第82回 厚生科学審議会感染症部会 議事録

日時

  • 令和6年2月21日(水)10:00~12:00

場所

航空会館ビジネスフォーラム(5階)

議題

  1. (1)新興・再興感染症データバンク事業ナショナルリポジトリ(REBIND)における新規対象感染症追加とREBINDを用いた感染症臨床研究ネットワークの構築について
  2. (2)獣医師の届出基準(サルの結核)の変更について

議事

議事内容
○杉原エイズ対策推進室長 それでは、ただいまから、第82回「厚生科学審議会感染症部会」を開催いたします。
 構成員の皆様におかれましては、御多忙にもかかわらず御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の議事進行を務めさせていただきます、感染症対策部感染症対策課の杉原と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の議事は公開となります。また、これまでと同様、議事の様子をYouTubeで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。なお、事務局で用意しておりますYouTube撮影用のカメラ撮り以外は議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御理解と御協力のほどお願いいたします。
 また、傍聴の方は「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
 なお、会議冒頭の頭撮りを除きまして、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
 本日は、ウェブ会議で開催することとしております。
 まず、ウェブ会議を開催するに当たりまして、会議の進め方について御連絡させていただきます。
 御発言をされる方は、まず、挙手機能を用いて挙手をいただくか、あるいはチャットに発言される旨のコメントを記載いただきまして、部会長から御指名をされてから御発言をお願いいたします。なお、ウェブ会議ですのでタイムラグが生じることがございますが、御了承願います。
 会議の途中で機械のトラブル等で長時間音声が聞こえない等ございましたら、あらかじめお知らせしております番号までお電話いただきますようお願いいたします。
 続きまして、今回から新しく感染症部会に加わられた委員を御紹介いたします。
 初めに皆様のお名前をお呼びいたしますので、その後、お一言ずついただけますと幸いです。
 板橋中央総合病院院長補佐の坂本史衣様、愛媛県立衛生環境研究所所長の四宮博人様、藤田医科大学医学部微生物学講座・感染症科教授の土井洋平様、岡山理科大学獣医学部微生物学教授の森川茂様です。
 坂本様、御挨拶いただけますでしょうか。
○坂本委員 板橋中央総合病院の坂本でございます。初めての参加となります。どうぞよろしくお願いいたします。
○杉原エイズ対策推進室長 お願いいたします。
 四宮様、お願いいたします。
○四宮委員 愛媛県立衛生環境研究所の四宮といいます。どうぞよろしくお願いいたします。
○杉原エイズ対策推進室長 お願いいたします。
 土井様、お願いいたします。
○土井委員 藤田医科大学の土井と申します。今回から参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○杉原エイズ対策推進室長 お願いいたします。
 森川様、お願いいたします。
○森川委員 岡山理科大学の森川です。よろしくお願いします。
○杉原エイズ対策推進室長 お願いいたします。
 次に、委員の出欠状況について御報告いたします。
 出席の委員の方につきましては、通信の確認も踏まえまして、委員のお名前をこちらから申し上げますので、お一言お返事をいただければと思います。先ほどいただきました4名の委員の方々におかれましては、結構でございます。
 味澤委員。
○味澤委員 味澤です。よろしくお願いします。
○杉原エイズ対策推進室長 今村委員。
○今村委員 今村です。よろしくお願いいたします。
○杉原エイズ対策推進室長 大曲委員。
○大曲委員 大曲です。よろしくお願いします。
○杉原エイズ対策推進室長 釜萢委員。
○釜萢委員 釜萢です。どうぞよろしくお願いいたします。
○杉原エイズ対策推進室長 谷口委員。
○谷口委員 谷口です。よろしくお願いします。
○杉原エイズ対策推進室長 戸部委員。
○戸部委員 戸部です。よろしくお願いいたします。
○杉原エイズ対策推進室長 中野委員。
○中野委員 中野です。よろしくお願いします。
○杉原エイズ対策推進室長 森田委員。
○森田委員 森田です。よろしくお願いします。
○杉原エイズ対策推進室長 成田委員。
○成田委員 成田でございます。よろしくお願いいたします。
○杉原エイズ対策推進室長 藤田委員。
○藤田委員 藤田です。よろしくお願いします。
○杉原エイズ対策推進室長 四柳委員。
○四柳委員 四柳です。よろしくお願いいたします。
○杉原エイズ対策推進室長 脇田委員。
○脇田部会長 脇田です。よろしくお願いします。
○杉原エイズ対策推進室長 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 なお、越田委員、小西委員、白井委員からは御欠席の連絡を、大曲委員からは途中退席との御連絡をいただいております。また、中野委員は途中離席する可能性があると伺っております。
 現在、感染症部会委員19名のうち16名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令に基づきまして、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
 なお、これ以降は、写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので、御留意ください。
 議事に入る前に、資料の確認をさせていただきます。
 議事次第と委員名簿、座席図、資料1から2、参考資料1になります。不備等がございましたら事務局にお申し出ください。
 それでは、ここからの進行は脇田部会長にお願いいたします。
○脇田部会長 皆様、改めまして、おはようございます。本日も感染症部会、よろしくお願いします。
 また、今日から新任の委員の先生方、坂本委員、四宮委員、土井委員、森川委員、どうぞよろしくお願いいたします。
 では、議事に入っていきたいと思います。お手元に議事次第があると思うのですけれども、今日は2つ議題がございます。
 最初の議題の1です。REBINDに関する議題について始めてまいりたいと思います。
 それでは、事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○竹下パンデミック対策推進室長 それでは、議事1について、パンデミック対策推進室の竹下から説明させていただきます。
 お手元の資料、次のページをめくっていただきたいのですけれども、新興・再興感染症データバンク事業、ナショナルリポジトリということで、REBINDということで、今、国立感染症研究所及び国立国際医療研究センターで実施いただいている事業がございますが、こちらに新たな事業の提案をさせていただきたいということが、今回の主題でございます。
 このREBINDの事業の概要を説明させていただきますが、令和3年度から開始されておりまして、予防・治療法が確立していないパンデミック等に移行する懸念がある新興・再興感染症に対して、病態解明、バイオマーカー・治療薬・ワクチンの開発や効果の評価等のために、患者・病原体ゲノムデータ、臨床データ、病原体の集積を行うということが目的で開始されたものでございます。コロナのまさに発生している最中でございましたので、コロナを対象として現在行われており、さらにエムポックス、原因不明の肝炎というものが、今、行われているところでございます。
 緊急時には、これが100日ミッションを満たせるように、明確な目的と目標症例数をあらかじめ設定して、有事において速やかに必要症例数を集積できる体制を構築するものとして使用することが想定されております。一方で、平時においては、重症呼吸器感染症等の公衆衛生上の課題となる疾患を最優先とし、REBINDの主目的である病態解明、検査薬・治療薬・ワクチン等の開発に資する事業を行いながら、緊急時の対応も見据えた体制を構築するものとされております。
 次のページをお願いします。現在のREBINDの新規対象感染症追加の手順についてということで、改めて提案をさせていただきたいと考えています。2つ目の矢羽根を見ていただきたいのですけれども、今後も、REBINDの目的である「新興・再興感染症に対して、感染症の重症化因子の解明や、診断や治療方針の改善、医薬品開発等に資する分析を行う」に沿った対象疾患を追加することが必要になっている状況でございます。
 この重点感染症というのは、公衆衛生危機管理において、救命、流行の抑制、社会活動の維持等、危機への医療的な対抗手段となる重要性の高い医薬品や医療機器等の利用可能性を確保することが必要な感染症ということになっておりますが、こちらは今後また重点感染症の検討等が行われるということで考えております。ただ、このデータベースに登録するものとして、既に難病や悪性腫瘍などの類似のデータベースが整備されているものに関連しているものも感染症はございますので、そういったものは除くということで考えたいと考えております。
 また、速やかな対応が必要な場合、これは緊急時ですね。パンデミック、公衆衛生上速やかな対応が必要と国が判断した場合のみではなく、平時の対象感染症の追加の手順も検討する必要があると考えています。これまではパンデミックや緊急時の対応ということがあったので、それに合わせて御提案させていただくことが多うございましたが、今後は平時からの検討を進めていく過程になってきていますので、改めて平時の考え方を整理させていただきたいと考えております。
 そこで、下の赤の囲みで記載しているところでございますが、これまで2については何度か御相談させていただいたテーマでございますが、1の平時についてというところを確認いただきたいと考えております。緊急時と並べて確認していただくと分かりやすいと思うのですけれども、緊急時は、厚生労働省からも緊急指示ということでREBIND運営委員会にお願いをする形を取っていますが、平時においては、まず、厚生科学審議会で審議をさせていただいて、対象疾患として入れていくことが妥当かどうかを検討いただいた上で、そこの了解を受けた形でREBINDの運営委員会に指示という形の手続を行いたいと考えております。
 次のページをお願いします。以上のスキームに併せて今回追加したいテーマというか、疾患というか、今回症候群を御提案したいと思っています。「入国時感染症ゲノムサーベイランス」、これは検疫検体になりますけれども、新規対象感染症への追加を考えたいと考えております。今、入国時の感染症ゲノムサーベイランスについては、令和5年5月8日より「入国時感染症ゲノムサーベイランス」を導入しております。これは5空港において、発熱、せきなどの症状のある入国者を対象に、検体を採取しております。採取した検体は民間検査会社にて呼吸器感染症を起こす主なウイルスや細菌の病原体遺伝子を網羅的に検出できるPCR検査を実施した後、国立感染症研究所にて新型コロナウイルスの系統判定とインフルエンザウイルスのゲノム解析を実施しております。
 今、実施しているサーベイランスについて、令和6年4月から事業となるに当たり、「入国時感染症ゲノムサーベイランス」を新規対象感染症として承認をして、残余検体をREBINDに格納することで、流行中の呼吸器感染症の病原体を把握するとともに、病原体分離株を蓄積し、呼吸器感染症の予防・診断・治療薬の開発等に利活用してはどうかということを今回提案させていただきたいと考えております。
 下のスキームについては、今、御説明した内容を絵で出したものでございます。
 次のページをお願いいたします。また、令和5年の7月に一度REBINDのことを感染症部会で御説明させていただいた機会がございました。その後の取組の状況についても御報告をさせていただきたいと考えております。
 「現状と問題点」としましては、現在までに約9万人分の臨床情報が集まり、40本の論文等の研究、アドバイザリーボードや新型コロナウイルス感染症診療の手引等の公衆衛生的な利活用実績につながっております。検体については、現在までに6,000検体が集まっておりますが、REBINDの主目的である検査薬や治療薬やワクチン開発へつながった実績はまだこれからというところでございます。
 「検体の利活用が進まなかった原因分析と今後の対策」ということでございますが、1つ目、目的と目標に応じた必要症例数が不明確であったことに関しましては、対策としまして、専門家による検体の必要情報及び必要症例数を策定して、COVID-19については新規の参加医療機関は増やさず、既存の参加医療機関についても引き続き検討するということとしたいと考えております。また、目的を達成するためのガバナンスの強化や参加施設の役割分担を明確にするということ、有事に速やかに必要症例数を収集できる体制を整備するといった体制全体のことなど、参加施設の役割分担のことがございました。これについては、感染症臨床研究ネットワークの構築ということを提案させていただきたいと思います。これはこの資料の後に説明させていただきたいと思います。
 また、利活用の機会が限定されているということでございましたが、こちらに関しましては、令和5年8月よりショーケースという形でより見やすい形の運用を開始しており、幅広い広報を行っております。また、検査薬や治療薬、ワクチン開発等が行えるよう、企業と研究機関の共同提案体制等の仕組みを設けて支援を行うということに関しましては、AMEDとの連携や利活用スキーム整理等を行っているところでございます。
 次のページをお願いします。先ほど御説明させていただいた中にありました感染症臨床研究ネットワークについて、詳細を示したものでございます。背景としましては、1類・2類感染症の患者の入院診療においては、感染症法において、まず「感染症指定医療機関」で実施することが定められております。COVID-19の発生の初期段階においても、こうした医療機関を中心に入院診療が行われてきました。一方で、新型コロナの対応では、患者の入院先等が必ずしも臨床研究の実施機関とならず、臨床研究の実施に困難が生じたという課題が生じました。
 こういった状況を踏まえまして、令和4年に改正された感染症法では、新たに医薬品の臨床試験の実施等の協力を求めることその他の関係医療機関との緊密な連携を確保するとともに医薬品の研究開発を推進することが規定されました。
 こういった状況を踏まえまして、検査方法や治療薬等研究開発の基盤として構築されているREBINDを用いまして、平時よりネットワークを強化していくことを考えております。
 事業の主な概要としましては、このネットワークについては、各都道府県の研究実施医療機関が連携をすることが何よりも大事なことと考えております。平時から感染症の科学的知見の創出や治療薬等の開発に向けた共同研究を実施し、有事において、必要な臨床研究を迅速に開始できる体制を確保するということで、まさに平時からの準備で有事につながる体制を考えております。
 また、そのためには、幾つかの体制が必要と考えております。まず、中央では研究ネットワーク全体を統括し、各参加医療機関を支援する事務局を設置すること、また、各参加医療機関での感染症に関する臨床研究実施体制を整備すること、さらに、そういった研究に従事できる人材の育成及び確保を行うことを平時から取り組んでいくということでございます。
 令和7年からの本格導入に向けて、令和6年度は実証事業として感染症指定医療機関等から成る臨床研究ネットワークを形成して、医療機関や行政等が連携して臨床研究を推進できる体制を構築したいと考えております。
 次のページを見ていただきたいのですけれども、このページで、今、御説明した内容を例示しているものでございます。事務局は国立国際医療研究センターに担っていただき、そこに委託をさせていただくと。REBINDのスキームを使っていただくということでございますので、このREBINDの事務局も国立国際医療研究センターでございますので、ここで一括してその管理をしていただくことを考えております。
 厚生労働省におきましては、都道府県ときちんと連携をさせていただいて、都道府県の推薦をいただいている医療機関、その研究実施の医療機関としましては、特定及び第1種の感染症指定医療機関を考えております。こちらは入院医療機関、要するに、患者さんが入ったらそれを登録していただくことを考えております。
 また、こういった医療機関を学術的な支援や研究実施の支援ということで支援していただく研究支援機関を設置して、ここは連携してできる体制を平時から組んでいただくということで、有事のときもこのスキームで速やかな臨床研究が実施できる体制を考えております。
 ここで得られた知見、集積した症例などを用いて、そのネットワークを活用した臨床研究や治験の提案を製薬会社や研究者に提案していくということで、事務局は活動していただくことを考えております。
 以上でございます。
○脇田部会長 御説明ありがとうございました。
 まず、REBINDに関してですね。対象疾患追加の手続、手順に関する御提案です。平時において感染症部会で審議をしてから追加をするというところ、そして、検疫で行っている「入国時感染症ゲノムサーベイランス」を新規対象感染症に追加をすること、それから、現在のREBINDの活動の状況の御報告と、その問題点を解決するために感染症臨床研究ネットワークを構築してはどうかといったところ、主には3点だと思います。
 ですから、このREBINDに関する御提案に関して、委員の皆さんから御質問あるいは御意見等をいただければと思いますが、いかがでしょうか。手を挙げていただければ、順番に御指名したいと思います。
 谷口委員、お願いします。
○谷口委員 三重病院の谷口です。
 今後のパンデミックに向けて、あるいは平常時の感染症対策に向けて、非常によい枠組みだと思いますので、感謝しております。
 その中で、病院というのは診療がもとですが、検体を収集したり、その研究をしたりというのも行っているわけですけれども、昨今、働き方改革というものがございまして、そうしますと、これは事業ということは明らかに自己研さんではなくて業務なわけですので、これが全て勤務時間に入ってまいります。これは当然のことながら病院の経営を圧迫しますし、スタッフたちは忙しくなります。これはアメリカのエマージングインフェクションプログラムだとか、アクティブバクテリアコアサーベイランスシステムだとか、そういったものと似通ったものだろうと思うものですから、もちろん平時からの研究キャパシティー、これには人材と当然人件費が必要ですし、電子的なネットワークの整備をして入力の手間を省く、あるいは検体のバンキングシステム、アメリカの場合には、そういったものをセットとしてCDCと契約しているわけですね。そうすると、今回もそのような地域の医療機関ですね。研究機関は研究がお仕事でしょうからいいのでしょうけれども、医療機関に対してはそういった支援というか、恐らく契約ですね。そういうことも考えていらっしゃるのかどうか、御教示いただければと思います。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 まさに谷口先生がおっしゃったところが気になるところだと思うのです。パンデミックのときにいろいろな反省があって、臨床研究がなかなか進まなかったのではないかというところがありますが、それを平時から進めていくためにこの枠組みをつくると。ただ、その枠組みをつくるのはいいのだけれども、今、谷口先生が言われたような問題点はあるのではないかというところですから、御意見がほかになければ、まず、事務局からレスポンスをいただけますか。
○竹下パンデミック対策推進室長 ありがとうございます。
 まさに谷口先生から御指摘いただいた内容は、私たちも非常に重要な点と考えております。現状のREBINDにおきましても、国立国際医療研究センターと参加施設のほうで契約等を行っていただいておりますので、同じような形でそういう取組を進めていただくということで、平時から準備をしていただくということと、当然それに対しての参加する研究実施医療機関や支援機関に対しても必要なサポートをするようなことは含めたスキームと考えております。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 本当にパンデミックの最中に診療が忙しくて、なかなか研究に割ける時間がないという形があったと思うのです。平時でもそれは同じことでありますので、今、事務局からお話があった研究を進めるためのサポートが非常にこの事業を進める上では重要だと思いますから、そこはぜひよろしくお願いします。
 そのほか、いかがですか。
 土井先生、臨床研究をされることが多いと思うのですけれども、何か御意見がありましたらお願いしたいと思いますけれども、どうでしょうか。
○土井委員 ありがとうございます。
 今回このようなスキームですね。特に臨床研究ネットワークという形にいよいよしていただけるということで、大変に感謝をしております。非常に前向きなことだと受け止めております。谷口先生のおっしゃったような懸念点は確かにございますけれども、こちら、何とか持続できる形でスキームをつくっていただければと思っております。非常に期待をしております。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。
 成田委員、お願いします。
○成田委員 東京都の成田でございます。
 まずは御説明ありがとうございました。
 今回3点御提案いただきまして、最初の新規対象感染症の追加の手続や「入国時感染症ゲノムサーベイランス」については、特に異論はございません。私からは、1点、感染症臨床研究ネットワークを活用した研究等の体制構築について、意見を述べさせていただければと思います。
 新型コロナ対策を振り返りますと、東京都では、都内の宿泊療養施設において、国産治療薬の開発に向けて、治療薬の治験に積極的に協力してきたところでございます。一方で、企業や研究機関等が個別に各自治体へ治験等の依頼、相談を行う方法を取る場合、一部の自治体等に負担が集中してしまうおそれがあるほか、専門的な機関でない自治体では、治験等に伴うリスクを判断することが難しいといった懸念がございます。
 そのため、こうした感染症臨床研究ネットワークを活用して、国などの全体を統括する機関において、企業や研究機関等からの治験などに関する依頼や相談を一括して受け付けていただいて、特定の自治体に負担が集中しないようにバランスよく振り分けるなど、有事に備えた仕組みを構築していただければと思っております。
 私からは以上となります。
○脇田部会長 ありがとうございました。自治体の負担がばらつかないようにというお話でありました。
 四柳委員、お願いします。
○四柳委員 御説明ありがとうございました。
 この段階はシステム構築だと思いますので、細かなことはこれから決められていくのではないかと思いますけれども、幾つかコメントとして述べさせていただければと思っています。
 私自身は、利活用に関してもいろいろな情報を見聞きする機会があるのですが、臨床情報に関しては、しっかりとした登録公開での報告の機会がございます。一方、検体の利活用に関しては、幾つかの研究者が少数の検体を使っていますけれども、その結果を共有していただく機会は論文以外はないと思うのです。ですから、検体を利活用するということを周知していただく上でも、情報共有の機会を作っていただければと思っています。それが1点目です。
 もう一つは、臨床研究ネットワークを平時からつくっていかなければ、有事には対応ができないということで、6枚目、7枚目あたりにその辺のことを特に詳しくお示しいただいたと思います。各都道府県にきちんと体制を構築しないと有事には動けないような気がしますので、ご配慮いただきたいということ。それから、臨床中核拠点病院がCRCの派遣などで入ってくるのではないかと思いますので、有機的に連携できるようなシステムを今後考えていただければと感じております。
 私からは以上でございます。
○脇田部会長 四柳先生、どうもありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。
 それでは、今村委員、森川委員の順番でお願いします。
○今村委員 今村です。
 今回のスキームづくり、非常によい試みだと思います。これまで弱点の部分だったところだと思いますので、しっかりその部分を乗り越えて次のパンデミックを受け止めるという形に進めていっていただければと思います。
 1点確認なのですが、資料の5ページになりますが、令和7年度からの本格導入に向けて、令和6年度は実証事業としてという形になっています。7年度のところからの展開なのですが、ここは先ほどの成田委員と同様のところにつながると思いますが、全ての第一種感染症指定医療機関へ広げていくと、結果的に対象は全ての自治体ということになります。そのような受け止めで各自治体が考えておけばいいのか。実証研究の終了後に、全国の自治体へ広げる際には、各都道府県は伝達や受け止めの準備などもありますし、人材の準備などもあると思いますから、少し早めに自治体への通知などを行っていただければと思っております。
 質問としては、令和7年度の展開としてはどのぐらいの規模のことを予定されているのか、分かっておりましたらよろしくお願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございました。後ほど事務局に確認をしたいと思います。
 森川委員、お願いします。
○森川委員 森川です。
 COVID-19で始まったということなのですけれども、例えば咽頭拭いや血液など、いろいろな検体を集めているのだと思いますけれども、特にレイトCOVIDなどの解析で、シングルセルのRNA-Seqなどでリンパ球がどういう活性化状態にあるかなどという解析は非常に重要になってくると思うのですけれども、PBMCを保管しているのかどうかがよく分からないのですけれども、そういう作業をするに当たって、重要な感染症の場合、バイオセーフティーがBSL3になったり、あるいはエボラみたいな場合ですとBSL4になるということになると、そういう検体の特にPBMCみたいなものを分離して保管するような作業は、どういうところが担うのでしょうか。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 そうしたら、今のところ手が挙がっておりませんので、ここで成田委員、四柳委員、今村委員、森川委員からコメントと意見、御質問もありましたので、事務局にレスポンスをいただきたいと思います。いかがでしょうか。
○竹下パンデミック対策推進室長 それでは、私から回答させていただきます。
 まず、成田委員と今村委員からもありました一部の自治体に負担が集中しないようにということですけれども、今村委員からは今後の展開と、これは同じ内容と考えておりまして、基本的に令和7年度からは、私たちも一部の自治体だけができるというようになるのはあまり望ましくないと考えていますので、各都道府県どこでもできるような形が望ましいのではないかと考えております。
 一方で、体制等に関しては、人材の問題であったり、そこもどれぐらいのことができるのかというところがありますので、そういった課題を実証事業の中できちんと見極めて、規模や開始時期もきちんと見極めていきたいと思います。理想としては、各都道府県で必ずできるという体制が必要なのではないかと考えております。
 また、検体の利活用について御質問いただいておりますけれども、こちらに関しては、なるべく例えばゲノム情報であったりすると、公開できるものは公開できるようにするというようなことに配慮してコロナ等も行っていました。ただ、一方、個人情報やそういったところの観点等もありますので、そこの内容等を踏まえながらどういった情報を提供できるのかを出していく必要があると考えています。
 一方で、検体の利活用も進んでおりますので、こういったものが使えるということは、利活用のスキームのところ、こういったものができますよという周知については、引き続きなるべく使っていただけるように取り組んでいきたいと考えております。
 また、臨床中核というか、支援機関のお話だったと思いますけれども、こういったところにどういう役割を担っていただくかに関しましては、私たちも非常に重要な点だと考えております。特に担える機関も限られていると思いますので、そういった医療機関ともどういうことができるのかをきちんと意見交換しながら、詳細を詰めていきたいと考えております。
 また、森川委員からありました検体の分離または保管といったバイオセーフティー等の観点からどのような対応を行っているかということでございましたが、検体につきましては、今、REBIND等におきましても、国立感染症研究所が中心となって担うことになっております。コロナのときもその後のエムポックスのときもそうなのですけれども、感染研の中での病原体管理の部門に積極的に関わっていただいて、どの状況ならば検体を取り扱えるか、民間検査会社が取り扱う場合は対応できるのか、または難しい場合は感染研で対応するといったことも含めて、ディスカッションを進めながら取り組んでいる状況でございます。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。
 私からも、今、研究支援のお話がありました。当然学術支援であったり、ARO機能の支援が重要になってくると思うのですけれども、ただ、それはそれとして、それはもちろん重要でやっていただくのですけれども、先ほど谷口先生からもお話がありましたけれども、臨床の先生たちの負担が非常に重くなるということになるので、そういったところでどういったサポートが必要なのか、臨床の現場での実務のサポートが必要なのかということも、現場の声を聴いていただいて必要なサポートをしていただくことが重要だと思いますので、その点はぜひよろしくお願いしたいと思います。
 ほか、よろしいですか。
 そうしましたら、この議題は今日御報告いただいた方向で対応を進めていただくということにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、次の議題に入ります。
 続きまして、議題2、こちらはサルの結核の届出基準の変更ということですね。
 それでは、事務局から説明をよろしくお願いします。
○横田感染症情報管理室長 事務局でございます。
 議題2「獣医師の届出基準(サルの結核)の変更について」の資料を御説明させていただきます。
 次のページをお願いします。まず、上段の「獣医師の届出基準について」の部分でございますけれども、感染症法の規定によりまして、動物由来感染症対策の観点から、政令で定める感染症ごとに、感染させるおそれが高い動物を政令で規定しているところでございます。獣医師が、当該動物が感染症にかかり、またはかかっている疑いがあると診断したときは、保健所に届け出ることを義務づけているところでございまして、具体的な届出基準は「獣医師の届出基準」として定めているところでございます。
 下段の「改正の背景」のところでございますけれども、これまで、サルの結核の検査方法につきましては、主にヒト型及びウシ型結核に反応する動物用ツベルクリンが用いられてきたところでございますけれども、こちらの国内生産が停止されたところでございまして、現時点でこの動物用ツベルクリンが国内には存在しない状況にあるというところでございます。また、ヒトのほうでございますけれども、ヒトの結核の届出基準における検査方法としては、主に現在「リンパ球の菌特異蛋白刺激による放出インターフェロンγ試験」というものが用いられているところでございます。このような状況を踏まえまして、令和4年度の厚生労働科学研究特別研究において検討が行われまして、このインターフェロンγ遊離試験がサルの結核の検査にも有用であるとの知見が得られたところでございます。
 次のスライドをお願いします。こちらが厚労科研特別研究の結果概要でございますが、結核感染ザルと結核潜伏感染ザル、それから、対照群として非感染ザルの血液を採取して、2種類のインターフェロンγ遊離試験キットで感染の有無を確認したところ、下にグラフを示しておりますけれども、感染ザルと潜伏感染ザルは全て陽性と判定され、非感染ザルは全て陰性と判定されたということで、感度・特異度ともに100%という結果が得られたということで、インターフェロンγ遊離試験がサルの結核の診断法として有用であることが示されたところでございます。
 次のスライドをお願いします。これらを踏まえまして、今回の届出基準の変更案でございます。まず、このインターフェロンγ遊離試験キットでございますけれども、現在、ヒトの結核検査におきましては、クォンティフェロンTBゴールドプラスとT-スポットという2つの方法が用いられているところでございます。
 今回の厚労科研の特別研究では、以下の2種類のキットが用いられたということで、1番目として、Primagam、こちらはサル用に開発された結核検査キットでございます。2番目として、クォンティフェロンTBゴールドプラス、こちらはヒト用のキットでございますので、サルに使用する場合は、サルのインターフェロンγを測定できるELISAキットと組み合わせて使用する必要があるというものでございますけれども、この2つが用いられたところでございます。
 3つ目のポツのT-スポットに関してですが、こちらはサルの結核感染の有無を調べるために、当該キットが確定診断に用いられることが文献等で確認できなかったということで、今回の研究におきましては、用いられなかったところでございます。
 これらを踏まえまして、今回の改正案ですけれども、研究でサルの結核検査としての有用性が確認されたインターフェロンγ遊離試験、具体的には上記で確認された1と2のキットを想定しておりますけれども、こちらを追加することとしたいと考えているところでございます。
 改正内容は、下の四角囲みでありますけれども、獣医師の届出基準の「結核」の検査方法に、この「リンパ球の菌特異蛋白刺激による放出インターフェロンγ試験」を新たに追加するということでございます。
 具体的には、次のスライドをお願いします。こちらが現在の届出基準と改正案でございますけれども、現在、この届出基準で定めている検査方法に、一番下の黄色のハイライトの部分「リンパ球の菌特異蛋白刺激による放出インターフェロンγ試験」を検査方法として追加して、検査材料としては「血液」を新たに追加させていただければと考えているところでございます。
 資料の説明は以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 サルの結核の届出において、サル用のツベルクリンの国内生産が停止となったということで、輸入品を使えばできるのかもしれませんが、それの代替法ということで検討していただいて、インターフェロンγの遊離試験ですね。それを検査方法に加えるといった御提案となりました。
 それでは、先生方から御意見、御質問等があればお願いしたいと思いますが、森川先生、獣医の立場から何かありますか。
○森川委員 森川です。
 厚生労働研究の特別研究で、サル用のキットのサーモフィッシャーのものはいいのですけれども、クォンティフェロンのTBゴールドプラスを使ったときは、その後の説明で、サルのインターフェロンγが測定できるELISAキットを用いて遊離γインターフェロンはする必要があるということなのですけれども、この厚生労働研究の特別研究でキットを使っているときは、そのシステムで検出されているということなのでしょうか。もしそうだとすると、このインターフェロンγの測定法でクォンティフェロンを用いる場合は「ただし、サルのインターフェロンγを測定するためにはこれを使うこと」というただし書がつく形でこのキットを使うことになるのでしょうか。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 3ページのインターフェロンγ遊離試験キットの説明、2種類のキットがあるけれども、それぞれ違いがあるというところで、その違いの説明をどこかにただし書するのかというところですか。
 まず、その点、事務局からいかがでしょうか。
○横田感染症情報管理室長 事務局でございます。
 森川委員から御指摘のあった点ですけれども、実際にこのクォンティフェロンTBゴールドプラスのほうは、キットそのままというわけではなくて、サル用のインターフェロンγを測定できるELISAキットと組み合わせて使用するということで、厚労科研の特研でも確認が行われているところでございます。ただし、届出基準にあまり具体的な製品名等を書くのはほかとの並びで細か過ぎるところもございますので、今、御指摘のあった部分に関しましては、別途この改正時の通知などにおいて詳細を示す形で対応をさせていただければと考えているところでございます。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 サル用のツベルクリンが生産停止になったということは、それほど需要はないのかという印象もあるわけですけれども、このサルの結核の届出がどの程度あるのかと、これから使うキットは需要に見合うだけの量がきちんと供給されるのかというところはいかがでしょうか。
○横田感染症情報管理室長 御質問ありがとうございます。
 最初のサルの結核の届出件数でございますけれども、それほど多くなく、最近ではゼロの年もあれば、あっても数件程度という形が続いているところでございますので、件数としては非常に少ない状況でございます。
 キットですけれども、1つ目のPrimagamは外国からの輸入になると聞いていますが、国内でサーモフィッシャーサイエンティフィック社が取り扱っているということなので、それなりに確保はできるのかと思いますし、2つ目のクォンティフェロンTBゴールドプラスのほうはヒト用のキットということでございますので、こちらは供給のほうは問題ないのかと考えているところでございます。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。それほど問題ないのかという気はいたしますが、皆様、特に御意見はないですかね。
 ありがとうございました。
 そうしましたら、こちらも御報告いただいた方法で進めていただくことにさせていただきたいと思います。
 用意した議事は以上になってしまうのですけれども、委員の皆様から何か追加で言い忘れた等のことがあればお話ししていただければと思いますけれども、いかがですか。特によろしいですか。
 四宮委員、お願いします。
○四宮委員 愛媛衛研の四宮といいます。
 今回の議題に直接関係はしていないのですけれども、今回の議題の1のように、ある程度将来を踏まえた議論のときに、新型インフルエンザというと、現行のインフルエンザではない将来発生するインフルエンザということになるわけですけれども、新型コロナに関しては、現在というか、COVID-19を意味するものと将来発生する新種のコロナウイルス感染症の両方の意味が日本語では出てしまうのですけれども、5類に移行した新型コロナウイルス感染症に関しては、将来的には何か名称の変更ということは議論としてはあるのでしょうか。
○脇田部会長 四宮先生、ありがとうございます。
 確かに5類に移行するときに、もはや新型ではないと。つまり、ポピュレーションイミュニティーですね。免疫を有していない感染症ではないので、新型という名称が適切なのかという議論があったわけですけれども、それで新たにコロナウイルス感染症、新規のものが来たときに新型コロナという形になるというところで、名称について今後検討されるや否やというところの問いかけだと思うのですけれども、事務局でお考えがもしあれば御説明いただけますか。
○杉原エイズ対策推進室長 事務局でございます。
 新型コロナウイルス感染症の名称につきましては、昨年、この5類に移行するタイミングで一度御議論いただいたところでございますが、名称が定着しているということがございまして、それで、名前自体はそのまま残した形で、COVID-19に関しては(COVID-19)という形で、当時の武漢で発生したという長い文章がついているものがいわゆる5類の新型コロナウイルス感染症で、新型インフルエンザ等感染症の中の新型コロナウイルス感染症は枠組みとしては残っている形なのですけれども、おっしゃるとおり、今後どういったタイミングでそういうことを考えていくかということもございますが、今後の検討課題ということで、前回も今後改めて考えるということで止まっています。この部会で改めて検討する形になると思いますが、その時期等はまだ分からないところではありますけれども、このままで行くのかどうなのかも含めまして、改めて御相談させていただく機会があるかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 四宮先生、よろしいですか。
○四宮委員 どうもありがとうございました。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 時間が早いのであれなのですけれども、そのほか、いかがでしょうか。
 ありがとうございました。
 事務局に議事をお返ししたいと思います。
○杉原エイズ対策推進室長 どうもありがとうございました。
 本日の委員の皆様の御意見を踏まえまして、進めさせていただければと思います。
 この後、当方で記者ブリーフィングとして議事の概要を説明させていただく予定としております。
 次回については、事務局より改めて御連絡させていただければと思います。
 本日はお忙しい中御出席いただきまして、どうもありがとうございました。
○脇田部会長 ありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。