令和5年度第9回医薬品等安全対策部会安全対策調査会 議事録

日時

令和5年9月21日(木) 16:00~18:00

場所

厚生労働省 仮設第4会議室
(オンライン会議場)

議事

○医薬安全対策課長 それでは、先生方おそろいになりましたので、令和5年度第9回「薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」を開会いたします。
 本日御出席の委員、参考人の先生方におかれましては、お忙しい中、御出席をいただきまして誠にありがとうございます。
 今回の会議の公開につきましてはYouTubeによるライブ配信で行うこととしておりますので、御理解、御協力のほどお願いいたします。議事録については、後日、厚生労働省ホームページに掲載いたします。
 また、今回もウェブ開催としており、対面での進行と一部異なる部分があります。議事に先立ち、審議の進行方法などについて事務局より説明させていただきます。
○事務局 事務局より御説明申し上げます。
 まず、ハウリング防止のため、御発言以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
 御意見、御質問をいただくときは、ミュート解除し、初めにお名前をお知らせください。御発言のタイミングが重なったりした際は、調査会長から順に発言者を御指名いただきます。その他、システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事前に伝えしている事務局の電話番号まで御連絡をお願いいたします。
 また、もし、事務局のサーバーがダウンするなどトラブルが発生した場合は、事務局から一斉にメールで御案内いたしますので、御確認いただけますと幸いです。御不便等おかけするかもしれませんけれども、何とぞ御理解、御協力のほどお願い申し上げます。
 事務局からは以上になります。
 それでは、これから先の議事進行につきましては、調査会長の岡先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○岡座長 調査会長の岡です。座長を務めさせていただきます。委員の皆様には円滑な議事進行に御協力をお願いいたします。
 今回もウェブ開催ということで、事務局から御説明がありましたけれども、これまでの御説明に御質問、御意見等はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、議事に入る前に委員の出欠状況等について事務局から御説明をお願いします。
○事務局 本日の委員の出欠状況について御報告いたします。
 現時点で6名中6名の委員に御出席いただいておりますので、薬事・食品衛生審議会の規定により定足数に達していることを御報告申し上げます。本日の会議が成立するという形になります。
 続きまして、本日、参考人として御参加いただく先生方を御紹介いたします。
 議題1「ニトロソアミン類の混入による健康影響評価について」の関係で、国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター安全性予測評価部部長の増村健一先生、それから、日本糖尿病学会より、岐阜大学医学部附属病院副病院長、矢部大介先生に御出席をいただいているところでございます。
 また、議題2「アセトアミノフェンを含有する製剤(医療用)の『使用上の注意』の改訂について(補遺)」の関係で、日本腎臓学会より、藤田医科大学医学部腎臓内科主任教授、坪井直毅先生、それから、藤田医科大学医学部腎臓内科学客員教授ブリガムウイメンズホスピタル病理学ポストドクトラールフェロー、伊藤辰将先生に書面にて御意見をいただいているところでございます。
 以上になります。
○岡座長 続きまして、審議参加に関する遵守事項について御説明をお願いします。
○事務局 本日御出席の委員及び参考人の方々につきまして、議題1の対象品目、競合品目の製造販売業者からの過去3年度における寄附金・契約金などの受領状況を御報告いたします。
 対象品目・対象企業及び競合品目・競合企業について、事前にリストを各委員・参考人にお送りして確認をいただいたところ、石井委員より、小野薬品工業株式会社、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社より50万円以下の受け取り、柿崎委員より田辺三菱製薬株式会社より50万円以下の受け取り、舟越委員より小野薬品工業株式会社、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社、田辺三菱製薬株式会社より50万円以下の受け取り、それから、矢部参考人より、小野薬品工業株式会社、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社、田辺三菱製薬株式会社より50万円を超えて500万円以下の受け取りと御申告をいただいているところでございます。
 全ての委員におかれましては、意見陳述、議決のいずれにも加わっていただくことができます。また、参考人につきましても意見陳述が可能であるということを確認しているところでございます。
 続きまして、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告させていただきます。
 薬事分科会規程第11条においては「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」という規定がございます。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますことを御報告させていただきます。
 報告は以上になります。
○岡座長 ただいまの事務局からの御説明に、御意見、御質問等はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、事務局から本日の資料の確認をお願いします。
○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 資料はあらかじめお送りさせていただいておりまして、議題1に関して、資料1-1から資料1-3及び参考資料1-1から1-3まで。議題2に関しまして、資料2-1から2-2まで及び参考資料2を準備してございます。また、議事次第、資料一覧、委員・参考人名簿及び競合品目・競合企業リストがございます。お手元に御用意のない委員がいらっしゃいましたら、お知らせいただければと思います。
 なお、これらの資料につきましては、厚生労働省のホームページにも掲載しておりますので、オンラインで傍聴されている方はそちらを御参照いただけますと幸いです。
 以上になります。
○岡座長 よろしいでしょうか。お手元にございますでしょうか。
 それでは、議題1「ニトロソアミン類の混入による健康影響評価について」の審議を行いたいと思います。事務局から御説明をお願いします。
○事務局 議題1について御説明いたします。
 本日御審議いただく事項は、資料1-2のシタグリプチンとなりますが、それに先立ちまして、1日許容摂取量を設定するために必要な毒性データのないニトロソアミン類について、1日許容摂取量を設定する際の新しい手法が策定されておりますので、資料1-1を基に御説明させていただきます。
 これまで、毒性データのないニトロソアミン類については、構造が類似する化合物のデータに基づき1日許容摂取量を設定してきました。しかし、このアプローチには、構造が類似する化合物の選び方について確立した手法がないという課題がありました。
 このような状況の中、1日許容摂取量を設定する手法の一つとして、本年7月にEMAがCategorization Approach(CPCA)というものを公表しています。
 CPCAは、1日許容摂取量を設定するために必要な毒性データのないニトロソアミン類について、資料1-1の2ページに示しております、検討するニトロソアミン類の構造に関するアルゴリズムを用いて、1日許容摂取量を18、100、400、または1,500ngのいずれかに分類する手法となっております。本邦においてもCPCAの実装の可否について検討いたしまして、本年8月に事務連絡を発出し、1日許容摂取量を設定するために必要な毒性データのないニトロソアミン類についてはCPCAを使用しても差し支えない旨を周知していますので御報告いたします。
 続いて、資料1-2を御覧ください。
 シタグリプチンについては、ニトロソアミン類の一種であるNTTPが検出されたことを受け、昨年9月に事務連絡を発出していました。資料1-2の1ページ目の「経緯」の箇条書き2点目のとおり、この事務連絡では、NTTPは動物における遺伝毒性(DNAへの毒性)といったものや発がん性に関するデータがなく、発がん性を有するかが不明であること、また、シタグリプチンの製販業者がNTTPについて追加の非臨床試験の実施を検討しておりまして、その結果がまとまり次第報告する予定であること、また、患者自身の自己の判断により本剤を中止しないこと等を周知していました。今回は、製販業者から資料1-3のとおり追加の非臨床試験の結果等が得られましたので、健康影響評価の結果とともに御説明させていただきます。
 実施された非臨床試験の結果は、資料1-2の2ページ目、3ポツを御覧ください。
 本試験では、ラットにNTTPを投与し、臓器における遺伝毒性が評価されております。その結果、肝臓で遺伝毒性が認められました。実際の結果は、資料1-3の表1にまとめられてございます。こちらが、NTTPが遺伝毒性を認める用量の信頼区間の下限値と上限値がそれぞれBMDL50、BMDU50として示されています。なお、この表では、参考として、公表文献等に基づくNDMAやNDEAのBMDL50とBMDU50のデータと、NDMA、NDEAの発がん試験に基づくAI(許容摂取量)、こちらは遺伝毒性の試験とはまた別物になりますけれども、発がん試験に基づくAIが記載されておりまして、NTTPの部分については、NTTPの構造類似物とされている物質における発がん試験のデータに基づいて37と記載されております。
 
 今回、ラットで遺伝毒性が認められたとの結果から、NTTPは発がん性を有することが示唆されます。しかし、この試験は遺伝毒性を評価したものであり、この結果から、発がん性に関する1日許容摂取量を直接的に設定することは現時点で難しいものと考えられます。
 続いて、4になりますが、健康影響評価の結果についてです。
 NTTPの1日許容摂取量は、その根拠となる直接的な発がん性試験のデータがない状況ですが、資料1-2の3ページのとおり、CPCAが公表される前ではありますが、欧米は構造類似物のデータに基づいて37ngが適当である旨を公表しているところでございます。一方で、冒頭に御説明させていただいたCategorization Approach(CPCA)に基づくと、1日許容摂取量は100ngとなります。
 製剤中のNTTP量は、ロット間でばらつきはございますが、シタグリプチン単剤の1日最大用量に相当する100mg製剤では平均1.30ppmとなっています。1.30ppmは、ngに換算すると130ngであり、37や100といった1日許容摂取量、こちらは国際的なガイドラインに基づいて、一生涯の曝露を想定した場合に理論上の発がんリスクが10万人に1人増加する量となっておりますが、こちらを上回っている状況です。
 資料3ページ目の3ポツのとおり、シタグリプチンの製販業者は、製法変更等により製剤中のNTTPを37まで低減する方針で検討を進めています。1日許容摂取量を超えるNTTP量が含まれる製剤の使用による健康影響評価として、本剤の国内での承認から、市場の製剤がNTTPを低減した製剤に完全に入れ替わると見込まれる時期(令和9年2月)までの間にシタグリプチン100mgを毎日服用した場合の理論上の発がんリスクが計算されておりまして、こちらがNTTPの1日許容摂取量を37ngとした場合にはおよそ11万5000人に1人が、1日許容摂取量を100ngとした場合には、およそ31万2000人に1人が過剰にがんを発症する程度のリスクに相当するとされています。
 今後の方針案につきましては、資料の4ページを御覧ください。
 医療機関等に対しては、先ほど御説明したリスクの程度、すなわち、本剤の国内での承認から令和9年2月までシタグリプチン100mgを毎日服用した場合の理論上の発がんリスクは、およそ11万5000人に1人、または31万2000人に1人が過剰にがんを発症する程度であることを踏まえて本剤を使用するかを検討してほしいこととか、患者の自己の判断のみにより服用を中止しないよう説明してほしいことなどを周知する事務連絡を発出する予定です。
 御説明は以上となります。
○岡座長 それでは、本日御出席いただいております参考人の先生方から御意見をいただきたいと思いますけれども、まず最初に矢部参考人より御意見をいただけますでしょうか。
○矢部参考人 ありがとうございます。
 資料のほうの説明を受けまして現状が分かったところでございます。DPP-4阻害薬においては、現在、我が国のおおむね6割強の糖尿病のある方々が利用している薬剤でありますし、また、本日の議題に登場しておりますシタグリプチンにつきましても、これはファーストインクラスで、DPP-4阻害薬の中でも一番処方が多いものでございます。ですので、今回のエピソードを公認していく場合に、やはり慎重に適切な形で処方医だけではなくて、使用している方々に周知徹底をしていただく必要があるかと感じた次第です。
 以上です。
○岡座長 ありがとうございました。
 続きまして、増村参考人より、御意見をいただけますでしょうか。
○増村参考人 増村です。
 健康影響評価のところを重点にコメントさせていただきます。
 事務局から説明がありましたとおり、ニトロソアミン類の混入したものの評価については、7月の終わりから8月にかけて各国で新しい許容摂取量の設定法が導入されております。先ほど説明があったCPCAという方法ですけれども、そちらに基づいて計算しますと、資料にあるとおり、今回の場合は100 ng/日がAIというか許容の曝露量になるのですけれども、ただ、先ほど御説明がありましたとおり、実はこのCPCAという新しい方法が導入される前に、既にNTTPというシタグリプチンのニトロソアミン類不純物については、構造類縁物から類推するという方法で、37 ng/日というAIが欧米で設定されていたという状況でございます。
 ですので、今回、新しいCPCAが導入されたことによって、CPCAに基づく100 ngという許容摂取量の値と、それ以前に、構造類似物からの類推で設定された37 ngという許容摂取量と、2つが同時に存在するような状況になっております。
 これを将来的にどうやって統一していくか、あるいは国際的に同じにしていくかということには、まだ多少時間がかかるのではないかと思っております。個人的には、CPCAを用いた100 ngのほうにまとまっていくのではないかなと考えておりますけれども、こういった例が、シタグリプチンだけではなくて、ほかにもありまして、そういったものについて、どうやって統一的に統合していくか、例えばCPCAに統一していくかということについては多少時間がかかると思っています。
 今回の事務局案では、CPCAを導入した100 ngという値と、それ以前に公表されている37 ngという値の両方でもって、発がんリスクについての影響評価のところを、両方の場合の計算を記載していただいている状態になっております。
 ただ、結論としましては、こちらに書かれているとおりでして、おおよそ10のマイナス5乗オーダー、10万人に1人前後、あるいはそれを下回る過剰発がんリスクというところに落ち着いているとまとめていただいております。
 取りあえず私からは以上です。
○岡座長 ありがとうございました。
 それでは、本件について、委員の先生方から御意見、御質問等をいただきたいと思いますけれどもいかがでしょうか。
 伊藤委員、お願いいたします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
 先ほど御説明を伺いまして、シタグリプチンが市場で欠かせない薬剤であるということは理解いたしました。今回の測定結果とかを見ますと、また、今回もロット間差もあるようですし、計算していただいたリスクよりも混入の高いロットを飲み続けることはないにしても、危険性がある程度あるということなのかなと思うのです。
 資料1-2の3ページ目のところの説明を見ますと、製法の変更等により製剤中のNTTPを低減する方針でということで、そういう検討されているのかと思うのですが、その見込みといいますか、どのぐらい低減できそうなのかということと、もし、そういう低減された製剤が製造できるようになりましたら、この後、現状のものが入れ替わるのが令和9年2月と想定されているのですけれども、それを待たずに、現状のものを回収してリスクの少ないものに入れ替えるとか、そういったことは検討されないのでしょうか。あるいは、それは現実的ではないのでしょうか、教えていただければと思います。
 以上です。
○岡座長 事務局、今の御質問についていかがでしょうか。
○事務局 事務局からです。
 製造販売業者において、低減措置を講じた新製剤の承認販売というところは、来年を見越して今進めていると伺っております。今御指摘いただいたとおり、できる限り早く市場の製剤がリスク低減措置を講じた製剤に入れ替わるように努めることが重要と考えています。
 一方で、シタグリプチン製剤というのは、先ほど矢部先生からもありましたとおり、本邦における糖尿病治療薬のうち相当程度を占めておりますし、使用患者数も非常に多いということで、回収をするといった場合には、シタグリプチンや、あるいは他の薬剤により治療している患者への影響も考慮する必要があると考えております。
 この辺り、矢部先生から、使用患者数や回収した場合への影響ですとか、そういったところの補足、コメント等はございますでしょうか。
○矢部参考人 ありがとうございます。
 先ほども申しましたように、糖尿病のある方々がかなりの数この薬剤を使われているわけです。特に、同じクラスとして、ほかの企業が出しているDPP-4阻害薬も一部ございますが、代替薬としてシタグリプチンの代わりを務められる量を急遽準備ができるかどうか、ほかの企業と相談が必要ですし、DPP-4阻害薬におけるシタグリプチンのシェアを鑑みると少し難しいかなという印象を受けているところでございます。
 以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
 あと、先ほど伊藤委員の御質問の中では、大体どのくらいのレベルになりそうかという御質問もあったかと思うのですけれども、その辺りは何か情報がございますか。どの程度まで下がるのかという。
○事務局 事務局より回答させていただきます。
 最終的には、現時点で製法変更などを行いまして、NTTPは37までを下げるというところで検討を進められているところでございます。
○岡座長 伊藤委員、いかがでしょうか。
○伊藤委員 ありがとうございます。
 少しでもリスクの少ないものを提供できたらと思いますので、その辺り、可能な範囲で御検討いただけるといいかなと思いました。ありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。
 そうしましたら、続いて佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 ありがとうございます。
 資料1-3の表1についてお伺いしたいのですけれども、NTTP、AI値については、上の2つの化合物とは別の根拠でNTTPは決められている。一方、BMDLについては、NTTPは非常に桁違いに高い値になっているというところで、NTTPの安全性はある程度予測できるのではないかと思いました。ですので、増村先生の許容量が100ngになるのではないかというご意見は非常にうなずける話だと思ってお伺いしていました。そのあたり、相関に関してはいかがでしょうか。
○岡座長 これは増村先生に御質問ということでよろしいですか。
○佐藤委員 増村先生にもし御教示いただければありがたいのですけれども。
○岡座長 お願いできますでしょうか。
○増村参考人 増村です。
 佐藤先生のコメントのとおりで、私も基本的にはそういう理解をしております。資料1-3の6ページの表1のところに、今回の対象になっているNTTPというものは、これ自体の発がん性試験のデータがないわけですけれども、そのために、構造類似物質とか、あるいはCPCAといった方法で、37とか100という推定値としてAIが決まっているわけなのですが、一方で今回提出されてきたマウスを使った遺伝毒性試験の結果から、in vivoの遺伝毒性の強さを既知の発がん性ニトロソアミンと比較してみると、NTTPというのは、例えばNDMAのような発がん性ニトロソアミンと比べても、遺伝毒性の強さは10倍以上低いというような結果が出ています。
 今回の表1の真ん中のライン、NDMAという代表的な発がん性ニトロソアミンですけれども、こちらのAIが発がん性データから96という値になっていて、大体100ぐらいということなので、これと比べても遺伝毒性がNTTPは1桁以上低いというのであれば、AIが37という、NDMAよりも強いということはないのではないだろうかと。せめて100よりは弱いだろうと考えられる、そういうことをサポートするようなデータかなと思っていますので、今後、37か100かみたいな議論でどちらかに統一しようということになった場合は、恐らくこういうサポートデータを考慮して、100側に行くほうがリーズナブルなのではないかと私は思っています。
○佐藤委員 分かりました。ありがとうございました。
○岡座長 ありがとうございました。
 そうしましたら、柿崎委員、お願いいたします。
○柿崎委員 柿崎です。
 先ほどの製法変更等によりNTTPを低減する方針ということだったのですけれども、これは、先発品だけでなくジェネリック医薬品も含めてそういった方向でよろしいのでしょうか。
○岡座長 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 御質問、ありがとうございます。
 製法とか具体的な基準値については、機密情報もございますので、なかなかお答えしづらい部分もあるのですけれども、基本的には、後発品についても、原則として先発品の品質も含めて劣らないような形で進めていくのではないかとは考えております。
○柿崎委員 分かりました。
○岡座長 ありがとうございます。
 そのほかにいかがでしょうか。
 舟越委員、お願いします。
○舟越委員 舟越です。
 事務局に確認なのですが、CPCAで評価することで、迅速的に対応ということについては、使うことはいいのかなと思いますけれども、今後、こういった毒性試験とか、そういったものを免除するような方向になっていくのか、それとも企業ごとに異なっていくものなのでしょうか。
○岡座長 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 ありがとうございます。
 こちらについては変異原性不純物、遺伝毒性のある不純物については、国際的なガイドライン、ICH-M7の考え方に沿って、一般的には変異原性不純物は1日摂取量を1,500ngとするところ、ニトロソアミン類のような一部の発がん性が強い可能性があるものについては、構造活性相関などを用いながら1,500より低い値を適宜設定していくこと考えがございますので、その中で、CPCAとか構造類似物のデータに沿った許容摂取量が適宜設定されてきたという背景がございます。
 今回、構造類似物を使う場合に、どの物質が一番似ているのかという課題が一番大きくございまして、その点においては言葉が適切か分からないですけれども、CPCAがある程度恣意性を排除できるという観点からも、こちらがメジャーになっていくのだろうとは考えています。
 また、その上で、別途企業においてさらなる試験を行いまして、もう少し適切な、精度の高い許容摂取量を設定し得るのではないかという考えがあるのであれば実施することはあるのだと思うのですけれども、CPCAが基本になっていくのだろうと思います。
 ただ、一方で、許容摂取量が既知のニトロソアミンが出たり、許容摂取量、既知の化合物とほとんど構造が似ているものがデータとしてある場合には、CPCAよりも構造類似物のほうがいいのではないかという議論はあり得ると思いますので、その辺りは適宜選ばれるのだと思うのですけれども、実際にそのものを用いた毒性試験をやるかどうかについては、企業判断になるのではないかと考えております。
○舟越委員 ありがとうございました。
 方向性だけ確認させていただきました。よく分かりました。
○岡座長 ありがとうございます。
 そのほかはよろしいでしょうか。
 そうしますと、議決のほうに移らせていただきますけれども、先ほどいただいた御意見の中で、切り換えに関して、回収は難しいという状況はあるようですけれども進めていただくこと、あるいは後発品についても十分配慮していただくといった御意見、御指摘もいただきましたので、そういう点で配慮いただきながら、資料1-2の今後の方針案にありますような進め方ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○岡座長 皆様うなずいていただいておりますので、御異議なしとさせていただきます。
 それでは、本議題に関する今後の進め方について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 御議論いただきありがとうございました。資料1-2の今後の方針案に記載のとおり、医療機関等に対しましては、本剤の使用に当たっては、先ほど御説明させていただいたリスクも踏まえて検討していただきたいとこと、また、患者の自己判断のみにより本剤の服用を中止しないよう説明してほしいことなどを周知するための事務連絡を発出させていただきます。
○岡座長 ありがとうございます。
 それでは、本議題は終了したいと思います。増村参考人並びに矢部参考人におかれましては、大変貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。私も非常に勉強になりました。これ以降、御意見を求める予定はございませんので、途中で御退席いただいても差し支えございません。どうもありがとうございました。
○増村参考人 ありがとうございました。失礼します。
○岡座長 それでは、報告事項であります議題2「アセトアミノフェン含有する製剤(医療用)の『使用上の注意』の改訂について」の報告を行いたいと思います。事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 議題2について御説明いたします。
 資料2-1「アセトアミノフェンを含有する製剤(医療用)の『使用上の注意』の改訂について(補遺)」を御覧ください。
 アセトアミノフェンを含有する製剤(医療用)の「使用上の注意」の改訂については、7月25日に開催した令和5年度第4回医薬品等安全対策部会安全対策調査会において禁忌解除の審議をいただきました。このうち、腎障害の既往のある患者に関して、当日、腎臓学会から御意見をいただき、再度情報を確認しましたので御報告いたします。
 1ポツを御覧ください。
 7月の調査会において参考人として招聘した日本腎臓学会の専門家から、2ページ目の添付文書の改訂案のうち「特定の背景を有する患者に関する注意」(新記載要領の場合。旧記載要領では「慎重投与」の項)に記載予定の「腎障害またはその既往歴のある患者」に関して、次の2点の指摘がありました。
 1点目として、「腎障害の既往歴のある患者」について、例えば、現在は腎機能(GFR等)が回復しているような患者に対して注意喚起を行う必要があるのか。アセトアミノフェンの薬理作用からも、注意喚起の対象は「腎機能障害のある患者」に限定すべきではないか。
 2点目として、「腎障害またはその既往歴のある患者」への注意喚起として「投与量の減量、投与間隔の延長を考慮すること。症状が悪化または再発を促すおそれがある」と記載されていますが、「再発を促すおそれ」について明確なエビデンスがなく、記載は不適切ではないか。
 この指摘を受けて、2ポツに記載したとおり、再度検討したところ、国内副作用症例報告において、腎障害の既往歴のある患者でアセトアミノフェン製剤を服用したことによる腎障害の再発が疑われる症例が確認されていることから、原案のとおり「既往歴のある患者」も注意喚起の対象とすべきと判断しました。
 3ポツになります。
 この結果について、参考人に再度意見を求めたところ、資料2-2の意見書が提出されました。改訂案について御了承いただくとともに、資料2-2の2ページ「2.再発」部分にあるように、アセトアミノフェン投与により紫斑病性腎炎の再発が疑われた症例報告として、新たに参考文献を御紹介いただきました。このため、記載内容は原案のとおりとし、この記載の引用に御紹介いただいた参考文献を掲載することとしました。
 なお、意見書では、併せて「1.症状の悪化」や「3.腎障害」の記載に関して、腎機能に係る「症状の悪化」や透析の用語の扱いについても御指摘いただきました。この点については、添付文書の記載事項全体に係る指摘として引き続き検討していきたいと考えています。
 なお、7月の調査会の際において、アセトアミノフェンを含有するOTCの対応については、情報を整理した上で、後日、安全対策調査会に報告等することとしていました。アセトアミノフェンを含有するOTCについては、現行の添付文書では「してはいけないこと」に「本剤またはほかの解熱鎮痛薬、かぜ薬を服用してぜんそくを起こしたことのある人」が記載されている一方、医療用については、禁忌から、特定の背景を有する患者に関する注意、または慎重投与に記載場所を変更したところです。
 OTCについては、一般的に添付文書等の情報を基に自己判断で購入される状況等も踏まえ、情報提供はより慎重に行う必要があると判断し、現行の添付文書の変更は行わないことといたしましたので御報告いたします。
 御説明は以上となります。
○岡座長 ありがとうございます。
 7月の調査会に御出席いただいた坪井参考人並びに伊藤参考人の御意見なども含めて事務局から御説明いただきました。
 これは、あのときに皆様も御出席いただいていた調査会の中で、参考人のほうからどうなのかということで御意見をいただいた案件でしたけれども、本報告、このように御了解いただいたといったような御意見もついておりますけれども、何か御意見、御質問等はございますか。いかがでしょうか。まれではあるけれども、再発といいますか既往のある方が悪化したといったような報告があったということでございます。
 よろしいでしょうか。
 そうしましたら、あと、OTC薬については、先ほど御報告があったように慎重にすべきだということで、特に変更は今のところ考えておられないという方向ということで、一応前回積み残していた2つの課題について御報告がありましたけれども、これで本議題については御確認いただいたということにさせていただいてよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○岡座長 ありがとうございます。皆様うなずいていただきましたので、御確認いただいたということにさせていただきます。
 予定していた議題は以上ですけれども、事務局から何かございますか。
○事務局 ありがとうございます。特にございません。
 次回開催につきましては、改めて御連絡したいと思います。
 事務局からは以上になります。
○岡座長 それでは、本日の調査会を閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。