第25回過労死等防止対策推進協議会 議事録

労働基準局総務課(過労死等防止対策推進室)

日時

令和5年11月14日(火) 14:00~16:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンター  ホール15D
(東京都千代田区内幸町1-3-1)

出席者

専門家委員
岩城穣委員、戎野淑子委員、川人博委員、木下潮音委員、黒田兼一委員、堤明純委員、中窪裕也委員、宮本俊明委員
当事者代表委員
髙橋幸美委員、寺西笑子委員、渡辺しのぶ委員
労働者代表委員
上野友里子委員、冨髙裕子委員、西尾多聞委員
使用者代表委員
佐久間一浩委員、鈴木重也委員、山鼻恵子委員

議題

  1. (1)令和5年版過労死等防止対策白書について
  2. (2)令和5年度の取組状況及び令和6年度概算要求について
  3. (3)今後の過労死等防止対策の進め方について

議事

議事内容
○中窪会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、第25回「過労死等防止対策推進協議会」を開催させていただきます。
委員の皆様におかれましては、御多用の中、お集まりいただき、誠にありがとうございます。
本日は、岩城委員、堤委員がオンラインでの御出席となります。また御都合により、工藤委員、柴原委員、大下委員が御欠席です。
オンラインで御参加されている委員におかれましては、何かありましたらチャット機能で事務局にお伝えいただければと思います。
本日は、会場にお越しの委員につきましてはタブレット、オンラインで参加の委員につきましては事前にお送りした資料により御議論いただくこととしております。タブレットの操作が分からない場合には、随時職員をお呼びください。
また、本日付で委員の異動がございましたので、御報告いたします。資料の最終のページ、参考資料の委員名簿をご覧ください。
労働者代表委員の北野眞一委員が退任され、後任に柴原准二委員が、同じく労働者代表委員の永田一郎委員が退任され、後任に上野友里子委員が、それぞれ厚生労働大臣から任命されております。
上野委員、一言、お願いいたします。
○上野委員 失礼いたします。
ただいま御紹介いただきました、全日本自治団体労働組合で中央執行委員をしております上野友里子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○中窪会長 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
事務局にも異動があったとのことですので、事務局から紹介いただきたいと思います。
○企画官 前回の協議会以降、事務局に異動がございましたので、御紹介いたします。
大臣官房審議官(労働条件政策、賃金担当)の増田でございます。
○審議官 審議官の増田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○企画官 労働基準局総務課長 黒澤です。
○総務課長 総務課長の黒澤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○企画官 労働基準局安全衛生部労働衛生課長の松岡です。
○労働衛生課長 労働衛生課長の松岡と申します。よろしくお願いします。
○企画官 事務局の紹介は以上となります。
○中窪会長 ありがとうございました。
カメラ撮影につきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入ります。まず、先月、閣議決定・公表されました「令和5年版過労死等防止対策白書」、「令和5年度の取組状況及び令和6年度概算要求」につきまして、厚生労働省から10分程度で御説明いただきます。その後、人事院、内閣人事局、総務省、文部科学省の順で、それぞれ3分程度で御説明していただいた後、一括して質問等の時間を設けたいと思います。委員からの御発言をできるだけ多くいただきたいと思いますので、事務局の説明は簡潔にお願いいたします。
それでは、厚生労働省から順次御説明をお願いします。
○企画官 厚生労働省です。資料1、資料2、資料3、資料8について説明します。資料の右下に通しのページ番号を振っておりますので、こちらで御案内します。
まず、資料1「令和5年版過労死等防止対策白書」について、その概要を御説明します。
3ページをご覧ください。過労死等防止対策推進法に基づく法定白書で、8回目の作成となり、先月13日に閣議決定されたところです。主なポイントは、睡眠時間に関する調査分析結果のほか、過労死等防止対策大綱で調査研究の重点対象とされている業種等のうち、メディア業界と教職員、そして調査研究の必要性が指摘されている芸術・芸能分野の調査分析結果を記載したことです。
4ページ、第1章は「労働時間やメンタルヘルス対策等の状況」です。上段のグラフのとおり、週労働時間40時間以上の雇用者に占める週60時間以上の雇用者割合は長期的には減少傾向にありますが、令和2年以降はおおむね横ばいの状況です。その下のグラフは、業種別に4か年の推移を示したものです。
5ページです。左のグラフは勤務間インターバル制度の関係で、制度を知らないとする企業割合は増えましたが、制度の導入企業の割合は継続的に増加しています。右上のグラフは、年次有給休暇取得率の推移で、7年連続で増加しています。
6ページはメンタルヘルス対策の状況です。左上のメンタルヘルス対策に取り組む事業所割合と、その下の50人未満の小規模事業場におけるストレスチェックの実施割合は、前年よりも増加しています。右上のグラフ、仕事上の強い不安や悩み、ストレスがあるとする労働者の割合は、令和4年が82.2%となっています。これは注書きのとおり、令和4年の調査では設問形式を変更したため、令和3年との比較は困難となっています。
7ページ、第2章は「過労死等の現状」として、労災及び公務災害の補償状況を掲載しています。1の民間雇用労働者について、左側の脳・心臓疾患の認定件数はおおむね減少傾向にありますが、右側の精神障害の認定件数は、令和元年度以降、増加傾向が続いています。死亡件数は、いずれも減少しています。
8ページ、第3章は、自営業者、会社役員を含む就業者に対するアンケート調査の結果です。左上のグラフ、1週間の実労働時間が長くなるにつれて、翌日に疲労を持ち越す頻度が増加し、その下、疲労の持ち越し頻度が増加するにつれて、うつ傾向等がある者の割合が増加する傾向となっています。そして、右下、1週間の労働時間が長くなるにつれ、理想と実際の睡眠時間の乖離、つまり睡眠の不足感が増加する傾向となっています。
9ページです。睡眠の不足感が大きくなるにつれ、うつ病・不安障害の疑いのある方等の割合が増加する傾向にあり、主観的幸福感は低くなる傾向にあります。右上のグラフ、ハラスメントの経験ですが、男女ともパワーハラスメントを受けた者の割合が高くなっています。また、カスタマーハラスメントの経験について、今回初めて調査したところ、一定の割合でいらっしゃいました。
10ページは、重点業種等の一つ、メディア業界について、11年分の労災認定事案を分析したものです。左上のグラフ、脳・心臓疾患、精神障害、ともに広告業が最も多くなっています。左下のグラフ、精神障害の認定要因となった出来事では、「仕事内容・仕事量の変化を生じさせる出来事」が最も多くなっています。右下のグラフ、時間外労働が生じる理由は、「業務量が多いため」等の割合が高いですが、広告関連業では、「納期が短いため」や「不規則な要望に対応」といった顧客との関係に関する回答が、他の業種と比較して高い割合となっています。
11ページは、教職員について、10年分の労災認定事案を分析したものです。左上のグラフ、脳・心臓疾患の事案は減少傾向にあり、精神障害事案の割合が高まっています。右側のグラフ、精神障害の認定要因となった出来事では、「嫌がらせ、いじめ」、「上司とのトラブル」、「セクシュアルハラスメント」の割合が高くなっています。
12ページは、芸術・芸能従事者の実演家に対するアンケート調査結果です。左上のグラフは1週間当たりの拘束時間の状況、左下のグラフは収入額、右下のグラフは休日数の状況を表しています。いずれも同じ職種であっても多い方、少ない方がそれぞれ一定割合見られる状況です。
13ページです。ハラスメントの経験の割合については、「仕事の関係者に、心が傷つくことを言われた」が総じて高く、「身体的攻撃」や「セクシュアルハラスメント」の経験も、一定の割合で見られます。一方で、右側のグラフ、主観的幸福感は一般就労者全体よりも高い傾向にあります。
14ページから15ページは第4章として、令和4年度の過労死等防止対策の実施状況について、行政機関等の対策、調査研究、啓発等に対する取組を記載しています。
16ページはコラムの紹介、17ページがコラムの一覧となっています。白書の概要については以上となります。
続いて、18ページからは資料2です。初めて大綱が策定された平成27年以降の対策の実施状況を、項目別・年度別に取りまとめた資料です。本日は説明を割愛させていただきます。
次に、68ページ、資料3をご覧ください。令和5年度の厚生労働省の主な取組です。
69ページ、この11月の過労死等防止啓発月間における取組として、過労死等防止対策推進シンポジウムを全国各地で開催しています。
70ページは周知・啓発です。昨年度と同じ「しごとより、いのち。」をキーフレーズとして、各種手法を用いて広報を展開しています。ポスターについては新たに道の駅や大型ショッピングセンター、ハローワークで掲出いただいています。
71ページ、11月には過重労働解消キャンペーンも展開しており、重点監督や無料の電話相談等の各種取組を実施しています。
72ページ、調査研究を引き続き実施しています。5にあるとおり、今年9月に労働安全衛生総合研究所におけるこれまでの研究成果や、過労死等防止の情報を公開するポータルサイトを新たに開設しています。
73ページ、啓発について、来年4月から時間外労働の上限規制が適用される建設業、自動車運転者の働き方改革PR動画を作成しまして、荷主や発注者、国民の皆様に業界の抱える課題や御協力いただきたいことを広く呼びかける内容となっています。
また、74ページのとおり、働き方・休み方改革シンポジウム、勤務間インターバル制度導入促進シンポジウム、職場におけるハラスメント対策シンポジウムなどを開催しています。
75ページ、高校・大学等への講師派遣事業を実施しており、現在、昨年度実績並みのお申込み状況となっています。
76ページ、遺児交流会は本年7月に開催しました。また、遺児相談室も実施しています。
本年度の取組については以上となります。
最後に、97ページ、資料8は過労死等防止対策の関連予算です。令和6年度要求額は230億円余りとなっています。引き続き、調査研究や啓発、相談体制の整備等の過労死等防止対策が実施できるよう、必要な予算要求をしているところです。
厚生労働省からの説明は以上です。
○人事院職員福祉局 人事院職員福祉局です。
77ページの資料4をご覧ください。
取組の1つ目は、超過勤務の縮減になります。人事院では、昨年4月に勤務時間調査・指導室を新設し、各府省の官署に直接赴いて超過勤務時間の適正な管理などについて調査・指導・助言を行っています。本年度においては、地方の官署の訪問も新たに実施しています。さらに、来年度以降、体制強化や調査対象の増加など、調査・指導のさらなる充実を図ることとしています。
また、各府省に対して資料掲載の各種アンケートを実施し、それらの結果を踏まえ、記載の対応をしているほか、特に人事や給与に関する業務については、人事院においても各府省の負担が軽くなるよう、改善に向けた取組を行っています。
取組の2つ目は、勤務間のインターバルの確保についてです。
勤務間のインターバルは、健康の維持のために不可欠であるとともに、仕事と生活の調和が取れた働き方を追求するためにも重要と考えています。国家公務員についても、勤務間のインターバル確保の取組を早期に推進していく必要があると考えており、各省各庁の長の勤務間のインターバル確保に努める責務について、令和6年4月施行の予定で人事院規則に規定を新設することとしています。今後、勤務間のインターバルの確保の状況や課題の把握・分析等を行うなどして、各職場で勤務間のインターバル確保が図られるよう取組を行っていきます。
3つ目は、ゼロ・ハラスメントに向けた取組、職員の健康増進等についてです。
ゼロ・ハラスメントに向けた取組として、幹部・管理職員ハラスメント防止研修、各府省におけるハラスメント相談担当者をサポートするための体制整備の検討等の取組を行っています。職員の健康増進の関係では、心の健康に関する相談窓口について、本年7月には全ての窓口にオンライン相談を拡大しました。また、ストレスチェックを活用した職場環境改善に関する報告書を各府省に周知することにより、ストレスチェック制度のさらなる活用、一層の職場環境改善の取組を促しています。さらに、脳・心臓疾患及び精神疾患等に係る公務災害認定事案の分析に基づき、過重な業務に従事している職員に対する勤務時間管理の徹底や体制面での配慮、日頃からの心身の健康管理や適切なケア等について、過労死等防止の観点から各府省に対して指導・助言を行ってきています。
人事院からの御説明は以上です。
○内閣官房内閣人事局 内閣人事局です。
80ページの資料5をご覧ください。まず、令和5年度の内閣人事局における過労死等の防止対策の実施状況について御説明します。
「働き方改革の推進」については、令和3年1月に改正した「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」に基づき、現在、「業務効率化・デジタル化の推進」、「マネジメント改革」等の取組を推進しているところです。
内閣人事局の取組としては、1つ目の「各府省等の取組支援」として、令和4年度に実施した国家公務員の働き方改革に関する職員アンケートについて、国家公務員全体の調査結果を各府省等にフィードバックの上、公表しました。各府省等の取組状況の実態及び職員の意識等を横断的に把握・検証するため、今年度も引き続きアンケートを実施する予定です。
また、業務見直し、デジタル化及び人材開発に係る好事例の表彰を実施し、全職員投票を踏まえた最終的な結果を公表しました。今年度も引き続き実施を予定しています。
2つ目の「業務効率化・デジタル化の推進」については、業務見直しのさらなる推進のため、府省等横断の業務見直しに係る意見交換の場を設置・運営しています。
3つ目は、「長時間労働等対策の強化」です。引き続き、各府省に対して超過勤務時間の確実な把握と、これに応じた超過勤務手当の支給を要請しています。
また、勤務時間管理システムについては、職員の勤務時間の正確な把握や、上司が部下の勤務状況を随時把握することによる適切なマネジメントなどが可能となることから、各府省への導入支援や在庁時間の客観的把握について既に着手済みの本省に加え、地方支分部局等についても業務に応じた勤務形態の多様性に配慮しつつ、最も効果的な方法を遅滞なく措置するよう、計画的な導入を促進してまいります。
さらに、昨年度末に最終報告が公表された人事院主催の「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会」の議論を踏まえ、令和5年4月から柔軟化されたフレックスタイム制の活用を促進するとともに、8月に人事院から提出された勤務時間に関する勧告等も踏まえ、人事院と連携し、引き続き柔軟な働き方について検討及び推進してまいります。
4つ目は、「ワークライフバランス推進のためのマネジメントの向上」です。
まず、「ア」のマネジメント研修についてです。本府省の新任の管理職を対象とし、マネジメント能力の向上を図るための研修を令和4年度に引き続き、実施しています。また、全ての新任の管理職を対象として、マネジメントの具体的な行動例について、ケーススタディを通じて学ぶe-ラーニングも実施しています。
「イ」の管理職員向けe-ラーニングも平成29年度から実施しており、引き続きワークライフバランスのために管理職に求められる行動・役割について啓発してまいります。
さらに、「ウ」のとおり、各府省等へ当局のこれまでの知見や各府省等の優良な取組事例等を共有し、各府省等の状況に応じた研修実施等の自主的な取組を引き続き支援してまいります。
81ページをご覧ください。「心身の健康の保持増進」についてです。
まず、国家公務員に対する周知・啓発の具体的な取組として、4点あります。
1点目として、管理監督者がメンタルヘルスの基礎知識やメンタルヘルス不調者への実際の対応方法を習得するためのセミナーを実施しています。
2点目は、10月1日から7日まで、「国家公務員健康週間」中に、女性の健康及び心の健康に関するテーマで、「健康に対する意識啓発講演会」を実施しました。
3点目として、新任の幹部職員、課長級職員、課長補佐等を対象として、メンタルヘルスやパワーハラスメント防止等の知識や部下からの相談への対応方法、幹部職員等の果たすべき役割や責任の理解・習得のため、10月から来年1月にかけてe-ラーニングによるメンタルヘルス講習、ハラスメント防止講習を実施しています。
4点目として、過労死等の原因となる脳血管疾患等を予防する観点から、健康診断において要医療・二次健診の対象となった職員への確実な受診の指導などを推進しました。
また、国家公務員に対する相談体制の整備に関する取組として、カウンセリング能力向上のため、「カウンセラー、相談員のための講習会」を実施しました。
内閣人事局の取組は以上になります。
○総務省自治行政局公務員部 総務省より資料6により御説明します。総務省においては、地方公務員の過労死防止対策を担っている都道府県や市区町村に対し、継続的に助言や情報提供、調査研究等を行っています。
83ページをご覧ください。
上段には、地方公共団体における時間外勤務縮減等の取組をまとめています。昨年度に公表した令和3年度の地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果を踏まえて、令和4年12月26日に通知を発出し、勤務時間の適正な把握と、長時間勤務者に対する健康確保措置、時間外勤務の縮減の取組について、改めて地方団体に助言しています。
また、3点目のとおり、令和4年度も各種会議において同様の助言を行ったほか、4点目のとおり、先ほど御説明した昨年末に発出した通知において、時間外勤務の削減に向けた取組事例や医師の面接指導の取組事例を紹介して、参考にしていただくよう助言しています。
下段の地方公務員の過労死等をめぐる調査・分析の取組では、令和5年度においてもこれまで同様、労働者健康安全機構に委託し、平成22年1月から令和4年3月までの間に公務災害と認定された事案総数638件のデータベース構築と分析、さらに平成27年4月から令和2年3月までの間に公務外と認定された事案総数545件のデータベース構築と分析を行っています。
84ページをご覧ください。地方公共団体におけるメンタルヘルス対策の実施状況等を取りまとめています。総務省では、50人未満の事業場を含め、全ての職員にストレスチェックを実施するよう地方公共団体に助言していますが、令和3年度は上の表のa分のb欄のとおり、全事業場のうち約98.6%でストレスチェックが実施されており、その下の表の合計欄のとおり、97.8%の地方公共団体で何らかのメンタルヘルス対策が実施されています。
また、下から3つ目のポツのとおり、過労死大綱におけるメンタルヘルス対策の数値目標が変更されたことを踏まえ、令和5年3月末に通知を発出し、必要な取組を推進していただくよう助言したところです。
さらに、その次のポツのとおり、令和4年度に開催した「総合的なメンタルヘルス対策に関する研究会」において取りまとめられた計画例を参考として、地方団体が主体的に計画を策定し、着実にメンタルヘルス対策を実施していただくよう助言しています。
85ページをご覧ください。地方公務員に対する研修や相談についての取組です。地方公務員の研修機関として総務省に設置されている自治大学校では、(1)のとおり、幹部職員等を対象とした研修課程があり、令和5年度においてもメンタルヘルスにおけるリーダーシップ等の講義を行っています。
また、(2)のとおり、地方公務員安全衛生推進協会において、東京のほか、全国12会場でメンタルヘルス・マネジメント実践研修会を行っており、そのうち東京会場には総務省からも出席し、先ほど御説明した過労死等に関する調査分析結果などを説明し、地方公共団体の労働安全衛生の取組をさらに促進するようお願いしています。
下段の地方公務員に対する相談関係について、(1)のとおり、各地方公共団体の人事委員会等に苦情相談窓口を設置されていますが、これに加えて、(2)のとおり、関係機関にメンタルヘルス相談先が設置されているほか、一番下の4点目のとおり、災害に伴う消防職員等の惨事ストレスに対応する必要な支援を行う緊急時メンタルサポートチームの派遣などを行っています。
総務省からは以上です。
○文部科学省初等中等教育局 文部科学省より資料7、86ページ以降により御説明します。学校における働き方改革の推進状況です。
87ページをご覧ください。学校における働き方改革に関しては、平成29年に教員の勤務実態調査をまとめ、小学校で月約59時間、中学校で月約81時間という厳しい状況が明らかになったことを受け、その後、中央教育審議会での御議論・答申、それから、それを踏まえました給特法、教育公務員に関する特例法の改正を行い、教育公務員の勤務時間の上限に関するガイドラインを指針に格上げ、法令上位置づけました。また、予算上も、教職員定数の改善や支援スタッフの充実等について取り組んできたところです。
こうした取組を受け、本年4月には再度、教員勤務実態調査の速報値を公表し、小学校で約41時間、中学校で約58時間と、前回調査に比べて一定程度改善したものの、引き続き取組を加速化していく必要がある状況であると認識しています。そうした認識の下、現在、再度、中央教育審議会において集中的な御議論をいただいているところです。
次のページをご覧ください。そうした状況に関して、幾つかの指標について御紹介させていただきます。全てを御紹介するのはかないませんが、例えば88ページは、部活動の見直しについて、週当たりの活動日数が6日以上の部活動顧問をされている先生の割合について、縮減がされています。
また、89ページをご覧いただくと、教職員定数の改善や、学校については、教師だけではなくて、様々な支援スタッフによって成り立っているところがありますので、教員業務支援員、学習指導員、スクールカウンセラー等々の支援スタッフの予算について拡充している状況です。
93ページをご覧ください。こうした法令上・予算上の取組に加えて、学校における働き方の改革、全国様々な好事例が集まってきていますので、そうした事例を集めて事例集の形でまとめたり、平成28年度以降は、各教育委員会における取組状況の調査を行い、その進捗状況を明確にし、他自治体における取組を促すといったことも進めています。
94ページをご覧ください。先ほど中央教育審議会で御議論いただいていると申し上げましたが、本年8月には、その中で緊急的に取り組むべき施策として、緊急提言の形でまとめていただいています。取組の具体策としては、学校・教師が担う業務の適正化の一層の推進。2つ目として、学校における働き方改革の実効性の向上。3つ目として、持続可能な勤務環境整備等の支援の充実といった観点から緊急提言を取りまとめていただいています。
次のページをご覧ください。こうした中央教育審議会での御議論を踏まえて、文部科学大臣からは、大臣メッセージという形で、国から学校・教育委員会、保護者・地域住民の皆様に対してのメッセージを発出したところです。
ここまでが勤務状況の改善に関するところです。次のページは、公立学校教員のメンタルヘルス対策に関する調査研究事業について、今年度、予算を措置して調査研究を行っており、また、令和6年度概算要求についても、所要の経費を計上して要求中です。
以上、文部科学省からです。
○中窪会長 ありがとうございました。
ただいまの各府省からの御説明につきまして御質問や御意見等をいただきたいと思います。なお、本日は後半で「今後の過労死等防止対策の進め方について」という議題がございますので、今後の過労死等防止の取組に関する御意見については後ほどいただきます。前半では、白書や今年度の取組に関する御意見、御質問をいただくよう、各委員には進行に御協力いただきますようお願いいたします。
それでは、いかがでしょうか。黒田委員、お願いします。
○黒田委員 初めから申しわけありません。過労死防止学会の黒田と言います。
今の座長のお話で、来年度の大綱の見直しについては後ほどということですので、それは後回しにします。
1つは、本日のニュースで報道されて御存じだと思いますけれども、ジャニーズ関連で自殺者が出たというニュースが飛び交っておりました。精神障害からの過労死、過労自死について御質問させていただきたいと思います。今日の資料の7ページ、それから白書の本体のほうでは44ページから79ページに、労災、公務災害、それぞれについての支給決定件数。それから、本体のほうでは申請件数も示されております。この中を見ますと、脳・心臓疾患については、申請件数も認定件数も全体としては停滞ないしは微減と言ったらいいのでしょうか、そういう傾向が見られるのですが、これと対照的に、いろいろなところで指摘されておりますように、精神障害に関わる申請件数については、ちょっと誇張した表現かもしれませんけれども、うなぎ登りに増えています。
そういう申請件数の増加に比べて、支給決定件数となると、それに比例して増加しているわけではなくて、多少のでこぼこはありますけれども、自殺だけを見ますと、むしろ停滞ないしは微減傾向になっている。つまり、自殺については、申請件数は増加しているものの、支給決定件数は減少しているという、何とも表現しにくい状態になっております。厚生労働省としては、これをどんなふうに見ているのかということ、ちょっと大きな問題で申し訳ないですが、御質問させていただきます。同じように、この問題については、労災あるいは公務災害の認定プロセスにも大きな問題があるのではないかと推察するのですが、その辺りも含めてお願いしたいと思います。
もう一点、この自殺問題については、本体の37ページに警察庁の勤務問題を原因・動機とする自殺者の推移としてその実数が掲載されています。それを見ると、勤務問題を原因とした自殺者数は2,968人と記載されています。一方、先ほど言いました労災・公務に関しては、申請が183件、そのうち決定件数が67件という、何ともこの数値の違いに驚かされるわけです。こうした精神障害に伴う過労死について、この10年間、これまで以上に正確な分析が求められるのではないかと思います。ここから後は私の意見ですけれども、一向に減少傾向にないわけですから、新しい大綱を考えていく際には、もう少しこの点、重点的に考えていく必要があるのではないかと思います。
質問としては、厚労省のお考え、それから公務災害、労災の認定プロセスについて、ちょっとお考えがあれば教えていただきたいと思います。
2つ目の質問です。これは人事院の報告の中で、本日の資料77ページ、79ページ辺りにその辺が出ております。単純な質問ですが、お尋ねしたいのは、このうち勤務間インターバルのことに関して、その確保の努力義務規定を新設するとなっているのですが、このインターバルの新設・努力義務規定というのを、もう少し詳しくお分かりになれば教えていただきたいと思います。実は、この問題については、努力義務でいいのかどうかという問題も含んでいるのですけれども、長時間労働の解消については大変大事な問題ですので、国家公務員の中で努力義務規定という形で新設することがどれほど大きな効果を持つのかということも含めて、この新設する中身を少し教えていただければなと思います。
私のほうからは以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。御質問については、後ほどまとめてお答えいただくことにします。
それでは、寺西委員、お願いします。
○寺西委員 ありがとうございます。
先ほど白書の御報告いただきまして、今年の白書につきましては、これまで調査・研究されてこなかった分野が大変詳しくなっておりまして、年々充実した内容だというふうに感想を持ちました。
私のほうから、過労死等の救済と防止について2点述べます。
1点目は、先ほど黒田委員がおっしゃったところと少し重複するのですけれども、資料の7ページ、白書本体の44ページ及び54ページに掲載されています、過労死等の労災補償についてです。今から2年前、令和3年9月に20年ぶりに脳・心臓疾患の労災認定基準が改正されました。新たに対象疾病が追加され、労働時間以外の負荷要因の見直しで、勤務間インターバルが短い勤務や、心理的負荷や身体的負荷を伴う業務などが評価対象として追加されました。脳・心臓疾患と死亡も請求件数は増えているのに、疾患の支給決定はほぼ横ばいで、死亡の支給決定は減少し、大変厳しい数字になっています。
また、精神障害の認定基準についても、本年9月に12年ぶりに心理的負荷による精神障害の労災認定基準が改正されました。業務による強い心理的負荷の見直し、精神障害の悪化した部分など、見直されることになりましたが、同様に労災請求件数は毎年、過去最多になっており、このままでは来年、精神障害の請求数は3,000件を超えるのではないかと危惧しています。
深刻なのは、白書35ページ~37ページに載っている自殺の状況で、遺書や生前の言動で勤務問題が原因と裏づけられる自殺の割合が、令和3年度は1,935人だったのが、令和4年度は1,000人以上増え、2,968人と激増しています。その原因になるものとして、職場の人間関係、これは主に上司とのトラブル等。また、仕事疲れ、これは主に長時間労働です。職場環境の変化は、主に役割や地位の変化など。これらが警察庁の自殺統計原票データに基づいて示されています。しかし、令和4年度に自殺で労災申請されたのは183人で、その中の労災認定されたのはたった67人でした。つまり、勤務が原因で3,000人近く自殺されているのに、労災申請するのはその15分の1程度の遺族です。圧倒的に泣き寝入りされているのが現状です。
なぜそうなるのか。それは申請者側に立証責任があるからだと思います。申請に必要な証拠は全て職場にあることで、事業主の協力がなければ、何があったのか事実を知ることができず、遺族としてはなすすべがありません。本来、労災請求すれば、労基署は事業場へ調査に入り、事業主から適正な勤務内容や労働実態を提出させる。私たちができない厳格な方法で証拠収集していただきたいです。不正や違法を監視する労働警察が、厚生労働省労働局、労働基準監督署であると認識しています。
そこで質問します。脳・心臓疾患の認定基準が改正されて2年経過します。脳・心と精神障害の認定基準の見直しによって労災認定された事案、あるいは自庁取消された事案の件数などがあれば教えてください。
2点目は、2025年4月から開催される予定の大阪・関西万博の建設工事をめぐり、パビリオン建設工事が大幅に遅れていることで、今年7月、万博協会は政府へ、来年4月に適用される建設従事者の残業上限規制を、万博関連工事の従事者は除外するよう要望しました。この報道を見たときに、かつて東京オリンピックのメイン会場である新国立競技場も、当初のデザイン変更などで大幅に遅れたことが原因して、建設現場で4人もの貴い命が犠牲になりました。この事件が私はよみがえってきました。
中でも、時間外労働が月190時間など、深夜労働の末に23歳で過労自死された悲惨な事件は忘れることができません。他者の都合で大幅に建設工事が遅れ、そのしわ寄せが現場の労働者に集中し、長時間過密労働を強いられる。この構図は、今の万博建設工事が大幅に遅れている状況と全く同じ道をたどっています。新国立競技場過労死事件と同じ過ちを繰り返さないために、過労死等防止対策としても、万博建設工事従事者の残業規制適用除外は絶対にしないことを要望します。
そこで質問します。万博協会の要望に対し、厚生労働省は政府と議論されたのでしょうか。また、政府はどのような回答をされたのでしょうか。厚生労働省の見解を聞かせてください。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。今のご指摘にも関係するのですが、事務局からの報告や白書をみますと、週60時間以上の労働者の割合につきましては、長期的には低下傾向であるものの、直近の3年間は横ばいなっております。また、2022年の業種別では、運輸業、郵便業、また宿泊業・飲食サービス業などは、前年より増加しております。働き方改革関連法も施行後5年を迎えまして、いよいよ来年4月より適用猶予業種にも時間外労働の上限規制が適用されるため、この間、それぞれ施行に向けた具体的な対応が議論されてきたと思います。
特に建設業、運輸業、医療は、過労死等の請求・認定件数ともに上位を占め続けているところであり、また、自動車運転者では監督が実施された中での労基法の違反率も高くなっています。そうした実態を踏まえて、ぜひ労基署には監督指導のさらなる徹底をいただきたいと考えております。また、労働時間短縮につきましては、もちろん労使の取組が非常に重要でございますが、行政としても強力に後押ししていただきたいと考えてございます。
また、これらの業種は、注文者・発注者による著しく短期の工期設定、また荷待ちや非合理的な到着時間の設定などが長時間労働につながっている実態がございます。先ほど大阪万博の話もございましたけれども、商慣行とか取引環境の改善はもとより、社会全体への周知啓発、また省庁横断的な取組も含めて、ぜひしっかりと取組を強化していただきたいと思います。過労死等の防止につながる非常に重要なものだと考えますので、そうした具体的な取組も含めて、定期的な報告もお願いしたいと思います。
以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、髙橋委員、お願いします。
○髙橋委員 ありがとうございます。髙橋です。
私からは、重点業種のメディア業界の調査結果についてお話しさせていただきます。先ほど事務局から資料10ページの説明がありましたが、令和4年度は、大綱の重点業種の一つであるメディア業界の労災認定について分析がされています。白書の99ページから101ページになります。平成22年度から令和2年度までの11年間で、脳・心臓疾患は平成24年をピークに横ばいですが、精神障害は113件で増加傾向。20代、30代の若年層の精神障害が最も多く、20代で50件。メディア業界は、若年層での精神障害が多いのが分かります。業種別では、脳・心臓疾患で広告業が14件と最も多く、精神障害でも広告業が46件と最も多くなっています。
事案の出来事から、仕事内容・仕事量の変化を生じさせる出来事、2週間以上の連続勤務があったが多く、時間外労働が生じていたことが分かります。時間外労働が生じる理由が、業務量が多い、人員不足、短納期や急な仕様変更が原因になっています。
私の娘は、広告業で平成27年4月から勤務して12月に亡くなり、平成28年に認定が下りましたので、白書の99ページの上段の表の平成28年の5件の1人です。娘を過労自殺で失った母親としては、統計調査の数字を冷静に見ることは到底できません。調査報告は単なる数値ではなく、一人一人の血の通った人そのものであり、私の大切な娘であって、ある人の大切な夫・妻・父・母・祖父・祖母・息子・娘だということを、どうか国や関係者の方々、事業主の方々は強く心に置いて、今後の対策を考えてほしいと思います。
そこで質問ですが、分析結果では被災者の基準で原因が集計されていると思いますが、実際に被災事業所でどのような労働実態があったのか、調査してもらっているのでしょうか。労働時間が正確に記録されていたかどうか。時間外労働の実態やストレスチェックの実施、産業医の面談、インターバル制度があったのか、労働実態を明らかにしてほしいと思います。過労死の原因は1つではなく、複数の原因が事業所に存在して過労死を起こしているのですから、全ての原因に対して対策を講じて再発を防止する必要があります。
メディア業界では、十分な再発防止策を怠っている事業所で過労死が再発しています。労災を出した事業所に労基署・労働局から指導が行われているということなので、違法な長時間労働があった場合は指導が行われているとは思いますが、事業所が再発防止対策を行っているのか、継続的に指導に当たってもらいたいと思います。再発防止のためにどのように指導を行っていただいているのか、お聞きしたいです。
また、本文118ページからのアンケート調査では、現在もメディア業界では問題点が解消されていないことが分かります。業務量が多い、人員不足。スタッフの育成に時間がかかり、育ってきたスタッフが転職してしまう。納期が短い。予期せぬ仕様変更があると、業界が全く変わっていません。社員育成を十分な時間をかけて行い、未熟なスタッフに過度な負担がかからないよう、環境を整えることで離職を防ぎ、過労死も防止できるのではないでしょうか。
また、インターバル制度を知らない事業所が2割もあり、休息時間が少なくなっても休息を確保する対策をしていないが3割近い。ストレスチェックは、半数以上が行われていません。有害業務、深夜勤務など、健康診断を年に二度行わなければいけない職種もありますが、精神的にストレスがかかるメディア業界だけではなく、IT業界、医療・教育などでストレスチェックを、年に一度ではなく二度行うのが望ましいと思います。ストレスチェック制度を義務づけしていただきたいと思います。
若年層の精神障害が多く過労死を発生させていることから、どうかメンタルヘルスの取組をしてもらいたいと思います。これらの調査結果を業界団体などに共有するなどして事業所に指導を行う必要があると思いますが、どのようにされているのか、お聞きしたいところです。
過労死防止対策推進法の制定から、もうすぐ10年になりますが、過労死を防いでいるとは言いがたい状態です。芸能界では、悲しいハラスメントの報告が相次いでいます。調査研究は目標ではなく、防止に生かしていくこと。労基署の監督官や職員を増やし、罰則が軽過ぎて法律が守れないなら罰則を強化し、時間外労働の法制化を強化し、インターバル制度を義務化してハラスメントを禁止するなど、あらゆる対策を行い、今後の過労死防止につなげるよう、どうかお願いいたします。
私からは以上です。ありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。
私からは1点、御質問とコメントを申し上げます。
先ほど冨髙委員からも言及がありましたが、資料1の4ページの下段に示して頂いた、週労働時間60時間以上の産業別のデータのうち宿泊業、飲食サービス業が前年よりも上昇ピッチが高くなっています。事務局に、宿泊業だけのデータがあるかどうかお尋ねしたいと思います。インバウンド需要の復活で人手不足がかなり高まっており、負荷も高まっているという声もあり、質問させていただく次第です。
また、これも冨髙委員から御指摘がありましたが、商慣行の是正を進めていかないと対応ができない業種・業態が多いと考えます。この問題は、官民で取り組む必要があり、その関係で一言御報告させていただきますと、経団連は、近く、過重労働防止対策セミナーを開催し、川人先生、木下先生にも御登壇いただき改めて過重労働防止の大切さ、企業へのサゼスチョンをいただく予定でございます。トラック運転手の長時間労働・過重労働が大変大きな課題であることから、併せて国交省担当者からお話をお聞きしたうえ、経団連として会員企業に対し、発着荷主の協力を改めて呼びかけたいと思っております。
以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
では、川人委員、お願いします。
○川人委員 川人でございます。
2点、意見と質問をしたいと思います。
まず、12ページの芸術・芸能従事者に関する調査・分析結果です。今回、白書において、このような調査・分析をされたということは、とても意義あることであると考えております。1点、この芸術・芸能従事者の分野での過労性疾病等に関する労災申請や労災認定の実情について統計が整理されているようでしたら、御教示いただきたいと思います。
次に、2つ目の意見と質問ですが、白書の44ページに関することですが、ここで過労死等に関する労災状況についての脳・心臓疾患に関する労災請求件数の推移及び支給決定の推移のグラフが掲載されていますが、このような歴史的な比較というのは大事なことですが、この中の性別についての歴史的な比較を知りたいところであります。これは脳・心臓疾患、精神疾患、問わずです。例えば45ページなど、単年度のところでは女性についての内数が書かれているのですが、歴史的に表、グラフをつくるような場合に、性別についても分かるような統計表をつくっていただきたいと思いますのと、現時点で5年、10年の単位でその辺りの比較統計ができているようであれば教えていただきたいと思います。
1点、関連する問題ですが、現在は男性労働者が死亡した場合と女性労働者が死亡した場合で、遺族年金の支給の扱いが大きく異なります。その是非をめぐっては、様々な議論が行われていることは御承知のとおりかと思います。そういう問題の検討を考える上でも必要な統計だと思いますので、後で御回答いただければと思います。
以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、西尾委員、お願いします。
○西尾委員 ありがとうございます。UAゼンセンの西尾です。
私のほうからは、2点、インターバル制度の導入促進、ハラスメントの対策の関係について発言させていただきたいと思います。
先ほどの髙橋委員からも網羅的にお話しいただきましたが、加えて労働組合として取組を進めている観点から発言させていただきたいと思います。資料では5枚目のスライド、白書本体は18ページ、19ページでデータが示されております。勤務間インターバル制度の導入割合は5.8%ということで、制度の認知度も低下しているという状況です。白書に記載されている調査結果を見てみますと、導入を予定又は検討している割合は全体で12.7%。建設業では22.9%、飲食サービス業では宿泊業も含めて19%と高くなっています。まずは、こうした導入を検討しているところをきちんと把握して、確実に導入していただく取組が重要と考えております。
加えて、勤務間インターバル制度の導入などの取組が比較的進んでいる業種は必要度が高い業種と読み替えることができると思います。例えば運輸、郵便業では、導入および導入予定を合わせて30%を超えており、建設業も26.3%です。また、UAゼンセンの加盟組合の調査では、大手・中堅が中心にはなりますが商業・小売関係においては、61%が導入し、27.8%が労使協議中であり、製造関係やサービス関係の業種の加盟組合もありますが、ほかの業種に比べて突出して導入企業が多い結果となっています。
しかし、白書を見ますと、労働組合のない企業も含まれておりますので、卸・小売業では導入予定はなく、検討もしていない企業の割合が86.7%ということで、逆にほかの業種に比べても導入率が低くなっています。様々な情報をもとに、勤務間インターバル制度を必要としている業種を把握して、しっかりと支援を進めていくというきめ細かい対応も必要だと思います。また、業種特性も踏まえて、制度の導入の際にどのような障害があるのかということを把握していただいて、その解消につながる支援を御検討いただきたいと思います。
さらには、制度を知らなかったという回答が2割を占めているという現状もありますので、制度内容の有効性や、導入運用マニュアルの一層の周知は必要ですし、導入促進に向けては、労働組合としても労使協議を引き続き続けていきたいと思っています。行政としても十分に広がっていくよう、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
もう一点、ハラスメントの関係ですが、スライドの59枚目、白書では32ページになると思いますが、いじめ・嫌がらせ、パワハラ、労働局への相談件数が合わせて12万件を超えており、一貫して増えています。これは労働組合・連合への相談でも共通した状況になっておりまして、過労死等をなくすためには、職場におけるハラスメントの撲滅、それから長時間労働の是正に同時並行で取り組むことが重要だと考えているところであります。
パワハラ、セクハラ、マタハラに関しては、この対策が全企業に義務化されているということを周知徹底していただくということと、今回、白書でカスタマーハラスメントを防止対策として取り扱っていただいております。厚生労働省が中心になって、関係省庁連携の上でカスタマーハラスメントの対策企業マニュアル、リーフレット、ポスターなども含めて作成いただきました。この取り組みは、社会一般に周知を促進したと思っています。
カスハラを経験した人について、UAゼンセンの調査では、ほとんどの人が不安、恐怖、寝不足など心身の状態に変化があったと答えています。その中で、常に1%前後の方は診療内科を受診した、もしくは精神疾患になったと回答しています。引き続きカスタマーハラスメントや就活生へのハラスメントなども含め、総合的な対策について事業主などへ周知と働きかけを進めていただきたいと思っております。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、上野委員、お願いいたします。
○上野委員 ありがとうございます。
私のほうからは、資料6につきまして、総務省が自治体に対して実施されている時間外勤務の縮減策や相談窓口の設置、メンタルヘルス対策などの過労死等を防止するための取組について記載されている点について発言させていただきます。
この点につきまして一般財団法人地方公務員安全衛生推進協会が、全国351団体、約80万人を対象に実施されました、令和3年度長期病休者の状況に関する調査によりますと、精神及び行動の障害による長期病気休暇者の数が、10万人率ではございますが、1903.3人に上り、前年の同調査よりも約10%増加しているという現状がございます。これは10年前に比べますと約1.6倍であり、さらに15年前と比較して約2倍に相当するような規模となっております。
地方公務員数につきましては、2017年度を底と見まして微増の傾向にはありますものの、自治体のデジタルトランスフォーメーションや、地域のグリーントランスフォーメーション化への対応をはじめ、多様化する業務に対応し得る人員体制の確保には到底至っておらず、職場の人手不足感は恒常的に強い現状があります。さきの調査結果からも、通常の業務が自治体職員に与える心身の負荷が大きくなっていることが影響していると考えられます。
また、地域の住民に対し、直接公共サービスを提供する地方公務員は、災害の発生時や感染症の拡大時などの非常時に業務負荷がさらに増加する傾向がございます。今後、いつ発生するか分からない災害時に対応するためにも、自治体職場の体制強化は喫緊の課題であると言えます。したがいまして、地方財政計画などによる必要な財源の措置を行い、地方自治体における職場環境の整備、体制強化に努めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、渡辺委員、お願いします。
○渡辺委員 御指名ありがとうございます。過労死を考える家族の会の渡辺と申します。
私からは、3点お願いしたいと思います。
1点目は、過労死の遺児たちに対する支援です。62ページに過労死の遺児の交流会の過去の経過が出ております。76ページに今年の遺児交流会の成果を報告していただいております。今年は滋賀県の琵琶湖で開催されました。全国から遺児たちが集まりまして、楽しい時間を過ごすことができました。皆さんの御支援に感謝いたします。ありがとうございました。
今年は、子供たちの活動で例年どおりの野外活動に加えて、メンタルケアの活動も行いました。子供たちが自分のストレス状態を知ろうということで、ストレスマネジメントの要素が入った取組でした。そして、子供に対する個別相談の時間も取っていただきました。予想を上回る希望者がありました。子供の頃から自分のメンタル状況を意識するということは、非常に大切なことだと思っております。何かあったら相談するという体験を子供の頃から身につけておけば、大人になってストレスを感じたときに助けになると思います。遺児たち、子供たちの父親はストレスに抱えながらも頑張って働き、死に至ってしまった方たちが多いです。子供たちはそのようなことがないように、小さい頃からストレスマネジメントの方法を身につけてほしいと願っております。
それに加えまして、遺児たちには、61ページにもあるように、オンライン相談できる仕組みもつくっていただきました。ただ、大人でもオンライン相談室は抵抗がある人がいるとおり、子供では気軽に相談というわけにはなかなかいかないようです。遺児交流会で心理士の先生と対面で信頼関係をつくり、初めてオンラインで相談してみようという気持ちになると思います。遺児のオンライン相談室の希望者の数は、そんなに一どきには増えないと思いますけれども、時間がかかることを御理解していただきたいと思います。それに加えて、子供たちはグループカウンセリングということもできますし、そちらのほうが参加するのに抵抗がないと思いますので、そのような方法も考えてほしいと思います。
また、過労死で認定された子供たちはまだしも、私たちの家族の会では、過労死だと思って申請しても認定されない人たちの数が多いです。そういう人たちの子供たちというのは、支援が届かないままになっております。遺児たちの経済面での支援として、労災が認定されるというのは大人の事情だと思いますので、子供たちには労災が認定されるかどうかにかかわらず給付型の奨学金を含む支援を検討していただきたく、よろしくお願いいたします。
2点目は、過労死等の現状についての説明です。今日のスライドもそうなのですけれども、この白書の概要版では、7ページにあるように、支給決定件数のみの記載となっております。11月8日に中央シンポジウムが開かれましたが、そのときに配布された資料でも、この概要版が配られております。その中で、脳・心臓疾患の支給決定件数は、横ばいもしくは減少傾向という説明がありました。ただ、私たちの遺族会の感覚としては、過労死は減っておりません。労働時間の証明が厳しくなっていると感じて、認定されにくくなっているという印象を持っております。特にここ数年は、コロナ禍の影響で働き方に変化があり、従来のデータとここ数年を比べて減っているというふうに単純に比較はできないのではないでしょうか。その辺りを理解されるような説明をしていただきたいと思います。
シンポジウムも、62ページにありますように、5,000人くらいの方たちが参加しておりますので、概要版のデータだけを見て減っているという受け取り方をされないような御説明をしていただけたらと思います。
また、労災支給決定件数の推移に死亡者数が入っておりますが、白書の請求件数の推移には死亡者数の記載がありません。決定件数には死亡者数が入っているのですけれども、申請件数には死亡者数が入っていないのです。これは何か理由があるのでしょうか。私たち遺族としては、できればその数も入れていただきたいと思います。
また、精神障害について請求件数は令和2年度だけは少し減っていますが、その後はコロナ禍でも増えております。支給決定件数も増えています。ただ、自殺の支給決定件数は減少しています。これは自殺者が減少しているのか、自殺者が認定されにくくなっているのか、どちらなのでしょうか。精神障害についても、請求件数の中に自殺者の数字を入れていただけたらと思います。
3点目は、睡眠時間のアンケート結果についてです。8ページに睡眠時間について分析している結果が出ておりまして、睡眠時間と労働時間の関係や、労働時間が長くなると疲労が持ち越され、うつ病や不安障害の疑いがある者の割合が増加する傾向があるという結果が分かりました。働く者にとって睡眠がいかに大切かというのが分かるデータです。睡眠を取ることによって身体が休まるということは従来から言われていましたが、メンタルヘルスにも関係するということがこのデータから分かったと思います。このことは、インターバル制度の導入にも関係しております。身体を休める、心を休めるために、インターバル制度をぜひ多くの人に知ってもらいたい。周知を工夫していただきたいと思います。
例えば行政が住民に向けてSNSで情報を発信する仕組みがあります。私が住んでいる地域でも、何月は虐待防止月間ですとか、何月はこういうことがありますという案内がSNSで通知されます。過労死の防止月間についても、11月は過労死防止月間です、働き過ぎに気をつけましょうとか、メンタルヘルス、大丈夫ですかみたいな案内を流していただいて周知していただけたらと思います。
最後になりますが、11月8日に中央シンポジウムが開かれました。御遺族の発言者が5名おりました。毎年毎年、新しい御遺族が発言しております。悲惨な状況、過労死に至る事例は全然減っていないです。このことを重く受け止めていただきたいとともに、過労死をなくすために一層の努力をしていただきたいと思います。
以上です。よろしくお願いいたします。
○中窪会長 ありがとうございました。
次の議題もございますので、木下委員まででと思っております。よろしくお願いします。
○木下委員 弁護士の木下でございます。今日はいろいろ御報告ありがとうございました。
私は、精神障害の労災について、年齢別の推移について興味を持ちまして、事前に調べていただきましたところ、かつては20代、30代の方で、平成17年度には請求者で6割、認定者でも6割を占めていたものが、現在、令和4年では、20代、30代の方、請求者では4割余り、そして40代~60代が約6割余りと逆転している。しかも、その実数が極めてこの間、うなぎ登りに増えていますので、実数では平成17年度では、請求者の20代、30代の方は約400人だったのが約1,200人と約3倍に増えているのですが、一方で40代~60代の方は220人余りが1,500人余りと7倍近くに増えている。
実際に職場の方を見てみますと、中間あるいは管理職層の方のストレスというのも、職場で決してあなどれないものがありまして、高齢者の労働者、中高年の労働者の精神疾患に関しても非常に危険な状況だと感じております。ぜひこういう統計において、先ほど川人先生が男女別の統計というのもおっしゃっておりましたけれども、年齢別の統計にも注目して、どの年代に今、危機があるのかというのを分かりやすく国民一般に、特に企業人にとっては、管理職は大丈夫じゃないかと思う方がいらっしゃいますので、そういうことに注目していただきたいと思います。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
たくさんの御意見、御質問いただきましたが、各委員のここまでの御発言につきまして事務局から回答いただければと思います。
○総務課長 まず、労働基準局総務課から御回答申し上げます。
髙橋委員からメディア業界について御指摘をいただきました。労災を起こした事業場については、当然ながら必要な調査・指導をしていますが、今回、業界を捉えたデータも出ましたので、業界の特質も踏まえながら、今後の効果的な取組につなげてまいりたいと考えています。
宿泊業に関して鈴木委員から御指摘をいただきました。口頭で恐縮ですが宿泊業のデータを御紹介しますと、週労働時間40時間以上の雇用者のうち週60時間以上の雇用者の割合は、2019年が15.6%、2020年が10.0%、2021年が11.1%、2022年が13.0%となっています。したがって、宿泊業・飲食サービス業全体よりは低くなっていますが、御指摘のとおり、コロナ禍からの回復の中で長時間労働の雇用者割合が増えていますので、このデータも踏まえながら今後の対応も考えてまいりたいと思います。
3点目、渡辺委員から遺児の皆様への支援について御指摘をいただきました。御紹介いただいたように、遺児の皆様への相談事業を実施しています。より効果的な運営の仕方に関して、今後とも御指摘を頂戴しながら工夫を重ねてまいりたいと考えています。
最後、同じく渡辺委員からSNSを通じた周知・広報について御指摘をいただきました。厚生労働省でも、SNSを通じた周知・広報をしていますが、併せて、自治体に対しても周知のお願いをしています。そうした中で、例えば仮にSNSが難しい場合でも、自治体のホームページなどで御案内いただくことも考えられますので、引き続き自治体にも周知の御協力をお願いしてまいりたいと考えています。
以上です。以下、関係課から御回答申し上げます。
○補償課長 補償課の児屋野です。
複数の委員から労災請求件数や認定件数の増減についてのお尋ねをいただきました。
まず、精神障害が増加していることの分析ですが、昨今、働く方をめぐる情勢、例えば過労死防止等対策推進法の施行あるいは労働施策総合推進法、それによってパワーハラスメントの防止が法制化されたというような労働問題に対する世の中の関心の高まりを背景にして、過労死等でも労災請求ができるということが周知されてきていることから精神障害の請求、認定件数が増加しているのかなと考えています。
この、精神障害のうち自殺の件数と警察庁の自殺件数の統計との開きについてのお尋ねをいただきました。警察庁の自殺者の理由別については、遺書等の生前の言動を裏づける資料がある場合、あるいはそれに加えて家族等の証言から考えうる場合を含めて、その動機について、自殺者1名につき最大4つまで計上していると承知しています。一方、労災請求は、御遺族の方からの請求に基づいて行っており、統計の性質も違いますので、一概にその関係性を申し上げることは難しいと考えています。
また、自殺に関する支給決定の事案ですが、請求される時期とか理由は事案によって様々であり、年度ごとの増減を一概にお答えすることは困難と考えています。ただ、いずれにしても、労災請求をしたい方が労災の制度を知らないということがないように、周知については一生懸命取り組んでいきたいと考えています。
もう一点、認定基準の改正についてお尋ねをいただきました。脳・心臓疾患の認定基準は、令和3年9月に改定しています。主な改定内容を申し上げると、時間外労働が1か月に100時間に至らない、あるいは2から6か月間の平均で80時間に至らない場合であっても、その他の負荷要因と併せて認定することを明確にしました。
例えば、改正認定基準が施行された令和3年度については、1か月当たり100時間以下のものを11件認定しています。これが令和4年度では、1か月100時間以下のものが19件と増えています。月平均80時間以下のものは、令和3年度は25件であったものが、令和4年度は46件と増えています。この増加は、認定基準の改正によるものと考えられます。
芸能の方に対する労災の請求・認定状況のお尋ねをいただきました。いわゆる芸術・芸能分野は、我々の分類では、標準職業分類の「音楽家、舞台芸術家」の分類が該当すると考えますが、令和4年度は、脳・心臓疾患の支給決定件数は、この分類では0件です。精神障害の支給決定件数は2件となっています。
女性の率のお尋ねをいただきました。率だけで申し上げます。脳・心臓疾患の女性の割合は、令和4年度は、労災の請求が15.6%、支給決定は9.3%。令和3年度は、請求が16.5%、支給決定が5.2%。令和2年度は、請求が13.4%、支給決定が7.2%です。
精神障害の女性の割合は、令和4年度は請求が48.5%、支給決定が44.6%。令和3年度は請求が50.5%、支給決定が44.0%。令和2年度は、請求が48.7%、支給決定が42.1%です。
併せて年齢別のお尋ねもいただきました。統計上は年齢階層別に示しており、精神障害は、令和4年度は、19歳以下は請求が29件、支給決定が6件。20から29歳の区分は、請求が554件、支給決定が183件。30から39歳の区分は、請求が600件、支給決定が169件。40から49歳の区分は、請求が779件、支給決定が213件。50から59歳の区分は、請求が584件、支給決定が119件。60歳以上は、請求が137件、支給決定が20件です。
また、男女間の遺族年金の差についてお尋ねをいただきました。御案内かと思いますが、地公災の遺族補償給付に関する訴訟で、平成29年に男女、つまり夫と妻で支給開始の年齢が違うということについて争われた事案があり、最高裁の判決で、いわゆる世の中の労働力人口の割合や平均的な賃金額の格差、一般的な雇用形態の違い等を勘案すると、現行の年齢の差については、憲法第14条1項に違反することがないという判決が出ていることは承知しています。いずれにしても、これも含めた労災保険制度の在り方については、いろいろな情報を得つつ不断に取り組みたいと考えています。
○人事院職員福祉局 人事院です。
黒田委員からいただきました勤務間インターバルに関する御質問について御回答します。
まず、具体的な規定ぶりについては検討中ですが、勤務間インターバルの勤務の終了から次の勤務の開始までの間に必要な時間を設けるという趣旨を踏まえて、民間法制も参考に規定したいと考えています。
効果については、インターバルに関する規定を設けることで、睡眠時間を含む生活時間の確保という視点からの取組にも努めていただき、職員の勤務環境が少しでも改善されるようにと考えています。
以上です。
○総務省自治行政局 総務省です。
勤務間インターバルの関係については、地方公務員においても人事院と足並みをそろえながら対応してまいりたいと考えています。
上野委員からの御質問で、災害等、通常業務以上に心身に影響を与えるものへの対応についての地財措置等についてのお話ですが、メンタルヘルス対策に関する助言とか地方財政措置については、今までも実施してきているところであり、先ほど御説明した資料の中でも、メンタルヘルス対策に関する研究会等の中で、計画例を策定して計画的に取り組んでいただくような取組を行ったり、相談窓口等についての取組や研修なども行っていますので、引き続き適切に対応するように努めてまいりたいと思います。
以上です。
○労働条件政策課 労働条件政策課です。
冨髙委員から、2024年4月以降、上限規制が適用される業種に関しても、しっかり関係省庁と連携しながら取り組んでいくべきという御指摘をいただきました。2024年4月以降、いよいよ適用猶予業種に関しても上限規制が適用されていくわけですが、これらの業種に関しては長時間労働の実態があるという業種ですので、しっかり適用して円滑に上限規制が施行されるように取り組んでいく必要があると考えています。
特に御指摘もいただいたように、トラック運送業や建設業は、長時間労働になる背景として商慣行等がありますので、関係省庁と連携しながら、荷主、発注者、国民向けの理解も得られるよう、今日も資料で御紹介したような周知・広報にしっかり取り組んでいきたいと考えています。
その適用猶予業種に関連して、寺西委員から万博の建設労働者の上限規制の関係について御指摘をいただきました。報道もありましたが、万博協会から直接政府が要請を受けているものではないと承知しています。いずれにしても、これまで加藤前大臣、武見大臣からもお答えしているとおり、厚生労働省としては、働く方の健康確保の観点から、時間外労働の上限規制を円滑に施行していくことが何より重要だと考えているところですので、その円滑な施行に向けた取組を引き続き進めていくと考えているところです。
私からは以上です。
○監督課長 続きまして、監督課です。
髙橋委員から過労死を繰り返さないための対策についてお尋ねをいただきました。厚生労働省においては、長時間にわたる過重な労働による過労死などに係る労災請求が行われた事案については、監督指導を行っており、その際に原因究明と再発防止策の樹立について指導しています。この際に、必要に応じて労基署で助言しながら、企業の取組を促しています。同様の事案を繰り返さないということが非常に重要だと我々も考えていますので、引き続きしっかり取り組んでいきたいと考えています。
以上です。
○雇用環境・均等局雇用機会均等課 雇用環境・均等局のハラスメント防止対策室です。
西尾委員から、ハラスメント防止対策の中で、特にカスタマーハラスメントの防止や就活ハラスメントの防止についての引き続きの周知・啓発が必要との御意見をいただきました。カスタマーハラスメント防止については、マニュアルやポスターの作成に加えまして、メールやSNSによる相談や事例の収集・公表といったことにも取り組んでいます。就活ハラスメントについても、同様に事例の収集・公表、メール、SNS相談などの対応もしており、カスタマーハラスメントや就活ハラスメントについても、引き続き周知・啓発に努めてまいります。
○雇用環境・均等局総務課 雇用環境・均等局雇用環境政策室です。
西尾委員から勤務間インターバル制度の業種別の状況の違いを踏まえた対応の必要性についての御指摘をいただきました。御指摘のとおり、業種により検討状況は違っています。厚生労働省としては、導入促進に向けて、例えば企業の導入の事例の周知、あるいは導入マニュアルを作成しています。導入事例については、なるべく多くの業種から、取組事例を収集しており、それを関連するポータルサイトに、業種ごとに検索することができるような形で掲載しています。
また、導入マニュアルについても、一定の業種については業種別のマニュアルを作成しており、今後のマニュアルの作成などにおいても、いただいた御指摘を踏まえて、何ができるかよく考えていきたいと思います。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
関係機関におかれましては、委員より出されました意見を踏まえ、今後、対策をしっかり行っていっていただきたいと思います。
まだまだ御意見、御質問等あるかもしれませんけれども、時間の関係もございますので、このぐらいにいたしまして、次に「今後の過労死等防止対策の進め方について」に進みたいと思います。これにつきまして厚生労働省から5分程度で御説明をお願いします。
○企画官 厚生労働省です。
100ページの資料9をご覧いただきたいと思います。過労死等防止対策大綱は、3年をめどに見直しをすることとされており、令和6年度に見直しの時期を迎えることになります。前回見直しの際の検討経過を参考として、100ページに大綱の見直しスケジュール(案)をお示ししています。本日、皆様の御意見を踏まえ、年明け1月、3月、5月の計3回、当協議会で御検討いただき大綱(案)を作成し、その後、7月の閣議決定を目指すというスケジュール(案)としています。このスケジュール(案)について、まず御意見いただきたいと存じます。
また、101ページは、現在の大綱の構成を示していますが、この枠組み、あるいはその項目について見直しの必要性など、御検討いただければと存じます。
102ページは、見直しの検討に係る論点として、1つ目、大綱の数値目標について、現時点の到達状況を踏まえ、到達目標年が令和7年のものもございますので、それを含めて、目標値をどうするのか。
2つ目、調査研究の重点業種等について、現在、7つの業種・職種がありますが、これをどうしていくのか。
また、3つ目として、重点対策については、国、地方公共団体、労使、国民、それぞれが今後3年間、どのようなことに取り組むのか。また、新型コロナの5類移行や建設、自動車運転業務、医師等の時間外労働の上限規制が適用されるなどの状況が変化する中で、新たな課題や対応などを論点としてお示ししています。
このような論点について、御意見をいただければと存じます。今日は、今後の具体的な検討に向けての御意見を幅広くいただきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、委員の皆様から大綱の見直しについて幅広く御意見をいただければと思います。具体的な記載とか改定に関する御意見につきましては、次回以降、御議論いただきますので、本日は総論的な御意見とか着眼点という広い事項についてお願いできればと思います。
それでは、黒田委員、お願いします。
○黒田委員 再びの発言で申し訳ありません。
大綱改定に関わって、私からは2つお願いしたいと思います。
1つは、先ほど西尾委員からも関連した指摘がありましたけれども、勤務間インターバルについてです。制度を知らないという企業の問題というのは大変な問題なのですけれども、現行の法律が努力義務規定であるにもかかわらず、知らないというのはどういうことなのでしょう、私たちの側の努力が足りないのだろうと考えざるを得ない面があります。この点については、大綱改定の中でも周知徹底をどのようにしていくかという点については、ぜひ議論いただき、検討いただき、具体策を打ち出してほしいと思います。
それから、今は制度はないけれども、これからは導入する計画を持っているという企業がそれなりの数があって、令和3年、導入済みと導入予定を加えると18.2%、令和4年は18.5%という数値ですが、私たちの大綱の目標がこれよりも低いのです。この点は、防止対策推進法ができて10年たつのですが、過労死がなかなか減少傾向に向かっていないということを踏まえると、この大綱の数値目標もこれでいいのかどうか。先ほどの西尾委員の発言の中だったと思いますけれども、計画を持っているけれども、計画を実行したかどうかについての調査とか、あるいは、計画はあるけれども、できなかった理由はどういうことなのかという調査も必要なのかもしれません。
そもそも法律上、努力義務ということになっていて、うちは残業が少ないのでインターバル制度は必要ないというのはどうなのかなと思うのです。実際上は、他国の事例を見ますと義務化の方向にあるわけで、企業にとって必要性があるかどうかにかかわらず、全ての企業がこうした勤務間インターバル制度を制度として持つということが大きな意味を持つのではないかと思います。そのあたりの議論も含めて、改定の際にはぜひ活発な意見を交わして、ここの部分については大きく前進するように努力していただきたいと思います。
2つ目は、芸術・芸能分野の従事者の問題です。先ほど川人委員からも幾つか質問がありましたけれども、今回の調査、全体的には大変画期的な調査だというふうに私は高く評価したいと思います。ただ、今回は重点業種に準じた扱いとなっておりました。ここのところは、今日、冒頭にもお話ししましたように、芸能従事者の死亡者がこのところのニュースになっているという現実を踏まえると、ハラスメント問題も含めて、大綱改定におきましては調査の重点業種に指定していく方向で検討いただければなと思います。それに向けての予算措置なんかも含めて、私たちも汗をかいて、少し大きな形で大綱をまとめていってもらえるようにしてほしいなと思います。
同時に、これに関連して芸術・芸能分野だけでなくて、言葉としては最近出てきた言葉ですが、フリーランス、かつては個人請負と呼ばれてきたこの分野も、法律ができる以前に比べたら相当大きく広がっているわけですので、フリーランスの労働実態や、あるいはやりがい搾取なんていうことで言われているため、ぜひ芸術・芸能分野も含めて、詳細に調査研究をすることを検討いただければと思います。
以上2つ、今後のことについて、ぜひお願いしたいことでした。よろしくお願いします。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、宮本委員、お願いします。オンラインで参加のお二人も手を挙げていることは認識しておりますので、その後で。
○宮本委員 ありがとうございます。宮本です。
今までもお話があったハラスメントの防止というのが、ハラスメント対策としていろいろと書かれていますし、実際にやられてきているということで、大変ありがたいと思っております。ハラスメントは6つの形態などが出されましたので、最終的にこういう形態で起こるということの認識という点では良いのですが、なぜそれが起こるかと考えてみると、比率は分かりませんけれども、怒りの感情が高ぶるというのがあると思われます。怒りの感情がどう出るかによって、いろいろなハラスメントの6つの形態も出るということですと、怒るという感情の御し方というのを研修の中に入れてもいいのではないかと思っております。
今後、啓発の中に、アンガーマネジメント、怒りのコントロールの教育というのを職場教育や啓発に入れていただけないかなと思っています。また、もちろん怒りの感情からの逃げ方というのもとても大事になりますので、総じて、こういったハラスメントの最終形に行く前の怒りの感情の卸し方と、その対処あるいは逃げ方といったアンガーマネジメント関連のことを啓発に入れていただけないか。どこの業種も省でも同じだと思いますので、お願いできればと思います。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、堤委員、お願いいたします。
○堤委員 ありがとうございます。
私のほうは、既に啓発のところに項が立っているので、特別にそれを変えるということではないのですけれども、新しい働き方への対応ということでございます。先ほどもお話に出ておりましたけれども、副業とか兼業、それからフリーランスということが進んできている中で、こういう働き方と過労死対策をちゃんと両立させていく必要があると考えています。御承知のとおり、こういった業態といいますか、働き方は、労働時間の管理とか把握が難しい状況が発生しますので、そういうことを重々留意して、多様な働き方においても労働者の健康をしっかり確保していくということの視点を忘れずにスコープの中に入れていっていただければということを希望しております。
以上でございます。ありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、岩城委員、お願いいたします。
○岩城委員 岩城です。
大きく言って二点、質問と意見を申し上げます。
一点目は、高齢者についての問題であります。今、人手不足もあって、高齢者の就業者が非常に増加しているということですけれども、高齢になっていくと脳・心臓、それから精神において、どのような変化が生じていくのか。だんだん老化というのももちろんあるわけですけれども、精神面でもうつ病になりやすいといったことも聞いたことがあります。重点業種ということではないのですけれども、高齢者の体の変化とかストレスの耐性などについて、今後、調査・研究が必要ではないか。大綱にもそういった項目はあるのですけれども、これまで調査・研究というのは特段されていないのではないかと認識しております。その点が一点目です。
もう一点は、これは厚労省への質問ですが、2021年9月に脳・心臓疾患の認定基準、2023年9月に精神障害の認定基準がそれぞれ改定されたわけですけれども、その中では、引き続き時間外労働時間というのが最も大きな指標の一つとされております。質問ですけれども、1点目、労働時間の認定は、疲労の蓄積やそれ自体の心理的負荷、それから他の負荷要因との相乗作用といった観点から、実情に即して認定される必要があると思いますが、そのような理解でよいでしょうか。
2点目、これに関して、「労働時間の認定に係る質疑応答・参考事例集の活用について」という通達が令和3年3月30日付でなされ、これに基づいて労働時間の認定が行われていると理解していますが、そのような理解でよいでしょうか。
3点目、この質疑応答集の中では、労働時間該当性の要件について、労働基準法32条と同義であるとした上で、使用者の指揮命令下にあるといったことを要件にしておりますけれども、認定基準における労働時間というのは、疲労や心理的負荷への影響という観点でのものであるのに対し、労基法32条というのは、罰則つきで時間外手当の支払いも発生するもので、厳格に解されるべきだというのが一般の理解であります。判例や学説でも、この2つは異なってしかるべきだというものも多くあるわけですけれども、これを同じという前提で、この事例集はできております。
その前提で、持ち帰り残業、不活動仮眠時間、宿直・当直、呼出し勤務、手待ち時間、休憩時間、移動時間、所定労働時間外の研修や教育訓練、食事時間といった非常に重要な事項が取り上げられておりますけれども、全体として労働時間を過少に認定するものになっているのではないかと考えております。このことが認定件数が増えていないことに影響しているのではないかと、先ほど渡辺委員からも御発言がありましたけれども、私たちとしてはそのような懸念を持っております。
この点、上限規制との関連もあって、悩ましいことだと思いますけれども、この通達について見直しが必要ではないかと考えておりますが、これは質問ですけれども、今回、認定基準が改正されたわけですけれども、その前に出された通達なのですね。それから、今回の白書で睡眠の重要性なども認識されたところであります。これらを受けて、この通達について見直す予定はあるのかどうかという点です。
それから、最後の質問ですが、4点目、認定基準の改定の場合は、専門検討会で十分な議論を重ねて決めているわけですけれども、このような実務的に重要な事項や論点について、パブリックコメントや意見募集をすることもなく、厚労省の、言葉は悪いですけれども、一片の通達で決めてしまうのは問題ではないかと。この事例集については、過労死弁護団として意見書を既に令和5年5月24日付で提出しておりますけれども、今後、この改定を検討するに当たっては、そういった声にも耳を傾けてほしいと、そのようなおつもりはありますかということを最後の質問にしたいと思います。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、佐久間委員、お願いします。
○佐久間委員 ありがとうございます。
まず、これからの大綱の作成の関係のスケジュールですけれども、例年というか、前回もこういう形だと思います。よろしいのではないかと思いますけれども、今日が1回目になるわけですね。それで残り3回しかないわけで、毎回、大綱作成の審議の際、思うのですけれども、各回において修正等が結構入っている大綱になると思いますので、本当はもう一回ぐらい協議する場を追加した方がいいのかなと思います。皆さんの日程等の調整がありますので、やむを得ないところだと思います。スケジュールの原案について、了承させていただきたいと思います。
それから、数値目標について、資料のほうでも挙げていただいていますけれども、労働時間の関係、勤務間インターバルの関係、年次有給休暇の取得関係というのが今回も中心的なものになってくるのではないかと思っています。前回の大綱作成にわたる一連のタイムスケジュールについては、了承させていただきますが、2年半ぐらい前にも、例えば勤務間インターバルの普及率というか、導入率は大変高過ぎると申し上げました。現実に、今回これでまた次の大綱に入る前に、実現がなかなかできにくいのではないかということで、もうちょっと低くなってほしいなということを申し上げたと思うのですけれども、こういう目標は実現できるようなものじゃないと。
先ほど黒田先生、木下先生も勤務間インターバルの関係を申しておりました。導入マニュアルをつくっていただいた。これは私も拝見させていただいて、すごく見やすい、いいものができていると思います。やっていただく広報活動とか、勤務間インターバルの助成金の関係とか、あと、これに併せて業務改善助成金なんかも活用できるということで、こういう対策ができているのですけれども、私たちも企業へのアプロ―チというだけでなく、労働局さんが企業と接して、そして、これだけ多くの事業を厚生労働省さんが担当され実施して、勤務間インターバルと一言言えるかというと、なかなか難しいところもあると思うのですね。
でも、こういうことをやっていかないと、どうしても意識づけというのもできないと思うので、労働局さん、仕事が忙しい中で大変申し訳ないのですけれども、一言、企業のほうに訴えていくとか。それから、県とか市とか町村の関係にも一言言ってもらうような感じにしていただくというのも、意識づけという意味では大切なのではないかなと思います。
今、中小企業の関係、私たちが毎年度実施している中小企業労働事情実態調査結果でも、コロナ禍に比べて時間外労働というのが、零点何時間ですけれども、増えてきています。10時間ぐらいなのですけれども、うちには関係ないやということはあるかもしれないけれども、逆に関係ないので入れやすいことはたしかだと思うのですね。ですから、その辺を勘案して、周知というか、企業ごとに一言言えるような、言っていただくような環境というのも整備していただくのが必要ではないかなと思っています。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、戎野委員、お願いします。
○戎野委員 簡単に重点業種についての要望を申し上げます。教職員が引き続き入っています。これは先ほどの御報告でもかなり改善されている部分がございましたけれども、他方で白書のほうの概要11ページにあるように、大学教員をはじめとして、脳・心臓疾患や精神障害がかなり多く公表されておりますので、引き続き、この教職員は見ていく必要があるだろうと思います。
その際のお願いなのですけれども、11ページのグラフの中でも、例えば人数が少ないから、高等専門学校教員のところは丸印がついていないのですが、分母となる労働者数がゼロ千人分ということで、実際何人いるのかよく分かりません。分母の中での人数というものをどう解釈していくのかというところも含めて、広く分析した上で対象をしっかりと漏れなく見ていくことが重要かと思います。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
まず、進め方の部分については、佐久間委員からもありましたが、今回、過労死等防止対策推進法施行10年の節目を迎えるということもございますので、今までの取組の総ざらい等しながら検証、見直しをしていく必要があると思いますし、改めて社会全体に向けての周知等の取組については、その議論の経過等を含めて丁寧に行っていく必要があると思っております。
また、先ほどから精神障害の労災請求件数を含め、様々御意見があったと思いますけれども、メンタルヘルス対策をこれまで以上に強化することは不可欠だと考えております。これは現大綱でも重点対策に位置づけられておりますけれども、例えば早期受診から早期治療につなげるような観点から、具体的な対策を充実させるといったような視点も必要だろうと考えております。さらに、数値目標につきましては、14次防と連動させて対策に取り組む事業場の割合などを掲げておりますけれども、その指標にとどまらず、対策の進捗状況の実態などを客観的に把握できるような参考指標についても検討いただきたいと思います。
もう一点、来年4月から上限規制が適用される建設業、自動車運転、医療でも、法の遵守・徹底が欠かせないと思いますが、施行状況、課題の把握といった観点からも、重点政策、調査研究の対象として、引き続き位置づけることが重要だと思っております。また、現在、フリーランス新法の施行に向けて議論されておりますが、法の実効性の確保、仲介事業者への規制などの課題は残っておりますので、大綱の見直しの中でもフリーランスを対象としたさらなる対策の必要性というのは記載していくべきではないかと思います。
先ほど申し上げた自動車運転者や建設業といったところでは、労働者においても長時間労働となっている分野ですけれども、上限規制が入ることで、例えばフリーランスに、さらにしわ寄せが行くという可能性も懸念されるところでございます。雇用から業務委託への切替えが進められ、弱い立場にあるフリーランスにしわ寄せが行くようなことが懸念されますので、そういった視点も踏まえつつ継続的な実態把握を進め、対策を講じていくことが重要ではないかと思います。
以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、寺西委員、お願いします。
○寺西委員 ありがとうございます。
今、次年度に向けて様々なお話出ていますが、労働分野とか業種とかではないのですけれども、過労死の関連からしますと、何と言っても長時間労働が大きな原因になっているのが一番だと思います。そこで、被災したときに一番問題になるのは、自主申告の制度を取っている人たちが、申告していらっしゃる時間と実際に働いている時間にすごく乖離があるのですね。そうした意味において、業種別の調査・研究もそれはそれで重要なのですけれども、業種にかかわらずに自主申告をしている制度についての実態調査というのを私はぜひ項目に入れていただきたいなと思っております。よろしくお願いします。
○中窪会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、御質問もございましたので、御回答いただきます。
○補償課長 補償課長の児屋野です。
岩城委員から御質問も含めた御意見をいただきました。ありがとうございました。労働時間の認定は、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていると評価することができるものであるかについて検討しており、令和3年3月に「労働時間の認定に係る質疑応答・参考事例集」を発出しています。これは従前からの取扱いを裁判例等と併せて参考資料として示したもので、労働時間の運用そのものを変更したものではありません。過労死等の労災認定については、労働時間を適正に把握することが重要だと考えています。
また、この質疑応答・参考事例集について、頂いた意見書や今後の裁判例も含めて、随時適切なものに変更していく必要はあると考えていますので、見直しも含めて、しっかり取り組んでいきたいと考えています。
併せて、全国斉一的な労災認定を適正に行うために、今後とも一生懸命取り組んでいきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、時間も過ぎておりますので、本日はこれまでとさせていただきます。
委員の皆様におかれましては、活発な御議論いただきまして、ありがとうございました。また、大綱の見直しに係る御意見、御要望につきましては、事務局である厚生労働省が中心になって関係省庁と連携を図りながら内容を整理した上で、次回の協議会の準備を進めていただくようにお願いいたします。
では、最後になりますが、今後の日程について事務局から御説明をお願いいたします。
○企画官 先ほど資料でもお示しした大綱の見直しスケジュール(案)に沿って、次回は来年1月下旬に開催し、その後、大綱の素案の協議は3月下旬、大綱(案)の協議は5月下旬に行いたいと考えています。できる限り委員の皆様全員での協議をお願いしたいので、各委員の皆様の御意見を伺いまして、早い段階で日程を固めさせていただきたいと考えています。よろしくお願いします。
以上です。
○中窪会長 それでは、第25回「過労死等防止対策推進協議会」はこれで閉会といたします。本日はお忙しいところをありがとうございました。