薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会令和5年度第2回運営委員会議事録

日時

令和5年9月20日(水)16:00~18:00

開催形式

Web併用

出席者

出席委員(6名):五十音順、敬称略 ◎委員長
武田薬品工業株式会社:敬称略
日本赤十字社:敬称略
事務局:

議題

  1. 1. 感染症定期報告について
  2. 2. 血液製剤に関する感染症報告事例等について
  3. 3. 血液法に定める「血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保を図るための基本的な方針」の5年ごとの再検討について
  4. 4. 武田薬品工業(株)成田工場の改修について
  5. 5. 令和5年度需給計画の変更等について
  6. 6. 日本赤十字社の令和4年度血液事業報告について
  7. 7. 各調査会の審議結果について
  8. 8. その他

配布資料

資料ページをご参照ください。

議事

議事内容
○有田血液対策課長補佐 定刻となりましたので、血液事業部会令和5年度第2回運営委員会を、Web併用の形式で開催いたします。本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
 本日は、お忙しい中御参集いただき、誠にありがとうございます。この度は、御参加いただく方の利便性等の観点から、Web併用での審議とさせていただきます。本日の会議における委員の出席についてですが、委員6名全員に御出席いただいていることを御報告いたします。
 本日は参考人として、武田薬品工業株式会社から塩入將介希少疾患事業部血漿分画製剤領域企画渉外ヘッド、清水直史グローバルクオリティ製薬品質センター成田製薬品質部部長に御出席いただいております。また、日本赤十字社血液事業本部より、前野節夫総括副本部長、後藤直子技術部次長、藤田秀行経営企画部次長、早坂勤経営企画部次長、国吉紀和経営企画部事業戦略室参事、中村篤典経営企画部献血推進課長にお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 加えて、事務局に人事異動がありましたので、御報告いたします。血液対策課長の山本圭子が、渡辺の後任として着任しておりますので、紹介いたします。
 続いて、全ての委員の皆様から薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告いたします。委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 議事に入る前に、会場にお越しいただいている委員の皆様におかれましては、本日の資料の確認をお願いいたします。タブレット上にマル1議事次第~マル19資料7までのPDFファイルが表示されているか、御確認をお願いいたします。ファイルが表示されていない場合や不足がある場合には、お近くの職員にお声掛けください。
 本日はWeb併用での審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について御説明いたします。審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず御自身のお名前と発言したい旨を御発言いただきますようお願いいたします。その後、委員長から順に発言者を御指名いただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、御発言ください。また、ノイズを減らすため、御発言が終わりましたらマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。なお、発言者が多くなり、音声のみでの判別が難しいほど混雑した際は、1度皆様の発言を控えていただき、発言したい委員についてはチャットにその旨のメッセージを記入していただくよう、事務局、又は委員長からお願いをする場合があります。その場合には、記入されたメッセージに応じて委員長から発言者を御指名いただきます。
 間もなく議事に入りますので、カメラ撮影はここまででお願いいたします。それでは、これ以降の進行を田野﨑委員長にお願いいたします。
○田野﨑委員長 これまでの御説明に質問や御意見がありましたら、お願いいたします。よろしいでしょうか。本日は、委員の皆さんに少し対面に近付いた形で来ていただきましたので、より活発で充実した議論ができればと期待しております。
 それでは、まず議題1、感染症定期報告について、事務局より資料の説明をお願いします。
○有田血液対策課長補佐 資料1-1を御覧ください。感染症定期報告(研究報告概要一覧)です。今回は、令和5年3月~6月の受理分です。今回は、9本の論文になります。
 1ページを御覧ください。1ページは、ウイルスに関する論文5本になります。1番目はHIV感染についてです。米国において、輸血により感染するHIVのリスクを低減するための献血に関する時間に基づく延期から、ジェンダーを含めた個人のリスクに基づいた質問を用いて、血液ドナーの適合性を評価することへの変更を提案していると発表がありました。主な変更としては、MSM、男性同士の性交渉をする男性及びMSMと性行為を行う女性に関する時間に基づく延期が廃止されます。また、過去3か月の新規、あるいは複数の性的パートナーに関する項目や、肛門性交の有無を問診するという個別のリスク行動に基づく問診に変わるということです。その他、曝露前予防薬(PrEP)及び曝露後予防薬(PEP)について、投与後の直後の献血をお断りするというような内容も含まれています。
 続いて2番目です。こちらは、日本赤十字社からの論文です。日本における複数回献血者の調査によって、2013年~2021年にかけての新規の感染者の数が、前回の調査の2005年から2006年のときよりも増加していることが確認されました。こちらは、複数回献血者における新規の感染ですので、水平感染の増加と考えられるということです。
 3番目の論文が、エムポックスについてです。概要ではサル痘という表記もありますが、現在はエムポックスと呼ばれますので、私はエムポックスと申し上げます。ポックスウイルス科のウイルスは非常に大きく、エンベロープを持つことが知られています。そのため、血液製剤の製造行程で効果的に除去・不活化されることが期待されています。この研究では、ほかのエンベロープウイルスと同様に、TX-100、又はNereidを含むS/D処理で、ポックスウイルスの不活化に非常に有効。したがって、現在エムポックスウイルスが蔓延していても、血液製剤のウイルス安全マージンは損なわれないということが書かれています。
 4番目の論文は、Langya henipavirus(LayV)と命名された新しいウイルスが、中国の山東省と河南省で同定されたという論文です。5番目は、心肺移植を受けたフランスの61歳の女性が、未知の種のサーコウイルスに感染していたという論文です。
 続いて、2ページを御覧ください。2ページからは、ウイルスではなく、その他に関する論文になります。6番目と7番目については、南米のフランス領ギアナにおいて、新規のアナプラズマ種によるヒトの感染例が報告されたというものです。8番目については、同じく南米のフランス領ギアナにおいて、新種のブルセラ属菌によるヒトの感染例が報告されたというものです。
 3ページを御覧ください。9番目は、クロイツフェルト・ヤコブ病に関するものです。2022年に、米国とオーストラリアにおいて、英国での滞在経験がある献血者への制限が撤廃されました。一方、欧州においては、過去に英国に滞在したことがある方のドナー希望者に対する現在の延期措置が、依然として適切であるかどうかということを検討するように要請がされています。これについては、食品又は輸血によるクロイツフェルト・ヤコブの症例は新たに報告されていませんので、血液を介したクロイツフェルト・ヤコブ病感染に関する全体的なリスク評価に変更はありません。
 また、クロイツフェルト・ヤコブ病に関して信頼できる診断用血液検査がありませんので、血液成分を介した感染のリスクは依然として不確実なままということも書かれています。米国とオーストラリアに関しては、数理モデルの結果に基づいて、このような制限の撤廃をしたということですが、この数理モデルについても多くの不確実性が残されています。そのため、欧州やほかの国においては、今後も議論が続いていくものと思われます。研究報告概要一覧については、以上です。本文が資料1-2に載っておりますので、詳しくはそちらを御覧ください。
 4ページからが、感染症定期報告(個別症例報告概要)、外国症例の一覧です。こちらも、令和5年3月~6月の受理分です。今回は11例報告されていますが、1例目~5例目までは同じ方で、6例目~11例目までが別々の方ということになります。これについては、個別の症例についての説明は割愛いたします。資料1、資料2についての説明は以上です。
○田野﨑委員長 ただいまの説明において、水上委員から追加で御発言がありましたら、よろしくお願いします。
○水上委員 本日は9つの文献がありましたが、文献1~3の3つを選び、コメントしたいと思います。まず文献1のHIVですが、本文献は2023年1月にFDAより出された勧告のドラフトとなります。内容は、男性間性交渉者、MSM及びMSMと性交渉のある女性に対する無期限の供血延期措置を廃止し、個人の性交渉リスク行動を問診で確認することで供血延期措置を行うことを推奨するものであり、過去3か月間に新規又は複数の性的パートナーと肛門性交のある方は、供血を延期することとなります。
 米国は、献血者におけるHIVの行動学的危険因子に関する調査(REDS2)や、MSMの方の意見を調査した研究等によりデータ収集が進み、2015年にMSMの無期限供血延期が12か月に、2020年には3か月の供血延期に短縮されてまいりました。今回の勧告は、カナダや米国、英国、フランスにおいて先行して、個別リスク評価に移行した流れに沿ったものです。
 また、HIV感染予防のための曝露前投与、いわゆるPrEP、曝露後投与(PEP)を経口薬で実施した人は3か月の、注射剤で実施した人は2年間の供血延期措置が追加されております。これは、予防薬の投与によってもHIVが完全に排除されるわけではなく、強力な多剤併用療法であるARTを服用しているHIV感染者から供血された血液の輸血により、まだ感染する可能性が残存しているからです。
 一方、今回の勧告による変更により、HIVはスクリーニング、製造行程での不活化・除去されることから、HIV感染リスクは変わらないと考えられ、同様に本邦に与える影響も少ないと考えております。本邦では、日本赤十字社の問診において、6か月以内に不特定の異性、新規異性、男性同士の性的接触がある場合は供血が延期されておりますが、今後欧米に合わせて修正する必要があるのか、検討が必要であるかと思います。また、予防的投与に関する項目は現状ではないため、今後問診等での確認事項の追加が求められると考えられます。
 続いて文献2、HTLV-1ですが、こちらはAMEDの振興・再興感染症に対する革新的医薬品等の開発推進事業の研究班、HTLV-1の総合的な感染対策に資する研究の、日本赤十字社からのデータ解析の論文となります。同じく献血データの解析で、全国108万人と2007年に推定された感染者数は、2021年では53~66万人と推移し、日本の感染者数は当時から約40%減少傾向にあるものの、本論文では年間2,880人が水平感染で新規感染していると推定され、HTLV-1の性感染対策は喫緊の課題であることが改めて示されたといえます。
 現在、AMED研究班のレベルではありますが、令和5年度から、HTLV-1簡易抗体検査(イムノクロマト法)は2023年1月に薬事承認されておりますが、こちらを保健所で活用するための研究や、HTLV-1感染の診断ガイドラインへのイムノクロマト法への追加の検討が始まっており、保健所やクリニック等におけるHTLV-1検査の強化が進められております。また、こういった献血データを用いた水平感染の調査についても、引き続き注意されております。
 最後の文献は、文献3のエムポックスとなります。本文献は、エムポックスが属するオルソポックスウイルスのS/D処理による不活化に関する論文となります。過去の研究から、現在の製造行程で実施されているS/D処理では、ポックスウイルスに関しては僅かに抵抗性があるということが知られておりましたが、今回検討したリン酸tri-n-butyl-phosphate、polysorbate80、TritonX-100(TX-100)から構成されるS/D試薬において、ワクシニアウイルスが検出限界以下まで不活化され、4log以上の感染価の減少が確認されております。ただ、本論文で使用されているTX-100は、環境問題等から使用が制限されているため、物理化学的にほぼ同じものであるNereidを使用した場合でも同様の結果が得られておりますから、現状の不活化処理行程で十分に不活化され得ることが確認されております。
 2023年8月14日付のWHOの最新のExternal Situation Report #27によりますと、西太平洋地域での感染が多く、特に中国国内での市中感染が継続しております。中国CDCの情報によりますと、重症例、死亡例はなく、8月時点で501例の報告がありました。中国国家衛生健康委員会は、9月20日にエムポックスを乙類伝染病に指定し、予防管理措置を取ると発表しております。
 WHOのレポートに戻ります。全世界でのデータは感染者の96.3%が男性で、年齢中央値が34歳、症例の82.1%がMSMであり、基本的な疾患情報は変わっておりません。全世界で8万9,308例以上の症例が報告され、死亡例が152例となっております。また、日本国内においては、2023年9月15日現在198例が確認されており、当初は海外渡航歴や海外渡航歴のある者との接触が確認されておりましたが、2022年38週以降は海外渡航歴のない症例が主体となっております。
 血液による感染リスクに関しては、血中ウイルスDNAの件数の報告がありますが、現時点で輸血による感染例は報告されておらず、2023年8月にトランスフュージョン誌に発表された米国における4,636検体及びHIV陽性の465検体での解析結果でも、全て陰性でありました。前回報告した英国1万896の献血サンプル545個のミニプール血漿の結果と合わせても、献血由来の血液からのウイルス拡散は検出されておらず、欧米の献血制限が有効であることを示しているといえます。本邦でも、2022年7月29日付の医薬生発0729第1号で、サル痘患者等からの採血制限の対策が示されており、現時点で対策は問題ないといえると思います。以上です。
○田野﨑委員長 詳細な御説明を、どうもありがとうございました。それでは、委員の方々から御質問やコメントがあれば、よろしくお願いいたします。
○武田委員 武田ですが、よろしいでしょうか。
○田野﨑委員長 はい、よろしくお願いします。
○武田委員 すみません、今日は体調不良でそちらに伺えずにリモートでの参加となりました。次回は体調を整えて、そちらで参加をしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 2点あります。1点目が、1番のHIVについてなのですが、PrEPやPEPのことが出てきていました。まだ日本ではPrEPは承認もされていないのですが、未承認薬の適応会議等でも議題に上がりましたので、今後は少し準備をしたほうがいいかなとも思っているのですが、この辺りは今どうなっているかということについて、後ほど日本赤十字社からコメントを頂ければと思います。
 もう1点が、2つ目のHTLV-1のことです。こちらは、概要の最後の所にも早急な対策が施されなければ感染者が増え続けることが懸念されるというような注意喚起の言葉もありましたので、今後の感染を広げていかないための対策等は、これは国のほうからになるでしょうか、少しコメントを頂ければと思います。2点、よろしくお願いいたします。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。PrEPについて、日本赤十字社からコメントを頂けますか。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 日赤の後藤から回答いたします。PrEPとPEPについては、現在の問診の項目には含まれておりません。ただし、申告があった場合には6か月の献血延期をお願いするということは、現在でも実施しております。現在、諸外国において、このHIV感染リスクの再評価が行われており、日赤でも内容は全部確認して、次の問診項目の評価に向けて準備は進めているところですし、次回の改正時にはPrEPとPEPを服用している方の献血延期についても含めるべきと考えております。以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。もう一歩踏み込んだ形で、次回に向けて検討中であるということですが、武田委員、よろしいでしょうか。
○武田委員 はい、よろしくお願いします。
○田野﨑委員長 それでは、もう1点のHTLV-1の水平感染の増加について、国の対策について、事務局からコメントを頂ければと思います。
○有田血液対策課長補佐 HTLV-1の水平感染については、今回このような論文がこの会議で発表されたということを、感染症対策部とも情報共有しまして、今後対策を考えていくことになるかと思っております。
○田野﨑委員長 濵口委員、よろしくお願いします。
○濵口委員 以前、感染研におり、この研究に少し携わっておりましたので、少しだけコメントさせていただきます。この水平感染については、2016年に年間4,000人の方が国内において水平感染を起こしているだろうというデータが、やはり日本赤十字社から報告がありました。それから5年以上たったのですが、今回は2,800という数字が出ていますので、全体としては1年間に発生している水平感染者の数字としては少なくなっています。それは、先ほどありました全体のキャリアの数がここ数年かなり減ってきていることとも関連しているところと思います。ただ、水平感染については、先生御指摘のように、対策が十分になされていない状況でもありますので、その1つの現れとして、特に若年者での水平感染の発生が必ずしも減っておらず、むしろ少し増加しているのではないかというのが、この論文の趣旨になります。ですので、その辺りを含めて、先ほど水上委員からもありましたが、新たな検査の充実、整備をしながら対策を強化していく方向に進むのではないかと考えております。以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。HTLV-1に関しては、現在も検査をするのが保険で適用がないために、通常余り医療機関でも検査がされなくなっていて、もしかするとアンダーエスティメイトされている可能性もあるのではないかとは少し危惧しているところです。追加で何かありますか。
○松下委員 名古屋大学の松下です。日本赤十字社の方で、もし御存じでしたら教えていただきたいのですが、このウイルスはウィンドウ期の感染性のウイルスが検出されるということはあるのですか。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 日赤の後藤です。ウィンドウ期があることは分かっていまして、抗体検査が陰性でもプロウイルスの形で存在するというのは分かっているところです。ただ、白血球と一緒に存在しているウイルスですので、またこのぐらいの数がないと感染しないというのが結構大きい量ですので、現在の白血球除去のレベルであれば、輸血による感染というのはほとんど起こらないのではないかと考えられているとのことです。
○松下委員 多分そうではないかと思うのですが、いわゆる水平感染を起こすポピュレーションのリスクというのは、要するに行動的なリスクがHIVやほかのウイルスと同じなのか、それとも論文ですと地域差があるようなお話も出ていて、違うポピュレーションを見ていかないといけないのか、その辺りはどうなのですか。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 地域的な差があるというのも昔から言われておりますので、たくさん感染者がいる所はそれなりにリスクが高くなっていくのは仕方ないかと思いますが、地域差についても、こちらの論文以外でも地域差も見ながら研究を進めているところですので、その辺りについても今後まだ検討されていくかと思います。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。HTLV-1に関しては、かつてこれによってHAMになられた患者さんも結構いらっしゃいました。白血球除去が出てきたりということで、かなり変わってきている可能性もありますし、放射線照射をすることによって、かえってウイルスが活性化されるというような御意見も伺ったことがありますので、こちらが増えてきた場合には慎重にしないといけないのではないかと思います。
 ほかに追加の御質問はありますか。よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。それでは、事務局においては、感染症定期報告を引き続きよろしくお願いいたします。
 次は議題2に移ります。血液製剤に関する感染症報告事例等についてです。事務局から説明をお願いいたします。
○有田血液対策課長補佐 事務局の有田です。資料2-1を御覧ください。血液製剤に関する医療機関からの感染症報告事例等についてです。まず、3月~6月の感染症報告事例のまとめ及び一覧です。
 1ページ目です。3月~6月に報告があった感染症報告が(1)~(4)、HBVが1件、HCVが2件、HIVは0件、その他が8件でした。その他8件のうち、細菌等が7件でした。2番目からはHBV、HCV等についての個別のものになります。
 2、HBV感染についてです。1件のうち、献血者の保管検体の個別NAT陽性は0件、劇症化又は輸血後に死亡したとの報告を受けた事例は0件でした。HCVに関しても、2件のうち献血者の保管検体の個別NAT陽性は0件、劇症化又は輸血後の死亡は0件でした。HIVは0件なので割愛いたします。その他の8件ですが、B型肝炎及びC型肝炎以外の肝炎ウイルスが1件、こちらはHEVでした。細菌等の感染報告7件について、当該輸血用血液の使用済みバッグを用いた無菌試験の陽性は0件、このうち、輸血後に死亡したと報告を受けた事例は0件でした。次のページからは症例の各論が載っていますが、こちらの説明は割愛いたします。
 続いて、資料2-2、供血者からの遡及調査の進捗状況等についてです。1ページ目、供血者から始まる遡及調査の実施状況です。一番右が今年4月~6月の速報値です。それぞれの数字の御説明はしませんが、この期間でこれだけの数の調査がありました。そのうち、医薬品副作用感染症報告を行ったものとしてHBVが1件ありました。この1件については、その下の2番の表と3番の表がありますが、3番の表に含まれています。こちらは個別NAT結果が陰性の輸血用血液製剤の投与により受血者の陽転が確認されたものです。こちらは院内で使用されていました。
 2ページ目、医薬品医療機器等法第68条の11に基づく回収報告状況です。個別の製剤についての説明は割愛しますが、全部で43本ありました。こちらは、多くが献血後に新型コロナウイルスに感染していたという報告を受けたことを受けて回収したものと聞いております。事務局からの説明は以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。委員の皆様から御質問、コメントがあればお願いします。よろしいでしょうか。
 私から、この識別番号の所、AA-2300003という患者さんは、10歳未満男児の血液腫瘍で実際には細菌などは出ていないのですが、(事前閲覧資料では)血小板製剤を輸血後、19分後で眼球が上転するなどして、2時間後にはアナフィラキシーショックで亡くなっています。(事前閲覧資料では)医療機関は副作用と死亡の関係は不明と報告しているのですが、感染ではないにしても、輸血後との因果関係なしと言い切れるのかどうか。失礼しました。こちらは細かい記載は載っていません。
 では、002の症例というのは、血小板輸血の後に患者さんの血液培養及び輸血ルートから表皮ブドウ球菌が同定されていると。そんなに問題はなかったようですが、取っておいた検体からは検出されていないということですが、何らかの形で、やはり、こちらも輸血との因果関係がかなりありそうな事例だと思いますが、いかがでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 日赤の後藤からお答えいたします。この表皮ブドウ球菌の症例についても、実際に使用したバッグを培養した結果が陰性となっており、バッグからは菌が検出されておりませんので、輸血した血小板製剤に混入していたわけではないのだろうというように考えております。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。輸血のラインから血液が採られていて、輸血後のバッグがどういう保存状態になっていたのか、検体の採取にもよると思うので、完全には否定できない症例ではないのかなというように臨床的には思うわけなのですが。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 医療機関のほうでも、バッグのシールや結紮をきちんとしておられる所では、逆流するということは(あまりないのではないかと推測します)。通常、バッグを上に掛けて輸血をされていると思いますので、管理をしっかりされている医療機関では、輸血後のバッグに逆流したということは余り考えられないと思いますが、完全に否定できるものではないというのは確かにあるかもしれません。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。このほかに、細菌感染のことについてはKlebsiella oxytocaで2例、Serratia marcescensが1例に出ているというのがあります。こちらについても、実際には取っておいたサンプルからは出ていないということで問題がないとされてはいるのですが、臨床的に輸血直後に起こっている事例であるので、もしかすると、院内での血液バッグの取扱いというようなところの問題なのかもしれませんが、引き続き注視が必要ではないかなというように思います。そういうような理解でよろしいでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 よろしいかと思います。輸血をされる患者さんの状態にもよるかと思いますが、今、このように、細菌感染が疑われるような事例の場合は多く報告を頂いておりますし、院内での血液培養も積極的にやっていただいている状態なので、このように報告がたくさん上がってきて調査も進んでいるものと考えております。
○田野﨑委員長 ありがとうございます。ほか、委員の皆様からはよろしいでしょうか。
○松下委員 松下です。今の田野﨑先生がおっしゃっていたようなお話、特に、輸血終了後数十分でお亡くなりになっているような、感染症定期報告の枠の中で議論すると、一応因果関係もはっきりしていないということでこういった報告になっているのですが、さりとて輸血後、1時間しない間にお亡くなりになったということになりますと、何らかの輸血が原因による急きょの死亡ということになるので、今までは結構そういったことが感染症定期報告の所でも拾い上げられてきたのですが、今回からは、そういった資料に余り臨床経過を載せないほうが、医療機関に対する配慮ということもあってそうなったことはそれで理解しているのですが。では、こういった死亡事例を扱う所があるのかないのかというところで、安全調査会とかはもう設置されておりますので、そういった所で、少なくとも死亡事例に関してはきちっと取り扱っていただくのがよいのかなと。せっかく医療機関がこうやって報告してきてくれているので、やはり、きちっと行政として取り扱う機会があってもいいのかなというように、ちょっと今のお話を聞いていて思った次第です。以上です。
○山本血液対策課長 御指摘いただきありがとうございます。今回から、個別の症例経過については様々な情報が個人を特定するような情報も含み得るということもあり、委員の先生方には、事前に詳細な報告を見ていただきましたが、資料としては掲載しておりません。日本赤十字社の方からも御説明いただいたように、医療機関から幅広く御報告を頂き、その状況をこの検討会で御報告をさせていただいて状況も含めて見ていただくというのが、この委員会の役目というように考えております。
 一方で、松下先生に御指摘いただいたように、個別の事例についての検討をするということも仕組みとしてきちんと考える必要があるのではないかという御指摘かと思います。その個別の事例の選び方であったり、どこでそういう事例を見ていくべきなのかというところについては、少し事務局でも引き続き整理をさせていただきたいと考えております。
○田野﨑委員長 よろしくお願いいたします。ほか、よろしいでしょうか。引き続き、事務局におかれましては感染症の症例や遡及調査結果の報告などよろしくお願いいたします。
 議題3、血液法に定める血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保を図るための基本的な方針の5年ごとの再検討についてに移ります。事務局より資料の説明をお願いいたします。
○仲島血液対策課長補佐 事務局です。議題3、血液法に定める血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保を図るための基本的な方針の5年ごとの再検討についての説明をいたします。資料としまして、資料3-1、3-2を用意しています。参考として、参考資料3-1から参考資料3-4となっていますが、お手元には、資料3-1と資料3-2を御用意いただけたらと思います。まず、資料3-1ですが、本日、先生方に御審議いただくのは、この本資料の3-1になります。本日御確認していただいたものに対して修正がありましたら修正させていただいて、10月の部会に諮って了承を頂けたらパブリックコメントを行いたいと考えております。本日、資料3-1の御審議に当たりまして、4月の血液事業部会で御確認いただきましたものから若干、骨太の方針等が加わったことに伴い、変更しなければならないことがありましたので、資料3-2を用意しております。まず、最初に3-2から御説明をさせていただきます。
 資料3-2、基本方針の見直しの経緯等についてを御覧ください。本委員会で、本年の3月20日に参考資料の3-1で用意したものを各先生方に議論いただいて、方向性の頭出しをさせていただきました。血液事業部会を4月24日に開催し、参考資料3-2を御確認いただきまして、3-1に当たるものを6月の運営委員会のほうに掛けようかというところでしたが、こちらの諸事情で遅れました。その間に、6月9日開催の運営委員会で、分画メーカーからの要望書が提出され、人免疫グロブリン製剤の限定出荷もありました。6月16日、経済財政運営と改革の基本方針2023について、いわゆる骨太の方針というものですが、閣議決定されました。その辺りを踏まえ、前回、各先生方にお認めいただいたものを若干変更しなければならないということで、本日、この3-2を用意しております。
 概要です。1.献血血液の確保策に係る見直しの(1)です。「ボランティア団体等との連携や高等学校への働き掛け」は当初、「アプローチ」と言っていましたが、骨太の方針の記載を踏まえ、「ボランティア団体等と連携した小中学校等を含む若年層に対する献血推進活動」と記載する。骨太の方針につきましては参考資料3-4ですが、献血への理解を深めるとともに、血液製剤の国内自給、安定的な確保及び適正な使用の推進を図ることとしまして、「献血への理解を深める」という所は、「小中学校現場での献血推進活動を含む」とされております、こちらを踏まえた書きぶりに修正させていただきたいと考えているところです。
 (2)は基本的には変わっていませんが、「献血可能人口の減少及びライフスタイルの多様化」は当初、「新たな生活様式」という言葉を用いていました。こちらを一般的な言い方にし、「ライフスタイルの多様化」と修正させていただきたいと考えております。
 (3)は、新型コロナウイルス感染症の流行期のことを入れたほうがいいのではないかという血液事業部会の御意見等がありました。そちらについては当初、現行の基本方針に包含されるであろうということで入れない方向でいましたが、やはり「新興・再興感染症等」という言葉は、今回入れるべきであろうということで、ここも修正させていただきたいと、変更を考えているところです。
 2.血液製剤産業の持続可能性を高める産業構造の見直しに係る記載の見直しです。まず、(1)は、限定出荷を踏まえた記載の追加をしなければならないということで、新たに考えているところです。6月9日開催の運営委員会で分画メーカーからの要望書に対応しましたのが(2)です。こちらは既に先生方に御確認いただいている中に包含されるということで、主な変更はありませんが、こういう形で進めさせていただきたいということです。
 3.研究開発の推進に係る見直しです。部会等との議論を踏まえ、主に「血液製剤の研究開発の推進」ということを加えることを御確認いただいて、そのまま進めさせていただきたいということです。
 4.その他。こちらに書いてあるものにつきましては、現行の基本方針の中に包含されており、見直す必要はないであろうということで、そのものについてこちらの4番にまとめているという経緯です。この経緯を踏まえ、すみませんが3-1に戻ってください。
 まず、Ⅰ.の改正の趣旨です。血液法に基づきまして少なくとも5年ごとに基本方針に再検討を加え、必要があると認めるときには変更するということで、今回その見直しをさせていただきたいということです。
 Ⅱ.改正の内容です。1.献血血液の確保策に係る見直し、これは先ほどと同じ作りになっていますが、こちらの1番、2番、3番が資料3-2の順番では(1)、(3)、(2)になっています。基本方針の項立てに沿って書いているところで、順番が前後しておりますが御了承いただきたいと思います。まず、(1)基本方針第四の一、こちらにボランティア団体等と連携した小中学校等を含む若年者に対する献血推進活動に関する記載を加えさせていただきたいということです。
 続いて、(2)基本方針第四の五、災害時等の文言を、「災害や新興・再興感染症等発生時等」に修正させていただきたいというところです。
 (3)基本方針第八の六、この後に新たに、基本方針第八の七として、「献血可能人口の減少及びライフスタイルの多様化への対応」の項目を作成しまして、企業等の団体への献血協力の働き掛け、採血基準の在り方及び献血可能時間の延長の検討に関する記載など、必要なものを加えさせていただきたいと考えているところです。
 2.血液製剤産業の持続可能性を高める産業構造の見直しに係る記載の見直しです。(1)は先ほどの、人免疫グロブリン製剤の限定出荷を実施したということで、基本方針第五の三に、国は製造販売業者と緊密に連携し、血漿分画製剤の需要増加に伴う供給不足に対して、最善の対策を検討し安定供給を確保するように努めることについて加える。(2)基本方針第八の三の後に第八の四として、「血漿分画製剤の課題への対応」、こちらを新たに作成し、血漿分画製剤の産業が抱える問題の解消に向け、多角的な研究を行うことについて加えさせていただきたいというところです。
 3.研究開発の推進に係る見直しです。こちらは基本方針第八の三に、有効性・安全性の高い治療方針、血液製剤代替医薬品等の研究開発に関する記載を加えさせていただきたいというところです。
 4.その他です。その他所要の改正を行う。こちらは時点修正などをさせていただきたいと考えております。
 Ⅳ.施行日等です。こちらは令和6年3月末を公布の予定としております。説明は以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。委員の方々から御質問、コメントがあればお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。特に御意見はないようですので、次回の血液事業部会において、本案を提示、そして審議を行っていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、議題4、武田薬品工業株式会社成田工場の改修についてに移りたいと思います。まず、資料4について、参考人より御説明をお願いします。
○武田薬品工業(株)塩入参考人 改めまして、武田薬品の塩入です。本日は、よろしくお願いいたします。本日は、弊社の成田工場改修に関する報告ということで、現在の成田工場の現状、成田工場の改修について、そして、その影響について、この3つのポイントについて御報告させていただきたいと思っております。まず、最初の現状、それから工場の改修については、同席しております清水から御説明させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○武田薬品工業(株)清水参考人 改めまして、成田工場の品質部の責任者をしております清水と申します。よろしくお願いいたします。本日お伝えいたしますのは、成田工場の改修に至った背景と、今後の改修計画ということでお伝えいたします。今、弊社では、将来の血液分画製剤の安定供給を確保するために、大阪工場地区に血漿分画製剤の工場を新設する計画を公表いたしました。ただ、稼働までにはかなりの時間を要しますので、その間、成田工場で引き続き血液分画製剤を安定的に生産供給していかないといけないのですが、そのために成田工場のメンテナンスが必要となってきます。工場そのもの、特に原薬製造設備は、稼働後かなりの長期間が経過しており、これまで大規模な設備改修に着手できていなかったこともあって、設備の包括的な改善というのが非常に必要な状態になっています。2022年7月にもシャットダウンをして、製造設備の製造環境を改善する努力はしたのですが、抜本的な設備改善というのは長年手付かずで行われていないため、大規模な改修が今、必要という状況になっています。
 どういう所を改修するかというところなのですが、今現在、製造している製品の品質に影響を与えるものではありませんけれども、中期的に安定的な生産を維持するために、原薬製造設備の空調設備(ダクトを含む)、そういうところの更新を予定しています。得られる効果としては、換気能力の向上であったり、メンテナンスの向上、作業環境の改善などが見込まれています。
 3ページです。工場の改修をどのようにやっていくかということですが、今、製造設備というのは24時間稼働しております。やはり、空調設備を含む大規模な改修を実施するためには、まとまった期間、工場のシャットダウンが必要と考えていて、2024年10月から2025年3月までシャットダウン期間を設けて、製造設備を改修する計画を立てています。今回のシャットダウン期間中に、先ほど申し上げた空調設備、それから、それに付随する重要なサポートシステムを改修して、医薬品のGMP上必要な適格性試験であったり、バリデーションも実施して、再度立ち上げる予定にしています。改修に伴う工場シャットダウンのために、出荷についても2025年2月から7月まで製品出荷を停止することになります。シャットダウン前に可能な限り在庫を積み上げること、ほかの血漿分画製剤メーカーの協力も得て、医療機関への製品供給は継続することを計画しています。このシャットダウンによって、どういう影響が出るかというところについて、塩入から追加で説明させていただきます。
○武田薬品工業(株)塩入参考人 替わらせていただきます。今、御紹介させていただきましたように、成田の現状、改修については説明させていただいたとおりです。シャットダウンの影響についてというところで、少し御紹介させていただきます。まず冒頭、前のページでも説明させていただきましたとおり、2025年2月から7月まで、成田で製造する全ての製品の出荷が停止するということになります。シャットダウン開始前までに可能な限り在庫の確保をいたします。安定供給の継続に懸念がある製品については、出荷調整等の策を講じて実施しようと考えています。一部、2品目3規格、具体的にはグロベニン-Iの2500mg、5000mg、ノンスロン1500単位においては、当社のみで現在の需要を満たす在庫を確保することが難しいと考えられているため、他社の分画製剤メーカー様に代替供給を依頼することで、医療機関様への製品供給を継続するという計画を立てております。
 資料はありませんが、ほとんどの製剤は、前年の供給量を満たす量を出荷する予定にしておりますので、大きな混乱は、急激な需要増がない限りはないかなと考えております。
 これら、今まで御紹介させていただきました改修に関するタイムラインを、次ページでお示しさせていただきます。この改修に関しては、2022年7月、血液対策課に御報告しながら対応について検討を重ねてまいりました。本日、運営委員会への報告までの間に、成田工場でのシャットダウン期間中における製品の安定供給のための検討、そして、他社様への協力の依頼等を行ってまいりました。本日以降、シャットダウンに備えて自社製品の在庫の積上げというのを行ってまいります。その後、先ほど御紹介しましたとおり、2024年10月より改修に入り、製品の出荷に関しては、2025年2月から工場からは出荷できないという状況になってまいります。以降、シャットダウン終了後、製品出荷再開までの期間はお示ししているとおりです。以上が私どもからの説明ですが、御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
○田野﨑委員長 どうも、御説明ありがとうございました。委員の皆様から御意見、御質問などがあればお願いいたします。
○松本委員 松本ですが、よろしいでしょうか。
○田野﨑委員長 松本委員、よろしくお願いいたします。
○松本委員 私が理解しきれていないのかもしれませんが、今の御説明だと、例えば2023年度の供給予定とされている部分は、2024年度もきちんと供給が一部を除いて同じ量が可能であるという理解でよろしいのでしょうか。
○武田薬品工業(株)塩入参考人 ありがとうございます。今、御質問いただいたとおりです。一部の製剤を除いては、基本的には来年度も同じ量を供給できるだけの生産、在庫の積上げというのを行ってシャットダウンを迎えるという計画になっております。
○松本委員 武田薬品工業さんだけしか作っていない製剤というのも実際あって、PPSBとかがそうだろうと思うのですが、2024年度も、きちんと前年並みに供給が可能であるという理解でいいのですね。
○武田薬品工業(株)塩入参考人 おっしゃるとおりです。
○松本委員 分かりました。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。松下委員、どうぞ。
○松下委員 松下です。一応確認ですが、出荷調整をしますというアナウンスはするのですか。在庫が積み上がってきたらしないと。
○武田薬品工業(株)塩入参考人 出荷調整のアナウンスに関しては、必要なケースが出てきた場合にアナウンスをさせていただくという予定にしております。
○松下委員 予定して、シャットダウンの時期を見越して、公に出荷調整しますという連絡を回すということは、取りあえず予定はされていないということですね。
○武田薬品工業(株)塩入参考人 現時点では、そのような状況を鑑みながら、医療機関に御迷惑を掛けないように御案内していく予定にしております。
○松下委員 グロベニン-Iのシェアを考えると、万が一欠品するとかなり影響が大きいと思われますので、今のお話を伺って取りあえず安心いたしましたが、是非、在庫の積上げとかをよろしくお願いいたします。
○武田薬品工業(株)塩入参考人 ありがとうございます。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。私から1つだけ、出荷が再開した場合には、生産量とかそういうのは今後、増産できるような見通しになるのでしょうか。
○武田薬品工業(株)清水参考人 生産能力の向上という意味合いでの改修ではありません。主に空調の工事ですので、生産能力は変わらずということです。
○田野﨑委員長 分かりました。ほかによろしいでしょうか。次の議題とも少し関係はするのですが、ここまでのところで、武田薬品工業様におかれましては、血漿分画製剤の安定供給に向けた各社の協力なども、今後とも御検討いただければと思います。議題4で、参考人として出席いただきました武田薬品工業におかれましては、本日はここまでの御対応ということで、傍聴席への移動又は御退席をお願いできればと思います。どうもありがとうございました。
                                 (参考人退出)
○田野﨑委員長 引き続き、議題5、令和5年度需給計画の変更についてに移りたいと思います。事務局より資料の説明をお願いしたいと思います。
○吉田需給専門官 事務局です。議題5、令和5年度需給計画の変更について説明いたします。資料5を御覧ください。1.の変更理由ですが、人免疫グロブリン製剤については、令和4年度12月以降の需要増に伴い、各社の在庫も逼迫してきたため、本年度4月より国内で人免疫グロブリン製剤を販売している4社は限定出荷を行っているところです。令和5年度需給計画では2.5g換算で359万800本の供給を見込んでいましたが、一部医療機関における大量購入等もあり、人免疫グロブリン製剤の入手が困難な医療機関が現在、散見されています。入手困難の緩和を図るため、令和5年度需給計画を変更し、人免疫グロブリン製剤の供給量を増やす必要があると考えています。
 2.の変更内容です。変更内容については、「令和5年度の血液製剤の安定供給に関する計画」別表の人免疫グロブリンの需要見込及び輸入目標量、供給可能量について、3ページの別紙のとおり変更したいと考えています。また、1ページの中ほどの人免疫グロブリン2.5gに関する変更内容に戻りますが、人免疫グロブリン製剤の令和5年度の需要見込を、令和4年度供給実績より約107%伸長し、273万1,600本に設定し、供給可能量を372万8,700本といたしました。増量分に関してですが、国内3社が製造する国内血漿由来製剤は、既に製造量が限界に達しているため変更できませんので、CSLベーリング社の輸入血漿由来製剤を約22万本増量することとなります。
 3.の今後の対応です。安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律第26条第5項により、需給計画を変更するときは、あらかじめ薬事・食品衛生審議会の意見を聞くものとされています。また、同条第6項により、需給計画を変更したときは遅滞なくこれを公表することとされていますので、令和5年度需給計画の変更については、本日の運営委員会の報告を次回血液事業部会での審議を踏まえ、告示を行います。人免疫グロブリン製剤の安定供給に向け、医療機関に対して、人免疫グロブリン製剤の需給計画変更等については、必要な周知を行っていきたいと思います。資料の説明については以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。委員の皆様から、御質問、コメントなどをお願いいたします。濵口委員、どうぞ。
○濵口委員 輸入血漿由来のグロブリン製剤を外国から輸入する分を増やすという対応は、ベーリング社から供給は可能であるという話だと思うのですが、国内での供給はやはり難しいとなる状況を今後解消していくのか、それとも継続するのか、もっと拡大していくのか。この辺りの見通しとか、そういったものの現状がもし分かるようであれば、今後の方策も含めて教えていただきたいと思います。
○吉田需給専門官 事務局です。当面の間なのですが、国内メーカーの製造能力というのは上がらない状況です。なので、製造能力以上の需要は、輸入製剤の増加でお願いすることになるだろうと考えています。また、人免疫グロブリン製剤の需要量に関しては、今後も増え続けると予測しています。ですので、その分は輸入製剤に頼る状況が多くなってしまうのかなと考えています。中長期的なところで、2030年に武田薬品工業の新工場が建設されますので、どのような国内自給率の向上対策ができるか引き続き検討していきたいと考えています。以上です。
○田野﨑委員長 松下委員、どうぞ。
○松下委員 今の話で、今日は武田薬品工業さんもいらっしゃるので、答えられるかどうか分からないのですが、十三工場ができると、先ほど出てきたグロベニン-Iなどが生産能力が向上して、もちろん日本赤十字社からの血漿の供給量の限界というのもあるわけなのですけれども、ある程度目鼻が付くのかどうかということですよね。かつてグロブリンは、結構、国内自給のレースでは優等生だったのですが、今回の輸入もあって、グラフの傾きがどんどん右下のほうに来るということになりますと、ふと後ろを振り返るとアルブミンがいるというようなことにもなってきつつあります。
 保険適用もどんどん拡大されて、ある程度グロブリンの需要が増加するという予想があったのは、恐らくそんなに昔の話ではないと思うのです。なので、今のところ需給のバランスがまだうまく追い付いていないという状況なのですが、この問題はもうちょっと真剣に考えないと、国内自給はもういいですという話にはまだならないと思いますので、武田薬品工業さんがその辺りをうまくカバーしてくれるのかどうかということも含めて、この場で情報があるといいなと思っています。どうでしょうか。
○吉田需給専門官 事務局からお話させていただきます。武田工場の建設に関してですが、計画は公表していますけれども、どのぐらいの分量を日本向けに行うかは公表されていません。そこは、この場では言えることはないのですが、原料血漿の分画自体がかなりの量をできる設計になっています。国内向けに増産は可能かもしれないのですが、そういった場合に、原料血漿を集めるために献血者の確保も必要になってきますので、そのあたりを踏まえ国としては、人免疫グロブリンの国内自給達成率向上を見据えながら、献血者の確保対策とかもきちんとやっていかなければならないと思っています。武田の工場でどのぐらいの数字をカバーできるかというのは、現時点では不明ですけれども、こういう回答で申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。私の先ほどの武田薬品工業さんに対する御質問は、増産ができるのかどうかという質問であったのですが、そのときには、そういうことではないという御回答であったように思いました。その辺の所も検討していかないといけないのかなとお返事いただいて感じました。
○吉田需給専門官 事務局です。確かに先生のおっしゃるとおり、今回の武田の成田工場のシャットダウンに関しては、製造能力は全然変わらないものですので、どのように国内自給率を確保していくかというのは、また違う方向で真剣に考えていかないといけないと考えています。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。
○武田委員 武田ですが、よろしいでしょうか。
○田野﨑委員長 よろしくお願いいたします。
○武田委員 国内自給に関しては、免疫グロブリン製剤がどんどん需要が増えていって、国内の製造がそれに追い付かないということで、自給率が下がってきているという状態を非常に憂慮しています。もちろん、今お話があったように、企業のほうから少し明るいニュースというか、今後、国内自給を増やしていけるのではないかというような話が出てくるのは歓迎するところではあるのですが、ただ、やはり国の施策として、一企業の方針であったりやり方というところに左右されずに、国としてどうやって国内自給を守っていくのかというところを議論していかないと、いつまでもそれぞれの企業がどうするかというところに引きずっていかれてしまうところがあると思います。かつて、そうした議論から血液新法も作り、国の責任として国内自給をやっていくのだということもうたったわけですので、再三申し上げているところではあるのですが、国として国内自給をどうしていくのかというところのデザインを描いて、きちんとやっていかなければいけない問題であると思います。以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。武田委員ですね。今まで数年掛かって議論してきたとおり、やはり国がこういう血漿分画製剤を管理できる体制というか、グランドデザインをしっかり立ててということは、ずっとそういう話が出てきております。あと、原料血漿が足りないという話が1つポイントがあって、それに対する対策というのがあったのですが、実際には各企業の製造能力が足りないと、もう1つ違う観点の問題も大変問題になるところではないかなと思います。これも、この法律にも今回書き込んでありますので、しっかりと対策を立てていかないといけない課題だなと思います。
 ほかの委員の皆様から、更に何か御意見、御質問はよろしいでしょうか。事務局におかれましても引き続き検討を進めていただきたいと思います。令和5年度需給計画の変更については、次回血液事業部会に向けた手続を進めていただければと思います。
 続いて議題6、日本赤十字社の令和4年度血液事業報告についてに移りたいと思います。日本赤十字社の資料の説明をお願いいたします。
○日本赤十字社血液事業本部前野総括副本部長 日本赤十字社血液事業本部の前野でございます。令和4年度の血液事業への取組につきまして御説明申し上げます。資料6です。令和4年度の血液事業における事業概要です。医療技術の向上や適正使用の推進等により、スライド右の棒グラフにありますように、この数年間は減少傾向です。令和2年度にコロナ禍の影響によりまして供給量が大幅に減少しておりますので、令和2年度と比較いたしますと、供給量は増加しておりますが、今後も漸減傾向になる予測をしております。
 3ページです。こちらは令和4年度の供給の状況です。赤血球製剤は650万本、血漿製剤は209万本、血小板製剤は865万本となり、合計1,724万本の供給をいたしました。また、原料血漿につきましては、合計125万9,000Lを確保いたしまして、製薬メーカーに計画どおり122万Lを送付したところです。
 4ページです。ここから供給状況の詳細について御説明を申し上げます。令和3年度と比較いたしますと、赤血球製剤は3万本の増加、血漿製剤はほぼ同数、血小板製剤は約3万本の減少となり、全血液製剤合計で約1万本の減少となっております。
 5ページです。続きまして、血漿分画製剤用原料血漿の確保及び送付状況です。先ほども御説明させていただきました確保量が送付量を3万9,000L上回っているため、この分は貯留在庫として積み上げています。
 6ページの資料です。献血に御協力いただいた状況です。令和4年度につきましては、合計501万人の方々に献血に御協力いただいたところです。
 7ページです。こちらが献血者数の推移です。献血者数は需要に見合った献血受入れの結果、令和3年度から令和4年度につきましては約4万人減少しているところです。
 8ページです。こちらは献血種類別の内訳です。令和4年度の事業計画より赤血球製剤の供給量が増えたことによりまして、全血献血を増加させ原料血漿用の原料が全血から得られたことによりまして原料血漿確保量を増やしたということで、相対的に原料血漿用の血漿成分献血が減少する結果となりましたけれども、需要に見合った血液量は着実に確保したところです。
 9ページの資料です。ここから令和4年度に実施した具体的な事業内容について御説明いたします。最初に、ポストコロナに適した必要血液量の安定確保といたしまして、スライドにお示ししております4つの施策に取り組みました。
 10ページの資料です。1つ目が、事業環境の変化を踏まえた献血推進方策の実施です。コロナ禍で在宅勤務やオンライン授業が普及したため、通勤などの移動がないことを考慮して、地域に根ざした献血会場や居住地近隣の献血ルームへの誘導を促進してまいりました。一例といたしましては、東京都では、地域と密着度の高い都内各地の神社での献血をお願いし、令和4年度は、延べ54会場で約2,300人の方々に献血に御協力いただきました。
 11ページです。2つ目は、都道府県の枠組みを超えた広域的な献血血液の確保です。企業や団体に働き掛け、都道府県の枠組みを超えて献血の協力を依頼してまいりました。例といたしまして、ユニクロ様では、全国25都道府県にある店舗で献血を実施していただき、合計42会場で約1,800名の方々に献血に御協力いただいたところです。
 12ページです。3つ目として、予約献血の推進です。予約献血は、1稼働における献血者の安定確保と混雑を回避したスムーズな献血を行う目的で推進してまいりました。よりスムーズに予約していただけますよう献血WEB会員サービスの「ラブラッド」を平成30年10月に導入し、令和4年9月には、ラブラッドのスマートフォン用アプリを導入しました。令和4年度末には、ラブラッドの会員数は約338万人となり、ラブラッドによる予約献血率は、総献血者数の46.8%になっております。
 13ページの資料です。4つ目の施策といたしまして、原料血漿採血専用ルームの設置です。原料血漿確保量は年々増加しており、原料血漿を安定的に確保し、国内自給を達成するためには、社会に原料血漿の必要性を御理解いただくための努力を続ける必要があります。そのために、国内2番目、3番目となる原料血漿専用ルームを大阪府と東京都に開設をいたしました。
 14ページの資料です。続きまして、将来の献血基盤の構築といたしまして、スライドにあります3点に取り組んでまいりました。
 15ページです。1つ目は、若年層を中心とした献血の普及・啓発として「めぐる献血PROJECT」を展開しまして、今田美桜さん、高杉真宙さんをメインキャラクターとしてポスター、CMの制作や公式Webサイトの開設などの広報展開を行いました。
 16ページのスライドです。2つ目は、献血セミナーの実施です。献血セミナーの質的向上を図り、実施回数を増加し、若年層への献血啓発に努めたところです。また、輸血を経験されたフリーアナウンサーの笠井信輔さんによる献血セミナーも実施し、闘病中の実体験を伝えていただくことで、献血の大切さを参加者に直接訴え掛けていただきました。
 17ページのスライドです。3つ目は、献血未経験者への情報発信です。先ほど予約献血の推進のところでも献血WEB会員サービスの「ラブラッド」のアプリ化について御説明申し上げましたが、そのラブラッドのアプリ化の際に、献血可能年齢に満たない方や、献血未経験者でも登録できる「プレ会員」制度を導入し、様々な情報発信等に努めてきたところです。
 18ページのスライドです。こちらは令和5年3月末時点での10代、20代前半のプレ会員数のグラフです。アプリをリリースして約半年で、1万8,000人以上の方々に御登録いただいたところです。
 19ページの資料です。こちらは若年層献血者の推移です。ただいま御説明申し上げた若年層献血者の増加のための施策を行ってまいりましたが、令和4年度につきましては、10代は増加しましたが、20、30代は減少する結果となってしまいました。引き続き将来の献血基盤の構築に取り組んでまいります。
 20ページの資料です。血液製剤の安全性・品質の向上として、スライドにあります2つを実施しております。
 21ページの資料です。細菌スクリーニングの導入の検討につきましては、細菌スクリーニングを血小板製剤に導入するため適格性確認試験を開始し、各製造所への機器整備等を進めてまいりました。また、赤血球製剤の有効期限の延長につきましては、献血血液をより有効活用するため令和5年3月に、有効期限を従来の21日から28日へ延長したところです。
 22ページのスライドです。事業の効率的な運営の推進といたしまして、業務の見直しを行い、次期基幹システムへの設計を開始しました。ペーパーレス化や業務の省力化を見据えたシステム開発を目指しております。
 23ページのスライドです。ここからは令和4年度の歳入歳出決算の御報告です。概要ですが、令和4年度の収益的収入は1,659億円となり、前年度と同額です。収益的支出は1,637億円となり、前年度と比較し91億円増加しております。これらの結果、令和4年度の収支差引額は21億円の黒字という結果です。資本的収入・支出につきましては、検査機器の整備等の固定資産支出や借入金の償還を行った結果、127億円です。
 24ページのスライドです。こちらは令和3年度の事業収支との比較です。事業収益は赤血球製剤の供給収益が増加した一方で、血漿及び血小板製剤の供給収益は減少し、全体といたしましては約3,000万円の増加となっております。原料血漿につきましては、送付計画量が3年度に比べ減少した結果、収益も2億6,000万円減少しております。この結果、収益全体といたしましては、令和3年度に比べ2億2,000万円減少しております。
 次に、事業費用ですが、人件費51億円、数字上は増加しています。こちらは令和3年度に給与制度を見直したことにより、将来の退職給付費用の見直しもあり、会計処理としまして伝票上の操作だけではありますが、50数億円整理したことによりまして、4年度はその処理がなかったものですから、数字上、増加しているように見えているということです。材料費です。主に血漿成分採血数の減少に伴うキット等が減少した結果、2億7,000万円減少しております。経費につきましては、システムの要件定義作業に伴う委託費の増加、検査機器の整備等による減価償却費の増加、原料価格の上昇等に伴う光熱水費の増加などがあって、43億円増加しております。これらの結果、事業費用全体といたしましては、89億5,000万円増加しております。令和4年度血液事業の取組につきましては、説明は以上となります。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。以上につきまして、御質問やコメントをお願いいたします。濵口委員、お願いします。
○濵口委員 御説明ありがとうございました。資料の中に原料血漿採血専用ルームの設置というスライドがありましたけれども、これについて少し教えていただきたいと思います。原料血漿採血専用ということは、献血をされる方にはお伝えしてあるということなのでしょうか。それから、専用ルームの設置を増やすことにより、原料血漿を更に分画メーカーが供給できれば、それに対応して、分画製剤の生産を増やしていくような見通しなども考えられた上で、こういったことを広げていこうという計画ということでよろしいでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部前野総括副本部長 原料血漿採血専用ルームにつきましては、献血者の方に御案内を申し上げまして、完全予約制といったような、今までの輸血用血液と併用の献血ルームと少しコンセプトを変えまして、十分御説明した上で献血に御協力いただいております。この設置の目的といたしましては、今、御指摘いただきましたように、将来の原料血漿の増加に備えるという目的は当然ありますので、今後増えていった場合にも、こういった施設を活用して、必要な血液量は確保していきたいと考えております。
○濵口委員 東京と大阪に一応設置されたということなのですが、これは全国的にももう少し拡大の余地はありということでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部前野総括副本部長 2番目、3番目が大阪と東京ですが、最初に名古屋のほうに開設しておりまして、今現在3か所で運営しております。今後、原料血漿の必要量が拡大していく場面においては、やはりその他の都市にも設置を考えていかなければいけないと考えておりますけれども、今現在増設の計画はございません。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
 私から、今回の新型コロナ禍でもうまくラブラッドを使って、それでリピーターの方を中心に血液供給は全く問題なくできたということを伺ってはいるのですが、その一方で、初回献血者が、かなり少なくなってきているということも伺っています。今の対策ですと、何か有事の際にはリピーターを増やすという方策と合わせて初回献血の方々をしっかり取り入れないと、限られたドナーからでは難しくなる可能性というのは十分あるわけなのですが、こちらに関しましては、少し抜本的な対策というのは何か考えていらっしゃるのですか。
○日本赤十字社血液事業本部前野総括副本部長 今、御指摘いただきましたように、初回献血というか、献血者の裾野を広げていかなければならないというように我々も考えているところでして、今後3年間の我々の事業目標として10~30代の初回献血者の方を増加させるということを重点項目として掲げております。それには、やはり先ほど御説明申し上げました献血セミナーの実施、あるいはラブラッドのプレ会員制度を利用しながら、また、企業の20代、30代の方、企業にも御協力いただきまして、初回献血者を増やすということに取り組んでまいりたいと考えております。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。先日も東京都の御報告も伺ったところで、今、全国の若者が東京都に一極集中していて、そして東京都では、まだ高校献血や何かをしていない。先ほど神社での献血の話は伺いましたが、ほとんどの若者が市中で実際に献血する場、機会がかなり減ってしまっていて、若者の初回献血がかなり、まだ足りない可能性が高いのではないかと懸念するところであります。海外の輸入に頼らないと免疫グロブリンができないということだと、今後、ますます問題があり得るかと思いますので、いろいろな意味で、また引き続き御検討いただければと思います。ほかにいかがでしょうか。ありがとうございました。日本赤十字社におきましては、引き続き安定した血液事業の運営をお願いしたいと思います。
 続きまして、議題7の各調査会の審議結果についてに移りたいと思います。資料7について、事務局から説明をお願いします。
○仲島血液対策課長補佐 事務局でございます。議題7、各調査会の審議結果について御報告させていただきたいと思います。資料7を御用意ください。1ページ進んでいただきまして、令和5年度第1回献血推進調査会の審議結果についての概要に沿って説明をさせていただきます。
 前回の運営委員会以降、調査会があったのはこの調査会のみということです。最初に、開催日時ですが、7月12日に開催いたしました。出席につきましては、全員の先生に御出席いただけたというところと、日本赤十字社から2名の参考人としての参加がありました。
 議事概要です。令和5年度第1回献血推進調査会は、基本的には4年度の実績報告というところでして、議題1は令和4年度の実績報告で、まず、日本赤十字社のほうから4年度の供給・献血実績の御報告、続いて、事務局から令和4年度の献血推進施策についての報告を行い、それらを踏まえまして、6年度の献血推進計画に当たっての方向性を説明したところです。
 委員からの主な御意見ですが、20代、30代の献血者の減少に対して、都市部での献血可能時間の延長等、臨機応変に対応していただきたいという御意見、もう1つは、高校生の普及啓発として『けんけつHOP STEP JUMP』という副読本ですが、ICT技術を活用して、分かりやすい動画コンテンツなどを検討していただきたいということがありました。
 続いて、議題2、輸出に際しての献血者への説明についてということで、血漿分画製剤の輸出について事前に献血者の方に説明し、同意を得る手続として「お願い!パンフレット」と献血の同意説明書の両方に記載するということで、日本赤十字社のほうから御説明があったところです。
 委員からの主な御意見としまして、血漿分画製剤の海外輸出によって、世界で困っている人に役に立っていることを献血者の方にも周知するとよいのではないか。あとは、献血の同意取得に当たっては、包括同意ではなく個別同意にしたほうがよいのではないか。更なるシステム改修の可否ということで、その件については日本赤十字社に一任ということで原案で了承されたというところです。
 議題3、その他、下半期のモニタリング結果として、令和4年10月~5年3月までの献血に関わる推移について説明しました。委員の方からの主な御意見はなかったということです。以上でございます。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。委員の方々からの御質問やコメントはいかがですか。よろしいでしょうか。最後に議題8、その他で、事務局から何かありましたらお願いします。
○有田血液対策課長補佐 事務局の有田でございます。その他議題として用意しているものは、特にございません。1点、情報共有ですが、前回の第1回運営委員会で御議論いただいた血液製剤代替医薬品の取扱いに関する局長通知の廃止につきまして、昨日9月19日付で発出しましたので、御報告いたします。以上です。
○田野﨑委員長 本日の議題は以上になりますが、そのほかに何かございましたらお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、どうもありがとうございました。事務局に議事進行を戻したいと思います。
○有田血液対策課長補佐 田野﨑委員長、ありがとうございました。次回の運営委員会の日程は、別途、御連絡差し上げます。
 これにて、血液事業部会令和5年度第2回運営委員会を終了いたします。ありがとうございました。
(了)