第195回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

日時

令和5年9月1日(金)15:00~17:00

場所

会場
厚生労働省 職業安定局第1会議室及びオンライン
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階公園側)
傍聴会場
厚生労働省 雇用環境・均等局大会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館13階公園側)

議事

議事内容
2023-9-1 労働政策審議会職業安定分科会(第195回)
 
○山川分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第195回「労働政策審議会職業安定分科会」を開催いたします。
 皆様方、大変お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の委員の御出欠の状況ですが、公益の阿部委員。労働者代表の津村委員、平山委員。使用者代表の小野委員が御欠席と伺っております。使用者代表の大下委員におかれましては、所用で30分程度遅れての御出席になります。
 カメラ撮影がありましたら、ここまでとさせていただきます。
 本日の分科会は、Zoomによるオンラインと会場での開催になります。オンラインでの発言方法等につきましては、事前に事務局よりお送りしております「職業安定分科会の開催・参加方法について」に沿って御操作をお願いいたします。
 それでは、議事に入ります。
 議題の(1)は「「看護婦等の確保を促進するための措置に関する基本的な方針」の改定について」となります。
 では、事務局から説明をお願いします。
○井上人材確保支援総合企画室長 事務局の人材確保支援総合企画室長です。よろしくお願いします。
 私のほうから、まず、資料の1-1に基づいて説明させていただきたいと思います。
 看護師等の人材確保につきましては、看護師等の人材確保の促進に関する法律に基づきまして基本方針を定めているところでございます。当該基本方針につきましては、平成4年に策定された後、現行まで改定がなされてこなかったところでございます。この間、看護師等の就業動向も変化しておりますし、コロナなど、新興感染症の発生等も踏まえた看護師等の確保対策が必要になっているといったことから、医道審議会の看護師等確保指針検討部会のほうにおきまして検討がなされ、8月24日に取りまとめがなされたところでございます。
 当該指針の変更に際しましては、看護人材確保法におきまして、指針のうち、病院等に勤務する看護師等の雇用管理の改善に関する事項、看護師等の就業の促進に関する事項、その他看護師の確保の促進に関する重要事項に関しまして、労働政策審議会に意見を聴くものとされております。この規定に基づきまして、今回、医道審議会における議論をまず御報告させていただきたいと思います。
 改定のポイントの内容につきましては、次の資料1-2を御覧ください。
 最初に、今回のポイントの概要をまとめたものをおつけしておりますが、具体的な説明は、以降の資料に沿いまして、分量が多いために、主に労働政策に関する部分を中心に御説明させていただきたいと思います。
 資料の1ページに進みます。
 最初に、「1.看護師等の就業に関する動向」について御説明します。
 看護師等の就業者数につきましては、1990年の83.4万人から2020年の173.4万人と増加し、就業場所につきましても、訪問看護ステーション、また介護保険施設といった場所で就業する看護師の方が割合として増加している。
 また、60歳以上の高齢層の看護師等が増加しているといった就業の動向の変化を記載しているところでございます。
 続いて、今後の就業の傾向といたしまして、2025年の看護師等の需要数の推計値は180.2万人となっております。一方で、看護師、准看護師の有効求人倍率につきましては2.20倍と高くなっており、今後とも看護師等の不足が見込まれること。また、地域や領域ごとに需給の状況も異なってくる。このため、地域・領域ごとの課題に応じた確保の対策が重要であるといったことを記載しているところでございます。
 次の2ページに移ります。「3.病院等に勤務する看護師等の処遇の改善等」についてです。
 まず、(1)夜勤等の業務負担の軽減及び業務の効率化に関し、看護師等の確保・就業継続のためには、労働時間の短縮、そして業務負担の軽減が必要であること。
 また、夜勤等の負担軽減を図っていくことが必要であること。夜勤の実施に際しまして、労働基準法に基づく休憩を設けることですとか、労働安全衛生規則の規定に基づく適当な仮眠場所を設けることといったことを盛り込むほか、年次有給休暇の計画的な取得、労働時間等設定改善法に基づく勤務間インターバルの確保の努力、病院等のICT化等の積極的な推進による看護業務の効率化を図ることが重要であるといったことを盛り込んでいるところでございます。
 続きまして、(2)給与水準等につきましては、病院の労使におきまして、業務内容、業務状況を考慮した給与水準となるように努めることとしております。 その他、最近の看護師の処遇改善に係る取組を盛り込んでいるところでございます。
 次の3ページに移ります。
 (3)看護業務の効率化・生産性向上に関しまして、タスク・シフト/シェア、情報共有方法の見直し、AI・ICT等の技術の活用を通じまして、病院等の状況に応じた最適な就業環境となるようにすることが重要であるといったことを盛り込んでいるところでございます。
 次の(4)勤務環境の改善に関しまして、結婚、妊娠・出産、子育て、介護といった理由でやめる方も多くなっており、定着促進のため、ライフステージに対応した相談体制とか勤務環境の整備が重要であること。地域医療介護総合確保基金等を活用した院内保育所の運営など環境整備の推進とか、両立支援助成金、また医療勤務環境改善支援センター等を活用し、育児・介護休業法に定める各種措置を適切に実施することを盛り込んでいるところでございます。
 その他、メンタルヘルス対策として、労働安全衛生法に基づく適切なストレスチェックの実施、この点も盛り込んでいるところでございます。
 続いて、4ページに移ります。(5)病院における雇用管理体制の整備やハラスメント対策に関し、引き続き、病院における雇用管理の責任体制を明確化するということに加えまして、労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法等に基づきまして、職場におけるハラスメント対策に取り組むこと。また、患者・家族による暴力・ハラスメントに関しましても、対策を講じることを支援するための取組を推進していくことといった点を盛り込んでいるところでございます。
 続いて、(6)チーム医療、タスク・シフト/シェアに関しまして、チーム医療を推進するためには、タスク・シフト/シェアが重要であること。看護師等が看護補助者へのタスク・シフト/シェアを進め、協働を推進していくことが重要であるといったことを盛り込んでいるところでございます。
 次の5ページに移ります。「5.看護師等の就業の促進に関する事項」についてです。
 (1)新規養成、復職支援及び定着促進を三本柱とした取組の推進に関しまして、冒頭申し上げましたように、看護師等の需給の状況は地域・領域別に異なるということもあり、その課題に応じた対策が重要であること。そのために、ナースセンターにおける就業促進への取組が重要であるといったことを盛り込んでいるところでございます。
 なお、新規養成の部分につきましては、労働政策審議会への意見聴取の対象事項ではないため、説明を割愛しておりますが、2の「看護師等の養成に関する事項」のほうに盛り込まれております。
 (2)職業紹介事業、就業に関する相談等の充実に関しまして、復職支援を強化するため、2024年度から運用開始を予定しております看護職の人材活用システムを活用いたしまして、ナースセンターにおきまして、個々の看護師等の特性に応じた職業紹介、就業相談、復職に資する研修の提供、ナースセンターが看護人材確保法に基づきまして、離職した場合の届出を受けるということになりますので、潜在看護師を把握し、復職支援に活用するといったことを盛り込んでいるところでございます。
 次の6ページに移ります。
 事項的には先ほどの続きになりますが、ハローワークにおきましても、ナースセンターとの連携を通じたマッチングの強化を図ること。民間の有料職業紹介事業者につきましても、一定の水準を満たした事業者を認定する制度を推進するといったことを盛り込んでいるところでございます。
 (3)スキルアップ支援の充実につきましては、先ほど申し上げた看護職の人材活用システムを活用いたしまして、ナースセンターが看護師等のスキルアップの支援を充実すること等を盛り込んでおります。
 (4)地域の課題に応じた看護師等の確保につきましては、都道府県は、ナースセンター等の関係者と連携しながら、都道府県・二次医療圏ごとの課題を把握し、新規養成・復職支援・定着促進を三本柱とした取組を進めることが重要であるといったことを盛り込んでいるところでございます。
 次の7ページに移ります。
 (5)領域の課題に応じた看護師等の確保に関してであります。
 訪問看護の看護師の確保等のため、都道府県におきまして看護師等を確保するための方策を定め、着実に実施していくことが重要であること。ナースセンターとか職能団体におきまして実践的な研修を実施することですとか、ナースセンターにおける職業紹介の推進といったことを盛り込んでいるところでございます。
 (6)生涯にわたる看護師等の就業推進につきましては、高年齢者の看護師等の就業の推進が重要という状況でございますので、高年齢者雇用安定法に基づく65歳までの高年齢者雇用確保措置の着実な実施、70歳までの高年齢者就業確保措置への努力、ナースセンターにおける高年齢者の看護師への支援といったものを取り組んでいくことを盛り込んでいるところでございます。
 次の8ページに移ります。
 「7.その他」の(3)の部分でありますが、看護師等の確保を図るための看護補助者による業務実施の推進に関しまして、タスク・シフト/シェアのところでも少し触れておりますが、看護補助者が実施可能な業務につきましては、看護補助者が担っていく環境を整備していくことが重要であり、国における研修プログラムの開発、好事例の情報発信、ナースセンターにおける無料職業紹介の実施が重要であるといったことを盛り込んでいるところでございます。
 また、今回の基本方針の見直しに際しまして、この間、方針が長らく改定されなかったということもございますので、今後は医療提供体制に係る見直しの状況等を踏まえ、必要に応じて指針の見直しを行うといったことを、指針の「はじめに」というところで盛り込むこととしております。
 以上、駆け足になりましたが、改定する指針のポイントになります。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 それでは、本件につきまして御質問、御意見がありましたら、挙手していただくか、またはオンライン参加の方々は手を挙げるボタンをクリックしていただいて、こちらが指名させていただいた後にお名前をおっしゃっていただいて御発言をお願いいたします。御質問、御意見等ございますでしょうか。
 冨髙委員、どうぞ。
○冨髙委員 1点確認させていただいてよろしいでしょうか。冒頭、御説明の中で、医道審議会の関係する部会の中で8月24日に取りまとめされたというお話でした。取りまとめた後ですけれども、本日の会議で議論した内容のうち、修正の必要があると判断されたものについては、反映されるという認識でよろしいでしょうか。。
○井上人材確保支援総合企画室長 御質問いただきました点につきましては、医政局と協議しておりまして、本日いただいた意見を踏まえまして、改めて修正したもので労働政策審議会のほうでお諮りしたいと思っております。その状況につきましては、医政局のほうから医道審議会のほうにも御報告させていただくという形で進めたいと思っております。
○山川分科会長 よろしいでしょうか。
○冨髙委員 その上で意見、よろしいですか。
○山川分科会長 お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
三十数年ぶりの指針の改定は、望ましいものだと考えておりますけれども、30年前と今だと、かなり環境が変わっており、様々見直さなければいけないこともあるかと思います。その根幹には、看護師の皆さんの雇用の安定や処遇の改善、キャリア形成などを図ることで、「働きがい・やりがい」を持って取り組んでいけるような環境整備が重要だと考えていますし、そのことが結果として看護師の皆さんの確保、また質の高い看護というものにつながっていくと考えております。例えば資料1-3の新旧対照表1ページの旧の記載では「また、サービスの提供者である医療従事者」とあり、看護師等が健康で業務に意欲を持って取り組むことは重要であるということが書いてあります。
一方で、今回の指針の変更を見てみると、看護師の確保という視点に少し重きを置いているのではないか、看護師の「働きがい・やりがい」などの視点が少し欠けているのではないかと思っています。そのような視点は、本指針の全般を通じて入れていただくことが重要なのではないかというのが1つでございます。
 それから、同じような観点で申し上げると、資料1-2の2ページに、給与水準等について記載していただいております。命を預かる働き方に見合った継続的・抜本的な賃金の改善というものがなければ、安定的なサービスにも支障を来すのではないかと考えますが、改定案の中では、2ページの最終段落のところに「各医療機関等の実情に応じて」という文言が入っております。
 処遇の改善を含めた給与水準というものは、雇用情勢などに応じて個別労使で決定することは当然のことですけれども、この「各医療機関等の実情に応じて」という文言があることで、処遇改善を見送る理由とされないか懸念しており、この文言をあえて入れる必要があるのかと考えています。ぜひそこの部分は御検討いただければと考えておりますので、意見として申し上げておきたいと思います。
 以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 では、宮田委員、お願いします。
○宮田委員 ANAの宮田でございます。
 私のほうからは、今回御説明いただきました方針の改定案につきましては、その方向性を含めて、大変支持させていただければと思います。その中で、方針自体は、現状、あと、今後の課題を含めて対応されているのですけれども、まさにコロナも含めて、特に命を預かる現場ということでいくと、今ある現状に対応するということで、どうしても現場は頑張らざるを得ないというところが実態かと思っています。今回、様々な勤務改善等も入っておりますけれども、本当にそれができるためには、AI・ICT等の対応があっての抜本的なものがあっての実現かと思っていますので、ここに書かれていることが本当に現場の中で運用できるような形の大きな仕組みであったり、サポートができるような対応をお願いできればと思っております。
 私のほうからは以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 続きまして、馬渡委員、どうぞ。
○馬渡委員 全国中央会の馬渡でございます。
 先ほど冨髙委員がおっしゃった部分の後のほうになるのですけれども、看護師さんたちの確保基本方針のポイントマル2というところに、夜勤等の業務負担の軽減及び業務の効率化ということがはっきり書いてあります。
 それで、そういったことも図りつつ、3ページに勤務環境の改善というのが書いてあります。離職の理由をきちんと探ってあるのですけれども、結婚、妊娠・出産、子育てが多いということで、ライフステージに対応した働き方を可能にする相談体制、環境整備が重要ということと、その下に、事業所内の保育事業等の話も書いてありますけれども、我々の周りでも資格を持った看護師さんがたくさんいらっしゃるのですけれども、結局、夜間勤務を必ずしなければいけない看護師さんにおいては、この妊娠・出産、子育ての間に子供さんたちをどうやって預けられるか。夜間保育の問題とか病中・病後児の保育の問題とか、そういうものがトータルで改善されないと、離職は戻ってきてもらえないのではないかなと思っております。
 そういったものをきちんと同時にやっていって、新たに来ていただく方を増やすのも大事だと思うのですけれども、資格を持っているのに離職されている方もしっかり働いていただける。特にエッセンシャルワーカーというのであれば、同時に子育ても両立できるようにするというのは非常に重要なことだと思っておりますので、夜間保育の部分もきちんと考えていただかないと、たくさん入ってきていただいて、たくさん離職されるというのになるのではないかなと懸念いたしておるところでございます。
 以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 続きまして、山田委員、お願いします。
○山田委員 山田です。御指名ありがとうございます。
 私からは4点、意見を述べさせていただきたいと思います。
 1点目です。医療現場では、慣習や人手不足により、労働基準法などの労働関係法令が守られていないという状況が一部見られるという指摘があります。そのため、全ての医療機関などにおいて関係法令が遵守されるべきことが前提である旨を、新しい指針の「はじめに」に追記する検討をすべきではないかという意見です。
 2点目です。資料1-2の2ページの勤務間インターバルについてです。勤務間インターバルを確保するよう「推奨」や「努力」という文言で書かれていますが、安心で質の高い看護の提供のためには、適正な休息が不可欠です。特に夜勤や緊急処置のための時間外労働が多い職場においては、勤務間インターバルの確保が難しい状況も多いと思います。勤務医の皆さんにおいても、9時間の勤務間インターバルの確保が求められており、看護師などを含む医療現場全体でのタスク・シフトやシェアなどの取組の推進によって、勤務間インターバルをはじめとする休息を取りやすい環境整備に努めていただきたいと思います。
 3点目です。資料1-2の3ページの勤務環境の改善についてです。母性保護及び母性健康管理措置などの実施はもとより、女性のライフステージごとの様々な健康課題も勘案した内容を追記すべきだと考えていますので、御検討いただきたいと思います。
 最後に4点目です。4ページのハラスメント対策についてです。連合では、2022年にカスタマーハラスメントに関する調査を実施して公表しておりますが、その調査では、医療従事者に対するカスタマーハラスメントの深刻さが明らかとなっています。指針のハラスメント対策には、カスタマーハラスメント対策も当然含まれているものと認識していますが、ハラスメント防止の観点から、国・都道府県においては、患者やその家族への啓発も併せて取り組んでいただきたいという意見です。
 以上、よろしくお願いします。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 では、中窪委員、どうぞ。
○中窪委員 ありがとうございます。
 これはもう皆さん、感じられているのだと思いますけれども、30年、これが放っておかれたということに驚きを感じておりまして、特に新旧対照表、1-3ですか、「看護婦」という言葉になっているのを見て本当に驚きました。法律が変わったときに当然変わっているのだろうと思っていたのですけれども、指針まで及んでいなかったということで、今後はこういうことのないように、指針も適時に見直して、就業環境の改善確保にぜひ努力していただきたいと思います。
 それから、関連しての質問としましては、新旧対照表の最初のところに「取扱注意」という言葉がついているのですけれども、今、拝見するとネットでも出ているようですが、これはどういう注意なのかということを教えていただければと思います。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 では、御質問の点は事務局からいかがでしょうか。
○井上人材確保支援総合企画室長 今、「取扱注意」と記載しているのは、事前に御説明している際につけておりまして、本来は削除しておくべきものでした。申し訳ございません。差し替えさせていただきたいと思います。
○中窪委員 分かりました。ありがとうございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 ほかに御質問、御意見。
 新田委員、どうぞ。
○新田委員 
 御説明ありがとうございました。今し方、中窪委員からもありましたとおり、今回の指針の改定が1992年(平成4年)以来ということに、私も非常に驚きを感じております。今回の指針の法的根拠である「看護師等の人材確保の促進に関する法律」の第1条を初めて見てみたのですが、その中に「我が国における急速な高齢化の進展及び保健医療を取り巻く環境の変化等に伴い」という文言が入っています。にもかかわらず、指針の改定がなぜ1992年(平成4年)以来になったかについて、差し支えなければ、御説明をお願いできればと思います。
 加えて、今後については、適宜適切な時期に、社会情勢の変化や関連法の改正等をきちんと指針に反映させていただきたいと思います。
 2点目ですが、先ほどの冨髙委員の意見と同じで経団連も近年、エンゲージメント、働きがい、やりがいを非常に重視しています。そういった観点では、改定前の指針にあった「業務に意欲を持って取り組む」というくだりが、今回の改正案では抜け落ちているように感じます。エッセンシャルワーカーの不足が非常に問題になっていることも踏まえ、エンゲージメント、働きがいといった部分の加筆・修正等を御検討いただきたいと思います。
 私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 1点御質問がありましたが、事務局から何かございますか。
○習田医政局看護課長 医政局看護課長でございます。
 30年間、なぜ見直されてこなかったのかという点でございますが、この基本指針が策定された後は、これを踏まえて、そのときの状況に併せて看護職員確保対策を講じてまいったところですが、中長期的な観点に立って、この指針の見直しをするということには至らなかったというところが正直なところでございます。
 ただ、先ほど御指摘がありましたとおり、この人材確保法の趣旨に鑑みますと、状況に応じて指針を改定すべきものと考えておりますので、今般、必要に応じて指針の見直しの検討を行う旨の規定を入れたところでございます。
 以上でございます。
○山川分科会長 新田委員、よろしいでしょうか。
○新田委員 ありがとうございました。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 ほかに御質問、御意見等ございますか。
 冨髙委員、どうぞ。
○冨髙委員 先ほど、いろいろな方から追記してはどうかという御意見があったかと思いますが。そこに対する回答はあるのでしょうか。
○井上人材確保支援総合企画室長 そうしましたら、現状、いただいたお話の中で、今、事務局として考えているものを御回答申し上げたいと思います。
 最初に、冨髙委員のほうからいただいた、やりがい、生きがいという視点、あと、先ほど新田委員からも同趣旨の御意見をいただいております。どこに記載するのかという点は、少し事務的に検討させていただきたいと思いますけれども、生きがいを持って看護師の方が働けるようなという観点も少し追記することについて、医政局と調整させていただきたいと思っております。
 また、冨髙委員からいただいた2点目の給与水準のところについては、医道審議会における議論の状況を含めて、看護課のほうで少し御説明いただければと思います。
○習田医政局看護課長 先に一通り。
○井上人材確保支援総合企画室長 この点については、後ほど看護課のほうから説明させていただきたいと思います。
 また、御質問いただいた中で、山田委員からの意見として労働関係法令の遵守ということをいただいていたかと思います。ここの部分につきましては、ちょっと細かくなってしまうのですが、資料1-3の新旧対照表の中で、19ページの「五 職場における雇用管理体制の整備及びハラスメント対策」のところで、労働関係法令をきちんと周知していくことが重要であるということに鑑みまして、最初のところで、病院の責任者もこういう雇用管理をきちんと理解する。そのための十分な知識・経験が必要である。それに際して、労働関係法令の周知・徹底をきちんとしていくという点から現行のものに盛り込まさせていただいているところでございます。
 そして、勤務間インターバルにつきましては、御意見という形で承りたいと思います。
 母性保護の部分につきましては、労働基準法で定める母性保護規定とか、男女雇用機会均等法に定めます母性健康管理の規定といった趣旨が入るように、少し調整を進めたいと思っているところでございます。
 今のところいただいた意見に対する回答は以上です。
○山川分科会長 それでは、習田看護課長、お願いします。
○習田医政局看護課長 先ほど給与水準のところで「各医療機関等の実情に応じて」という文言は要らないのではという御指摘だったかと思いますが、これについては、個々の医療機関の経営状況とか福利厚生対策を踏まえて、労使において決定されているものだと判断しておりますので、ここについては「各医療機関等の実情に応じて」という文言はこのままでいきたいと考えております。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 何かございますでしょうか。
 冨髙委員。
○冨髙委員 ありがとうございます。
 今、いただいたように、それぞれの状況があるのは我々も十分承知していますが、各医療機関の給与水準には、かなり格差があると思っておりますし、医療機関の設置主体によっても対応が異なっている中で、「各医療機関等の実情に応じて」という文言によって、不当に就労改善が見送られるようなことがあってはならないと思います。その点は、国のほうで各医療機関の格差是正や処遇改善の推進の取組が進むように、支援等をしていただきたいと思います。
 また、賃金だけでなく退職金なども含めて大事なことだと思っていますので、その点も明記していただければと思っております。
 それから、先ほど中窪委員、新田委員から、指針を定期的に見直すことが重要というお話がありましたけれども、労働側もそのように思っております。医療の提供体制にも関わる話であるため、この審議会だけでなく、医療審議会などにおいても丁寧に報告がされるよう、お願いしたいと思います。
 以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 ほかに御質問、御意見等、今の点、あるいは全般的にわたってのものでも結構ですけれども、ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 この議題(1)につきましては、今、事務局から現段階で考えていることということでお話がありましたけれども、改めて次回以降の職業安定分科会において、本日、各委員からいただきました御意見、あるいは30年あまりの経過の中での法令、その他の状況変化を踏まえて、改めて御審議をさせていただくということを予定しております。
 事務局、そういうことでよろしいでしょうか。
○井上人材確保支援総合企画室長 はい。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 では、本議題は以上になります。習田看護課長は御退席いただいて差し支えありません。お疲れさまでした。
(習田医政局看護課長退席)
○山川分科会長 では、次の議題に移らせていただきたいと思います。「産業雇用安定助成金(雇用維持支援コース)の支給要件の見直しについて」の報告になります。
 では、事務局から説明をお願いします。
○柴田労働移動支援室長 労働移動支援室の柴田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 資料2を御覧ください。1ページ目をお願いします。産業雇用安定助成金(雇用維持支援コース)の支給要件の見直しについて御報告いたします。今回の見直しは、省令改正ではなく要領の改正という形になりますので、6月26日以降、直近の分科会の開催となりました本日に御報告という形を取らせていただいております。
 産業雇用安定助成金(雇用維持支援コース)は、コロナ禍におきまして雇用調整助成金の給付による雇用維持ではなく、労働力を有効に活用する在籍型出向による雇用維持を支援するために創設されたものであります。
 見直し内容は、本コースの制度の趣旨にございます、新型コロナウイルス感染症の影響によって急激に事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、在籍型出向により労働者の雇用を維持するためといった趣旨に沿いました運用となりますよう、6月26日付で支給要件の見直しを行ったものでございます。
 見直しの内容は、3点ございます。
 1点目は、出向元事業主の雇用量要件の追加でございます。出向元の雇用量が増加していないことを確認するものでございます。従来、出向先の雇用量が減少していないことを確認する要件はございまして、この要件は、出向先が出向者を受け入れて、今まで雇っていた労働者を解雇することを防止する意味がございました。今回追加いたしましたのは、出向元の雇用量の増加についてですが、出向者を出向させて新たに雇い入れを行ったり、雇い入れた上で別の方を出向させているといった例がございました。
 制度創設当初には、既に内定を出した方もいらして、雇用量の増加を伴っての在籍型出向をせざるを得ない状況があり、そういった事業主も助成金の対象としてきたところでございますが、コロナが始まり3年が経過いたしまして、新型コロナウイルスの影響もある程度予測できる中、雇用量を増加させて在籍型出向を活用するのは、雇用を維持するためには当たらないと判断して、今回、見直しを行ったところでございます。
 2点目でございますが、出向元事業主の生産量要件の変更でございます。従来の生産量要件の原則は、最近1か月の値が前年同月に比べ5%以上減少していることとしておりまして、併せまして、前年同期以外にも前々年以前の同期との比較が可能でありましたり、1年前から前々月までの適当な月との比較が可能となっておりました。これを前年同期及びコロナ前の同期と比較して5%以上減少していることといたしまして、前年同期とコロナ前の2つの時点で売上高等を確認することとしたものでございます。この変更は、コロナ前と比較すると売上高が減少しているものの、前年同期と比較すると減少していない場合。例えば1年以上前に既に事業を縮小している場合におきましては、出向計画を提出した時点での急激な事業活動の縮小には当たらないものと判断したものであります。
 3点目でございますけれども、出向先事業主の事業所設立後の期間に関する要件の追加であります。新規に法人を設立し、労働者を出向させている例がありますが、それ自体、問題となるものではございませんが、例えば同じ事業主が新規の事業所を設立して出向させている事例が見られるなど、こちらも制度の趣旨から見直しが必要と判断したものでございます。
 次ページを御覧ください。制度創設時から令和5年7月までの出向計画の受理状況でございます。
 左上の朱書きの出向労働者数ですが、2万人の方に御活用いただいております。その横になりますけれども、出向元事業所は約2200事業所となっております。
 中ほどの月別の受理状況を御覧いただきますと、令和5年7月の実績は、今回の支給要件の見直しの影響もございまして、令和5年度の各月の1割強まで減少している状況となっております。なお、今回の見直しは、令和5年6月26日以降に提出される出向計画に係るもので、6月26日以前に提出された出向計画による出向は、従前の支給要件により助成金の支給対象となります。
 今後も制度の趣旨に沿った運用となるよう努めてまいります。
 私からは以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの件につきまして御質問、御意見がありましたら、先ほどと同様の方法で御発言をお願いいたします。御質問、御意見等ございますでしょうか。
 新田委員、お願いします。
○新田委員 御説明ありがとうございました。
 今回の要領の改正は、同コースの本来の趣旨に沿った支給要件の見直しと理解しています。コロナ禍で講じた特例措置等については、その効果を継続的に検証しながら、実効性の低いもの、あるいは本来の趣旨に沿っていないものについては、今後もぜひ適宜適切な時期に見直しを図っていく必要があると思っておりますので、その点、お願いしたいと思います。
 私から以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 本件につきましては、報告事項ということになっております。それでは、本議題については以上になります。
 予定されておりました議題は以上で終了しましたけれども、この際、委員の先生方から何か御発言等ございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、本日の分科会はこれで終了いたします。大変ありがとうございました。