第34回厚生科学審議会臨床研究部会 議事録

医政局研究開発政策課

日時

令和6年1月31日(水) 10:00~12:00

場所

AP虎ノ門11階

議事

議事内容
議事内容

○医政局研究開発政策課治験推進室室長補佐 それでは定刻になりましたので、ただいまから「第34回厚生科学審議会臨床研究部会」を開催いたします。本日は、昨年度から引き続きWebで開催いたします。会議全体でのお願いとなりますが、Webで参加されております委員の皆様におかれましては、御発言される前にシステムの機能から「参加者リスト」を表示していただき、「手を挙げる」ボタンをクリックしてください。部会長の指名を受けてから、マイクのミュートを解除して御発言いただきますようお願いいたします。また御発言終了後は、再度マイクをミュートにするとともに「手を挙げる」ボタンを再度クリックし、手を下げた状態にしてくださいますようお願いいたします。会議中に接続トラブル等が発生しましたら、事前にお送りしておりますWebのマニュアルに記載している連絡先に御連絡ください。注意事項は以上となります。
本日は藤原康弘委員、掛江直子委員の2名から御欠席の連絡を受けております。部会数の定数14名に対しまして12名の委員に御出席いただいておりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。
続きまして、事務局の人事異動がございます。昨年7月に、医薬産業振興・医療情報審議官に就任しておりましたが、前回の会議では用務のため欠席させていただき、今回が初めての出席となりますので、御紹介させていただきます。本日オンライン参加となります医薬産業振興・医療情報審議官の内山でございます。
○医政局医薬産業振興・医療情報審議官 内山でございます。よろしくお願いいたします。
○医政局研究開発政策課治験推進室室長補佐 ありがとうございます。続きまして、本日の会議資料についてです。会場参加の委員の皆様におかれましては、お手元のタブレットの操作をして御覧ください。Webで参加されている委員の皆様におかれましては、事前に送付しております資料、あるいはWeb上で資料を投影いたしますので、そちらを御覧ください。資料は、資料番号1番から6番、参考資料は1番から3番となっております。お手元で不足等がございましたら、事務局宛にお申し付けください。
円滑な議事進行のため、撮影はここまでとさせていただきますので御協力よろしくお願いいたします。以後の進行につきましては、楠岡部会長にお願いいたします。
○楠岡部会長 おはようございます。部会長の楠岡でございます。本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。では早速ですが、お手元に配布しております議事次第により議事を進行いたします。まずはじめに議題1「認定臨床研究審査委員会」についてでございます。事務局より説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課治験推進室室長補佐 画面を共有させていただきます。それでは資料1「認定臨床研究審査委員会」についての御説明をさせていただきます。こちらの資料は、前回第33回臨床研究部会におきまして、認定臨床研究審査委員会の数と審査の質についてまとめるよう御指示いただいておりましたので、そちらをまとめたものになります。まず現在の状況を御報告させていただき、その後今後の検討事項について御審議いただきたく思います。
2ページを御覧ください。認定臨床研究審査委員会(CRB)の更新要件につきましては、「臨床研究法施行5年後の見直しに係る検討の中間取りまとめ」の方針に基づき、令和4年4月1日に臨床研究法施行規則を改正いたしました。改正内容といたしましては、改正前は開催回数が毎年11回以上のみであったところ、改正後は、開催回数を毎年7回以上かつ新規の審議件数3年間で6件以上(ただし毎年1件以上)としております。併せて、過去に発出した事務連絡を廃止し、改めてCRBの更新に関する考え方を示した事務連絡を令和4年3月31日に発出しております。この事務連絡につきましては、本資料の8ページに参考資料として付けております。廃止した事務連絡のうち、今回の検討に特に関わる事務連絡を1つ御紹介させていただきます。令和2年11月17日に発出した事務連絡です。
9ページにその内容を掲載しております。この廃止された令和2年の事務連絡は、法施行3年後の令和3年1月から、CRBの順次更新の申請等が見込まれていたところ、業務の円滑化の観点からCRBの対応事項等について整理したという内容となっております。詳細は、スライドの下段にお示しする5つの項目となっておりますが、そのうち2.で、廃止する認定委員会の設置者と同一の設置者が、新たに法第23条第2項に基づく委員会、つまりCRBのことですが、この認定の申請を行うことは差し支えないこと、としております。更に3.で廃止する認定委員会の審査中の研究は、2.における設置された新たな認定委員会に引き継ぐことが可能である、としておりました。
こちらを御確認いただいた後、資料2ページにお戻りください。繰り返しとなり恐縮ですが、今御紹介した令和2年の事務連絡は、この2ポツ目でお示ししている令和4年3月31日の事務連絡において廃止しております。ここまでが、CRBの更新要件について見直してきた内容となります。
続きまして、現状を御報告いたします。3ページを御覧ください。これはCRB数の推移をお示したグラフです。緑の棒グラフが、現存するCRB数を示しており、一番右端ですが2024年(令和6年)1月1日の時点で92のCRBが存在しております。青の折線グラフが、廃止したCRBの累積数を示しております。設置後3年で更新時期が訪れるため、法施行後3年のところからグラフが始まっております。直近の1月1日時点では、56のCRBが廃止されていることになります。対してピンクの折線グラフですが、こちらは再設置されたCRBの累積数となります。令和6年1月1日時点で42のCRBが再設置されておりますが、現実的に廃止されたCRB数を考えると56-42で14ということになります。再設置を許容せず、要件未達のCRBが全て廃止されていた、つまり56のCRBが全て廃止されていたとすると、現時点では50程度のCRB数になっているはずということが読み取れるかと思います。まもなく法施行後6年が経過しますので、2度目の更新時期を迎えるCRBがこれから出てくる状況になっております。
次の4ページの資料は、参考資料となりますが、各CRBの新規の審査件数の分布を示しております。2020年4月1日から2023年3月31日までに、新しく承認された特定臨床研究の審査件数が多いCRBから順に並べたグラフとなっております。現在の更新要件のうち、新規の審議件数3年間で6件以上という要件を満たしているのは、60程度のCRBとなっております。更新要件には会議開催回数もありますので、全ての要件を充足するCRBは60未満となる可能性がある状況となっております。要件を満たすCRBのみ、赤線よりも上の部分ですが、そちらに着眼しますと、その審査件数の中央値は15から20程度読み取ることができます。
続けて、5ページにお進みください。他方、新規の特定臨床研究数を見ますと、現在新規申請の特定臨床研究の実施計画は、年間約400件提出されております。下のグラフの青の部分が、特定臨床研究数の推移を示しております。先ほど御説明しましたように、再設置を許容しないと仮定しますと、現在50程度のCRBが存在することになっておりますが、この再設置を許容しないという仮定においては、各CRBの年間審査件数の見積りは単純計算ですが400件割る50で約8件ということになってくるかと思います。現在のCRBの審議件数を考慮しましても、再設置を許容しない場合であっても、特定臨床研究の実施が滞ることはないと考えられます。
次の6ページでは、CRBが再設置されるパターン2つを御紹介します。パターン①は復活と呼んでいますが、そちらと、パターン②重複して引継の2つがあります。まずパターン①です。こちらでは、廃止してからまもなく再設置をするパターンとして事実上の廃止になっておりません。また、廃止後に過去に存在していたCRBと同じ名称のCRBが設置されることがあり、再設置されたCRBなのかどうかの客観的判断が困難となっております。現状では、CRBの認定番号で判断しているところです。このパターンは3件のCRBで行われておりますが、廃止から再設置までの期間の中央値は15日となっております。
次に、パターン②重複して引継を御説明いたします。これはCRBが要件を満たさない場合において、現存するCRBをCRB①としますが、この①の廃止前に新たにCRB②を設置し、CRB①が担当している審査研究をCRB②に移行してから①を廃止するもので、こちらも事実上の廃止にはなっておりません。先ほど事務連絡について御説明しましたが、以前令和2年に発出した事務連絡の内容は、この廃止するCRBと同一の設置者が新たにCRBを設置し、審査中の研究を引継ぐことを可能としたものですが、この事務連絡は令和4年事務連絡において廃止していると認識しております。
他方、10ページに載せておりますが、QAで一の法人が複数のCRBの認定を申請することは可能としております。これは、一の法人が設置したCRBの審査件数が非常に多く、1つのCRBでは対応し切れないような場合を想定したものであり、先ほど御紹介したパターン②のような予防的な設置というものは許容していないと考えております。
資料が行ったり来たりして申し訳ありませんが、6ページにお戻りください。このパターン②は、39件のCRBで行われており、その重複期間は中央値で82日となっておりますので、おおむねCRB①の更新が切れる前3か月程度となっております。
続きまして、7ページを御覧ください。こちらが、この議題での最後のスライドとなります。上段です。CRBの数については説明したとおり、CRBの考え方を示した事務連絡発出後も再設置するケースがあるという現状。廃止手続の相談の際に、地方厚生局から部会の議論等も含めて再設置は控えるよう御説明いただいておりますが、現行の法令では再設置の禁止はしていないため、申請が提出された場合には受理せざるを得ないという状況です。また、令和6年には多くのCRBが法施行後2度目の更新時期に当たるため、再設置等の相談が今後増えると予想しております。
2ポツ目のCRBの審査の質についてです。審査の質向上の目的で、模擬審査事業を実施してきましたが、評価手法の検討が必要であり、評価される側のCRBへの十分なフィードバックやフォローアップができていないという課題があります。令和4年度から臨床研究中核病院ではピアレビューを実施しておりますが、今後これを他のCRBにも展開することを考えております。ただ現在の事業では、審査内容が公表されていないため、他の機関のCRBの審査の実態を知ることができないことも課題となっております。
そこで御審議いただきたい内容として、今後の検討事項を御覧ください。数については例えばですが、臨床研究法施行規則でCRBを設置する場合に求める要件として、臨床研究中核病院が要件を未達となった場合のように改善計画を提出していただくことや、(参考)に記載しておりますが、現行の臨床研究法第24条の詳細は一番最後の資料に付けておりますが、そちらに欠格事由があります。その事由にならって一定の欠格期間を設ける等の要件を追加するべきかと考えております。また質については、審査の質を定期的にモニタリングし、恒常的に質を維持する方法として、実際の審議内容が反映している議事録等を用いて定期的に評価を受けることを更新要件とするかということを考えております。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 ありがとうございました。今回の議題はCRBのことで、特にCRBの数並びに質について、今後どうすべきかということだと思います。御意見ございましたら挙手ボタンを押して御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。渡辺委員どうぞ。
○渡辺委員 日本医師会の渡辺です。御説明ありがとうございました。私、不勉強で申し訳ないのですが、先ほど事務局が御説明された9ページの臨床研究審査委員会の認定の更新における対応についての事務連絡を廃止されていますよね。あれがどういう過程で廃止になったのかなというのが分からなかったので、後で教えていただければというのが1点です。
それから、もう1つはやはり事務局もおっしゃっておられるように、本来であればこれ、今のCRBの運営の仕方というのは性善説に基づいていて、研究の自由ということを尊重してされているシステムにあるにもかかわらず、その期待に反せられる方が一部におられるために、逆にいうと真っ当にやっておられる方に対して、少し厳しい対応をせざるを得ないということがあるように思います。ただやはり現状から考えると、やはり更新に対しての何らかのハードルを付けないと、やはり質の担保に至らないのではないかと思います。事務局が7ページでCRBの数について、またCRBの審査の質について分けて書いておられますけれども、ほとんど同等のことをおっしゃっておられるのではないかなというような気がいたしますので、私も具体的な項目は、また委員の先生からの御意見があると思いますけれども、何らかのハードルをやはり上げていって、今の臨床研究審査委員会が順調に動かないシステムに対して、ある程度の警鐘を鳴らす必要があるのではないかというように考えます。私のほうからは質問と意見です。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。令和2年の更新に関する通知が出た背景でありますが、臨床研究法が施行されて、CRBは3年ごとにチェックを受けることになっていて、ちょうど令和2年が最初にできたCRBが3年目を迎えるときだったわけであります。ところが臨床研究法が4月に施行されたのですが、最初のCRBができたのが7月頃で、実際に動き出したのが9月以降だったために、初年度において11回の開催というそのときの要件を満たしていないCRBが結構ありました。そのままいきますと、2年目、3年目はしっかりやっているのだけれども、1年目だけが回数が足りないので、更新ができないというCRBが存在することが分かったので、特例的にそれはつながるようなという措置を行ったわけであります。法施行2年目以降からのところは、そこはしっかりやっておられるし、令和4年度の最初のできたものの移行が無事済んだということで、この通知が廃止されたという、そういうような経緯でございます。ただ、あくまでこれは法の施行とCRBの設立にブランクの期間があったためにやむを得ずというところであったので、そういうような救済をしたわけですが、今回、今問題になっているような事例においては、そういう救済措置はする必要があるのかどうかということが、本日の議論になるところです。よろしいでしょうか。山口委員お願いいたします。
○山口委員 今御説明いただいた現状を拝見していますと、やはり要件を満たす体制になっていないのに再設置しているということで、単なる延長目的に過ぎないように思います。ですので、やはり欠格事由は作る必要があるのではないでしょうか。新規ケースの実態から考えると、私はCRBの数は50件前後、もともとがそれぐらいの数という予想の下で始まったことだと思っています。やはり実態に見合った数ということからすると、再設置には一定の基準を設けないといけないのではないかなという気がいたしました。
それから、CRBの審査の質についてですが、模擬審査を含めた議事録の評価にもワーキンググループに関わっていますけれども、実際に模擬審査には限界があるということも非常に感じましたけれども、一方で議事録で評価ができるかというと、かなり議事録にも差がありますし、実際にどれぐらいいろいろな方が発言されているのかということが分からなかったりとか、例えば言葉の圧みたいなものも、文字になってしまうと分からないようなところがありますので、議事録だけで評価するということは、限界があるのではないかと思っています。もう少し内容については検討する必要があるのではないかなと思います。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。それでは近藤委員お願いいたします。
○近藤委員 製薬協の近藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私のほうからまず、CRBの数に関してなのですが、確か資料の4ページ目に参考でありましたが、現在のペースだと認定要件に満たないようなCRBというのが50近くあるというような形になってくるかと思いますが、前回再設置したようなケースで、今回も要件に満たないようなCRBがどの程度あるのかというのは、非常に気になるところでございます。
それから、先ほど説明いただいた内容の中で、1つの施設の中で、2つ、複数立てていいというようなケースがあったかと思うのですが、審査が多いケースを想定しているというような形になっていますけれども、そうではなくて実際には審査は件数が余り多くないという、今回、要件を満たさないというようなケースに該当する所があったとしましたら、それは再設置するという形が形骸化してしまう可能性があるかと思いますので、そういうことを考えると認定要件、ある程度の要件を設けたほうがいいのではないかなというように考えます。
また、質のほうなんですけれども、先ほど山口委員のほうからもありましたが、実際の審議内容について、議事録等を用いて評価するというのは、やはり私も限界があるのではないかなというように感じております。ただ、御報告の中にありましたように、ピアレビューを他のCRBに拡大するですとか、あと審査内容の公表を進めるというような取組をやるだけでも効果が出てくるのではないかなと感じた次第です。以上です。ありがとうございました。
○楠岡部会長 ありがとうございます。最初の質問ですが、再設置、また再設置の可能性のある委員会というのは、数は把握できていますでしょうか。
○医政局研究開発政策課治験推進室室長補佐 すみません。現段階ですぐに御回答できないというところなのですが、やはり先生方の予想どおり、なかなか審査件数が、再設置したからといってドカっと増えるわけではないですので、その可能性は高いのかなという、体感ですけれども、そういう印象を持っております。
○楠岡部会長 ありがとうございます。一法人で複数のCRBという問題に関しては、実は国立がん研究センターが、東病院と中央病院にCRBを持っておられて、これは臨床研究中核病院の要件になっていますので、これは必然的に2つ持たざるを得ないということですし、それぞれしっかりCRBとしても活動されているので問題はないかと思います。したがいまして、単純に数だけではなかなか見極めが難しいという現状はあるかと思います。それでは、渡部委員お願いします。
○渡部委員 前の委員たちとも多少重複してしまうのですが、まず数に関してなのですが、IRBの委員会の数と比べれば、かなり少なく見えてはしまうのですが、以前も都道府県にそれぞれ必要ではないかとか、そういった議論もあったように記憶はしているのですが、この中でリモートの開催等も、その後も増えておりますので、地域性とかそういうことも考慮しなくてもよくなってきているので、この程度の数でも問題はないのかなというように感じております。
それから、これだけ少ないのにも関わらず、復活させたり引継ぎをしたりというのがなぜかというのが、少し不思議に思っておりまして、例えば研究の特殊性ですね。すごく特殊な研究で、そのCRBでしかなかなか審議ができないようなものなのかどうなのかというのも、少し確認が必要だなというように感じておりましたが、特殊性があって、どうしてもCRBを維持しなければいけないのかとか、そういったことは御存じでしょうか。
○楠岡部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。
○医政局研究開発政策課治験推進室室長補佐 審査内容の1件1件、研究の内容まで詳しく確認はできておりませんので、今の御質問には真正面から回答することは難しいというところになります。ただ、こちらで考えておりますのは、例えばなのですが、審査手数料の点で、自機関からの申請であれば少し安く設定されているようなCRBもありますので、そういうところで自機関で持っておきたいということで、設置を頑張ってされているというところもあるのではないかということは考えています。
○楠岡部会長 ほかに御意見いかがでしょうか。私からも質問なのですが、6ページのパターン①に関してなのですが、これは研究の側から言うと、CRB①とCRB②の間の期間はそれを所管するCRBは存在しないということになるわけですか。
○医政局研究開発政策課治験推進室室長補佐 こちらの場合はCRB①で審査していたものは、必ず廃止する前に全ての研究をどちらかのCRBに移管といいますか、引き渡してから廃止するようにということを定めておりますので、ほかの機関のCRBに担当が移っているということになります。
○楠岡部会長 そうするとまたしばらく経つとまた元へ、今度CRB②のほうへ戻ってくるみたいなパターンもあり得るという。
○医政局研究開発政策課治験推進室室長補佐 そちらに関してはこちらで監視はできないのですが、実際行われている可能性はあるかと思います。
○楠岡部会長 分かりました。ありがとうございます。ほかに御意見いかがでしょうか。
あともう1つ、先ほどのCRBの審査数の、4ページですけれども、ここは2020年から2022年3年間の新規件数ですので、まだ2年目とか1年目のCRBもあって、もうしばらくするとこの年間6件というのはクリアできるというところも出てくるかと思いますので、ここで線を引いているところの数よりも、実際はもうちょっと増えるかと思います。
ほかにいかがでしょうか。谷岡委員どうぞ。
○谷岡委員 先ほどの質のところなのですけれども、私も山口委員が意見をおっしゃいましたけれども、確かに議事録だと言葉の圧とか空気とかというのは分からないなというように思いますので、毎回というのは無理だと思いますので、書面のペーパーと実地とうまく組み合わせるような形で、ある程度基準を作った形で評価するようなことができるといいかなと思いました。私たち医療機器の場合の数年の調査とか、書面調査と実地調査等を組み合わせていくような形になっていますので、そういう工夫をしていただければどうかなと思いましたので、意見を述べさせていただきました。ありがとうございます。
○楠岡部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
○医政局研究開発政策課治験推進室室長補佐 事務局ですけれども、議事録審査について多数御意見を頂いておりますので、少しコメントになりますが、継続している模擬審査事業といたしまして、今年度は、議事録、議事概要の記載内容の調査ということをしておりまして、こういう議事録の記載っぷりが山口委員からも御指摘いただきましたように、CRBによってかなり粒度が異なったり、記載の項目に差があったりというところがありますので、この議事録審査につながるかというところも見極めながらになりますが、その内容の調査、それからそれが形としてこういう議事録を作っていくべしというものを出せるのかどうかというところも課題ですけれども、そういった内容を、審査の質向上も含めて、今調査をしているというところになっておりますことを共有させていただきます。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。ほかに御意見いかがでしょうか。
やはり問題になるのは資料の6ページのパターン①、パターン②のような形というところで、廃止の理由が要件を満たせなくであるのだけれども、それの受皿的なものをまた作るというようなことで、結局、要件を満たせないというところは、質にも関わってくる問題なので、余り好ましいことではないだろうと思います。その場合に、法人で複数持ってはいけないというのは、今申し上げたような具体的な事例もありますし、当然のことながら1つの委員会で捌ける数というのは限度があって、今後審査の数が増えてくると、当然第1委員会、第2委員会のような形に分けていかざるを得なくなると思います。したがって、法人において複数のCRBを持つということは認めるした場合に、パターン②のようなものが、やはり問題になると思います。これに関してはここにあるCRB②の申請時において複数ある場合に、その重複機関のところにおいて、なぜ複数を持つ必要があるのかということを、何かチェックする方法があれば、その場合によって、こういうような、本来廃止すべきものを生き延びさせるようなための新規申請ということに関しては、認めないような何かルールを作っていただいて、それは防ぐということは可能ではないかと思います。その辺り、また事務局のほうで御検討いただければと思います。
ただ、先ほど申しましたように、他のルール上、複数持たなければいけない、あるいは非常に数が多くて複数にせざるを得ないと、逆に言うと、今は一番多いところは88件というのがありましたけれども、それを1つで本当に回せているのかどうか。新規以外にも継続的にチェックするものがありますので、その作業量から見ると、余りにも数が多いとなると、分割していただかないと質が低下してしまう可能性があるので、数が多いのでそれで分割するというのは当然のことながら認めるという話になる。その辺り複数設置する場合の事情を確認していただくというのが1つの方法ではないかと思います。
質に関しましては、やはり今議事録の問題、ピアレビューの問題が指摘されましたが、いずれもなかなか難しいところです。例えば、これはあくまでも私の個人的意見ですが、この臨床研究部会の下にワーキングというか、委員会というのを設置していただいて、そこで議事録のチェックを行うとか、あるいはピアレビューというよりも、どちらかというと査察的な形になるかもしれませんが、事前に通告すると準備されてしまうので、不意打ちにしないといけないかもしれませんが、そういうような形で実際の審議のところへ、立ち合わせていただいて、内容を確認する。たまたま選んだときの会が余り新規もなくて継続的なものの審査のみという場合もあるかと思いますが、そういうようなことも含めて、また御検討いただければと思います。ほかに御意見いかがでしょうか。
CRBの質に関しては花井委員がこの臨床研究法を作るときから、非常に関心をお持ちだったので、何か御意見はございますでしょうか。
○花井委員 御指名ありがとうございます。花井です。今まで複数の委員がおっしゃられたことで、おおむね妥当と思っています。やはり質については課題というのがあって、これはCRBだけではなくて認定再生医療等委員会等々でも同じような課題を抱えておりますし、議事録だけでは確かに分かりにくいと。今、委員長がおっしゃられたように、抜き打ちインスペクションみたいな話になると、ちょっといろいろな問題もあるかなと思うので、やはりこれは継続的に固めていくと。数を減らすというのは結構大事だと思うのです。なのでそういう形で。あと、もう1つは複数持っている所ではどこでも、委員が重複し過ぎると、また同じことになりますし、大体日本全国で質の高い、特に私どもが考える倫理的な人文的な視点で、それが専門性があってという人材自体も頭に思い浮かぶぐらいの、それほど潤沢という所はありませんし、あとは統計的な部分とか、そもそも日本で人材が不足しているというところもありますので、そういった中長期的な課題についても、この医政だけではなくて協力し合っていただかないと、なかなかそこはいかないかなと思います。ありがとうございます。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ほかに御意見いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
そうしましたら、ただいまの議論を踏まえて、事務局のほうで案を作っていただければと思います。どうもありがとうございました。
それでは次に、2番目の議題に移らせていただきたいと思います。議題2は臨床研究法の見直しについてです。事務局から御説明をお願いします。
○医政局研究開発政策課治験推進室室長補佐 資料2、臨床研究法の見直しについての御説明をいたします。こちらの資料では見直しについて御説明いたします。なお、この臨床研究法の改正については、今月26日に開会した通常国会への提出に向けて調整しているところです。
2ページ、こちらは臨床研究法施行後から臨床研究部会において見直しについて御検討いただいた経緯を時系列に並べたものとなっております。先生方にとっては復習となりますが、令和2年には特別研究班「臨床研究を取り巻く状況を勘案した臨床研究法の法改正も含めた対応策の検討」において複数の課題を挙げていただき、第19回~26回までの部会では論点の抽出、附帯決議における検討、ヒアリング等を頂き、令和3年12月に中間とりまとめを公表、その後も継続して5年のとりまとめの方向性を御議論いただいて、令和4年3月にはお示ししている内容について省令改正・通知発出等の対応をいたしました。第30回臨床研究部会では、とりまとめの最終的な御議論を頂き、令和4年6月にとりまとめが公表されたという経緯となっております。
次の3ページは大変細かくなっており恐縮ですが、こちらにとりまとめの概要を全て掲載しております。これらのうち赤枠で囲んでいる2つの項目、1つ目「いわゆる観察研究に関する臨床研究法の適用範囲について」、2つ目「適応外薬に関する特定臨床研究の対象範囲について」の法改正の準備を進めております。いずれも、今までに本部会で御議論いただいた方向性の内容となっておりますが、本日、その内容について御報告いたします。
まず、「いわゆる観察研究に関する臨床研究法の適用範囲について」御説明いたします。改正の方向性ですが、研究目的ではなく、通常の医療の提供として使用された医薬品等の有効性又は安全性を明らかにするために実施する研究というものがあります。通常の医療の提供に追加して、研究目的で医薬品等を使用しない場合であっても、研究目的で研究対象者に著しい負担を与える検査等を行う場合は、研究対象者の生命・身体の安全が脅かされる可能性があるため、研究目的で医薬品等を使用する場合と同様に、臨床研究法の対象となる旨を条文上明確化するとなっております。
スライド下段の左の表が現行の臨床研究法で、右の表が改正後の内容をお示ししております。現行法では、患者さんへの傷害・負担が小さい研究目的の検査等を通常の医療に追加して行う場合、ブルーの囲みの所になりますが、こちらは臨床研究法の対象外としておりますが、この内容については、条文上の記載はなくQAで示されているのみとなっております。
目線を右に動かしていただき、今回、臨床研究法の対象である部分を明確にするために、赤色の塗り潰しの部分である「研究目的で研究対象者に著しい負担を与える検査等を通常の医療に追加して研究目的で行う場合」というのは臨床研究法の対象範囲であるということを条文上明確化する改正をいたします。なお、その事例や基準に係る考え方については、下に小さい字で書かれている今年度の特別研究班「臨床研究法の適用範囲とすべき「傷害・負担が大きい検査等」に関する調査研究」として、北海道大学の佐藤先生に研究代表者として御検討いただいているところです。
5ページで、「適応外使用に関する法の対象範囲」に関する改正について御説明いたします。改正の方向性は、現行法では、臨床研究における医薬品等の使用方法が、薬事承認済みの用法等と少しでも異なる場合を適応外使用と呼びますが、こういった場合には、現在、一律に特定臨床研究に該当しています。特に、がん領域と小児領域において、このような研究が多く行われていると伺っております。このような医薬品等の適応外使用について、研究対象者の生命及び健康のリスクが薬事承認済みの用法等による場合と同程度以下のものを特定臨床研究の対象から除外するということを改正する予定としております。
下の図でお示しするように、現在、適応外の医薬品等の臨床研究として実施しているもののうち、薬事承認済みの用法等と同程度以下のリスクのものを特定臨床研究から除外いたします。
事例としては、承認された用法・用量よりも少量を投与する使用法や診療ガイドラインで推奨されているようなものを想定しております。どういった適応外使用がこれに該当するのかについては厚生科学審議会の御意見を伺って、その考え方の基準を厚生労働省令で規定する予定としております。
6ページでは参考資料として、「臨床研究法施行5年後の見直しに係る検討のとりまとめ」における既に対応済みの項目についてまとめておりますので御参照ください。御報告事項の説明は以上になります。
○楠岡部会長 ありがとうございました。これまで議論してきた所を、今回、法律として出すことに関する説明ということですが、何か御意見はありますか。花井委員、どうぞ。
○花井委員 花井です。以前と同じの繰り返しなのですが、そもそも特定臨床研究になると大変だからということで、特に小児領域・がん領域でこういう緩和が行われている。結局のところ何が問題かというと、やはりコスト問題と、いわゆる臨床に関わる先生方のクリニカルクエスチョンを、ちゃんと研究していこうというところがなかなかハードルが高いという問題がある中でこういう対応なのですが。そもそも努力義務が全体に掛かっているので、特定臨床研究にならなくて研究しやすくなるというのは、何かちょっと本末転倒だということはあると思うのです。これはやはり、そういう研究をしたい臨床の先生方に対する支援が足りないということが大きな問題だと思うので、その根本的な所は以前にも同じ趣旨の発言はしましたが、やはり臨床に忙しい先生方が、そこで生じたクリニカルクエスチョンをどんどん研究できるという環境整備について、もうちょっと支援を厚くしてほしいという希望です。以上です。
だから何かちょっと変、いつも思うのですけれど、変な話になってしまうので。多分、CRBの審査料なども負担になると思うので、そういったところの金銭的支援も。
ちょっと聞いていいですか、以前にもそういうことを言っているのですが、何か少し拡充はしたのですか。
○医政局研究開発政策課治験推進室室長補佐 人材の所というのは、研発課だけで解決できないというところもありますので、なかなか難しいところとなっております。それから、CRBの審査料については、ちょうど今年度、改めて全CRBの審査手数料を調査しておりますけれども、先ほどお話した自機関、他機関の差を付けられているというところもありますし、特定と非特定で差を付けられているところもあるということをお伺いしておりますので、そこで少し差が付けられているところが、実務上で何かされているところがあるかということが今回の調査で明らかになるかなというところです。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ほかに、いかがでしょうか。谷岡委員、どうぞ。
○谷岡委員 御説明ありがとうございました。すみません、今、御提案いただいたものに対して、それでいいのかなというように思っているのですけれど。このとりまとめる内容で質問をしたいのですけれど、それでも大丈夫ですか、後のほうがよければ後にします。
○楠岡部会長 どうぞ。
○谷岡委員 大丈夫ですか、ありがとうございます。とりまとめを頂いている概要の3ページの所の一番左下なのですが、私、医機連のほうで医療機器の団体からなので、(2)の所の医療機器に関する所については、ちょっとどのようになっているかということを質問させてください。
○医政局研究開発政策課治験推進室室長補佐 ありがとうございます。こちら小さい字で恐縮ですが、(2)の中の1ポツ目にお示ししておりますように、その医療機器を用いた研究に関し法の該当性を相談できるよう、この該当性という所の判断が研究者にも難しいというところがありますので、こちらの相談窓口の設置に向けて予算獲得をして調整しているというところになっております。そちらのほうで事例集なども検討いただけるように、窓口の先生方が決まりましたら御相談したいというように考えております。
3ポツ目に関しては、生体工学会のほうで実際に事例集を掲載いただいたりということをしており、そちらへのWebのページリンクについては、現在、臨床研究法のWebページからも飛べるようにしているというところで、現在対応している状況という御報告になります。以上です。
○医政局研究開発政策課治験推進室長 すみません。補足させていただきます。予算については、既に令和5年度の補正予算案で獲得しておりまして、現在、事業者を公募する手続を準備している状況でございます。事業者を選定し次第、相談窓口を設置して、そこで窓口でやることの広報と事例集を拡大していくといったことについて、予算事業として取り組む予定となっております。以上です。
○谷岡委員 御説明ありがとうございました。是非、推進のほうをよろしくお願いします。
○楠岡部会長 ありがとうございました。近藤委員、お願いいたします。
○近藤委員 近藤です。御説明ありがとうございました。1点、まず教えていただきたいのですけれども、適応外使用に関する特定臨床研究の対象範囲についてということで、これは確か、とりまとめの際には、臨床研究部会の下に設置する専門委員会で検討をするといったことも書かれていたかとは思うのですけれども。その点について、どのような形で進められているのか、状況を教えていただければと思います。
もう1点はコメントなのですが、いわゆる観察研究に関する臨床研究法の適用範囲についてということで、こちらの見直しに関して、非常に望ましい対応の方向で進めていただいているというように感じているのですけれども、先ほどもありましたが、CRBによって、審査の判断や基準にばらつきが生じることがないようにしておくというのは、非常に重要なことになってくるかと思うのですけれども、現在、北大の佐藤先生が御検討されているということですので、事例として御検討いただいているかと思いますので、その内容というのを充実していただけることをすごく期待しております。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。事務局、追加はありますか。
○医政局研究開発政策課治験推進室長 事務局です。御指摘の適応外使用の中で、用法・用量等が同等以下のものという判断が難しいという事例が実際にあることは我々も認識しておりまして、とりまとめの中でも、今、御指摘いただいたように、下のほうに作業部会のものを設置するということで、とりまとめのほうでは御指摘、記載いただいていました。この扱いについては、まだ我々の内部でも検討している状況ですが、少なくとも、何らかの形では研究者あるいはCRBのほうから相談に応じる体制を構築しなければいけないということは認識しており、その設計については、まだ現在検討中でございます。
いずれにしても、今、研究班などでも回していただいているように、事例を検討する、あるいは考え方をきちんと整理して示していく、さらに、一旦示した事例集だけではなかなか判断が難しい事例も出てくるでしょうから、きちんとした相談窓口あるいは判定する場所を設置していくということで、研究者に対して滞りなくこの研究ができるような体制という構築を我々としてもしっかり取り組んでいきたいと思っております。
○近藤委員 どうもありがとうございます。
○楠岡部会長 ありがとうございます。新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 4ページの適用範囲のスライドを見せていただければと思います。実質、今軽微なものを含む、現在まで、侵襲があっても軽微なものは対象外ということにされていますが、では、今後は著しい負担を与える侵襲を対象にするということで、実際は文言だけが変わっているのか、それとも、従来は軽微ではない侵襲だったけれども、その中で、更に著しい負担のものと、そうではないものとに分けた上で、著しく侵襲性が強いものだけを対象範囲とするという意図なのでしょうか。すみません。現行と実質同じなのか、その辺も、やはり変わってくるのかというのを教えていただきたいと思います。
○医政局研究開発政策課治験推進室室長補佐 御指摘ありがとうございます。こちらに関しては、あくまでも条文上明確化ということになっておりますので、今まで入っていなかったものを新たに入れるというような認識ではございません。実際に、どういうものが入ってくるのかというところに関しては、先ほど御説明がありましたように、厚生科学審議会の御意見を伺いながら決めていきたいというように考えております。
○医政局研究開発政策課治験推進室長 あと、すみません。この著しい負担を与える検査等をを伴うものについて条文上明確化すべきだということは、正にこの臨床研究部会で御審議いただいたとりまとめに沿った対応案を我々のほうで法改正させていく予定でございます。
○新谷委員 ありがとうございました。
○楠岡部会長 ただいまの侵襲を伴う検査の範囲、そもそもそれは対象外にするのかどうかというところは、臨床研究法の施行直後にすごくいろいろな議論があって、その辺がQAの変遷でも、多少ダッチロール的なところもあって今の状況に落ち着いているところです。今回、そこを更に明確化したというように御理解いただければというように思います。
それでは佐藤先生、お願いいたします。
○佐藤(暁)委員 ほかの対応の所ではなくて、6ページの対応済みの項目の所で、ちょっと情報共有というか、お願いなのですけれども。1.の下の透明性の確保の所で、重大な不適合の取扱いについてということで、医療機関の管理者は、知ったときは公表すべきということで、我々、病院側として対応しているのですが、これに関して結構我々混乱があって。例えばどういうことかというと、重大かどうかを判断するというのは、最終的には研究者、研究代表者なのですが、まず研究代表者が重大として判断する。重大として判断するのはこの通知にある文言に基づいて判断されていると思うのですけれども、我々からすると、非常に、これで本当に公表する必要があるのかどうかという軽微なもの、例えば、我々の事例で言うと、IC文書の中にアンケート項目をやると書かれているのですが、それが抜けていたと、それも我々の所が主導でやったわけではなくて、他施設が主導の多施設共同研究の中で、全体に入れ忘れていたということがあって、それが侵襲はほぼ全くないような内容なのですけれども、それを重大としてCRBに報告されたので、我々の参加施設も一律、各施設がホームページに公表するという形で対応せざるを得なかったということがあります。
事例の中に、重大な判断基準として、選択・除外基準や中止基準、併用禁止薬等の不遵守などと書いてあって、かなりざっくりしていて、例えば、除外基準の、本当に軽微なものが1個抜けたと言うことはがんの分野だったらそんなことはよくあることですし、公表というのにはそぐわないのかなと思うのですが、研究者側がそれを重大としてCRBに出すとCRBもそれを否定することはないので、我々としては重大として取り扱わざるを得ずに、これは重大ではないのではないかと思いつつも公表していかざるを得なくて、たくさんこういう細かいものまで公表されていると本当に公表すべき重大なものがその中に埋もれてしまって、余り意味を成さなくなってしまうのではないかと、危惧がありますので、この辺、恐らく、運用上の話や通知、QAの中で解決できるようなことだと思いますので、御検討いただきたいなと考えているところです。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。事務局のほうで、また検討お願いします。佐藤委員、どうぞ。
○佐藤(典)委員 北海道大学の佐藤です。先ほどから侵襲性のうんぬんというような所、研究班を代表させていただいておりまして、まだ報告するレベルではないので、今日は発言しようかしまいか若干悩んでいたのですけれども、皆さん、当然のように御関心が高いようでございますので、一言、ちょっと申し上げさせていただきます。
この資料にあるとおり、上のほう、基本的には、本部会で臨床研究法改正についてのとりまとめの中で、ここに書いてあるとおり、2つ目のポツの所、研究対象者に著しい負担を与える検査等を行う場合ということで、ここは大きな枠として組めるということが決まって、厚労省さんのほうでそれに基づいて法改正を定義されるということになっております。
そうは言いましても、文章的に抽象的にならざるを得ないところがございまして、先ほど近藤委員からでしたか、CRBごとに判断が変わったら困るということで、厚労省さんのほうで研究班を立ち上げて、私のほうで担当ということで今、検討しているところでございます。
別途、先行する研究班、医科歯科大の吉田先生の所で臨床研究に関わる様々な諸問題の検討の中で、侵襲の大きい検査、研究とはという調査もされており、そこのところも参考にして進めているところでございます。
具体的には、全CRBに、吉田先生の所で明示された侵襲性の高い研究、検査とはどういったことかということを、どのように判断するかということを含めて、全CRBにアンケートを取りました。ほぼ半数のCRBから回答を得ております。ただ、回答者の属性によって、いろいろな考え方がございますので、もう少し分析しているということ、それから、欧州を中心にした海外のものの考え方や進め方ということも、実際の現場にいらっしゃる方からヒアリングやアンケートを取ったりという形でも進めております。なかなか難しいところもあり、厚労省さんから拙速にならないようにということで、来年度に向けても継続的に進めていくということでお話を頂いております。
皆さん考えていらっしゃるとおり、どういった事例が該当するかということを、なるべく具体的に示すという方向で考えております。一方では、余り具体的だと、そこだけ見て、当てはまる、当てはまらないということに走ってしまって、臨床研究法あるいは臨床研究の本質を理解しないような当てはめ方をされても困りますので、基本的な考え方をしっかり再整理して、その上で具体的な事例でこういったものが該当するのではないかという方向で進めようと思っております。
まだ、なかなか難しいところもございますし、いろいろな有識者の先生方の考え方も個別に伺いながらということも作業として進めておりますので、こんな席で大変恐縮でございますけれども、もし、先生方で御意見等がございましたら、私のほうにお寄せいただければ有り難いと思っております。もちろん、厚労省さんの事務局経由でも結構でございますし、御意見を頂ければ大変有り難いかなと思っております。なるべく早い段階で、暫定案を出して、それをまた公表する形で皆様から御意見を頂いて最終案にしたいという方向でも進めておりますので、もちろん来年度中にはと思っておりますけれども、急いでとは思っていますが、拙速にならずに急いでという形を考えております。先生方からの御意見を頂ければ有り難いなと思っております。長くなりましたけれど、私からは以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ほかに御意見や御質問はありますか、よろしいでしょうか。
私からは、法律が成立したときに通知を出されると思うのですけれども、研究者が余りその辺を十分に考えていないと、本来はこの侵襲の程度が大きいので、特定臨床研究にすべきで、CRBに提出すべきところを、観察研究だからというようなところで、各施設のヒト指針に基づいて設置されている倫理審査委員会に出されて、そこの委員会が、余り分からないままに承認してしまいますと、重大な法違反みたいなことにもなりかねないということがあります。CRBのある施設に関しては問題ないと思いますけれども、CRBを持っていないけれども、そういうヒト指針の審査を行っている事務局、これはかなりの数になるので難しいと思いますけれども、そういうところにもその通知がしっかり伝わるような形で通知を出していただければと思います。通知のタイトルが「臨床研究法の改正について」とかだと、ヒト指針しか扱っていない所は読み飛ばしてしまうというか、ケアしない可能性もありますので、是非その辺をよろしくお願いしたいと思います。
ほかに、御意見はいかがでしょうか、よろしいですか。それでは、臨床研究法の見直しに関しては臨床研究部会で報告を受けたということで御了承いただければと思います。ありがとうございました。
次、議題3へ移ります。議題3、「利益相反データベース構築事業について」、事務局から御説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課治験推進室室長補佐 では、次の資料3を御覧ください。この資料では利益相反(COI)データベース構築事業について御報告いたします。2ページです。まず、COIデータベースを構築する方針となった経緯を御説明いたします。
COIデータベースについては、とりまとめにおいて議論していただきましたとおり、課題の所に記載しておりますが、臨床研究の透明性・信頼性の向上を図る観点から、COI管理は重要である一方で、COIに関する現行の手続は煩雑な上に、一部事実確認が不十分であるということが指摘されております。
具体的には、所属機関等における事実確認に際して、当該機関が必ずしも所属医師等の全ての収入を把握しておらず、自己申告によらざるを得ない場合があり、医療機関によっては実質的な確認が困難となるなど、医療機関毎に事実確認の程度が異なるとの御指摘や、医療機関の管理者等による確認の意義を問うという指摘もあります。
令和4年度の研究班によるアンケート調査の結果においても、所属機関等が確認する内容のうち、寄付金等の確認作業は容易であるものの、個人収益についての事実確認は困難であることが確認されました。
このように、特に手続の煩雑さという点と、事実確認の難しさということが課題であり、とりまとめにおいてスライド下部に示しております「とりまとめにおける対応の方向性」という内容が示されております。
その内容は、COI管理について、医療機関における事実確認の手続を代替するための客観的かつ容易な確認や、臨床研究法における特定臨床研究のみならず国内の医学系研究に関するCOIの一元管理が可能となるようなデータベースを構築することが望ましい。このようなデータベースを、国が構築に向けた取組に着手することが期待されるということ。それから、研究における資金提供の取扱いの適切性については、CRBの判断が重要であり、CRB審議の充実も求めていくべきだということです。
3ページです。参考資料として、現行の利益相反管理の手続のシェーマを掲載しております。様式A「利益相反管理基準」の作成というところからスタートします。次に様式B「関連企業等の報告書」の作成まで、様式Aと様式Bの作成を、まず研究代表者の先生が行って、続いて、各実施医療機関の各研究者が様式C、個人のCOI「研究者利益相反自己申告書」を作成します。所属機関へ様式Cを提出して事実確認を依頼し、様式Dである「利益相反状況確認報告書」というものを受領し、最終的に全ての研究者の情報を統合して、また、多施設共同研究の場合は、全ての実施医療機関の情報を統合して、様式E「利益相反管理計画」というものがセットされ、CRBに提出し、審議いただいている、という流れとなっております。
4ページからは、構築事業についての現在の検討状況を御報告いたします。現在の検討状況ですが、今年度(令和5年度)にCOIデータベース構築に向けた仕様検討を実施しております。研究者が登録するCOI情報の項目については基本的に今の様式C「利益相反自己申告書」の項目について、本人・親族の情報を登録する方針で検討しております。また、データベースでCOI情報を公開することで、現行の手続で求めている医療機関における事実確認の手続、つまり、様式Dの部分の代替を可能とすることを検討しております。
これらの方針については、下に示しております有識者の先生方による有識者会議にて検討いただいております。有識者会議で頂いた主な御意見を、波線囲みの部分にお示ししておりますが、内容といたしましては、全研究者の情報が登録・公開されることが望ましい。現行の臨床研究法において申告している内容は、IC文書等に記載されているCOI情報と比較して粒度が細かいため、同等の粒度での公開は研究者の反発を招くことが懸念される。それから、COI管理をデータベースで一元管理できるとよい。汎用的に利用できるようにすることが望ましいというような御意見を頂いています。
続きまして、5ページです。こちらは参考資料といたしまして、来年度以降に構築するデータベースのイメージをお示ししております。初回のデータベースのリリース時に全ての機能を兼ねそろえるということは難しい可能性が高いのですが、まずはデータベース構築の発端となった課題の1つである手続の煩雑さというところは解消したいと考えております。研究ごとに毎回作成しなければならない個人COIの情報を記載する様式Cについては、COIデータベースに個人COI情報を登録・公表しているユーザーに限りますが、自動的に様式Cが作成されるようにしたいと思います。これにより、データベースに登録しておけば毎回、様式Cを作成する負担を軽減することができると考えております。
また、汎用性については、図の左側に記載しておりますが、学会等のCOI開示のときにも利用していただけるような汎用性を持たせたシステム構築を考えております。
6ページです。様式Dの医療機関での事実確認に当たる部分ですが、こちらはCOIデータベースでのCOI情報の公開に替えるという赤枠の部分については省令改正が必要になりますので、継続して検討したいと思っております。
7ページです。本議題の最後のスライドですが、今後の方向性として、個人COIへの登録情報の公開については、COIデータベースは、公開データベースとする。それから、とりまとめにもありますように、COI管理については、研究者自身の責務であるということが原則、その上で、虚偽申告が発覚した場合は、重大な不適合の対象とする等、研究者が責任を負うべきである。有識者委員会においては、全ての研究者に対して、このデータベースの登録の義務付けを求める御意見も頂きましたけれども、このデータベースに登録するかどうかというところは研究者の判断によるものとする。
一方で、公開データベースに登録しない場合においては、現行の方法のExcelを用いて所属機関の確認を求めることとする、という方向性としております。
また、公開情報につきましては、国民へ公開するのは現行の臨床研究法で求めている様式Cの「研究者利益相反自己申告書」で確認している項目として、金額に関する情報については、1円単位のような情報ではなく、金額幅で「何万円以上何万円未満」のような形での公開という方向性で検討しております。御報告は以上です。
○楠岡部会長 利益相反データベースの構築に関してですが、何か御質問や御意見はございますか。山口委員どうぞ。
○山口委員 COIデータベースの有識者会議に関わっていますので、一言申し上げたいと思います。せっかくデータベースを作って公表するわけですので、全研究者の登録ということが望ましいのではないかと私も発言していたのですけれども、法的に義務付けることはできないというように聞いていまして、できれば、事務局からどういうことができない、足かせになっているのかということと、今後どのようにすればできるようになるのかというようなことを、是非、皆さんにも御説明いただけたらなと思います。
それから、いろいろな様式Aから様式Eまでということで全てのデータベースを作って、システムの中で登録できるようにしたかったみたいなのですけれども、私が今聞いていますのは、予算の都合上、最初から全てまでというのは難しくて、今のところは、取りあえずは様式Cだけとなっていると聞いております。ですので、全研究者の登録ができないということと、今後の見通しについて、是非、事務局から御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 事務局、お願いいたします。
○医政局研究開発政策課治験推進室室長補佐 まず、全研究者にデータベース登録を義務付けるのが難しいということですが、こちらは有識者会議でも御検討、御議論いただいたところですけれども、1つ挙がった御意見としては、研究者自身はまだしも、親族のCOI情報を公開するということですとか、その粒度というところで、公開するということに抵抗感を示す研究者が一定数存在するであろうということと、COI情報は個人情報ですので、強制力を持って義務付けることというのは、現段階では、すぐには、ということは困難と考えているところです。
ただ、運用上の部分といたしましては、既にCOIデータベースと備えようとしている機能である様式を吐き出したり、作成したりというところのシステム化を自前で構築されている施設とか、研究グループもあるということをお聞きしておりますので、その辺りとの親和性というところも検討課題として挙がっております。ですので、今回COIデータベースの普及ということも、もちろん重要だと考えておりますので、例えば多施設共同研究グループ等を中心に利用の促進の周知をお願いするということを図っていきたいと考えております。
○楠岡部会長 山口委員、よろしゅうございますか。
○山口委員 ありがとうございました。
○楠岡部会長 ほかに御意見はいかがですか。花井委員どうぞ。
○花井委員 これ、こういうものができたら理想的ということで、今までも議論があったと思いますけれども、特定臨床研究だと、次の資料の議題にも関わるのですが、企業が一定程度こういう情報を公開しろと、法で義務付けて、それだと明らかに企業側が出した金額と明確に分かるわけですよね。問題は、本人が手打ちしたものと一致しない問題がありまして、これはもともと、いわゆる500万50万ルールは薬食審が嚆矢で、ずっとそれをやってきたのですけれども、やはり結構大変ということなのです。大変で、負担も大きくて、だけれども、一生懸命先生方が書いてくれるわけですが、実は過小申告もあるし過大申告もあるわけです。これは薬食審の場合は全部突合していまして、企業に確認して、これが正しいかどうかチェックして、それで50万500万ルールを運営しているのです。
薬事はもちろん規制行政と承認権限が関わるので、より厳密だというのは分かるのですが、でも、それで分かって、ここの自己申告が、つまり、様式Bで企業が出した後で、現行では企業が出した情報と様式Cの齟齬があった場合は誰が修正しているのですか。実務上、そこの複数の、つまり、先生が薬食審だったら、そこでは確認しているけれども、ここと齟齬が出たりとか、せっかくデータベースを作るのに手打ち部分の確かさが曖昧になってしまうと、どれが正しいかとなってしまって、ややこしいのではないかと、その辺はどのようにケアをするお考えなのかということを教えてほしいのですけれども。
○楠岡部会長 事務局、お願いします。
○医政局研究開発政策課治験推進室室長補佐 ありがとうございます。必ず1対1で確認していって、透明性を上げていくというところは、もちろん重要と認識しているのですけれども、現在の臨床研究法では、御指摘いただきましたように、様式Bのところで関連する企業ということを挙げておりますけれども、企業から研究者へ提供しているような資金について、企業側から個人への情報は、粒度は細かくいただいていない、それを法律上義務付けていないというのが現状様式Bの体裁となっております。
先生が御指摘のように、その辺りをやっていくことになりますと、製薬企業等との調整になっていくと考えておりますが、それと、今、すぐというところは、なかなか対応は難しいと考えておりますのは、研究者の様式Cの所で、法律上、研究者に申告してくださいとしていることは今年度分と前年度分というところをお願いしているのですけれども、製薬協に加盟されている所は透明性ガイドラインで企業側で公表されている部分もあると思うのですが、そちらは前年度分以前のものが見えるということで、今年度の部分をどのように手当していこうかというところも、企業サイドとの調整が必要になってくるのかなと思っておりますので、今後の課題というように認識しております。
○医政局研究開発政策課治験推進室長 もう1点御質問頂いていますが、今、修正をどうしているのかというのは、現時点では申し訳ありませんが、研究者任せになっているかという認識でございます。研究者が確定申告のときとかに、源泉徴収票が企業から送られてきて、間違っていたと気付いたときには当然訂正いただいて、CRBにも報告いただいて、訂正の手続を取っていただくような現状だと思います。
○花井委員 現状に関してなのですけれども、結局、私は薬食審のやつをチェックして、結構、勘違いとか、そういう問題があるので、何も、不正をするとかだけではなくて、そうすると結構な数になるのですね。となると、このシステムの入力した話は、そういうデータとなってしまって、最初の段階からそういう進め方で大丈夫かなという気がするので、今後これが、もし、企業情報の公開がもっと進んで、もっと言えば、自動的に企業がすれば、企業が汗をかくようなシステムだったら自動的で一番いいと思うのですけれども、スタートの時点でこれをやって、かえって、何か、レガシーなデータベースになってしまわないかという心配しますので、その辺は早急に検討して、今後、患者も含めて全部、いわゆる個人番号もそうですが、要するに、属人的に全部ひも付けてしまおうという方向性が世界の流れになっている中で、こういったことも、もちろん国家は税金も含めて全部、個人にひも付けて管理しようという方法かもしれませんけれども、やはりそういう方向でデータベースが一体化していくように、患者で言えばPHRのようなものに、PHRからレジストリーに吐き出せば、自動的にレジストリーが作れるとか、そう考えると、今の段階での限界というのは承知しているのですが、やはり将来のシステムアップも含めて、可塑性のあるように設計していただけたらと思いました。以上です。
○医政局研究開発政策課治験推進室長 課題として認識いたしましたので、製薬企業あるいは医療機器メーカーとも相談、調整させていただいた上で、企業のほうからきちんとデータを頂けるということの調整と、あとは技術的に名寄せですけれども、多分、マイナンバーは恐らく、今は法律で使えない中で、名寄せをどうするのかといった技術的な課題と、製薬企業等々の調整については検討させていただきます。
○花井委員 ありがとうございます。いろいろレジストリーも含めて結局のところ、MID-NETもそうですけれども、データの信頼性をつくるために人海戦術で今やっていて、だから本来、ここでも、ある程度の人海戦術を付けておくと、後々が楽なのですけれども、そこまでの人と予算がないということで、ちょっとそこは懸念しています。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。ほかに御意見はございますか。COIの開示が始まった当時は、研究者にはすごい抵抗があったのですけれども、今、学会の発表とか論文投稿におけるCOIの開示ということは、ほとんど当たり前という形にはなってきていると思います。ただ、今回の場合は、このデータベースは国民、一般の方も見ることができるような形になるので、そこでまた、いろいろ抵抗が出てくる可能性はあるかと思いますけれども、最終的には全部公開というのが基本原則ですので、その辺も含めて御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。この件に関しましてはよろしいですか。
それでは、次の議題4に移らせていただきます。議題4は、研究資金の提供に関する情報公表の範囲についてということで、事務局から御説明をお願いいたします。
○医政局医薬産業振興・医療情報企画課長 資料4「研究資金等の提供に関する情報公表の範囲について」に沿って説明します。2ページ、改正の趣旨の3つ目の○です。先ほど資料2でも御説明がありましたとおり、令和4年6月のとりまとめにおきまして、「特定臨床研究に関与する企業について、費目の付け替えが行われている可能性の有無を確認できる状態とするよう、企業における情報提供関連費及び接遇費の年間総額の公表を法令で義務付けるべき」、こうした御提言を頂いております。こうした御提言を踏まえまして、今般、臨床研究法施行規則の改正を行うものです。
改正の趣旨の1つ目の○を御覧いただくと、現在、臨床研究法第33条におきまして、製薬企業等は、自社製品を用いた特定臨床研究についての研究資金等の提供に関する情報のほか、特定臨床研究を実施する者等に対する金銭その他の利益の提供に関する情報のうち厚生労働省令で定めるものを公表しなければならない、こうした規定があります。これに基づきまして、現在、厚生労働省令で定める情報、これは臨床研究法施行規則第90条に書いてありますが、特定臨床研究を実施する者等に対する研究資金等、寄附金並びに原稿執筆及び講演その他の業務に対する報酬に係るもの、こうしたものが規定をされているわけです。
下の箱の改正の概要を御覧いただきますと、今般、臨床研究法施行規則第90条を改正しまして、製薬企業等が公表しなければならない情報として以下の項目を加えるものです。1つ目のポツです。医療関係者に対して行う自社で製造販売をする医薬品に関する情報等の提供に関する事項(講演会、説明会等の件数及びその実施に要した費用の総額等)。そして交際費です。なお、これらの項目につきましては、特定臨床研究を実施する者等に対する利益の提供に限定をして公表するか、あるいは、製薬企業等が行う事業全体に係る年間総額を公表するか選択は可能としております。これにつきましては、既にパブリックコメントを昨年11月から12月に掛けて実施をしております。現在、法令的な条文の精査を行っておりまして、2月上旬にも公布をさせていただき、本年4月1日から施行したいと考えております。
3ページは、現行の臨床研究法及び臨床研究法施行規則の内容を記載しております。下の段の臨床研究法施行規則という所を御覧いただきますと、ここに太字で書いてありますが、現在、厚生労働省令で定める情報として、研究資金等、寄附金、そして原稿執筆及び講演その他の業務に対する報酬、こうしたものが定められ、それぞれどういう事項を公表するかが右の欄に書かれている、これが現行の省令です。
4ページは、省令改正した後の条文のイメージ、法令的な精査がありますので、あくまで最終のものではありませんが、イメージとしてお示しをしております。第90条の第1号という所を御覧いただいて、「医療関係者に対して行う自社で製造販売をする医薬品に関する情報等の提供に関する事項として」の後、事業全体に係る講演会、説明会その他の会合の件数及びその実施に要した費用の総額、そして、事業全体に係る情報提供のための書籍等の提供に要した費用の総額。それから交際費につきましても、事業全体に係る接遇を行う際の飲食に要した費用、慶弔費等の総額、こうしたものを公表した場合には、その下、先ほど御覧いただいた現行と同じものを公表するとなっております。これが、言わば、事業全体の総額を公表するパターンということです。
2号のほうを御覧いただくと、そうではなくて、医療関係者に対して行う自社で製造販売する医薬品に関する情報等の提供に関する事項、特定臨床研究を実施する研究責任医師に提供されたものに限る。同じように、交際費につきましても、こうしたものに限る、こうした場合には、右の欄に書いてあるようなことを公表いただく、こうした立て付けで省令を改正してはどうかと考えているということです。以上、御報告です。よろしくお願いします。
○楠岡部会長 ありがとうございました。御質問、御意見はございますでしょうか。いかがでしょうか。パブリックコメントで寄せられた中で、何か大きなものというか、もしあれば、差し支えなければちょっとお示しいただけますでしょうか。
○医政局医薬産業振興・医療情報企画課長 私ども、既にパブリックコメントで頂いた御意見につきまして、この約1か月余りの期間、計4件の御意見を頂いております。改正の趣旨の接遇費と交際費といった言葉遣いの違いに関する質問ですとか、それから、これはもともとの政策、私ども今回、このとりまとめで頂いたものを実現するための施行規則の改正ということでやっておりますが、そもそも、こうしたことの中身につきまして、総額の開示だけでなく、提供相手も公表しなければ、信頼性確保について十分ではないのではないかといった御意見ですとか、あとは、実際、実務的な観点からの御質問。例えば、業界団体の自主ルールに基づく公表で構わないのかとか、適用はいつからかとか、そうした、実際に公表を担われる観点からの実務的な観点、そのようなことについて御質問を頂いております。これについては、既に私どものほうで厚生労働省の考え方を整理してホームページ上で公表しているところです。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。何か御意見等ございますでしょうか。
○医政局医薬産業振興・医療情報企画課長 すみません、失礼しました。今、公表していると申し上げましたが、私どものほうで今、省令の法令的な審査の手続を行っておりまして、それと併せる形で公表します。今、私が口頭で申し上げたような内容につきまして、併せて、最終的には、ホームページの位置も厚生労働省なのか、それともこうしたパブリックコメントの手続を一覧で掲載するような所もありますので、そうした所にきちんと公表させていただきたいと考えております。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。佐藤委員、どうぞ。
○佐藤(暁)委員 1点だけ教えていただきたかったのです。これは、例えば、海外の企業がスポンサーで、日本で特定臨床研究をやるような場合、最近よく、エマージングバイオファーマとかありますが、そういったときも、海外の企業に対して適用されるという理解でよかったのでしょうか。
○楠岡部会長 事務局、お願いします。
○医政局医薬産業振興・医療情報企画課長 ちょっとすみません、今、そこの正確なところをきちんと確認できないので、一旦、留保させていただいて、個別に先生のほうに御説明を差し上げたいと存じます。
○佐藤(暁)委員 了解しました。ありがとうございます。
○楠岡部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。ここを説明いただいている課長さんが、これを終わると退室されてしまいますので、もし、この議題に関する御質問があればここでしかお受けできませんが、よろしいでしょうか。
では、どうもありがとうございました。それでは、議題3、議題4に関しては、臨床研究部会で報告を受けて、御了承を頂いたということで進めさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
それでは次、議題5です。「臨床研究中核病院に係る取扱い等に関する意見に関する社会保障審議会医療分科会への報告結果について」、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発政策課治験推進室課長補佐 それでは、資料5「臨床研究中核病院に係る取扱いの意見に関する社会保障審議会医療分科会への御報告結果について」の御説明をいたします。令和3年度業務報告で、特定臨床研究を主導的に実施した実績の要件が未達であった北海道大学病院、東京大学医学部附属病院、京都大学医学部附属病院の3病院の取扱いについての御報告となります。資料5を御確認ください。
昨年8月に開催されました第33回厚生労働審議会臨床研究部会におきまして、3病院の取扱いについて、先生方に御議論いただきまして、こちら、別添1~3にお示ししておりますように、北海道大学病院、東京大学医学部附属病院、京都大学医学部附属病院の取扱いに関する意見書を作成しております。こちら別添の後に、それぞれ別紙として、北海道大学病院、東京大学医学部附属病院、京都大学医学部附属病院から部会宛てに提出された要件未達となった経緯とその対策についての資料を付けております。
1枚目に戻ります。先生方に御確認いただきました意見書を、昨年11月に持ち回りの形で社会保障審議会医療分科会で御報告しました。結果としましては、各病院の取扱いについては特段の指摘はありませんでした。
PDFでいう34ページ、お手元に資料がある委員の方は、最後に添付しております別添4を御確認いただければと思います。こちらにお示ししていますように、分科会委員より御意見を頂いております。了承した旨の御意見も頂いているところですが、1ポツ目の所の御意見について読み上げます。
北海道大学病院、東京大学医学部附属病院、京都大学医学部附属病院の3病院が要件未達であったことは大きな問題であると認識している。本来は、日本の臨床研究をリードしていくべき臨床研究中核病院は、承認要件を優に超えることが期待されている。令和5年度の業務報告では、要件を満たすとのことであるが、今後は、条件付き承認や、承認の取消しについてのルール明確化や厳格化も検討が必要ではないか。また、今後、新規の申請があった際には、単純に承認要件を満たすことを以ってのみ承認することのないよう、十分に時間を掛けた慎重な審議が必要であると考える、といった御意見を頂いておりますので、こちらも併せて御報告させていただきます。以上となります。
○楠岡部会長 ありがとうございました。これに関して、何か御質問ございますか。よろしいでしょうか。それでは、この報告に関しましても、臨床研究部会で了承いただいたということで進めさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
では、引き続きまして、議題6「臨床研究法に定める疾病等報告について」です。事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発政策課治験推進室室長補佐 それでは、議題6「臨床研究法に定める疾病等報告について」御説明します。資料6を御覧ください。半期に一度、本部会で御報告しております疾病等報告について、令和5年度上半期分の疾病等報告を御報告します。1ページにお示ししておりますとおり、臨床研究法第15条1項の規定により、令和5年4月から令和5年9月末までの疾病等報告の状況について、別紙のとおり報告いたします。なお、当該報告内容に関し、認定臨床研究審査委員会から、臨床研究の対象者の安全性に大きな影響を及ぼす疾病等や不適合への措置として、臨床研究を中止すべき等の特記すべき意見が述べられたものとして厚生労働大臣に報告が行われたものはございませんでした。
2ページ、こちらはPMDAから受領しております「疾病等報告整理結果通知書」です。未承認の医薬品を用いる特定臨床研究の実施によると疑われるものは3件、全件が医薬品で、適応外の医薬品等を用いる特定臨床研究の実施によると疑われるものは14件報告されており、こちらも全件医薬品の研究によるものでした。
3ページに、少し字が小さいですが、未承認の医薬品等を用いる特定臨床研究の実施によるものと疑われるもの3件をお示ししております。いずれも、回復又は軽快の転機となっております。
4ページ、さらに字が小さくなりますが、こちらは、適応外の医薬品等を用いる特定臨床研究の実施によると疑われるもの14件をお示ししております。幾つか未回復又は死亡の転帰をたどったものがありますが、治療終了後、半年後の突然死ですとか、続報において、実薬ではなくプラセボ群に割り付けられていたという例であったり、治療開始時点で死亡と関連が疑われる合併症を既にお持ちであったなど、特定臨床研究の実施との因果関係がその時点では否定できないために第一報が報告されたものでして、いずれの研究も緊急対応を要するものではありませんでした。御報告は以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。疾病等報告に関して、何か御質問、御意見ございますか。よろしいでしょうか。それでは、これに関しましても、御了解いただいたものとさせていただきます。
本日の議題は以上ではございますが、全体を通じて、あるいはそれ以外に関して、何か御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。先ほど、臨床研究法の改正に関して、今国会に上程ということで、多分、今国会で通ると思いますので、そうしますと、6月までには一応、終わるということになります。前回も私からもちょっと申し上げましたが、臨床研究の在り方に関して、2019年に出して、ちょうど今年の12月で丸5年たつことになりますので、今回、後半においては、またそのリバイス、「在り方2024」を目指していろいろ作業をしていただきたいと思います。部会のメンバーの方々にはいろいろ御負担をお掛けするかもしれませんが、そういう方向性は事務局も考えておられると伺っていますので、是非、よろしくお願いしたいと思います。
前回、2019では、新たに加わったものとして、リアルワールドデータの取扱い、それに基づいた研究というのがありましたが、その後、この5年間で急速に出てきたものとしては、やはり、Decenttralized Clinical Trial、DCTがコロナとの関係もあって非常に着目されて、今、いろいろされているところがあります。それから、先ほどの社会保障審議会医療分科会の御意見にもありましたように、臨床研究中核病院の更新、更新と言いますか、継続あるいは新規認定に関しても、もう少し厳しくする必要があるのではないか、単に外形基準だけではなく、もう少し中身まで見たほうがいいのではないかという御意見がありましたので、この辺りも含めて、臨床研究中核病院のあり方について御検討いただくことになるかとは思います。これは、また6月以降の作業になるかと思いますが、是非、よろしくお願いしたいと思います。
それでは、ほかに、事務局から何かございますでしょうか。
○医政局研究開発政策課治験推進室室長補佐 今回は特にございません。次回の開催につきましては、改めて御連絡申し上げます。事務局からは以上です。
○楠岡部会長 それでは、本日はこれで閉会といたします。お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございました。