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第78回厚生科学審議会感染症部会 議事録
日時
- 令和5年7月26日(水)15:00~17:00
場所
航空会館ビジネスフォーラム(5階)
議題
- (1)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染症法上の位置付け変更後の状況等について
- (2)新興・再興感染症データバンク事業(REBIND)について(報告)
- (3)感染症領域における医療DXの推進について(報告)
- (4)エムポックスについて(報告)
議事
- 議事内容
- ○杉原エイズ対策推進室長 それでは、ただいまから、第78回「厚生科学審議会感染症部会」を開催いたします。
構成員の皆様におかれましては、御多忙のところ御出席賜りまして、誠にありがとうございます。
本日、議事進行を務めさせていただきます結核感染症課の杉原と申します。よろしくお願いいたします。
本日の議事は公開となります。
また、前回と同様、議事の様子をYouTubeで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。なお、事務局で用意しておりますYouTube用の撮影用のカメラ以外は議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御理解、御協力をお願いいたします。
また、傍聴の方は「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
なお、会議冒頭の頭撮りを除きまして、写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので、御留意をお願いいたします。
本日は、ウェブ会議で開催することとしております。
ウェブ会議を開催するに当たりまして、会議の進め方について御連絡させていただきます。
まず、発言される場合は挙手機能を用いて挙手をいただくか、チャットに発言される旨のコメントをいただいて、部会長から御指名されてから御発言をお願いいたします。なお、ウェブ会議ですのでタイムラグが生じますが、御了承願います。
会議の途中で長時間音声が聞こえないなどのトラブルが生じましたら、あらかじめお知らせしております番号までお電話をいただきますよう、よろしくお願いいたします。
続きまして、委員の出欠状況について御報告いたします。
御出席の委員の皆様におかれましては、通信の確認も踏まえまして、こちらからお名前を申し上げますので、一言御返事をいただければと思います。五十音順に失礼いたします。
味澤委員。
○味澤委員 よろしくお願いします。
○杉原エイズ対策推進室長 今村委員。
○今村委員 今村です。よろしくお願いします。
○杉原エイズ対策推進室長 大曲委員。
○大曲委員 大曲です。よろしくお願いいたします。
○杉原エイズ対策推進室長 越田委員。
○越田委員 越田です。よろしくお願いいたします。
○杉原エイズ対策推進室長 小西委員。
○小西委員 小西でございます。よろしくお願いいたします。
○杉原エイズ対策推進室長 調委員。
○調委員 調です。よろしくお願いします。
○杉原エイズ対策推進室長 菅原委員。
○菅原委員 菅原です。よろしくお願いいたします。
○杉原エイズ対策推進室長 谷口委員。
○谷口委員 谷口です。よろしくお願いします。
○杉原エイズ対策推進室長 戸部委員。
○戸部委員 戸部です。よろしくお願いいたします。
○杉原エイズ対策推進室長 成田委員。
○成田委員 成田でございます。声、聞こえておりますでしょうか。
○杉原エイズ対策推進室長 はい、聞こえております。
○成田委員 すみません。映像のほうが上手くいっていなくて申し訳ございません。今、調整しております。
○杉原エイズ対策推進室長 ありがとうございます。
森田委員。
○森田委員 森田です。よろしくお願いします。
○杉原エイズ対策推進室長 四柳委員。
○四柳委員 四柳です。よろしくお願いいたします。
○杉原エイズ対策推進室長 脇田委員。
○脇田部会長 脇田です。よろしくお願いします。
○杉原エイズ対策推進室長 よろしくお願いします。
なお、賀来委員、中野委員、藤田委員、山田委員からは御欠席の連絡をいただいております。
また、釜萢委員、白井委員におかれましては途中参加の御連絡をいただいておりまして、四柳委員におかれましては途中退席の御連絡をいただいております。
以上、現在、感染症部会委員19名のうち15名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令に基づきまして、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
また、本日は、オブザーバーとしまして、全国保健所長会より内田様、全国知事会より玉川様、全国衛生部長会より家保様、玉川様と内田様は今、御参加いただいていらっしゃいますでしょうか。それぞれ御挨拶いただけますでしょうか。
○内田参考人 全国保健所長会の会長を務めさせさせていただいております内田です。よろしくお願いいたします。
○玉川参考人 全国知事会を代表して参加します、福島県保健福祉部の玉川と申します。よろしくお願いいたします。
○杉原エイズ対策推進室長 よろしくお願いいたします。
また、全国衛生部長会から家保様、途中御参加の御連絡を受けております。
それでは、申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
なお、これ以降は、写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので、御留意ください。
○白井委員 白井です。
冒頭から参加できましたので、よろしくお願いいたします。
○杉原エイズ対策推進室長 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
(カメラ退室)
○杉原エイズ対策推進室長 それでは、議事に入る前に、資料の確認をさせていただきます。
まず、議事次第、委員名簿、座席図、資料1~4、参考資料1~4となります。不備がございましたら事務局までお申し出ください。
事務局に異動がございましたので、御紹介いたします。
結核感染症課長の荒木です。
○荒木結核感染症課長 結核感染症課長の荒木でございます。よろしくお願いいたします。
○杉原エイズ対策推進室長 感染症情報管理室長の横田です。
○横田感染症情報管理室長 感染症情報管理室長の横田です。よろしくお願いいたします。
○杉原エイズ対策推進室長 なお、7月に着任しました健康局長の大坪につきましては、公務の関係で遅れて参加する予定でございます。
それでは、ここからの進行は脇田部会長にお願いいたします。
○脇田部会長 それでは、感染症部会の議事を進めてまいりたいと思います。
委員の皆様におかれましては、また今日も活発な御議論をどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入ってまいりますが、事務局から各委員の皆様には事前に資料の説明をいただいておりますけれども、必要なポイントについて事務局から議題(1)につきまして簡潔に説明をお願いいたします。
○荒木結核感染症課長 事務局でございます。
それでは、資料1、今、共有させていただいております。
今回、第78回ということで、第75回の際に、5月8日以降の変更というところについての直前の会議を開催させていただいておりますが、それ以降、2か月半たちましたので、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけ変更後の状況についてまとめましたので、御報告いたします。
それでは、次のページをお願いいたします。
これは先ほど申し上げましたように、第75回の資料と同一でございます。この中で、一番左端にございますように、発生動向、医療体制、患者対応、感染対策、そしてワクチンということで、この5つのものにつきまして、現在の状況を御報告させていただくものでございます。
それでは、2ページをお願いいたします。
まず、サーベイランス、発生動向でございます。左端が、これまで日次で行われました5類移行前の状況でございますが、5類移行後、5月8日以降につきましては、公表ベースで週次に変えているというところがございます。単純に言いますと新規患者数、そして新規入院者数、重症者数についても、新たなインフルエンザ医療機関定点という形に動くというようなことで、御報告を後にさせていただきます。
死亡者数については、これまで都道府県から日次でお願いしていたものでございますが、正式な情報として、月次で上がってきます人口動態統計ということで、これにつきましては、正式なものが5か月後に死因別が出ますので、そういう観点から、少し早めに取るべきだというような御指摘もいただいておりますので、例えば協力可能な自治体からの情報あるいは感染症法に基づく死亡診断書等の情報の収集という形で、少し遅れますが、そういう形で早めに情報を収集して、超過死亡がないかどうかということの確認をさせていただいているところでございます。
検査数についても、G-MISによる週次、変異株の動向についてもゲノムサーベイランス、これは大きく変わっておりません。
そして、医療体制に関わるサーベランスデータとしまして、病床の状況ということで、こちらも週次でございますけれども、療養状況等調査、あるいは救急搬送の状況ということで、消防庁からいただいております搬送困難事案という形で、5類移行後、変わったところと変わっていないところも含めて、このような形で全体像の把握を重層的に進めていくというところでございます。
次のページをお願いいたします。
これが直近のデータとなります。委員の先生方は御存じのように、先週のデータが翌週の金曜日に全体として出てきますので、今、直近としまして7月10日~7月16日のデータでございます。すみません、下が切れておりますけれども、5類移行後、定点報告の状況におきまして、報告数は緩やかに増加しているということでございます。
次のページをお願いいたします。
これを棒グラフに直したものでございます。5月8日の部分が点線でございますが、ほぼリニアに円滑な形で報告、サーベイランスということで確認できているのではないかと思います。
年代別につきましても、定点当たりの報告数ということで、下の表がございます。こちらのほうも全体として増加傾向にあるところでございますけれども、特にもともと高かったところはありますが、10歳未満あるいは10~14歳というところの年少層で少し定点からの報告が増えているという状況にはなっております。
次のページをお願いいたします。
こちらは入院者数でございます。こちらのほうもG-MISで取らせていただいております。上段につきまして、5,000人を超え7,000人近くになっているというのが直近の状況でございます。
重症者数の中におきましては、ICUあるいはECMOまたは人工呼吸器管理で、全国で140~150というような状況になっているとことでございます。
次のページをお願いいたします。
超過死亡を把握するということで、先ほども申し上げましたように協力23自治体の御尽力によりまして、早めに1か月程度の遅れで超過死亡が発生していないかどうかということの確認をさせていただいているものでございます。オレンジの部分が直近の部分でございます。一番上の総論に書いておりますように、直近の週で特筆すべき超過死亡は認められていないということが把握できております。
次のページをお願いいたします。
これは検査数でございます。緑の丸のところが最新のデータでございます。直近の7月21日のデータでは58万件ということでございます。矢印が途中で上がってきているのは、遅れて登録される場合がございますので、それで前週のデータもさらに上がってきているということでございますが、いずれにしましても、緑だけ見ていただくと分かるように、右肩上がりになっているという状況でございます。
次のページをお願いいたします。
変異株の発生動向でございます。これも少し見づらい図でございますけれども、基本的にはオミクロンから派生したXBB系統がドミナントになっているということでございます。それがさらに子株、孫株に分かれているというような状況で、ほかの変異株が出てきているということではないようでございます。
次のページをお願いいたします。
これは病床、医療の状況に関するデータでございます。これも細かいデータでございますので割愛させていただきますけれども、簡単に言いますと、各都道府県ごとのいわゆる確保病床と、それに対してどの程度入院されているかというようなことも含めての情報になっております。特に黄色の部分は各県の定めるフェーズの中で、一応最大の準備状況になっているフェーズを示しているところでございます。
次のページをお願いいたします。
救急搬送困難事例ということで、消防庁から提供いただいたデータでございます。目立つのは赤の太い線でございますが、こちらはコロナ前の年度と比べてどの程度、緊急搬送困難事例が増えたかというようなことを追ったグラフでございます。直近かなり上がってきている状況でございますが、コロナだけではなく熱中症等も含めて様々な要因があるかと思いますけれども、搬送状況についても多くなっている。
赤の棒グラフにつきましては新型コロナ疑いの搬送件数ということで、こちらも少しずつ増えているような状況にはございます。
次のページをお願いいたします。
これも重層的なサーベイランスの一環として、献血の残余血液を用いましたウイルス抗体、N抗体の保有率の調査ということで、昨年11月、そして今年2月とさせていただいております。今回、直近のデータとして5月時点での抗体保有割合を出させていただいております。速報値として42.8%ということで、第1回、昨年の11月が28.6、第2回が42.0でございましたので、保有率という観点では2月の状況とあまり変化がないのではないかというようなデータにはなっております。
次のページをお願いいたします。
今申し上げましたのが全国平均で、各都道府県別に400名弱ごとに各県データで取っております。この中で少し目立ちますのは、沖縄県が63%、抗体保有割合が多いというようなことでございます。
次のページをお願いいたします。
こちらは先ほどちらっと申し上げましたように、発生者数の動向だけではなくて、入院者あるいはというようなことでの定点報告を前々回、2月の感染症部会でも御了承いただいておりますけれども、そちらを具体的に動かし始めるというようなことで、7月下旬に都道府県説明会あるいは事務連絡、通知等を発出いたしまして、9月下旬には基幹定点による把握を開始したいと思っているところでございます。
次のページをお願いいたします。
今度は医療提供体制あるいは患者対応の部分でございます。こちらは何度も見ていただいているかもしれませんが、真ん中の緑の棒印のところを中心に見ていただくと分かりますように、5月8日の位置づけ変更後、今回の夏の感染拡大の可能性、あるいは冬の感染拡大の可能性も踏まえまして、新たな体系に向けた取組を暫定的に行うということでございます。冬の感染拡大に先立って重点的な取組を行うということで、幅広い医療機関による自立的な通常の対応を目指すためにも、対応する医療機関の維持・拡大を促しているところでございます。
下がちょっと切れておりますが、あとは入院・外来の患者さん御自身の医療費については、急激な負担増が生じないということで、これも一定程度、自己負担分にかかる公費支援は期限を区切って継続しているというものでございます。
次のページでございます。
今申し上げましたように、位置づけ変更に伴う医療提供体制の見直しの観点で、どのように暫定的な措置をしたかということを今年の3月10日の感染症対策本部で決定した際の抜粋の文章になります。簡単に言いますと、医療提供体制の部分については病床確保料の見直しであったり、臨時医療施設の取扱いであったり、診療報酬の取扱いという観点で必要な検証を行いながら、あるいは必要な見直しを行っていくというようなことでございます。高齢者施設等における対応も、沖縄において高齢者施設あるいは院内感染ということで、クラスターということも今回の拡大であったということもございますので、そういう重層化リスクが高い高齢者が多く生活している高齢者施設についても、医療機関との連携強化を引き続き当面継続していくことになっております。
次のページをお願いいたします。
患者等に対する公費支援の取扱い、入院医療費の自己負担部分、あるいは外来医療費の自己負担の軽減の部分、それぞれ他の疾病との公平ということもありますし、感染状況あるいは様々な状況を踏まえまして対応を検討していくという形になっているところでございます。
次のページでございます。
全国に比べて今回の夏の感染が少し早く進んだというところがございます。直近のサーベイランスのデータにおきましては2週連続で下がってきているところでございますが、沖縄県の状況におきまして、実際に各都道府県で今後起こるであろう流行に対して、医療提供体制の移行計画を策定していただいているところでございますけれども。その補強という観点から、以下の事項の点検を全国の都道府県に要請したということで、7月14日、先週の金曜日に事務連絡を出させていただきました。その内容でございます。
ポイントはそこに書いてありますように、都道府県の策定されております移行計画に基づいて医療提供体制の実効性を確保と。そのためには、例えば下の囲みに書いてありますように、前もって関係者間で合意形成をしていただきたいと。何かといいますと、例えば入院先決定の優先順位、重症者が最優先であるということであったり、あるいはそれぞれの地域での医療機関の特性に応じた役割分担の明確化をしていただくということを事前に前もって合意形成をしてくださいという話であったり、感染拡大局面において行政も支援をいただくということが必要かなというところでございまして、その際のタイミングと内容についても関係者間でしっかりと方針を整理していただきたいということを少し具体に書かせていただいたものでございます。
次のページでございます。
全体の感染対策ということで、普及啓発も含めた広報の取組について取り上げさせていただいております。ポスター・リーフレットを用いまして、例えば基本的な感染防止対策をどうするかという話であったり、政府広報、ネット、あるいは厚労省のホームページをリニューアルすることによって分かりやすい発信、さらにはSNS等を通じてタイムリーな発信に努めているところでございます。
次のページをお願いいたします。
その中で、直近ですとやはり夏の感染対策ということで、後で御説明申し上げますけれども、コロナだけではなくて、この夏につきましては、RSあるいはヘルパンギーナ等の特にお子さんがかかるような感染症、いわゆる夏風邪あるいは冬風邪と呼ばれたものが前倒しで発生しておりまして、それが重なっているというところもございますので、夏の感染対策のポイントということで、特に出させていただいているところでございます。
次のページをお願いいたします。
参考までにRSにつきましては、この数字、直近のデータ、速報値では少し下がってきていますけれども、いずれにせよ高いベースで感染が少し増えているというのがRSウイルスの感染症についてでございます。
次のページをお願いいたします。
同様にヘルパンギーナについては、過去10年間で最も多いペースで増えてきているところでございます。これも直近のデータですと6台に落ちてはきておりますが、まだまだ予断を許さないかなということでございます。
このようなほかの感染症もコロナの夏の流行と併せて来ておりますので、地域の医療提供体制も含めて、少し危機感というのがあるのかなと思っております。
次のページでございます。
最後にワクチンでございます。ワクチンは5月8日以降も特に春の接種ということで、65歳以上について接種が開始されております。1日当たりのデータもこの棒グラフで示しているところでございます。
次のページをお願いいたします。
都道府県別の接種率も出させていただいております。直近の7月16日時点の実績でございます。65歳以上につきましては、全国平均はほぼ半分、50%弱ということでございます。
以上でございます。
○脇田部会長 御説明どうもありがとうございました。
5月8日に新型コロナウイルス感染症の位置づけが変更されて、その後の状況、サーベイランスであったり、それから医療の提供体制、あと、いろいろ今、御説明があったところでございます。
沖縄県はちょっと心配されましたけれども、少しピークを越えてきている。ただ、全国的に見るとまだ増加傾向が続いていますので、今後の状況がどうなるかといったところがあります。
それでは、今、御説明がありましたが、委員の皆様から御意見、御質問等があれば伺ってまいりたいと思います。
また時間も限られていますので、簡潔にお願いしたいと思いますが、例によって、あいうえお順で御指名させていただきますので、順番に御意見をお願いしたいと思います。
では、まず味澤委員から御発言をお願いいたします。
○味澤委員 5類になってからも少しずつ増えていますけれども、大きく増えていない感じです。病院でもお年寄りの方が念のために入院しているというようなパターンが多いような印象を受けています。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
続きまして、今村委員、お願いします。
○今村委員 今村です。
資料1について、2点コメントがあります。
1つ目は、2、3の医療体制、患者対応の資料17ページについてです。沖縄のところです。沖縄県の状況を踏まえた都道府県向け留意事項を、今後の感染拡大への備えとして、事務連絡で迅速に情報共有していただいたことは、重要な対応だと思いました。
ただ、現時点での内容の多くは、これまでに指摘されている事項の確認や徹底ということが中心となっています。ここについては、実際の現場で発生した問題点をより具体的に示して共有することができれば、各地域で優先して対応すべきことをイメージしやすいのではないかなと思いました。
2つ目のコメントは、23ページの5、ワクチンについてです。高齢者におけるワクチン接種が重症化予防によって高齢者を守って、入院が必要となる患者を減らし、病床と救急搬送の逼迫を少しでも防ぐために重要な対策の一つであることは変わりありません。
23ページのワクチン接種率を見ると、65歳以上の高齢者でも全国の接種率が48.9%まで低下しているという状況になっています。ワクチン接種率はそのままだと繰り返すごとによくても同程度、あるいはさらに低下していくことが予想されます。現時点での流行対策だけではなく、冬の流行対策も念頭に置いた対応をこれから考えていく必要があると思いました。
こちらからは以上です。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。
続いて、大曲委員、お願いします。
○大曲委員 ありがとうございます。
現場におりますけれども、5類変更以降は、いわゆる見える数値も変わりましたし、患者さんの受療行動も明らかに変わっていますので、病院の対応内容が変わっていると私は感じました。
読みにくくて予想はしにくいところです。医療そのものに関しては、先週ぐらいから感じていることなのですが、明らかに先週ぐらいから、ほかの医療機関からの要は入院を前提とした紹介、受診依頼が増えています。そうであれば気になるのは、私の医療機関ではそもそもコロナ、COVID-19の陽性者は入院も診療もしていませんとか、表向きにはCOVID-19の患者さんの入院を受け入れることにはしているけれども、例えば主たる病態が心筋梗塞だったり脳梗塞だったりして、偶発的にコロナが陽性であるという場合には、診療することに関して、ほかの方々がおっしゃるので病院としては難しいといった相談が明らかに増えてきています。
感じているのは、ほかの医療機関からの患者さんの受入れというのはまだなかなか進んでいないですし、このままですと、もっと患者さんが増えてきたときに、こうした患者さんは恐らく行き場がなくなるだろうというのは容易に想像できます。沖縄で起こっていることが、なぜ起こったのかということがよく分かってきます。そういう意味では、資料の17ページに示されている合意形成は非常に重要ではないかと今、本当に思っております。
私からは以上です。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。
次が釜萢委員なのですけれども、一応参加者リストにはありますが、釜萢先生、お話しできますか。
○釜萢委員 釜萢、入っております。
特に今は発言の希望はまだありません。大丈夫です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
そうしましたら、次に、越田委員にお願いいたします。
○越田委員 私のほうからは、地方自治体から住民の意識、保健所の動き以下の4点について、簡単に述べさせていただきたいと思います。
まず、1点目は感染状況と医療についてです。
金沢市、石川県の定点当たりの感染者数は徐々に増加しまして、直近で1.08と全国平均をやや上回っている状況になります。しかしながら、病床使用率や外来の受診者数、救急医療については、新型コロナウイルス感染による大きな影響は見られていない状況です。昨日、7月25日現在の入院患者数は142名、石川県の運用病床は304床ですので47%、最大確保病床403床の35%、重症者は一人もいらっしゃいません。
外来診療は、季節外れのインフルエンザや小児科での特にヘルパンギーナ、RSウイルスはじめ様々な感染症が流行しておりまして、患者数は非常に多い、小児科に限らず多いという状況が続いております。ただ、そのために救急医療が逼迫するような状況にはなっておりません。
一方、保健所では、入院医療機関や入所型福祉施設で10人以上の感染者が出た場合には報告をいただいております。これによりますと、数十人単位のクラスターの報告がございます。特に精神科病院や障害者施設、つまり動くことができる方が入っていらっしゃる施設では、大きなクラスターが起こっております。ただ、ほとんどが軽症で、感染者数の増加は軽症の方が多いということになっております。
社会福祉施設での複数名の患者が出た時点で保健所が介入いたしまして、施設内での感染対策の指導を行っていますが、そのために入院調整を求められることはほぼありません。これまでのところ施設内で重症に至ったケースもほとんどありませんが、特に高齢者や基礎疾患をお持ちの方の命を守るという認識の下で、嘱託医や協力医療機関が医療につなげているのではないかなと推測しております。
また、教育委員会では、毎日欠席児童数とその原因の把握を行っておりますが、新型コロナウイルスによる欠席者は、6月が4月の約2.5倍になったとお聞きしておりますし、保育所や幼稚園を担当する部署からは、現場は感染症のデパートであるということを現場の保育士からの声としてお聞きしております。
2点目は保健所の現状です。
5月8日以降は感染者への疫学調査や検査、受診調整、入院調整などが保健所の手から離れたこともあり、業務量は著しく減りました。困難な入院調整や市民からの問い合わせに対する対応をある程度は継続しなければいけないと覚悟していたのですけれども、実際にははほとんどなく、あっさりと保健所から手を離れたような状況になっております。その分、平時からの高齢者施設への介入等、これまでなかなかできなかったことに時間を費やすことができ、システムづくりやDX化、こういったことを保健所の中で進めている状況でございます。
3点目はワクチンです。
金沢市に関して申し上げますと、昨年のシーズンのワクチン接種率、高齢者は76%だったのですけれども、7月現在で5~6割かなというペースで、ワクチン接種があまり進んでいない。小児に関しては1週間に1本出るかなというぐらいのペースで、ほとんど接種される方はいないというような状況になっております。
4点目は市民の意識です。
濃厚接触者として自宅待機を余儀なくされることがないので、感染者のみが自粛をしているというような状況でございます。外国人を含めた観光客も一気に増えていますが、町なかでの地元民のマスク着用率は半分~6割程度かなという感じです。市民マラソンもお祭りも音楽祭もほとんど制限なく、コロナ以前のにぎわいとなっているのが現状となっております。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
続きまして、小西委員、お願いいたします。
○小西委員 私からは特にございません。
○脇田部会長 どうもありがとうございます。
続きまして、白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。
釜萢先生が手を挙げていらっしゃいますが、私が先でいいですか。
○脇田部会長 どっちにしても最後に聞こうと思っていましたけれども、釜萢先生、どうぞ。
○釜萢委員 出席がちょっと遅れたので、全員発言だというところを気がつかずに御無礼をいたしました。
私からぜひ申し上げたいのは、1点は18ページのポスター・リーフレット、それから政府広報などの周知活動が極めて重要だなと強く感じます。もう5月8日でコロナは終わったのだというふうに、そう思っておられる方は多くはないかもしれませんけれども、だんだん意識の中からは離れていってしまうというところがあるかもしれないという中で、今、お伝えしなければいけない内容をしっかり新たに注意喚起するということは極めて重要であると思いまして、これらの活動は今後もしっかりやっていく必要があると思います。
19ページに書いてある夏の感染対策のポイントというのは分かりやすい、とてもいいスライドだと思いますが、このようなものをうまく利用して、しっかり情報をお伝えするように、特にその下に書いてある1と2は大事だなというところを強く感じました。
もう一点は、13ページの入院の報告の仕方が9月から変わるという点で、入院定点からの報告ということに移行するわけであります。いろいろ検討した結果、この方法で十分把握できるということで、その点は粛々と進めていけばよいと思っておりますが、先ほど大曲先生から御指摘があったように、医療現場において直接感じられる情報をいろいろな機会に情報交換をして、医療現場の認識がしっかり全体として共有されるようになっていくことが極めて重要だろうと思って発言をさせていただきました。
私からは以上です。
○脇田部会長 どうもありがとうございます。
それでは、白井委員、お願いいたします。
○白井委員 白井です。よろしくお願いします。
今、それぞれの先生方がおっしゃったように、コロナの患者さんは定点報告でも伸びているというか、確かに増えているということが確認できますけれども、重症者の方があまり多くないということでは、地域の医療機関でもあまり混乱を見るような状況はありません。また、保健所のほうが介入して入院調整をしないといけないということもないのですが、病病連携、病診連携が自主的に促進されることによっていつも頼りになる公的医療機関にまた患者さんが集まっていないかというような懸念もありますので、地域によっては、まだコロナの患者さんの受診というか、診療しているところが限られているというようなところも見受けられます。
先ほど事務局から御説明があったように、17ページには国から7月14日に事務連絡を出していただいている内容のとおりだと思うのですが、これを見て、自分のところの地域がそうだということを実感できているかというと、ちょっと難しいのではないかと思いますので、保健所の設置自治体としての首長というか、そこがしっかりとこれを把握しているかということを促していただきたいなと改めて思いました。
また、サーベイランスについてなのですが、定点報告を生かして啓発ということになりますと、注意報とか警報とかそのようなことを設定して、国民の皆さんに、今どういう状況で増えているかということを地域ごとに還元していくことが必要かなと思います。インフルエンザと同じようなレベルになると15とか30になりますけれども、それよりもう少し低くてもいいのかなと思いますので、この夏を何とか乗り切っていただきたいと思います。
自主的な検査キットの利用なのですが、薬局によっては品薄、もう置いていませんというところもありますので、その辺の普及をぜひ促していただきたいなと思います。
以上です。
○脇田部会長 どうもありがとうございます。
続いて、調委員、お願いいたします。
○調委員 よろしくお願いします。
現在のところ、沖縄県を除いて5類移行後、そんなに大きな医療の混乱はないと思うのですけれども、抗N抗体の陽性率では60%を超えている沖縄県で大きな流行が起こっていて、医療が逼迫しているという現状を考えますと、沖縄県で今、起こっていることを教訓にして、何が課題であったのかというようなことを具体的に共有していただくのが非常に重要ではないか。これは今村委員が言われたとおりだと思います。
それから、ちょっと気が早いというか、今日の議論とは少しずれるかもしれないのですけれども、今の感染症サーベイランスの在り方を将来的に検討していく議論をそろそろしていただきたい。1月23日の本部会で谷口委員が御指摘されていますけれども、呼吸器感染症のサーベイランスとして、influenza-like illness、ILIを導入するというようなこと。
もう一つは、原因不明の感染症を感知するシステム、疑似症サーベイランスというのはありますけれども、エビデンスベースドサーベイランス、諸外国で行われているような、何かよく分からない異常が起こっていることが探知できるようなサーベイランスの導入を今後この部会でぜひ議論をしていただきたいと思います。
私のほうからは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
次は、菅原委員、お願いいたします。
○菅原委員 ありがとうございます。
私は、資料の15ページに書いてあります高齢者施設についてです。
今は臨時医療施設も入院調整もまだそういう仕組みが残っていまして、高齢者施設でちょっとした集団感染が起きても、先ほども御発言がありましたように、大きな問題にはなっていないというのが現状で、今のところそういった臨時の医療施設などがあるということは、守られている環境があるかなと今は思うのですが、これもいずれ終了します。
コロナのこの3年間の経験で、高齢者施設でたくさんの感染者が出ると、それはまた医療の逼迫の原因の一つであったことが分かっておりまして、高齢者施設の中で、感染対策を自立的に行える人材育成が今後本当に必要ではないかなと強く感じております。平時からの感染対策の知識や技術を持ち、そのことに関するアンテナを少し高く持てるような人材を育成していくことが大きな課題ではないかなと思っています。
もう一つは、コロナの直近の課題として、増加傾向にあるアラート基準といいますか、国民の皆様が少し気をつけなければならないのだなと思わせるような、そういった情報提供のありようというのは、これも一つ直近の課題と思っております。
私からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
次は、谷口委員、お願いいたします。
○谷口委員 ありがとうございます。谷口です。
3点コメントを申し上げたいと思います。
1点は今、患者数が増加しつつありまして、恐らく沖縄を追いかけて、沖縄と同様な状況になるのだろうとは思います。多く重症者が出て、入院が逼迫というリスクは低いのではないかなと思いますが、ちょっと気になっているのは、いわゆるlong COVID、厚労省のホームページでは罹患後症状と書いてありますが、これについてはもう最近、さすがに3年、4年たってきますと、脳内に持続感染しているという報告もありますし、それによって脳内のシナプスが間違った方向につながるという論文も『Nature』とかに出ていますので、いろいろな報告が出てきています。
実際にどのぐらいの人があるのかというのは、きちんとサーベイランスをして、軽症だからかかっていいか。人口の1割が後遺症で苦しむということは非常に困ると思いますので、その実態をきちんと見ていただいたほうがいいのではないか。それと、啓発です。こういうのがあるのですと。本当に軽症だけではないのですということは言っていただいたほうがいいかなというのが1点です。
あと、実際に感染者数は増えますので、軽症といっても、喉が痛くて熱が3日ぐらい続くというのはありますので、外来診療は沖縄でも逼迫していたそうです。現状、小児科では特に他のRSとかヘルパンギーナとかそういうものも結構多いものですから、外来は結構大変ですし、なぜか非常に熱性けいれんも多いものですから、救急でも結構問題になります。また、内服薬が足りなくなったりなんかもしています。
不適切利用と言うのは難しいのですけれども、夜間に熱が出たら、お母さん方としては心配なのは当たり前で、やはり診てほしいと。ところが、病院が開いていない、一次救急がなければ、どうしても救急車を使ってしまうのです。そうすると、これは救急医搬送困難にもつながりますので、少子化対策というのは一方ではあるわけですから、子供を育てやすい環境という意味では、小児の一次救急について、特にこれから考えていただきたいというのが2点目。
3点目は、ワクチンの接種率が下がってきているという話が先ほどもありましたけれども、特に御高齢の方でもまだ3回目を受けていない方が見えますので、そういった方が今後広がってくると、重症化するリスクは高いのではないかなと思います。
ただ、メッセンジャーRNAワクチンというのは非常にいいワクチンで、たくさんの方が命を救われたと思うのですが、3年、4年たってきて、9度の熱が3日続くというワクチンを皆さんが打ちたいかというと、これはなかなか難しいところがあろうかと思いますし、最近、『Nature』でも出ていましたけれども、ベクターワクチンとかペプチドワクチンでは出てこないIgG4サブクラスの抗スパイク抗体が出てくるという報告があります。これは幾つか出ていますから、本当に出てくるのでしょう。IgG4というのは、もちろんブロッキング抗体としてバランスを取るとも言われていますが、IgG4関連症候群というIgG4がたくさん出ることによる疾病も存在しますので、『Nature』の誌上でもこれはいいことが悪いことかみたいな議論があったと思います。
そういうものを見た人がまたデマを出したりするのだろうと思うのですが、ただ、やはり今後、例えばペプチドワクチン、たんぱくワクチンは、発熱率は数%です。抗体価の上昇はメッセンジャーRNAワクチンと大きく遜色ないデータです。そうすると今後、長く続けていこうと思うと、そういったワクチンも考えていかねばならないと思います。これを国家として今後どう考えていくのかというのは御検討いただきたいなと思いました。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
次に、戸部委員、お願いします。
○戸部委員 今の谷口委員の御指摘にもありましたけれども、後遺症についてまだよく分かっていないようなところがあると思いますし、この場でもあまり議論の対象にはなってこなかったように思います。後遺症の発現頻度とか症状によっては、コロナウイルスの怖さ自体も変わってくると思いますので、この点は既に情報がもしあるのであれば、情報共有ですとか、検討の対象にするなどのことをお願いしたいと思います。
以上です。
○脇田部会長 どうもありがとうございます。
続きまして、成田委員、お願いします。
成田委員は御発言できますか。声が聞こえない。
○成田委員 聞こえておりますでしょうか。
○脇田部会長 聞こえますが。
○成田委員 ちょっと調整します。申し訳ありません。
○脇田部会長 調整をお願いします。こちらは進めていますので、また呼びかけさせていただきます。
次に、森田委員、お願いします。
○森田委員 どうもありがとうございます。
定点把握の方法は、プランされたように流行動態を捉えられているのだろうと思っているのですけれども、個人的な印象として少なくとも長崎では高齢者施設での集団発生が結構あって、その結果だと思うのですけれども、救急車で運ばれる高齢者の患者さんなかなか受入病院がなく、大学病院に集中してきています。担当者が、病床がかなり埋まってきたので心配だと言っている状況です。入院調整は地方自治体の責任かもしれないのですけれども、ちょっとそのことが心配で、現在の方法で高齢感染者のポピュレーションの流行動態がうまく捉えられているのかというところは、後である検証していただけたらなと思います。
以上です。
○脇田部会長 どうもありがとうございます。
続いて、四柳委員、お願いします。
○四柳委員 ありがとうございます。
私のほうから、3点ほど気になった点を指摘させていただきます。
最初は、救急搬送の事例に関する話です。
10ページに救急搬送の事例が出ていて、右のところが恐らく6月下旬から7月上旬ぐらいのところで終わっているかと思いますが、1年前と照らし合わせて見てみると、状況は同じだと思っています。コロナの発生例数は届出基準の変化に伴い少なくなっていますけれども、それ以外の搬送に関しては変わっていません。ということは、これから先、救急搬送の事例がコロナも含めてどのように変化するかはまだ分からないと考えるのが妥当かと思っています。
昨年の今頃は、救急は御存じのように非常に逼迫した状況になって、外来搬送が問題になりました。感染症学会も含めて4学会から、救急医療の逼迫に関して4学会として文書を出させていただきました。厚生労働省も同じように認識されていたと考えております。決して今、救急医療が逼迫していない状況だと考えてはいけないのだろうと私は思っています。
7月7日のアドバイザリーボードの会議のときにも、沖縄の状況が紹介されました。、その中で、沖縄の救急の逼迫状況、患者のトリアージをせざるを得なかったような状況のもと、軽症の人は受診をしないでくださいといったような警鐘が鳴らされました。そういったことをきちんと認識して、これから先、備えていく必要があると考えております。
第2点は先ほど谷口委員も御指摘なさいましたが、対症療法薬が一時的に足りなくなる状況が起きました。現在、多くの感染者の方は自宅療養をする状況になっているので、OTC薬が中心だと思いますけれども対症療法薬が足りないということがあってはいけないと思います。
全国的には恐らく対症療法薬の不足は起きていないと思うのですけれども、沖縄に関しては、流通の問題もある可能性がある思います。ジェネリック薬の不足の問題も昨今話題になってきておりますので、OTC薬に関しても本当に問題がないかどうかということの検証が必要だろうなと思っております。これが第2点です。
第3点は少し先の話になりますけれども、10月以降、抗ウイルス薬に関する公費の補助が変更される可能性があると認識をしております。現時点では、抗ウイルス薬が今、経口のものが3種類ありますけれども、このうち2種類併用薬との相互作用のチェックに加えて同意書を取らないといけません。患者さんの来院から処方まで実際には1時間ぐらいは優にかかるなというところが私自身も診療していての印象です。なかなか多くの方に処方するのは難しいだろうなと思います。
外来が主体になってくるコロナ診療、しかもかかった人の約10%が後遺障害を抱えることが報告されている状況を考えると、恐らく必要とする国民に対してきちんと抗ウイルス薬を提供する体制は非常に大事だと思っています。今の価格ですと、恐らく公費を外れてしまうと、多くの国民が処方に向かないのではないかなということを私自身は危惧しております。そういったこともありますので、long COVIDの観点も含めて、これから先、高肘補助をどうしていくのかということを検討していただきたいなと思っています。
私からは以上です。
○脇田部会長 どうもありがとうございます。
それでは、成田委員、よろしくお願いします。
○成田委員 トラブル続きで大変失礼いたしました。
私からは、3点申し上げたいと思います。
最初に、資料の15ページ関連から、9月末までの各種措置の終期についてでございます。全国的な状況と同様に、都内におきましても定点医療機関当たりの患者数、入院患者数ともに増加傾向となっております。そうした中、コロナ患者の受入れについて、医療現場から介護の必要な患者に対応する人員の確保や消毒等の院内感染対策に要する経費の負担が大きいとのお話を聞いております。病床確保料の支給をはじめとする9月末までとされている措置につきましては、今後の感染動向や医療提供体制の状況などを踏まえた柔軟な対応を既にお願いしているところでございますが、改めてよろしくお願いいたします。
2点目も同じ15ページ関連で、診療報酬の改定についてでございます。コロナ患者の入院調整につきまして、医療機関での入院調整に対する診療報酬上の加算、救急医療管理加算でございますけれども、こちらも活用され、都におきましても病病、病診連携により入院調整が進んでいるところでございますが、先ほど大曲委員からも発言がございましたように、現在、都内も感染拡大傾向にありまして、混乱を生じている現場もあるようです。
こうした点を踏まえまして、移行期間が終了する10月以降及び令和6年4月の診療報酬の改定に向けましては、現場を担う医療機関、関係者等の意見を丁寧に聴取しながら、患者の円滑な受入れに資する評価をしていただくよう、お願いしたいと思います。
3点目は定点当たりの患者数に関する基準で、少し戻りまして3~4ページ関連でございます。先ほど白井委員や菅原委員からも御発言がございましたけれども、定点当たりの患者数について、インフルエンザなどの警報、注意報と同様に、国民が流行状況を客観的に判断できる基準を設定すべきとの声が現場でも上がっております。この点につきまして、都からも既に要望しているところではございますけれども、国としての見解や現在の検討状況をお示しいただくとともに、進める上で課題があるようであれば、そうした点も関係機関とぜひ共有していただけますとありがたく存じます。
以上となります。
○脇田部会長 ありがとうございました。
それでは、次に参考人の先生方から御意見をいただきますが、まず高知県の家保先生はもう入っておられますでしょうか。まだですかね。
それでは、先に内田参考人、お願いいたします。
○内田参考人 まず、発生動向につきましては、定点サーベイランスによりおおむね良好な状況把握ができていると考えられます。季節性インフルエンザと同様に、人口規模が小さく、地域の状況が見えにくいような状況であるとか、あるいは即時性を優先したいなどのニーズに応じて全数把握を実施する医師会も見られております。
定点サーベイランスは継続するとともに、一般市民への注意喚起のため、何人かの委員がおっしゃっていましたが、インフルエンザ等で設定されている注意報や警報の基準設定が望まれると思います。
それから、医療体制につきましては、幅広い医療機関による自立的な通常の対応に近づきつつありますが、診断までにしか関わらない外来医療機関や受入れに消極的な入院医療機関も一部に見られております。感染者数が少ない状況では、入院を希望する軽症高齢者の入院受入れが増加するなど、通常の医療の入院対応に近づいていると思われます。
外来対応では、高齢者施設で集団感染が発生いたしますと、救急も含め医療ニーズが急増し、入院医療機関等に負担がかかるため、施設とかかりつけ医や嘱託医の連携をさらに強化していく必要があると思われます。
入院対応では、病床確保料が入院対応役割の固定化を促進しているという面もあり、予定どおり9月末までとすることが望まれます。
患者対応につきましては、外出自粛要請がなくなり、医療費の自己負担が他疾患並みになったのですけれども、それによる混乱は特に見られておりません。
感染対策につきましては、個人や事業者の判断に委ねられておりまして、そのことによる不都合は見られておりません。医療機関や高齢者施設等における感染対策も、基本的には当該施設の判断に委ねられておりますけれども、保健所に判断を求められることもあり、施設間の情報共有の機会を提供するなど、工夫はしております。医療機関や高齢者施設等における感染対策の現状につきまして、国レベルでも情報共有等があることが望ましいと思います。
また、高齢者施設等の感染対策への技術支援が引き続き必要と思われますが、それとプラスしまして、感染対策のインセンティブが働くような財政支援も強化する必要があるのではないかと思います。
ワクチンにつきましては、接種率が低下しておりまして、引き続きワクチンについての普及啓発が望まれます。
以上でございます。
○脇田部会長 どうもありがとうございます。
続きまして、玉川参考人、お願いいたします。
○玉川参考人 玉川でございます。
全国知事会の立場から発言をさせていただきます。
全国知事会では昨日、新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の課題等に関する提言を取りまとめまして、今後、国に要請をさせていただくところです。新規患者報告数は5類移行後、全国的に緩やかな増加傾向にあり、今夏の感染拡大が懸念されております。全国知事会としては、引き続き国と一体となって、感染拡大の防止と社会経済活動の両立を図っていく考えでございます。国におかれましては、5類移行後の感染症対策や保健・医療提供体制等について、地方の現場の声を踏まえながら、万全の対応を講じていただきますよう、お願いいたします。
その上で、具体的に5点発言をさせていただきます。
1点目です。
定点当たりの報告数、先ほどほかの委員、参考人からも意見がございましたが、国民の方々が流行状況を客観的に判断でき、行政から適切な注意喚起を行うことができるよう、季節性インフルエンザ等における警報、注意報と同様の全国統一の基準を早急に設定いただきますよう、お願いいたします。
2点目です。
現在、幅広い医療機関による対応への体制構築を全国的に進めているところでありますが、この夏においては5類移行後で初となる本格的な感染拡大を迎えつつあります。今後の感染拡大が進む中で、具体的な課題が見えてくるものと思われます。この課題を冬の感染拡大に生かせるよう、外来体制の確保、入院病床の確実な確保・運用のために必要となる支援等につきましては、10月以降も延長するなど、必要に応じて柔軟かつ適切に対応いただきますよう、お願いいたします。
3点目です。
ワクチンについて、全額国庫負担とすることが定められておりますが、令和5年度接種における財政措置については、接種実績に応じた上限額の設定が9月以降生じる形になります。
また、1月以降についても、基準の単価の見直しが行われるような考え方が示されていることから、必要となる経費については、国の負担による確実な財政措置を講じていただきますよう、お願いいたします。
4点目です。
ちょっと先の話になりますが、令和6年度以降は定期接種を念頭に検討されていると伺っておりますが、ワクチンの薬剤費が非常に高額であることを踏まえ、希望される方が経済状況にかかわらず接種できるよう、国民の負担軽減を講じるとともに、地方の負担が生じないよう、国の負担による確実な財政措置を講じていただきますよう、お願いをいたします。
5点目です。個別内容となります。
資料の13ページになります。基幹定点による新型コロナウイルス感染症患者の入院者数等の把握につきましては、昨日の都道府県説明会で、これまでのG-MISによる調査を当面の間、継続するとの説明がありましたが、G-MISによる集計値と基幹定点からの報告数とで数値の内容が異なり、混乱が生じる恐れがあることから、公表の考え方を早急に整理の上、地方へ丁寧に説明をしていただきますよう、お願いいたします。
以上になります。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。
一通り御意見を皆様からいただきましたので、最後に私のほうからも少し意見を述べさせていただきます。
現在の状況ですけれども、今、観光地等も人出がとても多くなってきていて、感染が全国的には増加が続いている状況で、簡単にピークを越えるかというとなかなか難しいような状況かと思います。ですので、昨年の例から考えますと、夏休みのお盆あたり、その時点ぐらいまでは増加が続いていくだろうという予測を持っておくというのは重要ではないかと考えています。
コロナの流行によって医療の逼迫が起こって、一般診療、コロナ診療ともに、本来、医療で助かるような方が助けられないという状況はつくってはいけないということですので、沖縄で一時、救急外来の受診の抑制のようなことがあったわけですけれども、そういうことが起こらないような体制をつくっていくということになります。
そういった意味で、一般の国民の皆さんへの注意喚起も非常に重要となりますが、一番心に響くのは、例えば死亡者数が増加しているとか、それから救急搬送困難事案が非常に増えているとかいうことが、なかなかリアルタイムにお伝えができないような状況もあるということだと思います。ですので、救急搬送困難事案に関しては、ある程度リアルタイムで今、把握できている。死亡案件についてはタイムラグがあるので、すぐには出てこなくて、アドバイザリーボードでも前回お伝えはしているのですけれども、今日も超過死亡のデータがありましたが、まだ増えているような状況ではないというところですので、感染対策の注意喚起も含めて、そういったデータを国民の皆さんにお伝えできるような機会、アドバイザリーボード等ももう少し開催をしていって、つまり、今から8月までが非常に重要な時期になってくると思うのです。ですので、その期間はそういった機会をなるべく増やしていくことが重要ではないかと。
もちろん夏休みですから、行楽等に行かれる方も多くなってくるわけですけれども、そういったときにも感染対策に少し気をつけてくださいと。特に小児の感染症も流行していますので、手洗いも石けん等を使ってしっかりやってくださいということもお伝えをしていくことが必要だと考えておりますというのが私の意見です。
それでは、委員と参考人の皆様からさらに追加の御意見はございますか。
今日、いろいろ御意見をいただいて、ありがとうございました。
現在の流行状況、全国的に見ると感染者は増えているのだけれども、医療はまだそれほど逼迫までは行っていない状況。ただ、今後どうなってくるかまだ分からないところがあるということで、そこは注意が必要。ですから、市民への意識、情報の周知が重要であるというようなことであったり、サーベイランスの在り方を検討してほしいということもありました。
それから、インフルエンザと同じような注意、報警報といったものを設定できるかといった御意見も多くいただきました。
また、long COVIDについてのサーベイランスや実態把握が重要ではないかということ。
それから、対症療法薬が不足しているのではないかといったようなこと。それから、抗ウイルス薬のことに関して、そのほかいろいろ御意見をいただきました。
家保参考人、どうぞ。
○家保参考人 衛生部長会の家保です。遅れて参りまして、すみません。
高知県の状況と、あと都道府県の立場から少しお願いしたいことをお話しさせていただきたいと思います。
高知県、定点当たり29週で19.20いうことで、前週から1.4倍増えております。特に高齢者、70歳以上が2倍の報告が出ております。また、病院、介護施設でのクラスターというか集団発生が前週から増えてきて、約2倍となっております。そういうこともあって、入院の数も前週に比べると大体2倍ということで、後方病院に転院するのが非常に厳しくなっているという状況でございます。
それから、今後これが東日本などいろいろなところに感染が拡大しますと、都道府県で気になりますのは、抗ウイルス薬とか入院に関する公費の補助が9月末までが一つの区切りになることです。早い段階で、どういうふうになるのかというのを都道府県側に示していただきたい。それがあれば、各医療機関とも調節をして、できるだけ受け入れて、通常医療に逼迫のないような形に持っていけますので、ぜひそこは国としてお願いしたいということでございます。
最後のところに割り込みまして誠に申し訳ありませんけれども、そのようなことを発言させていただきました。
ありがとうございました。
○脇田部会長 家保参考人、どうもありがとうございました。
それでは、今、委員、参考人の皆さんからいただいた御質問、御意見について、事務局から何かレスポンスがあればお願いしたいと思います。
○荒木結核感染症課長 事務局でございます。
部会長から全メンバーの先生方からの貴重な御提言をまとめていただきました。本当に行政の現場、医療の現場、あるいは保健所、様々な観点からの現状の報告とともに、5類移行後、課題がまだあるのだというところにつきまして、さらに事務連絡についての具体化ということも含めて御指導いただいたと思っております。
特にlong COVIDの話、あるいは基準等の話につきましては、こういう場面でも様々御指摘いただいておりますので、事務局としてもしっかりと取り組んでいくということについては考えたいと思っております。
あと、個別に補足とか何かありますか。
○竹下パンデミック対策推進室長 パンデミック対策推進室長、竹下です。
四柳委員から御指摘のあった抗ウイルス薬の件ですけれども、今、抗ウイルス内服薬につきましては、散剤と一般技術も既に開始されておりますので、もし何か問題等がございましたら、また御連絡いただければと思います。
○脇田部会長 そのほかは大丈夫でしょうか。
今日は本当にたくさんの御意見をいただいたので、私もまとめ切れていないのですけれども、医療現場から、あるいは自治体の現場からといった意見も数多くありましたので、ぜひ事務局のほうではそういった意見に取り組んでいただいて、今後の対策に生かしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
また、先ほど述べましたとおり、ここから8月ぐらいまで非常に状況が、そこが一番大事、重要となってくると思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、よろしいでしょうか。追加の御発言等がなければ、次の議題に参りたいと思います。
議題(2)REBINDについて、事務局から御説明を簡潔にお願いいたします。
○竹下パンデミック対策推進室長 新興・再興感染症データバンク事業(REBIND)について、現状の報告をさせていただきます。
資料は次のページお願いします。
新興・再興データバンク事業につきましては、予防・治療法が確立されていないパンデミック等に移行する懸念がある新興・再興感染症に対して、病態解明・バイオマーカー・治療薬・ワクチンの開発や効果の評価等のために、患者・病原体ゲノムデータ、臨床データ、病原体の集積を行うというバンキングの事業でございます。
これを令和3年から始めているのですけれども、今後のことも含めて、目的としては、緊急時には100日ミッションを満たせるような、明確な目的と目標症例数をあらかじめ設定し、有事において速やかに必要症例数を集積できる体制を構築する。
平時においては、重症呼吸器感染症等の公衆衛生上の課題となる疾患を最優先として、REBINDの主目的である病態解明、検査薬・治療薬・ワクチン等の開発に資する事業を行いながら、緊急時の対応も見据えた体制を構築するということで考えております。
現在、この事業に関しましては、国立国際医療研究センター及び国立感染症研究所、東北メディカル・メガバンク機構、東京大学医科学研究所、東京大学医学部附属病院等の施設等に委託をしております。
この内容として、現状について、次のページで説明をさせていただきます。
現在の集積情報としましては、臨床情報につきましては約8万6000件の症例があります。
集積の検体のほうにつきましては、COVID-19につきましては約6,000人分、1.5万検体を集積しております。また、エムポックスの集積も今、開始しておりまして、小児肝炎のほうも開始をしております。
実際の利用状況としましては、赤枠で書いてある収集臨床情報なのですけれども、こちらに記載があるように、厚生労働省のアドバイザリーボードで情報を出していただいたり、感染症診療の手引き等の活用等で情報公開をしておりまして、研究論文につきましては40本程度出ております。
ただ、収集検体につきましては、検査薬・治療薬やワクチン開発の実績については、現時点ではございません。
こういった状況を踏まえまして、今後のことについて、どのような方向でやっていくかということについて報告をさせていただきます。
現状としましては、臨床情報につきましてはある程度の実績があったものの、検体試料につきましては、REBINDの主目的である検査薬や治療薬・ワクチン開発などにつながった実績がないということも踏まえまして、以下の2つの点について対策を考えていきたいと考えております。
目的と目標に応じた必要収集症例数が不明確だったということを踏まえまして、事前に症例収集の目的を明確化し、その目的ごとの必要症例数を設定していきたいと考えております。
また、参加施設の役割分担を明確にするなど、有事には速やかに必要症例数を収集できるような体制を整備していきたいと考えております。
また、目的を達成するための組織のガバナンスを強化した上で、こういったことに対応できるようにしたいと考えています。
また、利活用の機会が限定されていることにつきましては、来月中にショーケース、これはどういった情報がこのデータバンクに入っているかを分かるような形で示す形を考えておりまして、これを研究者や企業に広く利用可能なデータや資料の情報を周知するということを持って利用機会を増やしたいと考えております。
検査薬や治療薬、ワクチン開発を行えるように、企業と研究機関の共同提案体制等の仕組みなども含めて、今後検討していった上で支援を行いたいと考えております。
以上でございます。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいま事務局から説明がございましたが、委員、参考人の皆様から御意見、御質問等がありましたら御発言をお願いいたします。今度は挙手していただければ私のほうから指名させていただきますし。
それでは、まず谷口委員、お願いいたします。
○谷口委員 谷口です。
詳細な御説明をいただきまして、ありがとうございます。
実際にはこれまでどのような臨床疫学情報が入力されているのかは存じ上げませんが、恐らく今後の病態解明とかいろいろな対策のためには、例えば検査結果なり詳細な情報が必要になってくると思うのですけれども、病院に入力しろというのはなかなか緊急時には難しいのではないか。しかも100日でというわけですから、そうすると今後は欧米、多くのところがもうできているように、電子カルテネットワークみたいに自動的に収集できるようなメカニズムがないと、また今度起こったらやれ入力しろという話になるのではないかなという気がしますが、そこら辺りの展望はどういうふうに考えてみえるのか、御教示いただければと思います。
○脇田部会長 ありがとうございます。
白井委員、そして調委員から手が挙がったので、先に御意見を承りたいと思います。
白井委員、お願いします。
○白井委員 先にありがとうございます。
利活用が進まなかったところの原因分析をされているのですけれども、目的がちょっとよく分からなかったとあるのですが、何のためにという目的がはっきりするだけではなくて、それが何のために役に立つというか、そういう期待があるのかということを共有するというか、今後、そういう意味での目的を共有していただきたいなと思いますし、先ほど谷口委員がおっしゃいましたけれども、入力するというか、提供者側に負担をかけないというか、平時からできるような形にしておくことが必要だと思いますし、研究者だけではなくて企業というところもありますので、企業がそういうデータを活用するなり提供するなりというところにどのようなミッションがあるかということも共有することが重要で認識を一緒にしないとうまく集まらないのではないかなと思います。
その点、また症例報告というか、いろいろなどのようなデータになるかですが、倫理面での情報収集の方法ということもきちんと対応しておく必要があるかなと思いましたので、意見を申し上げました。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
調委員、お願いします。
○調委員 調です。
こういう研究の計画といいますか、私も大学にいた時期には、文科省科研に申請して、それによって研究をしていたので、当然そういうプロジェクトを始めるときには、2ページ目の利活用が進まなかった原因分析の1の対策の最初のポツの記述のような、計画については非常に詳細に計画をして、それから予算がついていくというのが通常のあり方ではないかと思いますので、今後はそういったことをぜひ進めていただきたい。そういうことを前提にして進めていく必要があるのではないかと思います。
それから、コロナのゲノム解析が完了したのは1,351件で、検体数は1万5000ぐらいあるということなのですけれども、私どものように非常に規模の小さな研究所でも、既に4,500を超えるゲノム解析を完了しておりますし、タイムリーネスということも非常に重視していて、検体採取から1週間~10日ぐらいで結果を出すというような体制で行っていますので、コロナでも、病原体のゲノム解析をやること自体、そんなに難しいことではないと思いますので、研究のインセンティブといいますか、目的がはっきり明確化されていなかったためにこういうことが起こったのか分かりませんけれども、もう少し迅速に進めるべきではないかなと思います。
それと御質問なのですけれども、ヒトゲノムの解析を行うということは、例えば重症化の関連とかいうことについて、遺伝的背景を知るための研究なのかということを質問させていただければと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
大曲委員、お願いします。
○大曲委員 ありがとうございます。大曲です。
実際、コロナが始まった直後から、臨床情報の必要性、そして検体を利活用して開発に生かすことの必要が言われていまして、実際にそれをやるようにということで行ってきた立場でありますが、当時、それを系統的に行う仕組みがなかったので大変苦労したことを覚えております。本当に時間もかかりましたし、それが反省点ですので、次はそうならないようにということで、このような情報、検体をしっかりと集める仕組みをつくっておく。実効性がある回り方をするようにしておくことは非常に重要だと思っています。
あとは、これをうまく回すためには、担う側の医療従事者あるいは研究機関、医療機関の体制整備も非常に重要だと思っております。そういう意味では、このような研究を担うような有事に、平時もそうなのですが、研究あるいは事業を担うような医療機関あるいは研究機関のネットワーク、臨床研究や知見のネットワークといったものも同時につくっていくことが重要だと思っています。
その中で、谷口先生が御指摘されたような様々なバリアを改善していく、あるいは臨床研究という観点では、例えば感染症指定医療機関はなかなかにまだキャパシティーが小さいところがありますので、それを上げていく。そのために支援をしていく。あるいは、必要な研究等々は事前にプロトコルも含め準備をしておいて、いつでもボタンを押せば動かせるようにしておく、そうしたことも同時に行っていただければと思っております。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
そのほか大丈夫ですか。
私のほうから意見を述べさせていただきますけれども、今回のパンデミックで経験したことで一番重要だったのは、最初の数百症例で感染症の実態を明らかにしていくと。それによって、公衆衛生対策であったり臨床的な対応を明らかにしているということだったと思うのです。そういう意味で、FF-100というのがありましたし、それはある程度できたわけですけれども、そこで臨床情報と疫学情報とそれから検体というものも一つにして、最初はコビレジだったわけですけれども、REBINDのようなプラットフォームを構築していくことは重要だろうということですので、その先にいろいろな活用があるのですけれども、一番最初の新たにまた感染症が発生したときの感染症の実態把握のところがおろそかにならないような体制をしっかり組んでいただきたいと思います。
その上で、今回のさらなる反省点としては、広く研究論文がなかなか出なかった。情報の共有であったり、検体の共有ができなかったということで、オープンデータ的に検体も共有できるように、情報も共有できるようにということで、このプラットフォームを広く研究に活用してほしいと。
ただ、今、データの入力の問題もありましたけれども、結局、医療機関で研究をやろうと思うと、パンデミックの当時は非常に忙しくて、とても研究論文を書くような状況ではなかったということがあったので、そちらの利用する側の体制を、データを利用して活用する側の体制をしっかりとサポートしていく。特に感染症をしっかり見ていただくような医療機関においては、そういったところの体制をつくっていかないと、この仕組みができても、それを活用する側、研究者のほうが活用できないということになってしまうことがあるので、そこはお願いしたいということです。
最終的に治療薬、ワクチンの研究開発が進まなかったという反省点もあって、それでこのプラットフォームを活用していただいて、企業にも活用してほしいということになるわけですけれども、そこはここの反省点、4ページに書いてあるようなショーケースの運用を開始するとか、そういうことでしっかりと企業にどういったニーズがあって、それを活用していただけるのかということもディスカッションしながら、REBINDをしっかり活用でいっぱいしていただくような体制をつくっていくことが重要ではないかと思っておりますというのが私の意見です。
それでは、ほかに御意見はございますでしょうか。
では、事務局のほうからレスポンスはいかがでしょうか。
○竹下パンデミック対策推進室長 ありがとうございます。
特に貴重な意見等をいただきまして、先生方の意見を反映していきたいと考えております。
特に入力のときの大変さがあるというようなことに関しましては、その問題意識等は私たちも把握しておりまして、そういったことにどういう対応ができるかというのは今後検討していきたいと考えております。実際、症例数自体は臨床情報も8万6000件ぐらいを実際入れていただいていて、そこには検査結果であったりとかそういったものも出て、それが今、実際ダッシュボードとしてNCGMのほうで公開されていますので、そういったものは実際アドバイザーボードやいろいろなところでも活用されたものと承知しております。
また、ヒトゲノムのデータといったものに関しましても、開発等においてはバイオマーカー等を調べるとか運用できるであろうと言われていますので、そういったことを踏まえて、大きい目的としてはもともと検査試薬を開発するとか、病態解明とか、治療薬・ワクチンの開発という項目が設定されていたのですけれども、実際のものを本当につくるとしたときに、どれぐらいの症例数とか、どれぐらいの検体が必要なのかというところを、より詳細のところまで明確化していって、目標設定を決めていきたいと考えております。
また進捗等に関しましては報告させていただきたいと思います。
○脇田部会長 ありがとうございます。
委員の先生方、参考人の先生方からさらに追加の御意見はございますか。
大丈夫そうですか。
それでは、ただいま様々な御意見をいただきましたので、そちらも参考にしていただいて、またそちらを進めていただければと思います。
3番目の議題に行きたいと思います。医療DXについて、簡潔に御説明をお願いしたいと思います。
○井上総括調整官 議題(3)として、感染症領域におけるDXの推進に関連して御説明をいたします。資料3でございます。
1ページ目ですけれども、ここではまず政府全体の医療DXの動きに関して、概要をまとめてさせていただいております。
まず、昨年10月、総理を本部長とする医療DX推進本部が立ち上がりまして、政府の中で一体としてDXの推進を図っている、議論をしているといったことでございます。先月、6月2日に医療DXの推進に関する行程表が本部決定されまして、そのうち、下のほうの赤線部になりますけれども、次の感染症危機への対応といった点と、医療情報の二次利用といった点に関して、感染症領域のDXの幾つかの事項が記載されてございます。
次のページをお願いします。
こちらは医療DXの推進に関する工程表のまず黒字の部分はそのまま抜粋したものですけれども、赤枠囲いに関して、こちらは結核感染症課において今、どのような検討状況になっているのかといったことを記載したものでございます。
まず1点目、次の感染症危機にも備え、平時からのデータ収集を迅速に行うためということで、改正感染症法に基づきまして、今年度からになりますけれども、現行の感染症指定医療機関、特定第一種、第二種指定医療機関の医師においては、発生当時の電磁的方法による届出が義務づけをされてございます。
次年度におきましては、感染症指定医療機関の類型に、新たに第一種協定指定医療機関、第二種協定指定医療機関が追加されることになります。追加された医療機関に対しても、電磁的方法による届出を義務づけするか、その範囲の拡大に関して、現場の実態を踏まえ、今年度中に検討し、結論を得るといったことが工程表に記載されてございます。
現在、感染症サーベイランスシステム上での届出の入力状況等に関して実態把握をしているところでございまして、今後の感染症部会において、この義務づけの範囲に関して御議論をいただきたいと考えてございます。
2点目は、発生届に係る入力業務の負担軽減を図るための電子カルテと発生届の連携に向けた議論でございます。
まず、発生届の標準規格を策定するといったことと、さらに具体的なシステム連携の方法に関しまして、電子カルテ情報共有サービス(仮称)を厚生労働省の医政局を中心として今、システムの具体化が進められているところでございますけれども、そちらの活用も見据えながら検討し、早期に結論を得るといったことが工程表で記載されてございます。
こちらの電子カルテ情報共有サービスと感染症サーベイランスシステムの間でのシステム連携といったことに関して、現在、関係局と共に検討しているところでございます。
3点目、次の感染症危機への対応を見据え、患者の検査、検体に関する情報の収集、また、発生届を起点とする各種手続ということで、こちらは国会でも議論になった点がございますけれども、入院勧告の書面通知をデジタル化・簡素化すべきではないか。そのようなデジタル化の在り方に関して、今年度検討を進めて、早期に結論を得るといった点でございます。
検査・検体の情報収集、また入院勧告等の通知のデジタル化に関して、今年度は調査研究事業等を実施し、検討していくところでございます。
次のページをお願いします。
次は、医療情報の二次利用といった点でございまして、まず1つ目ですけれども、こちらは改正感染症法に基づきまして、発生届を中心とした疫学情報について、他の公的データベース、特にNDB等でございますけれども、そことの情報連結、分析を見据えまして、まず情報を匿名化して第三者提供を可能とする仕組みが次年度創設されることになります。ですので、今年度においてはその具体化を現在図っているということでございます。
現状、第三者提供の制度の具体化に向けまして有識者会議を行っておりまして、夏めどで提言をいただくことを予定しております。今後、その提言を踏まえまして、関係政省令案を事務局のほうで用意し、感染症部会において御議論いただきたいと考えてございます。
最後になります。先ほども御議論になりましたけれども、REBIND事業に関しまして、こちらの情報の収集等、参加医療機関の負担軽減を図るといったこと目的といたしまして、電子カルテ情報共有サービス、標準型電子カルテ、そうした電子カルテとの連携に関して検討をし、早期に結論を得るといったことで、こちらのほうも関係局と現在検討しているところでございまして、具体的な対応に関して、早期に結論を目指しているところでございます。
以上、医療DXに関連する御報告事項でした。
○脇田部会長 ありがとうございました。
医療DXについての現状の御報告ということだと思います。
先ほどREBINDのところでも御議論がありましたとおり、デジタル化は待ったなしということなのですけれども、様々なプラットフォームが電子化・デジタル化されても、その間をつなぐところが手入力になるみたいなところがあると、結局手間が生じるということになるので、そこをシームレスにいかにつないでいただけるかというところが非常に重要かなと思います。
それでは、委員の皆様、参考人の皆様から御意見、御質問等があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
谷口委員、お願いします。
○谷口委員 ありがとうございます。
医療DXというのは非常に興味を持って見せていただいているのですけれども、どういうふうに動いているか、いまいちまだよく分からないところなのですが、最初に感染症法で電磁的な届出の義務ということがございましたが、届け出するのだとあまり今と変わらない、どこに入力するかだけの違いですから、何のためのDXか分からないので、その後にありましたように、実際に電子カルテに全部入っている情報ですから、いかに電子カルテから抽出できるのか。ITの方に聞きますと、電子カルテから感染症に届け出する情報だけすっと抜くのは簡単なことだということをおっしゃっていますので、実際に今回、アジアのインドネシアとか途上国なんかでもささっとつくったと言っていましたので、よろしくお願いしたいということが1点目です。
電子カルテ情報共有サービス(仮称)というのが、何のために何を共有されているのかがちょっとよく分からないので、できれば3文書6情報と、あと診断名ぐらいかなとは思っていたのですけれども、何のために何を共有するのかを御教示いただけるとありがたいかなと思いました。
電子カルテの標準化、標準化電子カルテというお話がございましたが、欧米では2005年ぐらいとかにみんな電子カルテの標準化をして、ネットワークをつくっているわけです。日本はこれからするわけです。
ただ、欧米ではもうその上に行って、標準化しなくとも共有できるような、米国だとThe National Information Exchange Modelみたいなものができているわけです。そうすると日本は後発であれば、今から20年前の欧米がやったことをやるのではなくて、今、欧米がやっているThe National Information Exchange Modelみたいなものを使って、一挙に追いつくというのがいいのではないか。実際に途上国はみんなそういうふうにしていますので、そういうふうにされたらいかがかなと。
せんだっても、インドネシアの方とお話をしておりましたら、あちらは医療機関の逼迫状況、空きベッドの状況とかを全部スマホで見られるのです。実際見せてもらいましたけれども、スマホで空いている病院がすぐ検索できるので、そこに予約を入れると、そのスマホに何月何日の何時に来てくださいというのが自動的に出てくる。これをこの間につくったと言っていましたので、日本の技術を持ってすれば多分できるのではないかなと思いますので、少しゆっくりめで進んでいるような気がしますので、もう少しそこら辺りをお願いしたいなと思いました。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
続いて、玉川参考人、お願いします。
○玉川参考人 ありがとうございます。
2点ほどコメントをさせていただきます。
まず、1点目です。
感染症の患者につきましては、感染症法にも人権を尊重することが基本理念とされていることを踏まえまして、現在、マイナンバーでも問題になっておりますが、患者情報の取扱いについては、個人情報の保護や情報セキュリティー対策を徹底していただくようお願いをいたします。
2点目です。
医療情報に関しましては、現在、感染症領域にかかわらず、厚生労働省のG-MISを多く活用する状況となっておりますが、その運用に当たっては、各医療機関が適切に入力等を行うことが前提となっております。地方の負担、そして医療機関の負担が過度に生じることのないよう、国におけるG-MIS等の統一的な問合せや運用・指導体制のさらなる確保について御留意をいただきますよう、お願いいたします。
直近の案件で申し訳ありませんが、以上、コメント2点になります。
○脇田部会長 どうもありがとうございます。
続いて、内田参考人、お願いいたします。
○内田参考人 ありがとうございます。
私からも2点であります。
一つは、病院とかであっても、結構夜とか土日とかですとなかなかこういった入力は難しい体制のところも多うございますので、ぜひ電子カルテとの連携というのは早急にやっていただけるといいかなと思っております。
それともう一つ、電子カルテを実際やっていないというか、紙カルテの医療機関はまだまだ結構ございますので、そういったところに対する対応をどうすればいいのかというのも考えていただけると大変ありがたいと思います。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
そのほかは大丈夫でしょうか。
もう一人手が挙がりました。成田委員、お願いします。
○成田委員 それでは、私からも2点お願いしたいと思います。
都としましても、電子カルテ情報の標準化や感染症に関するシステムをはじめとする保健・医療・介護分野のシステムとの連動性の向上など、医療DXの推進をお願いしているところでもございますし、ぜひ積極的にお進めいただければと思っております。
また、発生届の電子化につきまして、改めて意見交換の場を設けていただけるとのこと、感謝申し上げたいと思います。医療機関や保健所の効率化、負担軽減に加えまして、紛失等のリスク回避の観点からも、より幅広い医療機関を対象とする方向にしていただければと考えております。よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。
先ほど自治体とか保健所の負担軽減もということでおっしゃっていただいたところもあるのですけれども、その中で個人情報を含む発生届をほかの自治体というか、居住地と発生元ということで、現在は積極的疫学調査のときにやり取りをしているのですけれども、その辺も医療DXによって楽になるような形を望みたいことと、逆に、個人情報を含むものと、サーベイランス目的の情報の扱いということをうまくシステムの中で分けていただくような形をお願いしたいと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。
大丈夫そうですね。
それでは、意見、ありがとうございました。
事務局から御対応はございますでしょうか。
○井上総括調整官 貴重な御意見、ありがとうございました。
まずは、いただいた御意見、特に感染症課のほうでできること、あるいは関係局と共に対応すべきことといったことがございますので、そちらはまた省内でもしっかりと共有して進めてまいりたいと思います。
個別にいただいた御質問に関してなのですけれども、まず、電子カルテ共有サービスの中身といったことに関しまして、医療DX工程表のところにもございます。先ほど谷口委員もおっしゃっておりましたが、まず3文書6情報に関して、医療機関間での共有を進めるといったことが一つ、一番大きな話になっているといったことであると承知しております。
そのほか、幾つか標準型電カルのお話、あとG-MISの運用のところのお話もそうなのですが、こちらに関しては医政局側のほうとしっかり共有してまいりたいと思います。
それと個人情報保護の関係のお話もございました。そもそも大きな話といたしまして、医療DXの推進に併せて、そういったところを政府としてどう考えるかといった点があるのですけれども、一つ感染症課のほうで今、その辺りの検討を進めておりますのが、3ページ目にございました匿名感染症関連情報の第三者提供に関する有識者会議といったところで、今回、部会のほうでも委員をされております戸部先生、大曲先生にも御出席をいただいてございますけれども、まさにそのような個人情報にしっかりと配慮をするといったことで、情報を利活用するといったことも議論をさせていただいておりますので、そうした議論を通じて個人情報の保護の徹底、あるいは人権への配慮ということで、差別・偏見への配慮といったところをしっかりと捉えて制度設計をしていきたいと考えてございます。
そのほか、電子カルテとの連携に関して様々御期待いただいたかと思います。こちら、なかなか進み方といったところでまだ具体的な部分が出ていないところはあるのですけれども、こちらに関してもしっかりと関係局と検討を進めてまいりたいと考えております。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
それでは、追加の御意見、御質問等はございますか。
よろしいようであれば、次に進ませていただきます。
それでは、最後の議題になりますが、4番目、エムポックスについてになりますので、こちらも事前に資料の説明をしていただいておりますが、簡潔に事務局から御説明をお願いいたします。
○杉原エイズ対策推進室長 ありがとうございます。
エムポックスに関しまして、時間が押しておりますので、簡単に御説明させていただきます。
2ページ目を御覧ください。
エムポックスに関しましては、2月にこの部会で御議論いただきましたとおり、今年の5月26日付ので、名称について、サル痘からエムポックスに変更を行っております。
国内で、7月21日時点で193例が確認されております。
具体的な流行状況としまして、3ページ目を御覧ください。
国際的な流行状況と日本における発生状況を示しておりますが、下のほうが日本における流行状況でして、今年の2月から特に5月前半で2回流行の山がございました。現在も感染は散発的に発生が続いているような状況でございます。ただ、大きな流行の発生は一旦落ち着いているというのが現状でございます。
次のページを御覧ください。
こちらは海外の状況になりますが、WHOにより第2回目のIHR緊急委員会が昨年7月に開かれまして、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」として宣言がなされておりますが、そちらに関しまして、今年の5月10日、5回目の緊急委員会で、該当しない旨の勧告がなされておりまして、翌日、5月11日に終了の宣言がなされております。
次のページからエムポックスに対しての具体的な対応としまして簡単にまとめておりますが、まず現在、予防に関しましては、天然痘ワクチンが重症化予防、発症予防に効果があるとされていまして、我が国で製造されておりますLC16ワクチンにつきまして、曝露後予防、NCGMにおいて曝露後の接触者の方に対しての接種を行える臨床研究体制を構築しておりまして、こちらにつきましては大都市圏を中心に臨床研究体制の整備を行う予定としていまして、この準備を今、進めているところです。
また、曝露前と言って、いわゆる高リスク群に関しての接種に関しても、臨床的な予防効果を検証する目的での臨床研究が開始されております。こちらは今年の6月から開始になっております。
最後のところに簡単な説明がございます。
診断に関しましては、現在、地方衛生研究所での検査が可能なのですが、民間検査会社によるPCR検査が薬事承認となっておりまして、こちらに関しましては今後、市場流通等が検討されるところかと思います。
治療につきましては、現在、国際的に流行しているクレードについては大半が軽症ですが、本ウイルスに対して有効である可能性があるとされています治療薬に関しては国内では承認されていないということで、そういった治療薬に関して、入院患者に対して投与することができるようにということで、これも大都市圏を含めて、臨床研究に基づいて投与できる体制を確保しております。
次のページを御覧ください。
その他の対応となりますけれども、コミュニティ・アウトリーチとして、リーフレットやホームページ、あるいはコミュニティーを通じまして情報発信を行っております。特にハイリスクとされています男性と性交渉を行う男性、MSMのコミュニティーの方々とも連携をしながら、啓発活動等を行っているところでございます。
次の2枚が現状のワクチンの曝露後接種と治療薬の投与のプロトコル、次のページがハイリスク群へのワクチンの曝露前接種、HIVに感染されていて、かつ免疫が安定されている方や、特定のハイリスクの方々を対象とした臨床研究ですけれども、こちらもNCGMを主幹としまして実施しております。研究の組み入れはもう既に開始しておりまして、10月まで組み入れを実施をして、12月まで接種が行われる予定となっております。
最後に、コミュニティー・アウトリーチですけれども、感染研、NCGM、そしてMSMコミュニティーと厚労省、自治体等、東京都の方々にも入っていただいておりますが、協働した情報発信として、MSMのコミュニティーへの周知啓発であったり、バナー広告掲載であったり、次のページを御覧いただきますと、具体的にどういう症状が出て、どのような対策を取ればいいかというようなリーフレット等をイベントのときとかにも配布いただいているところですけれども、そういった活動を行っているところでございます。
エムポックスに関しまして、現状報告は以上となります。
○脇田部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明を踏まえまして、委員及び参考人の皆様から御意見、御質問等はございますでしょうか。
成田委員、谷口委員の順番でお願いします。
○成田委員 都内の状況について、情報共有したいと思います。
都内の患者数につきましては、このところ減少傾向となっておりまして、先週、患者発生の報告がなかったところでございます。
しかしながら、国内の患者数の大半が都内発生であることを踏まえまして、引き続き動向を注視しつつ、対応を継続してまいりたいと思っております。
以上となります。
○脇田部会長 ありがとうございました。
谷口委員、お願いします。
○谷口委員 ありがとうございます。
情報提供ありがとうございました。
だらだらと続いているような雰囲気があるなと思っていたのですけれども、海外からの報告では、リージョンが治ってからもウイルスが排出されるという、いわゆるPersistent infectionsの報告があるのですけれども、日本ではそこら辺りはどういうふうな方針で隔離解除しているのでしょうか。御教示いただければと思います。
○脇田部会長 先に進みまして、白井委員、お願いします。
○白井委員 エムポックスについて、臨床の現場でお話を聞くと、エムポックスだけではなく梅毒との鑑別診断がとても重要だとお聞きしておりますし、逆に、エムポックスだけで終わると自然治癒もあったりということで、この辺の疾患をWHOは、軽視していいわけではないのですが、脅威ではないという話になったときに、日本としては、これをエムポックスだけでどういうふうに捉えるかではなくて、性感染症として総合的にこの疾患にどういうふうに国として対応していくかということを御教示いただきたいなと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
そのほか大丈夫でしょうか。
そうしましたら、今、谷口先生と白井先生からコメント、御質問がございましたので、事務局からレスポンスいただけますでしょうか。
○杉原エイズ対策推進室長 ありがとうございます。
まず、谷口委員から御質問がございました隔離解除ですけれども、これはそもそも4類感染症ですので隔離はしていないのですが、いわゆる感染対策という意味では、特に精液や直腸内等に残る可能性も指摘がされいますので、性交渉については発症してから8週間猶予すること、待ってからにしてほしいといった対応と、あとは発疹が消失するまでは発疹の部分をカバーするとか、そういった形で感染対策に気をつけることということに関しては事務連絡等を通じて、あと実際に臨床マニュアルをNCGMがつくっておりますけれども、そうした啓発や周知を行っているところでございます。
あと梅毒の件、性感染症としての対応ということでございますけれども、実際、今回、エムポックスに関しては、性感染症としての側面が非常に強くなっているということで、もちろん感染様式としてはそれだけではないわけですが、国際的にも性感染症としての取組を強化してくことが重要とされておりまして、実際に今回、HIV検査普及週間が6月にございましたけれども、そのときにもHIVや梅毒、エムポックスなども一緒に啓発を行ってほしいということで事務連絡を出しており、それぞれハイリスク集団は異なってきますけれども、性感染症としての啓発の取り組みは必要ということで、そういった取組を進めているところでございます。
梅毒に関しましては、今現在、まだ増えている状況ですので、引き続き、そういった性感染症対策という広い文脈の中で取組を進めていければと考えております。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
さらに追加の御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。
先ほど成田委員から情報提供がありまして、都内での症例数は先週はなしということで、少し落ち着いてきたということかもしれませんけれども、引き続き、ここは症例を見ていくということだと思いますので、よろしくお願いします。
それでは、エムポックスについてはまた引き続き、必要に応じて御報告があればお願いしたいと思っております。
準備した議題は以上になりますが、委員の先生方から何かございますか。
それでは、事務局に議事をお返ししたいと思います。
○杉原エイズ対策推進室長 どうもありがとうございました。
本日の委員の皆様の御意見を踏まえまして、全ての議題につきまして、いただいたことを踏まえまして進めさせていただきたいと思います。
この後、当方で記者ブリーフィングとして議事概要を説明させていただく予定としております。
また、次回につきましては、事務局より日程等を改めて御連絡させていただきたいと思います。
本日は、どうもお忙しい中御出席いただきまして、ありがとうございました。
○脇田部会長 委員の皆様、どうもありがとうございました。
では、失礼いたします。
※注
小西委員の厚生科学審議会感染症部会委員としての指名手続が行われないまま、当該部会が開催されました。そのため、今回の会議において、当該委員は、参考人として取り扱わせていただきます。
また、会議における当該委員の発言については、議決に影響する内容は含まれていないことを確認しています。
なお、議事の定足数については、当該委員を除いても、過半数が出席していたため、議事は成立しています。