第199回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

日時

令和5年11月21日(金)13:00~15:00

場所

会場
厚生労働省 職業安定局第1会議室及びオンライン
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階公園側)
傍聴会場
厚生労働省 雇用環境・均等局大会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館13階公園側)

議事

議事内容
2023-11-21 労働政策審議会職業安定分科会(第199回)
○山川分科会長 定刻になりましたので、ただいまから、第199回「労働政策審議会職業安定分科会」を開催いたします。
 皆様方、大変お忙しい中、御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の委員の御出欠の状況ですが、公益代表の小幡委員、黒澤委員、労働者代表の石橋委員、小倉委員、使用者代表の砂子田委員、馬渡委員が御欠席と伺っております。
 馬渡委員の代理といたしまして、全国中小企業団体中央会労働政策部長の大谷様が御出席されます。労働者代表の山田委員におかれましては、所用で14時15分頃の退席となります。
 事務局では、長良総務課長が公務のため、途中で退席いたします。
 カメラ撮影がありましたら、ここまでとさせていただきます。
 本日の分科会はZOOMによるオンラインと会場での開催になります。オンラインでの発言方法につきましては、事前に事務局からお送りしております「職業安定分科会の開催参加方法について」に沿って御操作をお願いいたします。
 では、議事に入ります。
 まず、議題の第1番目は雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(改正入管法の施行に伴う改正)の諮問でございます。事務局から説明をお願いします。
○佐々木雇用開発企画課長 雇用開発企画課長の佐々木でございます。
 資料1-1でございますが、こちら、省令案要綱になっております。御説明のほうは資料1-2を使わせていただければと思います。
 資料1-2の2ページをお願いします。「補完的保護対象者を雇用する事業主への支援について」とタイトルを書かせていただいておりますが、昨年の分科会におきまして、ウクライナ避難民に関しまして、特定求職者雇用開発助成金、トライアル雇用助成金の対象とさせていただいたところでございます。
 今年の6月になりまして、入管法において従来の難民条約上の難民の類型に当てはまらないが、紛争等で避難を余儀なくされている方々、こちらについて補完的保護対象者として認定する制度が創設されたところでございます。
 この補完的保護対象者につきましても、ウクライナ避難民と同様に、特定求職者雇用開発助成金等の対象とする改正を行わせていただきたいというものになります。
 見直しの内容でございますが、補完的保護対象者を特定求職者雇用開発助成金、それから、トライアル雇用助成金の対象労働者に追加するものでございます。
 特定求職者雇用開発助成金は省令の改正、トライアル雇用助成金のほうは局長通知の改正になります。
 対象者につきましては、入管庁への申請を経て、補完的保護対象者として認定された方ということになります。
 表の下の注のところでございますが、補完的保護対象者の認定は本人の申請が必要となりますので、現行のウクライナ避難民、こちらも対象者として引き続き残すという整理をさせていただきたいと思っています。
 ウクライナ避難民の方々への助成金の支給決定件数でございます。9月末までの累積件数になりますが、特定求職者雇用開発助成金については15件、トライアル雇用助成金については0件という状況になっております。
 施行につきましては、入管法の施行日が12月1日予定されておりますことから、こちらについても、同日12月1日からの施行とさせていただければと思っております。
 説明は以上になります。どうぞよろしくお願いいたします。
○山川分科会長 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見等がありましたら、挙手、または「手を挙げる」ボタンをクリックしていただいて、こちらで指名させていただいた後にお名前をおっしゃってから御発言をお願いいたします。御質問、御意見等ございますでしょうか。
 では、大谷様、お願いします。
○大谷代理 ありがとうございます。馬渡委員の代理で出席している全国中央会の大谷です。よろしくお願いいたします。
 今回の改正につきまして御発言させていただきます。緊急時の案件として必要な措置であるということは認めますけれども、助成金の対象となる補完的保護対象者は出入国在留管理庁が定めるものでありまして、本分科会で議論の余地がないものとなっております。
 今は支給決定件数が15件と少ないというところでございますけれども、二事業財源が枯渇状態である中で、今後一層の対象者増加があるのだとすると、二事業財政にインパクトを与えることにならないか懸念しているところでございます。
 また、技能実習生等の外国人労働者と違いまして、日本語を理解されていない方が対象になってくると思われます。そうなると、小規模な企業では十分な支援が行えません。仕事についていただくことは重要でございますけれども、まず日本語教育の支援が先で、省庁横断的なサポートが欠かせないのではないでしょうか。
 また、必要な支援を受けた後に本事業を実施するなど、制度利用のための周知の仕方が重要になってくるのではないかと思っております。
 なお、難民受入れに関する事業は本来国が実施するべきものと考えております。今後は、二事業で実施するべきものなのかどうか十分に御検討いただきまして、これ以上の支援につきましては国庫負担としていただくことがよろしいのではないかと思っているところでございます。
 以上、ありがとうございました。
○山川分科会長 ありがとうございます。何か事務局からよろしいでしょうか。
○佐々木雇用開発企画課長 特定求職者雇用開発助成金の対象者につきましては、個別法の規定によって支援の対象とするものは一般会計で措置してきておりますが、それ以外の方々については雇用保険二事業ということで従来から整理させていただいているものでございます。また、他省庁や都道府県で、日本語支援を含め様々な支援がなされておりますので、そちらとの連携、また、今回対象者を追加することによって、支援機関にもこういう情報がしっかり届くように都道府県労働局とも連携しながら、周知をしっかり図っていきたいと思っております。
 以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。大谷様、何かございますか。
○大谷代理 ありがとうございました。しっかり周知を行っていただければと思っております。
○山川分科会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見等ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 運用に当たっての周知の必要性、あるいは横断的な支援体制の必要性、それから、今後の課題についても御意見をいただきました。特にこの件自体については御異議なかったように思いますので、特にございませんでしたら、当分科会としましては、厚生労働省案をおおむね妥当と認めて、その旨を私から御報告させていただきたいと思いますが、このような取扱いにつきまして御意見等ございますでしょうか。
 それでは、よろしければ報告文案の表示をお願いします。
(報告文案 表示)
○山川分科会長 今、表示されておりますとおり、省令の改正案についての報告案ということになりますが、おおむね妥当ということで報告することにつきまして御異議ございませんでしょうか。
(委員首肯)
○山川分科会長 ありがとうございます。御異議ございませんでしたので、そのように報告をさせていただきます。
 この議題につきましては以上になります。
 次の2番目の議題は雇用調整助成金についてとなります。では、こちらも雇用開発企画課長から御説明をお願いします。
○佐々木雇用開発企画課長 それでは、資料2に基づきまして雇用調整助成金について御説明させていただきます。
 ページおめくりいただいて1ページのところでございますが、こちらについては前回9月22日に分科会でお示しした課題等になります。適宜御参照いただければと思います。
 2ページでございますが、前回分科会での主な御意見を整理させていただきました。3つのカテゴリーで整理させていただいておりますが、「雇用調整助成金の目的・効果」というところにつきましては、雇用調整助成金の雇用維持という目的を外さないような、そういう観点から見直しを進めていかなければいけないという御意見があったかと思っております。
 また、3点目のところで、航空業界の話として、雇用維持につながっただけではなくて、回復の過程において従業員を解雇せずにいたことで、コロナ禍から回復するためにスムーズに移行ができたというようなお話をいただいております。
 それから、4点目のところでございますが、コロナ禍の対応で浮き彫りになった課題が、平時においても雇調金の課題なのか、しっかり整理すべきなのではないかという御意見をいただいております。
 それから、最後のポツでございますけれども、雇用調整のときに教育訓練が行われていないのかしっかり分析した上で、活用しやすい教育訓練のメニューの設定等を考えていかなければならないという御指摘をいただいております。
 2つ目のカテゴリーの「教育訓練」のところでございます。1つ目のところですが、非正規の雇用で働く人たちを考慮した教育訓練のメニューをしっかり考えていかなければならないというお話。それから、3点目のところでございますが、リスキリングによる能力向上支援ということであれば、どのような訓練が対象となるのか具体的に分かりやすく提示してほしいというような御意見がございました。
 それから最後、「雇用保険財政への影響等」というところでございます。1点目、セーフティネットとして柔軟・迅速に対応するためには平時のうちに必要な財源を準備しておく必要がある。それから、2点目として、教育訓練を付加するような新たな制度設計を行う場合には保険料率を増やさないでいただきたい。こういった御意見があったかと思います。
 3ページ、「雇用調整助成金における教育訓練」、現在の概要をおまとめしたものになります。通常制度の訓練内容の要件のところを御覧いただければと思います。職業に関する知識、技能又は技術を習得させ、又は向上させることを目的とするもの。そして、要領上、例えば次のものは対象外というような整理をさせていただいております。
 対象外のものとしましては、例えば1つ目のところにありますような趣味・教養を身につけることを目的とするもの。それから、2点目のところにあります通常の事業活動として遂行されることが適切なもの。こういったものが対象外として位置づけられております。
 次の段になりますが、訓練時間の要件としましては、所定労働時間分、または3時間以上所定労働時間未満という設定をさせていただいております。
 最後の段の加算額ですが、教育訓練を選択された場合には、賃金に対する助成額に加えまして、加算額というものを1日当たり1,200円助成するという仕組みになっております。
 右側のほうにコロナ特例を書いておりますけれども、コロナ特例のときには、中小企業2,400円、大企業1,800円という加算の上乗せをさせていただいたところでございます。
 資料の4ページを御覧いただければと思います。教育訓練の実施状況についてまとめております。雇用調整助成金における教育訓練の実施状況になります。
 左のグラフを御覧いただければと思いますが、円グラフで示しておりますコロナ前5年間、通常時における教育訓練の実施割合としましては、1.4%という形になっております。
 この実施された1.4%がどのような形で訓練されていたかというのを表したものが次の小さな円グラフになります。ピンク色の部分は教育訓練のみを実施された事業所でして、割合としましては31.3%になっております。それ以外のグリーンの部分、68.8%になっておりますが、こちらは休業と教育訓練を合わせて実施した事業所となります。
 休業も教育訓練も実施した、そのような事業所において訓練がどの程度行われていたかというのを少し分解してみたのが次の右の棒グラフになります。多くの事業所では、全体の支給日数に占める訓練日数の割合というものが10%未満という形になっております。
 資料の5ページを御覧いただければと思います。前回、資料としてお出ししたものを再度おつけしております。JILPTで行っておりますコロナ特例に関するアンケート調査の速報版になります。雇用調整として行う休業の際の教育訓練等の実施状況を示したものになりますが、正社員へのOFF-JTによる教育訓練は17.6%で実施されている。それから、非正社員へのOFF-JTによる教育訓練は7.2%。こういった状況になっております。
 資料の6ページを御覧いただければと思います。通常期と特例における教育訓練の状況比較をしたものになります。通常期、真ん中の段を御覧いただければと思います。教育訓練実施割合のところでございますが、先ほどお話ししましたように、実施事業所の割合としては1.4%となっております。
 リーマンショック期のところは25.8%となっております。コロナ特例のときでございますが、割合としましては5.1%となっております。リーマンショック期、コロナ特例のとき、それぞれ上に書いております訓練加算額について、通常より上乗せして対応しているものでございます。
 資料の7ページを御覧いただければと思います。雇用調整助成金の受給手続の流れを示しております。通常制度に戻りましたので、雇用調整の計画を出していただき、雇用調整を実施していただいて、その上で支給申請をしていただくという形になっております。
 支給申請の細かなところは下の詳細図になっておりますが、判定基礎期間ごとに申請していただき、助成金をお支払いするという仕組みになっております。
 資料の8ページを御覧いただければと思います。前回の分科会でなぜ教育訓練が利用されていないか、分析してはどうかという御意見をいただきましたので、7労働局から事業所に対してヒアリングしたものをまとめたものになります。
 1つ目の「制度の認知度」でございますが、御回答としては、教育訓練が対象になることを知らなかった。膨大な情報がある中で、利用する事業主にとって分かりやすい形で示してほしい、といった御意見がございました。
 それから、2つ目の「実施コスト」の欄になりますが、取り組みたいが検討する時間・余力がなかった。それから、経費、売上げが減少している中で選択できなかった。こういった御意見がございました。
 それから、「訓練内容」のところでございますが、契約しているeラーニング教材での受講が対象になると実施しやすいといったような御意見。それから、2点目のところになりますが、情報量が圧倒的に少なく、どこで相談したらいいか分からない、といったようなお話。それから、最後のポツになりますが、不定期に休業する場合もあり、計画が立てにくい。年間計画に入れてある階層別研修等はコロナ禍でも実施しており、これ以上に新たな教育訓練を検討することはできなかった。こういった御意見がございました。
 最後、「その他」のところでございますが、コロナ禍において教育訓練を行うという余裕がなかった。コロナの感染状況を踏まえると、出勤を求めたり、集合での研修を実施することはできなかった。それから、資格等を取得すると辞めてしまう人がいるため。こういった御意見をいただいたところでございます。
 資料の9ページでございます。上の2つは前回もお話しさせていただいたところでございます。骨太の方針2023、それから、新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版になります。
 それから、一番下の欄は、昨日、財政制度等審議会財政制度等分科会において「令和6年度予算の編成等に関する建議」というものが出されておりまして、その中で雇調金についても触れられている。そこから抜粋させていただいたものです。
 1点目としては、特例措置について、政策効果についての検証を行うべきであるということが記載されております。
 2点目のところについては、休業による雇用維持に重きを置いた現行の雇用調整助成金の見直しを含め、労働移動の円滑化・労働者のスキルアップに資する施策を強化していくべきであるということが書かれております。
 それから、3点目は不正の話について書かれております。不正は許されない旨の強いメッセージを発信するとともに、事後チェックを徹底するなど、不正に対してより一層厳正に対応していくべきである、ということが書かれております。
 それから、資料10ページ、非常に長いものになりますが、これも11月11日に行政事業レビューがございまして、雇用調整助成金(コロナ関連)についても議論いただいたところでございます。その際の委員の取りまとめコメントになります。
 一つ一つ御紹介するのは割愛させていただければと思いますが、例えば1点目のところは、不正対策として、デジタル化、マイナンバーなども含めて活用を検討してはどうかというような御指摘でございました。
 それから、4点目から6点目のところは、雇用調整助成金について特例措置の政策効果の検証を、他国との比較なども含めてしっかりやっていくべきというような御意見でございました。
 下から2つ目のところでございますが、今、御議論いただいている制度見直しについても触れられておりまして、2行目になりますけれども、教育訓練による雇用調整のインセンティブを与えるため、助成率等に差を設けるなどの工夫により、政策効果を十分に発揮する仕組みづくりを行うことが重要である、というコメントをいただいております。
 最後の点は、目標設定について、もう少し幅広いものを検討してはどうかというような御意見をいただいたところでございます。
 資料の11ページでございますが、今回、本日御議論していただきたい論点について事務局として整理させていただいたものになります。
 1つは、「教育訓練」というカテゴリーにして5点並べておりますが、1点目につきましては、制度の認知度について事業主から様々な御意見をいただいたところでございますので、丁寧に周知するとともに、利用しようとする事業主にとって分かりやすい制度である必要があるのではないかと書かせていただきました。
 2点目のところでございます。教育訓練による雇用調整を選択しやすくなるよう、教育訓練を求めることが原則となるような仕組みはどのようなものが考えられるのかということを書かせていただいております。
 3点目でございますが、助成金の活用を検討する段階で教育訓練が選択できること、どのような教育訓練が対象になるか、既存の支援制度との関係などを明らかにした上で、教育訓練に取り組むことを促していくことが考えられるのではないかということを書かせていただきました。
 4点目でございますが、教育訓練に取り組むためには準備期間が必要となりますが、助成の要件として教育訓練を必要とする時期や対象となる労働者についてどのように考えられるのか。
 5点目として、非正規雇用労働者など教育訓練機会が少ない層に広げていくための工夫が必要ではないか。
 この5点を書かせていただいております。
 それから、前回の分科会でも、平時の話、通常時の話と特例措置の話というのを少し分けて議論すべきではないかというお話をいただいておりまして、特例措置ということで、1点目としては、不正の話として、今回様々な簡素化なども行っておりましたが、こちらなども検証して、事前、事後での不正防止対策を強化できないかということ。それから、特例措置の効果検証を踏まえ、緊急時における対応の際の留意点や労働移動支援などほかの施策とのバランスについてどう考えるか整理すべきではないかということを記載させていただいております。
 資料12ページからは参考資料でございますので、適宜御覧いただければと思います。
 最後、すみません、参考資料として別途資料を配付させていただいております。こちら、コロナ特例の効果検証についての状況、EBPMのアドバイザリーボードなどでも議論になっておりますので、御紹介させていただければと思います。
 1ページでございます。どのような特例措置の効果検証で今どういうことをやっているのかというのをまとめたものになります。厚生労働省としましては、JILPTに要請しまして、2021年10月から有識者の研究会を開催し、業務データ等のエビデンスに基づく特例の効果についての分析を進めているところでございます。
 これまでの成果を2ポツ目に書いておりますが、リーマンショック時から2021年1月までの雇用調整助成金支給に係る業務データの集計分析を行いました。また、このコロナ禍で行われた諸外国の雇用維持政策についての調査も行ったところでございます。
 3点目のところでございますが、今後、定量的な分析に向けまして、現在、助成金の迅速支給を優先させましたことから、整備がまだ十分でない休業人数等の詳細情報を遡及して整備しているところでございます。また、休業期間中の課題ですとか助成金に対する評価、こういったものは業務データでは取得できないものですので、先行して、今、アンケート調査の集計・分析を行っているところでございます。今年度中にこの分析などを取りまとめた上で調査報告書を公表する予定としております。
 今後、このアンケート結果、それから業務データ、こちらを用いて、雇調金を受給した事業所、受給していない事業所、こういったところの比較分析などもできるよう作業を進めていく予定にしております。
 論点例としては、下に4点ほど書かせていただいておりますが、こういったことを中心に少し分析ができないかと考えております。
 資料2ページ以降は参考でございますので、適宜御参照いただければと思います。
 長くなりましたが、私からの説明は以上とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 それでは、本件につきまして御質問、御意見がありましたら、先ほどと同様の方法で御発言をお願いいたします。御質問、御意見等ございますでしょうか。
 大谷様、お願いします。
○大谷代理 ありがとうございます。全国中央会の大谷です。
 雇用調整助成金を活用して休業中に教育訓練を行うということでございますが、人手不足の中小企業が平時に雇調金を使って教育訓練を行うかといいますと、なかなか難しいところがあるのではないかと思っております。これまでの議論にありましたとおり、労働者が教育訓練を行った結果、退職につながるといった懸念がございます。企業が必要とする教育訓練のうち何が対象となるのか分かりやすくしていただき、財源の問題がありますけれども、訓練内容によって助成率を変えるなど工夫が必要になるのではないかと思っております。
 また、不正受給がないようにすることが大変重要な問題でございますが、煩雑な手続にならないように御検討いただきまして、企業が教育訓練を選択しやすいものにしていただけるとありがたく思っております。
 以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。では、大下委員、お願いします。
○大下委員 まず、教育訓練について3点申し上げます。
 1点目は、事業主への周知、分かりやすい制度というところ、非常に重要かと思っております。これとは別に、在職者、求職者の訓練期間中の生活支援として、人材開発支援助成金での賃金助成、あるいは教育訓練支援給付金などが措置され、また、別途、雇用保険部会でも、在職者の教育訓練中の生活を支える給付金など様々な内容が議論されております。これらとの関係性、それから、雇用調整助成金で教育訓練を促していく趣旨なども含めて分かりやすく丁寧に周知していただくことが重要かと思っております。
 2点目は、休業よりも教育訓練による雇用調整を選択しやすくという趣旨、非常に重要かと思っておりますが、今、大谷委員からもお話があったとおり、なかなか難しい面もあるのかと思っております。
 比較的長期の休業が見込まれる場合については積極的に教育訓練を促していくということが重要かと思っておりますが、それぞれの事業所の休業に至った経緯、あるいは今の従業員の状況などしっかり伺った上で、制度の趣旨、内容に加えて利用できそうな訓練機関のメニュー、あるいは他の人材開発支援助成金であるとか教育訓練給付などの支援策も十分に情報提供していただき、また事業所からの相談に乗っていただくことが重要かなあと思っております。
 3点目は、非正規雇用に広げていくための工夫が必要ではないかというところですが、趣旨は全く異論ありませんが、雇用保険二事業で非正規雇用労働者まで対象とすべきかというところについては十分な議論が必要かと思っております。
 特例措置の部分については、2点申し上げたいと思います。1点目は、簡素化と不正防止というところですけれども、雇用調整助成金のみならず、各種制度の手続、書類の簡素化の検討・実施をぜひ進めてもらいたいと思っております。
 不正防止も必要ですけれども、コロナ禍のような緊急時には、やはり制度の利用促進、あるいは迅速な支給ということとのバランスが重要かと思っております。デジタル技術、あるいはAIみたいなものは、手続をスピードアップするだけではなく、不正を見抜くというところでも何か活用ができないのかと思います。この辺りも検討いただきたいと思っております。
 2点目は、特例措置、緊急時の対応の点で、コロナ禍のときにも何度も申し上げましたが、雇用調整助成金、雇用保険二事業でどこまでカバーするのかというところは重要な論点だと思っております。深刻かつ広範囲に及ぶような経営危機、雇用情勢の悪化に関しては、積極的に一般会計での特別な措置ということをしっかり考える必要があろうかと思っております。
 私からは以上です。ありがとうございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。では、次は冨高委員、お願いします。
○冨高委員 ありがとうございます。
 資料2の11ページの論点案の2点目で「30日を超える雇用調整となる場合に教育訓練を求めることが原則となるよう」という記載があります。皆さんからご意見があるように、適正な職業能力開発が行われることは大変重要だと思っておりますが、雇調金の制度趣旨は、解雇等を行わず、雇用の維持を図ることであり、そのために休業、教育訓練、出向があります。その中で、教育訓練を原則とすることにつきましては少し疑問があるところです。例えば、計画した訓練が対象外であった場合や、地域や時期によって実施している訓練講座に差があるなど、訓練を準備するのが難しい場合があります。教育訓練を原則としてしまうと、このように訓練が難しい場合、その雇用の維持が困難になるのではないかと少し懸念しているところです。
 前回も申し上げましたが、雇用のセーフティネットとしての機能が後退することのないようにしていただきたいと思いますし、また、教育訓練ではなく、在籍出向を選択した場合に不利益とならないような検討も必要かと考えております。
 対象となる教育訓練について、資料8ページのヒアリングの内容を見ますと、やはり事業主の方たちからは、分かりやすさ、訓練メニューの充実、情報提供などが求められていると思います。雇調金を活用する事業主の方は事業縮小を余儀なくされ、余裕がない場合も多いことを勘案すれば、事業主にとって分かりやすく、実施しやすい訓練講座の設定や例示が必要ではないかと考えます。その際、訓練内容の要件として対象外の規定もありますが、そういった内容の見直しも併せて検討してもよいのではないかと考えております。
 それから、資料5ページにある非正規雇用労働者の教育訓練の実施については、私どもも必要だと考えております。正規雇用労働者に比べて実施の機会が少ないため、非正規雇用で働く時間的な制約がある方も教育訓練の対象となるよう、受講しやすい工夫が必要だろうと考えております。
 次に、特例措置についてです。これは記載のとおり、検証を踏まえて緊急時における対応の際の留意点を整理することは、ぜひやっていただきたいと思います。前回、久松委員からも意見がございましたが、コロナ特例で行われた企業規模要件の緩和など、産業ごとに効果は様々だと思います。そういった産業ごとの効果も含めてきめ細やかな検証をお願いしたいと考えておりますし、非常時においては、検証結果や影響する産業ごとの状況を踏まえた柔軟な検討が重要だと考えております。当然のことながら、効果検証に必要なデータについては本分科会においても適宜共有いただければと思います。
 最後に、財源について、前回も申し上げましたが、平時のうちに必要な財源を準備しつつ、雇用の非常時には、雇用保険部会の合意等、審議会の合意によって、一般会計から迅速に繰入れを可能とするような規定も必要かと考えております。
 以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。では、阿部委員、お願いします。
○阿部委員 ありがとうございます。
 私は、雇用調整助成金の教育訓練コースを事業主の皆さんが選択してもらうためにどうしたらいいかという点で、今日いただいた資料の6ページ目に「通常期と特例における教育訓練の状況比較」というシートがあったと思いますが、それを見ながら考えたことがありますので、少しお話しさせていただきたいと思います。
 リーマンショック期とコロナ特例期のときに、教育訓練の実施割合が相当に違っている。リーマンショックのときには、実施事業所の割合が25.8%で、コロナのときには5.1%にすぎなかった。これは何でなのだろうなと考えておくことは大事なのではないか。その上で、その上の訓練加算額を見ますと、リーマンショック期は、中小企業で最大6,000円、大企業で最大4,000円でしたが、コロナのときには、中小企業2,400円、大企業1,800円と、かなり訓練加算額がリーマンショック期には大きかったという点が、事業主が、もしかしたら、これをインセンティブとして教育訓練を実施してきたのではないかということですね。
 と同時に、多分、リーマンショック期は、休業手当のところも通常期と変わらなかったのではないかと思うのですね。そういう意味で、教育訓練加算額が非常に相対的に大きなインセンティブをもたらしている可能性はありますので、こういった点も少し検証されて、訓練を選んでもらうためにはどのような制度設計をしていくかというのに参考になるような資料をおつくりいただけると助かるかなと思っています。
 以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。そのほかに御質問、御意見等ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 幾つか、さらなる検討事項等、あるいは御要望をいただいたところであります。事務局から何かありますか。
○佐々木雇用開発企画課長 様々御指摘いただきましたので、少し整理して、検討させていただきたいと思っております。制度の周知なども、たくさん御指摘いただきました。これから制度設計を進めていくわけでございますが、教育訓練のほかの制度との関係性なども整理して、どういうときに使えるのかということを分かりやすくお示しできるようにしていきたいと思っております。
 また、事業主の方からのヒアリングでもございましたし、今日の御指摘でも多数いただいておりますが、教育訓練の分かりやすさ、こちらも、どういうときにどういうものが活用できるのか、全てを一覧にするのはなかなか、ちょっと難しいかなと思っておりますけれども、どういう観点から選んでいけるのかというのは少し工夫していきたいと思っております。
 それから、非正規雇用労働者の関係でございます。非正規雇用労働者であっても、雇用保険の被保険者であればこちらは対象になっておりますので、そういった中で検討していくのかなと考えております。
 また、特例措置の検証でございます。これから本格的に検証していくということになってきます。都度都度、何か発表させていただいたり、取りまとめさせていただいたりとか、進んできた段階で分科会のほうにも御報告させていただいて、コロナ禍においてどういった点が課題として浮き上がってきたのかとか、あるいは、次の危機に備える観点からどういうところを今後は留意していくべきかといったような点について、分科会でも少し御整理をお願いできればと思っております。
 簡単ですが、以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。JILPTの検討は現在進行中ということだったでしょうかね。
○佐々木雇用開発企画課長 はい。現在、データ整備のほうを進めております。本格的な検証というのは少し先になってきますけれども、それ以外にも、支給データ自体を分析するということも鋭意進めておりますので、ある程度まとまってきた段階で御報告させていただければと思っております。
○山川分科会長 よろしくお願いします。あと、御意見あったところですが、他の助成金とかスキームとの関係、これは多分、検討する制度の趣旨にも関わることかとも思いますので、このような趣旨にはこのようなものが利用できると。先ほども既におっしゃられましたけれども、その辺りの整理も重要かと思いますので、よろしくお願いします。
 ほかはいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 この議題につきましては、本日いただきました御意見、御議論を踏まえて、さらに引き続いて議論することにいたしたいと思います。
 では、議題の3番目、雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」についての諮問となります。事務局から説明をお願いします。
○柴田労働移動支援室長 労働移動支援室の柴田です。よろしくお願いいたします。
 資料3-1が省令案要綱、資料3-2が省令案概要、資料3-3が関連資料になります。まず、資料3-2を御覧ください。
 1の「改正の趣旨」に記載ございます、1.産業雇用安定助成金が当職業安定分科会で御審議いただく助成金になります。内容は、1ページの産業連携人材確保等支援コースの新設と、2ページの事業再構築支援コースの廃止についてでございます。1ページの産業連携人材確保等支援コースの新設、こちらのコースが今回の経済対策の閣議決定を受けての施策になります。
 産業連携人材確保等支援コースの新設につきましては、資料3-3で御説明いたしますので、そちらを御覧ください。
 「施策の目的」になりますけれども、持続的な成長と分配の好循環を実現するために、コロナ禍からの社会経済活動の回復に伴う人手不足を克服していくことが必要であると考えておりまして、このため、人材確保に対する支援の強化を産業政策と連携いたしまして、生産性の向上を図る中小企業等に対しまして支援を行うことを考えております。
 「施策の概要」になりますけれども、景気の変動等により事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が行う事業の生産性向上に資する取組等を人材確保等の面から効果的に促し、当該事業主に雇用されている労働者の雇用の安定の確保を図るとともに、新たな人材の円滑な受入れを支援するために、当該事業主が対象労働者を雇い入れた場合に、助成金により支援することを考えてございます。
 対象となる事業主は、「生産性向上等に必要な新たな人材を雇入れた事業主」と記載がございますけれども、その対象となる事業主は、中小企業庁が実施しております事業再構築補助金や、ものづくり補助金が事業の目的を「生産性向上等」としておりますので、それらの補助金の交付決定を受けた事業主を助成金の対象として想定しているところであります。
 支給額は、中小企業で1人につき250万円、中小企業以外では180万円としており、それぞれ1事業主当たり5人を限度とすることを考えてございます。
 次に、資料3-2の2ページの「事業再構築支援コースの廃止」についてでございます。当コースは、コロナ特例といたしまして、当分の間支給することとしておりました。現在の経済情勢と今般の新たなコースの新設によりまして、当コースにつきましては廃止することを考えてございます。
 今回廃止する事業再構築支援コースは本年度から実施しておりまして、中小企業庁が実施する事業再構築補助金の第10回と第11回の交付決定を受けた事業主が新たに人材を雇い入れた場合に、当該コースにより助成金を支給することとしているものでございます。
 本コースは、事業再構築補助金の第10回の採択が2か月前の9月22日に行われ、その後の交付決定後に新たな人材の雇入れが行われた場合に、雇入れから半年経過後、またさらに半年経過後に助成金の支給申請が行われるため、助成金の支給実績はまだない状態にございます。
 そのため、事業再構築補助金の第10回、第11回の公募に係る助成金の支給への対応といたしまして、令和7年3月31日までに雇い入れた場合の助成に限ると経過措置を定めることとしております。
 今回新たに産業連携人材確保等支援コースを新設いたしまして、併せて、コロナ特例としての事業再構築支援コースを廃止することとしておりますけれども、両コースともに同様の仕組みであることから、廃止する事業再構築支援コースにつきましては、今後、実績等についてしっかりと検証を行うとともに、その結果を産業連携人材確保等支援コースや今後の施策に反映してまいりたいと考えております。
 私から御説明は以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、以上の件につきまして、御質問、御意見がありましたら、先ほどと同様の方法で御発言をお願いいたします。御質問、御意見等ございますでしょうか。
 冨高委員、お願いいたします。
○冨高委員 ありがとうございます。
 「産業連携人材確保等支援コースの新設」について、対象労働者のところに「専門的な知識等を有する」とありますが、適切な制度運用がなされるためには、どのような知識が求められ、また、どのように知識を有していると判断するのかが重要だと思いますので、専門性を担保するための要件の設定が必要だと思います。
 それから、年収に関する記載について、事業活動を縮小した企業を対象としていることは承知しておりますが、経営基盤の強化に資する者で、かつ、専門的な知識等を有し、期間の定めのないフルタイムで就労する者であるということを踏まえると、年収水準として適切なのかというところも気になるところではございます。
 本給付によって、対象労働者の賃金水準がスキルに見合うレベルとなることに加え、その知識や経験を十分に活用できる職場環境を整備するための周知、工夫をぜひお願いしたいと思います。
 それから、1点、念のための確認です。この産業連携人材確保支援コースについて、事業活動を縮小した際に、派遣労働者も含め、解雇や退職勧奨のほか、事業主都合による離職、また有期雇用で働く方の雇い止めなどがあった場合は、当然のことながら支給の対象にはならないと考えておりますが、その認識でよいか確認させてください。
 以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。では、御質問が含まれていましたので、事務局からいかがでしょうか。
○柴田労働移動支援室長 解雇規定の関係でございますけれども、対象労働者の雇入れの日から起算しまして、6か月前の日から支給申請日までの間に解雇したことがある場合は対象事業主とならない規定を支給要領のほうに定めてございます。
○山川分科会長 冨高委員、何かございますか。
○冨高委員 ありがとうございます。6か月でいいかということはありますが、非正規で働く方も含めて雇用の維持が行われることが重要だと考えておりますので、運用に関しては重々注意していただきたいと思っておりますし、制度が適切に運用されるように、認定した対象者や事業主などの内容、またその後の状況等は、制度開始後も御確認いただきながら、きちんと効果検証をしていただきたいと考えております。
 以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。では、次に新田委員、お願いします。
○新田委員 
 資料の説明ありがとうございました。コロナ特例であった事業再構築支援コースは廃止する一方で、今回新たに産業連携人材確保等支援コースが新設されると理解したところでございます。
 この背景としては、やはりコロナ禍からの経済活動の回復に伴って再び顕在化してきた人手不足があり、これに対応するべく、今回廃止することになっている事業再構築支援コースの考え方や理念等に基づいて、生産性向上に取り組む事業主をしっかりと支援していこうという趣旨で、新設されると理解したところでございます。
 一方で、今回廃止されるコースはまだ実績が出ていないということですので、その効果検証を十分に行うことと、その検証結果を今回新設されるコース、あるいは他の施策等にしっかりと活かしていただくことを前提として、今回の新設について、了承したいと思っているところでございます。
 私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 運用に当たって幾つか御要望等いただいたところでございます。それは受け止めていただくということにさせていただきまして、そのほかに特にございませんでしたら、以上のようなことで、当分科会として、厚生労働省案をおおむね妥当と認めて、その旨、私から御報告するということでいかがかと思います。この点、御意見等ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 では、報告文案の表示をお願いします。
(報告文案 表示)
○山川分科会長 おおむね妥当という文案になっております。これで労働政策審議会会長宛てに報告するということで御異議ございませんでしょうか。
(委員首肯)
○山川分科会長 ありがとうございます。御異議ございませんでしたので、この文案のとおり報告させていただきたいと思います。
 この議題につきましては以上となります。
 本日予定されていました議題は以上で終了いたしましたけれども、この際、委員の皆様方から何か御発言等ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、本日の分科会はこれで終了いたします。大変お疲れさまでございました。