第24回過労死等防止対策推進協議会 議事録

労働基準局総務課(過労死等防止対策推進室)

日時

令和5年5月30日(火) 15:00~17:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンター  ホール12E
(東京都千代田区内幸町1-3-1)

出席者

専門家委員
岩城穣委員、川人博委員、木下潮音委員、黒田兼一委員、堤明純委員、中窪裕也委員、宮本俊明委員
当事者代表委員
工藤祥子委員、髙橋幸美委員、寺西笑子委員、渡辺しのぶ委員
労働者代表委員
北野眞一委員、冨髙裕子委員、永田一郎委員、西尾多聞委員
使用者代表委員
佐久間一浩委員、鈴木重也委員、山鼻恵子委員

議題

  1. (1)過労死等の防止対策の実施状況及び今後の取組について

議事

議事内容
○中窪会長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第24回「過労死等防止対策推進協議会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多用中にもかかわらずお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本日、御都合により戎野委員と大下委員が御欠席でございます。
本日、一部の委員についてはオンラインで御参加いただいております。オンラインで御参加されている委員におかれましては、何かありましたらチャット機能で事務局にお伝えいただければと思います。
本日、会場にお越しの委員につきましてはタブレット、オンライン参加の委員につきましては、事前にお送りした資料により御議論いただくことにしております。タブレットの操作が分からない場合には、随時職員をお呼びください。
最初に、事務局に異動があったとのことですので、事務局から御紹介いただきたいと思います。
○企画官 前回の協議会以降、事務局に異動がございましたので、御紹介いたします。
労働基準局補償課長の児屋野です。
○補償課長 児屋野です。よろしくお願いします。
○企画官 そして、私、労働基準局総務課企画官の野田です。よろしくお願いします。
事務局の紹介は以上です。
○中窪会長 それでは、カメラの撮影につきましてはここまでとさせていただきますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入ります。
今日の議題は「過労死等の防止対策の実施状況及び今後の取組について」でございます。まず、厚生労働省から10分程度で説明をいただいた後に、人事院、内閣人事局、総務省、文部科学省の順で、それぞれ3分程度で説明いただき、その後、一括して質問等の時間を設けたいと思います。
委員からの発言をできるだけ多くいただきたいと思いますので、事務局の説明は簡潔にお願いいたします。
それでは、厚生労働省から順次御説明をお願いいたします。
○企画官 厚生労働省です。
私から資料1、資料6、資料7について御説明いたします。
資料1は、厚生労働省における令和4年度の主な取組等についてです。
3ページを御覧ください。大綱の数値目標は1から6までございますが、このうちメンタルヘルス関係の数値目標については、大綱において「第14次労働災害防止計画において新たな数値目標が設定された場合、その目標の達成に向けた取組を進める」こととされています。今年3月に14次防が策定、公示されましたので、4番の目標の達成年、5番、6番の目標が変わっています。なお、従来の目標については、令和4年までの数値をフォローアップしてまいります。
4ページからは数値目標の現状です。労働時間等の現状について、左側のグラフ、労働時間が週40時間以上の雇用者のうち、週60時間以上の者の割合は、令和4年が8.9%で、令和2年からおおむね横ばいとなっています。
年次有給休暇の取得率については、右側のグラフのとおり、上昇傾向が続いています。
左下の勤務間インターバル制度については、1の「制度を知らない」とする企業の割合が増えており、認知度は下がっていますが、2の制度導入企業の割合は5.8%へ増加しています。
次の5ページはメンタルヘルス対策についてです。メンタルヘルスに取り組む事業場の割合は、令和3年は59.2%に低下し、ここ数年60%前後で推移する状況が続いています。
その下、メンタルヘルスに係る新しい目標で、小規模事業場におけるストレスチェックの実施割合を50%以上とするという目標に対して、令和3年は29.7%という状況です。
その下、仕事に関することで強い不安、悩みなどがあるとする労働者の割合を50%未満とする目標に対して、令和3年は53.3%となっています。
これらメンタルヘルス関係の目標達成に向けては、特に対策が進んでいない小規模事業場を重点的な対象として、労働基準監督署による指導、産業保健総合支援センターによる支援、小規模事業場の取組を支援する団体への新たな助成などの取組を実施してまいります。
次の6ページは公務員の年次休暇の取得状況です。左側が国家公務員、右側が地方公務員です。いずれも赤いラインの本府省、都道府県職員について、令和2年に減少しましたが、令和3年には増加に転じており、全体としても増加しているという状況です。
7ページは大綱に基づく委託事業についてです。1の過労死等防止対策推進シンポジウムは全国47都道府県・48会場で開催し、令和4年度にはインターネット会場も設置しました。
過労死遺児交流会は、昨年12月に実施しました。
また、令和4年度から遺児等のためのオンライン相談室を実施しています。
2の11月の過労死等防止啓発月間における周知・啓発については、従来の取組に加え、令和4年度から高速道路のサービスエリア等でのデジタルサイネージ、YouTubeチャンネルを使っての周知・啓発に取り組んでおります。
3の中学、高校等への講師派遣事業についても、皆様の御協力を得ながら、引き続き文部科学省とも連携して、より多くの生徒等を対象とできるように取り組んでいるところです。
また、令和4年度から授業を受けた学生からの感想をTwitterで発信するなどの取組も行っています。
8ページからは調査研究の関係です。1の過労死等事案の分析については、引き続き進めているところです。
2の労働・社会面からの調査・分析については、全業種のほか、令和4年度はメディア業界、芸術・芸能分野の実演家を対象にアンケート調査を実施したところです。
その結果については今年の白書にまとめていく予定としています。
9ページ、3の疫学研究等、4の過労死等防止支援ツールの開発についても引き続き進めているところです。
10ページからは啓発の関係です。行政機関との取引について、経団連様から令和4年度にも長時間労働につながる商慣行改善に向けて御要請をいただきましたので、当省から各府省等に要請を踏まえた取組の協力を依頼したところです。
その下の建設業については、国土交通省と連携して、工期の適正化を進めているところです。
11ページ、自動車運送業関係について、3つ目のポツの真ん中ほど、令和4年度から「特別相談センター」による相談対応や、都道府県労働局に「荷主特別対策チーム」を編成して、荷主等への働きかけを実施しています。
また、一番下のポツのとおり、自動車運転者の改善基準告示を改正し、その周知に努めているところです。
12ページは、医師、医療従事者の関係です。下の囲みの3のとおり、医療機関職員を対象としたセミナーや、病院長を対象としたマネジメント研修などを行っています。
13ページは、相談窓口の御紹介です。「労働条件相談ほっとライン」「こころの耳」「ハラスメント悩み相談室」「フリーランス・トラブル110番」を引き続き設置・運営しています。
14ページは、中小・小規模事業場に対する働き方改革推進支援事業についてです。訪問やオンラインによるコンサルティングなどを全国センターと都道府県センターで行っています。
15ページは、働き方改革推進支援助成金の概要です。
16ページは、各種シンポジウムやセミナーの開催状況等です。
資料1については、以上になります。
ページを飛びまして、41ページからが資料6になります。資料6は、過労死等防止対策推進法及び大綱に基づく施策の実施状況について、大綱の項目に沿って、平成27年度から令和4年度までの取組状況をまとめたものになりますが、この場での説明は割愛いたします。
またページを飛びまして91ページから資料7、過労死等防止対策の推進に係る令和5年度予算額です。令和4年度の予算額よりも減額となっておりますが、例えば働き方改革推進支援センターについては、事業の見直しや入札額等を踏まえた削減でありますので、支援の質が落ちるものではなく、また、オンラインコンサルティングを強化することにより、より効率的、効果的に事業を実施することとしています。
厚生労働省からの説明は以上となります。
○人事院職員福祉局 では、続きまして、人事院福祉局です。
17ページからの資料2を御覧ください。人事院の取組について御説明を申し上げます。取組の1つ目は長時間労働の是正です。
18ページを御覧ください。国家公務員の超過勤務の上限を超えた職員の状況について、原則よりも高い上限基準が適用される、いわゆる他律部署について、令和3年度の状況を掲載しており、いわゆる過労死ラインに相当する基準を含め、各上限基準を超えた職員が一定数いる状況となっています。こうした職員の人数については今後減らしていかなければならないと考えているところです。
この超過勤務の縮減に向けた各種取組について、17ページにお戻りください。1つ目について、人事院は昨年4月に勤務時間調査・指導室を新設しました。ここでは各府省の官署に直接赴いて調査を行い、超過勤務時間の適正な管理や、2つ目に示している取組などについて指導、助言を行っています。
また、その下3点で示しているとおり、超過勤務の縮減に向けて、各府省に対してアンケートを実施し、それらの結果を踏まえ、超過勤務の縮減に向けた関係各方面への働きかけなどを行っているところです。
取組の2つ目は、テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の検討です。人事院で開催した学識経験者による研究会において、過労死等防止対策大綱も踏まえ、公務における勤務間インターバルの確保の方策についても検討が行われ、本年3月に最終報告をいただきました。この最終報告を踏まえ、今後公務における勤務間インターバルの在り方について、実態把握や課題の解消に向けた取組を段階的に試行するなどしながら、引き続き検討をしていくこととしています。
3つ目は、ハラスメント防止、心の健康づくりの推進等です。ハラスメント防止については、今年度から組織マネジメントの観点を反映した、より実効性のある研修を実施することとしています。
また、ハラスメント事案を迅速、適切に解決するためには、各府省のハラスメント相談体制の整備が必要であることから、昨年度、実情・課題を把握するための調査を行いました。今後、本調査結果を踏まえて対応を検討していくこととしています。
また、心の健康づくり対策については、人事院が設けている相談窓口をより利用しやすくするため、今年度には全ての窓口にオンライン相談を拡大します。
また、令和4年2月にストレスチェック制度を活用した職場環境改善がより効果的に行われるよう、有識者から意見を聴取し、報告書を取りまとめました。この報告書を各府省に周知し、啓発等を行ってまいります。
さらに、脳・心臓疾患及び精神疾患等に係る公務災害認定事案の分析に基づき、過重な業務に従事している職員に対する勤務時間管理の徹底や体制面での配慮、日頃からの心身の健康管理や適切なケア等について、過労死等防止の観点から各府省に対して指導・助言を行ってきています。
人事院からの御説明は以上です。
○内閣官房内閣参事官 続きまして、内閣人事局から御説明いたします。
資料3、22ページを御覧ください。まず、働き方改革の推進として、「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」に基づき推進しています。1つ目、各府省等の取組支援として、各府省等の取組状況の実態及び職員の意識等を横断的に把握、検証するため、令和3年に引き続き働き方改革に関する職員アンケートを実施しました。今後、国家公務員全体の調査結果を各府省等にフィードバックの上、公表する予定です。
また、業務見直し、デジタル化及び人材開発に係る好事例の表彰を実施しました。こちらも全職員投票を踏まえた最終的な結果を6月に公表予定です。
2つ目、業務効率化・デジタル化の推進について。業務見直しのさらなる推進のため、府省横断の業務見直しに係る意見交換の場の設置・運営をしています。
3つ目の長時間労働対策の強化。こちらは引き続き各府省に対して超過勤務時間の確実な把握と、これに応じた超過勤務手当の支給を要請してまいります。
また、勤務時間管理システムについては、職員の勤務時間の正確な把握と、上司が部下の勤務状況を随時把握することによる適切なマネジメントにつながることから、引き続き各府省への導入支援等を進めてまいります。
さらに、昨年度末最終報告が公表された人事院主催のテレワーク等の研究会の議論を踏まえて、令和5年4月から柔軟化されたフレックスタイム制の活用を促進するとともに、人事院と連携して引き続き柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方について検討してまいります。
4つ目、ワークライフバランス推進のためのマネジメント向上として、まず本省の新任の管理職を対象とし、マネジメント能力の向上を図るための研修を令和3年度に引き続き実施しました。
また、全管理職を対象として、マネジメントの具体的な行動例を、ケーススタディを通じて学ぶe-ラーニングの実施など、引き続きワークライフバランスのために管理職に求められる行動・役割について啓発してまいります。
さらに、各府省等の優良な取組事例を共有して、各府省の自主的な取組の支援をしてまいります。
23ページ目は、心身の健康の保持増進について、まず、国家公務員に対する周知・啓発の具体的な取組として4点ございます。1つ目、管理監督者がメンタルヘルスの基礎知識やメンタルヘルス不調者への実際の対応方法を習得するためのセミナーを実開催及びオンライン開催にて合計4回実施して、約440人受講しました。
2つ目、健康管理に関する意識啓発講演会として、昨年10月の「国家公務員健康週間」中に女性の健康及び心の健康についての講演を実施しました。
3つ目、新任の幹部職員、課長級職員、課長補佐等を対象としたメンタルヘルス・パワーハラスメント防止等の知識とか、部下からの相談への対応方法、幹部職員等の果たすべき役割、責任の理解・習得のために、昨年12月から本年2月にかけてe-ラーニングによるメンタルヘルス講習、ハラスメント防止講習を実施しました。
4つ目、過労死等の原因となる脳血管疾患等を予防する観点から、健康診断において要医療・二次健診の対象となった職員への確実な受診の指導などを推進しました。
また、国家公務員に対する相談体制の整備として、カウンセリング能力向上のため、各府省とカウンセラー講習会を開催しました。
内閣人事局からは以上です。
○総務省自治行政局公務員部 続きまして、総務省より24ページ、資料4に基づいて、過労死等の防止対策の実施状況について御説明します。総務省においては、地方公務員の過労死防止対策を担っている都道府県、市区町村に対して継続的に助言、情報提供、調査研究などを行っています。
25ページです。まず上段には地方公共団体における時間外勤務縮減などの取組を取りまとめています。昨年末に公表した令和3年度の地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果を踏まえて、令和4年12月26日には通知を発出し、勤務時間の適正な把握と長時間勤務者に対する健康確保措置、時間外勤務の縮減の取組について、あらためて地方公共団体に助言しています。
また、3点目のとおり、令和4年度においても各種会議において同様の助言を行ったほか、4点目のとおり、先ほど御説明した昨年末に発出した通知において、時間外勤務削減に向けた先進的な取組事例や医師の面接指導の取組事例を紹介して参考にしていただくよう助言しています。
下段の地方公務員の過労死等をめぐる調査・分析の取組においては、令和4年度においてもこれまで同様、労働者健康安全機構に委託して、平成22年1月から令和3年3月までの間に公務災害と認定された事案総数550件のデータベースの構築と分析、さらに今回は平成27年4月から平成30年3月までの間に公務外と認定された事案総数364件のデータベースの構築を行ったところです。
26ページには地方公共団体におけるメンタルヘルス対策の実施状況などを取りまとめています。総務省では、50人未満の事業場を含めて全ての職員にストレスチェックを実施するよう地方公共団体に助言していますが、令和3年度は上の表のb/a欄のとおり、全事業場のうち98.6%でストレスチェックが実施されており、その下の表の合計欄のとおり、97.8%の地方公共団体では何らかのメンタルヘルス対策が実施されています。
また、下から3つ目のポツのとおり、「過労死大綱」におけるメンタルヘルス対策の数値目標が変更されたことを踏まえて、本年3月末に通知を発出し、必要な取組を推進していただくよう助言したところです。
その次のポツのとおり、令和4年度に開催した総合的なメンタルヘルス対策に関する研究会において取りまとめられた計画例を参考として、地方公共団体が主体的に計画を策定し、着実にメンタルヘルス対策を実施していただくよう助言しています。
27ページですが、地方公務員に対する研修や相談についての取組となります。地方公務員の研修機関として総務省に設置されている自治大学校では、(1)のとおり、幹部職員などを対象としました研修課程があり、令和4年度においてもメンタルヘルスにおけるリーダーシップなどの講義を行っています。
また、(2)のとおり、地方公務員安全衛生推進協会において、東京、大阪のほか、全国の13会場でメンタルヘルス・マネジメント実践研修会を行っており、そのうち東京会場、大阪会場には総務省からも出席して、先ほど御説明した過労死等に関する調査・分析結果などを説明し、地方公共団体の労働安全衛生の取組をさらに促進するようお願いしています。
下段の地方公務員に対する相談窓口については、(1)のとおり、各地方公共団体の人事委員会などに苦情・相談窓口を設置されていますが、これに加えて、(2)のとおり、関係機関にメンタルヘルス相談先が設置されているほか、消防職員の惨事ストレスに対応する必要な支援を行う緊急時メンタルサポートチームの派遣などを行っています。
総務省からは以上となります。
○文部科学省初等中等教育局 続きまして、文部科学省から資料5、28ページ目以降について御説明いたします。
まず、29ページ目を御覧ください。先月公表した勤務実態調査の速報値について御説明します。この教員勤務実態調査は、前回令和元年度の給特法改正時に3年後を目途に教員の勤務実態調査を行う旨の附帯決議がなされたこと等を踏まえ、勤務実態や働き方改革の進捗状況等を把握、分析するために行ったものであり、今回は8月、10月、11月のうち連続する7日間を調査しています。
今回の全体の概要としては、在校等時間が前回の平成28年度調査と比較して、平日・土日共に全ての職種、校長から教諭まで減少していますが、依然として長時間勤務の教員が多いという状況です。平日の教諭については、小学校、中学校共に前回の調査から約30分程度減少して、小学校では10時間45分、中学校では11時間1分となっています。また、土日においては、小学校は約30分、中学校は約1時間減となっています。中学校の教諭の減少幅が大きくなっていますのは、各教育委員会において部活動ガイドライン等を定めて、適切な休養日等が設定されたことなどが影響しているのではないかと考えているところです。
30ページは、1日当たりの業務内容別の分析をしたものですが、現時点ではあくまで速報値であり、それぞれの増減要因についての詳細分析はできておりません。赤で囲っているものが時間が増えたもの、青で囲っているものが減少しているところです。
31ページ目を御覧ください。8月は学校が長期休業期間ですが、所定の勤務時間を勤務した日数というのは、平日20日のうち小学校で5.6日、中学校で8.4日。また、勤務日に係る在校等時間は10月、11月に比べると短いといったことなど、通常期と異なる状況となっています。
32ページ目を御覧ください。1の年齢階層別に教員の1日当たりの平日の在校等時間を見ますと、各年代で減少しているところです。また、2は有給休暇取得日数ですが、前回調査と比べて小学校、中学校共にそれぞれ2日ほど取得日数が増加しています。また、左下ですが、部活動顧問の週当たりの活動日数も減少しており、前回の平成28年度の調査では、週6、7日が大半を占めていましたが、今回は約56%が週5日の活動という回答となっているところです。
33ページ目は、これまで文部科学省が行っている学校の働き方改革に係る取組全体をまとめたものです。国、教育委員会、学校のそれぞれの立場において働き方改革の取組を進めているところで、先ほどの令和4年度勤務実態調査を踏まえて、時間外在校等時間の状況を推計しますと、左下のとおり、月当たりで小学校が約41時間、中学校が約58時間という結果となっています。
今後の取組としては、先日中央教育審議会へ諮問が行われたところですが、処遇の改善をはじめ、働き方改革、学校の指導・運営体制の充実に関する具体策を一体的に検討していく予定です。
なお、34ページ目から40ページ目は参考となりますが、39ページ目に令和5年度からの新規事業として、公立学校教員のメンタルヘルス対策に関する調査研究事業の予算を計上しており、今後本事業を通じて教員のメンタルヘルス対策に関する事例の創出を行ってまいりたいと考えています。
文部科学省からは以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの各府省からの説明について御質問や御意見等をいただきたいと思います。できるだけ多くの委員に発言いただきたいと思いますので、進行に御協力いただきますようお願いいたします。
それから、前回は全て一括して最後に答えていただいたのですけれども、ちょっと大変でしたので、途中で1回区切りを入れて、前半と後半と2回に分けて議論を進めたいと思います。
それでは、どなたからでも。渡辺委員、お願いいたします。
○渡辺委員 御指名ありがとうございます。
東京過労死を考える家族の会、全国過労死遺児交流会の渡辺でございます。
私から4点お願いしたいと思います。まず、過労死遺児たちについてですが、7ページに大綱に基づく委託事業として過労死遺児交流会の事業が書いてあります。そして、85ページに平成28年度からの遺児交流会の実績を載せていただいております。昨年度は12月に群馬県で行われ、子供たちは真っ白に雪が積もった中、スキーを楽しむことができました。また、集中してクラフトに取り組むことで日頃のストレスを発散させていた子供たちもいます。おかげさまで子供たちはとても楽しい時間を過ごすことができました。毎年子供たちのために交流会を行ってくださり、ありがとうございます。子供たち、保護者の方々に代わりまして感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。
過労死遺児たちは成長に伴い、過労死の影響が様々な局面で現れてきます。例えばなぜお父さんは亡くなったのか、働き過ぎると人は死んでしまうのか、過労自殺とは何なのか、自分が社会に出て働くと親と同じように死んでしまうのかなどの疑問や不安を持っています。なので、子供たちの支援を継続して行う必要があります。毎年遺児交流会を企画、運営していただけて感謝しております。
そして、7ページにありますように、昨年より遺児たちのためのオンライン相談の支援も始まりました。これにより、子供たちが悩みや不安を感じたときに相談できる体制ができました。過労死でダメージを受けた子供たちの心のケアのために、さらに手厚く支援体制を整えていただきありがとうございます。
過労死は子供の心に大きな影響を与えますが、親の死が過労死に認定された子供たちは、それでも生活基盤が保障されます。しかし、昨今の労災支給決定を取り消す訴訟の行方によっては、子供たちが安心して生活する基盤も脅かされかねません。
私たち遺族は被災者の死によって打ちのめされた中で、泣きながら証拠を集め、必死の思いで労災と認められました。これが事業主の裁判で覆される可能性が出てきたら、安心して子供を育てられません。そんなことが絶対に起こらないように、厚生労働省の皆様、よろしくお願いいたします。
しかし、頑張って証拠を集めても、それでも労災と認められない人もいます。親の死が労災に認定されるかどうかは、残された子供たちにはどうにもできないことですが、それによって進路などが影響を受けてしまう子供たちがいます。交通事故で親を失った子供たちのために自賠責保険の仕組みがあるように、過労死遺児のためにも、過労死と認定されるか否かとは別に、せめて就学費用を支援していただくような仕組みはできないでしょうか。御検討をお願いいたします。
2点目は、若年労働者、障害者である労働者への取組の推進についてです。過労死遺児たちが社会で働くときには過労死というものがなくなっていることを願っていますが、今のところ依然過労死はなくなっていません。
76ページに若年労働者、障害者たちに向けての取組が書かれていますが、立場が弱い者は職場でハラスメントに遭いやすいという事実があります。ひどいハラスメントを受けても、自分に力がないからだとか、自分が悪いと考えて思い詰め、心を壊し、最悪の場合は死を選んでしまうことが現実に起こっています。こんなことは絶対起こってはなりません。
私は特別支援教育に関わっていますが、学校では本人の特性に合わせて丁寧に寄り添い、大切に育てています。しかし、社会に出た途端ハラスメントを受けて、メンタルヘルスが不調になったり、引き籠もってしまったりすることが少なくありません。家族会の会員の中にも障害者枠で雇用されたことが上司に伝わっておらず、上司からの叱責で自死に追い込まれてしまった事案があります。
事業者にも一層の配慮を求めるとともに、若年労働者、障害を持つ労働者に過重労働やハラスメントを受けた場合どうしたらよいかの情報が届くように支援をお願いしたいと思います。特に障害を持つ労働者の中には障害の種類によっては外見では分かりにくいこともあります。事業者や一緒に働く人には一層の理解を深めてほしいです。そして配慮していただくような周知・啓発もお願いしたいと思います。
3点目はハラスメント防止についてです。若年労働者や障害者が被害を受けやすいハラスメントについてですが、76ページにはハラスメント防止対策に関する記載があります。家族の会に寄せられる事案でも、近年はハラスメントによって心を病んだり、自死に追い込まれるケースが多くなっています。例えば上司と2人だけの職場でひどいハラスメントを受けて自死に追い込まれた方の奥様は、夫からハラスメントのことを聞いており、労基署に訴えても、それは伝聞であり、事実であるかどうか分からないと言われました。
また、手術室などでの閉鎖的な空間の中で絶対的な力を持っている医師などから暴言や暴力を受けて自死に追い込まれても、そのときに起こったことを証言してくれる人がおらず、ハラスメントが証明できない事案もあります。
別の事案では被災者が自分に起こったことを訴えても、職場から関係者に「訴えた当人は精神疾患があり、こちらの指導不足で御迷惑をかけてすみません」と連絡されて、本人の証言を取り合ってもらえなかったということも起きています。ハラスメントの被害に遭っている人がどうすればそれを証明できるか。何を労基署に伝えたらよいか、どんな証拠が必要かなどが分かるような支援が必要です。
82ページにはハラスメントに関する相談件数が出ていますが、電話でもメールでも年々相談件数が増加していることが分かります。訴えても何も変わらなかった、もしくはかえってひどくなったと死を選んでしまう人を絶対になくさなければなりません。ハラスメントを訴える労働者を守る仕組みが必要です。よろしくお願いいたします。
4点目は相談窓口についてです。82ページにありますように、ハラスメントの相談件数は増加しておりますが、メンタルヘルス不調や健康障害についての相談件数としては、81ページに「こころの耳」の相談件数が出ています。電話での件数は毎年増加しておりますが、メールでの件数が令和4年度は減少しています。この要因がもし分かっていれば教えていただきたいと思います。
相談内容によって適した方法があるかどうかを調べ、対応することも必要なのではないかと思います。
最後になりますが、このところ連日マイナンバーカードの不具合が報道されています。私たち過労死遺族は、このような問題が起こると、その陰で寝ないで対応している労働者の姿を思い浮かべます。それは亡くなった家族の姿に重なります。
10ページにもありますように、ITエンジニアは無理な納期、顧客要求に応えるために命を削って仕事をしております。どうぞ人の命が一番大切であるということを忘れないでいただきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで岩城委員が手を挙げておられますので、岩城委員、お願いいたします。
○岩城委員 ありがとうございます。岩城です。
私からは労働・社会分野の調査・分析として、あらためて自営業者、とりわけフリーランスと言われる人たちに関する調査の必要性について述べたいと思います。過労死等防止対策推進法の第8条2項では「過労死等に関する調査研究等を行うに当たっては、過労死等が生ずる背景等を総合的に把握する観点から、事業を営む個人に係るものを含め、広く調査研究の対象とする」とされております。
これを受けて、資料53ページにありますように、これまで平成28年度、令和元年度には自営業者についてアンケート調査がなされております。しかし、一口に自営業者と言ってもその範囲や種別は極めて様々ですので、分野や業種ごとに具体的に見ていく必要があると思います。
令和3年の過労死防止大綱では、フリーランスについても自営業者に含めて調査研究や啓発の対象とすることが明記されました。この点に関して、今年4月、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律が成立しました。この法律は別名「フリーランス新法」と呼ばれているようです。そこで、厚労省にお尋ねしていいかどうか分からないのですが、この法律の第2条で定義されている特定受託事業者ないし特定受託業務従事者をいわゆる「フリーランス」と考えてよいのでしょうか。それともフリーランスと言われる人たちの一部にとどまるということなのでしょうか。いずれにしても、大綱の中に「フリーランス」という用語の定義を入れる必要があるのではないかと思います。
この法律はフリーランスの保護の第一歩として評価されていますが、その名のとおり、あくまで取引の適正化に主眼があり、偽装請負や偽装フリーランスについて対策が講じられているわけではなく、また、社会保障の拡充には全く手がつけられていません。
フリーランスと呼ばれる人たちの中には、実態は使用従属関係があり、労働者であると疑われるにもかかわらず、契約形態が請負や委任とされている偽装請負や名ばかり事業主と言われるものもあります。宅配サービスの配達員や俳優、音楽演奏者、塾講師、インストラクターなどです。また、上場企業の中には社員の一部を個人事業主に切り替えていこうという動きがあるという報道も複数なされております。
さらに、もともと委任や請負のはざまにある仕事もたくさんあります。例えばシルバー人材センターの就労者、福祉的就労の障害者、新聞奨学生、建設職人、家内労働者、家事使用人などであります。このような方々については、出発点として労基法の適用を受ける労働者なのか、それとも自立した委任や請負業者なのかが問題となります。この点、日本では1985年に当時の労働省内に設けられた労働基準法研究会報告によって労働者性の判断基準が示され、現在も労働行政や裁判ではこれが使われております。この労働者性の判断基準は工場での労働を想定した狭い労働者概念となっていることもあり、この基準に当てはまらないために労働者と認められず、労基法の適用や社会保障を受けられないことも多くあります。
例えば私が最近見聞きした事案では、60歳で定年退職後、業務委託契約で製薬会社のプラント建設工事に従事していた66歳の男性が、極めて長時間の連続勤務の末、鬱病を発症して自殺したケースで、この件では幸い労基署は労働者性を認めて労災補償を受けることができました。
仲介業者を通じて認知症を患い、寝たきりの状態となった要介護5の利用者を住み込みで1週間、24時間介護を行い、深夜の5時間しか休むことができなかった68歳の女性は、労基法116条2項が家事使用人には労基法が適用されないとして、労災補償が受けられなかったということがあり、現在東京高裁で裁判が行われております。
年齢・性別を問わず働き方が多様化していく中で、働き過ぎ、働かされ過ぎをなくして過労死等を防止していくためには、委任や請負とされているものについて、労働者性の判断基準を実態に合ったものに変え、また、家事使用人などの適用除外制度も見直していく必要があるのではないでしょうか。また、それでも労働者性が認められない業種については、労災保険の特別加入の適用や社会保険の加入の拡大をしていく必要があると思います。
そこで、厚労省に対して以下の3点をお尋ねします。1点目は、先ほど申し上げたように、大綱の中では「フリーランス」の定義が書かれておりません。この大綱の「フリーランス」という定義をどのように理解すればよいのでしょうか。
2点目は、今後フリーランスと言われている人たちの就労環境や過労死等の現状について調査研究をしていく予定はありますでしょうか。
3点目、フリーランスの方も含め、委任や請負との区別がますます曖昧になってきている中で、38年前の1985年に定められた労働者性の判断基準について見直していく必要があると思いますが、そのような問題意識はお持ちでしょうか。
以上です。ありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、黒田委員、お願いいたします。
○黒田委員 ありがとうございます。過労死防止学会の黒田兼一です。
私からは大きく3点、質問と要望の発言をさせてください。
1点目ですが、多くは人事院からの御説明についてです。資料の21ページに超過勤務の上限等に関する措置の概要というので、分かりやすい図が掲載されたものがございます。これらは働き方改革関連法で労働基準法が改正されて、それとの関係で時間外勤務の上限規制がなされたことに関連して、国家公務員及び地方公務員にもそれに適用するために行われた措置だろうと思います。
先ほど説明もございましたが、この図の右側に「他律的業務」という言葉が使われております。この他律的業務は、そこに示されていますように、上限がいわゆる労基法で言うところの特別条項の条件に合わせた形になっているように見えます。
また、赤線のラインの上側は「特例業務に従事する場合」となっておりまして、この特例業務に従事する場合は上限が適用されないとなっております。このほか、労働時間の上限に関しては、労働基準法の第33条第3項には、国家公務員及び地方公務員については、時間外労働と休日勤務をさせることができるという規定がございます。今、申しました幾つかの言葉、つまり「他律的業務」、「特例業務」、それから最後に申しました労基法の33条3項「公務のために臨時の必要がある場合」など、これらがどういう関係にあるのかについて少し説明をお願いしたいと思います。
その場合、ここに具体事例が書かれており、「他律的業務とは」という説明がございますが、私が問題にしたいのは、この中で他律的業務のことも含めて、前2つは人事院規則、最後は労基法なのですが、とりわけ特例業務と労働基準法33条3項は上限規定がないわけですが、その点についてどのように考えておられるかということです。
それから、これらのどれに当たるかということについては、事例が載ってはいるのですが、最終的にはそれぞれどの部署が該当するのか、判断はどこで行われるのかということについても、現状の運用についてお尋ねしたいと思います。
2つ目は勤務間インターバルの問題で、資料の4ページに勤務間インターバルの制度を知らないという企業の割合が15.4から17.1と増加していると先ほど説明がございました。恐らくこの場合、中小あるいは小規模事業所での企業が知らないという割合が高いのではないかと推察します。そこで、こうした企業への導入の促進策実施について、具体的にどのような形で行われているのでしょうか。
15ページには中小企業への導入助成金として80万から100万の助成がなされていると記されております。同時に60ページにはその支給件数も示されております。しかし、直近ではその支給件数も含めて減少傾向にあるように表示されておりますけれども、知らない企業の数が増加しており、また、導入件数も減少しているということですので、大変ゆゆしき事態かと思いますが、何とかこの問題について打開を考えていくべきだろうと思います。また92ページに導入促進計画が示されておりますが、いま少し具体的な御説明をお願いしたいと思います。
第3点目は芸術・芸能分野のことです。53ページに令和4年度に芸術・芸能分野の調査・分析が行われて、今年度の白書に掲載される予定であると示されております。非常に新しい分野の調査ですので、どのようなことになるか注目したいと思います。ところで、この間、御存じのように、芸能関係では大変大きなハラスメント事案が報道されております。あるいは自殺などについても問題にされています。
昨年、私どもの過労死防止学会の年次大会で日本芸能従事者協会からの調査の発表がありまして、調査対象の中でパワハラを受けたというのが93%、セクハラを受けたというのが73%、レイプは11%が被害に遭っているという報告がなされました。こういうことを考えますと、なかなか国民から見えないところですが、芸能従事者の保護法というものをぜひ考えていく必要があるのではないかと強く思う次第です。あるいはまた、いろんな事案が起きた場合、第三者の調査機関の設置などが必要かと思います。この点を強く要望したいと思います。また、これについて、どの部署になるか分かりませんけれども、対応策を考えているのであれば、ぜひ御意見を伺いたいと思います。
芸術・芸能分野についてはもう一点ありまして、新聞報道もされていますが、生成AIによって仕事が奪われるということで、アメリカの脚本家たちがストライキを今、続行中かと思います。日本芸能従事者協会も芸能関係の著作者たちの権利を守るための法整備を求めていると聞いております。さらにまた、国際労働組合・UNIグローバルユニオンという労働組合が国際的にこうしたものの実態のアンケート調査をしていますが、日本の芸能従事者協会もそれに応じてアンケートを実施中と聞いています。この協会から得た情報によりますと、中間集計ですが、約60%の人が「AIの推進で仕事が減少する心配がある」と答えているそうです。イラストレーターを中心として1万件以上が盗用被害に遭っているという結果も出ているそうです。このようなことを考えると、まさしく今、問題になっている生成AIを中心として、これはまさに科学技術の進歩の問題でありますが、同時に労働問題として、あるいは雇用問題として考えていく必要があるのではないかと思います。ちょっと調べましたら、内閣府にAI戦略会議というのが設置されております。残念ながらこのAI戦略会議には厚生労働省労働関係の方が参画していないように見えるのですが、厚生労働省もこれについて関わっていくべきではないでしょうか。ぜひ要望したいのですが、厚生労働省の御意見やお考えをお聞きしたいと思います。
以上3点、よろしくお願いします。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、工藤委員、お願いいたします。
○工藤委員 ありがとうございます。神奈川過労死等を考える家族の会の工藤と申します。よろしくお願いいたします。
私からは教員の働き方について2点述べさせていただきます。1点目は、白書における教育、学習支援業という項目についてお尋ねしたいのですけれども、白書において、例えば令和4年度の労働時間のところを見ますと、資料の出所で総務省の労働力調査や厚生労働省の毎月勤労統計調査が出ております。この2つの調査の資料の調査対象者が同じかどうかということをお伺いしたいと思います。というのも、平成30年度の教職員の調査分析では、労災支給決定事案と公務災害支給決定事案の分析結果が分けられていて、労災のほうのほとんどが大学の教員や高校の教員、公務災害のほうのほとんどが小中学校の教員だったので、この比較の対象が統一されているのかなということがちょっと分からなかったので、お伺いしたいと思います。
また、教員の中で圧倒的に公立の学校の教員が多いかと思うのですが、白書で示されている統計、例えば厚生労働省の統計に公立の教員が入っているかなど確認させていただきたいと思います。
2点目として、教員の働き方に関して、先ほど文科省の方から教員実態調査の結果の御説明がありました。在校等時間が減少したものの、依然として長時間勤務の教師が多い状況ということでした。現在、給特法の改正や教員不足の問題に対する議論などもされているかと思います。私にも多くの先生方の生の声が寄せられておりまして、過労死ではないかと思われるような相談や、先生が足りずに、日々追われて仕事をしている、過労死をしてしまうのではないかという声、そして新任や若い先生が離職をしたいという相談なども数多く寄せられています。
文科省で掲げられているような質の高い教職員となるためには、まず十分な教員の配置とか、心身共に働きやすい環境が不可欠です。教員志望者の増加も労働環境がよくならなければ望めません。依然として過労死ライン超えの先生が多いということは、過労死等防止の対策が必要であるということだと思っております。
先ほど17ページとか26ページで人事院や総務省さんのほうから御報告をいただきましたけれども、文科省で行われる議論でもこの場で話されているような過労死等防止という観点からの議論、例えば今回示された大綱の数値目標の実現とか、勤務間インターバル制度の導入、労働安全衛生体制を達成できるような働き方改革、労働安全衛生の充実や教員の公務災害等の認定の事案の分析に基づいた業務の改善を行うなど、ぜひ過労死等防止という観点からの議論を例えば中教審などの場で行っていただきたいです。
そして、公立学校もそうですけれども、私立学校についても私立学校では適用されない給特法のようなものが導入されていたり、成果を上げるために過重な部活動が行われて、顧問の先生やほかの先生が深刻な長時間労働が行われたり、雇止めなどの問題も多く聞かれますので、公立・私立共に勤務実態の把握と、その可視化と、それに基づく過労死等防止対策をお願いしたいと思います。
以上です。ありがとうございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、宮本委員、お願いいたします。
○宮本委員 ありがとうございます。宮本です。
2点ございます。一般労働者の過重労働対策が進むのは大いに歓迎するのですけれども、今回あまり言及がなかったのですが、管理監督者にしわ寄せが来るということが少し懸念されるのではないかと思っております。教員の方が公務員の中で給特法があったために過重労働が多かったというのと同じ構造で、管理監督の地位にある者には時間外労働や休日の法適用がない状態ですので、労働安全衛生法での過重労働者への面接等と包括的な時間外労働抑制策しかない状態となっています。
他方、パート労働者の方も時間賃金が上がれば月間労働可能時間が減ってしまうという方も多くなっておりますので、ますます管理監督者へのしわ寄せが来る危険性がございます。こういった管理監督者の過重労働による健康障害防止について行政からPRすることができないかという点を1つお願いしたいと思います。
もう一点は、建設業やIT産業や自動車運送業、医師など、2024年問題はだいぶ認知されてきておりまして、一般国民も本当に必要なタイムスケジュールを意識するようになってきたことは大変喜ばしいことだと思っております。マスコミでもいろいろ話題になっているので、大変ありがたいことです。しかし、これらの産業の過労死防止は、労働時間の適正化が一番なことはもちろんですけれども、健康診断やストレスチェックをちゃんと行って、労働者はそれをちゃんと受けて、必要な事後措置や保健指導や受診勧奨、あるいは職場の改善アドバイスに応じて対応するなど、職場の快適性と本人の健康状態を整える努力についても重要であると考えております。ある意味当たり前のことであるのですけれども、この点を改めてPRしていただけないか。健康管理、職場の快適化というところも含めてきちんとやって、三位一体という感じで労働時間の削減が十分意味をなしてくると。こういった感じでPRできないかという点をお伺いしたいと思います。
以上、2点でございます。よろしくお願いいたします。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、髙橋委員、お願いいたします。
○髙橋委員 ありがとうございます。髙橋でございます。
私は2点お話ししたいと思います。先ほど黒田委員からもお話がありましたが、1点目は勤務間インターバル制度についてです。私の娘の職場の就業規則は、午前9時から午後5時勤務、土日・祝日が休日の週休2日制でした。しかし娘が健康を失った時期には7日間連続深夜勤務を行っていました。土日出勤の代休は取っていませんでした。
あるときは午前9時から翌朝4時まで連続19時間勤務を続け、朝タクシーで帰宅すると、シャワーを浴びて、9時にまた出社していました。この場合はインターバルは5時間です。スマホのアラームをかけて、自宅でスマホを握って2時間ほど仮眠していたと言いました。1週間で10時間しか寝ていないと私に漏らしたこともありました。土曜日から出社して、日曜日、月曜日、火曜日まで2晩徹夜の3日連続52時間も勤務していたこともありました。このように、娘は正社員登用されてからの3か月僅かの間で長時間労働が続いた結果、心身の健康を損ない、精神疾患を発病して、自死で亡くなってしまいました。
8時間の十分な睡眠を取ることは健康を維持するために重要であると既に調査研究でも証明されています。娘の元勤務先では、部署によって勤務間インターバルやフレックスタイム制を導入されたと伺っています。娘が生きていたときに導入され守られていたら、娘は亡くなることはなかったのではないかと残念でなりません。
2019年からインターバル制度が努力義務になり、少しずつですが導入企業も増えていると思います。先日は地方自治体の岡山県、富山県の県庁で導入が発表されました。与党では勤務間インターバル推進プロジェクトチームで重要性や助成金制度や税制優遇が議論され、今年度予算に反映されたと伺っています。しかし、現在導入率は5%。2年間で15%導入が達成できるのでしょうか。
4ページの就労条件調査の結果では、制度を知らないと回答した企業は増加しており、周知が進んでいないということが問題だと思います。また、一方で、導入しない理由を「人員不足や仕事量が多いから、制度を導入すると業務に支障を来す」と回答した人が大企業でも21%と多く、「夜間も含め、常時顧客や取引先の対応が必要なため」という回答が大企業でも17%に及んでいます。労働時間の削減と健康管理に問題があるような、このような企業にこそ導入への取組をしていただきたいと考えます。
資料15ページの中小企業の助成金制度ですが、予算額は毎年増額しています。助成金はインターバルの導入に効果があるのでしょうか。助成金制度に4つのコースがありますが、インターバル以外の労働時間短縮コースと労働時間適正管理推進コースの2つのコースは、昨年度より上限が増額されています。インターバルの額はどうなっているのでしょうか。
また、インターバル制度にだけ過去2年間につき45時間以上の時間外労働の実態があるという条件がつけられていますが、この助成金の利用実績が減少している中で、この45時間の条件がなければ導入が進むのではないのかと思いましたが、いかがでしょうか。上限つきにする理由はなぜでしょうか。
また、次に1点です。ポータルサイト、SNSへの活用についてです。労働者、事業者向けにSNSの活用やポータルサイトの充実を進めてくださっており、ありがたいと思っております。昨年の私たちの要望から「こころの耳」のサイトに過労死防止センター、家族の会、過労死弁護団のリンクを張ってくださいましたので、今後仕事で悩みを抱えている人の目に留まり、助けになることを願っております。
また、「考えよう!職場のパワーハラスメント」「あかるい職場応援団」「確かめよう労働条件」「アニメで学ぶ労働条件」「マンガで学ぶ労働条件」「マンガ知って役立つ労働法」、このコンテンツは若い人や一般の人が漫画で分かりやすく解説されていて、とてもよいコンテンツだと思います。多くの人に見てもらえる方法を今後考えてもらいたいと思います。特に「これってあり?まんが知って役立つ労働法Q&A」というパンフレットは、就職を控えた学生が働き始める前やアルバイトをするときに最低限知っておきたいルールが求められたハンドブックになっています。その中で「過労死って何だろう……?」という章があり、若者にも過労死の危険があるということが触れられていて、若者の過労死防止の観点から重要な内容になっています。若い人が自分の健康と権利を守りながら働くための知識を学ぶことができる内容になっているので、学生だけではなく、働いている若年労働者、転職者など、若者の健康を守るために多くの方の目に触れるように、学校や就活、転職サイトの運営会社の協力を得るなどして運用をしていただくなど、考えていただきたいと思います。せっかくいいコンテンツになっているので、たくさんの人に見てもらいたいと思います。
また、医療関係者向けのポータルサイト「いきいき働く医療機関サポートWeb」、いきサポというものが運営されています。先ほどの報告でも自動車運転者に向けたサイトが運営されているという報告がありましたが、このようなサイトをほかの業界でもつくり、広く周知され、活用されていけばよいのではと思います。
また、教員向けの相談サイトもあるのですが、こちらのほうも充実していかれてはどうかなと思いました。
インターバル制度で職場を改善して、ポータルサイトで管理者や働く人のリテラシーを向上させて、健康と命を守って、過労死を減らしてほしいと願っております。
私からは以上です。ありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、寺西委員と北野委員に御発言いただきまして、そこで一区切りとしたいと思います。では、寺西委員、お願いいたします。
○寺西委員 過労死を考える家族の会の寺西でございます。
私から、本日の資料には入っていないのですけれども、白書の中の大綱の283ページ、287ページ、301ページ、302ページに事業主等による取組、経営幹部等の取組ということで、過労死等を発生させた事業所に対しての監督指導、原因究明、再発防止対策の確立というものを盛り込んでいただきました。
このことに関連しまして、現在最高裁で審理されている労災支給決定の事業主による取消訴訟について、過労死遺族の立場で発言をさせていただきます。この訴訟は一般財団の職員Bさんが過重労働が原因で精神障害を発病され、2018年に労災認定されました。Bさんは休業補償を受けながら治療に専念できるようになったのですが、事業主のA財団は、労災保険料が引き上げられることによって不利益が生じるという理由で、国が決定した労災認定は誤りだという、国を被告にした労災支給決定の取消訴訟を提起しました。
地裁判決では原告の適格を認めなかったのですが、東京高裁では地裁判決を取り消し、原告の適格を認める判決を下したことで、現在最高裁で審理されていると思っております。この高裁判決が万が一にも確定するようなことになりますと、事業主が支給決定の取消訴訟が可能になることで、国の認定そのものの権威が低下することになります。
さらに、取消裁判が続くことで不安定な日々を送ることになって、争った結果、認定を取り消されることになると、受け取った補償金など、国へ返還のおそれがあります。そうなると、被災者の救済が明らかに不安定になります。労災補償制度の考え方からも非常に過酷であると考えます。現に支給決定を受けた職員は、高裁で敗訴したことで、取り消されるのではないか、これまでの給付の返還をまた求められるのではないかと常に強い不安が付きまとって、眠れない日が続いているということを伺っております。こうした苦しみを訴えておられるということを、本当にそれでもいいのだと判断した高裁判決は、労災被災者にとって耐えがたい内容と受け止めております。
また、それだけでなく、被災者の救済と過労死等防止対策に大きく影響いたします。その1つ目は、事業主が支給決定取消訴訟をすることで使用者責任は追及困難になってしまい、職場改善と再発防止策など行政指導は困難になります。
2つ目は取消訴訟がまかり通ることで、被災しても労災申請すら恐ろしくて諦める人が増えてきます。これは労災かくしの温床になってしまいます。
3つ目は、労働基準監督署が支給決定の際、非常に萎縮することで、必要以上に慎重になり過ぎる。労働行政全体に悪影響が生じるからです。この件に対しまして、厚生労働省は支給決定は取り消さないと示されましたが、その決定を下すのは裁判所なので、最高裁でしっかりと闘って勝訴していただく。そして、今後も労災被災者への迅速な救済と過労死等防止対策が適正に行われるよう、私たちは要望しているところです。
私から最後に2つ質問があります。こうした場合、訴訟が行われている中で、過労死等を発生させた事業所に対して監督指導とかの実施はされるのでしょうか。再発防止対策の確立、こういうものが必要になってくると思うのですけれども、そうした指導は厚生労働省からされるのでしようか。
また、最高裁の現在の進捗が分かれば教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、北野委員、お願いいたします。
○北野委員 ありがとうございます。先ほど工藤委員からもありましたが、学校における働き方の推進について、私からも意見を申し上げたいと思います。スライドの33ページの左下段の在校等時間の状況については、2019年の給特法改正を踏まえ、上限時間を法的拘束力のある指針として定められた以降の調査であるなか、このような実態になっているということでございます。言い換えれば、今の中学校では過労死ラインを超える、さらには小学校においても、持ち帰り時間を含めれば、これも過労死ラインを超える実態にあるのだろうと思います。現在、給特法のさらなる改正に向けたいろいろな動きが報じられておりますが、労働時間の短縮を含む教員の働き方の見直しが極めて急務です。そのため、あらゆる選択肢をもってより踏み込んだ具体策を、早急に検討、実行すべきだと考えます。
また、現在の学習指導員や教員業務支援員、さらにはコロナ等でICTの技術者支援を行うICT支援員などの配置支援も含め、部活動の地域連携・移行をはじめに、教員の負担軽減の取組を一層強化いただきたいと思います。加えて、実効ある形で長時間労働を是正するためには、業務量に見合った適正な人員配置を進めることが重要だと思っております。
文部科学省におかれては、教育委員会、さらには学校それぞれの取組支援の一層の強化と国全体での取組のさらなる推進をお願い申し上げていきたいと思います。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、以上までのところについて、事務局から可能な限りで御回答をお願いいたします。
○総務課長 御指摘ありがとうございます。労働基準局の総務課です。
私から幾つかお答えさせていただきます。まず、渡辺委員から遺児の支援について御指摘をいただきました。交流会、相談室、いずれも引き続きしっかり取り組んでいきたいと考えています。
その中で就学支援の御指摘をいただきました。労災の就学援護費については労災認定をされた方が対象ですので、前回もお答えしましたが、まず迅速に労災決定する努力をしていきたいと考えています。
また、省内の施策としては、母子家庭や父子家庭向け、あるいは所得に応じた就学資金の貸付制度で、無利子の制度などもございます。御家庭の事情によってそうしたサービスを御利用いただける場合もあるかと思いますので、そのような支援についても周知をしていきたいと考えています。
障害者の方を含めて弱い立場にある方への労働法の周知についても御指摘をいただきました。私どもも皆様の御協力をいただいて、学校への講師派遣に取り組んでいます。昨年度も御要望に応じて特別支援学校に講師を派遣して講話いただいた実績もございます。このような労働法の授業についても引き続き取り組んでいきたいと考えています。同時に、障害者の方を支えていくためには事業主の方の御理解も必要かと存じますので、そうした双方の取組を進めていきたいと考えています。
岩城委員からフリーランスについての御指摘をいただきました。大綱の中の「フリーランス」ですが、おそらくそのときに何か限定的な定義を詰めて策定したわけではないかと思います。その上で、実態の把握についての御指摘をいただきました。これまでも自営業の方などを調査対象にしていますが、分野によって様々であるという問題意識もいただきました。令和4年度の調査の中で芸能・芸術分野の実演家を対象にしていますが、こちらについては、労働者に加えてフリーランスと呼ばれる方についても調査の対象にしています。そうした中で実態の把握に努めていきたいと考えています。
黒田委員からAIの影響について御指摘をいただきました。大変大きな問題意識かと思います。AI戦略会議は、おそらく会議の目的に沿ってメンバーも決められているかと思いますが、別途過労死大綱の中でも、先端技術の進展に伴う影響について目を向けていくべきであるという御指摘をいただいております。過労死対策を担当する立場からどういうことができるか、また検討していきたいと考えています。
髙橋委員から分かりやすい労働法の周知について御指摘をいただきました。私どもも講師派遣などに取り組んでいますが、別途若者対策を実施している部局においても生徒さん、若者への周知などに取り組んでいます。そうしたところともよく連携して問題意識を共有しながら、できるだけ多くの学生、若者に届くように周知の取組を工夫していきたいと考えています。
私からは以上です。
○労災管理課長 労災管理課長の平嶋と申します。
渡辺委員と寺西委員から労災認定に関する事業主不服に関する御意見をいただきました。御存じのとおり、11月の東京高裁の判決で労災認定に不服のある事業主に原告適格を認める、裁判で争う権利を認めるという判決が出ています。これは労災保険制度の趣旨を考えると、事業主にお金がないとか争いたいとかいうことで労災支給が遅れることがないようにという意味で労災保険制度があるのに、そこで争うということになると、労災保険制度の意味がなくなってしまうということでありますので、早速最高裁に上告をしています。
併せて、労災事故が起きると、メリット制を通じて保険料が上がるということがありますので、保険料について争うということについては、争いたいという気持ちは理解するわけですが、それによって労災認定が覆るということになると、認定されても、結局、労災給付のお金を労働者が使いにくくなるということになってしまいますし、先ほどと同じように労災保険制度の意味がなくなってしまいます。監督署の職員のプレッシャーについても御意見がありましたが、確かに労働行政マンとして1回労災決定したのを後で返してくださいというのは、大変つらいものがありますので、そういうこともないように両者を切り離すということで、裁判所にもそういう取扱いをしているということを訴えているところです。
今のところ、上告をして、それについて裁判所が受理するとか受理しないとかはまだ通知をもらっていないところです。引き続きしっかり当方の主張をしていきたいと考えています。
○文部科学省初等中等教育局 文部科学省です。
工藤委員、北野委員から御指摘いただいたことについて御回答いたします。
まず、工藤委員の白書におけるデータに公立学校の教員が含まれているかについては、大変恐縮ですが、この場でお答えができませんので、確認させていただいて、また御回答させていただこうと思っています。
なお、重ねて御質問いただいた大学等の教員についての労災の話と、小中学校で公務災害が入っているということですが、公立学校の教員、つまり、都道府県が設置している公立学校、市町村教育委員会が設置している学校に勤めている教員については公務員になりますので、公務災害に入っていますが、大学においては、現在は公務員の体系を取っているものはございませんので、労災に入っているものと考えられます。
また、働き方改革について、工藤委員、北野委員から御指摘をいただきました。私の今回の説明は、先月の勤務実態状況調査を中心に御説明したこともあって、少し説明が不足しましたが、資料の35ページ目を御覧ください。先ほど北野委員から御指摘のあった、給特法の改正において指針を定めまして、その指針の中に教育職員の服務を監督する教育委員会が講ずべき措置ということで、先ほどの公務災害の関係も(2)のところですが、まず客観的に在校等時間を計測すること。その計測した時間は公務災害が生じた場合等に重要な記録となることから、公文書としての管理、保存を徹底すること。また、休憩時間や休日の確保等の法令の規則を遵守することであったり、教育職員の健康及び福祉を確保するための留意として、医師の面談であったり、終業から始業までの一定時間以上の継続した休息時間を確保することなど、教員の健康及び福祉の確保のための留意点についても種々定めており、それについて、事あるたびに文部科学省からも様々な指導、また通知等を発出しているところです。
また、今般給特法を含めた法制的な枠組みを含めて、質の高い教師の確保に向けた総合的な方策について検討を行うこととされておりますが、その際の中央教育審議会に諮問した文書の中でも、第一の柱として教師の勤務制度を含めた、更なる学校における働き方改革の在り方、例えば、教師の健康及び福祉の確保のために服務監督権者・校長等が講ずべき措置について、実効性を高めることができる仕組みの在り方や、学校の働き方改革や業務改善に係る計画の策定や公表、その取組状況等を見える化するための枠組みの在り方、また、国家公務員や地方公務員に係る制度も踏まえた、公立学校の教師の健康及び福祉の確保の観点からの長時間の時間外勤務を抑制するための仕組みの在り方などについても今後検討していくこととしています。
また、教員の配置等についても御指摘のとおりで、こちらは報道等では給与等の処遇改善のことが特に取り上げられていますが、必ずしも処遇だけではなく、勤務制度、また働き方改革、教職員の定数、支援スタッフなどを含めて一体的、総合的に検討していくことが必要であるといった論点もいただいているところで、それらを含めて今後中央教育審議会においてしっかりと検討してまいりたいと考えているところです。
以上です。
○人事院職員福祉局 人事院です。
黒田委員からいただいた御質問についてご回答します。まず、労働基準法の33条3項との関係ですが、一般職の国家公務員については、国家公務員法において労働基準法は適用されないこととなっています。それに代わり、一般職国家公務員の超過勤務に関する制度的な枠組みとして、勤務時間法や人事院規則等に定めを設けて、その枠組みの下で各省各庁の長が具体的な運用をする仕組みとなっています。これの具体的な定めについては、御認識のとおり、民間法制における基準等を踏まえて設定をしています。
他律部署の定義については、資料の21ページでお示ししているとおり、業務の遂行に関する事項を自ら決定することが困難な業務の比重が高い部署といった基準を設けて、この基準を踏まえ、各省各庁の長で指定するものとなっています。
また、特例業務については、21ページの中ほどに定義を示しておりますが、考え方としては、行政サービスの提供を中止できないといった事情が公務にあることを踏まえて、上限を超えて超過勤務を行うことができるとしているものです。具体的には大規模災害の対処や重要な法律の立案、または他国や国際機関との交渉などを例示として、その他の重要な業務であって、特に緊急に処理することを要する業務としています。この基準に従って、各省各庁の長が定める業務となっています。
ただ、これについて数字的な上限は設けておりませんが、人事院としては、特例業務の範囲が必要最小限のものとなるようにするべきであることを併せてお示ししているところです。勤務時間調査・指導室の調査等を通じて、引き続きこういった特例業務の範囲が必要最小限のものとなるように指導などを行っていきたいと考えています。
以上です。
○労働条件政策課 労働条件政策課です。先ほど黒田委員、髙橋委員から、勤務間インターバルの仕組みを導入する企業に対しての支援の在り方について御指摘をいただきました。もちろん、勤務間インターバル、各企業でその内容や意味をよく知っていただくことが重要ですし、そういった勤務間インターバルをしっかり確保できる働き方にしていただくことが非常に重要ですので、まず勤務間インターバルに関する認識をしっかり深めていただくことを進めるとともに、この制度の導入によって労働時間短縮の効果がより期待できるような事業者に対しては、この助成金を活用していただいて仕組みの導入を支援していくということで取組を進めていきたいと考えています。
勤務間インターバルに係る助成金については、髙橋委員からも御指摘がありましが、長時間労働の実態があるような企業においてしっかり活用していただくことが重要だと考えていますので、例えばトラック運送業とか建設業とか、長時間労働の実態がある業種を中心に、業界団体も通じながらしっかり周知を図っているというところです。引き続き効率的、効果的な利用勧奨、周知に努めていきたいと考えています。
助成金そのものの要件等についての御指摘もいただきました。勤務間インターバルの助成金に関しては、令和4年度については、御指摘のとおり、前年度と基本的には同様の要件になっておりますが、令和5年度については、事業者が労務管理担当者、労働者に対して勤務間インターバルの研修を実施した際の費用支援に関して拡充しておりますし、特に来年度から時間外労働の上限規制が始まる適用猶予業種向けに勤務間インターバル導入も含めて上限額を引き上げている状況です。引き続き勤務間インターバルの導入に向けた取組が進むよう、助成金の在り方も含めて随時必要な検討をしていきたいと考えています。
○監督課長 労働基準局の監督課です。
岩城委員から労働基準法の労働者性の判断基準について御指摘をいただきました。労働基準法の労働者に該当するかどうかについては、事業に使用される者であるか、それから賃金を支払われているかについて、実態を勘案して総合的に判断をしているということです。これは契約の形式が委託契約や請負契約などであってもそれにはかかわらず判断をするということで、実態として労働者性が認められ、労働基準関係法令違反が認められれば、労働基準監督署において厳正に監督指導を行っていくということですので、この点、しっかり運用していきたいと考えています。
労働者性の判断基準そのものについて見直しが必要となるのではないかという御指摘もいただきました。現状見直しが必要となるような裁判例が示されている状況ではないと承知をしておりますが、御指摘いただきましたフリーランス・事業者間取引適正化等法の国会の審議においても議論があったところです。厚生労働省としては、裁判例や働き方の実態を踏まえながら、現行の判断枠組みが適切なものとなっているか否かについて不断に確認をしていくこととしています。
宮本委員から管理監督者についての過重労働対策についての御指摘をいただきました。これは働き方改革関連法において労働安全衛生法が改正されて、管理監督者も含めて労働時間の状況の把握が義務づけられたところです。これに伴い面接指導を適切に実施することも求められているところで、監督署や働き方改革推進支援センターにおいて周知を行うとともに、監督指導を行った際に問題が認められる場合には指導を行っていますので、引き続き管理職を含めた労働者の過重労働対策にしっかり取り組んでまいりたいと考えています。
寺西委員から過労死を発生させた企業への監督指導について、先ほど労災管理課長からも説明いたしましたが、厚生労働省としては、長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場に対して監督指導を行っています。これは訴訟の状況にかかわらず、請求を行った事業場に対しては監督指導を行っているところです。
私からは以上です。
○労働衛生課長 労働衛生課長です。
渡辺委員、宮本委員からの御意見にお答え申し上げます。まず、渡辺委員からは、「こころの耳」の相談件数について、一部メールでの件数が減っている理由はというお尋ねがございました。減っている理由について具体的には承知していませんが、全体としてはメール、電話、SNSを合わせて毎年相談件数が伸びています。年代分布も見ると、電話相談は40代、50代が中心で、SNS相談は圧倒的に20代、30代が多くなっています。また、電話はおそらくメンタルヘルスの相談ということもあるかと思いますが、これまで回線数を増やしており、その都度相談件数も伸びており、ニーズがあるものと考えています。今後も状況を踏まえながら、必要に応じて工夫をしていきたいと考えています。
宮本委員から管理監督者向けの周知啓発についてご指摘をいただきました。産業保健総合センター等でも研修を行っており、また、昨年の職場のメンタルヘルスシンポジウムでは管理監督者を対象としたシンポジウムを実施しました。
「こころの耳」においても、メンタルヘルスに関する情報発信を様々しており、その中で、部下を持つ方向けの情報を検索していただくことが可能です。こうしたことをしっかりと引き続き周知をしてまいりたいと考えています。
2点目、2024年問題ということで、建設や運送業の方の健康管理の重要性の御指摘をいただきました。こうした業種も含めて小規模事業者への対策は非常に重要であると考えています。健康管理、メンタルヘルスへの対応を含めて産業保健体制が非常に脆弱ですので、底上げが重要と考えています。
こうした建設業や運送業は同業者での組合等もございますので、昨年度から新しく設けた団体経由産業保健活動推進助成金の活用等を促しながら、産業保健体制の底上げを図っていきたいと考えています。
以上です。
○雇用環境・均等局雇用機会均等課 雇用環境・均等局雇用機会均等課です。
渡辺委員からハラスメント防止対策に関する御意見をいただきました。ありがとうございました。ハラスメント防止対策については、法に基づき防止措置を講じることが義務づけられているところです。
今後ともこうした防止対策を講じることが必要である旨、事業主等に対して周知を図るとともに、また、総合労働相談コーナーやハラスメント悩み相談室で相談もお受けしていますので、こうした相談については、内容に応じて労働局が行っている個別労働紛争解決援助や報告の請求などを御案内して解決につなげていきたいと考えています。
○雇用環境・均等局総務課 雇用環境・均等局総務課雇用環境政策室です。
黒田委員と髙橋委員から勤務間インターバルについての御指摘があり、先ほど労働条件政策課から御説明をしておりますが、黒田委員から具体的な内容について御指摘をいただきましたので、補足いたします。具体的には業種ごとに導入すべきポイントも異なってくることもありますので、業種別の制度の導入マニュアルを作成、配布するとともに、セミナー等を実施しています。また、労務担当者を中心に年間延べ180万人にアクセスいただいている当省の「働き方・休み方改善ポータルサイト」にこの導入事例集を掲載しているほか、例えば令和4年度においては、新たに政府インターネットテレビによる制度紹介のコンテンツを発信したり、事業者向けの雑誌への記事掲載などを実施して周知に努めているところです。
さらに、令和5年度においては、社会保険労務士等の専門家によるアウトリーチ型のコンサルティングもこれから実施していこうと考えており、工夫した継続的な周知、支援に努めてまいりたいと考えています。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、後半に行きたいのですけれども、申し訳ありませんが、時間が迫っておりますので、できるだけコンパクトに御発言いただければと思います。それでは、鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。
簡単に私から「こころの耳」ポータルサイト、ストレスチェックについて申し上げたいと思います。
まず、「こころの耳」ポータルサイトについて、多くの方に相談ができる場所を知ってもらう、あるいは過労死とは何かといったことを知ってもらうということ、これは私も大変大切なことだと思っております。これらのさらなる周知につきましては、先ほど髙橋委員から学校や転職サイトでの周知の御提案がございました。
併せまして、私からは例えばハローワークに職を求めてこられた方に周知をしていただく、あるいは厚生労働省のほうで改めて労働者向けのメールマガジンをつくっていただき、そこに登録していただくことでこうしたものを知ってもらう。若い方も念頭に置いたいわゆるプッシュ型の周知を今後御検討いただくこともよろしいのではないかと思いました。
2点目、ストレスチェックについてでございます。ストレスチェックは、労働者御自身の気づきの端緒になるだけでなく、その後の集団分析を行うことで企業の組織的な予防の取組につなげていく。このことが大切だと思っております。
ただ、50人未満の小規模事業場におけるストレスチェックの実施割合が、足元29.7%ですので、目標の達成、さらに集団分析の結果を活用するということについて、さらなる厚生労働省の支援をお願いしたいと思います。
厚生労働省は集団分析まで行えるストレスチェックのプログラムを無償で提供されていると聞いております。質問ですが、このプログラムがどの程度使われているのか、具体的なダウンロード数と、こうしたプログラムの周知について、どのようなお取組をされているかについてお聞きしたいと思います。
以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
3点御意見を申し上げたいと思います。
まず1点目でございます。今回大綱の数値目標は14次防を踏まえた数値目標となっておりますが、資料1の3スライド目の下段、「フォローアップ」とされた2点に関する項目については、非常に重要な取組であり、引き続きのフォローをお願いしたいと考えております。
連合が昨年10月に実施した調査では、8割近くの労働者は仕事のストレスを感じており、また、働き方が多様化する中で、コミュニケーション不足を感じるほどストレスが増加するという傾向も確認されております。精神障害の労災請求件数等が増加している中においては、メンタルヘルス対策のさらなる強化が重要であり、とりわけ、小規模事業場における支援策を強化願います。
次に、インターバル制度でございます。導入企業割合が微増しておりますが、制度を知らない企業の割合は、2020年に10.7まで減少し、2022年には17.1%まで大きく増加をしてしまっているという状況です。業種別での重点的な取組が重要でありますが、業種別の増減状況なども今後確認させていただきたいと思いますし、業種別の取組強化を引き続きお願いしたいと考えます。
最後に、資料1のスライド9の調査研究についてです。脳梗塞・心筋梗塞などの脳・心臓疾患による過労死については、加齢による影響や基礎疾患の有無などにより、発症に至る長時間労働の時間数は変わり得るのではないかと考えます。今後、労働力が高齢化していく中において、そういった視点からの過労死に関する疫学的な調査などの研究も非常に重要だと考えます。そのため、100時間や80時間に至らない過労死に関する研究を進めていただくとともに、過重労働やハラスメントとストレスの関係を研究より明らかにすることも必要です。さらに、本協議会において、そういった研究成果を示すことが重要だと考えておりますので、意見として申し上げておきたいと思います。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、川人委員、お願いいたします。
○川人委員 川人でございます。質問と要請を行います。
質問については、今年の3月2日に八王子労基署で労災認定が出た事案に関連してです。女性で、くも膜下出血で亡くなった方ですが、この事件において、夫が遺族の年金申請を労基署にしたわけですが、夫は55歳未満との理由で、現行法令に基づきこの申請を認められませんでした。結果としては、未成年の子が1人いましたので、その子への支給となりましたが、この子が18歳になった段階でもう既に年金支給はなくなっており、現在年金支給者はいません。
もし仮に男性が亡くなっていた場合は、妻に対して生涯遺族年金が支給されます。女性が亡くなった場合に、なぜ夫が55歳未満との理由が必要なのか。全く合理的なものではありません。係る処置はジェンダーの観点から明確な男女差別であり、憲法違反の疑いがあります。
このような女性が亡くなった事案における労災年金の扱いについて、改正をする意思があるかどうか、ないしは改正する予定があるかどうかについてお伺いしたいと思います。
次に、このケースは同じケースですが、労働者協同組合法が昨年10月に施行されたものに関係します。すなわち、この事件は労働者協同組合の職場において発生しました。厚労省には新しい法案が昨年10月に施行されたことに伴い、勤労者生活課に労働者協同組合業務室が設置されております。この労働者協同組合というものは、労働者が出資し、自ら働く。労働者が主人公という理念のはずであります。にもかかわらず、このような過労死が発生したという問題を行政当局としてはどのように受け止められているか。この協同組合における過重労働防止について行政措置はどのように行われているか、お伺いしたいと思います。
質問は以上です。
要請について若干いたします。一昨年の3月に労働時間の認定に関して厚労省から通達が出されました。これについては、労災行政において労働時間を過少認定しているのではないかとの不満、意見が私どもに多数寄せられています。この点に関して、先日過労死弁護団としてこの通達についての改正を求める意見書を提出しましたので、ぜひ検討いただきたいと思います。
最後に要請として、ビジネスと人権に関することです。今回の協議会には参考資料1として令和4年度版の過労死防止白書の英語版がつくられております。これは日本の過労死の実態を内外に明らかにしていくという意味で大変重要な資料であると考えております。
これに関連して、今年の7月から8月にかけて国連のビジネスと人権問題に関する作業チームの方々が来日し、我が国における国連のビジネスと人権決議に基づく実施状況がどうなっているか、調査に来られると聞いております。ビジネスと人権の中でも過労死は重要なテーマです。この調査が行われる際には、関係省庁においては積極的に協力し、過労死問題について国際的にも丁寧な説明をなさることを要請します。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、佐久間委員、お願いします。
○佐久間委員 ありがとうございます。
5月8日にコロナが2類相当から5類となり、景況感というのはコロナ前に戻ったとは言えませんが、経済活動が活発になってきているのは事実です。中小企業においても製造業、宿泊・飲食業など、コロナ禍では雇用調整助成金をよく活用させていただいた業種においても人手不足感が出てきています。このような情勢の中で、厚生労働省様の資料10ページから12ページにありますとおり、商慣行とか勤務環境等を踏まえた取組にもIT業界など業種、職種ごとの取組をお示ししていただいているところでございますけれども、特に工作物の建設の事業、バス・タクシー・トラックの自動車運転の業務、医業に従事する医師、そして鹿児島県とか沖縄県の砂糖製造業については、2019年の働き方改革関連法が施行されて、5年間の時間外労働の適用猶予事業・業務とされておりました。
これらの業種はいまだ人手不足が慢性化していることもあり、十分な人手や費用を確保できず、安定的な事業や業務が困難となる懸念があります。先ほど宮本先生、そして室長からも御指摘と御回答を賜りましたけれども、いわゆる「2024年問題」ですが、人手不足で過労になるおそれがあるので、今後監視を強めていく必要があると考えます。
上限規制の適用猶予を満了することは過労死等防止のためにも正しい方向であると思います。一方で、コストや労務費のスムーズな価格転嫁が図られるとともに、労働時間の把握や記録を過小にするなどの動きにならないよう、労働局だけではなく、労使共にこれを注視していく必要があると考えます。この件については先ほど御回答を賜っていますから結構でございますけれども、双方で監視体制を整え、注視をしていければと考えております。
以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、後半の部分につきまして、事務局から御回答をお願いします。
○総務課長 御指摘ありがとうございます。労働基準局総務課です。
まず、鈴木委員から「こころの耳」のプッシュ型の周知について御指摘いただきました。厚生労働省でもTwitterなど従来より様々なツールがございますが、現在、新着情報を発信するサービスや、今年度からはLINEアカウントを使った発信ツールなどもできています。情報発信のツールが増えてきていますので、「こころの耳」に限らず、様々なツールを使って周知に取り組んでいきたいと考えています。
冨髙委員からフォローアップについて御指摘いただきました。この協議会の場でもフォローアップの状況を御報告していきたいと考えています。
調査研究の御指摘、川人委員からのビジネスと人権の御指摘については、御意見として受け止めさせていただきたいと考えています。ありがとうございます。
○労災管理課長 労災管理課長です。
川人委員から遺族補償年金についての御質問をいただきました。労災保険制度の遺族補償年金の受給対象者は、厚生年金や国家公務員災害補償制度、地方公務員災害補償制度の対象者と同じ考え方で設定されています。男女の差の問題についてですが、地方公務員災害補償制度に関して、平成29年に法の下の平等である憲法第14条違反について争われています。最高裁判決においては、男女間における生産年齢人口に占める労働力人口の割合の違い、平均的な賃金額の格差及び一般的な雇用形態の違い等からうかがえる妻の置かれている社会的状況に鑑み、妻について一定の年齢に達していることを受給の要件としないことは、合理的な理由を欠くものと言うことはできず、憲法14条1項に違反すると言うことはできないという判決がされています。
御指摘の点について、他の制度との均衡もありますが、現在公的年金制度については、社会保障審議会年金部会において制度改正に関する議論が行われており、委員から遺族厚生年金の支給要件における男女差に関する指摘も出ていると承知しています。本件も含めて労災制度の在り方については、他の制度における議論の状況も注視しつつ、不断の見直しを続けてまいりたいと考えています。
○補償課長 補償課長の児屋野です。
川人委員から要請としていただきました労働時間に関する事例集については、令和3年3月に発出しています。この事例集そのものは、過去の裁判例などから持ってきたものであって、現場で迅速に、あるいは斉一的に認定するための資料という位置づけです。こちらについては、今後も新たな判例などが出てきたら、必要なものは取り入れていくというふうに考えており、先日頂きました弁護団からの資料も貴重な御意見ということで、これも踏まえて御対応させていただきたいと考えています。
○労働衛生課長 労働衛生課長です。
鈴木委員、冨髙委員、御意見ありがとうございます。
鈴木委員からお尋ねのあったダウンロード数ですが、ストレスチェックプログラム、令和2年度は約2万2000件、令和4年度は約3万件となっており、増えていますがまだまだ周知が必要と考えていますので、引き続き経済団体の皆様のお力も借りながらしっかり周知していきたいと考えています。
以上です。
○雇用環境・均等局勤労者生活課 雇用環境・均等局勤労者生活課労働者協同組合業務室長の水野と申します。
川人委員から御質問をいただきました。労働者協同組合の職場であった過労死の事案についてお答え申し上げます。個別の事案についてのコメントは差し控えさせていただきますが、昨年10月に施行された労働者協同組合法においては、労働者保護の観点から、組合は組合員との間で労働契約を結ばなければならない旨が法定されており、組合と組合員には労働関係法令が基本的に適用されることになっています。厚生労働省としては、こうした制度の趣旨が十分に理解していただけるよう、厚生労働大臣が法に基づき定める指針においても労働関係法令の適用の考え方を明記するとともに、厚生労働省のホームページ上の特設サイトにおいて労働契約や社会保険に関する留意点等を分かりやすく解説するなどの対応を行っており、今後ともこうした情報提供等を通じて適切な労務管理を促してまいりたいと考えています。
また、厚生労働省としては、長時間にわたる過重な労働によって過労死等に係る労災請求が行われた事案をはじめ、各種情報により長時間労働が行われていると考えられる事業場に対して監督指導の徹底を図っているところです。労働基準監督署においても、労働者協同組合を含めて今後とも長時間労働の是正にしっかりと取り組んでまいりたいと考えています。
○雇用環境・均等局総務課 雇用環境・均等局雇用環境政策室です。
先ほど冨髙委員から勤務間インターバルについての御指摘をいただきました。業種別の知らない割合について、令和4年の調査と令和3年の調査を比較すると、令和3年の調査で「知っている」との回答が多かった業種において「知らない」と回答している部分が多いという傾向が若干見られます。特に情報通信業においては「知らない」という回答が3.9%から14.9%に増加。宿泊業・飲食サービス業においても11.7%から20.5%と増加しています。一方で、小売業やサービス業においては改善しています。このような割合は抽出調査である就労条件総合調査によって把握してございまして、その増減理由を一概にお示しすることはなかなか難しいかなと思っているところですが、各業種の動向については注視してまいりたいと考えており、先ほど申し上げた業種別のマニュアルも、現在は、IT業種とか建設業等々ございますので、その作成に当たって、その辺りも踏まえながらしっかりと対応していきたいと考えています。
以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
それでは、まだまだ御意見、御質問もあるかと思いますけれども、時間も限られておりますので、本日はここまでとさせていただきます。
委員の皆様におかれましては、活発な御議論をいただきましてありがとうございました。各府省におかれましては、委員より出されました御意見を踏まえて、今後対策をしっかり行っていっていただきたいと思います。
最後に、次回の日程について事務局から御説明をお願いいたします。
○企画官 次回は、今年度の過労死等防止対策白書の公表後、その御報告について10月から11月頃に開催したいと考えておりますが、具体的な日程については追って調整をさせていただいて、事務局より御連絡をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○中窪会長 それでは、第24回「過労死等防止対策推進協議会」はこれで閉会といたします。本日はお忙しいところを、ありがとうございました。