますので、まず宮本先生、いかがでしょうか。
○宮本委員 御説明ありがとうございました。
 報告書の骨子は基本的に賛成でありまして、同時に、結構高度なことを主張しようとしていると思うのです。といいますのも、人手不足に対して、労働参加の拡大か、人手不足を前提にしたAI等による生産性の向上かという2択ではなくて、労働参加を広げることによる生産性の向上、AIも人に置き換えるのではなくて、多様な人が参加できる条件づくりのためのツールとしていくという考え方は大賛成なのですけれども、参加と生産性の向上のつながっていくロジックというのをぜひ丁寧に説明する事例等も交えて、丁寧に説明していただければなと思います。
 といいますのも、前回の研究会で労働力需給推計モデルに対して、大竹先生だったと思いますけれども、御質問があって、労働参加イコール生産性の向上ということでやっていくと、モデルとしての完成度、これも現実的には今のモデルで十分だとは思いつつ、完成度という問題ともつながってくるし、やはり多くの方に労働参加が日本を再び豊かにしていく上で重要なのだということを納得していただく上でも、その辺りの説明は非常に重要だと思っています。
 ちょっと話が広がってしまうのですけれども、日経平均が4万円に到達しているのだけれども、実体経済との乖離も感じさせるというところで、株価が上がるのはいいことだと思いつつ、東証がやはり株主志向の経営を求めて、各企業も自社株買いなどでそれに応じる。株価は上がっているのだけれども外国人の投資が円安をてこに入ってきているというのが大きな動員になっていて、学生たちは年金とか信じられないから新NISAで投資するよとかやっているのですけれども、彼らが買っているのはS&P 500とかナスダックとかのインデックス投資であって、むしろドルを買って円安を支えかねないというような状況の中で、長期的に見た場合、こういう在り方で本当に日本の企業が生産性を上げ、競争力を獲得していくことになるのだろうかというのは、素人ながらに若干不安になったりするわけです。
 そうした中で、若者たちが自分の将来を資産を増やすだけではなくて、やはり自分の働く条件というのを豊かなものにしていくという形で投資できるような形、何を言っているかということになるかもしれませんけれども、例えば三菱UFJがファミリーフレンドリーという投資信託を出していて、これは結構歴史が古いのですが、この間も価格は上がっていると思いますけれども、これはさっきメモったのですが、仕事と生活を両立でき、多様で柔軟な働き方を選択できる日本の会社を主要な対象にしていくということをうたっている投資信託でありまして、こういう形で、やはり多様な働き方が投資対象として非常にその企業の価値を上げていくのだという見え方がもっともっと透明度高く行きわたってくるというのが、最終的には日本の経済のために大事ではないかなと思うわけです。だから、そのてこになるのがまさにこうした報告書になると思いますので、ぜひ参加と生産性上昇の関係を少し丁寧に書き込んでいただければなと思います。
 妄想絡みで話が長くなりましたが、すみませんでした。
○樋口座長 ありがとうございました。
 どこまで書き込めるかというのは自信がないので、また見ていただければと思います。
 それと、労働市場を中心にということで、どこまで金融市場の話を書き込めるのかというようなこともあるかと思いますが、まさにここでも議論がありましたように、最近、雇用政策、労働政策といったものが非常に広がりを持って議論されている。税制であるとか社会保険制度については、今回ぜひとも書き込む必要がある。
 一つは、収入の壁の話等によって、労働供給が阻害されているという可能性、あるいは働く意欲を阻害しているというようなところは書き込めると思っておりますし、書き込んでいるということだろうと思います。
 それと、先ほどつながりというような話をしたわけでありますが、やはり個別労働者の能力開発というのには限界があるというようなことも、今後、見通しでもそれがあるのではないか。そうしたときに、経済人といいますか、一個人としてどこまで能力開発とか生産性の向上というようなものができるのかということについては、やはり限界もあるわけでありまして、その間におけるつながりというようなことも考えていく必要があるのかと思っていて、その点は従来とちょっと違ったものを出そうとということでありますが、また書いたものを御覧いただいてコメントいただければと思います。
 ほかにいかがでしょうか。
 大竹さん。
○大竹委員 ありがとうございます。
 生産性のところを柱にしていただいたのはありがとうございます。
 ただ、今、宮本委員からコメントがあったことと関連するのですけれども、テクノロジーを用いた生産性向上というのと労働力参加というのを別の形で書かれているのですが、やはりテクノロジーを用いた生産性向上によって、今までなら労働力参加ができなかった人たちも参加できるようになるという側面もあるので、本当にダイレクトに関係していると思います。
 たしか川口さんの報告にもあったと思いますけれども、AIによって低生産性の人たちの生産性がより高く引き上げられるとかという研究もありますし、それから、今回も議論になった女性の特有の健康問題についても、これはAIのテクノロジーというよりは医療テクノロジーですけれども、それによって労働力参加率が高くなるというか、生産性の向上が見込まれるという部分も、技術によって生産性が向上するという側面がありますから、もう少しダイレクトな関連というのは書き込めるのではないかなと思いました。
 以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。
 テクノロジーが時間的制約、空間的制約を緩和するというような視点から、それが労働力率を引き上げるのと同時に、生産性も向上させていくというような面があるという方向にどうやれば近づけることができるのだろうかというような形で書かせていただければと思います。
○大竹委員 特にAIの件については、やはり今まで高技能でないと生産性が発揮できなかった人たちが、そうではなくても高い生産性が発揮できるとすれば、低技能の人たちを雇用するインセンティブが高まるという側面もあるかなと思いました。
 以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。
 佐藤先生、いかがでしょうか。
○佐藤委員 どうも御苦労さまです。
 簡単なことだけなのですが、今回、多様な人材が活躍できるような会社をつくっていくということなのですが、2点です。
 一つは資料4の報告書のところの12ページ、柔軟な働き方の実現はすごく大事だと思うのですよね。フルタイム勤務でも残業を今はできないけれどもという人や、そういう人が活躍できる働き方にする。そうすると、有期の人もフルタイムに転換できたりということあります。ただ、この中身を見ると、やはり残業削減という感じなのです。つまり、働き方改革イコール残業削減かと読めてしまうのですが、大事なのは、管理職や企業として、社員に残業してくださいと言ったら、はい、やれますと言うような社員がいることを想定したような仕事の仕方とか人事制度を変えるということなのですよね。つまり、フルタイム勤務で残業がある、ないではないのですよね。残業があるときはしてね、はい、やります。あるいは転勤の頻度というよりかは、転勤してくださいと言えば、はい、転勤しますと言うような社員がいることを想定した仕事の仕方とか人事管理のシステムを変えるということがすごく大事で、その結果、残業が減るということだと思うのですよね。ですから、仕事の仕方、マネジメントの仕方を変えるというようなことが分かるような形にしていただくといいかなと思います。これが一つです。
 あと、2番目はアンコンシャス・バイアスのところなのですけれども、これは性別のところだけに出てくるのです。2つありまして、一つはアンコンシャス・バイアスをやはり少し説明したほうがいいと思うのですよ。結構多様なので、一つは経済学者が言うような統計的差別のようなものもあれば、あとは個人の過去の個人的な経験ですよね。過去、こういうことがあったと。例えば女性の部下を一生懸命育成したのだけれども、価格交渉が必要な仕事を割り振ったら辞めてしまったと。そういう特定の部下の経験を一般化してしまう。例えば女性は価格交渉をする営業は難しいのだと。いろいろなバイアスがあるのですけれども、そういうバイアスを少し説明した上で、もう一つは、女性だけなのかということなのです。例えば高齢者は新しい仕事ができないというようなこととか、有期契約で働いている人は大事な仕事を任せられない。いろいろありますよね。ですから、実はシニアの活躍にも関わるし、有期の人の活躍にも関わるので、僕はアンコンシャス・バイアスはすごく大事だと思うのですけれども、もうちょっと広めに書けないのかなと思います。現場の管理職が例えば部下、多様な部下が活躍するためには、基本的には一人一人、年齢が高いとか、今子育ての女性だとかということではなく、その人がどういう能力があって、その人がどういう仕事をやりたいと思っているかということを基本的に対話して仕事を割り振ったりということが大事なのですけれども、だから、もっと広く書いていいのではないかなと。多様な人材が活躍するというときには、企業や管理職が持っている、子育ての女性とか、あるいは女性一般とか、シニアとか、有期契約の人という全体として、もうちょっと広めにアンコンシャス・バイアスのところを書いていただくといいかなというのがコメントです。
 以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。
 では、齋藤先生、お願いします。
○齋藤委員 ありがとうございます。
 少し戻るのですが、資料3の年齢階級別労働力率のところで3つのシナリオがありまして、2つ目の成長率ベースライン・労働参加漸進シナリオというのが基本的な提示材料になるかと思います。
 資料5の女性の年齢階級別の就業率を国際比較したものを見ると、ここに5か国ございますが、確かに日本はアメリカに次いで低い水準だということが言われております。ただ、アメリカに比べると結構高く、ほかの3か国に比べるとそれほど劣っているわけでもないということを考えますと、人数ベースでこれから女性の就業率を大幅に増やしていくということは結構難しい。もちろんそれを目指していくということではあるのですが、難しいというのもあるかもしれないということで、そこでL字型カーブの改善というのがかなり重要なのかなと考えている次第です。
 実際に様々なテクノロジー、例えばテレワークなども含まれますけれども、こうしたことによって、先ほどのお話にもありましたけれども、非正規だった方が正規になるであるとか、あるいは短時間正社員の方の労働時間がもう少し増やせるとか、あるいは女性だけではなくて、これは高齢者も含まれると思いますが、健康状態の改善等によってより長い時間働いていただける。このようなことができれば、生産性の向上にもつながると思います。より責任の重い仕事をやっていただけるであるとか、あるいは高度な仕事をやっていただける。こうした方々に対して人的資本投資もすることが合理化されると思いますので、そうした意味での生産性向上と、それから、多様な方の労働参加。これは人数ということだけではなくて、より長時間という意味での生産性向上の経路というのも考えてよいのではないかと考えました。
 以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。
 生産性というのを時間当たりに換算した生産性なのか、人数ベースで言うのかというところもまた議論はあると思うのですが、今想定していたのは時間当たりの生産性の向上ということで、それは労働時間の延長というよりも、皆さんの御意見を聞くと、長時間労働のほうをむしろパート化していく形というのもあるのではないかというような御指摘もあったので、ちょっと取りまとめをしてみます。ありがとうございます。
 それでは、鶴先生、おっしゃっていることをかなり意識してまとめたつもりですが、どうでしょうか。
○鶴委員 阿部先生、先にどうぞ。
○樋口座長 では、阿部先生、どうぞ。
○阿部委員 ありがとうございます。
 2点ほどあるのですが、まず1点目なのですけれども、少し分配のところを丁寧に書いていただけないかなということなのです。多様なバックグラウンドの方の労働参加マル1のところですが、報告書のほうです。考え方として、労働参加を促すために賃金や労働条件の改善を通じたインセンティブ向上と書いてあるのですけれども、賃金、労働条件の改善の原資というのは、単に分配率を変更するだけではなくて、むしろ企業の利益が上がるようにどうしていって、それで賃金が上がるという好循環をつくっていくことが大事だと思いますので、そういう意味では、この書き方だけではなくて、促すためにもそういう企業の生産性向上ですとか利益の向上だとかというのが必要なのですよというのをどこかに書いておいたほうが、一時的に賃金を上げれば参加できるみたいな話ではないような気がしました。
 あと、同時に、その後のAI等のテクノロジーを活用した労働生産性の向上といったところで、テクノロジーを活用した労働生産性の向上の結果として、誰にどう適正に分配されていくのかという議論というのはあるのではないかなと思いました。
 例えば川口さんが以前報告した事例でも、労働者の生産性が上がったのはかなりAIの影響が大きかったわけで、そのときの分配が資本に行くのか、労働に行くのかで全然結果が違ってくるように思うのですよね。その辺りをどういうふうにしていくのかというのが結構大事なのではないかなと思いましたので、特にテクノロジーを活用した労働生産性の向上といったときに、テクノロジー側に分配されるのか、労働者側に分配されるのかという議論は結構大事なような気がしましたので、だからといって私が何か持っているわけではないのですが、その辺りを慎重に見ていく必要があるとか、何か必要なのではないかなと思いました。
 あと、生産性の話で言えば、資本の生産性、労働の生産性と同時に全要素生産性ともう一つあると思うのです。やはり全要素生産性を上げるということが大事だとよく言われているので、その辺りのことで言うと、労働市場の話で言えば、多様な人材にこれから活躍してもらったときに、人と人の組合せあるいは人材の配置とかというのが全要素生産性にも結構関わってくるだろうと思いますので、そういった配置だとかのところは大事だと思いますので、その辺りもうまくつなげて書いていただけるとありがたいなと思いました。
 それが分配の話で、もう一点がキャリア形成支援のところなのですけれども、今、インフラ整備のところにキャリア形成支援がかなり大きく書いてあります。それは先ほど樋口先生がおっしゃったように、労働者任せではなかなかうまくいかないのではないかということでここにあるのだというのはよく分かったのですけれども、その下りがちゃんと分からないと、どうして労働市場におけるインフラ整備のところにキャリア形成支援があるのだというのが分かりにくかったので、少しその辺りを、大きく変わってくるのだろうと思うのですけれども、労働者の自律的なキャリア形成をどうやって促していくかとか支援していくかというのが大事だということでこういうところにあるのだと。
 具体的にあともう一つ、インフラとしてどういうものがあるのかといったところで幾つか書いてあるのですけれども、もうちょっとそこを分かりやすく書いていただけるといいのかなという気がしました。
 以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。
 分配のところは私どもも意識して、ここでは働きがいを持てるというような書き方で、賃金もあれば、まさに個人として認めてもらうというようなこととか、いろいろあるのだろうと。逆に30年も賃金が上がらなかった一つの要素というのは、生産性の問題というのもありますが、企業が利益を上げたからといって自動的に賃金が上がるわけではない。これまでそうだったと。そうすると、まさに時には労働組合の存在で労働者間のつながりというようなこととかを考慮に入れていかないと、個人が企業と交渉するのですというような状況に今後なるのか、ならないのか。そこら辺を少し考えてみようというようなことで入れたところがございます。そこについてはまた御意見をいただければと思います。
 それと、インフラのところですが、インフラのところは実は法律の今後ということで、やはり一定のルールの下におけるいろいろな取引というようなことを考えていかないといけないだろうと。そうしたときにどんなことを考えたらいいのかというのは、むちゃぶりではないですけれども、荒木先生、神吉先生に少し教えていただけたらと思っております。まさに社会インフラの話として、あるいは労働市場を形成する上での、高質な労働市場をつくる上でのインフラというのをどう考えたらいいかというようなことを少し書き込みたいなと思っています。
 鶴先生。
○鶴委員 どうもありがとうございました。
 報告書自体は、若干私も事前にコメントは申し上げたのですけれども、全体的な流れに対して異論があるとかそういうことはありません。これでお書きいただいて、またそこで議論させていただければと思います。
 それでは、私、先ほど委員の方々がおっしゃられた点で、関連で3点ほど申し上げたいのですけれども、最初に佐藤先生がおっしゃった骨子の箇所を開けていただけますでしょうか。無限定の働き方というところが、柔軟な働き方の実現ですよね。それで、ここなのですけれども、要はメンバーシップ型とか、無限定正社員システムとか、そういうふうに言われているものは、今の働き方が無限定ということではなくて将来どうなるのかということ、それが職務であったり、勤務地であったり、労働時間、ある日突然職務が変わるとか、勤務地が変わるとか、残業を命じられる。そこのところが空白になっているというところが一番ポイントなので、先ほど佐藤先生がおっしゃったコメントというのは全く私も同感だったので、そこを踏まえてここは若干書き直しをしていただけたらなと思います。
 それから、大竹先生がおっしゃられた点というのは私は全く同感で、生成AIの分析はまだごく少数なのですけれども、未熟な労働者に対してプラスの効果があると。これはごく最近なのですけれども、MITのオーター教授という大権威の労働経済学者がいらっしゃるのですが、彼がごく最近、これまでオートメーションとAIを分けるべきで、オートメーションというのは中間層をかなりなくしてきたのだけれども、今度はAI、生成AIも含めて、彼は逆の動きがやはり出ると言っているのです。それはオートメーションではなくてオーグメンテーションというか、労働者に対して、むしろそういうスキルがない人に対して力を与えるという効果のほうが逆向きに行くということを彼はかなりはっきり言っていて、私も今のいろいろな流れを見ると、やはりこれまでのオートメーションというところと全く同じに考えることはできないなと。むしろそういう逆の効果も起こり得るということなので、この辺は先ほどの大竹先生の御議論などもやや発展的に捉えるときに考えるべきだと。
 最後は、樋口座長がつながりということをおっしゃっていて、それは私はすごく大事だなと思ったのですけれども、案外この今の骨子には反映されていないなという感じがすごくしていまして、それで、賃金の話も労働組合が頑張らないのかというと、労働組合は賃金よりも雇用保護のほうが大事だよということでかじを切ってしまったというのが私はこの四半世紀の流れだと思っているので、労働組合ではなくてもっと新しい形として企業の組織の中のつながりを深めるということにおいて、今、実は企業のパーパスとか社会的貢献とか、それからまたそれをどういう個人レベルで落としていくのかというのが非常に注目されているし、そこでつながりを大きく高めている企業の実態例も結構多く聞きますので、そこは今、私が申し上げたことを書き込むべきだという話ではないのですけれども、新たなつながりというのをどういうふうに考えていったらいいのかということはもう少しこの研究会ではまだ議論したほうがいいのではないでしょうか。
 以上です。
○樋口座長 分かりました。ありがとうございます。
 荒木先生、いかがでしょうか。
○荒木委員 ありがとうございます。
 先ほどお尋ねがありました法的なルールの観点からのコメントということを先に申し上げておきます。来月、2024年4月から労働基準法施行規則の改正が施行されまして、これまでは無限定と言われたようなメンバーシップ型雇用だったのですけれども、労働契約の締結時に職務の変更の範囲や勤務場所の変更の範囲についても明示するということになります。これはより広く言えば、労働者自身が自分のキャリアをどういうふうに設計するかということをきちんと使用者と合意する。そのために明示をし、確認をして、自分のキャリアを考える。そういう契機を与えようという改正ということになります。これから自分のキャリアをどう設計するか、個人が主体的に決定できるための一つのインフラ整備だと思います。
 もちろん無限定でもいいのですけれども、無限定の場合は無限定であるということをきちんと労使が納得しておくことが必要だということになります。そういった労働条件明示のルールを罰則で強制するというのは一つなのですけれども、そのほかに労働市場として考えると、法整備、法で義務づけというところではないところでいろいろとやるべきことがあるのだろうと思います。
 今回の報告書もそういった点を重点的に議論いただいていると思うのですけれども、樋口先生がおっしゃったつながりという観点にも関係すると思うのですが、例えば骨子の15ページあたりに労働市場の見える化、これは完全な外部労働市場を前提に議論されているようなのですけれども、外部労働市場と企業内の市場の中間に業界市場といいましょうか、そういったものがあるのかなと。つまり、一旦勤めた人が退職して、再度労働市場に復帰しようといった場合に、全く違う仕事だとこれまでのキャリアは生かせませんので、以前に新聞で見かけたことあるのですけれども、銀行業界では他行、他の銀行を辞めた方であっても、労働力不足であるというので、そういう方を活用したいというような業界市場の活用というのが議論されているようです。こういったものは法で強制するというものではありませんが、業界団体が有能な方、非常に優秀な方だと分かっているのだけれども、出産、育児という契機に辞めていかれた方をぜひ呼び戻したい。これはほかの企業であっても、そういった能力のある方は活用したいといったニーズはあると思いますので、こういったものを政府としても何らかの後押しをすること、自分のキャリアを生かせるような業界市場の活性化は考えてよいかと思います。これは過去のつながりを促進させるということになるのかもしれません。
 それから、もう一点、労働市場の見える化は、いわゆる外部労働市場のところでしか言葉としては出てこないようですが、人的資本への投資とかキャリア形成支援は企業内の市場、例えば企業内の公募制というのは企業内における内部労働市場の見える化ということで、そこで自分で選択もできるし、それに向けての能力発展の契機ともなるということなので、こういった企業内の市場の見える化ということも重要なメッセージなので、内容は書いてあると思うのですが、外部労働市場だけではなく企業内でも見える化していくことが重要であるということがより分かりやすくされるとよいのかなという気もいたしたところでございます。
 以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。我々が見落としているところも多々あるかと思いますので、ぜひ書き込んでいきたいと思います。
 それでは、神吉先生、いかがでしょうか。
○神吉委員 ありがとうございます。
 私からは、資料4の12ページの柔軟な働き方の実現についてコメントさせていただければと思います。
 佐藤先生が御指摘されたとおり、柔軟な働き方の実現に向けて、無限定な働き方が評価される仕組みや基準を変えていく必要がある。これはすごく重要なことだと思う一方で、現在の書き方では長いものを短くするという量的な側面に焦点が当たっているように思いました。それはもちろん重要な視点ですけれども、働き方の柔軟性をどういうふうに捉え直すかという質的なことも重要ではないでしょうか。つまり、これまで柔軟性というのは、いつでも時間外労働や転勤に応じる労働者が存在するという意味で直接的には使用者側にメリットが多く、そして、それは労働者にとっては雇用維持とのバーターであることから反射的に柔軟性のメリットが語られてきたのです。でも、本当にそうなのだろうか。労働者の自律的な働き方との関係で打ち出される柔軟性は、企業の都合で労働者が柔軟に働くという意味でのこれまでの柔軟性とは違って、労働者の側が自己の希望に沿って、いつ時間外労働が降ってくるか分からないという状況ではなく、自分がどういう働き方をできるかが予測できたうえで柔軟に、中長期的なキャリア展開も含めた生活設計ができていく。そこに主眼が置かれるべきではないかと思います。ですから、長時間労働が評価されるという量的な面だけではなくて、質的な面での変化が求められていることも書き加えていただけるとありがたいと思いました。
 以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。
 それでは、最後に堀先生、いかがでしょうか。
○堀委員 ありがとうございます。
 今回の報告書の取りまとめの方向性につきまして、異議はありません。
 1点気になっているのは、今、話題になっておりました、神吉先生もおっしゃった柔軟な働き方の実現のところなのですけれども、もちろん理想的には、みんなが柔軟な働き方を希望する人はできれば一番よく、それは間違いないのですけれども、例えば時短の人のカバーを誰がするかなど、管理職になることを希望する人が減っているような話もあります。限定的な働き方をする人をいわば支えるような無限定の働き方をする人に対しても一定の評価のようなものも重要なのかなと感じており、みんなでいい職場をつくっていく、その役割分担の中で様々な働き方があるということで、現状評価されているのでいいのかもしれないのですけれども、そこの辺りももし可能であれば書き加えていただけると助かります。よろしくお願いいたします。
○樋口座長 ありがとうございます。
 佐藤先生、もう一度でしょうか。
○佐藤委員 簡単なことで、働き方改革のところで、今回、実は管理職の問題がすごく大きいのですよね。時間管理から外れているのだけれども、管理職は長時間労働で、そういう意味では、多様な部下のマネジメントをする時間を割けていないという現状があります。ですから、管理職の働き方を変えないと、やはり部下が働かないと変わらないのですよね。だけれども、どうもそういうのがなくて、いわゆる一般職のところという感じが強いので、ぜひ管理職の働き方改革をどうするか。そうしないと、先ほど言いましたように女性の管理職も増えないですよね。男性ももう管理職になりたくないということですので、ぜひ多数の方の働き方改革、質の高い仕事にするためには、管理職のマネジメントの質、部下マネジメントの質を上げなくてはいけないので、ぜひそのことをどこかに書けるといいなと思います。
 何度もすみません。
○樋口座長 ありがとうございました。
 皆様、まだ御意見はあると思いますので、事務局にお寄せいただければと思います。
 時間の関係もございますので、本日の議論はここまでとしたいと思います。
 次回以降の研究会の開催スケジュールについて、事務局からお願いします。
○雇用政策課長補佐 事務局でございます。
 次回の開催日時につきましては、確定次第、改めて御案内をさせていただきます。
 以上です。
○樋口座長 どうもありがとうございました。
 では、以上で終了します。どうもありがとうございました。