第85回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会

日時

令和5年8月29日(火)10:00~12:00

場所

会議会場及び傍聴会場 厚生労働省省議室
(千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館9階)

議事

議事内容
○大隈勤労者生活課長 それでは、定刻より少し早いですけれども、皆様、おそろいですので、ただいまから第85回「労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会」を開催いたします。
 事務局の勤労者生活課長の大隈と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、委員の皆様の改選後、初めての部会になりますので、部会長が選出されるまでの間、私が議事進行役を務めさせていただきます。
 まず、議事に入ります前に、事務局を代表いたしまして、雇用環境・均等局長の堀井より、御挨拶を申し上げます。
○堀井雇用環境・均等局長 7月4日付で雇用環境・均等局長を拝命しました、堀井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、第85回ということになると思いますが、労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会の開催に当たりまして、事務局を代表して、一言、御挨拶をさせていただきたいと思います。
 本日は、大変お暑い中、遠くからお集まりの委員の方もいらっしゃいます。誠にありがとうございます。
 本日の議題は、今日の議事次第の中にも書かせていただいておりますが、中小企業退職金共済制度の現状と令和4事業年度の決算の報告をさせていただきます。併せまして、手続のワンストップ化に係る改正省令案についての諮問ということで予定をさせていただいております。
 今日お集まりの委員の方々は、皆様、御案内の方も多いと思いますが、中小企業退職金共済制度につきましては、独力では退職金制度を設けることができない中小企業の方向けに、相互扶助の仕組みとして、昭和34年に設けられたものでございます。今回の手続のワンストップ化などもそのような代表例かと思いますが、その時々の状況に応じて制度改正を重ねております。社会・経済情勢がいろいろと変わっている中にありましても、中小企業で働く方々の福祉の増進に一層努めてまいりたいと考えており、そのことを通じて中小企業の振興にもつながることになると思います。引き続き、委員の皆様方の御熱心な御議論をお願いできればと思います。
 事務局を代表して、御挨拶させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○大隈勤労者生活課長 それでは、議事を進めさせていただければと思います。
 初めに、本日の部会は、対面のほか、Zoomによるオンライン形式でも御出席いただいておりますので、開催に当たりまして、簡単に操作方法について御説明させていただきます。オンラインの方は、事前にお送りしております「会議の開催・参加方法について」も併せて御参照ください。
 部会の進行中は、皆様のマイクをオフにしていただくようにお願いいたします。御発言される場合には、会場の皆様におかれましては挙手を、オンライン参加の方は「手を挙げる」ボタンを押していただき、部会長から指名があった後に、マイクをオンにしていただき、お名前を名乗っていただいた上で、御発言をお願いいたします。また、御発言が終わりましたら、オフに戻していただきますようにお願いいたします。なお、会議進行中に音声が途切れるなどの通信トラブルが生じた場合は、事前にお知らせしております電話番号までお電話いただくか、Zoomのチャット機能を御利用いただき、事務局まで御連絡いただければと思います。また、本日は対面参加の方とオンライン参加の方の両方がいらっしゃいます関係で、指名の順番については前後することがあるかと思います。なるべく挙手の順番となるように配慮させていただきたいと思いますが、その点は御了承いただけますと幸いでございます。
 それでは、今回は委員改選後初の部会になりますので、委員の皆様方の御紹介をさせていただきます。
 まず、資料1として、中小企業退職金共済部会の委員名簿をおつけしておりますので、こちらの名簿順で御紹介させていただきます。
 まず、公益代表委員として、
  学習院大学経済学部教授、清水順子委員。
  早稲田大学大学院講師、藤澤陽介委員。
  銀座新明和法律事務所弁護士、山本眞弓委員。
  名古屋市立大学大学院経済学研究科教授、山本陽子委員。
 また、本日は御欠席ですけれども、
  敬愛大学経済学部教授、高木朋代委員
がいらっしゃいます。
 清水委員、山本陽子委員につきましては、本日、オンラインで御出席いただいております。
 次に、労働者代表委員として、
  JAM総合政策グループ副グループ長、奥千穂委員。
  日本紙パルプ紙加工産業労働組合連合会中央執行委員長、佐藤順一委員。
  全国建設労働組合総連合賃金対策部長、長谷部康幸委員。
  日本労働組合総連合会総合政策推進局労働条件局長、森田義之委員。
 また、本日は御欠席ですが、
  労働者福祉中央協議会事務局長、南部美智代委員
がいらっしゃいます。
 南部委員の代理の方に本日はお越しいただいておりますので、後ほど、部会長より、代理出席についてお認めいただき、御紹介いただければと思います。
 次に、使用者代表委員として、
  日本商工会議所産業政策第二部労働担当課長、清田素弘委員。
  税理士法人丸の内ビジネスコンサルティング代表社員、須永明美委員。
  松江土建株式会社代表取締役社長、一般社団法人島根県建設業協会会長、平塚智朗委員。
  一般社団法人日本経済団体連合会労働政策本部上席主幹、間利子晃一委員。
 また、本日は御欠席ですけれども、
  株式会社フジワラテクノアート代表取締役副社長、藤原加奈委員
がいらっしゃいます。
 清田委員、須永委員につきましては、本日、オンラインで御出席いただいております。
 また、本日は、藤原委員の代理の方にオンラインで御参加いただいておりますので、後ほど、部会長より、代理出席についてお認めいただき、御紹介いただければと思います。
 本日は、公労使それぞれ1名ずつ欠席でございますが、労働政策審議会令第9条の規定による開催に必要な定足数を満たしておりますことを御報告いたします。
 頭撮りはここまでとさせていただきますので、カメラをお持ちの方は撮影を終了してください。
 続きまして、事務局の紹介を行います。
 冒頭に御挨拶させていただきました、雇用環境・均等局長の堀井でございます。
 大臣官房審議官の宮本でございます。
 勤労者生活課課長補佐の林でございます。
 同じく勤労者生活課課長補佐の池田でございます。
 以上でございます。
 続きまして、議題1に入ります。「部会長及び部会長代理の選任」でございます。
 本日は部会委員改選後初めての部会となりますので、部会長を選任する必要がございます。
 部会長につきましては、労働政策審議会令第7条第4項の規定によりまして、部会に属する公益を代表する本審の委員から、当該部会に所属する本審の委員が選挙することとされております。
 当部会におきましては、公益を代表する本審の委員でいらっしゃるのは、山本眞弓委員、お1人となりますので、山本眞弓委員に部会長をお願いしたいと思います。御異論はございませんでしょうか。
(首肯する委員あり)
○大隈勤労者生活課長 ありがとうございます。
 それでは、これ以降の議事進行につきましては、山本部会長にお願いしたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
○山本(眞)部会長 中小企業退職金共済部会の部会長に御指名いただきました、山本でございます。よろしくお願いいたします。
 続いて、部会長代理の指名について、進めさせていただきます。
 労働政策審議会令第7条第6項により、部会長代理は部会長が指名することとなっておりますので、私から指名をさせていただきます。
 本日、御欠席ではございますが、高木委員にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 また、本日御欠席の南部委員と藤原委員の代理の方の御出席を認めます。
 南部委員の代理として、労働者福祉中央協議会部長の関根新太郎様にお越しいただいております。
 また、オンラインで、藤原委員の代理として、全国中小企業団体中央会労働政策部副部長の木村恵利子様に御参加いただいております。
 よろしくお願いいたします。
 それでは、議題2「中小企業退職金共済制度の現況及び令和4事業年度決算について」を進めさせていただきます。
 まず、事務局からの説明をお願いした上で、その後、委員の皆様から御意見等をいただければと思いますので、事務局、御説明をよろしくお願いいたします。
○大隈勤労者生活課長 事務局から、説明させていただきます。
 資料2を御覧いただければと思います。
 こちらの議題は、毎年度1回、部会に御報告させていただいております。今回は、令和4年度の数字が出ましたので、こちらの数字の説明でございます。
 資料2の上の表が、「1 新規加入状況」でございます。こちらの一番下の段が令和4年度になっていますが、左側が共済契約者(事業主)数で、令和4年度の新規は1万7,787件となっております。また、右側は、従業員ベースの数ですが、被共済者数が46万6,957人となってございます。前年度と比較いたしますと、共済契約者数・被共済者数ともに若干減少しております。これにつきましては、物価高や円安の進行などによる中小企業の業績悪化懸念の影響、建設業につきましては、新規に建設業許可を取得した業者が減っていることなどが一つの要因と考えられるということでございます。下の段が、「2 在籍状況」でございます。令和4年度末現在、左側の共済契約者数は、合計で55万8,709件、右側の被共済者数につきましては574万8,715人という状況でございます。
 続きまして、2ページ目を御覧いただければと思います。こちらは、退職金の支給状況になります。令和4年度は、一番下、一番左のところに合計がございます。支給件数でいいますと35万1,757件でございまして、金額ベースの支給総額は4,394億円余りでございます。
 3ページ目でございます。左上、一般の中退共の平均掛金月額の推移でございますが、一般の中退共の平均掛金月額につきましては、5,000円以上3万円以下の中から選択できることになっております。また、短時間労働者は、2,000円、3,000円、4,000円から選べるということでございますが、これらの全部を合わせた平均を取ったところ、令和4年度につきましては9,638円となっておりまして、近年は少しずつ増加の傾向にございます。右側の5番、特退共の掛金日額は、それぞれ単一の日額として決まった額が設定されております。こちらに記載のとおりの額でございます。最近の変更としては、建設業のところ、建退共の掛金の日額を、前回の財政検証の結果を踏まえて、令和3年10月から310円だったところを320円にしたというところが変更点でございます。このページの下の6番、運用資産高の状況でございます。令和4年度の運用資産高は、左側にございますが、6兆3,900億円ほどとなっております。右側に内訳がございますが、大部分は一般の中退共が占めておりまして5兆3,000億円余り、それに次いで建退共が1兆500億円余りでございます。清退共は38億円、林退共は157億円という規模で運用しております。この資産運用の状況は、次の4ページから内訳を載せておりますので、こちらで御説明させていただきます。
 まず、この4ページが、一般の中退共における資産運用状況でございますが、上と下に大きく2区分があります。自家運用・委託運用ということで、自家運用につきましては、国債等の満期保有という形で、ある意味、リスクの少ない、安定した運用の部分でございます。こちらは年度ごとにありますが、令和4年度末の自家運用の合計を見ていただきますと、利回りというところに0.29という数字がございます。令和4年度のこの自家運用の利回りはプラス0.29%という結果でございました。表の下半分のところに、委託運用がございます。株式、債券、その他、信託銀行等へ委託している部分でございます。こちらも、委託運用の中の委託運用計の一番右、令和4年度末の利回りのところで御覧いただきますと、「△1.80」とございますが、マイナス1.80%でございます。こちらにつきましては、世界的な金利上昇による債券価格の下落などの影響もあるということでございますが、その結果、自家運用と委託運用で合計マイナス0.68%が一般の中退共の令和4年度の運用の結果でございます。若干補足させていただきますと、この資産運用は機構が行っておりますけれども、考え方としては、中長期的に安定的な収益を目指して最適と考えられるポートフォリオを組んで運用しているということです。ただ、この委託運用部分は単年度ごとに見ると非常に変動が大きい部分でございます。今の4ページの委託運用計のところで、令和4年度末はマイナス1.80%でしたけれども、遡って見ていただくと、令和3年度末はプラス1.23%、令和2年度末はプラス11.28%、平成31年度末はマイナス1.31%、平成30年度末はプラス1.00%ということで、金融市場の動向によってかなり変動する部分でございます。これは、基本的に市場全体の平均のベンチマーク収益率も同じように年度ごとに大きく変動している中で、機構の運用の結果も同じように連動して動いているところですが、この令和4年度までの直近5年間で機構の運用実績を見ると、市場平均のベンチマーク収益率を若干上回る結果となっております。もう1つ、機構の資産運用につきましては、専門家から構成される資産運用委員会のチェックを受けながら行っております。資産運用委員会からは、令和4年度の運用で損失が出たことについては、厳しい投資環境を踏まえればやむを得ない面があるということで評価を受けております。また、資産運用委員会では、ポートフォリオについて長期金利の見直しなどの前提条件が変化していないかということの検証も行っていますけれども、現在、金融政策と地政学リスクのいずれも非常に不確定要素が多い状況なので、当面は事態の帰趨を注視して、必要に応じて機動的な対応が取れるような体制を整えていきましょうという方針となっております。
 次のページから、建退共以下、特退共の部分の資産運用がございますが、この委託運用の部分は、基本的に令和4年度から一般中退共も特退共も合同運用としておりますので、結果、同じような傾向になるところでございます。5ページが、建退共でございます。建退共では、表が2つ、上下に分かれておりますが、中小企業に対する事業を給付経理という経理で行っております。附帯的に実施している中小企業以外の企業に対する事業が、下の特別給付経理でございます。給付経理のほうで御説明させていただければと思いますが、先ほどと同様に、上の表の右側、令和4年度の欄にありますとおり、自家運用の合計でいいますとプラス0.42%となっておりまして、委託運用の合計はマイナス1.83%となって、合計はマイナス0.35%という利回りでございました。
 6ページが、清退共でございます。清退共につきましても、建退共と同様に、給付経理と特別給付経理に分かれておりますが、給付経理のほうで利回りの状況を見ますと、自家運用の合計の令和4年度末の利回りがプラス0.19%、委託運用の合計の令和4年度末の利回りはマイナス2.04%となっておりまして、全体としてはマイナス0.34%でございます。
 7ページが、林退共でございます。こちらも、同様に、自家運用の合計の令和4年度末はプラス0.24%、委託運用の合計の令和4年度末はマイナス2.04%で、両方を合わせた全体はマイナス0.66%でございます。
 令和4年度はこのような運用の結果でございましたので、これが決算でどのようになっているかということが、続きまして、資料3でございます。
 資料3の1ページ目は、中退共と特退共を合わせた貸借対照表と損益計算書になっております。こちらにつきましては、下の損益計算書の下から3番目のところに、当期純損失という項目がございます。928億5,800万円という数字が当期純損失でございます。これは全体なのですけれども、個々の勘定ごとの資料が次の2ページ以降にありますので、こちらで御説明させていただきたいと思います。
 2ページ、一般の中退共勘定のものですけれども、まず、下の損益計算書を御覧いただければと思います。科目のところ、経常費用の中に運用費用という項目がございます。468億2,300万円が運用費用になっておりますが、これは委託運用でマイナスが出た分はこちらの運用費用に計上することになっておりますので、その分がこちらでございます。経常収益の中に運用収入が108億円ほどありますが、自家運用で出たプラス分はこちらに計上するということでございます。その他、いろいろとプラスマイナスの差引きがありますが、下から2番目、794億円、当期純損失が発生しておりまして、その結果、上段の貸借対照表の下から3番目、利益剰余金合計が4,485億円となっております。これは、前期までの利益剰余金から今期の794億円を引いた上で、現在、4,485億円という利益剰余金の水準となってございます。これにつきましても、資産運用委員会でも評価いただいていますが、4,485億円という水準にあることを考えると、令和4年度単年度の運用損失は財務基盤に特段不安を抱かせるようなものではないとされております。
 同様でございますが、3ページから、建退共の勘定でございます。下の段の損益計算書によりますと、令和4年度の運用費用は82億円、運用収入は32億円となっていて、当期純損失としては134億円でございます。前期までの利益剰余金から134億円を引いた結果、利益剰余金合計は約741億円となっております。これも、資産運用委員会では、財務基盤に特段の不安はないものと考え得ると評価をされております。
 4ページが清酒製造業退職金共済の勘定でございます。予算の規模は小さいですが、運用費用で見ますと2,500万円、運用収益が500万円で、差し引いて、当期純損失は8,700万円となっております。前期の利益剰余金から8,700万円を差し引いて、26億700万円が利益剰余金の合計でございます。これについても、資産運用委員会では、財務基盤に特段不安のない水準を確保しているという評価を受けております。
 5ページが、林退共でございます。林退共は、累積欠損金がある状態で、その解消を目指しているところでございますが、令和4年度につきましては、運用費用で1億4,800万円、運用収入が2,300万円、その他、差引きがあって、当期純損失として1億8,200万円が発生しております。これによりまして、前期までの繰越欠損金からこの1億8,200万円がさらに減って、繰越欠損金合計は4億9,200万円となっております。こちらにつきましては、令和2年度に累積欠損金解消計画を定めておりまして、その中では、令和4年度末の目安としてはマイナス7億2,300万円というラインの目安を引いておりましたので、それよりはまだよい状況ではございますが、累積欠損金がある状況には変わりがなく、厳しい状況にあると考えております。これについては、林退共も含めて、この特退共全体について、5年に1回、財政検証を行うことになっております。前回の財政検証が令和元年度から令和2年度にかけて行われましたので、そこから5年ということになると、次回は令和6年度から財政検証を行うことになる予定でございます。こちらの中退部会で御審議いただく予定となっております。
 最後のページは、手続的な決算確定までの流れを示したものでございます。令和4事業年度決算につきましては、法律に基づいて、機構が厚生労働大臣の承認を得ることになっておりますが、これは、定めのとおり、3か月以内に主務大臣の承認を確かに受けているということでございます。
 以上が、この議題の説明でございます。
○山本(眞)部会長 事務局から、今、議題2について説明がありましたので、御質問や御意見がありましたら、手を挙げていただくか、オンラインの方は「手を挙げる」ボタンを押してください。私から指名させていただきますので、そのときには、マイクをオンにして、お名前を名乗って、御発言をお願いいたします。
 長谷部委員、お願いいたします。
○長谷部委員 長谷部でございます。
 令和4事業年度の決算につきまして、資料2の1ページ、新規加入の状況でございますが、建退共では、共済契約者・被共済者ともに減少となっております。この間の予定運用利回りの引下げ等が加入促進の阻害要因とならないように、建退共制度の魅力向上に向けた検討をお願いしたいと思います。
 今、事務局からも御説明いただきましたが、来年度の2024年度は部会の中で財政検証の論議が開始される時期かと思います。資料2の5ページの資産運用残高及び利回り状況の建退共のところでは、令和4年度は委託運用でのマイナスが目立っております。既に合同運用等を開始していただいておりますけれども、引き続き、財政の安定的な運用等につきまして、資産運用委員会等で御議論いただき、改善などに努めていただきまして、予定運用利回りの引上げを含めました中小企業退職金共済制度全体の改善・拡充をお願いしたいと思います。
 以上です。
○山本(眞)部会長 ありがとうございました。
 少しまとめて、御意見、御質問を受けたいと思います。
 次に、オンラインの清水順子委員、お願いいたします。
○清水委員 御説明をありがとうございます。
 私は、事前説明のときにもお伺いしていたのですが、資料2の4ページ、資産運用残高の委託運用でございます。マイナスの御説明としては市場環境が難しかったからということだったと思うのですけれども、GPIFの運用状況と比べますと、昨年度は、機構がマイナス2.04%に対して、GPIFはプラス1.5%、その前年度の運用状況は、機構がプラス1.24%ですが、GPIFはプラス5.42%、その前の年、機構は12.17%のプラスですが、このときのGPIFは25.15%なのですね。はっきりと申し上げまして、今回、委託運用先が若干能力に欠けると私は思っております。重要なこの資産を安全に運用という趣旨は分かりますが、もう少しこのGPIFの運用内容を見習う形で何とかできないのかということを、今回、意見として言わせていただければと思います。
 よろしくお願いいたします。
○山本(眞)部会長 ありがとうございます。
 続いて、木村恵利子委員代理、お願いいたします。
○木村代理 御指名をありがとうございます。
 本日は、藤原委員の代理として、発言させていただきます。
 私も、資料2の新規加入状況の関連で意見と質問をさせていただこうと思います。
 令和4年度の共済契約者(事業主)数が、過去6年間の中で見ましても、減少の程度がちょっと目立っていると感じております。事務局からは、物価高や円安の影響を受けて中小の状況が悪化したことが要因の一つではないかというお話がございましたけれども、過去、平成29年度から6年間の中で、多少前後しているなといったところが、令和4年度ではがくっと下がっている具体的な要因の分析をされていれば、もう少し具体的に教えていただきたい。冒頭で局長からもお話がありましたとおり、中退共制度は、今、人材確保の面で中小は非常に苦労していますけれども、中小企業の福利厚生の充実といったところで加入していれば、うちには退職金制度がありますといったことをPRできますので、引き続きこの制度を維持していただくことが非常に重要だと思います。減少の一途をたどっていくといったことがないように、要因分析をしっかりと行っていただいて、対策を打っていただきたいということがお願いの一つです。
 もう1つ、これに関連して質問をさせていただきたいのですけれども、今、国の労働政策としては、円滑な労働移動を進めていくと打ち出されていますけれども、今後、転職をする人が増えていったときに、加入事業主数が減少していくと、転職先の事業所が加入している場合は通算できるという仕組みがあると思うのですけれども、その仕組みも結局は使えない、使いたくても使えないといった従業員の方のマイナスも多分出てくるのではないかと思います。私はあまり認識をしていないのですけれども、一般中退の事業主間で転職をされた従業員の方が、この制度を利用している年間の通算実績がどのくらいあるのかということが分かれば、教えていただきたい。今後、そういった国の円滑な労働移動をどんどん進めていこうといった政策に対応して、中退共制度も、12か月が支給要件としてあると思うのですけれども、その辺の仕組みを変更していくことも検討されているのか、事務局の現状のお考えで結構ですので、教えていただければと思います。
 よろしくお願いいたします。
○山本(眞)部会長 ありがとうございます。
 それでは、今の何点かの御質問と御意見について、事務局から、コメントをお願いいたします。
○大隈勤労者生活課長 御質問をありがとうございました。
 まず、長谷部委員から御質問いただいた点ですが、建退共制度も含めて、令和4年度から委託運用部分を基本的に合同運用にして、大きな塊にして、コストも少なくして運用しているということでございますが、先ほど御説明したように、資産運用委員会で専門家の方のチェックも受けながら運用しているということでございますので、なるべく最小限のリスクで安定した運用という方針でございますけれども、その中で予定運用利回りは確保できるような形でと考えてございます。特退共は、業界全体の動向などもございますので、まさに来年度からになる予定ですけれども、制度のあり方と財政検証について御議論いただくことになるので、その時点での最新状況を踏まえた今後の対策を考えていければと思っております。
 清水委員の御指摘でございます。勤退機構の資産運用は最小限のリスクで安定的な運用ということになっておりますけれども、少しGPIFと違うところは、掛金を納めていただいて個人ごとの積立型で運用していること、退職金を受けるまでの期間が大体10年や20年と年金ほど長期ではないこと、機構がいただいた掛金の中だけで運用していて国庫負担みたいなものが入っていないということです。運用でマイナスなどが出たときはお約束している利回りが約束できないという事態になってしまって、そういうことは避けるべきだということで、リスクは一定程度取るものの、最低限のリスクで運用するので、少しGPIFとポートフォリオの組み方が違うということではございます。運用の実績につきましては、資産運用委員会のチェックも受けながら行っておりますし、運用委託先の機関、アセットマネージャーのパフォーマンスなども含めてチェックをして、運用委託先は複数あって、リスクを分散しながらやっていますけれども、場合によっては、取り替えるということも含めてチェックをかけてございます。そうした中で、できるだけいい結果を出していけるようにということでございます。清水先生の御意見は実際に機構にも伝えてまいりたいと考えております。
 木村委員代理の御意見ですけれども、令和4年度に新規加入事業者数が減っていることにつきまして、先ほど申し上げたような円安や物価高などによるものが一つは考えられるということですけれども、月ごとの数字なども見ていて、必ずしもこの要因であると明確に言えるようなものが今のところはない、見つかってはおりませんが、引き続き要因は考えていきたいということと、今年度、中退共に加入している企業あるいは現在加入していない企業に対するアンケートを取ることにしておりまして、加入している企業については加入している理由、加入していない企業については加入していない理由など、幾つか項目を聞いて、それを加入促進に役立てていきたいと考えております。そうしたことを通じて、どういうところにネックがあるのか、どういう点を改善すれば加入が進むのかといった点をさらに改善していきたいと思っております。加入促進についても、今度の10月は加入促進月間となっておりまして、中小企業関係団体の皆様、自治体関係機関などに加入促進のお願いをする期間でございますので、そこでも、中退共に加入することのメリットなども含めて、PRを訴えていきたいと思います。企業間を移ったときの通算の取扱いですけれども、令和4年度で言いますと、2万286件になっております。前の令和3年度が1万8,798件でございますので、若干増えているという傾向にございます。制度的なところは、今度、特退共のあり方の見直しもありますが、実際に通算するときの要件、どういう場合に通算できることとするかということについて、そこにも課題がもしあるということであれば、検討の対象にはなってくるかと思います。今、直ちにここをこうしようと考えているということではないのですけれども、今後の検討の課題の中で出てくる可能性はあるということでございます。
 ひとまず、御質問については、以上でございます。
○山本(眞)部会長 各委員の方、今のコメントというか、御説明でよろしいでしょうか。大丈夫そうですか。
○木村代理 ありがとうございました。
○山本(眞)部会長 ほかに、御質問、御意見等はございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、この件は一応報告を受けたということで、次に進みたいと思います。
 続いて、議題3「中小企業退職金共済法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」に入ります。
 この件は、8月25日に厚生労働大臣から労働政策審議会宛てに諮問がなされておりますので、まず、事務局からの説明をお願いした上で、御意見等をいただければと思います。
 それでは、事務局、説明をお願いいたします。
○大隈勤労者生活課長 事務局から、御説明させていただきます。
 まず、資料4が、厚生労働大臣から労働政策審議会宛ての諮問文でございます。
 資料4の別紙に、中小企業退職金共済法施行規則の一部改正の省令案要綱がございますが、縦書きになって読みにくい部分もございますので、資料5に内容の概要を記載した資料を用意させていただいております。
 資料5の表紙をめくっていただければと思いますが、最初に、改正の趣旨でございます。この独立行政法人勤労者退職金共済機構が、5年に1回、中期計画を立てて、事業を進めていくことになりますが、この令和5年3月に第5期の中期計画を定めております。この中で、建設業退職金共済事業につきまして、共済契約者が保有する建設業許可番号等を活用することで、共済契約者の住所等の変更手続のワンストップ化を図るという内容を打ち出しておりまして、今回はこの内容を実現するために必要な改正を行うものでございます。IIが、省令案の概要で、大きく(1)と(2)の2つがございます。共済契約者の住所等の変更手続のワンストップ化と共済契約者証票交付の取扱いの明確化・電子化でございます。
 現行の仕組みも併せて、3ページに図を用意させていただいておりますので、こちらで先に御説明させていただければと思います。3ページの上側が、現行の仕組みでございます。共済契約者は、建設業者になりますが、現在、赤い線で書いてあるところ、建設業法に基づいて、住所などの変更があったときは、変更届出書を国土交通大臣又は都道府県知事に出していただく必要があります。それに加えて、現在、建退共に入っていただいている場合は、この青い線も必要になってまいります。住所等の変更があった場合は、この勤退機構にも変更届を出していただく。そのときは、持っておられる共済契約者証票も出していただく。その上で、今度は緑の線になりますが、機構では、それを受け取って、この共済契約者証票の住所などが変更された後のものをお戻しするという流れです。ここの※で書いていますけれども、戻すほうの緑のラインは、現在、特に省令にも何も記載はないですが、事実上は行っているということ、現在は紙でやっているということでございます。この下半分が、この度実施したい内容でございます。ワンストップ導入で、この赤いラインの建設業法上の手続はこれまでと一緒でございます。この青い線のところが、勤退機構への届出は不要にしたいということでございまして、それに代わるものとして、この赤いラインの国土交通大臣又は都道府県知事から、一般財団法人建設業情報管理センターというところが建設業許可番号の管理をしているところですが、そこから住所の変更があったといったデータを提供いただいて、それを受けて機構が建設業者に共済契約者証票の変更後のものをお戻しするという流れにしたいということでございます。併せて、この赤い字で書いてあるところですが、緑の線で戻すというところは、現在、省令には何の規定もないところで、省令で明確化する、併せて電子データでの交付も可能にすることを考えております。
 前のページに戻っていただければと思いますが、以上の内容が(1)と(2)でございます。(1)が手続のワンストップ化なのですけれども、機構が一般財団法人建設業情報管理センターから建設業許可番号に紐付けられている住所等の情報提供を受けることで、建設業許可番号を機構に任意で提出し、機構が住所等の変更の確認を行うことに同意した共済契約者については、機構への住所等の変更の手続を不要とできるように、必要な改正を行うものでございます。この建設業許可番号には住所等の情報が紐付けられていますが、これは非公開の情報ではなくて、そもそも国土交通省のホームページで検索すれば出てくるオープンな情報なのですけれども、変更があったことはそれを見ているだけでは分からないので、変更があった旨の情報を機構にいただけるような仕組みをつくること、この共済契約者が同意した場合だけ、これを適用することとしたいということでございます。※印の記載ですけれども、この機構においては、建設業許可番号との連携に加えて、法人番号等の公的な仕組みによるデータとの連携も検討しているということです。国税庁で同様にオープンな法人番号と住所が紐付いた情報がございますので、そちらの連携もできれば同じようにやりたいということなので、今回の省令改正では、建設業許可番号に限定した書き方にはせずに、機構が定める方法により住所等の変更を確認することに同意した共済契約者については、変更の届出を不要としたいということでございます。(2)証票交付の取扱いは、現在、省令の明文で規定されていなかったところ、明確に規定することと、電子データでの交付も可能にする、電子情報処理組織を使用する方法により行うことができるという旨を省令で定めたいということでございます。こちらは、利用者の利便性の向上につながる改正と考えておりますので、できるだけ早めに改正したいということですが、一定の周知期間を取る必要はあるかと思いますので、その関係で、この部会で御了解いただければ、令和5年10月上旬に公布して、2か月ほど周知期間を取って、令和5年12月1日から施行したいということでございます。
 パブリックコメントについて、補足させていただきます。本日諮問させていただいた施行規則の改正案は、並行した手続で、この7月21日から1か月間、8月20日まで、パブリックコメントを行って、2件、御意見をいただきました。省令案の変更を要する御意見はございませんでした。このうち、今回の改正内容と関係のある意見は1件でございましたが、御意見の内容としては、建設業許可番号の活用に当たって、機構の定める方法を具体的に明らかにして、共済契約者に同意を求めるという理解でよいのか、また、この機構の定める方法を変更した場合は共済契約者に改めて同意を求めるのかという質問でございました。これにつきましては、今後、公布の際にホームページで回答を掲載する予定ですが、回答の内容としては、この機構の定める方法は、建設業退職金共済の約款で明らかにした上で同意をいただくことを想定しています。また、約款では、まず、建設業許可番号などのデータを規定することを予定していますが、今後、新たな別のデータを活用するという変更を行う場合は、改めて共済契約者から同意を取る旨を回答する予定でございます。
 簡単ではございますが、この議題についての説明は以上でございます。
 御審議のほどよろしくお願いいたします。
○山本(眞)部会長 それでは、今の説明について、御質問、御意見等がございましたら、お願いいたします。
 森田委員、お願いします。
○森田委員 連合の森田でございます。
 この件につきましては、何ら反対するものでもありませんし、利便性向上についてはかなり進むだろうと思われます。
 しかしながら、この部分は、ある程度、データの話になりますので、やはりちょっと心配になることが、昨今非常に問題になっておりますマイナンバーカードの例もありますので、正直に申し上げますと、そこの安全性の確保については、慎重に、丁寧に行っていただきたい。
 周知については、ある程度の期間を取られるということですが、加入者の皆様方、それぞれが知らなかったということがないように、ここも併せて丁寧にやっていただくことが必要だろうと思いますので、その点につきましては、御努力いただきますようお願いしたいと思います。
 以上です。
○山本(眞)部会長 ありがとうございます。
 続いて、長谷部委員、お願いします。
○長谷部委員 長谷部でございます。
 2点ほど、発言をさせていただきたいと思います。
 1点目は、今回の省令案の要綱では、基本的に、共済契約者から、氏名若しくは名称又は住所、いわゆる建設業許可の情報ということで住所等という記載になっておりますけれども、今後、建設業許可の情報以外の部分でもこうした紐付けを拡大していく予定があるかどうかということを、まず、お伺いさせていただきたいと思います。
 2点目は、共済契約者への同意の確認方法ですけれども、建退共制度では、共済契約者の事務代行をする事務組合という制度があります。事務組合に事務受託をしている共済契約者については事務組合から個別に同意確認を行うということになりますと、事務負担が多く、確認作業にも時間を要するということが見込まれますので、勤労者退職金共済機構から直接、共済契約者へ同意確認等を行うようにしていただきたいと思います。また、確認方法については、建退共の電子申請サイト等の活用も御検討いただきたいと思います。
 以上です。
○山本(眞)部会長 ありがとうございました。
 それでは、ここで、事務局から、コメントをお願いします。
○大隈勤労者生活課長 御質問をありがとうございました。
 森田委員の御意見につきまして、今回の情報は、もともと国土交通省のホームページなどでオープンになっている情報ではありますので、機微に触れるようなものではないのですけれども、それでも、運用で間違いがないように、丁寧に対応するように、これを実際に運用する勤退機構にも十分伝えたいと思います。周知関係も丁寧にということでございます。これは長谷部委員の2つ目と共通する部分がありますので、まとめてお答えしますと、今回、省令を改正した後に、機構から各都道府県建設業協会をはじめとした関係団体に周知用のチラシを配布して、なおかつ、来年1月頃から、機構から、直接、それぞれの共済契約者や、建設業者に文書を送付して、周知と併せて、このワンストップ化について、使用許諾可否の回答をお願いする予定と機構からは聞いてございます。そういう形で、周知も丁寧に、同意の確認も丁寧にということでございます。回答の方法につきましては、文書を送付して、同封する返信用はがきでも回答いただくことは可能としますけれども、建退共につきましては、電子申請を使っておられる事業主もいらっしゃるので、この電子申請専用サイトでの回答をむしろ促す予定と、機構から伺っております。
 長谷部委員の1つ目ですけれども、省令の「住所等」について実施しようということでございまして、これは共済契約者の氏名、事業所の住所又は名称を指していますので、現在考えているものはそれということでございます。
○山本(眞)部会長 森田委員、長谷部委員、よろしいでしょうか。
 ほかに、御意見、御質問等はございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、当部会として、ただいま説明がありました省令案要綱については、厚生労働省案を妥当と認めて、労働政策審議会長宛てに報告をすることにしたいと思います。
 それでは、妥当ということで労働政策審議会長宛てに報告をすることにいたしますが、事務局から、報告案の配付とオンライン参加の皆様への画面での共有をお願いいたします。
 労働政策審議会令第7条第7項で、この部会の議決をもって審議会の議決とすることができると規定されておりますので、併せて、この内容で厚生労働大臣宛てに答申をされることになりますが、それでよろしいですよね。
(首肯する委員あり)
 それでは、今配られた案のとおり、答申をするということで、お願いしたいと思います。
 このように進めさせていただくということで、本日の議題は全て終了したことになります。
 このほか、全体を通して、何か御意見等はございますでしょうか。よろしいですか。
 事務局から、何かあれば、御発言ください。
○大隈勤労者生活課長 本日は、議題について御審議いただくとともに、答申をいただきまして、誠にありがとうございました。
 この中小企業退職金共済法施行規則につきましては、本日の答申を受けまして、省令の公布手続を進めさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
○山本(眞)部会長 それでは、本日の部会は終了とさせていただきます。
 本日は、どうもありがとうございました。