第198回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

日時

令和5年10月11日(金)14:00~15:00

場所

会場
厚生労働省 省議室及びオンライン
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館9階国会側)
傍聴会場
厚生労働省 雇用環境・均等局大会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館13階公園側)

議事

議事内容
2023-10-11 労働政策審議会職業安定分科会(第198回)
○山川分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、第198回「労働政策審議会職業安定分科会」を開催いたします。皆様方、大変お忙しい中、御出席をいただきまして誠にありがとうございます。
 本日の委員の御出欠ですが、労働者代表の石橋委員、小倉委員、西尾委員が御欠席と伺っております。
 なお、使用者代表の小野委員におかれましては、所用により少し遅れての御出席となる予定です。
 事務局では、山田職業安定局長、田中高齢・障害者雇用開発審議官が公務のため御欠席になります。
 カメラ撮影がありましたら、ここまでとさせていただきます。
 本日の分科会は、Zoomによるオンラインと会場での開催になります。オンラインでの発言方法等につきましては、事前に事務局から送付しております「職業安定分科会の開催参加方法について」に沿って御操作をお願いいたします。
 それでは、議事に入ります。本日の議題は「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」の諮問となっております。
 事務局から説明をお願いします。
○柴田労働移動支援室長 労働移動支援室の柴田でございます。よろしくお願いいたします。
 本日の議題、「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」御説明いたします。
 内容は、産業雇用安定助成金(雇用維持支援コース)の廃止についてでございます。資料1が省令案要綱、資料2が省令案概要、それと参考資料がございます。参考資料に沿って御説明いたします。
 参考資料の1ページを御覧ください。「現行制度及び今後の方向性」でございますが、コロナ禍における雇用への影響が長期化する中で、雇用調整助成金による休業ではなく、働く方々のモチベーションを維持するために、在籍型出向による支援を進めるため、出向元、出向先双方に対する助成制度を令和3年2月に創設いたしました。
 雇用保険法施行規則におきまして、当分の間、助成金を支給することといたしておりまして、コロナ特例として実施しております。今回、令和5年10月末をもって雇用維持支援コースを廃止し、11月1日より施行することを考えております。
 その際、既に提出されている出向計画届に基づく出向は経過措置として認める方針としております。
 2ページを御覧ください。「事業の概要」でございますが、出向初期経費助成といたしまして、出向元、出向先それぞれに1人当たり10万円、または加算額を含め15万円を支給しております。
 出向運営経費助成でありますが、賃金等の出向中に要する経費の一部助成として、1人1日当たり1万2000円を上限といたしまして、中小企業では、解雇を行っていない場合は9/10、解雇を行っている場合は4/5を助成、中小企業以外の場合は、それぞれ3/4、2/3となっております。
 また、右手の※印の部分でございますけれども、企業グループ内出向の場合には、中小企業2/3、中小企業以外の場合は1/2としております。
 1ページに戻っていただきまして、「廃止の背景」になります。「新型コロナウイルス感染症を取り巻く環境の変化」といたしまして、令和5年5月8日に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが2類相当から5類に変更され、経済活動の再開により、コロナ特例である雇用維持支援コースを継続する必要性が低下していること、また、2つ目の「人手不足感の高まり」といたしまして、日銀短観におきましては、製造業、非製造業でともに人手不足感が高まっております。
 3ページの左手の折れ線グラフを御覧ください。日銀の短観になりますが、2020年の過剰のピークから、2023年では製造業、非製造業ともに不足に大きく変動している状況にあります。そういった中におきまして、この雇用維持支援コースの特徴であります出向先を確保するための出向先事業主に対する助成の必要性も低下していることが挙げられます。
 また1ページに戻りまして、3の「出向労働者数の減少」でありますが、この雇用維持支援コースを利用している出向労働者数は、令和5年8月では、ピーク時の5割まで減少しております。
 3ページの右側の折れ線グラフを御覧ください。令和4年3月に出向労働者数のピークを迎え、その後、減少しているのが確認できます。
 1ページの3のポツの2つ目でございますけれども、雇用維持支援コースを活用する事業主が雇用量を増加させていないこと等の支給要件を令和5年6月に追加した結果、出向計画届の出向労働者数が月平均444人から、8月には17人に大きく減少したこと。一方で、出向労働者数の増加が見られる業種の事業主に対しましてヒアリングを実施したところ、約9割の事業主において雇用量を増加させての在籍型出向の利用が見られたことが背景として挙げられます。
 4ページを御覧ください。制度創設時から令和5年8月までの出向計画受理状況になります。左上の赤字の出向労働者数は約2万人、その右手の出向元事業所数は約2200事業所となっております。
 その右手の企業規模別になりますが、中小企業から中小企業への出向が多く、約半数の1万1000人となっております。
 その下の月別でございますが、計画の受理状況のピークは令和3年4月がピークとなっておりまして、令和5年8月では17人に減少しております。また、業種別では、出向元は、運輸業、郵便業の利用が最も多く、出向先はサービス業が多くなっております。
 次に5ページを御覧ください。「在籍型出向の活用による雇用維持への対応」でございます。現在、在籍型出向は主に雇用維持支援コースにおいて支援してございます。今後廃止されるに当たりまして、上段の枠の中に※印で記載がございますけれども、今後も、新型コロナウイルス感染症が経済等に与えた影響と同様の影響があった場合には、在籍型出向に係る必要な施策を検討することとしております。
 その上で、今後は平時の施策に移行することとなりますが、平時での在籍型出向を活用した雇用維持支援施策といたしましては、産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)の活用や雇用調整助成金の出向の活用によりまして、在籍型出向を活用した雇用維持支援に取り組んでまいります。また、産業雇用安定センター等による在籍型出向のマッチング支援等にも取り組んでまいります。
 スキルアップ支援コースでございますけれども、目的は従業員のスキルアップのための在籍型出向ではありますが、一時的な在籍型出向により雇用維持としての側面を持つため、そのような活用方法もあるといったものでございます。
 また、雇用調整助成金の出向は、平時の制度といたしまして現在も活用可能となっております。双方の助成金を活用して在籍型出向による雇用維持支援を引き続き実施してまいります。
 右手の枠囲みの中でございますが、産業雇用安定センター等によるマッチング支援につきましては、雇用調整助成金を含め、在籍型出向を活用しようとしている事業主に対しまして、ハローワークと連携して、ワンストップでマッチング支援を実施してまいります。併せまして、事業主に対しまして在籍型出向についての情報発信を強化してまいります。
 私からの説明は以上になります。
○山川分科会長 それでは、本件につきまして御質問、御意見等がありましたら挙手、または「手を挙げる」ボタンをクリックしていただいて、こちらで指名させていただいた後に、お名前をおっしゃってから御発言をお願いいたします。御質問、御意見等ございますでしょうか。
 冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
 産業雇用安定助成金の雇用維持支援コースの廃止について、現下の状況を踏まえて、平時の施策に移行していく中で、単に廃止ということではなく、雇用調整助成金における産業雇用安定センター等によるマッチング支援の強化や、情報発信の強化というところも御説明いただきましたので、一定理解するところではございます。廃止に当たりましては、廃止後に活用できる産業雇用安定助成金の「スキルアップ支援コース」などの案内を含めて事業主等に周知徹底をぜひお願いしたいと思います。
 また、資料にも記載がありますが、社会経済の大きな変化が雇用に悪影響を及ぼすような局面におきましては、当然のことながら、今回のコロナ特例の活用状況や効果検証を踏まえつつ、迅速・柔軟に必要な施策を実施いただくようお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。では、馬渡委員、お願いします。
○馬渡委員 全国中央会の馬渡でございます。
 ただいま御説明いただきました雇用維持支援コースのコロナ特例ということで、現状の状況によれば、10月末で廃止というのは致し方ないかなあと思っているのですけれども、1つ御質問なのですけれども、平時の施策にスキルアップ支援コースに移行していくということでしょうけれども、現在、この利用実績というのは分かりますでしょうか。このところ、こういうスキルアップ支援コースであるとか、新たにリスキリングであるとか、いろんなものが乱立しているようでありますので、利用率が少ないのが続くようであれば、その辺のところも整理しながらやるというのも一つの手なのかなあという気がいたしますけれども、御質問でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。事務局、いかがでしょうか。
○柴田労働移動支援室長 スキルアップ支援コースの現在の利用、大変低調になっておりまして、支給はゼロでございます。この制度上、出向が終わってから、その後半年たって賃金の上昇を確認してからの支給ということなので、ゼロでございまして、計画の受理件数は13件ということになっております。
 この13件、大変これも低調ですけれども、今回廃止する雇用維持支援コース、こちらのほうの活用がまだできる状態であったということも一つの要因かと捉えておりますけれども、引き続きスキルアップ支援コースの周知を徹底して活用に努めてまいりたいと考えております。
○山川分科会長 馬渡委員、何かございますか。
○馬渡委員 いずれにしても、マッチング支援とか情報発信の強化は努めていただいて、適宜、このまま利用状況が、今おっしゃったような形で少ないのであれば、リスキリング等も含めていろいろ利用しやすいような形に変えていただきたいなあと思う次第です。
 以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかに、御質問、御意見等ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 周知に関わる御意見、また今後の対応、あるいはほかの制度も含めた工夫に関わる御意見をいただいたところでございます。今回の諮問につきましては、御異議、基本的にないと思われますので、ほかに御意見等ございませんでしたら、当分科会としては、厚生労働省案をおおむね妥当と認めることとして、その旨を私から御報告することとしたいと思いますけれども、これにつきまして御意見等ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、報告文案の表示をお願いします。
(報告文案表示)
○山川分科会長 おおむね妥当という報告文案でございますけれども、この文案によって労働政策審議会会長宛てに報告するということで御異議ございませんでしょうか。
(首肯する委員あり)
○山川分科会長 それでは、御異議ございませんようですので、このように報告させていただきます。
 本議題は以上になります。
 本日の予定の議題は以上でございますけれども、この際、委員の皆様から何か御発言ございますか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、本日の分科会はこれで終了いたします。皆様、大変お疲れさまでした。