第74回厚生科学審議会感染症部会 議事録

健康局 結核感染症課

日時

  • 令和5年4月12日(水)10:00~12:00

場所

航空会館ビジネスフォーラム(7階)

議題

  1. (1)新型コロナウイルス感染症に関する届出基準及び発生動向の把握方法について
  2. (2)予防計画の見直し等について
  3. (3)報告事項
    • 「匿名感染症関連情報の提供に関する有識者会議」の設置
    • その他

議事

議事内容
○杉原エイズ対策推進室長 定刻となりましたので、ただいまから、第74回「厚生科学審議会感染症部会」を開催いたします。
 構成員の皆様におかれましては、御多忙にもかかわらず御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日、議事進行を務めさせていただきます結核感染症課の杉原と申します。よろしくお願いいたします。
 本日の議事は公開となります。また、前回と同様、議事の様子をYouTubeで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。なお、事務局で用意しておりますYouTube用の撮影以外カメラ撮りにつきましては議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
 また、傍聴の方々は「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
 なお、会議の冒頭の頭撮りを除きまして、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので御留意ください。
 本日はウェブ会議で開催することとしております。
 まず、ウェブ会議での開催に当たりまして、会議の進め方について御連絡させていただきます。
 まず、発言される場合は挙手機能を用いて挙手いただくか、チャットに発言される旨のコメントを記載いただきまして、座長から御指名されてから発言をお願いいたします。なお、ウェブ会議ですので若干のタイムラグが生じますが御了承願います。会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、あらかじめお知らせしております番号までお電話をいただきますようよろしくお願いいたします。
 続きまして、委員の出欠席の状況につきまして御報告いたします。
 御出席の委員におかれましては、通信の確認も踏まえまして、委員のお名前をこちらで申し上げますので、一言お返事をいただければと思います。五十音順に失礼いたします。
 味澤委員、今村委員、大曲委員、釜萢委員、越田委員、白井委員、調委員、谷口委員、戸部委員、中野委員、成田委員、藤田委員、森田委員、山田委員、四柳委員、脇田委員。
 賀来委員と菅原委員からは御欠席の連絡を受けております。
 なお、オブザーバーとしまして全国知事会より玉川様の御参加をいただいております。
 現在、感染症部会委員18名のうち16名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令に基づきまして本日の会議は成立したことを御報告いたします。
 カメラ撮りにつきましては、申し訳ございませんがここまでとさせていただきますので御協力をお願いいたします。以降、写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので御留意ください。
 それでは、議事に入る前に資料の確認をさせていただきます。
 まず、議事次第及び委員名簿、座席図、資料1から3、参考資料1から4となります。もし不備がございましたら事務局までお申し出ください。
 それでは、ここからの進行は脇田座長にお願いいたします。
○脇田部会長 承知しました。皆様、おはようございます。また、今日も感染症部会をよろしくお願いします。では、議事に入ってまいりたいと思います。
 議事については、事前に皆様に資料が送られて説明もしていただいていると思いますけれども、必要なポイントについて再度、議題1から事務局から説明をお願いいたします。
○杉原エイズ対策推進室長 ありがとうございます。事務局よりご説明いたします。
 資料1「新型コロナウイルス感染症に関する届出基準及び発生動向の把握について」を御覧ください。こちらは今後5月8日以降の感染症法上の取扱いについて前々回の2月9日の会議で御議論いただきました、サーベイランスの取扱いについての御報告と今後の検討の方向性につきましての御相談となります。
 まず、届出基準、こちらは外来での定点サーベイランスの件につきまして、3ページ目を御覧ください。こちらが外来定点と基幹定点、5月8日の時点ではすぐには開始いたしませんが、今後、準備が整った段階で基幹定点による入院サーベイランスも行っていきますので、それらの届出基準の案になります。原則的には季節性インフルエンザの症例の届出基準と類似しておりますけれども、臨床的特徴や定義等につきましては、これまでの新型コロナウイルス感染症のものを踏襲しております。
 届出基準に関しまして、外来定点については、患者と死体の検案時としております。患者の確定例には、無症状病原体保有者は含まれません。届出の指定医療機関の管理者は臨床的特徴を有する者について、検査によって診断をした場合、または検査によって確定した者と同居していて医師が総合的に判断した場合にCOVID-19と臨床的に診断する場合は、感染症法の14条2項の届出によって週単位で翌週の月曜日に届出を行うというものでございます。
 また、死亡者につきましては、医師が検案を行い、コロナによる死亡者と判断された場合におきましては、同様に届出を行っていただくというものでございます。
 基幹定点は、5月8日には開始いたしませんが、準備が整い次第開始するということになっておりますが、こちらに関しましては入院患者を対象といたしておりまして、基幹定点の指定届出医療機関で診断された場合には、インフルエンザと同様に入院者数に関して翌週の月曜日に届け出ていただく形でございます。
 報告様式ですが、4ページ目を御覧ください。こちらの上段は、現在のインフルエンザの定点の現在の届出様式になっております。0~5か月、6~11か月、1歳から1歳刻みで9歳までと10~14歳という形で、こちらが小児科定点から主に報告される件数になっておりまして、それ以降は15~19歳、20~29歳という形で80歳以上まで、こちらが成人、いわゆる内科定点から報告される様式になります。
 改訂イメージですけれども、インフルエンザの下段に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)というものを入れまして、全く同じ届出の様式で報告をいただく。現状、インフルエンザとCOVID-19を同じ定点で報告いただくということで調整を行っておりまして、そのような形で報告をさせていただければと考えているところでございます。
 また、こちらの基幹定点による報告様式の案でございますが、5月8日から開始ということではございませんが、今後、準備が整い次第開始していく前提で、案としてご提示させていただくものでございます。
届出様式についてですが、基幹定点でのいわゆる入院サーベイランスでは、これまでインフルエンザでもこういった個別のID番号等に基づきまして、このID番号というのは医療機関での個別のID番号になりますが、個票としてそれぞれ何例という形で、このような届出票で報告をいただいたというものでございます。こちらにつきましてはICUの入室と人工呼吸器の利用、いわゆる新型コロナの重症の定義を満たす場合についてはチェックを行うということで、そちらの項目も同時に収集する形を検討しております。こちらに関しましてはインフルエンザと同様なのですけれども、インフルエンザではこのほかに、例えば頭部MRIであったり脳波、これは小児の急性脳症の把握の観点で採用されたものですけれども、その項目に関しては、COVID-19では特段大きな課題となってございませんので、主にICUの入室と人工呼吸器の利用という観点に限って情報を収集してはどうかと考えております。
 次に6ページ目以降でございます。こちらは死亡者数と検査と集団感染等の発生動向の把握方法についてでございます。こちらは前回の感染症部会、そして、前々回の2月9日の感染症部会で、死亡については報告をどのような形で収集していくかということについて検討するようにというお話をいただいており、それに関しまして引き続き感染症部会で御報告させていただくと回答いたしておりまして、こちらがその検討結果と今後の検討方針です。
 まず1点目、9ページを御覧ください。こちらは死亡者数の把握についてになります。現状ですが、自治体に対してはCOVID-19に感染した者が療養の期間中に死亡した場合には、その死亡原因を問わず自治体に報告いただいて公表することを求めてきておりました。同時に、人口動態統計でも調査票等で超過死亡の発生動向を研究班において把握してきた状況でございます。
 一方で、課題としましては、感染力の高いオミクロンが主体になってきたということで患者数の増加等がございまして、死亡者数の把握が困難になってきている状況がございます。また、感染症法の位置づけの変更後、自治体による健康観察等が実施されなくなりますので、患者の転帰の確認をするのが非常に困難になってくるという状況がございます。諸外国においてもそういった経緯がございまして、死亡診断書に基づいて死亡者数を把握するという形に切り替わっていくところが主流になってきておりまして、我が国においてもその取組を進める必要があると考えております。
 方針案でございますが、今後、5月8日にCOVID-19が5類に位置づけられた場合には、都道府県におけるCOVID-19の死亡者数の公表と報告を原則として終了いたしまして、人口動態統計での死亡者数の推移を把握することを基本としてはどうかと考えております。
 具体的には、現状、感染症法15条2項に基づいて、死亡診断書の死亡情報を収集する取組を4月から開始させていただいておりますが、こちらでも我々が把握するまでに2か月程度の期間を要する見込みでして、こういった取組もございますが、より早く死亡の動態を把握することが必要ですので、そういった目的で、協力の得られる自治体から全死亡者の数、死因を問わない死亡者数を早めに収集いたしまして、そのデータを基に超過死亡の迅速把握、これはおおむね死亡が発生して1か月程度が目処になりますけれども、行うこととしてはどうかと考えております。
 こちらにつきましては自治体の皆様にも御相談させていただきまして、御協力いただける自治体の方々との調整を行っているところでございます。こちらの調整状況が進みましたら、また御報告させていただければと考えております。
 10ページは検査数の把握についてでございます。現状、検査数につきましては、検査の実施状況であったり検査能力については、医療機関は民間検査会社からPCRや抗原検査の実施件数を報告いただいておりまして、厚生労働省で集計、公表を行っております。また、上記により把握した検査件数を分母、新規陽性者数を分子として、新規陽性者数と検査数の比をアドバイザリーボードにおいて公表しているところでございます。また、抗原定性キットにつきましては流通状況のモニタリングを行っておりまして、メーカーに対して生産量、販売量、在庫量等の報告を求めているところでございます。
 現状の課題としましては、医療機関や民間検査会社の報告について、調査負担が非常に重いことがあります。また一方で、PCRに加えて抗原検査キットがOTC化も含めて広く普及しておりますので、抗原定性キットが検査の多くを占めるようになってきたということで、医療機関等からの検査数を把握する必要性が下がってきているという状況がございます。また、新規の陽性者数、検査数の比については、PCR検査が検査の主体であった当初は、PCR検査の充足度を見る指標として活用されてきた経緯がございますが、このように検査が多様化してきて、特にOTC化されてきたという状況におきましては、データ解釈が非常に難しくなっているという現状がございます。
 このような経緯を踏まえまして、検査の状況については抗原定性キットが検査の主体になってきているということで、流通状況のモニタリングを引き続き行ってきてはどうかと考えております。また、G-MISにおいて、医療機関における検体採取数の報告を現状は求めておりまして、こちらは引き続き求めるとともに、公表することとしてはどうかと考えております。中長期的には医療機関や民間検査会社の調査負担の少ない方法で、分母と分子の整合性が取れた新規陽性者数、検査数比等の報告方法につきましては、引き続き検討するという方向性にしてはどうかということを考えております。
 次に11ページ、集団感染の発生の検討状況について御報告させていただきます。こちらが施設・機関等の集団発生の把握の話になりますが、現状、各自治体の公表資料でCOVID-19の集団感染の発生状況については、当初は自治体の公表資料、積極的疫学調査の結果を自治体から収集することにより把握しておりましたが、そういったものも感染者数の増加によって把握ができなくなってきたということで、これまで報道等を基に集団感染の発生状況を把握してきたという現状がございます。今般、COVID-19については集団発生の報告状況を求めるという取組は行ってきておりません。患者数増加に伴いまして、また、積極的疫学調査の重点化で、さらにそういった集団感染の発生状況の把握が困難になってきているということがございまして、別途、もし今後求めるということになった場合には、目的や報告基準、報告内容の詳細を示すことが必要になるところが課題としてございます。
 COVID-19の今後ですけれども、もし5類に位置づけられた場合には定点による報告に移行するということで、従来の方法による集団感染の発生状況の把握は終了するとともに次の感染症の備えとして、どのような形でクラスターサーベイランス、これは新型インフルエンザの発生のときにも検討がございましたが、引き続き本部会で検討することとしてはどうかと考えております。
 一方で、保健所の支援の起点としての集団発生の把握につきましては、これまでほかの感染症でも医療機関と社会福祉施設等から報告基準を定めておりまして、例えば医療機関であれば多数発生したり死亡事例が確認された場合、重大な院内感染事例が発生した場合には保健所に連絡する。社会福祉施設の場合は10名以上、または全利用者の半数以上に感染が疑われた場合ですとか、あと、死亡者、または重篤な患者が1週間以内に2人以上発生した場合、施設長が報告を必要と認めた場合は保健所へ報告することということで、こちらの資料の下に記載がございますが、平成17年の通知で、こうした報告に関しての基準を定めているところでございます。こちらに関して、COVID-19につきましても同様に位置づけて、保健所の判断によって積極的疫学調査等の介入ができる体制を整える方針としてはどうかと考えております。
 最後、今回のお話のまとめが12ページになりますけれども、このような方向性を考えておりますので、こちらにつきまして御議論いただきますと幸いです。
○脇田部会長 御説明、どうもありがとうございました。
 今、新型コロナウイルス感染症の届出基準、発生動向の把握方法ということで、前半は定義であったり、臨床的特徴、届出基準というところ、後半は死亡と検査と集団感染の発生動向の把握ということで御説明をいただきました。
 それでは、皆様から御意見をいただきますけれども、各委員から順番に御意見をいただくという形にしたいと思いますので、また例によってあいうえお順で御指名させていただきますのでよろしくお願いいたします。
 まず、味澤委員から御発言をお願いいたします。
○味澤委員 届出基準とか報告様式については、おおむね説明されたとおりでよいと思います。
 それから、死亡数の把握もインフルエンザと同様でよいのですけれども、超過死亡のほうが将来的にはコロナとインフルエンザと同時に出るような場合もありますので、そういったときの超過死亡をどう判定していくかということを考えていただければと思います。
 それから、検査数の把握というのは、個人的には必要ないのではないかなと思います。当面、おっしゃったとおりのやり方で把握していくのはありかと思いますけれども、中長期的には検査の数は必要ないのではないかなと考えています。
 それから、集団感染についてですけれども、これはほかのいろいろな感染症に関して保健所に届けて介入してもらうというようなのが割とどこの病院でも慣れていますので、そのやり方でよいのではないかと思います。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に今村委員、お願いします。
○今村委員 今村です。こちらからは今後の課題として気になった点について、幾つか意見を述べたいと思います。
 まず9ページ目、死亡者数の把握についてのところです。記載されている大きな方向性については異論ありません。
 ただ、そこの中の死亡診断書についてなのですけれども、そもそも死亡診断書が現時点でも医師によって判断が大きく異なっていて、COVID-19との関連づけというところで何か注意が必要かなと考えております。デルタ株のときはウイルスによる直接の肺炎が原因で比較的短期間で亡くなる人が多かったので、問題はそこまで大きくなかったのですが、オミクロン株になって死亡原因、あるいは死亡までの期間が変化していますので、担当した医師によるCOVID-19の記載に差ができているというのが現状かと思います。今後、5類で広く診療するようになってくると、恐らく医師の判断基準の差はさらに広がることが予想されるかと思います。明確な基準は難しいと思うのですが、例えば典型的なパターンがあれば例示するなどの工夫があってもいいのではないかなと思っています。これが1点目になります。
 2点目は、次の10ページ目になります。まず、流通量で検査数という話が出ていますけれども、流通している部分というのは買い置きとか団体で買ったりとか、あるいは使い方もかなり違うので、流通している量と検査数というのが、そもそもどれぐらい乖離しているものかという評価が全くない中なので、その辺の確認は必要かなと思います。ではないと、何を調べているのか分からなくなってしまう可能性があるかなと考えています。
 あと、真ん中の課題・経緯のところの2つ目のポツのところです。定点把握によってトレンドが把握できるということは谷口先生の報告でしっかり分かっていることで、そちらのほうは期待できるわけです。後からまた谷口先生の御意見を聞きたいところですけれども、ボリュームのほうに関しては検査行動などにも影響を受けるので、例えば外来の検査数のうちの陽性者数の把握を一部やるとか、そういうことを把握しないと、トレンドだけになってしまうのではないかなと思うのです。その辺を今後どう考えていくのかということの御意見を伺えたらと思っております。
 最後に、1個戻って5ページ目、重症を上げてくるところの入院時の対応のICU入室と人工呼吸器の利用というところがありますが、今、5類に移行していくときにはやむを得ないところかなと思うのですけれども、ほかのページにも次の感染症危機に備えた中長期的課題としても重要という言葉が書いてあるので、そういう視点から見ると、そもそも何を目的として、あるいは何に生かすために調べるのかということを考えた上で、集計項目を決めないといけないかなと思います。オミクロン株になって、高齢者は人工呼吸器をつけずに、ICUに入っていない状況で、多くが亡くなっています。そうすると、今までにも示されているように、軽症の人がそのまま死亡しているかのようにカウントされてくるのです。
 例えば東京都の例では、オミクロン株の特徴に合わせた重症基準を改めてつくり直して、少しでも合う数字を把握できるように工夫をされていたりします。今後のことを考えると、高齢者が多く亡くなってしまうパターンになり得るので、そういうときにどのようにカウントしていくのか、これは中長期的に少し課題として考えていただけたらと思います。
 こちらからは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、大曲先生、お願いします。
○大曲委員 御提示いただいた指標の案に関しては異論ございません。賛成であります。
 一つコメントになりますけれども、これをどう使っていくかということに関しては、これらの指標があると、要はそれを見て感染の状況と医療の状況をどう把握していくのかということが非常に重要になってきますが、その方法をどうするのかというところ、あとはそうやって得られた情報に基づいたコミュニケーションの在り方に関しては、また引き続き議論が必要なのかなと思います。実際、5月8日以降、感染の状況をどう把握していくのかということに関しては、医療従事者にしても一般の方にしてもメディアの方にしても大変質問が多いところで関心も高いところだと思いますので、その辺りの議論も必要になってくると思いました。
 私からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 続きまして、釜萢委員、お願いします。
○釜萢委員 先ほど今村先生が御指摘になった点と重なりますけれども、死亡診断書を医師が書く場合に、COVID-19と死亡とどういう関連で亡くなられたかについて、医師がなるべく同じ基準できちんと書けるような指針をこの機会にお示しいただくことを、ぜひ検討していただきたいなと思います。
 まず、今回示された内容については賛成を申し上げます。
 検査の動向がどうなのかというのを今の形で調べていくことの意味、あるいは継続性について今後検討していく必要がある。いつまでもやる必要があるかどうかということは、検査数については考えておく必要があると思います。それよりも、むしろ直近ではかなりPCR等の遺伝子検査の可能数が増えて、対応が大分できているのですけれども、この状態を維持するためにどういう手当が必要なのかということについては、この際しっかり考えておく必要があって、また別の感染が立ち上がったり、別のウイルス数が出たときに、当初は国立感染研を中心に検査ができるような資材の提供ということは必要なのですけれども、まずは一遍にたくさん調べられるような機材をきちんとある程度確保して、維持管理していくということのために、どういう手当が国として必要なのかというのは、この際ぜひ整理をしておく必要があると思いました。
 私からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 続きまして、越田委員、お願いします。
○越田委員 検討内容に沿って述べさせていただきたいと思います。
 1点目の死亡数の把握に関しましては、御提案の協力可能な自治体からのデータ収集によってパイロット的に迅速把握を行うことに対して異議はございません。NDBの活用も一考かもしれませんが、これのみでは特にオミクロン株の場合、他疾患の影響や基礎疾患のバイアスが大きすぎるという気がいたします。保健所設置市においては、基礎自治体単位の人口動態と保健所が把握している感染者数とのリンクが比較的容易ですので、機動的なデータ収集が可能ではないかと思われます。
 2点目の検査数に関しては、検査数の把握がいつまで必要かは分かりませんが、検査キットの流通状況やG-MISの活用など、複数の手法から把握するという御提案に対して、特に異議はございません。
 3点目の集団感染の発生の察知につきましては、平時から保健所単位で所管地域の病院及び有床診療所、入所型社会福祉施設等との連携を図っておくべきと考えます。すなわち医療機関や施設における集団発生の兆候を早い時期に保健所に報告していただく仕組みを個々に構築しておく必要があると思います。特に社会福祉施設においては、保健所職員が早期に現地に介入し、相手側になって感染拡大阻止に協力することによって、施設と保健所の信頼関係が培われるとともに、保健所職員のモチベーションの向上にもつながると思っております。
 実際、本市でも昨年9月に全数把握が見直されて以降は、保健所職員は積極的疫学調査など、感染状況を後追いする業務に費やしていた膨大な時間を現場支援に向けることができました。これによって、これ以降は軽微な相談も含めて社会福祉施設との距離が近くなった、関係が良好になったということを実感しております。地域事情の違いはあると思いますので、集団感染の発生の察知に関しましては保健所、ないしは都道府県単位の仕組みが適当ではないかと思っております。
 一方、マストとしての報告義務につきましては、11ページの報告基準を準用することに特に異存はございません。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続いて、白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。よろしくお願いいたします。
 一つは、基幹定点による報告様式については、今村先生もおっしゃったと思うのですけれども、何をもってこの情報を取るのかということについては、重症度を把握するのだと思いますが、確かにオミクロン株になってからは、人工呼吸器とかICU入室というのは、COVID-19の陽性ということではなくて、ほかの要因でたまたまCOVID-19の陽性になっていた方でICUに入るとか、人工呼吸器を使うという方もいらっしゃると思いますので、備考欄にほかの要因がないかということを、もし可能性があれば書いていただくとか、そうでないと、何の情報を取っているのか分からなくなるのではないかなと思いました。また、それをいつまで続けるかということについては御検討いただきたいと思います。
 次に、死亡の把握については、先ほど越田委員がおっしゃいましたけれども、自治体によって協力が得られるとしても、全般的には自治体の負担をできるだけ少なくしていただいて、人口動態統計から取っていただくということについて賛成したいと思います。ただ、超過死亡をどう取るかとなると、ほかの死因についても、感染症に限らずですが、人口動態統計から把握と思うのですけれども、このような急性疾患は、そのような手法をどのように取り上げられるかということについては課題があるかなと思いました。
 それと、保健所の集団発生の把握の部分につきましては、この資料に書いていただいているところの課題に集団感染の発生の状況の把握が困難になったと書いていただいているのですが、現状では重点化により困難ではなく、感染状況は市中感染ですので、ありふれた疾患としてのオミクロン株のコロナと考えていくと、このような発生動向、集団発生の把握を一々することについては、施設内での発生なのか、病院内での発生なのか、または家族内かということについて、限定するところにはあまり意味がないような現状になっていると思います。
 その意味で、ほかの疾患とも同じように、COVID-19が5類になってからということは、同様の仕組みということで、保健所の判断で介入するということについては当然今でもやっている話ですし、インフルエンザの集団発生、またはノロウイルスの集団発生でも当然やることになっておりますけれども、むしろコロナが5類になってからやらなくてもいいではなくて、改めてこのような対応を認識してよいのかと思いますし、それは施設であるとか病院についても改めて共有していただきたいなと思います。
 例えば10人だったら報告するとかいうようなこともありますけれども、累計が10人になってから報告するということではなくて、兆しをどう捉えるかということもありますし、私のところでは発生日別の人数によっては随時報告をいただいて、ヒストグラムを作ったりして施設と共有して、状況による助言や終息の確認など、その辺の介入をしているので、そういうことは続けていきたいと思っております。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、調委員、お願いします。
○調委員 調です。よろしくお願いします。
 まず、死亡者数の把握ですけれども、現在、ある程度の超過死亡のデータについては、感染研であったり、あるいはWHO、それから、2022年のランセットなどによって、それぞれ様々な数値が出ていて、こういう死亡届をしっかりと把握することによって、超過死亡をきちんと把握していくのは非常に重要だと思っています。
 それから、これはなかなか難しいかもしれないのですけれども、ワクチン接種との関連を死亡のデータとして何か把握できないのかなというのは、イギリスなどでは死亡のデータベースとしてあると把握していますので、もしできれば、そういったことを考えてはどうかと思います。
 それから、集団発生の把握についてです。平成17年から5類感染症について一応報告の基準があるということなのですけれども、先ほど白井先生もおっしゃいましたが、新型コロナウイルス感染症の基本再産数はインフルエンザに比べて数倍高いことを考えると、この10という数字がそのままでいいのかというのは若干気になるところではあります。もう少し早い段階で、もし介入が目的であるとすれば、早い段階で把握する必要があると思いますので、この基準については若干議論が必要ではないかなと思います。
 私のほうからは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、谷口委員、お願いします。
○谷口委員 ありがとうございます。谷口と申します。
 まず、外来の定点サーベイランスですけれども、これは先ほど今村先生からもお話がありましたように、本来サーベイランスというのは分母と分子が必要なのです。全数というのは分母が全人口なわけです。定点になると、その分母が曖昧になる。ゆえに分子だけでは分からなくなる。諸外国ではILI、あるいはARIということで分母を規定して、その陽性率で見ているわけです。これは三重県がずっとやっていまして、先ほどの報告表に1列付け加えるだけですから、そんなに大きな負担にはなっていないと定点の先生からお伺いしています。
 現在、コロナ陽性率は2%、あるいは3%ですから、もうほぼないのです。だから、時々抗原定量で1.8とか2とか、ぎりぎり陽性になるのです。PCRで確認しましたけれども、全て偽陽性でした。ゆえに陽性率というのは地域での感染状況を極めてよく反映します。それは今後、すぐにはできないとしても考えていただく必要があるのではないかな。これは当然のことながら、検査数というのは先ほどの話にもありましたが、キャパシティーを表すものですが、エンデミック化しつつある現状では陽性率が分かればいいので、検査数にこだわる必要はないと思っています。
 2つ目、この定点でいくにしても、今、定点当たりコロナが10でしたと言われて、どのぐらいの流行か分かる人は誰もいないと思うのです。そうすると、これはレトロスペクティブにベースラインを設定しておいて、過去、7波、8波で定点当たり、どのぐらいのときがどのぐらいに当たるかというのを見ておかないと、誰も定点当たり15になりました、さあどうすると言われても分からないと思うのです。これは各都道府県さんのお仕事だと思いますが、そこはやっておかないといけないと思いますし、これは基幹定点においての入院数も同じだろうと思っています。
 その基幹定点ですけれども、先ほどの話にもありましたが、ほとんどは分類すると軽症に分類される方が入院して亡くなるのです。そうすると、例えば酸素投与例とか、あるいはドパミン、ドブトレックス、そういった心臓をサポートするような治療をしたとか、幾つかそれを入れたほうが現実を表す。ただし、これというのは重症度を見たいというのが究極の目的ですので、重症度を見るにはどこを見たらいいかというのを考えなくてはいけないと思いますし、次の死亡数も同じなのですけれども、別に死亡した数を知りたいわけではなくて重症度を知りたいわけです。全死亡数というのは分母が全患者数か全人口なわけです。重症度を知りたいのであれば、絶対値がなくても、地域で分母を適切に設定すれば分かるはずなのです。そうすると、こちらも分母をもう少し考えていただいて死亡数を把握していただいたほうがいいだろうと思います。
 最後に、集団発生ですが、これは国際保健規則においても世界中の標準的な方法としてイベントベースサーベイランスで行うというのが極めて普通の常識になっていますし、日本は国際保健規則を批准しているわけですから、それの手法、あるいは定義などはもういろいろなところに溢れています。ここを採用されてはいかがかなというのが私の意見でございます。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、戸部委員、お願いします。
○戸部委員 戸部です。全体として異論はありません。
 ただ1点、事務局に質問なのですが、資料12ページの表の部分、5月8日からの黄色い箱のところで、死亡者数のところなのですが、法的根拠についての質問です。人口動態統計に基づく情報収集というのは、根拠規定としては感染症法ではなくて統計法という理解でよいのかというのが1つ目の質問です。
 もう一つは、その下の協力可能な自治体が報告した総死亡者数をもとにした超過死亡の迅速把握の部分は、なお感染症法15条2項を法的根拠とするのかということをお伺いしたいです。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、中野委員、お願いします。
○中野委員 中野でございます。事務局からお示しいただいたCOVID-19の報告基準、死亡数の把握、集団感染への対応等の方針に関しまして、全体として異議はございません。よく練っていただいて詳細に御説明いただいたと思います。
 そして、自分の立場から幾つかコメントを述べさせていただきます。
 まず、多くの委員の方々が御指摘されている入院例の把握とかでございますけれども、思えばインフルエンザも2009年に(H1N1)pdm09が出たとき、重症サーベイランスという形で始まって、幾つかの報告項目があって、2年ぐらいして恐らく入院サーベイランスという名称になって、より簡便な項目の幾つかに変化したのだと思います。
 新型コロナももちろんですけれども、これから何か感染症が出てきたときに、臨床医としてはどのような症状に注意すべきか、どのような患者さんに注意すればいいのかというのが国民の皆さんの健康を守るために大切なことであって、その情報はぜひ欲しいと思っています。コロナで難しいところは、当初の武漢で出た疾患、そして、アルファ株、デルタ株、さらにオミクロン株と変異するにつれて病像が変わってきているところが難しいところかなと思っています。
 ただ、現在事務局が挙げていただいているICU入室とか、人工呼吸器の使用というところは、現状ではいい線を行っているのかなというのが正直なところです。細かいことを申し上げれば、例えば人工呼吸器の使用というのもどこまで含めるのか、年齢も収集していただけるわけなので、例えば低年齢の小児が増えてきて、ネーザルハイフローを使う人が増えているということになると、低年齢児で呼吸器合併症の頻度の高い疾患ではないかという注意が当然喚起されるわけで、細かいことを言い出せば切りがないわけですけれども、いい形でこれからさらに検討はいろいろしていかなければならないかなと思っています。
 死亡数の把握も同じで、コロナはもちろんですけれども、ほかの疾患に関しても、死亡された方、究極の重症者がどのような疾患で亡くなっているかは、ぜひコロナの教訓を得て、インフルエンザ等、ほかの疾患にも生かしていただいたらどうかと思っています。
 それに関しまして、調委員がおっしゃったワクチンとの関連というのは、私もとても申し上げたかったことで、今回初めて国民の皆さんのワクチン接種歴が非常にはっきりしているわけです。そうしますと、短期的な発症予防とか重症化予防が何か月とか、そういうお話だけではなくて長期的な効果とか、あるいはmRNAワクチンが初めて出たときにもいろいろ議論されたADE(抗体依存性感染増強)とか、ワクチンが、長期的に本当にその人の予後にいい影響を及ぼすのか、悪い影響を及ぼすのか、そういったこともナショナルデータとしてぜひ検討していただければありがたいなと思っています。
 あと、検査数の把握については、もともとの出だしは検査が十分に行われていないのではないかというところで始まったものかと思いますので、現在、コロナは非常によくできていると思いますので、少しでも労力を減らすという意味では、もう少し簡素化していってもいいのかなと思っています。もし陽性率を調べるのであれば、同じ基準で検体を取っている定点をつくって、そこでずっと経時的に恒常的に調べていかないと、陽性率が意味するところも変わってくるので、検査数と検査率の把握に関しては、さらに今後は検討が必要かなと思っています。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、成田委員、お願いします。
○成田委員 成田でございます。よろしくお願いいたします。
 最初に、2ページの届出基準、患者確定例についてでございます。いただいた資料では同居家族に確定患者がいる場合に限り、いわゆるみなし陽性と診断するとございますけれども、現状では市販された検査キットによる自己検査結果に基づく診断も行われておりまして、医療機関での検査なしに患者と診断する場合は、みなし陽性以外にも存在しております。何をもってみなし陽性とするのか、定点医療機関の方々が混乱しないよう、より詳細な定義の設定と、定点医療機関に対する丁寧な説明・周知をお願いできればと考えております。
 また、みなし陽性として定点医療機関で診断された発生届は、発生動向の把握という趣旨のものと思います。5類移行後は、医療機関が発生届を出して終わりということではなくて、個々の患者対応をすることまで求められているということも併せてしっかり周知していただければと考えております。
 都におきましては入院調整を実施する際には、検査陽性であることが求められておりますので、みなし陽性患者について入院調整を行う場合、結局検査を受けてもらう必要が出てくるということも申し添えたいと思います。
 続いて、資料の9ページの対応方針案の2段目、協力の得られる自治体から死亡数を収集して、そのデータを基に超過死亡の迅速把握を行うこととしてはどうかという点についてでございます。都道府県への事前の情報提供につきまして、今回の仕組みは感染症に関する広域的な対応の必要性に基づいた都道府県連携協議会の設置をはじめとする改正感染症法の流れにちょっとなじまないような印象を持っております。保健所設置区市からの報告について、公表内容を都道府県に事前に情報提供していただきますようお願いいたします。超過死亡の公表方法について、保健所から収集した情報をどのような形で公表するのか早急に整理し、自治体にお示しいただくこと、また、感染動向の把握のため、国として超過死亡の増減について適切な分析を行うことをぜひお願いいたします。
 最後に、サーベイランス体制についてですけれども、定点医療機関による感染動向把握への移行後、感染状況について国民に注意喚起するためのいわゆる警報や注意報等の全国的な基準を早急に整理して、自治体にお示しいただければと思っております。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、藤田委員、お願いします。
○藤田委員 藤田です。3つの項目、ともに全体として御提案内容に特に異存はありません。特にこちらからの意見もありません。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 続きまして、森田委員、お願いします。
○森田委員 森田です。
 特段の追加の意見はないですけれども、検査数等の把握について、現在、抗原定性検査、流通している流通量を一つの指標にするということで、これもある程度の指標にはなり得るかなと思います。
 一方で、かなりの数が国家備蓄されていると聞いておりますので、やがて放出されてくると思うので、その際には混乱がないようにしていただきたいというところです。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、山田委員、お願いします。
○山田委員 私も特段付け加えることはなくて、いろいろな御意見を基に若干修正が必要かとは思いますけれども、御提案のとおりでよろしいかと思います。
 ただ1点、報告書の書式の中に、性別を男女別で報告するようになっているのですけれども、性差をことさら強調する必要があるのかなと、昨今の性自認の話とか、そういうことと整合させると、特段性別を記載しなくてもいいのではないかなというようなことをちょっと思いました。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、四柳委員、お願いします。
○四柳委員 よろしくお願いいたします。お示しいただいた項目そのものに関しては私も大きな異議はございません。実際の使い方等に関して、私自身が感じたことをコメントとして述べさせていただければと思います。
 例えば4枚目のところで、実際に登録の書式が示されてきて、事務局に伺ったところ、現時点では紙にするか、あるいはNESIDに入力をするかというところは、まだ決めきれていないというところを聞いております。そういった意味では、NESIDはせっかく始まったところでございますので、今回定点報告になるにあたってはぜひこれを使って推進していくことが大事なのではないかなと思って見ておりました。それが第1点でございます。
 第2点は、死亡診断書の案件でございます。先ほど今村委員からも釜萢委員からも、実際の入力に当たってのきちんとした統一基準いう話がございました。私たち実際に死亡診断書を記入する側からすると、これは本当に一定の超過死亡も含めて記入する基準というのがなくて、きちんと目安が欲しいなと感じております。
 また、日本医師会のほうから電子入力をするシステムがかなり丁寧に整えられています。このシステムについて実は、医療機関・病院などは実際には知らない方もいらっしゃると思いますので、共有していただくと、将来的には電子入力をして、ほかの発生動向等とリンクさせていただける可能性があると思います。この機会に、死亡診断書のデジタル化ということをもう一度見直していただければいいのかなと思いました。
 もう1点は、クラスター対策です。医療機関でももちろん大事ですけれども、恐らくこれから先、社会福祉施設で発生したクラスターをどうやってきちんと把握して対応するのかということがこれまで以上に非常に大事だと思っています。実際には、例えば国のほうでも老健局で分かりやすいマニュアルを出していただいていますので、こういったものをしっかり再告知していただいて、特に福祉施設に対してきちんと情報を示していただくことが大事かと考えております。
 また、先ほどの白井委員からお示しいただきましたクラスターの基準ですが、これはばらばらと出てくることもありますし、施設の規模もありますから、なかなか何をクラスターとして把握するのかというのは難しいと思いますけれども、マニュアルに、どうした場合にはクラスターと考えるとか、対策を取るかということはあまり書かれていないのです。どうした場合はクラスターで、どういった対策を取るということを特に福祉施設においては分かりやすくお示しいただくといいかなと思いました。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、玉川参考人、お願いいたします。
○玉川参考人 玉川でございます。全国知事会の立場から意見を申し上げます。掲げていただいた内容について、全体として特に大きな異論はございません。
 ほかの委員がお話しされていた意見、1点申し上げます。検査数の把握については、医療機関に対してG-MISにより入力を求め、公表する内容となっております。一方で、現在は抗原定性検査キットによるセルフチェックの仕組みがかなり普及していることから、医療機関の検体採取数をもって検査数を把握することは、PCR検査が中心であった頃と比較をすると、指標としての妥当性は低下していると認識しております。
 また、医療機関に対して、G-MISにより日々の入力を求めることは、外来の診療・検査の需要が高まる感染拡大時においては、より負担が大きくなるものと考えております。このため、適切かつ負担の少ない把握方法による指標について、国において引き続き検討をお願いできればと思います。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 では、一通り御意見をいただきましたので、最後に私のほうから、私も全体としては賛成しますが、検査の把握のところで検査の陽性率、これが流行状況の特に立ち上がりのところで陽性率の増加がよく見えてくる指標になりますので、ぜひここは例えば検査会社のところであるとか、そういうところで検査数で陽性者数の比率で出していただくというようなところも引き続き検討していただきたいと思います。検査数全体の把握はなかなか難しくなってきているところがあるのですけれども、ぜひ陽性率に関してはお願いをしたいと思っています。
 それから、入院状況の把握のところで、現状、5月8日からはG-MISを使っていく、その後に入院期間定点へ切り換えていくということですので、そこもデータの継続性がしっかり取れるようなところをお願いしたいと思っています。
 あと、流行状況の把握のところで、下水の研究班を継続するというところが5月8日以降も入っているのですけれども。これが重層的なサーベイランスという意味で、これまでも断片的なデータが出てきて、流行状況とよく相関するというのが出てきていますが、こちらが研究班ベースで継続ということになるので、どうしてもごく限られたデータしか公表されてこないということになっていますので、研究班でやっているものを事業にしたらいいのかどうか、そこは分かりませんけれども、なるべく公表することをぜひ厚労省のほうからも後押ししていただきたいと考えます。
 それから、現在、学校の欠席者サーベイランスというのがコロナとインフルエンザで両方別々に出していただいていますので、ここも学校においては欠席の定義といいますか、何日か今検討されているということですけれども、引き続きここのところもしっかりと公表していただくように継続をお願いしたいと考えています。
 私のほうからは以上になります。
 それでは、今、一通り皆様から発言していただきましたが、もし言い忘れたとか、追加のところがあればというところですけれども、なければ、事務局に幾つか質問があったかと思いますので、その点について、事務局からコメントがあればお願いしたいと思います。
○杉原エイズ対策推進室長 事務局でございます。
 まず、戸部委員から御質問いただきました件です。法的根拠についてですが、前回の感染症部会で御議論いただきました死亡者について、死亡個票の情報を感染症法により把握するという方法、これについてはおよそ2か月程度報告の時間がかかるものでございますが、こちらに関しては感染症法に基づく死亡情報の収集になります。いわゆる人口動態統計そのものについては、実際、死因別で原死因がコーディングされて把握されるのには5か月程度かかるということで、そちらは統計法に基づく把握になります。
 また、現在検討を進めております協力可能な自治体が報告した死亡者数を基に超過死亡を迅速に把握するという方法でございますが、こちらは、実は過去にインフルエンザでも同様の取組をやったことがございまして、こちらは統計法の目的外利用の申請によって実施をするということを検討しているところでございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 そのほかも様々な意見がありましたけれども、特に今の時点で事務局からはレスポンスがもしあればですけれども、今のところはないという形でいいですか。
○杉原エイズ対策推進室長 全般的にいただきました陽性率の話とか、入院サーベイランスの基準のお話ですとか、いただきました御意見を基に、また引き続き検討を進めさせていただければと思います。よろしくお願いします。
○脇田部会長 分かりました。ありがとうございます。
 委員の先生方からは追加の御意見は大丈夫でしょうか。よろしいですか。
 どうもありがとうございます。そうしましたら、今、事務局からもコメントありましたけれども、委員の皆様、参考人の方も含め、御意見をいただきましたので、その意見を踏まえて進めていただければと考えます。
 では、次の議事に進みたいと思います。こちらも事前に説明が事務局から各位に対してあったと思いますが、必要なポイントについて、議題2について御説明をお願いします。予防計画の見直し等です。
○長江結核感染症課長補佐 健康局結核感染症課の長江でございます。
 資料2を御覧ください。予防計画の見直しについてという資料でございます。
 1枚目は、前回の部会にも出した資料になりますが、今回、基本指針と予防計画を見直す経緯としまして、先般改正した感染症法におきまして、都道府県が定める予防計画につきましては記載を充実することと、新しく数値目標を設定するとしております。3月13日の感染症部会におきましては、数値目標に関しまして、特にどの項目を数値目標とするか、また、その考え方をどのようにするかということにつきまして御意見をいただきました。
 次のページは前回の部会にもお出ししたものになっていますが、数値目標につきましては、感染症部会のこれまでの議論や第8次の医療計画の検討会、また、栄養部会の議論を踏まえまして、下記のとおり設定するとしております。具体的には医療の数値目標、検査の数値目標、宿泊療養の数値目標、物資、人材、保健所の体制、それぞれ数値目標を設定することとしております。前回、3月13日の感染症部会におきまして、検体の搬送や患者の移送についても御意見いただいたことを踏まえまして、検体の搬送につきましては、国において検体の搬送がスムーズに進むための方策について、平時から関係者と連携をして検討することとしまして、移送につきましてはコロナの対応を踏まえて都道府県と消防の役割分担などを都道府県の連携協議会で議論していただき、体制を検討していただくということを基本指針や予防計画の中にしっかり記載していきたいと思っております。
 次のページは数値目標の基本的な考え方としまして、3月13日の感染症部会のほうでもお出しした資料となっております。この考え方は、前回お出しした中では対応する感染症というのは、新型インフル、指定感染症、新感染症を基本とする。次に、現行のコロナの対応を念頭にこの数値目標を考えていくとしております。この後、感染症が発生してからの一連の流れというのも前回お出しして御意見をいただいたところであります。
 本日の感染症部会におきましては、予防計画における数値目標を設定するに当たってのさらに詳しい考え方をお示ししますので、御意見をいただきたいと思っております。
 まず、数値目標になりますが、前回、3月13日の感染症部会で流行初期と流行初期以降の2時点での設定はどうかと考え方をお示ししております。その中で、特に今回、協定を結んでいただいて確保する数値目標がございまして、医療と検査、宿泊はそれに該当するものとなっております。前回の感染症部会におきまして、検査と宿泊に関しましては、流行初期の最初の体制に当たって、準備に1か月程度必要ではないかという御意見が多かったと認識しております。いただいた御意見を踏まえまして、流行初期の数値目標に関しましては、医療の体制につきましては厚生労働大臣が新感染症と公表してから1週間以内に立ち上げる目標を設定する。検査と宿泊に関しましては1か月以内に立ち上げるという目標を設定したいと思っております。
 また、流行初期以降の数値目標は、今回のコロナの経験を踏まえまして、第8波までの3年間をかけて最大となった体制を数値目標に、大臣が公表後、遅くても6か月以内の時点の目標値を設定したいと思っております。ただし、こちらも前回の部会で少し言及しましたが、検査や宿泊に関しまして、例えば検査につきましては、民間検査会社が今回新たに、もともと検査をやっていなかったのに参入した会社などがありまして、コロナが終わった後、事業に継続して参加することが不透明であること、また、宿泊に関しましても、起きたときの国内の宿泊の需要に左右されることなど、不確定な要素が多いということで、定性的な協定を共有したいと思っております。
 この定性的な協定というのはどういうものかといいますと、実際、協定を結ぶときは、これくらいの数、例えば宿泊ですと、部屋の数など、起きたときに提供しますというような状態を想定しているのですが、数値などを明記せずに、感染症が起きたときに具体的な要件を決めるような協定を想定しています。そうなった場合、定性的な協定ですと、数値目標との差分が生じるかと思いますが、その差分につきましては、差分を解消できるような取組を平時から準備を行っていくとしていきたいと思っております。
 次のページから具体的な数値目標の数字についてお示ししたものとなっております。
 まず、医療に関しましてですが、医療は第8次の医療検討会の取りまとめで既に公表されておりますが、病床数に関しましては約1.9万床、発熱外来につきましては1,500医療機関と設定をしております。検査になりますが、発熱外来の設定のときに、コロナが発生後の1年後の2020年冬の患者外来、3万人を想定しておりますので、当然外来に来た患者も検査をするということを想定して、PCRの3万件と設定したいと思っております。
 この3万件の内訳になりますが、まず、2万件というのは地方衛生検査所で対応していくことを想定しております。残りの1万件は、今回の協定を結んでいただくことが想定される重点医療機関のうち、PCRの機械などを一定整備しているということを踏まえまして、医療機関で約1万件以上やっていただくことを想定しております。
 続きまして、宿泊療養になりますが、宿泊療養につきましては、流行初期に関しましては入院医療を中心とした体制が中心となると考えられますが、すぐに重症者を優先する医療体制への移行ができるように、令和2年5月のコロナの実績である1.6万室の確保を目指すとしたいと思っております。この令和2年5月は、令和2年4月に国のほうで初めて宿泊療養を立ち上げるように通知してから1か月後ということで、今回も大臣公表の1か月後に同数のものは少なくとも確保していきたいと思っております。
 続きまして、流行初期以降の数値目標になりますが、こちらも医療に関しましては第8次の医療計画の検討会の取りまとめ意見を踏まえまして、コロナの最大値を目標としております。病床数に関しましては5.1万、発熱外来は4.2万、自宅療養の医療を提供する機関数としまして、病院診療所が2.7万、薬局が2.7万、訪問看護が2,800、後方支援を行う医療機関数としまして3,700、ほかの医療機関への応援派遣に対応可能な医療人材としまして、医師が2,100、看護士が4,000と設定しております。
 続きまして、検査になりますが、検査も先ほどの流行初期と同じ考え方で、今回の発熱外来に来た患者は検査を受け入れることを想定しまして、最大であった実績を基に約50万件のPCRを目標値としたいと考えております。なお書きのところにありますが、先ほど申し上げましたように、定性的な協定ということもよいとしたいと思っております。
 続きまして、宿泊療養になりますが、宿泊療養も今回のコロナの実績の最大値ということで7万3000室を目標としたいと思っております。また、検査と同様に定性的な協定も許容していきたいと思っております。
 下の※になりますが、物資について記載をしております。物資は今回の協定の義務ではなく、任意事項の協定となっておりますが、今回数値目標を設定することとしております。物資は流行初期、流行初期以降といった時期別の数値目標を立てるのではなく、通じて協定医療機関のうち、8割以上の施設が当該施設の使用量の2か月以上に当たるPPEを備蓄することを目標として設定したいと思っております。ここにあります8割というのは、1か月以上の備蓄を確保した医療機関が各PPEで82%以上となっていることを踏まえて設定しました。また、この2か月というのは、感染の波の需要の急増と輸入の途絶が同時に発生した場合に、需給が最も逼迫する期間を想定して設定しております。
 次のページは、今申し上げました各数字を医療体制、検査、宿泊と流行初期、流行初期以降と、それぞれ一覧にした表となっております。
 次のページは協定以外の数値目標の考え方をお示ししております。
 まず、人材の養成・質の向上になりますが、今回、人材の質の向上から数値目標を設定することとしております。研修・訓練の実施につきまして、今回、医療従事者や保健所の職員、都道府県の職員を対象に、PPEを着用した診療・検体採取の研修・訓練や移送に関わる研修・訓練等の実施、これは医療機関が実施する場合、都道府県が実施する場合、国や感染研が実施する研修があると思いますが、そういったものに参加することを年1回以上と考えていきたいと思っております。
 次に、保健所の体制となりますが、こちらも3月13日の感染症部会の御意見と4月10日の栄養部会における議論の数値目標は以下のとおりとされました。
 3点ございまして、1点目が保健所における流行初期開始から1か月間において想定される業務に対応する人員の確保数ということで、保健所ごとに設定していただく。
 続きまして、IHEAT等の確保数ということで、IHEATの研修を受けた受講者数を記載していただく。こちらは上の人材育成とか講習と同じになりますが、感染症の研修や訓練を受けた実施回数ということで、年1回以上を求めていくという形を想定しております。
 参考としまして、参考資料2-1に4月10日の栄養部会の資料と、参考資料2-2としまして第8医療計画検討会の新興感染症発生・まん延時における医療の取りまとめの資料をつけております。
 事務局からの説明は以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 今、事務局から予防計画の見直しの考え方について、数値目標についての御説明がありました。では、委員・参考人の皆様から御意見をいただいていこうと思います。今回は挙手でお願いしたいと思いますのでよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 それでは、谷口委員、白井委員、今村委員の順番でお願いいたします。
○谷口委員 詳しく御説明いただきましてありがとうございました。三重病院の谷口と申します。
 まず、協定につきまして、定性的と記載していただいたことは、とても評価したい。よかったなと思っています。これは病床確保の目的を明確にしていただいて、ひょっとすると流行初期は隔離目的が多くなる、あるいは重症の治療が目的なのか、後半になると、例えば手のかかる介護的なケアが必要になる。それぞれ病床確保というが、病床使用の目的が変わってくると思いますので、そこも一緒に含めて、ベッドがあればいいというものではないので。その目的とともに定性的な協定を結んでいただけると、医療機関としてはありがたいかなと思います。
 2点目、人材の養成ですけれども、人材の養成はどこのところでもみんな研修・訓練と書かれているわけですが、そもそも田舎は訓練する人がいないわけで、なかなか人が集まらないわけです。実際に全体的に底上げをしていただくことを考えていただかないと、なかなか田舎では難しいかなという気はします。
 そうすると、どこかでサージキャパシティーとなるようなところを蓄えておいていただいて、例えば県であれば感染症情報センターとかFETPみたいなものを県でつくって、そこにふだんから蓄えておいて、研究をしておいていただく。これは地方衛生研究所も同じだと思うのです。ふだんから研究として人員をきちんと保っておかないと、いざというときに急激に1日2万件なんてきっとできないので、そこも一緒に書いていただけると、これは脇田先生のところの感染研も同様かと思いますが、いわゆるふだんからきちんと蓄えておいて、いざというときのサージキャパシティーを考えていただくことが大事かなと思いました。
 以上です。ありがとうございました。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 白井委員、お願いします。
○白井委員 数値目標について、国が大枠を示していただいたということで、そういうような考え方で自治体もそれぞれ計画を立てるということのイメージがつくとは思うのですけれども、自治体とか保健所において、地域によってかなり感染者数の差がありましたので、流行1か月にどれぐらいの感染者数とか対応があるか、最大ということについては、かなり時間がたってということもあったと思うのです。
 保健所長会で当初、コロナが発生してから、3月、4月ぐらいに調査をしたときには、全国の保健所の半分が感染者を対応したことはないというような状況だったのです。それが第7波、8波になったときは全て対応したということになりましたけれども、そうなると、最初の1か月というよりは、どういうような数値目標を立てるのかというのは混乱というか、イメージがつかないのではないかなと思います。これは適切な対応をするための目安、できるだけ速やかに対応できるというような目標だと思いますので、数値目標を達成することは、手段であって目標ではないと考えておりました。
 そういう意味では、医療機関についても地方によって病床数が大分違いますので、第8次医療計画の中にも感染症対策が入っていくと思うのですけれども、先ほどの谷口委員がおっしゃったように、急性期病棟だけではなくて、地域ケア病棟であるとか、療養型病床であるとか、そういうことも含めて考えていただく必要があるかなと思いましたので、そういうことも考えて数値目標の中に示すということを、具体的に自治体に御説明いただくのがいいのではないかと思いました。
 また、保健所のほうの自治体の人員確保についてです。計画の中で数値目標を立てながら研修をしていくということですけれども、現場でかなり戸惑ったのは、要員の数というか、応援する方の数が集まってからだったら逆に何とかなるのですけれども、どうやって集めるかというところのほうが苦心しましたので。この人材育成の中というか、その前段階で、どうやって人を集める体制を取るのか。そういう応援の要請の仕方をロジスティックにする、そういうプロセスの研修も必要なのではないかと思っています。
 そういう意味では、庁内というか、自治体の中での本庁からの専門職や事務職の確保であるとか、市町村など管内自治体と保健所の連携であるとか、それをどのように要請して、人を何人出していただくとか、そういうことを速やかにできるかどうかということ、そこからの研修が必要、人集めの体制の確立をするというところが一番大事かなと思いました。
 そういったところで、現場がどのように考えるかといったときに、国に示していただいたような数値目標を、現場でどのように自治体ごとに考えるかといったところには、もう少し一工夫が要るかなと思っています。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、今村委員、お願いします。
○今村委員 今村です。全体的な方向性としては特に異論ありません。難しい課題について、よく検討していただいていると思っています。その上で、今後の計画を立てるに当たって、改めて2つの注意点についてコメントを述べたいと思います。
 1つ目は速さの問題です。新型コロナにおいては異質性という特徴があったため、初期にはクラスター対策が非常に有効でした。これによって厳しい状況ではありましたが、それでも医療体制を確保していく時間的余裕をつくることができたのだと考えています。しかし、例えば新型インフルエンザのような感染症では、クラスター対策は限定的かつ短期間しか行えず、さらに急速に流行が立ち上がっていく危険性があるかと思います。したがって最大数も重要ですが、準備の早さを新型コロナよりもさらに重視する必要があるかもしれないということです。
 2つ目は最大数についての課題です。8ページ目にはこれまでの経験を参考にした最大値が示されています。しかし、新型コロナ対応における最大値設定では、多くの自治体において実際には最大数よりもかなり低い数値で病床数や検査数が上限に達して、それ以上は増えないという状況に陥っていたと思います。過剰な数値だけの積み上げにならないよう、これまでのデータの現実的な上限値などを再評価して、その課題解決につなげることも重要ではないかと考えています。
 こちらからは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、成田委員、お願いします。
○成田委員 私からも何点か御意見を述べさせていただければと思います。
 最初に、7ページの数値目標の考え方なのですけれども、医療提供体制については厚生労働大臣の公表後1週間以内に立ち上げるという目標が設定されております。こちらにつきましては3月13日の本部会でも申し上げましたけれども、発生当初はウイルスの病原性が明らかでないことから、医療機関等においては最大限の感染防止対策を取りながら対応する必要がございます。1週間以内に対応することは難しいと考えますので、例えば公表前の段階から国から都道府県等に情報提供があって、各医療機関で準備に着手する前提であれば、ぜひその旨を明記していただければと思っております。
 続いて、同じ7ページなのですけれども、定性的な協定についてです。こちらは谷口委員と同様、大変ありがたく思っております。検査体制、宿泊療養体制等についても、国において具体的な要件等を例示した協定のひな形をぜひ作成していただきますと、ありがたく存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 また、流行初期の数値目標について、イメージ図に書かれているところなのですけれども、毎年度、国に達成状況を報告の上、達成状況を確認・公表とございます。例えば感染症がその年に発生・蔓延していなかった場合とか、想定している感染症とは別の感染症が流行する可能性もあります。国として状況の報告とはどのような方向性を想定されているのか、報告方法、報告の目的、達成状況の評価方法などを具体的にお示しいただきますと、大変ありがたく存じます。
 最後に、9ページの数値目標の考え方で、宿泊療養については国としては各都道府県から報告された数値を積み重ねたものが上記の値に近づくよう、必要に応じて助言、援助、勧告を行うと書かれてございます。例えば都道府県が設定した数値目標について、都道府県からの数値の合計と国が想定している数値に乖離が生じた場合、新たに上乗せを求められるのかどうなのか、この辺についても御教示いただきますと幸いに存じます。
 以上となります。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、四柳委員、お願いします。
○四柳委員 質問も兼ねて述べさせていただきます。
 気になったのは、周産期医療に関することが一切指標として取り上げられていないというのが気になって、聞かせていただければと思いました。オミクロン株の出現後かかる妊婦が多くなってきていて、産科医療体制の確保は非常に問題になっています。普通のハイリスク者ですと医療機関にひもづいていますけれども、妊婦はそういった方ではないので、そういったことに関しては直接の問題が生じるかなと。
 厚生労働省のほうでも令和4年2月の段階で、周産期体制の確保についてという文書が発出されております。もしかしたら既に議論が上がっているのかもしれませんけれども、これまでそこのところに関して議論がなされていないのであれば、高齢者出産も増えてきてということになりますし、検討しなければいけない項目かなと思いまして、質問を兼ねてコメントさせていただきました。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 次に、越田委員、お願いします。
○越田委員 計画の策定に関しては、事務局の方で丁寧に整理してくださいまして、よく整えられているなという感じがいたしました。ガチガチではなく柔軟な姿勢で、地域の実情やこれまでの経緯を考慮して地域で考えてつくるという方向かと思います。
 ただし、計画を策定するのは都道府県と保健所設置市になりますので、その際に、都道府県と政令指定都市、或は中核市、との連携を十分に取りながら策定をすることも必要ではないかと思っております。例えば宿泊施設は全部県で準備をしてくださるところもあるでしょうし、逆に保健所設置市が管内の住民のために準備をするところもあるかと思いますので、整合性をとるという意味では大事なことではないかなと思っております。
 続きまして、人材育成に関してですが、以前にも申し上げ、特に社会福祉施設、高齢者施設等々で、感染症のアウトブレイクの発端が察知された時には、該当施設の責任者である医師、つまり、嘱託医であるとか、あるいは協力医に対して、有事の初期対応についての研修を平時から行って頂きたいと思います。有事のファーストタッチは施設を一番知り尽くしている医療従事者ではないかと思いますので、そのための研修をぜひお願いしたいと思っております。
 最後に、保健所の整備体制についてです。確かに人材の確保も大事ですが、有事の際のハード面での整備についても言及したらいいのではないかと思っております。例えばWi-Fiの環境だとか、電話回線、データ収集とその活用のためのDX化、あるいは執務室内の環境整備、照明とかエアコンとかそういった細かいことも必要です。そして、保健所の指揮命令系統と情報の共有を図るために、対策本部機能を1か所に集約できるような大講堂を保健所内に確保しておく。こういったことも大事ではないかなということを考えております。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 玉川参考人、お願いします。
○玉川参考人 予防計画の見直しに関しまして発言をさせていただきます。
 まず、目標についてですが、定性という観点を加えていただきました。以前発言しておりましたとおり、柔軟な対応、そういったことに配慮いただいた観点かと思います。この点、感謝を申し上げます。その上で2点申し上げます。
 1点目は、予防計画の策定作業を今後進めることになりますが、その作業を円滑に進めるためにも、基本指針については可能な限り早急にお示しくださるようお願いいたします。
 2点目は、人材の養成及び質の向上に関してです。人材の質の向上の観点から、一定の質が担保された研修・訓練の実施について、数値目標が設定されることが示されたところです。これを踏まえまして、医療機関や保健所、地方衛生研究所において一定の質が担保された研修・訓練を確実に実施できるよう、国においては財政的な支援はもとより、訓練マニュアルの整備や研修講師の派遣など、技術的な支援も含めてしっかり対応くださるようお願いいたします。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 調委員、お願いします。
○調委員 若干特殊なケースかもしれませんけれども、今回のような新型コロナウイルス感染症がインフルエンザの流行期に仮に発生した場合、先ほど今村委員がおっしゃったスピード感ということで言いますと、発熱外来は急に何万人に対して対応が必要であるというようなことが想定されるのではないかと思いますし、検査は恐らくそこにおいてインフルのキットで陽性であった者は除外していって対応していけばいいのかなと思いますが、具体的にそういったケースを想定した場合も考えておく必要があるのではないかなと思います。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 最後に、私のほうからも少々意見ですけれども、検査のほうで初期対応、1か月程度で準備ということになりますが、多分感染研と地衛研で体制を立ち上げていくというところになるのです。今回のコロナのときもそうだったのですけれども、遺伝子情報が公開されて、すぐに検査キットを整えたプライマーも発注したということなのですけれども、ちょうどそのときも3連休に入っているところだったのです。あれが例えば年末年始であったり、ゴールデンウィークだったり、夏休みというところで、すぐに試薬を調達できないような状況も十分想定されるので、そういった休みのときにも試薬の発注が確実にできるような体制といいますか、そういったメーカーとの事前の協定というか、そういったところをしっかり準備をしておく必要があると思います。
 それから、特に地衛研における検査キャパシティーの確保ですけれども、これは従前から精度管理ということでやっていますが、精度の管理とともにキャパシティーの確認です。これは定期的にやっていくということが必要だと思います。大量に処理できるような装置のメンテナンスは、どうしてもなかなか予算がつきにくいところもあるので、そういった精度とかキャパシティーの定期点検というところで、そういったことであれば、自治体においても予算の確保ということでやりやすいのではないかと思います。
 それから、人材育成のところです。感染症対応というところになると、様々な対応能力が必要になってくるということがあるので、現状、人数が少ないという話ですけれども、関係する職員に対して、検査であったり、疫学であったり、危機対応、リスク評価であったり、レスポンスも含めて、それから、行政にいかに関わっていくかというような様々な面があるので、そういった検査、疫学、危機対応、行政といったような研修を総合的にやっていく必要があるということだと思いました。
 白井委員からもありましたけれども、ロジの研修ということですけれども、つまり研修だけではなくて、演習・訓練もしっかりテーマを決めてやっていくということで、総合的な対応能力の向上を図るということだと思いました。
 私の意見は以上です。
 それでは、さらなる御意見がなければ、今、様々な御意見、それから、御質問もありました、事務局のほうから何かレスポンスがあればお願いしたいと思います。
○長江結核感染症課長補佐 結果感染症課の長江でございます。
 まず、成田委員の御質問からお答えさせていただきます。
 1点目、資料の4ページになります。ここは資料上、前回も出したので読み飛ばしてしまっていたのですが、国が最初に感染症が発生したときにどういう対応するかというところで、上から4ポツ目になります。まず、流行初期というのは公表前に対応実績のある感染症指定医療機関が対応していって、その後、流行初期確保医療機関が対応していくとなっているのですが、最初に国の感染症指定医療機関の感染症病床とか、感染症指定医療機関は実際にいろいろな対応をして、新しい感染症の知見などをどんどん収集していきますので、その知見というのは都道府県やその他医療機関にしっかり情報提供した上で、協定を結んだ医療機関が対応していただくように実施していくことを考えております。
 2点目の御質問は今回の協定のひな形になりますが、協定のひな形はそれぞれ医療、検査、宿泊とありますが検討していきたいと思っております。
 続きまして、毎年報告を受けた後、どのようなイメージがあるか、資料の9ページの宿泊の○の下の※に書いてあるのですが、各都道府県から毎年数値目標が報告されることになっております。御指摘のとおり差分が出てくると思いますが、国としましては各都道府県から報告された数値の状況などを解析させていただきまして、当然県によっては達成しているところもあれば、まだまだという状況があると思いますので、例でございますが、達成した県の事例などをほかの県に好事例として横展開などをして、感染症法に基づく助言、援助、勧告などをしながら、各県がしっかり数値目標を積み上げられるように国としても支援していきたいと思っております。
 続きまして、四柳委員の御質問になりますが、周産期の医療について、どこで議論したかということになります。参考資料2-2につけております医療計画の検討会の取りまとめの8ページになりますが、既に医療計画のほうで詳しく議論しておりまして、ここに書き込んでありますが、冒頭にマル4と書いてありまして、特に配慮が必要な患者の病床の確保についてということで、1ポツ目に各都道府県は新型コロナ対応での実績を参考に、地域の実情に応じて精神疾患を有する患者、妊産婦、小児、透析患者、障害や認知症患者、がん、外国人など、特に配慮が必要な患者を受け入れる病床の確保を行うということで、一定配慮するように医療計画のほうでも、もちろん予防計画のほうでもこの取りまとめを基にやっていきたいと思っております。
 御質問があったのは、この2人の委員かと思っています。残りの先生たちの御助言にいたしましては、いただいた御意見を踏まえまして、この基本指針を早く出せるように事務局としてもやっていきたいと思っております。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、委員の皆様からさらに御意見があればというところですが、いかがですか。大丈夫でしょうか。
 ありがとうございました。それでは、今いただいた御意見を踏まえて作業を進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 では、次の議題にまいります。議題3は報告事項になります。事務局から、また説明をお願いいたします。
○井上結核感染症総括調整官 結核感染症課、井上のほうから説明させていただきます。
 報告事項の1つ目でございますが、匿名感染症関連情報の提供に関する有識者会議の設置に関する事項でございます。
 資料3の1枚目でございます。まず、こちらのほうで背景に関して、おさらいのような形にはなりますが説明したいと思います。こちらのほうは情報基盤の整備に関する議論、昨年の9月5日の感染症部会のほうでも諮らせていただきました。赤枠でございますが、発生届出等の情報に関して、臨床情報、あるいはそのほかの医療情報との連携が当時では困難であったという事情がまずあり、期待された分析がなかなかしづらかった。さらに外部の研究者の方々にも提供して活用いただくことが難しいといった課題がございました。
 それに関して、一番下の対応の具体策といったところでございますけれども。発生届出等の感染症の疫学情報について、レセプト、あるいはワクチンの接種情報等との連結分析が可能となる仕組みをつくる。さらに第三者提供を可能とするということで、匿名化した上で提供を可能とする仕組みを整備するといった内容の具体策が合意されたところでございます。それを踏まえまして、改正感染症法の中で法的な手当を行ってございます。
 2枚目は参照条文という形になりますけれども、今回手当したところ、特に56条の41といったところで匿名感染症関連情報の利用、さらに2項のほうでは連結、提供するといった旨を条文化したところでございます。
 3枚目、今回、この法律に関しては令和6年4月1日からの施行といったことが予定されてございます。そのときから厚生労働大臣は匿名感染症関連情報を第三者に提供することができる。そして、提供を行う場合には他のデータベースの匿名情報、そして、匿名感染症関連情報を連結、利用することができる状態で提供するといったことになります。こちらは具体的なガイドライン等に関して御議論いただく必要がございますので、その利活用に関して専門的な観点から検討を行うことを目的として、健康局長が参集を求める有識者による会議を設置させていただきたいと考えております。
 具体的な要綱に関しては、参考資料1として今回お配りさせていただいたところでございます。有識者の方々は感染症の専門家の方々に加えまして、情報の扱いといったところがございますので、情報法制の専門家の方、あるいは倫理的なところの専門家の方々、そうしたところに御参画をいただくといったことを想定してございます。
 検討事項ですけれども、既に先行してガイドライン等の整備が進んでおります。NDB、あるいは難病、そちらのほうのこれまでの議論を参考に、感染症の有識者会議においても御議論いただくことを考えております。具体的にはデータ提供に係る事務処理、審査基準、そして、利活用の運用に関する専門事項として、検討のイメージというところでございますけれども、公益性の判断であったり、提供先をどのような形にするか、さらには提供する情報の範囲、発生届出等、特にコロナの対応で言えばHER-SYSなどでも収集されておりますけれども、そういったところがどの程度の範囲で提供していくのかといったことを御議論いただきたいと考えております。
 さらに匿名加工の在り方ということで、あくまで今回提供する情報は顕名ではなく匿名加工した上での連結、提供といったことになりますので、そこの在り方、さらには管理の在り方、そういったことに関して御議論いただくことを想定してございます。
 この議論を踏まえまして、有識者会議のほうでデータ提供ガイドラインであったり、提供に関する審査会とか、その辺りの報告、案を整備、作成するといったことを考えてございます。その上で、令和6年4月1日の施行に向けて、そうしたガイドライン等の内容を基に必要なシステム改修ということで、先ほど申し上げたコロナ対応であればHER-SYS、その他、感染症の情報が入ることになりますのは感染症サーベイランスシステムでございますけれども、そうしたシステム改修を順次実施するといったことを想定しております。
 このため、なかなかタイトなスケジュール感になってくるわけですけれども、そういったシステム改修に必要な時間といったものを確保しながら、それまでに有識者会議のほうで結論を得ていくといったことを考えてございます。そこでまとまったガイドライン案に関しては、また改めて感染症部会のほうでも御議論いただくことを考えてございます。
 説明は以上となります。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明がありましたけれども、匿名感染症情報の提供に関する有識者会議の設置についてというのが主なところかと思いますが、皆様から御意見があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 私のほうから一つ質問なのですけれども、最後にガイドライン等ができた際には、こちらのほうでも議論ということですけれども、できれば有識者会議における議論というのがどういうものかというところから、感染症部会のほうにも情報共有していただければありがたいなと思いますのでよろしくお願いします。質問というか、お願いしますというところです。
 ほかはいかがでしょうか。特によろしいですか。
 今回のコロナの経験、反省を踏まえて、感染症情報の利活用をさらに進めていくということだと思いますので、先ほど死亡者のデータとワクチンの接種の状況のデータの連結の話ということもありましたし、様々なデータベースを連結して感染症の発生の状況といいますか、それをさらに分析に使えるようにということだと思います。
 それでは、私のほうからはお願いということですので、事務局からのレスポンスは結構です。よろしくお願いします。
 では、先に進ませていただきます。報告事項の2つ目をよろしくお願いします。
○長江結核感染症課長補佐 結核感染症課の長江でございます。事務局より御報告いたします。参考資料3-1、3-2になりますが、こちらは薬剤耐性(AMR)アクションプランについてでございます。
 薬剤耐性アクションプランは2016年に策定いたしました。今回、この改訂版ができたということになっておりますが、この改訂版を作るに当たっては、厚生科学審議会の感染症部会の下にありますAMR小委員会で委員の皆様方に技術的なアドバイスをいただきまして、厚生労働省としてを内閣官房に意見出し、内閣官房が取りまとめて今回閣議決定されましたので、御報告とさせていただいております。
 報告は以上となります。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 皆様から何か御質問・御意見はございますでしょうか。AMRアクションプランの改訂が少し遅れたというところだと思いますけれども、よろしいでしょうか。
 白井委員、お願いします。
○白井委員 確認ですが、これはワンヘルスだと思いますので、いろいろなところでの共有ということがなされると思います。感染症部会の下にとおっしゃいましたけれども、いろいろな農水関係であるとか、そういうところの共有はどういう形でされるのかと思いましたので質問です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 事務局、いかがでしょうか。どのように共有されていくかということです。
○長江結核感染症課長補佐 まず、こちらは内閣官房が取りまとめになっておりますので、内閣官房のホームページには少なくとも既に公表されております。農林水産省で検討会を開催しておりまして、そこで技術的アドバイスをもらって今回意見を出しております。農林水産省から農水の検討会に参加された先生方には周知されるとは思っております。農水以外のところは各々の省庁で関わった方々に周知されていくとは認識しております。
 以上でございます。
○脇田部会長 あと、主なところは環境省ですかね。ありがとうございました。
 そのほかはよろしいでしょうか。内閣官房のほうから各省庁へということだと思います。
 全体を通して何か皆様から御意見・御質問がさらにあればと思いますがよろしいですか。
 そうしましたら、本日の議題は以上になりますので、議事を事務局にお返ししたいと思います。
○杉原エイズ対策推進室長 どうもありがとうございました。
 1点、最初の議題1に関連しまして、定点の調整状況について御報告させていただきます。3月31日締め切り時点で全都道府県の皆様から御報告いただいておりまして、現在調整中の都道府県もございますが、4月21日までには調整が終了する見込みということで聞いておりますので、一応追加で御報告させていただきます。
 そうしましたら、本日は、長きにわたりまして議論をいただきましてありがとうございました。委員の皆様の御意見を踏まえて進めさせていただければと思います。
 今後、当方で記者ブリーフィングとして議事の概要を御説明させていただく予定としております。
 また、次回の予定につきましては、改めて事務局より御連絡させていただきます。
 本日は、お忙しい中御出席いただきまして、どうもありがとうございました。