第28回労働政策審議会労働政策基本部会 議事録

政策統括官付政策統括室

日時

令和5年3月31日(金)14:00~16:00

場所

厚生労働省議室(9階)

出席者

(委員)(五十音順)
入山委員 大橋委員 岡本委員 川﨑委員 古賀委員 佐々木委員 武田委員 中野委員 春川委員 守島部会長 山川委員 山田委員
 
(事務局)
小林厚生労働審議官、中村政策統括官(総合政策担当)、田中政策立案総括審議官、蒔苗政策統括官付参事官、古屋政策統括官付政策統括室労働経済調査官、古舘労働基準局総務課長、牛島雇用環境・均等局総務課長、宇野人材開発統括官付人材開発政策担当参事官、宮本職業安定局雇用政策課雇用復興企画官

議題

(1)報告書(案)について
(2)その他

議事

議事内容
2023-3-31 第28回労働政策審議会労働政策基本部会
 
○守島部会長 それでは、御参加になる方は、全ていらっしゃっておりますので、本日の審議会を始めたいと思います。
 ただいまから、第28回「労働政策審議会労働政策基本部会」を開催したいと思います。皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席をいただき誠にありがとうございます。
 カメラの頭撮りは、ここまでということでお願いします。
(カメラ退室)
○守島部会長 ありがとうございます。
 本日は、所用のため、大橋委員が途中で御退席されると伺っております。それから、石山委員と冨山委員は御欠席でございます。
 議事に入ります前に、オンライン参加の委員の皆様に、事務局より御説明があります。
○古屋政策統括官付労働経済調査官 事務局の古屋と申します。本日は、よろしくお願いします。
 オンラインでの御参加に関しまして、留意事項を御説明いたします。
 まず、原則としてカメラはオン、マイクはミュートとしていただくようお願いいたします。
 御発言の際は「参加者パネル」の御自身のお名前の横にある「挙手ボタン」を押して部会長から御指名があるまでお待ちいただくようお願いいたします。部会長から御指名の後、マイクのミュートを解除して御発言ください。発言終了後はマイクをミュートに戻し、再度「挙手ボタン」を押して挙手の状態を解除していただくようお願いします。
 通信の状態などにより音声での発言が難しい場合には、チャットで発言内容をお送りいただくようお願いします。
 また、会の最中に音声等のトラブルがございましたら、チャット機能でお知らせいただくか、事前に事務局からお送りしている電話番号まで御連絡をいただくようお願いいたします。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、議事に入りたいと思います。
 本日の議題は「報告書(案)について」となっております。
 まず、本日の進め方について御説明いたします。
 最初に事務局より報告書(案)について御説明いただいた後、その内容について、50分程度の自由討議を行います。
 その次に、事務局より報告書の副題について御説明いただいた後、30分程度自由討議を行いたいと思います。それでは、事務局から報告書(案)について御説明をお願いいたします。
○古屋政策統括官付労働経済調査官 御説明いたします。
 資料1を御覧いただければと存じます。取りまとめ案について御説明いたします。
 この案につきましては、委員の皆様方の前回までの御議論と、ヒアリングの内容についてまとめたものでございます。
 前回の素案についての御指摘を踏まえまして、全体の構成について改めて見直して、いただいた意見を盛り込んだところでございます。
 前回と違う点として、表紙と小見出しをつけさせていただいております。表紙に副題と示しておりますが、副題については、おって御議論いただく予定でございます。
 表紙をおめくりいただき、目次を御覧いただければと思います。
 こちらは、先ほど申しましたように、小見出しを入れさせていただいております。
 続きまして、本文のほうに移りたいと思います。以下、前回からの修正箇所を中心に御説明をさせていただければと存じます。
 まず、1ページの2ポツの社会・経済の現状について御覧いただければと存じます。
 2つ目の●のところでございますけれども、産業構造そのものも、これまでにないような大きさとスピードで、時には不連続に変化し続ける時代と加筆しているところです。
 一番下のところの●でございますけれども、労働生産性の記述、次のページに行きますけれども、賃金についての記述、新規創業などの事業の新陳代謝、付加価値の向上や適切な価格づけによる処遇向上などについて記述を追加しているところでございます。
 続きまして、2ページの(2)を御覧いただければと存じます。
 1つ目の●についてでございます。2行目のところでございますけれども、人材ニーズの多様化の中で、多様な人材の視点を事業に生かしていけるような企業が成長していくという旨を記載しているところでございます。
 それから、男性正社員の働き方ということで、男性正社員の具体的な内容について、残業前提の勤務や転勤などの広範な人事異動を前提としたという形で記載を追加したところでございます。
 続きまして、3つ目の●について御覧いただければと存じます。
 3つ目の●のところですが、女性の雇用について非正規雇用の女性が多いという点や、女性の役員比率が低いということなどを追加しています。
 続きまして、3ページを御覧いただければと存じます。
 3ページのところでございますけれども、3つ目の●で、注の5を入れております。共働き世帯の現状を記載させていただいているというのと、注の6で、女性の就業の促進と、社会保険の適用拡大について、これまでいただいた御意見を抜粋して記載しております。
 続きまして(3)の労働市場の変化を御覧いただければと存じます。
 内部労働市場の機能の低下について追記をさせていただいているところでございます。
 一番下の行に「他方」とありますけれども、ここから追記をしています。他方、長期にわたる「人への投資」の低迷に加え、人手不足が常態化する中で、➀として、自らのキャリアを深めスキルを高めることを志向する労働者にとっては、自らの臨む仕事や報酬が得られなかったり、➁として、育児・介護など様々な理由により広範な転勤を望まない労働者にとっては、こうした内部労働市場でのキャリアパスを歩むことができないといったような、機能していない部分について、少し書かせていただきました。
 1ページ戻りますが、注の7で、新卒一括採用ということに関連しまして、就職氷河期世代のように、卒業時期と不況期が重なることで、望まない転職があったりして、その後のキャリアに影響があるというような事象についても書いておるところでございます。
 続きまして、4ページにお戻りいただければと存じます。
 真ん中のところに書いてあります「コロナ禍で顕在化した非正規雇用の不安定性と多様な働き方の広がり」という箇所がございますが、非正規雇用の不安定性について記述して、フリーランスやプラットフォームワーカー等の働き方について、どのような働き方でもセーフティネットが確保できることが重要といったことを書かせていただいております。
 続きまして(4)の「労働者の意識・企業の求める人材像の変化について」というところでございます。
 1つ目の●の最後のところでございますけれども、次のページになりますけれども、1つ目の●の最後のほうに、企業内での人材の活性化といった記述を追加させていただいております。
 続きまして、2つ目の●のところですが、AIの進展での業務の影響ですとか、技能や職場での役割の変化を追記しておるところでございます。
 具体的なものとして、AIを活用した運行管理とか自動運転も記載しているところでございます。
 それから、後ろから4行目のところでございますが、中間管理職の業務やマネジメントの在り方、その存在意義も大きく変化することが見込まれるということを追記しており、その後、一人一人の部下の能力やエンゲージメントを高められるように、企業が個々の労働者に向き合えるようなマネジメント人材の育成や環境整備を行う必要があるということを書かせていただいているところでございます。
 続きまして、5ページの「労働者の意識の変化」のところを御覧いただければと存じます。
 1つ目の●のところで、1つの会社の中で育つのではなくて、自分自身のキャリアをどうつくるかに重きを置く労働者もおり、キャリア自律が重要としております。
 2つ目の●のところに、こうしたことの動向について書かせていただいているところでございます。
 続きまして、6ページの3ポツ(1)のアを御覧いただければと存じます。「企業が成長していくためには人材投資・人材育成が重要」としており、人材育成の重要性について記載することとしております。
 4つ目の●のところを御覧いただければと存じますが、企業内の人材育成においては一人一人のキャリア志向を大切にしつつ、個人に焦点を当てた高解像度な人事評価・育成が重要であるとしまして、その後ろに、ヒアリングでのアフラックの例を紹介しているところでございます。
 その次の「高齢者や非正規雇用労働者への人材育成の課題」というところでございます。
 こちらについては、前回と同様の内容となっております。
 続いて、次のページのリスキリングについてでございます。8ページを御覧いただければと存じます。
 1つ目の●のところに、企業の訓練費用の負担への支援を追記しているのと、3つ目の●のところに、注の15ということで、日米の経営者のIT理解度の比較を追記するというような修正をしているところでございます。
 続きまして、9ページをお開きいただければと存じます。
 9ページの(2)の「人事制度」を御覧いただければと存じます。
 1つ目の●で、主体的に考え、キャリアをつくっていくような人材が必要というようなことを追記しておるところでございます。
 続きまして、10ページに移りまして、1つ目の●のところですけれども、多様性を尊重し、個々の創意工夫を誘発するような新しいマネジメントを展開していく必要があるということを追記させていただいているところでございます。
 続きまして、10ページのところ「ジョブ型人事の動き」ということで、最初に表題だけイということで書かせていただいておりますが、次の11ページを御覧いただければと存じます。
 11ページに「日本ではホワイトカラーを中心としてジョブ型人事を導入する動き」ということを書かせていただいているところでございます。
 前回、御指摘もたくさんいただいたところでございますが、1つ目の●、ジョブ型人事の記載についてで、ジョブ型雇用について、狭い意味では職務が雇用契約に明記、限定されている雇用形態としまして、徹底した分業の中での限定的な職務範囲での雇用管理として、欧米ではブルーカラーを中心に使われていたが、近年、日本においては、ホワイトカラーを中心とした職務と処遇の明確化という観点からの導入の動きがあるということで、ヒアリングでの鶴教授の御説明を基に、詳細な記述としているところでございます。
 また、注20としまして、プロフェッショナル人材と呼んではどうかという御意見も記載しているところでございます。
 続きまして、3つ目の●のところですが、ジョブ型人事の導入において、配慮すべき事項ということで、➀ポストに見合った人材を広く社内・社外から求める必要があるという点。
 ➁キャリアアップに伴う再教育支援の仕組みが不可欠という点。
 ➂労働者一人一人のキャリア志向に対応する必要があるという点。
 ➃職務以外の情報共有や組織貢献意欲を促す仕組みが不可欠等の配慮が必要と書かせていただいております。
 また、企業規模や産業によっても、人事上の課題が様々であるため、労使の丁寧なコミュニケーションも必要であるということと、ヒアリングでのKDDI労組や、アフラックでの取組を例とともに記載させていただいているところでございます。
 続きまして、12ページを御覧いただければと存じます。12ページの1つ目の●のところでございます。
 日本のジョブ型人事につきまして、➀と➁という形で整理しています。
 その次ですけれども、ウの労働移動のところを御覧いただければと存じます。
 こちらについては「転職を希望する労働者が、内部労働市場と外部労働市場を行き来できるシームレスな労働市場の整備が必要」という小見出しをつけているところです。
 追加で注21のところに、転職後の賃金についての分析を追加しております。
 また、2つ目の●のところに、魅力のある産業、企業づくりが重要ということについて、ウの2つ目の●の末尾のほうに書かせていただいております。
 また、3つ目の●のところに、自らのキャリアを生かし、よりよい環境で働くことができるよう、セーフティネットを整備する必要があることを記載しています。
 続きまして、13ページを御覧いただければと存じます。
 13ページの1つ目の●のところでございますけれども、労働移動に中立的な人事制度設計が可能となるような取組が必要と言っているところですが、下のほうに注をつけさせていただいております。注の22のところで、退職金の給付水準について、ミッドキャリアでの転職が不利にならないよう、退職金税制を見直すべきではないかという意見があったという旨を書かせていただいております。
 続いて、3つ目の●ところで、シームレスな労働市場について具体的に記載させていただくとともに、解雇無効時の金銭解決について、労働者に選択権がある解雇無効時の金銭救済の仕組みについても考えていくべきという意見や、不当な解雇を正当化するおそれのある制度は導入すべきではないとの意見がある中で、広く議論を行っていくべきとしているところでございます。
 続きまして、エの労使関係のところを御覧いただければと思います。
 エの労使関係のところでございますけれども、3つ目の●のところでございますが、現在の過半数代表における選出方法など、適切な運用を確保するための取り組みが重要ではないかという意見ということで、追記させていただいているところでございます。
 続きまして、14ページを御覧いただければと存じます。
 14ページでございますが、4ポツ(1)の「企業に求められる対応」のところの3つ目の●のところでございます。
 多様な人材が働く中で、それぞれのキャリア志向や、ワークライフバランスの確保、エンゲージメントの向上に向けて一人一人に向き合ったきめ細かなマネジメントが管理職には必要となっているとし、その後、テレワークのマネジメントの変化など、管理職向けのマネジメント研修や、その見直しの必要性について追記しているところでございます。
 続きまして、次のページに行きまして(3)を御覧いただければと思います。
 労働政策に求められる対応として、2つ目の●のところで、フリーランスなどの雇用によらない働き方など、様々な働き方の人のセーフティネットや労働者性について考えるということで、御意見を記載しています。
 注のほうに、フリーランスのガイドラインでの労働者性の取扱いなどを記載しています。
 それから、4つ目の●のところですけれども、労働市場に関する施策について、➀から➂までの具体的に記載させているところであります。
 続いて、16ページを御覧いただければと思います。
 16ページの2つ目の●のところでございますけれども「ポストコロナに向けた新しい労働市場の整備に向けて」ということで、従来の安全・安心を重視する対応に加え、労働市場のセーフティネットを整備しつつ、労働者のスキルアップ・向上を目指すことを重視していくべきではないかということを追記しているところでございます。
 続きまして(4)のところですが、表題を追記しているところでございます。
 続きまして(4)の2つ目の●のところですけれども、労働者一人一人が力強く成長できるよう、個人への直接支援が重要となるということで、個人へのリスキリングの支援の重要性といったものを追記しているところでございます。
 最後のところでございますが「おわりに」のところで、2パラ目のところですが、10年後、20年後の労働市場を見据えた議論や、今後の観点といったことを記載しています。
 なお、資料2といたしまして、参考資料の目録をお示しいたしています。これまでいただいた資料などを基に作成させていただいているところで、資料2のほうで取り上げている資料につきましては、今回の目次に合わせて目次立てをして、資料等を盛り込んでいるところでございます。
 説明については、以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○守島部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、自由討議に入りたいと思います。
 まず、大橋委員、何か御発言がありましたら、最初にどうぞ。
○大橋委員 ありがとうございます
 丁寧に御説明いただいて、また、前回までの御意見も丁寧に反映していただいて、大変よくまとまった形になったのかなと思っています。今後の労働政策も含めて、また、この報告書も遅滞なく見直していくという文言も入っていますので、そういった形で、しっかり、まずは世の中に打ち出していただくことが重要かなと思いました。
 以上です。ありがとうございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、御発言のある方、どうぞ挙手をお願いいたします。
 入山委員、手を挙げていらっしゃいます。どうぞ。
○入山委員 ありがとうございます。
 内容は私も全く異存ございません。1点だけ、御存じのように、今、チャットGPTが出てきて、少なくとも僕の周りなどでは、これは、相当変わるぞと、働き方という話になっていると思うのです。
 今回の報告書に、それを盛り込む必要はないと思うのですが、今回の報告書は、チャットGPTが出てくる前の段階で、我々がこういうことを大事だと思っているという一文言が冒頭のほうにあったほうが、後になってからこれを御覧になる方が、誤解がないのではないかと思うので、すみません、守島先生、ぴんときていない可能性があるのかなと、お顔を見るのですが、個人的には、そのぐらい今、チャットGPTのインパクトは世界的に言われているわけですね。はっきり言うと、ホワイトカラーの仕事は、ほぼなくなるのではないかというぐらいのインパクトがありかねないので、冒頭に、チャットGPTとか、生成系のAIが世界で本格的に普及する前に議論したものですみたいな文言があるといいかなと思いました。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか、古賀委員が手を挙げていらっしゃいます。
○古賀委員 古賀でございます。ありがとうございます。
 最初に、これまでの議論を丁寧にまとめていただきました守島部会長、そして、厚労省の事務局の皆さんに、心より感謝を申し上げます。
 大筋、報告書に異論はございません。その上で幾つかの御意見を申し上げたいと思います。
 報告書にもあるとおり、社会構造や産業構造が大きく変化して、働く者のニーズもますます多様化している現状において、労働者個人のニーズの変化や多様化に労働政策がどう対応していくのか、これが時代の要請であろうと思います。
 いわば、働く者を一律の集団として捉えるだけではなく、個々人も対象にする新たな枠組みを求めているのだろうと思います。
 ただ、そのときに重要なのは、労働政策のコアの部分は何なのかということを、きちんと同一認識に立っておかなければならないのではないかと思います。
 そのような認識の下で、まず1点目の意見は、労働政策の基本的役割についてです。個々の労働者の自己決定領域を拡大していくということは、私は必要だと思います。
 ただ、社会が持続可能であるための不公正な社会的格差の発生を防止、是正すること、また、労働者の人格や生活を擁護、保護すること、高齢者や障がいの有無に関わらず全ての働く者の雇用の安定や安全を確保することは最も重要であり、いかに環境が変化しようとも、今後もこれらの労働政策の基本的役割は不変だと思います。
 2つ目は、人材育成・能力開発についてです。今回の部会を通じて議論された人材育成・能力開発というのは、雇用の安定につながる重要な要素であり、職業生活の全期間を通じて、それが可能な体制を構築する必要があると思います。働き方や労働者のニーズの多様化を踏まえれば、働く者個人の特性を踏まえ、その体制の構築や、雇用のセーフティネットの一層の強化・充実が不可欠だと思います。
 また、多様な人材の育成とか能力開発を推進する上では、現行の労働法制のらち外に置かれる人々の保護の在り方を含めた重層的なセーフティネットの整備を喫緊の課題として取り組んでいくべきではないかと思います。
 最後に、総合的な視点での意見です。
 働き方や雇用形態の多様化に加えて、就労人口の減少や高齢化などの人口動態などを考えると、労働政策だけでは完結することが難しい課題が多くなっています。税制や社会保障制度などと併せて、総合的に議論していくことが重要であると思います。
 以上のことを申し上げ、私の意見といたします。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 続きまして、武田委員、お願いいたします。
○武田委員 本日は、座長をはじめ、事務局の皆様に取りまとめの御尽力をいただいて、このような報告書を御説明いただきましたことに厚く御礼申し上げます。
 報告書の内容は、これまでの議論を丁寧に拾っていただいており、途中段階では意見交換の機会もいただいて、非常に丁寧に進めていただいたことに、感謝しておりますし、大変な御尽力であったと思います。感謝申し上げます。
 報告書の内容について、基本的に賛成する立場でございます。
 その上で、3点述べさせていただきます。
 1つ目は、申し上げようとしたことを、古賀委員が最後に包括的に述べてくださったと思いますが、やはり全体最適で考えていく必要があると思います。
 日本は様々な課題を抱えて、失われた30年という状況になっておりますが、それぞれの委員会や部会では、とてもよい議論がなされているという印象です。しかし、それがなぜ動かないのかという点では、全体最適、例えば、労働政策で考えていることを動かすには、社会保障の在り方、あるいは税制などを含めた議論が必要と思います。
 その際、それは厚生労働省の所管ではないのでとおっしゃっていると、進んでいかないことになります。
 これは、御省のほうがおっしゃりづらいのかもしれませんので、我々委員が意見として、省庁を超えて、こうした政策の実現を進めていただきたいと、いろいろな場面を通じて述べていくことが、全体最適の方向感をつくっていく、1つのドライバーになるのではと考えます。
 もしそうしたことで、私どもがやるべきことがあれば、最後に事務局から、御意見等をいただければありがたいと思います。
 2点目は、入山委員がおっしゃったことと関係しますが、技術の進歩は、非常にスピードが加速しています。この議論を始めてからも、メタバースあるいはWeb3.0もそうですし、雇用に与える一番大きな影響としてはチャットGPT、特に4だと思います。
 
 そのスピードに、いかにこの政策の議論のスピードを追いつかせていくのかも極めて重要で、数年前にこの委員会の場で、デジタル化が進むと、人材のポートフォリオが変わらなければ回らない、人材の需給のミスマッチが発生するということを御提示して以降、3、4年経過していると思います。政策の議論をしている間に、技術がまた次のステップに進んでいる、そのような感覚を持っております。
 したがって、チャットGPT-4が出る前の話であることを、注で、と入山先生からご指摘がありましたが、技術がどんどん進歩していますので、ここの報告書に書いてあることは、少なくとも今すぐやらなければいけないという書き方にして、そういう局面だからこそ、少なくとも、これはもう進めましょう、という書きぶりを一文入れていただけないかと思います。
 3点目は、最終的には未来志向が必要と思います。この議論をしていき、現状を変えたくない方々がいらっしゃるので、変えたくない方からは反対のご意見をいただく可能性がありますが、我々は、未来志向の視点で考えていく必要があるのではないかと考えます。
 ここについては、技術の面だけではなく、国際情勢や日本の人口構造という見えている未来、こうしたものへの適応も踏まえて、未来志向を意識した政策運営をぜひお願いしたいと思います。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
 続きまして、川﨑委員、お願いいたします。
○川﨑委員 川﨑です。ありがとうございます。
 今回の報告書の中身につきましては、丁寧にまとめていただきまして、ありがとうございます。いい形でまとめていただいたと思っています。
 私からお願いしたいのは1つです。せっかくこの報告書ができていますので、いろいろな政策議論ですとか、労使のコミュニケーションの場でも活用していくことを、ぜひ積極的にやっていただければと期待しています。
 最後の「おわりに」といったところで書いてくださっていますけれども、労働政策審議会にとどまらず、いろいろな雇用に関して検討をする場はあろうかと思いますので、積極的な活用と情報発信、そういったところを事務局のほうにもお願いしたいというところが私からのコメントになります。
 あと1つは、これは皆さんへの情報共有という観点で、1つお話ができればと思います。
テレワークが定着してきている職場の環境下において、最近の社員の企業に対してのエンゲージメント、これがどうかということで、調査をしました。弊社内の調査になりますから、全部の会社で当てはまるかどうかというのは、違うかもしれませんけれども、その結果を実は見てみますと、社員のエンゲージメントが一番高いのは、テレワークを週に2日から3日使っている社員です。
 全くテレワークをやっていない社員、あるいは、ほぼテレワークのみをやっている社員に関していうと、実はエンゲージメントが低いという結果が出てきています。テレワークを導入、テレワークを最大限活用して、テレワーク中心の働き方になっていくと、エンゲージメントが上がると思っていたのですけれども、結果は、さほどでもなかったと。一番は、やはり職場の中での人間関係と、あと働きやすさを担保していくテレワーク、これをミックスすることによって、エンゲージメントが高くなったという結果が出ています。そういう意味では、今後の柔軟性のある働き方と、あと、一人一人の職場に対しての期待感あるいはエンゲージメントという観点からは、示唆のあるデータだったかなと思いましたので、この場で御紹介させていただきました。
 私からは、この2点になります。活用のほう、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 続きまして、岡本委員、お願いいたします。
○岡本委員 ありがとうございます。
 これまで様々な企業のヒアリングをし、多岐にわたる課題を議論してきましたので、報告書をまとめるのは、相当大変だったのではないかと思います。まず、部会長と事務局の皆さんにお礼を申し上げたいと思います。
 その上で、私からは2点発言をさせていただきます。
 1点目は、ジョブ型雇用についてです。報告書では、ジョブ型雇用の導入に向けた方向性が示されていますが、企業規模や業種によってなじまない場合や、また無理な導入による雇用区分の複雑化、多様化の懸念は否定できません。
 報告書でも触れていますが、労使での事前の丁寧な議論は不可欠であり、産業を取り巻く情勢や、労使慣行、また、職場実態を踏まえて個別労使が主体的に検討すべきであると考えています。
 資料の12ページのジョブ型人事の導入に関する配慮事項について、導入を前提とした留意点が記載されていますが、導入に当たって、例えばジョブローテーションによる若手育成が行いにくくなることなどの留意点についても、報告書に記載しておくべきではないかと思います。
 その上で、国は企業の主体性を尊重しつつ、導入を希望する企業に対して、導入に関する留意点の周知や、導入企業の好事例の水平展開に軸足を置き、取り組むべきではないかと考えます。
 2点目は、解雇無効時の金銭救済の仕組みについてです。この部会は、分科会及び部会を横断する中長期的な課題などを議論する場だということを踏まえれば、既に労政審において議論されている解雇無効時の金銭救済制度に係る記載は、不要であるという認識を持っています。このことは、改めて申し上げておきたいと思います。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
 続きまして、春川委員、お願いいたします。
○春川委員 どうもありがとうございます。
 まずは、報告書の取りまとめに当たりまして、部会長をはじめ、事務局の皆様、本当にお疲れさまでした。ありがとうございました。
 私からは、能力開発、キャリア形成について意見を申し上げます。報告書では、企業の責任による、雇用形態等によらないリスキリングなどの推進の方向性等が示されており、こうした点は前向きに受け止めたいと思っております。
 そのうえで、様々な技術革新によって、携わる業務内容や、求められるスキルが、職場、現場では刻々と変化している状況の中、個人の責任ということもありますが、それだけではなく、企業の責任として様々な変化に対応した経営戦略を従業員等にもしっかり示しながら、必要な人材育成・能力開発に取り組むということが大変重要だと思っておりますので、このことは、職場、現場側の声として改めて申し上げておきたいと思います。
 そのためにも、リスキリングに限らず、学ぶ目的を踏まえながら、これまでの能力開発や、リカレントを組み合わせて進めていくということができる環境整備が重要だと考えております。また、特に国においては、企業のニーズを踏まえた財政的支援や、訓練プログラムの充実を図りながら、中小企業などを中心とした人材育成・能力開発の全体的な底上げを図っていただきたいということを意見として付言いたします。
 最後に、先ほど川﨑委員も触れられましたけれども、私自身、こういった報告書に携わることで思いましたのは、今回取りまとめた報告書は、職場現場の労使が、会社、企業の中での在り方を見据えていくための1つの大きな参考にもなろうかと思いますので、この報告書をしっかり発信していただきたいということを、最後に申し上げたいと思います。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 続きまして、佐々木委員、お願いいたします。
○佐々木委員 ありがとうございます。
 本当に皆様がおっしゃったとおり、このように詳細にまとめていただきまして、丁寧にヒアリングをしていただきまして、本当にありがとうございました。
 3つ、今日はコメントをさせていただきます。
 1つ目は、細かいところで、私が送信箱に入ったままで送っていなかったので、これは、お見せして駄目だったら、結構でございますけれども、細かいことでございますが、企業イノベーション、これは、9ページなのかな、イノベーションのところで、女性外国人や様々な障害がある人を通してというようなことが、今、さらっとなっているので、新規及び中途採用や昇格を通して、と入れるのはどうかとか、いろいろな外部の人を含めて多様性のある経営チームとなるようにすることが有益であるというような、こういうところの補足を提案させていただくので、後で部会長と事務局のほうで、この点は見ていただいて、無視していただいても結構でございますので、少し、すみません、遅れてしまいましたが、出させていただきたいと思います。それが1点です。
 2点目は、小見出しなどもつけていただいたので、皆様がおっしゃったように、デジタル化とか、様々な時代の変化の中で、この報告書がいかにたくさんの人に読んでいただけて、使っていただけるかということが本当に重要だと思います。ここまで大仕事ですと、これで報告書ができると、ふっと一息してしまいそうなのですが、ここからが大仕事というか、ここからどうやって広報をして、たくさんの人に読んでいただき、企業に使っていただくのか。せっかく小見出しをつくり、これから副題も検討しますので、ぜひ活用していただけるような報告書に、それもスピーディに時代が変化する中で、ここに全力を尽くして、私たち委員全員もそうですけれども、事務局の方にも、ここからが本当に活用していただくときだということで、もう一回みんなで動ければというのが2つ目でございます。
 3つ目は、次のステージのことかなと思うのですけれども、チャットGPTも出ます、ITはどんどん変わっていきます、そして、先ほどのエンゲージメントの話もあります、いろいろな話題があるのですけれども、私は、この前、WBCを見ていて、やはり一番重要なのはチーム力だなと思った次第なのです。
 一人一人のプロの能力というのは、それぞれ個人の差というのが、力のいろいろな差があるわけで、ここをサポートするということは、政府も今までいろいろやってきたし、企業もやってきたのですが、もしかすると日本の社会の中で、意外と、特に若者の、少子化もそうですけれども、結婚するのは面倒くさいとか、子供を育てるのは自分の時間が取られるのが嫌だとか、そういうのも全部考えて総合的に考えると、悪い意味での個人主義になりつつあるのではないかなという心配をしていて、私が専門するダイバーシティも、ダイバーシティというのは、知恵を合わせてよりよい結果を出すものなのだと、いつも言い続けるのですが、今後の労働政策の中で、一人一人をどう守るかとか、育てるか、リスキリングするかということに加えて、もしかすると、お互いの力を合わせて、より力を発揮するためのチームビルディングだったり、そういうところも、今後の課題なのかなと、今日のレポートを読みながら、また、今の変化を見ながら考えた次第です。これは、次に向けてのコメントでございます。
 以上です。ありがとうございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか、山田委員、お願いいたします。
○山田委員 ありがとうございます。
 皆さん方がおっしゃっているように、本当に、座長、事務局におかれましては、いろいろな議論をまとめていただきまして、本当にいろいろなものが入っていて、内容的には全くこのとおりだと思います。
 これまでの諸先生方のコメントも踏まえながら、私も感化されて少し申し上げたいのですけれども、入山先生、武田先生からお話があって、本当に技術進歩が早くて、それに対してどう対応していくのかということがあると思います。
 実は、それだけではなくて、例えば、脱炭素の問題とか、あるいは地政学的な変化というのも物すごく大きな変化が起こっていて、多分本当に様々な環境変化が、劇的なスピードで予想もできない形で進んできていると。
 それに対して、我々日本全体として、どう対応していくのか問われているという、多分そういう大きな絵図があるのだと思います。
 そこで、これも先ほど佐々木委員が御指摘されたとおりだと思うのですけれども、あるいは、古賀さんなどもおっしゃっているとおりだと思うのですが、多分、日本の強みというのは、結果的に、集団的ということの裏返しかもしれませんけれども、チームワークとか、密に連携をやっていけるという、そこを生かしながら大きな変化に対して、ともに変化していこうという、そういうトーンというのを、例えば最後のところに少しそういうのをにじませるようなことをしていただければいいのではないかなと。
 私は、今回の勉強会でも少し発表させていただく機会があり、北欧の話をさせていただいたこともあったのですけれども、もちろん北欧と日本とかなり違うのですけれども、世界的に見て、いろいろな形でやはり北欧が今の変化に対応できているというのは、まさにそういう変化に対して国全体が、これは産業界も個人個人も、あるいは労働組合も、国も、あるいは教育機関も、全てがその変化を前向きに捉えていって対応しているということがある。
 それと、やはり重要なのは、非常にコーディネーションがいいということなのですね。ですから、公労使あるいは産官学の連携を、コラボレーションを強めて、これを対応していくという、対応し続けるということですかね、そういうニュアンスが、もし可能であれば含めていただくといいのかなということでございます。
 それと、本当に非常に細かい話になってしまうのですけれども、表現ぶりで大変申し訳ないのですけれども、1ページの最後のところに、労働生産性の話が出てきていまして、若干揚げ足取りになるのですけれども、主要先進国よりも長期的には低下しておりとあるのですが、低下は多分してなくて、過去に比べて相対的に、長期的に伸び悩んでいるということではないか。数字を見ても、若干は上がっていますので、下がってしまうと本当に絶望的なのですけれども、少しでも上がっているということで、伸び悩んでいるという表現にしていただいたほうが、より正確かなと。
 あと、細かいこともあるのですが、これは個別の話ですので、後ほど、事務局に申し上げたいと思います。
 以上です。どうもありがとうございました。
○守島部会長 ありがとうございました。
 他にどなたか、どうぞ。
○山川委員 山川です。
 最後なので、特にないといえば、ないのですけれども、一応話したほうがいいかなということで、活用のほうは本当に、どうやって活用するのかなと思ってしまっているところがあるのですけれども、ぜひ活用はしていただきたいし、どのように活用されるのかみたいな、フォローアップみたいなものをいただけるといいし、あと、私たちに協力できることがあれば、ぜひ言っていただきたいかなと思います。
 あと、この報告書自体は、全くこれ以上何かコメントがあるということではないのですけれども、やはり日本の労働市場にいろいろと課題があるから、いろいろとここに挙げていただいて、全く異存はないのですけれども、あとはほかに、少し欠けている視点としては、今後の話でいうと、例えばグローバル人材の育成だったりとか、逆に外国人の活用で、ダイバーシティの観点というよりは、それこそ外国の企業も、やはり日本にも誘致したいと思うのですけれども、そういった場合の阻害要因とか、日本だけではなくてグローバルでの位置づけみたいなことも、今後、当然考えていかなくてはいけないかなとは思いました。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 もう少し時間がありますので、セカンドラウンドで、中野先生、お願いいたします。
○中野委員 ありがとうございます。
 私も報告書の案には、これまでに述べてきた私の意見も盛り込んでいただいておりまして、特段付け加えることはありません。
 あえて述べさせていただくとしますと、働き方に中立的な社会保障制度の構築といったことについても触れていただいているのですが、これについては、これまでも多々議論されてきているところでありますし、女性や高齢者の就労の促進につきましては、既存の制度の改革や改善という形で対応していくことが可能な点も多いだろうと思います。
 ただ、本日、既にほかの委員からも意見として出ておりますけれども、フリーランスなどの雇用によらない働き方をする人たちへのセーフティネットについては、被用者保険を軸として発展してきた、これまでの社会保障制度の考え方を大きく変えることも視野に入れる必要がある問題だろうと思われます。
 そのような雇用類似の働き方をする人たちを、どこまで、どのように保護していくのかと、保護すべきなのかと、被用者と同じように保護すべきなのかという点も含めて、広い視野に立った議論を継続していく必要があるのだろうと考えます。
 私からは以上です。ありがとうございました。
○守島部会長 ありがとうございます。
 第2ラウンドで御発言をいただいても大丈夫で、時間が少し余っておりますけれども。
 入山さん、ごめんなさいね、さっき何か首をかしげてしまって、何か変な印象があったかも。
○入山委員 いえいえ、結構です。
○守島部会長 まさに武田委員がおっしゃったように、これからの技術革新も、チャットGPTがすごくマネージャーの仕事であるとか、ホワイトカラーの仕事に影響を与えるというところは、多分あると思うのですよ。だけれども、それに対応するためには、多分ここに書かれているような内容をもっともっと掘っていかないと、結果的には、日本が遅れてしまう、外国のほうが進んでしまうという状況がまた出てくるのではないかという気がしているので、どなたかもおっしゃっていましたが、この報告書は、プリチャットGPTだったという理解には、何となくさせたくないなという思いが、ちょっと瞬間的に頭の中に駆け巡ったもので、すみません、何か変な印象を与えてしまって、大変申し訳ない。
○入山委員 いえいえ、それは、先生のおっしゃるとおりだと思います。この報告書の価値をおとしめる気は一切ないし、すばらしい報告書だと思いますので。
○守島部会長 ありがとうございます。
 武田委員、お願いいたします。
○武田委員 他の委員からも出ておりましたが、こういう報告書ができますと、みんなでよかったと、終わることが多いのですが、やはりそれをどう実際の政策に反映し、社会実装させていくかということが大切と思いますので、今後の取り組みのスケジュールなど、もし御教示いただけるのであれば、他の委員も関心がおありと思いますので、御質問をさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○守島部会長 ありがとうございます。
 では、どうぞ。
○蒔苗政策統括官付参事官 事務局の蒔苗でございます。
 最後のほうでお話ししようと思っていましたけれども、今、御質問がございましたので、先に申し上げますと、今日この後、皆さんの意見が出尽くしまして、座長に一任いただけましたら、この報告書自体は、今日、座長一任と取りまとめまして、若干修正する点もあると思っておりますので、そこの修正をさせていただいて、5月に労働政策審議会の本審に御報告という形を取ろうと思っております。
 ただ、それだけではなくて、今日も何人かの方からお話がありましたように、この報告書の活用とか、PRの話がございましたので、これは、今日、内容が固まりましたら来週にでも、前回の宿題になっておりました、エグゼクティブサマリー、概要をつくりまして、これは皆さんにメールで共有させてもらいながらやりたいと思います。
 その上で、発表のタイミングは、今、ほかの会議等と調整しますけれども、4月中には私のほうから、その概要を使いまして記者にレクをしますし、5月の本審の報告が終わりましたら、今日のメンバーの方々の御協力をいただければ、例えば、私が講演でもいいですし、皆さんがSNS等を使って展開してもらうということは可能かと思っておりますので、そこはよろしくお願いいたします。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに御意見、御質問等ありますでしょうか。
 大丈夫ですかね。それでは、一応、皆さん方の御意見を伺いましたので、この案につきましては、本日の御議論を踏まえて、事務局で修正いただき、その修正内容につきましては、私、座長に御一任いただくという形でよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして事務局より、報告書の副題について、これも案ですけれども、御説明をいただきたいと思います。
○古屋政策統括官付労働経済調査官 事務局の古屋でございます。御議論ありがとうございます。
 報告書のサブテーマの案について、資料3のほうにお示しさせていただいております。
 事務局のほうから4つの案を提示させていただきます。
 今まで、委員の皆様にも事前に御意見等も聞きまして、4つに絞り込ませていただきました。
 1つは「不安定な時代を働く抜く力を、すべての人に」というもの。
 2つ目は「変化し続ける社会・経済で多様な人材が花開くために」というもの。
 3つ目は「変化をおそれず働き続けられる社会に向けて」というもの。
 4つ目は「変化をおそれず働き抜く力を、すべての人に」というものでございます。
 こちらに4つ案を出しておりますが、ほかの案も含めまして、御意見を賜れればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○守島部会長 ありがとうございます。
 大学の教授会でこういうことをやると、やたらと意見が出るのですけれども、今回の皆さんも論客が多いので、ぜひ、御意見を伺いたいと思います。どうぞ、どなたからでも。
 山田さん、お願いします。
○山田委員 今日の議論も踏まえて、本当にこれは個人の趣味なのですけれども、私の案は「働く人すべてが、ともに変化を楽しめる社会へ」というのはどうかなと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか。
 山川委員、お願いいたします。
○山川委員 働き抜く力というのが、結構主体的な感じがするので、私はすごくいいと思うのですけれども、あとは、多分、山田委員のところと若干かぶるのですが、あまりネガティブな印象は、他方であれなので、不安定とか、変化を恐れるとかは、あまり使いたくなく、ポジティブで働き抜く力をみたいなものを組み合わせたバージョンがあるといいかなと思いました。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか、岡本委員が手を挙げていらっしゃいますね、どうぞ。
○岡本委員 別に代替案があるわけではないのですけれども、最初、山田先生ですか、おっしゃった案は、それが割とフィットしたなと、個人的には思いました。
 私は、実は働き抜く力というのが、逆に引っかかりまして、例えば、長い人生の中で、少しフェードアウトするとか、そういうところがあってもいいのではないかと、常日頃、実は思っているものですから、そういう意味では、働き抜く力というのは、物すごく強いメッセージになり過ぎるなという感じが、私は個人的にいたしました。
 それから、先ほどのお話にあった、ネガティブにならないということも、大変大事なことではないかなと思いました。
 この「働く人すべてが、ともに変化を楽しめる社会へ」、私は、今出ている中では、これがいいかなと思いました。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 では、佐々木委員、お願いいたします。
○佐々木委員 ありがとうございます。
 私もまだ最終のものはないのですけれども「不安定な時代」という単語と「変化をおそれず」というのは避けたほうがいいだろうということを、先に発言したくて言いました。
 やはり人間というのは、聞いたり見たりした文字を一番脳が記憶するので、記憶してほしい単語というか、表現を入れて、こうではないという打ち消しではない文章がいいかなと思いました。
 最後の「楽しめる社会へ」、私もこういう表現は好きですが、今回のレポート全体を厚生労働省として「楽しめる社会へ」というと、楽しめていないよという声が聞こえてくるような、つまり救わなければならないというか、苦しんでいる方のことも少し配慮すると、働く人全てがともに変化を何々する社会へというのはいいかなと思うのですけれども、私個人的には「楽しめる」は大好きな言葉ですが、この報告書として「楽しめる」と、政府から言ってしまうのが、今の時期、どうなのかなというのは少し気になりました。
 まだ、答えが出ない途中で意見を申し上げて、すみません。
○守島部会長 ありがとうございます。
 では、川﨑委員、お願いいたします。
○川﨑委員 ありがとうございます。
 私も皆さんとかぶる意見もあったりするかもしれませんけれども、働き抜く力は、やはり言葉が少し強いかなと。働くというのは、個人個人の長い人生の中で位置づけると、非常に働くことにパワーを入れているときと、やはり少しフェードアウトしている時期と、いろいろな時期もありながらも働くということかと思うので、ここは、もう少しいろいろな働き方を包含していくという意味においても、働き抜くよりは働くということのほうが、優しい言葉かなと思います。
 もう一つは、やはり否定形がある言葉ではないほうがいいなと、あるいはネガティブなイメージを想起させる言葉ではないといいなと思うので、「変化をおそれず」という言葉よりは、変化する社会とか、そういう中での働き方をポジティブに支えるとか、ポジティブなメッセージが、この報告書から出てくるという副題がいいのかなと思うところです。
 この案でいきましょうというところではないですけれども、それぞれのワードに関してのコメントをさせていただきました。ありがとうございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか、入山さん、どうぞ。
○入山委員 すみません、私もただの感想なのですけれども、私も実は、第一印象は、山田さんのものがいいなと思ったのです。ただ、佐々木さんがおっしゃるのもそのとおりだなと思って、これは、ほかのところでもある話なのですけれども、我々の意思の問題というか、多分、楽しめると書くと、絶対炎上すると思うのですけれども、炎上上等みたいなふうにして、こういう社会をつくりたいのだと言うか、言わないかの差かなというのは、何となく思いました。
 あと、僕も皆さんがおっしゃるとおり、不安定とか、働き抜くみたいな、ちょっとネガティブな世界観よりは、前向きなプロアクティブな世界観のある言葉のほうがいいかなと思いました。
 そういう意味では、一番山田さんの案が、やや強過ぎるということなら、上から2番目の「人材が花開く」とか、そういうポジティブな表現でもいいのかなと思いました。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに、どなたか、大丈夫ですかね。
○佐々木委員 今、チャットに入れました。
○守島部会長 チャットに入れられたのですね。ごめんなさい。
○佐々木委員 「変化する時代の多様な働き方に向けて」、つまらないですかね、いきなり。
○守島部会長 「変化をおそれず」よりも、もっとポジティブな表現にはなっているようには、ニュートラルというか、そうなっているような気は、個人的にはしますけれども。
 何か代案大会になってきましたけれども、ほかの方も、もしあれば、どうぞ。
 大丈夫ですかね、ありがとうございました。
 それでは、報告書の文章のほうの案と併せまして、副題についても事務局と私に御一任いただければと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、この辺りで本日の議論は終了とさせていただきたいと思います。
 委員の皆様におかれましては、昨年2月から9回にわたり「加速する経済・社会の変化の中での労働政策の課題」をテーマにして活発な御議論をいただきました。どうもありがとうございました。
 今後についてなのですけれども、これについては、先ほども御説明があったのですけれども、労働政策審議会運営規程第8条、第9条によって、複数の分科会の所掌事務に属する事項について審議する当部会の報告書に関しましては、本審の議決を経て労働政策審議会としての議決となります。本報告書については、次回の労働政策審議会の本審、5月のゴールデンウィーク明けにありますけれども、そこで、私が報告をさせていただく予定でございます。
 なお、今回の報告書につきましては、委員の皆様から広く国民に対して、共有して周知すべきとの御意見がございましたので、部会の取りまとめとして、本審に先立ち公表を予定しております。
 公表についての詳細は、また事務局にお願いしたいと思います。
○蒔苗政策統括官付参事官 今日は、どうもありがとうございました。
 先ほどもお話しいたしましたけれども、ぜひ、この報告書を活用して、広く周知してほしいという御意見がございましたので、今日の議論をまとめまして、また副題も、副題のほうがやや難しい感じではありますけれども、座長と相談しながら決めまして、4月中に記者レクをきちんとやっていきたいと思います。
 記者に御説明する際には、皆さんにも資料をお送りして、本審後には、御協力いただきながら、報告書の内容の周知を考えていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○守島部会長 ありがとうございました。
 本日が、今年度最後の部会となりますので、小林厚生労働審議官から御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○小林厚生労働審議官 本当にありがとうございました。
 守島部会長をはじめ、皆様方には、昨年2月から9回にわたりまして、労働政策の課題について活発な御議論をいただきました。
 まだ細かな調整が残っておりますが、おまとめいただきましたことに、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
 今回の報告書、急激な社会経済の変化の中で、さらにコロナ禍を経て、大きく働き方が変わっている、そういったものを踏まえながら、今後の労働市場を見据えて提言をいただけたものと思っております。
 また、本日は大変貴重な御意見もいただきました。報告書の提言に示されました方向性というのをしっかりと受け止めまして、これからの労働政策審議会の関係分科会、部会等におきまして検討を深め、必要な施策を進めてまいりたいと思っております。
 また、広くこの報告の周知、発信に努め、また活用をしてほしいというお話がございました。そういうことにも最大限努めてまいりたいと思っております。
 皆様方にはお忙しい中、多大な御協力をいただきましたことに、改めて御礼を申し上げますとともに、これからもぜひ御指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
○守島部会長 ありがとうございました。
 それでは、以上で本日の「労働政策基本部会」は、終わりにさせていただきたいと思います。
 御多忙の中、昨年2月から長きにわたり御出席いただき、誠にありがとうございました。