第2回食品安全制度懇談会 議事録

日時

令和5年8月23日(水)10:00~12:00

開催方法

オンライン開催

出席者

委員(敬称略)


 
事務局(8月23日時点)
 
  • 佐々木 昌弘  (生活衛生・食品安全審議官)
  • 近藤 恵美子  (食品基準審査課長)
  • 三木 朗    (食品監視安全課長)
  • 田中 里依   (食品基準審査課残留農薬等基準審査室長)
  • 今井 美津子  (食品基準審査課新開発食品保健対策室長)
  • 佐野 喜彦   (食品基準審査課器具・容器包装基準審査室長)
  • 福島   和子   (食品監視安全課HACCP推進室長・食品監視安全課食中毒被害情報管理室長)
  • 森田 剛史     (食品監視安全課輸入食品安全対策室長)
  • 市川  壱石  (生活衛生・食品安全企画課長補佐)
  • 原澤  朋史  (生活衛生・食品安全企画課長補佐)
 

議題

  1. 1.開会
  2. 2.事務局説明
  3. 3.構成員からの御発表
  4. 4.意見交換 
  5. 5.閉会

議事

議事内容
○原澤生活衛生・食品安全企画課課長補佐 それでは、定刻となりましたので、これより第2回食品安全制度懇談会を開催いたします。構成員の皆様方におかれましては、御多用の中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日、司会を務めさせていただきます、生活衛生・食品安全企画課課長補佐の原澤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は対面とオンラインのハイブリット開催といたします。オンラインで御参加いただいております構成員の皆様におかれましては、何か不具合等がありましたら、お電話又はチャット機能にて御連絡を頂ければ対応いたしますので、お申し付けください。
 それでは、まず初めに懇談会構成員の異動等について御報告いたします。御異動等により、朝倉構成員、稲見構成員、浦郷構成員、田辺構成員、村松構成員がそれぞれ退任されました。続きまして、新たに着任された構成員の御紹介をいたします。新たに本懇談会構成員に着任された、国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部長の上間匡構成員です。上間構成員、自己紹介を簡単に頂けますでしょうか。
○上間構成員 おはようございます。国立衛研の食品衛生管理部長の上間です。よろしくお願いします。
○原澤生活衛生・食品安全企画課課長補佐 上間構成員、ありがとうございます。続きまして、新たに本懇談会構成員に着任されました、東京都保健医療局健康安全部食品監視課長の内藤義和構成員です。
○内藤構成員 東京都の内藤でございます。よろしくお願いいたします。
○原澤生活衛生・食品安全企画課課長補佐 ありがとうございます。続きまして、新たに着任されました、一般社団法人全国消費者団体連絡会事務局長の郷野智砂子構成員です。御挨拶のほど、よろしくお願いいたします。
○郷野構成員 全国消団連の郷野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○原澤生活衛生・食品安全企画課課長補佐 ありがとうございます。続きまして、新たに着任されました、一般財団法人食品産業センター専務理事の大角亨構成員です。よろしくお願いします。
○大角構成員 食品産業センターの大角でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○原澤生活衛生・食品安全企画課課長補佐 ありがとうございます。なお、本日は御欠席ですが、神戸市健康局保健所食肉衛生検査所長の高田信子構成員も新たに本懇談会の構成員として着任されておりますので、御紹介いたします。
 また、本日の懇談会構成員の出席状況ですが、伊藤構成員、高田構成員の2名から御欠席の御連絡を頂戴しております。なお、上間構成員、片野構成員、苅田構成員、吉川構成員、郷野構成員、清古構成員、藤原構成員、以上の皆様はオンラインでの御出席と頂いておりますので、よろしくお願いいたします。
 また、今回より、令和6年4月以降の食品衛生基準行政の消費者庁への移管を見据え、オブザーバーとして消費者庁に出席いただいておりますので、御紹介いたします。二階堂消費者安全課企画官です。御挨拶のほどお願いいたします。
○二階堂消費者庁消費者安全課企画官 ただいま御紹介にあずかりました、私、消費者庁二階堂と申します。後ほどの資料にも入っているようですが、来年の4月1日以降、私ども消費者庁にこの食品衛生基準行政をお迎えすることとなります。つきましては、お迎えする皆様に、これまでどおり、むしろこれ以上のパフォーマンスを発揮していただけるような環境を整えること、これが私の使命です。ただ、当然ですが、そのお迎えする方々だけではこの食品衛生基準行政は進まないかと思います。本日お集まりの先生方の御協力が不可欠です。引き続き御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
○原澤生活衛生・食品安全企画課課長補佐 二階堂企画官、ありがとうございました。続きまして、事務局に異動がありましたので、改めて本日参加している事務局の者の御紹介をいたします。佐々木生活衛生・食品安全審議官です。
○佐々木審議官 佐々木です。よろしくお願いいたします。
○原澤生活衛生・食品安全企画課課長補佐 続きまして、近藤食品基準審査課長です。
○近藤食品基準審査課長 近藤です。どうぞよろしくお願いいたします。
○原澤生活衛生・食品安全企画課課長補佐 続きまして、今井新開発食品保健対策室長です。
○今井新開発食品保健対策室長 今井です。よろしくお願いいたします。
○原澤生活衛生・食品安全企画課課長補佐 続きまして、佐野器具・容器包装基準審査室長です。すみません、本日遅参しておりますので、後ほど間に合えば御紹介いたします。続きまして、田中残留農薬等基準審査室長です。
○田中残留農薬等基準審査室長 田中です。よろしくお願いいたします。
○原澤生活衛生・食品安全企画課課長補佐 続きまして、三木食品監視安全課長です。
○三木食品監視安全課長 三木です。よろしくお願いいたします。
○原澤生活衛生・食品安全企画課課長補佐 続きまして、森田輸入食品安全対策室長です。
○森田輸入食品安全対策室長 森田です。よろしくお願いします。
○原澤生活衛生・食品安全企画課課長補佐 続きまして、福島HACCP推進室長兼食中毒被害情報管理室長です。
○福島HACCP推進室長兼食中毒被害情報管理室長 福島です。どうぞよろしくお願いいたします。
○原澤生活衛生・食品安全企画課課長補佐 続きまして、市川生活衛生・食品安全企画課課長補佐です。
○市川生活衛生・食品安全企画課課長補佐 市川です。よろしくお願いします。
○原澤生活衛生・食品安全企画課課長補佐 以上です。よろしくお願いいたします。なお、審議官等の事務局のメンバーにつきましては、公務のため適宜退室させていただく場合がありますので、その点、どうぞ御了承ください。
 続きまして、本日の資料の確認をいたします。資料1は事務局の説明資料となります。資料1-1は直近の食品衛生行政の動きについて、資料1-2は検討スケジュールについて、資料1-3は平成30年食品衛生法改正の対応状況についての資料です。資料2は構成員より御発表いただく資料でして、資料2-1は内藤構成員から御提出いただいた資料、資料2-2は片野構成員から御提出いただいた資料です。不足や落丁等がありましたらお申し付けいただければと思います。
 また、本日の一般傍聴について御説明いたします。本日は、ライブ配信による動画中継での傍聴としております。一般傍聴の方におかれましては、厚生労働省ホームページに懇談会資料を公開しておりますので、適宜御確認いただければと思います。
 続きまして、本日の進行方法について御説明いたします。意見交換の際に御意見、御質問がおありの構成員におかれましては、挙手をお願いいたします。座長から順に発言者を御指名いただきます。また、オンラインで御参加の構成員におかれましては、カメラをオンにしていただき、挙手ボタンでお願いいたします。また、御発言の際はお名前を名乗っていただいてから発言いただくとともに、御発言されない際にはマイクをミュートにしていただきますよう、お願い申し上げます。
 それでは、以降の議事の進行につきましては、合田座長にお願いしたいと思います。合田座長、よろしくお願いいたします。
○合田座長 合田です。どうぞよろしくお願いします。それでは、まず事務局より資料1-1、1-2、1-3について御説明をいただけますでしょうか。
○市川生活衛生・食品安全企画課課長補佐 市川です。資料1-1、1-2につきましては、私から説明をさせていただきます。着座で失礼いたします。
 まず、資料1-1ですが、直近の食品衛生行政の動きについてということでございまして、来年度までに見込まれておりますこの関係の組織変更、移管といったところについて、簡単に御報告をさせていただきます。
 資料の1枚目です。これまでのコロナ対応、また、次の感染症危機に備えましてということで、厚生労働省で感染症対応能力の強化をはじめとした組織体制の整備というものを検討しております。こちらの資料の左側の中ほどにございますとおり、まず、健康局に「感染症対策部」を設置いたします。検疫や予防接種、あるいは感染症対策全般の担当課が、この「感染症対策部」の下に設置をされる予定でございます。その上で、資料の左側の青い四角の真ん中辺りにありますとおり、食品基準審査課、食品監視安全課の2課、現在は医薬・生活衛生局にありますけれども、これらの2課、生活衛生課、水道課を現在の健康局へ移管いたします。これに伴いまして、医薬・生活衛生局は「医薬局」という名称に変わりまして、健康局は「健康・生活衛生局」というふうに名称を変更いたします。こちらの組織の変更については、今年の秋ということで間もなくですけれども、具体的な日時等については追って周知をさせていただくことを想定しております。組織についての1点目は以上です。
 続いて資料2ページです。こちらは、今年の通常国会で成立いたしました法律の関係です。生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律ということで、概要ですが、資料の真ん中辺りにございますとおり、食品衛生基準行政の機能強化、あるいは、水道整備・管理行政の機能強化ということを中身としております。
 その中で、資料の次のページですけれども、現在、食品安全委員会あるいは消費者庁で、食品安全行政の総合調整ということを担っていただいている形になります。その下で、資料の一番下にありますとおり、厚生労働省、農林水産省等と食品の安全の確保の関係の事務を行っているわけでございますが、左下にありますとおり、現在、厚生労働省で担っておりますの事務のうち、食品衛生に関する規格・基準の策定、これを我々は食品衛生基準行政と呼んでおりますけれども、こちらを来年4月から消費者庁へ移管するということで、この法律で決まっているところでございます。左下の厚生労働省の所のもう1つの規格・基準が守られているかの監視に関する行政というのは、引き続き厚生労働省で担っていくということで予定をしてございます。以上、簡単ではございますけれども、来年度にかけた食品行政関係の組織の移管、あるいは組織の変更といったところの御報告、資料1-1でございます。
 続いて、資料1-2です。こちらは、この懇談会での検討の今後のスケジュール、大まかなものでございますけれども、これをお示しさせていただくものでございます。まず、資料の上の四角の枠の中に書かせていただいている内容になりますけれども、平成30年の食品衛生法等の改正法が令和2年6月に一部施行となり、その後、令和3年に完全施行となっております。この改正法の国会審議等の中でも、5年後を目途にまた必要な見直しを行うことになっておりますので、この懇談会では、5年後にどのような見直しを具体的に行うかというイメージ、具体的な内容を御検討いただくことを1つの目的として進めていきたいと考えてございます。
 大まかなスケジュールでございますけれども、最終的にどのような対応なのか、法的措置なのか、予算上の措置なのかといったところは内容によってと思いますけれども、いずれにしても、令和7年を1つの目途として内容の検討の結果をまとめていくということを、スケジュール上の目的として、ひとまず掲げて進めていきたいと考えているところでございます。
 以下の資料では、これまでの法律の成立、施行の流れなども書かせていただいておりますけれども、かいつまんで御説明させていただきます。先ほど申し上げたとおり、平成30年の改正法が令和2年に一部施行、令和3年に完全施行となりました。昨年の3月末に第1回の懇談会を開催させていただきまして、構成員の皆様から御意見を頂いたところでございます。本日、今年8月23日の第2回懇談会は、次の5年後見直しの具体的な内容の検討を再度開始するということで開催をさせていただいたところでございます。また、今年の冬に第3回懇談会開催予定と書かせていただいております。様々な状況も踏まえて正式には決定と考えておりますけれども、今年の冬ぐらいにもう一度できればと考えております。その後、令和6年度からは消費者庁への移管ということもありますけれども、そういった状況も踏まえて引き続き検討を進めていき、令和7年中というのを1つの目途に検討結果のまとめということで、現時点での大まかなスケジュールでございます。今後の状況を踏まえて具体的には決定、あるいは、皆さんにお知らせさせていただきたいと思っております。
 資料1-1、1-2については以上でございます。1-3は、担当が変わって御説明させていただきます。
○三木食品監視安全課長 それでは、資料1-3について御説明いたします。平成30年の食品衛生法改正の対応状況ということで、食品監視安全課と食品基準課の両方から御説明いたします。
 2ページは、改正の全体像です。改正の概要としては、ここに示されているとおり、1.~7.の項目について書いてあります。このうち3.と4.は食品基準審査課で担当しておりますので、順を追って説明いたしますが、途中で担当が変わりますことを御了承いただければと思います。
 改正の概要は大きく7項目です。施行の期日については、平成30年6月13日に公布をされておりますので、そこから2年を超えない範囲内となっております。1.広域的な食中毒事案の対応強化については、4、5ページです。食中毒が散発的にいろいろな自治体で発生をした場合に、それらを集約的に検知して対応をしていこうというものです。広域連携協議会を設置して、これは厚生局のブロック単位ということですので、全国7ブロックで対応しております。このような対応ができるように、制度の改正をさせていただきました。
 7ページは、HACCPに沿った衛生管理の制度化です。これについては、原則として全ての食品事業者にHACCPに沿った衛生管理を義務付けたもので、大きくはHACCPに基づく衛生管理とHACCPの考え方を取り入れた衛生管理の2つのパターンで制度化をしているものです。取り入れたのほうは、いわゆる小規模な営業者、食品取扱事業者が50人未満といった小規模な事業者が、より簡易にHACCPに取り組めるような仕組みになっております。これは、令和2年の6月に施行しており、1年の経過措置期間を設けて、令和3年6月から完全に施行をしております。
 このHACCPの考え方を取り入れた事業者が、より簡易にこういった取組ができるようにということで、事業者別、業種別に手引書を作っております。8~10ページですが、全体的に116業種に対しての手引書が作られており、厚生労働省の検討会で専門家、有識者による内容のチェックを経た上で、公表しているものです。こういった手引書を踏まえて、事業者なり保健所の食品衛生管理員の方が、指導・助言をしております。
 11ページからは現状です。令和3年度から食品衛生法関係の実態把握の調査事業を行っており、その概要を示しております。12ページは、飲食店10万件ほどを調査の対象として、有効回答率が25%程度ですので2万5,000件程度が返ってきているわけですが、HACCPの義務化の認知度について8割以上、導入状況については7割以上といったことが示されているというものです。13ページは、導入による効果として、品質・安全性の向上が図られた、従業員等の意識の向上があったというようなことがアンケートの結果分かっているものです。
 15ページは、製造業、いわゆる「マル総」と言われるHACCPの衛生管理を行っている事業者、若しくは食品安全マネジメントシステムという民間認証を取得している施設、いわゆる食品衛生の優良的な施設1,500件程度にアンケートをした結果になります。回答率は44%です。16ページ以降ですが、その結果として、基づく衛生管理をほぼやっている事業者が多かった、従業員等の意識の向上が図られたというような結果が得られております。17ページですが、導入時に効果的であった指導・助言としては、やはり保健所の食品衛生監視員の方の直接的な指導、施設への訪問による指導や監視時の指導が効果が高かったという結果も得られております。
 続いて3.については、基準課から御説明いたします。
○近藤食品基準審査課長 基準審査課長の近藤です。3.特別の注意を必要とする成分等を含む食品による健康被害情報の収集について御説明いたします。20ページを御覧ください。こちらは、いわゆる「健康食品」に関して、健康被害の発生を未然に防止する観点から、特別の注意を必要とする成分を厚生労働大臣が定め、それを取り扱う営業者は、この成分等を含有する食品を食べた方が健康被害を生じさせているおそれがあるといったような情報を得た場合に、保健所への届けを義務化するといった法改正を行ったものです。保健所に届けられた情報については、厚生労働大臣に報告を頂くこととなっております。また、医師、歯科医師、薬剤師その他の関係者は、こういった成分の摂取によるものと疑われる健康被害の把握に努めることと、保健所などが調査を行う場合に必要な協力を要請されたときには協力をするよう努めなければならないといった努力規定を、併せて設けております。
 21ページを御覧ください。現在、この指定成分として定めている成分は、こちらにお示しした4つの成分です。それぞれ、これまでに得られているこれらの成分に関する作用機序的な情報、あるいは健康被害の発生に関する情報等を考慮して、こちらの4成分を定めております。主な宣伝されている効果や主な健康被害については、こちらにお示ししたとおりです。
 22ページを御覧ください。この指定等含有成分に関する今回の法改正で設けた新たな衛生管理について、まとめたものです。左側に、先ほど申し上げました4つの成分を示しております。右下に、冒頭御説明しました健康被害等の情報収集・届出があります。併せて、左下にあります適正製造規範(GMP)を導入しており、指定成分等含有食品に関して、これらを製造等される方に対して、製造・品質管理の徹底ということで、ここにお示ししたような製造時の管理を行っていただくことを併せて設けております。
 23ページを御覧ください。報告された健康被害が疑われる情報に対する対応のフローチャートを示したものです。左側から流れておりますが、製造販売者から消費者に製品が渡り、健康被害情報などが寄せられた場合には、製造者、販売者に届出義務が課せられております。また、こういった健康被害が疑われるような消費者の方が医療機関にかかった場合にも、医療機関に情報提供の努力義務が課せられております。都道府県・保健所は、その報告を受けた情報を厚労省に報告し、厚労省においては薬事・食品衛生審議会に専門家のWGを設置し、これらの症例を御覧いただいて、科学的な知見に基づき対応を検討し、注意喚起、改善指導、販売禁止等の措置を検討するという流れとなっております。現在までのところ、改善指導や販売禁止等の措置が必要とされるようなものはないという状況です。
 24ページを御覧ください。これらの報告を頂いた情報については、厚生労働省のウェブサイトにおいて毎月更新をして公表しております。25ページに、これまでの報告状況をお示ししております。法施行以降、年々報告数は減っておりますが、これらの製品に関する販売などが減少していることなども影響しているのではないかといったような御意見も、この健康被害情報を見ているWGの中では頂いております。
 続いて26ページ、4.国際整合的な食品用器具・容器包装の衛生規制の整備です。27ページを御覧ください。食品用の器具・容器包装については、海外においては、いわゆるポジティブリスト制度、使えるものを規定をして、規格が定まっていないような原材料を使用した器具・容器包装の販売等を禁止するといった制度が導入されており、我が国においても、このポジティブリスト制度を導入したものです。法改正前については、原則使用を認めた上で使用を制限する物質を定めるといった、いわゆるネガティブリスト制度をとっておりました。この中では、例えば重金属や一部の有機化学物質に関する溶出等の基準等も定められておりましたが、こういったものに関して、海外で使用が禁止されている物質であっても、直ちに規制はできないといった状況でした。改正後のポジティブリスト制度ですが、原則使用を禁止した上で、使用を認める物質を定めて、安全が担保された、リストに示す規格に適合するもののみが使用できるといった制度となります。現在、合成樹脂を対象としております。また併せて、器具・容器包装製造事業者が遵守すべき製造管理基準等を定めております。その中で、事業者間の適切な情報伝達が行われるような規程も設けることとしております。
 次のページを御覧ください。このポジティブリスト制度については、令和2年6月1日に施行をされており、それまで使われておりました既存物質について、リスト化をしております。ただ、この時点で、まだこのリストについて十分な精査ができていなかったということと、この食品用器具・容器包装については非常に複雑なサプライチェーンもあり、その中で十分な準備期間を設ける必要があるということで、施行から5年間の猶予期間が設けられております。この5年間の猶予期間の中で、ポジティブリストの再整理も更に進め、今後、令和7年6月1日の完全施行に向けた準備を進めているところです。
 また併せて、下の部分ですが、製造管理、情報伝達に関する規定の整備も図っているところです。3.と4.については以上です。
○三木食品監視安全課長 引き続き、5.以降について食品監視安全課から御説明いたします。30ページを御覧ください。営業許可制度の見直しと、営業届出制度を創設させていただきました。改正前については、昭和47年以降見直しがされていないということで、実態に合っていないといったいろいろな問題もありましたし、HACCPを原則事業者に義務化をしたということで、把握ができない事業者がいるというような問題点がありましたので、その点を踏まえて、公衆衛生の影響の程度を勘案して見直しをさせていただきました。改正後については、営業者について、届出対象外という、いわゆる常温で保存可能な包装食品のみを販売しているといった、公衆衛生上の影響が少ないような事業者を除いて、これ以外については基本届出、若しくは許可という対応をさせていただいている状況です。
 営業許可の見直しについては、32ページ以降に一覧表があります。基本的には、食中毒等のリスクを踏まえて許可業種を再編したということです。31ページに考え方を示しておりますが、漬物製造業や水産製品製造業等を新たな許可業種として設定をしました。一方、乳類販売業等については、許可から届出というような対応をいたしました。また、コンビニエンスストアなど、1つの施設でいろいろな許可を取っている事例もありますので、そういったものについては原則、一施設一許可となるような運用を図っているところです。
 こういった営業許可制度の許可の業種について、先ほどの漬物製造業など、新設をした許可業種については、経過措置期間を設けておりますので、実際、営業許可の制度については令和3年6月から施行しておりますが、3年間の猶予期間ということで、漬物製造業や水産製品製造業などの新設の許可業種については、令和6年6月からスタートするといった仕組みになっております。
 続いて、6.食品リコール情報の報告制度の創設についてです。35ページの右側に基本的な流れが書いてありますが、事業者が食品をリコールしよう、こういった食品衛生法に違反をする、違反のおそれがあるような食品についてリコール、回収をしようというような場合には、都道府県に届出をして、それを踏まえて厚生労働省に報告がされます。報告されたものについては、厚生労働省のホームページにおいて一早く公表をして、消費者の方や事業者の方がそれを見られるという仕組みにしております。
 実際にどのぐらいの程度起こっているかについては、36ページに示しております。食品衛生法の関係と消費者庁の食品表示法の関係の2つのリコールがありますので、それらを合わせて、令和3年6月に施行されてから令和5年3月までの状況では、令和3年度が1,500件、令和4年度が2,500件程度あります。このうち、食品衛生法の関係については656件ということになっておりますが、下に書いてあるような状況での回収が見られている状況です。
 37、38ページに具体的な事例が示されております。38ページに、金属の異物で口を切ったといった事例が、実際に健康被害事例としては挙がってきております。このリコールについては、基本的にはクラス分類ということで、健康被害の重篤性の予測において、CLASSⅠ~Ⅲまで分かれております。CLASSⅠに分類されると、より健康被害の可能性が見込まれるというものになっております。
 続いて7.その他、輸入食品の監視体制の概要については、40ページに示しております。輸出国対策、輸入時対策、国内対策という3段階で、輸入食品の安全確保を図っている状況です。このような状況の中で、HACCPに基づく衛生管理が国内で義務付けられたことに伴い、獣畜び家きんの肉及び臓器を対象としたHACCPに基づく衛生管理を、輸入、輸出国にも求めている状況です。現時点で56の国及び地域からの輸入ができるようになっている状況です。併せて、42ページですが、乳及び乳製品や生食用のかき、ふぐを対象として、衛生証明書の添付を義務付けました。こういったことで、輸入される食品の安全確保を図っている状況です。資料1-3の説明は以上です。
○合田座長 ありがとうございます。それでは、ここまでの事務局の説明につきまして、御質問等はございますでしょうか。会場の先生方、よろしいですか。それから、Webの先生方は全員が出てないので、私では確認ができないのですが、どなたか御質問等はございますか。よろしいですか。上間先生、どうぞ。
○上間構成員 国衛研の上間ですけど、1つ聞いてもいいですか。
○合田座長 はい、どうぞ。お願いします。
○上間構成員 4番のポジティブリストについてなのですけれども、最初の時点で、検証すべき対象として基材が2,000種類ぐらい、添加剤が1,600種類ぐらいあって、現在までに、このうちどのぐらいを検証して、21の基材と850種の添加剤になっているのかというのは分かりますでしょうか。最終的にどれぐらいの数になりそうかというのが分かればなと思ったのですけれども。
○合田座長 近藤課長、よろしいですか。
○近藤食品基準審査課長 先ほどこのポジティブリストの再整理という言い方をさせていただいたのですけれども、実は、この5年間の経過措置を設けた時点で、事業者の確認や調整が完了せずに、物質の追加収載の手続の必要があるということと、それから、原材料を取り扱う事業者さんなどがいろいろ周知を行う、サプライチェーンの各ラインの皆さん同士で周知を行う必要があるということで、5年間の周知期間を設けています。その後、既存物質の追加収載のために意見募集や事業者との意見交換などを行っている中で、器具・容器包装固有の状況や課題が明らかになってきたということがあります。
 例えば、この基ポリマーというものですけれども、複数使用して混合した場合に基ポリマーに使用される添加剤の量とかを算出するのが難しいとか、そういった様々な複雑なサプライチェーンであるが故の課題などもありまして、この既存物質の追加収載の内容の整理と併せて、情報伝達の実態や制度の運用を考慮したリストの再整理というものを行いました。そのため、28ページの図にあります、告示した基ポリマー2,000物質というのと、今、再整理中の基材21物質というのは、基ポリマーと基材ということで、言葉が違っているようなこともあります。ポリマーを作るときに原材料の順番も考慮して細かく規定していたのが過去の2,000物質なのですが、現在は、そこがもう少し事業者さんのほうでも確認しやすいように、ポリマーの基材という形での物質の表示の仕方に再整理などをしておりますので、この21物質というのがほぼほぼ最終形ということです。現在、薬食審の部会での審議、それから食品安全委員会での食品健康影響評価も終わりまして、パブリックコメント等を行っている形になっているのが、今のこの数字となっております。併せて、添加剤につきましても、追加で収載すべき物質を追加しつつ、例えば添加剤の範囲にならないような鉱物とか紙とか、そういったものを除いたりといった再整理もした結果、現在約850物質といった数字となっております。
 先ほどの先生の御質問にお答えしますと、これらにつきましては、部会の審議と食安委のリスク評価も終了しておりますので、ほぼほぼ最終形に近いものという状況です。今のでお答えになっておりますでしょうか。
○合田座長 上間先生、よろしいですか。
○上間構成員 分かりました。21の基材を組み合わせて、ポリマーとしては例えば2,000種類とかになるという、そういう理解でいいのですか。
○近藤食品基準審査課長 はい、そのような理解で結構です。
○上間構成員 ありがとうございました。
○合田座長 ありがとうございます。この容器包装というのは高分子なので、基本的に基材があって基材をどう離させるか、それから、それに添加剤がどこがあるかという形で、最終的な物が出来上がるのですよね。多分、不純物というのでしょうか、何かあるのは基材ベースでもともと、それから添加剤ベースでもいろんなことが始まりますから、それを総合的に見て、こういう形でまとめていくというのが、一番サイエンティフィックだろうという形になったのだろうと思いますけど。
 ほかに御質問等はございますか。私から1点だけ確認させていただきたいのですけれども、こういう今の容器包装のところのポジティブリスト制というのは、最終的に分析するのが非常に難しい、もうポリマーになってしまっているので。残留物はそれはそれで記載がありますけれども、それを具体的にどういう形でレギュレーションしていく方向性なのか。例えば輸入をするときに、何かこういうものが使われていますよということを、ちゃんと確認をした形で輸入をさせるとか、そのような制度でしょうか。その辺をもう少し教えていただければと思います。
○近藤食品基準審査課長 おっしゃるとおり、最終形からの分析というのはなかなか難しいと思いますので、輸入のときには届出を出していただきますので、その届出の際に、原材料の確認あるいはポジリスに適合していることの確認をする。こういった器具・容器包装、ポリマーやこういった化学物質は、なかなか企業秘密になるような部分もありますので、そういうところをしっかり事業者さんの間で情報伝達していただきながら確認していくといった形になるかと思います。
○合田座長 ありがとうございます。今のは基準課関係ですけれども、監視関係で特によろしいですか。特に会場の方も手が挙がりませんので、これで問題ないものと思います。
 それでは、次の議題に入らせていただきます。東京都保健医療局健康安全部食品監視課長の内藤構成員から、資料2-1について御説明いただきたいと思います。内藤構成員、よろしくお願いします。
○内藤構成員 よろしくお願いします。まず、今回、この懇談会でこのような発表の場を設けさせていただきまして、各委員の皆様、また厚生労働省の職員の皆様に感謝を申し上げたいと思います。私からは、平成30年改正法の施行に関する東京都の課題ということで、説明をさせていただきたいと思います。私も他の自治体の方と意見交換をする機会が何回かありまして、東京都の課題ではあるのですが、自治体の課題でもあるのかなというイメージでお話させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 次のスライドをお願いします。まず、今回、私どもで課題として挙げさせていただきたいと思っているのが、赤字の部分です。法改正の趣旨については、先ほど、事務局の方から系統立てて御説明いただいたわけなのですが、そのうち、赤字にある事業者によるHACCPに沿った衛生管理の向上にフォーカスをして、御説明をさせていただければと思います。その下の枠に、都が課題と捉えている事項として2つあります。1つが、個人営業者や小規模事業者に対するHACCP導入、もう1つが、先ほど三木課長からも御説明がありました手引書を使用した監視指導、この2点について、これから御説明をさせていただきます。
 次のスライドをお願いします。1点目の課題、個人営業者や小規模事業者に対するHACCPの導入です。まず現状についてですが、HACCPの義務化についての周知は、ほぼ都内で終了しております。これは、改正法が施行される令和3年6月以前に封書で周知しております。また、保健所には日々新しく飲食店等々を始めたいという方がいらっしゃいますので、その窓口に来た方にもHACCPの周知をしております。「衛生管理を自分たちで考えて重要な所を集中管理する」、「きちんと管理の記録を取る」などの話をしています。このため、現場の保健所では窓口対応時間が増えたと聞いております。
 2点目以降は、ほかのスライドで詳細に説明したいので、簡単に説明したいと思います。小規模な一般飲食店向けの手引書を基に、東京都もHACCPの導入に向けて取り組んでいます。今回、業界団体(東京都食品衛生協会)とともに「食品衛生管理ファイル」を作成しております。後で詳細については御説明しますが、要は、HACCPの概念の話をしても、なかなか伝わらない部分もありますので、なるべく簡単にHACCPを理解していただいて、かつ、取り組んでいただけるよう、HACCPの導入を支援するファイルを作成しました。
 4点目は、具体的な取組状況です。保健所で営業許可を申請する事業者さんに対しての説明時や、保健所の監視員が店舗に立入りした際の説明時、講習会や相談会の開催時、さらには後ほど説明します専門家による訪問アドバイス等、いろいろな場面において「食品衛生管理ファイル」を使っている状況です。
 こうした取組の結果、現在、衛生管理計画を作成するなど、HACCP導入を行っていることが確認できた事業者は、東京都の保健所管内にある多摩地域と島しょでは大体6割、個人営業者に限ると約5割、資料には記載していませんが法人だと7割ぐらいです。先ほどの三木課長からご説明のあった全国的なアンケート調査だと全体で7割ということですが、東京都の場合ですと、実際にお店に立ち入ってface to faceでHACCPの実施を確認する、ないしはHACCPの講習会に御参加いただいた営業者をカウントしているので、やや東京都のカウントの仕方のほうがシビアということで、数字は低めに出ているのですが、大体6割という状況です。要は、ここの6割をどう考えるかということなのですが、当然、義務化がされたということを考えると、都としても6割をもっと上げて8、9割と持っていかなければならないといった問題認識を持っているところです。したがって、HACCP導入に対応できていない特に個人営業者への導入支援が大きな課題と考えております。
 次のスライドをお願いします。都の取組状況についてです。繰り返しの部分もあるのですが、1点目として食品衛生監視員による啓発をはじめ、先ほど申し上げたとおり、保健所の窓口でHACCPの説明などにしっかり時間を掛けたいということで、人員配置にも配慮しています。あと、講習会を通じたHACCPの周知に加え、ホームページに「食品衛生管理ファイル」に掲載し、自由にダウンロードできるようにしています。今後の方向性を先に申し上げると、引き続きあらゆる手段を講じてHACCPの導入を着実に実施をしていきたいというところです。
 次のスライドをお願いします。左上が、先ほどから申し上げている「食品衛生管理ファイル」です。A4ぐらいの大きさで8ページで構成をされています。衛生管理計画の雛形を用意しております。なので、飲食店事業者の方は、自分に合った計画の内容を選択するような形で衛生管理計画が策定できるという流れになっています。このファイルは国の検討会の中で唯一、内容確認をしていただいています。また、ほかの自治体でも実は使っていただいておりまして、写真だと下のほうに東京都のイチョウマークが付いていますけれども、版権申請をしていただいて、自分の所の自治体名を入れて、実際に43自治体でこのファイルが使われている状況です。東京都としては、これをベースにとにかくHACCPをどんどん知っていただき、実際に取り組んでいただけるよう、今進めているところです。
 右のHACCP相談会についてですが、保健所で大体、月1で営業許可の期限が切れてしまう業者をお呼びして、衛生講習会を受けつつ営業許可の申請をしていただいています。運転免許証の更新みたいに考えていただければいいのですけれど、その講習会の中で、当然HACCPをやりましょうという話をするのですが、それでもHACCPがなかなか分からないなという方を対象に、その後HACCP相談会を開催しています。毎回参加者は10名ぐらいなのですが、御高齢の方も含め、ご参加して頂いています。ここでも「食品衛生管理ファイル」等々を活用して、HACCPの導入に向けて取り組んでいただいているところです。
 左下に訪問アドバイス(調理業)とあります。これは、特に調理業でもお弁当屋さんとか、惣菜屋さん、仕出し屋さんなど、大量調理をして販売するなど食中毒リスクの高い施設を主な対象としております。専門家を各店舗に派遣をして、そのお店に合ったHACCPの衛生管理計画の策定を支援する、こういった事業を展開しております。これもベースは「食品衛生管理ファイル」になるのですが、リスクが高いということもあるので、もう少しレベルの高いものを目指した指導をしていただいているところです。
 右にHACCP推進者育成講習会があります。文字だけで恐縮なのですが、これは製造業を対象とした事業で、製造業の経営者の方に、経営マネジメントの中にHACCPを取り入れていただけるように講習会を開催しております。どちらかというと、リーダー的人材の育成を目標としております。都内の製造業は少なくなってはいるのですが、製造業では広域流通品を製造販売していることになりますので、特段の配慮が必要となります。それぞれの工場であるとか規模に合ったHACCPの導入を支援できるようしていただけるよう、講習会を通じて支援しています。
 まとめのスライドを作っていなかったのですが、自治体ではHACCPの導入に向けた様々な取組を行っており、国に対してはこうした取組に対して引き続き支援をお願いしたいと考えております。また、全国の自治体ではHACCPの導入支援について、自治体間で取組のノウハウや、事例を共有する必要があると考えております。今週も金曜日に新潟市でた研修会を開催する予定なのですが、自治体の中でしっかりHACCPの導入に係るノウハウをお互い共有し合いながら、HACCPの導入を今後も進めていきたいと考えております。
 次のスライドをお願いします。もう1つの課題ということで、(2)として手引書を使用した監視指導です。まず、現状ですが、法改正に合わせて、先ほど三木課長からも御説明がありましたとおり、業界団体で、各会員が「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」を実施できるように、業種ごとにきめ細かな「手引書」を作成していただいております。これは、非常にタイトなスケジュールの中で、業界の方に非常に努力していただいた成果である考えております。現在、公開されている「手引書」は先ほど正確な数字がありましたけれど、100以上あります。3点目にありますように、自治体の目線で申し上げると、地方自治体は手引書に基づく監視指導を行うというのが原則になります。もう1つ、同じく保健所等々の監視員が各施設の衛生管理を評価する際に、「食品衛生監視票」という、いわゆる衛生管理の状況を点数化するツールを国から示されているわけなのですが、これについても「手引書」との整合を確認する必要があるということです。要は現場の監視指導の中で、各業界が作成した「手引書」を念頭に置いて業務を進める必要があるということになります。そこで、下の課題になるのですけれど、1つ目は、手引書が多種ある中で、内容が不十分なものがあるということです。食品衛生法の中の規則の別表17の「一般衛生管理の基準」、これは基本的な衛生管理事項ですが、この一部が手引書で記載されていないものがあります。2つ目が、手引書の構成が各々異なるために、複数の食品を取り扱う施設の指導が難しくなってきているというものがあります。また、そもそも手引書がない業態もあるというところも課題として考えております。
 次のスライドをお願いします。今回こうした機会を踏まえ、改善の方向性ということで話をしたいと思います。事業者も自治体も使いやすい「手引書」への改訂というのが、1つの流れとしてあるのではないかと考えております。どのような業種であっても確実に衛生管理を導入できるように、手引書の内容の充実、見直しなどが必要ではないかと考えております。具体的な改訂例としては、構成の統一化を図る、業種横断的な手引書の作成をする、あと一般衛生管理については、どちらかというと基本的な部分なので、これを共通の手引書として、各業界ごとに重要なものについては工程別、業種別に別途作成をするなど、そういった考え方もあるのかなと思っています。当然、業界の手引書は非常に細やかに作られておりまして、業界ごとに、大変悩まれながら作成されたということも十分承知はしているのですが、長期的スパンで見るとこういった取組も必要であると考えまして、今回、課題として取り上げさせていただきました。
 次のスライドをお願いします。最後に、東京都にも1つの施設の中で複数の業種が営まれている場合があり、複数業種の手引書をどのようにして参照すべきか、かなり困った事例があります。そこで、都の現在の取組状況を紹介したいと思います。「手引書」を取り扱う際の内部ツールを現在作成しております。例えば、下のポンチ絵ですが、手引書ABCDを選択すると、これはエクセルファイルのマクロで作っているのですが、例えば従業員教育とか、ネズミ昆虫対策とか、廃棄物・ゴミの処理とか、共通の項目を自動作成しまして、それを各手引書ごとに横並びにする表を一発で作るツールを開発しています。これを基に今、保健所で指導を行って検証を行っております。対処療法的な形ですので、当面はこれで対応しつつも、手引書の構成については是非、御検討いただければと考えております。雑駁ですが、私の説明は以上です。
○合田座長 どうもありがとうございました。それでは、続いて日本生活協同組合連合会組織推進本部社会・地域活動推進部長の片野構成員から、資料2-2について御説明いただきたいと思います。片野先生、どうぞよろしくお願いします。
○片野構成員 日本生協連の片野です。すみません、本日、オンラインで失礼します。事務局からは消費者・事業者の両方の立場での意見を述べてほしいというお題を頂きました。議論のきっかけになればと思い、報告させていただきます。よろしくお願いします。
 では、次のスライドをお願いします。本日の発表内容はこちらのとおりです。最初に、生協及び日本生協連について簡単に御紹介し、その後、平成30年の食品衛生法改正のポイントに関わる意見。それから、平成30年の食品衛生法改正時に反映されなかった事項についての意見、こちらは、法改正に向けた懇談会がこのときも開かれているのですが、そこで意見を述べたものの法改正には反映されなかった事項を指しています。本日はそのとき日本生協連で述べさせていただいたものを取り上げていますが、私どもの意見かどうかにかかわらず、このときの懇談会の報告書で検討事項とされたものについて、今回の懇談会でも改めて御検討いただけると有り難いと思っています。そして、最後に食品衛生法改正後の情勢などから課題として考えていることを述べさせていただきます。
 それでは、次をお願いします。まず、ちょっと生協について御紹介します。生協は「協同組合」の組織です。消費者一人ひとりが出資金という形でお金を出し合い、組合員となって事業を利用して、組合員として運営に関わるような組織です。宅配や店舗などの事業活動を行っていますが、それとともに、消費者、生活者の組織として「食」や「環境」など、くらしの課題に取り組む活動を行っています。「食」に関しては、多くの生協が取り組んでいて、食育や産地・工場見学会、学習会など、各地で取り組まれています。
 また、日本生協連は、各地の生協が加入する全国連合会となっています。コープ商品というオリジナルブランドの商品開発と供給(販売)、会員生協の事業や活動のサポートを通して、会員生協の発展を支える役割を担っています。
 次をお願いします。では、本題である食品安全の制度に関する意見に移ります。食品衛生法改正のポイントについては、4項目について意見を述べさせていただきます。1つはHACCPについてです。HACCPに基づいた衛生管理が、全ての食品事業者に義務付けられて、業種別の手引書の整備が進みました。これは全体のレベルアップにつながるものであり、消費者としては前向きに受け止めています。令和3年度の食品衛生法改正事項の実態把握事業の中では、HACCP義務化の認知度や衛生管理状況については、一定程度浸透しているように見えました。ただ、有効回答数が少ないように感じましたので、回答されなかった事業者さんがどうだったのかなという辺りは気になっているところです。また、この間、新型コロナウイルス対応のため、事業者の業務スタイルも通常とは異なっていたと考えます。日本の食品製造業は、中小企業が支えている実情があります。今後は、国や地方行政において、衛生管理指導やフォローアップを更に御検討いただければと考えています。
 2つ目は、特別の注意を必要とする成分などを含む食品による健康被害情報の収集についてです。有害事象の届出が義務化され、健康被害情報が集約され、厚生労働省で対応される措置が検討される仕組みができました。また、指定成分などを含む食品の製造や加工にGMPが制度化されました。これによって、健康被害の状況が明確となるとともに、製品の安全性も一定向上したのではないかと考えています。その一方で、指定成分を含むにもかかわらず、所定の表示事項が記載されていない商品が販売されているという指摘も聞いたことがあります。また、この制度や指定成分という言葉に対する消費者の認知も低いように思います。今後は、事業者・消費者双方の認知を高めていくことが課題かなと思っています。
 それでは、次をお願いします。食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度についてです。2020年6月に制度が施行され、経過措置が5年あり、2025年に完全施行という予定になっています。あと2年ない状態ですが、リストが告示されていない状況です。リストが確定することは制度運用の必要条件ですが、それだけで円滑に運用されるわけではないと考えます。器具・容器包装は、全ての食品事業者に何らかの関係があります。その事業者が器具・容器包装や食品のサプライチェーンのどの段階にあるかに応じて、必要な準備や対応が異なると思われますが、現状、そのような情報は遅れているのかなと心配をしているところです。
 経過措置はリスト整備と事業者の準備に必要な時間だと認識していますが、リストの確定が遅れ、事業者準備のための期間が短くなっているように見えます。食品接触材料安全センターが業界の窓口となって、厚生労働省とやり取りされていることから、国内で完結する場合はそれほど問題がないかもしれませんが、やはり器具や容器包装、食品自体を海外から輸入する場合は、輸入業者が必ずしも詳しいとは限りませんので、情報提供が今後、重要ではないかと思っています。是非、各事業者が具体的に何を準備しなければならないのかが分かるように、サプライチェーンの段階に応じたきめ細かい情報提供をお願いしたいと考えます。
 また、ヨーロッパやアメリカの規格に適合していたとしても、日本に輸入する場合は、日本のポジティブリスト制度に適合していることが必要だと理解しています。輸出の場合も同様だと思います。そうであれば、日本とリストを比較して、特に異なる点、それぞれの制度の下で不適合になりやすい留意点などを明らかにしておく必要があるのではないかと思います。是非、御検討いただければと思います。
 次をお願いします。食品のリコール情報の報告制度についてです。この制度により、リコール情報が一元的に管理され、開示されるようになりました。これは健康被害の未然防止につながると考えられており、消費者にとっても、事業者にとっても、有益であると考えます。また、どのような商品が、どのような理由で回収されているのか、振り返られるようなデータ蓄積もできたと思います。制度開始から2年たち、このデータを基に、適切な「回収のあり方」、つまり食品健康影響がないだろうと考える場合の対応について、社会的に議論してもよいのではないかと考えています。例えば、リコール食品のCLASSⅢです。食品衛生法違反の理由から回収という考え方だと思いますが、一律に回収ではなく、回収に当たってはADIやARfDを基にしたリスクベースの考え方による判断もあり得るように思います。また、海外のリコール情報も参考にできるように思います。
 食品の安全性は最優先ですが、食品ロスもできる限り減らしていったほうがよいように思います。この辺りは消費者でもそれぞれ意見が異なるかもしれませんので、是非、今後、議論していってもよいかなと思います。回収はハザードベースではなく、リスクベースでやっていってもよいのかなと考えています。是非、そのためには事業者が判断しやすいようなガイドラインなどがあるとよいのではないかと思います。
 次をお願いします。このスライドからは、平成30年の食品衛生法改正時には反映されなかった事項について、お話させていただきます。まず指定添加物についてです。最近では、着色料の二酸化チタンがヨーロッパで禁止されたり、アスパルテームが国際がん研究機関でグループ2Bに分類されたりしています。幸いにも、いろいろな情報に基づいて、日本で規制する必要はないという結論に落ち着いているところです。ただ、これらのものが食品安全委員会設立前に指定されているため、食品安全委員会のリスク評価を受けていないことが気になっています。食品安全委員会がリスク評価を行っていれば、評価書の形で科学的知見が整理されて残っていることになりますが、評価書がなければ、過去にどのような情報がどこまで確認されているのかが不明で、新たな懸念事項が評価の時点と指定の時点とどのような違いがあるのか、判断が難しいように思います。
 食品安全委員会設立前に指定された食品添加物については、現時点の科学的知見を踏まえた再評価を実施することが理想だと考えますが、それが難しければ国際機関や諸外国の評価などを整理したファクトシートを作成するなど、行政が安全情報を整備しておくことが必要ではないかと思います。ファクトシートがあれば、リスクコミュニケーションにも活用できるように思います。
 次に既存添加物についてです。成分規格の作成ができればと思っています。第10版の食品添加物の公定書が完成したとしても、まだ100品目の成分規格が未整備だと言われています。1995年の食品衛生法改正で既存添加物の枠組みができてから、30年がたとうとしています。当初、経過措置だと認識していたのに、もう30年もたってしまったのかと思っています。成分規格の整備には、食品添加物を製造、輸入している事業者の協力が不可欠ですが、必ずしも協力的な事業者ばかりではないために、成分規格の整備が進まないのかなと思っています。公的な成分規格はないということは、食品添加物としての品質が確保された上で流通しているとは言えないように思います。成分規格がない又は作成できない食品添加物は流通できないようにするような仕組みが必要ではないかと思います。
 安全性の確認についても、指定添加物と同様に、安全性情報の整備が必要ではないかと思います。できれば指定添加物のようにリスク評価、難しければファクトシート整備が望ましいと考えます。
 流通実態がほとんどない既存添加物への対応です。既存添加物の成分規格や安全性評価は、専門家の方が大変労力を掛けて実施をされています。ただ、流通実態が非常に僅かであるようなものまでも、コストを掛けていく対応が必要かどうか、その辺りはちょっと難しいなと疑問に思っているところです。
 次をお願いします。最後に平成30年の食品衛生法改正後の情勢などから、課題として考えていることをお話します。まず新規食品についてです。SDGsなどの観点、科学・技術の発展に伴い、品質改良や原材料、製造方法などの面で新規性の高い食品の開発や流通が見込まれています。コーデックス委員会では、藻類、昆虫食、細胞培養食品、植物ベースの代替タンパク質や3Dプリント食品などを想定していますが、ほかにもいろいろあるのかもしれません。これらは、SDGsに貢献することが期待される一方で、安全性に対する不安などから普及していかない可能性もあると考えます。個別の食品ごとに新たなハザードを特定して、ケースバイケースで対応していくことも1つの方策ですが、食品の新規性に鑑みたリスク評価やリスク管理の全体的な枠組みがあれば、食品の安全に対する信頼性がより高まるのではないかと考えます。EUではNovel Foodとして考え方を整理していると聞いています。参考にしてもよいのかなと思っています。
 組織再編についてです。食品安全確保の考え方は、「最終製品を検査して基準に適合していること確認する」ということよりも、やはり食料の生産、製造などのプロセスで、適切な管理をしていくことによって、最終製品での安全を確保することの重要性が増していると認識しています。リスク管理はこれまで、生産に近い部分は農林水産省が指導を行い、監視指導や規格基準策定、輸入品安全確保は厚労省でしたが、来年度からは規格基準策定は消費者庁が担われることになります。3省庁にわたることになりますが、是非、一貫した施策となる仕組み作りをお願いしたいと考えています。例えば、微生物起因の食中毒の防止や汚染物質による健康リスクの低減などは、生産や製造の現場など、フードチェーンの各段階に応じた適切な指導と規格基準の策定が重要だと考えます。十分な連携をお願いしたいと思います。2005年、農林水産省は、農林水産省及び厚生労働省における食品安全に関するリスク管理の標準手引書を公表されています。消費者庁を加え、標準手引書の改訂版を作成すべきかと思います。
 最後に食品安全のための大きな方針や戦略を持っていただければと考えました。WHO、FAO、コーデックス委員会は、食品安全を全体に俯瞰して課題を抽出して、優先順位を決める、食品安全のための戦略を持っていると聞いています。このように国際的に課題とされた事項のうち、日本の状況に当てはまるものがあるか、また、その場合、課題としての重要度についてレビューの機会を設けてはどうでしょうか。食品安全を全体に俯瞰して優先順位を定めることが重要だと思います。リスク管理機関が3省庁にわたることになりますが、食品安全向上のための大きな方針・戦略の下で連携して施策を進めていただければと思っています。以上です。ありがとうございました。
○合田座長 ありがとうございました。ただいまの両構成員の御発表に関して、事務局より補足説明等はありますか。あればよろしくお願いします。
○三木食品監視安全課長 食品監視安全課です。内藤構成員からいろいろ御発表を頂きました、特にHACCPに関する課題ということですが、基本的には私どもも同じような認識で、自治体の方々といろいろ情報共有をしながら、優良事例なども共有させていただきながら、進めているということです。アンケート結果など、今どういう状況かというのは、先ほども御説明をさせていただきましたし、東京都さんからもお話がありましたが、やはり周知をして定着を進めていくということが非常に重要です。いろいろ新型コロナウイルス感染症の影響なども途中にはありましたが、やはり食品衛生監視員の方、事業者の方が同じ認識を持って、食品衛生の管理を向上させていくということが重要と考えていますので、頂いた御意見等も踏まえて、また自治体さんのほうともいろいろ連携をさせていただきながら、厚労省として支援ができることを含めて考えさせていただければと思っています。
 片野構成員から頂いた御意見、特にHACCPについては、フォローアップを検討してほしいというようなお話でしたが、基本的には事業者の方が無理なく定着できるように進めるということで、自治体さんとも一緒にやらせていただいていますので、引き続き事業者のフォローアップを含めて、全体的にHACCPが定着できるように進めていきたいと考えています。
 また、リコールについては、基本的にこれまでは、事業者さんのほうが、いろいろなもののリコール、回収をしていたというものを、今回こういった制度的なものにさせていただいたことで、例えば食品衛生法の違反や違反のおそれがある、食品表示法も違反や違反のおそれがあるものに限定をして回収をしていただくということで、無駄な回収というか、そういったものが減る、いわゆる食品ロスの削減につながるといった効果もあるのではないかと思っています。まだ施行して2年ということですので、これからいろいろな推移を見させていただきながら、どういったことが可能なのかということを検討したいと思います。なかなか違反食品を回収しなくていいということは、コンプライアンスの観点からもどのように受け取られるかということもあると思いますし、そういったことは将来的にどうしていけばいいかということは大きな課題だと認識をしていますので、そういうことも含めて進めさせていただければと考えています。
 組織再編や最後の食品安全のための戦略については、ごもっともですし、引き続き、移管がされた暁にも、関係省庁は一体的に食品安全の施策について連携をしながら進めていくということになっていますので、そこは十分前提としながら引き続き、食品安全確保を図っていきたいと思っています。国際的な動向も、引き続き、世界の中の日本ということですので、そういった中で食品安全についての考え方を含めて、考えていきたいと考えています。監視課からは以上です。
○合田座長 三木課長、どうもありがとうございました。それでは、近藤課長、よろしくお願いします。
○近藤食品基準審査課長 基準審査課です。片野構成員から御指摘いただいた点で、現状の取組などを少し補足させていただきたいと思います。指定成分等に関して認知を高めていくことが課題ということでした。こちらについては、厚生労働省でも、様々な機会や対面形式によるリスクコミュニケーションの会合のような機会などでも御紹介をさせていただいていますが、おっしゃるとおり、皆さんによく分かっていただいていくような周知が必要だと思います。
 また、ポジティブリスト制度についての周知についても、先ほど現在の進捗などを御紹介させていただき、現状でも、各業界団体を通じたり、そういったところで周知を図っているところですが、御指摘の輸入業者や中小の食品事業者なども含めまして、リスクコミュニケーションを今後更にしっかりとやっていきたいと考えています。
 それから、平成30年の改正のときに反映されなかった事項ということで、御意見を頂いています。まず添加物の関係ですが、指定添加物については、厚生労働省としては、国際的な評価、海外での評価などの情報を注視して、リスク管理の見直しの必要性や食品安全委員会への評価依頼の必要性があるかといったようなことを、常にそういった情報に目を光らせながら検討しているというところです。現在、指定添加物は475品目ありますが、過去には、国際的な添加物の評価機関であるJECFAでのPTWIが引き下げられたことを踏まえて、摂取量調査を実施して、食品安全委員会にリスク評価を依頼した例などもあります。また、構成員からの御発表の中でありました、二酸化チタンやアスパルテームなどについても情報を得て、必要に応じて国内でも試験を実施して、薬事・食品衛生審議会あるいは食品安全委員会の意見を聞いているといったような対応を図っているところです。
 御指摘の中で、例えば評価書がない、新しい情報かどうかということがよく分からないということがありました。評価書については食品安全委員会のほうになりますが、常にそういった新しい情報などについては、例えば国立医薬品食品衛生研究所のほうでも収集して、定期的に情報発信などもしていただいているのですが、なかなか見える化が十分ではないといったような点での御指摘もあるかと思います。きちんとそういった情報をウォッチしながら対応しているというところを、消費者の方にもよく御理解いただけるような方策も必要なのかなと考えつつ、お話をお伺いしたところです。
 また、既存添加物ですが、この法改正当時、平成7年当時、489品目ありました。消除などが行われた結果、現在、357品目となっています。成分規格については、これまで218品目の規格を策定していまして、現在、作成中の公定書では、更に39品目の規格案が策定されているところです。また、安全性評価も順次、進めていまして、296品目の評価が終わっているところです。
 消除について、現在、第5次消除のための販売等の調査を実施中です。78品目を消除予定対象の候補としているところです。こういった調査を通じて消除、あるいはサンプル提供、情報提供などを頂きながらの規格基準の策定などを進めていきたいと考えているところです。
 新規食品についてですが、御指摘のとおりEUではNovel Foodといったような制度があると承知をしています。日本の食は多様性にも非常に富んでいまして、どういったものが新規食品というのかというところの定義など含めて、いろいろ課題もあると思いますが、海外の情報なども収集をしていきたいと思っています。現状の日本の食品衛生法の中では、6条、7条による規制、あるいは事業者さんが一義的には安全性の確保の責任を持っているといったような法体系になっていますが、こういった法体系、あるいは日本の食の多様性といったようなことも考慮しながらの長期的な検討課題と考えているところです。補足については以上です。
○合田座長 ありがとうございます。それでは、まず内藤構成員、何か追加等はありますか。よろしいですか。
○内藤構成員 ありがとうございます。HACCPは、先ほどから私も御説明する中で、なかなか苦戦する部分もあるのですが、先ほど三木課長からお話があったとおり、国とも自治体間ともしっかり連携しながら進めていきたいと考えています。以上です。
○合田座長 ありがとうございます。それでは片野構成員、追加等はありませんか。
○片野構成員 特にありません。結構です。
○合田座長 ありがとうございます。既存添加物のところで成分の話が出ました。なかなか天然物の成分規格を作っていくというのは、非常にいろいろなものがあって難しいなと思って、これが多分、一番大変なところかなと私自身は今、話を伺いながら感じたところです。
 それでは、ほかの構成員の先生方から、今の内藤構成員、片野構成員からの御発表に関して御質問等はありませんか。加地構成員、どうぞ。
○加地構成員 日本食品衛生協会の加地でございます。内藤構成員のお話の中で、ちょっと誤解されると困るなと思った点がありました。というのは、HACCPのこの手引書というのは、あくまでも位置付けとしては手本というか、ガイドラインという形なのです。現場の飲食店等で、その手引を基に自分たちで衛生管理計画を作っているのですけれども、場所によっては、どこの自治体ということは言いませんけれども、自治体によっては保健所の監視員が来られて、「これ、手引書どおりにやってないぞ」ということを指摘されて、そのときの自分の施設に応じた衛生計画を作っているにもかかわらず、無理くりその手引書どおりにさせられるというような事例もあったりして、手引書の位置付けについての誤解が一部の保健所ではあるのかなというようなこともあります。先ほども内藤構成員のお話では、できるだけ統一化していきたいと、これは、指導のやり方として統一していく場合と、現実の現場での個々のHACCPを取り入れたやり方の計画とは同一ではないという理解を私どもはしているのですけれども、その点はいかがでしょうか。
○合田座長 内藤先生、よろしいですか。
○内藤構成員 もちろん、先ほどの食品衛生管理ファイルというのもあるのですが、正に自分の店に即した計画ができるようにという意図で作ったものですので、手引書どおりにやりなさいといった指導は、東京都はやっていないということは明言させていただきます。ただ、どうしてもベースとなる考え方というか、お手本となるものが手引書ということになりますので、業者も大手企業もいらっしゃれば、御家族で経営されている小規模施設もありますので、そういった業者の方にも分かりやすく、御理解いただく上で、構成をもう少し再検討したほうがいいのじゃないかというところはお話させていただきました。当然、手引書どおりにやれということはないので、それは我々もそういった認識では取り組んでおりません。
○合田座長 ありがとうございます。加地委員。
○加地構成員 ありがとうございます。
○合田座長 ほかに御質問等はございますか。どうぞ、大角構成員。
○大角構成員 食品産業センターの大角でございます。御説明ありがとうございました。まず、東京都の内藤構成員のお話でございますけれども、HACCPの普及・導入に向けて御努力いただいていることに、この場を借りまして、私の立場からも厚く御礼申し上げたいと思います。その上で申し上げますと、前回の食品衛生法の改正の際にHACCPを導入するという中で、小規模事業者に対してどのように考えるのかというのが大分議論になったところかと思っております。その中で、HACCPに基づくものではなくて、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理ということで、それぞれの食品の特性等に応じて各種それぞれの業界に応じた、いわば簡易的なHACCPを進めていこうという中での手引書がそれぞれの業界ごとにできて、しかも急きょ作っていたというような状況にあったことは、まず御理解いただければと思います。もちろん不断の見直しが必要だということは一切否定するものではなく、必要に応じて見直しということは進めていければと思っておりますけれども、その際に、こういったようなHACCPの考え方を取り入れるという中で、一定の相違があることは御理解いただいた上で、進めていただければと思っているところでございます。
 それから、片野構成員からの中で、1点だけリコールの話もございました。リコールにつきましても、私どもの立場からいたしましても、何らかの行政上のリコールの目安のようなものがあったほうが有り難いということは確かでございますので、いろいろ難しい点もございましょうけれども、御考慮いただければと思います。以上でございます。
○合田座長 ありがとうございます。内藤構成員、何かありますか。よろしいですか。
○内藤構成員 非常にタイトなスケジュールで手引書が作られたというのは、我々も十分承知しているところでございます。今回話させていただいたのは、皆がよりよい衛生管理を行うに当たって、長期的に見ると、そういった課題があるのかなということだったので、業界の取組も十分承知しておりますので、そこは私も理解しているところでございます。以上です。
○合田座長 ありがとうございます。それでは、消団連の郷野構成員の手が挙がっています。よろしいですか。
○郷野構成員 よろしくお願いします。私からは、ちょっと前に戻ってしまうのですけれども、事務局より御報告のあったところについて4点ほどお願いがございます。また、構成員お二人の御発表について、ちょっと感想などをお伝えさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 まず1点目です。食品衛生基準行政の消費者庁への移管につきまして、今の時点で特段の疑問や懸念はございません。消費者庁、食品安全委員会、農林水産省、厚生労働省などの関係省庁が、これまで以上に連携を深めながら取組を推進して、一体的な遂行に支障がないよう努めていただければと思っております。また、移管後の消費者庁の組織体制については、必要な定員や体制が確保されることを望んでおります。加えて、消費者庁の役割として、これまで同様に消費者行政の司令塔機能であるとともに、食品安全行政の司令塔として役割をしっかり担っていただきたいと思っております。
 2点目です。食中毒の事案についてです。夏場は特にカンピロバクターやO157、サルモネラ等の被害事例を耳にいたします。消費者が家庭内の衛生管理をすることも必要ですけれども、飲食店で提供された料理による食中毒が後を絶たないというのは、事業者の認識不足が原因の場合も多いと思われます。加熱不十分な鶏肉や生のレバーなどが提供されることがないよう、食材が新鮮だから大丈夫、高級品だから大丈夫という認識は誤っていることを事業者の皆さんに重ねて周知徹底していただくよう、継続的な取組をお願いいたします。
 3点目です。食品衛生法の15年ぶりの改正に伴い、HACCPの制度化や、営業許可制度の見直しが行われました。そんな中で、近年キッチンカーによるおいしくて手軽な飲食物の販売などが、あちらこちらで増えていると感じています。新規参入の事業者も多い中で、この改正食品衛生法はちょっと理解しづらい部分も多いのではないかと懸念しております。営業許可制度の見直しは、全国的な基準の統一を図ることを目的としながら、運用は各自治体が行うものとして、小さな認識の違いなどに気付かずに行ってしまう法違反の可能性があるのではないかなと感じております。便利でおいしいキッチンカーでの調理品やテイクアウト、楽しいイベントでの飲食などが、食の安全を脅かすような結果にならないよう、行政指導は引き続きお願いしたいと思っております。
 4点目になります。食品の産地偽装について、これまで度々問題になってきましたけれども、残念ながら食品表示基準に定められた原料・原産地の表示義務を守らない食品関連事業者が後を絶ちません。生鮮食品の原産地とか加工食品の原料・原産地を適切に管理して表示する体制はもちろん重要ですけれども、事業者においては、従業員の継続的な社内研修、不正を発見するための仕組み作り、内部通報制度の整備、また、行政においては、モニタリングの強化や相談窓口の仕組みも重要と感じておりますので、体制の強化をお願いいたします。
 構成員のお二人の御発表、どうもありがとうございました。まず、内藤さんの御発表につきまして、個人事業者や小規模事業者に対するHACCPの導入につきましては、本当にどこの自治体でも御苦労されているところだなと思っております。資料には「監視指導」というふうに書いてございましたが、食品衛生協会さんとか、各団体さんとか、保健所の皆さんとか、本当に寄り添い型の相談、支援というスタンスで取り組まれているように、消費者のほうは感じております。こうした御尽力があって私たち消費者の食の安全が守られていることに、感謝申し上げたいなというふうに思いました。
 片野さんの御発表もありがとうございました。片野さんの御発表の中にもございましたけれども、食品のリコールについて、私からも意見がございます。データベースを見ると、表示の一部欠落や誤表記による自主回収が多いように見受けました。安全性には問題ないけれど、例えば何か表示を間違えたような場合、業者はどう対応したらよいのか。食品ロスを減らす観点から、大幅な廃棄にならないための方向を、厚労省からももっと働きかけてもいいのではないかと思います。例えばポップシールなど、簡単な修正で安易に廃棄されることがないような工夫をした例などがあれば教えていただきたいなということと、また、そういう事例がもしあるのであれば、共有することで食品ロスを削減していける観点から、リコールを見直す必要もあるのではないかなというふうに思いました。以上です。よろしくお願いいたします。
○合田座長 ありがとうございます。今の郷野構成員からの御意見につきまして、事務局のほうはありますか。三木さん、お願いします。
○三木食品監視安全課長 監視安全課でございます。いろいろ御発言、御意見をありがとうございました。いろいろ手引書のお話もありましたけれども、そこについては、やはり事業者さんのみならず、食品衛生監視員、使われる方の利便性というか、使いやすさということについても、いろいろ自治体さんのほうと考えていきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
 今お話のございましたことについて、カンピロとかO157とかサルモネラとかの食中毒が、夏期ですので増えている。コロナも終わって、いろいろ飲食店が再開されるにおいて、飲食店でのそういった食中毒事例というのも増えているというのは事実でございます。加熱不十分であるとか、牛肉の生レバーについては法律に違反することになりますけれども、そういった監視指導を自治体さんのほうでもしっかりやっていただいていますし、事業者の方の周知についても、厚生労働省でもSNS等を活用して、周知啓発を徹底してございますので、ここについては、食中毒の未然防止という観点で、引き続きやっていきたいと思ってございます。また、キッチンカーとかテイクアウトも含めて、いろいろ非接触のような形で食事を得て食べるというのが浸透してきているということと、広がってきているという現状は、おっしゃるとおりでございます。これについても、新規参入に当たっては、キッチンカーの場合には営業許可が必要となりますので、営業許可を取られる際に、自治体さんのほうでしっかりと衛生管理についても、その後の衛生管理についても確認をしていただいているということもございますし、引き続きそういったことも含めて食の安全確保というのは図っていきたいと思ってございます。
 また、リコールの関係です。そこはデータベースを御覧いただいて、表示の一部欠落とか誤表示ということですが、アレルギー表示とか健康に重大なもので表示の欠落というのは、健康被害に直結をするということもございますので、そういう意味ではリコールをしていっているというふうに思っております。申し訳ありません、この食品表示法は消費者庁のほうの管轄になりますので、消費者庁のほうにはお伝えをさせいてただいて、どういったような対応ができるのかどうかというのは、また御検討いただくような形でさせていただければと思っております。大角構成員のほうからも御意見がありましたけれども、リコールの目安というのはなかなか作りづらいというか、作れるかどうかということもございますので、引き続き、リコールについては、先ほど片野構成員のほうからもお話がありましたけれども、どういうふうな形ができるかということを含めて、今後の課題とさせていただければと思っております。監視課のほうからは以上でございます。
○合田座長 ありがとうございます。基準課はよろしいですか。ありがとうございます。今、三木課長からも少し御説明ありましたけれども、よろしいですか。
○郷野構成員 はい、大丈夫です。よろしくお願いいたします。
○合田座長 ありがとうございます。それでは、ほかに御質問等はございますか。Webの先生方もよろしいですか。それでは、どうもありがとうございます。たくさんの御意見を頂きましたので、少し時間は早いですけれども、本日の御議論はここまでとさせていただきたいと思います。本日の議論も踏まえまして、今後の進め方や次回以降の日程等につきまして、事務局で検討をお願いします。それでは、事務局から連絡事項をお願いいたします。
○原澤生活衛生・食品安全企画課課長補佐 事務局でございます。本日は多くの御意見を頂きまして、誠にありがとうございました。本日頂いた御意見等を踏まえまして、座長とも御相談の上、次回以降の進め方を検討していきたいと思います。日程は調整の上、改めて御連絡させていただきます。事務局から以上でございます。
○合田座長 ありがとうございました。それでは、本日の懇談会は以上で終了いたします。皆様、お忙しいところを誠にありがとうございました。