第200回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

日時

令和5年12月13日(水)15:00~17:00

場所

会場
厚生労働省 職業安定局第1会議室及びオンライン
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階公園側)
傍聴会場
厚生労働省 政策統括官大会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館11階公園側)

議事

議事内容
2023-12-13 労働政策審議会職業安定分科会(第200回)
○山川分科会長 それでは定刻になりましたので、ただいまから、第200回「労働政策審議会職業安定分科会」を開催いたします。
 皆様方、大変お忙しい中、御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 議事に先立ちまして、本年9月に職業安定分科会の労働者代表委員として、日本基幹産業労働組合連合会事務局長の石橋学委員が就任されておられます。今回初めての御出席となりますので、一言御挨拶をお願いいたします。
○石橋委員 皆さん、こんにちは。今ほど御紹介いただきましたが、今回初めて参加させていただきます石橋といいます。どうぞよろしくお願いします。
○山川分科会長 よろしくお願いいたします。
 本日の委員の御出欠ですが、公益代表の阿部委員、使用者代表の小阪委員、砂子田委員、小野委員、馬渡委員が御欠席と伺っております。
 事務局では、石垣審議官が公務のため、20分程度遅れての御出席ということです。
 それでは、カメラ撮影はここまでとさせていただきます。よろしくお願いします。
 本日の分科会は、ZOOMによるオンラインと会場での開催となります。オンラインでの発言方法等につきましては、事務局から事前にお送りしております。「職業安定分科会の開催参加方法について」に沿って御操作をお願いいたします。
 それでは、議事に入ります。議題の1は雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱についての諮問となります。事務局から説明をお願いします。
○尾田雇用保険課長 雇用保険課長の尾田でございます。
 本日、資料1-1で省令案要綱と諮問文を載せております。説明につきましては、恐縮ですが、資料1-2で御説明させていただきたいと思います。
 おめくりいただきまして1ページ目でございますが、(1)と(2)がございまして、今回この2つの項目がございます。
 まず(1)についてでございます。さらに恐縮でございますが、4ページ目を御覧いただきたいと思います。
 まず1つ目の改正は高年齢雇用継続給付の関係の改正でございます。高年齢雇用継続給付は、60歳以上の方について、それ以前に比べて賃金が75%未満に低下された場合に、今お受けになっている賃金の一定割合を給付として行うというものでございます。
 中ほどにございますが、現在の給付率は賃金の15%となっております。これについては、令和2年の法改正におきまして、令和7年度以降、この給付率を10%にするという改正が既に決められております。
 右の図がその概念図でございますけれども、賃金に対して15%を掛けた額が給付ということで、中ほど、色のついたところがそれを表しております。現行ですと、従前賃金の61%から75%の水準に至るまでのところが、給付率が15%から徐々に逓減する率を適用するということになっております。
 今回これを10%に改正するということで、具体的に今回の省令はここの逓減する給付率を規定するものでございます。
 お戻りいただきまして2ページ目を御覧いただければと思います。2ページ目の枠囲みでございますが、省令で規定しておりますのが、今申し上げた逓減給付率でございます。そこに数式がございますけれども、具体的にそれが何を指しているかというのは、まず下の図を御覧いただければと思います。
 まず、マル1というのが従前賃金の75%相当額を指しております。マル2というのが今お受けになっている賃金の額を指しております。マル3というのが、給付額と賃金額を合わせた額とマル1との差額でございます。マル2と給付額とマル3を足すと1になるという構造の中で、先ほど枠囲みの中にございますとおり、マル1からマル2、マル3を引いたもの、これが給付額でございますが、それを賃金額で割ることで、逓減給付率が出るという構造でございます。
 具体的にここの枠囲みにございますとおり、マル1、マル2は、今申し上げたとおり、それぞれ従前賃金の75%、賃金の額ということでございますが、マル3がどうやって算出されたかということを次の3ページ目で図示しております。これは今御覧いただいた図の一番上の75%前後の部分を拡大した部分でございます。
 まず、大きな三角形と小さな三角形がございますけれども、大きな三角形の左辺、短辺が、従前賃金の75%と70.4%の間の幅でございますので、×46/1000となっております。その大きな三角形の上辺が上にございますが、従前賃金×75%と64%の差額、すなわち、×11/100となっております。
 一方で小さい三角形は、短辺、左辺のほうがマル3で、これが出したい額、上辺のほうが従前賃金の75%相当額から現在の賃金額を引いたもの、こういう関係にございます。
 出したいのはマル3でございますので、下の式のように、マル3=大きな三角形の短辺であります従前賃金×46/1000、それに相似比を掛けることによりまして、このマル3を算出する、これでマル3が出てくるという関係にございます。
 お戻りいただきまして2ページ目でございますが、これがここの枠囲みに書いておるマル3でございます。この結果を上の式に当てはめることによって逓減給付率が出てくるということでございます。
 今回の改正では、省令でこの具体的な数字の部分を書き換える必要がございますので、その旨の改正をするということでございます。
 以上が1点目の改正でございます。
 2点目でございますが、1ページ目にお戻りいただきまして、最後のほうの(2)というところで書いております。教育訓練給付という雇用保険の制度がございまして、そちらの給付を申請される際には、原則、本人が申請書と添付書類を併せまして、ハローワークに来所して提出いただくということになっております。
 ただし、現行、疾病又は負傷、その他やむを得ない理由がある場合には、郵送又は代理人、さらにはオンラインによる申請ということも可能になっております。
 今般、ここの※2)でございますが、夏の閣議決定におきまして教育訓練給付についてはオンラインを活用して受給までの効率化を図るとされたところでございますので、今、限定的に認めておりますオンライン、郵送又は代理人による申請手続、これを例外なくどのような場合でも認めるということにしたいと考えております。
 この関係で、今、省令で定められている様式の裏面で、疾病又は負傷、その他やむを得ない理由に限って、郵送、代理人が可能という旨の記述ある様式が4つほどございますが、そこを削除するという改正を今回させていただきたいと思っておりまして、その旨の改正でございます。
 以上が今回の改正内容でございます。
 3ページ目の一番下を御覧いただきますと、まず、公布は2月上旬にしたいと思っております。その上で、1点目の高年齢雇用継続給付の関係は、法律上の高年齢雇用継続給付の給付率の見直しの施行と併せまして、令和7年4月1日の施行、2点目の様式の改正は公布日施行ということとさせていただきたいと思っております。
 この内容につきましては11日の雇用保険部会で御審議いただきましたが、特段の異論なく、おおむね妥当という形で御了承いただいたところでございます。
 以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、本件につきまして、御質問、御意見等がありましたら挙手していただくか、または、ZOOMで参加の方は「手を挙げる」ボタンをクリックしていただいて、こちらで指名させていただいた後にお名前をおっしゃってから御発言をお願いいたします。御質問、御意見等ございますでしょうか。
 石橋委員、お願いします。
○石橋委員 御説明ありがとうございました。先ほど事務局から御説明いただいたように、既に雇用保険部会において労働側委員からも発言させていただいておりますが、高年齢労働者の処遇改善に向けて取り組む事業主への支援やハローワークにおける高年齢者への支援強化などについても併せて講じていただくとともに、労働者及び事業主に対する周知をぜひよろしくお願いしたいと思います。
 なお、諮問内容についての特段の異論はございません。
 以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見等ございますでしょうか。
 新田委員、お願いします。
○新田委員 経団連、新田でございます。
 御説明ありがとうございました。今の諮問内容については異論ございません。ただし、(1)の高年齢雇用継続給付に関しては、やはり実務面での影響が非常に大きいと思っております。既に改正されてから一定の時間が経過しているので、ある程度周知は進んでいるとも思っております。一方で、この改正が決まったのは結構前なので、改めて周知徹底をお願いしたいと思います。
 (2)の教育訓練給付の部分については、教育訓練給付を受けられる方の利便性に資するものと思いますので、この点についても異論はございません。
 私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見等ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 運用等に関する御要望がございましたけれども、事務局から何かありますか。
○尾田雇用保険課長 ありがとうございます。
 石橋委員、新田委員から、この10%の施行に向けた支援、周知といった点について御指摘がございました。その点につきましては、今回このような形で省令改正がなされたことでもございますので、しっかりと労使の皆様に再来年の4月からこのような制度になるということは改めて周知をさせていただき、円滑な施行ができるように努めてまいりたいと思っております。
○山川分科会長 ありがとうございました。石橋委員、新田委員、何かございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 運用について御要望がお二人からございまして、今、事務局から御説明いただきました。この諮問内容について特段御異議はなかったと理解しております。ということで、ほかにございませんでしたら、当分科会としては、厚生労働省案をおおむね妥当と認めて、その旨を私から御報告を申し上げるということとしたいと思います。このような方向で、何か御意見ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
(委員首肯)
○山川分科会長 では、報告文の表示をお願いいたします。
(報告文案 表示)
○山川分科会長 おおむね妥当という報告文案でございます。こちらで労働政策審議会会長宛てに報告するということで御異議ございませんでしょうか。
(委員首肯)
○山川分科会長 ありがとうございました。御異議ございませんでしたので、このように報告をさせていただきます。
 では、この議題につきましては以上となります。
 議題2ですが、雇用調整助成金についてでございます。こちらは佐々木雇用開発企画課長からお願いいたします。
○佐々木雇用開発企画課長 それでは、雇用調整助成金について御説明させていただきます。資料2を御覧いただければと思います。
 資料2、おめくりいただきまして、1ページから3ページ目までは前回までの分科会で出させていただいた資料で、その際御提示しました課題ですとか論点案、それから、9月22日の分科会での御意見を簡単にまとめさせていただいたものですので、適宜御覧いただければと思います。
 資料の4ページでございます。前回11月21日に御議論いただきました主な御意見を整理させていただいております。「対象となる教育訓練」のところでございますけれども、例えば教育訓練のうち何が対象になるのか分かりやすく示していただきたいというようなお話、それから、人材開発支援助成金や様々なほかの制度との関係性、それから、雇調金が教育訓練を促していく趣旨なども含めて分かりやすく丁寧に周知していくことが重要ではないかといったお話、それから、非正規雇用労働者への配慮、こういった御意見があったかと思っております。
 2つ目のところですが、「申請負担への配慮」というところでございます。不正受給防止は大事だけれども、煩雑な手続にならないようにしてほしいといったような御意見がございました。また、緊急時への対応ということで、緊急時の財源の話、財政面でしっかり安定的な財源を確保しておくべきではないかといったような御意見がこれまであったところでございます。
 資料の5ページ、これまでの御議論を踏まえまして、雇用調整助成金の見直しの方向性案というものをお示しさせていただきました。5点書かせていただいております。
 1つ目ですが、雇用調整助成金を長く受給した場合に、労働者のモチベーションや職業能力、労働移動に影響を与えるといった指摘を踏まえ、支給日数が30日を超えた場合には、教育訓練を選択することを促進する仕組みとしてはどうかという、これまでの大きな方向性をまとめさせていただいております。詳細な設計は次の○からになります。
 2つ目の○でございますが、教育訓練を選択してもらうよう、教育訓練を行う場合と行わない場合に差を設けてはどうか。教育訓練を一定割合実施しない場合には、現行の助成率、大企業1/2、中小企業2/3になりますが、こちらを大企業1/4、中小企業1/2に見直してはどうか。その実施割合でございますけれども、現在の教育訓練の実施状況を踏まえ、支給日数の1/10以上と設定することとしてはどうかと書いております。
 3点目でございます。教育訓練を行うことが企業にとっても労働者にとってもメリットがあるわけでございますけれども、教育訓練を支給日数の1/5以上実施する場合には、現在の加算額、1,200円となっておりますが、こちらを引上げ、1,800円としてはどうかと書かせていただいています。1,800円につきましては、様々な訓練にかかる費用などを参考にして試算させていただいたものになります。
 4点目でございますが、雇用調整助成金の対象労働者は雇用保険の被保険者となりますが、短時間で働く方などを教育訓練の対象にしやすくなるよう、教育訓練の対象となる時間数を、現行3時間以上としておりますが、こちらを2時間以上に引き下げることとしてはどうかと書いております。
 最後の5点目、教育訓練メニューの分かりやすさという指摘をたくさんいただいているところでございますが、活用できる教育訓練メニューとして、公的機関などが行っているものを含め対象となり得るものをできるだけ具体的に示すべきではないか。また、現在、対象除外としているものについても考え方を再整理した上で分かりやすく示すべきではないかと記載させていただいております。
 こちらを本日御意見賜れればと思っております。
 資料の6ページは、その見直しの方向性に沿ってイメージを図にしたものになります。判定基礎期間ごとに支給の申請、支給決定を実施しておりますので、黄色の矢印になりますが、休業等が30日、こちらを超えた判定基礎期間が終了した次の判定基礎期間から、下の緑のところになりますけれども、判定基礎期間における支給日数の1/10以上教育訓練を実施した場合には、従来の助成率を適用する(大企業1/2、中小企業2/3、また加算については1,200円)、実施率が1/5以上の場合には加算額を1,800円にするということを書いております。
 上記以外の場合として、教育訓練を1/10以上実施しない場合ということになりますが、その場合の助成率は大企業1/4、中小企業1/2になるということになります。
 資料の7ページは前回おつけした資料で、現在の教育訓練の概要をまとめたものになりますので、適宜御参照いただければと思います。
 資料の8ページは、前回の分科会の際に累次の人材開発支援助成金、教育訓練給付制度との違い、そういうものを整理してほしいという御意見がありましたので、簡単ですが、まとめさせていただいております。
 雇用調整助成金、人材開発支援助成金、教育訓練給付制度と並べておりますが、雇用調整助成金と教育訓練給付制度の違いとしましては、最初の「概要」に書いているところでございますけれども、教育訓練給付制度については労働者の主体的な能力開発を支援するものになります。一方で雇用調整助成金については、事業主が行う教育訓練に対する支援ということになります。雇用調整助成金と人材開発支援助成金の違いになりますが、雇用調整助成金は、利用できる場合というのが限定されておりまして、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主に当てはまる事業主が利用できるということになります。
 資料の9ページ以降は前回おつけした資料になりますので、こちらも適宜御参照いただければと思います。
 簡単ではございますが、資料の説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、本件につきまして御質問、御意見ございましたら、先ほどと同様の方法で御発言をお願いいたします。御質問、御意見ございますでしょうか。
 大下委員、どうぞ。
○大下委員 商工会議所、大下です。
 御説明ありがとうございます。助成率の引下げ等いろいろ議論あるかと思いますけれども、基本的に、見直しの方向性案に大きく異論はありません。ただ、想定するに、30日超えて従業員に休業を強いなければならないという事業所は、恐らく業況が行き詰まっている状況というのが想定されて、その際に、ヒアリングでもありましたけれども、では従業員にどのような教育訓練を受けさせるか、といったときになかなか具体的にイメージしづらいという部分も出てくるのではないかと思います。
 助成率引下げが単にペナルティではなくて、きちんと教育訓練の動機づけになっていくためには、これまでも申し上げましたけれども、ハローワーク等でしっかり訓練メニュー等を御案内いただくということはもちろんですけれども、そこで経営者が選び切れないということを考えると、例えば中小企業庁の政策で実施している伴走型での支援等ともしっかり連携していただくということも必要ではないかなと思います。
 恐らく、経営者に寄り添いながら支援を行っている専門家であれば、その企業の経営課題に合わせて、こういう講座を従業員に受けていただくのもいいのではないでしょうかと御助言いただくことも可能ではないかと思います。省庁またいでの連携というのはなかなかハードル高い部分もあるかもしれませんが、各地域においてハローワークの窓口と事業者に身近な経営支援機関と連携して取組を進めていくことも視野に入れて御検討いただきたいと思います。
 私から以上です。ありがとうございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。ただいまの点につきまして、何か事務局からございますか。
○佐々木雇用開発企画課長 様々な機関と連携しながら、教育訓練をしっかりできるようにしていく体制をつくっていくことは大事だと思っておりますので、この見直しの方向性で御了解いただいた後、周知や連携の方策についてはしっかり検討していきたいと思っております。
○山川分科会長 大下委員、特段何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
○大下委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 それでは、ほかに御質問、御意見がありましたらお願いいたします。
 冨高委員、どうぞ。
○冨高委員 ありがとうございます。
 今回具体的な助成率の見直しの数字が示され、教育訓練を実施しない場合は引下げることが提案されています。教育訓練が行われることはもちろん重要ですが、現在の休業中の教育訓練の実施割合が低いことや、前回も申し上げましたが、地域や時期によって訓練メニューの充実度合いの違いから訓練が実施できず、その結果、助成率が引き下げられ、雇用維持の余力がなくなり、結果として雇用のセーフティネット機能の後退につながってしまうのではないかと懸念されるところでございます。
 ただし、前回の「原則とする」というような書きぶりから、「促進する」という、より前向きな、積極的な表記に変わったことや、教育訓練の実施割合を支給日数の10分の1以上とすることで、事業主がなるべくこの教育訓練を利用しやすくすること、また、加算の部分の引上げは雇用のセーフティネットの機能と教育訓練の実施の両立を目指したものとして一定理解するところでございます。
 また、今回短時間で働く者を考慮して、加算の対象となる訓練を「2時間以上」に引き下げることは、非正規雇用で働く方の教育訓練の促進にもつながるものと理解します。ただし、今後、教育訓練が本当に促進されるためには、訓練メニューの分かりやすさや選択しやすさが肝になると思いますが、若干、今の書きぶりだと、その点が見えにくいのではないでしょうか。
 先ほど大下委員からも御発言がございましたが、とりわけ中小企業においても教育訓練を選択しやすくする工夫が不可欠であり、分かりやすく実施しやすい訓練講座の設定、例示などに加えて、幅広く認定できるように対象外の規定の見直しも併せて検討ことが必要ですし、事業主が実施割合の所定の日数以上の教育訓練を実施しやすくすることが重要だと思います。
 例えば地方自治体や労働局などの公的機関による教育訓練や講座に加え、各種団体が行う、近年重要度が高まっているワークルールや、ビジネスと人権などのセミナー、ワークショップも講座として認定するなど、より実施、実行しやすいメニューをそろえ、より具体的に示していただくことが重要と考えます。
 以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。御意見ということかと思いますけれども、事務局のほうから何かございますか。
○佐々木雇用開発企画課長 教育訓練の分かりやすさについては、分科会で多くの委員の方から御指摘いただいているところでもあります。今、どういうものを対象にしていくかということは整理を試みておりますので、追ってお示しして、御助言いただければと思っております。また、対象外の教育訓練も、現在の実情も踏まえて、事業主が取り組めるような形で少し整理できればと思っております。
○山川分科会長 よろしいでしょうか、冨高委員。
○冨高委員 (首肯)
○山川分科会長 では、もし材料といいますか、資料がありましたら、また今後ということでよろしくお願いいたします。
 ほかにはいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 ございませんでしたら、今日のところは、本題は以上としたいと思います。本日いただきました御意見等も踏まえて、引き続き次も議論することとしたいと思います。
 では、議題の3つ目です。2023年度の年度目標に係る中間評価についてということで、事務局から説明をお願いします。
○吉田雇用政策課長 事務局でございます。雇用政策課長の吉田でございます。よろしくお願いいたします。
 議題3、2023年度の年度目標に係る中間評価について、資料3-1と3-2で御説明いたします。
 3-1につきましては今年度からお出ししておりますが、各月ごとの進捗状況でございます。左から項目名、そして、前回9月22日の当分科会で御議論いただいて決定しました23年度の目標、そして、今回の中間評価の対象となる4~9月、上半期の実績の累計、そして各月の実績と並んでおります。
 そして、目標とこの各月、4~9月の累計を比べていただきますと、進捗状況、お分かりいただけるかと思いますが、具体的に項目で言いますと、1番と4番と6番のうち実践コースについて、年度目標に対して進捗状況がちょっと遅れているというところであります。その他については順調に推移しているということ。そして、マル8については、この上半期に実績がなかったために、実績なしという表記となっております。
 個別の事項につきまして、資料3-2に基づいて御説明いたします。
 資料3-2でありますが、3ページ目をお開きください。上のほう、マル1、ハローワーク求職者の就職率という事項でございます。1つ目のポツにありますように、中間評価の対象であります今年度上半期のハローワーク求職者の就職率は26.0%と目標を下回る結果となっております。
 なお、この間の新規求職申込件数や就職件数は前年同期比で大体2%ずつ落ちている状況でございます。その要因でございますが、3つ目のポツにありますように、コロナ前、就職件数が多かった事務的職業、サービス職業といったものはコロナで大幅に減少、そして、今、回復傾向にございますが、就職件数は伸び悩んでいるという状況でございます。これについては、求職者の方が応募する求人を吟味する、そして厳選するという傾向が続いていることが要因ではないかと分析しております。
 今後につきましてですが、求職者ニーズの高い求人の確保、求職者が応募しやすい条件設定、求人票記載内容の充実といった面での助言指導など、求人側へのアプローチのほかに、求職者側に対しては、ハローワークのサービスの利便性等の周知など行って、マッチング機会を拡充するということであります。
 加えて、労働局やハローワークでの効果的な取組、好事例については全国的に展開できるように横展開するということを考えております。
 なお、参考でございますが、各月ごとについて前年同期比との比較を載せておりますが、昨年を若干上回る状況で推移しておりますので、目標達成に向けてしっかりと頑張っていきたいということでございます。
 続きまして、3ページ下のマル2、人材確保対策コーナー設置ハローワークにおける人材不足分野の充足数ですが、こちらは、15万3,410人という年度目標に対して、上半期で50.8%の水準を達成しております。引き続き、求人者に対する各種の助言・指導や都道府県、業界団体と連携した職場見学会等のイベントの活用によるマッチング機会の拡充を図ってまいりたいと思います。
 続きまして4ページ目、マザーズハローワーク事業についてでございます。こちらについては、重点支援対象者の就職率を目標としておりますが、その就職率は上半期の57.2%と年度の目標を上回っているところであります。引き続き、オンラインを活用した就職支援セミナーなどや子育て中の女性が仕事と子育てを両立しやすい求人確保に取り組んでまいりたいと思います。
 同じページの下、マル4、雇用保険受給者の早期再就職割合であります。こちらにつきましては、上半期の割合は33.0%と年度目標を下回る結果となっております。
 要因につきましては、ハローワーク全体の傾向であるマル1とかぶるわけですけれども、5ページの参考表にありますとおり、各月において昨年の同期比を上回る状況で推移しております。また、雇用保険の受給者の方、定期的にハローワークにいらっしゃるわけですので、そうした機会を捉えて、適切なマッチング支援に取り組んでいきたいということ。そして、労働局・ハローワークの効果的な取組の横展開など、マル1と同様な施策を行って目標達成に向けて頑張りたいということであります。
 同じページのマル5、就職氷河期世代の専門窓口における支援対象者の正社員の就職率でありますが、こちらは上半期の実績が60.8%と年度目標を上回る結果となっております。引き続き求職者のニーズを踏まえた取組を実施し、対象者の方への支援に一層取り組んでまいりたいということであります。
 マル6、求職者支援制度における受講者の就職率であります。こちら、目標が2つございまして、1つ目の文章にありますとおり、基礎コース、実践コースと2つある中で、基礎コースは62.3%、実践コースは61.8%となっております。こちらの指標として4~6月までしか取れておりませんが、これは、求職者の方、訓練を終了した方がさらに就職する場合ということで、若干ほかに比べて短いスパンでの実績でありますが、こちらについては、目標を基礎コースではクリアーしている状況ですけれども、実践コースでは目標を下回っているという結果であります。
 この要因については、マル1のハローワーク全体の傾向と同様に、やはり求職者の方が求人を吟味して厳選するといった求職活動期間の長期化の動きがあるのではないかということでございます。
 他方、6ページの表にありますとおり、各月ごとの推移を見ますと、昨年の同期比を上回る状況で推移しております。引き続き担当者制によるきめ細かな就職支援など、求人部門と職業訓練部門が連携して支援していくということを徹底したいと思います。また、訓練実施機関に対して、一定の就職率を上回ったらインセンティブといった制度もありますので、こうした仕組みも通じて就職率の向上に取り組んでまいりたいと思います。
 6ページにまいりまして、マル7、生活保護受給者等就労自立促進事業の支援対象者の就職率については、上半期の実績は年度目標を上回る結果となっております。引き続き地方公共団体と緊密に連携しながら、就業支援に取り組んでまいりたいと思います。
 続きまして労働移動関係の事業であります。7ページのマル8、労働移動支援助成金による再就職者に係る早期再就職の割合であります。こちらにつきましては、冒頭申し上げましたとおり、対象期間中に支援対象となる事業者がなかったことから、実績を計上できておりません。本メニューは再就職援助計画の認定を受けた事業者が対象になりまして、計画認定後、支給支援を行って、就職した後に助成金を申請するという流れになることから、最大で1年近くの期間を要するものとなります。
 今般の上半期の評価の対象となるものは、専ら令和4年度に計画認定を受けた事業所となりますが、令和4年度に計画認定を受けた事業所は、まず水準として過去2番目に低いものであったということ、そして、その後、事業所の一部閉鎖ではなくて、倒産などという形で事業所がなくなってしまったことが多かったことから、助成金の活用に至らなかったということが考えられます。
 離職を余儀なくされる方への支援につきましては事業者の務めであるということから、こうした内容を盛り込んだリーフレットを新たに作成して、周知を引き続き働きかけてまいりたいと思います。
 続きまして項目9であります。産業雇用安定センターによる出向・移籍の成立率であります。こちらにつきましては、率としては70.5%と今年度の目標を上回る結果となっております。引き続き、送出企業や受入企業の情報収集、開拓やキャリアコンサルティングを通じた丁寧な職業相談を行っていくということであります。
 最後、高齢者と外国人であります。9ページの下、項目10、生涯現役支援窓口でのチーム支援による就職率であります。こちらは年齢でおおむね60~64歳と65歳以上の層で目標が変わっておりますが、それぞれで目標を上回る結果となっております。引き続き、支援チームによる支援、適切に取り組んでまいりたいということであります。
 項目11、シルバー人材センターにおける会員の就業数であります。こちらは6,400万人日という数値目標に対して、進捗としては50.1%の水準となっております。また、項目2つ目にありますとおり、シルバー人材センターの会員数が前年の9月末時点から0.4%減少しているということであり、また、就業者についても前年同期で2.4%減少しております。これは会員の平均年齢が上昇する中で、センターが提供しようとする仕事が必ずしもマッチしないというところもありますが、シルバー人材センターの周知・広報を強化して、オンラインでの入会手続や仕事の受注を拡大するなどにより会員数や受注件数の増加を図るといった取組を進めてまいりたいと考えております。
 最後、外国人の関係であります。外国人につきましては指標が、外国人雇用サービスセンターを経由した就職件数、そして留学生コーナーの就職件数、2つございますが、いずれも50%を上回る水準となっております。引き続き着実に取組を進めてまいります。
 私からの説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 ありがとうございました。昨年より少し早めの時期の中間報告ということになりました。本件につきまして御質問、御意見がありましたら、先ほどと同様の方法で御発言をお願いいたします。御質問、御意見等ございますでしょうか。
 平山委員、お願いします。
○平山委員 平山です。
 御説明ありがとうございました。まず、2023年度の年度目標に関わる中間評価について、目標に対して進捗が届いていない項目もあるということでしたが、全体的には前年を上回る実績というところで、その点については評価ができるのではないかと捉えております。
 その上で2つ申し上げます。1.の、ハローワークにおける人材の確保の項目で、未達が多くなっています。このことについて、求職者が吟味する傾向という記載があり、その点については理解いたしますが、まずはハローワークに来所する機会を増やすことが重要だと考えております。
 それからもう一点、以前、本分科会におきまして、ハローワークの業務改善コンクールについて御報告いただきました。SNSの取組や、障害のある方へのガイドの作成など、各所による来所促進のためのよい取組があったと記憶しております。ぜひ事例紹介にとどめることなく、各所とも同様に取り組めるような支援をお願いするとともに、ハローワークにおけるコンサルティング機能を向上させて、その周知に努めていただくことをお願いさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、新田委員、お願いします。
○新田委員 御説明ありがとうございました。記憶が間違っていなければ、今年の2月の分科会において私から、年度の中間評価がこのように遅いタイミングだと、ほとんど意味がないということで、ぜひ見直しをとお願い申し上げたと思います。先ほど山川分科会長から、「今年は少し早くなった」というお話がありましたが、大分早くまとめていただいたことにまずは感謝を申し上げます。これぐらいのタイミングで中間評価を出していただくと、その内容を踏まえた上で、年度の目標の達成に向けて必要な見直し等も十分行えると思いますので、ぜひ来年度以降もこのようなタイミングで適切に対応していただくとともに、評価内容についてもぜひ自発的にブラッシュアップをしていただければと思います。
 資料3-1、3-2を見ますと、非常に上手に整理していただいて、進捗状況も非常に分かりやすくなったと受け止めています。ぜひこの方向で引き続き進めていただければと思います。
 資料3-2の中間評価のシートを見ると、一部下回っているものはありますけれども、おおむね達成が見込めるペースで推移していると理解しています。改めて、関係者各位の御尽力に感謝申し上げます。今年度の最終的な評価のとりまとめに向けてさらなる取組を引き続き進めていただければと思います。
 加えて、中間評価の段階でやや気が早い気もいたしますが、来年度の目標設定ということもにらみながら、今後はコロナ禍の影響も随分なくなってきますので、そういったことを踏まえた目標の設定の検討を改めてお願いします。
冒頭申し上げたとおり、このタイミングで、中間評価をとりまとめていただいたことに改めて感謝を申し上げます。
 私から以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。少しというのはちょっと遠慮がちであったかもしれません。ほかに御質問、御意見等ございますでしょうか。
 お二人の委員から御意見いただきましたが、事務局から何かございますか。
○國分首席職業指導官 首席職業指導官、國分と申します。
 平山委員のほうから、ハローワークの職業紹介、人材確保、それから業務改善についての御指摘をいただきました。ハローワークの紹介、就職率、目標をやや下回るペースで推移しておりますけれども、ここに書かせていただいておりますとおり、各ハローワークにおけるいい取組を積極的に横展開していくということで考えておりまして、ただ、こういう事例がありますよということだけではなくて、毎月オンラインで勉強会を開催しております。大体全国から100人ぐらい参加してやっておるのですけれども、そういった中で具体的な課題とか効果とか、そういったところをより具体的に、事例をただ文書で流すというだけではなくて、お互いに意思疎通、コミュニケーションを図りながら取り組めるように進めてまいりたいと思っております。
 いずれにしましても、目標達成に向けて引き続き尽力してまいりたいと思います。1点目、平山委員の御指摘についての御回答になります。よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 平山委員、何かございます。
○平山委員 ありがとうございました。よろしくお願いします。
○山川分科会長 ほかに御質問、御意見等ございますでしょうか。
 どうぞ、事務局から。
○吉田雇用政策課長 雇用政策課長、吉田でございます。
 今、2つ目、新田委員からの御意見につきまして、評価の仕方などについてのコメント、ありがとうございました。引き続き、見やすくなったと言っていただきましたので、引き続きこのような形で、なるべくシンプルに分かりやすいシートをつくってまいりたいと、また来期の目標についても言及ございましたが、まず下期しっかりやった上で、来期の目標をチャレンジングというお言葉のとおりできるかどうかもやってみたいということでございます。引き続きよろしくお願いいたします。
○山川分科会長 新田委員、特に何かございますでしょうか。
○新田委員 引き続きどうぞよろしくお願いします。
○山川分科会長 ありがとうございます。ほかに。
 どうぞ、局長から。
○山田局長 今現在、中途採用に関して言うと、ハローワーク経由で就職した人というのは、民間人材ビジネス、民間の職業紹介機関全体の3倍ぐらいのボリュームがあります。そこのところは、ある意味、人材業界の中でガリバー企業的な存在であるということはちゃんと自覚して、我々がきちんと機能しないと労働市場が回らないということはよく自覚して、ちゃんとしていかなければいけないと思っています。
 あと、ハローワークの利用者というのは、実際は失業給付を受給するためにハローワークに来ている人というのは全体の3~4割で、残りの6~7割はハローワークに来る義理はない、自発的にハローワークを選択して来ている人たちということで、その中にはいろいろなタイプの人がいます。民間人材ビジネスがこれだけある意味機能している中であっても、ハローワークに別に来なくても何とかなる人もそこそこいるのに、実際の利用者の半分以上は失業給付とは何の関係もない人たちということなので、そういう人たちの思いをどこまで受け止められるかということについては、例えば障害者の場合でも、今、民間人材ビジネスが仲介しているケースが多いですけれども、今実はハローワークに来ている障害者の利用者の半分以上が精神障害者の人たちです。
 やはり精神障害者の人たちはかなり厳しい状況ということは昔と余り変わらずありますので、障害者の例を取ってもそういうことでありますし、そこはハローワークが一定期待されている部分だろうと思いますので、先ほど申し上げたように、全国にハローワークは400、500ある中で、よい事例は、毎月のようにそういった事例を横展開していくということはしっかりして、別にそれぞれのハローワーク、競合関係にはないので、どんどんいいところをまねしてもらえれば全体のパフォーマンスが上がっていくと思いますので、大体目標達成できたからまあいいかという話ではなくて、さらに上を目指していきたいと思っています。
 以上です。
○山川分科会長 よろしくお願いします。ほかに御質問、御意見等ございますでしょうか。
 それでは、本日のところ、追加の御意見ございませんでしたら、以上にさせていただきたいと思います。ただ、各委員におかれましては、本日御指摘のありました点以外にもし追加で御意見がございましたら、事務局からお送りしました意見記入用紙を用いて、12月22日の金曜まで、事務局までメール等で御提出をいただければと思います。
 こちらの2023年度の当分科会としての中間評価につきましては本日いただきました議論、それから追加で御提出いただきました御意見を踏まえまして、おおむね通例となっているかと思いますけれども、私と事務局とで相談してまとめさせていただきたいと思っておりますが、そういう取扱いでよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○山田局長 逆に、今いただけると、ちょっと気が早いですけれども、令和7年度の予算編成が、来年の夏には概算要求しなければいけないことになっていますので、そういうのでも、いただいた御意見、反映できる部分もあろうと思いますので、積極的に御意見いただければなと思います。
○山川分科会長 どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、先ほど申し上げたようなことで進めさせていただきたいと思います。
 本日予定しておりました議題は以上でございますけれども、そのほかに、この際ということで委員の皆様から御発言等ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、本日の分科会はこれで終了いたします。大変お疲れさまでした。