令和5年度第4回医薬品等安全対策部会安全対策調査会 議事録

日時

令和5年7月25日(火) 14:00~16:00

場所

厚生労働省 仮設第一会議室
(オンライン会議場)

議事

○医薬安全対策課長 それでは、定刻になりましたので、「令和5年度第4回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」を開会いたします。
 本日の御出席の委員、参考人の先生方におかれましては、お忙しい中御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 私、7月4日付で、中井に代わりまして医薬安全対策課長を拝命いたしました野村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回の会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしておりますので、御理解、御協力のほどお願いいたします。議事録につきましては、後日、厚生労働省のホームページに掲載をいたします。
 また、今回もウェブ開催としており、対面での進行と一部異なる部分がございます。議事に先立ちまして、審議の進行方法などについて事務局より御説明をさせていただきます。
○事務局 事務局より御説明申し上げます。
 まず、ハウリング防止のため、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
 御意見、御質問をいただくときは、ミュートを解除し、初めにお名前をお知らせください。
 発言のタイミングが重なったりした際には、調査会長から順に発言者を御指名いただきます。
 その他、システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構でございますので、事前にお伝えしている事務局の電話番号まで御連絡をお願いいたします。また、事務局のサーバーがダウンするなどのトラブルが発生した場合には、事務局から一斉にメールで御案内いたしますので、御確認いただけますと幸いです。
 御不便等をおかけいたしますけれども、何とぞ御理解、御協力のほどお願いいたします。
 また、事務局に人事異動がございましたので、御紹介させていただきます。
 本日は、別の会議のため参加できておりませんけれども、厚生労働省医薬・生活衛生局長、城克文が着任しております。
 また、厚生労働省大臣官房審議官、吉田易範が着任しております。
○吉田審議官 7月4日付で大臣官房医薬担当審議官に着任しました吉田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局 事務局からは以上になります。
 岡先生、お願いいたします。
○岡座長 調査会長の岡でございます。座長を務めさせていただきますので、委員の皆様には円滑な議事の進行に御協力をお願いします。
 今回もWeb開催ということですので、事務局から御説明ございましたけれども、何か御意見、御質問等ございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、議事に入る前に、委員の出欠状況等について事務局から御説明をお願いします。
○事務局 本日の委員の出席状況について御報告いたします。
 現時点で6名中6名の委員に御出席いただいておりますので、薬事・食品衛生審議会の規定により、定足数に達していることを御報告申し上げます。本日の会議は成立するという形になります。
 なお、舟越委員は14時45分頃に退室になるということで事前に御連絡をいただいているところでございます。
 続きまして、本日、参考人として御参加いただく先生方を御紹介させていただきます。
 議題1「アセトアミノフェンを含有する製剤(医療用)の『使用上の注意』の改訂」の関係で、日本運動器疼痛学会より、大阪行岡医療大学医療学部特別教授の三木健司先生、日本腎臓学会より、藤田医科大学医学部腎臓内科学客員助教、ブリガムウイメンズホスピタル病理学ポストドクトラールフェロー、伊藤辰将先生、藤田医科大学医学部腎臓内科学主任教授の坪井直毅先生、日本呼吸器学会より、近畿大学総合医学教育研修センターセンター長の岩永賢司先生、それから、議題2「要指導医薬品精製ヒアルロン酸ナトリウムのリスク評価について」の関係で、日本眼科学会より、国際医療福祉大学医学部眼科教授、臼井智彦先生に御出席をいただいております。
 以上になります。
○岡座長 続きまして、審議参加に関する遵守事項について説明をお願いいたします。
○事務局 本日御出席の委員、参考人の方々につきまして、議題1及び議題2の対象品目、競合品目の製造販売業者からの過去3年度における寄附金・契約金などの受取状況を御報告いたします。
 対象品目・対象企業及び競合品目・競合企業について、事前にリストを各委員・参考人にお送りして御確認をいただいたところでございます。
 石井委員より、第一三共株式会社、ヴィアトリス製薬株式会社、ヤンセンファーマ株式会社、武田薬品工業株式会社、マイラインEPD合同会社、千寿製薬株式会社より50万円以下のお受け取り。
 岡委員より、日本新薬株式会社より50万円以下のお受け取り。
 柿崎委員より、武田薬品工業株式会社より50万円以下のお受け取り。
 舟越委員より、第一三共株式会社より50万円を超えて500万円以下のお受け取り、ヴィアトリス製薬株式会社、日本新薬株式会社、武田薬品工業株式会社、マイランEPD合同会社より50万円以下のお受け取り。
 三木参考人より、第一三共株式会社、ムンディーファーマ株式会社より50万円を超えて500万円以下のお受け取り、あゆみ製薬株式会社、久光製薬株式会社より50万円以下のお受け取り。
 臼井参考人より、参天製薬株式会社より50万円を超えて500万円以下のお受け取り、千寿製薬株式会社より50万円以下のお受け取り。
 坪井参考人より、ノバルティスファーマ株式会社より50万円を超えて500万円以下のお受け取り、第一三共株式会社、帝人ファーマ株式会社より50万円以下のお受け取り。
 岩永参考人より、ノバルティスファーマ株式会社より50万円以下のお受け取り。
と御申告いただいているところでございます。
 舟越委員におかれましては、議題1の審議中、御意見を述べることはできますけれども、議決に参加することはできません。その他の委員におかれましては、意見陳述、議決のいずれにも加わっていただくことができるという形になってございます。
 また、議題1に関しまして、伊藤参考人及び坪井参考人から「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」のアセトアミノフェンに関わる部分について御執筆をなされたということで御申告をいただいているところでございます。
 薬事分科会審議参加規程第8条において「申請者又は競合企業との間で、審議の公平さに疑念を生じさせると考えられる特別の利害関係を有する委員等は、調査会長に申し出るものとする。この場合においては、第5条第2号の規定を準用する」とされておりまして、この第5条第2号に基づく取扱いについては「当該委員等の発言が特に必要であると調査会等が認めた場合に限り、当該委員等は出席し、意見を述べることができる」という形になっているところでございます。
 説明は以上になります。
○岡座長 ありがとうございます。
 それでは、議題1に関して、アセトアミノフェンの腎機能障害患者への使用に当たって、安全性の観点から、臨床上の使用経験が豊富な伊藤参考人、坪井参考人の意見が参考になるのではないかと思われます。当調査会としては、両参考人には御出席をいただき、御意見を述べていただいてはどうかと考えておりますけれども、委員の先生方、よろしいでしょうか。
 それでは、御異議がないようですので、御了承いただいたものとします。伊藤参考人と坪井参考人には御出席、御意見をいただくこととします。
○事務局 ありがとうございます。
 なお、三木参考人、岩永参考人、臼井参考人につきましても意見陳述が可能だということで確認をしております。これらの申告につきましては、追ってホームページで公表させていただくこととしておりますので、お知らせいたします。
 続きまして、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果につきまして御報告をさせていただきます。
 薬事分科会規程第11条においては「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には辞任しなければならない」という規定がございます。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますことを御報告させていただきます。
 御報告は以上になります。
○岡座長 ただいまの事務局からの御説明に御意見、御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、事務局から本日の資料の確認をお願いします。
○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 資料はあらかじめお送りさせていただいておりまして、議題1に関しまして資料1-1から1-4まで、議題2に関しまして資料2-1から2-2まで、議題3に関しまして資料3-1から3-3及び参考資料3-1から3-3までがございます。このほか、議事次第、資料一覧、委員・参考人名簿及び競合品目・競合企業リストをお送りしているところでございます。お手元に御用意のない委員がいらっしゃいましたら、お知らせいただければと思います。
 なお、資料につきましては、厚生労働省ホームページにも掲載しておりますので、オンラインで傍聴されている方はそちらを御参照いただけますと幸いです。
 以上になります。
 よろしいでしょうか。お手元にございますでしょうか。
○岡座長 それでは、議題1「アセトアミノフェンを含有する製剤(医療用)の『使用上の注意』の改訂について」の審議を行いたいと思います。
 事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 議題1について御説明いたします。
 資料1-1「アセトアミノフェンを含有する製剤(医療用)の『使用上の注意』の改訂について」を御覧ください。
 「1.品目概要」を御覧ください。アセトアミノフェン単剤(経口剤、坐剤、注射剤)は、解熱・鎮痛を効能・効果とする医薬品です。また、アセトアミノフェンを含む配合剤には、非オピオイド鎮痛剤で治療困難な非がん性慢性疼痛及び抜歯後の疼痛における鎮痛を効能・効果とするトラマドール塩酸塩・アセトアミノフェン配合剤や、かぜ症候群における鎮咳、鎮痛、解熱及び気管支炎における鎮咳を効能・効果とするジプロフィリン・ジヒドロコデイン・dl-メチルエフェドリン塩酸塩・ジフェンヒドラミンサリチル酸塩・アセトアミノフェン・ブロモバレリル尿素配合剤(以下「ジプロフィリン・アセトアミノフェン等配合剤」といたします)があります。
 今回「使用上の注意」の改訂を行うに当たり、これらの配合剤も併せて検討しますが、サリチルアミド・アセトアミノフェン・無水カフェイン・プロメタジンメチレンジサリチル酸塩配合剤、サリチルアミド・アセトアミノフェン・無水カフェイン・クロルフェニラミンマレイン酸塩配合剤、イソプロピルアンチピリン・アセトアミノフェン・アリルイソプロピルアセチル尿素・無水カフェイン配合剤については、NSAIDsを含むため、禁忌解除の対象品目には含めないこととしています。
 続いて「2.経緯」を御覧ください。アセトアミノフェン(以下「本剤」という。)は、禁忌として「消化性潰瘍のある患者」「重篤な血液の異常のある患者」「重篤な肝障害のある患者」「重篤な腎障害のある患者」「重篤な心機能不全のある患者」「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」及び「アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者」の7つの集団が設定されています。
 一般社団法人日本運動器疼痛学会より、資料1-2のとおり、本剤の禁忌患者のうち「重篤な腎障害のある患者」及び「重篤な心機能不全のある患者」について、現在発行されている成書、ガイドライン等において、本剤はNSAIDsに比べ、腎機能、体液貯留等に対する影響が少なく、NSAIDsが使用困難な患者にも治療選択肢となる旨が記載されていること、実臨床において、本剤は腎障害のある患者及び心機能障害のある患者に対して使用されるケースが少なくないものの、これらの患者が禁忌に設定されていることで、適切な薬物治療の妨げになっていること、という2つの理由により禁忌解除の要望を受けました。
 これにより、禁忌設定されているほかの集団についても、成書やガイドライン等を確認した結果、消化性潰瘍、血液の異常及びアスピリン喘息のある患者に対しても治療選択肢となる旨、記載されていることが確認されました。したがって、「重篤な腎障害のある患者」「重篤な心機能不全のある患者」に「消化性潰瘍のある患者」「重篤な血液の異常のある患者」及び「アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者」の3つを加え、計5つの集団への当該注意喚起について見直しを検討することといたしました。
 これらの5つの集団が禁忌に設定されている理由は、本剤経口剤において、平成6年に効能・効果、用法・用量に関する再評価が行われた結果として、同時に再評価を受けるべき医薬品として指定を受けたNSAIDsとともに、「次の患者には投与しないこと」(現在の禁忌)の項にこれら5つの集団が設定されたためです。経口剤を参考として、坐剤、注射剤、配合剤についても同一の内容で禁忌が設定されました。
 「3.調査結果」です。資料1-3になりますが、国内外の成書・ガイドラインの記載状況、海外添付文書の記載状況、副作用報告の状況、関連する公表文献等を調査しました。なお、ジプロフィリン・アセトアミノフェン等配合剤については、同一有効成分を配合している製剤は海外では販売されていませんでした。
 国内副作用症例報告のうち、今般検討している禁忌患者に該当する可能性があり、かつ、各禁忌患者の設定理由に該当する症例を詳細に調査した結果、調査対象品目との因果関係が否定できない症例は認められませんでした。また、研究報告においても、鎮痛薬関連の有害事象の解析結果において、本剤に関連する記載は認められませんでした。
 「重篤な心機能不全のある患者」「消化性潰瘍のある患者」「重篤な血液の異常のある患者」の3つの集団の患者については、国内副作用症例等報告の状況及び「成書、ガイドライン、公表文献等により、本剤の使用が推奨されていること」「海外添付文書では、当該患者は禁忌に設定されていないこと」から禁忌の項から削除し、使用に際して必要な注意喚起を設定することが適切と判断しています。
 続いて「重篤な腎障害のある患者」については、次の理由により、禁忌を解除するとともに、使用に際して必要な注意喚起を設定することが適切と判断しています。成書、ガイドライン、公表文献等により、本剤の使用が推奨されていること。海外添付文書では、当該患者は禁忌に設定されていないこと。トラマドール塩酸塩・アセトアミノフェン配合剤については、カナダにおける添付文書に「重篤な腎障害の患者(クレアチニンクリアランスが30mL/分未満)」が禁忌に設定されていますが、当該設定は、トラマドール含有製剤に対してカナダ規制当局からの指示により記載されているものであり、カナダにおいても、本剤、つまりアセトアミノフェン単剤の添付文書では当該患者は禁忌には設定されておりません。アセトアミノフェン単剤も同様ですが、海外添付文書の一部に「腎障害のある患者」における注意喚起として、投与間隔の延長及び減量等に関して禁忌以外の項に記載されている状況です。本剤及びトラマドール塩酸塩・アセトアミノフェン配合剤の用法・用量の調節を要する腎障害の程度及び当該調節方法について、海外添付文書の用法・用量の調節に関する記載は各国で異なり、ガイドライン等にも明確な用法・用量の調節に関する記載はないため、必ずしも一定の見解が得られておりません。よって、対象患者等に具体的に言及することには一定の制限があるものの、海外添付文書ではおおむね本剤の用法・用量を調節する旨の記載はされていることから、「重篤な腎障害のある患者」に対して、本剤の投与量及び投与間隔の調節を考慮する旨の注意喚起は必要と考えられること。
 最後に「アスピリン喘息又はその既往歴のある患者」については、次の理由により禁忌を解除するとともに、使用に際して必要な注意喚起を設定することが適切と判断しています。成書、ガイドライン、公表文献等により、本剤の使用が推奨されていること。海外添付文書では、当該患者は禁忌に設定されていないこと。以下の現時点での知見に基づき、「アスピリン喘息又はその既往歴のある患者」に対しては、本剤1回300㎎以下とする旨の注意喚起が必要と考えられること。知見ですが、具体的には「喘息予防・管理ガイドライン2021」において、多くのAERDで投与可能な医薬品の一つとして本剤1回300㎎以下が記載されています。なお、本剤は比較的安全であるが、1回1000~1500㎎負荷で34%が呼吸機能低下を示した報告があり、日本では1回300㎎以下にすべきである旨が記載されています。
 また「喘息診療実践ガイドライン2022」では、「やや危険(弱いCOX-1阻害作用を持つ薬剤)」として本剤1回500㎎以上が、「比較的安全(COX-1阻害作用が少ない薬剤)」として本剤1回300㎎以下が記載されています。調査対象品目のうち、トラマドール塩酸塩・アセトアミノフェン配合剤については、1錠中に本剤325㎎を含有していますが、「抜歯後の疼痛」と「非がん性慢性疼痛」の2つの効能・効果があります。このうち、通常用量が1回2錠(本剤650㎎)である「抜歯後の疼痛」に対しては、アスピリン喘息又はまたはその既往歴のある患者を引き続き禁忌として設定しておくことが適切と判断しています。もう一つの効能・効果である非がん性慢性疼痛は、通常用量が1回1錠(本剤325㎎)で、1回2錠(本剤650㎎)まで増量可能とされており、通常用量が「喘息診療実践ガイドライン2022」にて比較的安全とされている上限の1回300㎎を著しく超えておらず、やや危険とされている1回500㎎以上とは一定程度乖離していることから、「1回1錠(本剤325㎎)とすること」「当該配合剤を用いず、個別のアセトアミノフェン製剤を用いた用量調節を考慮すること」の注意喚起は必要と考えますが、「アスピリン喘息又はその既往歴のある患者」の禁忌を解除することは可能と判断しています。
 これらを踏まえまして「4.対応方針」のとおり、添付文書について次の改訂を行ってはどうかと考えております。
 資料1-3「調査結果報告書」の別添3の通し番号で37~52ページに、現行記載と改訂案を比較した新旧対照表を添付しております。
 改訂内容ですが、「重篤な心機能不全のある患者」「消化性潰瘍のある患者」「重篤な血液の異常のある患者」の3つの集団について、禁忌の項から削除するとともに、使用に関して「特定の背景を有する患者に関する注意」(新記載要領の場合。旧記載要領では「慎重投与」の項)において注意喚起を行う。「重篤な腎障害のある患者」について禁忌の項から削除し、本剤の投与量及び投与間隔の調節を考慮する旨の注意喚起を行う。「アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者」については以下のとおりとする。単剤及びジプロフィリン・アセトアミノフェン等配合剤は禁忌の項から削除し、単剤の「用法及び用量に関する注意」の項目において、本剤1回300㎎以下とする旨の注意喚起を行う。46~50ページ、トラマドール塩酸塩・アセトアミノフェン配合剤は「抜歯後の疼痛」に対しては引き続き禁忌とし、「非がん性慢性疼痛」に対しては「1回1錠とすること」及び「当該配合剤を用いず、個別のアセトアミノフェン製剤を用いた用量調節を考慮すること」の注意喚起を行う。これらについて改訂を行ってはどうかと考えております。
 「5.その他」です。アセトアミノフェンを含有する一般用医薬品についても、リスクは医療用医薬品と同様に評価できるため、医療用と同様に禁忌を解除することは可能であると考えておりますが、対象となる医薬品が多数あること等から、情報を整理した上で、「使用上の注意」の改訂の要否等について、後日、安全対策調査会に報告等をすることとしたいと考えております。
 最後になりますが、アセトアミノフェンを含有する製剤(医療用)の添付文書を資料1-4としています。
 御説明は以上となります。
 御審議のほどよろしくお願いいたします。
○岡座長 それでは、参考人の先生方から御意見をいただきたいと思います。
 まず、三木参考人より御意見をいただけますでしょうか。
○三木参考人 大阪行岡医療大学の三木です。
 私は整形外科医で、日本運動器疼痛学会の代表として来させていただいております。なお、日本運動器疼痛学会以外に、疼痛関連8学会という8つの学会があるのですけれども、その痛み関連学会連合としても同様の提言、情報をさせていただきました。
 今、説明がございましたように、禁忌として、腎障害のある患者さん、また心不全のある患者さんなどはアセトアミノフェンが使えない状態になっている。現実として、特に高齢の患者さんは、NSAIDsが使えない場合にアセトアミノフェンを使っているという現状がございます。また、ガイドラインなどではNASIDsをやめてアセトアミノフェンにしましょうというふうに記載があるのですが、現在禁忌になっているので使いにくいことがあって、現状、実際に臨床で使われている様相にフィットした形に禁忌を解除していただくというのが意見です。
 以上です。
○岡座長 ありがとうございました。
 続きまして、伊藤参考人より御意見をいただけますでしょうか。
○伊藤参考人 御紹介いただきました藤田医科大学の腎臓内科学客員助教の伊藤辰将です。このたびお呼びいただきましてありがとうございます。
 御質問させていただきたいのですけれども、この際の腎機能障害というのは、GFRの低下と捉えることでよろしいでしょうか。
○三木参考人 そう考えております。例えば、eGFRで60以下とか30以下でCKDというふうに決まっているかと思いますけれども、そういう患者さん。例えば65歳以上の患者さんだったら、主に整形外科もしくは痛みの患者さんの場合は半数以上がCKDと言われておりますので、いわゆる多い患者さんに対して実際使えないのはどうなのかということで、実臨床では実際に使っているのですけれども、その状態とは整合性を取りたいというのが意見です。
○伊藤参考人 ありがとうございます。私としても同意見なのですけれども、腎障害という形で表現したときに、いわゆるGFRが下がらないような腎疾患というのが含まれてしまう可能性がないかという懸念が1点ございます。
 それにつながることでございますけれども、改正案に「腎障害の既往」という表現がありますが、こちらの腎障害の既往というのが具体的にどのような疾患を指すのか、過去にGFRが下がって現在戻ったことがある人をリスクとすべきかどうか、私としては、それが適切かどうかということが1つ疑問点として現在ございます。
○岡座長 そうしますと、伊藤先生は、参考人の御意見としては、その腎機能障害を外すのはいいのだけれども、GFRの低下しない腎機能障害がどうなのかということと、この腎疾患の既往がどうなのかというこの2点、これは事務局への御質問ということでよろしいですか。
○伊藤参考人 はい、お願いします。
○岡座長 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 伊藤参考人、御意見いただき、ありがとうございました。いただいた2点の御質問については、現在、事務局のほうでも精査しているところになっておりまして、ちょっと情報収集が必要かなというところがございます。アセトアミノフェンについては、少し古い薬にもなってくることから、すぐにお答えがしづらいところもございまして、また情報を整理した上で、後日改めて御回答させていただければと思っています。
 現在の改正案の書きぶりについても、そこに関連してくるところと認識しておりますので、改めて御相談のうえ、調査会の先生の御意見も踏まえまして審議いただければと思います。
 すみません、以上になります。
○岡座長 よろしいでしょうか。
○伊藤参考人 ありがとうございます。
 加えて、同様に、腎障害の再発の懸念に関しても述べられておりますので、こちらのほうも、再発をどう定義するかということに関して議論をお願いしたいと思っております。ありがとうございます。
○岡座長 続きまして、坪井参考人より御意見をいただけますでしょうか。
○坪井参考人 ありがとうございます。
 腎臓内科領域では、このアセトアミノフェンはもう普通に使用している薬剤ですので、このたび禁忌から外れるという動きになったことは非常にありがたいことだと思います。患者さんにとっても我々にとってもありがたいと思います。
 コロナのワクチン接種後の発熱、注射部位の疼痛に関しましても、たとえ透析患者さんであってもアセトアミノフェンを普通に処方しております。この添付文書等、実臨床の現状がかなり大きな乖離があるということだと思います。伊藤参考人と同じくですけれども、この改訂案のところの「腎障害またはその既往歴のある患者」の「腎障害」というのが非常に曖昧というか、広い分野をカバーしていることであるのですけれども、例えば腎炎とかネフローゼというような、まだGFR、腎機能がいい状況の腎疾患の方において、アセトアミノフェンが症状を悪化させたり、再発を施すというケースレポートのレベルでもそういうエビデンスはないと理解しておりますし、薬効としても、NSAIDsはGFRを確実に低下させる薬剤だと思いますけれども、アセトアミノフェンに関しては中枢性に働くものですので、腎臓の血管を広げたり縮めたり、特に広げたりという作用がありませんので、腎障害がさらに進行することは薬理学的にないと考えますので、もともと腎障害が指摘されたことがあるという患者さんにおいて、その再発を施すおそれがあるというのは理論的根拠が今のところないのではないかと思います。
 ですので、改訂案のところは、今「腎障害またはその既往歴のある患者」と書いてありますけれども、その上の9.2というところの腎機能障害と限定すべきなのではないかと個人的には考えます。
○岡座長 よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 続きまして、岩永参考人より御意見をいただけますでしょうか。
○岩永参考人 近畿大学病院の岩永と申します。
 従来からアスピリン喘息に関しましてはアセトアミノフェンは慎重投与ということで、学会員全て認識しておるところです。といいますのは、年に1回、アレルギー学会に関しましては総合アレルギー講習会というのを行っておりまして、そこで会員に300㎎までなら大丈夫と。「大丈夫」というふうに言っておるぐらいでして、実際にそれで問題が起こったということはございませんけれども、確かにそれ以上の量で大丈夫かと言われますと、一旦アスピリン喘息の増悪が起こりますと致死的になるかもしれませんので、そのあたりは慎重に行ったほうがいいということで、今回は300㎎の325㎎ということで、たった25㎎しか変わりませんから、今回の改訂案に関しましては妥当かなとは考えております。
 以上です。
○岡座長 ありがとうございました。
 それでは、委員の先生方から御意見、御質問をいただきたいと思いますけれども、今の参考人の先生方の御意見を踏まえていかがでしょうか。
 柿崎委員、お願いいたします。
○柿崎委員 柿崎です。参考人の先生方の御意見を拝聴いたしまして、実臨床に即した形、あるいはガイドラインに即した形ということで、禁忌から慎重投与、または特定の背景を有する患者さんの分類に移行すること自体には特段意見はございません。
 腎障害の既往のある患者さんを慎重投与からも外すかどうかということに関しては、問題になったというエビデンスがないということなので、実際には問題ないのかもしれませんが、今回、禁忌から慎重投与に移行しますし、薬剤は何であっても慎重に投与しなければならないということに余り変わりはないかと思いますので、現行案でもいいのではないかなとは感じました。
○岡座長 ありがとうございます。
 そのほか、委員の先生方、いかがでしょうか。
 伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
 私も先生方のお話を伺って、禁忌を外すことに関しては問題ないと思ったのですけれども、その腎障害のところに関しまして、先ほどもお話がありましたように、例えば「減量とか投与間隔の延長を考慮すること」という表現が少し曖昧な感じもありまして、現場で実際にこのぐらいの表現で問題がないのかどうかというところは少し気になるところなのですが、このあたりの書きぶりは今後また検討されるという理解でよろしかったでしょうか。
○岡座長 事務局から先ほどコメントいただいたのは、少し調べさせていただくというようなお答えだったかなと思いますけれども、事務局のほう、それでよろしいですか。
○事務局 先ほどお話しさせていただきましたのは、腎障害の既往歴のある患者、それから再発を促すそういった記載、これについて既存の添付文書にも記載されていたので、その部分の設定根拠などを調べて、また先生方に御説明させていただくといったことを再度検討する予定としております。
 先生がお話しいただいていた用量調節については、現行の案のままとしている状況でございます。それについては再度検討する予定はございません。
 以上です。
○伊藤委員 ありがとうございます。
 表現として、このくらいの表現でフレキシビリティーがあるのかと思うのですけれども、実際にどのくらい減量するとかいったことの記載が必要ないのかというところは少し気になったのですが、現場のほうで特に問題がなさそうなのであれば大丈夫なのかなと思います。
 以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
 事務局、どうぞ。
○事務局 先生、すみません。今の発言に補足なのですけれども、用量調節の点です。海外の添付文書の記載状況も、統一されているものでもなくて、明確な用量を記載することがなかなかできなかったので、こういった記載になっております。
 以上です。
○岡座長 よろしいでしょうか。
○伊藤委員 ごめんなさい、一言よろしいですか。
○岡座長 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 すみません、申し訳ありません。
 今後そこをもう少し具体的に書けるように検討される予定とか、そういうのは特にないのでしょうか。
○事務局 既に海外の添付文書等を調べていて、これといった定められる用量というのがないのが現状で、今後は、何か調べて、追加で添付文書の記載を検討するといったことは考えておりません。申し訳ございません。
○伊藤委員 ありがとうございます。海外の添付文書といいますか、実際にいろいろエビデンスを集めてということになるのかなと思うのですけれども、とりあえず現状は予定がないということで承知いたしました。ありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。
 そうしましたら、佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 ありがとうございます。
 この解除の必要性というのは非常によく理解できました。
 今回何も触れられていなかったので少し確認をさせていただきますが、小児の場合なのですが、体重換算で用量を。今、用量の話も出ていましたけれども、小児の場合は体重換算で用量を決めておられるようですけれども、取扱いとしては全く同じで大丈夫という理解でよろしいでしょうか。
○事務局 同じとさせていただいております。
○佐藤委員 分かりました。それは、これまでシグナルがあるとかいうこともなく、そういった報告はないということで大丈夫でしょうか。つまり、大人と子供で乖離がある部分は大丈夫かなというところなのですけれども。
○事務局 佐藤先生、御意見いただき、ありがとうございます。
 現時点で小児に特有の懸念があるといったことは確認されていない状況でございます。
○佐藤委員 ありがとうございました。よく分かりました。
○岡座長 石井委員、お願いいたします。
○石井委員 ありがとうございます。
 先ほどの用量をばしっと決めるというのは、現状、やはり難しいように私も思いました。そこで参考人の先生方にお聞きしたいのですが、腎機能が悪くなっていくと、腎機能をモニタリングしながら用量を決めて有効性と安全性を担保するというのが医師の皆さんの常だと思いますが、そのあたりを解説いただけるとありがたいのですが、よろしいでしょうか。
○岡座長 三木参考人。
○三木参考人 大阪行岡医療大学の三木です。
 私ども整形外科やペインクリニックの先生方が鎮痛剤、NSAIDsを含め、アセトアミノフェンとかを使うときには、半年に一遍ぐらいは採血をして、腎機能を調べたり、肝臓を調べたり、そういうことを促すような話は、例えば学会などの研修か何かでも時々しております。ただ、一般の開業医さんのところで全部できているかというと、なかなか難しいという現状はあるのですけれども、少なくともそういうモニタリングをして使いましょうという話は学会などの研修・講演などでさせていただいております。
 以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
 あと、腎臓の御専門の立場から、坪井参考人、よろしいですか。
○坪井参考人 薬が常用か頓用かというか、短期間か常用かによっても変わってくると思いますけれども、アセトアミノフェンでないNSAIDsに関しましては、腎障害のある患者さんがこちらに来た場合には常用はできる限り避けるようにというコメントをさせていただいておりますし、私どももほかの診療科でNSAIDsをどうしても使わなくてはいけない状況の場合は、毎回、腎機能は評価しているというのが通常のプラクティスパターンだと思います。
 この議題のアセトアミノフェンに関しましては、腎臓機能障害が進むということはない薬剤と腎臓内科医は理解しているので、かつ、長期にわたって常用されるケースは余り多くはないので、使った3日後に腎機能をもう一回再評価するということは実際はされていないと思いますし、薬理学的なことを考えると、する必要もない。だからこそ、NSAIDsよりアセトアミノフェンは安心して使えるお薬だという理解でおります。
 こういったものが全部使えないと、腎機能障害がある人は痛みも熱も我慢しろという話になってしまいますので、それによって起きる健康障害のほうが重篤だと考えます。短期間の使用に関しましては大きな問題はないかなと思います。
○石井委員 ありがとうございます。私もその意見に賛成でございますので、今回の禁忌を外すというのに賛成いたします。
 以上です。
○岡座長 ありがとうございました。
 そのほかいかがですか。
 そうしますと、先ほど伊藤参考人、坪井参考人から御指摘をいただいた点については一度事務局のほうで整理をしていただくというお答えでございましたけれども、その上で、情報収集をしていただいてまたお答えいただくというような形でも、事務局、よろしいですか。
○事務局 岡先生、ありがとうございます。事務局でございます。
 今、先生がおっしゃっていただいたとおり、事務局のほうで少しお調べしまして、メール等で先生方に御報告させていただきたいと思います。
 なお、アセトアミノフェンなのですけれども、副作用として、間質性腎炎や急性腎障害といったものも起こり得る薬剤になっておりますので、そういったものとの兼ね合いでも注意喚起をしているところと承知しております。このあたりも含めて確認をした上で先生に御回答したいと思っております。
○岡座長 分かりました。
○坪井参考人 エビデンスがあるのはアセトアミノフェンのプロドラッグのフェナセチンに関する記述で、アセトアミノフェンが直接間質性腎炎を起こすかどうかというエビデンスはほとんどないと思います。
○事務局 ありがとうございます。その点も含めて確認させていただきたいと思います。ご教示いただきありがとうございました。
○岡座長 そうしましたら、議決をどうやって採るかなのですけれども、今、両参考人に御指摘をいただいた点については情報収集をさせていただくということで、改めて調査会にメール審議させていただければと思います。それ以外の禁忌を外すということについて御審議をいただければと思います。
 その点以外について、事務局の提案どおりアセトアミノフェンを含有する製剤(医療用)の「使用上の注意」を改訂するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○岡座長 そうしましたら、4人の委員の方から御賛同いただきましたので、先ほどの点については再度情報収集をして審議いただくということで、まず禁忌を外すということについて承認というふうにさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
 それでは、今後の進め方について御説明いただけますか。
○事務局 事務局です。
 御議論いただきありがとうございました。アセトアミノフェンを含有する製剤(医療用)につきましては、5つの集団について禁忌を解除することについては同意いただけたのかなと思います。今、御議論いただいたとおり、慎重投与の項や特定の背景を有する患者の項で注意喚起を行うものについて、一部記載が曖昧であったり、そもそもの設定背景のところがお答えできなかった部分もあるので、また情報を整理した上で、調査会の委員の皆様に改めて御連絡をさせていただいて、再度審議いただければと考えております。また、新しく改訂案等を考えることになりますけれども、その際には、学会の皆様の御意見等を再びお聞きすることもあるかもしれないので、御協力をいただければと思います。
 以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
 それでは、本議題を終了したいと思います。
 御意見いただきました三木参考人、伊藤参考人、坪井参考人、岩永参考人におかれましては、貴重な御意見をいただきありがとうございました。これ以降は御意見を求める予定はございませんので、途中で御退席いただいて差し支えございません。どうもありがとうございました。
○岡座長 それでは、議題2「要指導医薬品精製ヒアルロン酸ナトリウムのリスク評価について」の審議を行いたいと思います。
 事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 資料2-1「要指導医薬品のリスク評価について」を御覧ください。表に記載されている品目は、現在、要指導医薬品に指定されており、このたび、製造販売後調査期間の終了見込みに伴い、一般用医薬品としての適切性を確認するためのリスク評価をお願いするものです。
 初めに、要指導医薬品の一般用医薬品への移行の評価手順について簡単に説明させていただきます。2ページを御覧ください。
 「スイッチOTC薬等のリスク評価について」は、リスク評価手続について、平成25年12月に開催された医薬品等安全対策部会において決定していただいたものです。本日の御審議は、この部会決定に基づいて実施していただくことになります。
 背景から順に御説明いたします。
 平成25年の当時の薬事法改正により、適正使用のために薬剤師による対面による情報提供や薬学的知見に基づく指導が必要な医薬品として、一般用医薬品とは別に「要指導医薬品」という新たな医薬品カテゴリーが設けられました。この要指導医薬品のうち、スイッチOTCやダイレクトOTCにはそれぞれ一定期間の製造販売後調査の実施が義務づけられており、この調査期間が経過すると一般用医薬品に移行することとなるため、移行の際には、一般用医薬品としての販売の可否を確認するためのリスク評価を行う必要があります。
 2.のとおり、一般用医薬品としての販売可否に関する評価については、原則3年間の製造販売後調査の終了までに行うこととし、製造販売後2年以降の時点において、製造販売後調査の中間報告の結果などを基に、製造販売承認の拒否事由に該当する状況にないことを確認していただくこととなります。
 この確認については、3.に記載されているとおり、本安全対策調査会にて行っていただくこととしており、また、本日の審議結果については、医薬品等安全対策部会に御報告させていただくこととしております。
 要指導医薬品から一般用医薬品への移行についての流れを説明いたします。5ページ目を御覧ください。
 企業は、販売開始後原則3年間の製造販売後調査を実施し、その間は要指導医薬品と区分されます。調査期間中に1年ごとに年次報告書が提出され、また、製造販売開始後2年以降経過し、特別調査の目標症例数、内服薬3,000例、外用薬1,000例を集めた時点で中間報告書が提出されます。中間報告書をもって安全対策調査会で一般用医薬品としての販売の可否について評価します。
 一般用医薬品への移行が認められた場合、製造販売後調査期間が終了した時点で第一類医薬品に移行します。今後、製造販売後調査終了後の1年の間に企業から提出される最終報告などの結果から、一般用医薬品としてのリスク区分を安全対策調査会及び部会での審議などを経て決定することになります。
 繰り返しになりますが、今回お願いさせていただきます評価は、5ページ目の中ほどにございます①の第一類医薬品としての販売の可否についての評価になります。
 続いて、精製ヒアルロン酸ナトリウムについて説明いたします。資料2-2を御覧ください。
 販売名は「ヒアレインS」「サンテ ヒアルロン酸点眼液」です。「サンテ ヒアルロン酸点眼液」は販売されておりませんので、以降の副作用報告等については、ヒアレインSに関する内容を御説明します。
 効能・効果は、目の次の症状である乾き、異物感(コロコロ、チクチクする感じ)、疲れ、かすみ、ソフトコンタクトレンズまたはハードコンタクトレンズを装着しているときの不快感の緩和です。用法・用量は「1回1滴、1日5~6回点眼してください」とされています。
 ヒアレインSは2020年9月に販売を開始しており、本資料の14~34ページ及び35~42ページになりますが、要指導医薬品製造販売後安全性調査報告書がPMDAに提出されました。当該報告書によると16ページになりますが、本剤は、症状の改善が見られても2週間を超えて使用する場合は医師または薬剤師に相談することとなっていますが、2週間を超えて使用した割合が27.9%、そのうち医師または薬剤師に相談していない割合が67.7%と、不適正使用が多く見られました。
 厚労省において、不適正使用割合が高い、つまり、本来医療機関での診断・治療が必要な人が本剤を使用または継続することにより、適切な治療機会を喪失し、疾患が重症化する懸念があるという問題点があり、一般用医薬品に移行することは不適正使用が増大する可能性があると考え、企業との調整の結果、当該結果が得られた製造販売後調査以降に追加の安全対策が実施され、また、状況の改善を確認するための追加の製造販売後調査が企業により実施されました。
 以上を踏まえて、製造販売後調査の第一次・二次報告及び追加報告の概要を御覧ください。
 通常は、先ほど説明したとおり、中間報告書をもって安全対策調査会で一般用医薬品としての販売の可否について評価していますが、調査開始後1年ごとに提出することとされている定期報告において調査予定報告症例数に達した場合中間報告は不要とされているため、今回は定期報告として提出された第一次・二次報告で評価しています。
 特別調査とは、個別に薬局と契約して、モニター店舗でアンケート調査票を配ってアンケートによる調査を実施するものです。第一・二次報告書においては、調査症例数1,288症例で、副作用が21例32件ございました。そのうち重篤と判断された症例はなく、未知の副作用として、流涙増加及び霧視各2件、頭部不快感、眼精疲労、眼部不快感、眼瞼皮膚乾燥、眼内異物及び医療機器色調の問題が各1件報告されました。
 使用者もしくは薬剤師からの自発報告という形での一般調査では、副作用は35例49件ございました。このうち重篤と判断された症例はなく、未知の副作用として、目の異物感8件、霧視及び発疹各2件、麦粒腫、帯状疱疹、味覚不全、眼部不快感、眼精疲労、結膜出血、調節障害、複視、頸部痛、口の感覚麻痺、体調不良、状態悪化、流涙増加、呼吸困難、動悸、湿疹及び爪甲剥離症各1件が報告されました。
 また、追加調査報告書においては、特別調査の調査症例数363症例で、副作用が1例1件ございました。このうち重篤と判断された症例及び未知の副作用はありませんでした。
 一般調査では、副作用が6例8件ございました。このうち重篤と判断された症例はなく、未知の副作用として、眼瞼縁痂皮、角膜損傷、浮動性めまい、悪心及び眼の障害が各1件報告されました。
 5ページ「調査結果に関する見解と今後の安全対策」を御覧ください。先述のとおり、初回の副作用頻度調査において、本剤を2週間を超えて使用する場合に医師または薬剤師に相談しなかった症例が多数報告され、追加対応策として、具体的には66~68ページに添付しておりますとおり、使用者向け注意喚起文書の作成、ウェブサイト商品説明ページでの注意喚起文掲載、SNSを用いた製品情報配信による注意喚起文掲載、販売店勉強会を実施した結果、2週間を超えて使用し、かつ、医師または薬剤師に相談しなかった不適正使用の割合は67.7%から21.8%まで減少しました。
 しかし、6ページ「2 適正使用状況に関する見解」に記載があるとおり、追加対応策を実施しても依然として不適正使用が見られたことや、購入時に薬剤師から説明や確認がなかった事例が見られたことを踏まえ、企業はさらなる改善措置が必要と考えており、先述の対策に加え、ウェブサイト製品説明ページや製品リーフレットにおいて、使用者の理解を促すイラストを用いた説明、薬剤師のより深い理解を促すための販売店勉強会資料の改訂や当該勉強会の拡大、今回の副作用頻度調査で販売時に資料を用いた説明を行わなかった店舗や薬剤師への個別の注意喚起を実施し、本製品の適正使用を推進していくとしています。
 3ページ目は、本剤と類似の効能・効果を持つ医薬品の一覧、4ページは、本剤と医療用同一成分であるヒアレイン点眼液0.1%の副作用等発現状況をまとめたものになります。
 14~52ページは、製造販売後安全性調査報告書、53~54ページは添付文書、55~56ページはチェックシート、57~65ページは使用者向けの適正使用啓発文書、66ページ以降は企業の追加対応策に係る資料を添付しています。
 資料の説明は以上となります。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○岡座長 それでは、臼井参考人より御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○臼井参考人 国際医療福祉大学の眼科の責任者をしております臼井と申します。
 このヒアルロン酸ナトリウム0.1%点眼薬は、我々眼科医の間では「ヒアレイン」という名前で、私が国家試験を通った27~28年前からある薬ですけれども、特に安全性に問題のあるような薬という認識は全くなく、通常の臨床でずっと使っておりましたし、安全性云々、特に大きな問題はないものだと思って、我々はずっと処方しておりました。
 問題なのは、重症のドライアイ患者さんに関しては効果が非常に限定的なものですから、そういった重症患者さんが勝手に買ってずっとつけながら悪化するという状況が一番懸念される事項だと思われますし、今そういったことを説明されたのだと思いますので、そういったところをどのように担保していくかというところかと思います。
 以上となります。
○岡座長 ありがとうございます。
 それでは、委員の先生方から御意見等をいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
 2週間たって症状がよくなかったら眼科受診をしていただくということは、なかなか守っていただけない方が多かったという調査結果ですけれども、特にございませんか。
 それで、追加の対応もされるということかと思います。
 伊藤委員、お願いいたします。
○伊藤委員 ありがとうございます。先ほどのお話にもありましたように、かなり気楽に使ってしまう薬なのかなと。副作用も余りないし、ちょっと目が乾いたり、ごろごろしたりとかいうときに気楽に使ってしまうイメージがあって、今もお話がありましたように、2週間ごとに受診するというのは使用者としてもなかなかやらないところがあるのではないかという気がするのです。実際、受診しなかったときに、もしもっと重症な疾患が隠れていたり、そういった懸念があるというところを、具体的な例とかいったものを販売するときに提示するとか、実際に文書には書いてあるようでしたけれども、隠れている疾患があった事例を示すとか、何か改善をしていかないと、薬剤師さんが説明をしたとしても実際には御受診しない患者さんはどうしてもいるのかなという気がするのです。具体的な案とかというのは難しいのでしょうか。
○岡座長 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 御指摘ありがとうございます。先生からいただいた御意見も踏まえて、今後、企業の追加の安全対策措置を検討していくので、その中で具体的な事例等も含めて、どのように注意喚起すべきかというのを検討させていただけたらなと思っております。
○伊藤委員 ありがとうございます。
○岡座長 そのほかいかがでしょうか。今、伊藤委員がおっしゃったように、どういうふうに情報を発信するか難しい部分があろうかと思いますけれども。
 その点については検討していただくということで、議決に移りたいと思います。今の点を踏まえて、企業のほうでも今後検討していただくということで、精製ヒアルロン酸ナトリウムについては一般用医薬品とすることでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○岡座長 ありがとうございます。
 そうしましたら、今、4名の委員の先生が御出席ですけれども、皆さん御異議なしということで進めさせていただきます。
 それでは、本議題に関する今後の進め方について事務局より御説明をお願いします。
○事務局 御議論いただき、ありがとうございました。製造販売後調査終了までの間、報告される副作用報告等を評価し、本日御審議いただきました結果に変更がないことを確認しつつ、一般用医薬品に移行する手続を進めてまいります。
 また、本日の結果については、次の医薬品等安全対策部会に報告いたします。
 どうもありがとうございました。
○岡座長 それでは、本議題を終了したいと思います。
 臼井参考人におかれましては、貴重な御意見をいただき、ありがとうございました。
 これ以降は途中で御退席いただいて大丈夫です。ありがとうございました。
○臼井参考人 ありがとうございました。
○岡座長 続きまして、報告事項でございますけれども、議題の3「緊急承認された医薬品の市販後安全対策について」を行います。
 事務局より御説明をお願いします。
○事務局 報告事項「緊急承認された医薬品の市販後安全対策について」で、ゾコーバ錠に対して6月の安対部会以降に行った追加の安全対策等を5点報告させていただきます。
 まず、資料3-1を御覧ください。
 6月29日の安対部会で御説明させていただいたとおり、同日付で厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策本部、医薬・生活衛生局医薬安全対策課連名事務連絡を発出し、資材活用の徹底と妊娠の可能性を入念に確認していただくよう周知しました。PMDAのメディナビ配信でも当該事務連絡の周知を行っています。また、同日に厚労省ツイッターで厚労省ホームページの「妊娠と薬」ページの紹介及び妊娠の可能性について医療従事者に伝えるようにと投稿し、国民向けに周知しています。これに先立ち、塩野義製薬において、ゾコーバ錠を服用する患者さんに「妊娠している可能性」をより深く考えてもらえるように資材の改訂が行われたことは、安対部会でお知らせしたとおりです。
 次に、資料3-2を御覧ください。
 同じく6月の安対部会で検討中として御報告しておりましたアナフィラキシーについては、7月20日付厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課長通知「『使用上の注意』の改訂」で重大な副作用の項への記載を指示しました。因果関係が否定できない症例が報告されたこと、異物であることからリスクとしてアナフィラキシーが起こることは想定されること等から、緊急承認された医薬品である本剤について注意喚起が必要と判断したためです。
 次に、資料3-3を御覧ください。
 7月20日に塩野義製薬が副作用等の状況を公表しました。6月の安対部会で直後調査終了後の第1回公表資料をお示ししましたが、今回が第2回の公表となります。7ページに重要な特定されたリスクとしてアナフィラキシーが追記され、8~9ページで、妊娠が発覚した症例の7例目が報告されています。この症例についても、本剤投与前に妊娠の確認が行われ、同意書は取得されていたものの、本剤を服用された後に妊娠が判明したものです。当該症例は、先ほど御説明した塩野義製薬による資材改訂前に本剤を服用されたとのことです。7月20日にメディナビで6月29日付事務連絡の再周知、及び、厚労省ツイッターでの投稿で妊娠の可能性について医療従事者に伝えるようにと再度国民向けに周知しております。
 次に、6月調査会以降に副作用の転帰が死亡と報告された症例が2例報告されました。こちらは資料の御用意はなく口頭での説明のみとなりますが、1例目は、79歳の原疾患であるびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の悪化で亡くなられた症例です。2例目は、高齢者で、原疾患として橋本脳症、成人T細胞リンパ腫・白血病を有している患者で、本剤を1日分服用された後に劇症肝炎が発現したものの、その後、肝機能は正常に戻り、その数日後に亡くなられ、報告医は死因を劇症肝炎と報告しています。現在、企業が報告医に詳細調査を依頼しているとのことですので、その詳細を踏まえて改めて調査会で御確認いただきたいと考えております。
 最後に、6月の安対部会で、今後の安対調査会におけるゾコーバの評価の頻度については、部会長の岡先生と相談し、迅速に対応が必要な案件があれば開催を検討するものの、市販直後調査終了を一区切りとし、今後はもう少しまとまった情報が得られたタイミングごとに開催することで御意見をまとめていただきました。委員の先生方にはメール等で適宜状況をお知らせしつつ、次回以降は部会長の岡先生と相談しながら、情報がまとまったタイミングで御審議いただくことになると考えております。
 報告は以上となります。
○岡座長 ありがとうございます。
 何か御質問、あるいは御意見等ございますか。
 妊娠に関する周知と、その後の報告の状況、あと、先ほど口頭で御説明いただいた死亡という報告の例の概況といったものを御説明いただきましたけれども、よろしいでしょうか。
 当初、緊急承認ということで1カ月ごとにということだったわけですけれども、少し情報を整理させていただいて、定期的には委員の先生方に見ていただくことになりますけれども、その間隔についてはある程度情報がたまってということで進めさせていただければと思います。よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 そうしましたら、本議題については御確認いただいたものとさせていただきます。ありがとうございました。
 予定しておりました議題は以上ですけれども、事務局から何かございますか。
○事務局 ありがとうございます。特にございません。次回の開催につきましては改めて御連絡したいと思います。
 事務局からは以上になります。
○岡座長 それでは、本日の調査会は閉会させていただきます。どうもありがとうございました。